基板の処理方法及び基板の処理装置
【課題】基板処理のスループットを向上させると共に、基板と塗布膜の密着性を向上することができる基板の処理方法及び基板の処理装置を提供すること。
【解決手段】ウエハWの表面に形成された密着膜の少なくとも一部の表面に形成された塗布膜に、凹凸パターンが設けられた転写面を備えるテンプレートの転写面を転写するインプリント処理に供するウエハの処理方法であって、ウエハを回転させながら、ウエハの表面に密着剤を供給する供給工程(ステップS−5)と、ウエハを回転させながら、ウエハの表面に気体を供給して、余剰な密着剤を除去する除去工程(ステップS−7)を具備する。
【解決手段】ウエハWの表面に形成された密着膜の少なくとも一部の表面に形成された塗布膜に、凹凸パターンが設けられた転写面を備えるテンプレートの転写面を転写するインプリント処理に供するウエハの処理方法であって、ウエハを回転させながら、ウエハの表面に密着剤を供給する供給工程(ステップS−5)と、ウエハを回転させながら、ウエハの表面に気体を供給して、余剰な密着剤を除去する除去工程(ステップS−7)を具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、インプリント処理に供する基板の処理方法及び基板の処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体ウエハ等の製造工程において、半導体ウエハやLCD基板等の基板の表面に、微細なレジストのパターンを形成することができるインプリント技術に注目が集まっている。
【0003】
上記インプリント技術の一つとして、例えば、ウエハに光硬化性のレジスト液を塗布してレジスト膜を形成し、このレジスト膜に離型剤が成膜されたテンプレートの転写面を押し付ける。そして、この状態で、テンプレート側からレジスト膜に光を照射してレジスト膜を硬化させ、その後、テンプレートをレジスト膜から引き離してレジストパターンを形成するものが知られている(例えば特許文献1)。
【0004】
このインプリント技術では、テンプレートをレジスト膜から引き離す際に、硬化したレジスト膜がテンプレートに付着し、パターンの欠陥が生じる懸念がある。これに対し、レジスト膜がテンプレートに付着するのを防止する方法として、基板とレジスト膜の密着性を向上する方法が知られている。例えば、基板の表面にスピンコート法によりシランカップリング剤からなる中間層を形成し、その中間層の表面にレジスト膜を形成して、基板とレジスト膜の密着性を向上するものが知られている(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−805号公報
【特許文献2】特許第4467611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載のものにおいて、中間層はシランカップリング剤分子が基板の表面に結合して並んだ単分子層により形成されるのであるため、基板の表面に結合していないシランカップリング剤は余剰なものとなる。この余剰なシランカップリング剤を、基板をスピンして振り切り除去するのは時間がかかるため、基板処理のスループットが低下する懸念がある。また、上記方法では、基板の表面のシランカップリング剤による被覆率が低く、基板とレジスト膜を十分に密着できない懸念がある。
【0007】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、基板処理のスループットを向上させると共に、基板と塗布膜の密着性を向上することができる基板の処理方法及び基板の処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明の基板の処理方法は、基板の表面に形成された密着膜の少なくとも一部の表面に形成された塗布膜に、凹凸パターンが設けられた転写面を備えるテンプレートの上記転写面を転写するインプリント処理に供する基板の処理方法であって、 上記基板を回転させながら、上記基板の表面に密着剤を供給する供給工程と、 上記基板を回転させながら、上記基板の表面に気体を供給して、余剰な上記密着剤を除去する除去工程と、を具備することを特徴とする(請求項1)。
【0009】
この発明において、上記供給工程において、上記基板の表面に上記密着剤のミストを供給してもよい(請求項2)。
【0010】
また、上記供給工程において、上記基板の表面に水を混合した上記密着剤を供給する方が好ましい(請求項3)。
【0011】
また、上記除去工程は、気体供給ノズルから上記基板の中心部に気体を供給した後に、上記気体供給ノズルを上記基板の中心部から周縁部に移動させつつ、上記気体供給ノズルから上記基板の表面に気体を供給する方が好ましい(請求項4)。
【0012】
また、上記除去工程において、水蒸気を含む気体を上記基板の表面に供給する方が好ましい(請求項5)。
【0013】
また、上記供給工程及び上記除去工程を加湿雰囲気で行う方が好ましい(請求項6)。
【0014】
また、上記供給工程の前に、上記基板の表面に水蒸気を供給する工程、を更に具備する方が好ましい(請求項7)。
【0015】
また、上記除去工程の後に、上記基板を所定の温度まで加熱して、上記基板の表面に上記密着剤を化学結合して密着膜を形成する加熱工程を具備する方が好ましく(請求項8)、更に、上記加熱工程の後に、上記基板を所定の温度まで冷却する冷却工程を具備する方が好ましい(請求項9)。
【0016】
また、上記除去工程の後に、上記基板に洗浄液を供給して洗浄する洗浄工程を更に具備する方が好ましい(請求項10)。
【0017】
また、上記供給工程の前に、上記基板の表面を紫外線処理して、上記基板の表面に水酸基を形成する工程、を更に具備する方が好ましい(請求項11)。
【0018】
また、上記密着剤は、シランカップリング剤である方が好ましい(請求項12)。
【0019】
この発明の基板の処理装置は、請求項1記載の基板の処理方法を具現化するもので、基板の表面に形成された密着膜の少なくとも一部の表面に形成された塗布膜に、凹凸パターンが設けられた転写面を備えるテンプレートの上記転写面を転写するインプリント処理に供する基板の処理装置であって、 上記基板を回転させながら、上記基板の表面に密着剤を供給すると共に、上記基板の表面に気体を供給して、余剰な上記密着剤を除去する塗布ユニットと、を具備し、 上記塗布ユニットは、 上記基板を水平に保持する基板保持部と、 上記基板保持部を鉛直軸回りに回転させる回転駆動機構と、 上記基板保持部に保持された基板の表面に上記密着剤を供給する密着剤供給ノズルと、 上記基板保持部に保持された上記基板の表面に気体を供給する気体供給ノズルと、 上記密着剤供給ノズルから上記基板への上記密着剤の供給、上記気体供給ノズルから上記基板への気体の供給及び上記回転駆動機構を制御する制御部と、を備え、 上記制御部からの制御信号に基づいて、上記基板を回転させながら、上記密着剤供給ノズルから上記基板の表面に密着剤を供給した後、上記基板を回転させながら、上記気体供給ノズルから、上記基板の表面に気体を供給して余剰な上記密着剤を除去する、ことを特徴とする(請求項13)。
【0020】
この発明において、上記密着剤供給ノズルから、上記基板の表面に上記密着剤のミストを供給してもよい(請求項14)。
【0021】
また、上記密着剤供給ノズルから、上記基板の表面に水を混合した上記密着剤を供給する方が好ましい(請求項15)。
【0022】
また、上記気体供給ノズルを上記基板の表面に沿った方向に移動可能であって、上記制御部により移動動作が制御される気体供給ノズル移動機構を更に備え、上記制御部は、上記気体供給ノズルから上記基板の中心部に気体を供給した後に、上記気体供給ノズルを上記基板の中心部から周縁部に移動させつつ、上記気体供給ノズルから上記基板に気体を供給する方が好ましい(請求項16)。
【0023】
また、上記気体供給ノズルから、水蒸気を含む気体を上記基板の表面に供給する方が好ましい(請求項17)。
【0024】
また、上記塗布ユニット内を加湿雰囲気に形成可能な加湿ユニットを更に具備する方が好ましい(請求項18)。
【0025】
また、上記制御部は、上記密着剤供給ノズルから上記基板の表面に密着剤を供給する前に、上記基板を回転させながら、上記気体供給ノズルから、上記基板の表面に水蒸気を含む気体を供給する方が好ましい(請求項19)。
【0026】
また、上記塗布ユニットにおいて処理された上記基板を加熱して、上記基板の表面に上記密着剤を化学結合して密着膜を形成する加熱ユニットを更に具備する方が好ましく(請求項20)、更に、上記加熱ユニットにおいて処理された上記基板を所定の温度まで冷却する冷却ユニットを具備する方が好ましい(請求項21)。
【0027】
また、上記塗布ユニットにおいて処理された上記基板に洗浄液を供給して洗浄する洗浄ユニットを更に備える方が好ましい(請求項22)。
【0028】
また、上記塗布ユニットにおいて処理前の上記基板の表面を紫外線処理して上記基板の表面に水酸基を形成する紫外線照射ユニットを更に具備する方が好ましい(請求項23)。
【0029】
また、上記密着剤は、シランカップリング剤である方が好ましい(請求項24)。
【0030】
請求項1,13記載の発明によれば、基板の表面に供給された密着剤に、気体を吹き付けることにより、余剰な密着剤を迅速に除去することができる。また、基板の表面と密着剤の化学結合を促進して、基板の表面の密着剤による被覆率を向上することができる。
【0031】
請求項2,14記載の発明によれば、密着剤を構成する各分子が気体と近接することができる。このため、例えば気体に含まれる水分子により、加水分解により反応性に富む官能基が形成される密着剤の加水分解を促進することができる。
【0032】
請求項3,5,7,15,17,19記載の発明によれば、例えば加水分解により反応性に富む官能基が形成される密着剤の加水分解を促進して、基板の表面に反応性に富む官能基が形成された密着剤を供給することができる。
【0033】
請求項4,16記載の発明によれば、基板の表面の全面に、鉛直方向からの気体の吹き付けることができるため、余剰な密着剤を迅速に除去することができると共に、基板の表面と密着剤の化学結合を促進して、基板の表面の密着膜による被覆率を向上することができる。
【0034】
請求項6,18記載の発明によれば、例えば雰囲気に含まれる水分子により、加水分解により反応性に富む官能基が形成される密着剤の加水分解を促進することができる。
【0035】
請求項8,9,20,21記載の発明によれば、例えば加熱により脱水縮合を生ぜしめて、密着剤と基板を強固かつ迅速に密着させることができる。
【0036】
請求項10,22記載の発明によれば、基板の表面を洗浄してパーティクル等を除去することができる。
【0037】
請求項11,23記載の発明によれば、基板の表面に反応性に富む水酸基を形成することができるため、例えば密着剤との化学結合を促進することができる。
【0038】
請求項12,24記載の発明によれば、シランカップリング剤の加水分解性基は、加水分解により、反応性に富む官能基である水酸基を形成することができる。シランカップリング剤は、加水分解により形成された水酸基が、基板の表面に形成された水酸基と脱水縮合を生ぜしめて、シランカップリング剤と基板を共有結合により強固に結合することができる。また、シランカップリング剤の反応性官能基は、塗布膜例えばレジスト膜と強固に結合することができる。したがって、シランカップリング剤により形成される密着膜は、基板と塗布膜を強固に密着させることができる。
【発明の効果】
【0039】
この発明の基板処理方法及び基板処理装置によれば、基板の表面に供給された密着剤に、気体を吹き付けることにより、余剰な密着剤を迅速に除去することができるため、基板処理のスループットを向上させることができる。また、基板の表面に供給された密着剤に、気体を吹き付けることにより、基板の表面と密着剤の化学結合を促進して、基板の表面の密着剤による被覆率を向上することができるため、基板と塗布膜の密着性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】この発明に係る基板処理装置を示す概略平面図である。
【図2】この発明に係る基板処理装置を示す概略右側面図である。
【図3】この発明に係る基板処理装置を示す概略左側面図である。
【図4】第1実施形態における塗布ユニットを示す概略断面図である。
【図5】第1実施形態における塗布ユニットを示す概略平面図である。
【図6】第1実施形態に係る基板処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】密着剤として用いられるシランカップリング剤と基板との化学結合の態様を示す図である。
【図8】密着剤として用いられるシランカップリング剤の膜厚とスピン時間との関係を示す図である。
【図9】第2実施形態における塗布ユニットの要部示す概略断面図である。
【図10】第2実施形態に係る基板処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】第3実施形態における塗布ユニットの要部を示す概略断面図である。
【図12】第4実施形態に係る基板処理装置を示す概略側面図である。
【図13】第5実施形態における塗布ユニットの要部を示す概略断面図である。
【図14】この発明に係る基板処理装置を備えるインプリントシステムを示す概略平面図である。
【図15】この発明に係る基板処理装置を備えるインプリントシステムを示す概略側面図である。
【図16】上記インプリントシステムにおけるインプリントユニットを示す概略断面図である。
【図17】基板の表面におけるテンプレートの転写位置の配置を示す概略平面図である。
【図18】インプリント処理におけるテンプレートと基板の状態について時系列を追って示した図(a),(b),(c)である。
【図19】他のインプリントシステムを示す概略側面図である。
【図20】他のインプリントシステムを示す概略平面図である。
【図21】他のインプリントシステムにおけるテンプレート処理の態様について示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
<第1実施形態>
以下、この発明に係る基板処理装置について、添付図面に基づいて説明する。
【0042】
上記基板処理装置は、基板である半導体ウエハW(以下にウエハWという)を複数枚例えば25枚密閉収納するウエハキャリア1を搬出入するためのウエハキャリアステーション10と、このウエハキャリア1から取り出されたウエハWに密着剤供給処理等を施すウエハ処理ステーション20と、で主要部が構成されている。
【0043】
ウエハキャリアステーション10は、ウエハキャリア1を複数個並べて載置可能な載置部2と、この載置部2から見て前方の壁面に設けられる開閉部(図示せず)と、開閉部を介してウエハキャリア1からウエハWを取り出すための搬送機構3とが設けられている。この搬送機構3は、ウエハキャリア1と、後述するウエハ処理ステーション20側の多段ユニットG3に属する受け渡しユニット(TRS1)との間で、ウエハWの受け渡しを行うように、水平のX,Y方向及び鉛直のZ方向に移動自在、並びに鉛直軸回りに回転自在に移動自在に構成されている。
【0044】
ウエハキャリアステーション10の奥側には筐体27にて周囲を囲まれるウエハ処理ステーション20が接続されており、ウエハ処理ステーション20は、図1に示すように、中心部には、垂直移動機構22によって垂直移動可能な搬送機構21が設けられ、この搬送機構21の周りに配置される多段ブロックG1,G2,G3、G4に、全ての処理ユニットが配置されている。この搬送機構21は、多段ブロックG1,G2,G3、G4に属する処理ユニットの間で、ウエハWの受け渡しを行うように、水平のX,Y方向及び鉛直のZ方向に移動自在、並びに鉛直軸回りに回転自在に移動自在に構成されている。この場合、多段ブロックG1,G2は右側面側に並列され、多段ブロックG3はウエハキャリアステーション10に隣接して配置され、多段ブロックG4は背面側に隣接して配置されている。
【0045】
この場合、図2に示すように、多段ユニットG1及び多段ユニットG2では、ウエハWの表面に密着剤を供給すると共に、ウエハWの表面に気体を供給して密着剤を除去する塗布ユニット(COT)が垂直方向の下から順に2段に重ねられている。
【0046】
図3に示すように、多段ユニットG3では、例えば塗布ユニット(COT)において処理されたウエハWを加熱して、ウエハWの表面に密着剤を化学結合して密着膜を形成する加熱ユニット(HP)、加熱ユニット(HP)において処理されたウエハWを所定の温度まで冷却する冷却ユニット(COL)、搬送機構3,21との間でウエハWの受け渡しを行う受け渡しユニット(TRS1)、ウエハWに洗浄液を供給して洗浄する洗浄ユニット(RINSE)が、垂直方向に例えば7段に重ねられている。
【0047】
また、多段ユニットG4では、加熱ユニット(HP)、冷却ユニット(COL)、塗布ユニット(COT)において処理前のウエハWの表面を紫外線処理してウエハWの表面に水酸基を形成する紫外線照射ユニット(UV)、洗浄ユニット(RINSE)が、垂直方向に例えば7段に重ねられている。
【0048】
次に、この発明における塗布ユニット(COT)について説明する。塗布ユニット(COT)は、図4,図5に示すように、ウエハWの搬入出口31aを有する筺体31内に、ウエハWの裏面側中心部を吸引吸着して水平に保持する基板保持部をなすスピンチャック40を具備している。なお、搬入出口31aにはシャッタ31bが開閉可能に配設されている。
