説明

基材にマーキングするためのレーザー感受性水性組成物

(a)顕色剤と発色剤との重量比が1〜5の範囲内であり、(b)結合剤が、アクリル酸およびスチレン、ならびにα-メチルスチレン、アクリル酸エチルおよびアクリル酸2-エチルヘキシルからなる群より選択される少なくとも1種の追加のモノマーを含むアクリレート結合剤を含み、かつ(c)発色剤および/または顕色剤が、封入されていない形態で存在する、発色剤、顕色剤、および結合剤を含む水性組成物;これらの組成物の製造方法、本組成物でコーティングされた基材およびその製造方法、ならびに本組成物を用いてマーキングされた基材の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材にマーキングするためのレーザー感受性水性組成物、該組成物の製造方法、該組成物でコーティングされた基材、およびその製造方法、該組成物を用いるマーキングされた基材の製造方法、ならびに後者の方法により取得可能なマーキングされた基材に関する。
【背景技術】
【0002】
生産ライン上で製造される基材(例えば、紙、板紙またはプラスチック)には、通常、ロゴ、バーコード、賞味期限またはバッチ番号などの情報がマーキングされている。慣行的には、これらの基材のマーキングは、様々な印刷技術(例えば、インクジェット印刷または熱転写印刷)により為されてきた。しかしながら、これらの印刷技術は、ますますレーザーマーキングに置き換わり、これは、レーザーマーキングが、全体的に経済性の点でより安価であり、高スピードで接触不要なマーキングや、不均一な表面を有する基材のマーキングや、ヒトの目では視認できないか、またはほとんど視認できない程小さなマークの作成といったパフォーマンス上の利点を示すためである。近年は、錠剤または丸剤などの消費可能な基材も、レーザー照射を用いてマーキングされている。
【0003】
レーザーでマーキングできるようにするためには、基材をレーザー感受性組成物でコーティングすることができる。考えうるレーザー感受性組成物は、例えば、発色化合物および顕色剤を含み、これらはレーザー処理により反応して着色イメージを形成する。
【0004】
特許文献1には、高コントラストのマークの非接触形成を提供する媒体および使用方法が開示されている。該媒体は、少なくとも1種の電子供与体色素前駆体と、高温での接触に際して該電子供与体色素前駆体と反応して着色色素を形成する少なくとも1種の電子受容体化合物とを含むマーク形成層を含む。約120〜190℃のガラス転移温度を有するポリマー内に色素前駆体を封入することにより、またはポリマーの間隔を空ける第3のサブレイヤーにより隔絶された2種類の別個のサブレイヤー中に電子供与体色素前駆体および電子受容体化合物を分散させることにより、電子供与体色素前駆体はマーク形成層中で該電子受容体化合物から分離される。
【0005】
特許文献2には、レーザーマーキング可能なコーティングを形成するための組成物、例えば、約150℃〜約190℃のガラス転移温度を有するポリマーで封入された電子供与体色素前駆体粒子を含むコーティング組成物が開示されている。この場合では、色素前駆体粒子の総容量の少なくとも約90%が、約0.2μm〜約5μmの直径を有する。
【0006】
特許文献3には、発色組成物が開示されており、この組成物は、ポリマーマトリックス;芳香族スルホニル尿素を含むアクチベーター;照射アンテナ、およびイソベンゾフラノン発色剤を含んでいる。このアンテナは発色組成物を反応性にして、特定波長の照射に曝露された際に発色させる。
【0007】
特許文献4には、直接型の感熱インク組成物が開示されており、この組成物は、(加熱に際して合わさって発色する)最初は無色の発色剤および最初は無色の顕色剤、ならびにその発色剤および顕色剤のための増感剤(該顕色剤と共に粉砕されている)の水性分散液を含む。この感熱インクは、少なくとも40重量%の固形分を有し、顔料および充填剤を実質的に含まない。好ましい形態では、このインクは粒子状の増感剤を含有し、増感剤粒子が顕色剤粒子の周りを囲み、組成物中で顕色剤および/または発色剤の間にバリアをもたらすことを補助し、時期尚早の顕色を防止し、保存寿命を改善する。
【0008】
特許文献5は、レーザーマーキング法、レーザーマーキング組成物および該組成物で作製される顕色層を有する物品に関する。このコーティング溶液は、900〜1000cm-1の領域中で赤外吸収スペクトルの吸収ピークを有する無機化合物を含有する。実施例では、スルホニル尿素顕色剤、フルオラン発色剤およびスチレン-アクリル酸エステル-アクリル酸ポリマーまたはエチレン-アクリル酸エステル-アクリル酸コポリマーを含有するコーティング溶液が開示されている。特許文献6および特許文献7には、類似のコーティング溶液が開示されている。
【0009】
特許文献8には、基質材料、少なくとも1つのコーティング層(この層には、少なくとも2種類の発色系の化学物質が配置されている)を含む、感熱性記録材料が開示されている。用いられる発色系のうちの少なくとも1つはキレート型発色系であり、他の少なくとも1つはロイコ色素と少なくとも1つの尿素系顕色剤である。
【0010】
特許文献9には、顔料、水または有機溶媒、導電性ポリマーおよび任意により結合剤を含むコーティング組成物が記載されている。この顔料は、モリブデン酸またはタングステン酸のオキシアニオンであり得る。
【0011】
特許文献10には、潜在的アクチベーターおよび発色剤を含む組成物が開示されている。この組成物は、チャー形成化合物(char forming compound)として糖アルコールを含有してもよい。最も好ましいチャー形成化合物は、サッカロース(スクロース)である。
【0012】
特許文献11には、(a)支持体;(b)有機ポリマー性結合剤と、実質的に無色の電子供与色素前駆体と、該色素前駆体と反応することにより発色を可能にする電子受容化合物とを含む少なくとも1つの感熱層;ならびに(c)架橋剤の結合剤非含有溶液(該架橋剤は、下層の感熱層中の結合剤とのジオール結合またはエーテル結合を形成する)によりコーティングされた層を順に含む感熱性記録素子が開示されている。電子受容化合物としては、フェノール誘導体が特に好ましい。この色素前駆体は、例えば、3-ジエチルアミノ-7-ジベンジルアミノフルオランである。結合剤は、とりわけポリビニルアルコールであり得る。
【0013】
特許文献12には、光透過性感熱性記録材料が開示されており、この材料は、光透過性支持体およびその上に形成された感熱性記録層を有し、ロイコ色素、ロイコ色素に対する特異的顕色剤、および結合剤樹脂を含有する。結合剤の多数の例が言及されており、そのようなものとしては、ポリビニルアルコール、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、およびスチレンコポリマーが挙げられる。
【0014】
特許文献13は、感熱記録物品のための、増感剤が分散された材料の製造方法および感熱記録物品に関する。感熱性記録材料を製造するために用いるための色素として、多数のフルオラン化合物が開示されている。さらに、スチレン/アクリル酸コポリマー塩およびポリビニルアルコールをはじめとする、感熱性記録材料を製造するために増感剤組成物中で必要ならば用いることができる多数の粘着剤が言及されている。
【0015】
特許文献14には、基材上に備えられた感熱層を含む特定の感熱性記録材料が開示されており、この感熱層はロイコ色素および特定の顕色剤を含む。この感熱性材料に結合剤を組み込んでもよい。ポリビニルアルコール、アクリルアミド-アクリレート-メタクリレート酸3成分ポリマー等をはじめとする多数の材料が言及されている。
【0016】
特許文献15には、特定の顕色剤を含む感熱性記録材料が開示されており、この顕色剤は、特定の多価イソシアネート化合物と特定の芳香族アミンとの反応から得られるオリゴマー組成物であり、複数の材料から選択することができる結合剤(例えば、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマー材料)を含有することができる。
【0017】
特許文献16には、感熱性記録材料および該材料を用いる記録方法が開示されている。提供されているものは、支持体と、その上に備えられた、芳香族樹脂、低い酸価を有するか酸価を有しない樹脂およびカルボニル基と脂環式単位とを有する樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の水不溶性樹脂を含有する1つまたは複数の感熱性記録層とを含む感熱性記録材料である。この芳香族樹脂は、例えば、メチル-メタクリレート-スチレンコポリマーであり得る。
【0018】
特許文献17には、支持体と、該支持体上に備えられ、像様を加熱した場合、着色イメージを形成することが可能な、特定のジチオカルバミド酸亜鉛を含有する感熱層とを含む感熱性記録媒体が開示されている。この感熱層は、層を支持体にしっかりと結合させる結合剤を含有することができる。感熱性記録媒体の分野で慣用のいずれかの結合剤を用いることができる。
【0019】
特許文献18には、感熱性記録材料の製造方法が開示されており、該方法は、発色剤、顕色剤、少なくとも1種の水溶性結合剤および水分散性結合剤、ならびに特定のモノマーまたはプレポリマーを含むコーティング組成物を支持体に塗布し、層を形成させるステップを含む。多数の結合剤が言及されている。
【0020】
特許文献19には、基材;および感熱層を含む可逆性感熱性記録媒体が開示されており、この感熱層は、電子供与発色化合物;電子受容化合物;および一方の側にアルキル基を含む1個以上の硫黄原子を含むフェノール抗酸化剤を含む。この感熱層は、温度に応じてその色調を可逆的に変化させて、感熱層上のイメージを可逆的に記録および消去する。
【0021】
研究発表の非特許文献1では、その実施例3に、インクおよびグラビア印刷により得られるボードが開示されている。インクは、2種類の分散液を併せることにより得られる。それらのうちの一方は、30gの3-(ジブチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオランを、60gのアクリル酸コポリマーエマルジョン(Lubrizol Advanced Material Inc.によりCarboset(登録商標) GA-2236の商品名で販売されている)および10gの蒸留水の混合物に湿式粉砕法を用いて分散することにより得られる。それとは別に、60gのN-(p-トルエンスルホニル)-N’-(3-p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル)尿素を、120gのCarboset(登録商標) GA-2236および20gの水の混合物に同様の湿式粉砕法を用いて分散する。
【0022】
チャー形成化合物に基づく公知の系は、そのレーザー感受性が比較的低いという欠点を有する。
【0023】
一方で、高いレーザー感受性とマーキングの高品質を維持しながら、発色剤ベースの基材を有するコーティングされた基材の良好なイメージ安定性および低いバックグラウンド変色性を達成するのは困難である。他の課題は、照射に際する望ましくない薬品蒸気(煙)の発生、透明度の欠如および用いられる化合物の考えうる毒性である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】WO 2006/052843
【特許文献2】US2007/0098900 A1
【特許文献3】US 2007/0087292 A1
【特許文献4】US 5,888,283
【特許文献5】EP 0 637 514 A1
【特許文献6】EP 0659 583 A1
【特許文献7】EP 0 792 756 A2
【特許文献8】US 2005-0148467 A1
【特許文献9】WO 2005/012442
【特許文献10】WO 07/088104
【特許文献11】US 5,380,694
【特許文献12】EP 1 208 995 A2
【特許文献13】EP 1 645 430 A1
【特許文献14】EP 1 295 730 A1
【特許文献15】US 2004/0242414 A1
【特許文献16】EP 0 754 564 A2
【特許文献17】US 5,721,190 A
【特許文献18】US 4,623,557
【特許文献19】US 2006/0094599 A1
【非特許文献】
【0025】
【非特許文献1】IPCOM000166609D
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
本発明の目的は、公知のチャー形成性色変化系と比較して高い感度で、放射エネルギーの影響下で色変化をもたらす水性組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0027】
これらの課題は、発色剤(colour former)、顕色剤(developer)、および結合剤を含む水性コーティング組成物により、本発明に従って解決され、ここで、
(a)顕色剤と発色剤との重量比は、1〜5の範囲内であり、好ましくは1.5〜3の範囲内であり;
(b)結合剤は、アクリル酸およびスチレン、ならびにα-メチルスチレン、アクリル酸エチルおよびアクリル酸2-エチルヘキシルからなる群より選択される少なくとも1種の追加のモノマーを含むアクリレート結合剤を含み;かつ
(c)発色剤および/または顕色剤は、封入されていない形態で存在する。
【0028】
本発明はさらに、本発明の組成物の製造方法を提供し、該方法は、1〜5の範囲内の重量比の発色剤および顕色剤、アクリル酸およびスチレン、ならびにα-メチルスチレン、アクリル酸エチルおよびアクリル酸2-エチルヘキシルからなる群より選択される少なくとも1種の追加のモノマーを含むアクリレート結合剤を含む結合剤を混合するステップを含み、ここで、発色剤および/または顕色剤は封入されていない形態で存在する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
発色剤は、一般的に、電子供与ロイコ色素および電子受容顕色剤を含む。
【0030】
本発明の組成物中で用いられる発色剤は、好ましくは、フルオラン、フタリド、トリアリールメタン、ベンズオキサジン、キナゾリン、スピロピラン、キノン、ならびにチアジンおよびオキサジンなどのロイコジン、またはそれらの混合物からなる群より選択される。好ましくは、発色剤はフルオランである。
【0031】
