説明

基地局装置および送信方法

【課題】周波数領域で連続するプレコーディング行列の連続性の判定を可能にして伝搬路推定精度を向上させること。
【解決手段】プレコーディング行列連続性判定部120は、プレコーディング行列計算部119から入力される複数のプレコーディング行列Φが周波数領域で連続するか否かを判定する。そして、プレコーディング行列連続性判定部120は、判定結果を示すスムージング可否情報を制御情報生成部104に出力する。そして、制御情報生成部104は、プレコーディング行列連続性判定部120から入力されるスムージング可否情報を示す制御情報を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局装置および送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3GPP RAN LTE(3rd Generation Partnership Project Radio Access Network Long Term Evolution)では、下り回線の通信方式としてOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)が採用されている。3GPP RAN LTEでは、無線通信基地局装置(以下、基地局と省略する)が予め定められた通信リソースを用いて参照信号(Reference Signal:RS)を送信し、無線通信端末装置(以下、端末と省略する)は受信したRSを用いて伝搬路推定を行ってデータを復調する(非特許文献1参照)。
【0003】
また、基地局が複数のアンテナポート(antenna port)を備えている場合、基地局はダイバーシチ送信を行うことが可能となる。3GPP RAN LTEでは、送信ダイバーシチ効果を得るためのプレコーディング行列(Precoding Matrix)と呼ばれる送信重み付けが定義されている。プレコーディング行列は、オープンループ(Open loop)またはクローズドループ(Closed loop)による重み付け制御によって決定される。
【0004】
ここで、クローズドループの重み付け制御として、複数の固有ベクトルにより独立な信号を同一帯域において同時に送受信することができる固有モード伝送技術を用いた個別ビームフォーミング(Dedicated beam forming)がある。個別ビームフォーミングでは、基地局は、下り伝搬路に応じたプレコーディング行列を送信データに乗じてビームフォーミングを行う。これにより、移動局での受信データの受信電力を向上することができる。ここで、個別ビームフォーミングでは、移動局は、ビームフォーミングされる送信データに付加されたRSをそのまま用いて伝搬路状態を推定し、データを復調することができる。
【0005】
図1に3GPP RAN LTEで想定されている2アンテナポートの基地局(2Tx基地局)の構成を示す。個別ビームフォーミングを行う場合、図1に示す基地局のプレコーディング部は、送信データにプレコーディング行列を乗算する。ここで、配置部から出力される送信データをsとし、プレコーディング部で送信データに乗算されるプレコーディング行列をΦとすると、基地局から送信される信号yは、
【数1】

となる。ここで、sはn(n≦2)次元のベクトルであり、Φは(アンテナポート数×n)の行列である。また、nは、信号のレイヤ数、つまり、空間分割多重(Space Division Multiplex:SDM)による多重数である。
【0006】
ここで、基地局と移動局との間の伝搬路状態を示す伝搬路行列をHとすると、移動局では、送信データsがHΦという実効伝搬路を通って受信されたように見える。すなわち、送信データにプレコーディング行列Φが乗算される場合、移動局では、実効伝搬路が伝搬路行列H(実際の伝搬路)からプレコーディング行列Φが乗算された伝搬路行列HΦに変化する。このため、送信データsを誤りなく受信するためには、移動局で実効伝搬路行列HΦを特定する必要がある。
【0007】
3GPP RAN LTEでは、図2に示すように基地局の全アンテナポートから、基地局と移動局との間で予め取り決められた共通RS(R0,R1)が送信される。ただし、図2において、縦軸(周波数領域)はサブキャリア単位であり、横軸(時間領域)はOFDMシンボル単位である。また、1スロットは7OFDMシンボルから構成される。また、R0,R1はそれぞれアンテナポート0,1(1番目,2番目のアンテナポート)から送信されるRSを示す。また、太線の枠で囲まれた1つのブロック(周波数領域上の12サブキャリア、時間領域上の7OFDMシンボル)の単位をリソースブロック(Resource Block:RB)と呼ぶ。
【0008】
しかし、個別ビームフォーミングでは、時々刻々と変動する伝搬路状態に応じてプレコーディング行列Φを最適化する必要があるため、個別ビームフォーミング用のプレコーディング行列Φを予め定義することは困難である。そのため、3GPP RAN LTEでは、個別ビームフォーミングのプレコーディング行列Φが定義されておらず、基地局と移動局との間でプレコーディング行列Φを予め設定することができない。また、図2に示す共通RSは、プレコーディング行列Φが乗算されずに送信されるため、移動局では、共通RSを用いて実効伝搬路(HΦ)を推定することができない。そこで、3GPP RAN LTEでは、実効伝搬路を移動局に個別に通知するための個別(Dedicated)RSが検討されている。
【0009】