【0049】
上記スピンチャック40は軸部41を介して例えばサーボモータ等の回転駆動機構42に連結されており、この回転駆動機構42によりウエハWを保持した状態で回転可能に構成されている。なお、回転駆動機構42は、この発明における制御部であるコントローラ7に電気的に接続されており、コントローラ7からの制御信号に基づいてスピンチャック40の回転数が制御されるようになっている。
【0050】
また、スピンチャック40に保持されたウエハWの側方を囲むようにしてカップ43が設けられている。このカップ43は、円筒状の外カップ43aと、上部側が内側に傾斜した筒状の内カップ43bとからなり、外カップ43aの下端部に接続された例えばシリンダ等の昇降機構44により外カップ43aが昇降し、更に内カップ43bは外カップ43aの下端側内周面に形成された段部に押し上げられて昇降可能なように構成されている。なお、昇降機構44はコントローラ7に電気的に接続されており、コントローラ7からの制御信号に基づいて外カップ43aが昇降するように構成されている。
【0051】
また、スピンチャック40の下方側には円形板45が設けられており、この円形板45の外側には断面が凹部状に形成された液受け部46が全周に亘って設けられている。液受け部46の底面にはドレイン排出口47が形成されており、ウエハWから零れ落ちるか、あるいは振り切られて液受け部46に貯留された密着剤はこのドレイン排出口47を介して装置の外部に排出される。また、円形板45の外側には断面山形のリング部材48が設けられている。なお、図示は省略するが、円形板45を貫通する例えば3本の基板支持ピンである昇降ピンが設けられており、この昇降ピンと図示しない搬送機構との協働作用によりウエハWはスピンチャック40に受け渡しされるように構成されている。
【0052】
一方、スピンチャック40に保持されたウエハWの上方側には、ウエハWの表面の中心部と隙間を介して対向するようにして、昇降及び水平移動可能な密着剤供給ノズル52(以下に密着剤ノズル52という)と、この密着剤ノズル52のウエハ中心側に並行に隣接して一体化され、ウエハWの表面に気体を供給する気体供給ノズル(以下に気体ノズル53という)が設けられている。この場合、密着剤ノズル52及び気体ノズル53は、ノズル先端部に密着剤もしくは気体を供給(吐出)する円形状の吐出口(図示せず)を有している。
【0053】
図5に示すように、上記のように互いに隣接した状態で一体化される密着剤ノズル52と気体ノズル53は、ノズルアーム54Aの一端側に支持されており、このノズルアーム54Aの他端側は図示しない昇降機構を備えた移動基台55Aと連結されており、更に移動基台55Aは例えばボールねじやタイミングベルト等で構成されるノズル移動機構56AにてX方向に伸びるガイド部材57Aに沿って横方向に移動可能なように構成されている。この場合、ノズル移動機構56Aは、この発明における気体供給ノズル移動機構である。ノズル移動機構56Aを駆動することにより、密着剤ノズル52と気体ノズル53は、ウエハWの中心部から外周部に向かう直線(半径)に沿って移動することができる。
【0054】
なお、カップ43の一方の外方側には、密着剤ノズル52と気体ノズル53の待機部59Aが設けられており、この待機部59Aで密着剤ノズル52のノズル先端部の洗浄などが行われる。
【0055】
図4に示すように、密着剤ノズル52は、ポンプP1を介設した密着剤供給管60を介して密着剤供給源61に接続されている。また、気体ノズル53は、開閉弁V0を介設した気体供給管70を介して気体供給源71に接続されている。この場合、気体供給管70の開閉弁V0の二次側には、気体を所定温度に温度調整可能な例えばヒータで構成される気体温度調整部72が設けられている。
【0056】
なお、ノズル移動機構56A、ポンプP1、開閉弁V0、気体温度調節部72は、それぞれコントローラ7に電気的に接続されており、コントローラ7に予め記憶された制御プログラムに基づいて密着剤ノズル52及び気体ノズル53の水平移動、開閉弁V0の開閉駆動、ポンプP1の駆動が行われるように構成されている。コントローラ7は、開閉弁V0の開閉駆動を制御することにより、気体ノズル53からウエハWの表面への気体の供給の制御が可能となる。
【0057】
ウエハWに供給される密着剤は、シランカップリング剤を用いる。図7に示すように、シランカップリング剤の加水分解性基(OR)は、加水分解により、反応性に富む官能基である水酸基を形成することができる。シランカップリング剤は、加水分解により形成された水酸基が、ウエハWの表面に形成された水酸基と脱水縮合を生ぜしめて、シランカップリング剤とウエハWを共有結合により強固に結合することができる。また、シランカップリング剤の反応性官能基(α)は、塗布膜例えばレジスト膜と強固に結合することができる。したがって、シランカップリング剤により形成される密着膜は、ウエハWと塗布膜を強固に密着させることができる。この場合、密着剤供給源61には、シランカップリング剤に有機溶媒例えばメタノールを加えて粘度を低下した溶液が貯留されている。なお、密着剤供給源61に貯留されるシランカップリング剤は、有機溶媒等の溶媒で希釈せずに原液を貯留してもよい。
【0058】
また、ウエハWに供給される気体は、不活性ガスであるN2ガスを用いる。N2ガスは、気体供給管70に介設された気体温度調節部72によって例えば100℃に加熱されてから、気体ノズル53からウエハWに供給される。このように構成することにより、隣り合うシランカップリング剤の水酸基同士での脱水縮合、及び、シランカップリング剤に形成される水酸基と、ウエハWに形成された水酸基の脱水縮合を促進することができる(図7参照)。
【0059】
次に、上記のように構成される基板処理装置によるウエハWの処理について説明する。図6は、第1実施形態に係る基板処理装置における基板処理方法の手順を示すフローチャートであって、矢印の方向にステップが進行する。
【0060】
25枚のウエハWを収納したウエハキャリア1が、載置台2に載置されると、ウエハキャリア1から搬送機構3によりウエハWが取り出される。そして、ウエハWは多段ユニットG3の一段をなす受け渡しユニット(TRS1)を介して搬送機構21へと受け渡される。まず、搬送機構21はウエハWを紫外線照射ユニット(UV)に搬入する。紫外線照射ユニット(UV)に搬送されたウエハWは、図示しない紫外線照射手段によりウエハWの表面を紫外線処理し、ウエハWの表面に水酸基が形成される(ステップS−1)。
【0061】
次いで、ウエハWは、搬送機構21により塗布ユニット(COT)内に搬入される(ステップS−2)。塗布ユニット(COT)内に搬入されたウエハWは、図示しない搬送機構によって、スピンチャック40上に搬送され、スピンチャック40にて保持される。コントローラ7は、ウエハWを回転駆動機構42の駆動によって回転すると共に(ステップS−3)、ノズル移動機構56Aを駆動して密着剤ノズル52をウエハWの周縁部から中心部の上方位置に移動する(ステップS−4)。
【0062】
次いで、ウエハWを回転させながら、密着剤ノズル52からウエハWの中心部に密着剤を供給(吐出)して(ステップS−5:供給工程)、ウエハWの表面に、密着剤の液膜が形成される。この場合、密着剤であるシランカップリング剤の加水分解性基は、空気に含まれる水分子により加水分解され、反応性に富む官能基である水酸基を形成することができる。
【0063】
次いで、コントローラ7は、ノズル移動機構56Aを駆動して気体ノズル53をウエハWの中心部の上方位置に移動する(ステップS−6)。次いで、ウエハWを回転させながら、気体ノズル53からウエハWの中心部にN2ガスを供給する(ステップS−7:除去工程)。このように構成することにより、ウエハWの表面に供給された密着剤に、N2ガスを吹き付けることにより、余剰な密着剤を迅速に除去することができる。また、N2ガスを吹き付けることにより、密着剤であるシランカップリング剤の液膜を薄くして加水分解を促進すると共に、加水分解したシランカップリング剤の水酸基とウエハWの水酸基の接触機会を増加させて、ウエハWの表面とシランカップリング剤の化学結合を促進して、ウエハWの表面のシランカップリング剤による被覆率を向上することができる。
【0064】
次いで、ウエハWを回転させながら、気体ノズル53をウエハWの中心部から周縁部に移動させつつ、気体ノズル53からウエハWの表面にN2ガスを供給する(ステップS−8:除去工程)。このように構成することにより、ウエハWの表面の全面に、鉛直方向からのN2ガスの吹き付けることができるため、余剰な密着剤を迅速に除去することができる。また、ウエハWの表面の全面に、鉛直方向からN2ガスを吹き付けることにより、密着剤であるシランカップリング剤の液膜を薄くして加水分解を促進すると共に、加水分解したシランカップリング剤の水酸基とウエハWの水酸基の接触機会を増加させて、ウエハWの表面とシランカップリング剤の化学結合を促進して、ウエハWの表面のシランカップリング剤による被覆率を向上することができる。
【0065】
次いで、ウエハWは、搬送機構21により塗布ユニット(COT)外に搬出された後(ステップS−9)、加熱ユニット(HP)に搬入される。ウエハWは加熱ユニット(HP)において、所定の温度例えば150℃の温度にて加熱され、ウエハWの表面に密着剤を化学結合して密着膜Cを形成することができる(ステップS−10:加熱工程)。加熱ユニット(HP)において処理されたウエハWは、搬送機構21により冷却ユニット(COL)に搬送され、所定の温度例えば23℃まで冷却される(ステップS−11:冷却工程)。
【0066】
図7に示すように、加熱処理をする前のウエハWの表面においては、密着剤であるシランカップリング剤の加水分解性基を加水分解して形成された水酸基と、ウエハWの表面に形成された水酸基が水素結合により結合されている。その後、ウエハWを加熱処理することにより、シランカップリング剤は、加水分解により形成された水酸基が、ウエハWの表面に形成された水酸基と脱水縮合を生ぜしめて、シランカップリング剤とウエハWが共有結合により強固に結合することができる。一方、密着膜Cの表面側には、シランカップリング剤の反応性官能基(α)が配置される。
【0067】
次いで、冷却ユニット(COL)において冷却されたウエハWは、搬送機構21により洗浄ユニット(RINSE)に搬送され、コントローラ7は、図示しない回転駆動機構によりウエハWを回転させながら、図示しないリンスノズルによるウエハの表面に洗浄液を供給して洗浄する(ステップS−12:洗浄工程)。次いで、回転駆動機構の駆動によりウエハWを高速回転にしてウエハWの表面の洗浄液を振り切るスピン乾燥処理を行う(ステップS−13)。このように構成することにより、ウエハWの表面を洗浄してパーティクル等を除去することができる。その後、ウエハWは搬送機構21により、受け渡しユニット(TRS1)に搬入され、搬送機構3によりウエハキャリア1に収納される。
【0068】
上述した第1実施形態に係る基板処理方法及び基板処理装置によれば、ウエハWの表面に供給された密着剤であるシランカップリング剤に、N2ガスを吹き付けることにより、余剰なシランカップリング剤を迅速に除去することができるため、基板処理のスループットを向上させることができる。また、ウエハWの表面に供給されたシランカップリング剤に、気体を吹き付けることにより、ウエハWの表面とシランカップリング剤の化学結合を促進して、ウエハWの表面のシランカップリング剤による被覆率を向上することができるため、ウエハWと塗布膜Cの密着性を向上することができる。
【0069】
図8は、従来のウエハWをスピンして余剰なシランカップリング剤を除去する方法と、この発明に係るシランカップリング剤を除去する方法における膜厚とスピン時間の関係を示すグラフである。
【0070】
従来のウエハWをスピンして余剰なシランカップリング剤を除去する方法では、ウエハWの表面に、シランカップリング剤(オルガノシラン)を供給して液膜を形成した後、ウエハWを回転数:1500rpmにて回転して、振り切りのみによる余剰なシランカップリングの除去を行う(処理条件1)。一方、この発明に係るシランカップリング剤を除去する方法では、ウエハWの表面に、シランカップリング剤(オルガノシラン)を供給して液膜を形成した後、回転数:1500rpmにて回転するウエハWに、気体ノズル53からウエハWの中心部にN2ガスを供給量:5l/minにて供給した後、気体ノズル53をウエハWの中心部から周縁部にスキャン速度:10mm/secで移動させつつ、気体ノズル53からウエハWの表面にN2ガスを供給量:5l/minにて供給して余剰なシランカップリングの除去を行う(処理条件2)。図8中、処理条件1の実験結果を一点鎖線で示し、処理条件2の実験結果を実線で示してある。
【0071】
図8に示すように、処理条件1は、液膜がシランカップリング剤の単分子層の膜厚hとなるまでのスピン時間はt2なのに対し、処理条件2はt1であった。この結果により、この発明に係るシランカップリング剤を除去する方法(処理条件2)の方が、余剰なシランカップリング剤を迅速に除去することができることが判った。
【0072】
次に、処理条件1,2により余剰なカップリング剤を除去したウエハWを加熱処理(加熱温度:150℃、加熱時間:60秒)して密着膜Cを形成し、その密着膜Cの水の接触角を測定する実験を行った。その結果、処理条件1の水の接触角の平均値は39度であったのに対し、処理条件2は水の接触角の平均値は49度であった。図7に示すように、密着膜Cの表面側には、シランカップリング剤の疎水性を有する反応性官能基(α)が配置されるため、ウエハWの表面のシランカップリング剤による被覆率と密着膜Cの水の接触角の大きさは比例する。この結果より、この発明に係るシランカップリング剤を除去する方法(処理条件2)の方が、水の接触角が大きいため、ウエハWの表面のシランカップリング剤による被覆率が高い事が判った。
【0073】
なお、上述した第1実施形態においては、ウエハWが例えば他の装置等による例えば酸処理により、ステップS−1の前にウエハWの表面に水酸基が形成される場合は、ウエハWの表面を紫外線処理し、ウエハWの表面に水酸基を形成する工程すなわちステップS−1を省略してもよい。
【0074】
<第2実施形態>
上述した第1実施形態では、気体ノズル53から気体であるN2ガスを供給したが、水蒸気を含む気体を供給してもよい。例えば図9に示すように、気体ノズル53から水蒸気を含むN2ガスを供給してもよい。この場合、第1実施形態におけるステップS−5:供給工程の前に、ウエハWの表面に水蒸気を供給する工程を設けてもよい。
【0075】
図9に示すように、第2実施形態に係る基板処理装置は、気体ノズル53と気体供給源71とを開閉弁V0を介して接続する気体供給管70Aと、気体供給管70Aと水蒸気供給源である水蒸気発生器74とを開閉弁V1を介して接続する水蒸気供給管73と、を具備する。この場合、水蒸気発生器74は、図示しない純水供給源と接続して、純水供給源から供給された水を図示しないヒータにより加熱して水蒸気を生成する。
【0076】
なお、開閉弁V0,V1は、コントローラ7に電気的に接続されており、コントローラ7に予め記憶された制御信号に基づいて開閉弁V0,V1の開閉駆動、ポンプP1の駆動が行われるように構成されている。コントローラ7は、開閉弁V0、V1の開閉駆動を制御することにより、気体ノズル53からウエハWの表面への水蒸気を含むN2ガスの供給の制御が可能となる。
【0077】
なお、第2実施形態において、その他の構成は第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0078】
次に、上記のように構成される第2実施形態に係る基板処理装置によるウエハWの処理について説明する。図10は、第2実施形態に係る基板処理装置における基板処理方法の手順を示すフローチャートであって、矢印の方向にステップが進行する。
【0079】
ウエハキャリア1から搬送機構3によりウエハWが取り出され、第1実施形態と同様にして紫外線照射ユニット(UV)に搬送される。紫外線照射ユニット(UV)に搬送されたウエハWは、表面を紫外線処理され、ウエハWの表面に水酸基が形成される(ステップS2−1)。
【0080】
次いで、ウエハWは、搬送機構21により塗布ユニット(COT)内に搬入される(ステップS2−2)。塗布ユニット(COT)内に搬入されたウエハWは、スピンチャック40上に搬送され、スピンチャック40にて保持される。コントローラ7は、ウエハWを回転駆動機構42の駆動によって回転すると共に(ステップS2−3)、ノズル移動機構56Aを駆動して気体ノズル53をウエハWの周縁部から中心部の上方位置に移動する(ステップS2−4)。
【0081】
次いで、ウエハWを回転させながら、気体ノズル53からウエハWの中心部に水蒸気を含むN2ガスを供給する(ステップS2−5)。このように構成することにより、ウエハWの表面に水分子を配置することができる。
【0082】
次いで、ノズル移動機構56Aを駆動して密着剤ノズル52をウエハWの中心部の上方位置に移動する(ステップS2−6)。
【0083】
次いで、ウエハWを回転させながら、密着剤ノズル52からウエハWの中心部に密着剤を供給(吐出)する(ステップS2−7:供給工程)。ウエハWの表面上には、密着剤の液膜が形成される。この場合、ウエハWの表面に供給された密着剤であるシランカップリング剤は、ステップS2−5によりウエハWの表面に配置された水分子との加水分解により、反応性に富む官能基である水酸基を形成することができる。
