説明

基地局装置、移動局装置、移動通信システム、通信方法、送信装置、および受信装置

【課題】移動局装置が優先呼以外の発呼手順を実行する場合のアクセス手順について規定されていなかった。
【解決手段】移動局装置が未登録のCSGセルへアクセスする際の手順を規定し、この規定に基づいた手順を実行する。移動通信システムに適用される小型基地局装置であって、キャンプしている移動局装置からユーザ識別子と優先度情報とが含まれた発呼要求メッセージを受信し、前記ユーザ識別子と前記優先度情報とに基づき、前記移動局装置の発呼要求を許可するか否かを判断し、前記判断結果を前記移動局装置に送信する。また、前記移動局装置の発呼要求メッセージに含まれるユーザ識別子が、登録済み移動局装置であることを示す場合に発呼要求を許可する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型基地局装置が配置される移動通信システムにおいて、小型基地局装置へアクセスを行なう技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、家庭やオフィスに設置される小型基地局装置の検討が進められている。小型基地局装置は、家庭内の固定回線などと接続し、通信エリアの拡大やユーザ固有のサービスを提供するために使用される。標準化団体3GPP(3rd Generation Partnership Project)における小型基地局装置は、ホームノードB(またはホームイーノードB)と呼ばれる。また、アクセス可能なユーザを事前に登録することによって、利用可能なユーザを制限したホームノードBのことを特にCSG(Closed Subscriber Group)セルと呼ぶ(非特許文献1)。一方、通常の基地局装置のことはマクロセルと呼んで区別する。
【0003】
3GPPにおいて、第3世代の移動通信方式を進化させたEvolved Universal Terrestrial Radio Access(以下、「EUTRA」と称する。)、更にその発展形であるAdvanced EUTRAにおいて、CSGセルの検討が進められている。
【0004】
移動局装置は、加入者登録されたCSGセル(登録済みCSGセル)、登録されていないCSGセル(未登録CSGセル)、およびマクロセルを区別できないと、アクセス不可能なCSGセルにアクセスを試みてしまい、消費電力や無線リソースを浪費することになる。そこで、移動局装置がCSGセルとマクロセルを区別するための方法として、報知情報にCSGセル識別子を含める方法(非特許文献2、6.3.1節)が提案されている。
【0005】
図19は、周辺セルに登録済みCSGセルが配置されているときの移動局装置の初期アクセス手順を示すシーケンスチャートである。まず、移動局装置CSG_UEは、CSGセルからCSGセル情報を取得する(ステップS191)。CSGセル情報とは、マクロセルとCSGセルとを区別するためにCSGセルから取得される情報であり、報知情報のCSGセル識別子やセルID、周波数帯域に該当する。移動局装置は、待ち受け判定処理(ステップS192)において、取得したCSGセル情報から検出したCSGセルが登録済みCSGセルかどうかを判定する。この判定の結果、登録済みCSGであった場合は、登録済みCSGセルに対して無線接続要求メッセージを送信する(ステップS193)。無線接続要求を受けたCSGセルは、無線接続要求許可メッセージを送信し(ステップS194)、続いて移動局装置より無線接続完了メッセージを送信する(ステップS195)。
【0006】
移動局装置は、続いて位置登録処理を行なう(ステップS196)。これにより、着呼信号を待ち受けるエリアをネットワークに対し通知し、待ち受け状態に入る。この待ち受け状態に入ることを「セルへキャンプする」という。移動局装置が、その後に上位レイヤなどの指示によってデータ通信のために発呼手順を開始する場合、発呼要求メッセージをキャンプしているCSGセルへ送信し(ステップS197)、CSGセルは発呼要求許可メッセージを応答する(ステップS198)。
【0007】
図20は、周辺セルに未登録CSGセルが配置されているとき、またはCSGセルに非対応の移動局装置の初期アクセス手順について示すシーケンスチャートである。まず、移動局装置Non−CSG_UEは、CSGセルからCSGセル情報を取得する(ステップS201)。移動局装置は、待ち受け判定処理(ステップS202)において、取得したCSGセル情報から検出したCSGセルが登録済みCSGセルかどうかを判定する。判定の結果、登録済みCSGでない場合、あるいは移動局装置がCSGセルに非対応である場合は、マクロセルに対して無線接続要求メッセージを送信する(ステップS203)。無線接続要求を受けたマクロセルは、無線接続要求許可メッセージを送信し(ステップS204)、続いて移動局装置より無線接続完了メッセージを送信する(ステップS205)。
【0008】
移動局装置は、続いて位置登録処理を行ない(ステップS206)、ネットワークに対し、移動局装置がマクロセルにキャンプすることを通知する。その後、発呼手順を開始する場合、発呼要求メッセージをキャンプしているマクロセルへ送信し(ステップS207)、マクロセルは、発呼要求許可メッセージを応答する(S208)。なお、図19および図20において、実際には無線接続要求メッセージ、並びに発呼要求メッセージの送信前に、上りリソース要求のためにランダムアクセス手順が必要な場合があるが、簡略化のために説明を省略してある。
【0009】
図21は、図19および図20に示した待ち受け判定処理の処理手順を示すフローチャートである。移動局装置は、キャンプ先セルを選択する場合、まず周辺セルからの信号を受信し、キャンプ可能な受信品質を満たす周辺セルを一つ以上選択する(ステップS211)。次に、CSGセルが周辺セルに配置されており、受信信号にCSGセルの信号が含まれているか否かを、CSGセル情報を基に判定する(ステップS212)。CSGセルが周辺セルに配置されている場合、続いてCSGセルが登録済みCSGセルであるかどうかを判定する(ステップS213)。CSGセルが登録済みCSGセルであった場合、登録済みCSGセルをキャンプ先セルとして選択する(ステップS214)。一方、ステップS212において、CSGセルが周辺セルに配置されていない場合、またはステップS213において、未登録CSGセルのみが配置されている場合、マクロセルをキャンプ先セルとして選択する(ステップS215)。
【0010】
また、非特許文献3には、CSGセルのみが観測されるセル環境においては、未登録CSGセルであっても優先呼(緊急呼、緊急時通信)のため、キャンプを許可する提案がされている。
【非特許文献1】3GPP TS36.300,Overall description;Stage2.V8.4.0 http://www.3gpp.org/ftp/Specs/html-info/36300.htm
【非特許文献2】3GPP TS36.331,Radio Resource Control(RRC);Protocol specification.V8.2.0 http://www.3gpp.org/ftp/Specs/html-info/36331.htm
【非特許文献3】Huawei,R2-083555,3GPP TSG-RAN2 Meeting #62bis,Warsaw,Poland,June 30-July 4,2008
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、優先呼のように、通常呼よりも優先すべき種別の通信は、CSGセルかどうかに関わらず、常に発呼を許可する必要がある。その必要を満たすためには、未登録CSGセルであっても待ち受けを許可する必要があったが、従来は、この場合の未登録CSGセルへのアクセス手順が規定されていなかった。特に、移動局装置が優先呼以外の発呼手順を実行する場合のアクセス手順について規定されていなかった。
【0012】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、移動局装置が未登録のCSGセルへアクセスする際の手順を規定し、この規定に基づいた手順を実行する基地局装置、移動局装置、移動通信システム、通信方法、送信装置、および受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の基地局装置は、移動局装置と無線接続される基地局装置であって、前記移動局装置が前記基地局装置のアクセス制限されたセルに対する緊急呼による無線接続を試みる際に、前記緊急呼による無線接続要求の送信の判断に用いるアクセス制限情報を送信し、前記移動局装置と無線接続中に、前記移動局装置に対して別のキャンプ先のセルを指定する情報を無線接続の解放を指示する無線接続解放メッセージに設定し、前記情報が設定された無線接続解放メッセージを前記移動局装置に送信することによって、前記移動局装置に対し、ある待機時間の経過後に前記基地局装置との無線接続を解放させ、前記情報に基づくセルサーチによって前記移動局装置がキャンプ可能な受信品質を満たす別のセルを検出した際に、検出した前記セルに関する制御パラメータを含む報知情報を前記セルに適用させる。
【0014】
