説明

基地局装置

【課題】送信電力制御を簡易に実行する技術を提供する。
【解決手段】基地局装置10は、端末装置間の通信を制御する。基地局装置10から信号を報知可能な第1期間と、端末装置から信号を報知可能な第2期間とが含まれたフレームが規定される。処理部26は、フレームの構成に関する制御情報を生成する。RF部22、変復調部24、処理部26は、第1期間において、生成した制御情報が含まれた信号を報知する。RF部22、変復調部24、処理部26は、第2期間において、報知した信号を受信した端末装置から報知された信号であって、かつ当該端末装置の存在位置に関する情報を含んだ信号を受信する。統計処理部32、調節部34は、受信した信号から抽出した存在位置に関する情報を統計処理することによって、信号を報知する際の電力を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信技術に関し、特に所定の情報が含まれた信号を送受信する基地局装置に関する。
【背景技術】
【0002】
交差点の出会い頭の衝突事故を防止するために、路車間通信の検討がなされている。路車間通信では、路側機と車載器との間において交差点の状況に関する情報が通信される。路車間通信では、路側機の設置が必要になり、手間と費用が大きくなる。これに対して、車車間通信、つまり車載器間で情報を通信する形態であれば、路側機の設置が不要になる。その場合、例えば、GPS(Global Positioning System)等によって現在の位置情報をリアルタイムに検出し、その位置情報を車載器同士で交換しあうことによって、自車両および他車両がそれぞれ交差点へ進入するどの道路に位置するかを判断する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−202913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
IEEE802.11等の規格に準拠した無線LAN(Local Area Network)では、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)と呼ばれるアクセス制御機能が使用されている。そのため、当該無線LANでは、複数の端末装置によって同一の無線チャネルが共有される。このようなCSMA/CAでは、端末装置間の距離や電波を減衰させる障害物の影響などによって、互いの無線信号が到達しない状況、つまりキャリア・センスが機能しない状況が発生する。キャリア・センスが機能しない場合、複数の端末装置から送信されたパケット信号が衝突する。
【0005】
一方、無線LANを車車間通信に適用する場合、不特定多数の端末装置へ情報を送信する必要があるために、信号はブロードキャストにて送信されることが望ましい。しかしながら、交差点などでは、車両数の増加、つまり端末装置数の増加がトラヒックを増加させることによって、パケット信号の衝突の増加が想定される。その結果、パケット信号に含まれたデータが他の端末装置へ伝送されなくなる。このような状態が、車車間通信において発生すれば、交差点の出会い頭の衝突事故を防止するという目的が達成されなくなる。さらに、車車間通信に加えて路車間通信が実行されれば、通信形態が多様になる。その際、車車間通信と路車間通信との間における相互の影響の低減が要求される。
【0006】
基地局装置が交差点近傍に設置される場合、基地局装置には、交差点を中心にした所定範囲のエリアをカバーすることが要求される。ここで、エリアの範囲が狭すぎると、交差点における車両の衝突事故の発生を抑制するという目的が達成されなくなる。一方、エリアの範囲が広すぎると、複数の交差点がエリアに含まれてしまうので、干渉の低減等などの制御が複雑になる。そのため、エリアの範囲は、交差点の広さや、隣接の交差点との距離に応じて、適切に設定されることが望まれる。これは、基地局装置の送信電力が適切に設定されることに相当する。一方、送信電力制御は、簡易になされる方が望ましい。
【0007】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、送信電力制御を簡易に実行する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の基地局装置は、端末装置間の通信を制御する基地局装置であって、基地局装置から信号を報知可能な第1期間と、端末装置から信号を報知可能な第2期間とが含まれたフレームを規定し、フレームの構成に関する制御情報を生成する生成部と、第1期間において、生成部にて生成した制御情報が含まれた信号を報知する報知部と、第2期間において、報知部が報知した信号を受信した端末装置から報知された信号であって、かつ当該端末装置の存在位置に関する情報を含んだ信号を受信する受信部と、受信部において受信した信号から抽出した存在位置に関する情報を統計処理することによって、報知部での送信電力を制御する制御部と、を備える。
【0009】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、送信電力制御を簡易に実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例に係る通信システムの構成を示す図である。
【図2】図1の基地局装置の構成を示す図である。
【図3】図3(a)−(d)は、図1の通信システムにおいて規定されるフレームのフォーマットを示す図である。
【図4】図3のサブフレームの構成を示す図である。
【図5】図5(a)−(b)は、図1の通信システムにおいて規定されるパケット信号に格納されるMACフレームのフォーマットを示す図である。
【図6】図2の統計処理部における処理結果を示す図である。
【図7】図1の車両に搭載された端末装置の構成を示す図である。
