説明

基底膜安定化剤

【課題】基底膜骨格の重要な構成成分であるIV型及びVII型コラーゲン産生促進効果を有し、さらにはIV型及びVII型コラーゲンを単独ではなく、両方を産生促進させる新規基底膜安定化剤、細胞外マトリックス産生促進剤、それらの製法及び人工皮膚の製造方法の提供する。
【解決手段】オクラ(学名Abelmoschus esculentus)エキスを有効成分として含んで成る基底膜安定化剤、細胞外マトリックス産生促進剤、それらの製法及び上記抽出物を使用する人工皮膚の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な基底膜安定化剤に関する。更に具体的には、本発明は、植物由来の抽出物を有効成分とする基底膜安定化剤に関する。また、本発明は、上記植物由来抽出物を有効成分とする細胞外マトリックス産生促進剤、それらの製造方法及び上記抽出物を用いた人工皮膚の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人類を始めとする様々な動物の身体全体を覆う皮膚は、日光、乾燥、酸化、環境によるストレス、精神的ストレスなどの外的因子及び加齢によるシワの形成、硬化、しみ、くすみ、弾力性の低下等の変化に曝されている。ここで、皮膚は大きく分けて、表皮と真皮の二つの層から構成されている。表皮と真皮の間には基底膜と呼ばれる薄くて繊細な膜が存在する。表皮の代謝は、この基底膜を通して真皮の細胞が産生する因子や血液供給に依存している。皮膚における表皮の増殖と分化は、基底膜と真皮によって調節されている。従って、基底膜を介しての表皮・真皮間のコミュニケーションは、皮膚表皮の機能調節にとって重要な役割を担っている。
【0003】
皮膚基底膜にはアンカリング複合体と呼ばれる特殊な構造があり、表皮と真皮という2つの組織の接着やコミュニケーションを安定させる役割を果たしている。アンカリング複合体のタンパク質は、ケラチノサイトの細胞骨格であるケラチンと真皮乳頭層の結合組織タンパク質の双方にリンクしている。基底膜の骨格をなすラミナ・デンサ構造の主要構成成分であるIV型コラーゲンや、真皮乳頭層に接続しているアンカリング線維を形成するVII型コラーゲンは、同じく基底膜成分のラミニン5と結合することが知られている。
【0004】
上記複合体を構成するIV型コラーゲンの発現レベルは、加齢と共に低下することが観察されており(Vazquez F et al., Maturitas 25: 209-215, 1996)、VII型コラーゲンに関しても、高齢者由来の皮膚線維芽細胞では若い人由来の皮膚線維芽細胞に比べて、蛋白質レベルおよびmRNAレベルで産生能が低下するとの報告(Chen
et al., J. Invest. Dermatol., 102: 205-209, 1994)がある。また、VII型コラーゲンにより構成されるアンカリング線維は、正常皮膚において生理的老化および光老化に伴い減少するとの報告(辻卓夫、日皮会誌 105:963-975,
1995,Tidman et al., J. Invest Dermatol., 83: 448-453, 1984)もある。これらの個々の構成成分の特徴に加え、基底膜自体も皮膚老化に伴い多重化、断裂などの構造以上を示すことが知られており(Lavker
et al., J. Invest. Dermatol. 73: 59-66,1979)、この構造変化の結果、シワ、たるみなどの老徴の発現、老化に伴う皮膚機能低下が生じるものと思われる。従って、基底膜骨格を構成するIV型及びVII型コラーゲンの産生を促進することは、基底膜の構造を良好な状態に保ち、シワ等の皮膚老化を防ぐ上で極めて重要であると考えられる。事実、皮膚基底膜構造を詳細に観察した場合、20代後半から30代前半にかけて基底膜ダメージが高頻度に観察されることより、基底膜の構造変化が皮膚老化の誘導において重要な役割を示すことが報告されている(IFSCC
Magazine, 4(4): 15-23, 2000)。
また表皮シートの移植の生着を促進したり、角膜、腎臓移植の生着を促進したりすることが知られている(Exp. Cell Res., 228:262-270, 1996、J. Invest. Dermatol. 113: 38-42,
1999)。
【0005】
従来、コラーゲンの産生を促進させることで皮膚の加齢変化を予防・改善する天然物由来の成分としては、例えば、ダイズゼイン、ダイズジン、ゲニスタイン、およびゲニスチンから選ばれるイソフラボン化合物やフィトステロールが報告されている(特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2001−39849号公報
【特許文献2】特開2004−51533
【特許文献3】特開2007−8911
【特許文献4】WO2006/080768
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は新規な基底膜安定化剤の提供に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者は、基底膜安定化作用を得る目的で植物の抽出物等について鋭意検討した結果、下記の抽出物が、基底膜の重要な構成要素であるIV型コラーゲン、VII型コラーゲンの産生を著しく促進させることを明らかにした。尚、当該植物抽出物の抽出において使用される溶媒は、例示目的で列記されているものであって、限定することを意図していない。
【0009】