本発明の移動局装置は、基地局装置と無線接続される移動局装置であって、前記基地局装置のアクセス制限されたセルに対して緊急呼による無線接続を試みる際に、前記緊急呼による無線接続要求の送信の判断に用いるアクセス制限情報に基づいて前記緊急呼の無線接続を前記基地局装置に要求し、前記基地局装置と無線接続中に、前記基地局装置から別のキャンプ先のセルを指定する情報が設定された前記基地局装置との無線接続の解放を指示する無線接続解放メッセージを受信した場合、ある待機時間の経過後に前記基地局装置との無線接続を解放し、前記情報に基づくセルサーチによって前記移動局装置がキャンプ可能な受信品質を満たす別のセルを検出し、かつ、検出した前記セルに関する制御パラメータを含む報知情報が前記無線接続解放メッセージで設定されているときに前記報知情報を検出した前記セルに適用し、検出した前記セルに関する制御パラメータを含む報知情報が前記無線接続解放メッセージで設定されていないときは、前記セルに関する制御パラメータを検出した前記セルの報知情報から取得して適用する。
【0015】
本発明の移動通信システムは、基地局装置と無線接続される移動局装置を備える移動通信システムであって、前記基地局装置は、前記移動局装置が前記基地局装置のアクセス制限されたセルに対する緊急呼による無線接続を試みる際に、前記緊急呼による無線接続要求の送信の判断に用いるアクセス制限情報を送信し、前記移動局装置と無線接続中に、前記移動局装置に対して別のキャンプ先のセルを指定するを無線接続の解放を指示する無線接続解放メッセージに設定し、前記情報が設定された無線接続解放メッセージを前記移動局装置に送信し、前記移動局装置は、前記基地局装置のアクセス制限されたセルに対して緊急呼による無線接続を試みる際に、前記緊急呼による無線接続要求の送信の判断に用いるアクセス制限情報に基づいて前記緊急呼の無線接続を前記基地局装置に要求し、前記基地局装置と無線接続中に、前記基地局装置から前記無線接続解放メッセージを受信した場合、ある待機時間の経過後に前記基地局装置との無線接続を解放し、前記情報に基づくセルサーチによって前記移動局装置がキャンプ可能な受信品質を満たす別のセルを検出し、かつ、検出した前記セルに関する制御パラメータを含む報知情報が前記無線接続解放メッセージで設定されているときに前記報知情報を検出した前記セルに適用し、検出した前記セルに関する制御パラメータを含む報知情報が前記無線接続解放メッセージで設定されていない場合は、前記セルに関する制御パラメータを検出した前記セルの報知情報から取得して適用する。
【0016】
本発明の基地局装置で用いられる通信方法は、移動局装置と無線接続される基地局装置で用いられる通信方法であって、前記移動局装置が前記基地局装置のアクセス制限されたセルに対する緊急呼による無線接続を試みる際に、前記緊急呼による無線接続要求の送信の判断に用いるアクセス制限情報を送信するステップと、前記移動局装置と無線接続中に、前記移動局装置に対して別のキャンプ先のセルを指定する情報を無線接続の解放を指示する無線接続解放メッセージに設定することを判断するステップと、前記移動局装置に対し、ある待機時間の経過後に前記基地局装置との無線接続を解放させ、前記情報に基づくセルサーチによって前記移動局装置がキャンプ可能な受信品質を満たす別のセルを検出した際に、検出した前記セルに関する制御パラメータを含む報知情報を前記情報に設定するステップと、前記情報が設定された無線接続解放メッセージを前記移動局装置に送信するステップと、を備える。
【0017】
本発明の移動局装置で用いられる通信方法は、基地局装置と無線接続される移動局装置で用いられる通信方法であって、前記基地局装置のアクセス制限されたセルに対して緊急呼による無線接続を試みる際に、前記緊急呼による無線接続要求の送信の判断に用いるアクセス制限情報に基づいて前記緊急呼の無線接続を前記基地局装置に要求するステップと、前記基地局装置と無線接続中に、前記基地局装置から別のキャンプ先のセルを指定する情報が設定された前記基地局装置との無線接続の解放を指示する無線接続解放メッセージを受信するステップと、ある待機時間の経過後に前記基地局装置との無線接続を解放するステップと、前記情報に基づくセルサーチによって前記移動局装置がキャンプ可能な受信品質を満たす別のセルを検出し、かつ、検出した前記セルに関する制御パラメータを含む報知情報が前記無線接続解放メッセージで設定されているときに前記報知情報を検出した前記セルに適用するステップと、検出した前記セルに関する制御パラメータを含む報知情報が前記無線接続解放メッセージで設定されていないときは、前記セルに関する制御パラメータを検出した前記セルの報知情報から取得して適用するステップと、を備える。
【0018】
本発明の移動通信システムで用いられる通信方法は、基地局装置と無線接続される移動局装置を備える移動通信システムで用いられる通信方法であって、前記基地局装置において、前記移動局装置が前記基地局装置のアクセス制限されたセルに対する緊急呼による無線接続を試みる際に、前記緊急呼による無線接続要求の送信の判断に用いるアクセス制限情報を送信するステップと、前記移動局装置と無線接続中に、前記移動局装置に対して別のキャンプ先のセルを指定する情報を無線接続の解放を指示する無線接続解放メッセージに設定するステップと、前記無線接続解放メッセージを前記移動局装置に送信するステップとを備え、前記移動局装置において、前記基地局装置のアクセス制限されたセルに対して緊急呼による無線接続を試みる際に、前記緊急呼による無線接続要求の送信の判断に用いるアクセス制限情報に基づいて前記緊急呼の無線接続を前記基地局装置に要求するステップと、前記基地局装置と無線接続中に、前記基地局装置から前記無線接続解放メッセージを受信した場合、ある待機時間の経過後に前記基地局装置との無線接続を解放するステップと、前記情報に基づくセルサーチによって前記移動局装置がキャンプ可能な受信品質を満たす別のセルを検出し、かつ、検出した前記セルに関する制御パラメータを含む報知情報が前記無線接続解放メッセージで設定されているときに前記報知情報を適用するステップと、検出した前記セルに関する制御パラメータを含む報知情報が前記無線接続解放メッセージで設定されていないときは、前記セルに関する制御パラメータを検出した前記セルの報知情報から取得して適用するステップと、を備える。
【0019】
本発明の送信装置は、移動局装置と無線接続される基地局装置で用いられる送信装置であって、前記移動局装置が前記基地局装置のアクセス制限されたセルに対する緊急呼による無線接続を試みる際に、前記緊急呼による無線接続要求の送信の判断に用いるアクセス制限情報を送信し、前記移動局装置と無線接続中に、前記移動局装置に対して別のキャンプ先のセルを指定する情報を無線接続の解放を指示する無線接続解放メッセージに設定し、前記情報が設定された無線接続解放メッセージを前記移動局装置に送信することによって、前記移動局装置に対し、ある待機時間の経過後に前記基地局装置との無線接続を解放させ、前記情報に基づくセルサーチによって前記移動局装置がキャンプ可能な受信品質を満たす別のセルを検出した際に、検出した前記セルに関する制御パラメータを含む報知情報を前記セルに適用させる機能を備える。
【0020】
本発明の受信装置は、基地局装置と無線接続される移動局装置で用いられる受信装置であって、前記基地局装置のアクセス制限されたセルに対して緊急呼による無線接続を試みる際に、前記緊急呼による無線接続要求の送信の判断に用いるアクセス制限情報に基づいて前記緊急呼の無線接続を前記基地局装置に要求し、前記基地局装置と無線接続中に、前記基地局装置から別のキャンプ先のセルを指定する情報が設定された前記基地局装置との無線接続の解放を指示する無線接続解放メッセージを受信した場合、ある待機時間の経過後に前記基地局装置との無線接続を解放し、前記情報に基づくセルサーチによって前記移動局装置がキャンプ可能な受信品質を満たす別のセルを検出し、かつ、検出した前記セルに関する制御パラメータを含む報知情報が前記無線接続解放メッセージで設定されているときに前記報知情報を検出した前記セルに適用し、検出した前記セルに関する制御パラメータを含む報知情報が前記無線接続解放メッセージで設定されていないときは、前記セルに関する制御パラメータを検出した前記セルの報知情報から取得して適用する機能を備える。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、移動局装置の登録関係と通信の優先度とに応じて、適切なアクセス手順を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る移動局装置の受信装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る移動局装置の送信装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る基地局装置の受信装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る基地局装置の送信装置の概略構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の移動局装置Non−CSG_UEの初期アクセス手順と発呼手順を示すシーケンスチャートである。
【図6】本発明の移動局装置Non−CSG_UEの別の初期アクセス手順と発呼手順を示すシーケンスチャートである。