フルオランの例は、3-ジ(エチル)アミノ-6-メチル-7-(tert-ブトキシカルボニル)アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-ジベンジルアミノフルオラン、3-ジブチルアミノ-7-ジベンジルアミノフルオラン、3-ジエチル-アミノ-6-メチル-7-(ジベンジルアミノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチルフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-クロロ-7-メチルフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-クロロフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-tert-ブチルフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-カルボキシエチルフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-メチルフルオラン、3-ジエチルアミノ-6,8-ジメチルフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-フルオラン、3-シクロヘキシルアミノ-6-クロロフルオラン、3-ジエチルアミノ-ベンゾ[a]フルオラン、3-ジエチルアミノ-ベンゾ[c]フルオラン、3-ジメチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(2,4-ジメチルアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(3-トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(2-クロロアニリノ)-フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(p-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(2-フルオロアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(p-オクチルアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(p-オクチルアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(p-メチルアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-エトキシエチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(3-メチルアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(3-トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(2-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジエチル-アミノ-7-(2-フルオロアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-クロロ-7-アニリノフルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-(2,4-ジメチルアニリノ)フルオラン、3-ジブチル-アミノ-6-メチル-7-(2-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-(4-クロロアニリノ)-フルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-(2-フルオロアニリノ)フルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-(3-トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3-ジブチルアミノ-6-エトキシエチル-7-アニリノフルオラン、3-ジブチルアミノ-6-クロロ-アニリノフルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-(4-メチルアニリノ)フルオラン、3-ジブチルアミノ-7-(2-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジブチルアミノ-7-(2-フルオロアニリノ)フルオラン、3-ジペンチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジペンチルアミノ-6-メチル-7-(4-2-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジペンチル-アミノ-7-(3-トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3-ジペンチルアミノ-6-クロロ-7-アニリノフルオラン、3-ジペンチルアミノ-7-(4-クロロアニリノ)フルオラン、3-ピロリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ピペリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-メチル-N-プロピルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-メチル-N-シクロヘキシルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-シクロヘキシルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-ヘキシルアミノ)-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-p-トリル-アミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)-6-メチル-7-メチルフルオラン、3-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)-7-(2-クロロアニリノ)フルオラン、3-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)-6-クロロ-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-テトラヒドロフルフリルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-イソブチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-ブチル-N-イソアミルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-イソプロピル-N-3-ペンチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-エトキシプロピルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、2-メチル-6-p-(p-ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2-メトキシ-6-p-(p-ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2-クロロ-3-メチル-6-p-(p-フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2-ジエチルアミノ-6-p-(p-ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2-フェニル-6-メチル-6-p-(p-フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2-ベンジル-6-p-(p-フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3-メチル-6-p-(p-ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-p-(p-ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-p-(p-ジブチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオランおよび2,4-ジメチル-6-[(4-ジメチルアミノ)アニリノ]フルオランである。
【0032】
フルオランは当技術分野で公知の方法により調製することができ、例えば、3-ジエチルアミノ-7-ジベンジルアミノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-tert-ブチルフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-アニリノ-フルオランおよび3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(2,4-ジメチルアニリノ)フルオランはUS 5,166,350 Aに記載されているように調製することができ、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(3-メチルアニリノ)フルオランはEP 0 546 577 A1に記載されているように調製することができ、3-ジエチルアミノ-6-クロロ-7-アニリノフルオランはDE 2130845に記載されているように調製することができ、3-ピロリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオランおよび3-ピペリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオランはUS 3,959,571 Aに記載されているように調製することができ、3-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオランはGB 2 002 801 Aに記載されているように調製することができ、3-(N-メチル-N-プロピルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオランはGB 2 154 597 Aに記載されているように調製することができる。
【0033】
好ましくは、発色剤は、3-ジエチルアミノ-7-(エトキシカルボニル)-フルオラン(例えば、商品名Ciba(登録商標) Pergascript(登録商標) Orange I-Gとして販売されている)、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン(例えば、商品名Ciba(登録商標) Pergascript(登録商標) Black 2Cとして販売されている)、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン(例えば、商品名 Ciba(登録商標) Pergascript(登録商標) Black 1Cとして販売されている)、3-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン(例えば、商品名S205としてYamada Chemical Companyから販売されている)、3-ジペンチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン(例えば、商品名Black 305としてYamada Chemical Companyから販売されている)、および3-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン(例えば、商品名ETACとしてYamada Chemical Companyから販売されている)からなる群より選択されるフルオランまたはフルオランの混合物を含む。
【0034】
より好ましい発色剤は、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオランおよび3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオランおよび3-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオランである。最も好ましい発色剤は、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオランである。
【0035】
フタリドの例は、クリスタルバイオレットラクトン(3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチル-アミノフタリド)、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)フタリド、3,3-ビス(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3,3-ビス-(1-オクチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3-(4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、7-(N-エチル-N-イソペンチルアミノ)-3-メチル-1-フェニル-スピロ[4H-クロメノ[2,3-c]ピラゾール-4(1H)-3’フタリド、3,6,6’-トリス(ジメチルアミノ)スピロ[フルオレン-9,3’-フタリド]、3,6,6’-トリス(ジエチルアミノ)スピロ[フルオレン-9,3’-フタリド]、3,3-ビス-[2-(p-ジメチルアミノフェニル)-2-(p-メトキシフェニル)エテニル-4,5,6,7-テトラブロモフタリド、3,3-ビス-[2-(p-ジメチルアミノフェニル)-2-(p-メトキシフェニル)エテニル-4,5,6,7-テトラクロロフタリド、3,3-ビス[1,1-ビス(4-ピロリジノフェニル)エチレン-2-イル]-4,5,6,7-テトラブロモフタリド、3,3-ビス-[1-(4-メトキシフェニル)-1-(4-ピロリジノフェニル)エチレン-2-イル]-4,5,6,7-テトラクロロフタリド、3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-オクチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリドおよび3-(4-シクロヘキシルエチルアミノ-2-メトキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリドである。
【0036】
以下のフタリドが好ましい:
クリスタルバイオレットラクトンまたは3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド(例えば、商品名Ciba(登録商標) Pergascript(登録商標) Blue I-2RCとして販売されている)、3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-オクチル-2 メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド(例えば、商品名Ciba(登録商標) Pergascript(登録商標) Blue I-2Gとして販売されている)、3,3-ビス-(1-オクチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド(例えば、商品名Ciba(登録商標) Pergascript(登録商標) Red I-6Bとして販売されている)。
【0037】
フタリドは当技術分野で公知の方法により調製することができ、例えば、クリスタルバイオレットラクトンはGB 1,347,467に記載されているように調製することができ、3,3-ビス(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリドはGB 1,389,716に記載されているように調製することができる。
【0038】
ベンズオキサジンの例は、2-フェニル-4-(4-ジエチルアミノフェニル)-4-(4-メトキシフェニル)-6-メチル-7-ジメチルアミノ-3,1-ベンズオキサジン(EP 0 187 329 A1に記載されているように調製することができる)および2-フェニル-4-(4-ジエチルアミノフェニル)-4-(4-メトキシフェニル)-8-メチル-7-ジメチルアミノ-3,1-ベンズオキサジンである。
【0039】