オクラ(学名Abelmoschus esculentus):アオイ科の一種であるオクラの抽出物は、その果実から水、エタノール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール又はこれらの混液にて抽出して得られる。当該抽出物は、特許文献2ではヒアルロン酸合成促進作用、特許文献3では角層水分量増加作用を有することが知られている。また、オクラからを他の抽出方法で得たオリゴペプチドに関しては、特許文献4ではI型コラーゲン産生促進作用が知られているが、基底膜のIV型コラーゲン、VII型コラーゲン産生促進作用、抗炎症作用、創傷治癒促進作用は知られていない。またヒアルロン酸産生促進効果を有することと、コラーゲン産生促進効果を有することとは別の技術的事項であり、ヒアルロン酸産生促進効果を有しているからといって、IV型、VII型コラーゲン産生促進効果を有するとは限らない。
【0010】
従って、本発明は、オクラエキスを有効成分として含んで成る基底膜安定化剤、細胞外マトリックス産生促進剤、それらの製法及び上記抽出物を使用する人工皮膚の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る基底膜安定化剤は、上記抽出物を含むことにより、基底膜の重要な構成成分であるIV型コラーゲン、VII型コラーゲン等の細胞外マトリックスの産生を促進する。また、上記抽出物は、抗炎症作用、創傷治癒作用も有する。正確な機構は定かではないが、これらの作用はいずれも、IV型コラーゲン、VII型コラーゲン等の産生が促進された結果、基底膜が修復され、そして安定化されたことに起因するものと考えられる。従って、基底膜細胞の融解、基底膜の表皮からの剥離、VII型コラーゲンの異常等、基底膜の不安定化を原因とする表皮水泡症についても、本発明の基底膜安定化剤はその症状の改善に寄与しうる。尚、本願発明の効果に関して注目されるべきことは、上記抽出物が、IV型コラーゲン及びVII型コラーゲンを単独でではなく、両方を産生促進させることである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
基底膜安定化剤
本明細書において使用する「基底膜安定化」とは、表皮と真皮の間に存在する、皮膚の恒常性維持に深く関与する基底膜において、その骨格が安定化し、そして更には修復されることを意味するものである。更に具体的には、基底膜を構成する重要な成分、特に細胞外マトリックスの産生が促進されることにより生じる基底膜への作用全般を意味することが意図される。
【0013】
細胞外マトリックス産生促進剤
本発明は更に、オクラエキスを有効成分として含んで成る細胞外マトリックス産生促進剤を提供する。ここで、「細胞外マトリックス」とは、当業界で一般的に認識されているものを意味し、特にIV型又はVII型コラーゲンを始めとする、基底膜中の重要な構成成分を意味する。
【0014】
また、上記抽出物は、細胞外マトリックスの産生を増大させて基底膜を安定化させるだけでなく、同時に抗炎症作用、創傷治癒促進作用、延いては表皮水泡症改善作用も奏する。しかしながら、上述の通り、これらの作用の正確な機構は明らかでない。本明細書において使用する「抗炎症作用」及び「創傷治癒促進作用」は、本発明の植物抽出物をそれぞれ炎症部位及び創傷部位に適用した場合に、非適用部位と比較して相対的に決定されるものである。本発明により得られる創傷治癒促進作用は、細胞外マトリックスの産生が促進された結果、基底膜が安定化し、そして修復されたことによるものであると考えられる。しかしながら、当該作用は、必ずしも細胞外マトリックス産生の増大に起因するものに限定されないことは明らかである。
【0015】
本明細書において使用する「表皮水泡症改善作用」とは、単純型表皮水疱症、接合部型表皮水疱症及び栄養障害型表皮水疱症に分類される一般的な表皮水泡症の緩和、治癒だけでなく、当該症状の予防を意図する。当該作用は、基底膜の重要な構成成分であるコラーゲン等の産生が促進され、基底膜の構造が安定化することによりもたらされる。
【0016】
本発明において使用する上記抽出物は、植物の果実から抽出することにより得られた液をろ過した後、濃縮又は乾燥して得られるが、部位は果実に限定されない。植物の根、葉、茎、花、芽、樹皮等も適宜利用することができる。
【0017】
上記植物の出発材料の抽出方法は溶媒抽出で行ってもよく、溶媒抽出の場合には、材料を必要に応じて乾燥させ、更に必要に応じて細断又は粉砕した後、水性抽出剤、例えば冷水、温水、又は沸点若しくはそれより低温の熱水、あるいは有機溶媒、例えばメタノール、エタノール、1,3−ブタンジオール、エーテル等を常温で又は加熱して用いることにより抽出される。しかしながら、当該抽出方法は溶媒抽出に限定されず、当業界で知られている常用の手法によってもよい。上記抽出物は、市販のものを使用してもよい。上記抽出物の形態には、抽出液自体だけでなく、常用の手法により適宜希釈又は濃縮、あるいは乾燥させたものも含まれうる。
【0018】