図3に2Tx基地局におけるRS送信方法を示す。図3に示す共通RS(R0,R1)は、図1に示すように、プレコーディング行列が乗算されずに移動局に送信される。一方、図3に示す個別RSは、図1に示すように、送信データと同一のプレコーディング行列Φが乗算されて移動局に送信される。例えば、図3に示すサブキャリア番号2に配置される個別RSは、サブキャリア番号2の周波数の実伝搬路行列H(2)より求まるプレコーディング行列Φ(2)が乗算される。移動局では、個別RSを用いることで実効伝搬路H(2)Φ(2)を推定することができる。そのため、基地局と移動局との間でプレコーディング行列Φを予め設定することなく、基地局がプレコーディング行列を設定しても、移動局で実効伝搬路行列を推定し、データを受信することができる。
【0010】
上記のとおり、基地局が個別RSを送信することにより、移動局は実効伝搬路HΦを推定できる。ここで、プレコーディング行列Φは、伝搬路行列Hを特異値分解することで得ることができる。具体的には、基地局は、次式に示す特異値分解により算出される行列Vをプレコーディング行列Φとする。
【数2】

なお、UおよびVはユニタリ行列であり、Σは対角行列である。また、Vは基地局の(アンテナポート数×アンテナポート数)の正方行列である。なお、nの値がアンテナポート数と異なる場合、Vの最初のn列をプレコーディング行列Φとする。
【0011】
また、式(1)より、基地局から送信される送信データyはVsとなるため、移動局で受信される受信信号HVsは、次式のようになる。
【数3】

ここで、移動局では、受信ウェイトにUを設定することにより、受信ウェイト乗算後の受信信号は、次式のようになる。
【数4】

これより、移動局では、送信データsが対角行列で示される伝搬路Σを通して受信されたように扱うことができる。
【0012】
また、移動局で伝搬路推定精度を向上させる処理としてスムージング(Smoothing)処理がある。スムージング処理では、周波数領域で連続するサブキャリアの伝搬路推定結果に対してフィルタリングを施す。例えば、最も簡易なスムージング処理として、周波数領域で隣接するサブキャリア間の伝搬路推定結果を平均化する処理がある。スムージング処理は、伝搬路の周波数領域での連続性を利用した処理方法であるため、周波数領域で連続する周波数の伝搬路が不連続であるサブキャリア間では、スムージング処理を行うと伝搬路推定精度が劣化することが知られている(例えば、非特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】3GPP TS 36.211 V8.0.0 “Physical Channels and Modulation (Release 8)”, Sep. 2007 (ftp://ftp.3gpp.org/Specs/2007-09/Rel-8/36_series/36211-800.zip)
【非特許文献2】西本,西村,大鐘,小川,“周波数選択性フェージング環境における擬似固有ビーム空間分割多重方式”,信学技報,RCS2006-56,2006年6月(H.Nishimoto,T.Nishimura, T.Ohgane, Y.Ogawa, "Pseudo Eigenbeam-Space Division Multiplexing in Frequency Selective Fading Environments", IEICE Technical Report, RCS2006-56, 2006-6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
伝搬路行列Hは周波数単位毎に異なるため、個別ビームフォーミングを最適に行う場合、個別RSが配置された周波数単位毎にプレコーディング行列を計算し、そのプレコーディング行列を隣接するデータサブキャリアに対しても利用する必要がある。例えば、図3に示すRS送信方法の場合、基地局はサブキャリア番号2,5,8,11,14,17,20,23のサブキャリアに配置された個別RS毎に独立なプレコーディング行列Φ(式(2)に示す行列V)を計算する必要がある。しかしながら、式(2)に示す行列Vには、位相の不確定性が存在する。よって、伝搬路行列Hが周波数領域で連続でも、行列Vが周波数領域で不連続になることがある。つまり、周波数領域で連続する個別RSに対してプレコーディング行列Φ(行列V)を乗算する場合、移動局での実効伝搬路HΦが周波数領域で不連続になってしまうことがある。このように、実効伝搬路HΦが周波数領域で不連続になる場合、移動局がスムージング処理を行うと伝搬路推定精度が劣化してしまう。また、移動局は、基地局から送信される個別RSをそのまま用いて伝搬路推定を行うため、周波数領域で連続する個別RS間が連続であるか否かが分からない。よって、伝搬路推定精度を向上させるためには、スムージング処理を行うか否かを移動局が正確に判断できることが必要である。
【0015】
本発明の目的は、周波数領域で連続するプレコーディング行列の連続性の判定を可能にして伝搬路推定精度を向上させることができる基地局装置および送信方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一態様に係る無線通信基地局装置は、複数のプレコーディング行列が周波数領域で連続するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果を示す信号を無線通信移動局装置に送信する送信手段と、を具備する構成を採る。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、周波数領域で連続するプレコーディング行列の連続性の判定を可能にして伝搬路推定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】従来の基地局の構成を示すブロック図
