説明

基板から炭素含有残渣類を除去する方法

【課題】基板から炭素含有残渣類を除去するための方法を提供する。
【解決手段】酸素ソース、フッ素ソース、及び随意選択的に追加のガスを含むプロセスガスを用意すること、ここで、該プロセスガス中でフッ素に対する酸素のモル比が、約1〜約10の範囲にわたる:1種以上のエネルギーソースを用いて該プロセスガスを活性化し、反応性種を供給し;そして該反応性種と該基板の該表面とを接触させ、該表面から該炭素含有残渣を揮発させて、除去すること、を含み、基板表面の少なくとも一部から炭素含有残渣を除去する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本出願は、2004年7月23日に出願された、米国特許仮出願第60/590,628号明細書の利益を主張するものである。
【0002】
半導体集積回路類(IC)と、オプトエレクトロニクス素子類と、マイクロマシン技術類(MEMS)の製造とにおいて、モノリシックな基板類又はウェーハ類上のいくつかの完全な装置類及び回路類(チップ類)を構成するため、薄層堆積の複数段階が、実施されている。それぞれのウェーハは、遷移金属の2成分及び/又は3成分の化合物等の拡散障壁層類等の種々の薄層類(これらに限定されるものではない);タングステン、銅、及びアルミニウム等の導体フィルム類(これらに限定されるものではない);ドープ化及び未ドープ化の多結晶型シリコン(poly−Si)、並びにドープ化及び未ドープ化(intrinsic)のアモルファスシリコン(a−Si)(これらに限定されるものではない);二酸化シリコン(SiO2)、未ドープ化シリコンガラス(USG)、ホウ素ドープ化シリコンガラス(BSG)、リンドープ化シリコンガラス(PSG)、ボロホスホロシリケートガラス(BPSG)、窒化シリコン(Si34)、及び酸窒化ケイ素(SiON)等の誘導体薄膜(これらに限定されるものではない);フッ素ドープ化シリケートガラス(FSG)、酸化シリコン又は炭素ドープ化オルガノシリケートガラス(OSG)等の低誘電率(low−k)の誘導体薄膜類(これらに限定されるものではない);フォトレジスト薄膜類;及び有機又は無機材料等を含む非反射コーティング薄膜類(ARC)によって堆積されることが多い。
【0003】
当該半導体産業内で特に関心がある材料は、複合(composite)オルガノシリケート薄膜類である。該材料の全体密度を下げることによって、該材料の誘電率(k)を減少できることは、周知である。該材料の密度を下げる方法のひとつとして、孔の導入を介することができる。化学蒸着プロセス(CVD)か、又は孔形成前駆体若しくはポロゲン(porogen)(典型的には、1つ以上の炭素含有化合物類)、及び構造体形成前駆体(典型的にはオルガノシラン類及び/又はオルガノシロキサン類)を含む前駆体混合物を用いる他の手段によって、多孔質の複合オルガノシリケート薄膜類を作成することができる。ある例では、該炭素含有残渣類は、構造体形成前駆体及び孔形成前駆体の堆積から生じる。構造体形成前駆体及び/又は孔形成前駆体の例は、例えば、米国特許第6,846,525号;第6,716,770号;第6,583,048号に提供されており、そして米国特許公開第2004/0241463号;第2004/0197474号;第2004/0175957号;第2004/0175501号;第2004/0096672号;及び第2004/0096593号に公開されており、それら全体を参照することによって、本明細書中に組込む。一度、該複合オルガノシリケート薄膜が、堆積されると、該孔形成前駆体の少なくとも一部を除去することができ、多孔質薄膜を提供することができる。
【0004】
構造体形成前駆体類の例には、オルガノシラン類及びオルガノシロキサン類等のシリカ含有化合物類が含まれる。好適なオルガノシラン類及びオルガノシロキサン類には、例えば:
(a)式R1nSiR24-nによって表されるアルキルシラン類、ここで、nは1〜3の整数であり、R1及びR2は、独立して1つ以上分岐するか又は直鎖のC1〜C8のアルキル基(例えば、メチル、エチル)、C3〜C8の置換又は未置換のシクロアルキル基(例えば、シクロブチル、シクロヘキシル)、C3〜C10の部分的に不飽和なアルキル基(例えば、プロペニル、ブタジエニル)、C6〜C12の置換又は未置換の芳香族化合物(例えばフェニル、トリル)、類似の直鎖の、分岐鎖の、環状の、部分的に不飽和なアルキル、又は芳香族化合物含有アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、フェノキシ)であり、あるいは、R2は、水素化物(例えばメチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、テトラメチルシラン、フェニルシラン、メチルフェニルシラン、シクロヘキシルシラン、tert−ブチルシラン、エチルシラン、ジエチルシラン、テトラエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、トリエトキシシラン、トリメチルフェノキシシラン及びフェノキシシラン)であり;
(b)式R1(R22SiO)nSiR23によって表される直鎖のオルガノシロキサン、ここで、nは1〜10の整数か、又は式R1(R22SiO)nで表される環状オルガノシロキサン(式中nは2〜10の整数であり、そしてR1及びR2は上述である(例えば、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,2,2−テトラメチルジシロキサン、及びオクタメチルトリシロキサン));及び
(C)式R2(SiR12n2で表される直鎖のオルガノシランオリゴマー、ここで、nは、2〜10の整数か、又は式(SiR12nで表される環状オルガノシラン(式中、nは、3〜10の整数であり、そしてR1及びR2は上述である(例えば、1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジメチル−1,1,2,2−ジメトキシジシラン、ヘキサメチルジシラン、オクタメチルトリシラン、1,2,3,4,5,6−ヘキサフェニルヘキサシラン、1,2−ジメチル−1,2−ジフェニルジシラン及び1,2−ジフェニルジシラン))である、が含まれる。ある実施形態では、該オルガノシラン/オルガノシロキサンは、環状アルキルシラン、環状アルキルシロキサン、環状アルコキシシランであるか、又は1,2−ジシラノエタン、1,3−ジシラノプロパン、ジメチルシラシクロブタン、1,2−ビス(トリメチルシロキシ)シクロブテン、1,1−ジメチル−1−シラ−2,6−ジオキサシクロヘキサン、1,1−ジメチル−1−シラ−2−オキサシクロヘキサン、1,2−ビス(トリメチルシロキシ)エタン、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン、オクタメチルテトラシクロシロキサン(CMCTS)、又は1,3−(ジメチルシリル)シクロブタンのようにケイ素原子のペアー間に1つ以上のアルコキシ又はアルキルブリッジを含む。ある実施形態では、該オルガノシラン/オルガノシロキサンは、エポキシド、カルボキシレート、アルキン、ジエン、フェニルエチニル、歪んだ(strained)環状基、及び該オルガノシラン/オルガノシロキサンを立体的に込み合わせるか又はひずませることができるC4〜C10群から成る群(トリメチルシリルアセチレン、1−(トリメチルシリル)−1,3−ブタジエン、トリメチルシリルシクロペンタジエン、トリメチルシリルアセテート、及びジ−tert−ブトキシジアセトキシシラン等)から選択される反応性の付随的な基を含む。
【0005】
該孔形成前駆体は、炭化水素系化合物であることができ、好ましくは1〜13個の炭素原子を有する。これらの化合物の例には、アルファ−テルピネン、リモネン、シクロヘキサン、ガンマ−テルピネン、カンフェン、ジメチルヘキサジエン、エチルベンゼン、ノルボルナジエン、シクロペンテンオキシド、1,2,4−トリメチルシクロヘキサン、1,5−ジメチル−1,5−シクロオクタジエン、カンフェン、アダマンタン、1,3−ブタジエン、置換ジエン類、アルファ−ピネン、ベータ−ピネン、及びデカヒドロナフテレンが含まれるが、これらに限定されるものではない。さらに、孔形成前駆体類の例には、不安定な有機基類が含まれる。不安定な有機基類を含む化合物のいくつかの例には、米国特許第6,171,945号明細書に開示されている化合物が含まれ、全体を参照することによって、本明細書に組込む。さらに、孔形成前駆体類の他の例は、分解性ポリマー類であってもよい。該分解性ポリマーは、放射線分解性であってもよい。本明細書で用いる場合、用語「ポリマー」は、明示的に別段の定めをした場合を除き、オリゴマー類及び/又は共重合体類の用語をも包含する。放射線分解性ポリマー類は、例えば、紫外線、X線、電子線等の放射線への暴露上で分解するポリマー類である。これらポリマー類の例には、ブロック共重合体類(すなわち、ジブロック、トリブロック、及び複数のブロック共重合体類;星型ブロック共重合体類;ラジカルジブロック共重合体類;グラフトジブロック共重合体類;共グラフト化共重合体類;デンドリグラフト共重合体類;テーパー化ブロック共重合体類;及びこれら構造体の組み合わせ等(これらに限定されるものではない)の3次元の構造体を提供する構造体を有するポリマーが含まれる。分解性ポリマー類のさらなる例は、米国特許第6,204,202号明細書に見出され、全体を参照することによって、本明細書に組込む。
【0006】
ある例では、単一の化合物が、多孔質のOSG薄膜内で、該構造体形成及び孔形成の両方として機能することができる。すなわち、該構造体形成前駆体及び該孔形成前駆体は、必然的に異なる化合物ではなく、ある実施形態では、該孔形成は、該構造体形成前駆体の一部である(共有結合等)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
該堆積プロセスが、基板(典型的には、シリコンウェーハ)上に、薄膜類を望ましく形成する一方、これらの薄膜を形成する反応類は、該プロセスチャンバー内部のばくろされる表面上にも非生産的に起こり、チャンバー壁類とシャワーヘッドとプロセスチャンバーの下流のフォアライン(foreline)との上に大量の残渣類を残す。これらの残渣類には、典型的には炭素が含まれ、本明細書中では、炭素含有残渣類と称する。存在可能なさらなる種には、例えば、該前駆体混合物由来のシリコン及び/又は清浄化に用いられるフッ素化気体ベースのプラズマ類への暴露に由来するフッ素及び/又はフッ素含有前駆体類が含まれる。該チャンバー内部への該炭素含有残渣類の蓄積は、次の堆積に作用することがあるプロセスドリフト、堆積均一性の低下、及び粒子のシェディングに終わることがある。これらの影響類によって、堆積された構造体類の欠陥及び装置故障がもたらされることがある。したがって、定期的なプロセスチャンバーの清浄化(チャンバー清浄化、とも称する)が、必要である。続いて堆積される該複合オルガノシリケート薄膜類の完全性(均一性、構成物純度、再現性)を確保するために、これらの残渣類を、除去しなければならない。ある場合には、該炭素含有残渣は、オリゴマー類及びポリマー類の形で存在することができるので、したがって残渣を除去することは、さらに難しい。
【0008】
フッ素化気体ベースのプラズマ類を用いるプラズマ清浄化は、一般的に、堆積の間の該チャンバーを清浄するために用いられる。典型的には、用いられるフッ素化気体類は、NF3、C26、CF4、CHF3、F2及び他の様々な種を含み、チャンバー清浄化プロセス内にフッ素原子(F)の好適なソースを提供する。いくつかのタイプのフッ素化気体類は、取り扱うのが相対的に容易である、というのは、これらの気体類は、周囲条件下で、非腐食性であり、そして大気ガス類又は構成物の材料と反応しないからである。典型的には、C26/O2又はNF3ベースのプラズマエッチプロセスを用いて、プロセスチャンバー類を清浄する。しかし、フッ素化気体類含有のプラズマ類は、単体では、上記で示される共堆積プロセスの間(複合オルガノシリケート材料を作成するために要求される)、該プロセスチャンバーの内部の上に堆積する該炭素含有残渣類の全てを効果的に除去することができないことが見出されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
