説明

基材をマーキングするためのコーティング組成物

【課題】高強度および高明度の画像を生成する半透明〜透明のコーティング組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】発色剤を0.01〜50%、カルボン酸の金属塩を0.01〜50%、結合剤を1〜80%、および有機溶媒を1〜99%の量で含み、ここで、各量は、組成物の重量に基づく重量%である、組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材をマーキングするためのコーティング組成物、この組成物を製造する方法、この組成物でコーティングした基材、この組成物を用いたマーキング基材の製造方法、およびマーキング基材に関する。
【背景技術】
【0002】
包装は通常、ロゴ、バーコード、失効期限、またはバッチ番号などの可視情報をマーキングする必要がある。これを実行する一つの方法は、発色剤および顕色剤を含む組成物で包装をコーティングして、熱などのエネルギーで処理して反応させ、可視色を形成させることによる。
【0003】
US4,820,683には、発色剤、カルボン酸金属(例えばビスカルボン酸亜鉛)、追加の酸性顕色剤(例えばフェノール化合物)、ステアリン酸金属、結合剤、および溶媒としての水を含む分散体であるコーティング組成物が記載されている。該組成物を基材にコーティングし、乾燥させて熱処理すると画像が生成される。
【0004】
WO02/074548には、多価金属のオキシアニオン(例えばオクタモリブデン酸アンモニウム(AOM))、結合剤(代表的にはポリマー)、および溶媒(例えば水またはエタノール)を含むコーティング組成物が記載されている。この組成物を基材(例えば厚紙)にコーティングし、乾燥させてIRレーザに暴露し、画像を生成させる。
【0005】
WO2004/043704には、モリブデン、タングステンまたはバナジウムのアミン化合物、有機溶媒、および場合によりポリマー結合剤を含むコーティング組成物が記載されている。「モリブデン酸アミン」の例は、オクタモリブデン酸ビス(2−エチルヘキシル)アミンである。該組成物を基材(例えばポリエチレンテレフタラートフィルム、アルミ箔、またはポリプロピレン包装用フィルム)にコーティングし、乾燥させてIRレーザまたは感熱プリンタに暴露し、画像を生成させる。
【0006】
US4,820,683およびWO02/074548に記載されたコーティング組成物の欠点は、不透明のコーティングしか得られないことである。WO02/074548およびWO2004/043704に記載されたコーティング組成物の欠点は、高価なモリブデン化合物が用いられることである。WO2004/043704のコーティング組成物の更なる欠点は、タール状の物質が形成されてその一部が容器の壁に付着するため、「モリブデン酸アミン」の製造が非常に不便なことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、高強度および高明度の画像を生成する半透明〜透明のコーティング組成物を得ることである。同時に、該コーティング組成物は、高価で製造が不便な金属化合物を必要とせず、エネルギー処理の前に着色を受け難い。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1記載の組成物、請求項7および10記載の基材、ならびに請求項6、8および9記載の方法により解決する。
【0009】
本発明の組成物は、発色剤を0.01〜50%、カルボン酸の金属塩を0.01〜50%、結合剤を1〜80%、および有機溶媒を1〜99%の量で含む(各量は、組成物の重量
に基づく重量%)。
【0010】
好ましくは、該組成物は、発色剤を0.1〜30%、カルボン酸の金属塩を0.1〜30%、結合剤を3〜60%、および有機溶媒を20〜95%の量で含む(各量は、組成物の重量に基づく重量%)。
【0011】
より好ましくは、該組成物は、発色剤を1〜20%、カルボン酸の金属塩を1〜20%、結合剤を5〜30%、および有機溶媒を50〜90%の量で含む(各量は、組成物の重量に基づく重量%)。
【0012】
最も好ましくは、該組成物は、発色剤を1〜10%、カルボン酸の金属塩を1〜10%、結合剤を7〜14%、および有機溶媒を75〜85%の量で含む(各量は、組成物の重量に基づく重量%)。
【0013】
好ましくは、4種の成分(発色剤、カルボン酸の金属塩、結合剤および有機溶媒)の合計量は、組成物の重量に基づいて、50〜100重量%、より好ましくは80〜100重量%、さらにより好ましくは95〜100重量%、最も好ましくは100重量%である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
該カルボン酸は、式(I):
【0015】
【化1】

【0016】
(式中、
nは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14であり、
mは、0、1、2、3または4であり、
1およびR5は、同一または異なっており、水素、ヒドロキシ、C112−アルキル、カルボキシ、C14−アルコキシカルボニル、カルバモイル、C14−アルキルアミノカルボニル、アシル、アミノ、(C14−アルキル)−CO−NHまたはウレイドであってもよく、
2およびR3は、同一または異なっており、水素、C14−アルキル、または(C14−アルキル)−CO−NHであってもよく、
4は、水素、C112−アルキル、カルボキシ、C14−アルコキシカルボニル、カルバモイル、C14−アルキルアミノカルボニル、アシル、アミノ、(C14−アルキル)−CO−NH、ウレイド、フェニル、2−、3−もしくは4−ピリジル、または1−、2−もしくは3−ナフチルであり、ここで、フェニル、ピリジルまたはナフチルは、非置換であるか、またはC14−アルキル、フェニル、C14−アルコキシ、ヒドロキシ、ジ(C14−アルキル)アミノ、もしくはハロゲンにより一置換、二置換もしくは三置換されていてもよい)で示されるカルボン酸、または式(I)で示されるカルボン酸の混合物であ
ってもよい。
【0017】
14−アルコキシは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、およびtert−ブトキシであってもよい。C112−アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシルおよびドデシルであってもよい。アシルの例は、アセチルおよびベンゾイルである。ハロゲンは、塩素、フッ素または臭素であってもよい。
【0018】
好ましいカルボン酸(I)において、
nは、0〜9の整数であり、
mは、0〜3の整数であり、