【図2】従来の基地局におけるRS送信方法を示す図
【図3】従来の基地局における個別RS送信方法を示す図
【図4】本発明の実施の形態1に係る基地局の構成を示すブロック図
【図5】本発明の実施の形態1に係るOFDMシンボルの構成を示す図
【図6】本発明の実施の形態1に係る移動局の構成を示すブロック図
【図7】本発明の実施の形態1に係るプレコーディング行列連続性判定処理を示す図
【図8】本発明の実施の形態2に係るプレコーディング行列連続性判定処理を示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
(実施の形態1)
本実施の形態では、基地局は、周波数領域で連続するサブキャリア間のプレコーディング行列が連続であるか否かを判定する。
【0021】
以下、本実施の形態に係る基地局100について詳細に説明する。本実施の形態に係る基地局100の構成を図4に示す。
【0022】
図4に示す基地局100において、符号化部101は送信データを符号化し、符号化後の送信データを変調部102に出力する。例えば、送信データは、PDSCH(Physical Downlink Shared CHannel)に割り当てられる。
【0023】
変調部102は、符号化後の送信データを変調し、変調後の送信データをプレコーディング部103に出力する。また、移動局で送信データを復調するための個別RSが、変調部102から出力される変調後の送信データに付加される。
【0024】
プレコーディング部103は、変調後の送信データに、プレコーディング行列計算部119から入力されるプレコーディング行列を乗算してプレコーディングを行う。また、プレコーディング部103では、送信データに乗算されるプレコーディング行列と同一のプレコーディング行列が個別RSに乗算される。そして、プレコーディング部103は、プレコーディング後の送信データを、アンテナポート0に配置される送信データ、および、アンテナポート1に配置される送信データに分配し、それぞれをOFDM配置部108に出力する。
【0025】
制御情報生成部104は、送信データが割り当てられるリソースを示すリソース割当情報、送信データの変調方式を示す変調情報、および、プレコーディング行列連続性判定部120から入力されるスムージング可否情報を含む制御情報を生成する。例えば、制御情報は、PDCCH(Physical Downlink Control CHannel)に割り当てられる。また、制御情報生成部104は、同時に送信する複数の制御情報(PDCCH)の送信先の移動局を識別するために、移動局毎に固有に割り当てられたスクランブル符号でスクランブリングされたCRC(Cyclic Redundancy Check)ビットを各移動局宛ての制御情報に含ませる。そして、制御情報生成部104は、生成された制御情報を符号化部105に出力する。
【0026】
符号化部105は制御情報生成部104から入力される制御情報(PDCCH)を符号化し、符号化後の制御情報を変調部106に出力する。
【0027】
変調部106は、符号化後の制御情報を変調し、変調後の制御情報をアンテナ分配部107に出力する。
【0028】
アンテナ分配部107は、変調部106から入力される制御情報を、アンテナポート0に配置される制御情報とアンテナポート1に配置される制御情報とに分配し、それぞれをOFDM配置部108に出力する。
【0029】
OFDM配置部108は、プレコーディング部103から入力されるプレコーディング後の送信データおよびアンテナ分配部107から入力される制御情報を、リソース割当情報に基づいて、マルチキャリア信号であるOFDMシンボルを構成する複数のサブキャリアのいずれかに配置する。また、プレコーディング行列が乗算されていない制御情報を復調するための共通RSが、OFDM配置部108から出力される信号に付加される。具体的には、共通RSのR0が、アンテナポート0から送信される信号に付加される。同様に、共通RSのR1が、アンテナポート1から送信される信号に付加される。そして、OFDM配置部108は、各信号が配置された信号のうち、アンテナポート0から送信される信号をIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)部109に出力し、アンテナポート1から送信される信号をIFFT部112に出力する。
【0030】
IFFT部109は、アンテナポート0から送信される送信データおよび制御情報がそれぞれ配置されたサブキャリアに対してIFFTを行ってOFDMシンボルを生成する。
【0031】
CP(Cyclic Prefix)付加部110は、OFDMシンボルの後尾部分と同じ信号をCPとしてOFDMシンボルの先頭に付加する。
【0032】
無線送信部111は、CP付加後のOFDMシンボルに対しD/A変換、増幅およびアップコンバート等の送信処理を行って、送信処理後のOFDMシンボルをアンテナポート0から送信する。
【0033】
IFFT部112は、アンテナポート1から送信される送信データおよび制御情報がそれぞれ配置されたサブキャリアに対してIFFTを行ってOFDMシンボルを生成する。
【0034】
CP付加部113は、OFDMシンボルの後尾部分と同じ信号をCPとしてOFDMシンボルの先頭に付加する。
【0035】
無線送信部114は、CP付加後のOFDMシンボルに対しD/A変換、増幅およびアップコンバート等の送信処理を行って、送信処理後のOFDMシンボルをアンテナポート1から送信する。
【0036】
一方、無線受信部115は、移動局から送信された信号をアンテナポート0およびアンテナポート1を介して受信し、この信号に対しダウンコンバート、A/D変換等の受信処理を行う。