少なくとも一部が炭素含有残渣類で被覆されている基板表面から炭素含有残渣類を除去するためのプロセスが、本明細書に記述されている。
態様のひとつでは、基板表面から炭素含有残渣類を除去するためのプロセスであって:
酸素ソース、フッ素ソース、及び随意選択的に追加のガスを含むプロセスガスを用意すること、ここで該プロセスガス内に含まれるフッ素に対する酸素のモル比が、約1〜約10の範囲にわたる、
1つ以上のエネルギーソース類を用いて該プロセスガスを活性化し、反応性種を供給すること;及び
該反応性種と該基板表面とを接触させ、該表面から該炭素含有残渣を揮発及び除去させること、
を含むプロセスが、提供されている。
【0010】
他の態様では、プロセスチャンバー(該プロセスチャンバーを、複合オルガノシリケート薄膜を堆積するように用いる)の表面から炭素含有残渣類を除去するためのプロセスであって:
少なくとも部分的に炭素含有残渣類で被覆されている表面を含む該プロセスチャンバーを用意すること;
酸素ソース、フッ素ソース、及び随意選択的に追加のガスを含むプロセスガスを用意すること、ここで該プロセスガス内に含まれるフッ素に対する酸素のモル比が、約1〜約10の範囲にわたる;
1つ以上のエネルギーソース類を用いて該プロセスガスを活性化し、反応性種を供給すること;
該反応性種と該残渣類とを接触させ、1種以上の揮発性生成物を形成すること、ここで該接触段階は、5トル以下の圧力で実施される;そして
該プロセスチャンバーから1種以上の揮発性生成物を除去すること、
を含む方法が提供されている。
【0011】
さらなる態様では、プロセスチャンバー(該プロセスチャンバーは複合オルガノシリケート薄膜を堆積するように用いられる)の表面から炭素含有残渣類を除去するためのプロセスであって:
該チャンバーが、少なくとも部分的に炭素含有残渣類で被覆されている表面を含む該プロセスチャンバーを用意すること;
酸素ソース、フッ素ソース、及び随意選択的に追加のガスを含むプロセスガスを用意すること、ここでプロセスガス内に含まれるフッ素に対する酸素のモル比が、約1〜約10の範囲にわたる;
エネルギーソースを供給することによって、該プロセスガスを活性化し、反応性種を形成すること、ここで該プロセスガスの第1の部分は該プロセスチャンバー外で活性化されて、該プロセスチャンバー内に導入され、そして該プロセスガスの第2の部分は、該プロセスチャンバーの内部で活性化されている;
該反応性種と該残渣類とを接触させ、1種以上の揮発性生成物を形成させること;そして
該プロセスチャンバーから1種以上の揮発性生成物を除去すること、
を含むプロセスが提供されている。
【0012】
さらに別の態様では、プロセスチャンバー(該プロセスチャンバーは、複合オルガノシリケート薄膜を堆積させるために用いられている)の表面から炭素含有残渣類を除去するためのプロセスであって:
少なくとも部分的に炭素含有残渣類で被覆されている表面を含む該プロセスチャンバーを用意すること;
酸素ソース、フッ素ソース、及び随意選択的に追加のガスを含むプロセスガスを用意すること、ここでプロセスガス内に含まれるフッ素に対する酸素のモル比が、約1〜約10の範囲にわたる;
エネルギーソースを供給することによって、該プロセスガスを活性化し、反応性種を形成すること、ここで該プロセスガスの第1の部分は該プロセスチャンバー外で活性化されて、該プロセスチャンバー内に導入され、そして該プロセスガスの第2の部分は、該プロセスチャンバーの内部で活性化されている;
該反応性種と該残渣類とを接触させ、1種以上の揮発性生成物を形成すること、ここで該接触段階は、5トル以下の圧力で実施される;及び
該プロセスチャンバーから1種以上の揮発性生成物を除去すること、
を含むプロセスが提供されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本明細書で開示されるプロセスは、該基板表面の少なくとも一部分から炭素含有残渣類を除去するのに実用的である。特定の実施形態のひとつでは、該プロセスは、プロセスチャンバー及び任意の固定物へのダメージを最小としながら、該プロセスチャンバー及びそれらに含まれる任意の固定物内の表面の少なくとも一部から、炭素含有残渣類等の非揮発性物質を除去する。清浄する該表面から除去すべき該材料は、固体の非揮発性材料からより高い揮発性を有する種に転換され、該プロセスチャンバー内の吸引ポンプ又は他の手段によってたやすく除去することができる。機械的な、ウェットエッチング、及び/又は他の清浄化プロセス類とは違って、本明細書に開示される該プロセスは、該プロセスラインから該プロセスチャンバーを取り出すこと及び/又は該チャンバー及びその固定物を液体の化学系溶液類へさらすことを、必然的には要求しない。
【0014】
特定の実施形態のひとつでは、本明細書に開示されるプロセスは、基板表面(シリコンウェーハ等)の1つ以上の上に、例えば、複合オルガノシリケート薄膜類の真空蒸着、スプレーパイロリシス、原子層蒸着(ALD)及び/又は化学蒸着法(CVD)内で用いられるプロセスチャンバー内の表面の少なくとも一部分から炭素含有残渣類を清浄するのに実用的である。該物質との反応及び揮発性生成物類の形成に充分な条件の下、反応性種と該炭素含有残渣類とを接触させることによってそれらの中に含まれる該プロセスチャンバー及び任意の固定物類内の1つ以上の表面から、該炭素含有残渣類を除去することができる。本明細書で用いる場合、用語「揮発性生成物」は、酸素ソース及びフッ素ソースを含むプロセスガスを活性化することによって形成される該炭素含有残渣類と反応性種との間の反応生成物及び副生成物に関する。
【0015】
1種以上のエネルギーソースによって、酸素ソース及びフッ素ソースを含むプロセスガスの活性化を介して、該反応性種を形成する。該プロセスガス中の酸素及びフッ素のモル比は、従来用いられている比較上の清浄化ケミストリーよりも、相対的に高い。予想外にも、該プロセス内のフッ素に対する酸素の該モル比が、炭素含有残渣類の除去に大きく影響を与えることが、見出された。実施形態の一部では、予想外にも、該プロセス内のユニティーよりもフッ素に対する酸素のモル比が大きいことによって、炭素含有残渣類の除去を大幅に増やすことができる一方、それらにさらされる基板類へのダメージは最小となること等が、見出された。
【0016】
該炭素含有堆積物類を、活性化プロセスガスにさらすことで除去する。該プロセスガスは、酸素ソース、フッ素ソース、及び随意選択的に1種以上の追加のガスを含む。これらの実施形態では、該プロセスガス内に含まれるフッ素に対する酸素の該モル比は、1〜10、又は2〜8、又は3〜6の範囲にわたることができる。例示的な酸素ソース類には、酸素(O2)、オゾン(O3)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、二酸化窒素(NO2)、亜酸化窒素(N2O)、一酸化窒素(NO)、水(H2O)、及びそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されるものではない。該プロセスガス中に存在する酸素ソース量は、プロセスガスの総体積に基づいて、20%〜90%の範囲にわたることができる。
【0017】
該プロセスガスは、フッ素ソースを含む。本明細書に記述される該プロセス用に好適なフッ素ソース気体類の例には、:HF(フッ化水素酸)、F2(フッ素)、NF3(三フッ化窒素)、SF6(六フッ化イオウ)、FNO(フッ化ニトロシル)、C333(フッ化シアヌル)、C222(フッ化オキサリル)、ペルフルオロカーボン類(CF4、C26、C38、C48等)、ヒドロフルオロカーボン類(CHF3及びC37H等)、オキシフルオロカーボン類(C48O(ペルフルオロテトラヒドロフラン)等)、ヒドロフルオロエーテル類等の酸化ヒドロフルオロカーボン類(メチルトリフルオロメチルエーテル(CH3OCF3)等)、ハイポフルオライト(hypofluorite)類(CF3−OF(フルオロオキシトリフルオロメタン(FTM))及びFO−CF2−OF(ビス−ジフルオロオキシ−ジフルオロメタン(BDM))等)、フルオロペロキシド類(CF3−O−O−CF3(ビス−トリフルオロ−メチル−ペロキシド(BTMP))、F−O−O−F等)、フルオロトリオキシド類(CF3−O−O−O−CF3等)、フルオロアミン類(CF5N(ペルフルオロメチルアミン)等)、フルオロニトリル類(C23N(ペルフルオロアセトニトリル)、C36N(ペルフルオロプロプリオニトリル)、及びCF3NO(トリフルオロニトロシルメタン))、及びCOF2(カルボニルフルオライド)が含まれる。用いるポイントのところでフッ素ソースをつくる固体若しくは液体ベースの発生器類等、減圧搬送システム類、セーフデリバリーシステム類、及び/又は一般的なシリンダー類の種々の手段によって、該フッ素ソースを輸送することができるが、これらに限定されるものではない。該プロセスガス中に存在するフッ素ソース量は、プロセスガスの総体積に基づいて、10体積%〜35体積%の範囲にわたることができる。
【0018】
ある実施形態では、該酸素ソース及び該フッ素ソースの1つ以上は、同一化合物である。これに関しては、相対的に多量の酸素をも含む1種以上のフッ素ソースを用いて、該プロセスガス中の該フッ素ソースに対する該酸素ソースの該モル比を、満たすことができる。これに関しては、これらのフッ素ソース化合物類は、該プロセスガス混合物中で二元機能薬剤としてふるまうことができ、そして例えば、別個の酸素ソース化合物に加えて、またはその代わりに用いることができる。相対的に高い酸素含有率をも含み、そしてこれらの実施形態中で用いることができる好適なフッ素ソースの例には、ハイポフルオライト類(CF3−OF(フルオロオキシトリフルオロメタン(FTM))及びFO−CF2−OF(ビス−ジフルオロオキシ−ジフルオロメタン(BDM))等)、フルオロペロキシド類(CF3−O−O−CF3(ビス−トリフルオロ−メチル−ペロキシド(BTMP))、F−O−O−F等)、フルオロトリオキシド類(CF3−O−O−O−CF3等)が含まれる。
【0019】
ある実施形態では、1種以上の追加のガス類を、該プロセスガスに添加することができる。追加のガス類の例には、水素、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、及びそれらの混合物が含まれる。ある実施形態では、該追加のガスは、水素である。該追加のガスが、清浄化プロセス類及びプラズマ特性を一部の特有の適用により好適に変えることができると考えられている。該追加のガスは、該酸素ソース及び/又はフッ素ソースを該基板又はプロセスチャンバーに輸送するのにも助力することができる。これらの実施形態では、該プロセスガス内に存在する追加のガス量は、プロセスガスの総体積に基づいて、0体積%〜80体積%の範囲にわたることができる。
【0020】
本明細書に開示される該プロセスは、プロセスチャンバーへのダメージを最小にしながら、プロセスチャンバーの内部、又はプロセスチャンバー内に含まれる種々の固定物類(流体インレット類及びアウトレット類、シャワーヘッド類、加工中の製品のプラットフォーム類等が挙げられるが、それらに限定されるものではない)の該表面から、炭素含有残渣類を清浄するのに、実用的である。例示的なプロセスチャンバー類には、該基板表面上に低誘電率の誘導体材料類を堆積させるために用いられるCVD及び/又はALDプロセスチャンバー類が含まれる。該チャンバー及び該チャンバー内に含まれる固定物類の該表面は金属類(チタン、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、又はそれらを含む合金類等)、及び/又はセラミック等(石英又はAl23等)の絶縁材類を含む種々の異なる材料類から構成されることができる。
【0021】
その場でのプラズマ、リモートプラズマ、リモートサーマル/触媒活性化、その場でのサーマルヒーティング、電子付着、及び光活性化等(それらに限定されるものではない)の1種以上のエネルギーソースによって、該プロセスを活性化し、反応性種を形成することができる。これらのソースは、単独で用いるか、又は組み合わせて(例えば、協力して)用いることができる。
【0022】