1およびR5は、同一または異なっており、水素、ヒドロキシ、C14−アルキル、カルボキシ、C14−アルコキシカルボニル、カルバモイル、C14−アルキルアミノカルボニル、アシル、アミノ、(C14−アルキル)−CO−NHまたはウレイドであり、
2およびR3は、同一または異なっており、水素、C14−アルキル、または(C14−アルキル)−CO−NHであり、
4は、水素、C17−アルキル、カルボキシ、C14−アルコキシカルボニル、カルバモイル、C14−アルキルアミノカルボニル、アシル、アミノ、(C14−アルキル)−CO−NH、ウレイド、フェニル、2−、3−もしくは4−ピリジル、または1−、2−もしくは3−ナフチルであり、ここで、フェニル、ピリジルまたはナフチルは、非置換であるか、またはC14−アルキル、フェニル、C14−アルコキシ、ヒドロキシ、ジ(C14−アルキル)アミノ、もしくはハロゲンにより一置換、二置換もしくは三置換されていてもよい。
【0019】
14−アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、およびtert−ブチルであってもよい。C17−アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、またはヘプチルであってもよい。
【0020】
より好ましいカルボン酸(I)において、
nは、0〜8の整数であり、
mは、0、1、または2であり、
1は、水素またはヒドロキシであり、
5は、水素であり、
2およびR3は、同一または異なっており、水素またはアセトアミドであり、
4は、水素、C16−アルキル、カルボキシ、カルバモイル、ベンゾイル、フェニル、または1−、2−もしくは3−ナフチルであり、ここで、フェニルは、非置換であるか、またはC14−アルキル、フェニル、C14−アルコキシ、ヒドロキシ、ジ(C14−アルキル)アミノ、もしくはハロゲンにより一置換、二置換もしくは三置換されていてもよく、ナフチルは、非置換であるか、またはヒドロキシで置換されていてもよい。
【0021】
16−アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、またはヘキシルであってもよい。
【0022】
より好ましいカルボン酸の例は、フェニル酢酸、p−トリル酢酸、4−ビフェニル酢酸、マンデル酸、trans−スチリル酢酸、ソルビン酸、α−アセトアミド桂皮酸、4−メチル桂皮酸、4−メトキシフェニル酢酸、ウンデシレン酸、コハク酸、フェルラ酸、ムコン酸、乳酸、trans−2−ペンテン酸、trans−3−ヘキセン酸、trans−2−オクテン酸、trans−桂皮酸、trans−3,4−ジメトキシ桂皮酸、trans−3,4,5−トリメトキシ桂皮酸、ヒドロキシ桂皮酸、3,4,5−トリメトキシヒドロ桂皮酸、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸、4−(ジメチルアミノ)安息香酸、4−フェニル酪酸、trans−2−クロロ桂皮酸、3,4−ジメトキシフェニル酢酸、3−ヒドロキシ−2−ナフト酸、安息香酸、1−ヒドロキシ−2−ナフト酸、1−ナフチル酢酸、3−ベンゾイルプロピオン酸および1−ナフト酸、またはそれらの混合物である。
【0023】
より好ましいカルボン酸(I)において、
nは、0〜8の整数であり、
mは、0、1、または2であり(nおよびmが、同時に0に成り得ないことを条件とする)、
1は、水素またはヒドロキシであり、
5は、水素であり、
2およびR3は、同一または異なっており、水素またはアセトアミドであり、
4は、水素、メチル、カルボキシ、カルバモイル、またはフェニルであり、ここで、フェニルは、非置換であるか、またはメチル、フェニル、メトキシもしくはヒドロキシにより置換されていてもよい。
【0024】
より好ましいカルボン酸の例は、フェニル酢酸、p−トリル酢酸、4−ビフェニル酢酸、マンデル酸、trans−スチリル酢酸、ソルビン酸、α−アセトアミ ド桂皮酸、4−メチル桂皮酸、4−メトキシフェニル酢酸、ウンデシレン酸、コハク酸、フェルラ酸、ムコン酸および乳酸、またはそれらの混合物である。
【0025】
最も好ましいカルボン酸は、フェニル酢酸、p−トリ酢酸、4−ビフェニル酢酸、マンデル酸、trans−スチリル酢酸、ソルビン酸、α−アセトアミド桂皮酸および4−メチル桂皮酸、またはそれらの混合物である。
【0026】
金属は、アルカリ土類金属、遷移金属、または主族元素III族およびIV族の金属であってもよい。好ましくは、それは、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、チタン、バナジウム、クロム、モリブデン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウムおよびスズからなる群から選択される。より好ましくは、それは、カルシウム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウムおよびスズからなる群から選択される。最も好ましくは、金属は 亜鉛である。
【0027】
ハロゲン化金属または硫酸金属などの無機金属を、水中のカルボン酸のアルカリ金属塩と反応させることにより、カルボン酸の金属塩を形成させることができる。
【0028】
発色剤は、フタリド、フルオラン、トリアリールメタン、ベンゾオキサジン、キナゾリン、スピロピラン、キノン、チアジンもしくはオキサジン、またはその混合物など、いずれの適切な発色剤であってもよい。
【0029】
フタリドの例は、クリスタルバイオレットラクトン(3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、7−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)−3−メチル−1−フェニルスピロ[4H−クロメノ[2,3−c]ピラゾール−4(1H)−3'−フタリド、3,6,6'−トリス(ジメチルアミノ)スピロ[フルオレン−9,3'−フタリド]、3,6,6'−トリス(ジエチルアミノ)スピロ[フルオレン−9,3'−フタリド]、3,3−ビス−[2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル−4,5,6,7−テトラブロモフタリド、3,3−ビス −[2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス[1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル]−4,5,6,7−テトラブロモフタリド、3,3−ビス[1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル]−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル −2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、および3−(4−シクロヘキシルエチルアミノ−2−メトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリドである。