【0084】
次いで、コントローラ7は、ノズル移動機構56Aを駆動して気体ノズル53をウエハWの中心部の上方位置に移動する(ステップS2−8)。次いで、ウエハWを回転させながら、気体ノズル53からウエハWの中心部に水蒸気を含むN2ガスを供給する(ステップS2−9:除去工程)。このように構成することにより、気体ノズル53から供給される水蒸気により、密着剤であるシランカップリング剤の加水分解を促進することができる。また、ウエハWの表面に供給された密着剤に、水蒸気を含むN2ガスを吹き付けることにより、余剰な密着剤を迅速に除去することができる。また、水蒸気を含むN2ガスを吹き付けることにより、密着剤であるシランカップリング剤の液膜を薄くして加水分解を促進すると共に、加水分解したシランカップリング剤の水酸基とウエハWの水酸基の接触機会を増加させて、ウエハWの表面とシランカップリング剤の化学結合を促進して、ウエハWの表面のシランカップリング剤による被覆率を向上することができる。
【0085】
次いで、ウエハWを回転させながら、気体ノズル53をウエハWの中心部から周縁部に移動させつつ、気体ノズル53からウエハWの表面に水蒸気を含むN2ガスを供給する(ステップS2−10:除去工程)。このように構成することにより、ウエハWの表面の全面に鉛直方向からの水蒸気を吹き付けて、密着剤であるシランカップリング剤の加水分解を促進することができる。また、ウエハWの表面の全面に、鉛直方向から水蒸気を含むN2ガスを吹き付けることができるため、余剰な密着剤を迅速に除去することができる。また、ウエハWの表面の全面に、鉛直方向から水蒸気を含むN2ガスを吹き付けることにより、密着剤であるシランカップリング剤の液膜を薄くして加水分解を促進すると共に、加水分解したシランカップリング剤の水酸基とウエハWの水酸基の接触機会を増加させて、ウエハWの表面とシランカップリング剤の化学結合を促進して、ウエハWの表面のシランカップリング剤による被覆率を向上することができる。
【0086】
次いで、ウエハWは第1実施形態と同様に、塗布ユニット(COT)外に搬出された後(ステップS2−11)、加熱処理され(ステップS2−12:加熱工程)、次いで冷却処理され(ステップS2−13:冷却工程)、次いで洗浄処理され(ステップS2−14:洗浄工程)、次いで、乾燥処理され(ステップS2−15)、その後、ウエハキャリア1に戻される。
【0087】
上述した第2実施形態における基板の処理方法及び基板の処理装置によれば、第1実施形態の効果に加え、ステップS2−9,S2−10:除去工程において、水蒸気を含む気体をウエハWの表面に供給するため、ウエハWの表面に供給されたシランカップリング剤の加水分解を促進することができる。このため、ウエハWと密着剤であるシランカップリング剤との結合を促進することができるため、更に基板処理のスループットを向上させることができると共に、ウエハWと塗布膜Cの密着性を向上することができる。
【0088】
また、ステップS2−7:供給工程の前に、ウエハWの表面に水蒸気を供給する工程(ステップS2−5)を設けることにより、ウエハWの表面に供給されたシランカップリング剤の加水分解を促進することができる。このため、ウエハWと密着剤であるシランカップリング剤との結合を促進することができるため、更に基板処理のスループットを向上させることができると共に、ウエハWと塗布膜Cの密着性を向上することができる。
【0089】
なお、上述した第2実施形態においては、ステップS2−7:供給工程の前に、気体ノズル53をウエハWの周縁部から中心部の上方位置に移動し、気体ノズル53からウエハWの中心部に水蒸気を含むN2ガスを供給する工程、すなわちステップS2−4及びステップS2−5の工程を行ったが、ステップS2−4及びステップS2−5の工程は省略してもよい。
【0090】
また、上述した第2実施形態においては、ウエハWが例えば他の装置等による例えば酸処理により、ステップS2−1の前にウエハWの表面に水酸基が形成されている場合は、ウエハWの表面を紫外線処理し、ウエハWの表面に水酸基を形成する工程すなわちステップS2−1を省略してもよい。
【0091】
<第3実施形態>
上述した第1実施形態では、ウエハWの表面に密着剤ノズル52から密着剤であるシランカップリング剤を供給したが、水を混合した密着剤を供給してもよい。
【0092】
この場合、図4に示す密着剤供給源61には、水を混合した密着剤であるシランカップリング剤(以下シランカップリング剤の水溶液という)が貯留されている。この場合、シランカップリング剤の濃度は例えば1%に設定されている。シランカップリング剤の加水分解性基は加水分解により、反応性に富む官能基である水酸基を形成することができる(図7参照)。このため、密着剤供給源61内のシランカップリング剤は加水分解されて水酸基が形成された状態である。
【0093】
なお、第3実施形態において、その他の構成は第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0094】
上述した第3実施形態における基板の処理方法及び基板の処理装置によれば、第1実施形態の効果に加え、図6に二点鎖線で示すように、ステップS−5−2:供給工程において、ウエハWの表面にシランカップリング剤の水溶液を供給することにより、加水分解により反応性に富む官能基である水酸基が形成されたシランカップリング剤を供給することができる。このため、ウエハWと密着剤であるシランカップリング剤との結合を促進することができるため、更に基板処理のスループットを向上させることができると共に、ウエハWと塗布膜Cの密着性を向上することができる。
【0095】
なお、上述した第3実施形態では、シランカップリング剤の水溶液を密着剤供給源61に貯留したが、水と密着剤であるシランカップリング剤は、密着剤ノズル52から供給する直前に混合してもよい。
【0096】
例えば、図11に示すように、密着剤ノズル52と密着剤供給源61とをポンプP1を介して接続する密着剤供給管60Aと、ポンプP1の二次側の密着剤供給管60Aに介設されるスタティックミキサー62と、スタティックミキサー62と純水供給源63とをポンプP2を介して接続する純水供給管64と、を具備する。スタティックミキサー62は、密着剤供給源61から供給されたシランカップリング剤と、純水供給源63から供給された純水を撹拌混合する。
【0097】
スタティックミキサー62に、シランカップリング剤と純水を供給して撹拌混合することにより、シランカップリング剤を加水分解して反応性に富む官能基である水酸基を形成することができる。
【0098】
このように、ウエハWへの供給の直前にシランカップリング剤と純水を撹拌混合することにより、保存安定性の低いシランカップリング剤の加水分解物を、密着剤ノズル52から供給する直前に生成することができる。
【0099】
なお、上述した第3実施形態においては、ステップS−7,S−8:除去工程において、気体ノズル53からウエハWにN2ガスを供給したが、気体ノズル53から水蒸気を含むN2ガスを供給してもよい。この場合、第3実施形態の基板処理装置に、上述した図9に示す構成を更に具備すればよい。
【0100】
このように構成することにより、第3実施形態の効果に加え、ステップS−7,S−8:除去工程において、水蒸気を含む気体をウエハWの表面に供給するため、ウエハWの表面に供給されたシランカップリング剤の加水分解を促進することができる。このため、ウエハWと密着剤であるシランカップリング剤との結合を促進することができるため、更に基板処理のスループットを向上させることができると共に、ウエハWと塗布膜Cの密着性を向上することができる。
【0101】
<第4実施形態>
上述した第1実施形態では、密着剤であるシランカップリング剤は、空気中の水分子との加水分解により、反応性に富む官能基である水酸基を形成したが、ステップS−5:供給工程及びステップS−7,S−8:除去工程を加湿雰囲気で行い、密着剤であるシランカップリング剤の加水分解を促進させてもよい。例えば図12に示すように、塗布ユニット(COT)内を加湿雰囲気に形成可能な加湿ユニット(MOS)を更に具備してもよい。
【0102】
図12に示すように、第4実施形態に係る基板処理装置は、塗布ユニット(COT)の上層に、塗布ユニット(COT)内を加湿雰囲気に形成可能な加湿ユニット(MOS)が重ねられている。加湿ユニット(MOS)は、塗布ユニット(COT)と図示しない管路で連結されており、塗布ユニット(COT)内を水蒸気により加湿して例えば温度23℃、湿度60%に維持することができる。
【0103】
なお、第4実施形態において、その他の構成は第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0104】
第4実施形態において、塗布ユニット(COT)内は、加湿ユニット(MOS)によって、水蒸気により加湿して湿度60%に維持されており、第1実施形態におけるステップS−5:供給工程、ステップS−7,S−8:除去工程を、加湿雰囲気化で行うことができる。このため、ウエハWの表面に供給中の密着剤であるシランカップリング剤及びウエハWの表面に供給されたシランカップリング剤は、空気中の水分子に加えて、加湿ユニット(MOS)から供給された水分子との加水分解により、反応性に富む官能基である水酸基を形成することができる。
【0105】
上述した第4実施形態における基板の処理方法及び基板の処理装置によれば、第1実施形態の効果に加え、ステップS−5:供給工程及びステップS−7,S−8:除去工程を加湿雰囲気で行うため、ウエハWの表面に供給中のシランカップリング剤及びウエハWの表面に供給されたシランカップリング剤の加水分解を促進することができる。このため、ウエハWと密着剤であるシランカップリング剤との結合を促進することができるため、更に基板処理のスループットを向上させることができると共に、ウエハWと塗布膜Cの密着性を向上することができる。
【0106】
なお、上述した第4実施形態に係る基板処理装置は、第1実施形態に係る基板処理装置に、塗布ユニット(COT)内を加湿雰囲気に形成可能な加湿ユニット(MOS)を備えたが、第2,3実施形態に係る基板処理装置に加湿ユニット(MOS)を備えてもよい。
【0107】
<第5実施形態>
上述した第1実施形態では、ステップS−5:供給工程において、密着剤ノズル52からウエハWの中心部に液状の密着剤を供給したが、密着剤のミストをウエハWの表面に供給してもよい。例えば図13に示すように、密着剤供給ノズル(以下にスプレーノズル52A)から、密着剤のミストを供給してもよい。
【0108】
図13に示すように、第2実施形態に係る基板処理装置は、基板保持部に保持されたウエハWの表面に対してミスト状の密着剤を供給するスプレーノズル52Aを備えている。スプレーノズル52Aは、ポンプP1を介設した密着剤供給管60を介して密着剤供給源61に接続されている。スプレーノズル52Aは、密着剤供給源61から供給された密着剤であるシランカップリング剤を含む溶液を、ウエハWの表面にミスト状に供給することができる。
【0109】
なお、第5実施形態において、その他の構成は第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0110】
上述した第5実施形態における基板の処理方法及び基板の処理装置によれば、第1実施形態の効果に加え、ステップS−5:供給工程において、ウエハWの表面に密着剤であるシランカップリング剤のミストを供給することにより、密着剤であるシランカップリング剤の各分子が気体と近接するため、気体に含まれる水分子により、シランカップリング剤の加水分解を促進することができる。このため、ウエハWと密着剤であるシランカップリング剤との結合を促進することができるため、更に基板処理のスループットを向上させることができると共に、ウエハWと塗布膜Cの密着性を向上することができる。
【0111】
なお、上述した第5実施形態に係る基板処理装置は、第1実施形態に係る基板処理装置に、スプレーノズル52Aを備えて密着剤のミストを供給したが、第2〜4実施形態に係る基板処理装置にスプレーノズル52Aを備えて、密着剤のミストを供給してもよい。
【0112】
<第6実施形態>
上述した第1実施形態において、この発明に係るに係る基板処理装置は単独の装置であったが、この発明に係るに係る基板処理装置は、図14,15に示すように、インプリントシステムに適用されることができる。
【0113】
図14,15に示すように、インプリントシステムは、ウエハWを複数枚例えば25枚密閉収納するウエハキャリア1を搬出入するためのウエハキャリアステーション10と、このウエハキャリアステーション10から取り出されたウエハWに密着剤供給処理等を施すウエハ処理ステーション20Aと、ウエハWの表面に形成された密着膜Cの少なくとも一部の表面に形成された塗布膜(レジスト膜R)に、凹凸パターンが設けられた転写面Maを備えるテンプレートMの転写面Maを転写するインプリント処理を行うインプリントステーション80と、処理ステーション20Aとインプリントステーション80との間に接続されて、ウエハWの受け渡しを行う搬送ステーション90と、で主要部が構成されている。
【0114】
この場合、ウエハキャリアステーション10の奥側には筐体27Aにて周囲を囲まれるウエハ処理ステーション20Aが接続されており、ウエハ処理ステーション20Aは、図14に示すように、中心部には、垂直移動機構22によって垂直移動可能な搬送機構21が設けられ、この搬送機構21の周りに配置される多段ブロックG1,G2,G3、G4Aに、全ての処理ユニットが配置されている。図15に示すように、多段ブロックG4Aには、加熱ユニット(HP)、冷却ユニット(COL)、搬送機構21との間でウエハWの受け渡しを行う受け渡しユニット(TRS2)、紫外線照射ユニット(UV)、洗浄ユニット(RINSE)が、垂直方向に例えば9段に重ねられている。
【0115】
搬送ステーション90は、処理ステーション20Aとインプリントステーション80との間に設けられる搬送室91にて構成されており、アームを有する搬送機構92が設けられている。また、搬送室91には、搬送機構92を挟んで左右両側に、複数例えば25枚のウエハWを一時的に収容するバッファユニット(BUF)が設けられている。
【0116】
また、搬送機構92は、ウエハ処理ステーション20A側の多段ブロックG4Aに属する受け渡しユニット(TRS2)と、後述するインプリントステーション80側の多段ユニットG5に属する受け渡しユニット(TRS3)との間で、ウエハWの受け渡しを行うように、水平のX,Y方向及び鉛直のZ方向に移動自在、並びに鉛直軸回りに回転自在に移動自在に構成されている。
【0117】
搬送ステーション90の奥側には筐体81にて周囲を囲まれるインプリントステーション80が接続されている。インプリントステーション80は、図14に示すように、中央にウエハWの搬送領域が形成されており、この搬送領域の周りには多段ブロックG5及びインプリントブロックNが配置されている。
【0118】
搬送ステーション90に隣接して配置される多段ブロックG5には、図15に示すように、搬送機構92との間でウエハWの受け渡しを行う受け渡しユニット(TRS3)、複数例えば25枚のウエハWを一時的に収容するバッファユニット(BUF)が設けられ、この場合、図14に示すように、この多段ブロックG5内に積層される各ユニット間でウエハWの受け渡しを行うための昇降自在に形成される搬送機構82が設けられている。
【0119】
また、インプリントステーション80の中央に形成されるウエハWの搬送領域には、アームを有する搬送機構83が設けられている。搬送機構83は、インプリントステーション80側の多段ユニットG5に属する受け渡しユニット(TRS3)と、後述するインプリントブロックNに属する受け渡しユニット(TRS4)との間で、ウエハWの受け渡しを行うように、水平のX,Y方向及び鉛直のZ方向に移動自在、並びに鉛直軸回りに回転自在に移動自在に構成されている。
【0120】
搬送領域の奥手に向かって左右両側には、ウエハWの表面に形成された密着膜Cの少なくとも一部の表面に形成されたレジスト膜Rに、凹凸パターンが設けられた転写面Maを備えるテンプレートMの転写面Maを転写するインプリント処理を行うインプリントブロックNが5個ずつ並列して配置されている。
【0121】
インプリントブロックNは、テンプレートMを複数枚例えば25枚収納するテンプレートキャリア84を載置可能な載置部85と、テンプレートキャリア84と受け渡しユニット(TRS5)との間でテンプレートMを搬送可能な図示しない搬送機構と、インプリント処理を行うインプリントユニット(NIL)と、搬送機構83との間でウエハWの受け渡しを行う受け渡しユニット(TRS4)から主に構成されている。
【0122】
テンプレートキャリア84に収納されるテンプレートMは、例えば図18(a)に示すように、直方体形状であって、凹凸パターンが設けられた正方形状の転写面Maを備える。テンプレートMの材料としては、可視光、近紫外光、紫外線などの光を透過可能な透明材料、例えばガラスが用いられる。また、テンプレートMには凹凸パターンが設けられた転写面Maに、レジスト膜RとテンプレートMの剥離を促進するための離型剤Qを成膜してある。
【0123】
図16に示すように、インプリントユニット(NIL)は筺体100にて周囲を囲まれており、筺体100のテンプレートキャリア84側の側面にはテンプレートMの搬入出口(図示せず)が形成され、搬送領域側の側面にはウエハWの搬入出口(図示せず)が形成されている。
【0124】