キナゾリンの例は、4,4'-[1-メチルエチリデン)ビス(4,1-フェニレンオキシ-4,2-キナゾリンジイル)]ビス[N,N-ジエチルベンゼンアミン]である。トリアリールメタンの例は、ビス(N-メチルジフェニルアミン)-4-イル-(N-ブチルカルバゾール)-3-イル-メタンであり、GB 1,548,059に記載されているように調製することができる。
【0040】
スピロピランの例は、1’,3’,3’-トリメチルスピロ[2H-1-ベンゾピラン-2,2’-インドリン]、1,3,3-トリメチルスピロ[インドリン-2,3’-[3H]ナフタ[2,1-b][1,4]オキサジン]および1’,3’,3’-トリメチルスピロ[2H-1-ベンゾチオピラン-2,2’-インドリン]である。
【0041】
キノリン発色化合物の例は、ヘマトキシリンである。オキサジンの例は、3,7-ビス(ジメチルアミノ)-10-ベンゾイルフェノキサジンである。チアジンの例は、3,7-ビス(ジメチルアミノ)-10-ベンゾイルフェノチアジンである。
【0042】
本発明の水性組成物は、発色化合物のための顕色剤を含む。
【0043】
顕色剤は以下の式のスルホニル尿素誘導体であり得る:
R1-S(O)2-NH-X-NH-A-B-R2 (1)
[式中、
R1は、非置換もしくは置換のフェニル、ナフチルまたはC1〜20-アルキルであり、
Xは、式-C(NH)-、-C(O)-または-C(S)-の基であり、
Aは、非置換もしくは置換のフェニレン、ナフチレンまたはC1〜12-アルキレンであるか、あるいは非置換もしくは置換の複素環式基であり、
Bは、式-O-SO2-、-SO2-O-、-NH-SO2-、-SO2-NH-、-S-SO2-、-O-CO-、-O-CO-NH-、-NH-CO-、-NH-CO-O-、-S-CO-NH-、-S-CS-NH-、-CO-NH-SO2-、-O-CO-NH-SO2-、-NH=CH-、-CO-NH-CO-、-S-、-CO-、-O-、-SO2-NH-CO-、-O-CO-O-および-O-PO-(OR2)2の連結基であり、
R2は、非置換もしくは置換のアリールまたはベンジルまたはC1〜20−アルキルであり、
ただし、Bが式-O-SO2-の連結基でない場合、R2は非置換もしくは置換のフェニル、ナフチルまたはC1〜8-アルキルであり、Bが-O-である場合、R2はアルキルでない]。
【0044】
フェニルまたはナフチルとしてのR1は、非置換であるか、または、例えば、C1〜8-アルキル、C1〜8-アルコキシまたはハロゲンにより置換されていることができる。好ましい置換基は、C1〜4-アルキル(特に、メチルまたはエチル)、C1〜4-アルコキシ(特に、メトキシまたはエトキシ)、またはハロゲン(特に、塩素)である。ナフチルとしてのR1は、好ましくは非置換である。フェニルとしてのR1は、好ましくは、特に上記のアルキル置換基のうち1つにより置換されている。
【0045】
C1〜20-アルキルとしてのR1は、非置換であるか、または、例えば、C1〜8-アルコキシもしくはハロゲンにより置換されていることができる。好ましい置換基は、C1〜4-アルコキシ(特に、メトキシまたはエトキシ)、またはハロゲン(特に、塩素)である。C1〜20-アルキルとしてのR1は、好ましくは非置換である。
【0046】
好ましくは、R1は、非置換であるかまたはC1〜8-アルキル、C1〜8-アルコキシもしくはハロゲンにより置換されているフェニルである。最も重要なものは、置換フェニル基である。非常に好ましいのは、C1〜4-アルキル、好ましくはメチルにより置換されているフェニル基である。
【0047】
Xは、好ましくは式-C(S)-または-C(O)-の基、特に式-C(O)-の基である。
【0048】
フェニレン基またはナフチレン基としてのAは、非置換であるか、または、例えば、C1〜8-アルキル、ハロゲン置換C1〜8-アルキル、C1〜8-アルコキシ置換C1〜8-アルキル、C1〜8-アルコキシ、ハロゲン置換C1〜8-アルコキシ、C1〜8-アルキルスルホニル、ハロゲン、フェニル、フェノキシまたはフェノキシカルボニルで置換されていることができる。好ましいアルキル置換基およびアルコキシ置換基は、1〜4個の炭素原子を有しているものである。好ましい置換基は、C1〜8-アルキル、ハロゲン置換C1〜8-アルキル、C1〜8-アルキルスルホニルまたはハロゲンである。ナフチレン基としてのAは、好ましくは非置換である。
【0049】
複素環基としてのAは、好ましくは、非置換またはC1〜8-アルキル、特にC1〜4-アルキルにより置換されているピリミジレンである。
【0050】
C1〜12-アルキレン基としてのAは、好ましくはC1〜8-アルキレン、特にC1〜4-アルキレンである。
【0051】
好ましい基Aは、非置換、またはC1〜8-アルキル、ハロゲン置換C1〜8-アルキル、C1〜8-アルコキシ置換C1〜8-アルキル、C1〜8-アルコキシ、ハロゲン置換C1〜8-アルコキシ、C1〜8-アルキルスルホニル、ハロゲン、フェニル、フェノキシもしくはフェノキシカルボニル、特にC1〜8-アルキル、ハロゲン置換C1〜8-アルキル、C1〜8-アルキルスルホニルもしくはハロゲンにより置換されているフェニレン基である。
【0052】
非常に好ましい基Aは、非置換であるかまたはC1〜4-アルキルもしくはハロゲンにより置換されているフェニレン基、特に非置換フェニレン基である。
【0053】
好ましい連結基Bは、式-O-SO2-、-SO2-O-、-SO2-NH-、-S-SO2-、-O-、-O-CO-および-O-CO-NH-のもの、特に式-O-SO2-、-SO2-O-および-SO2-NH-の連結基である。非常に好ましいのは、式-O-SO2-および-O-の連結基Bである。
【0054】
アリールとしてのR2は、好ましくは、非置換であるか、または、例えば、C1〜8-アルキル、ハロゲン置換C1〜8-アルキル、C1〜8-アルコキシ置換C1〜8-アルキル、C1〜8-アルコキシ、ハロゲン置換C1〜8-アルコキシもしくはハロゲンにより置換されていてもよいフェニルあるいはナフチルである。好ましいアルキル置換基およびアルコキシ置換基は、1〜4個の炭素原子を含むものである。好ましい置換基は、C1〜4-アルキルおよびハロゲンである。ナフチルとしてのR2は、好ましくは非置換である。
【0055】
ベンジルとしてのR2は、フェニルまたはナフチルとしてのR2に対して示された置換基により置換されていることができる。非置換ベンジルが好ましい。
【0056】
C1〜20-アルキルとしてのR2は、好ましくはC1〜8-アルキル、特にC1〜6-アルキルであり、非置換であるかまたは、例えば、C1〜8-アルコキシ、ハロゲン、フェニルもしくはナフチルにより置換されていることができる。好ましいのは、非置換アルキル基、特にC1〜4-アルキルである。
【0057】
好ましい基R2は、C1〜6-アルキル;ハロゲン置換C1〜6-アルキル;フェニル置換C1〜6-アルキル;ナフチル置換C1〜6-アルキル;非置換であるかまたはC1〜8-アルキル、ハロゲン置換C1〜8-アルキル、C1〜8-アルコキシ置換C1〜8-アルキル、C1〜8-アルコキシ、ハロゲン置換C1〜8-アルコキシもしくはハロゲンにより置換されているフェニル;C1〜4-アルキルまたはハロゲンにより置換されているナフチルおよびベンジルである。
【0058】
非常に好ましい基R2は、C1〜4-アルキル;ハロゲン置換C1〜4-アルキル;非置換であるかまたはC1〜4-アルキルもしくはハロゲンにより置換されているフェニル;非置換であるかまたはC1〜4-アルキルもしくはハロゲンにより置換されているナフチルおよびベンジル、特に非置換であるかまたはC1〜4-アルキルにより置換されているフェニルである。
【0059】
好ましいのは、式(1)の顕色剤であり、式中、
R1は、C1〜4-アルキル、好ましくはメチルにより置換されているフェニルであり、
Xは、式-C(O)-の基であり、
Aは、非置換であるかまたはC1〜4-アルキルもしくはハロゲンにより置換されているフェニレン、好ましくは1,3-フェニレンなどの非置換フェニレンであり、
Bは、式-O-SO2-または-O-の連結基であり、
R2は、非置換であるかまたはC1〜4-アルキルもしくはハロゲンにより置換されているフェニル、ナフチルあるいはベンジル、特にC1〜4-アルキルにより置換されているフェニルである。
【0060】
スルホニル尿素について多くの合成が公知であり、参照により本明細書中に組み入れられる(J.Med.Chem., 1990, (33), 9, 2393; Chem.Rev., 1952, (50), 1; Chem.Rev., 1965, (65), 365)。特に、N-(p-トルエンスルホニル)-N’-3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル)尿素は、WO 00/35679の実施例4に記載されているように調製することができる。
【0061】
上記の発色剤との使用のために好適な顕色剤としては、特に、以下が挙げられる:2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2-ビス(4’-ヒドロキシフェニル)-4-メチルペンタン、ベンジル-4-ヒドロキシベンゾエート、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4’-イソプロポキシジフェニルスルホン(例えば、商品名D8としてNippon Sodaから販売されている)、2,2’-ジアリル-4,4’-スルホニルジフェノール(例えば、商品名TG-SAとしてNippon Kayakuから販売されている)、1,1’-オキソビス(2-クロロエタン)とのフェノール,4,4’-スルホニルビス-ポリマー(Phenol, 4,4’-sulfonylbis-polymer with 1,1’-oxybis(2-chloroethane))(例えば、商品名D90としてNippon Sodaから販売されている)、N-(p-トルエンスルホニル)-N’-3-(p-トルエンスルホニルオキシフェニル)尿素(例えば、商品名Ciba(登録商標) Pergafast(登録商標) 201として販売されている)、4-[(4-(1-メチルエトキシ)フェニル)スルホニル]-フェノールおよびカルバミン酸、N,N’-[スルホニルビス[4,1-フェニレンイミノカルボニルイミノ(メチルフェニレン)]]ビス-、C,C’-ジフェニルエステル(Asahi Denka Kogyoから商品名UUとして販売されている)、4,4’-ビス(p-トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン)(例えば、商品名B-TUMとして販売されている)、ビス[(4-n-オクチルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸]亜鉛二水和物(例えば、商品名SZ-110としてMitsui Chemicalsから販売されている)、ポリペンタエリスリトール化合物の4-ヒドロキシ安息香酸誘導体(CAS番号378244-93-0、例えば、 Asahi Denka Kogyoから商品名K5として販売されている)、ならびにそれらの混合物。
【0062】
本発明のレーザー感受性水性組成物は、他の公知の顕色剤を含有することができる。そのような顕色剤の例は、4,4’-sec-ブチリデンビスフェノール、4,4’-シクロヘキシリデンビスフェノール、2,2-ジメチル-3,3-ジ(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2’-ジヒドロキシジフェニル、1-フェニル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、4-フェニル-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、1-フェニル-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-メチルフェニル)-4-メチルペンタン、2,2-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチルフェニル)-4-メチルペンタン、4,4’-sec-ブチリデン-ビス(2-メチルフェノール)、4,4’-イソプロピリデン-ビス(2-tert-ブチルフェノール)、2,2-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-イソプロピルフェニル)-4-メチルペンタン、アリル-4,4-ビス(4’-ヒドロキシフェニル)ペンタノエート、プロパルギル-4,4-ビス(4’-ヒドロキシフェニル)ペンタノエート、n-プロピル-4,4-ビス(4’-ヒドロキシフェニル)ペンタノエート、2,4-ビス(フェニルスルホニル)フェノール、2-(4-メチルスルホニル)-4-(フェニルスルホニル)フェノール、2-(フェニルスルホニル)-4-(4-メチルスルホニル)フェノール、2,4-ビス(4-メチルフェニルスルホニル)フェノール、ペンタメチレン-ビス(4-ヒドロキシベンゾエート)、2,2-ジメチル-3,3-ジ(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2-ジ(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルチオエーテル、1,7-ジ(4-ヒドロキシフェニルチオ)-3,5-ジオキサヘプタン、2,2’-ビス(4-ヒドロキシフェニルチオ)ジエチルエーテル、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルフェニルチオエーテル;ベンジル-4-ヒドロキシベンゾエート、エチル-4-ヒドロキシベンゾエート、プロピル-4-ヒドロキシベンゾエート、イソプロピル-4-ヒドロキシベンゾエート、ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、イソブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、4-ヒドロキシ-4’-メチルジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4’-ブトキシジフェニルスルホン、3,4-ジヒドロキシ-4’-メチルジフェニルスルホン、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’,5,5’-テトラブロモジフェニルスルホン、N-p-トルエンスルホニル-N'-フェニル尿素、4-ヒドロキシフタル酸ジメチル、4-ヒドロキシフタル酸ジシクロヘキシル、4-ヒドロキシフタル酸ジフェニル、4-[2-(4-メトキシフェニルオキシ)エチルオキシ]サリシレート、3,5-ジ-tert-ブチルサリチル酸、3-ベンジルサリチル酸、3-(α-メチルベンジル)サリチル酸、3-フェニル-5-(α,α-ジメチルベンジル)サリチル酸、3,5-ジ-α-メチルベンジルサリチル酸;サリチル酸の金属塩、2-ベンジルスルホニル安息香酸、3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ安息香酸、安息香酸亜鉛、4-ニトロ安息香酸亜鉛、4-(4’-フェノキシブトキシ)フタル酸、4-(2’-フェノキシエトキシ)フタル酸、4-(3’-フェニルプロピルオキシ)フタル酸、モノ(2-ヒドロキシエチル)-5-ニトロ-イソフタル酸、5-ベンジルオキシカルボニルイソフタル酸、5-(1’-フェニルエタンスルホニル)イソフタル酸およびビス(1,2-ジヒドロ-1,5-ジメチル-2-フェニル-3H-ピラゾール-3-オン-O)ビス(チオシアナト-N)亜鉛、ZnCl2およびステアリン酸アンモニウムである。
【0063】