【0030】
該フタリドは、当該技術分野で公知の方法により製造することができ、例えばクリスタルバイオレットラクトンは、GB1,347,467に記載されたとおり 製造することができ、3,3−ビス−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリドは、GB1,389,716に記載されたとおり製造することができる。
【0031】
フルオランの例は、3−ジ(エチル)アミノ−6−メチル−7−(tert−ブトキシカルボニル)アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジブチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(ジベンジルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−tert−ブチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−カルボキシエチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6,8−ジメチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチルフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−ベンゾ[a]フルオラン、3−ジエチルアミノ−ベンゾ[c]フルオラン、3−ジメチルアミ ノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(p−オクチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(p−オクチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(p−メチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−メチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(4−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(2−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル −7−(3−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−クロロアニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(4−メチルアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(2−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−(4−2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジペンチルアミノ−7−(3−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジペンチルア ミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジペンチルアミノ−7−(4−クロロアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−ヘキシルアミノ)−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)アミノ−7−メチルフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニ リノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−ブチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−イソプロピル−N−3−ペンチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−エトキシプロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−メトキシ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ジエチルアミノ −6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−フェニル−6−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ベンジル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジブチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、および2,4−ジメチル−6−[(4−ジメチルアミノ)アニリノ]フルオランである。
【0032】
該フルオランは、当該技術分野で公知の方法により製造することができ、例えば3−ジエチルアミノ−7−ジベジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−tert−ブチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、および3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2,4−ジメチルアニリノ)フルオランは、US5,166,350Aに記載されたとおり製造することができ、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−メチルアニリノ)フルオランは、EP0546577A1に記載されたとおり製造することができ、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオランは、DE2130845に記載されたとおり製造することができ、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオランおよび3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオランは、US3,959,571Aに記載されたとおり製造することができ、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオランは、GB2002801Aに記載されたとおり製造することができ、3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオランは、GB2154597Aに記載されたとおり製造することができる。