【図7】本発明の移動局装置Non−CSG_UEの別の初期アクセス手順と発呼手順を示すシーケンスチャートである。
【図8】本発明の移動局装置Non−CSG_UEの別の初期アクセス手順と発呼手順を示すシーケンスチャートである。
【図9】本発明の移動局装置Non−CSG_UEの別の初期アクセス手順と発呼手順を示すシーケンスチャートである。
【図10】図5における移動局装置の待ち受け判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】図5および図6におけるCSGセルである基地局装置のCSGセル発呼判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】図6〜図9におけるマクロセルである基地局装置のCSGセル発呼判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】移動局装置UEが呼種別とセル種別に基づくアクセス制限を行なう場合のシーケンスチャートである。
【図14】移動局装置のアクセス制限判定処理手順を示すフローチャートである。
【図15】移動局装置の別のアクセス制限判定処理手順を示すフローチャートである。
【図16】本発明の移動局装置Non−CSG_UEの発呼手順を示すシーケンスチャートである。
【図17】本発明の移動局装置Non−CSG_UEの別の発呼手順を示すシーケンスチャートである。
【図18】本発明の移動局装置Non−CSG_UEの別の発呼手順を示すシーケンスチャートである。
【図19】周辺セルに登録済みCSGセルが配置されているときの移動局装置の初期アクセス手順を示すシーケンスチャートである。
【図20】周辺セルに未登録CSGセルが配置されているとき、またはCSGセルに非対応の移動局装置の初期アクセス手順について示すシーケンスチャートである。
【図21】、図19および図20に示した待ち受け判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら説明する。EUTRAおよびAdvanced EUTRAで使用される物理チャネルは、報知情報チャネル、上りデータチャネル、下りデータチャネル、下り共用制御チャネル、上り共用制御チャネル、ランダムアクセスチャネル、同期シグナル、下りリファレンスシグナルなどがある。
【0024】
物理チャネルはEUTRA、およびAdvanced EUTRAにおいて、今後追加、または、チャネル構造が変更される可能性もあるが、変更された場合でも本発明の各実施形態の説明には影響しない。また、リファレンスシグナルとしては下りリファレンスシグナルと上りリファレンスシグナルがある。
【0025】
本発明の各実施形態に関わる物理チャネルは、同期シグナルと報知情報チャネル、下りリファレンスシグナルであるため、それ以外の物理チャネルの詳細な説明は省略する。
【0026】
同期シグナル(Synchronization Signal)は、移動局装置が基地局装置を高速に検出するために使用される。同期シグナルは3種類のプライマリ同期シグナルと31種類の符号を互い違いに配置したセカンダリ同期シグナルとで構成され、プライマリ同期シグナルとセカンダリ同期シグナルの信号の組み合わせによって、基地局装置を識別する504通りのセルIDと、無線同期のためのフレームタイミングを示す。
【0027】
報知情報チャネル(BCH:Broadcast Channel)は、セル内の移動局装置で共通に用いられる制御パラメータを通知する目的で送信される。更に、BCHは、P−BCH(Primary BCH)とD−BCH(Dynamic BCH)とに分類される。P−BCHとは、時間的・周波数的に所定の周期で送信することが予め決められているため、移動局装置はセルIDが同定されたセルのP−BCHを受信することが可能である。一方、D−BCHとは、下り共用制御チャネルで送信リソースが通知され、セル毎に送信リソースを可変にすることも可能である。D−BCHには、少なくともセルIDよりも数が大きく、全てのセルに重複しないように一つだけ割り振られるグローバルID(グローバルセルIDとも呼ばれる)と、エリア情報(トラッキングエリアまたはトラッキングエリアIDとも呼ばれる)とが含まれる。
【0028】
下りリファレンスシグナルは、セル毎に原則として所定の電力で送信されるパイロットシグナルである。また、下りリファレンスシグナルは、所定の時間間隔(例えば、1フレーム)で周期的に繰り返される信号であり、移動局装置は、所定の時間間隔において下りリファレンスシグナルを受信し、受信品質を測定することによって、セル毎の受信品質の判断に用いる。また、下りリファレンスシグナルと同時に送信される下りデータの復調のための参照用の信号として用いる。下りリファレンスシグナルに使用される系列は、セル毎に一意に識別可能な系列であれば、任意の系列を用いても良い。なお、下りリファレンスシグナルはDL−RS(Downlink Reference Signal)と記載される場合もあるが、その用途と意味は同じである。
【0029】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る移動局装置の受信装置の概略構成を示すブロック図である。受信装置10は、受信部11、受信信号処理部12、セル情報管理部13、下りメッセージ処理部14、待ち受け判定処理部15、アンテナ16から構成される。受信信号(基地局装置からの送信信号)は、アンテナ16を介して受信部11において受信される。受信部11において、受信信号はチャネルスケジュールを示す受信制御情報を基に復調される。受信制御情報は、各チャネルに関する受信タイミング、多重方法、リソース配置情報や復調に関する情報が含まれている。受信制御情報に従い、受信部11は、受信信号をチャネル毎に復調・復号化し、受信信号処理部12へと出力する。
【0030】
セル情報管理部13には、登録CSGセル情報とセル種別判定情報が入力される。登録CSGセル情報とは、移動局装置の登録済みCSGセルを一意に特定可能な情報からなる。移動局装置の登録済みCSGセルは、リスト化され、例えば、エリア情報、CSGセルID(CSGIDとも呼ばれる。)、周波数、帯域幅、グローバルID、通信方式、GPS情報、IPアドレスなどの情報の全部または一部が含まれる。これらの情報は、移動局装置が登録されているCSGセルが複数あれば、複数セット用意されていても良く、更に、その登録方法は任意の方法を用いて良い。なお、移動局装置が登録CSGセル情報の格納先として好適な場所は、SIM(Subscriber Identity Module:加入者識別モジュール)カード内のメモリが好適であるが、これに限らない。また、セル種別判定情報とは、CSGセルとマクロセルとを区別するための情報からなる。例えば、CSGセルにのみ用いられるセルID、周波数帯域、報知情報から得られたCSGセル識別子とセルIDとを対応関係などの情報の全部または一部が含まれる。セル情報管理部13は、これらの情報を待ち受け判定処理部15に出力する。
【0031】
受信信号処理部12では、受信部11からの入力信号をチャネル毎に適切に処理し、更に、測定処理を実施することで得られる必要な測定情報を待ち受け判定処理部15へ出力する。測定情報とは、同期シグナルから検出したセルIDや下りリファレンスシグナルの受信品質、報知情報から得たエリア情報などである。また、受信した上位レイヤからのメッセージ(レイヤ3メッセージ)は、下りメッセージ処理部14へ入力される。受信信号処理部12で処理される測定情報以外の情報、例えばユーザのトラフィックデータや下り制御データなどは、その他の情報として個別の処理ブロックに入力されるが、これらは本発明に関係無いため説明を省略する。
【0032】
待ち受け判定処理部15には、受信信号処理部12から測定情報、セル情報管理部13から登録CSGセル情報とセル種別判定情報が入力され、また、必要に応じて移動局装置アクセスクラス情報が入力される。移動局装置アクセスクラス情報とは、移動局装置が通信を行なう場合の優先度を決めるための情報であり、例えば、オペレータがメンテナンス用に使用する専用の移動局装置は、一般市販用の移動局装置よりも高い優先度が設定される。また、呼種別によっても優先度が設定され、優先呼(日本であれば110番や119番などの緊急呼など)の優先度は、通常の通信よりも高く設定される。優先度が高いほど発呼時の送信待ち時間が少なく、無線リソースも優先的に割当てられるよう制御される。それ以外にも、より高い送信電力や受信電力でデータ通信を行なうなどといった、通常呼とは異なる通信制御が適用される場合もある。待ち受け判定処理部15は、測定情報、登録CSGセル情報、セル種別判定情報、移動局装置アクセスクラス情報に基づき、キャンプするセルを選択し、選択結果を上位レイヤに通知する。
【0033】
下りメッセージ処理部14は、基地局装置からのメッセージが入力され、メッセージ内容に応じた制御処理を行ない、その結果を上位レイヤに通知する。
