説明

基材レス両面粘着シート

【課題】 粘着剤層より離型フィルムを剥がした時に発生する剥離帯電や、静電気による異物の付着が少なく、使用されている電子部品への悪影響が少ない、例えば、タッチパネル、液晶偏光板、位相差板等の液晶構成部材製造用、PDP構成部材製造用、有機EL構成部材製造用等、各種ディスプレイ構成部材製造用のほか、各種光学用途等に好適な基材レス両面粘着シートを提供する。
【解決手段】 基材レス両面粘着シートの粘着層に積層される離型フィルムの少なくとも一方の離型フィルムが、二軸配向ポリエステルフィルム、塗布層層、および離型剤層がこの順に設けられて形成された構成であり、当該離型フィルムの表面固有抵抗値が1.0×1013Ω以下であり、剥離力が3〜50mN/cmの範囲であることを特徴とする基材レス両面粘着シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基材レス両面粘着シートに関し、特に製造工程で付着する異物を低減し、帯電による電子部品への悪影響を抑え、例えば、タッチパネル、液晶ディスプレイ(以下、LCDと略記する場合がある)、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと略記する場合がある)、有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELと略記する場合がある)等の光学用途に用いられる基材レス両面粘着シート用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、物体間を面接着する粘着シートは種々知られており、粘着シートの1つとして基材レス両面粘着シートが知られている。
【0003】
基材レス両面粘着シートは、粘着剤層の両面に剥離力の相対的に低い軽剥離シートと、剥離力の相対的に高い重剥離シートが積層されて構成され、両面の剥離シートを除去した後には、支持基材を有さない粘着剤層のみとなる両面粘着シートである。
【0004】
基材レス両面粘着シートは、まず軽剥離の離型フィルムが剥がされ、露出された粘着剤層の一方の面が物体面に接着され、その接着後、さらに重剥離の離型フィルムが剥がされ、露出された粘着剤層の他方の面が、異なる物体面に接着され、これにより物体間が面接着される。
【0005】
近年、基材レス両面粘着シートは、その用途が広がりつつあり、各種光学用途の部材等にも用いられている。例えば、タッチパネルの部材として電子基材とタッチパネル表面のガラスに貼り合わされた時には、今まで以上に異物等の欠点が重要な問題となっている。
【0006】
また、使用される電子部品は、タッチパネルの操作性等の向上に応じて、より精密な部品が用いられるようになり、今まで以上に静電気や剥離帯電等により部材のフィルムや粘着剤に帯電された電荷の影響を受けやすくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特願2010−56884
【特許文献2】特願2010−121101
【特許文献3】特願2010−97765
【特許文献4】特願2010−97925
【特許文献5】特願2010−165733
【特許文献6】特願2011−48410
【特許文献7】特願2011−75120
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、粘着剤層より離型フィルムを剥がした時に発生する剥離帯電や、静電気による異物の付着が少なく、使用されている電子部品への悪影響が少ない、例えば、タッチパネル、液晶偏光板、位相差板等の液晶構成部材製造用、PDP構成部材製造用、有機EL構成部材製造用等、各種ディスプレイ構成部材製造用のほか、各種光学用途等に好適な基材レス両面粘着シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の構成を有する離型フィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の要旨は、基材レス両面粘着シートの粘着層に積層される離型フィルムの少なくとも一方の離型フィルムが、二軸配向ポリエステルフィルム、塗布層層、および離型剤層がこの順に設けられて形成された構成であり、当該離型フィルムの表面固有抵抗値が1.0×1013Ω以下であり、剥離力が3〜50mN/cmの範囲であることを特徴とする基材レス両面粘着シートに存する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、製造工程で発生する静電気の発生が少なく、粘着剤より離型フィルムを剥がした時の剥離帯電の発生も抑えられるため、粘着剤層の表面や、離型フィルムの表面に付着する異物が少なく、帯電による精密な電子部品への悪影響も抑えられ、光学用途に用いる基材レス両面粘着シート用として、オリゴマーによる異物を低減することができ、本発明の工業的価値は高い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る基材レス両面粘着シートを示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1に示すように、基材レス両面粘着シート10は、粘着剤層11の両面に、第1および第2離型フィルムが積層されて構成される。第1剥離フィルム31は、いわゆる軽剥離シートであって、ポリエステルフィルムからなる離型フィルム基材13、塗布層24、第1離型剤層15が積層されて構成され、第1離型剤層25が粘着剤層11に剥離可能に仮着されている。