【0033】
ベンゾオキサジンの例は、2−フェニル−4−(4−ジエチルアミノフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)−6−メチル−7−ジメチルアミノ−3,1− ベンゾオキサジン(EP0187329A1に記載されたとおり製造することができる)、および2−フェニル−4−(4−ジエチルアミノフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)−8−メチル−7−ジメチルアミノ−3,1−ベンゾオキサジンである。
【0034】
キナゾリンの例は、4,4'−[1−メチルエチリデン]ビス(4,1−フェニレンオキシ−4,2−キナゾリンジイル)ビス[N,N−ジエチルベンゼンアミン]である。トリアリールメタンの例は、ビス(N−メチルジフェニルアミン)−4−イル−(N−ブチルカルバゾール)−3−イル−メタンであり、それは GB1,548,059に記載されたとおり製造することができる。
【0035】
スピロピランの例は、1',3',3'−トリメチルスピロ[2H−1−ベンゾピラン−2,2'−インドリン]、1,3,3−トリメチルスピロ[インドリン−2,3'−[3H]ナフタ[2,1−b][1,4]オキサジン]、および1',3',3'−トリメチルスピロ[2H−1−ベンゾチオピラン−2,2'−インドリン]である。
【0036】
キノンの例は、ヘマトキシリンである。オキサジンの例は、3,7−ビス(ジメチルアミノ)−10−ベンゾイルフェノキサジンである。チアジンの例は、3,7−ビス(ジメチルアミノ)−10−ベンゾイルフェノチアジンである。
【0037】
好ましくは、発色剤は、フタリドもしくはフルオラン、またはそれらの混合物である。
【0038】
より好ましくは、発色剤は、クリスタルバイオレットラクトン、または例えば商品名:Ciba(登録商標) Pergascript(登録商標) Blue I-2RNとして販売される3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、例えば商品名:Ciba(登録商標) Pergascript(登録商標) Red I-6Bとして販売される3,3−ビス(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、もしくは例えば商品名:Ciba(登録商標) Pergascript(登録商標) Orange I-Gとして販売される3−ジエチルアミノ−7−(エトキシカルボニル)フルオランである。
【0039】
結合剤は、いずれの適切な結合剤であってもよい。好ましくは、該結合剤は、ポリマー結合剤である。ポリマー結合剤の例は、アクリルポリマー、スチレンポリ マーおよびその水素化生成物、ビニルポリマー、ポリオレフィンおよびその水素化またはエポキシ化生成物、アルデヒドポリマー、エポキシドポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、スルホンを基剤とするポリマー、および天然ポリマー、ならびにそれらの誘導体である。該ポリマー結合剤は、ポリマー結合剤の混合物であってもよい。
【0040】
アクリルポリマーは、少なくとも1種のアクリルモノマーから形成されたポリマー、または少なくとも1種のアクリルモノマーと少なくとも1種のスチレンモノマー、ビニルモノマー、オレフィンモノマー、および/もしくはマレインモノマーとから形成されたポリマーである。
【0041】
アクリルモノマーの例は、アクリル酸またはその塩、アクリルアミド、アクリロニトリル、C16−アルキルアクリラート(例えば、エチルアクリラート、ブチルアクリラートまたはヘキシルアクリラート)、ジ(C14−アルキルアミノ)C16−アルキルアクリラート(例えば、ジメチルアミノエチルアクリラートまたはジエチルアミノエチルアクリラート)およびそのハロゲン化C14−アルキル添加剤(例えば、ジメチルアミノエチルアクリラートメチルクロリド)、ジ(C14−アルキルアミノ)C16−アルキルアミンとアクリル酸とから形成されたアミドおよびそのハロゲン化C14−アルキル添加剤、メタクリル酸またはその塩、メタクリルアミド、メタクリロニトリル、C16−アルキルメタクリラート(例えば、メチルメタクリラートまたはエチルメタクリラート)、ジ(C14−アルキルアミノ)C16−アルキルメタクリラートおよびそのハロゲン化C14−アルキル添加剤、ジ(C14−アルキルアミノ)C16−アルキルアミンとメタクリル酸とから形成されたアミドおよびそのハロゲン化C14−アルキル添加剤、ならびにN,N'−メチレンビスアクリルアミドなどの架橋剤である。
【0042】
スチレンモノマーの例は、スチレン、4−メチルスチレン、および4−ビニルビフェニルである。ビニルモノマーの例は、ビニルアルコール、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルイソブチルエーテル、および酢酸ビニルである。オレフィンモノマーの例は、エチレン、プロピレン、ブタジエン、およびイソプレン、ならびにそれらの塩素化またはフッ素化誘導体、例えばテトラフルオロエチレンである。マレインモノマーの例は、マレイン酸、無水マレイン酸、およびマレイミドである。
【0043】
アクリルポリマーの例は、ポリ(メチルメタクリラート)、ポリ(ブチルメタクリラート)、およびスチレンアクリルポリマーである。
【0044】
スチレンポリマーは、少なくとも1種のスチレンモノマーと、少なくとも1種のビニルモノマー、オレフィンモノマーおよび/またはマレインモノマーとから形 成されたポリマーである。スチレンモノマー、ビニルモノマー、オレフィンモノマー、およびマレインモノマーの例は、先に示した。スチレンポリマーの例は、スチレンブタジエンスチレンブロックポリマー、スチレンエチレンブタジエンブロックポリマー、スチレンエチレンプロピレンスチレンブロックポリマーである。
【0045】
ビニルポリマーは、少なくとも1種のビニルモノマーから形成されたポリマー、または少なくとも1種のビニルモノマーと、少なくとも1種のオレフィンモノマーもしくはマレインモノマーとから形成されたポリマーである。ビニルモノマー、オレフィンモノマー、およびマレインモノマーの例は、先に示した。ビニルポリマーの例は、ポリ塩化ビニルおよびポリビニルアルコールである。