好ましい顕色剤は、スルホニル尿素誘導体(例えば、N-(p-トルエンスルホニル)-N’-3-(p-トルエンスルホニルオキシフェニル)尿素;4,4’-ビス(p-トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン)、4,4’-ビスフェノールスルホン、2,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4’-イソプロポキシジフェニルスルホン、ポリペンタエリスリトール化合物の4-ヒドロキシ安息香酸誘導体(CAS番号378244-93-0);1,1’-オキソビス(2-クロロエタン)とのフェノール,4,4’-スルホニルビス-ポリマー;N,N’-[スルホニルビス[4,1-フェニレン-イミノカルボニルイミノ(メチルフェニレン)]]ビス-、C,C’-ジフェニルエステル;ZnCl2、ステアリン酸オクチルアンモニウムおよびステアリン酸アンモニウムの中から選択される。
【0064】
本発明のコーティング組成物の好ましい実施形態では、コーティング組成物は、発色剤および考えうる顕色剤に加えて、増感剤を含有してもよい。
【0065】
好適な増感剤としては、ステアルアミド、アミドワックス、1,2-ジフェノキシエタン、1,2-ビス(3-メチルフェノキシ)エタン、ベンジル-2-ナフチルエーテル、シュウ酸ジベンジルおよびシュウ酸ジ-(4-メチル-ベンジル)が挙げられる。
【0066】
本発明の組成物は、酸誘導体または酸およびアミンの塩のいずれかであり得る、潜在的なアクチベーターを含む場合がある。
【0067】
酸誘導体は、水中、25℃で10.0未満のpKaを有する酸のいずれかの誘導体であり得る。好ましくは、5.0未満、より好ましくは3.0未満のpKaを有する酸の誘導体である。
【0068】
好ましい酸誘導体は、硫酸、リン酸またはカルボン酸の誘導体である。
【0069】
硫酸の例は、硫酸、フルオロ硫酸、クロロ硫酸、ニトロシル硫酸、4-スチレンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、キシレンスルホン酸、フェノールスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ポリ(4-スチレンスルホン酸)および4-スチレンスルホン酸単位を含むコポリマー(ポリ(4-スチレンスルホン酸-コ-マレイン酸など)である。リン酸の例は、リン酸、フルオロリン酸およびヘキサフルオロリン酸である。カルボン酸の例は、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、シュウ酸およびマレイン酸である。より好ましい酸誘導体は、硫酸、リン酸またはカルボン酸のエステル、アミドおよびチオエステル誘導体である。
【0070】
硫酸、リン酸またはカルボン酸のエステル、アミドおよびチオエステルの誘導体は、OR1、NR2R3またはSR4で置換された少なくとも1つのOH基を有する硫酸、リン酸またはカルボン酸であり得、ここで、R1、R2、R3およびR4はC1〜30-アルキル、C2〜30-アルケニル、C4〜8-シクロアルキル、C7〜12-ビシクロアルキル、C5〜8-シクロアルケニル、アラルキル、アラルケニルまたはアリールであり得、これらは非置換であるか、またはC1〜6-アルキル、C1〜6-アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシル、C(O)OC1〜6-アルキルもしくはOC(O)C1〜6-アルキルで置換されていることができる。
【0071】
硫酸、リン酸またはカルボン酸のエステル、アミドおよびチオエステル誘導体はまた、O-A-O、NR5-E-R6NまたはS-J-S基で連結された硫酸、リン酸およびカルボン酸からなる群より選択される2つの酸でもあり得、ここで、R5およびR6はR1、R2、R3およびR4について定義したものであり得、A、EおよびJは、C2〜14-アルキレン、C2〜14-アルケニレン、C4〜8-シクロアルキレン、C4〜8-シクロアルケニレンまたはアリーレンであり得、これらは非置換であるか、またはC1〜6-アルキル、C1〜6-アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシル、C(O)OC1〜6-アルキルもしくはOC(O)C1〜6-アルキルで置換されていることができる。
【0072】
C1〜30-アルキルの例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、ミリスチル、パルミチル、ステアリルおよびアラキニルである。C2〜30-アルケニルの例は、ビニル、アリル、リノレニル、ドコサヘキサエノイル、エイコサペンタエノイル、リノレイル、アラキドニルおよびオレイルである。C4〜8-シクロアルキルの例は、シクロペンチルおよびシクロヘキシルである。C7〜12-ビシクロアルキルの例は、2-ノルボルニルである。C5〜8-シクロアルケニルの例は、シクロヘキセニルである。アラルキルの例は、ベンジルおよび2-フェニルエチルである。アリールの例は、フェニル、1,3,5-トリアジニルまたはナフチルである。C1〜6-アルキルの例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、およびヘキシルである。C1〜6-アルコキシの例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、イソブトキシ、ペントキシおよびヘキソキシである。ハロゲンの例は、塩素および臭素である。C2〜14-アルキレンの例は、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、エチルエチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレンおよびオクタメチレンである。C4〜8-シクロアルキレンの例は、シクロペンチレンおよびシクロヘキシレンである。C4〜8-シクロアルケニレンの例は、シクロペンテニレンおよびシクロヘキシニレンである。アリーレンの例は、フェニレンである。
【0073】
好ましいC1〜30-アルキルはC1〜6-アルキルであり、好ましいC2〜30-アルケニルはC2〜6-アルケニルである。C2〜6-アルケニルの例は、ビニルおよびアリルである。
【0074】
さらにより好ましい酸誘導体は、硫酸のエステル、アミドおよびチオエステル誘導体である。特に好ましい酸誘導体は、硫酸のエステル誘導体、特に有機硫酸のエステル誘導体である。
【0075】
有機硫酸の例は、4-スチレンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、キシレンスルホン酸、フェノールスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ポリ(4-スチレンスルホン酸)および4-スチレンスルホン酸単位を含むコポリマー(ポリ(4-スチレンスルホン酸-コ-マレイン酸)など)である。
【0076】
有機硫酸の好ましいエステル誘導体は、OR1で置換された少なくとも1つのOH基を有する有機硫酸であり、ここで、R1はC1〜6-アルキルまたはC4〜8-シクロアルキルであり得、これらは非置換であるか、またはC1〜6-アルキルもしくはC(O)OC1〜6-アルキルで置換されていてもよい。有機硫酸の好ましいエステル誘導体はまた、O-A-O基で連結された2つの硫酸であり、ここで、AはC4〜8-シクロアルキレンである。好ましい有機硫酸は、p-トルエンスルホン酸である。
【0077】
有機硫酸のより好ましいエステル誘導体は、p-トルエンスルホン酸シクロヘキシル、p-トルエンスルホン酸2-メチルシクロヘキシル、p-トルエンスルホン酸メンチル、ジ-p-トルエンスルホン酸1,4-シクロヘキサンジオール、4-トシルシクロヘキサンカルボン酸エチルエステルおよびp-トルエンスルホン酸2,2-ジメチルプロピルである。
【0078】
酸誘導体は、市販のものであるか、または公知の方法により、例えば、触媒の存在下での好適なアルコールと好適なスルホニルクロリドとの反応により調製することができる。
【0079】
酸は、水中で25℃で10.0未満のpKaを有することができる。好ましくは、5.0未満のpKa、より好ましくは3.0未満のpKaを有する。
【0080】
好ましい酸は、硫酸、リン酸またはカルボン酸である。より好ましい酸は、硫酸である。最も好ましい酸は、有機硫酸である。
【0081】
アミンは、式NR7R8R9のものであり得、ここで、R7、R8およびR9は、同じかまたは異なり、水素、C1〜30-アルキル、C2〜30-アルケニル、C4〜8-シクロアルキル、C5〜8-シクロアルケニル、アラルキル、アラルケニルまたはアリールであり得、これらは非置換であるか、またはアミノおよび/もしくはヒドロキシで置換されていてよく、あるいは、R8とR9とが、アミンの窒素と一緒になって、5〜7員環を形成する。式NR7R8R9のアミンの例は、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、1,2-ジアミノプロパン、エタノールアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン、メラミン、ピロール、モルホリン、ピロリジンおよびピペリジンである。
【0082】
好ましくは、アミンは式NR7R8R9のものであり、ここでR7は水素であり、R8およびR9は同じかまたは異なり、水素、C1〜30-アルキル、C2〜30-アルケニル、C4〜8-シクロアルキル、C5〜8-シクロアルケニル、アラルキル、アラルケニルまたはアリールであり得、これらは非置換であるか、またはアミノおよび/もしくはヒドロキシで置換されていてもよく、あるいは、R8とR9とが、アミンの窒素と一緒になって、5〜7員環を形成する。
【0083】
より好ましくは、アミンは式NR7R8R9のものであり、ここでR7およびR8は水素であり、R9は水素、C1〜30-アルキル、C2〜30-アルケニル、C4〜8-シクロアルキル、C5〜8-シクロアルケニル、アラルキル、アラルケニルまたはアリールであり得、これは非置換であるか、またはアミノおよび/もしくはヒドロキシで置換されていてもよい。
【0084】
好ましい潜在的アクチベーターは、リン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム(例えば、Clariantから販売されているEXOLIT(登録商標) AP420)、亜硫酸アンモニウム、チオ硫酸アンモニウム、スルファミン酸アンモニウムおよび硫酸アンモニウムからなる群より選択される。好ましくは、潜在的アクチベーターは、リン酸アンモニウムおよび硫酸アンモニウムからなる群より選択される少なくとも1種である。
【0085】
本発明の組成物は、1種以上の発色剤に加えて、エネルギーへの曝露(exposition)に際して、着色物質を形成することが可能な第2のタイプの化合物(例えば、酸素含有遷移金属化合物)を含有することができる。
【0086】
酸素含有遷移金属化合物は、好ましくは、酸素含有クロム、モリブデンおよびタングステン化合物からなる群より選択される。
【0087】
酸素含有クロム、モリブデンおよびタングステン化合物の例は、酸化クロム、酸化モリブデンおよび酸化タングステン、モノ、ジおよびポリクロム酸、モリブデン酸およびタングステン酸アルカリ金属、モノ、ジおよびポリクロム酸、モリブデン酸およびタングステン酸アルカリ土類金属、モノ、ジおよびポリクロム酸、モリブデン酸およびタングステン酸アンモニウムならびにモノ、ジおよびポリクロム酸、モリブデン酸およびタングステン酸モノ、ジ、トリおよびテトラ-C1〜8-アルキルアンモニウム、ヘテロポリクロム酸、モリブデン酸およびタングステン酸アルカリ金属、ヘテロポリクロム酸、モリブデン酸およびタングステン酸アルカリ土類金属、ヘテロポリクロム酸、モリブデン酸およびタングステン酸アンモニウムならびにヘテロポリクロム酸、モリブデン酸およびタングステン酸モノ、ジ、トリおよびテトラ-C1〜8-アルキルアンモニウム、ペルオキソクロム酸、モリブデン酸およびタングステン酸アルカリ金属、ペルオキソクロム酸、モリブデン酸およびタングステン酸アルカリ土類金属、ペルオキソクロム酸、モリブデン酸およびタングステン酸アンモニウムならびにペルオキソクロム酸、モリブデン酸およびタングステン酸モノ、ジ、トリおよびテトラ-C1〜8-アルキルアンモニウム、ならびにヒドロキシル含有クロム酸、モリブデン酸およびタングステン酸である。
【0088】
C1〜8-アルキルの例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルおよび2-エチルヘキシルである。
【0089】
酸化クロム、酸化モリブデンおよび酸化タングステンの例は、酸化クロム(III)、酸化クロム(VI)、酸化モリブデン(IV)、酸化モリブデン(VI)、酸化タングステン(IV)および酸化タングステン(VI)である。
【0090】
モノ、ジおよびポリクロム酸、モリブデン酸およびタングステン酸アルカリ金属、モノ、ジおよびポリクロム酸、モリブデン酸およびタングステン酸アルカリ土類金属、モノ、ジおよびポリクロム酸、モリブデン酸およびタングステン酸アンモニウムならびにモノ、ジおよびポリクロム酸、モリブデン酸およびタングステン酸モノ、ジ、トリおよびテトラ-C1〜8-アルキルアンモニウムの例は、クロム酸アンモニウム、クロム酸カリウム、クロム酸マグネシウム、ジクロム酸アンモニウム、ジクロム酸ナトリウム、ジクロム酸カリウム、モリブデン酸アンモニム、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、モリブデン酸マグネシウム、モリブデン酸カルシウム、ジモリブデン酸アンモニウム、ヘプタモリブデン酸アンモニウム、オクタモリブデン酸アンモニウム、デカモリブデン酸アンモニウム、タングステン酸アンモニウム、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸カリウム、タングステン酸マグネシウム、タングステン酸カルシウム、メタタングステン酸アンモニウム、メタタングステン酸ナトリウムおよびパラタングステン酸アンモニウムである。
【0091】
ポリクロム酸塩、ポリモリブデン酸塩およびポリタングステン酸塩は、イソポリクロム酸塩、イソポリモリブデン酸塩およびイソポリタングステン酸塩とも呼ぶことができる。
【0092】
ヘテロポリクロム酸、モリブデン酸およびタングステン酸アルカリ金属、ヘテロポリクロム酸、モリブデン酸およびタングステン酸アルカリ土類金属、ヘテロポリクロム酸、モリブデン酸およびタングステン酸アンモニウムならびにヘテロポリクロム酸、モリブデン酸およびタングステン酸モノ、ジ、トリおよびテトラ-C1〜8-アルキルアンモニウムの例は、カウンターカチオンとして、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムもしくはアンモニウムまたはそれらの混合物を有する、[FeIII(Mo6O24)]9-、[TeVI(Mo6O24)]6-、[IVII(Mo6O24)]5-、[CrIII(Mo6O24H6)]3-、[MnIV(Mo9O32)]6-、[NiIV(Mo9O32)]6-、[(PV(Mo12O40)]3-、[(SiIV(Mo12O40)]4-、[(SIV(Mo12O40)]4-、[(CeIV(Mo12O42)]8-、[I(W6O24)]5-、[Te(W6O24)]6-、[P(W12O40)]3-および[Si(W12O40)]4-である。
【0093】
ヒドロキシル含有クロム酸、モリブデン酸およびタングステン酸の例は、水酸化クロム(III)、水酸化クロム(II)およびヘキサヒドロキシモリブデートである。
【0094】
酸素含有クロム、モリブデンまたはタングステン化合物は、市販されているか、または当技術分野で公知の方法により調製することができる。
【0095】