サーマル若しくはプラズマの活性化及び/又は強化は、炭素含有残渣類のエッチング及び清浄化の効力に非常に強い影響を与えることができる。サーマルヒーティング活性化では、該プロセスチャンバー及びチャンバー内に含まれる固定物類を、抵抗ヒーター類又は高強度のランプ類のいずれかによって加熱する。該プロセスガスは、反応性ラジカル類及び反応性原子類に熱分解され、続いて、該炭素含有残渣類を揮発させる。高い温度は、該エネルギーソースをも供給し、反応の活性化エネルギー障壁を克服し、そして該反応速度を増すことができる。サーマル活性化において、該基板を、少なくとも100℃、又は少なくとも300℃、又は少なくとも500℃に加熱することができる。該圧力は、10ミリトル〜760トル、又は1トル〜760トルの範囲にわたることができる。
【0023】
その場での活性化(その場でのRFプラズマ等)を用いて、該プロセスガスを活性化する実施態様では、該プロセスガス内に含まれる酸素及びフッ素気体分子類を、放出して崩壊させ、反応性イオン類及び反応性ラジカル類の反応性種を形成する。該フッ素含有イオン類及びラジカル類並びに酸素含有イオン類及びラジカル類は、該炭素含有残渣類と反応し、吸引ポンプ類によって該プロセスチャンバーから除去可能な揮発性種を形成する。
【0024】
その場でのプラズマ活性化を用いる実施態様では、該その場でのプラズマを、13.56MHzのRF電源及び/又は少なくとも1W/cm2、若しくは少なくとも5W/cm2、若しくは少なくとも10W/cm2のRF出力密度で発生させることができる。あるいは、該その場でのプラズマを、13.56MHzより低いRF周波数で操作し、アースされたチャンバー壁類及び/又はチャンバー内に含まれる固定物類の清浄化を強化する。該操作圧力は、2.5ミリトル〜100トル、又は5ミリトル〜50トル、又は10ミリトル〜20トルの範囲にわたることができる。特定の実施形態のひとつでは、該プロセスを5トル以下の圧力で実施する。これらの実施形態では、その場でのエネルギーソース(その場でのRFプラズマ等)を、サーマル及び/又はリモートエネルギーソースと併用することができる。この特定の実施形態は、プラズマ安定性を確保し、そして該プロセスチャンバー及びチャンバー内に含まれる固定物類にごく僅かなダメージに抑える。
【0025】
RFによって活性化されたリモートプラズマソース、マイクロ波、又はICP活性化、リモートサーマル活性化ソース、リモート触媒活性化ソース、又はサーマル及び触媒活性化を併用するリモートソース等(それらに限定されるものではない)のリモートエネルギーソースを、該揮発性生成物を発生させるために用いることができる。リモートプラズマ清浄化では、該炭素含有残渣類を揮発させるために該プロセスチャンバー内に導入された該プロセスガスを活性化し、該堆積物チャンバーの外側で反応性種を形成する。リモートサーマル活性化では、該プロセスガスは、最初に、該プロセスチャンバーの外側の加熱領域を経由して流れる。該気体は、清浄化すべき該チャンバーの外側の容器内で、高温に触れ、解離する。別のアプローチ類は、リモート触媒コンバーターの使用を含んで、該プロセスガスを解離させるか、又はサーマルヒーティング及び接触分解の組み合わせを含んで、該プロセスガス内の該酸素ソース及びフッ素ソースの活性化を容易にする。
【0026】
ある実施形態では、反応性種を発生するリモートプラズマと、該炭素含有残渣類との間の反応を、該反応器を加熱することによって、活性化/強化することができる。反応性種を発生するリモートプラズマと、該炭素含有残渣類との間の該反応を、該プロセスガス内に含まれる酸素及びフッ素含有ソースを解離するのに充分な温度に該反応器を加熱することによって、活性化及び/又は強化することができる。除去すべき該物質との清浄化反応を活性化するために要求される特有の温度は、該プロセスガスの処方によって決まる。
【0027】
特定の実施形態のひとつでは、リモートプラズマと、その場でのプラズマとの組み合わせが、該プロセスガスを活性化する該エネルギーソースとして用いられ、該反応性種を形成する。この実施形態では、該プロセスガスの第1の部分が、該プロセスチャンバー外の領域の中で活性化され、活性化後に該プロセスチャンバー内に導入される。該プロセスガスの第2の部分は、該第1の活性化気体の任意の部分とともに、該プロセスチャンバー内で活性化され、該反応性種は、再結合してもよい。
【0028】
別の実施態様では、該プロセスガス中の該酸素及び該フッ素ソースの該分子を、高強度の光子への暴露によって解離させることができ、反応性種を形成させる。例えば、紫外線、遠紫外線及び減圧紫外線の放射線は、炭素含有残渣類中の強い化学結合の切断、並びに該プロセスガス内の該酸素及び該フッ素ソースの解離に助力することができ、従って、炭素含有残渣類の除去速度が増加することとなる。本明細書に記述される該清浄化プロセス類への他の活性化及び強化手段も、用いられる。例えば、光子誘導化化学反応類を用いて、反応性種を発生させ、かつ該エッチング/清浄化反応類を強化することができる。
【0029】
ある実施形態では、該清浄化操作の間、該プロセスチャンバーは、該堆積操作と実質的に同様の操作条件(圧力及び温度)のままでいることができる。例えば、該プロセスチャンバーが、CVDに用いられる実施態様では、堆積物気体の流れを止め、そして反応器及び搬送ライン類から除去する。必要に応じて、該反応体温度の該温度を最適値に変えることができるが、好ましい実施形態では、該プロセスチャンバー温度を、該堆積プロセスの状態に維持する。プロセスガスを、該プロセスチャンバー内に流し、そして活性化して、反応性種を提供する。該反応性種は、該炭素含有残渣類を、該チャンバーから除去される揮発性生成物に転化させる。規定時間の後か、又は該チャンバー排出物内で検出される形成された揮発性生成物の濃度が、許容レベルより低くなった後、プロセスガスの該流れを停止させ、好ましくは該チャンバー及び搬送ライン類から除去する。次いで、該堆積気体の該流れを再開し、そして該CVD堆積プロセスを再開する。
【0030】
さらなる実施形態では、本明細書に記述される該プロセスを、基板からの炭素含有材料類のエッチング等の、チャンバー清浄化以外の半導体製造の範囲の一部に用いることができる。これらの実施形態では、用いるのに好適な基板類には、半導体材料類(砒化ガリウム(GaAs)、ボロニトリド(BN)シリコン等)、及びシリコン含有構造体類(結晶シリコン、ポリシリコン、アモルファスシリコン、エピタキシャルシリコン、二酸化シリコン(SiO2)、炭化ケイ素(SiC)、シリコンオキシカーバイド(SiOC)、窒化シリコン(SiN)、シリコンカルボニトリド(SiCN).オルガノシリケートガラス類(OSG)、オルガノフルオロシリケートガラス類(OFSG)、フルオロシリケートガラス類(FSG)等)、及び他の適切な基板類又はそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されるものではない。基板類には、該薄膜(反射防止用コーティング、フォトレジスト類、有機ポリマー類、多孔質の有機及び無機材料類、金属類(銅及びアルミニウム等)、及び/又は拡散障壁層類(遷移金属の2成分及び/又は3成分化合物類等)等)が適用される種々の層類が、さらに含まれる。伝統的なウェット・ストリッピング及び/又はプラズマエッチングも、これらの半導体製造プロセス類に用いることができる。
【0031】
下記例に関連して、該プロセスをさらに詳細に具体的に説明するが、本明細書中に記述される方法は、それらに限定されるものではないことが理解されるべきである。
【実施例】
【0032】
下記は、比較プロセス類を用いて、プロセスチャンバーから炭素含有残渣類を除去するための例であり、そして該プロセスが、本明細書に記述されている。下記例の全てにおいて、CVDチャンバーの表面は、シリコンウェーハ上に複合オルガノシリケート薄膜類を堆積することによって発生した炭素含有残渣類で被覆されている。80質量%の孔形成前駆体であるリモネン(LIMO)及び20質量%の構造体形成前駆体であるジエトキシメチルシラン(DEMS)の混合物が用いられ、PECVDプロセスチャンバー内に該薄膜を堆積した。それぞれの薄膜の膜厚が測定され、約1000nm(1μm)であることが分かった。表1aは、該プロセスガスの構成物と、それぞれの例に用いられる該プロセスパラメータ類とを提供する。
【0033】
Applied Materials P−5000 PECVD反応器、又はチャンバーに取付けられたリモートプラズマソースを有するプロセスチャンバー(MKS Astron−EX、MKS instruments of Wilmington,MAから入手可能)を用いて、該例を分析した。該プロセスチャンバーは、基部台(base pedestal)又は底部電極を含み、上部電極は、RF電源に接続されており、プロセスガス類の流れのための気体インレットと、プロセスガス類の流れのためのアウトレットとが、吸引ポンプに接続されている。該チャンバーの壁をアースして、75℃の温度を維持し、そして該チャンバー内部類(サセプタ等)を、300℃の温度に維持した。複合オルガノシリケート薄膜を堆積した後、該シリコンウェーハを、該PECVDチャンバーから取り出し、そして該チャンバーを、該炭素含有残渣類から清浄した。
【0034】
その場でのプラズマ清浄化処方を用いた例において、該チャンバーを、1.5〜3.0トルのチャンバー圧力で安定化させ、表1aに示されるフッ素含有気体に対する酸素含有気体の比を確保するのに必要な気体流速で、該プロセスガスを該チャンバー内に導入した。次いで、該上部電極は、13.56MHzのRF電力ソースから電力を供給された。該プロセスガスが、気体インレットを介して該チャンバー内に供給され、そして該反応の揮発性生成物類及び該反応性気体は、該吸引ポンプを用いて、該チャンバーから除去された。
【0035】
リモートプラズマ清浄化例を、MKS CorporationのAstron−EXリモートプラズマソースを用いて改良されたApplied Materials P−5000 DxZ PECVD チャンバーを用いて、実施した。複合オルガノシリケート薄膜を堆積した後、該シリコンウェーハを、該PECVDチャンバーから取り出し、そして炭素含有残渣類に関して該チャンバーを清浄した。このプロセスを繰り返した。該反応器を空にした後、プロセスガスを、該Astron−EXリモートプラズマ発生器内に導入した。次いで、該チャンバー圧力を安定化させ、そして6kWのRF電力を用いて、該リモートソースのスイッチを入れた。該高強度のプラズマが、該プロセスガス分子を崩壊させ、接続金属チューブを介し、次いで該シャワーヘッドを介して、該チャンバー内へと流れに沿って流れ、そして該チャンバー表面上の該炭素含有残渣類と反応すると考えられている。該反応性種及び残渣類の間の反応によって形成された該揮発性化合物は、該減圧ポートを介して、該反応器から除去された。
【0036】
リモート及びその場でのプラズマを併用した(リモート+RF補助)の清浄化例を、MKS CorporationのAstron−EXリモートプラズマソースを用いて改良したApplied Materials P−5000 DxZ PECVD チャンバーを用いて実施した。複合オルガノシリケート薄膜を堆積した後、次いで、該シリコンウェーハを、該PECVDチャンバーから取り出した。該反応器を空にした後、プロセスガスを、該Astron−EXリモートプラズマ発生器内に導入した。次いで、該チャンバー圧力を安定化させ、そして6kWのRF電力を用いて、該リモートソースのスイッチを入れた。該高強度のプラズマによって、該プロセスガスの分子が崩壊され、該シャワーヘッドを介して該チャンバー内へと、流れに沿って流れると考えられている。次いで、該上部電極は、13.56MHzのRF電力ソースによって電力を供給された。リモート及びその場でのプラズマを併用して活性化された反応性種は、該ウェーハ上の該複合オルガノシリケート薄膜と反応する。該反応性種及び残渣類の間の反応によって形成された該揮発性化合物を、該減圧ポートを介して、該反応器から除去した。
【0037】
該プロセスチャンバーを、それぞれの堆積の後、表1に提供される該種々のプロセス処方類及びパラメータ類を用いて、約240〜420秒間清浄した。該チャンバー及びチャンバー内に含まれる固定物類の目視評価を、堆積(それぞれ1000nm)及び清浄化(それぞれ約200〜420秒)の一組のサイクル(約15〜20回)の後に行った。該目視評価の結果を、表2に示し、そして詳細な結果を、以下で論ずる。
【0038】
【表1】