【図8】図1の通信システムにおける送信電力制御手順を示すシーケンス図である。
【図9】図2の基地局装置における送信電力制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を具体的に説明する前に、概要を述べる。本発明の実施例は、車両に搭載された端末装置間において車車間通信を実行するとともに、交差点等に設置された基地局装置から端末装置へ路車間通信も実行する通信システムに関する。車車間通信として、端末装置は、車両の速度や位置等の情報(以下、これらを「データ」という)を格納したパケット信号をブロードキャスト送信する。また、他の端末装置は、パケット信号を受信するとともに、データをもとに車両の接近等を認識する。また、路車間通信として、基地局装置は、複数のサブフレームが含まれたフレームを繰り返し規定する。基地局装置は、複数のサブフレームのいずれかを選択し、選択したサブフレームの先頭部分の期間において、制御情報等が格納されたパケット信号をブロードキャスト送信する。
【0013】
制御情報には、当該基地局装置がパケット信号をブローキャスト送信するための期間(以下、「路車送信期間」という)に関する情報が含まれている。端末装置は、制御情報をもとに路車送信期間を特定し、路車送信期間以外の期間においてパケット信号を送信する。このように、路車間通信と車車間通信とが時間分割多重されるので、両者間のパケット信号の衝突確率が低減される。つまり、端末装置が制御情報の内容を認識することによって、路車間通信と車車間通信との干渉が低減される。また、車車間通信を実行している端末装置が存在するエリアは、主として3種類に分類される。
【0014】
ひとつは、基地局装置の周囲に形成されるエリア(以下、「第1エリア」という)であり、もうひとつは、第1エリアの外側に形成されるエリア(以下、「第2エリア」という)であり、さらに別のひとつは、第2エリアの外側に形成されるエリア(以下、「第2エリア外」という)である。ここで、第1エリアと第2エリアでは、基地局装置からのパケット信号をある程度の品質で端末装置が受信可能であるのに対して、第2エリア外では、基地局装置からのパケット信号をある程度の品質で端末装置が受信できない。また、第1エリアは、第2エリアよりも、交差点の中心に近くなるように形成されている。第1エリアに存在する車両は、交差点の近くに存在している車両であるので、当該車両に搭載された端末装置からのパケット信号は、衝突事故の抑制の点から重要な情報といえる。
【0015】
このようなエリアの規定に対応して、車車間通信のための期間(以下、「車車送信期間」という)は、優先期間、一般期間の時間分割多重によって形成されている。優先期間は、第1エリアに存在する端末装置が使用するための期間であり、優先期間を形成している複数のスロットのうちのいずれかにおいて、端末装置はパケット信号を送信する。また、一般期間は、第2エリアに存在する端末装置が使用するための期間であり、端末装置は、一般期間においてCSMA方式にてパケット信号を送信する。なお、第2エリア外に存在する端末装置は、フレームの構成に関係なくCSMA方式にてパケット信号を送信する。ここで、車両に搭載された端末装置が、どのエリアに存在するかを判定する。
【0016】
基地局装置は、制御情報が含まれたパケット信号を報知しており、パケット信号が到達する距離に応じてエリアの広さが定められる。つまり、エリアの広さは、基地局装置の送信電力に応じて定められる。前述のごとく、エリアの広さを適切に設定するためには、送信電力制御が重要になってくる。送信電力制御の精度を向上させるためには、基地局装置単独ではなく、端末装置も使用することが望ましい。しかしながら、送信電力制御を実行するために端末装置の構成が複雑化してしまうと、製造コスト等の面から望ましくない。端末装置の構成の複雑化を抑制しながら、送信電力制御の精度を高めるために、本実施例に係る通信装置は、次の処理を実行する。
【0017】
端末装置は、車車間通信として、存在位置に関する情報が含まれたパケット信号を報知する。基地局装置は、パケット信号を受信し、存在位置に関する情報を抽出する。基地局装置は、複数のパケット信号に対して、このような処理を実行することによって、交差点の位置からの距離に対する車両の台数の確率分布を導出する。基地局装置は、距離が小さい方から車両の台数を計測し、所定の割合の台数が含まれる距離を導出する。所定の割合は、例えば、99%のように設定される。導出した距離が、所望の距離よりも小さければ、基地局装置は、送信電力を増加させる。一方、導出した距離が、所望の距離よりも大きければ、基地局装置は、送信電力を低減させる。
【0018】
図1は、本発明の実施例に係る通信システム100の構成を示す。これは、ひとつの交差点を上方から見た場合に相当する。通信システム100は、基地局装置10、車両12と総称される第1車両12a、第2車両12b、第3車両12c、第4車両12d、第5車両12e、第6車両12f、第7車両12g、第8車両12h、ネットワーク202を含む。なお、各車両12には、図示しない端末装置が搭載されている。また、第1エリア210は、基地局装置10の周囲に形成され、第2エリア212は、第1エリア210の外側に形成され、第2エリア外214は、第2エリア212の外側に形成されている。
【0019】
図示のごとく、図面の水平方向、つまり左右の方向に向かう道路と、図面の垂直方向、つまり上下の方向に向かう道路とが中心部分で交差している。ここで、図面の上側が方角の「北」に相当し、左側が方角の「西」に相当し、下側が方角の「南」に相当し、右側が方角の「東」に相当する。また、ふたつの道路の交差部分が「交差点」である。第1車両12a、第2車両12bが、左から右へ向かって進んでおり、第3車両12c、第4車両12dが、右から左へ向かって進んでいる。また、第5車両12e、第6車両12fが、上から下へ向かって進んでおり、第7車両12g、第8車両12hが、下から上へ向かって進んでいる。