より好ましくは、酸素含有遷移金属化合物は、モノ、ジおよびポリクロム酸、モリブデン酸およびタングステン酸アルカリ金属、モノ、ジおよびポリクロム酸、モリブデン酸およびタングステン酸アルカリ土類金属、モノ、ジおよびポリクロム酸、モリブデン酸およびタングステン酸アンモニウムならびにモノ、ジおよびポリクロム酸、モリブデン酸およびタングステン酸モノ、ジ、トリおよびテトラ-C1〜8-アルキルアンモニウムからなる群より選択される。
【0096】
最も好ましくは、酸素含有遷移金属化合物は、モノ、ジおよびポリモリブデン酸およびタングステン酸アルカリ金属、モノ、ジおよびポリモリブデン酸およびタングステン酸アンモニウムならびにモノ、ジおよびポリモリブデン酸およびタングステン酸モノ、ジ、トリおよびテトラ-C1〜8-アルキルアンモニウムからなる群より選択される。モノ、ジおよびポリモリブデン酸およびタングステン酸アルカリ金属ならびにモノ、ジおよびポリモリブデン酸およびタングステン酸アンモニウムの例は、モリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、ジモリブデン酸アンモニウム、ヘプタモリブデン酸アンモニウム、オクタモリブデン酸アンモニウム、デカモリブデン酸アンモニウム、タングステン酸アンモニウム、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸カリウム、メタタングステン酸アンモニウム、メタタングステン酸ナトリウムおよびパラタングステン酸アンモニウムである。
【0097】
オクタモリブデン酸アンモニウム(AOM)の使用が、特に好ましい。AOMは、チャー形成化合物の色変化反応のための触媒としても見ることができる。さらに、発色系を誘起する触媒であることもあり、CO2レーザーのためのIR吸収剤である。
【0098】
酸素含有遷移金属化合物はまた、WO 2005/068207に記載されているような多数の種々の遷移金属およびその酸素含有酸化物および/または塩の混合物であってもよい。例えば、銅・モリブデンまたは銅・タングステン酸化物二成分金属塩を用いることができる。
【0099】
エネルギーへの曝露に際して、着色物質を形成することが可能な第2のタイプの化合物として、金属キレート型発色系を用いることができる。
【0100】
金属キレート型発色系は、系の構成要素の1つとして、高級脂肪酸の複塩を含むことができる。例は、ステアリン酸の鉄-亜鉛複塩、モンタン酸の鉄-亜鉛複塩、酸ワックス(acid wax)の鉄-亜鉛複塩、ベヘン酸の鉄-亜鉛複塩、ベヘン酸の鉄-カルシウム複塩、ベヘン酸の鉄-アルミニウム複塩、ベヘン酸の鉄-マグネシウム複塩、ベヘン酸の銀-カルシウム複塩、ベヘン酸の銀-マグネシウム複塩、ベヘン酸のカルシウム-アルミニウム複塩である(これらは、単独で、または他の複塩と共に用いられる)。
【0101】
これらの複塩と共に、多価ヒドロキシ芳香族化合物であるジフェニルカルバジド、ジフェニルカルバゾン、ヘキサメチレンンテトラミン、スピロベンゾピラン、1-ホルミル-4-フェニルセミカルバジドなどが、発色のために用いられる。
【0102】
さらに、本発明の組成物は、少なくとも1種のチャー形成化合物を含むことができる。チャー形成化合物は、エネルギー処理に際してチャーを形成する化合物である。一般的に、チャー形成化合物は、高炭素含量および高酸素含量のものである。
【0103】
チャー形成化合物の例は、単糖、二糖および多糖などの炭水化物、ならびにカルボニル基がヒドロキシル基に還元されているそれらの誘導体(いわゆる糖アルコール)である。
【0104】
単糖の例は、グルコース、マンノース、ガラクトース、アラビノース、フルクトース、リボース、エリスロースおよびキシロースである。二糖の例は、マルトース、セロビオース、ラクトースおよびサッカロースである。多糖の例は、セルロース、デンプン、アラビアガム、デキストリンおよびシクロデキストリンである。糖アルコールの例は、meso-エリスリトール、ソルビトール、マンニトールおよびペンタエリスリトールである。
【0105】
これらの化合物に加えて、マロネート、またはWO 2006/129078 A1に開示されているような部分式-CH(OH)CH(OH)CH(OH)COO-を有する化合物、例えばグルコネートまたはヘプトネート(heptonate)を用いることができる。さらに、WO 2006/129086 A1に開示されているようなアルギネート、例えばアルギン酸ナトリウムも用いることができる。
【0106】
好ましいチャー形成化合物は、単糖および二糖である。より好ましいチャー形成化合物は、サッカロースおよびガラクトースである。最も好ましいチャー形成化合物は、サッカロース(スクロースとも称される)である。
【0107】
さらに、コーティング組成物は、他のメカニズムに基づく他の色変化系を含んでもよい。
【0108】
本発明の水性組成物は、溶媒として、水および場合により有機溶媒を含む。最も好ましくは、溶媒は水のみである。
【0109】
有機溶媒の例は、C1〜4-アルカノール、C2〜4-ポリオール、C3〜6-ケトン、C4〜6-エーテル、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドンおよびスルホランであり、ここで、C1〜4-アルカノールおよびC2〜4-ポリオールはC1〜4-アルコキシで置換されていてよい。C1〜4-アルカノールの例は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールまたはブタノール、イソブタノール、sec-ブタノールおよびtert-ブタノールである。そのC1〜4-アルコキシ誘導体の例は、2-エトキシエタノールおよび1-メトキシ-2-プロパノールである。C2〜4-ポリオールの例は、グリコール、プロピレングリコールおよびグリセロールである。C3〜6-ケトンの例は、アセトンおよびメチルエチルケトンである。C4〜6-エーテルの例は、ジメトキシエタンおよびジエチレングリコールジメチルエーテルである。
【0110】
有機溶媒の好ましい例は、C1〜4-アルカノール、C3〜6-ケトン、C4〜6-エーテル、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドンおよびスルホランであり、ここで、C1〜4-アルカノールはC1〜4-アルコキシで置換されていてもよい。
【0111】
好ましくは、有機溶媒は、C1〜4-アルカノール、C2〜4-ポリオールおよびC3〜6-ケトンからなる群より選択され、ここで、C1〜4-アルカノールおよびC2〜4-ポリオールはC1〜4-アルコキシにより置換されていてよい。
【0112】
より好ましくは、有機溶媒は、C1〜4-アルカノールおよびC3〜6-ケトンからなる群より選択され、ここで、C1〜4-アルカノールはC1〜4-アルコキシにより置換されていてよい。
【0113】
本発明の組成物はまた、アクリル酸およびスチレン、ならびにα-メチルスチレン、アクリル酸エチルおよびアクリル酸2-エチルヘキシルからなる群より選択される少なくとも1種の追加のモノマーを含むアクリレート結合剤を含む結合剤も含む。「アクリル酸およびスチレン...を含む」とは、本明細書中では、これらのモノマーから誘導される反復単位を含むと理解される。
【0114】
本発明に従い用いられるアクリレート結合剤は、アクリレート結合剤の重量に基づいて、好ましくは1〜10重量%のアクリル酸、および20〜75重量%のスチレンを含む。α-メチルスチレンを用いる場合、アクリレート結合剤の重量に基づいて20〜50重量%の量で好ましくは用いられる。
【0115】
本発明の組成物は、ポリビニルアルコール結合剤をさらに含むことができる。ポリビニルアルコール結合剤としては、アクリル酸ポリビニルアルコール、部分的に加水分解された酢酸ポリビニル、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、ケイ素変性ポリビニルアルコールおよびスルホン化PVA、例えば、Nippon Gohseiにより製造されているGohseran L-3266が挙げられる。
【0116】
本発明の組成物は、他の追加の結合剤を含んでもよい。
【0117】
追加のポリマー性結合剤の例は、他のアクリル酸ポリマー、スチレンポリマーおよびその水素化生成物、ビニルポリマーおよびその誘導体、ポリオレフィンおよびその水素化またはエポキシ化生成物、アルデヒドポリマー、エポキシドポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、スルホン系ポリマーならびに天然ポリマーおよびその誘導体である。ポリマー性結合剤は、ポリマー性結合剤の混合物でもあり得る。それは、コーティング後のUV照射により上記で列挙されたポリマー性結合剤のうちの1つを形成する、好適な光開始剤と液体モノマーとの混合物であってもよい。この場合、モノマーは溶媒としての役割を有する。
【0118】
ポリウレタンは、少なくとも1種のジイソシアネートモノマーおよび少なくとも1種のポリオールモノマーおよび/またはポリアミンモノマーから形成されるポリマーであり得る。ジイソシアネートモノマーの例は、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよびジフェニルメタンジイソシアネートである。
【0119】
アクリル酸ポリマーは、少なくとも1種のアクリル酸モノマーから、または少なくとも1種のアクリル酸モノマーおよび少なくとも1種の他のエチレン性不飽和ポリマー(スチレンモノマー、ビニルモノマー、オレフィンモノマーまたはマレイン酸モノマーなど)から形成されるポリマーである。
【0120】
アクリル酸モノマーの例は、アクリル酸(メタクリル酸)もしくはその塩、アクリルアミド(メタクリルアミド)、アクリロニトリル(メタクリロニトリル)、アクリル酸(メタクリル酸)C1〜6-アルキル、例えば、アクリル酸(メタクリル酸)エチル、アクリル酸(メタクリル酸)ブチルまたはアクリル酸(メタクリル酸)ヘキシル、アクリル酸(メタクリル酸)2-エチルヘキシル、アクリル酸(メタクリル酸)置換C1〜6-アルキル、例えば、メタクリル酸グリシジルおよびメタクリル酸アセトアセトキシエチル、アクリル酸(メタクリル酸)ジ(C1〜4-アルキルアミノ)C1〜6-アルキル、例えば、アクリル酸ジメチルアミノエチルまたはアクリル酸ジエチルアミノエチルなど)、C1〜6-アルキルアミンから形成されるアミド、置換C1〜6-アルキルアミン、例えば、2-アミノ-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、アンモニウム塩、またはジ(C1〜4-アルキルアミノ)C1〜6-アルキルアミンおよびアクリル酸(メタクリル酸)ならびにそのC1〜4-アルキルハライド付加物である。
【0121】
スチレンモノマーの例は、スチレン、4-メチルスチレンおよび4-ビニルビフェニルである。ビニルモノマーの例は、ビニルアルコール、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルイソブチルエーテルおよび酢酸ビニルである。オレフィンモノマーの例は、エチレン、プロピレン、ブタジエンおよびイソプレンならびにそれらの塩素化またはフッ素化誘導体(テトラフルオロエチレンなど)である。マレイン酸モノマーの例は、マレイン酸、マレイン酸無水物およびマレイミドである。アクリル酸ポリマーの例は、ポリ(メチルメタクリレート)およびポリ(ブチルメタクリレート)ならびにカルボキシル化アクリル酸コポリマー(例えば、商品名Ciba(登録商標) Glascol(登録商標) LE15、LS20およびLS24としてCibaから販売されている)、スチレンアクリル酸コポリマー(例えば、商品名Ciba(登録商標) Glascol(登録商標) LS26およびCiba(登録商標) Glascol(登録商標) C44としてCibaから販売されている)、およびポリアクリル酸ポリマー(例えば、商品名Ciba(登録商標) Glascol(登録商標) E11としてCibaから、または商品名Joncryl(登録商標)としてBASF S.E.から(Joncryl(登録商標)90、Joncryl(登録商標)678、Joncryl(登録商標)682など)販売されている)である。
【0122】
スチレンポリマーは、少なくとも1種のスチレンモノマーおよび少なくとも1種のビニルモノマー、オレフィンモノマーおよび/またはマレイン酸モノマーから形成されるポリマーである。スチレンポリマーの例は、スチレンブタジエンスチレンブロックポリマー、スチレンエチレンブタジエンブロックポリマー、スチレンエチレンプロピレンスチレンブロックポリマーおよびスチレン-マレイン酸無水物コポリマーである。
【0123】
ビニルポリマーは、少なくとも1種のビニルモノマーから、または少なくとも1種のビニリモノマーおよび少なくとも1種のオレフィンモノマーもしくはマレイン酸モノマーから形成されるポリマーである。ビニルポリマーの例は、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニルおよびメチルビニルエーテル-マレイン酸無水物コポリマーである。その誘導体の例は、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコールおよびケイ素変性ポリビニルアルコールである。
【0124】
ポリオレフィンは、少なくとも1種のオレフィンモノマーから、または少なくとも1種のオレフィンモノマーまたはマレイン酸モノマーから形成されるポリマーである。ポリオレフィンの例は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエンおよびイソプロピレン-マレイン酸無水物コポリマーである。
【0125】
アルデヒドポリマーは、少なくとも1種のアルデヒドモノマーもしくはポリマーおよび少なくとも1種のアルコールモノマーもしくはポリマー、アミンモノマーもしくはポリマーおよび/または尿素モノマーもしくはポリマーから形成されるポリマーである。アルデヒドモノマーの例は、ホルムアルデヒド、フルフラールおよびブチラールである。アルコールモノマーの例は、フェノール、クレゾール、レゾルシノールおよびキシレノールである。ポリアルコールの例は、ポリビニルアルコールである。アミンモノマーの例は、アニリンおよびメラミンである。尿素モノマーの例は、尿素、チオ尿素およびジシアンジアミドである。アルデヒドポリマーの例は、ブチラールおよびポリビニルアルコールから形成されるポリビニルブチラールである。
【0126】
エポキシドポリマーは、少なくとも1種のエポキシドモノマーおよび少なくとも1種のアルコールモノマーおよび/またはアミンモノマーから形成されるポリマーである。エポキシドモノマーの例は、エピクロルヒドリンおよびグリシドールである。アルコールモノマーの例は、フェノール、クレゾール、レゾルシノール、キシレノール、ビスフェノールAおよびグリコールである。エポキシドポリマーの例は、エピクロルヒドリンおよびビスフェノールAから形成されるフェノキシ樹脂である。
【0127】
ポリアミドは、アミド基もしくはアミノ基およびカルボキシ基を有する少なくとも1種のモノマーから、または2つのアミノ基を有する少なくとも1種のモノマーおよび2つのカルボキシ基を有する少なくとも1種のモノマーから形成されるポリマーである。アミド基を有するモノマーの例は、カプロラクタムである。ジアミンの例は、1,6-ジアミノヘキサンである。ジカルボン酸の例は、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸および1,4-ナフタレン-ジカルボン酸である。ポリアミドの例は、ポリヘキサメチレンアジパミドおよびポリカプロラクタムである。
【0128】