【0039】
【表2】

【0040】
チャンバー清浄化プロセス類の例は、ポンプ排出口におけるフーリエ変換赤外分光計(FTIR)と、該CVDチャンバーにおける四重極質量分析計(QMS)とによって、モニターされる。該プロセス分析類は、該チャンバー清浄化の副生成物の同定と、プロセスエミッション類の測定と、清浄化時間の決定とのために用いられる。
【0041】
エミッション類の測定は、HgCdTe検出器及び加熱された0.01mのガスセルを用いて、抽出型FTIR分光法(MKS Multigas,Model2010)によって、該プロセスポンプの流れに沿ってなされた。該プロセスは、該プロセスポンプの該排出口のところで、1/4インチのコンプレッションフィッティングを介してサンプリングされた。従って、重要な該気体類を、N2ポンプパージ(50〜70slm)によって希釈することができる。プロセス排出物類を、金属ダイアフラムポンプを用いて、該ポンプ排出口から抜き取った。試料ライン類は、約100℃までヒートトレースされる1/8インチのステンレス鋼チューブであった。試料気体は、通風(ventilated)排出口に戻す前に、該FTIRセルを介して、ポンピングされた。該気体セルの温度及び圧力は、それぞれ150℃及び1.0気圧に制御された。集められた濃度を、測定の間の温度及び圧力に関して補正した。吸収度スペクトル類は、0.5cm-1の分解能でデータを集め、8回以上のスキャンを平均化した。濃度測定のために用いた分析方法を、表3に要約する。
【0042】
【表3】

【0043】
該CVDチャンバーを、Balzers社製の四重極質量分析計(QMS)を用いてモニターした。該QMSの特徴類は、200amuのマスフィルターと閉じたイオン源とである。40μmのオリフィスが、1〜10トルのサンプリングに関して高い感度を提供する。該QMSは、柔軟な1/4インチステンレス鋼チューブを用いて、該CVDチャンバーをサンプリングし、そして該プロセスチャンバーから約24インチに配置した。N2(14、28、及び42amu)と、NF3(71及び52amu)とを用いて、該質量位置(m/e)を較正した。定量的に測定するため、該QMSの較正は、行わなかった。早急にサンプリングするため、該QMSのインレットを、区別をしてポンピングした。すなわち該QMSレスポンスタイムは、該気体構成物の変化よりも早くなければならない。ターボ分子ポンプを用いて、該CVDチャンバー上の減圧ポートから、試料気体を抜き取る。分圧モニタリングのために用いられるフラグメントは、NF3(52amu)、SiF4(85amu)、F2(38amu)、COF2(66amu)、CO2(44amu)、CF4(69amu)である。該排出物の結果を、表4に示す。この表は、それぞれの処方における該排出物の流れの中に存在する該副生成物(SiF4、CO2、COF2、CF4、及びHF)の体積を定量化するものであり、そして一部の例の分析結果を表4に示す。
【0044】
【表4】

【0045】
比較例1:NF3/Arリモートプラズマ清浄化
炭素含有残渣類のCVDチャンバーの清浄化に関して、リモートNF3/Arプラズマ類を評価するために用いた該プロセス条件は、次の通り:700cm/分(sccm)のNF3流速;1400sccmのアルゴン流速;及び2.0〜2.5トルの範囲にわたる圧力、である。他のプロセスのパラメータ類及び条件類を、表1に示す。該CVDチャンバー内部で維持される任意のプラズマなしで(すなわち、RF電力又はその場でのソースの適用がない)、リモートプラズマソースを用いて(すなわち、Astronの電源を入れて)、全てを清浄する。アルゴンを導入し、そして該チャンバー圧力を安定化させた後、該Astronプラズマソースに電力を供給することによって、リモートプラズマを開始させた。一度、該アルゴンプラズマを安定化させると、プラズマの電力を維持しつつ、NF3を導入した。該チャンバーを、該リモートNF3/Arプラズマを用いて、250秒間、清浄した。
【0046】
例示的なチャンバー清浄化プロセスの間の、FTIRプロファイル類を、図1に示す。該チャンバー清浄化の副生成物は、SiF4、CO2、CF4、F2、及びHFであり、そして表4に示されている。これらの測定類は、該CVD残渣の該シリコン成分が、SiF4として除去され、一方、該炭素成分は、主にCF4、そして部分的にはCO2として揮発することを、示している。該炭素残渣は、相当の水素含有量をも含むので、該水素がフッ素と反応し、HFを発生させる。酸素は、該プロセスガス内に成分として含まれていないが、酸素は、該CVD残渣の成分であり、エッチ副生成物となる。酸素が、該CVD残渣の該炭素成分及び該フッ素プラズマと反応し、該CO2副生成物が発生すると考えられている。フッ素(F2)は、該リモートNF3プラズマによって作成されたF原子の再結合によって発生される。
【0047】
図1を参照すると、NF3導入の後、該SiF4濃度、CF4濃度、及びHF濃度に急激な増加が見られた。該CF4、HF及びSiF4副生成物類の該濃度は、約15〜30秒後にピークを迎える。該チャンバーを該活性化プロセスガスに約250秒間さらした後には、該CF4、CO2、及びSiF4副生成物の濃度は、FTIRによる測定としては、ベースライン水準に戻った。概して、このプロファイルは、エッチングが完了し、そして該チャンバー壁がCVD残渣類に関して清浄であることを示している。該HF濃度はまた、相対的に、約800ppmの一定値に達した。該SiF4、CF4、及びHFのプロファイルの全ては、約200秒後に該清浄化が完了し、さらに該リモートNF3プラズマにさらすことは、効果がないことを示している。
【0048】
表4を参照すると、該排出物の流れの中でCO2及びHFの該体積によって測定されるように、炭化水素残渣の除去の総計は、例3bの該プロセスガスの処方及びパラメータ類を用いて除去された量の、それぞれ約3%及び25%である。該排出物の流れの中で、SiF4の該体積によって測定されるように、シリコン残渣の除去は、例3bの該プロセスガスの処方及びパラメータ類を用いて除去された量の約22%である。CF4、COF2及びCO2として除去された炭素のモルによって測定されるように、炭素の除去は、例3bの該プロセスガス及びパラメータ類を用いて除去された量の約4%である。
【0049】
比較例1によって、炭素、シリコン、フッ素、及び水素を含むポリマー残渣に関するCVDチャンバー類の清浄化において、リモートNF3/Arプラズマ類は、効果がないことが実証された。
【0050】
比較例2:NF3/O2/Arリモートプラズマ清浄化
炭素含有残渣類に関するCVDチャンバー類の清浄化に対して、リモートNF3/O2/Arプラズマを評価するために用いられたプロセス条件が、表4に要約されている。10回の堆積及び13回の清浄化手順を完了した。用いたプロセスパラメータ類の範囲は、次の通り:NF3流速(0〜300sccm)、O2:NF3比(0.0〜4.0)、圧力(2.5〜3.0トル)である。表1に要約されるように、該CVDチャンバー内部で維持される任意のプラズマなしで(すなわち、RF電力の供給がない)、リモートプラズマソースを用いて(すなわち、Astronの電源を入れて)、全てを清浄する。アルゴンを導入し、該チャンバーを安定化させ、Astronプラズマソースに電力を供給することによって、リモートプラズマを開始した。一度、アルゴンプラズマを安定化させると、プラズマ電力を維持しつつ、NF3及びO2を含むプロセスガス混合物を導入した。次いで、該チャンバーを、該リモートNF3/O2/Arプラズマを用いて、130〜250秒間、清浄した。
【0051】
【表5】

