説明

基板、半導体装置及びその製造方法

【課題】優れた熱伝導性及び絶縁性が安定して得られ、且つ生産性にも優れる樹脂封止型半導体装置用基板、樹脂封止型半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】金属ベース材2上に、少なくとも、エポキシ樹脂と、紫外線硬化型硬化剤及び熱硬化型硬化剤、又は熱紫外線硬化型硬化剤と、無機フィラーとを含有し、前記無機フィラーの含有量が50〜80体積%であるエポキシ樹脂組成物で、Bステージ状態の絶縁層2bを形成して、金属ベース基板1とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂封止型半導体装置用基板、この基板を用いた樹脂封止型半導体装置及びその製造方法に関する。より詳しくは、樹脂封止型半導体装置の製造技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、発熱量が多いパワー半導体が搭載された樹脂封止型半導体装置では、放熱性能が優れた金属ベース基板が用いられている(例えば、特許文献1参照)。このような半導体装置では、例えば、パワー半導体が搭載されたリードフレームを、金属ベース材上に形成された熱伝導性を有する絶縁層に固定し、金属ベース基板の裏面(金属ベース材)が外部に露出するようにして、パワー半導体などがモールド樹脂で封止された構成となっている。
【0003】
そして、特許文献1に記載の電力用半導体装置では、絶縁層とモールド樹脂との界面にそれぞれの材料が混ざった混合層を形成することで、信頼性向上を図っている。また、従来、金属ベース基板の絶縁層をBステージ状態とし、封止の際の加熱により、モールド樹脂を一体で硬化する樹脂封止型半導体装置の製造方法も提案されている(例えば、特許文献2,3参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−150595号(特許第4146785号)公報
【特許文献2】特開2002−314004号公報
【特許文献3】特開2007−142346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した従来の技術には、以下に示す問題点がある。即ち、特許文献1に記載されているような従来の樹脂封止型半導体装置では、絶縁シートとモールド樹脂界面に混合層が形成されるが、そのような絶縁シートは硬化度が低い状態であるため、リードフレームと絶縁シートとを接合する際に、リードフレームが絶縁層に埋没し、絶縁性が損なわれるという問題点がある。また、特許文献2,3に記載されている樹脂封止型半導体装置用基板は、放熱特性に優れ、生産性も良好であるが、リードフレームを固定する際に、絶縁層にリードフレームの一部が埋没し、絶縁層が薄化して耐圧が低下することがある。
【0006】
そこで、本発明は、優れた熱伝導性及び絶縁性が安定して得られ、かつ生産性に優れた樹脂封止型半導体装置用基板、樹脂封止型半導体装置及びその製造方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る樹脂封止型半導体装置用基板は、金属ベース材上に絶縁層が積層された金属ベース基板であって、前記絶縁層は、少なくとも、エポキシ樹脂と、紫外線硬化型硬化剤及び熱硬化型硬化剤、又は熱紫外線硬化型硬化剤と、無機フィラーとを含有し、前記無機フィラーの含有量が50〜80体積%であるエポキシ樹脂組成物で形成されており、Bステージ状態のものである。
この基板は、紫外線硬化型硬化剤が、カチオン重合触媒であってもよい。
また、無機フィラーとしては、例えば、平均粒子径が10〜50μmの粗粉と、平均粒子径が0.5〜4.0μmの微粉を使用することができる。
又は、無機フィラーとして、平均粒子径が30〜50μmの粗粉と、平均粒子径が5〜20μmの中粒粉と、平均粒子径が0.5〜4.0μmの微粉を使用することもできる。
更に、前記絶縁層の厚さは、例えば50〜300μmとすることができる。
更にまた、前記絶縁層上に、導体層や導体回路が形成されていてもよい。
【0008】
本発明に係る樹脂封止型半導体装置は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の樹脂封止型半導体装置用基板と、該金属ベース基板の絶縁層上に固定されたリードフレームと、該リードフレームに実装された半導体チップと、を有し、少なくとも半導体チップが樹脂で封止されているものである。
【0009】