【0020】
通信システム100は、交差点に基地局装置10を配置する。基地局装置10は、端末装置間の通信を制御する。基地局装置10は、図示しないGPS衛星から受信した信号や、図示しない他の基地局装置10にて形成されたフレームをもとに、複数のサブフレームが含まれたフレームを繰り返し生成する。ここで、各サブフレームの先頭部分に路車送信期間が設定可能であるような規定がなされている。基地局装置10は、複数のサブフレームのうち、他の基地局装置10によって路車送信期間が設定されていないサブフレームを選択する。基地局装置10は、選択したサブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。基地局装置10は、路車送信期間に関する情報等が含まれた制御情報をパケット信号に格納する。また、基地局装置10は、所定のデータもパケット信号に格納する。基地局装置10は、設定した路車送信期間においてパケット信号を報知する。
【0021】
端末装置が、基地局装置10からのパケット信号を受信したときの受信状況に応じて、通信システム100の周囲に第1エリア210および第2エリア212が形成される。図示のごとく、基地局装置10の近くに、受信状況が比較的よい領域として、第1エリア210が形成される。第1エリア210は、交差点の中心部分の近くに形成されるともいえる。一方、第1エリア210の外側に、受信状況が第1エリア210よりも悪化している領域として、第2エリア212が形成される。さらに、第2エリア212の外側に、受信状況が第2エリア212よりもさらに悪化している領域として、第2エリア外214が形成されている。なお、受信状況として、パケット信号の誤り率、受信電力が使用される。
【0022】
複数の端末装置は、基地局装置10によって報知されたパケット信号を受信し、受信したパケット信号の受信状況をもとに、第1エリア210、第2エリア212、第2エリア外214のいずれに存在するかを推定する。第1エリア210あるいは第2エリア212に存在すると推定した場合、端末装置は、受信したパケット信号に含まれた制御情報をもとに、フレームを生成する。その結果、複数の端末装置のそれぞれにおいて生成されるフレームは、基地局装置10において生成されるフレームに同期する。また、端末装置は、各基地局装置10によって設定されている路車送信期間を認識し、パケット信号の送信のために、車車送信期間を特定する。具体的には、第1エリア210に存在する場合には、優先期間が特定され、第2エリア212に存在する場合には、一般期間が特定される。さらに、端末装置は、優先期間においてTDMAを実行し、一般期間においてCSMA/CAを実行することによって、パケット信号を送信する。
【0023】
なお、端末装置は、次のフレームにおいても、相対的なタイミングが同一のサブフレームを選択する。特に、優先期間において、端末装置は、次のフレームでの相対的なタイミングが同一のスロットを選択する。ここで、端末装置は、データを取得し、データをパケット信号に格納する。データには、例えば、存在位置に関する情報が含まれる。また、端末装置は、制御情報もパケット信号に格納する。つまり、基地局装置10から送信された制御情報は、端末装置によって転送される。一方、第2エリア外214に存在していると推定した場合、端末装置は、フレームの構成に関係なく、CSMA/CAを実行することによって、パケット信号を送信する。
【0024】
図2は、基地局装置10の構成を示す。基地局装置10は、アンテナ20、RF部22、変復調部24、処理部26、制御部30、統計処理部32、調節部34、ネットワーク通信部80を含む。RF部22は、受信処理として、図示しない端末装置や他の基地局装置10からのパケット信号をアンテナ20にて受信する。RF部22は、受信した無線周波数のパケット信号に対して周波数変換を実行し、ベースバンドのパケット信号を生成する。さらに、RF部22は、ベースバンドのパケット信号を変復調部24に出力する。一般的に、ベースバンドのパケット信号は、同相成分と直交成分によって形成されるので、ふたつの信号線が示されるべきであるが、ここでは、図を明瞭にするためにひとつの信号線だけを示すものとする。RF部22には、LNA(Low Noise Amplifier)、ミキサ、AGC、A/D変換部も含まれる。
【0025】
RF部22は、送信処理として、変復調部24から入力したベースバンドのパケット信号に対して周波数変換を実行し、無線周波数のパケット信号を生成する。さらに、RF部22は、路車送信期間において、無線周波数のパケット信号をアンテナ20から送信する。また、RF部22には、PA(Power Amplifier)、ミキサ、D/A変換部も含まれる。
【0026】
変復調部24は、受信処理として、RF部22からのベースバンドのパケット信号に対して、復調を実行する。さらに、変復調部24は、復調した結果を処理部26に出力する。また、変復調部24は、送信処理として、処理部26からのデータに対して、変調を実行する。さらに、変復調部24は、変調した結果をベースバンドのパケット信号としてRF部22に出力する。ここで、通信システム100は、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調方式に対応するので、変復調部24は、受信処理としてFFT(Fast Fourier Transform)も実行し、送信処理としてIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)も実行する。
【0027】