ポリエステルは、ヒドロキシ基およびカルボキシ基を有する少なくとも1種のモノマーから、または2つのヒドロキシ基を有する少なくとも1種のモノマーおよび2つのカルボキシ基もしくは1つのラクトン基を有する少なくとも1種のモノマーから形成されるポリマーである。ヒドロキシ基およびカルボキシ基を有するモノマーの例は、アジピン酸である。ジオールの例は、エチレングリコールである。ラクトン基を有するモノマーの例は、カプロラクトンである。ジカルボン酸の例は、テレフタル酸、イソフタル酸および1,4-ナフタレンジカルボン酸である。ポリエステルの例は、ポリエチレンテレフタレートである。いわゆるアルキド樹脂も、ポリエステルポリマーに属するとみなされる。
【0129】
スルホン系ポリマーの例は、ポリアリールスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホンおよびポリスルホンである。ポリスルホンは、4,4’-ジクロロジフェニルスルホンおよびビスフェノールAから形成されるポリマーである。
【0130】
天然ポリマーの例は、デンプン、セルロース、ゼラチン、カゼインおよび天然ゴムである。誘導体の例は、酸化デンプン、デンプン-酢酸ビニルグラフトコポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびアセチルセルロースである。
【0131】
ポリマー性結合剤は当技術分野で公知であり、公知の方法により、例えば、好適なモノマーから開始する重合により製造することができる。好ましくは、モノマー混合物は、アクリル酸モノマー、スチレンモノマー、ビニルモノマー、オレフィンモノマーまたはα,β-不飽和カルボン酸モノマーなどのエチレン性不飽和モノマーを含む。
【0132】
モノマー混合物の重合は、好適な開始剤の添加により達成することができる。開始剤は、例えば、過酸化物、過硫酸塩、アゾ化合物、レドックス対またはそれらの混合物であり得る。過酸化物の例は、過酸化水素、tert-ブチルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドおよび過酸化ベンゾイルである。過硫酸塩の例は、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムまたは過硫酸カリウムである。アゾ化合物の例は、2,2-アゾビスイソブチロニトリルおよび4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)である。レドックス対の例は、tert-ブチル過酸化水素/亜硫酸ナトリウム、過硫酸ナトリウム/亜硫酸水素ナトリウムまたは塩素酸ナトリウム/亜硫酸水素ナトリウムである。
【0133】
好ましくは、追加のポリマー性結合剤は、アクリル酸ポリマー、スチレンポリマー、ビニルポリマーおよびそれらの誘導体、ポリオレフィン、ポリウレタンおよび天然ポリマーならびにそれらの誘導体からなる群より選択される。
【0134】
より好ましくは、ポリマー性結合剤は、例えば、商品名Ciba(登録商標) Glascol(登録商標)としてCibaから販売されているアクリル酸ポリマー(Ciba(登録商標) Glascol(登録商標) LE15、LS26、E11またはC44など)である。Ciba(登録商標) Glascol(登録商標) LS26は、70重量部の55/45(w/w)スチレン/アクリル酸2-エチルヘキシルコポリマー(コアポリマーとして機能する)および30重量部のスチレン/アクリル酸コポリマー(シェルポリマーとして機能する)からなるコアシェルポリマーである。
【0135】
酢酸ビニル、ブタジエン、アクリル酸およびスチレンのホモポリマーおよびコポリマーに基づく好適な結合剤は、商品名LATEXIA(登録商標)としてCiba(登録商標)から販売されている。
【0136】
上述のGlascol(登録商標)結合剤およびJoncryl(登録商標)結合剤(商品名Joncryl(登録商標)としてBASFから販売されているJoncryl(登録商標)90、Joncryl(登録商標)678、Joncryl(登録商標)682など)が最も好ましい。
【0137】
本発明のレーザー感受性組成物は、追加の成分を含むことができる。コーティング組成物中に含有させることができる追加の成分は、組成物の性能を向上させるのに好適ないずれかの成分であり得る。追加の成分は、入射エネルギーを吸収し、かつこのエネルギーを熱的またはその他の様式で系へ転移させることができる成分(UV吸収剤またはIR吸収剤)であり得る。組成物の性能を向上させる他のタイプの追加の成分の例は、触媒(アクチベーターとも称される)、顔料、安定化剤、抗酸化剤、レオロジー調整剤、湿潤剤、殺生物剤、発煙抑制剤、チャー形成化合物、可塑剤、ワックス、接着促進剤、消泡剤、界面活性剤、表面改質剤、pH調整剤およびタガント(taggant)である。タガントは、その製造元を示すために製品に付加される種々の物質である。
【0138】
UV吸収剤の例は、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノンである。
【0139】
IR吸収剤は、有機または無機であり得る。有機IR吸収剤の例は、アルキル化トリフェニルホスホロチオネート(例えば、商品名Ciba(登録商標) Irgalube(登録商標)211として販売されている)またはカーボンブラック(例えば、商品名Ciba(登録商標) Microsol(登録商標) Black 2BまたはCiba(登録商標) Microsol(登録商標) Black C-E2として販売されている)である。
【0140】
無機IR吸収剤の例は、銅、ビスマス、鉄、ニッケル、スズ、亜鉛、マンガン、ジルコニウムおよびアンチモンなどの金属の酸化物、水酸化物、硫化物、硫酸塩およびリン酸塩であり、酸化アンチモン(V)ドープ雲母および酸化スズ(IV)ドープ雲母が挙げられる。
【0141】
触媒は、顕色剤と発色化合物との間の反応を触媒することにより、感度を上昇させる化合物である。
【0142】
無機IR吸収剤として、撮像されない領域と撮像される領域とのコントラストを強調するために、またはセキュリティー機能として、顔料を添加することができる。
【0143】
無機IR吸収剤として機能する顔料の例は、カオリン、焼成カオリン、雲母、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、タルク、非晶質シリカおよびコロイド状二酸化ケイ素である。
【0144】
撮像されない領域と撮像される領域とのコントラストを強調するために添加することができる顔料の例は、二酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、水酸化アルミニウム、タルク、酸化亜鉛、非晶質シリカ、硫酸バリウム、ポリスチレン樹脂、尿素-ホルムアルデヒド樹脂、中空プラスチック顔料およびそれらの混合物である。
【0145】
セキュリティー機能として添加することができる顔料の例は、蛍光顔料または磁性顔料である。
【0146】
レオロジー調整剤の例は、キサンタンガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、または商品名Ciba(登録商標) Rheovis(登録商標)112、Ciba(登録商標) Rheovis(登録商標)132およびCiba(登録商標) Rheovis(登録商標)152として販売されているものなどのアクリル酸ポリマーである。
【0147】
湿潤剤の例は、Ciba(登録商標) Irgaclear(登録商標)D(ソルビトールベースの清浄化剤)、商品名Surfynol(登録商標)としてAir Productsから販売されているアセチレンジオールおよび誘導体である。
【0148】
殺生物剤の例は、Acticide(登録商標) MBS(クロロメチルイソチアゾリノンおよびメチルイソチアゾリノンの混合物を含有する)、Biocheck(登録商標) 410(2-ジブロモ-2,4-ジシアノブタンと1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンとの組み合わせを含有する)、Biochek(登録商標)721M、Metasol(登録商標)TK100(2-(4-チアゾリル)-ベンズイミダゾールを含有する)である。
【0149】
発煙抑制剤の例は、オクタモリブデン酸アンモニウムである。
【0150】
本発明のコーティング組成物により形成されるコーティングは、積層レイヤーまたは刷り重ねコーティングでコーティングすることができる。積層レイヤーまたは刷り重ねワニスの材料を、それが撮像レーザーの波長で吸収しないように選択した場合、レーザー感受性コーティングは、積層にダメージを与えるかまたは積層にマーキングすることなく、積層レイヤーを通して撮像することができる。また、積層または刷り重ねワニスを理想的に選択して、エネルギー処理の前にコーティングの発色が起こらないようにする。
【0151】
好ましくは、本発明のコーティング組成物は、組成物全体の重量に基づいて、1〜50重量%、好ましくは1〜40重量%、より好ましくは1〜20重量%、最も好ましくは1〜10重量%の発色剤を含む。
【0152】
好ましくは、本発明のコーティング組成物は、組成物全体の重量に基づいて、1〜80重量%、好ましくは1〜40重量%、より好ましくは2〜20重量%の顕色剤を含む。
【0153】
好ましくは、本発明のコーティング組成物はまた、組成物全体の重量に基づいて、0〜30重量%、好ましくは0〜20重量%、より好ましくは0〜15重量%、最も好ましくは0〜5重量%の、エネルギーへの曝露(exposition)に際して着色物質を形成することが可能な第2の化合物を含む場合もある。
【0154】
好ましくは、本発明の組成物は、組成物全体の重量に基づいて、10〜95重量%、好ましくは20〜95重量%、より好ましくは30〜95重量%、最も好ましくは40〜85重量%の溶媒を含む。
【0155】
好ましくは、本発明の組成物は、組成物全体の重量に基づいて、1〜80重量%、好ましくは1〜60重量%、より好ましくは5〜60重量%、最も好ましくは10〜50重量%のポリマー性結合剤を含む。
【0156】
本発明の組成物は、組成物全体の重量に基づいて、0〜30重量%、好ましくは0〜20重量%、より好ましくは0〜10重量%、最も好ましくは0〜5重量%の追加の成分を含むことができる。
【0157】
したがって、好ましくは、本発明の組成物は、組成物全体の重量に基づいて、1〜10重量%の発色剤、2〜20重量%の顕色剤、0〜30重量%のエネルギーへの曝露に際して着色物質を形成することが可能な第2の化合物、40〜80重量%の溶媒、10〜50重量%のポリマー性結合剤、および0〜30重量%の追加の成分からなる。
【0158】
本発明の非常に好ましい実施形態では、コーティング組成物は、
1〜10重量%の3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン(例えば、Pergascript(登録商標) Black 2C)、
2〜20重量%の顕色剤(特に、N-(p-トルエンスルホニル)-N’-3-(p-トルエンスルホニルオキシフェニル)尿素(例えば、Ciba(登録商標) Pergafast(登録商標)201)または1,1’-オキソビス(2-クロロエタン)とのフェノール,4,4’-スルホニルビス-ポリマー)、および
10〜50重量%のポリマー性結合剤(特に、コアとシェルの両方がスチレンアクリルコポリマーを含むコアシェルポリマー)
を含む。
【0159】
好ましい実施形態では、本組成物は、0〜10重量%の硫酸アンモニウムおよび0〜10重量%のリン酸水素二アンモニウムを含有する。
【0160】
任意により、本組成物は好ましくは0.1〜2重量%のキサンタンガム増粘剤を含む。
【0161】
さらに、本発明は、本発明の組成物の製造方法に関し、該方法は、1〜5の範囲内の重量比の発色剤および顕色剤;アクリル酸およびスチレンを含むアクリレート結合剤;および/またはポリビニルアルコール結合剤;ならびにα-メチルスチレン、アクリル酸エチルおよびアクリル酸2-エチルヘキシルからなる群より選択される少なくとも1種の追加のモノマーを含む結合剤を混合するステップを含み、ここで、発色剤および/または顕色剤は封入されていない形態で存在する。
【0162】
また、本発明の一部は、本発明の組成物でコーティングされた基材である。
【0163】
基材は、シートまたはいずれかの他の三次元形状物体であり得、透明または半透明であってもよく、均一な表面または不均一な表面を有することができる。不均一な表面を有する基材の例は、セメントの紙袋などの充填された紙袋である。基材は、紙、ボール紙、金属、木材、布、ガラス、磁器および/またはポリマーから製造することができる。基材はまた、医薬錠剤または食品でもあり得る。ポリマーの例は、テレフタル酸ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、二軸延伸ポリプロピレン、ポリエーテルスルホン、ポリ塩化ビニル、ポリエステルおよびポリスチレンである。好ましくは、基材は、紙、ボール紙またはポリマーから製造される。
【0164】
好ましい実施形態では、コーティングの厚みは、0.1〜1000μmの範囲内である。より好ましくは、1〜500μmの範囲内である。さらにより好ましくは、1〜200μmの範囲内である。最も好ましくは、1〜120μmの範囲内である。
【0165】
別の好ましい実施形態では、コーティング量は0.5〜20g/m2の範囲内であり、より好ましくは1〜12g/m2の範囲内であり、さらにより好ましくは1〜5g/m2の範囲内である。
【0166】
本発明の別の態様は、コーティングされた基材の製造方法であって、該方法は、本発明の組成物で基材をコーティングするステップを含む。
【0167】
バーコーター塗布(bar coater application)、回転塗布、噴霧塗布、カーテン塗布、浸漬塗布、空気塗布、ナイフ塗布、ブレード塗布またはロール塗布などの標準的なコーティング塗布を用いることにより、基材を本発明の組成物でコーティングすることができる。シルクスクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷およびフレキソ印刷などの種々の印刷方法によっても、組成物を基材に塗布することができる。基材が紙である場合、抄紙機のサイズプレスにおいて、またはウェットエンドで組成物を塗布することもできる。
【0168】
コーティング組成物は、例えば周囲温度または上昇温度で乾燥させることができる。上昇温度は、エネルギーへの曝露の前にイメージ形成を回避するために理想的には選択される。
【0169】
形成されるコーティング層は、積層レイヤーまたは刷り重ねワニスとともにトップコーティングすることができ、これは、マーキングプロセス中の発色を低減させる。撮像レーザーの波長で吸収しないように積層レイヤーまたは刷り重ねワニスの材料を選択すれば、積層にダメージを与えるかまたはマーキングすることなく、積層レイヤーを通してレーザー感受性コーティング層を撮像することができる。また、エネルギー処理の前にレーザー感受性コーティング層の発色が起こらないように、積層または刷り重ねワニスを理想的に選択する。
【0170】
基材のコーティング後、基材のコーティング側または非コーティング側に粘着剤を塗布することができる。
【0171】
マーキングした基材は、(i)本発明の組成物でコーティングした基材を準備するステップ、および(ii)マーキングが所望されるコーティングした基材の一部分をレーザー照射に曝露して、マーキングを生成するステップを含む方法により製造することができる。
【0172】
通常は、ステップ(i)の基材のコーティング側をレーザー照射に曝露する。しかしながら、基材が透明である場合、非コーティング側をレーザー照射に曝露することもできる。
【0173】
レーザー照射は、紫外線、可視光または赤外線レーザー照射であり得る。好ましくは、レーザー照射は赤外線レーザー照射である。
【0174】