【0014】
第2離型フィルム32は、いわゆる重剥離シートであって、ポリエステルフィルムからなる離型基材23、第2離型剤層25、好ましくは、離型基材23に塗布層24、第2離型剤層25が積層されて構成され、第2離型剤層25が粘着剤層11に剥離可能に仮着されている。
【0015】
離型フィルム13と14に用いる基材を形成するポリエステルとしては、例えば、構成単位の80モル%以上がエチレンテレフタレートであるポリエチレンテレフタレート、構成単位の80モル%以上がエチレン−2,6−ナフタレートであるポリエチレン−2,6−ナフタレート、構成単位の80モル%以上が1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレートであるポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート等が挙げられる。その他には、ポリエチレンイソフタレート、ポリ−1,4−ブチレンテレフタレート等が挙げられる。
【0016】
上記の優位構成成分以外の共重合成分としては、例えば、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリアルキレングリコール等のジオール成分、イソフタル酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸およびオキシモノカルボン酸等のエステル形成性誘導体を使用することができる。
【0017】
また、ポリエステルとしては、単独重合体または共重合体のほかに、他の樹脂との小割合のブレンドも使用することができる。ポリエチレンテレフタレートにブレンドする樹脂の例としては、例えばイソフタル酸共重合体、シクロヘキサンジメチレンテレフタレート共重合体、ポリエチレングリコール共重合体等の各種共重合ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートおよび共重合ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
【0018】
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステル層中には、易滑性付与を主たる目的として粒子を配合することが好ましい。配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子が挙げられる。また、特公昭59−5216号公報、特開昭59−217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらに、フィルム原料の製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
【0019】
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
【0020】
また、用いる粒子の平均粒径は、通常0.05〜5μm、好ましくは0.05〜3μmの範囲である。平均粒径が0.05μm未満の場合には、粒子が凝集しやすく、分散性が不十分な場合があり、一方、5μmを超える場合には、フィルムの表面粗度が粗くなりすぎて、後工程において種々の表面機能層を塗設させる場合等に不具合が生じる場合がある。
【0021】
さらにポリエステル層中の粒子含有量は、通常0.001〜5重量%、好ましくは0.005〜3重量%の範囲である。粒子含有量が0.001重量%未満の場合には、フィルムの易滑性が不十分な場合があり、一方、5重量%を超えて添加する場合にはフィルムの透明性が不十分な場合がある。
【0022】
ポリエステル層中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、各層を構成するポリマーを製造する任意の段階において添加することができる。
【0023】
また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
【0024】
なお、本発明におけるポリエステルフィルム中には、上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を添加することができる。
【0025】
粘着剤層11を形成する粘着剤としては、通常はアクリル系粘着剤が使用される。アクリル系粘着剤は、官能基含有モノマーと、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル等の他のモノマーとを共重合して得られるアクリル系共重合体が主成分として構成され、必要に応じて溶媒、架橋剤、粘着付与剤、充填剤、着色剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤等をさらに含んでいてもよい。
【0026】
官能基含有モノマーとしては、例えばアクリル酸、メタアクリル酸等のカルボキシル基含有モノマーが挙げられる。官能基含有モノマーは、アクリル系共重合体を構成するモノマー全体を基準(100質量%)として、モノマー単位として0.3〜5.0質量%含むことが好ましい。