処理部26は、図示しないGPS衛星からの信号を受信し、受信した信号をもとに時刻の情報を取得する。なお、時刻の情報の取得には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。処理部26は、時刻の情報をもとに、複数のフレームを生成する。例えば、処理部26は、時刻の情報にて示されたタイミングを基準にして、「1sec」の期間を10分割することによって、「100msec」のフレームを10個生成する。このような処理を繰り返すことによって、フレームが繰り返されるように規定される。なお、処理部26は、復調結果から制御情報を検出してもよい。このような処理は、他の基地局装置10によって形成されたフレームのタイミングに同期したフレームを生成することに相当する。その際の処理部26の処理の詳細は後述する。
【0028】
図3(a)−(d)は、通信システム100において規定されるフレームのフォーマットを示す。図3(a)は、フレームの構成を示す。フレームは、第1サブフレームから第Nサブフレームと示されるN個のサブフレームによって形成されている。例えば、フレームの長さが100msecであり、Nが10である場合、10msecの長さのサブフレームが規定される。図3(b)は、第1基地局装置10aによって生成されるフレームの構成を示す。第1基地局装置10aは、第1サブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。路車送信期間とは、基地局装置10がパケット信号を報知可能な期間である。また、第1基地局装置10aは、第1サブフレームにおいて路車送信期間につづいて車車送信期間を設定する。車車送信期間とは、端末装置がパケット信号を報知可能な期間である。つまり、第1サブフレームの先頭期間である路車送信期間において第1基地局装置10aはパケット信号を報知可能であり、かつフレームのうち、路車送信期間以外の車車送信期間において端末装置がパケット信号を報知可能であるような規定がなされる。さらに、第1基地局装置10aは、第2サブフレームから第Nサブフレームに車車送信期間のみを設定する。
【0029】
図3(c)は、第2基地局装置10bによって生成されるフレームの構成を示す。第2基地局装置10bは、第2サブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。また、第2基地局装置10bは、第2サブフレームにおける路車送信期間の後段、第1サブフレーム、第3サブフレームから第Nサブフレームに車車送信期間を設定する。図3(d)は、第3基地局装置10cによって生成されるフレームの構成を示す。第3基地局装置10cは、第3サブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。また、第3基地局装置10cは、第3サブフレームにおける路車送信期間の後段、第1サブフレーム、第2サブフレーム、第4サブフレームから第Nサブフレームに車車送信期間を設定する。このように、複数の基地局装置10は、互いに異なったサブフレームを選択し、選択したサブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。
【0030】
図4は、サブフレームの構成を示す。図示のごとく、ひとつのサブフレームは、路車送信期間、優先期間、一般期間の順に構成される。優先期間および一般期間が図3(b)等の車車送信期間に相当する。なお、サブフレームに路車送信期間が含まれない場合、サブフレームは、優先期間、一般期間の順に構成される。優先期間では、複数のスロットが時間分割多重されている。このような構成によって、複数のスロットを少なくとも含んだフレームが繰り返されている。図2に戻る。
【0031】
処理部26は、RF部22、変復調部24を介して、図示しない他の基地局装置10あるいは端末装置からの復調結果を入力する。ここでは、復調結果として、パケット信号に格納されるMACフレームの構成を説明する。なお、処理部26に入力されるMACフレームと、処理部26から出力されるMACフレームとは、同様の構成を有する。図5(a)−(b)は、通信システム100において規定されるパケット信号に格納されるMACフレームのフォーマットを示す。図5(a)は、MACフレームのフォーマットを示す。MACフレームは、先頭から順に、「MACヘッダ」、「RSUコントロールヘッダ」、「アプリケーションデータ」、「CRC」を配置する。RSUコントロールヘッダが、前述の制御情報に相当する。アプリケーションデータには、事故情報等の端末装置へ通知すべきデータが格納される。
【0032】
図5(b)は、RSUコントロールヘッダのフォーマットを示す。RSUコントロールヘッダは、先頭から順に、「基本情報」、「タイマ値」、「転送回数」、「サブフレーム数」、「フレーム周期」、「使用サブフレーム番号」、「開始タイミング&時間長」を配置する。なお、RSUコントロールヘッダの構成は、図5(b)に限定されず、一部の要素が除外されてもよく、別の要素が含まれてもよい。転送回数は、基地局装置10から送信された制御情報、特にRSUコントロールヘッダの内容が、図示しない端末装置によって転送された回数を示す。ここで、処理部26から出力されるMACフレームに対して、基地局装置10とは、本基地局装置10に相当し、処理部26へ入力されるMACフレームに対して、基地局装置10とは、他の基地局装置10に相当する。これは、以下の説明においても共通である。
【0033】
処理部26から出力されるMACフレームは、転送回数を「0」に設定される。また、処理部26へ入力されるMACフレームに対して、転送回数は、「1」以上に設定されている。サブフレーム数は、ひとつのフレームを形成しているサブフレーム数を示す。フレーム周期は、フレームの周期を示し、前述のごとく、例えば「100msec」に設定される。使用サブフレーム番号は、基地局装置10が車車送信期間を設定しているサブフレームの番号である。図3(a)のごとく、フレームの先頭においてサブフレーム番号が「1」に設定される。開始タイミング&時間長では、サブフレームの先頭とした路車送信期間の開始タイミングと、路車送信期間の時間長が示される。図2に戻る。