本発明の基底膜安定化剤又は細胞外マトリックス産生促進剤は、上記抽出物を単独で、あるいは複数の抽出物等を組み合わせて含んでもよい。更に別の態様として、本発明の基底膜安定化剤又は細胞外マトリックス産生促進剤は、セリンプロテアーゼ阻害剤を更に含んで成ることもある。後述の配合例に記載の通り、本発明の基底膜安定化剤又は細胞外マトリックス産生促進剤はセリンプロテアーゼ阻害剤を含むことにより、コラーゲンの分解を阻害して基底膜を更に良好な状態に保つ。この結果は、本発明によって得られる創傷治癒促進作用、更には表皮水泡症改善作用に対しても良好に作用すると考えられる。当該セリンプロテアーゼ阻害剤としては、カリン、ジュウヤク、ノバラの抽出物を挙げることができ、それ以外にもイチヤクソウ、オトギリソウ、セイヨウハッカ、アルニカ、サンザシ、セイヨウナツユキソウ、セイヨウバラ、ブドウ、ボタン、ホップ、ラズベリー、ローマカミツレ等の抽出物が含まれる。これらは本発明で使用される生物の抽出方法と同様に溶媒抽出等により抽出されうる。更に、上記セリンプロテアーゼ阻害剤にはアプロチニン、トラネキサム酸、ε-アミノカプロン酸等も含まれる。
【0019】
本発明で使用する上記抽出物は、基底膜安定化作用を達成するのに必要な量、換言するとIV型又はVII型コラーゲン等の細胞外マトリックスの産生量増加を達成するのに必要な量が配合される。当該配合量は配合される剤形等の種々の要因によっても変動する。限定しないが、上記抽出物は、当該基底膜安定化剤又は細胞外マトリックス産生促進剤の全体の質量に対して0.0001〜10質量%の濃度で、好ましくは0.001〜1質量%の濃度で配合されうる。
【0020】
本発明の基底膜安定化剤又は細胞外マトリックス産生促進剤には、上記抽出物の他、基底膜安定作用を損なわない範囲内で、通常化粧品や医薬品に配合可能な成分、例えば、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル類、シリコーン類、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、保湿剤、水溶性高分子化合物、増粘剤、被膜剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、多価アルコール、糖類、アミノ酸類、有機アミン類、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン類、酸化防止剤、香料、粉末、色材、水等を必要に応じて適宜配合することができる。また、L−アスコルビン酸及びその塩、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸硫酸エステル等のL−アスコルビン酸のエステル誘導体及びその塩、L−アスコルビン酸グルコシド等のL−アスコルビン酸の配糖体及びその塩、4−メトキシサリチル酸等のアルコキシサリチル酸及びその塩、ハイドロキノンβ−D−グルコ−ス、ハイドロキノンα−D−グルコ−ス等のハイドロキノンの配糖体及びその塩、トラネキサム酸、トラネキサム酸メチルアミド塩酸塩等のトラネキサム酸誘導体、4−n−ブチルレゾルシン等のレゾルシン誘導体、コウジ酸、エラグ酸、リノール酸、カミツレエキス、レチノイン酸、レチノール、レチノール酢酸、レチノールパルミチン酸、グリチルリチン酸及びその誘導体等、リゾフォスファチジルコリンやリゾフォスファチジン酸、大豆調製物等のラミニン5産生促進剤、シリビン、シリマリン類、ウルソール酸、ウルソール酸ベンジル等のウルソール酸誘導体、グルコース、フルクトース、マンノース、ショ糖、トレハロース等の糖類、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β−ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸、α−ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ−オリザノール等の血行促進剤、硫黄、チアントール等の抗脂漏剤、多様な目的から、ヒノキチオール、アイリス抽出物、アセンヤク抽出物、アラントイン、アロエ抽出物、イチヤクソウ抽出物、イブキジャコウ抽出物、ウコン抽出物、オウバク抽出物、オウレン抽出物、オトギリソウ抽出物、オノニス抽出物、加水分解カゼイン、加水分解酵母抽出液、カッコン抽出物、キシリトール、クララ抽出物、米抽出物加水分解液、サイコ抽出物、サフラン抽出物、酸化亜鉛、シカクマメ抽出物、シコン抽出物、シャクヤク抽出物、ショウキョウ抽出物、シリカ被覆酸化亜鉛、セージ抽出物、ゼニアオイ抽出物、センキュウ抽出物、センブリ抽出物、チンピ抽出物、トウガラシ抽出物、トウキ抽出物、トウニン抽出物、チオタウリン、ニンジン抽出物、ニンニク抽出物、ヒオウギ抽出物、ヒポタウリン、バーチ抽出物、ビワ抽出物、ブドウ抽出物、ブナの芽抽出物、ヘチマ抽出物、マジョラム抽出物、ユリ抽出物、ヨクイニン抽出物、ローズマリー抽出物、アルギニン及びその塩酸塩、セリン及びその塩酸塩等アミノ酸及びその誘導体、パントテン酸カルシウム、D−パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、アセチルパントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等のビタミンD類、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等のニコチン酸類、α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、ニコチン酸DL−α−トコフェロール、コハク酸DL−α−トコフェロール等のビタミンE類、ビタミンK、ビタミンP、ビオチン等のビタミン類、ユビキノン等の補酵素、α−リポ酸なども適宜配合することができる。
【0021】