【0037】
CP除去部116は、受信処理後の信号に付加されているCPを除去する。
【0038】
FFT(Fast Fourier Transform)部117は、CP除去後の信号に対してFFTを行って周波数領域の受信信号を下り伝搬路推定部118に出力する。
【0039】
下り伝搬路推定部118は、移動局から送信された基地局と移動局との間で既知であるトレーニングデータとFFT部117から入力される受信信号を用いて、上りの伝搬路を推定し、下り伝搬路推定結果を計算する。ここで、上り信号と下り信号との多重方法として、上りと下りで同じ周波数を用いるTDD(Time Division Duplex)を仮定する。TDDの場合、上り回線と下り回線とは、伝搬路状態に高い相関性をもつため、上り伝搬路の推定結果から、その対称である下り伝搬路を推定することができる。
【0040】
さらに、下り伝搬路推定部118は、個別RSが独立に送信されるサブキャリア群毎の伝搬路行列Hを推定する。すなわち、図3に示すように、3つのサブキャリア毎に1つの個別RSが配置されるため、下り伝搬路推定部118は、3つのサブキャリアに対して1つの伝搬路行列Hを推定する。例えば、下り伝搬路推定部118は、図3に示すように、サブキャリア番号0〜2のサブキャリア群に対して1つの伝搬路行列H(2)を推定する。そして、下り伝搬路推定部118は、推定した伝搬路行列Hをプレコーディング行列計算部119に出力する。
【0041】
プレコーディング行列計算部119は、下り伝搬路推定部118から入力されるサブキャリア群毎の伝搬路行列Hに基づいて、そのサブキャリア群毎のプレコーディング行列Φ(行列V)を計算する。具体的には、プレコーディング行列計算部119は、伝搬路行列Hに対して、式(2)に示す特異値分解することで、プレコーディング行列Φを算出する。そして、プレコーディング行列計算部119は、算出されたプレコーディング行列Φをプレコーディング部103およびプレコーディング行列連続性判定部120に出力する。
【0042】
プレコーディング行列連続性判定部120は、プレコーディング行列計算部119から入力される複数のプレコーディング行列Φが周波数領域で連続するか否かを判定する。そして、プレコーディング行列連続性判定部120は、判定結果を示すスムージング可否情報を制御情報生成部104に出力する。ここで、スムージング可否情報を含む制御情報(PDCCH)は、図5に示すように、制御情報用に割り当てられたn(n≦3)OFDMシンボル内に配置される。また、基地局100は、この制御情報に対して、固有モード伝送技術を用いた個別ビームフォーミングを適用しない。よって、プレコーディング行列連続性判定部120は、複数のOFDMシンボルのうち、制御情報用に割り当てられたOFDMシンボル以外のOFDMシンボル内の、個別ビームフォーミングを適用する移動局に割り当てられたRBを構成するサブキャリアに対してのみ連続であるか否かを判定すればよい。なお、基地局100は、制御情報(PDCCH)に対して基地局と移動局との間で予め取り決められたプレコーディング行列を使用してもよい。プレコーディング行列連続性判定部120におけるプレコーディング行列連続性判定処理の詳細については後述する。
【0043】
次に、本実施の形態に係る移動局200の構成を図6に示す。
【0044】
図6に示す移動局200において、無線受信部202は、基地局100(図4)から送信されたOFDMシンボルをアンテナ201を介して受信し、OFDMシンボルに対しダウンコンバート、A/D変換等の受信処理を行う。
【0045】
CP除去部203は、受信処理後のOFDMシンボルに付加されているCPを除去する。
【0046】
FFT部204は、CP除去部203から入力されるOFDMシンボルに対してFFTを行い、複数のサブキャリアに配置されているリソース割当情報、変調情報およびスムージング可否情報を含む制御情報、または、下り回線データを得て、それらをRS抽出部205に出力する。
【0047】
RS抽出部205は、FFT部204から入力される信号から個別RS、および、共通RS(R0およびR1)を抽出する。そして、RS抽出部205は、個別RSを伝搬路推定部210に出力し、共通RSを伝搬路推定部206に出力する。また、RS抽出部205は、FFT部204から入力される信号のうち、個別RSおよび共通RS以外の信号を分離部207に出力する。
【0048】
伝搬路推定部206は、RS抽出部205から入力される共通RS(R0およびR1)に基づいて、制御情報(PDCCH)用の伝搬路状態を推定する。そして、伝搬路推定部206は、伝搬路推定結果を復調部208に出力する。
【0049】
分離部207は、RS抽出部205から入力される信号から、各移動局の制御情報用に割り当てられたリソースに配置されている全ての制御情報を分離し、分離された制御情報を復調部208に出力する。また、分離部207は、ブラインド復号部209から入力されるリソース割当情報に基づいて、RS抽出部205から入力される信号から、自局宛ての下り回線データを分離し、分離された自局宛ての下り回線データを復調部211に出力する。
【0050】
復調部208は、伝搬路推定部206から入力される伝搬路推定結果を用いて制御情報を復調して、復調後の制御情報をブラインド復号部209に出力する。
【0051】