【0034】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る移動局装置の送信装置の概略構成を示すブロック図である。送信装置20は、上りメッセージ生成部21、送信信号処理部22、送信部23、およびアンテナ24から構成される。上りメッセージ生成部21には、上位レイヤの指示に従い適切なタイミングで基地局装置に通知するメッセージ(レイヤ3メッセージ)の生成に必要な情報が入力される。例えば、発呼要求メッセージであれば発呼要求情報が、発呼手順完了メッセージであれば発呼完了情報が、無線接続要求メッセージであれば無線接続要求情報が、無線接続完了メッセージであれば無線接続完了情報がそれぞれ入力される。上りメッセージ生成部21は、入力された情報に応じて各メッセージを生成し、送信信号処理部22へと出力する。
【0035】
送信信号処理部22は、上りメッセージ生成部21からのメッセージと、その他の送信信号に対して適切なスケジューリングを行なう。その他の送信信号とは、上りユーザトラフィックデータや上り制御データ、上りリファレンスシグナルなどである。送信信号処理部22からスケジューリングに基づき出力されるデータは、送信部23において送信制御情報に従い、送信信号としてアンテナを介して出力される。送信制御情報は、各チャネルに関する送信タイミング、多重方法、リソース配置情報や変調に関する情報が含まれている。
【0036】
なお、図1および図2において、その他の移動局装置の構成要素は本実施形態に関係無いため、その説明を省略する。
【0037】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る基地局装置の受信装置の概略構成を示すブロック図である。受信装置30は、受信部31、受信信号処理部32、上りメッセージ処理部33、基地局間メッセージ処理部34およびアンテナ35から構成される。受信信号(移動局装置からの送信信号)は、アンテナ35を介して受信部31において受信される。また、基地局間受信信号(他の基地局装置からの送信信号)は専用線などの有線を使用して周辺の基地局装置から周期的またはイベント的に送信され、受信部31において受信される。
【0038】
受信部31において、受信信号は、チャネルスケジュールを示す受信制御情報を基に復調される。受信制御情報は、移動局装置毎の各チャネルに関する受信タイミング、多重方法、リソース配置情報や復調に関する情報が含まれている。また、基地局間受信信号を復調に関する情報が含まれている。受信制御情報に従い、受信部31は、受信信号をチャネル毎に復調・復号化し、受信信号処理部32へと出力する。また、受信信号処理部32には移動局装置情報が入力される。移動局装置情報には移動局装置アクセスクラス情報が含まれる。また、基地局間受信信号も同様に受信部31において適切に復調・復号化され、受信信号処理部32へと出力される。
【0039】
受信信号処理部32は、入力信号を移動局装置毎に分け、更にチャネル毎に適切に処理する。入力信号が、移動局装置からの上りメッセージであるとき、上りメッセージ処理部33へ出力される。また、基地局間メッセージであるときは、基地局間メッセージ処理部34へと出力される。受信信号処理部32で処理される上りメッセージおよび基地局間メッセージ以外の信号、例えば、ユーザのトラフィックデータや上り制御データ、その他の制御メッセージなどは、その他の情報として個別の処理ブロックに入力されるが、これらは本発明に関係無いため、その説明を省略する。
【0040】
上りメッセージ処理部33は、各上りメッセージに含まれる制御パラメータを取得し、上位レイヤに出力する。基地局間メッセージ処理部34は、各基地局間メッセージに含まれる基地局制御パラメータを取得し、上位レイヤに出力する。
【0041】
図4は、本発明の第1の実施形態に係る基地局装置の送信装置の概略構成を示すブロック図である。送信装置40は、CGSセル情報生成部41、下りメッセージ生成部42、送信信号処理部43、送信部44、要求判断部45、およびアンテナ46から構成される。CSGセル情報生成部41には、セル種別情報が入力される。セル種別情報とは、基地局装置がCSGセルかマクロセルかを判断するための情報である。CSGセル情報生成部41は、セル種別情報がCSGセルであった場合、CSGセル情報を生成し、送信信号処理部43へ出力する。CSGセルでない場合(マクロセルの場合)は何もしない。
【0042】
ここで、CSGセル情報とは、移動局装置が当該基地局装置をCSGセルであると判断可能な情報であれば良く、その内容は任意でよい。例えば、同期シグナルを生成するためのセルID情報でも良く、報知情報に含めるCSGセル識別子情報でもよく、また、送信周波数帯域の情報でもよい。
【0043】
下りメッセージ生成部42は、要求判断部45の指示に従い、適切なタイミングで移動局装置に通知するメッセージ(レイヤ3メッセージ)を生成する。例えば、発呼要求許可メッセージであれば発呼要求許可情報が、発呼要求却下メッセージであれば発呼要求却下情報が、無線接続要求許可メッセージであれば無線接続要求情報がそれぞれ要求判断部45から入力される。下りメッセージ生成部42は、入力された情報に応じて各メッセージを生成し、送信信号処理部43へと出力する。送信信号処理部43には、CSGセル情報と下りメッセージが入力される。送信信号処理部43は、CSGセル情報生成部41からのCSGセル情報に基づき生成される送信信号と、その他の送信信号に対して適切なスケジューリングを行なう。その他の送信信号とは、各移動局装置の下りユーザトラフィックデータや下り制御データ、下りリファレンスシグナルなどである。
【0044】
送信信号処理部43からスケジューリングに基づき出力されるデータは、移動局装置向けであれば、送信部44において送信制御情報に従い、送信信号としてアンテナ46を介して出力される。基地局装置向けであれば、送信部44において送信制御情報に従い、基地局間送信信号として専用線などの有線を使用して出力される。送信制御情報は、各チャネルに関する送信タイミング、多重方法、リソース配置情報や変調に関する情報が含まれている。
【0045】
要求判断部45は、上位レイヤの指示に従い、移動局装置からの無線接続要求または発呼要求に対する判断を行ない、判断結果として、無線接続要求許可情報、発呼要求許可情報または発呼要求却下情報を下りメッセージ生成部42に出力する。
【0046】
なお、図3および図4において、その他の基地局装置の構成要素は本発明に関係無いため省略してある。
【0047】
図5〜図9は、本発明の移動局装置Non−CSG_UEの初期アクセス手順と発呼手順を示すシーケンスチャートである。このシーケンスは、移動局装置に登録CSGセル情報が格納されていないとき(例えばSIMカードが未挿入の場合)、または、移動局装置がCSGセルに非対応のとき、または、移動局装置が未登録CSGセルをキャンプ先セルとして選択した場合に適したシーケンスである。また、図中のマクロセルは、CSGセルの直近のマクロセルである。CSGセルの直近のマクロセルとは、移動局装置、またはCSGセルが周辺セル測定を行なった結果、最も品質の良いセルとして選択したセルを示し、例えばCSGセルのセル半径をカバーしているマクロセルである。この情報はCSGセルの電源オン時に一度だけ登録されても、一定時間毎に測定結果に基づき登録内容が変更されても良い。
【0048】
図5において、移動局装置は、CSGセルおよびマクロセルより同期シグナル、下りリファレンスシグナル、報知情報を受信し、さらに、CSGセルからCSGセル情報を取得する(ステップS50)。なお、図5では、簡略化のためにCSGセル情報がCSGセルから送信されているように記載しているが、CSGセル情報というメッセージが実際に送信されるわけではなく、物理的、または制御シグナリングによってマクロセルとCSGセルとを移動局装置が識別可能なようにCSGセルから送信される情報であり、その情報内容および使用される物理チャネルは任意で良い。例えば、同期シグナルによって通知されるセルID情報でも良く、報知情報チャネルによって通知される報知情報に含まれるCSGセル識別子情報でも良く、あるいは検出した同期シグナルの周波数帯域の情報であっても良い。移動局装置は、前記CSGセル情報からCSGセルとマクロセルを判断する。
【0049】
続いて、移動局装置は、待ち受け判定処理を行ない(ステップS51)、基地局装置からの下りリファレンス信号の受信品質が最も良いセル(最良セル)を選択する。ここで、選択したセルが未登録のCSGセルであっても、移動局装置はランダムアクセス手順(図示せず)を開始し、無線接続要求メッセージを未登録のCSGセルへ対して送信する(ステップS52)。移動局装置は、少なくとも無線接続要求メッセージにユーザ識別子(ランダムビット列、またはIMSI(International Mobile Subscriber Identifier)などの移動局装置固有番号)を含めて送信する。前記無線接続要求メッセージを受信したCSGセルは、当該移動局装置の無線接続を許可すると判断した場合、発呼手順完了メッセージに必要な無線制御情報を含めて移動局装置に送信する(ステップS53)。前記無線接続要求許可メッセージを受信した移動局装置は、CSGセルに対して無線接続完了メッセージを送信する(ステップS54)。
【0050】
移動局装置は、続いて、移動局装置がCSGセルにキャンプすることを通知するため、CSGセルを経由してネットワークに対して位置登録処理を行なう(ステップS55)。ネットワークは、位置登録処理において前記移動局装置のユーザ識別子を保存すると共に、ユーザ識別子に一対一に対応するテンポラリユーザ識別子(S−TMSI:System architecture evolution-Temporary Mobile Subscriber Identifierなど)を割り当て、前記テンポラリユーザ識別子(ユーザ識別情報)を移動局装置に通知する。
