説明

基材処理用濃縮物

本発明は、a.(a−1)20以上、特に20〜60のエトキシ化度および/またはプロポキシ化度を有する、リシノール酸の水素化および/または非水素化、エトキシ化および/またはプロポキシ化トリグリセリド、(a−2)6〜22個の炭素原子を有する飽和または不飽和の脂肪酸のソルビタンモノエステルおよび/またはジエステルへのエチレンオキシド2〜50molの付加生成物、および(a−3)8〜22個の炭素原子を有しポリオールで開環させたα-オレフィンエポキシドへの、エチレンオキシド2〜50molおよびプロピレンオキシド1〜20molの付加生成物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物、b.20未満、好ましくは3〜19、特に3〜15のエトキシ化度を有する、少なくとも1種のエトキシ化および/またはプロポキシ化グリセロール脂肪酸モノエステルおよび/またはジエステル、c.グリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、テトラグリセロール、アルキレングリコールおよびポリアルキレングリコールからなる群から選択される少なくとも1種のポリオール、d.一般式(I):
【化1】


[式中、Rは9〜19個の炭素原子を有する飽和または不飽和、分枝状または直鎖状の基である]
で示される少なくとも1種のグリセロール脂肪酸モノエステル、およびe.20重量%以下の水を含む組成物に関する。本発明は、さらに、該組成物の使用および該組成物で処理した基材に関する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
皮膚および毛髪のケアおよび浄化の分野において、湿潤および乾燥した紙またはワイプはますます重要になっている。ここで、用語「ワイプ」には、きわめて幅広い種類の基材、例えば不織布、ティッシュ、および紙が含まれる。
【0002】
総称用語「紙またはワイプ」は、約3000の異なる種類および品目を含むと理解され、それらのいくつかは、その用途分野および性質においてかなり異なっていてよい。それらを製造するために、一連の添加剤が必要とされ、そのうちフィラー(例えば白亜またはカオリン)および結合剤(例えばデンプン)は特に重要なものであるとみなされる。人の皮膚と比較的に密着するティッシュおよび衛生紙およびワイプの分野に対し、心地よい柔らかな感触に対する特定の必要性があり、通常、繊維材料の注意深い選択、特に高い割合の新しい砕木パルプまたはセルロースによって、紙に付与される。
【0003】
これら紙またはワイプは、特に紙またはワイプにそのケア特性および/または浄化特性を付与する、あらゆる種類の含浸溶液で処理されうる。
【0004】
したがって、例えば独国特許出願公開第102005006299号には、乳化剤濃縮物およびその使用が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第102005006299号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
標準温度で流動性を有し、そのため、吸込み吐出が簡単な組成物を提供することが本発明の課題であった。同時に、この組成物は安定であり、すなわち成分の分離が起こらない。さらに、水(および任意にさらなる化粧品成分、特に親油性成分を有するもの)で希釈後に、これらの組成物が相分離を起こさないことが望まれ、高温で長時間の安定性が特に興味がもたれた。該組成物を低いエネルギー消費で希釈できることも興味が持たれた。
【0007】
さらに、本発明の組成物は、良好な感覚特性を有するおよび/または組成物を適用する基材に有利な感覚特性を付与し、ここで、本発明の組成物で処理した基材の柔らかさは特に興味深い。さらなる成分、特に油溶性成分を、基材に適用可能にする組成物を提供する必要性も存在する。基材を提供することにより皮膚に優しい皮膚の浄化ができること、および同時に高い皮膚適合性を有することが、さらなる課題であった。ここで、特に、再脂化および皮膚の水分結合も興味が持たれた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の課題は、
a.
(a−1)20以上、特に20〜60のエトキシ化度および/またはプロポキシ化度を有する、リシノール酸の水素化および/または非水素化、エトキシ化および/またはプロポキシ化トリグリセリド、
(a−2)6〜22個の炭素原子を有する飽和または不飽和の脂肪酸のソルビタンモノエステルおよび/またはジエステルへのエチレンオキシド2〜50molの付加生成物、および
(a−3)8〜22個の炭素原子を有しポリオールで開環させたα-オレフィンエポキシドへの、エチレンオキシド2〜50molおよびプロピレンオキシド1〜20molの付加生成物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物、
b.20未満、好ましくは3〜19、特に3〜15のエトキシ化度を有する、少なくとも1種のエトキシ化および/またはプロポキシ化グリセロール脂肪酸モノエステルおよび/またはジエステル、
c.成分a、bおよびdと異なる少なくとも1種のポリオール、
d.一般式(I):
【化1】

[式中、Rは9〜19個の炭素原子を有する飽和または不飽和、分枝状または直鎖状の基である]
で示される少なくとも1種のグリセロール脂肪酸モノエステル、
e.20重量%以下の水
を含む組成物により達成される。
【0009】
本発明の好ましい態様は、
a.
(a−1)20以上、特に20〜60のエトキシ化度および/またはプロポキシ化度を有する、リシノール酸の水素化および/または非水素化、エトキシ化および/またはプロポキシ化トリグリセリド、
(a−2)6〜22個の炭素原子を有する飽和または不飽和の脂肪酸のソルビタンモノエステルおよび/またはジエステルへのエチレンオキシド2〜50molの付加生成物、および
(a−3)8〜22個の炭素原子を有しポリオールで開環させたα-オレフィンエポキシドへの、エチレンオキシド2〜50molおよびプロピレンオキシド1〜20molの付加生成物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物、
b.20未満、好ましくは3〜19、特に3〜15のエトキシ化度を有する、少なくとも1種のエトキシ化および/またはプロポキシ化グリセロール脂肪酸モノエステルおよび/またはジエステル、
c.グリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、テトラグリセロール、アルキレングリコールおよびポリアルキレングリコールからなる群から選択される少なくとも1種のポリオール、
d.一般式(I):
【化2】