【0046】
ポリオレフィンは、少なくとも1種のオレフィンモノマーから形成されたポリマーである。オレフィンモノマーの例は、先に示した。ポリオレフィンの例は、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリブタジエンである。
【0047】
アルデヒドポリマーは、少なくとも1種のアルデヒドモノマーまたはポリマーと、少なくとも1種のアルコールモノマーもしくポリマー、アミンモノマーもしく ポリマー、および/または尿素モノマーもしくはポリマーとから形成されたポリマーである。アルデヒドモノマーの例は、ホルムアルデヒド、フルフラルおよび ブチラルである。アルコールモノマーの例は、フェノール、クレゾール、レソルシノール、およびキシレノールである。ポリアルコールの例は、ポリビニルアルコールである。アミンモノマーの例は、アニリンおよびメラミンである。尿素モノマーの例は、尿素、チオ尿素、およびジシアンジアミドである。アルデヒドポリマーの例は、ブチラルとポリビニルアルコールとから形成されたポリビニルブチラルである。
【0048】
エポキシドポリマーは、少なくとも1種のエポキシドモノマーと、少なくとも1種のアルコールモノマーおよび/またはアミンモノマーとから形成されたポリマーである。エポキシドモノマーの例は、エピクロルヒドリンおよびグリシドールである。アルコールモノマーの例は、フェノール、クレゾール、レソルシノール、キシレノール、ビスフェノールA、およびグリコールである。エポキシドポリマーの例は、エピクロルヒドリンとビスフェノールAとから形成されたフェノキシ樹脂である。
【0049】
ポリアミドは、アミド基またはアミノ基およびカルボキシ基を有する少なくとも1種のモノマーから形成されたポリマー、またはアミノ基を2個有する少なくと も1種のモノマーと、カルボキシ基を2個有する少なくとも1種のモノマーとから形成されたポリマーである。アミド基を有するモノマーの例は、カプロラクタ ムである。ジアミンの例は、1,6−ジアミノへキサンである。ジカルボン酸の例は、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、および1,4−ナフタレンジカルボン酸である。ポリアミドの例は、ポリヘキサメチレンアジプアミドおよびポリカプロラクタムである。
【0050】
ポリエステルは、ヒドロキシ基およびカルボキシ基を有する少なくとも1種のモノマーから形成されたポリマー、またはヒドロキシ基を2個有する少なくとも1種のモノマーと、カルボキシ基を2個もしくはラクトン基を1個有する少なくとも1種のモノマーとから形成されたポリマーである。ヒドロキシ基およびカルボキシ基を有するモノマーの例は、アジピン酸である。ジオールの例は、エチレングリコールである。ラクトン基を有するモノマーの例は、カプロラクトンである。ジカルボン酸の例は、テレフタル酸、イソフタル酸、および1,4−ナフタレンジカルボン酸である。ポリエステルの例は、ポリエチレンテレフタラートである。いわゆるアルキド樹脂も、ポリエステルポリマーに属するとみなす。
【0051】
ポリウレタンは、少なくとも1種のジイソシアナートモノマーと少なくとも1種のポリオールモノマーおよび/またはポリアミンモノマーとから形成されたポリマーである。ジイソシアナートモノマーの例は、ヘキサメチレンジイソシアナート、トルエンジイソシアナート、およびジフェニルメタンジイソシアナートである。
【0052】
スルホンを基剤とするポリマーの例は、ポリアリールスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン、およびポリスルホンである。ポリスルホンは、4,4−ジクロロジフェニルスルホンとビスフェノールAとから形成されたポリマーである。
【0053】
天然ポリマーは、セルロース、天然ゴム、またはゼラチンであってもよい。セルロース誘導体の例は、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ニトロセルロース、セルロースアセタート、およびセルロースプロピオナートである。
【0054】
該ポリマー結合剤は、当該技術分野で公知であり、公知の方法により製造することができる。該ポリマー結合剤は、放射線重合が可能なモノマーおよびUV感受性開始剤を含む組成物のUV照射により、そのままの位置で製造することができる。
【0055】
好ましいポリマー結合剤は、アクリルポリマー、ビニルポリマー、アルデヒドポリマー、エポキシドポリマー、ポリアミド、ポリエステルおよび天然ポリマー、ならびにそれらの誘導体である。より好ましいポリマー結合剤は、アクリルポリマー、ビニルポリマー、天然ポリマー、およびそれらの誘導体である。
【0056】
より好ましいポリマー結合剤は、ポリ(メチルメタクリラート)、ポリ(ブチルメタクリラート)、ポリビニルアルコールおよびセルロースである。
【0057】
最も好ましいポリマー結合剤は、ポリ(メチルメタクリラート)である。
【0058】
有機溶媒は、いずれの適切な有機溶媒、または有機溶媒混合物であってもよい。好ましくは、それは、極性有機溶媒、または極性有機溶媒混合物である。
【0059】
極性有機溶媒の例は、C14−アルカノール、C14−ポリオール、C14−アルキルC14−アルカノアート、C36−ケトン、C46−エーテル、C23−ニトリル、ニトロメタン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンおよびスルホランであり、ここで、C14−アルカノール、C14−ポリオール、およびC14−アルキルC14−アルカノアートは、C14−アルコキシで置換されていてもよい。
【0060】
14−アルカノールの例は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、およびtert−ブタノールである。そのC14−アルコキシ誘導体の例は、2−エトキシエタノールおよび1−メトキシ−2−プロパノールである。C14−ポリオールの例は、グリコールおよびグリセリンである。C14−アルキルC14−アルカノアートの例は、エチルアセタート、ブチルアセタート、エチルプロピオナート、およびエチルブタノアートである。そのC14−アルコキシ誘導体の例は、2−エトキシエチルアセタートおよび2−メトキシエチルアセタートである。C36−ケトンの例は、アセトンおよびメチルエチルケトンである。C46−エーテルの例は、ジメトキシエタン、ジイソプロピルエチルおよびテトラヒドロフランである。C23−ニトリルの例は、アセトニトリルである。
【0061】