本発明に係る樹脂封止型半導体装置の製造方法は、金属ベース材上に、少なくとも、エポキシ樹脂と、紫外線硬化型硬化剤及び熱硬化型硬化剤、又は熱紫外線硬化型硬化剤と、無機フィラーとを含有し、前記無機フィラーの含有量が50〜80体積%であるエポキシ樹脂組成物で、Bステージ状態の絶縁層を形成して金属ベース基板を得る工程と、前記Bステージ状態の絶縁層上に、リードフレームを配置し、その上方から絶縁層に向けて紫外線を照射する工程と、前記リードフレームと前記金属ベース材との間に圧力を印加しながら加熱する工程と、前記リードフレームに半導体チップを実装する工程と、前記半導体チップを実装した基板を金型内に配置し、該金型内にモールド樹脂を注入した後加熱して、モールド樹脂及び絶縁層を硬化させる工程と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、リードフレームが積層されていない部分の絶縁層は、紫外線により表面が完全硬化しているため、絶縁層へのリードフレームの埋没を抑制し、熱伝導性及び絶縁性の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る金属ベース基板の構成を模式的に示す図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る金属ベース回路基板の構成を模式的に示す図である。
【図3】本発明の第3の実施形態に係る樹脂封止型半導体装置の構成を模式的に示す図である。
【図4】(a)〜(d)は図3に示す半導体装置21の製造方法を、その工程順に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0013】
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態に係る基板について説明する。図1は本発明の第1の実施形態に係る金属ベース基板の構成を模式的に示す図である。本実施形態の金属ベース基板1は、樹脂封止型半導体装置に用いられるものであり、図1に示すように、金属ベース材2上に、Bステージ状態の絶縁層3bが形成されている。また、必要に応じて、絶縁層3b上に導体箔4が積層されていてもよい。
【0014】
[金属ベース材2]
金属ベース材2の材質は、特に限定されるものではないが、アルミニウム、鉄、銅、ステンレス又はこれらの合金が好ましく、これらの中でも特に、放熱性に優れるという点から銅が好適である。また、金属ベース材2は、酸化防止のために非接着面にNi−Pメッキが施されていることが望ましい。更に、絶縁層3bとの密着性を向上させるため、絶縁層3bと接着される側の面には、エッチングや各種メッキによる粗化処理が施されていることが望ましく、特に、カップリング剤などを使用した化成処理は、絶縁層3bとの密着性を向上させる効果が高いため、金属ベース材2の表面処理に好適である。
【0015】
[絶縁層3b]
絶縁接着層3bは、少なくとも、エポキシ樹脂と、紫外線硬化型及び熱硬化型の2種類の硬化剤と、無機フィラーとを含有するエポキシ樹脂組成物によって形成されており、Bステージ状態となっている。ここで、「Bステージ状態」とは、エポキシ樹脂の硬化反応を途中で停止させた半硬化状態をいう。具体的には、常温(25℃)で固体状態であり、高温(60℃以上)で加熱すると再溶融する状態をいい、定量的には硬化率が5〜80%の状態を指す。
【0016】
<エポキシ樹脂>
エポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂(クレゾールのボラックエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等)、環式脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂などを使用することができる。その中でも、密着性、耐熱性、電気特性、柔軟性、コストを含めて特性のバランスが取れているビスフェノールA又はF型エポキシ樹脂が好ましく、特に、エポキシ当量が100〜1000である樹脂がより好ましい。
【0017】
<紫外線硬化型硬化剤又は熱紫外線硬化型硬化剤>
紫外線硬化型硬化剤又は熱紫外線硬化型硬化剤としては、スルホニウムなどを使用することができる。これらの硬化剤の中でも、硬化速度及び深部硬化性の観点から、特に、オニウム塩及びビストニウム塩などのカチオン重合触媒が好適である。なお、紫外線硬化型硬化剤及び熱紫外線硬化型硬化剤の配合量は、特に限定されるものではなく、エポキシ樹脂の種類や使用条件などに応じて適宜選択することができる。
【0018】