[式中、Rは9〜19個の炭素原子を有する飽和または不飽和、分枝状または直鎖状の基である]
で示される少なくとも1種のグリセロール脂肪酸モノエステル、
e.20重量%以下の水
を含む組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の組成物は流動性である。流動性という用語は、その粘度が20Pasより低い(ブルックフィールド回転粘度計、RVF、スピンドル TE、4rpm、23℃)である組成物を表すために使用される。本発明の好ましい態様において、本発明の組成物は薄液である。薄液という用語は、その粘度が800mPas未満またはそれに等しい(ブルックフィールド RVF 23℃、スピンドル 5、10rpm)組成物を表すために使用される。
【0011】
全ての重量%値は、組成物の総重量を参照する。
【0012】
本発明の好ましい態様において、組成物は6未満のHLB値を有するエトキシ化乳化剤を含まない。
【0013】
〔成分(a)〕
組成物は、成分(a)として、
(a−1)20以上、特に20〜60のエトキシ化度および/またはプロポキシ化度を有する、リシノール酸の水素化および/または非水素化、エトキシ化および/またはプロポキシ化トリグリセリド、
(a−2)6〜22個の炭素原子を有する飽和または不飽和の脂肪酸のソルビタンモノエステルおよび/またはジエステルへのエチレンオキシド2〜50molの付加生成物、および
(a−3)8〜22個の炭素原子を有しポリオールで開環させたα-オレフィンエポキシドへの、エチレンオキシド2〜50molおよびプロピレンオキシド1〜20molの付加生成物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む。
【0014】
成分(a-1)
適当な成分(a)は、20以上、特に20〜60のエトキシ化度および/またはプロポキシ化度を有するリシノール酸のエトキシ化および/またはプロポキシ化トリグリセリドである。これら化合物は、水素化された、および/または水素化されていないものであり得る。
【0015】
リシノール酸のエトキシ化トリグリセリドは、一般式:
【化3】

[式中、
・u、vおよびwは、互いに独立して、0〜100の数であり、
・u、vおよびwの合計は、20より大きいかまたは20に等しい、好ましくは20〜60であり、
・Rはリシノール酸[(R)-12-ヒドロキシ-(Z)-オクタデセ-9-エン酸]のアシル基である]
に適合する。
【0016】
リシノール酸のプロポキシ化トリグリセリドは、次の式:
【化4】

[式中、
・x、yおよびzは、互いに独立して、0〜100の数であり、
・x、yおよびzの合計は20より大きいかまたは20に等しい、好ましくは20〜60であり、および
・Rはリシノール酸[(R)-12-ヒドロキシ-(Z)-オクタデセ-9-エン酸]のアシル基である]
に適合する。
【0017】
エトキシ化およびプロポキシ化されたリシノール酸のトリグリセリド:
【化5】

[式中、
・u、v、w、x、yおよびzは、互いに独立して、0〜100の数であり、
・u、v、w、x、yおよびzの合計は20より大きいかまたは20に等しい、好ましくは20〜60であり、
・Rはリシノール酸[(R)-12-ヒドロキシ-(Z)-オクタデセ-9-エン酸]のアシル基である]
も本発明に適当である。
【0018】
ここで、リシノール酸のエトキシ化およびプロポキシ化トリグリセリド中のエチレンオキシド単位およびプロピレンオキシド単位の順は、製造の間に選択した条件による。
【0019】
水素化により得られる水素化または部分水素化(エトキシ化および/またはプロポキシ化)トリグリセリドにおいて、リシノール酸のアシル基中の二重結合は、完全にまたは部分的に飽和である。
【0020】
成分(a)として、エトキシ化化合物またはプロポキシ化化合物またはそれぞれの対応する水素化化合物のいずれもを、単独でまたは互いに混合して、使用することが可能である。
【0021】
エトキシ化度またはプロポキシ化度は、エチレンオキシド単位またはプロピレンオオキシド単位の平均モルを表し、したがって、u、v、w、x、yおよびzの合計に相当する。
【0022】
成分(a-1)として本発明により適当なリシノール酸のトリグリセリドは、例えば、市販のエトキシ化ヒマシ油またはプロポキシ化ヒマシ油の主成分として存在する。これらは、例えば次のINCI名で市販されている(括弧内はそれぞれ商品名および製造会社):
・INCI: PEG-20 Castor Oil(Nikkol CO-20TX、日光ケミカルズ株式会社)
・INCI: PEG-20 Hydrogenated Castor Oil(Nikkol HCO-20、日光ケミカルズ株式会社)
・INCI: PEG-40 Hydrogenated Castor Oil(Eumulgin(登録商標) HRE 40、Cognis GmbH;Cremophor RH 40、BASF Corp.;Tagat CH 40、Evonik Goldschmidt Corp.)
・INCI: PEG-60 Hydrogenated Castor Oil(Eumulgin(登録商標) HRE 60、Cognis GmbH;Cremophor RH 60、BASF Corp.;Tagat CH 60、Evonik Goldschmidt Corp.;Croduret 60、Croda Europe)
・INCI: PEG-40 Castor Oil(Eumulgin(登録商標) RO 40、Cognis GmbH;Etocas 40、Croda Europe;Nikkol CO-40TX、日光ケミカルズ株式会社)
・INCI: PEG-60 Castor Oil(商品名 Nikkol CO-60TX、日光ケミカルズ株式会社)
・INCI: PEG-80 Hydrogenated Castor Oil(商品名 Nikkol HCO-80、日光ケミカルズ株式会社)
・INCI: PEG-100 Hydrogenated Castor Oil(商品名 Nikkol HCO-100、日光ケミカルズ株式会社)。
【0023】
成分(a-2)
さらなる適当な成分(a)は、6〜22個の炭素原子を有する飽和または不飽和の脂肪酸のソルビタンモノエステルおよび/またはジエステルへのエチレンオキシド2〜50molの付加生成物である。
【0024】
好ましい態様において、6〜22個の炭素原子を有する飽和および直鎖状脂肪酸のソルビタンモノエステルおよび/またはジエステルへのエチレンオキシド2〜50mol付加生成物を使用する。
【0025】
ソルビタンは、酸触媒の影響下で加熱することによりD-グルシトール(ソルビトール)から1molの水を除去することにより生じる、4価アルコールの総称である。脂肪酸とエステル化すると、対応するソルビタンエステル(1,4-ソルビタンエステルおよび1,5-ソルビタンエステル)を生成する。
【0026】
本発明に適当なソルビタンモノエステルは、例えば、次の式:
【化6】

[・式中、Rは5〜21個の炭素原子を有する飽和または不飽和、直鎖状または分枝状の基であり、
・式中、w、x、yおよびzは、互いに独立して、0〜50の数であり、
・ここで、w、x、yおよびzの合計は2〜50である]
で示される化合物(エトキシ化1,4-ソルビタンモノエステル)である。
【0027】
式中、Rは11〜17個の炭素原子を有する直鎖状および飽和の基である、上記式で示される化合物が特に好ましい。
【0028】
式中、w、x、yおよびzの合計は4〜40である、上記式で示される化合物が特に好ましい。
【0029】
本発明に適当なエトキシ化ソルビタンエステルの例は、INCI名 Polysorbate 20(商品名 Eumulgin(登録商標)SML 20、Cognis GmbH)で市販されている製品である。Polysorbate 20は、次の式:
【化7】