筺体100内の底面には、ウエハWが載置されて保持されるウエハ保持部101が設けられている。ウエハWは、密着膜Cが形成された表面が上方を向くようにウエハ保持部101の上面に載置される。ウエハ保持部101内には、ウエハWを下方から支持し昇降させるための昇降ピン102が設けられている。昇降ピン102は、昇降駆動部103により上下動できる。ウエハ保持部101の上面には、当該上面を厚み方向に貫通する貫通孔104が形成されおり、昇降ピン102は、貫通孔104を挿通するようになっている。また、ウエハ保持部101は、当該ウエハ保持部101の下方に設けられた移動機構105により、水平方向に移動可能で、且つ鉛直周りに回転自在である。
【0125】
一方、ウエハ保持部101に保持されたウエハWの上方側には、ウエハWの表面と隙間を介して対向するようにして、昇降及び水平移動可能なレジスト液ノズル106が設けられている。この場合、レジスト液ノズル106は、例えばウエハWの直径寸法と同じかそれよりも長い、ウエハWの直径方向に沿った細長形状を有している。レジスト液ノズル106には、例えばインクジェット方式のノズルが用いられ、レジスト液ノズル106の下部には、長手方向に沿って一列に形成された複数の供給口(図示せず)が形成されている。また、レジスト液ノズル106は、図示しないノズル移動機構により水平方向に移動可能なように構成されている。
【0126】
図16に示すように、筺体100内の天井面であって、ウエハ保持部101の上方には、テンプレートMを保持するテンプレート保持部107が設けられている。すなわち、ウエハ保持部101とテンプレート保持部107は、ウエハ保持部101に載置されたウエハWと、テンプレート保持部107に保持されたテンプレートMが対向するように配置されている。また、テンプレート保持部107は、テンプレートMの裏面の外周部を吸着保持するチャック108を有している。チャック108は、当該チャック108の上方に設けられた移動機構109により、鉛直方向に移動自在で、且つ鉛直周りに回転自在になっている。これにより、テンプレートMは、ウエハ保持部101上のウエハWに対して所定の向きに回転し昇降できる。
【0127】
テンプレート保持部107は、チャック108に保持されたテンプレートMの上方に設けられた光源110を有している。光源110からは、例えば可視光、近紫外光、紫外線などの光が発せられ、この光源110からの光は、テンプレートMを透過して下方に照射される。
【0128】
なお、搬送ステーション90におけるウエハWの搬送、インプリントステーション80における駆動系の動作等、例えばレジスト液ノズル106からのレジスト液の供給タイミング、レジスト液の供給量、レジスト液ノズル106の水平移動、ウエハW及びテンプレートMの移動動作、光源110の点灯等は、あらかじめ記憶された制御プログラムに基づいてコントローラ7により制御されている。
【0129】
なお、第6実施形態において、その他の構成は第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0130】
次に、上記のように構成されるインプリントシステムによるウエハWの処理について説明する。
【0131】
ウエハWは、第1実施形態と同様にウエハキャリア1から取り出され、紫外線照射ユニット(UV)において、表面に水酸基が形成され(ステップS−1)、塗布ユニット(COT)内に搬入される(ステップS−2)。ウエハWを回転駆動機構42の駆動によって回転すると共に(ステップS−3)、ノズル移動機構56Aを駆動して密着剤ノズル52をウエハWの周縁部から中心部の上方位置に移動する(ステップS−4)。
【0132】
次いで、ウエハWを回転させながら、密着剤ノズル52からウエハWの中心部に密着剤であるシランカップリング剤を供給(吐出)する(ステップS−5:供給工程)。次いで、ノズル移動機構56Aを駆動して気体ノズル53をウエハWの中心部の上方位置に移動する(ステップS−6)。次いで、ウエハWを回転させながら、気体ノズル53からウエハWにN2ガスを供給する(ステップS−7:除去工程)。次いで、ウエハWを回転させながら、気体ノズル53をウエハWの中心部から周縁部に移動させつつ、気体ノズル53からウエハWの表面に気体を供給する(ステップS−8:除去工程)。
【0133】
次いで、ウエハWは、塗布ユニット(COT)外に搬出された後(ステップS−9)、加熱ユニット(HP)にて加熱され、ウエハWの表面に密着剤を化学結合して密着膜Cを形成した後(ステップS−10:加熱工程)、冷却ユニット(COL)に搬送され冷却される(ステップS−11:冷却工程)。次いで、洗浄ユニット(RINSE)にて洗浄された後(ステップS−12:洗浄工程)、スピン乾燥処理を行う(ステップS−13)。なお、上述したステップS−1〜ステップS−13は、第1実施形態と同様に処理されるので、詳細な説明を省略してある。
【0134】
スピン乾燥処理(ステップS−13)がなされたウエハWは、搬送機構21により、多段ブロックG4Aに属する受け渡しユニット(TRS2)に搬送される。次いで、搬送機構92により搬送され、搬送ステーション90を通過して、インプリントステーション80内の多段ブロックG5に属する受け渡しユニット(TRS3)に搬送される。その後、搬送機構83によって、インプリントブロックNの受け渡しユニット(TRS4)に搬送され、図示しない搬送手段によって、インプリントユニット(NIL)内に搬入される。インプリントユニット(NIL)に搬入されたウエハWは、昇降ピン102に受け渡され、ウエハ保持部101上に載置され保持される。
【0135】
一方、ウエハWに密着膜Cを形成して、インプリントユニット(NIL)へ搬送する間に、テンプレートキャリア84から、図示しない搬送機構により、離型剤Qが成膜されたテンプレートMが取りされ、受け渡しユニット(TRS5)に搬送される。その後、図示しない搬送機構によって、テンプレートMはインプリントユニット(NIL)内に搬送され、テンプレート保持部107のチャック108に吸着保持される。
【0136】
ウエハWとテンプレートMがインプリントユニット(NIL)内に搬送されると、ウエハ保持部101に保持されたウエハWを水平方向の所定の位置に移動させて位置合わせ行う。図17に示すように、ウエハWの表面には、テンプレートMの転写面Maの表面積に対応して正方形状の転写位置D1〜D104があらかじめ決定されており、コントローラ7は、レジスト液ノズル106をウエハWの転写位置D1〜D4の行の上方に移動した後、ウエハWの転写位置D1〜D4にレジスト液を塗布し、転写位置D1〜D4に、この発明における塗布膜としてのレジスト膜Rを形成する(図18(a)参照)。ウエハWの表面には、密着膜Cが形成されているため、レジスト膜RはウエハWの表面に形成された密着膜Cの一部の表面に形成される。この際、コントローラ7により、レジスト液ノズル106から供給されるレジスト液の供給タイミングや供給量等が制御される。
【0137】
ウエハWの転写位置D1〜D4上にレジスト膜Rが形成されると、コントローラ7は、ウエハ保持部101に保持されたウエハWを水平方向の所定の位置に移動させて、テンプレートMが転写位置D1の上方に配置されるように位置合わせを行うと共に、テンプレート保持部107に保持されたテンプレートMを所定の向きに回転させる。そして、図18(a)の矢印に示すようにテンプレートMをウエハW側の転写位置D1に向けて下降させる。テンプレートMは所定の位置まで下降し、テンプレートMの転写面MaがウエハWの表面に形成された密着膜Cの表面に形成されたレジスト膜Rに押し付けられる。なお、この所定の位置は、ウエハW上に形成されるレジストパターンPの高さに基づいて設定される。
【0138】
次いで、光源110から光が照射される。光源110からの光は、図18(b)に示すようにテンプレートMを透過してウエハW上のレジスト膜Rに照射され、これによりレジスト膜Rは光重合する。このようにして、ウエハWの転写位置D1に配置されたレジスト膜RにテンプレートMの転写面Maが転写され、レジストパターンPが形成される。
【0139】
次いで、図18(c)に示すように、テンプレートMを上昇させて、ウエハW上にレジストパターンPを形成する。このとき、ウエハの表面には密着膜Cが形成されているので、ウエハW上のレジスト成分がテンプレートMの転写面Maに付着することはない。
【0140】
なぜならば、密着膜Cを形成するシランカップリング剤の加水分解により形成された水酸基が、ウエハWの表面に形成された水酸基と脱水縮合を生ぜしめて、シランカップリング剤とウエハWを共有結合により強固に結合していると共に、シランカップリング剤の反応性官能基(α)は、レジスト膜Rと強固に結合しているため、ウエハWとレジスト膜を強固に密着させているからである。
【0141】
次いで、転写位置D1と同様に、転写位置D2〜D4に塗布されたレジスト膜Rに、順次テンプレートMを押し付けてレジストパターンPを形成する。
【0142】
転写位置D1〜D4にレジストパターンPを形成した後、レジスト液ノズル106をウエハWの転写位置D5〜D10の列(図17参照)の上方に移動させ、転写位置D5〜D10にレジスト液を塗布してレジスト膜Rを形成する。その後、転写位置D5〜D10に順次テンプレートMを押し付けてレジストパターンPを形成する。
【0143】
このようにして、ウエハWの左上端の転写位置D1から順に転写位置D104(図17参照)まで順次転写を行い、1枚のウエハWにおいて例えば104回のインプリント処理を実行する。
【0144】
インプリント処理がなされたウエハWは、昇降ピン32により図示しない搬送機構に受け渡され、インプリントユニット(NIL)から搬出され、搬入ステーション90及びウエハ処理ステーション80を介して、ウエハキャリア1に戻される。
【0145】
一方、インプリント処理を終えたテンプレートMは、図示しない搬送機構を介してテンプレートキャリア84に搬送される。なお、テンプレートMを交換するタイミングは、テンプレートMの劣化等を考慮して設定される。また、ウエハWに異なるレジストパターンPを形成する場合にも、テンプレートMが交換される。例えばウエハW1枚の処理毎にテンプレートMを交換してもよいし、例えば1ロット毎にテンプレートMを交換してもよい。
【0146】
上述した第6実施形態におけるインプリントシステムによれば、この発明に係る基板処理方法及び基板処理装置が適用されているため、ウエハWの表面に供給された密着剤であるシランカップリング剤に、N2ガスを吹き付けることにより、余剰なシランカップリング剤を迅速に除去することができるため、基板処理のスループットを向上させることができる。また、ウエハWの表面に供給されたシランカップリング剤に、気体を吹き付けることにより、ウエハWの表面とシランカップリング剤の化学結合を促進して、ウエハWの表面のシランカップリング剤による被覆率を向上することができるため、ウエハWと塗布膜Cの密着性を向上することができる。
【0147】
なお、上述した第6実施形態におけるインプリントシステムには、第1実施形態に係る基板処理装置を適用したが、他の実施形態すなわち第2〜5実施形態に係る基板処理装置を適用することができる。
【0148】
<第7実施形態>
上述した第6実施形態におけるインプリントシステムにおいては、凹凸パターンが設けられた転写面Maに、レジスト膜RとテンプレートMの剥離を促進するための離型膜Qが成膜してあるテンプレートMを用いてインプリント処理を行ったが、インプリントシステム内でテンプレートMの凹凸パターンが設けられた転写面Maに、レジスト膜RとテンプレートMの剥離を促進するための離型膜Qを成膜する処理を行ってもよい。例えば、図19,20に示すように、テンプレートMに離型剤供給処理等を施すテンプレート処理ステーション120を備えてもよい。
【0149】
図19,20に示すように、第7実施形態に係るインプリントシステムは、ウエハキャリアステーション10と、ウエハ処理ステーション20Aと、ウエハキャリアステーション10及びウエハ処理ステーション20Aに積層され、テンプレートMを複数枚例えば25枚収納するテンプレートキャリア131を搬出入するためのテンプレートキャリアステーション130と、このテンプレートキャリアステーション130から取り出されたテンプレートMに離型剤供給処理等を施すテンプレート処理ステーション120と、インプリントステーション80Aと、ウエハ処理ステーション20A及びテンプレート処理ステーション120とインプリントステーション80Aとの間に接続されて、ウエハW及びテンプレートMの受け渡しを行う搬送ステーション90Aと、で主要部が構成されている。
【0150】
テンプレートキャリアステーション130は、テンプレートキャリア131を複数個並べて載置可能な載置部132と、この載置部132から見て前方の壁面に設けられる開閉部(図示せず)と、開閉部を介してテンプレートキャリア131からテンプレートMを取り出すための搬送機構133とが設けられている。この搬送機構133は、テンプレートキャリア131と、後述するテンプレート処理ステーション120側の多段ユニットG8に属する受け渡しユニット(図示せず)との間で、ウエハWの受け渡しを行うように、水平のX,Y方向及び鉛直のZ方向に移動自在、並びに鉛直軸回りに回転自在に移動自在に構成されている。
【0151】
テンプレートキャリアステーション130の奥側には筐体121にて周囲を囲まれるテンプレート処理ステーション120が接続されている。テンプレート処理ステーション120は、図20に示すように、中心部に、垂直移動機構123によって垂直移動可能な搬送機構122が設けられ、この搬送機構122の周りに配置される多段ブロックG6,G7,G8,G9,G10,G11に、全ての処理ユニットが配置されている。この搬送機構122は、多段ブロックG6,G7,G8,G9,G10,G11に属する処理ユニットの間で、ウエハWの受け渡しを行うように、水平のX,Y方向及び鉛直のZ方向に移動自在、並びに鉛直軸回りに回転自在に移動自在に構成されている。この場合、多段ブロックG6,G7は右側面側に並列され、多段ブロックG8はテンプレートキャリアステーション130に隣接して配置され、多段ブロックG9は搬送ステーション90Aに隣接して配置され、多段ブロックG10,G11は左側面側に並列されている。
【0152】
この場合、多段ブロックG6には、テンプレートMの転写面Maに液体状の離型剤Qを塗布する離型剤塗布ユニット(図示せず)、テンプレートMの転写面Maの離型剤Qをリンスするリンスユニット(図示せず)が重ねられている。多段ブロックG7も同様に、離型剤塗布ユニット(図示せず)、リンスユニット(図示せず)が重ねられている。
【0153】
また、多段ブロックG8には、テンプレートMに対して紫外線を照射し、テンプレートMの転写面Maに離型剤Qが成膜される前の転写面Maを洗浄する前洗浄ユニット(図示せず)、テンプレートMの温度を調節する温度調節ユニット(図示せず)、テンプレートMの受け渡しを行うための受け渡しユニット(図示せず)、テンプレートMを加熱処理する加熱ユニット(図示せず)が重ねられている。更に、多段ブロックG9にも、多段ブロックG8と同様に、前洗浄ユニット(図示せず)、温度調節ユニット(図示せず)、受け渡しユニット(図示せず)、加熱ユニット(図示せず)が重ねられている。
【0154】
また、多段ブロックG10には、使用後のテンプレートMの転写面Maを洗浄する後洗浄ユニット(図示せず)、洗浄後のテンプレートMの転写面Maを検査する検査ユニット(図示せず)が重ねられている。更に、多段ブロックG11にも、多段ブロック10と同様に、後洗浄ユニット(図示せず)、検査ユニット(図示せず)が重ねられている。
【0155】
搬送ステーション90Aは、ウエハ処理ステーション20A及びテンプレート処理ステーション120とインプリントステーション80Aとの間に設けられる搬送室93にて構成されており、搬送室93には、テンプレートMを搬送するアームを有する搬送機構94と、ウエハWを搬送するアームを有する搬送機構92が設けられている。また、搬送室93には、搬送機構94を挟んで左側に、複数例えば25枚のテンプレートMを一時的に収容するバッファユニット(BUF)が設けられ、右側にテンプレートMの表裏面を反転させる反転ユニット(TUR)が配置されている(図20参照)。また、バッファユニット(BUF)と反転ユニット(TUR)の下方には、第6実施形態と同様に、複数例えば25枚のウエハWを一時的に収容するバッファユニット(BUF)が配置されている(図19参照)。
【0156】
また、搬送機構94は、テンプレート処理ステーション120側の多段ブロックG9に属する受け渡しユニットと、後述するインプリントステーション80A側の多段ユニットG12に属する受け渡しユニット(TRS6)との間で、テンプレートMの受け渡しを行うように、水平のX,Y方向及び鉛直のZ方向に移動自在、並びに鉛直軸回りに回転自在に移動自在に構成されている。
【0157】
また、搬送機構92は、第6実施形態と同様に構成され、ウエハ処理ステーション20A側の多段ブロックG4Aに属する受け渡しユニット(TRS2)と、後述するインプリントステーション80A側の多段ユニットG5に属する受け渡しユニット(TRS3)との間で、ウエハWの受け渡しを行う。
【0158】
搬送ステーション90Aの奥側には筐体81Aにて周囲を囲まれるインプリントステーション80Aが接続されている。インプリントステーション80Aは、図20に示すように、中央にウエハW及びテンプレートMの搬送領域が形成されており、この搬送領域の周りには多段ブロックG5,G12及びインプリントブロックN2が配置されている。