より好ましくは、該有機溶媒は、C14−アルカノール、C14−アルキルC14−アルカノアート、およびC36−ケトンからなる群から選択される極性有機溶媒、または極性有機溶媒混合物である。最も好ましくは、有機溶媒は、C36−ケトン、またはC36−ケトンの混合物である。
【0062】
本発明の組成物は、水を含んでいてもよいが、好ましくは、水は存在しない。
【0063】
本発明の組成物は、更に、IR吸収剤、UV吸収剤、抗酸化剤、顔料、安定剤およびタガントなど、性能を改善するのに適したいずれか別の化合物を含んでいてもよい。タガントは、製造元を示すために製品に添加する様々な物質である。これらの化合物の合計量は、組成物の重量に基づいて、0.01〜30重量%であってもよい。好ましくは、それは、組成物の重量に基づいて0.1〜10重量%、より好ましくは、それは、1〜5重量%である。
【0064】
IR吸収剤は、IR光を熱に変換するいずれの化合物であってもよい。好ましいIR吸収剤は、1064nmまたは10600nmに吸収最大を有する。UV吸収剤の例は、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンである。
【0065】
顔料は、非画像領域と画像領域との対比を増強するため、またはセキュリティー特性として添加することができる。
【0066】
非画像領域と画像領域との対比を増強するために添加され得る顔料の例は、二酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、水酸化アルミニウム、タルク、酸化亜鉛、非晶質シリカ、硫酸バリウム、ポリスチレン樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、中空プラスチック顔料、およびそれらの混合物である。
【0067】
セキュリティー特性として添加され得る顔料の例は、蛍光顔料または磁性顔料である。
【0068】
該組成物は、カルボン酸の金属塩に加えて、更なる顕色剤を含んでいてもよい。好ましくは、更なる顕色剤を使用すれば、エネルギー処理の前にコーティング組成物の着色が起こらない。より好ましくは、フェノール化合物を更なる顕色剤として適用しない。フェノール化合物の例は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、4,4'−イソプロピリデンジフェノール(ビスフェノールA)、およびビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、およびベンジル−p−ヒドロキシベンゾアートである。
【0069】
本発明の組成物は、溶液または分散体(例えばエマルションまたは懸濁液)であってもよい。
【0070】
所望の適用例に応じ、本発明の組成物を用いて、透明または不透明のいずれかのコーティングを得ることができる。好ましくは、透明のコーティングが得られる。
【0071】
本発明のコーティング組成物により形成されたコーティングを、積層またはオーバープリントワニスでコーティングすることができる。積層またはオーバープリントワニスの材料を映像レーザの波長では吸収しないように選択すれば、レーザ感受性コーティングが、積層品を損傷またはマーキングせずに積層を通して画像を生成することができる。同じく積層またはオーバープリントワニスは、理想的には、エネルギー処理の前にコーティングが着色しないように選択する。
【0072】
透明のコーティングを得る本発明の組成物の例は、発色剤としてクリスタルバイオレットラクトンを組成物の重量に基づいて3.1重量%、カルボン酸の金属塩としてフェニル酢酸亜鉛、p−トリル酢酸亜鉛、4−ビフェニル酢酸亜鉛、trans−スチリル酢酸亜鉛、ソルビン酸亜鉛、α−アセトアミド桂皮酸亜鉛、4−メチル桂皮酸亜鉛、またはマンデル酸亜鉛を組成物の重量に基づいて3.1重量%、結合剤としてポリ(メチルメタクリラート)を組成物の重量に基づいて10.6重量%、アセトンを組成物の重量に基づいて26.7重量%、および有機溶媒の混合物としてメチルエチルケトンを組成物の重量に基づいて54.7重 量%含む組成物である。
【0073】
同じく本発明の一部は、カルボン酸金属と、顕色剤と、結合剤と、有機溶媒とを混合するステップを含む、本発明の組成物を製造する方法である。好ましくは、該方法は、i)カルボン酸金属と有機溶媒とを混合するステップ、ii)発色剤、ポリマー結合剤、および場合により、更なる化合物(例えばIRまたはUV吸 収剤、安定剤など)を添加するステップ、ならびにiii)場合により、該組成物を所望の濃度に希釈するステップ、を含む。
【0074】
本発明の別の態様は、本発明のコーティング組成物でコーティングした基材である。
【0075】
該基材は、シートまたは別の三次元物体であってもよく、透明または不透明であってもよい。該基材は、紙、厚紙、金属、木、織物、ガラス、セラミックス、および/またはポリマーから製造してもよい。ポリマーの例は、ポリエチレンテレフタラート、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、二軸延伸ポリプロピレン、ポリエーテルスルホン、ポリ塩化ビニルポリエステル、およびポリスチレンである。好ましくは、該基材は、紙、厚紙、またはポリマーから製造される。より好ましくは、該基材は、ポリエチレンテレフタラート、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、二軸延伸ポリプロピレン、ポリエーテルスルホン、またはポリ塩化ビニルから製造される可撓性ポリマーフィルムである。
【0076】
該基材は、バーコーター法、回転法、噴霧法、流し塗り法、浸漬法、エアコーティング法(air application)、ナイフ法、ブレード法、またはロール法などの標準的コーティング法を用いることにより、本発明の組成物をコーティングすることができる。該組成物は、シルクスクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、およびフレキソ印刷などの様々な印刷方法により基材に塗布することもできる。基材が紙である場合、該組成物をサイズプレス、または抄紙機のウェットエンドで塗布することもできる。
【0077】
コーティングの厚さは、通常、0.1〜1000μmの範囲内である。好ましくは、それは、1〜500μmの範囲内である。より好ましくは、それは、1〜250μmの範囲内である。より好ましくは、それは、1〜150μmの範囲内である。
【0078】
該コーティング組成物は、例えば、周囲温度または高温で乾燥させることができる。理想的には、早期発色を回避するために、高温を選択する。
【0079】
同じく本発明の一部は、i)基材を本発明の組成物でコーティングするステップ、およびii)マーキングを望む場合にはコーティング基材のそれらの部分をエネルギーに暴露して、カラーマーキングを発生させるステップ、を含むマーキング基材を製造する方法である。