【0051】
更に、CSGセルへキャンプしている移動局装置が上位レイヤから優先呼の発呼要求を受け、発呼処理(優先呼)を行なう場合、少なくとも、CSGセルに対して優先呼であることを示す優先度情報とテンポラリユーザ識別子(ユーザ識別情報)とを発呼要求メッセージに含めて送信する(ステップS56)。CSGセルは、CSGセル発呼判定処理(ステップS57)にて優先度情報の内容を確認し、移動局装置が要求する呼種別が優先呼である場合、CSGセルへの発呼要求を許可し、CSGセルへの発呼要求許可メッセージを移動局装置に送信する(ステップS58)。発呼要求許可メッセージを受信した移動局装置は、発呼手順完了メッセージをCSGセルへ送信し(ステップS59)、以後、実際のデータ送信を開始する。図5において、CSGセルおよびマクロセルから送信されるその他のチャネルについては省略している。
【0052】
図6は、本発明の移動局装置Non−CSG_UEの別の初期アクセス手順と発呼手順を示すシーケンスチャートである。待ち受け判定処理により未登録のCSGセルが選択され、CSGセルにキャンプするまでは図5と同じである。CSGセルへキャンプしている移動局装置が、上位レイヤから通常呼の発呼要求を受け、発呼処理(通常呼)を行なう場合、少なくとも、CSGセルに対して通常呼であることを示す優先度情報とテンポラリユーザ識別子(ユーザ識別情報)とを発呼要求メッセージに含めて送信する(ステップS60)。CSGセルは、CSGセル発呼判定処理(ステップS61)にて優先度情報の内容を確認し、移動局装置が要求する呼種別が通常呼である場合、CSGセルへの発呼要求メッセージを直近のマクロセルへ転送する(ステップS62)。
【0053】
発呼要求メッセージが転送されたマクロセルは、移動局装置がマクロセルへ発呼可能かどうかの判断を行ない(ステップS63)、発呼可能な場合、転送された発呼要求メッセージ対して発呼要求許可メッセージをCSGセルへ送信する(ステップS64)。発呼要求許可メッセージは、CSGセルから移動局装置に転送され(ステップS65)、移動局装置は、必要であればマクロセルの報知情報チャネルから報知情報を取得し、ランダムアクセス手順(図示せず)の後、発呼手順完了メッセージをマクロセルへ送信し(ステップS66)、以後、実際のデータ送信を開始する。このとき、発呼要求許可メッセージにマクロセルの報知情報の内容やランダムアクセス手順に用いるプリアンブル情報を含めても良い。図6において、CSGセルおよびマクロセルから送信されるその他のチャネルについては省略している。
【0054】
なお、図5および図6のCSGセルにおいて、呼種別の優先度情報に基づいて発呼要求メッセージを転送するのではなく、CSGセルの無線リソース使用状況に応じて転送するか否かを判断しても良い。例えば、CSGセルの無線リソースが所定の閾値以上未使用である場合はCSGセルへの発呼を許可し、所定の閾値未満の無線リソースしか残っていない場合は直近のマクロセルへ発呼要求メッセージを転送し、マクロセルにて発呼可能かどうかを判定するという方法でも良い。
【0055】
図7は、本発明の移動局装置Non−CSG_UEの別の初期アクセス手順と発呼手順を示すシーケンスチャートである。待ち受け判定処理により未登録のCSGセルが選択され、CSGセルにキャンプするまでは図5と同じである。CSGセルへキャンプしている移動局装置が、上位レイヤから優先呼の発呼要求を受け、発呼処理(優先呼)を行なう場合、少なくとも、CSGセルに対して優先呼であることを示す優先度情報とテンポラリユーザ識別子(ユーザ識別情報)とを発呼要求メッセージに含めて送信する(ステップS70)。CSGセルは、発呼要求メッセージを直近のマクロセルへ転送する(ステップS71)。発呼要求メッセージが転送されたマクロセルは、転送された発呼要求を受信し、マクロセル発呼判定処理(ステップS72)にて優先度情報の内容を確認し、移動局装置が要求する呼種別が優先呼である場合、CSGセルへの発呼要求を許可し、CSGセルへの発呼要求許可メッセージをCSGセルへ送信する(ステップS73)。CSGセルは、前記発呼要求許可メッセージを移動局装置に転送し(ステップS74)、発呼要求許可メッセージを受信した移動局装置は、発呼手順完了メッセージをCSGセルへ送信し(ステップS75)、以後、実際のデータ送信を開始する。図7においてCSGセルおよびマクロセルから送信されるその他のチャネルについては省略している。
【0056】
図8は、本発明の移動局装置Non−CSG_UEの別の初期アクセス手順と発呼手順を示すシーケンスチャートである。待ち受け判定処理により未登録のCSGセルが選択され、CSGセルにキャンプするまでは図5と同じである。CSGセルへキャンプしている移動局装置が、上位レイヤから通常呼の発呼要求を受け、発呼処理(通常呼)を行なう場合、少なくとも、CSGセルに対して通常呼であることを示す優先度情報とテンポラリユーザ識別子(ユーザ識別情報)とを発呼要求メッセージに含めて送信する(ステップS80)。CSGセルは、発呼要求メッセージを直近のマクロセルへ転送する(ステップS81)。マクロセルは、転送された発呼要求を受信し、マクロセル発呼判定処理(ステップS82)にて優先度情報の内容を確認し、移動局装置が要求する呼種別が通常呼である場合、CSGセルへの発呼要求を許可せず、マクロセルで発呼させることを決定し、マクロセルへの発呼要求許可メッセージをCSGセルへ送信する(ステップS83)。CSGセルは、前記発呼要求許可メッセージを移動局装置に転送し(ステップS84)、発呼要求許可メッセージを受信した移動局装置は、必要であればマクロセルの報知情報チャネルから報知情報を取得し、ランダムアクセス手順(図示せず)の後、発呼手順完了メッセージをマクロセルへ送信し(ステップS85)、以後、実際のデータ送信を開始する。このとき、発呼要求許可メッセージにマクロセルの報知情報の内容やランダムアクセス手順に用いるプリアンブルを含めても良い。図8においてCSGセルおよびマクロセルから送信されるその他のチャネルについては省略している。
【0057】
なお、図7および図8において、図9に示すようにマクロセル発呼判定処理まで行なった後(ステップS90〜ステップS92)、マクロセルから直接移動局装置に発呼要求許可メッセージを送信しても良い(ステップS93)。この場合、マクロセルから移動局装置に直接メッセージを通知するため、ユーザ識別子(ユーザ識別情報)などのCSGセルに格納されている移動局装置の下り受信制御に必要な情報がCSGセルからマクロセルに転送される。
【0058】
図10は、図5における移動局装置の待ち受け判定処理の手順を示すフローチャートである。図10において、移動局装置は、周辺セル信号受信において、CSGセルとマクロセルを区別せずに周辺セルからの信号を受信し、キャンプ可能な受信品質を満たす周辺セルを一つ以上選択する(ステップS101)。次に、移動局装置に登録CSG情報が格納されているかどうかを確認する(ステップS102)。登録CSGセル情報が格納されていない場合、すなわち、登録CSGセル情報が格納されているSIMカードなどが未挿入のときやCSGセルに非対応の移動局装置である場合、周辺セル測定として、標準セル測定処理を行なう(ステップS103)。一方、登録CSGセル情報が格納されている場合、CSGセルが周辺セルに配置されており、受信信号にCSGセルの信号が含まれているか否かを、CSGセル情報を基に判定する(ステップS104)。CSGセルが周辺セルに配置されている場合、優先度付セル測定を行なう(ステップS105)。CSGセルが周辺セルに配置されていない場合、標準セル測定を行なう(ステップS103)。
【0059】
優先度付セル測定とは、登録済みCSGセルをマクロセルや未登録CSGセルよりも優先的に選択可能とするセル測定制御方法であり、その方法として、例えば所定のオフセット値を登録済みCSGセルの受信品質に付加する方法や、登録CSGセル以外の他のセルの測定を制限する方法などがあるが、登録CSGセルの受信品質が通常のセル測定による測定結果以上となるような方法であれば、これ以外の任意を用いることも可能である。マクロセルと未登録CSGセルしか周辺に存在しなければ、マクロセルを優先して選択可能とするようにオフセット値を加えても良い。一方、標準セル測定とは、CSGセルか否かによって受信品質にオフセット値を加えるなどの追加の制御を行なわない測定方法である。そして、キャンプ先セル選択処理において、いずれかの測定処理において得られた周辺セルの測定結果から最適なキャンプ先のセルを選択する(ステップS106)。
【0060】
なお、図10に示したフローチャートは、移動局装置の処理手順の一例であって、移動局装置が登録CSGセル情報と周辺セルの環境(CSGセルの有無)によって測定処理を切り替えるための判断を行ない、前記判断に基づいて、待ち受けに最適なセルを判定する方法であれば、これ以外の処理手順が用いられても良い。また、基地局装置より周辺セルとしてキャンプ不適切なセルが報知情報などで事前に通知されている場合、最良セルとしてキャンプ先セルとして選択しない。
【0061】