赤外線レーザー照射は、CO2レーザー、Nd:YAGレーザーおよびIR半導体レーザーなどの好適なレーザーにより行なうことができる。10,600nmの波長でのCO2レーザーを用いた照射が、特に好ましい。
【0175】
典型的には、IRレーザーの正確な出力およびマーキング速度は、アプリケーションにより決定され、マーキングを生成するのに十分なように選択される。
【0176】
本発明の一部はまた、マーキングされた基材の製造方法であり、該方法は、(i)本発明の組成物で基材をコーティングするステップ、および(ii)マーキングが所望されるコーティングした基材の一部分をエネルギーに曝露して、マーキングを生成するステップを含む。
【0177】
エネルギーは、熱またはいずれかの他のエネルギーであり得、本発明の組成物でコーティングされた基材に適用したときにマーキングが得られるものである。そのようなエネルギーの例は、UV照射、IR照射、可視光照射またはマイクロ波照射である。
【0178】
いずれかの好適な様式で、コーティングした基材にエネルギーを適用することができ、例えば、熱は感熱式プリンターを用いることにより適用することができ、UV照射、可視光照射およびIR照射はUV、可視光またはIRレーザーを用いることにより適用することができる。IRレーザーの例は、CO2レーザー、Nd:YAG(ネオジム-イットリウム-アルニミウムガーネット)レーザーおよびIR半導体レーザーである。
【0179】
好ましくは、エネルギーはIR照射である。より好ましくは、エネルギーは、780〜1,000,000nmの範囲内の波長を有するIR照射である。さらにより好ましくは、エネルギーは、CO2レーザーまたはNd:YAGレーザーにより生成されるIR照射である。最も好ましくは、エネルギーは、10,600nmの波長を有するCO2レーザーにより生成されるIR照射である。
【0180】
典型的には、IRレーザーの正確な出力および走査速度はアプリケーションにより決定され、イメージを生成するのに十分なように選択され、例えば、IRレーザーの波長が10,600nmであり、レーザービームの直径が0.35mmである場合、出力は典型的には0.5〜4Wであり、マーキング速度は典型的には300〜1,000mm/sである。
【0181】
本発明のさらに別の態様は、上記の方法により取得されるマーキングされた基材である。
【0182】
本発明の組成物は、多数の利点を有する。本発明の組成物は、良好な保存安定性を有し、レーザーにより照射されたときに高コントラストの着色マーキングをもたらす高い透明性のコーティングを提供する。組成物は、コーティングまたはインクとして用いることができる。照射エネルギーをコーティングした基材に適用した場合、目に見える煙は発生せずに、高コントラストのマーキングが得られる。さらに、本発明の組成物によって、色変化活性成分を高負荷で用いることができ、非常に低いコーティング量(2〜3g/m2乾燥)が塗布されるグラビア印刷およびフレキソ印刷で用いられる、これらのコーティングの塗布が可能となる。
【0183】
本発明の組成物は、透明な、いずれかの所望の色の高コントラスト着色イメージを簡便に作製することができるという利点を有する。この点で、本発明のコーティング組成物は、本発明の組成物(例えば、結合剤、添加剤等の組成物)中で用いられる全ての成分の量および種類を調節することにより、システムの調整を可能にし、最大性能がもたらされる。さらに、本発明の組成物は、長期の保存に際して、かつ/または温度が上昇しても、良好な安定性を示す。
【実施例】
【0184】
コーティング組成物の調製
実施例1〜30のレーザー活性コーティングの組成を、表1に示す。全ての組成物が、ニュートン流動挙動を示す。組成物の色は、実施例のほとんどについてややオフホワイトがかっている。
【0185】
アクリレート結合剤(結合剤A1)の調製
機械的スターラー、濃縮機、窒素注入口、温度プローブおよびフィード注入口を備えた1リットルの樹脂ポットに、98.9gの水および483.9gのJoncryl(登録商標)8078(BASF SEにより販売されている、低分子量(約8000g/mol)のスチレンアクリル酸コポリマーのアンモニウム塩溶液)を入れる。内容物を85℃に加熱し、窒素で30分間脱気する。192.5gのスチレンと157.5gのアクリル酸2-エチルヘキシルを混合することにより、モノマー相を調製する。1.97gの過硫酸アンモニウムを63.7gの水に溶解することにより、開始剤供給物を調製する。反応器が所定の温度になり、脱気されたら、0.66gの過硫酸アンモニウムを反応器に添加する。2分後、モノマー供給物及び開始剤供給物について、それぞれ3時間および4時間の供給を適切に開始する。反応器の内容物を、供給中、85℃に維持する。供給が完了した後、反応器の内容物を、さらに1時間85℃で保持し、続いて40℃未満まで冷却し、ここで0.9gのActicide LG(塩素化および非塩素化メチルイソチアゾロンを含有する殺生物剤)を添加する。これにより、49.2%の固体で、pH8.3および1100cPsのBrrokfield RVT粘度のエマルジョンポリマーが得られる。
【0186】
水性分散液A(25重量%発色剤)の調製
6gの3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン(発色剤B2、例えば、Ciba(登録商標) Pergascript(登録商標) Black 2C)、12gのPoval 203の10%溶液(Kuraray Co. Ltd.により製造されている部分的に加水分解されたPVA)、5.8gの水および0.18gの20%Surfynol(登録商標) 104(Air Products & Chemicals Inc.により製造されている湿潤剤;イソプロピルアルコール中の溶液)を混合し、平均粒径約1ミクロンまで粉砕する。
【0187】
水性分散液B(25重量%顕色剤)の調製
6gのN-(p-トルエンスルホニル)-N’-3-(p-トルエンスルホニルオキシフェニル)尿素(顕色剤D1;例えば、Ciba(登録商標) Pergafast(登録商標) 201)、4gのPVAの10%溶液(Poval 203)、13.6gの水および0.40gのHuntsman(登録商標) Dehscofix(登録商標) 930分散剤の45%溶液を混合し、平均粒径約1ミクロンまで粉砕する。
【0188】
水性分散液C(顕色剤)の調製
24gの水性分散液Cを得るために、以下の成分を混合し、平均粒径約1μmまで、30.0gのガラスビーズと共に粉砕した:
12.0g Pergafast(登録商標) 201、
1.25g Joncryl(登録商標) 678 (32重量%水溶液;アンモニアで中和)、
0.40g Huntsman(登録商標) Dehscofix(登録商標) 930分散剤45%溶液、および
10.35g 水。
【0189】
水性分散液D(発色剤)の調製
24.0gの水性分散液Dを得るために、以下の成分を混合し、平均粒径約1μmまで、30.0gのガラスビーズと共に粉砕した:
12.0g Pergascript(登録商標) Black 2C、
3.75g Joncryl(登録商標) 678 (32重量%溶液)、
0.20g Surfynol(登録商標) 104 (イソプロピルアルコール中20%)、および
8.05g 水。
【0190】
実施例1:
コーティング組成物の調製
2.85gの分散液A、4.5gの分散液B、8.85gの結合剤A1および18.9gの水を混合し、10分間撹拌して、表1に示した組成を有する白色のレーザー活性コーティング分散液を作製する。
【0191】
実施例2〜30
実施例2〜7の組成物は、異なる量の反応物を用いて表1に示した組成に到達した点を除いて、実施例1と同様に作製した。各場合で、レーザー活性コーティング分散液を得た。
【0192】
実施例8〜10の組成物は、6gのN-(p-トルエンスルホニル)-N’-3-(p-トルエンスルホニルオキシフェニル)尿素に代えて顕色剤D-90を用いた点を除いて、実施例1と同様に作製した。異なる量の反応物を用いて表1に示した組成に到達した。各場合で、レーザー活性コーティング分散液が得られた。
【0193】
実施例11〜30の組成物は、異なる顕色剤、発色剤および結合剤を所定量用いて表1に示した組成に到達した点を除いて、実施例1と同様に作製した。各場合で、レーザー活性コーティング分散液が得られた。
【0194】
実施例30a〜30c
実施例30a〜30bの組成物は、異なる発色剤を所定量用いて表1に示した組成に到達した点を除いて、実施例1と同様に作製する。各場合で、レーザー活性コーティング分散液が得られる。
【0195】
表1では、以下の略語を用いている;
3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン(発色剤B1;例えば、Ciba(登録商標) Pergascript(登録商標) Black 1C)
3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン(発色剤B2;例えば、Ciba(登録商標) Pergascript(登録商標) Black 2C)
Ciba(登録商標) Latexia(登録商標) 319 (結合剤A4)は、固体含量50%、粒径0.12μm、ガラス転移温度Tg 28℃のスチレンブタジエン格子である。Ciba(登録商標) Latexia(登録商標) 318(結合剤A3)は、固体含量50%、粒径0.12μm、ガラス転移温度Tg 22℃のスチレンブタジエン格子である。Ciba(登録商標) Latexia(登録商標) 302(結合剤A2)は、固体含量50%、粒径0.15μm、ガラス転移温度Tg 10℃のスチレンブタジエン格子である。
【0196】
3-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン(発色剤B4;例えば、Yamada Chemical Co. Ltd.により製造されているBlack ETAC)
3-ジ-n-ペンチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン(発色剤B5;例えば、Yamada Chemical Co. Ltd.により製造されているBlack 305)
3-(N-メチル-N-プロピルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン(発色剤B6;例えば、Nippon Sodaにより製造されているBlack PSD 300)
3-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン(発色剤B7、商品名S 205としてYamada Chemical Companyにより販売されている)
1,1’-オキソビス(2-クロロエタン)とのフェノール,4,4’-スルホニルビス-ポリマー(例えば、 商品名D90としてNippon Sodaにより販売されている)(顕色剤D2)
ビスフェノールA(顕色剤D3)
4,4’-ヒドロキシ-ビスフェノールスルホン(顕色剤D4)
ポリペンタエリスリトール化合物の4-ヒドロキシ安息香酸誘導体(CAS番号378244-93-0、例えば、商品名K5としてAsahi Denka Kogyoにより販売されている)(顕色剤D5)
4,4’-ビス(p-トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン)(例えば、商品名B-TUMとして販売されている)(顕色剤D6)
カルバミン酸, N,N’-[スルホニルビス[4,1-フェニレンイミノカルバニルイミノ(メチルフェニレン)]]ビス-, C,C’-ジフェニルエステル(Asahi Denka Kogyoにより商品名UUとして販売されている)(顕色剤D7)
Latexia(登録商標) 302S(結合剤A2)
Latexia(登録商標) 707(結合剤A5)
Joncryl(登録商標) 682(結合剤A6)
Carboset GA2236(結合剤A7)
【0197】
実施例31
インク(インクB)の調製
100.0gのインクを得るために、以下の成分を混合し、白色の分散液を得た:
11.0g 分散液D
22.0g 分散液C
5.9g アンモニア中和Joncryl(登録商標) 678
5.0g Formapol FP383ワックス(Formulated Polymer Products Ltd.により販売されている)(56.1gのJoncryl(登録商標) 90中に懸濁されている)
【0198】
続いて、このインクを、K-bar 0を用いて、3g/m2の乾燥コーティング量で白色ボード上にコーティングし、CO2 IRレーザー(出力0.5W、速度1000mm/秒)を用いて撮像し、煙を発生させずに、高コントラストの黒色イメージを得る。
【0199】
このインクを、K-bar 1を用いて、約3g/m2の乾燥コーティング量でTambrite白色ボード(Stora Ensoにより製造されている)上にもコーティングする。続いて10WのCO2レーザー(強度40%、速度8000mm/秒の設定で)を用いて撮像し、高コントラストの黒色イメージを得る。
【0200】
実施例32
インク(インクC)の調製
水性分散液E(50重量%発色剤)の調製
50gの3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン(発色剤B2、例えば、Ciba(登録商標) Pergascript(登録商標) Black 2C)、25gのMowiol 4-88の10%溶液(Kuraray Co. Ltd.により製造されている部分的に加水分解されたPVA)、24.8gの水および0.2gのSurfynol(登録商標) 104粉末(Air Products & Chemicals Inc.により製造されている湿潤剤)を混合し、平均粒径約1ミクロンまで粉砕する。
【0201】
水性分散液F(50重量%顕色剤)の調製
50gのN-(p-トルエンスルホニル)-N’-3-(p-トルエンスルホニルオキシフェニル)尿素(顕色剤D1;例えば、Ciba(登録商標) PergafastTM 201)、25gのPVA(Mowiol 4-88)10%溶液および25gの水を混合し、平均粒径約1ミクロンまで粉砕する。
【0202】
100.0gのインクを得るために、以下の成分を混合し、白色エマルジョンを得た:
11.0g 分散液E
22.0g 分散液F
5.9g 32%アンモニア中和Joncryl(登録商標) 678水溶液
5.0g Formapol FP383ワックス(Formulated Polymer Products Ltd.により販売されている、56.1gのJoncryl(登録商標) 90中に懸濁されている)
【0203】
続いてこのインクを、K-bar 0を用いて、3g/m2の乾燥コーティング量で白色ボード上にコーティングし、CO2 IRレーザー(出力0.5W、速度1000mm/秒)を用いて撮像し、煙を発生させずに、高コントラストの黒色イメージを得る。
【表1】

【0204】

【0205】
実施例33
白色インクの調製
50gのインクを得るために、
10.0gのTioxide R-XL(Huntsmanにより製造されている二酸化チタン)を、
16.5g Joncryl(登録商標) 90および
2.5g水
中に懸濁された
2.55g Joncryl(登録商標) 8078および
1.55g Formapol FP383 ワックスおよび
0.1g Tego(登録商標) Foamex 810(Evonik Tego Chemie GmbHにより製造されている) の中に混合し、白色のベースインクを作製する。
【0206】
このベースインクに、以下の分散液を撹拌しながら加える:
11.2g 分散液Cおよび
5.6g 分散液D
【0207】
レーザー活性成分を含むわずかにオフホワイトのレーザー活性インクが得られる。
【0208】