【0080】
エネルギーは、熱、または本発明の組成物でコーティングした基材に塗布するとマーキングが得られる別のエネルギーであってもよい。そのようなエネルギーの例は、UV、IR、可視光、またはマイクロ波光である。
【0081】
エネルギーは、いずれの適切な方法でコーティング基材に塗布することもでき、例えば、感熱プリンタを用いて熱をあてることができ、UVまたはIRレーザを用いてUVおよびIR光をあてることができる。IRレーザの例は、CO2レーザ、Nd:YAGレーザ、およびIR半導体レーザである。
【0082】
好ましくは、エネルギーは、IR光である。より好ましくは、エネルギーは、0.78〜1000μmの範囲の波長を有するIR光である。最も好ましくは、エネルギーは、CO2レーザまたはNd:YAGレーザにより発生させたIR光である。
【0083】
代表的には、IRレーザの厳密な出力および線速度は、適用例により決定され、画像を生成させるのに十分になるように選択し、例えば、IRレーザの波長が 10600nmであり、レーザ光線の径が0.35mmである場合、出力は、代表的には、0.5〜4Wであり、線速度は、代表的には、300〜1000mm/sである。
【0084】
本発明の更に別の態様は、本発明の方法により得られるマーキング基材である。
【0085】
本発明のコーティング組成物は、それらが透明または不透明のいずれかであり、それらが高強度および高明度の画像を生成するという利点を有する。本発明の コーティング組成物の更なる利点は、それが高価な金属化合物を必要とせず、加えて製造が簡便で、エネルギー処理の前に発色を受け難いことである。
【実施例】
【0086】
実施例1
フェニル酢酸亜鉛の製造
47%(w/w)水酸化ナトリウム(5.5g)の溶液を、70℃の水(100mL)中のフェニル酢酸(6.8g、0.05mol)のスラリーに添加して、透明な弱アルカリ性溶液を得た。水(50mL)中の塩化亜鉛(3.4g、0.025mol)の溶液を添加すると、直ちに沈殿が形成した。混合物を70℃で 更に2.5時間撹拌した。その後、沈殿をろ過して乾燥させ、フェニル酢酸亜鉛6.5g(78%)を微細な白色粉末として得た。IR吸収バンド:1528、1434および1388cm-1
【0087】
実施例2
マンデル酸亜鉛の製造
47%(w/w)水酸化ナトリウム(5.5g)の溶液を、70℃の水(100mL)中のマンデル酸(7.6g、0.05mol)のスラリーに添加して、透 明な弱アルカリ性溶液を得た。水(50mL)中の塩化亜鉛(3.4g、0.025mol)の溶液を添加すると、直ちに沈殿が形成した。混合物を70℃で更に2.5時間撹拌した。その後、沈殿をろ過して乾燥させ、マンデル酸亜鉛5.6g(61%)を微細な白色粉末として得た。IR吸収バンド:1592、1404および1361cm-1
【0088】
実施例3
4−メチル桂皮酸亜鉛の製造
47%(w/w)水酸化ナトリウム(5.5g)の溶液を、70℃の水(100mL)中の4−メチル桂皮酸(8.1g、0.05mol)のスラリーに添加し て、透明な弱アルカリ性溶液を得た。水(50mL)中の塩化亜鉛(3.4g、0.025mol)の溶液を添加すると、直ちに沈殿が形成した。混合物を70℃で更に2.5時間撹拌した。その後、沈殿をろ過して乾燥させ、4−メチル桂皮酸亜鉛7.7g(80%)を微細な白色粉末として得た。IR吸収バンド:1530、1509、1425および1382cm-1
【0089】
実施例4
ソルビン酸亜鉛の製造
47%(w/w)水酸化ナトリウム(5.5g)の溶液を、70℃の水(100mL)中のソルビン酸(5.6g、0.05mol)のスラリーに添加して、透明な弱アルカリ性溶液を得た。水(50mL)中の塩化亜鉛(3.4g、0.025mol)の溶液を添加すると、直ちに沈殿が形成した。混合物を70℃で更 に2.5時間撹拌した。その後、沈殿をろ過して乾燥させ、ソルビン酸亜鉛5.5g(76%)を微細な白色粉末として得た。IR吸収バンド:1521および1418cm-1
【0090】
実施例5
α−アセトアミド桂皮酸亜鉛の製造
47%(w/w)水酸化ナトリウム(5.5g)の溶液を、70℃の水(100mL)中のα−アセトアミド桂皮酸(10.3g、0.05mol)のスラリーに添加して、透明な弱アルカリ性溶液を得た。水(50mL)中の塩化亜鉛(3.4g、0.025mol)の溶液を添加すると、直ちに沈殿が形成した。混合 物を70℃で更に2.5時間撹拌した。その後、沈殿をろ過して乾燥させ、α−アセトアミド桂皮酸亜鉛9.4g(80%)を微細な白色粉末として得た。IR吸収バンド:1560、1510、1402および1353cm-1
【0091】
実施例6
trans−スチリル酢酸亜鉛の製造
47%(w/w)水酸化ナトリウム(5.5g)の溶液を、70℃の水(100mL)中のtrans−スチリル酢酸(8.1g、0.05mol)のスラリー に添加して、透明な弱アルカリ性溶液を得た。水(50mL)中の塩化亜鉛(3.4g、0.025mol)の溶液を添加すると、直ちに沈殿が形成した。混合 物を70℃で更に2.5時間撹拌した。その後、沈殿をろ過して乾燥させ、trans−スチリル酢酸亜鉛7.5g(77%)を微細な白色粉末として得た。IR吸収バンド:1526、1436および1385cm-1
【0092】
実施例7
コーティング組成物の製造
実施例1に記載したとおり製造したビスカルボン酸亜鉛(1.0g)を、アセトン(8.6g)中で撹拌した。この混合物に、以下の順序で添加した:例えば商品名:Ciba(登録商標) Pergascript Blue I-2RNとして販売されるクリスタルバイオレットラクトン(1.0g)、ポリ(メチルメタクリラート)(3.4g)、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(0.6g)、およびメチルエチルケトン(17.6g)。その後、コーティング組成物を、平坦な紙、コート紙、またはポリエチレンテレフタラートフィルムに、コーティングバーにより塗布して、120μmの半透明のコーティング層を形成させ、周囲温度で乾燥させて、CO2レーザ(波長:10600nm、出力:0.5〜4W、レーザ光線の径:0.35mm、線速度:300〜1000mm/s)を用いて画像を生成させ、青色のマーキングを得た。
【0093】
実施例8
コーティング組成物の製造
実施例2に記載したとおり製造したビスカルボン酸亜鉛(1.0g)を用いたことを除き、実施例7に記載したとおりコーティング組成物を製造した。
【0094】
実施例9
コーティング組成物の製造
実施例3に記載したとおり製造したビスカルボン酸亜鉛(1.0g)を用いたことを除き、実施例7に記載したとおりコーティング組成物を製造した。
【0095】
実施例10
コーティング組成物の製造