[式中、w+x+y+zの合計は、平均して20である]
で示されるソルビタンモノエステルが主の混合物である。
【0030】
さらに適当なエトキシ化ソルビタンエステルは、INCI名 Polysorbate 21(商品名 Tween 21、Croda)で市販されている製品であり、式中、w+x+y+zの合計は、平均して4である。
【0031】
例えば、INCI 名Polysorbate 40(商品名 Tween 40、Croda)で市販されている製品も適当である。Polysorbate 40は、次の式:
【化8】

[式中、w+x+y+zの合計は、平均して20である]
で示されるソルビタンモノエステルが主の混合物である。
【0032】
成分(a-3)
さらに適当な成分(a)は、8〜22個の炭素原子を有しポリオールで開環させたα-オレフィンエポキシドへの、エチレンオキシド2〜50molおよびプロピレンオキシド1〜20molの付加生成物である。
【0033】
8〜22個の炭素原子を有するα-オレフィンエポキシドは、末端位置にエポキシ基を有し、一般式:
【化9】

[式中、Rは6〜20個の炭素原子を有する基である]
に適合する化合物である。
【0034】
成分(a)は、8〜22個の炭素原子を有するα-オレフィンエポキシドの、ポリオールによる開環、および続くプロポキシ化およびエトキシ化(または続くエトキシ化およびプロポキシ化)により得られる。開環に使用するポリオールは、アルキレングリコールまたはポリエチレングリコール、特にエチレングリコールが好ましい。
【0035】
本発明の好ましい態様において、8〜22個の炭素原子を有するα-オレフィンエポキシド、好ましくは8〜16個の、好ましくは12〜16個の炭素原子を有するα-オレフィンエポキシドの開環により得られる化合物を、成分(a)として使用する。
【0036】
本発明の好ましい態様において、α-オレフィンエポキシドをエチレングリコールで開環することにより得られる化合物を、成分(a)として使用する。
【0037】
これら化合物は、一般式(I):
【化10】

[式中、
・mは、1〜20の数、好ましくは1〜5の数であり、
・nは、2〜50の数、好ましくは5〜30の数、特に8〜25の数であり、
・Rは、6〜20個の炭素原子、好ましくは10〜14個の炭素原子を有する基である]
および/または(II):
【化11】

[式中、
・mおよびpの合計は、1〜20、好ましくは1〜5の数であり、
・nおよびoの合計は、2〜50、好ましくは5〜30、特に8〜25の数であり、
・Rは、6〜20個の炭素原子、好ましくは10〜14個の炭素原子を有する基である]
に適合する。
【0038】
ここで、エチレンオキシド単位およびプロピレンオオキシド単位の順は、製造の間に選択した条件による。好ましい態様において、エポキシドを開環後、まず初めにプロポキシ化し、その後、エトキシ化を行う。これら化合物は、式(I)および/または(II)に適合する。初めにエトキシ化を行った後でプロポキシ化を行う場合、式(I)および(II)において、式中のエトキシ単位およびプロポキシ単位の順がそれに応じて入れ替わる。
【0039】
本発明の好ましい態様において、本発明の組成物は、一般式(I)および/または(II)[式中、Rは10〜14個の炭素原子を有する基であり、mおよびp=1であり、nおよびo=9である]で示される化合物を含む。そのような化合物はINCI名 PPG-1-PEG-9 Laurylglycol ether(Eumulgin(登録商標)L、Cognis GmbH)で市販されている。
【0040】
(a)の量
本発明の好ましい態様において、本発明の組成物は、組成物の総重量に基づいて3〜50重量%、特に5〜45重量%、好ましくは10〜40重量%、特に20〜30重量%の成分(a)を含む。
【0041】
成分(a)に対する成分(b)の比
本発明の好ましい態様において、成分(a)に対する成分(b)の重量比は、1以上、好ましくは1.5以上、特に2以上である。成分(a)に対する成分(b)の重量比が5以上、特に7以上、好ましくは10以上であることが好ましい。
【0042】
〔成分(b)〕
成分(b)として、組成物は、20未満、好ましくは3〜19、特に3〜15のエトキシ化度および/またはプロポキシ化度を有する少なくとも1種のエトキシ化および/またはプロポキシ化グリセロール脂肪酸モノエステルおよび/またはジエステルを含む。
【0043】
成分(b)として、組成物は20未満のエトキシ化度および/またはプロポキシ化度を有するエトキシ化および/またはプロポキシ化グリセロール脂肪酸モノエステルおよび/またはジエステルのいずれか1つ、または20未満のエトキシ化度および/またはプロポキシ化度を有するエトキシ化および/またはプロポキシ化脂肪酸モノエステルおよび/またはジエステルの2またはそれ以上の混合物を含むことができる。
【0044】
20未満のエトキシ化度および/またはプロポキシ化度を有するエトキシ化および/またはプロポキシ化グリセロール脂肪酸モノエステルおよび/またはジエステルは、一般式:
【化12】

[式中、
・x、yおよびzは、互いに独立して、0〜19の数であり、
・x、yおよびzの合計は1〜19、好ましくは3〜19、特に5〜15であり、
・R、RおよびRは、互いに独立して、水素、8〜22個の炭素原子を有する飽和または不飽和、直鎖状または分枝状アシル基から選択され、
・少なくとも1つの基R、RまたはRは水素である]
に適合する。
【0045】
20未満のプロポキシ化度を有する対応するプロポキシ化グリセロール脂肪酸モノエステルおよび/またはジエステルは、次の一般式:
【化13】