【0159】
搬送ステーション90Aに隣接して配置される多段ブロックG12には、搬送機構94との間でテンプレートMの受け渡しを行う受け渡しユニット(TRS6)、複数例えば25枚のテンプレートMを一時的に収容するバッファユニット(BUF)が設けられ、この多段ブロックG12内に積層される各ユニット間でウエハWの受け渡しを行うための昇降自在に形成される搬送機構86が設けられている(図20参照)。なお、多段ブロックG5は、第6実施形態と同様に構成される。
【0160】
また、インプリントステーション80Aの中央に形成されるウエハW及びテンプレートMの搬送領域には、アームを有する搬送機構83,87が設けられている。テンプレートMを搬送する搬送機構87は、インプリントステーション80A側の多段ユニットG12に属する受け渡しユニット(TRS6)と、後述するインプリントブロックN2に属する受け渡しユニット(TRS7)との間で、ウエハWの受け渡しを行うように、水平のX,Y方向及び鉛直のZ方向に移動自在、並びに鉛直軸回りに回転自在に移動自在に構成されている。
【0161】
一方、ウエハを搬送する搬送機構83は、第6実施形態と同様に、インプリントステーション80A側の多段ユニットG5に属する受け渡しユニット(TRS3)と、後述するインプリントブロックに属する受け渡しユニット(TRS7)との間で、ウエハWの受け渡しを行う。
【0162】
搬送領域の奥手に向かって左右両側には、ウエハWの表面に形成された密着膜Cの少なくとも一部の表面に形成されたレジスト膜Rに、凹凸パターンが設けられた転写面Maを備えるテンプレートMの転写面Maを転写するインプリント処理を行うインプリントブロックN2が5個ずつ並列して配置されている。
【0163】
図20に示すように、インプリントブロックN2は、インプリント処理を行うインプリントユニット(NIL2)と、搬送機構83,87との間でウエハW及びテンプレートMの受け渡しを行う受け渡しユニット(TRS7)から主に構成されている。
【0164】
インプリントユニット(NIL2)は図示しない筺体にて周囲を囲まれており、筺体の搬送領域側の側面に、テンプレートMの搬入出口(図示せず)とウエハWの搬入出口(図示せず)が形成されている。なお、インプリントユニット(NIL2)のその他の構成は第6実施形態と同じである。
【0165】
なお、第7実施形態おいて、その他の構成は第6実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0166】
次に、上記のように構成される第7実施形態に係るインプリントシステムによるテンプレートM及びウエハWの処理について説明する。
【0167】
テンプレートキャリア131から搬送機構133により取り出されたテンプレートMは、搬送機構122によって、前洗浄ユニットに搬送され、紫外線を照射して洗浄される。その後、テンプレートMは離型剤塗布ユニットに搬送され、テンプレートMの転写面Ma全面に離型剤Qを塗布する(図21(a)参照)。この場合、離型剤Qとして、例えばフッ素炭化系化合物等を用いる。
【0168】
次いで、テンプレートMは、加熱ユニットに搬送され、例えば200℃に加熱してテンプレートM上の離型剤Qが焼成される(図21(b)参照)。次いで、温度調節ユニットに搬送され、テンプレートMが所定の温度に調節される。
【0169】
その後、テンプレートMは、リンスユニットに搬送され、例えば有機溶剤に浸漬して離型剤Qの未反応部のみが剥離され、転写面Maに沿った離型剤Qが成膜する。次いで、気体ガスをテンプレートMに吹き付け、その転写面Maを乾燥させる。(図21(c)参照)なお、離型剤Qの未反応部とは、離型剤QがテンプレートMの転写面Maと化学反応して当該転写面Maと吸着する部分以外をいう。
【0170】
その後、搬送機構122によって、テンプレートMはブロックG9の受け渡しユニットに搬送される。次いで、テンプレートMは、搬送ステーション90Aの搬送機構94によって、反転ユニット(TUR)に搬送されて、テンプレートMの表裏面が反転される。その後、テンプレートMは、搬送機構94によってインプリントステーション80Aの多段ブロックG12に属する受け渡しユニット(TRS6)に搬送される。その後、搬送機構87によって、インプリントブロックN2の受け渡しユニット(TRS7)に搬送され、図示しない搬送機構によってインプリントユニット(NIL2)内に搬送され、テンプレート保持部107のチャック108に吸着保持される。
【0171】
一方、テンプレート処理ステーション120においてテンプレートMに離型剤処理を行い、インプリントユニット(NIL2)へテンプレートMを搬送している間に、ウエハWは第6実施形態と同様にして処理され、インプリントユニット(NIL2)へ搬送される。
【0172】
ウエハWとテンプレートMがインプリントユニット(NIL2)内に搬送されると、第6実施形態と同様に、ウエハWの表面に形成された密着膜Cの一部の表面に形成されたレジスト膜Rに、凹凸パターンが設けられた転写面Maを備えるテンプレートMの転写面Maを転写するインプリント処理が行われる(図21(d)参照)。インプリント処理がなされたウエハWは、第6実施形態と同様にして、ウエハキャリア1に戻される。
【0173】
一方、上述した処理を終えたテンプレートMは、搬送手段87を介してテンプレート処理ステーション120の後洗浄ユニットに搬送され、後洗浄ユニットにおいて、テンプレートMの転写面Maに紫外線を照射した後、テンプレートMに洗浄液を供給して離型剤Qを除去する(図21(e)参照)。
【0174】
その後、テンプレートMは、搬送機構122によって検査ユニットに搬送される。そして、検査ユニットにおいて、例えば干渉縞の観察等により、テンプレートMの転写面Maが検査される(図21(f)参照)。
【0175】
その後、テンプレートMは、搬送機構122によって多段ユニットG8に属する受渡しユニットに搬送され、搬送機構133によってテンプレートキャリア131に戻される。なお、検査ユニットの検査結果が良好な場合、例えばテンプレートMの転写面Maが適切に洗浄され、且つその転写面Maが劣化していない場合には、テンプレートキャリア131に戻さないでテンプレート処理ステーション120にて再度離型剤処理してインプリント処理に使用してもよい。
【0176】
なお、テンプレートMをインプリントユニット(NIL2)から搬出するタイミングは、テンプレートMの劣化等を考慮して設定される。例えばウエハW1枚の処理毎にテンプレートMを交換してもよいし、例えば1ロット毎にテンプレートMを交換してもよい。
【0177】
上述した第7実施形態におけるインプリントシステムによれば、この発明に係る基板処理方法及び基板処理装置が適用されているため、ウエハWの表面に供給された密着剤であるシランカップリング剤に、N2ガスを吹き付けることにより、余剰なシランカップリング剤を迅速に除去することができるため、基板処理のスループットを向上させることができる。また、ウエハWの表面に供給されたシランカップリング剤に、気体を吹き付けることにより、ウエハWの表面とシランカップリング剤の化学結合を促進して、ウエハWの表面のシランカップリング剤による被覆率を向上することができるため、ウエハWと塗布膜Cの密着性を向上することができる。
【0178】
なお、上述した第7実施形態におけるインプリントシステムには、第1実施形態に係る基板処理装置を適用したが、他の実施形態すなわち第2〜5実施形態に係る基板処理装置を適用することができる。
【0179】
以上、この発明の実施の形態の一例について説明したが、この発明はこの形態に限らず種々の態様を採りうるものである。例えば、基板としてウエハWを用いたが、これに限定されることなく、例えばFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレクチルなどの他の基板であっても適用することができる。
【符号の説明】
【0180】
W ウエハ(基板)
C 密着膜
R 塗布膜(レジスト膜)
M テンプレート
Ma 転写面
P レジストパターン
COT 塗布ユニット
HP 加熱ユニット
COL 冷却ユニット
RINSE 洗浄ユニット
MOS 加湿ユニット
UV 紫外線照射ユニット
7 コントローラ(制御部)
40 スピンチャック(基板保持部)
42 回転駆動機構
52 密着剤ノズル(密着剤供給ノズル)
52A スプレーノズル(密着剤供給ノズル)
53 気体ノズル(気体供給ノズル)
56A ノズル移動機構(気体供給ノズル移動機構)
【技術分野】
【0001】
この発明は、インプリント処理に供する基板の処理方法及び基板の処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体ウエハ等の製造工程において、半導体ウエハやLCD基板等の基板の表面に、微細なレジストのパターンを形成することができるインプリント技術に注目が集まっている。
【0003】
上記インプリント技術の一つとして、例えば、ウエハに光硬化性のレジスト液を塗布してレジスト膜を形成し、このレジスト膜に離型剤が成膜されたテンプレートの転写面を押し付ける。そして、この状態で、テンプレート側からレジスト膜に光を照射してレジスト膜を硬化させ、その後、テンプレートをレジスト膜から引き離してレジストパターンを形成するものが知られている(例えば特許文献1)。
【0004】
このインプリント技術では、テンプレートをレジスト膜から引き離す際に、硬化したレジスト膜がテンプレートに付着し、パターンの欠陥が生じる懸念がある。これに対し、レジスト膜がテンプレートに付着するのを防止する方法として、基板とレジスト膜の密着性を向上する方法が知られている。例えば、基板の表面にスピンコート法によりシランカップリング剤からなる中間層を形成し、その中間層の表面にレジスト膜を形成して、基板とレジスト膜の密着性を向上するものが知られている(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−805号公報
【特許文献2】特許第4467611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載のものにおいて、中間層はシランカップリング剤分子が基板の表面に結合して並んだ単分子層により形成されるのであるため、基板の表面に結合していないシランカップリング剤は余剰なものとなる。この余剰なシランカップリング剤を、基板をスピンして振り切り除去するのは時間がかかるため、基板処理のスループットが低下する懸念がある。また、上記方法では、基板の表面のシランカップリング剤による被覆率が低く、基板とレジスト膜を十分に密着できない懸念がある。
【0007】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、基板処理のスループットを向上させると共に、基板と塗布膜の密着性を向上することができる基板の処理方法及び基板の処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明の基板の処理方法は、基板の表面に形成された密着膜の少なくとも一部の表面に形成された塗布膜に、凹凸パターンが設けられた転写面を備えるテンプレートの上記転写面を転写するインプリント処理に供する基板の処理方法であって、 上記基板を回転させながら、上記基板の表面に密着剤を供給する供給工程と、 上記基板を回転させながら、上記基板の表面に気体を供給して、余剰な上記密着剤を除去する除去工程と、を具備することを特徴とする(請求項1)。
【0009】
この発明において、上記供給工程において、上記基板の表面に上記密着剤のミストを供給してもよい(請求項2)。
【0010】
また、上記供給工程において、上記基板の表面に水を混合した上記密着剤を供給する方が好ましい(請求項3)。
【0011】
また、上記除去工程は、気体供給ノズルから上記基板の中心部に気体を供給した後に、上記気体供給ノズルを上記基板の中心部から周縁部に移動させつつ、上記気体供給ノズルから上記基板の表面に気体を供給する方が好ましい(請求項4)。
【0012】
また、上記除去工程において、水蒸気を含む気体を上記基板の表面に供給する方が好ましい(請求項5)。
【0013】
また、上記供給工程及び上記除去工程を加湿雰囲気で行う方が好ましい(請求項6)。
【0014】
また、上記供給工程の前に、上記基板の表面に水蒸気を供給する工程、を更に具備する方が好ましい(請求項7)。
【0015】
また、上記除去工程の後に、上記基板を所定の温度まで加熱して、上記基板の表面に上記密着剤を化学結合して密着膜を形成する加熱工程を具備する方が好ましく(請求項8)、更に、上記加熱工程の後に、上記基板を所定の温度まで冷却する冷却工程を具備する方が好ましい(請求項9)。
【0016】
また、上記除去工程の後に、上記基板に洗浄液を供給して洗浄する洗浄工程を更に具備する方が好ましい(請求項10)。
【0017】
また、上記供給工程の前に、上記基板の表面を紫外線処理して、上記基板の表面に水酸基を形成する工程、を更に具備する方が好ましい(請求項11)。
【0018】
また、上記密着剤は、シランカップリング剤である方が好ましい(請求項12)。
【0019】
この発明の基板の処理装置は、請求項1記載の基板の処理方法を具現化するもので、基板の表面に形成された密着膜の少なくとも一部の表面に形成された塗布膜に、凹凸パターンが設けられた転写面を備えるテンプレートの上記転写面を転写するインプリント処理に供する基板の処理装置であって、 上記基板を回転させながら、上記基板の表面に密着剤を供給すると共に、上記基板の表面に気体を供給して、余剰な上記密着剤を除去する塗布ユニットと、を具備し、 上記塗布ユニットは、 上記基板を水平に保持する基板保持部と、 上記基板保持部を鉛直軸回りに回転させる回転駆動機構と、 上記基板保持部に保持された基板の表面に上記密着剤を供給する密着剤供給ノズルと、 上記基板保持部に保持された上記基板の表面に気体を供給する気体供給ノズルと、 上記密着剤供給ノズルから上記基板への上記密着剤の供給、上記気体供給ノズルから上記基板への気体の供給及び上記回転駆動機構を制御する制御部と、を備え、 上記制御部からの制御信号に基づいて、上記基板を回転させながら、上記密着剤供給ノズルから上記基板の表面に密着剤を供給した後、上記基板を回転させながら、上記気体供給ノズルから、上記基板の表面に気体を供給して余剰な上記密着剤を除去する、ことを特徴とする(請求項13)。
【0020】
この発明において、上記密着剤供給ノズルから、上記基板の表面に上記密着剤のミストを供給してもよい(請求項14)。
【0021】
また、上記密着剤供給ノズルから、上記基板の表面に水を混合した上記密着剤を供給する方が好ましい(請求項15)。
【0022】
また、上記気体供給ノズルを上記基板の表面に沿った方向に移動可能であって、上記制御部により移動動作が制御される気体供給ノズル移動機構を更に備え、上記制御部は、上記気体供給ノズルから上記基板の中心部に気体を供給した後に、上記気体供給ノズルを上記基板の中心部から周縁部に移動させつつ、上記気体供給ノズルから上記基板に気体を供給する方が好ましい(請求項16)。
【0023】
また、上記気体供給ノズルから、水蒸気を含む気体を上記基板の表面に供給する方が好ましい(請求項17)。
【0024】
また、上記塗布ユニット内を加湿雰囲気に形成可能な加湿ユニットを更に具備する方が好ましい(請求項18)。
【0025】
また、上記制御部は、上記密着剤供給ノズルから上記基板の表面に密着剤を供給する前に、上記基板を回転させながら、上記気体供給ノズルから、上記基板の表面に水蒸気を含む気体を供給する方が好ましい(請求項19)。
【0026】
また、上記塗布ユニットにおいて処理された上記基板を加熱して、上記基板の表面に上記密着剤を化学結合して密着膜を形成する加熱ユニットを更に具備する方が好ましく(請求項20)、更に、上記加熱ユニットにおいて処理された上記基板を所定の温度まで冷却する冷却ユニットを具備する方が好ましい(請求項21)。
【0027】
また、上記塗布ユニットにおいて処理された上記基板に洗浄液を供給して洗浄する洗浄ユニットを更に備える方が好ましい(請求項22)。
【0028】
また、上記塗布ユニットにおいて処理前の上記基板の表面を紫外線処理して上記基板の表面に水酸基を形成する紫外線照射ユニットを更に具備する方が好ましい(請求項23)。
【0029】
また、上記密着剤は、シランカップリング剤である方が好ましい(請求項24)。
【0030】
請求項1,13記載の発明によれば、基板の表面に供給された密着剤に、気体を吹き付けることにより、余剰な密着剤を迅速に除去することができる。また、基板の表面と密着剤の化学結合を促進して、基板の表面の密着剤による被覆率を向上することができる。
【0031】
請求項2,14記載の発明によれば、密着剤を構成する各分子が気体と近接することができる。このため、例えば気体に含まれる水分子により、加水分解により反応性に富む官能基が形成される密着剤の加水分解を促進することができる。
【0032】
請求項3,5,7,15,17,19記載の発明によれば、例えば加水分解により反応性に富む官能基が形成される密着剤の加水分解を促進して、基板の表面に反応性に富む官能基が形成された密着剤を供給することができる。
【0033】
請求項4,16記載の発明によれば、基板の表面の全面に、鉛直方向からの気体の吹き付けることができるため、余剰な密着剤を迅速に除去することができると共に、基板の表面と密着剤の化学結合を促進して、基板の表面の密着膜による被覆率を向上することができる。