実施例4に記載したとおり製造したビスカルボン酸亜鉛(1.0g)を用いたことを除き、実施例7に記載したとおりコーティング組成物を製造した。
【0096】
実施例11
コーティング組成物の製造
実施例5に記載したとおり製造したビスカルボン酸亜鉛(1.0g)を用いたことを除き、実施例7に記載したとおりコーティング組成物を製造した。
【0097】
実施例12
コーティング組成物の製造
実施例6に記載したとおり製造したビスカルボン酸亜鉛(1.0g)を用いたことを除き、実施例7に記載したとおりコーティング組成物を製造した。
【0098】
実施例13
コーティング組成物の製造
実施例2に記載したとおり製造したビスカルボン酸亜鉛(1.0g)を、アセトン(8.6g)中で撹拌した。この混合物に、以下の順序で添加した:例えば商品名:Ciba(登録商標) Pergascript(登録商標) Red I-6Bとして販売される3,3−ビス(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド(0.25g)、ポリ(メチルメタクリラート)(3.4g)、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(0.6g)、およびメチルエチルケトン(17.6g)。その後、コーティング組成物を、平坦な紙、コート紙、またはポリエチレンテレフタラートフィルムに、コーティングバーにより塗布して、120μmの半透明のコーティング層を形成させ、周囲温度で乾燥させて、CO2レーザ(波長:10600nm、出力:0.5〜4W、レーザ光線の径:0.35mm、線速度:300〜1000mm/s)を用いて画像を生成させ、赤色のマーキングを得た。
【0099】
実施例14
コーティング組成物の製造
実施例2に記載したとおり製造したビスカルボン酸亜鉛(1.0g)を、アセトン(8.6g)中で撹拌した。この混合物に、以下の順序で添加した:例えば商 品名:Ciba(登録商標) Pergascript(登録商標) Orange I-Gとして販売される3−ジエチルアミノ−7−(エトキシカルボニル)フルオラン(0.25g)、ポリ(メチルメタクリラート)(3.4g)、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(0.6g)、およびメチルエチルケトン(17.6g)。その後、コーティング組成物を、平坦な紙、コート紙、またはポリエチレンテレフタラートフィルムに、コーティングバーにより塗布して、120μmの半透明のコーティング層を形成させ、周囲温度で乾燥させて、CO2レーザ(波長:10600nm、出力:0.5〜4W、レーザ光線の径:0.35mm、線速度:300〜1000mm/s)を用いて画像を生成させ、橙色のマーキングを得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発色剤を0.01〜50%、カルボン酸の金属塩を0.01〜50%、結合剤を1〜80%、および有機溶媒を1〜99%の量で含み、ここで、各量は、組成物の重量に基づく重量%である、組成物。
【請求項2】
カルボン酸が、式(I)
【化1】

(式中、
nは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14であり、
mは、0、1、2、3または4であり、
1とR5は、同一または異なっており、水素、ヒドロキシ、C112−アルキル、カルボキシ、C14−アルコキシカルボニル、カルバモイル、C14−アルキルアミノカルボニル、アシル、アミノ、(C14−アルキル)−CO−NHまたはウレイドであってもよく、
2とR3は、同一または異なっており、水素、C14−アルキルまたは(C14−アルキル)−CO−NHであってもよく、
4は、水素、C112−アルキル、カルボキシ、C14−アルコキシカルボニル、カルバモイル、C14−アルキルアミノカルボニル、アシル、アミノ、(C14−アルキル)−CO−NH、ウレイド、フェニル、2−、3−もしくは4−ピリジル、又は1−、2−若しくは3−ナフチルであり、ここで、フェニル、ピリジルまたはナフチルは、非置換であるか、またはC14アルキル、フェニル、C14アルコキシ、ヒドロキシ、ジ(C14−アルキル)アミノ、もしくはハロゲンにより一置換、二置換もしくは三置換されていてもよい)
で示されるカルボン酸、または式(I)で示されるカルボン酸の混合物である、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
発色剤が、フタリド、フルオラン、トリアリールメタン、ベンゾオキサジン、キナゾリン、スピロピラン、キノン、チアジン、オキサジン、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1又は2記載の組成物。
【請求項4】
結合剤がポリマー結合剤である、請求項1〜3のいずれか1項記載の組成物。
【請求項5】
有機溶媒が、極性有機溶媒、または極性有機溶媒混合物である、請求項1〜4のいずれか1項記載の組成物。
【請求項6】
カルボン酸金属と、顕色剤と、結合剤と、有機溶媒とを混合するステップを含む、請求項1記載の組成物を製造する方法。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項記載のコーティング組成物でコーティングした基材。
【請求項8】
i)基材を、請求項1〜5のいずれか1項記載の組成物でコーティングするステップ、およびii)マーキングを望む場合にはコーティング基材のそれらの部分をエネルギーに暴露して、カラーマーキングを発生させるステップ、を含むマーキング基材を製造する方法。
【請求項9】
エネルギーがIR光である、請求項8記載の方法。
【請求項10】
請求項8または9記載の方法により得られる、マーキング基材。
【請求項11】
基材をコーティングするための、請求項1〜5のいずれか1項記載の組成物の使用。
【請求項12】
基材をマーキングするための、請求項1〜5のいずれか1項記載の組成物の使用。
【請求項13】
マーキングがIR光の使用によって得られる、請求項12の使用。

【公開番号】特開2013−76091(P2013−76091A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−7444(P2013−7444)
【出願日】平成25年1月18日(2013.1.18)
【分割の表示】特願2007−547456(P2007−547456)の分割
【原出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【出願人】(507055925)データレース リミテッド (24)
【氏名又は名称原語表記】DATALASE LTD.
【Fターム(参考)】