ブラインド復号部209は、復調部208から入力される制御情報(PDCCH)に対してブラインド復号する。具体的には、まず、ブラインド復号部209は、復調部208から入力される制御情報(PDCCH)に対して復号を行う。そして、ブラインド復号部209は、復号後の制御情報に含まれるCRCビットを自局に固有に割り当てられたスクランブル符号でデスクランブリングする。そして、ブラインド復号部209は、デスクランブリング後の制御情報に対してCRC判定を行う。そして、ブラインド復号部209は、CRC判定の結果がCRC=OK(誤り無し)となった制御情報を自局宛の制御情報であると判定する。そして、ブラインド復号部209は、自局宛の制御情報に含まれる自局宛ての下り回線データのリソース割当情報を分離部207に出力し、スムージング可否情報を伝搬路推定部210に出力し、自局に対する下り回線データの変調情報を復調部211に出力する。
【0052】
伝搬路推定部210は、RS抽出部205から入力される個別RSおよびブラインド復号部209から入力されるスムージング可否情報に基づいて、下り回線データ用の伝搬路を推定する。具体的には、まず、伝搬路推定部210は、伝搬路推定部206と同様にして、RS抽出部205から入力される個別RSに基づいて、下り回線データ(PDSCH)用の伝搬路状態を推定する。そして、伝搬路推定部210は、スムージング可否情報に示されるサブキャリア間の連続性の判定結果が連続である場合、そのサブキャリアに対応する周波数の伝搬路推定結果に対してスムージング処理を施して、スムージング処理後の伝搬路推定結果を復調部211に出力する。一方、伝搬路推定部210は、スムージング可否情報に示されるサブキャリア間の連続性の判定結果が不連続である場合、そのサブキャリアに対応する周波数の伝搬路推定結果にスムージング処理を施さずに、伝搬路推定結果をそのまま復調部211に出力する。つまり、伝搬路推定部210は、周波数領域で連続するプレコーディング行列間でのスムージング処理を行う一方、周波数領域で連続しないプレコーディング行列間でのスムージング処理を行わない。
【0053】
復調部211は、ブラインド復号部209から入力される変調情報、および、伝搬路推定部210から入力される伝搬路推定結果を用いて、分離部207から入力される自局宛ての下り回線データを復調する。そして、復調部211は、復調後の下り回線データを復号部212に出力する。
【0054】
復号部212は、復調後の下り回線データを復号し、復号後の下り回線データをCRC部213に出力する。
【0055】
CRC部213は、復号後の下り回線データに対してCRCを用いた誤り検出を行って、CRC=OK(誤り無し)の場合はACKを、CRC=NG(誤り有り)の場合はNACKを応答信号として生成する。また、CRC部213は、CRC=OK(誤り無し)の場合、復号後の下り回線データを受信データとして出力する。
【0056】
一方、変調部214は、基地局100と移動局200との間で予め既知である上りトレーニングデータを変調して、変調後のトレーニングデータを配置部215に出力する。なお、トレーニングデータは、基地局100において伝搬路推定に用いられる。
【0057】
配置部215は、変調後のトレーニングデータをトレーニングデータ用に確保されたリソースに配置し、トレーニングデータが配置された信号をIFFT部216に出力する。
【0058】
IFFT部216は、トレーニングデータが配置された複数のサブキャリアに対してIFFTを行う。
【0059】
CP付加部217は、IFFT後のトレーニングデータの後尾部分と同じ信号をCPとしてトレーニングデータの先頭に付加する。
【0060】
無線送信部218は、CP付加後のトレーニングデータに対しD/A変換、増幅およびアップコンバート等の送信処理を行って、送信処理後のトレーニングデータをアンテナ201から送信する。
【0061】
次に、プレコーディング行列連続性判定部120におけるプレコーディング行列連続性判定処理の詳細について説明する。
【0062】
プレコーディング行列連続性判定部120は、周波数領域で連続するサブキャリア群の間のプレコーディング行列が連続であるか否かを判定する。具体的には、プレコーディング行列連続性判定部120は、プレコーディング行列Φである、式(2)に示す行列Vにおいて、V(f1)V(f0)の値を算出する。ここで、f0およびf1は周波数領域で連続するサブキャリア群の周波数である。
【0063】
例えば、図7に示す個別RS送信方法において、個別RSは、図3と同様、サブキャリア番号2,5,8,11,14,17.20,23のサブキャリアに配置され、さらに、データがそれぞれ配置されるサブキャリア番号0〜2,3〜5,6〜8,9〜11,12〜14,15〜17,18〜20,21〜23に対応するプレコーディング行列が乗算されている。そこで、プレコーディング行列連続性判定部120は、周波数領域で連続するサブキャリアに配置された個別RS(周波数領域で隣接するサブキャリアに配置された個別RS)に乗算されるプレコーディング行列が連続であるか否かを判定する。すなわち、プレコーディング行列連続性判定部120は、図7に示すサブキャリア番号2に配置された個別RSに乗算されるプレコーディング行列Φ(2)=V(2)とサブキャリア番号5に配置された個別RSに乗算されるプレコーディング行列Φ(5)=V(5)との間の連続性を判定する。具体的には、プレコーディング行列連続性判定部120は、図7に示すように、V(5)V(2)の値を算出する。同様に、プレコーディング行列連続性判定部120は、図7に示すサブキャリア番号5に配置された個別RSに乗算されるプレコーディング行列Φ(5)=V(5)とサブキャリア番号8に配置された個別RSに乗算されるプレコーディング行列Φ(8)=V(8)との間の連続性を判定する。すなわち、プレコーディング行列連続性判定部120は、図7に示すように、V(8)V(5)の値を算出する。サブキャリア番号8,11,14,17.20,23のサブキャリアの各サブキャリア間についても同様である。
【0064】