本発明の基底膜安定化剤又は細胞外マトリックス産生促進剤の剤型は特に限定されるものではなく、例えば、溶液系、可溶化系、乳化系、粉末分散系、水−油二層系、水−油−粉末三層系、軟膏、ゲル、エアゾール等の任意の剤型をとることができる。また、使用形態も特に限定されるものではなく、例えば、化粧水、乳液、クリーム、エッセンス、ゼリー、ジェル、軟膏、パック、ファンデーション等の任意の形態をとることができる。
【0022】
皮膚外用剤
更に、本発明は上記抽出物を含んで成る皮膚外用剤を提供する。ここで、本発明の皮膚外用剤は、抗炎症作用、創傷治癒促進作用、更には表皮水泡症改善作用を目的とするものである。しかしながら、本発明の皮膚外用剤はこれらの目的に限定されず、上記抽出物の基底膜安定化作用、換言すると細胞外マトリックス産生促進作用によりもたらされる皮膚の諸症状の改善を意図した使用が考えられる。
【0023】
本発明の皮膚外用剤に配合される物質は、基底膜安定化剤について上述したものと同様であるが、これは当業者により所望の目的に応じて適切にその種類、量、濃度等が決定されうる。例えば、抗炎症作用、創傷治癒促進作用を目的とする場合、上記抽出物は、皮膚外用剤全体の質量に対して0.0001〜10質量%の濃度で、好ましくは0.001〜1質量%の濃度で配合されうる。
【0024】
基底膜安定化剤、細胞外マトリックス産生促進剤の製造方法
別の態様において、本発明は上記抽出物を水相又は油相に添加する工程を含んで成る、基底膜安定化剤、細胞外マトリックス産生促進剤の製造方法を提供する。
【0025】
人工皮膚の製造方法
更に、本発明は、オクラエキスを人工皮膚形成培地中に添加することを特徴とする、人工皮膚の製造方法、を提供する。
【0026】
本発明における人工皮膚の製造に用いる基礎培地としては、人工皮膚の製造に従来から使用されている任意の培地を用いることができ、これらの培地としては10%の牛胎児血清を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM);10%の牛胎児血清、トランスフェリン5μg/ml、インシュリン5μg/ml、tri−ヨードチロニン2nM、コレラトキシン0.1nM、ヒドロコーチゾン 0.4μg/mlを含むDMEM−Ham’sF12(3:1);ケラチノサイト増殖培地(KGM)と10%牛胎児血清を含むDMEMとを1:1に混合した培地、等が挙げられる。これらの基礎培地に添加される上記抽出物は、その種類により異なるが、およそ0.001質量%〜1質量%程度である。当該抽出物以外にも、基底膜安定化剤の態様において用いられる種々の物質が一緒に添加されてもよく、特に上述したセリンプロテアーゼ阻害剤は、コラーゲンの分解を阻害し基底膜を安定化させるために好ましいものと考えられる。
【0027】
本発明の人工皮膚の製造においてはまず、金網の上にヒト線維芽細胞を含む収縮I型コラーゲンゲルを静置する。ヒト線維芽細胞を含む収縮I型コラーゲンゲルは例えば次のようにして調製することができる。線維芽細胞懸濁コラーゲン溶液を氷上にて作製後、ペトリ皿内にてコラーゲンをゲル化させて調製する。その後、ペトリ皿壁面からゲルを剥離し、コラーゲンゲルをCO2インキュベーター内にて収縮させる。
【0028】
次に、上記コラーゲンゲルの上に、表皮細胞、例えばヒト正常表皮ケラチノサイトを培養し、表皮を形成する。皮膚細胞の培養による表皮層の形成は次のようにして行うことができる。収縮コラーゲンゲルを金網の上にのせ、さらにガラスリングをこのゲルの上にのせる。このガラスリング内に液漏れをさせないようにヒト包皮由来の表皮ケラチノサイト懸濁液を入れる。CO2インキュベーター内にてケラチノサイトを接着させ、リングを外す。上記培地を表皮層の境界まで満たし、表皮層を空気に曝しながら、培養を継続し、角層を形成させる。
【0029】
この方法によれば、線維芽細胞を含む収縮I型コラーゲンゲルから成る真皮層と、表皮層との間に十分に基底膜成分が沈着した天然皮膚に近い人工皮膚が得られる。本発明で使用する上記抽出物は、表皮細胞の播種後数日目の培地交換の際に新規な培地中に含有させるだけでなく、この段階に限定されず、必要に応じて適宜添加することができる。
【0030】
美容方法
別の態様において、本発明は、オクラエキスを皮膚に適用することを特徴とする、美容方法を提供する。当該美容方法は、細胞外マトリックスの産生促進、延いては基底膜の安定化を必要とする皮膚の諸症状、例えば表皮水泡症を改善するための使用が意図される。当該美容方法において、上記抽出物が適用される対象者は概して哺乳類であり、特にヒトへの適用が考えられる。
【実施例】
【0031】
次に、本願発明を以下の配合例により更に具体的に説明する。
【0032】
(実験方法−1)
IV型コラーゲン、VII型コラーゲン産生促進効果に関する試験方法
(1)ヒト線維芽細胞の培養
10%FBS含有DMEM培地で培養したヒト線維芽細胞を24穴プレートに播種し、細胞が接着した後、0.25%FBS及び250μMアスコルビン酸グルコシド含有DMEM培地に置換し、オクラ果実を添加した。1日後、培地上清を回収、遠心分離し、得られた上清中のIV型、VII型コラーゲン測定及び、細胞についてDNA量を測定し、細胞数の指標とした。
【0033】
(2)DNA定量
DNA量の測定はHoechst社のH33342を用いた蛍光測定法で実施した。
【0034】
(3)サンドイッチELISA法によるIV型、VII型コラーゲンの測定
IV型、VII型コラーゲンは、サンドイッチELISA法によって測定した。本配合例において使用した抗体は以下の通りである。
・IV型コラーゲン特異的抗体;モノクロナール抗体JK−199およびポリクロナール抗体MO−S−CLIV