【0034】
請求項6,18記載の発明によれば、例えば雰囲気に含まれる水分子により、加水分解により反応性に富む官能基が形成される密着剤の加水分解を促進することができる。
【0035】
請求項8,9,20,21記載の発明によれば、例えば加熱により脱水縮合を生ぜしめて、密着剤と基板を強固かつ迅速に密着させることができる。
【0036】
請求項10,22記載の発明によれば、基板の表面を洗浄してパーティクル等を除去することができる。
【0037】
請求項11,23記載の発明によれば、基板の表面に反応性に富む水酸基を形成することができるため、例えば密着剤との化学結合を促進することができる。
【0038】
請求項12,24記載の発明によれば、シランカップリング剤の加水分解性基は、加水分解により、反応性に富む官能基である水酸基を形成することができる。シランカップリング剤は、加水分解により形成された水酸基が、基板の表面に形成された水酸基と脱水縮合を生ぜしめて、シランカップリング剤と基板を共有結合により強固に結合することができる。また、シランカップリング剤の反応性官能基は、塗布膜例えばレジスト膜と強固に結合することができる。したがって、シランカップリング剤により形成される密着膜は、基板と塗布膜を強固に密着させることができる。
【発明の効果】
【0039】
この発明の基板処理方法及び基板処理装置によれば、基板の表面に供給された密着剤に、気体を吹き付けることにより、余剰な密着剤を迅速に除去することができるため、基板処理のスループットを向上させることができる。また、基板の表面に供給された密着剤に、気体を吹き付けることにより、基板の表面と密着剤の化学結合を促進して、基板の表面の密着剤による被覆率を向上することができるため、基板と塗布膜の密着性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】この発明に係る基板処理装置を示す概略平面図である。
【図2】この発明に係る基板処理装置を示す概略右側面図である。
【図3】この発明に係る基板処理装置を示す概略左側面図である。
【図4】第1実施形態における塗布ユニットを示す概略断面図である。
【図5】第1実施形態における塗布ユニットを示す概略平面図である。
【図6】第1実施形態に係る基板処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】密着剤として用いられるシランカップリング剤と基板との化学結合の態様を示す図である。
【図8】密着剤として用いられるシランカップリング剤の膜厚とスピン時間との関係を示す図である。
【図9】第2実施形態における塗布ユニットの要部示す概略断面図である。
【図10】第2実施形態に係る基板処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】第3実施形態における塗布ユニットの要部を示す概略断面図である。
【図12】第4実施形態に係る基板処理装置を示す概略側面図である。
【図13】第5実施形態における塗布ユニットの要部を示す概略断面図である。
【図14】この発明に係る基板処理装置を備えるインプリントシステムを示す概略平面図である。
【図15】この発明に係る基板処理装置を備えるインプリントシステムを示す概略側面図である。
【図16】上記インプリントシステムにおけるインプリントユニットを示す概略断面図である。
【図17】基板の表面におけるテンプレートの転写位置の配置を示す概略平面図である。
【図18】インプリント処理におけるテンプレートと基板の状態について時系列を追って示した図(a),(b),(c)である。
【図19】他のインプリントシステムを示す概略側面図である。
【図20】他のインプリントシステムを示す概略平面図である。
【図21】他のインプリントシステムにおけるテンプレート処理の態様について示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
<第1実施形態>
以下、この発明に係る基板処理装置について、添付図面に基づいて説明する。
【0042】
上記基板処理装置は、基板である半導体ウエハW(以下にウエハWという)を複数枚例えば25枚密閉収納するウエハキャリア1を搬出入するためのウエハキャリアステーション10と、このウエハキャリア1から取り出されたウエハWに密着剤供給処理等を施すウエハ処理ステーション20と、で主要部が構成されている。
【0043】
ウエハキャリアステーション10は、ウエハキャリア1を複数個並べて載置可能な載置部2と、この載置部2から見て前方の壁面に設けられる開閉部(図示せず)と、開閉部を介してウエハキャリア1からウエハWを取り出すための搬送機構3とが設けられている。この搬送機構3は、ウエハキャリア1と、後述するウエハ処理ステーション20側の多段ユニットG3に属する受け渡しユニット(TRS1)との間で、ウエハWの受け渡しを行うように、水平のX,Y方向及び鉛直のZ方向に移動自在、並びに鉛直軸回りに回転自在に移動自在に構成されている。
【0044】
ウエハキャリアステーション10の奥側には筐体27にて周囲を囲まれるウエハ処理ステーション20が接続されており、ウエハ処理ステーション20は、図1に示すように、中心部には、垂直移動機構22によって垂直移動可能な搬送機構21が設けられ、この搬送機構21の周りに配置される多段ブロックG1,G2,G3、G4に、全ての処理ユニットが配置されている。この搬送機構21は、多段ブロックG1,G2,G3、G4に属する処理ユニットの間で、ウエハWの受け渡しを行うように、水平のX,Y方向及び鉛直のZ方向に移動自在、並びに鉛直軸回りに回転自在に移動自在に構成されている。この場合、多段ブロックG1,G2は右側面側に並列され、多段ブロックG3はウエハキャリアステーション10に隣接して配置され、多段ブロックG4は背面側に隣接して配置されている。
【0045】
この場合、図2に示すように、多段ユニットG1及び多段ユニットG2では、ウエハWの表面に密着剤を供給すると共に、ウエハWの表面に気体を供給して密着剤を除去する塗布ユニット(COT)が垂直方向の下から順に2段に重ねられている。
【0046】
図3に示すように、多段ユニットG3では、例えば塗布ユニット(COT)において処理されたウエハWを加熱して、ウエハWの表面に密着剤を化学結合して密着膜を形成する加熱ユニット(HP)、加熱ユニット(HP)において処理されたウエハWを所定の温度まで冷却する冷却ユニット(COL)、搬送機構3,21との間でウエハWの受け渡しを行う受け渡しユニット(TRS1)、ウエハWに洗浄液を供給して洗浄する洗浄ユニット(RINSE)が、垂直方向に例えば7段に重ねられている。
【0047】
また、多段ユニットG4では、加熱ユニット(HP)、冷却ユニット(COL)、塗布ユニット(COT)において処理前のウエハWの表面を紫外線処理してウエハWの表面に水酸基を形成する紫外線照射ユニット(UV)、洗浄ユニット(RINSE)が、垂直方向に例えば7段に重ねられている。
【0048】
次に、この発明における塗布ユニット(COT)について説明する。塗布ユニット(COT)は、図4,図5に示すように、ウエハWの搬入出口31aを有する筺体31内に、ウエハWの裏面側中心部を吸引吸着して水平に保持する基板保持部をなすスピンチャック40を具備している。なお、搬入出口31aにはシャッタ31bが開閉可能に配設されている。
【0049】
上記スピンチャック40は軸部41を介して例えばサーボモータ等の回転駆動機構42に連結されており、この回転駆動機構42によりウエハWを保持した状態で回転可能に構成されている。なお、回転駆動機構42は、この発明における制御部であるコントローラ7に電気的に接続されており、コントローラ7からの制御信号に基づいてスピンチャック40の回転数が制御されるようになっている。
【0050】
また、スピンチャック40に保持されたウエハWの側方を囲むようにしてカップ43が設けられている。このカップ43は、円筒状の外カップ43aと、上部側が内側に傾斜した筒状の内カップ43bとからなり、外カップ43aの下端部に接続された例えばシリンダ等の昇降機構44により外カップ43aが昇降し、更に内カップ43bは外カップ43aの下端側内周面に形成された段部に押し上げられて昇降可能なように構成されている。なお、昇降機構44はコントローラ7に電気的に接続されており、コントローラ7からの制御信号に基づいて外カップ43aが昇降するように構成されている。
【0051】
また、スピンチャック40の下方側には円形板45が設けられており、この円形板45の外側には断面が凹部状に形成された液受け部46が全周に亘って設けられている。液受け部46の底面にはドレイン排出口47が形成されており、ウエハWから零れ落ちるか、あるいは振り切られて液受け部46に貯留された密着剤はこのドレイン排出口47を介して装置の外部に排出される。また、円形板45の外側には断面山形のリング部材48が設けられている。なお、図示は省略するが、円形板45を貫通する例えば3本の基板支持ピンである昇降ピンが設けられており、この昇降ピンと図示しない搬送機構との協働作用によりウエハWはスピンチャック40に受け渡しされるように構成されている。
【0052】
一方、スピンチャック40に保持されたウエハWの上方側には、ウエハWの表面の中心部と隙間を介して対向するようにして、昇降及び水平移動可能な密着剤供給ノズル52(以下に密着剤ノズル52という)と、この密着剤ノズル52のウエハ中心側に並行に隣接して一体化され、ウエハWの表面に気体を供給する気体供給ノズル(以下に気体ノズル53という)が設けられている。この場合、密着剤ノズル52及び気体ノズル53は、ノズル先端部に密着剤もしくは気体を供給(吐出)する円形状の吐出口(図示せず)を有している。
【0053】
図5に示すように、上記のように互いに隣接した状態で一体化される密着剤ノズル52と気体ノズル53は、ノズルアーム54Aの一端側に支持されており、このノズルアーム54Aの他端側は図示しない昇降機構を備えた移動基台55Aと連結されており、更に移動基台55Aは例えばボールねじやタイミングベルト等で構成されるノズル移動機構56AにてX方向に伸びるガイド部材57Aに沿って横方向に移動可能なように構成されている。この場合、ノズル移動機構56Aは、この発明における気体供給ノズル移動機構である。ノズル移動機構56Aを駆動することにより、密着剤ノズル52と気体ノズル53は、ウエハWの中心部から外周部に向かう直線(半径)に沿って移動することができる。
【0054】
なお、カップ43の一方の外方側には、密着剤ノズル52と気体ノズル53の待機部59Aが設けられており、この待機部59Aで密着剤ノズル52のノズル先端部の洗浄などが行われる。
【0055】
図4に示すように、密着剤ノズル52は、ポンプP1を介設した密着剤供給管60を介して密着剤供給源61に接続されている。また、気体ノズル53は、開閉弁V0を介設した気体供給管70を介して気体供給源71に接続されている。この場合、気体供給管70の開閉弁V0の二次側には、気体を所定温度に温度調整可能な例えばヒータで構成される気体温度調整部72が設けられている。
【0056】
なお、ノズル移動機構56A、ポンプP1、開閉弁V0、気体温度調節部72は、それぞれコントローラ7に電気的に接続されており、コントローラ7に予め記憶された制御プログラムに基づいて密着剤ノズル52及び気体ノズル53の水平移動、開閉弁V0の開閉駆動、ポンプP1の駆動が行われるように構成されている。コントローラ7は、開閉弁V0の開閉駆動を制御することにより、気体ノズル53からウエハWの表面への気体の供給の制御が可能となる。
【0057】
ウエハWに供給される密着剤は、シランカップリング剤を用いる。図7に示すように、シランカップリング剤の加水分解性基(OR)は、加水分解により、反応性に富む官能基である水酸基を形成することができる。シランカップリング剤は、加水分解により形成された水酸基が、ウエハWの表面に形成された水酸基と脱水縮合を生ぜしめて、シランカップリング剤とウエハWを共有結合により強固に結合することができる。また、シランカップリング剤の反応性官能基(α)は、塗布膜例えばレジスト膜と強固に結合することができる。したがって、シランカップリング剤により形成される密着膜は、ウエハWと塗布膜を強固に密着させることができる。この場合、密着剤供給源61には、シランカップリング剤に有機溶媒例えばメタノールを加えて粘度を低下した溶液が貯留されている。なお、密着剤供給源61に貯留されるシランカップリング剤は、有機溶媒等の溶媒で希釈せずに原液を貯留してもよい。
【0058】
また、ウエハWに供給される気体は、不活性ガスであるN2ガスを用いる。N2ガスは、気体供給管70に介設された気体温度調節部72によって例えば100℃に加熱されてから、気体ノズル53からウエハWに供給される。このように構成することにより、隣り合うシランカップリング剤の水酸基同士での脱水縮合、及び、シランカップリング剤に形成される水酸基と、ウエハWに形成された水酸基の脱水縮合を促進することができる(図7参照)。
【0059】
次に、上記のように構成される基板処理装置によるウエハWの処理について説明する。図6は、第1実施形態に係る基板処理装置における基板処理方法の手順を示すフローチャートであって、矢印の方向にステップが進行する。
【0060】
25枚のウエハWを収納したウエハキャリア1が、載置台2に載置されると、ウエハキャリア1から搬送機構3によりウエハWが取り出される。そして、ウエハWは多段ユニットG3の一段をなす受け渡しユニット(TRS1)を介して搬送機構21へと受け渡される。まず、搬送機構21はウエハWを紫外線照射ユニット(UV)に搬入する。紫外線照射ユニット(UV)に搬送されたウエハWは、図示しない紫外線照射手段によりウエハWの表面を紫外線処理し、ウエハWの表面に水酸基が形成される(ステップS−1)。
【0061】
次いで、ウエハWは、搬送機構21により塗布ユニット(COT)内に搬入される(ステップS−2)。塗布ユニット(COT)内に搬入されたウエハWは、図示しない搬送機構によって、スピンチャック40上に搬送され、スピンチャック40にて保持される。コントローラ7は、ウエハWを回転駆動機構42の駆動によって回転すると共に(ステップS−3)、ノズル移動機構56Aを駆動して密着剤ノズル52をウエハWの周縁部から中心部の上方位置に移動する(ステップS−4)。
【0062】
次いで、ウエハWを回転させながら、密着剤ノズル52からウエハWの中心部に密着剤を供給(吐出)して(ステップS−5:供給工程)、ウエハWの表面に、密着剤の液膜が形成される。この場合、密着剤であるシランカップリング剤の加水分解性基は、空気に含まれる水分子により加水分解され、反応性に富む官能基である水酸基を形成することができる。
【0063】
次いで、コントローラ7は、ノズル移動機構56Aを駆動して気体ノズル53をウエハWの中心部の上方位置に移動する(ステップS−6)。次いで、ウエハWを回転させながら、気体ノズル53からウエハWの中心部にN2ガスを供給する(ステップS−7:除去工程)。このように構成することにより、ウエハWの表面に供給された密着剤に、N2ガスを吹き付けることにより、余剰な密着剤を迅速に除去することができる。また、N2ガスを吹き付けることにより、密着剤であるシランカップリング剤の液膜を薄くして加水分解を促進すると共に、加水分解したシランカップリング剤の水酸基とウエハWの水酸基の接触機会を増加させて、ウエハWの表面とシランカップリング剤の化学結合を促進して、ウエハWの表面のシランカップリング剤による被覆率を向上することができる。
【0064】
次いで、ウエハWを回転させながら、気体ノズル53をウエハWの中心部から周縁部に移動させつつ、気体ノズル53からウエハWの表面にN2ガスを供給する(ステップS−8:除去工程)。このように構成することにより、ウエハWの表面の全面に、鉛直方向からのN2ガスの吹き付けることができるため、余剰な密着剤を迅速に除去することができる。また、ウエハWの表面の全面に、鉛直方向からN2ガスを吹き付けることにより、密着剤であるシランカップリング剤の液膜を薄くして加水分解を促進すると共に、加水分解したシランカップリング剤の水酸基とウエハWの水酸基の接触機会を増加させて、ウエハWの表面とシランカップリング剤の化学結合を促進して、ウエハWの表面のシランカップリング剤による被覆率を向上することができる。
【0065】
次いで、ウエハWは、搬送機構21により塗布ユニット(COT)外に搬出された後(ステップS−9)、加熱ユニット(HP)に搬入される。ウエハWは加熱ユニット(HP)において、所定の温度例えば150℃の温度にて加熱され、ウエハWの表面に密着剤を化学結合して密着膜Cを形成することができる(ステップS−10:加熱工程)。加熱ユニット(HP)において処理されたウエハWは、搬送機構21により冷却ユニット(COL)に搬送され、所定の温度例えば23℃まで冷却される(ステップS−11:冷却工程)。
【0066】
図7に示すように、加熱処理をする前のウエハWの表面においては、密着剤であるシランカップリング剤の加水分解性基を加水分解して形成された水酸基と、ウエハWの表面に形成された水酸基が水素結合により結合されている。その後、ウエハWを加熱処理することにより、シランカップリング剤は、加水分解により形成された水酸基が、ウエハWの表面に形成された水酸基と脱水縮合を生ぜしめて、シランカップリング剤とウエハWが共有結合により強固に結合することができる。一方、密着膜Cの表面側には、シランカップリング剤の反応性官能基(α)が配置される。