【0034】
ここでは、路車送信期間を設定すべきサブフレームの選択手順を説明する。処理部26が、他の基地局装置10によって形成されたフレームのタイミングに同期したフレームを生成する処理を説明する。処理部26は、MACフレームのうち、転送回数が「0」に設定されたMACフレームを抽出する。これは、他の基地局装置10から直接送信されたパケット信号に相当する。処理部26は、抽出したMACフレームのうち、使用サブフレーム番号の値を特定する。これは、他の基地局装置10に使用されたサブフレームを特定することに相当する。処理部26は、既に特定したサブフレームの先頭に配置されたパケット信号の受信電力を測定する。これは、他の基地局装置10からのパケット信号の受信電力を測定することに相当する。
【0035】
処理部26は、MACフレームのうち、転送回数が「1」以上に設定されたMACフレームを抽出する。これは、他の基地局装置10から送信された後に端末装置によって転送されたパケット信号に相当する。処理部26は、抽出したMACフレームのうち、使用サブフレーム番号の値を特定する。これは、他の基地局装置10に使用されたサブフレームを特定することに相当する。なお、端末装置は、他の基地局装置10からのパケット信号を端末装置が受信したときのサブフレーム番号を転送している。
【0036】
処理部26は、これらのパケット信号の受信電力も測定する。また、処理部26は、取得した受信信号が、当該パケット信号にて制御情報を転送された他の基地局装置10からのパケット信号の受信電力であると推定する。処理部26は、路車送信期間を設定すべきサブフレームを特定する。具体的には、処理部26は、「未使用」のサブフレームが存在するかを確認する。存在する場合、処理部26は、「未使用」のサブフレームのうちのいずれかを選択する。ここで、複数のサブフレームが未使用である場合、処理部26は、ランダムにひとつのサブフレームを選択する。未使用のサブフレームが存在しない場合、つまり複数のサブフレームのそれぞれが使用されている場合に、処理部26は、受信電力の小さいサブフレームを優先的に特定する。
【0037】
処理部26は、特定したサブフレーム番号のサブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。処理部26は、パケット信号に格納すべきMACフレームを生成する。その際、路車送信期間の設定に応じて、処理部26は、MACフレームのRSUコントロールヘッダの値を決定する。これは、フレームの構成に関する制御情報に相当する。処理部26は、ネットワーク通信部80を介して所定の情報を取得し、所定の情報をアプリケーションデータに含める。ここで、ネットワーク通信部80は、図示しないネットワーク202に接続される。処理部26は、変復調部24、RF部22に対して、路車送信期間においてパケット信号をブロードキャスト送信させる。
【0038】
RF部22、変復調部24、処理部26は、車車送信期間において、端末装置から報知されたパケット信号を受信する。端末装置からのパケット信号は、当該端末装置の存在位置に関する情報(以下、「位置情報」という)を含む。位置情報は、緯度と経度にて示される。また、RF部22、変復調部24、処理部26は、路車送信期間において、他の基地局装置10から報知されたパケット信号を受信する。他の基地局装置10からのパケット信号は、他の基地局装置10の制御情報を含む。処理部26は、端末装置からのパケット信号に含まれた位置情報を統計処理部32へ出力する。
【0039】
統計処理部32は、処理部26から、位置情報を順次受けつける。統計処理部32は、位置情報を統計処理する。具体的に説明すると、統計処理部32は、受けつけた位置情報と、本基地局装置10の設置位置との間の距離を導出する。距離の導出には、ベクトル演算が使用されればよい。距離の値ごとに、位置情報の受付回数の累計値を導出する。例えば、「10.0m」が1500回のように導出される。図6は、統計処理部32における処理結果を示す。横軸に距離が示され、縦軸に台数が示される。図示のごとく、距離に対する端末装置の台数の分布が導出されている。図2に戻る。統計処理部32は、分布から、99%値に対する距離を特定する。99%値は、距離の短い端末装置から順に、端末装置の台数を数え、全体の台数の99%になった値である。ここで、99%値は、測定パラメータとして規定されており、90%等の値でもよい。図6では、99%値220として示される。
【0040】
統計処理部32は、図6のごとく、許容範囲222を規定する。許容範囲222は、第1エリア210あるいは第2エリア212の半径として目標としている距離に誤差を考慮した範囲である。つまり、第1エリア210あるいは第2エリア212の半径が、許容範囲222に含まれればよいとする。統計処理部32は、99%値220と許容範囲222とをもとに送信電力の増加、低減、維持を決定する。例えば、許容範囲222の下限よりも99%値220が小さければ、統計処理部32は、増加を決定する。許容範囲222の上限よりも99%値220が大きければ、統計処理部32は、低減を決定する。許容範囲222に99%値220が含まれれば、統計処理部32は、維持を決定する。統計処理部32は、決定内容を調節部34へ出力する。調節部34は、統計処理部32からの決定内容を受けつける。調節部34は、決定内容にしたがって、RF部22からパケット信号を報知する際の電力を制御する。制御部30は、基地局装置10全体の処理を制御する。
【0041】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0042】