【0027】
アクリル系共重合体は、官能基を含有することにより、架橋剤との反応で凝集力を調整することができ、粘着剤の基材からのはみ出しを抑制すると共に、粘着力および耐熱性を向上させることができる。粘着剤に使用される架橋剤としては、特に制限はなく、従来アクリル系粘着剤において慣用されているものの中から適宜選択して用いられ、例えば、ポリイソシアネート化合物、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ジアルデヒド類、メチロールポリマー、アジリジン系化合物、金属キレート化合物、金属アルコキシド、金属塩などが用いられ、好ましくはポリイソシアネート化合物が用いられる。
【0028】
本発明の基材レス両面粘着シートに用いる離型フィルムは、少なくとも第1離型フィルム31は、二軸配向ポリエステルフィルム13、塗布層14、および離型剤層15の順に設けられて形成される。
【0029】
好ましくは、第2離型フィルム32も、二軸配向ポリエステルフィルム23、塗布層24、および離型剤層25の順に設けられて形成される。
【0030】
前記塗布層14および24が設けられない場合は、離型フィルムや、基材レス両面粘着シートの製造工程で静電気が発生し、異物が付着しやすくなり好ましくない。また、粘着剤層より離型フィルムを剥す工程で剥離帯電が発生し、異物が付着しやすくなったり、粘着剤層を電子基材に貼り合せた時に帯電の影響で電子部品を破壊してしまったりするため好ましくない。
【0031】
基材レス両面粘着シート10は、例えば、第2離型フィルム32の第2離型層25の上に、粘着剤が塗工された後乾燥されて粘着剤層11が形成され、次いで、その離型層11の上に第1離型フィルム31がラミネートされることにより製造されるが、前記塗布層24が設けられない場合は、製造工程で発生した静電気により異物が付着したり、粘着剤層を電子基材に貼り合せた時に帯電の影響で電子部品を破壊してしまうため好ましくない。
【0032】
また、基材レス両面粘着シート10を、第1離型フィルム31の第1離型層15の上に粘着剤層11を形成する場合に、第1離型フィルム31に塗布層14が設けられないと、第2離型フィルム32と同様の現象が生じ好ましくない。
【0033】
塗布層24あるいは塗布層14は、帯電防止性能を有し、その塗布層に離型層を設けたフィルム表面の表面固有抵抗値は1.0×1013Ω以下、好ましくは1.0×1012Ω以下である。表面固有抵抗値が1.0×1013Ωを超える場合には、帯電防止効果が不足であり、粘着剤層より離型フィルムを剥がした時に発生する剥離帯電による静電気で異物を引き寄せたり、帯電された粘着剤層を電子基板に貼り合せた時に電子回路の一部にダメージを与えたりしてしまい好ましくない。
【0034】
塗布層24あるいは塗布層14の帯電防止塗布層は、二軸配向した後に熱固定を加えて結晶配向化が完了したフィルムに対して塗工した塗布層でもよいが、フィルムの製膜途中、特に縦延伸が終了した時点で、水を主とした溶媒で希釈した塗布剤を塗工した後、乾燥・横延伸・熱固定を行って、フィルムの配向結晶化と帯電防止塗布層の付与を同時に行う、いわゆるインラインコートを用いる方法で塗工したものが好ましい。
【0035】
上記帯電防止塗布層には、前述した表面固有抵抗値を達成するために、帯電防止剤を添加する。
【0036】
この帯電防止剤としては、例えばアニオン系帯電防止剤として、アルキルスルホン酸金属塩、および4級アミン塩、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩、および4級アミン塩、燐酸エステル金属塩、および4級アミン塩、アルキル燐酸エステル金属塩、および4級アミン塩、ポリスチレンスルホン酸金属塩、および4級アミン塩、スチレンスルホン酸とラジカル重合が可能な二重結合を有するモノマー(エチレン、スチレン、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルエーテル等)との共重合体ポリマーあるいはオリゴマーの金属塩、および4級アミン塩などを挙げることができる。
【0037】
また、カチオン系帯電防止剤として、アルキルアンモニウムクロライド、アルキルベンゼンアンモニウムクロライド、あるいはイオン化された窒素またはピロリジウム環の何れかを主鎖に含有するポリマーを挙げることができる。主鎖にイオン化された窒素原子を含有するポリマーとして、アイオネンポリマーが挙げられる。具体的な化合物の例としては、特公昭53−23377号公報、特公昭54−10039号公報、特開昭47−34581号公報、特開昭56−76451号公報、特開昭58−93710号公報、特開昭61−18750号公報、特開昭63−68687号公報等に記載されているものが挙げられる。(詳細は、ALAN D.WILSON and HAVARD J.PROSSER(Ed.) DEVELOPMENTS IN IONIC POLYMERSー2 ELSEVIER APPLIED SCIENCE PUBLISHER、1986年)、IONENE POLYMERS:、PROPERTIES ANDAPPLICATIONSに記載されている。)
【0038】