[式中、
・x、yおよびzは、互いに独立して、0〜19の数であり、
・x、yおよびzの合計は1〜19、好ましくは3〜19、特に5〜15であり、
・R、RおよびRは、互いに独立して、水素、8〜22個の炭素原子を有する飽和または不飽和、直鎖状または分枝状アシル基から選択され、
・少なくとも1つの基R、RまたはRは水素である]
に適合する。
【0046】
適当なアシル基R、RまたはRの例は、
-C(=O)-[CH]16-CH(=オクタデカノイル基、=ステアロイル基)
-C(=O)-[CH]14-CH(=ヘキサデカノイル基、=パルミトイル基)
-C(=O)-[CH]12-CH(=テトラデカノイル基、=ミリストイル基)
-C(=O)-[CH]10-CH(=ドデカノイル基、=ラウロイル基)
-C(=O)-[CH]-CH(=デカノイル基)
-C(=O)-[CH]-CH(=オクタノイル基)
【0047】
いずれもエトキシ化およびプロポキシ化したグリセロール脂肪酸モノエステルおよびグリセロール脂肪酸ジエステルも、同様に適当である。
【0048】
成分(b)として、グリセロール脂肪酸モノエステル、グリセロール脂肪酸ジエステルまたはモノエステルとジエステルの混合物のいずれかを使用することができる。本発明により好ましく使用されるエトキシ化/プロポキシ化グリセロール脂肪酸エステルは、通常、グリセロール脂肪酸モノエステルとグリセロール脂肪酸ジエステルの混合物である。
【0049】
本発明によれば、成分(b)として、以下:
・ポリオキシエチレン(10)オリーブグリセリド(INCI:PEG-10 Olive Glycerides)、
・ポリオキシエチレン(11)アボガドグリセリド(INCI:PEG-11 Avocado Glycerides、CAS:103819-44-9)、
・ポリオキシエチレン(11)カカオ脂グリセリド(INCI:PEG-11 Cocoa Butter Glycerides)、
・ポリオキシエチレン(9)ココナツグリセリド(INCI:PEG-9 Cocoglycerides、CAS: 67762-35-0)、
・モノ水素化、ジ水素化およびトリ水素化パーム核グリセリドPEG-6錯体(INCI: Hydrogenated Palm Kernel Glycerides PEG-6 Esters)、
・ポリオキシエチレン(7)グリセリルモノココエート(CAS:66105-29-1 および 68201-46-7)および
・ポリオキシエチレン(6)カプリル酸/カプリン酸グリセリド(INCI: PEG-6 Caprylic/Capric Glycerides)
から形成される群から選択される化合物を使用することが好ましくあり得る。
【0050】
ここで、ポリオキシエチレン(7)グリセリルモノココエート(CAS:66105-29-1 および 68201-46-7)、ポリオキシエチレン(6)カプリル酸/カプリン酸グリセリド(INCI:PEG-6 Caprylic/Capric Glycerides)およびポリオキシエチレン(9)ココナツグリセリド(INCI:PEG-9 Cocoglycerides、CAS:67762-35-0)の使用は、本発明によれば特に好ましい。
【0051】
(b)の量
本発明の好ましい態様において、本発明の組成物は、組成物の総重量に基づいて40〜90、特に50〜85、好ましくは55〜80重量%の成分(b)を含む。
【0052】
〔成分(c)〕
本発明の組成物は、成分(c)として少なくとも1種のポリオールを含む。ここで、成分(c)は、成分(a)、(b)および(d)と異なる成分である。
【0053】
本発明に関して、ポリオールは分子中に少なくとも2個のアルコール性ヒドロキシル基を有する物質を意味すると理解される。使用されるポリオールは、好ましくは2〜15個の炭素原子および少なくとも2個のヒドロキシル基を有する化合物である。使用することができるポリオールは、3〜15個の炭素原子および少なくとも3個のヒドロキシルを有する化合物であってよい。
【0054】
本発明の好ましい態様において、ポリオールは酸素、水素および炭素は別として、さらなる元素を含有しない。組成物は、成分(c)として、1種のポリオールおよび2種以上のポリオールの混合物のいずれもを含むことができる。
【0055】
本発明の一態様において、ポリオール(c)をグリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、テトラグリセロール、アルキレングリコールおよびポリアルキレングリコールからなる群から選択する。
【0056】
適当なアルキレングリコールは、エチレングリコール(=1,2-エタンジオール)、ジエチレングリコール(=2,2'-オキシジエタノール;HO-(CH)-O-(CH)-OH)、トリエチレングリコール(=2,2'-(エチレンジオキシ)ジエタノール)、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ブチレングリコール(=ブタンジオール)例えば1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、2,3-ブチレングリコール;ペンタン-1,5-ジオール;ペンタン-1,2-ジオール;メソ-ペンタン-2,4-ジオール、(2R,4R)-ペンタン-2,4-ジオール;(2S,4S)-ペンタン-2,4-ジオール、ヘキサンジオール、例えばへキシレングリコール(=2-メチルペンタン-2,4-ジオール)、ヘプタンジオール、オクタンジオールおよびデカンジオールである。
【0057】
ポリアルキレングリコールは、グリコールの重縮合により生じる、主に直鎖状であるが分枝状であることもあるポリエーテルを表すとして使用される用語である。これらポリエーテルポリオールの技術的に重要な例は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン/ポリプロピレングリコール、およびポリテトラメチレングリコール、および、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびテトラヒドロフランの開環重合により製造されるそれらの類似化合物である。
【0058】
本発明に関し、特に好ましいポリアルキレングリコールは、100〜1000ダルトンの平均分子量を有するポリエチレングリコールおよび/またはポリプロピレングリコールおよび/またはポリエチレン-ポリプロピレングリコールである。
【0059】
ここで、好ましいポリアルキレングリコールは、一般式:
【化14】

に適合する。
【0060】
およびR=(CH)である場合、式はポリエチレングリコールを表し、RおよびR=CH-CH(CH)である場合、式はポリプロピレングリコールを表す。R=(CH)およびR=CH-CH(CH)である場合、式はポリエチレン/ポリプロピレングリコールを表す。
【0061】
これら化合物は、例えばINCI名(括弧内は商品名および製造会社):
INCI:PEG-4(Polyglykol 200 USP、Clariant International;Pluracare E 200、BASF Corp.)
INCI:PEG-12(Polyglykol 600、Clariant International;Pluracare E 600、BASF Corp.)
INCI:PPG-3(Newpol PP-200、三洋化成工業株式会社)
で市販されている。
【0062】
本発明のさらなる態様において、ポリオール(c)を、以下:
・グリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、テトラグリセロール
・エチレングリコール(=1,2-エタンジオール)、ジエチレングリコール(=2,2'-オキシジエタノール;HO-(CH)-O-(CH)-OH)、トリエチレングリコール(=2,2'-(エチレンジオキシ)ジエタノール)、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ブチレングリコール(=ブタンジオール)例えば1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、2,3-ブチレングリコール;ペンタン-1,5-ジオール;ペンタン-1,2-ジオール;メソ-ペンタン-2,4-ジオール、(2R,4R)-ペンタン-2,4-ジオール;(2S,4S)-ペンタン-2,4-ジオール、ヘキサンジオール、例えば、へキシレングリコール(=2-メチルペンタン-2,4-ジオール)、ヘプタンジオール、オクタンジオールおよびデカンジオールからなる群から選択されるアルキレングリコール、
・100〜1000ダルトンの平均分子量を有するポリアルキレングリコール、
・1.5〜10の固有縮合度を有する工業用グレードのオリゴグリセロール混合物、例えば40〜50重量%のジグリセロール含量を有する工業用グレードジグリセロール混合物、
・メチロール化合物、例えば、特にトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリスリトールおよびジペンタエリスリトール、
・短鎖アルキルグルコシド、特にアルキル基において1〜8個の炭素原子を有するもの、例えばメチルグルコシドおよびブチルグルコシド、
・5〜12個の炭素原子を有する糖アルコール、例えばソルビトールまたはマンニトール、
・5〜12個の炭素原子を有する糖、例えばグルコースまたはスクロース、
・アミノ糖、例えばグルカミン、
・ジアルコールアミン、例えばジエタノールアミンまたは2-アミノ-1,3-プロパンジオール
から形成される群から選択する。
【0063】
(c)の量
本発明の好ましい態様において、組成物は、組成物の総重量に基づいて1〜10、特に2〜8、好ましくは3〜6重量%の成分(c)を含む。
【0064】
〔成分(d)〕
成分(d)として、本発明の組成物は一般式:
【化15】