・VII型コラーゲン特異的抗体;モノクロナール抗体NP−185およびモノクロナール抗体NP−32
【0035】
薬剤を添加していない試料(コントロール)のDNAあたりのIV型、VII型コラーゲン量を100としたときの、薬剤添加試料のDNAあたりのIV型、VII型コラーゲン量を、IV型、VII型コラーゲン産生促進率とした。以下の表1に、当該コラーゲンの産生促進率を要約する。
【0036】
【表1】

【0037】
(実験方法−2)
人工皮膚の製造方法
コラーゲンゲルは、ヒト真皮由来の線維芽細胞(1×105cells/ml)懸濁コラーゲン溶液を氷上にて作製後、60mmのペトリディッシュ内にて37℃でコラーゲンをゲル化した。その後シャーレ壁面からゲルを剥離し、コラーゲンゲルを金属の上にのせ、さらにガラスリング(内径12mm)をゲルの上にのせた。このガラスリング内に液漏れさせないようにヒト包皮由来表皮ケラチノサイト懸濁液を含むKGM−DMEM(1:1)混合培地を添加した。一晩インキュベートして表皮細胞を接着させ、翌日リングをはずした。上記培地を表皮層の境界まで満たし、表皮層を空気に曝しながら、角層形成を示す重層化した表皮を持つ皮膚モデルを作製した。
【0038】
表皮細胞を播種後4日目より、(1)薬剤無添加、(2)オクラエキス0.3%、(3)オクラエキス0.3%+カリンエキス0.5%を含む培地に換え、その後2−3日おきに同種・同濃度の薬剤を含有する培地と交換してさらに2週間培養した。
【0039】
形成された人工皮膚は、ヘマトキシリン−エオジン染色、並びに免疫染色(抗IV型コラーゲン抗体及び抗VII型コラーゲン抗体)により染色した。IV型及びVII型コラーゲンの染色度を低い方から高い方へ順に1−5の5段階でスコア化した。
【0040】
【表2】

【0041】
上記のように、対照(1)において、IV型コラーゲンは弱く染色されたが、VII型コラーゲンはほとんど観察されなかった。これに対し、IV型コラーゲン・VII型コラーゲン産生促進作用を有する(2)−(3)の添加薬剤はいずれもIV型・VII型コラーゲンの染色性を共に高めることが人工皮膚において確認された。さらに、(3)においてセリンプロテアーゼ阻害剤のカリンエキスはこれら染色性をさらに高めることが明らかとなった。
【0042】
(実験方法−3)
抗炎症、創傷治癒促進試験
8週齢のHR−1マウスに炎症または創傷を人工的に形成し、各群(n=5)に(1)薬剤無添加、(2)オクラエキス0.3%、(3)オクラエキス0.3%+カリンエキス0.5%をそれぞれ0.5gずつ1日2回、5日間塗布し、5日目に炎症部位または創傷部位の状態を観察した。抗炎症作用、創傷治癒促進作用をそれぞれ低い方から高い方へ順に1−5の5段階でスコア化した。
【0043】
【表3】

【0044】
上記のように、対照(1)において、炎症、創傷の改善度は低かった。これに対し、(2)−(3)の各薬剤はいずれも抗炎症作用、創傷治癒促進作用を有することがin vivoにおいて確認された。
【0045】
(配合例1−クリーム)
(1)処方 (質量%)
(A相)
ステアリン酸 10.0
ステアリルアルコール 4.0
ステアリン酸ブチル 8.0
ステアリン酸モノグリセリンエステル 2.0
ビタミンEアセテート 0.5
ビタミンAパルミテート 0.1
マカデミアナッツ油 1.0
防腐剤 適量
香料 適量
(B相)
グリセリン 4.0
1,2−ペンタンジオール 3.0
水酸化カリウム 0.4
アスコルビン酸リン酸マグネシウム 0.1
L−アルギニン塩酸塩 0.01
エデト酸三ナトリウム 0.05
オクラ1,3−ブチレングリコール抽出物 0.5
イオン交換水 残余
【0046】
(2)製法
Aの油相部とBの水相部をそれぞれ70℃に加熱し完全溶解する。A相をB相に加えて、乳化機で乳化する。乳化物を熱交換器を用いて冷却する。
【0047】
(配合例2−クリーム)
(1)処方 (質量%)
ステアリン酸 5.0
ステアリルアルコール 4.0
イソプロピルミリステート 18.0
グリセリンモノステアリン酸エステル 3.0
プロピレングリコール 10.0
オクラメタノール抽出物 0.01
苛性カリ 0.2
亜硫酸水素ナトリウム 0.01
防腐剤 適量
香料 適量
イオン交換水 残余
【0048】
(2)製法
イオン交換水にプロピレングリコールとオクラ抽出物と苛性カリを加え溶解し、加熱して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱溶解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を徐々に加え、全部加え終わってからしばらくその温度に保ち反応を起こさせる。その後、ホモミキサーで均一に乳化し、よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0049】
(配合例3−シワ予防クリーム)
(1)処方 (質量%)
ステアリン酸 2.0
ステアリルアルコール 7.0
水添ラノリン 2.0
スクワラン 5.0
2−オクチルドデシルアルコール 6.0
ポリオキシエチレン(25モル)
セチルアルコールエーテル 3.0
グリセリンモノステアリン酸エステル 2.0
プロピレングリコール 5.0
オクラエタノール抽出物 0.05
ウコンエタノール抽出物 0.05
亜硫酸水素ナトリウム 0.03
エチルパラベン 0.3
香料 適量
イオン交換水 残余
【0050】
(2)製法