一方、主鎖にピロリジウム環を含有するポリマーとしては、具体的な化合物の例としては、特開平1−146931号公報、特開平1−166326号公報、特開平1−171940号公報、特開平−171985号公報、特開平1−174538号公報、特開平1−174539号公報等に記載されているものが挙げられる。
【0039】
また、これらの系帯電防止剤のほかに、ポリメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のアルキレングリコールポリマーで、分子量が通常100〜2000、好ましくは500〜1000である化合物を併用することができる。これらのアルキレングリコールポリマーは、表面固有抵抗値を下げる、あるいは帯電防止性能の湿度依存性を緩和する目的で添加することができる。
【0040】
帯電防止塗布層には、上記帯電防止剤の他に有機高分子バインダーを添加することが、塗布層の耐久性、およびさらにその上に付与されるハードコート層等との接着性向上させるために好ましい。この有機高分子バインダーとしては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアクリレート樹脂、あるいはそれらの変性体や混合物を用いることが、特にハードコート層との接着性が良好となるため好ましい。これらの有機高分子バインダーは、水を主たる溶媒としてフィルムの製膜工程内で塗工を行うインラインコーティングで使用する場合には、水に対して溶解するか微分散するように、それらの分子内にアニオン、カチオン、または両性の親水性成分を共重合するか、あるいは水分散剤を添加する等の方法を用いることができる。
【0041】
本発明において帯電防止塗布層中には帯電防止剤と有機高分子バインダーを含有するが、これらの含有比率は1:9〜8:2(重量比)を満足することが好ましい。帯電防止剤が10重量%未満の場合には、帯電防止性が不十分な場合があり、一方、80重量%を超える場合には塗膜耐久性が不十分となる場合があり、また、塗布層上にハードコート層等を設ける場合には接着性が不十分となる場合がある。
【0042】
また、帯電防止塗布層には架橋剤を併用してもよく、具体的にはメチロール化あるいはアルキロール化した尿素系化合物、メラミン系、グアナミン系、アクリルアミド系、ポリアミド系化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン系化合物、アジリジン化合物、ブロックポリイソシアネート、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコーアルミネートカップリング剤等が挙げられる。これらの架橋成分はバインダーポリマーと予め結合していてもよい。
【0043】
さらにこの帯電防止塗布層の固着性、滑り性改良を目的として、無機系粒子を含有してもよく、具体例としてはシリカ、アルミナ、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン、バリウム塩等が挙げられる。さらに必要に応じて消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、有機系高分子粒子、酸化防止剤等が含有されてもよい。
【0044】
本発明のフィルムにおける帯電防止塗布層の厚みは、通常0.01〜1μmであり、0.02〜0.5μmの範囲が好ましい。塗布層の厚みが0.01μm未満の場合には、塗布厚みが不均一となったり、有効な帯電防止効果が得られなかったりすることがある。一方、1μmを超えて塗布する場合には、フィルムが相互にブロッキングしやすくなったり、滑り性が低下するなど不具合が生じる場合がある。
【0045】
第1離型フィルム15と第2離型フィルム25の離型層は、離型性を有する材料を含有していれば、特に限定されるものではない。その中でも、硬化型シリコーン樹脂を含有するものによれば離型性が良好となるので好ましい。硬化型シリコーン樹脂を主成分とするタイプでもよいし、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂等の有機樹脂とのグラフト重合等による変性シリコーンタイプ等を使用してもよい。
【0046】
硬化型シリコーン樹脂の種類としては、付加型・縮合型・紫外線硬化型・電子線硬化型・無溶剤型等何れの硬化反応タイプでも用いることができる。
【0047】
具体例を挙げると、信越化学工業(株)製KS−774、KS−775、KS−778、KS−779H、KS−847H、KS−856、X−62−2422、X−62−2461、ダウ・コーニング・アジア(株)製DKQ3−202、DKQ3−203、DKQ3−204、DKQ3−205、DKQ3−210、東芝シリコーン(株)製YSR−3022、TPR−6700、TPR−6720、TPR−6721、東レ・ダウ・コーニング(株)製SD7220、SD7226、SD7229等が挙げられる。さらに離型層の剥離性等を調整するために剥離コントロール剤を併用してもよい。
【0048】
本発明において、ポリエステルフィルムに離型層を設ける方法としては、リバースロールコート、グラビアコート、バーコート、ドクターブレードコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。