図11は、図5および図6におけるCSGセルである基地局装置のCSGセル発呼判定処理の手順を示すフローチャートである。図11において、基地局装置は、ランダムアクセス手順後に発呼要求メッセージ受信処理判定を行ない、発呼要求メッセージが受信された場合(ステップS111)、発呼要求メッセージを送信した移動局装置が登録済みの移動局装置かどうかを判定する(ステップS112)。この判定方法として、無線接続要求手順時に割り当てられるテンポラリユーザ識別子(ユーザ識別情報)が発呼要求メッセージに含まれているかどうかで判断することが可能である。
【0062】
CSGセルに登録されている移動局装置からの発呼であれば、CSGセルでの発呼を可能と判断して(ステップS113)、処理を終了する。一方、未登録移動局装置からの発呼であれば、同時に通知された優先度情報を基に優先呼であるかどうかの呼種別の判定を行なう(ステップS114)。ここで、呼種別が優先呼であった場合はCSGセルでの発呼が可能と判断して(ステップS113)、処理を終了する。一方、呼種別が通常呼であった場合は、直近のマクロセルへ発呼要求メッセージを転送する(ステップS115)。そして、転送したマクロセルからの基地局間メッセージを監視し(ステップS116)、発呼要求許可メッセージをマクロセルから受信した場合、メッセージ含まれる指定セルを発呼先のセルとして判断して(ステップS117)、処理を終了する。
【0063】
なお、図11のフローチャートは、CSGセルである基地局装置の処理手順の一例であって、CSGセルにおいて発呼した移動局装置が登録した移動局装置かどうかの判断と、優先度情報の内容とに応じて発呼可能かどうかを基地局装置が決定できれば、これ以外の処理手順が用いられても良い。また、発呼要求を転送した直近のマクロセルより発呼要求が却下される場合については省略してあるが、この場合、発呼要求許可メッセージの代わりに発呼要求却下メッセージを通知すれば良い。
【0064】
図12は、図6〜図9におけるマクロセルである基地局装置のCSGセル発呼判定処理の手順を示すフローチャートである。図12において、基地局装置は、基地局間メッセージを監視することで発呼要求メッセージ受信処理判定を行ない(ステップS121)、発呼要求メッセージが転送された場合、同時に転送された優先度情報を基に優先呼であるかどうかの呼種別の判定を行なう(ステップS122)。ここで、呼種別が優先呼であった場合は、CSGセルでの発呼が可能と判断して(ステップS123)、処理を終了する。一方、呼種別が通常呼であった場合、当該マクロセルで通信している移動局装置数やトラフィック量、無線リソースの使用状況から移動局装置が収容可能かどうかを判断し(ステップS124)、収容可能であれば当該マクロセルを発呼先のセルとして(ステップS125)、処理を終了する。一方、収容不可能と判断された場合、近接のセルであって移動局装置が通信可能なセルを検索し(ステップS126)、再度収容可能かどうかの判断を行なう。これを収容可能なセルが検索されるまで繰り返し、収容可能セルが検索されると、検索されたセルを発呼先のセルとして処理を終了する。
【0065】
なお、図12のフローチャートは、マクロセルである基地局装置の処理手順の一例であって、マクロセルにおいて発呼した移動局装置が通知した優先度情報の内容と、収容可能かどうかの判断に応じて発呼可能かどうかを基地局装置が決定できれば、これ以外の処理手順が用いられても良い。また、収容可能セルが見つからず発呼要求が却下される場合については省略してあるが、この場合、発呼要求許可メッセージの代わりに発呼要求却下メッセージを通知すれば良い。なお、図12と同様の処理をマクロセルではなく、更に上位のネットワークに属する管理装置、例えば、MME(Mobility Management Entity)、S−GW(Serving Gateway)などに、その処理の一部または全部を含めることも可能である。この場合、CSGセルと前記管理装置の間で関連するメッセージをやり取りしても良いし、マクロセルと前記管理装置との間で関連するメッセージをやり取りしても良い。
【0066】
また、移動局装置から優先度情報として通知される情報は、少なくとも通常呼と優先呼とを区別可能な数ビットの情報であればよく、それ以外に発呼理由などの情報が含まれていても良い。
【0067】
これまで、未登録の移動局装置がCSGセルへのアクセスする場合の処理手順を示してきたが、未登録の移動局装置と加入者登録している移動局装置とが全く同じ条件でCSGセルにアクセス可能なのは本来の登録者にとって望ましくない。そこで、呼種別とセル種別に基づき、移動局装置が未登録CSGセルにアクセスする場合には、登録済みCSGセルとは異なるアクセス制限が適用されるのが好適である。アクセス制限とは、ネットワーク負荷の分散や無線リソース確保などのため、セルにアクセスする移動局装置の数を一時的に制限する制御のことを言う。
【0068】
図13は、移動局装置UEが呼種別とセル種別に基づくアクセス制限を行なう場合のシーケンスチャートである。図13は、移動局装置が周辺セルからの受信信号を基に受信品質が最良のセルを選択した時点から開始している。ここで、移動局装置UEは、最良セルから報知情報チャネルを受信する(ステップS131)。報知情報チャネルには、その後のアクセス制限判定処理に必要となる3種類のアクセス制限情報が含まれている。3種類のアクセス制限情報とは、(1)通常呼の発呼用、(2)未登録CSGセルへの優先呼の発呼用、(3)登録済みCSGセルへの優先呼の発呼用である。移動局装置は、前記アクセス制限情報を取得・格納し、アクセス制限判定処理を行なう(ステップS132)。この判定処理では、呼種別とセル種別とに応じてアクセス制限情報を適用する。なお、アクセス制限情報は、少なくともアクセス制限時間とアクセス制限閾値とで構成され、その使用方法は、発呼時にランダムな値を決定し、そのランダム値よりもアクセス制限閾値が大きいときに、アクセス制限時間だけ上り送信処理を停止する目的で使用する。また、アクセス制限時間とアクセス制限閾値をそのまま使用せず、パラメータ計算の一部の値として使用しても良い。
【0069】
図14は、移動局装置のアクセス制限判定処理手順を示すフローチャートである。移動局装置は、アクセス制限情報を報知情報より取得している。ここで、移動局装置が最良セルに対して無線接続要求または発呼要求を行なうために上り送信を開始する場合、呼種別が優先呼であるかどうかの判定を行なう(ステップS141)。通常呼の発呼要求、または無線接続要求の場合は通常呼用のアクセス制限情報を適用する(ステップS142)。一方、優先呼であった場合、発呼するセルが登録済みCSGセルかどうかを判定する(ステップS143)。登録済みCSGセルである場合、登録移動局装置用アクセス制限情報を適用する(ステップS144)。一方、登録済みCSGセルでない場合、未登録移動局装置用アクセス制限情報を適用する(ステップS145)。そして、前記適用したいずれかのアクセス制限情報に基づき、上り送信処理の許可判定を行なう。
【0070】
図15は、移動局装置の別のアクセス制限判定処理手順を示すフローチャートである。図14に示した手順に加えて、(4)マクロセルへの優先呼の発呼用、のアクセス制限情報を用意した点が異なる。図15において、移動局装置は、アクセス制限情報を報知情報より取得している。ここで、移動局装置が最良セルに対して無線接続要求または発呼要求を行なうために上り送信を開始する場合、呼種別が優先呼であるかどうかの判定を行なう(ステップS151)。通常呼の発呼要求、または無線接続要求の場合は通常呼用のアクセス制限情報を適用する(ステップS152)。一方、優先呼であった場合、発呼するセルの種別を確認する(ステップS153)。登録済みCSGセルである場合、登録移動局装置CSGセル用アクセス制限情報を適用する(ステップS154)。一方、登録済みCSGセルでない場合、未登録移動局装置CSGセル用アクセス制限情報を適用する(ステップS155)。また、マクロセルである場合は、マクロセル優先呼用アクセス制限情報を適用する(ステップS156)。そして、前記適用したいずれかのアクセス制限情報に基づき、上り送信処理の許可判定を行なう。
【0071】
なお、報知情報からアクセス制限情報を取得する場合の例について示してあるが、アクセス制限情報がシステム内に一意に定義されており、移動局装置が呼種別と発呼先のセル種別に基づいて適用するアクセス制限を決める方法であっても良い。また、システム内で固定のアクセス制限情報を定義し、報知情報から残りの可変のアクセス制限情報を取得する方法であっても良い。
【0072】
本実施形態によれば、移動局装置は、登録CSGセル情報の有無、あるいは未登録CSGセルであるかどうかに関わらず、最適なセルで待ち受けを行なう。更に、優先呼で通信を行なう際の発呼手順においても、登録CSGセル情報の有無、あるいは未登録CSGセルであるかどうかに関わらず、待ち受けしているセルの基地局装置に対して発呼要求メッセージを送信する。また、基地局装置は、移動局装置からの発呼要求メッセージを受信し、通信を開始するセルを決定する。
【0073】
本実施形態により、移動局装置は、登録CSGセル情報の有無、あるいは未登録CSGセルであるかどうかに関わらず、最適なセルで待ち受けを行なうことが可能となり、受信品質が向上する。また、登録CSG情報なしの場合、または未登録CSGセルで発呼を行なう場合であっても、基地局装置が移動局装置と通信するセルを適切に判断することになるため、発呼の成功確率が向上し、通話断の回数を減らすことが出来る。特に優先呼の通信を適切なセルで行なうことが可能となるため、優先呼の通話品質が向上する。