[式中、Rは9〜19個の炭素原子を有する飽和または不飽和、分枝状または直鎖状の基である。好ましくはRは直鎖状の基であり、好ましくはRは飽和基(アルキル基)である]
で示される、少なくとも1種のグリセロール脂肪酸モノエステルを含む。
【0065】
式(I)で示される適当なグリセロール脂肪酸モノエステルの例は、ラウリン酸グリセリル[Monomuls(登録商標)90-L 12としてCognis GmbHより市販されている]、ミリスチン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、オレイン酸グリセリル[Monomuls(登録商標)90-O 18としてCognis GmbHより市販されている]、グリセリルパルミテート、パルミトレイン酸グリセリル、グリセリルココエート、リノール酸グリセリルである。
【0066】
本発明の好ましい態様において、オレイン酸グリセリルおよび/またはラウリン酸グリセリル(R1123)を、グリセロール脂肪酸モノエステルとして使用する。
【0067】
成分(d)として、本発明の組成物は、1種のグリセロール脂肪酸モノエステルまたは2種以上のグリセロール脂肪酸モノエステルの混合物のいずれかを含むことができる。
【0068】
(d)の量
本発明の好ましい態様において、組成物は、組成物の総重量に基づいて0.5〜5、特に1〜3重量%の成分(d)を含む。
【0069】
成分(e)
本発明の組成物、例えば請求項1および/または2に記載の組成物は、「濃縮物」であり、すなわち組成物は、組成物の総重量に基づいて20以下、特に15以下、好ましくは10以下、特に5重量%以下の水を含む。
【0070】
本発明の特に好ましい態様において、組成物は添加された水を含まず、組成物中に存在する水は、成分(a)〜(d)の残留水分にのみ由来する。この場合、組成物の水分含量は、組成物の総重量に基づいて、通常3重量%未満、特に1重量%未満である。
【0071】
本発明の好ましい態様は、
・少なくとも1種の成分(a)、3〜50、特に5〜45、好ましくは10〜40重量%、
・少なくとも1種の成分(b)、40〜90、特に50〜85、好ましくは55〜80重量%、
・少なくとも1種の成分(c)、1〜10、特に2〜8、好ましくは3〜6重量%、
・少なくとも1種の成分(d)、0.5〜5、特に2〜8、好ましくは3〜6重量%、
・水20重量%以下
を含む組成物に関する。
【0072】
全ての重量データは組成物の総重量を参照する。
【0073】
本発明は、さらに、少なくとも以下の成分:
a.
(a−1)20以上、特に20〜60のエトキシ化度および/またはプロポキシ化度を有する、リシノール酸の水素化および/または非水素化、エトキシ化および/またはプロポキシ化トリグリセリド、
(a−2)6〜22個の炭素原子を有する飽和または不飽和の脂肪酸のソルビタンモノエステルおよび/またはジエステルへのエチレンオキシド2〜50molの付加生成物、および
(a−3)8〜22個の炭素原子を有しポリオールで開環させたα-オレフィンエポキシドへの、エチレンオキシド2〜50molおよびプロピレンオキシド1〜20molの付加生成物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物、
b.20未満、好ましくは3〜19、特に3〜15のエトキシ化度を有する、少なくとも1種のエトキシ化および/またはプロポキシ化グリセロール脂肪酸モノエステルおよび/またはジエステル、
c.成分a、bおよびdとは異なる少なくとも1種のポリオール、好ましくはグリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、テトラグリセロール、アルキレングリコールおよびポリアルキレングリコールからなる群から選択されるポリオール、
d.一般式(I):
【化16】

[式中、Rは9〜19個の炭素原子を有する飽和または不飽和、分枝状または直鎖状の基である]
で示される少なくとも1種のグリセロール脂肪酸モノエステル
を含む組成物の、基材を処理するための使用を提供する。
【0074】
本発明の一態様において、請求項1および/または2に記載の組成物は、任意に水および/またはさらなる成分で希釈した後で、処理する基材に使用する。
【0075】
ここで、処理という用語は、基材の少なくとも1方の面に組成物を適用するいずれの方法をも含む。液体をおおよそ固体表面に塗布することができる有用手段を用いる関連する既知の方法の全てがこの目的に適当である。例を用いると、含浸、浸潤、コーティング、吹き付け、浸漬、仕上げ塗り、スクレイピング等が挙げることができる。ここで、処理を室温でまたは熱の作用下で行うことができる。組成物の適用後に、短い乾燥工程が続いてよい。
【0076】
本発明の組成物、特に濃縮物は、それで処理された基材に有利なケア特性および/または感覚特性を付与する。特に、組成物およびとりわけ濃縮物は、それで処理された基材に再脂化特性および湿潤特性を付与する。組成物の使用およびとりわけ濃縮物の使用により、さらなる油溶性物質を基材に適用することもできる。
【0077】
本発明は、さらに、少なくとも以下の成分:
a.
(a−1)20以上、特に20〜60のエトキシ化度および/またはプロポキシ化度を有する、リシノール酸の水素化および/または非水素化、エトキシ化および/またはプロポキシ化トリグリセリド、
(a−2)6〜22個の炭素原子を有する飽和または不飽和の脂肪酸のソルビタンモノエステルおよび/またはジエステルへのエチレンオキシド2〜50molの付加生成物、および
(a−3)8〜22個の炭素原子を有しポリオールで開環させたα-オレフィンエポキシドへの、エチレンオキシド2〜50molおよびプロピレンオキシド1〜20molの付加生成物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物、
b.20未満、好ましくは3〜19、特に3〜15のエトキシ化度を有する、少なくとも1種のエトキシ化および/またはプロポキシ化グリセロール脂肪酸モノエステルおよび/またはジエステル、
c.成分a、bおよびdとは異なる、好ましくはグリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、テトラグリセロール、アルキレングリコールおよびポリアルキレングリコールからなる群から選択される、少なくとも1種のポリオール、
d.一般式(I):
【化17】