図7は、車両12に搭載された端末装置14の構成を示す。端末装置14は、アンテナ50、RF部52、変復調部54、処理部56、制御部58を含む。また、処理部56は、生成部64、タイミング特定部60、転送決定部90、通知部70、測位部72を含む。また、タイミング特定部60は、抽出部66、選択部92、キャリアセンス部94を含む。アンテナ50、RF部52、変復調部54は、図2のアンテナ20、RF部22、変復調部24と同様の処理を実行する。そのため、ここでは、差異を中心に説明する。
【0043】
変復調部54、処理部56は、図示しない他の端末装置14や基地局装置10からのパケット信号を受信する。なお、前述のごとく、優先期間と一般期間とを時間多重したサブフレームが規定されており、サブフレーム内に路車送信期間が時間多重されていることもある。また、路車送信期間は、基地局装置10からパケット信号を報知可能な期間である。ここで、変復調部54、処理部56は、路車送信期間において、基地局装置10からのパケット信号を受信する。優先期間とは、基地局装置10の周囲に形成された第1エリア210に存在する端末装置14がパケット信号の報知に使用すべき期間である。優先期間に複数のスロットが含まれている。一般期間とは、第1エリア210の外側に形成された第2エリアに存在する端末装置14がパケット信号の報知に使用すべき期間である。また、複数のサブフレームを時間多重したフレームが規定されている。
【0044】
抽出部66は、基地局装置10からのパケット信号の受信電力を測定する。抽出部66は、測定した受信電力をもとに、第1エリア210に存在しているか、第2エリア212に存在しているか、第2エリア外214に存在しているかを推定する。例えば、抽出部66は、エリア判定用第1しきい値とエリア判定用第2しきい値とを記憶する。ここで、エリア判定用第1しきい値は、エリア判定用第2しきい値よりも大きくなるように規定されている。受信電力がエリア判定用第1しきい値よりも大きければ、抽出部66は、第1エリア210に存在していると決定する。受信電力がエリア判定用第1しきい値以下であり、エリア判定用第2しきい値よりも大きければ、抽出部66は、第2エリア212に存在していると決定する。受信電力がエリア判定用第2しきい値以下であれば、抽出部66は、第2エリア212外に存在すると決定する。なお、抽出部66は、受信電力の代わりに、誤り率を使用してもよく、受信電力と誤り率との組合せを使用してもよい。
【0045】
抽出部66は、推定結果をもとに、優先期間、一般期間、フレームの構成と無関係のタイミングのいずれかを送信期間として決定する。具体的に説明すると、抽出部66は、第2エリア外214に存在していることを推定すると、フレームの構成と無関係のタイミングを選択する。抽出部66は、第2エリア212に存在していることを推定すると、一般期間を選択する。抽出部66は、第1エリア210に存在していることを推定すると、優先期間を選択する。
【0046】
抽出部66は、変復調部54からの復調結果が、図示しない基地局装置10からのパケット信号である場合に、路車送信期間が配置されたサブフレームのタイミングを特定する。また、抽出部66は、サブフレームのタイミングと、RSUコントロールヘッダの内容とをもとに、フレームを生成する。なお、フレームの生成は、前述の処理部26と同様になされればよいので、ここでは説明を省略する。その結果、抽出部66は、基地局装置10において形成されたフレームに同期したフレームを生成する。また、抽出部66は、RSUコントロールヘッダの内容をもとに、路車送信期間を特定する。
【0047】
抽出部66は、優先期間を選択した場合、優先期間に関する情報を選択部92へ出力する。抽出部66は、一般期間を選択した場合、フレームおよびサブフレームのタイミング、車車送信期間に関する情報をキャリアセンス部94へ出力する。抽出部66は、フレームの構成と無関係のタイミングを選択すると、キャリアセンスの実行をキャリアセンス部94に指示する。選択部92は、抽出部66から、優先期間に関する情報を受けつける。また、選択部92は、優先期間に含まれた複数のスロットから、いずれかのスロットを選択し、選択したスロットを送信タイミングとして決定する。ここで、スロットを選択するために、受信電力を使用してもよい。例えば、受信電力の小さいスロットが選択される。選択部92は、決定した送信タイミングを生成部64へ通知する。また、抽出部66は、ーパケット信号に含まれた識別情報を生成部64へ出力する。
【0048】
キャリアセンス部94は、抽出部66から、フレームおよびサブフレームのタイミング、車車送信期間に関する情報を受けつける。キャリアセンス部94は、一般期間において、キャリアセンスを実行することによって、干渉電力を測定する。また、キャリアセンス部94は、干渉電力をもとに、一般期間における送信タイミングを決定する。具体的に説明すると、キャリアセンス部94は、所定のしきい値を予め記憶しており、干渉電力としきい値とを比較する。干渉電力がしきい値よりも小さければ、キャリアセンス部94は、送信タイミングを決定する。キャリアセンス部94は、抽出部66から、キャリアセンスの実行を指示された場合、フレームの構成を考慮せずに、CSMAを実行することによって、送信タイミングを決定する。キャリアセンス部94は、決定した送信タイミングを生成部64へ通知する。
【0049】
測位部72は、GPS受信機、ジャイロスコープ、車速センサ等を含んでおり、図示しない車両12、つまり端末装置14が搭載された車両12の存在位置、進行方向、移動速度等を取得する。なお、存在位置は、緯度・経度によって示される。これらの取得には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。測位部72は、測位した存在位置を生成部64へ出力する。存在位置が前述の位置情報に相当する。生成部64は、図5(a)−(b)に示されたMACフレームを使用し、測位した存在位置をアプリケーションデータに格納する。また、生成部64は、抽出部66から、識別情報を受けつけ、最も新しく受けつけた識別情報もアプリケーションデータに格納する。