カチオン重合触媒としては、例えば、オニウム塩、鉄−アレーン錯体、スルホン酸エステルなどが挙げられる。例えば、紫外線硬化型のオニウム塩は、一般式がジアリールヨードニウム塩Ar・X、トリアリールスルホニウム塩Ar・X、トリアリールセレノニウム塩ArSe・X、テトラアリールホスホニウム塩Ar・Xで示される化合物である。ここで、アリール(Ar)は、1個又は2個の置換基を有するベンゼン環若しくは無置換ベンゼン環である。
【0019】
また、置換基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、tert−ブチル基のような直鎖状又は分岐状のアルキル基、シクロアルキルのようなシクロアルキル基、フェニル、ナフチルのようなアリール基、トリル、キシリルのようなアルカリール基、ベンジル、2−フェニルエチルのようなアラルキル基、ビニル、アリル、ブテニルのようなアルケニル基のような1価の置換炭化水素基、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、tert−ブトキシ基のようなアルコキシル基、ニトロ基、シアノ基、CHCONH基が例示される。対アニオンはSbF、AsF、PF、BF、ClO、CFSO、FSO、FPO及び[B(C)]が例示される。これらのオニウム塩のうち、特に、優れた硬化性を示すことからヨードニウム塩及びスルホニウム塩が好ましく、対アニオンは、PF及び[B(C)]が、毒性が少なく、硬化性に優れる。
【0020】
このような好ましいオニウム塩として、ジフェニルトードニウム、フェニル(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム、ジ(4−トリル)ヨードニウム、ジ(4−ヒドロキシフェニル)ヨードニウム、ジ(4−メトキシフェニル)ヨードニウム、ジ(4−エトキシフェニル)ヨードニウム、ジ(アセトキシフェニル)ヨードニウム、(4−ヒドロキシフェニル)ベンジルヨードニウム、ジ(4−クミル)ヨードニウム、(4−メトキシフェニル)−1−ナフチルメチルヨードニウムなどのヨードニウム;トリフェニルスルホニウム、ジフェニル(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム、トリトリルスルホニウム、トリス(4−ヒドロキシフェニル)スルホニウム、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウム、トリス(4−エトキシフェニル)スルホニウム、トリス(アセトキシフェニル)スルホニウム、メチル(4−ヒドロキシフェニル)ベンジルスルホニウム、メチル(4−メトキシフェニル)−1−ナフチルメチルスルホニウムなどのヘキサフロロホスへートの塩、テトラキス(ペンタフロロフェニル)ボロンとの塩が好ましい。
【0021】
<熱硬化型硬化剤>
熱硬化型硬化剤は、特に限定されるものではなく、エポキシ樹脂用硬化剤から適宜選択して使用することができる。
【0022】
<無機フィラー>
エポキシ樹脂組成物に配合される無機フィラーは、電気絶縁性で熱伝導性の良好なものであればよく、例えば、シリカ、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素、窒化硼素、窒化ホウ素、酸化マグネシウム、酸化ベリリウムなどを使用することができる。
【0023】
ただし、無機フィラーの配合量が、組成物全体の50体積%未満である場合は、電気絶縁性や熱伝導性が不十分となり、また、80体積%を超えると、高粘度になり、耐電圧や密着性が低下する。よって、エポキシ樹脂組成物における無機フィラー含有量は、50〜80体積%とする。
【0024】
また、エポキシ樹脂組成物に配合される無機フィラーは、2種以上の粒径の異なる無機フィラーを混合して使用することが好ましい。具体的には、平均粒径が10〜50μmの粗粉と、平均粒径が0.5〜4.0μmの微粉とを併用することが好ましい。更に、平均粒径が30〜50μmの粗粉と、平均粒径が50〜20μmの中粉と、平均粒径が0.5〜4.0μmの微粉を使用してもよい。
【0025】
<絶縁層3bの厚さ>
Bステージ状態の絶縁接着層3bの厚さは、耐電圧及び放熱性特性の観点から、50〜300μmであることが好ましい。絶縁接着層3bの厚さが50μm未満の場合、所望の耐電圧値を得ることが難しくなることがあり、また、絶縁接着層3bの厚さが300μmを超えると、熱抵抗が大きくなり、放熱特性が低下することがある。
【0026】
[導体箔4]
導体箔4には、例えば、アルミニウム、鉄、銅、ステンレス若しくはこれらの合金からなる箔材又はクラッド箔を使用することができ、特に、電気伝導度及び放熱性の観点から銅箔を使用することが好ましい。また、絶縁層3bとの密着性を向上させるために、絶縁接着層3bとの接着面に、脱脂処理、サンドブラスト、エッチング、各種メッキ処理、カップリング剤等を使用したプライマー処理等の各種表面処理が施されていることが望ましい。