【0049】
本発明における離型層の塗布量は、通常0.01〜1g/mの範囲である。
【0050】
本発明において、離型層が設けられていない面には、接着層、帯電防止層、塗布層等の塗布層を設けてもよく、また、ポリエステルフィルムにはコロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
【0051】
軽剥離側に相当する第1離型フィルム31の粘着剤層11に対する剥離力は、3〜50mN/cm、好ましくは5〜25mN/cmである。第1離型フィルムの剥離力が3mN/cm未満では、容易に剥がれるため、製造工程で発生する少しの外力で離型フィルムが剥がれてしまい、好ましくない。また、第1離型フィルムの剥離力が、50mN/cmを越えた場合は、第1離型フィルムを剥す工程で第2離型フィルムと粘着層の間で浮きと呼ばれる剥がれが生じてしまい好ましくない。
【0052】
第1離型フィルム31の剥離力を低く抑えることにより、第2離型フィルム32の剥離力を低くしても、両離型フィルム31、32の剥離力差を大きくすることができる。
【0053】
また、第1離型フィルム31の剥離力を一定の値以上とすることによって、使用前に第1離型フィルム31が粘着剤層11から不意に剥がれたり、第1離型フィルム31が粘着剤層11から浮いたりすることが防止される。
【0054】
重剥離側に相当する第2離型フィルム32の剥離力は、20〜100mN/cmが好ましく、さらに好ましくは30〜60mN/cmである。第2離型フィルムの剥離力が20mN/cm未満では、第1離型フィルムを剥す時に、第2離型フィルムの一部が剥がれてしまい好ましくない。また、第2離型フィルムの剥離力が100mN/cmを越えた場合は、第2離型フィルムに粘着剤が残留するなどの問題が生じるため好ましくない。
【0055】
本発明の基材レス両面粘着シートは、上述した剥離力に加え、第1離型フィルムと第2離型フィルムの剥離差を設けることが好ましい。
【0056】
第2離型フィルム32の剥離力は、第1離型フィルム31の剥離力の通常2.0倍以上、好ましくは2.5倍以上、さらに好ましくは3.0倍以上とする。第2離型フィルム32の剥離力が第1離型フィルム31の剥離力の2.0倍未満では、軽剥離側の第1離型フィルム31を剥がした時に、第2離型フィルム32が粘着剤層11から浮く現象が生じたり、第2離型フィルム32への粘着剤の残留や、ジッピング等が生じたりすることがある。
【0057】
本発明の離型フィルム厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲で、かつ、離型フィルムとしての加工が可能であれば特に限定されるものではないが、通常10〜100μm、好ましくは15〜50μmの範囲である。フィルム厚みが10μm未満では、フィルムに腰がないことがあり、離型フィルムを剥がす工程でトラブルを生じるおそれがある。フィルム厚みが100μmを超える場合は、製造コストが上がることになる。
【0058】
本発明は、基材レス両面粘着シートの両側に、異なる厚さの離型フィルムを用いるのが好ましく、具体的には、第2離型フィルムの厚さが、第1離型フィルムの厚さの1.2倍以上、好ましくは1.4倍以上とする。軽剥離側の第1離型フィルムのフィルム厚さを薄くすることで、第1離型フィルムを剥す時に第2離型フィルムと粘着層の界面で発生する浮きを防ぐことができる。
【0059】
また、粘着剤を第2離型フィルムの離型面上に塗布した場合に、工程上の異物や凹凸の影響をなくすために、製造コストを考慮した場合には、凹凸や異物の影響をより受けやすい第2離型フィルムのフィルム厚さを厚くした方が好ましい。
【0060】
第2離型フィルムの厚さと、第1離型フィルムの厚さの比が1.2倍未満では、コストへの関与が少なくなる傾向がある。
【0061】
次に本発明の離型フィルムの基材となるポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。
【0062】
すなわち、先に述べたポリエステル原料を使用し、ダイから押し出された溶融シートを冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高める必要があり、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。次に得られた未延伸シートは二軸方向に延伸される。その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に延伸するが、その場合、延伸温度は通常70〜170℃であり、延伸倍率は通常3.0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍である。そして、引き続き180〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
【0063】
また、本発明においては離型フィルムを構成するポリエステルフィルム製造に関しては同時二軸延伸法を採用することもできる。同時二軸延伸法とは、前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法であり、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動方式等、従来公知の延伸方式を採用することができる。