そして、プレコーディング行列連続性判定部120は、例えば、V(f1)V(f0)によって算出される複素行列の対角成分の複素数が1に近い値を持つ場合、V(f1)とV(f0)とが周波数領域で連続であると判定する。一方、プレコーディング行列連続性判定部120は、V(f1)V(f0)の算出結果の対角成分の値が1に近くない場合、V(f1)とV(f0)とが周波数領域で不連続であると判定する。そして、プレコーディング行列連続性判定部120は、例えば、周波数領域で連続するサブキャリア間のプレコーディング行列が連続である場合(スムージング処理の適用が可能である場合)の判定結果を‘0’とし、周波数領域で連続するサブキャリア間のプレコーディング行列が不連続である場合(スムージング処理の適用が不可である場合)の判定結果を‘1’として、スムージング可否情報を生成する。
【0065】
そして、移動局200の伝搬路推定部210では、スムージング可否情報に示される判定結果が‘0’の場合(サブキャリア間のプレコーディング行列が連続の場合)、個別RSを用いて得られるサブキャリア間の伝搬路推定結果に対してスムージング処理を施す。一方、伝搬路推定部210は、スムージング可否情報に示される判定結果が‘1’の場合(サブキャリア間のプレコーディング行列が不連続の場合)、個別RSを用いて得られるサブキャリア間の伝搬路推定結果に対してスムージング処理を施さない。
【0066】
このように、本実施の形態によれば、基地局が、プレコーディング行列が周波数領域で連続するか否かを判定し、移動局に対してスムージング処理の適用可否を通知する。これにより、移動局では、周波数領域で連続するサブキャリア間でスムージング処理の適用可否を判断することができる。よって、移動局では、スムージング処理可能なサブキャリア間でのみスムージング処理を行うことにより伝搬路推定精度を向上することができる。よって、本実施の形態によれば、周波数領域で連続するプレコーディング行列の連続性の判定を可能にして伝搬路推定精度を向上させることができる。
【0067】
(実施の形態2)
実施の形態1では、周波数領域で連続するサブキャリア間のプレコーディング行列が連続であるか否かを判定したのに対し、本実施の形態では、周波数領域で連続する複数のサブキャリアから成る各サブキャリア群である複数のリソースブロックグループ間において複数のプレコーディング行列が連続するか否かを判定する。
【0068】
以下、本実施の形態について具体的に説明する。
【0069】
本実施の形態に係る基地局100(図4)のプレコーディング行列計算部119は、複数のリソースブロックから成る各リソースブロックグループに対してそれぞれ1つのプレコーディング行列を計算する。ここで、1つのリソースブロックは、複数のサブキャリアから成る。また、リソースブロックグループを構成するリソースブロック数は、基地局100と移動局200との間で予め設定される。例えば、リソースブロックグループを構成するリソースブロック数が3RBの場合、プレコーディング行列計算部119は、3RB分の伝搬路行列Hの平均化を行い、平均伝搬路行列H’を算出する。そして、プレコーディング行列計算部119は、式(2)に示すように、平均伝搬路行列H’を特異値分解して行列V’を算出しプレコーディング行列Φ’とする。なお、この3RB内のサブキャリアに配置された個別RSは、プレコーディング部103で同一のプレコーディング行列Φ’が乗算される。
【0070】
プレコーディング行列連続性判定部120は、複数のリソースブロック間において、プレコーディング行列計算部119から入力される複数のプレコーディング行列Φが連続するか否かを判定する。具体的には、リソースブロックグループを構成するリソースブロック数が3RBの場合、プレコーディング行列連続性判定部120は、3RB間隔でプレコーディング行列の連続性を判定する。なお、リソースブロックグループ内の送信データおよび個別RSに対して同一のプレコーディング行列が乗算されるため、リソースブロックグループ内の周波数領域で連続するサブキャリア間のプレコーディング行列は連続である。
【0071】
以下、本実施の形態にかかるプレコーディング行列連続性判定部120におけるプレコーディング行列連続性判定処理の詳細について説明する。
【0072】
ここでは、1RBは12サブキャリアで構成される。また、図8に示すように、リソースブロックグループ0〜3はそれぞれ3RBで構成される。つまり、周波数領域で連続する3RB(36サブキャリア)内では同一のプレコーディング行列が使用される。また、図8に示す3RB毎のリソースブロックグループ0〜3を代表する周波数をそれぞれf0,f1,f2,f3とする。
【0073】
プレコーディング行列連続性判定部120は、周波数領域で連続するリソースブロックグループ間のプレコーディング行列が連続であるか否かを判定する。すなわち、図8に示すように、プレコーディング行列連続性判定部120は、周波数f0のリソースブロックグループ0のプレコーディング行列Φ(f0)=V(f0)と、周波数f1のリソースブロックグループ1のプレコーディング行列Φ(f1)=V(f1)とが連続であるか否かを判定する。同様に、プレコーディング行列連続性判定部120は、周波数f1のリソースブロックグループ1のプレコーディング行列Φ(f1)=V(f1)と、周波数f2のリソースブロックグループ2のプレコーディング行列Φ(f2)=V(f2)とが連続であるか否かを判定する。また、プレコーディング行列連続性判定部120は、周波数f2のリソースブロックグループ2のプレコーディング行列Φ(f2)=V(f2)と、周波数f3のリソースブロックグループ3のプレコーディング行列Φ(f3)=V(f3)とが連続であるか否かを判定する。
【0074】