[式中、Rは9〜19個の炭素原子を有する飽和または不飽和、分枝状または直鎖状の基である]
で示される少なくとも1種のグリセロール脂肪酸モノエステル
を含有する組成物を基材に適用し、これを任意に乾燥させる、基材の処理方法を提供する。
【0078】
本発明は、さらに、請求項1および/または2に記載の組成物を、任意に水およびさらなる成分で希釈した後で、基材に塗布し、これを任意に乾燥させる、基材の処理方法を提供する。
【0079】
請求項1および/または2に記載の組成物を、水なしで基材に適用することができるが、通常はそれを希釈する。最も単純な場合には、水を用いて希釈を行い、請求項1および/または2に記載された組成物を、通常、希釈物の総重量に基づいて0.5〜8.0重量%、好ましくは0.5〜5.0重量%、特に0.5〜3.0重量%の量で使用する。
【0080】
本発明は、さらに、少なくとも以下の成分:
a.
(a−1)20以上、特に20〜60のエトキシ化度および/またはプロポキシ化度を有する、リシノール酸の水素化および/または非水素化、エトキシ化および/またはプロポキシ化トリグリセリド、
(a−2)6〜22個の炭素原子を有する飽和または不飽和の脂肪酸のソルビタンモノエステルおよび/またはジエステルへのエチレンオキシド2〜50molの付加生成物、および
(a−3)8〜22個の炭素原子を有しポリオールで開環させたα-オレフィンエポキシドへの、エチレンオキシド2〜50molおよびプロピレンオキシド1〜20molの付加生成物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物、
b.20未満、好ましくは3〜19、特に3〜15のエトキシ化度を有する、少なくとも1種のエトキシ化および/またはプロポキシ化グリセロール脂肪酸モノエステルおよび/またはジエステル、
c.成分a、bおよびdとは異なる、好ましくはグリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、テトラグリセロール、アルキレングリコールおよびポリアルキレングリコールからなる群から選択される、少なくとも1種のポリオール、
d.一般式(I):
【化18】

[式中、Rは9〜19個の炭素原子を有する飽和または不飽和、分枝状または直鎖状の基である]
で示される少なくとも1種のグリセロール脂肪酸モノエステル
を基材に適用することにより得られる、処理基材を提供する。
【0081】
ここで、上記成分を基材に個々にまたは所望のいずれの組合せでも適用することができる。本発明の好ましい態様において、成分を組成物の状態で供給し、この組成物で基材を処理する。本発明の好ましい態様において、請求項1および/または2に記載の組成物を供給し、基材に直接適用するか、または、続いて水および任意にさらなる成分で希釈して基材に適用する。この後に乾燥工程が続いてよい。
【0082】
本発明はさらに組成物を基材に適用することにより得られる処理基材を提供し、ここで、該組成物は少なくとも以下の成分:
a.
(a−1)20以上、特に20〜60のエトキシ化度および/またはプロポキシ化度を有する、リシノール酸の水素化および/または非水素化、エトキシ化および/またはプロポキシ化トリグリセリド、
(a−2)6〜22個の炭素原子を有する飽和または不飽和の脂肪酸のソルビタンモノエステルおよび/またはジエステルへのエチレンオキシド2〜50molの付加生成物、および
(a−3)8〜22個の炭素原子を有しポリオールで開環させたα-オレフィンエポキシドへの、エチレンオキシド2〜50molおよびプロピレンオキシド1〜20molの付加生成物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物、
b.20未満、好ましくは3〜19、特に3〜15のエトキシ化度を有する、少なくとも1種のエトキシ化および/またはプロポキシ化グリセロール脂肪酸モノエステルおよび/またはジエステル、
c.成分a、bおよびdとは異なる、好ましくはグリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、テトラグリセロール、アルキレングリコールおよびポリアルキレングリコールからなる群から選択される、少なくとも1種のポリオール、
d.一般式(I):
【化19】