【0064】
ポリエステルフィルムの表面に塗布層を形成する方法は、特に制限されないが、ポリエステルフィルムを製造する工程中で塗布液を塗布する方法が好適に採用される。具体的には、未延伸シート表面に塗布液を塗布して乾燥する方法、一軸延伸フィルム表面に塗布液を塗布して乾燥する方法、二軸延伸フィルム表面に塗布液を塗布して乾燥する方法等が挙げられる。これらの中では、未延伸フィルムまたは一軸延伸フィルム表面に塗布液を塗布後、フィルムに熱処理を行う過程で同時に塗布層を乾燥硬化する方法が経済的である。
【0065】
また、塗布層を形成する方法として、必要に応じ、前述の塗布方法の幾つかを併用した方法も採用し得る。具体的には、未延伸シート表面に第一層を塗布して乾燥し、その後、一軸方向に延伸後、第二層を塗布して乾燥する方法等が挙げられる。
【0066】
ポリエステルフィルムの表面に塗布液を塗布する方法としては、原崎勇次著、槙書店、1979年発行、「コーティング方式」に示されるリバースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター等を使用することができる。
【0067】
本発明において用いる塗布液は、通常、安全性や衛生性の観点から水を主たる媒体として調整されていることが好ましい。水を主たる媒体とする限りにおいて、水への分散を改良する目的あるいは造膜性能を改良する目的で少量の有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤は、主たる媒体である水と混合して使用する場合、水に溶解する範囲で使用することが好ましいが、長時間の放置で分離しないような安定した乳濁液(エマルジョン)であれば、水に溶解しない状態で使用してもよい。有機溶剤は単独で用いてもよいが、必要に応じて二種以上を併用してもよい。
【実施例】
【0068】
次に、実施例を挙げて本説明をさらに説明する。ただし、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例、比較例における物性の評価方法は以下のとおりである。
【0069】
(1)ポリエステルの極限粘度の測定
ポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
【0070】
(2)平均粒径(d50)
島津製作所製遠心沈降式粒度分布測定装置(SA−CP3型)を用いて測定した等価球形分布における積算体積分率50%の粒径を平均粒径d50とした。
【0071】
(3)表面固有抵抗値
横河・ヒューレット・パッカード社の内側電極50mm径、外側電極70mm径の同心円電極である16008A(商品名)を23℃、50%RHの雰囲気下で試料に設置し、100Vの電圧を印加し、同社の高抵抗計である4329A(商品名)で試料の表面固有抵抗値を測定した。
【0072】
(4)離型フィルムの剥離力(F)の評価
試料フィルムの離型層表面に両面粘着テープ(日東電工製「No.502」)の片面を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットした後、室温にて1時間放置後の剥離力を測定する。剥離力は、引張試験機((株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」)を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離を行った。
【0073】
(5)実用特性
<異物検査>
両面に離型フィルムを設けた、基材レス両面粘着シートを観察し、異物の検出状況により評価した。
【0074】
○:異物が検出されず、光学用途として十分な品質を有している
△:異物が検出されるが、実用上支障のないレベル
×:異物が多数検出され、光学用としては不適切で、用途が限定される
【0075】
<ジッピングの発生状況>
剥離力を測定する時に、粘着剤と離型フィルムの剥離状況を観察し、ジッピングの発生を3段階で評価した。
○:極めて円滑に剥離し、剥離スジがなく、剥離音も発生しない
△:わずかな剥離スジが見られ、剥離の音がわずかに発生すし、わずかにジッピングが発生する
×:剥離スジが見られ、剥離の音が発生し、ジッピングが発生する
【0076】
<第1、第2離型フィルムの剥離性>
軽剥離側の第1離型フィルムを剥がした時の、第2離型層と粘着剤界面の状況により評価した。
○:第2離型層と粘着剤界面に以上が見られない
△:第2離型層と粘着剤界面で、わずかに浮きが見られるが、実用上問題ないレベル
×:第2離型層と粘着剤界面で、明確な浮きが見られる
【0077】
<ポリエステル(1)の製造方法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.04部を添加した後、平均粒子径1.6μmのエチレングリコールに分散させたシリカ粒子を0.06部、三酸化アンチモン0.04部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、4時間を経た時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステル(1)の極限粘度は0.53であった。