イオン交換水にプロピレングリコールを加え、加熱して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱溶解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を加え予備乳化を行い、ホモミキサーで均一に乳化した後、よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0051】
(配合例4−抗老化用クリーム)
(1)処方 (質量%)
固形パラフィン 5.0
ミツロウ 10.0
ワセリン 15.0
流動パラフィン 41.0
グリセリンモノステアリン酸エステル 2.0
ポリオキシエチレン(20モル)
ソルビタンモノラウリン酸エステル 2.0
石けん粉末 0.1
硼砂 0.2
オクラアセトン抽出物 0.05
サイコエタノール抽出物 0.05
亜硫酸水素ナトリウム 0.03
エチルパラベン 0.3
香料 適量
イオン交換水 残余
(2)製法
イオン交換水に石けん粉末と硼砂を加え、加熱溶解して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相をかきまぜながら徐々に加え反応を行う。反応終了後、ホモミキサーで均一に乳化し、乳化後よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0052】
(配合例5−乳液)
(1)処方 (質量%)
ステアリン酸 1.0
ワセリン 5.0
流動パラフィン 10.0
ポリオキシエチレン(10モル)
モノオレイン酸エステル 2.0
ポリエチレングリコール1500 3.0
トリエタノールアミン 1.0
カルボキシビニルポリマー 0.2
(商品名:カーボポール941,B.F.Goodrich Chemical company)
オクラ酢酸エチル抽出物 0.0001
亜硫酸水素ナトリウム 0.01
エチルパラベン 0.3
香料 適量
イオン交換水 残余
【0053】
(2)製法
少量のイオン交換水にカルボキシビニルポリマーを溶解する(A相)。残りのイオン交換水にポリエチレングリコール1500とトリエタノールアミンを加え、加熱溶解して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を加え予備乳化を行い、A相を加えホモミキサーで均一乳化し、乳化後よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0054】
(配合例6−乳液)
(1)処方 (質量%)
マイクロクリスタリンワックス 1.0
密ロウ 2.0
ラノリン 2.0
流動パラフィン 10.0
スクワラン 5.0
ソルビタンセスキオレイン酸エステル 4.0
ポリオキシエチレン(20モル)
ソルビタンモノオレイン酸エステル 1.0
プロピレングリコール 7.0
オクラ1,3−ブチレングリコール抽出物 10.0
亜硫酸水素ナトリウム 0.01
エチルパラベン 0.3
香料 適量
イオン交換水 残余
【0055】
(2)製法
イオン交換水にプロピレングリコールを加え、加熱して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し、加熱融解して70℃に保つ(油相)。油相をかきまぜながらこれに水相を徐々に加え、ホモミキサーで均一に乳化する。乳化後よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0056】
(配合例7−乳液)
(1)処方 (質量%)
(A相)
スクワラン 5.0
オレイルオレート 3.0
ワセリン 2.0
ソルビタンセスキオレイン酸エステル 0.8
ポリオキシエチレンオレイルエーテル (2OEO) 1.2
月見草油 0.5
防腐剤 適量
香料 適量
(B相)
1,3−ブチレングリコール 4.5
オクラエタノール抽出物 1.5
エタノール 3.0
カルボキシビニルポリマー 0.2
水酸化カリウム 0.1
L−アルギニンL−アスパラギン酸塩 0.01
カッコンエタノール抽出液 1.5
エリスリトール 0.5
ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.05
イオン交換水 残余
【0057】
(2)製法
Aの油相部とBの水相部をそれぞれ70℃に加熱し完全溶解する。A相をB相に加えて、乳化機で乳化する。乳化物を熱交換器を用いて冷却する。
【0058】
(配合例8−ゼリー)
(1)処方 (質量%)
95%エチルアルコール 10.0
ジプロピレングリコール 15.0
ポリオキシエチレン(50モル)
オレイルアルコールエーテル 2.0
カルボキシビニルポリマー 1.0
(商品名:カーボポール940,B.F.Goodrich Chemical
company)
苛性ソーダ 0.15
L−アルギニン 0.1
オクラエタノール抽出物 7.0
2−ヒドロキシ−4−メトキシ
ベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム 0.05
エチレンジアミンテトラアセテート・3ナトリウム・2水 0.05
メチルパラベン 0.2
香料 適量
イオン交換水 残余
【0059】
(2)製法
イオン交換水にカーボポール940を均一に溶解し、一方、95%エタノールにオクラ抽出物、ポリオキシエチレン(50モル)オレイルアルコールエーテルを溶解し、水相に添加する。次いで、その他の成分を加えたのち苛性ソーダ、L−アルギニンで中和させ増粘する。