[式中、Rは9〜19個の炭素原子を有する飽和または不飽和、分枝状または直鎖状の基である]
で示される少なくとも1種のグリセロール脂肪酸モノエステル
を含む。
【0083】
本発明は、さらに、請求項1または2に記載された組成物を基材に適用することにより得られる処理基材を提供する。
【0084】
本発明の成分および組成物は、それで処理した基材に、有利なケア特性および/または感覚特性を付与する。特に、それで処理した基材に、再脂化特性および湿潤特性を付与する。このようにして処理した基材は、特にそのやわらかさに関して、先行技術の基材と比較して有利な特性を示す。
【0085】
本発明により処理した基材を、例えばケアワイプまたは浄化用ワイプとして使用することができる。
【0086】
これに関し、皮膚ケアまたは浄化(特に乳児ケアまたは浄化)の分野の両方における適用が可能である。例えば、顔面皮膚用のケアワイプまたは浄化用ワイプ(いわゆるフェイシャルティッシュ、メーキャップ除去ワイプ等)、皮膚用清浄化ワイプ(freshning wipe)、抗菌性ワイプおよび/または脱臭ワイプ、インティメイトケア用製品(例えばタンポン、生理用ナプキン、おりものシート、インティメイトケアワイプ)、ドライトイレットペーパーまたは湿潤トイレットペーパー紙、失禁用製品、セルフ-タンニングワイプまたはいわゆる虫除けワイプが挙げられうる。本発明の組成物を使用して、特定の用途に必要な成分(例えば脱臭活性成分または油溶性ケア成分)を基材に適用することができる。このようにして処理された基材は、皮膚および毛髪の消毒にも適当である。
【0087】
したがって、香料、さらなる油、防腐剤、UV光保護要素、生体活性成分および活性体、例えばジヒドロキシアセトン、防虫剤、抗炎症性活性成分(例えば乳児ワイプ用)または消毒剤を、組成物およびその希釈物に添加することもできる。特定の添加剤の種類および量を、目的とする用途により決定する。
【0088】
したがって、本発明はさらに、皮膚および毛髪の清浄および/またはケアのための請求項5または6に記載された処理基材の使用を提供する。
【0089】
したがって、本発明はさらに、皮膚および毛髪の消毒のための請求項5または6に記載された処理基材の使用を提供する。
【0090】
適当な基材は、原則として、組成物またはその成分を吸収できるいずれの担体でもある。本発明に関して、人体の一部は基材ではない。適当な基材は、例えばティッシュペーパーおよび/またはティッシュ編織物および/またはティッシュワイプ(以下、ティッシュワイプと称する)である。これらは1またはそれ以上の層から構成されうる。原則として、紙は1平方メートルあたり10〜65、好ましくは15〜30gの重量および0.6g/cm以下の密度を有する。ティッシュペーパーの例は、トイレットペーパー、ペーパーポケットワイプ、顔面クレンジングワイプ、メーキャップ除去ワイプ、清浄化ワイプ、家庭用ワイプなどである。紙系のティッシュの他に、繊維素材またはフリース素材から製造される対応するティッシュ編織物も考えられる。
【0091】
本発明によれば、多層ティッシュワイプは基材として好ましい。不浸透性および/または部分的に浸透性のバリアを個々の層間に有するティッシュワイプが特に好ましい。部分的に浸透性のバリアを、例えば半透性メンブランとして形成することができる。この種のワイプを用いて、2またはそれ以上の組成物を(任意に前希釈した後で)ワイプに適用することができる。これは、ワイプに適用する組成物を用いて、ワイプの1方の面に清浄剤をもってくるために、きわめて好ましくあり得る。したがって、他方の面を例えば乾燥する目的で拭くために、または、任意に皮膚にケア有効成分を適用するために使用することができる。
【0092】
さらに、本発明によれば、ワイプが(任意に前希釈した後の)組成物で処理したティッシュワイプの少なくとも3層からなる場合、きわめて好ましくあり得る。いずれの場合にも、少なくとも2層の処理したワイプの間に、その後、1層のワイプを半透性メンブランとして形成することが有利である。ここで、半透性メンブランは外側のワイプ層の方向に浸透性である。結果として、内部において、例えば、外側に適用した組成物と非混和性および/または安定でない(任意に前希釈した後の)組成物を最内側の層に適用することができる。したがって、清浄およびケア用の「1つで2つの機能をもったワイプ(two in one wipe)」を提供することができる。本発明は、もちろん、異なるカラー構成のワイプ層も含む。さらに、本発明の教示は、特に異なるワイプ層の吸収性および浸透性に関する、2またはそれ以上の材料からのワイプの構造も含む。
【0093】
適当な基材は、また、天然繊維、例えばセルロース、絹、ウール、再生セルロース(ビスコース、レーヨン)、セルロース誘導体でできた織物繊維、または合成繊維、例えばポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリアクリロニトリル繊維またはそのような繊維の混合物でできた織物繊維のいずれかでもある。これら繊維は織り繊維であるか、不織繊維であってよい。
【実施例】
【0094】
実施例中の全ての重量データは製剤の総重量に基づく活性物質の重量%である。
【表1】

【0095】
〔本発明の組成物の水性希釈物〕
本発明の組成物1〜3(表1参照)から、水および任意にさらなる成分を添加することにより希釈物を製造した。これらを以下の表に示す。
【表2】

【0096】
【表3】

【0097】
全ての希釈物(それぞれの場合に濃縮物1、2または3を有する)は、室温で安定であった。濃縮物1〜3およびそれらから製造した表2による希釈物を、基材に適用することができる。
【0098】
表4に本発明の組成物のさらなる希釈物を示す。
【表4】

【0099】
希釈物12、13および14は、後で皮膚を清浄するために使用する基材の処理用に特に適当である。希釈物15および17は、後で皮膚を消毒するために使用する基材の処理用に特に適当である。希釈物16は、後でインティメイトケア製品として使用する基材の処理用に特に適当である。
【0100】
〔付属資料:使用した防腐剤およびブースター:商品名およびINCI名〕
「Uniphen(登録商標)P 23」INCI: Phenoxyethanol、Methylparaben、Ethylparaben、Propylparaben、Butylparaben、Isobutylparaben;「Nipaguard(登録商標)BPX」INCI: Phenoxyethanol、Methylparaben、Propylparaben、2-bromo-2-Nitropropane-1,3-diol;「Euxyl PE(登録商標)9010」INCI: Phenoxyethanol、Ethylhexylglycerin;「Nipaguard(登録商標)PO 5」INCI:Phenoxyethanol、Piroctone Olamine;「Sensiva SC 10」INCI:Caprylyl Glycol、Ethylhexylglycerin。
【0101】
〔実施例S1:本発明の組成物で処理した基材〕
Pelytex製の3層不織布は、1平方メートルあたり22グラムのポリプロピレンの外部と、ビスコース/ポリプロピレン(75/25、1平方メートルあたり80グラム)の内部から構成される。計測18×14cmの断片に、一方の側において実施例1(表1)による濃縮物1.5gをスプレーする。
【0102】
〔実施例S2:本発明の組成物で処理した基材〕
Jacob Holm製のビスコース40%およびPET60%からなるスパンレース基材、1平方メートルあたり50グラム、計測180×200mmを、表2における実施例5による組成物5gで処理した。
【0103】
〔比較例〕
比較例として、独国特許出願公開第102005006299号明細書の実施例2を再加工した。本発明の濃縮物と比較して、先行技術製品は15℃で粘性のある液体であるため、吸込み吐出することが難しい。さらに、40℃で1日貯蔵した結果、分離が生じる。
【0104】
【表5】

【0105】
比較例から得られた希釈物も安定ではなかった。その結果を表6に示す。
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.
(a−1)20以上、特に20〜60のエトキシ化度および/またはプロポキシ化度を有する、リシノール酸の水素化および/または非水素化、エトキシ化および/またはプロポキシ化トリグリセリド、
(a−2)6〜22個の炭素原子を有する飽和または不飽和の脂肪酸のソルビタンモノエステルおよび/またはジエステルへのエチレンオキシド2〜50molの付加生成物、および
(a−3)8〜22個の炭素原子を有しポリオールで開環させたα-オレフィンエポキシドへの、エチレンオキシド2〜50molおよびプロピレンオキシド1〜20molの付加生成物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物、
b.20未満、好ましくは3〜19、特に3〜15のエトキシ化度を有する、少なくとも1種のエトキシ化および/またはプロポキシ化グリセロール脂肪酸モノエステルおよび/またはジエステル、
c.グリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、テトラグリセロール、アルキレングリコールおよびポリアルキレングリコールからなる群から選択される少なくとも1種のポリオール、
d.一般式(I):
【化1】