【0067】
次いで、冷却ユニット(COL)において冷却されたウエハWは、搬送機構21により洗浄ユニット(RINSE)に搬送され、コントローラ7は、図示しない回転駆動機構によりウエハWを回転させながら、図示しないリンスノズルによるウエハの表面に洗浄液を供給して洗浄する(ステップS−12:洗浄工程)。次いで、回転駆動機構の駆動によりウエハWを高速回転にしてウエハWの表面の洗浄液を振り切るスピン乾燥処理を行う(ステップS−13)。このように構成することにより、ウエハWの表面を洗浄してパーティクル等を除去することができる。その後、ウエハWは搬送機構21により、受け渡しユニット(TRS1)に搬入され、搬送機構3によりウエハキャリア1に収納される。
【0068】
上述した第1実施形態に係る基板処理方法及び基板処理装置によれば、ウエハWの表面に供給された密着剤であるシランカップリング剤に、N2ガスを吹き付けることにより、余剰なシランカップリング剤を迅速に除去することができるため、基板処理のスループットを向上させることができる。また、ウエハWの表面に供給されたシランカップリング剤に、気体を吹き付けることにより、ウエハWの表面とシランカップリング剤の化学結合を促進して、ウエハWの表面のシランカップリング剤による被覆率を向上することができるため、ウエハWと塗布膜Cの密着性を向上することができる。
【0069】
図8は、従来のウエハWをスピンして余剰なシランカップリング剤を除去する方法と、この発明に係るシランカップリング剤を除去する方法における膜厚とスピン時間の関係を示すグラフである。
【0070】
従来のウエハWをスピンして余剰なシランカップリング剤を除去する方法では、ウエハWの表面に、シランカップリング剤(オルガノシラン)を供給して液膜を形成した後、ウエハWを回転数:1500rpmにて回転して、振り切りのみによる余剰なシランカップリングの除去を行う(処理条件1)。一方、この発明に係るシランカップリング剤を除去する方法では、ウエハWの表面に、シランカップリング剤(オルガノシラン)を供給して液膜を形成した後、回転数:1500rpmにて回転するウエハWに、気体ノズル53からウエハWの中心部にN2ガスを供給量:5l/minにて供給した後、気体ノズル53をウエハWの中心部から周縁部にスキャン速度:10mm/secで移動させつつ、気体ノズル53からウエハWの表面にN2ガスを供給量:5l/minにて供給して余剰なシランカップリングの除去を行う(処理条件2)。図8中、処理条件1の実験結果を一点鎖線で示し、処理条件2の実験結果を実線で示してある。
【0071】
図8に示すように、処理条件1は、液膜がシランカップリング剤の単分子層の膜厚hとなるまでのスピン時間はt2なのに対し、処理条件2はt1であった。この結果により、この発明に係るシランカップリング剤を除去する方法(処理条件2)の方が、余剰なシランカップリング剤を迅速に除去することができることが判った。
【0072】
次に、処理条件1,2により余剰なカップリング剤を除去したウエハWを加熱処理(加熱温度:150℃、加熱時間:60秒)して密着膜Cを形成し、その密着膜Cの水の接触角を測定する実験を行った。その結果、処理条件1の水の接触角の平均値は39度であったのに対し、処理条件2は水の接触角の平均値は49度であった。図7に示すように、密着膜Cの表面側には、シランカップリング剤の疎水性を有する反応性官能基(α)が配置されるため、ウエハWの表面のシランカップリング剤による被覆率と密着膜Cの水の接触角の大きさは比例する。この結果より、この発明に係るシランカップリング剤を除去する方法(処理条件2)の方が、水の接触角が大きいため、ウエハWの表面のシランカップリング剤による被覆率が高い事が判った。
【0073】
なお、上述した第1実施形態においては、ウエハWが例えば他の装置等による例えば酸処理により、ステップS−1の前にウエハWの表面に水酸基が形成される場合は、ウエハWの表面を紫外線処理し、ウエハWの表面に水酸基を形成する工程すなわちステップS−1を省略してもよい。
【0074】
<第2実施形態>
上述した第1実施形態では、気体ノズル53から気体であるN2ガスを供給したが、水蒸気を含む気体を供給してもよい。例えば図9に示すように、気体ノズル53から水蒸気を含むN2ガスを供給してもよい。この場合、第1実施形態におけるステップS−5:供給工程の前に、ウエハWの表面に水蒸気を供給する工程を設けてもよい。
【0075】
図9に示すように、第2実施形態に係る基板処理装置は、気体ノズル53と気体供給源71とを開閉弁V0を介して接続する気体供給管70Aと、気体供給管70Aと水蒸気供給源である水蒸気発生器74とを開閉弁V1を介して接続する水蒸気供給管73と、を具備する。この場合、水蒸気発生器74は、図示しない純水供給源と接続して、純水供給源から供給された水を図示しないヒータにより加熱して水蒸気を生成する。
【0076】
なお、開閉弁V0,V1は、コントローラ7に電気的に接続されており、コントローラ7に予め記憶された制御信号に基づいて開閉弁V0,V1の開閉駆動、ポンプP1の駆動が行われるように構成されている。コントローラ7は、開閉弁V0、V1の開閉駆動を制御することにより、気体ノズル53からウエハWの表面への水蒸気を含むN2ガスの供給の制御が可能となる。
【0077】
なお、第2実施形態において、その他の構成は第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0078】
次に、上記のように構成される第2実施形態に係る基板処理装置によるウエハWの処理について説明する。図10は、第2実施形態に係る基板処理装置における基板処理方法の手順を示すフローチャートであって、矢印の方向にステップが進行する。
【0079】
ウエハキャリア1から搬送機構3によりウエハWが取り出され、第1実施形態と同様にして紫外線照射ユニット(UV)に搬送される。紫外線照射ユニット(UV)に搬送されたウエハWは、表面を紫外線処理され、ウエハWの表面に水酸基が形成される(ステップS2−1)。
【0080】
次いで、ウエハWは、搬送機構21により塗布ユニット(COT)内に搬入される(ステップS2−2)。塗布ユニット(COT)内に搬入されたウエハWは、スピンチャック40上に搬送され、スピンチャック40にて保持される。コントローラ7は、ウエハWを回転駆動機構42の駆動によって回転すると共に(ステップS2−3)、ノズル移動機構56Aを駆動して気体ノズル53をウエハWの周縁部から中心部の上方位置に移動する(ステップS2−4)。
【0081】
次いで、ウエハWを回転させながら、気体ノズル53からウエハWの中心部に水蒸気を含むN2ガスを供給する(ステップS2−5)。このように構成することにより、ウエハWの表面に水分子を配置することができる。
【0082】
次いで、ノズル移動機構56Aを駆動して密着剤ノズル52をウエハWの中心部の上方位置に移動する(ステップS2−6)。
【0083】
次いで、ウエハWを回転させながら、密着剤ノズル52からウエハWの中心部に密着剤を供給(吐出)する(ステップS2−7:供給工程)。ウエハWの表面上には、密着剤の液膜が形成される。この場合、ウエハWの表面に供給された密着剤であるシランカップリング剤は、ステップS2−5によりウエハWの表面に配置された水分子との加水分解により、反応性に富む官能基である水酸基を形成することができる。
【0084】
次いで、コントローラ7は、ノズル移動機構56Aを駆動して気体ノズル53をウエハWの中心部の上方位置に移動する(ステップS2−8)。次いで、ウエハWを回転させながら、気体ノズル53からウエハWの中心部に水蒸気を含むN2ガスを供給する(ステップS2−9:除去工程)。このように構成することにより、気体ノズル53から供給される水蒸気により、密着剤であるシランカップリング剤の加水分解を促進することができる。また、ウエハWの表面に供給された密着剤に、水蒸気を含むN2ガスを吹き付けることにより、余剰な密着剤を迅速に除去することができる。また、水蒸気を含むN2ガスを吹き付けることにより、密着剤であるシランカップリング剤の液膜を薄くして加水分解を促進すると共に、加水分解したシランカップリング剤の水酸基とウエハWの水酸基の接触機会を増加させて、ウエハWの表面とシランカップリング剤の化学結合を促進して、ウエハWの表面のシランカップリング剤による被覆率を向上することができる。
【0085】
次いで、ウエハWを回転させながら、気体ノズル53をウエハWの中心部から周縁部に移動させつつ、気体ノズル53からウエハWの表面に水蒸気を含むN2ガスを供給する(ステップS2−10:除去工程)。このように構成することにより、ウエハWの表面の全面に鉛直方向からの水蒸気を吹き付けて、密着剤であるシランカップリング剤の加水分解を促進することができる。また、ウエハWの表面の全面に、鉛直方向から水蒸気を含むN2ガスを吹き付けることができるため、余剰な密着剤を迅速に除去することができる。また、ウエハWの表面の全面に、鉛直方向から水蒸気を含むN2ガスを吹き付けることにより、密着剤であるシランカップリング剤の液膜を薄くして加水分解を促進すると共に、加水分解したシランカップリング剤の水酸基とウエハWの水酸基の接触機会を増加させて、ウエハWの表面とシランカップリング剤の化学結合を促進して、ウエハWの表面のシランカップリング剤による被覆率を向上することができる。
【0086】
次いで、ウエハWは第1実施形態と同様に、塗布ユニット(COT)外に搬出された後(ステップS2−11)、加熱処理され(ステップS2−12:加熱工程)、次いで冷却処理され(ステップS2−13:冷却工程)、次いで洗浄処理され(ステップS2−14:洗浄工程)、次いで、乾燥処理され(ステップS2−15)、その後、ウエハキャリア1に戻される。
【0087】
上述した第2実施形態における基板の処理方法及び基板の処理装置によれば、第1実施形態の効果に加え、ステップS2−9,S2−10:除去工程において、水蒸気を含む気体をウエハWの表面に供給するため、ウエハWの表面に供給されたシランカップリング剤の加水分解を促進することができる。このため、ウエハWと密着剤であるシランカップリング剤との結合を促進することができるため、更に基板処理のスループットを向上させることができると共に、ウエハWと塗布膜Cの密着性を向上することができる。
【0088】
また、ステップS2−7:供給工程の前に、ウエハWの表面に水蒸気を供給する工程(ステップS2−5)を設けることにより、ウエハWの表面に供給されたシランカップリング剤の加水分解を促進することができる。このため、ウエハWと密着剤であるシランカップリング剤との結合を促進することができるため、更に基板処理のスループットを向上させることができると共に、ウエハWと塗布膜Cの密着性を向上することができる。
【0089】
なお、上述した第2実施形態においては、ステップS2−7:供給工程の前に、気体ノズル53をウエハWの周縁部から中心部の上方位置に移動し、気体ノズル53からウエハWの中心部に水蒸気を含むN2ガスを供給する工程、すなわちステップS2−4及びステップS2−5の工程を行ったが、ステップS2−4及びステップS2−5の工程は省略してもよい。
【0090】
また、上述した第2実施形態においては、ウエハWが例えば他の装置等による例えば酸処理により、ステップS2−1の前にウエハWの表面に水酸基が形成されている場合は、ウエハWの表面を紫外線処理し、ウエハWの表面に水酸基を形成する工程すなわちステップS2−1を省略してもよい。
【0091】
<第3実施形態>
上述した第1実施形態では、ウエハWの表面に密着剤ノズル52から密着剤であるシランカップリング剤を供給したが、水を混合した密着剤を供給してもよい。
【0092】
この場合、図4に示す密着剤供給源61には、水を混合した密着剤であるシランカップリング剤(以下シランカップリング剤の水溶液という)が貯留されている。この場合、シランカップリング剤の濃度は例えば1%に設定されている。シランカップリング剤の加水分解性基は加水分解により、反応性に富む官能基である水酸基を形成することができる(図7参照)。このため、密着剤供給源61内のシランカップリング剤は加水分解されて水酸基が形成された状態である。
【0093】
なお、第3実施形態において、その他の構成は第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0094】
上述した第3実施形態における基板の処理方法及び基板の処理装置によれば、第1実施形態の効果に加え、図6に二点鎖線で示すように、ステップS−5−2:供給工程において、ウエハWの表面にシランカップリング剤の水溶液を供給することにより、加水分解により反応性に富む官能基である水酸基が形成されたシランカップリング剤を供給することができる。このため、ウエハWと密着剤であるシランカップリング剤との結合を促進することができるため、更に基板処理のスループットを向上させることができると共に、ウエハWと塗布膜Cの密着性を向上することができる。
【0095】
なお、上述した第3実施形態では、シランカップリング剤の水溶液を密着剤供給源61に貯留したが、水と密着剤であるシランカップリング剤は、密着剤ノズル52から供給する直前に混合してもよい。
【0096】
例えば、図11に示すように、密着剤ノズル52と密着剤供給源61とをポンプP1を介して接続する密着剤供給管60Aと、ポンプP1の二次側の密着剤供給管60Aに介設されるスタティックミキサー62と、スタティックミキサー62と純水供給源63とをポンプP2を介して接続する純水供給管64と、を具備する。スタティックミキサー62は、密着剤供給源61から供給されたシランカップリング剤と、純水供給源63から供給された純水を撹拌混合する。
【0097】
スタティックミキサー62に、シランカップリング剤と純水を供給して撹拌混合することにより、シランカップリング剤を加水分解して反応性に富む官能基である水酸基を形成することができる。
【0098】
このように、ウエハWへの供給の直前にシランカップリング剤と純水を撹拌混合することにより、保存安定性の低いシランカップリング剤の加水分解物を、密着剤ノズル52から供給する直前に生成することができる。
【0099】
なお、上述した第3実施形態においては、ステップS−7,S−8:除去工程において、気体ノズル53からウエハWにN2ガスを供給したが、気体ノズル53から水蒸気を含むN2ガスを供給してもよい。この場合、第3実施形態の基板処理装置に、上述した図9に示す構成を更に具備すればよい。
【0100】
このように構成することにより、第3実施形態の効果に加え、ステップS−7,S−8:除去工程において、水蒸気を含む気体をウエハWの表面に供給するため、ウエハWの表面に供給されたシランカップリング剤の加水分解を促進することができる。このため、ウエハWと密着剤であるシランカップリング剤との結合を促進することができるため、更に基板処理のスループットを向上させることができると共に、ウエハWと塗布膜Cの密着性を向上することができる。
【0101】
<第4実施形態>
上述した第1実施形態では、密着剤であるシランカップリング剤は、空気中の水分子との加水分解により、反応性に富む官能基である水酸基を形成したが、ステップS−5:供給工程及びステップS−7,S−8:除去工程を加湿雰囲気で行い、密着剤であるシランカップリング剤の加水分解を促進させてもよい。例えば図12に示すように、塗布ユニット(COT)内を加湿雰囲気に形成可能な加湿ユニット(MOS)を更に具備してもよい。
【0102】
図12に示すように、第4実施形態に係る基板処理装置は、塗布ユニット(COT)の上層に、塗布ユニット(COT)内を加湿雰囲気に形成可能な加湿ユニット(MOS)が重ねられている。加湿ユニット(MOS)は、塗布ユニット(COT)と図示しない管路で連結されており、塗布ユニット(COT)内を水蒸気により加湿して例えば温度23℃、湿度60%に維持することができる。
【0103】
なお、第4実施形態において、その他の構成は第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0104】
第4実施形態において、塗布ユニット(COT)内は、加湿ユニット(MOS)によって、水蒸気により加湿して湿度60%に維持されており、第1実施形態におけるステップS−5:供給工程、ステップS−7,S−8:除去工程を、加湿雰囲気化で行うことができる。このため、ウエハWの表面に供給中の密着剤であるシランカップリング剤及びウエハWの表面に供給されたシランカップリング剤は、空気中の水分子に加えて、加湿ユニット(MOS)から供給された水分子との加水分解により、反応性に富む官能基である水酸基を形成することができる。
【0105】
上述した第4実施形態における基板の処理方法及び基板の処理装置によれば、第1実施形態の効果に加え、ステップS−5:供給工程及びステップS−7,S−8:除去工程を加湿雰囲気で行うため、ウエハWの表面に供給中のシランカップリング剤及びウエハWの表面に供給されたシランカップリング剤の加水分解を促進することができる。このため、ウエハWと密着剤であるシランカップリング剤との結合を促進することができるため、更に基板処理のスループットを向上させることができると共に、ウエハWと塗布膜Cの密着性を向上することができる。
【0106】
なお、上述した第4実施形態に係る基板処理装置は、第1実施形態に係る基板処理装置に、塗布ユニット(COT)内を加湿雰囲気に形成可能な加湿ユニット(MOS)を備えたが、第2,3実施形態に係る基板処理装置に加湿ユニット(MOS)を備えてもよい。