【0027】
[製造方法]
本実施形態の金属ベース基板1は、金属ベース材2上に前述したエポキシ樹脂組成物を塗布した後加熱し、Bステージ状態まで硬化させることで絶縁層3bを形成してもよいが、エポキシ樹脂組成物をシート状に成形したものを、金属ベース材2に積層して絶縁層3bとしてもよい。その場合、予め、加熱してBステージ状態にしたものを金属ベース材2に積層してもよいが、金属ベース材2に積層してから加熱してBステージ状態にしてもよい。なお、金属箔4は、絶縁層3bをBステージ状態にしてから、積層すればよい。
【0028】
以上詳述したように、本実施形態の金属ベース基板1は、絶縁層3bに紫外線硬化型硬化剤及び熱硬化型硬化剤、又は熱紫外線硬化型硬化剤が配合されているため、リードフレームを固定する際に、紫外線を照射することで、リードフレームが積層されていない部分の絶縁層の表面を完全硬化させることができる。これにより、製造工程を煩雑化することなく、リードフレームが絶縁層に沈み込むことを防止できる。
【0029】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る回路基板について説明する。図2は本発明の第2の実施形態に係る金属ベース回路基板の構成を模式的に示す図である。なお、図2においては、図1に示す金属ベース基板の構成要素と同じものには同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0030】
本実施形態の金属ベース回路基板11は、樹脂封止型半導体装置に用いられるものであり、図2に示すように、金属ベース基板1の絶縁層3b上に、導体回路4aが形成されている。導体回路4aのパターン形成方法は、特に限定されるものではなく、金属箔4を酸などによりエッチングするなど、公知の方法を適用することができる。
【0031】
以上詳述したように、本実施形態の金属ベース回路基板11では、絶縁層3bに紫外線硬化型硬化剤及び熱硬化型硬化剤、又は熱紫外線硬化型硬化剤が配合されているため、紫外線を照射することで、導体回路4aが積層されていない部分の絶縁層の表面を完全硬化させることができる。これにより、製造工程を煩雑化することなく、実装時の沈み込みを防止できる。なお、本実施形態の金属ベース回路基板11における上記以外の構成及び効果は、前述した第1の実施形態と同様である。
【0032】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る樹脂封止型半導体装置(以下、単に半導体装置という。)について説明する。図3は本実施形態の半導体装置の構成を模式的に示す図である。なお、図3においては、図1に示す金属ベース基板の構成要素と同じものには同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。図3に示すように、本実施形態の半導体装置21は、前述した第1の実施形態の金属ベース基板1に固定されたリードフレーム22に、半導体チップ23を実装し、この半導体チップ23をモールド樹脂24で封止したものである。
【0033】
この半導体装置21では、金属ベース基板1の絶縁層3cは、Cステージ状態となっており、その上に、リードフレームが固定されている。ここで、「Cステージ状態」とは、絶縁接着剤中のエポキシ樹脂と硬化剤の反応がほぼ終了し、不溶及び不融の状態をいう。具体的には、DSC(Differential Scanning Calorimeter:示差走査熱量測定)にて加熱硬化した場合に、発熱がほとんど観察できない場合であり、硬化率が80%の以上の状態を示す。
【0034】
また、本実施形態の半導体装置21における半導体チップ23と、リードフレーム22との接続方法は、特に限定されるものではないが、例えばワイヤーボンディング法などを適用することができる。
【0035】
[製造方法]
次に、本実施形態の半導体装置21の製造方法について説明する。図4(a)〜(d)は図3に示す半導体装置21の製造方法を、その工程順に示す図である。本実施形態の半導体装置21を製造する際は、先ず、図4(a)に示すように、金属ベース基板1上にリードフレーム22を配置する。
【0036】
そして、図4(b)に示すように、リードフレーム22の上方から金属ベース基板1に向けて、紫外線を照射する。これにより、リードフレーム22が積層されていない部分の絶縁層は、表面が完全硬化する。
【0037】
次に、図4(c)に示すように、リードフレーム22と、金属ベース基板1との間に圧力を印加しながら、加熱を行う。このとき、前述した紫外線照射により、絶縁層が硬化しているため、リードフレーム22の直下の絶縁層のみが溶融する。これにより、リードフレーム22が絶縁層に埋没することを防止できる。