【0078】
<塗布層の調整>
・塗布液A(帯電防止塗布層組成1)
ポリウレタン系樹脂 40重量部
(イソシアネート成分としてイソホロンジイソシアネート、ポリオール成分としてテレフタル酸、イソフタル酸、エチレングリコール、ジエチレングリコールより構成されるポリエステルポリオール、鎖延長剤として2,2−ジメチロールプロピオン酸を主としてなるポリウレタン)
スチレンスルホン酸ソーダ共重合アクリル樹脂 30重量部
(p−スチレンスルホン酸ナトリウム塩、メタリルスルホン酸ナトリウム塩、N,N’−ジメチルアミノメタクリレートを主成分として共重合した帯電防止樹脂)
ポリエステル樹脂 15重量部
(ジカルボン酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、5ーナトリウムスルホイソフタル酸を含有し、ジオール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコールを含有する共重合ポリエステル)
メラミン系架橋剤 10重量部
(メトキシメチロールメラミン(メチロール化度:5〜6))
コロイダルシリカ 5重量部
上記の帯電防止塗布層組成1で示す固形分重量割合の水分散性塗料を、フィルム製膜後の厚みで0.025μmとなるように均一に塗布した。
【0079】
・塗布層B(帯電防止塗布層組成2)
ポリピロリジウム樹脂塩酸塩 40重量部
ポリアクリル樹脂 50重量部
(メチルメタクリレートを主成分とし,N-メチロールアクリルアミドを含み自己架橋性を有する共重合アクリル樹脂)
メラミン系架橋剤 10重量部
(メトキシメチロールメラミン(メチロール化度:5〜6))
上記の帯電防止塗布層組成2で示す固形分重量割合の水分散性塗料を、フィルム製膜後の厚みで0.04μmとなるように均一に塗布した。
【0080】
・塗布層C(易接着塗布層組成1)
ポリウレタン系樹脂 65重量部
(イソシアネート成分としてイソホロンジイソシアネート、ポリオール成分としてテレフタル酸、イソフタル酸、エチレングリコール、ジエチレングリコールより構成されるポリエステルポリオール、鎖延長剤として2,2−ジメチロールプロピオン酸を主としてなるポリウレタン)
ポリエステル樹脂 20重量部
(ジカルボン酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、5ーナトリウムスルホイソフタル酸を含有し、ジオール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコールを含有する共重合ポリエステル)
メラミン系架橋剤 10重量部
(メトキシメチロールメラミン(メチロール化度:5〜6))
コロイダルシリカ 5重量部
上記の易接着塗布層組成1で示す固形分重量割合の水分散性塗料を、フィルム製膜後の厚みで0.025μmとなるように均一に塗布した。
【0081】
<ポリエステルフィルムの製造>
・ポリエステルフィルム−1(38μm)
ポリエステル(1)を原料として、ベント付き押出機に供給し、290℃で溶融押出した後、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して厚さ約550μmの無定形フィルムを得た。
【0082】
このフィルムを85℃で縦方向に3.7倍延伸し、フィルムの片面に、塗布液を所定の厚みに塗布した後、100℃で横方向に3.9倍延伸し、210℃で熱処理して、厚さ38μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
【0083】
・ポリエステルフィルム−2(50μm)
ポリエステル(1)を原料として、ベント付き押出機に供給し、290℃で溶融押出した後、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して厚さ約740μmの無定形フィルムを得た。
【0084】
このフィルムを85℃で縦方向に3.7倍延伸し、フィルムの片面に、塗布液を所定の厚みに塗布した後、100℃で横方向に4.0倍延伸し、210℃で熱処理して、厚さ50μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
【0085】
・ポリエステルフィルム−3(75μm)
ポリエステル(1)を原料として、ベント付き押出機に供給し、290℃で溶融押出した後、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して厚さ約1100μmの無定形フィルムを得た。
【0086】
このフィルムを85℃で縦方向に3.5倍延伸し、フィルムの片面に、塗布液を所定の厚みに塗布した後、100℃で横方向に4.0倍延伸し、210℃で熱処理して、厚さ75μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
【0087】
<離型層>
ポリエステルフィルムの製造で得られた二軸配向ポリエステルフィルムに、下記に示す離型層組成からなる塗料を、塗布量が0.1g/m(乾燥後)になるように設けて離型フィルムを得た。
【0088】
・離型層組成―1
硬化型シリコーン樹脂(KS−847H:信越化学製) 100部
硬化剤(PL−50T: 信越化学製) 1部