ここで、図8に示すように、プレコーディング行列連続性判定部120における演算結果が以下の通りであったとする。
V(f1)V(f0)≒1
V(f2)V(f1)≠1
V(f3)V(f2)≠1
すなわち、プレコーディング行列連続性判定部120では、プレコーディング行列Φ(f0)とプレコーディング行列Φ(f1)とが連続と判定され、プレコーディング行列Φ(f1)とプレコーディング行列Φ(f2)とが不連続と判定され、プレコーディング行列Φ(f2)とプレコーディング行列Φ(f3)とが不連続と判定される。すなわち、プレコーディング行列Φ(f0)とプレコーディング行列Φ(f1)との間ではスムージング処理の適用が可能であり、プレコーディング行列Φ(f1)とプレコーディング行列Φ(f2)との間ではスムージング処理の適用が不可であり、プレコーディング行列Φ(f2)とプレコーディング行列Φ(f3)との間ではスムージング処理の適用が不可である。
【0075】
よって、図8に示すように、プレコーディング行列連続性判定部120は、(0,1,1)の3ビットのスムージング可否情報を生成する。
【0076】
このように、リソースブロックグループ内で伝搬路行列Hを平均化して、同一のプレコーディング行列を用いることで、プレコーディング行列連続性判定部120では、周波数領域で連続するリソースブロックグループ間のプレコーディング行列に対してのみ連続であるか否かを判定する。ここで、本実施の形態の図8に示す12RBでは、プレコーディング行列連続性判定部120は、3(=12/3−1)箇所のみについてプレコーディング行列の連続性、つまり、スムージング処理の可否を判定する。これにより、基地局100では、制御情報(PDCCH)にスムージング可否情報用のリソースを3ビットのみ確保することで、移動局200に対してスムージングの適用可否を通知することができる。
【0077】
これに対し、実施の形態1の図7に示す1RB内では、個別RSの数が4個である。つまり、実施の形態1では、1RB内で3(=4−1)箇所についてプレコーディング行列の連続性、つまり、スムージング処理の可否が判定される必要がある。すなわち、12RBでは、36(=3×12)箇所についてプレコーディング行列の連続性が判定される必要がある。このように、本実施の形態に係るプレコーディング行列連続性判定部120は、リソースブロックグループ間のプレコーディング行列に対してのみ連続であるか否かを判定するため、実施の形態1と比較して、移動局に対するスムージング可否情報によるオーバヘッドを低減することができる。
【0078】
このようにして、本実施の形態によれば、基地局は、複数のサブキャリアをリソースブロックグループにグループ化して、リソースブロックグループ間のプレコーディング行列のみについて連続であるか否かを判定する。これにより、本実施の形態では、実施の形態1と比較して、移動局に通知するスムージング可否情報によるオーバヘッドを低減しつつ、周波数領域で連続するサブキャリア間でスムージング処理の適用可否を判断することができる。
【0079】
なお、本実施の形態では、リソースブロックグループを構成するリソースブロック数が3RBである場合について説明したが、リソースブロックグループを構成するリソースブロック数は、基地局と移動局とで予め取り決めて動的に変更してもよい。
【0080】
また、本実施の形態において、伝搬路状態に応じた数のサブキャリアから成るリソースブロックに対して1つのプレコーディング行列を計算してもよい。グループ化するリソースブロック単位が大きくなるほど、受信品質は劣化する。そこで、プレコーディング行列計算部119は、実効伝搬路の受信品質と所要品質との差に基づいた数のサブキャリアから成るサブキャリア群であるリソースブロックグループに対してプレコーディング行列を計算する。具体的には、実効伝搬路の受信品質と所要品質との差が、MCS(Modulation and Coding Scheme)選択に影響を与えない範囲でリソースブロックがグループ化される。ここで、説明を簡単にするため、グループ化するリソースブロック単位が3RBおよび6RBのいずれかである場合について説明する。具体的には、伝搬路の周波数選択性が弱い場合、つまり、伝搬路状態がフラットな場合、異なる周波数でも同一の伝搬路状態が得られるため、実効伝搬路の受信品質と所要品質との差が、MCS選択に影響を与える可能性が低くなる。そこで、基地局が移動局から伝搬路状態がフラットであることを通知された場合、基地局は、6RB毎にプレコーディング行列を計算する旨を移動局に対してネゴシエーションする。そして、プレコーディング行列計算部119は、より多くのグループ単位である6RB単位でプレコーディング行列を計算する。一方、伝搬路の周波数選択性が強い場合、グループ化するリソースブロック単位がより大きい6RB単位では、6RB内のサブキャリアで伝搬路状態が大きく変動する。そのため、実効伝搬路の受信品質と所要品質との差が、MCS選択に影響を与える可能性が高くなる。そこで、基地局が移動局から伝搬路の周波数選択性が強いことを通知された場合、基地局は、3RB毎にプレコーディング行列を計算する旨を移動局に対してネゴシエーションする。そして、プレコーディング行列計算部119は、より少ないグループ単位である3RB単位でプレコーディング行列を計算することで、ビームフォーミングの効果をより大きくする。このように、所要品質を満たしつつ、周波数領域で最大限の数のリソースブロックをグループ化することで、基地局は、プレコーディング行列の演算量を削減することができ、かつ、スムージング可否情報によるオーバヘッドをより低減することができる。また、移動局では、より多くのサブキャリアでスムージング処理を適用することができるため、伝搬路推定精度をさらに向上することができる。