【0050】
生成部64は、MACフレームが含まれたパケット信号を生成するとともに、選択部92またはキャリアセンス部94において決定した送信タイミングにて、変復調部54、RF部52、アンテナ50を介して、生成したパケット信号をブロードキャスト送信する。なお、送信タイミングは、車車送信期間に含まれている。
【0051】
転送決定部90は、RSUコントロールヘッダの転送を制御する。前述の抽出部66は、基地局装置10が情報源とされるパケット信号から、RSUコントロールヘッダを抽出する。前述のごとく、パケット信号が基地局装置10から直接送信されている場合には、転送回数が「0」に設定されているが、パケット信号が他の端末装置14から送信されている場合には、転送回数が「1以上」の値に設定されている。ここで、使用サブフレーム番号は、端末装置14によって転送される場合に変更されないので、使用サブフレーム番号を参照することによって、情報源となる基地局装置10にて使用されるサブフレームが特定される。
【0052】
転送決定部90は、情報源となる基地局装置10ごとに、転送回数に関する情報を取得する。具体的に説明すると、転送決定部90は、サブフレーム番号「1」に対応した転送回数を順次取得し、その後、他のサブフレーム番号に対応した転送回数に対しても同様の処理を実行する。さらに、転送決定部90は、情報源となる基地局装置10ごとに、当該基地局装置10に関連した転送回数に関する情報の中から、少ない方の転送回数、例えば最小の転送回数の値を取得する。つまり、転送決定部90は、サブフレーム番号「1」に対応した転送回数の最小値、サブフレーム番号「2」に対応した転送回数の最小値等をそれぞれ取得する。
【0053】
転送決定部90は、情報源となる基地局装置10ごとに、RSUコントロールヘッダ、つまり制御情報の抽出回数を計測する。また、転送決定部90は、情報源となる基地局装置10ごとに、転送決定部90において取得した転送回数の値が含まれた制御情報の抽出回数を選択する。具体的に説明すると、転送決定部90は、ひとつのサブフレーム番号に対して、転送回数ごとに制御情報の抽出回数を計測する。その結果、例えば、サブフレーム番号「1」に対して、転送回数「0」回の制御情報の抽出回数が「0」回になり、転送回数「1」回の制御情報の抽出回数が「4」回になり、転送回数「2」回の制御情報の抽出回数が「6」回になる。また、取得した転送回数が「1」回であれば、転送決定部90は、この転送回数が含まれた制御情報の抽出回数「4」を選択する。
【0054】
転送決定部90は、サブフレーム番号、転送回数、抽出回数を対応づけて記憶する。また、転送決定部90は、転送回数や抽出回数が更新された場合に、記憶内容を更新する。転送決定部90は、各基地局装置10に対する転送回数と抽出回数を取得する。転送決定部90は、これらの転送回数と抽出回数をもとに、少なくともひとつの基地局装置10に対応した制御情報を、転送すべき制御情報として選択する。具体的に説明すると、転送決定部90は、複数の基地局装置10に対して転送回数を比較した後に、抽出回数を比較する。つまり、転送回数が少ない方の制御情報、例えば、最小の転送回数を有した制御情報を選択した後に、選択した制御情報の中から、抽出回数が多い方の制御情報、最大の抽出回数を有した制御情報が選択される。
【0055】
このように、最小の転送回数を有した制御情報であって、かつ当該転送回数に対応した最大の抽出回数を有した制御情報が、転送決定部90によって選択される。転送回数が少ないほど、情報源となる基地局装置10の近くにおいて、制御情報が受信されているといえる。また、抽出回数が多いほど、無線環境の変動が少ない状況において、制御情報が受信されているといえる。そのため、前述の状況を満たすような制御情報を選択することによって、端末装置14は、なるべく近くに設置された基地局装置10からの制御情報を選択しているといえる。
【0056】
転送決定部90は、選択した制御情報をもとにRSUコントロールヘッダを生成するように、生成部64に指示する。転送決定部90は、制御情報をRSUコントロールヘッダに格納させる際に、転送回数に関する情報における転送回数を増加させる。生成部64は、このような指示に応じて、転送決定部90において選択された制御情報をもとにRSUコントロールヘッダを生成するとともに、その際に転送回数を増加させる。
【0057】
通知部70は、路車送信期間において、図示しない基地局装置10からのパケット信号を取得するとともに、車車送信期間において、図示しない他の端末装置14からのパケット信号を取得する。通知部70は、パケット信号に格納されたデータの内容に応じて、図示しない他の車両12の接近等を運転者へモニタやスピーカを介して通知する。制御部58は、端末装置14全体の動作を制御する。
【0058】
以上の構成による通信システム100の動作を説明する。図8は、通信システム100における送信電力制御手順を示すシーケンス図である。第1端末装置14aは、位置情報を報知する(S10)。第2端末装置14bは、位置情報を報知する(S12)。第3端末装置14cは、位置情報を報知する(S14)。基地局装置10は、位置情報に対して統計処理を実行する(S16)。基地局装置10は、送信電力制御を実行する(S18)。
【0059】
図9は、基地局装置10における送信電力制御手順を示すフローチャートである。統計処理部32は、99%値220に対応した距離を取得する(S30)。許容範囲222の下限よりも距離が小さければ(S32のY)、統計処理部32は、送信電力の増加を決定する(S34)。一方、許容範囲222の下限よりも距離が小さくなく(S32のN)、許容範囲222の上限よりも距離が大きい場合(S36のY)、統計処理部32は、送信電力の低減を決定する(S38)。許容範囲222の上限よりも距離が大きくなければ(S36のN)、処理は終了される。