【0052】
例示的なチャンバー清浄化プロセス(実行番号5)の間の、QMSおよびFTIRプロファイル類を、それぞれ、図2a及び図2bに示す。該チャンバー清浄化の副生成物は、SiF4、CO2、COF2、F2、及びHFである。これら測定類は、該CVD残渣の該シリコン成分が、SiF4として除去され、一方、該炭素成分は、CO2及びCOF2として揮発することを、示している。該炭素残渣は、相当の水素含有量をも含むので、該水素が該フッ素と反応し、HFを発生させる。該シリコン及び該炭素の大部分は、SiF4、CO2、及びHFとして揮発する。
【0053】
図2a及び図2bを参照すると、NF3及びO2を含む該プロセスガスの導入の後、該SiF4濃度、CO2濃度、及びHF濃度に急激な増加が見られた。これら副生成物類の該濃度は、約30秒後にピークを迎え、次いで減少する。約120秒間の該清浄化の実行後、QMS(図2a)又はFTIR(図2b)によって測定された該副生成物の濃度類にわずかな変化があった。該エッチ副生成物類の該減少に付随して、QMS(図2a)によって測定された該F2分圧に急激な増加がみられた。概して、該F2の発生は、モニターの良好な終点である。該NF3/O2プラズマ中で発生したフッ素原子は、該チャンバー清浄化の間のエッチングによって消費される。しかし、一度、該エッチプロセスを完了すると、フッ素原子が自由となるので、F2として再結合することとなる。該SiF4、CO2、HF、及びF2のプロファイルは、該清浄化が完了し、そしてさらに該NF3/O2プラズマにさらすことは、効果がないことを示している。さらに、比較例2の該13回のチャンバー清浄化のそれぞれに関して、相当なオーバーエッチが生じていた。
【0054】
表5に示されている堆積/清浄化サイクルを完了した後、該CVDチャンバーの該内部を、目視で検査した。堆積及びPDEMS化学物質の使用(31グラム)が、相対的に少ないにもかかわらず、相当な量の炭素残渣類が、該CVDチャンバーの該表面上に確認できた。該目視検査の該結果類を、表2に要約した。厚い褐色残渣が、該スロットルバリューポートの該境界面の周囲とに存在した。該チャンバー壁類も、残渣薄層で被覆されていた。該シャワーヘッドは、ダメージを受けていなかった。
【0055】
表4を参照すると、該排出物の流れの中でCO2及びHFの該体積によって測定されるように炭化水素残渣の除去総計は、例3bの該プロセスパラメータを用いて除去された量の、それぞれ、約13%及び30%である。該排出物の流れの中で、SiF4の該体積によって測定されるように、シリコン残渣の除去は、例3bの該プロセスパラメータ類を用いて除去された量の約28%である。CF4、COF2及びCO2として除去された、炭素のモルによって測定されるような、炭素の除去は、例3bの該プロセスパラメータ類を用いて除去された量の約17%である。
【0056】
比較例2によって、炭素、シリコン、フッ素、及び水素を含むポリマー残渣に関するCVDチャンバー類の清浄化において、リモートNF3/O2/Arプラズマは、効果がないことが実証された。
【0057】
比較例3:その場でのRF補助を用いたNF3/Arリモートプラズマ清浄化
炭素含有残渣類に関するCVDチャンバー類の清浄化に対して、併用されたリモート及びその場でのNF3/Arプラズマ類を評価するために用いられた該プロセス条件が、表6に要約されている。10回の堆積及び12回の清浄化手順を完了した(表6)。それぞれの実行のためのプロセスパラメータ類の範囲は、次の通り:NF3流速(700sccm)、O2:NF3比(0.0)、圧力(2.5トル)、RF電力(1000W)である。該チャンバー清浄化類の間、プロセスガスとして酸素(O2)は、含まれなかった。該CVDチャンバー内部に維持されるその場でのプラズマソース(すなわち、RF電源によって1000Wを供給)を併用したリモートプラズマソース(すなわち、Astronのスイッチを入れて)を利用して、全てを清浄する。アルゴンを導入し、そして該チャンバー圧力を安定化させた後、該Astronプラズマソースに電力を供給して、リモートプラズマを開始した。一度、該アルゴンプラズマを安定化させると、該リモートプラズマの電力を維持しつつ、NF3を導入した。一度、該リモートNF3/Arプラズマを安定化させると(15秒)、RF電力を、該シャワーヘッド電極に適用し、該CVDチャンバーの内部でプラズマ(すなわち、その場でのプラズマ)を開始した。次いで、併用されたリモート及びその場でのNF3/Arプラズマを用いて、210〜360秒間、該チャンバーを清浄した。
【0058】
【表6】

【0059】
例示的なチャンバー清浄化プロセスの間の、QMSおよびFTIRプロファイル類を、それぞれ、図3a及び図3bに示す。該チャンバー清浄化の副生成物は、SiF4、CF4、F2、及びHFである。これら測定類は、該CVD残渣のシリコン成分は、SiF4として除去され、一方、炭素成分は、主としてCF4として揮発することを、示している。該炭素残渣は、相当の水素含有量をも含むので、該水素がフッ素と反応し、HFを発生する。該シリコン及び炭素の大部分は、SiF4、CF4、及びHFとして揮発する。一部のCOF2及びCO2も、測定された(図3b)。酸素は、プロセスガスとして含まれていないが、酸素は、該CVD残渣の成分であり、そしてエッチ副生成物となる。おそらく、該酸素が、該CVD残渣の該炭素成分及び該フッ素プラズマと反応し、該CO2及びCOF2副生成物が発生すると考えられている。多量のフッ素(F2)は、該リモートNF3プラズマによって作成されたF原子の再結合によって発生する。該CF4濃度は、比較例2中よりも、比較例3中の方が高い。該清浄化気体混合物中には、限られた量の酸素しか存在していないので、炭素は、主に、CO2でもCOF2でもなく、CF4として除去されることが示唆される。
【0060】
NF3導入の後、SiF4濃度、CF4濃度、及びHF濃度に急激な増加が見られた(図3a及び図3b)。HF副生成物類及びSiF4副生成物類の濃度は、約30秒後にピークを迎え、一方、CF4のピークは、約120秒後に生じた。約200秒間の該清浄化の実行後、QMS(図3a)又はFTIR(図3b)によって測定されるような、該副生成物濃度類は、ベースライン水準に戻った。概して、このプロファイルは、エッチングが完了し、そして該チャンバー壁が、CVD残渣類に関して清浄されたことを示している。該SiF4、CF4、及びHFのプロファイルの全ては、約200秒後に該清浄化が完了し、さらに併用された該NF3/プラズマにさらすことは、効果がないことを示している。さらに、比較例3の該12回のチャンバーのそれぞれの清浄化に関して、相当なオーバーエッチ時間が含まれていた。
【0061】
表4を参照すると、該排出物の流れの中でHFの該体積によって測定されるように、炭化水素残渣の除去総計は、例3bの該プロセスパラメータを用いて除去された量の、約95%である。該排出物の流れの中で、SiF4の該体積によって測定されるように、シリコン残渣の除去は、例3bの該プロセスパラメータ類を用いて除去された量の約80%である。CF4、COF2及びCO2として除去された炭素のモルによって測定されるように、炭素の除去は、例3bの該プロセスパラメータ類を用いて除去された量の約77%である。
【0062】
表6の堆積及び清浄化サイクルを完了した後、該CVDチャンバーの該内部を、目視で検査した。堆積及びPDEMS化学物質の使用(44グラム)が、相対的に少ないにもかかわらず、相当量の炭素残渣類が、該CVDチャンバーの該表面上に確認できた。該目視検査の結果類を、表2に要約する。黄色の粉末状残渣が、該シャワーヘッド及び該チャンバー壁類上に被覆し、そして該シャワーヘッド境界面が、褐色残渣で被覆されていた。該スロットルバリューポートは、厚い褐色残渣で被覆されていた。該シャワーヘッドにプラズマダメージの証拠はなかった。これらの観察は、210〜360秒の範囲にわたる時間の該チャンバーの清浄化の後に多量の炭素ベース残渣が残ることを示す該排出物プロファイルと一致する。
【0063】
比較例3によって、炭素、シリコン、フッ素、及び水素を含むポリマー残渣に関するCVDチャンバー類の清浄化において、その場でのRF電力の補助を用いるリモートNF3/Arプラズマ類は、完全に効果がないことが実証された。多量の該SiF4残渣を除去する一方、該炭素ベースポリマー残渣を十分に除去していない。
【0064】
比較例4:O2/NF3比=3.0を用いたその場でのNF3/O2/Heのプラズマ
炭素含有残渣類に関してCVDチャンバー類を清浄化する場合、O2/NF3比が3.0を用いたその場でのNF3/O2/Heプラズマ類を評価するために用いた該プロセス条件が、表1に要約されている。16回の堆積及び清浄化手順を完了し、これらの実行に関するパラメータ類を表7に示す。番号15に関する排出物プロファイル類を、図4a及び図4bに示し、そして清浄化結果を表2で論ずる。該排出物プロファイル類は、主な排出物種は、COF2、CO2、F2、SiF4及びHFであることを示している。他のCF4及びCOF等の種もまた、該排出物の流れの中で検出された。該第1の2種の排出物生成物類(COF2及びCO2)は、解離された酸素原子及びフッ素原子が、炭化水素ベースの堆積残渣と結合した場合に主に形成され、一方、HFは、該炭化水素由来の水素とフッ素との相互作用によって、主として形成される。該未反応のフッ素原子類が再結合して、フッ素気体を形成し、該フッ素原子類は、該チャンバー内の該シリコン残渣と反応して形成されたSiF4とともに該チャンバーから遊離させられる。
【0065】
【表7】