【0081】
さらに、本実施の形態において、移動局がスムージング処理に対応しているか否かを予め基地局に通知してもよい。または、移動局が消費電力の削減のために一時的にスムージング処理を行わない旨を基地局に通知してもよい。これにより、基地局では、移動局がスムージング処理を行わないことを判断することができる。よって、基地局では、周波数領域での連続性を考慮することなく、個別ビームフォーミングを最適に行うためのプレコーディング行列を計算することができる。
【0082】
以上、本発明の実施の形態について説明した。
【0083】
なお、上記実施の形態では、上り信号および下り信号の多重方式としてTDDを仮定し、基地局が、移動局からの受信信号(上り信号)から下りの伝搬路を直接推定する場合について説明した。しかし、本発明では、例えば、移動局が下り伝搬路を示すデータを基地局に送信してもよい。すなわち、基地局で下り伝搬路が推定できる構成であればよい。
【0084】
上記実施の形態では、制御情報(PDCCH)にスムージング可否情報を含ませる場合について説明したが、スムージング可否情報は、基地局から移動局に通知されればよく、通知方法は限定されない。例えば、本発明では、スムージング可否情報に示される判定結果に応じた位相回転を与えた共通RS(例えば、図7に示すR0およびR1)を送信してもよい。具体的には、サブキャリア間の連続性の判定結果が連続である場合(判定結果が‘0’の場合)、基地局は共通RSの位相を+とし、サブキャリア間の連続性の判定結果が不連続である場合(判定結果が‘1’の場合)、基地局は共通RSの位相を−(位相を反転)とする。これにより、基地局では、制御情報(PDCCH)を使用することなく、スムージング可否情報を移動局に通知することができる。つまり、基地局では、制御情報のオーバヘッドを増加させることなくスムージング可否情報を通知することができる。
【0085】
さらに、本発明では、マルチキャリア信号において通常信号(例えば、データ信号、制御信号およびパイロット信号)が配置されない特定のサブキャリアに配置されたスムージング可否情報を示す制御情報を送信してもよい。例えば、基地局は、マルチキャリア信号の中心周波数のサブキャリアであるDCキャリアにスムージング可否情報を配置してもよい。また、基地局は、隣接セル干渉を低減させるためのサブキャリアであり、通常信号を配置するためのサブキャリアの両側に設定されたサブキャリアであるガードキャリアにスムージング可否情報を配置してもよい。このように、基地局では、スムージング可否情報用のリソースとして、通常信号に使用されないリソースを使用するため、制御情報のオーバヘッドを増加させることなくスムージング可否を通知することができる。
【0086】
さらに、スムージング可否情報がSemi-staticに定義される場合、本発明では、上位レイヤを用いてSemi-staticに通知してもよい。
【0087】
移動局はUE、基地局はNode B、サブキャリアはトーンと称されることもある。また、CPはガードインターバル(Guard Interval;GI)と称されることもある。また、スムージング処理はウィンドウ(Window)処理と称されることもある。
【0088】
また、周波数領域と時間領域との間の変換を行う方法は、IFFT、FFTに限られない。
【0089】
また、本発明は、基地局および移動局だけでなく、すべての無線通信装置に対して適用することができる。
【0090】
また、上記実施の形態では、本発明をハードウェアで構成する場合を例にとって説明したが、本発明はソフトウェアで実現することも可能である。
【0091】
また、上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0092】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0093】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0094】
2007年12月25日出願の特願2007−332515の日本出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、移動体通信システム等に適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のサブキャリアで構成されたリソースブロックにそれぞれマッピングされたデータ及び個別参照信号を含んだ信号にプレコーティングを行うプレコーディング部と、
同一のプレコーディングが適用された複数のリソースブロックの所定数を特定するための情報と、プレコーティングされた前記信号とを送信する送信部と、
を具備する基地局装置。
【請求項2】
複数のサブキャリアで構成されたリソースブロックにそれぞれマッピングされたデータ及び個別参照信号を含んだ信号にプレコーティングを行い、
同一のプレコーディングが適用された複数のリソースブロックの所定数を特定するための情報と、プレコーティングされた前記信号とを送信する、
送信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−102503(P2013−102503A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−4407(P2013−4407)
【出願日】平成25年1月15日(2013.1.15)
【分割の表示】特願2009−546950(P2009−546950)の分割
【原出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】