MEK/トルエン混合溶媒(混合比率は1:1) 1500部
【0089】
・離型層組成―2
硬化型シリコーン樹脂(KS−774:信越化学製) 100部
硬化剤(PL−4: 信越化学製) 10部
MEK/トルエン混合溶媒(混合比率は1:1) 1500部
【0090】
・離型層組成―3
硬化型シリコーン樹脂(KS−723A:信越化学製) 100部
硬化型シリコーン樹脂(KS−723B:信越化学製) 5部
硬化剤(PS−3:信越化学製) 5部
MEK/トルエン混合溶媒(混合比率は1:1) 1500部
【0091】
・離型層組成―4
硬化型シリコーン樹脂(KS−847H:信越化学製) 95部
重剥離コントロール剤(SD−7292:東レ・ダウコーニング製) 5部
硬化剤(PL−50T:信越化学製) 1部
MEK/トルエン混合溶剤(混合比率は1:1) 1500部
【0092】
・離型層組成―5
硬化型シリコーン樹脂(KS−847H:信越化学製) 95部
重剥離コントロール剤(SD−7292:東レ・ダウコーニング製) 3部
硬化剤(PL−50T:信越化学製) 1部
MEK/トルエン混合溶剤(混合比率は1:1) 1500部
【0093】
・離型層組成―6
硬化型シリコーン樹脂(KS−847H:信越化学製) 95部
重剥離コントロール剤(SD−7292:東レ・ダウコーニング製) 10部
硬化剤(PL−50T:信越化学製) 1部
MEK/トルエン混合溶剤(混合比率は1:1) 1500部
【0094】
実施例1:
<第1離型フィルムの製造>
塗布液Aを塗布した、厚さ38μmのポリエステルフィルム1に、離型層組成1を塗布量が0.1g/m(乾燥後)になるように設けて第1離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの特性を下記表1〜3に示す。
<第2離型フィルムの製造>
塗布液Aを塗布した厚さ50μmのポリエステルフィルム2に、離型層組成2を塗布量が0.1g/m(乾燥後)になるように設けて第2離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの特性を表1〜3に示す。
【0095】
<基材レス両面粘着シートの製造>
得られた第2離型フィルムの離型剤層の上に、アクリル系粘着剤溶液を乾燥後の膜厚が25μmとなるように、アプリケータを用いて塗工した後、その塗工膜を120℃で1分間乾燥して粘着剤層を形成した。アクリル系粘着剤溶液は、アクリル酸ブチルとアクリル酸とのモノマー基準の質量比が99:1の共重合体溶液(溶媒:トルエン、固形分濃度40質量%)100質量部に、ポリイソシアネート系架橋剤(東洋インキ製造(株)製、商品名「BHS8515」、固形分濃度37.5質量%)1質量部を添加混合して得られたものであった。次いで、第1離型フィルムの離型剤層と粘着剤層とを貼り合わせて実施例1の基材レス両面粘着シートを得た。
【0096】
実施例2〜9、比較例1〜3:
実施例1の第1離型フィルムの製造と、第2離型フィルムの製造において、離型フィルムに用いたポリエステルと、離型層組成を下記表1および2のとおり変更した以外は、実施例1と同様にして第1離型フィルムと第に離型フィルムを得た。得られた離型フィルムを用いて、実施例1と同様にして実施例2〜8の基材レス両面粘着シートを得た。
【0097】
【表1】

【0098】
【表2】

【0099】
【表3】

【0100】
【表4】

【0101】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0102】
離型フィルムに帯電防止を有する塗布層を設けた離型フィルムを用いた本発明の基材レス両面粘着シートは、静電気や剥離帯電による各基材の帯電量を低く抑えるため、製造工程における異物の付着が少なく、精密な電子部品への悪影響を小さくすることができ、光学用に用いる基材レス両面粘着シート用の離型フィルムとして、好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0103】
10 基材レス両面粘着シート
11 粘着剤層
13 第1離型フィルム基材
14 第1塗布層
15 第1離型剤層
23 第2離型フィルム基材
24 第2塗布層
25 第2離型剤層
31 第1離型フィルム(軽剥離シート)
32 第2離型フィルム(重剥離シート)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材レス両面粘着シートの粘着層に積層される離型フィルムの少なくとも一方の離型フィルムが、二軸配向ポリエステルフィルム、塗布層層、および離型剤層がこの順に設けられて形成された構成であり、当該離型フィルムの表面固有抵抗値が1.0×1013Ω以下であり、剥離力が3〜50mN/cmの範囲であることを特徴とする基材レス両面粘着シート。

【図1】
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【公開番号】特開2013−1734(P2013−1734A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131711(P2011−131711)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】