【0066】
NF3導入の後、SiF4濃度、CO2濃度、及びHF濃度に急激な増加が見られた(図4a及び図4b)。該SiF4及び該CO2副生成物類の該濃度は、約30〜45秒後にピークを迎え、一方、該HF濃度のピークは、約90〜120秒後に生じた。SiF4濃度、CO2濃度及びHF濃度のピークは、それぞれ、200ppm(parts per million)、1000ppm及び4700ppmであった。約210〜260秒間の該清浄化の実行後、QMS(図4a)又はFTIR(図4b)によって測定されるような該SiF4副生成物濃度類は、ベースライン水準に戻った。該CO2及び該HFの副生成物濃度はまた、ベースライン水準ではないものの、下降傾向を示していた。該エッチ副生成物類の該減少に付随して、QMS(図4a)によって測定された該F2分圧が急激に増加した。該F2のピークは、該清浄化の開始後、約150〜180秒のところに見え、概して、該F2の発生は、モニターの良好な終点である。該NF3/O2プラズマ中で発生したフッ素原子は、該チャンバー清浄化の間のエッチングによって消費される。しかし、一度、該エッチプロセスを完了すると、フッ素原子が自由となるので、F2として再結合することとなる。該SiF4、CO2、HF、及びF2のプロファイル類の全ては、240秒を越えてNF3/O2/Heプラズマにさらすことは、該チャンバー壁上に残る任意の残渣を除去するのに効果がないことを示している。
【0067】
表4を参照すると、該排出物の流れの中でCO2及びHFの該体積によって測定されるように、炭化水素残渣の除去の総計は、例3bの該プロセスパラメータを用いて除去された量の、それぞれ、約48%及び76%である。該排出物の流れの中で、SiF4の該体積によって測定されるように、シリコン残渣の除去は、例3bの該プロセスパラメータ類を用いて除去された量の約65%である。CF4、COF2及びCO2として除去された炭素のモルによって測定されるような炭素の除去は、例3bの該プロセスパラメータ類を用いて除去された量の約46%である。
【0068】
表2の該一組の試験後に実施した該チャンバー及び該シャワーヘッドの目視評価は、これらの試験類のために用いられたその場での清浄化処方が、該シャワーヘッドから残渣を全てうまく除去した、一方、一部の少々のシャワーヘッドのダメージの原因となったことを示している。しかし、該処方は、該チャンバー壁類を清浄化することができず、褐色のブリスター状でかつ硬い残渣が、清浄化を繰り返した後でさえも残った。褐色の液体の縞類及び液滴類がまた、該チャンバー壁の一部の区分に沿って観察された。厚い褐色の、固まりついた残渣が、該スロットルバリューポートの周囲に見出された。これらの観察類は、該排出物プロファイル類から計算される炭化水素除去の算出総計と一致する。
【0069】
比較例4によって、NF3に対するO2の比が3における、その場でのNF3/O2/Heプラズマ類が、炭素、シリコン、フッ素、及び水素を含むポリマー残渣に関してCVDチャンバー類を完全に清浄化しないことが実証された。多量の炭素ベース残渣は、210〜260秒の範囲にわたる清浄化時間を用いた複数の清浄化後に残っていた。
【0070】
例1a:その場でのNF3/O2/Heプラズマ清浄化設計の実証研究
その場でのNF3/O2/Heプラズマ類を用いて実施した一組の堆積及び清浄化サイクルに関するプロセス条件類が、表8に示されている。20回の堆積及び22回の清浄化手順を完了した。圧力、NF3流速、及びO2/NF3比の関数として該排出部の流れの中のCO2量(体積)が、図5a及び図5bに示されている。清浄化能力の結果を、表2に要約する。図5a及び図5b中に示される等高(contour)プロット類は、該O2/NF3比を2.0から4.0に増やした場合と、圧力を3.0から2.0トルに減少させた場合と、追加のガス(ヘリウム)の流速を、500から2000sccmに増やした場合とに、該排出物の流れの中のCO2量が増加することを示している。図5c及び図5d中に示されている等高プロット類は、該O2/NF3比を、2.0から4.0に増加させた場合と、圧力を3.0トルから2.0トルに減少させた場合に、少量ではあるが、該排出物の流れの中のSiF4量も増加することを示している。該排出物の流れの中のSiF4体積は、ヘリウムの流速が増加しても変化していない。したがって、シリコン残渣の除去は基本的に完結しており、追加のガスの流速と別個独立していることを示唆している。
【0071】
【表8】

【0072】
表2を参照すると、該一組の例の後に実施された該チャンバー及び該シャワーヘッドの目視評価によって、該シャワーヘッドセラミックリングのアウターリップの外側に最小の残渣が存在することを除き、該シャワーヘッドが、清浄化されたことが示されている。シャワーヘッドにダメージはなかった。一部が固まりついた褐色の斑点残渣が、該チャンバー壁類上に存在した。褐色の、固まりついた残渣もまた、該スロットルバリューポートの周囲に存在した。
【0073】
例1b:O2/NF3比=4.0及び圧力=2.0トルにおける、その場でのNF3/O2/Heプラズマ清浄化
炭素含有残渣類に関してCVDチャンバー類を清浄化する場合、その場でのNF3/O2/Heプラズマ類を評価するために用いた該プロセス条件が、表9に要約されている。21回の堆積及び清浄化手順を完了した。実行番号15(圧力=2.0トル及びO2/NF3比=4.0)に関する排出物プロファイルを、図5e及び図5fに示し、清浄化の結果を表2で論ずる。該排出物プロファイル類は、主な排出物種が、COF2、CO2、F2、SiF4及びHFであることを示している。該第1の2種の排出物生成物類(COF2及びCO2)は、解離された酸素原子及びフッ素原子が、炭化水素ベースの堆積残渣と結合した場合に主に形成され、一方、HFは、該炭化水素由来の水素とフッ素との相互作用によって、主に形成される。他のCF4及びCOF等の種もまた、該排出物の流れの中で検出された。該未反応のフッ素原子類が再結合し、フッ素気体を形成し、該チャンバー内の該シリコン残渣と反応して形成されたSiF4とともに該チャンバーから、該フッ素原子類が遊離させられる。
【0074】
【表9】

【0075】
NF3導入の後、該SiF4濃度、CO2濃度、及びHF濃度に急激な増加が見られる(図5e及び図5f)。該SiF4副生成物及びCO2副生成物の該濃度は、約30〜45秒後にピークを迎え、一方、該HF濃度のピークは、約90〜120秒後に生ずる。SiF4濃度、CO2濃度及びHF濃度のピークは、それぞれ、200ppm、1000ppm及び4700ppmであった。210〜260秒間の該清浄化の実行後、QMS(図5e)又はFTIR(図5f)によって測定されるように、該SiF4副生成物濃度類は、ベースライン水準に戻った。該CO2及びHFの副生成物濃度はまた、ベースライン水準ではないものの、下降傾向を示していた。該エッチ副生成物類の該減少に付随して、QMS(図5e)によって測定された該F2分圧に急激な増加があった。該F2のピークは、該清浄化の開始後、約150〜180秒のところに見え、概して、該F2の発生は、モニターの良好な終点であった。該NF3/O2プラズマ中で発生したフッ素原子は、該チャンバー清浄化の間のエッチングによって消費される。しかし、一度、該エッチプロセスを完了すると、フッ素原子が自由となるので、F2として再結合することとなる。該SiF4、CO2、HF、及びF2のプロファイルの全ては、240秒を越えてNF3/O2/Heプラズマにさらすことは、該チャンバー壁上に残る炭化水素残渣を除去するのに効果がないことを示している。
【0076】
表4を参照すると、該排出物の流れの中でCO2及びHFの該体積によって測定された炭化水素残渣除去の総計は、例3bの該プロセスパラメータを用いて除去された量の、それぞれ約52%及び79%である。該排出物の流れの中で、SiF4の該体積によって測定されるように、シリコン残渣の除去は、例3bの該プロセスパラメータ類を用いて除去された量の約65%である。CF4、COF2及びCO2として除去された炭素のモルによって測定されるように、炭素除去は、例3bの該プロセスパラメータ類を用いて除去された量の約46%である。
【0077】
表2を参照すると、この一組の試験の後に実施された該チャンバー及び該シャワーヘッドの目視評価によって、これら試験に用いられたその場での清浄化処方が、シャワーヘッドにダメージを与えることなく、該シャワーヘッドから該残渣をうまく除去したことが示されている。しかし、該処方は、該チャンバー壁を完全に清浄化することはできず、一部の褐色斑点類を有する黄色の、縞残渣が、清浄化を繰り返した後でさえも残った。一部の褐色斑点類は、該スロットバリューポート周辺にも観察された。これらの観察類は、該排出物プロファイル類から計算される炭化水素除去の算出総計と一致する。
【0078】
例1bは、高いO2/NF3比(この場合では、比=4.0)と、低圧力類(この場合では、3.0トル未満)と合わせた約240秒の清浄化時間が、該シリコン含有残渣の実質的な一部と、該炭化水素ベース残渣の半分以上との除去を確保することを実証している。
【0079】
例2a:その場でのNF3/O2/Arプラズマ清浄化
その場でのNF3/O2/Arプラズマ類を用いた一組の実行に関する該プロセス条件が、表10に要約されている。19回の堆積及び20回の清浄化手順を完了した。圧力、NF3流速、及びO2/NF3比の関数として該排出部の流れの中のCO2量(体積)が、図5g及び図5hに示されている。清浄化能力の結果を、表2に要約する。図5g及び図5h中に示される等高プロット類は、該O2/NF3比を3.0から5.0に増やした場合に、該排出物の流れの中のCO2量が増加するが、圧力を2.0トルから1.5トルに減少させた場合には、認めうるほどの変化はなかったことを示している。しかし、該追加のガス(アルゴン)流速を1000sccmから500sccmに減少させると、CO2の除去が僅かに増えた。図5i及び図5j中に示されている等高プロット類は、該O2/NF3比を、3.0から5.0に増加させた場合に、該排出物の流れの中のSiF4量が約15%増加するが、圧力を2.0から1.5トルに減少させた場合には、SiF4量は変化しないことを示している。
【0080】
【表10】

【0081】
表2を参照すると、この一組の例の後に実施された該チャンバー及び該シャワーヘッドの目視評価によって、リム外側上に黄褐色の斑点残渣が存在することを除き、該シャワーヘッドが、清浄化されたことが示されている。該シャワーヘッドは、少量の(ピンホールの)焼け跡類を有し、これは、低圧力における不安定なプラズマによって生じたものであると考えられる。縞の液体様の褐色残渣が、該チャンバー壁類上に存在し、そして薄い褐色残渣が、該スロットルバリューポートの周囲に存在した。該残渣は、該検討で用いられたプロセス条件の広い範囲から生じた。すなわち、試験条件類の一部が、例3bの条件ほど、残渣の清浄化において良くないといえる。
【0082】
例2b:O2/NF3比=4.0及び圧力=2.0トルにおけるその場でのNF3/O2/Arプラズマ清浄化
この例に関する試験条件類が、次の表11に示されている。実行番号20(圧力=2.0トル及びO2/NF3比=4.0)に関する排出物プロファイルを、図5k及び図5lに示し、そして清浄化結果を表2で論ずる。該排出物プロファイル類は、主な排出物種が、COF2、CO2、F2、SiF4及びHFであることを示している。該第1の2種の排出物生成物類(COF2及びCO2)は、解離された酸素原子及びフッ素原子が、炭化水素ベースの堆積残渣と結合した場合に主に形成され、一方、HFは、該炭化水素由来の水素とフッ素との相互作用によって、主に形成される。他のCF4及びCOF2等の種もまた、該排出物の流れの中で検出された。該未反応のフッ素原子類が再結合し、フッ素気体を形成し、該フッ素原子類を、該チャンバー内の該シリコン残渣と反応して形成されたSiF4とともに該チャンバーから遊離させる。
【0083】
【表11】