【0074】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態の移動局装置は、発呼要求または無線接続要求が却下された場合、一旦手順が終了してしまっていた。本実施形態では、却下メッセージに発呼要求または無線接続要求を行なうセルを含めることにより、移動局装置で手順を終了させること無く継続可能な方法について示す。本実施形態における移動局装置の受信装置と送信装置、および基地局装置の受信装置と送信装置は第1の実施形態と同じでよい。
【0075】
図16および図17は、本発明の移動局装置Non−CSG_UEの発呼手順を示すシーケンスチャートである。本シーケンスは、移動局装置に登録CSGセル情報が格納されていないとき(例えばSIMカードが未挿入の場合)、または、移動局装置がCSGセルに非対応のとき、または、移動局装置が未登録CSGセルをキャンプ先セルとして選択し、前記未登録CSGセルにキャンプしている場合に適したシーケンスである。また、図中のマクロセルは、CSGセルの直近のマクロセルである。CSGセルの直近のマクロセルとは、移動局装置、またはCSGセルが周辺セル測定を行なった結果、最も品質の良いセルとして選択したセルを示し、例えばCSGセルのセル半径をカバーしているマクロセルである。この情報はCSGセルの電源オン時に一度だけ登録されても、一定時間毎に測定結果に基づき登録内容が変更されても良い。
【0076】
図16において、待ち受け判定処理により未登録のCSGセルが選択され、CSGセルにキャンプするまでは図5と同じである。本発明は、呼種別が優先呼と通常呼のどちらにも適用することが可能である。CSGセルへキャンプしている移動局装置が、上位レイヤから発呼要求を受け、発呼処理を行なう場合、少なくとも、CSGセルに対して呼の優先度を示す優先度情報とテンポラリユーザ識別子(ユーザ識別情報)とを発呼要求メッセージに含めて送信する(ステップS161)。CSGセルは、発呼要求メッセージを直近のマクロセルへ転送する(ステップS162)。発呼要求メッセージが転送されたマクロセルは、転送された発呼要求を受信し、マクロセル発呼判定処理(ステップS163)にて優先度情報の内容を確認し、移動局装置が要求する呼種別と、当該マクロセルで通信している移動局装置数やトラフィック量、無線リソースの使用状況から移動局装置が収容可能かどうかを判断し、収容可能であれば当該マクロセルを発呼先のセルとして発呼要求許可をCSGセルへ通知する(ステップS164)。
【0077】
CSGセルは、前記発呼要求許可メッセージに含まれるマクロセルの情報を取得し、発呼要求却下メッセージに含めて移動局装置に通知する(ステップS165)。発呼要求却下メッセージを受信した移動局装置は、発呼要求却下メッセージに含まれるマクロセルの情報と、必要であればマクロセルの報知情報チャネルから報知情報を取得し、ランダムアクセス手順(図示せず)の後、前記マクロセルに対して発呼要求メッセージを送信する(ステップS166)。発呼要求却下メッセージに含まれるマクロセルの情報とは、周波数情報、セルID情報が少なくとも含まれる。このとき、発呼要求許可メッセージにマクロセルの報知情報の内容やランダムアクセス手順に用いるプリアンブル情報を含めても良い。図16においてCSGセルおよびマクロセルから送信されるその他のチャネルについては省略している。
【0078】
マクロセルにおいても発呼要求が却下された場合は、発呼要求却下メッセージにマクロセル情報を含めずにCSGセルから送信される。なお、図16と同様の処理をマクロセルではなく、更に上位のネットワークに属する管理装置、例えば、MME(Mobility Management Entity)、S−GW(Serving Gateway)などに、その処理の一部または全部を含めることも可能である。この場合、CSGセルと前記管理装置の間で関連するメッセージをやり取りしても良いし、マクロセルと前記管理装置との間で関連するメッセージをやり取りしても良い。マクロセルへ発呼要求メッセージを送信した後のシーケンスは、従来のシーケンスと同じであるため説明を省略する。
【0079】
図17は、本発明の移動局装置Non−CSG_UEの別の発呼手順を示すシーケンスチャートである。待ち受け判定処理により未登録のCSGセルが選択され、CSGセルにキャンプするまでは図5と同じである。本発明は、呼種別が優先呼と通常呼のどちらにも適用することが可能である。CSGセルへキャンプしている移動局装置が、上位レイヤから発呼要求を受け、発呼処理を行なう場合、少なくとも、CSGセルに対して呼の優先度を示す優先度情報とテンポラリユーザ識別子(ユーザ識別情報)とを発呼要求メッセージに含めて送信する(ステップS171)。CSGセルは、事前に保持している直近のマクロセルの情報を発呼要求却下メッセージに含めて移動局装置に通知する(ステップS172)。発呼要求却下メッセージを受信した移動局装置は、発呼要求却下メッセージに含まれるマクロセルの情報と、必要であればマクロセルの報知情報チャネルから報知情報を取得し、ランダムアクセス手順(図示せず)の後、前記マクロセルに対して発呼要求メッセージを送信する(ステップS173)。発呼要求却下メッセージに含まれるマクロセルの情報には、セルID情報が少なくとも含まれ、異周波数のセルであれば更に周波数情報が含まれる。このとき、発呼要求却下メッセージにマクロセルの報知情報の内容やランダムアクセス手順に用いるプリアンブル情報を含めても良い。更に、発呼要求却下メッセージ受信後、ランダムアクセスを開始するまでの待機時間を含めても良い。大気時間はセルの負荷状況に応じてマクロセルが決定する。図17において、CSGセルおよびマクロセルから送信されるその他のチャネルについては省略している。マクロセルへ発呼要求メッセージを送信した後のシーケンスは、従来のシーケンスと同じであるため説明を省略する。
【0080】
なお、図18に示すように、一旦発呼要求を受け付けた後(ステップS181〜ステップS183)、無線接続解放メッセージにアクセス先セル情報(マクロセル情報)を含めても同様の効果を得ることが可能である(ステップS184、ステップS185)。図18の場合、無線接続が開放されため、セルサーチ時間と待ち受け判定処理が再度行なわれる。このため、発呼成功までに必要とされる時間は延びてしまうが、通常時と発呼手順を変更することなく適切なセルへ誘導することが可能となる。
【0081】
本実施形態によれば、移動局装置は、登録CSGセル情報の有無、あるいは未登録CSGセルであるかどうかに関わらず、最良セルで待ち受けを行なう。更に、待ち受けしているセルの基地局装置に対する発呼要求メッセージが却下された場合であっても、発呼先以外の基地局装置が発呼要求却下メッセージにて発呼先セルとして新たに指定されることになるため、発呼シーケンスが継続される。また、基地局装置は、移動局装置からの発呼要求メッセージを受信し、発呼要求を却下する場合に、別の好適なセルを発呼要求却下メッセージに含めて送信する。
【0082】
本実施形態により、移動局装置は第1の実施形態の効果に加えて、発呼要求が却下される場合であっても、別の好適なセルに発呼要求を継続して行なうことが可能となり、発呼成功確率が向上し、通話断の回数を更に減らすことが出来る。
【0083】
なお、以上説明した実施形態において、移動局装置および基地局装置の各部の機能またはこれらの機能の一部を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより移動局装置や基地局装置の制御を行なっても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時刻の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時刻プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0084】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0085】
10 受信装置
11 受信部
12 受信信号処理部
13 セル情報管理部
14 下りメッセージ処理部
15 待ち受け判定処理部
16 アンテナ
20 送信装置
21 上りメッセージ生成部
22 送信信号処理部
23 送信部
24 アンテナ
30 受信装置
31 受信部
32 受信信号処理部
33 上りメッセージ処理部
34 基地局間メッセージ処理部
35 アンテナ
40 送信装置
41 CSGセル情報生成部
42 下りメッセージ生成部
43 送信信号処理部
44 送信部
45 要求判断部
46 アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動局装置と無線接続される基地局装置であって、
前記移動局装置が前記基地局装置のアクセス制限されたセルに対する緊急呼による無線接続を試みる際に、前記緊急呼による無線接続要求の送信の判断に用いるアクセス制限情報を送信し、
前記移動局装置と無線接続中に、前記移動局装置に対して別のキャンプ先のセルを指定する情報を無線接続の解放を指示する無線接続解放メッセージに設定し、