【0060】
(配合例9−美容液)
(1)処方 (質量%)
(A相)
エチルアルコール(95%) 10.0
ポリオキシエチレン(20モル)
オクチルドデカノール 1.0
パントテニールエチルエーテル 0.1
オクラメタノール抽出物 1.5
メチルパラベン 0.15
(B相)
水酸化カリウム 0.1
(C相)
グリセリン 5.0
ジプロピレングリコール 10.0
亜硫酸水素ナトリウム 0.03
カルボキシビニルポリマー 0.2
(商品名:カーボポール940,B.F.Goodrich Chemical company)
イオン交換水 残余
【0061】
(2)製法
A相、C相をそれぞれ均一に溶解し、C相にA相を加えて可溶化する。次いでB相を加えたのち充填を行う。
【0062】
(配合例10−パック)
(1)処方 (質量%)
(A相)
ジプロピレングリコール 5.0
ポリオキシエチレン(60モル)
硬化ヒマシ油 5.0
(B相)
オクラ抽出物 0.01
オリーブ油 5.0
酢酸トコフェロール 0.2
エチルパラベン 0.2
香料 0.2
(C相)
亜硫酸水素ナトリウム 0.03
ポリビニルアルコール
(ケン化度90、重合度2,000) 13.0
エタノール 7.0
イオン交換水 残余
【0063】
(2)製法
A相、B相、C相をそれぞれ均一に溶解し、A相にB相を加えて可溶化する。次いでこれをC相に加えたのち充填を行う。
【0064】
(配合例11−化粧水)
(1)処方 (質量%)
(A相)
エタノール 5.0
POEオレイルアルコールエーテル 2.0
オレイルアルコール 0.1
2−エチルヘキシルーP−ジメチル
アミノベンゾエート 0.18
香料 適量
(B相)
1,3−ブチレングリコール 9.5
グリセリン 2.0
ピロリドンカルボン酸ナトリウム 0.5
ニコチン酸アミド 0.3
オクラ1,3−ブチレングリコール抽出物 0.01
β−シクロデキストリン 1.0
エリスリトール 0.05
イオン交換水 残余
【0065】
(2)製法
Aのアルコール相をBの水相に添加し、可溶化して化粧水を得る。
【0066】
(配合例12−固形ファンデーション)
(1)処方 (質量%)
タルク 43.1
カオリン 15.0
セリサイト 10.0
亜鉛華 7.0
二酸化チタン 3.8
黄色酸化鉄 2.9
黒色酸化鉄 0.2
スクワラン 8.0
イソステアリン酸 4.0
モノオレイン酸POEソルビタン 3.0
オクタン酸イソセチル 2.0
オクラエタノール抽出物 0.5
防腐剤 適量
香料 適量
【0067】
(2)製法
タルク〜黒色酸化鉄の粉末成分をブレンダーで十分混合し、これにスクワラン〜オクタン酸イソセチルの油性成分、オクラエタノール抽出物、防腐剤、香料を加え良く混練した後、容器に充填、成型する。
【0068】
(配合例13−乳化型ファンデーション(クリームタイプ))
(1)処方 (質量%)
(A粉体部)
二酸化チタン 10.3
セリサイト 5.4
カオリン 3.0
黄色酸化鉄 0.8
ベンガラ 0.3
黒色酸化鉄 0.2
(B油相)
デカメチルシクロペンタシロキサン 11.5
流動パラフィン 4.5
ポリオキシエチレン変性ジメチルポリシロキサン 4.0
(C水相)
イオン交換水 50.0
1,3−ブチレングルコール 4.5
オクラエタノール抽出物 1.5
ソルビタンセスキオレイン酸エステル 3.0
防腐剤 適量
香料 適量
【0069】
(2)製法
Cの水相を加熱撹拌後、十分に混合粉砕したAの粉体部を添加してホモミキサー処理する。更に加熱混合したBの油相を加えてホモミキサー処理した後、撹拌しながら香料を添加して室温まで冷却する。
【0070】
(配合例14−抗老化クリーム)
(1)処方 (質量%)
(A油相)
ステアリルアルコール 1.5
ベヘニルアルコール 0.2
モノステアリン酸グリセリル 2.0
(商品名:サンソフト8004, 太陽化学(株)製)
ポリオキシエチレン20モル付加ベヘニルエーテル 0.5
(商品名:Nikkol BB−20,日光ケミカルズ(株)製)
ソルビタントリステアレート 0.1
(商品名:Nikkol SS−30V,日光ケミカルズ(株)製)
ビタミンEアセテート 0.1
ビタミンAパルミテート 0.05
トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル 3.0
(商品名:Salacos WO−6,日清オイリオグループ(株)製)
ジネオペンタン酸トリプロピレングリコール 1.0
イソノナン酸2−エチルヘキシル 1.0
マカデミアナッツ油 0.5
茶実油 1.0
香料 0.2
(B水相)
ジメチルアクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン 0.3
ナトリウムコポリマー
(商品名:SUpolymer
G―1,東邦化学工業(株)製)
フェノキシエタノール 0.5
グリセリン 4.0
エリスリトール 0.2
1,2−ペンタンジオール 2.0
ヒアルロン酸ナトリウム 0.1
オクラ1,3−ブチレングリコール抽出物 0.5
アスコルビン酸リン酸マグネシウム 0.01
トリエタノールアミン 1.2
エデト酸三ナトリウム 0.05
精製水 残余
【0071】
(2)製法
Aの油相部とBの水相部をそれぞれ70℃に加熱し、完全溶解した。次いで、A相をB相に加えて、乳化機で乳化した。乳化物を熱交換機で30℃まで冷却して、目的の抗老化クリームを得た。
【0072】
(配合例15−日焼け止めクリーム)
(1)処方 (質量%)
(A油相)