[式中、Rは9〜19個の炭素原子を有する飽和または不飽和、分枝状または直鎖状の基である]
で示される少なくとも1種のグリセロール脂肪酸モノエステル、
e.20重量%以下の水
を含む組成物。
【請求項2】
・少なくとも1種の成分(a)3〜50、特に5〜45、好ましくは10〜40重量%、
・少なくとも1種の成分(b)40〜90、特に50〜85、好ましくは55〜80重量%、
・少なくとも1種の成分(c)1〜10、特に2〜8、好ましくは3〜6重量%、
・少なくとも1種の成分(d)0.5〜5、特に2〜8、好ましくは3〜6重量%
・水、20重量%以下
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
少なくとも以下の成分:
a.
(a−1)20以上、特に20〜60のエトキシ化度および/またはプロポキシ化度を有する、リシノール酸の水素化および/または非水素化、エトキシ化および/またはプロポキシ化トリグリセリド、
(a−2)6〜22個の炭素原子を有する飽和または不飽和の脂肪酸のソルビタンモノエステルおよび/またはジエステルへのエチレンオキシド2〜50molの付加生成物、および
(a−3)8〜22個の炭素原子を有しポリオールで開環させたα-オレフィンエポキシドへの、エチレンオキシド2〜50molおよびプロピレンオキシド1〜20molの付加生成物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物、
b.20未満、好ましくは3〜19、特に3〜15のエトキシ化度を有する、少なくとも1種のエトキシ化および/またはプロポキシ化グリセロール脂肪酸モノエステルおよび/またはジエステル、
c.グリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、テトラグリセロール、アルキレングリコールおよびポリアルキレングリコールからなる群から選択される少なくとも1種のポリオール、
d.一般式(I):
【化2】

[式中、Rは9〜19個の炭素原子を有する飽和または不飽和、分枝状または直鎖状の基である]
で示される少なくとも1種のグリセロール脂肪酸モノエステル
を含む組成物の基材を処理するための使用。
【請求項4】
少なくとも以下の成分:
a.
(a−1)20以上、特に20〜60のエトキシ化度および/またはプロポキシ化度を有する、リシノール酸の水素化および/または非水素化、エトキシ化および/またはプロポキシ化トリグリセリド、
(a−2)6〜22個の炭素原子を有する飽和または不飽和の脂肪酸のソルビタンモノエステルおよび/またはジエステルへのエチレンオキシド2〜50molの付加生成物、および
(a−3)8〜22個の炭素原子を有しポリオールで開環させたα-オレフィンエポキシドへの、エチレンオキシド2〜50molおよびプロピレンオキシド1〜20molの付加生成物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物、
b.20未満、好ましくは3〜19、特に3〜15のエトキシ化度を有する、少なくとも1種のエトキシ化および/またはプロポキシ化グリセロール脂肪酸モノエステルおよび/またはジエステル、
c.グリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、テトラグリセロール、アルキレングリコールおよびポリアルキレングリコールからなる群から選択される少なくとも1種のポリオール、
d.一般式(I):
【化3】

[式中、Rは9〜19個の炭素原子を有する飽和または不飽和、分枝状または直鎖状の基である]
で示される少なくとも1種のグリセロール脂肪酸モノエステル
を含む組成物を基材に適用し、任意に乾燥させる、基材の処理方法。
【請求項5】
少なくとも以下の成分:
a.
(a−1)20以上、特に20〜60のエトキシ化度および/またはプロポキシ化度を有する、リシノール酸の水素化および/または非水素化、エトキシ化および/またはプロポキシ化トリグリセリド、
(a−2)6〜22個の炭素原子を有する飽和または不飽和の脂肪酸のソルビタンモノエステルおよび/またはジエステルへのエチレンオキシド2〜50molの付加生成物、および
(a−3)8〜22個の炭素原子を有しポリオールで開環させたα-オレフィンエポキシドへの、エチレンオキシド2〜50molおよびプロピレンオキシド1〜20molの付加生成物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物、
b.20未満、好ましくは3〜19、特に3〜15のエトキシ化度を有する、少なくとも1種のエトキシ化および/またはプロポキシ化グリセロール脂肪酸モノエステルおよび/またはジエステル、
c.グリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、テトラグリセロール、アルキレングリコールおよびポリアルキレングリコールからなる群から選択される少なくとも1種のポリオール、
d.一般式(I):
【化4】

[式中、Rは9〜19個の炭素原子を有する飽和または不飽和、分枝状または直鎖状の基である]
で示される少なくとも1種のグリセロール脂肪酸モノエステル
を基材に適用することにより得られる、処理基剤。
【請求項6】
少なくとも以下:
a.

(a−1)20以上、特に20〜60のエトキシ化度および/またはプロポキシ化度を有する、リシノール酸の水素化および/または非水素化、エトキシ化および/またはプロポキシ化トリグリセリド、
(a−2)6〜22個の炭素原子を有する飽和または不飽和の脂肪酸のソルビタンモノエステルおよび/またはジエステルへのエチレンオキシド2〜50molの付加生成物、および
(a−3)8〜22個の炭素原子を有しポリオールで開環させたα-オレフィンエポキシドへの、エチレンオキシド2〜50molおよびプロピレンオキシド1〜20molの付加生成物
からなる群から選択される少なくとも1種の化合物、
b.20未満、好ましくは3〜19、特に3〜15のエトキシ化度を有する、少なくとも1種のエトキシ化および/またはプロポキシ化グリセロール脂肪酸モノエステルおよび/またはジエステル、
c.グリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、テトラグリセロール、アルキレングリコールおよびポリアルキレングリコールからなる群から選択される少なくとも1種のポリオール、
d.一般式(I):
【化5】

[式中、Rは9〜19個の炭素原子を有する飽和または不飽和、分枝状または直鎖状の基である]
で示される少なくとも1種のグリセロール脂肪酸モノエステル
の成分を含む組成物を基材に適用することにより得られる、請求項5に記載の処理基材。
【請求項7】
皮膚および毛髪を清浄および/またはケアするための、請求項5または6に記載の基材の使用。

【公表番号】特表2013−512203(P2013−512203A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−540299(P2012−540299)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【国際出願番号】PCT/EP2010/006963
【国際公開番号】WO2011/063902
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(505066718)コグニス・アイピー・マネージメント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (191)
【氏名又は名称原語表記】Cognis IP Management GmbH
【Fターム(参考)】