【0038】
引き続き、リードフレーム22に、半田などを介して半導体チップ23を実装し、ワイヤーボンディングなどによって、リードフレーム22と半導体チップ23とを接続する。その後、半導体チップ23を搭載した金属ベース基板1を、モールド金型内に配置し、モールド金型のキャビティ内にモールド樹脂を注入して、モールド樹脂と金属ベース基板1の絶縁層2bを完全に硬化させて、図4(d)に示す半導体装置21を得る。
【0039】
以上詳述したように、本実施形態の半導体装置21は、絶縁層へのリードフレームの埋没が抑制されているため、熱伝導性及び絶縁性が良好で、かつ生産性も優れている。
【符号の説明】
【0040】
1、11 金属ベース基板
2 金属ベース材
3b Bステージ状態の絶縁層
3c Cステージ状態の絶縁層
4 導体箔
4a 導体回路
21 半導体装置
22 リードフレーム
23 半導体チップ
24 モールド樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属ベース材上に絶縁層が積層された金属ベース基板であって、
前記絶縁層は、少なくとも、エポキシ樹脂と、紫外線硬化型硬化剤及び熱硬化型硬化剤、又は熱紫外線硬化型硬化剤と、無機フィラーとを含有し、前記無機フィラーの含有量が50〜80体積%であるエポキシ樹脂組成物で形成されており、Bステージ状態である樹脂封止型半導体装置用基板。
【請求項2】
紫外線硬化型硬化剤が、カチオン重合触媒であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂封止型半導体装置用基板。
【請求項3】
無機フィラーが、平均粒子径が10〜50μmの粗粉と、平均粒子径が0.5〜4.0μmの微粉であることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂封止型半導体装置用基板。
【請求項4】
無機フィラーが、平均粒子径が30〜50μmの粗粉と、平均粒子径が5〜20μmの中粒粉と、平均粒子径が0.5〜4.0μmの微粉であることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂封止型半導体装置用基板。
【請求項5】
前記絶縁層の厚さが50〜300μmであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の樹脂封止型半導体装置用基板。
【請求項6】
前記絶縁層上に、導体層が積層されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の樹脂封止型半導体装置用基板。
【請求項7】
前記絶縁層上に、導体回路が形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の樹脂封止型半導体装置用基板。
【請求項8】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の樹脂封止型半導体装置用基板と、
該金属ベース基板の絶縁層上に固定されたリードフレームと、
該リードフレームに実装された半導体チップと、を有し、
少なくとも半導体チップが樹脂で封止されている樹脂封止型半導体装置。
【請求項9】
金属ベース材上に、少なくとも、エポキシ樹脂と、紫外線硬化型硬化剤及び熱硬化型硬化剤、又は熱紫外線硬化型硬化剤と、無機フィラーとを含有し、前記無機フィラーの含有量が50〜80体積%であるエポキシ樹脂組成物で、Bステージ状態の絶縁層を形成して金属ベース基板を得る工程と、
前記Bステージ状態の絶縁層上に、リードフレームを配置し、その上方から絶縁層に向けて紫外線を照射する工程と、
前記リードフレームと前記金属ベース材との間に圧力を印加しながら加熱する工程と、
前記リードフレームに半導体チップを実装する工程と、
前記半導体チップを実装した基板を金型内に配置し、該金型内にモールド樹脂を注入した後加熱して、モールド樹脂及び絶縁層を硬化させる工程と、
を有する樹脂封止型半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−98270(P2013−98270A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238261(P2011−238261)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000003296)電気化学工業株式会社 (1,539)
【Fターム(参考)】