インクを、K-bar 1を用いて、約3g/m2の乾燥コーティング量でTambrite白色ボード(Stora Ensoにより製造されている)上にコーティングする。続いて10WのCO2レーザー(強度40%、速度8000mm/秒の設定で)を用いて撮像し、高コントラストの黒色イメージを得る。
【0209】
実施例34〜39
実施例34〜39の組成物を、顕色剤分散液と発色剤分散液の異なる組み合わせを、表2に示した組成に到達するために必要な量で用いる点を除いて、実施例31と同様に作製する。残りの成分の量は、実施例31に記載されているのと同じである。各場合で、安定なレーザー活性コーティング分散液が得られる。
【0210】
表2では、以下の追加の略語を用いている:
2,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン(顕色剤D8、ABCR GmbHから購入)
1,1,3-トリ(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-6-メチルフェニル)ブタン(抗酸化剤特性を有する顕色剤D9、Aceto Corpから購入)
【0211】
上記のインクを、K-bar 1を用いて、約3g/m2の乾燥コーティング量でTambrite白色ボード(Stora Ensoにより製造されている)上にコーティングする。続いて10WのCO2レーザー(強度40%、速度8000mm/秒の設定で)を用いて撮像する(実施例35についてはレーザー設定は強度20%、速度4000mm/秒)。高コントラストの黒色イメージが生成される。
【表2】

【0212】
調合物安定性
全ての実施例の組成物は、安定である。長期保存に際して起こり得るいかなる沈殿も、増粘剤(例えば、キサンタンガム)の使用によって、または非常に粘稠な結合剤(Joncryl(登録商標)またはPoval 203など)の量を増やすことによって、容易に克服することができる。インクの沈殿はよく知られており、受け入れられていて、通常は、単に使用前に撹拌することによって対処されている。本明細書中に記載された組成物、特に、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン(例えば、Ciba(登録商標) Pergascript(登録商標) Black 2C)および3-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン(例えば、商品名ETACとしてYamada Chemical Companyにより販売されている)に基づく組成物は、40℃での1ヵ月間の保存後に変色を示さず、コーティングされた基材のマーキング性能は、保存前のものと変わらなかった。
【0213】
比較実施例
比較実施例C1(研究発表IPCOM000166609D)
上記の研究発表の実施例3を反復した。発色剤分散液と顕色剤分散液の両方について平均粒径1.0μmを用いた場合(例えば、本発明の実施例31についてのように)、粘度の高いインク(コーティングには適さない)が得られる。平均粒径1.5μmを用いて実験を反復し、それにより、比較的粘度が高いが、コーティング可能なインクが得られる。
【0214】
組成は以下の通りである:
30g 3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン(発色剤B2)
60g N-(p-トルエン-スルホニル)-N’-3-(p-トルエンスルホニルオキシフェニル)尿素(顕色剤D1)
180g 49重量%アクリル酸コポリマーエマルジョンCarboset(登録商標) GA-2236(結合剤A7)
30g 水
【0215】
上記のインクの乾燥したコーティングは、活性成分に関して以下の組成を有する:
発色剤B2:16.8%
顕色剤D1:33.7%
結合剤A7:49.5%
【0216】
比較実施例C2
(結合剤と発色活性成分との比において比較実施例C1に従うように再編した本発明の実施例31)
本発明の実施例31を、結合剤と発色活性成分との比が同様であるインクが得られるように再処方した。しかし、分散液DおよびCの平均粒径は、比較実施例C1に従うように1.5μmに変更した。比較実施例C1よりもやや粘度の低い、良好にコーティング可能なインクが得られる。両方の分散液について粒径1.0μmを用いても、良好にコーティング可能なインクがもたらされる。粒径1.5μmの分散液を用いたインクを、比較実施例C2での塗布比較に用いた。
【0217】
組成は以下の通りである:
60g 分散液D(発色剤B2)
120g 分散液C(顕色剤D1)
32.2g Joncryl(登録商標) 678(32重量%水溶液、アンモニアで中和)
165.7g Joncryl(登録商標) 90(44%水溶液)
27.3g Formapol FP383ワックス(20%水溶液)
【0218】
上記のインクの乾燥したコーティングは、活性成分に関して以下の組成を有する:
発色剤B2:16.3%
顕色剤D1:32.7%
Joncryl(登録商標) 678:8.3%(分散液に用いた量を含む)
Joncryl(登録商標) 90:39.7%
Formapol FP383ワックス:3.0%
結合剤(ワックスを除く)の総量は、48.0%である。
【0219】
基材としての紙およびポリマーフィルム上へのコーティング組成物の塗布
コーティングされた基材の評価
本発明に従って製造されたコーティング基材を、以下に記載するように評価する。評価の結果を、表3〜6にまとめてある。
【0220】
上記実施例1〜30cおよび31のコーティング組成物を、サンプルの粘度に合わせた適切な寸法のコーティングバーにより、基材としてのゼロックス紙(M-Real, Biberist, Switzerlandから購入したコーティングされた「Cento Copy」紙)とポリエステルフィルム上にそれぞれ塗布する。乾燥後、コーティング量3〜10g/m2の透明なコーティングが得られる。続いて、CO2 IRレーザー(波長:10,600nm、出力:0.5〜4W、レーザービーム直径:0.35mm、マーキング速度:300〜1000mm/秒)を用いてコーティングを撮像し、黒色の高コントラストのマーキングを得る。イメージの性質に従って精密に調整されたエネルギーおよびマーキング速度を用いると、煙が発生することなく、十分に読み取り可能なイメージが達成される:例えば、実施例6を用いたゼロックス紙上のコーティング量5g/m2のコーティングは、1Wに設定されたレーザーエネルギーおよび1000mm/秒のマーキング速度で文章を書いた場合、または1000mm/秒のマーキング速度で0.5Wのエネルギーを用いて、直径1cmの黒色円を描いた場合、煙を発生しない。
【0221】
実施例31〜39の組成物を、対応する説明に記載されているように塗布する。実施例31および33〜39の撮像は、異なるCO2 IRレーザーを用いて行なう(波長10,600nm、公称出力10W、レンズの焦点距離150mm、強度および速度の設定は実施例中に示されている通り)。煙が発生することなく、高コントラストの黒色イメージが達成される。
【0222】
実施例31および33〜39についてのバックグラウンド安定性およびイメージ安定性の結果は、それぞれ表5および6に示してある。
【0223】
ポリエステルおよびポリプロピレンフィルム上の塗布は、同様に良好なマーキング結果を示す。
【0224】
イメージおよびバックグラウンド安定性の評価
コーティングした所定のゼロックス紙についてのイメージおよびバックグラウンド安定性の結果は、表3および4に列挙してある。所定のコーティング組成物(a. 新たに作製したもの、およびb. 40℃で28日間の保存後)を、ゼロックス紙上にコーティングし、撮像した。イメージおよびバックグラウンド安定性試験は、以下に概略するように行なう。
【0225】
実施例31および33〜39についてのバックグラウンド安定性およびイメージ安定性の結果は、表5および6にそれぞれ示してある。
【0226】
イメージ光学密度
エネルギー1W、走査速度1000mm/秒の設定を用いて、上述のレーザーマーキング装置を用いて、イメージを生成した。イメージの光学密度(o.d.)を、Gretag-MacbethのSpectroeye密度計を用いて測定する。
【0227】
バックグラウンド安定性
コーティングした基材の記録していない部分の光学密度(OD)を、Gretag-MacbethのSpectroeye密度計を用いて測定する。
【0228】
熱耐性
プリント後、コーティングした基材を、60℃に保持したオーブン内で24時間保存する。続いて、記録した部分および記録していない部分の光学密度を、Gretag-MacbethのSpectroeye密度計を用いて測定する。
【0229】
熱/湿度耐性
プリント後、コーティングした基材を、40℃、相対湿度90%に保持したオーブン内で24時間保存する。記録した部分および記録していない部分の光学密度を、Gretag-MacbethのSpectroeye密度計を用いて測定する。
【0230】
光耐性
プリント後、コーティングした基材を、キセノンウェザロメーター(Atlas Suntester CPS+、250W/m2)内で18時間保存する。続いて、記録した部分および記録していない部分の光学密度を、Gretag-MacbethのSpectroeye密度計を用いて測定する。
【0231】
油耐性
プリント後、コーティングした基材を綿実油を用いてグラビア印刷し、続いて40℃に保持したオーブン内で24時間保存する。続いて、記録した部分の光学密度を、Gretag-MacbethのSpectroeye密度計を用いて測定する。
【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【0232】
比較実施例の塗布
両方の比較実施例を、K-bar 1を用いてTambrite白色ボード上にコーティングし、約3g/m2の乾燥コーティング量とする。10W CO2レーザーを用いて、強度40%、速度8000mm/秒、および強度60%、速度10000mm/秒の設定で撮像し、高コントラストの黒色イメージを得る。イメージおよびバックグラウンド安定性を測定する。バックグラウンド安定性およびイメージ安定性の結果を、それぞれ、表7および8にまとめてある。
【表7】

【表8】

【0233】
表7および8から見てとれるように、本発明の結合剤系を用いた比較実施例C2の全体的性能は、比較実施例C1で用いた結合剤系と比較して良好である。バックグラウンド安定性は、比較実施例C2で高温保存条件下にて明らかにより良好である。曝露後に残ったCIE白色性(%)で示した耐光性のみが、若干悪かった(42.7%と53.5%)。イメージ安定性は、比較実施例C2で高温保存条件下にて良好であり、曝露後に残ったイメージ(%)で表される耐光性は、用いたレーザー設定に応じて同等である(86%と84%、および84%と85%)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発色剤、顕色剤、および結合剤を含む水性組成物であって、
(a)顕色剤と発色剤との重量比が1〜5の範囲内であり、
(b)結合剤が、アクリル酸およびスチレン、ならびにα-メチルスチレン、アクリル酸エチルおよびアクリル酸2-エチルヘキシルからなる群より選択される少なくとも1種の追加のモノマーを含むアクリレート結合剤を含み、かつ
(c)発色剤および/または顕色剤が、封入されていない形態で存在する、
上記組成物。
【請求項2】
発色剤がフルオランである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
フルオランが、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジペンチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、および3-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオランからなる群より選択される少なくとも1つである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
顕色剤が、スルホニル尿素誘導体、4,4’-ビス(p-トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン)、4,4’-ビスフェノールスルホン、2,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4’-イソプロポキシジフェニルスルホン、CAS番号378244-93-0を有するポリペンタエリスリトール化合物の4-ヒドロキシ安息香酸誘導体;1,1’-オキソビス(2-クロロエタン)とのフェノール,4,4’-スルホニルビス-ポリマー;N,N’-[スルホニルビス[4,1-フェニレンイミノカルボニルイミノ(メチルフェニレン)]]ビス-, C,C’-ジフェニルエステル;ZnCl2、ステアリン酸オクチルアンモニウムおよびステアリン酸アンモニウムからなる群より選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
顕色剤が、N-(p-トルエンスルホニル)-N’-3-(p-トルエンスルホニルオキシフェニル)尿素または1,1’-オキソビス(2-クロロエタン)とのフェノール,4,4’-スルホニルビス-ポリマーである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
顕色剤と発色化合物との重量比が1.5〜3の範囲内である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
1〜5の範囲内の重量比の発色剤および顕色剤と;アクリル酸およびスチレン、ならびにα-メチルスチレン、アクリル酸エチルおよびアクリル酸2-エチルヘキシルからなる群より選択される少なくとも1種の追加のモノマーを含むアクリレート結合剤を含む結合剤とを混合するステップを含み、発色剤および/または顕色剤が封入されていない形態で存在する、請求項1に記載の組成物の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物でコーティングされた基材。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物で基材をコーティングするステップを含む、コーティングされた基材の製造方法。
【請求項10】
(i)請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物で基材をコーティングするステップ、および(ii)マーキングが所望される、コーティングしたその基材の一部分をエネルギーに曝露して、マーキングを生成するステップを含む、マーキングされた基材の製造方法。
【請求項11】
エネルギーが、UV照射、IR照射、可視光照射およびマイクロ波照射からなる群より選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項10または11に記載の方法により得られるマーキングされた基材。

【公表番号】特表2012−506786(P2012−506786A)
【公表日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532595(P2011−532595)
【出願日】平成21年10月16日(2009.10.16)
【国際出願番号】PCT/EP2009/063520
【国際公開番号】WO2010/049281
【国際公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(507055925)データレース リミテッド (24)
【氏名又は名称原語表記】DATALASE LTD.
【Fターム(参考)】