【0084】
NF3導入の後、該SiF4濃度、CO2濃度、及びHF濃度に急激な増加が見られた(図5k及び図5l)。該SiF4濃度は、清浄化の開始後約90秒で、400ppmのところにピークを迎え、一方、該HF及びCO2濃度のピークは、それぞれ、約30及び60秒早い段階で生じた。CO2濃度及びHF濃度のピークは、それぞれ、2500ppm及び9000ppmであった。QMS(図5k)又はFTIR(図51)によって測定されるように、該SiF4濃度類は、約4分後にベースライン水準に達し、CO2濃度及びHF濃度は、約6分後にベースライン水準に達した。
【0085】
該エッチ副生成物類の該減少に付随して、QMS(図5k)によって測定された該F2分圧が急激に増加した。該F2のピークは、該清浄化の開始後、約180〜240秒のところに観察でき、概して、該F2の発生は、モニターの良好な終点であった。該NF3/O2プラズマ中で発生したフッ素原子は、該チャンバー清浄化の間のエッチングによって消費される。しかし、一度、該エッチプロセスを完了すると、フッ素原子が自由となるので、F2として再結合することとなる。該F2濃度のプロファイルは、4分後に横ばいになるので、実質的に約3〜4分のオーバーエッチ時間が与えられる。
【0086】
表2を参照すると、該一組の試験後に実施された該チャンバー及び該シャワーヘッドの目視評価によって、該シャワーヘッドとチャンバー壁類と、該スロットルバリューポートが、清浄化されたことが示されている。該シャワーヘッド上に焼け跡が点在するものの、該シャワーヘッドそれ自身は、一切の構造上のダメージを示さなかった。
【0087】
表4を参照すると、該排出物の流れの中でCO2及びHFの該体積によって測定されるように、炭化水素残渣の除去総計は、例3bの該プロセスパラメータを用いて除去された量の、それぞれ約76%及び100%である。該排出物の流れの中で、SiF4の該体積によって測定されるように、シリコン残渣の除去は、例3bの該プロセスパラメータ類を用いて除去された量の約100%である。CF4、COF2及びCO2として除去された炭素のモルによって測定されるように、炭素の除去は、例3bの該プロセスガスパラメータ類を用いて除去された量の約72%である。
【0088】
これらの観察類は、十分に長い清浄化時間(300〜420秒)を用いた場合には、これらの試験類用に用いられた該その場での清浄化処方が、シリコン及び炭化水素残渣を十分に除去したことを示している。これらの観察類は、該排出物プロファイル類と一致し、該清浄化(420秒)の終わりに、ほんの微小量のHF、ごく僅かな量のCO2及びCOF2が存在し、SiF4もCF4も存在しないことを示している。
【0089】
例3a.その場でのRF補助を用いたNF3/O2/Arリモートプラズマ清浄化:DOE検討
炭素含有残渣類に関してCVDチャンバー類を清浄化する場合、併用されたリモート及びその場でのNF3/O2/Arプラズマ類を評価するために用いた該プロセス条件が、表12に要約されている。合計で49回の堆積及び52回の清浄化手順を完了した。調査するプロセスパラメータ類の範囲は、次の通り:NF3流速(400〜1600sccm)、O2:NF3比(2.0〜4.0)、圧力(1.75〜2.50トル)、RF電力(750〜1750W)である。該CVDチャンバー内部で維持されたプラズマ(すなわち、RF電源が750〜1750Wを供給する)と、リモートプラズマソースとの併用(すなわち、Astronの電源を入れて)を用いて、全てを清浄する。
【0090】
アルゴンを導入し、そしてチャンバー圧力を安定化させた後、該Astronプラズマソースに電力を供給して、リモートプラズマを開始した。一度、該アルゴンプラズマを安定化させると、該リモートプラズマの電力を維持しつつ、NF3及びO2を含むプロセスガスを導入した。一度、該リモートNF3/O2/Arプラズマを安定化させると(15秒)、RF電力が、該シャワーヘッド電極に適用され、該CVDチャンバーの内部で、プラズマ(すなわち、その場でのプラズマ)を開始した。併用されたリモート及びその場でのNF3/Arプラズマを用いて、320〜420秒間、該チャンバーを清浄した。下記条件類:NF3=400sccm、O2=1600sccm、Ar=500sccm、圧力=2.0トル、Astronソース=オン、RF電力=1000W、時間=60〜180秒を用いた補助的な清浄化(オーバーエッチ)が、表12に要約される該プロセスのそれぞれの条件類に続く。該オーバーエッチ清浄化の目的は、表12に要約されるそれぞれの実験的なプロセスの後に残っている任意の炭素残渣を除去することである。
【0091】
表2に参照されるように、堆積/清浄化サイクルを完了した後、該CVDチャンバーの該内部を、目視で検査した。多数の堆積回数及び多量のPDEMS化学物質の使用(190グラム)にもかかわらず、最小量の炭素残渣類しか、該CVDチャンバーの該表面上に確認できなかった。該シャワーヘッドは、任意のCVD残渣から完全に清浄化されていた。該チャンバー壁類はほとんど完全に清浄されており、褐色の水跡として認識できる、ごく少量の残渣のみを有していた。該スロットルバリューポートは、リムの周囲に最小の斑点の褐色/黄色残渣を有していた。該シャワーヘッドへのプラズマダメージの証拠はなく、そして全てのプラズマ類は、安定であった。
【0092】
例3によって、併用されたリモート及びその場でのNF3/O2/Arプラズマ類が、炭素、シリコン、フッ素、及び水素を含むポリマー残渣に関するCVDチャンバー類の清浄化に効果的であることが実証された。
【0093】
【表12】

【0094】
例3b.その場でのRF補助を用いたNF3/O2/Arリモートプラズマ清浄化
炭素含有残渣類に関してCVDチャンバー類を清浄化する場合、その場でのRF補助を用いたリモートNF3/O2/Arプラズマ類の効力を実証するために用いた該プロセス条件は、次の通り:NF3流速=400sccm、O2:NF3比=4.0、アルゴン流速=500sccm、圧力=2.0トル、Aston電源=オン、RF電力=1250Wである。好ましい実施形態を、20回の堆積/清浄化手順(表11)を完了することによって、評価した。該CVDチャンバー内部で維持されるその場でのプラズマソース(すなわち、RF電源が1250Wを供給する)とリモートプラズマソースとの併用を利用して(すなわち、Astronの電源を入れて)、全てを清浄する。
【0095】
アルゴンを導入(500sccm)し、そして該チャンバー圧力を2.0トルに安定化させた後、該Astronプラズマソースに電力を供給して、リモートプラズマを開始した。一度、該アルゴンプラズマを安定化させ、次いで、該リモートプラズマの電力を維持しつつ、NF3(400sccm)及びO2(1600sccm)を導入した。一度、該リモートNF3/O2/Arプラズマを安定化させ(15秒)、次いで、RF電力を、該シャワーヘッド電極に適用して、該CVDチャンバーの内部で、プラズマ(すなわちその場でのプラズマ)を開始した。次いで併用されたリモート及びその場でのNF3/O2/Arプラズマを用いて、360秒間、該チャンバーを清浄した。次の堆積及び好ましいチャンバー清浄化処方に、オーバーエッチ清浄化は、用いなかった。
【0096】
【表13】