【0060】
本発明の実施例によれば、端末装置によって位置情報が報知される通信システムにおいて、位置情報を使用して送信電力制御を実行するので、端末装置に通常の動作をさせながら、送信電力制御を実行できる。また、端末装置に通常の動作をさせながら、送信電力制御が実行されるので、送信電力制御を簡易に実行できる。また、位置情報を統計処理する際に、端末装置を区別しないので、処理を簡易にできる。また、複数の位置情報に統計処理を実行し、統計処理の結果をもとに送信電力制御を実行するので、処理精度を向上できる。
【0061】
第1エリアと第2エリアとを区別するために、受信電力を使用するので、伝搬損失が所定の程度に収まっている範囲を第1エリアに規定できる。また、伝搬損失が所定の程度に収まっている範囲が第1エリアに規定されているので、交差点の中心付近を第1エリアとして使用できる。また、優先期間ではスロットによる時間分割多重を実行するので、誤り率を低減できる。また、一般期間ではCSMA/CAを実行するので、柔軟に端末装置数を調節できる。
【0062】
また、他の基地局装置から直接受信したパケット信号だけではなく、端末装置から受信したパケット信号をもとに、他の基地局装置によって使用されているサブフレームを特定するので、使用中のサブフレームの特定精度を向上できる。また、使用中のサブフレームの特定精度が向上するので、基地局装置から送信されるパケット信号間の衝突確率を低減できる。また、基地局装置から送信されるパケット信号間の衝突確率が低減されるので、端末装置が制御情報を正確に認識できる。また、制御情報が正確に認識されるので、路車送信期間を正確に認識できる。また、路車送信期間が正確に認識されるので、パケット信号の衝突確率を低減できる。
【0063】
また、使用中のサブフレーム以外を優先的に使用するので、他の基地局装置からのパケット信号と重複したタイミングで、パケット信号を送信する可能性を低減できる。また、いずれのサブフレームも他の基地局装置によって使用されている場合に、受信電力の低いサブフレームを選択するので、パケット信号の干渉の影響を抑制できる。また、端末装置によって中継された制御情報の送信元になる他の基地局装置からの受信電力として、当該端末装置の受信電力を使用するので、受信電力の推定処理を簡易にできる。
【0064】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0065】
本発明の実施例において、統計処理部32は、受けつけた位置情報に対して統計処理を実行する。しかしながらこれに限らず例えば、統計処理部32は、受けつけた位置情報の一部を使用して統計処理を実行してもよい。具体的に説明すると、統計処理部32は、車両12の多い時間帯に受けつけた位置情報に対して統計処理を実行することによって、送信電力制御を実行する。また、統計処理部32は、車両12の少ない時間帯に受けつけた位置情報に対して統計処理を実行することによって、送信電力制御を実行する。このように車両12の多い時間帯と少ない時間帯に対して、異なった送信電力制御がなされてもよい。つまり、統計処理部32は、受けつけた位置情報のうち、所定の期間において受けつけた位置情報をもとに統計処理を実行する。本変形例によれば、車両12の数に適した送信電力制御を実行できる。
【符号の説明】
【0066】
10 基地局装置、 12 車両、 14 端末装置、 20 アンテナ、 22 RF部、 24 変復調部、 26 処理部、 30 制御部、 32 統計処理部、 34 調節部、 50 アンテナ、 52 RF部、 54 変復調部、 56 処理部、 58 制御部、 60 タイミング特定部、 64 生成部、 66 抽出部、 70 通知部、 72 測位部、 80 ネットワーク通信部、 90 転送決定部、 92 選択部、 94 キャリアセンス部、 100 通信システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置間の通信を制御する基地局装置であって、
基地局装置から信号を報知可能な第1期間と、端末装置から信号を報知可能な第2期間とが含まれたフレームを規定し、フレームの構成に関する制御情報を生成する生成部と、
第1期間において、前記生成部にて生成した制御情報が含まれた信号を報知する報知部と、
第2期間において、前記報知部が報知した信号を受信した端末装置から報知された信号であって、かつ当該端末装置の存在位置に関する情報を含んだ信号を受信する受信部と、
前記受信部において受信した信号から抽出した存在位置に関する情報を統計処理することによって、前記報知部での送信電力を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする基地局装置。
【請求項2】
前記制御部は、存在位置をもとに、本基地局装置と各端末装置との距離を導出してから、距離に対する端末装置の数の分布を導出するとともに、目標としている距離と分布とをもとに、前記報知部での送信電力を導出することを特徴とする請求項1に記載の基地局装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記受信部において受信した信号のうち、所定の期間において受信した信号をもとに統計処理を実行することを特徴とする請求項1または2に記載の基地局装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−182137(P2011−182137A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43397(P2010−43397)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】