ステアリルアルコール 0.6
ベヘニルアルコール 2.8
デカメチルシクロペンタシロキサン 9.0
オクトクリレン 5.0
フェニルベンズイミダゾールスルホン酸 2.0
コハク酸ジエチルヘキシル 5.0
メトキシ桂皮酸エチルヘキシル 3.0
テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル 4.0
(商品名:KAK PTI,高級アルコール工業(株)製)
ステアロイルメチルタウリンナトリウム 0.3
モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン 1.8
(商品名:NIKKOL TS−10V,日光ケミカルズ(株)製)
ステアリン酸グリセリル 1.4
香料 0.1
(B水相)
イオン交換水 残余
キサンタンガム 0.05
エタノール 5.0
1,3−ブチレングリコール 7.0
オクラ1,3−ブチレングリコール抽出物 1.0
メリロート1,3−ブチレングリコール抽出物 0.1
ワイルドタイム1,3−ブチレングリコール抽出物 0.1
エタノール 3.0
乳酸 0.1
香料 0.1
【0073】
(2)製法
Aの油相部とBの水相部をそれぞれ70℃に加熱し、完全溶解した。次いで、A相をB相に加えて、乳化機で乳化した。乳化物を攪拌により30℃まで冷却して、目的のサンスクリーンクリームを得た。
【0074】
(配合例16−白濁状美白化粧水)
(1)処方 (質量%)
イオン交換水 残余
エタノール 3.0
グリセリン 3.0
ジプロピレングルコール 2.0
1,3−ブチレングリコール 2.0
アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ベヘニス 0.4
−25メタクリレートクロスポリマー
(商品名:Aristoflex HMB,Clariant社製)
エリスリトール 0.2
アクリレーツ/C10−30アルキルアクレート 0.02
クロスポリマー
(商品名:PEMULEN TR−2,Noveon社製)
水酸化ナトリウム 0.01
トラネキサム酸 2.0
4−メトキシサリチル酸カリウム塩 1.0
PEG−9メチルエーテルジメチコン 0.1
(「KF−6016」;信越化学工業(株)製)
デカメチルシクロペンタシロキサン 4.0
2−エチルヘキサン酸2−エチルヘキシル 2.0
1−ピペリジンプロピオン酸 0.1
オクラ1,3−ブチレングリコール抽出物 0.2
ショウブ根アルコール水抽出物 0.1
オドリコソウ花水1,3−ブチレングリコール抽出物 0.1
エデト酸塩 0.02
パラベン 0.1
フェノキシエタノール 0.3
香料 0.1
【0075】
(2)製法
イオン交換水〜4−メトキシサリチル酸カリウム塩および1−ピペリジンプロピオン酸〜フェノキシエタノールを均一に溶解した水相をホモミキサーで攪拌しながら、PEG−9メチルエーテルジメチコン〜2−エチルヘキサン酸2−エチルヘキシル、香料の油相を徐添して乳化することにより、目的の白濁状化粧水が得られた。
【0076】
(配合例17−軟膏)
(1)処方 (質量%)
オクラ1,3−ブチレングリコール抽出物 1.0
パルミチン酸レチノール 0.5
ステアリルアルコール 18.0
モクロウ 20.0
ポリオキシエチレン(20)モノオレイン酸エステル 0.25
グリセリンモノステアリン酸エステル 0.3
ワセリン 40.0
精製水 残余
【0077】
(2)製法
精製水にオクラ1,3−ブチレングリコール抽出物を加えて溶解し、70℃に保つ(水相)。残りの成分を70℃にて混合溶解する(油相)。水相に油相を加え、ホモミキサーで均一に乳化後、冷却して軟膏を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オクラエキスを有効成分として含んで成る基底膜安定化剤。
【請求項2】
更に1又は複数のセリンプロテアーゼ阻害剤を含んで成る、請求項1に記載の基底膜安定化剤。
【請求項3】
オクラエキスを有効成分として含んで成る細胞外マトリックス産生促進剤。
【請求項4】
産生促進される細胞外マトリックスの構成成分がIV型コラーゲン及びVII型コラーゲンから成る群から選択される一種又は二種以上である、請求項3に記載の細胞外マトリックス産生促進剤。
【請求項5】
IV型コラーゲン及びVII型コラーゲンの全てを産生促進させることを特徴とする、請求項3又は4に記載の細胞外マトリックス産生促進剤。
【請求項6】
更に1又は複数のセリンプロテアーゼ阻害剤を含んで成る、請求項3〜5のいずれか1項に記載の細胞外マトリックス産生促進剤。
【請求項7】
前記セリンプロテアーゼ阻害剤がカリン、ジュウヤク及び/又はノバラの抽出物である、請求項3〜6のいずれか1項に記載の細胞外マトリックス産生促進剤。
【請求項8】
オクラエキスを水相又は油相に添加する工程を含んで成る、細胞外マトリックス産生促進剤の製造方法。
【請求項9】
オクラエキスを人工皮膚形成培地中に添加する工程を含んで成る、人工皮膚の製造方法。
【請求項10】
更に1又は複数のセリンプロテアーゼ阻害剤を添加する工程を含んで成る、請求項9に記載の人工皮膚の製造方法。




【公開番号】特開2009−221110(P2009−221110A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−63955(P2008−63955)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】