【0097】
例示的なチャンバー清浄化プロセス(実行番号20)の間の、QMSおよびFTIRプロファイル類を、図6a及び図6bに示す。該チャンバー清浄化の副生成物は、SiF4、CF4、F2、HF、COF2、及びCO2である。これら測定類は、該CVD残渣の該シリコン成分は、SiF4として除去され、一方、該炭素成分は、主にCO2、COF2、及びCF4として揮発することを、示唆している。該炭素残渣は、相当の水素含有量をも含むので、該水素がフッ素と反応し、HFを発生させる。該シリコンの大部分は、SiF4に転化され、一方、該炭化水素残渣の大部分は、CO2、COF2、CF4、及びHFに転化される。多量のフッ素(F2)は、該リモートNF3プラズマによって作成されたF原子の再結合によって発生される。
【0098】
NF3及びO2の導入後、SiF4、CF4、CO2、COF2、及びHFの全ての副生成物濃度に急激な増加が見られた(図6a及び図6b)。該CF4副生成物類の濃度は、該清浄化の開始後、約10秒でピークを迎え、一方、他の副生成物(CO2、SiF4、及びHF)濃度類は、該その場でのプラズマの開始の後、約45〜60秒後にピークを迎えた。該プロファイル類は、その場でのプラズマの点火後、約240〜300秒でそれらの定常値に達し、それに伴ってエッチングが完了したことと、チャンバー壁類がCVD残渣類に関して清浄化されたこととを示唆している。該SiF4、CF4、CO2、COF2及びHFのプロファイルの全ては、約240秒後に該清浄化が基本的に完了し、さらに併用された該NF3/O2/Arにさらすことは、効果がないことを示している。さらに、例3bの該20回のチャンバー清浄化のそれぞれに関して、相当なオーバーエッチが含まれていた。
【0099】
表2に参照されるように、堆積/清浄化サイクル類を完了した後、該CVDチャンバーの該内部を、目視で検査した。多数の堆積回数及び多量のPDEMS化学物質の使用にもかかわらず、該CVDチャンバーの該表面は、本来のまま(pristine)であった。該シャワーヘッド、チャンバー壁類、及びスロットルバリューポートは、任意のCVD残渣に関して完全に清浄化されていた。該シャワーヘッドへのプラズマダメージはなく、全てのプラズマ類は、安定であった。これらの観察類は、該排出物の流れの中のCO2、HF及びSiF4の該体積によって測定されるように、除去された炭化水素及びシリコン残渣の総量と一致した。表4を参照すると、CF4、COF2及びCO2として除去された炭素のモルによって測定されるように、除去された炭素は、併用されたリモート及びその場でのプラズマ処方によって最大化されていた。
【0100】
例3によって、併用されたリモート及びその場でのNF3/O2/Arプラズマ類が、炭素、シリコン、フッ素、及び水素を含むポリマー残渣に関するCVDチャンバー類の清浄化に効果的であることが実証された。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】図1は、2.5トルの圧力で実施されたNF3/Arリモート(酸素無し)プラズマ清浄化の過程の間の、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)によって記録された排出物種濃度のプロットである。
【図2a】図2aは、O2/NF3比=4.0を用いて、2.5トルの圧力で実施されたNF3/O2/Arリモートプラズマ清浄化の過程の間の、四重極質量分析計(QMS)によって記録された排出物種濃度のプロットである。
【図2b】図2bは、O2/NF3比=4.0を用いて、2.5トルの圧力で実施されたNF3/O2/Arリモートプラズマ清浄化の過程の間の、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)によって記録された排出物種濃度のプロットである。
【0102】
【図3a】図3aは、2.5トルの圧力で実施され、RF(その場での)電力補助を用いた、NF3/Ar(酸素なし)リモートプラズマ清浄化の過程の間の、四重極質量分析計(QMS)によって記録された排出物種濃度のプロットである。
【図3b】図3bは、2.5トルの圧力で実施され、RF(その場での)電力補助を用いた、NF3/Arリモート(酸素無し)プラズマ清浄化の過程の間の、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)によって記録された排出物種濃度のプロットである。
【図4a】図4aは、O2/NF3比=3.0を用い、2.0トルの圧力で実施された、その場でのNF3/O2/Heプラズマ清浄化の過程の間の、四重極質量分析計(QMS)によって記録された排出物種濃度のプロットである。
【0103】
【図4b】図4bは、O2/NF3比=3.0を用い、2.0トルの圧力で実施された、その場でのNF3/O2/Heプラズマ清浄化の過程の間の、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)によって記録された排出物種濃度のプロットである。
【図5a】図5aは、750sccmのヘリウム流速において、O2/NF3比及びチャンバー圧力の関数としてCO2排出物の体積を示すものである。
【図5b】図5bは、2.5トルのチャンバー圧力において、O2/NF3比及びヘリウム流速の関数としてCO2排出物の体積を示すものである。
【0104】
【図5c】図5cは、750sccmのヘリウム流速において、O2/NF3比及びチャンバー圧力の関数としてSiF4排出物の体積を示すものである。
【図5d】図5dは、2.5トルのチャンバー圧力において、O2/NF3比及びヘリウム流速の関数としてSiF4排出物の体積を示すものである。
【図5e】図5eは、O2/NF3比=4.0を用い、2.0トルの圧力で実施された、その場でのNF3/O2/Heプラズマ清浄化の過程の間の、四重極質量分析計(QMS)によって記録された排出物種濃度のプロットである。
【0105】
【図5f】図5fは、O2/NF3比=4.0を用い、2.0トルの圧力で実施された、その場でのNF3/O2/Heプラズマ清浄化の過程の間の、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)によって記録された排出物種濃度のプロットである。
【図5g】図5gは、750sccmのアルゴン流速において、O2/NF3比及びチャンバー圧力の関数としてCO2排出物の体積を示すものである。
【図5h】図5hは、2.5トルのチャンバー圧力において、O2/NF3比及びアルゴン流速の関数としてCO2排出物の体積を示すものである。
【0106】
【図5i】図5iは、750sccmのアルゴン流速において、O2/NF3比及びチャンバー圧力の関数としてSiF4排出物の体積を示すものである。
【図5j】図5jは、2.5トルのチャンバー圧力において、O2/NF3比及びアルゴン流速の関数としてSiF4排出物の体積を示すものである。
【図5k】図5kは、O2/NF3比=4.0を用い、2.0トルの圧力で実施された、その場でのNF3/O2/Arプラズマ清浄化の過程の間の、四重極質量分析計(QMS)によって記録された排出物種濃度のプロットである。
【0107】
【図5l】図5lは、O2/NF3比=4.0を用い、2.0トルの圧力で実施された、その場でのNF3/O2/Arプラズマ清浄化の過程の間の、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)によって記録された排出物種濃度のプロットである。
【図6a】図6aは、O2/NF3比=4.0を用い、2.0トルの圧力で実施され、その場でのRF補助を用いた、NF3/O2/Arリモートプラズマ清浄化の過程の間の、四重極質量分析計(QMS)によって記録された排出物種濃度のプロットである。
【図6b】図6bは、O2/NF3比=4.0を用い、2.0トルの圧力で実施され、その場でのRF補助を用いた、NF3/O2/Arリモートプラズマ清浄化の過程の間の、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)によって記録された排出物種濃度のプロットである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板表面の少なくとも一部から炭素含有残渣を除去するための方法であって、該方法が:
酸素ソース、フッ素ソース、及び随意選択的に追加のガスを含むプロセスガスを用意すること、ここで、該プロセスガス中でフッ素に対する酸素のモル比が、約1〜約10の範囲にわたる;
1種以上のエネルギーソースを用いて該プロセスガスを活性化し、反応性種を供給すること;そして
該反応性種と該基板表面とを接触させ、該表面から該炭素含有残渣を揮発させて、除去すること、
を含む残渣を除去するための方法。
【請求項2】
該活性化段階の少なくとも一部が、該接触段階を実施するところの外の場所で起こる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該活性化段階及び該接触段階が、同一の場所で起こる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
該酸素ソースが、酸素、オゾン、一酸化窒素、亜酸化窒素、二酸化窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、水、及びそれらの混合物類から選択されるソースを1種以上含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
該活性化段階が、リモートプラズマエネルギーソースを用いる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
該活性化段階が、その場でのプラズマを用いる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
該フッ素ソースが、F2;HF、NF3;SF6;COF2;NOF;C333;C222;ペルフルオロカーボン;ヒドロフルオロカーボン;オキシフルオロカーボン;酸化されたヒドロフルオロカーボン;ヒドロフルオロエーテル;ハイポフルオライト;フルオロペロキシド;フルオロトリオキシド;フルオロアミン;フルオロニトリル;及びそれらの混合物類から選択される1種以上のソースを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
該酸素ソース及び該フッ素ソースの1種以上が、同一化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
該同一化合物が、ハイポフルオライト、フルオロペロキシド、フルオロトリオキシド、及びそれらの混合物類から選択される1種以上の化合物である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
該プロセスガスが、追加のガスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
該追加のガスが、H2、N2、He、Ne、Kr、Xe、Ar、及びそれらの混合物類から選択されるガスである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
複合オルガノシリケート材料を堆積するために用いられるプロセスチャンバーの表面から炭素含有残渣類を除去するための方法であって、該方法が:
少なくとも部分的に該炭素含有残渣類で被覆されている表面を含む該プロセスチャンバーを用意すること;
酸素ソース、フッ素ソース、及び随意選択的に追加のガスを含むプロセスガスを用意すること、ここで、該プロセスガス中でフッ素に対する酸素のモル比が、約1〜約10の範囲にわたる;
1種以上のエネルギーソースを用いて該プロセスガスを活性化し、反応性種を供給すること;
該残渣類と該反応性種とを接触させ、1種以上の揮発性生成物を形成すること;そして
該プロセスチャンバーから該1種以上の揮発性生成物を除去すること、
を含む残渣を除去するための方法。
【請求項13】
該活性化段階の少なくとも一部を、該プロセスチャンバー外の場所で実施する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
該接触段階を、5トル以下の圧力で実施する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
複合オルガノシリケート材料を堆積するために用いられるプロセスチャンバーの表面から炭素含有残渣類を除去するための方法であって、該方法が:
少なくとも部分的に該炭素含有残渣類で被覆されている表面を含む該プロセスチャンバーを用意すること;
酸素ソース、フッ素ソース、及び随意選択的に追加のガスを含むプロセスガスを用意すること、ここで、該プロセスガス中でフッ素に対する酸素のモル比が、約1〜約10の範囲にわたる;
1種以上のエネルギーソースを適用して、該プロセスガスを活性化し、反応性種を供給すること、ここで、該プロセスガスの少なくとも一部を、該プロセスチャンバー内で活性化し、そして該プロセスガスの他の少なくとも一部分を、該プロセスチャンバー外の場所で活性化する;
該反応性種と該残渣類とを接触させ、1種以上の揮発性生成物を形成すること;そして
該プロセスチャンバーから該1種以上の揮発性生成物を除去すること、
を含む残渣を除去するための方法。
【請求項16】
複合オルガノシリケート材料を堆積するために用いられるプロセスチャンバーの表面から炭素含有残渣類を除去するための方法であって、該方法が:
少なくとも部分的に該炭素含有残渣類で被覆されている表面を含む該プロセスチャンバーを用意すること;
酸素ソース、フッ素ソース、及び随意選択的に追加のガスを含むプロセスガスを用意すること、ここで、該プロセスガス中でフッ素に対する酸素のモル比が、約1〜約10の範囲にわたる;
1種以上のエネルギーソースを適用して、該プロセスガスを活性化し、反応性種を供給すること、ここで、該プロセスガスの第1の部分を、該プロセスチャンバー外で活性化し、そして該プロセスチャンバー内に導入し、そして該プロセスガスの第2の部分を、該プロセスチャンバー内で活性化する;
該反応性種と該残渣類とを接触させ、1種以上の揮発性生成物を形成すること、ここで、該接触段階を、5トル以下の圧力で実施する;そして
該プロセスチャンバーから該1種以上の揮発性生成物を除去すること、
を含む残渣類を除去するための方法。
【請求項17】
該複合オルガノシリケート薄膜を、孔形成前駆体及び構造体形成前駆体の堆積から作成する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
該孔形成前駆体が、アルファ−テルピネン、リモネン、シクロヘキサン、1,2,4−トリメチルシクロヘキサン、1,5−ジメチル−1,5−シクロオクタジエン、カンフェン、アダマンタン、1,3−ブタジエン、置換されたジエン類、デカヒドロナフテレン、及びそれらの混合物類から選択される1種以上の前駆体である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
該構造体形成前駆体が、ジエトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシラン、ジイソプロポキシメチルシラン、ジ−t−ブトキシメチルシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリ−t−ブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ−イソプロポキシシラン、ジメチルジ−t−ブトキシシラン、1,3,5,7−テトラメチルシクロタトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、及びテトラエトキシシランから選択される1種以上の前駆体である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
複合オルガノシリケート薄膜を基板上に堆積するための方法であって、該方法が:
該基板をプロセスチャンバー内に置くこと;
孔形成前駆体及び構造体形成前駆体を用いて、該基板上に該複合オルガノシリケート薄膜を堆積し、そして該チャンバー内の1種以上の表面上に炭素含有残渣を堆積すること、ここで該堆積段階を、化学蒸着法、原子層蒸着法、真空蒸着法、スプレーパイロリシス法及びそれらの組み合わせ類から選択される方法によって実施する;
酸素ソース、フッ素ソース、及び随意選択的に追加のガスを含むプロセスガスを用意すること、ここで、該プロセスガス内でフッ素に対する酸素のモル比が、約1〜約10の範囲にわたる;
1種以上のエネルギーソースを用いて該プロセスガスを活性化し、反応性種を供給すること;
該反応性種と該残渣類とを接触させ、1種以上の揮発性生成物を形成すること;そして
反応器から、1種以上の揮発性生成物を除去し、該反応器を清浄すること、
を含む薄膜を堆積するための方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5e】
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【図5f】
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【図5k】
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【図5l】
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【図6a】
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【図6b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図5g】
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【図5h】
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【図5i】
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【図5j】
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【公開番号】特開2006−74013(P2006−74013A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−214883(P2005−214883)
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【Fターム(参考)】