前記情報が設定された無線接続解放メッセージを前記移動局装置に送信することによって、
前記移動局装置に対し、ある待機時間の経過後に前記基地局装置との無線接続を解放させ、前記情報に基づくセルサーチによって前記移動局装置がキャンプ可能な受信品質を満たす別のセルを検出した際に、検出した前記セルに関する制御パラメータを含む報知情報を前記セルに適用させることを特徴とする基地局装置。
【請求項2】
基地局装置と無線接続される移動局装置であって、
前記基地局装置のアクセス制限されたセルに対して緊急呼による無線接続を試みる際に、前記緊急呼による無線接続要求の送信の判断に用いるアクセス制限情報に基づいて前記緊急呼の無線接続を前記基地局装置に要求し、
前記基地局装置と無線接続中に、前記基地局装置から別のキャンプ先のセルを指定する情報が設定された前記基地局装置との無線接続の解放を指示する無線接続解放メッセージを受信した場合、
ある待機時間の経過後に前記基地局装置との無線接続を解放し、前記情報に基づくセルサーチによって前記移動局装置がキャンプ可能な受信品質を満たす別のセルを検出し、かつ、検出した前記セルに関する制御パラメータを含む報知情報が前記無線接続解放メッセージで設定されているときに前記報知情報を検出した前記セルに適用し、
検出した前記セルに関する制御パラメータを含む報知情報が前記無線接続解放メッセージで設定されていないときは、前記セルに関する制御パラメータを検出した前記セルの報知情報から取得して適用することを特徴とする移動局装置。
【請求項3】
基地局装置と無線接続される移動局装置を備える移動通信システムであって、
前記基地局装置は、前記移動局装置が前記基地局装置のアクセス制限されたセルに対する緊急呼による無線接続を試みる際に、前記緊急呼による無線接続要求の送信の判断に用いるアクセス制限情報を送信し、
前記移動局装置と無線接続中に、前記移動局装置に対して別のキャンプ先のセルを指定するを無線接続の解放を指示する無線接続解放メッセージに設定し、
前記情報が設定された無線接続解放メッセージを前記移動局装置に送信し、
前記移動局装置は、前記基地局装置のアクセス制限されたセルに対して緊急呼による無線接続を試みる際に、前記緊急呼による無線接続要求の送信の判断に用いるアクセス制限情報に基づいて前記緊急呼の無線接続を前記基地局装置に要求し、
前記基地局装置と無線接続中に、前記基地局装置から前記無線接続解放メッセージを受信した場合、
ある待機時間の経過後に前記基地局装置との無線接続を解放し、前記情報に基づくセルサーチによって前記移動局装置がキャンプ可能な受信品質を満たす別のセルを検出し、かつ、検出した前記セルに関する制御パラメータを含む報知情報が前記無線接続解放メッセージで設定されているときに前記報知情報を検出した前記セルに適用し、
検出した前記セルに関する制御パラメータを含む報知情報が前記無線接続解放メッセージで設定されていない場合は、前記セルに関する制御パラメータを検出した前記セルの報知情報から取得して適用することを特徴とする移動通信システム。
【請求項4】
移動局装置と無線接続される基地局装置で用いられる通信方法であって、
前記移動局装置が前記基地局装置のアクセス制限されたセルに対する緊急呼による無線接続を試みる際に、前記緊急呼による無線接続要求の送信の判断に用いるアクセス制限情報を送信するステップと、
前記移動局装置と無線接続中に、前記移動局装置に対して別のキャンプ先のセルを指定する情報を無線接続の解放を指示する無線接続解放メッセージに設定することを判断するステップと、
前記移動局装置に対し、ある待機時間の経過後に前記基地局装置との無線接続を解放させ、前記情報に基づくセルサーチによって前記移動局装置がキャンプ可能な受信品質を満たす別のセルを検出した際に、検出した前記セルに関する制御パラメータを含む報知情報を前記情報に設定するステップと、
前記情報が設定された無線接続解放メッセージを前記移動局装置に送信するステップと、を備えることを特徴とする通信方法。
【請求項5】
基地局装置と無線接続される移動局装置で用いられる通信方法であって、
前記基地局装置のアクセス制限されたセルに対して緊急呼による無線接続を試みる際に、前記緊急呼による無線接続要求の送信の判断に用いるアクセス制限情報に基づいて前記緊急呼の無線接続を前記基地局装置に要求するステップと、
前記基地局装置と無線接続中に、前記基地局装置から別のキャンプ先のセルを指定する情報が設定された前記基地局装置との無線接続の解放を指示する無線接続解放メッセージを受信するステップと、
ある待機時間の経過後に前記基地局装置との無線接続を解放するステップと、前記情報に基づくセルサーチによって前記移動局装置がキャンプ可能な受信品質を満たす別のセルを検出し、かつ、検出した前記セルに関する制御パラメータを含む報知情報が前記無線接続解放メッセージで設定されているときに前記報知情報を検出した前記セルに適用するステップと、
検出した前記セルに関する制御パラメータを含む報知情報が前記無線接続解放メッセージで設定されていないときは、前記セルに関する制御パラメータを検出した前記セルの報知情報から取得して適用するステップと、を備えることを特徴とする通信方法。
【請求項6】
基地局装置と無線接続される移動局装置を備える移動通信システムで用いられる通信方法であって、
前記基地局装置において、前記移動局装置が前記基地局装置のアクセス制限されたセルに対する緊急呼による無線接続を試みる際に、前記緊急呼による無線接続要求の送信の判断に用いるアクセス制限情報を送信するステップと、
前記移動局装置と無線接続中に、前記移動局装置に対して別のキャンプ先のセルを指定する情報を無線接続の解放を指示する無線接続解放メッセージに設定するステップと、
前記無線接続解放メッセージを前記移動局装置に送信するステップとを備え、
前記移動局装置において、前記基地局装置のアクセス制限されたセルに対して緊急呼による無線接続を試みる際に、前記緊急呼による無線接続要求の送信の判断に用いるアクセス制限情報に基づいて前記緊急呼の無線接続を前記基地局装置に要求するステップと、
前記基地局装置と無線接続中に、前記基地局装置から前記無線接続解放メッセージを受信した場合、
ある待機時間の経過後に前記基地局装置との無線接続を解放するステップと、前記情報に基づくセルサーチによって前記移動局装置がキャンプ可能な受信品質を満たす別のセルを検出し、かつ、検出した前記セルに関する制御パラメータを含む報知情報が前記無線接続解放メッセージで設定されているときに前記報知情報を適用するステップと、
検出した前記セルに関する制御パラメータを含む報知情報が前記無線接続解放メッセージで設定されていないときは、前記セルに関する制御パラメータを検出した前記セルの報知情報から取得して適用するステップと、を備えることを特徴とする通信方法。
【請求項7】
移動局装置と無線接続される基地局装置で用いられる送信装置であって、
前記移動局装置が前記基地局装置のアクセス制限されたセルに対する緊急呼による無線接続を試みる際に、前記緊急呼による無線接続要求の送信の判断に用いるアクセス制限情報を送信し、
前記移動局装置と無線接続中に、前記移動局装置に対して別のキャンプ先のセルを指定する情報を無線接続の解放を指示する無線接続解放メッセージに設定し、
前記情報が設定された無線接続解放メッセージを前記移動局装置に送信することによって、
前記移動局装置に対し、ある待機時間の経過後に前記基地局装置との無線接続を解放させ、前記情報に基づくセルサーチによって前記移動局装置がキャンプ可能な受信品質を満たす別のセルを検出した際に、検出した前記セルに関する制御パラメータを含む報知情報を前記セルに適用させる機能を備えることを特徴とする送信装置。
【請求項8】
基地局装置と無線接続される移動局装置で用いられる受信装置であって、
前記基地局装置のアクセス制限されたセルに対して緊急呼による無線接続を試みる際に、前記緊急呼による無線接続要求の送信の判断に用いるアクセス制限情報に基づいて前記緊急呼の無線接続を前記基地局装置に要求し、
前記基地局装置と無線接続中に、前記基地局装置から別のキャンプ先のセルを指定する情報が設定された前記基地局装置との無線接続の解放を指示する無線接続解放メッセージを受信した場合、
ある待機時間の経過後に前記基地局装置との無線接続を解放し、前記情報に基づくセルサーチによって前記移動局装置がキャンプ可能な受信品質を満たす別のセルを検出し、かつ、検出した前記セルに関する制御パラメータを含む報知情報が前記無線接続解放メッセージで設定されているときに前記報知情報を検出した前記セルに適用し、
検出した前記セルに関する制御パラメータを含む報知情報が前記無線接続解放メッセージで設定されていないときは、前記セルに関する制御パラメータを検出した前記セルの報知情報から取得して適用する機能を備えることを特徴とする受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−78156(P2013−78156A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−15182(P2013−15182)
【出願日】平成25年1月30日(2013.1.30)
【分割の表示】特願2010−523817(P2010−523817)の分割
【原出願日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】