【0107】
<第5実施形態>
上述した第1実施形態では、ステップS−5:供給工程において、密着剤ノズル52からウエハWの中心部に液状の密着剤を供給したが、密着剤のミストをウエハWの表面に供給してもよい。例えば図13に示すように、密着剤供給ノズル(以下にスプレーノズル52A)から、密着剤のミストを供給してもよい。
【0108】
図13に示すように、第2実施形態に係る基板処理装置は、基板保持部に保持されたウエハWの表面に対してミスト状の密着剤を供給するスプレーノズル52Aを備えている。スプレーノズル52Aは、ポンプP1を介設した密着剤供給管60を介して密着剤供給源61に接続されている。スプレーノズル52Aは、密着剤供給源61から供給された密着剤であるシランカップリング剤を含む溶液を、ウエハWの表面にミスト状に供給することができる。
【0109】
なお、第5実施形態において、その他の構成は第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0110】
上述した第5実施形態における基板の処理方法及び基板の処理装置によれば、第1実施形態の効果に加え、ステップS−5:供給工程において、ウエハWの表面に密着剤であるシランカップリング剤のミストを供給することにより、密着剤であるシランカップリング剤の各分子が気体と近接するため、気体に含まれる水分子により、シランカップリング剤の加水分解を促進することができる。このため、ウエハWと密着剤であるシランカップリング剤との結合を促進することができるため、更に基板処理のスループットを向上させることができると共に、ウエハWと塗布膜Cの密着性を向上することができる。
【0111】
なお、上述した第5実施形態に係る基板処理装置は、第1実施形態に係る基板処理装置に、スプレーノズル52Aを備えて密着剤のミストを供給したが、第2〜4実施形態に係る基板処理装置にスプレーノズル52Aを備えて、密着剤のミストを供給してもよい。
【0112】
<第6実施形態>
上述した第1実施形態において、この発明に係るに係る基板処理装置は単独の装置であったが、この発明に係るに係る基板処理装置は、図14,15に示すように、インプリントシステムに適用されることができる。
【0113】
図14,15に示すように、インプリントシステムは、ウエハWを複数枚例えば25枚密閉収納するウエハキャリア1を搬出入するためのウエハキャリアステーション10と、このウエハキャリアステーション10から取り出されたウエハWに密着剤供給処理等を施すウエハ処理ステーション20Aと、ウエハWの表面に形成された密着膜Cの少なくとも一部の表面に形成された塗布膜(レジスト膜R)に、凹凸パターンが設けられた転写面Maを備えるテンプレートMの転写面Maを転写するインプリント処理を行うインプリントステーション80と、処理ステーション20Aとインプリントステーション80との間に接続されて、ウエハWの受け渡しを行う搬送ステーション90と、で主要部が構成されている。
【0114】
この場合、ウエハキャリアステーション10の奥側には筐体27Aにて周囲を囲まれるウエハ処理ステーション20Aが接続されており、ウエハ処理ステーション20Aは、図14に示すように、中心部には、垂直移動機構22によって垂直移動可能な搬送機構21が設けられ、この搬送機構21の周りに配置される多段ブロックG1,G2,G3、G4Aに、全ての処理ユニットが配置されている。図15に示すように、多段ブロックG4Aには、加熱ユニット(HP)、冷却ユニット(COL)、搬送機構21との間でウエハWの受け渡しを行う受け渡しユニット(TRS2)、紫外線照射ユニット(UV)、洗浄ユニット(RINSE)が、垂直方向に例えば9段に重ねられている。
【0115】
搬送ステーション90は、処理ステーション20Aとインプリントステーション80との間に設けられる搬送室91にて構成されており、アームを有する搬送機構92が設けられている。また、搬送室91には、搬送機構92を挟んで左右両側に、複数例えば25枚のウエハWを一時的に収容するバッファユニット(BUF)が設けられている。
【0116】
また、搬送機構92は、ウエハ処理ステーション20A側の多段ブロックG4Aに属する受け渡しユニット(TRS2)と、後述するインプリントステーション80側の多段ユニットG5に属する受け渡しユニット(TRS3)との間で、ウエハWの受け渡しを行うように、水平のX,Y方向及び鉛直のZ方向に移動自在、並びに鉛直軸回りに回転自在に移動自在に構成されている。
【0117】
搬送ステーション90の奥側には筐体81にて周囲を囲まれるインプリントステーション80が接続されている。インプリントステーション80は、図14に示すように、中央にウエハWの搬送領域が形成されており、この搬送領域の周りには多段ブロックG5及びインプリントブロックNが配置されている。
【0118】
搬送ステーション90に隣接して配置される多段ブロックG5には、図15に示すように、搬送機構92との間でウエハWの受け渡しを行う受け渡しユニット(TRS3)、複数例えば25枚のウエハWを一時的に収容するバッファユニット(BUF)が設けられ、この場合、図14に示すように、この多段ブロックG5内に積層される各ユニット間でウエハWの受け渡しを行うための昇降自在に形成される搬送機構82が設けられている。
【0119】
また、インプリントステーション80の中央に形成されるウエハWの搬送領域には、アームを有する搬送機構83が設けられている。搬送機構83は、インプリントステーション80側の多段ユニットG5に属する受け渡しユニット(TRS3)と、後述するインプリントブロックNに属する受け渡しユニット(TRS4)との間で、ウエハWの受け渡しを行うように、水平のX,Y方向及び鉛直のZ方向に移動自在、並びに鉛直軸回りに回転自在に移動自在に構成されている。
【0120】
搬送領域の奥手に向かって左右両側には、ウエハWの表面に形成された密着膜Cの少なくとも一部の表面に形成されたレジスト膜Rに、凹凸パターンが設けられた転写面Maを備えるテンプレートMの転写面Maを転写するインプリント処理を行うインプリントブロックNが5個ずつ並列して配置されている。
【0121】
インプリントブロックNは、テンプレートMを複数枚例えば25枚収納するテンプレートキャリア84を載置可能な載置部85と、テンプレートキャリア84と受け渡しユニット(TRS5)との間でテンプレートMを搬送可能な図示しない搬送機構と、インプリント処理を行うインプリントユニット(NIL)と、搬送機構83との間でウエハWの受け渡しを行う受け渡しユニット(TRS4)から主に構成されている。
【0122】
テンプレートキャリア84に収納されるテンプレートMは、例えば図18(a)に示すように、直方体形状であって、凹凸パターンが設けられた正方形状の転写面Maを備える。テンプレートMの材料としては、可視光、近紫外光、紫外線などの光を透過可能な透明材料、例えばガラスが用いられる。また、テンプレートMには凹凸パターンが設けられた転写面Maに、レジスト膜RとテンプレートMの剥離を促進するための離型剤Qを成膜してある。
【0123】
図16に示すように、インプリントユニット(NIL)は筺体100にて周囲を囲まれており、筺体100のテンプレートキャリア84側の側面にはテンプレートMの搬入出口(図示せず)が形成され、搬送領域側の側面にはウエハWの搬入出口(図示せず)が形成されている。
【0124】
筺体100内の底面には、ウエハWが載置されて保持されるウエハ保持部101が設けられている。ウエハWは、密着膜Cが形成された表面が上方を向くようにウエハ保持部101の上面に載置される。ウエハ保持部101内には、ウエハWを下方から支持し昇降させるための昇降ピン102が設けられている。昇降ピン102は、昇降駆動部103により上下動できる。ウエハ保持部101の上面には、当該上面を厚み方向に貫通する貫通孔104が形成されおり、昇降ピン102は、貫通孔104を挿通するようになっている。また、ウエハ保持部101は、当該ウエハ保持部101の下方に設けられた移動機構105により、水平方向に移動可能で、且つ鉛直周りに回転自在である。
【0125】
一方、ウエハ保持部101に保持されたウエハWの上方側には、ウエハWの表面と隙間を介して対向するようにして、昇降及び水平移動可能なレジスト液ノズル106が設けられている。この場合、レジスト液ノズル106は、例えばウエハWの直径寸法と同じかそれよりも長い、ウエハWの直径方向に沿った細長形状を有している。レジスト液ノズル106には、例えばインクジェット方式のノズルが用いられ、レジスト液ノズル106の下部には、長手方向に沿って一列に形成された複数の供給口(図示せず)が形成されている。また、レジスト液ノズル106は、図示しないノズル移動機構により水平方向に移動可能なように構成されている。
【0126】
図16に示すように、筺体100内の天井面であって、ウエハ保持部101の上方には、テンプレートMを保持するテンプレート保持部107が設けられている。すなわち、ウエハ保持部101とテンプレート保持部107は、ウエハ保持部101に載置されたウエハWと、テンプレート保持部107に保持されたテンプレートMが対向するように配置されている。また、テンプレート保持部107は、テンプレートMの裏面の外周部を吸着保持するチャック108を有している。チャック108は、当該チャック108の上方に設けられた移動機構109により、鉛直方向に移動自在で、且つ鉛直周りに回転自在になっている。これにより、テンプレートMは、ウエハ保持部101上のウエハWに対して所定の向きに回転し昇降できる。
【0127】
テンプレート保持部107は、チャック108に保持されたテンプレートMの上方に設けられた光源110を有している。光源110からは、例えば可視光、近紫外光、紫外線などの光が発せられ、この光源110からの光は、テンプレートMを透過して下方に照射される。
【0128】
なお、搬送ステーション90におけるウエハWの搬送、インプリントステーション80における駆動系の動作等、例えばレジスト液ノズル106からのレジスト液の供給タイミング、レジスト液の供給量、レジスト液ノズル106の水平移動、ウエハW及びテンプレートMの移動動作、光源110の点灯等は、あらかじめ記憶された制御プログラムに基づいてコントローラ7により制御されている。
【0129】
なお、第6実施形態において、その他の構成は第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0130】
次に、上記のように構成されるインプリントシステムによるウエハWの処理について説明する。
【0131】
ウエハWは、第1実施形態と同様にウエハキャリア1から取り出され、紫外線照射ユニット(UV)において、表面に水酸基が形成され(ステップS−1)、塗布ユニット(COT)内に搬入される(ステップS−2)。ウエハWを回転駆動機構42の駆動によって回転すると共に(ステップS−3)、ノズル移動機構56Aを駆動して密着剤ノズル52をウエハWの周縁部から中心部の上方位置に移動する(ステップS−4)。
【0132】
次いで、ウエハWを回転させながら、密着剤ノズル52からウエハWの中心部に密着剤であるシランカップリング剤を供給(吐出)する(ステップS−5:供給工程)。次いで、ノズル移動機構56Aを駆動して気体ノズル53をウエハWの中心部の上方位置に移動する(ステップS−6)。次いで、ウエハWを回転させながら、気体ノズル53からウエハWにN2ガスを供給する(ステップS−7:除去工程)。次いで、ウエハWを回転させながら、気体ノズル53をウエハWの中心部から周縁部に移動させつつ、気体ノズル53からウエハWの表面に気体を供給する(ステップS−8:除去工程)。
【0133】
次いで、ウエハWは、塗布ユニット(COT)外に搬出された後(ステップS−9)、加熱ユニット(HP)にて加熱され、ウエハWの表面に密着剤を化学結合して密着膜Cを形成した後(ステップS−10:加熱工程)、冷却ユニット(COL)に搬送され冷却される(ステップS−11:冷却工程)。次いで、洗浄ユニット(RINSE)にて洗浄された後(ステップS−12:洗浄工程)、スピン乾燥処理を行う(ステップS−13)。なお、上述したステップS−1〜ステップS−13は、第1実施形態と同様に処理されるので、詳細な説明を省略してある。
【0134】
スピン乾燥処理(ステップS−13)がなされたウエハWは、搬送機構21により、多段ブロックG4Aに属する受け渡しユニット(TRS2)に搬送される。次いで、搬送機構92により搬送され、搬送ステーション90を通過して、インプリントステーション80内の多段ブロックG5に属する受け渡しユニット(TRS3)に搬送される。その後、搬送機構83によって、インプリントブロックNの受け渡しユニット(TRS4)に搬送され、図示しない搬送手段によって、インプリントユニット(NIL)内に搬入される。インプリントユニット(NIL)に搬入されたウエハWは、昇降ピン102に受け渡され、ウエハ保持部101上に載置され保持される。
【0135】
一方、ウエハWに密着膜Cを形成して、インプリントユニット(NIL)へ搬送する間に、テンプレートキャリア84から、図示しない搬送機構により、離型剤Qが成膜されたテンプレートMが取りされ、受け渡しユニット(TRS5)に搬送される。その後、図示しない搬送機構によって、テンプレートMはインプリントユニット(NIL)内に搬送され、テンプレート保持部107のチャック108に吸着保持される。
【0136】
ウエハWとテンプレートMがインプリントユニット(NIL)内に搬送されると、ウエハ保持部101に保持されたウエハWを水平方向の所定の位置に移動させて位置合わせ行う。図17に示すように、ウエハWの表面には、テンプレートMの転写面Maの表面積に対応して正方形状の転写位置D1〜D104があらかじめ決定されており、コントローラ7は、レジスト液ノズル106をウエハWの転写位置D1〜D4の行の上方に移動した後、ウエハWの転写位置D1〜D4にレジスト液を塗布し、転写位置D1〜D4に、この発明における塗布膜としてのレジスト膜Rを形成する(図18(a)参照)。ウエハWの表面には、密着膜Cが形成されているため、レジスト膜RはウエハWの表面に形成された密着膜Cの一部の表面に形成される。この際、コントローラ7により、レジスト液ノズル106から供給されるレジスト液の供給タイミングや供給量等が制御される。
【0137】
ウエハWの転写位置D1〜D4上にレジスト膜Rが形成されると、コントローラ7は、ウエハ保持部101に保持されたウエハWを水平方向の所定の位置に移動させて、テンプレートMが転写位置D1の上方に配置されるように位置合わせを行うと共に、テンプレート保持部107に保持されたテンプレートMを所定の向きに回転させる。そして、図18(a)の矢印に示すようにテンプレートMをウエハW側の転写位置D1に向けて下降させる。テンプレートMは所定の位置まで下降し、テンプレートMの転写面MaがウエハWの表面に形成された密着膜Cの表面に形成されたレジスト膜Rに押し付けられる。なお、この所定の位置は、ウエハW上に形成されるレジストパターンPの高さに基づいて設定される。
【0138】
次いで、光源110から光が照射される。光源110からの光は、図18(b)に示すようにテンプレートMを透過してウエハW上のレジスト膜Rに照射され、これによりレジスト膜Rは光重合する。このようにして、ウエハWの転写位置D1に配置されたレジスト膜RにテンプレートMの転写面Maが転写され、レジストパターンPが形成される。
【0139】
次いで、図18(c)に示すように、テンプレートMを上昇させて、ウエハW上にレジストパターンPを形成する。このとき、ウエハの表面には密着膜Cが形成されているので、ウエハW上のレジスト成分がテンプレートMの転写面Maに付着することはない。
【0140】
なぜならば、密着膜Cを形成するシランカップリング剤の加水分解により形成された水酸基が、ウエハWの表面に形成された水酸基と脱水縮合を生ぜしめて、シランカップリング剤とウエハWを共有結合により強固に結合していると共に、シランカップリング剤の反応性官能基(α)は、レジスト膜Rと強固に結合しているため、ウエハWとレジスト膜を強固に密着させているからである。
【0141】
次いで、転写位置D1と同様に、転写位置D2〜D4に塗布されたレジスト膜Rに、順次テンプレートMを押し付けてレジストパターンPを形成する。
【0142】
転写位置D1〜D4にレジストパターンPを形成した後、レジスト液ノズル106をウエハWの転写位置D5〜D10の列(図17参照)の上方に移動させ、転写位置D5〜D10にレジスト液を塗布してレジスト膜Rを形成する。その後、転写位置D5〜D10に順次テンプレートMを押し付けてレジストパターンPを形成する。
【0143】
このようにして、ウエハWの左上端の転写位置D1から順に転写位置D104(図17参照)まで順次転写を行い、1枚のウエハWにおいて例えば104回のインプリント処理を実行する。
【0144】
インプリント処理がなされたウエハWは、昇降ピン32により図示しない搬送機構に受け渡され、インプリントユニット(NIL)から搬出され、搬入ステーション90及びウエハ処理ステーション80を介して、ウエハキャリア1に戻される。
【0145】
一方、インプリント処理を終えたテンプレートMは、図示しない搬送機構を介してテンプレートキャリア84に搬送される。なお、テンプレートMを交換するタイミングは、テンプレートMの劣化等を考慮して設定される。また、ウエハWに異なるレジストパターンPを形成する場合にも、テンプレートMが交換される。例えばウエハW1枚の処理毎にテンプレートMを交換してもよいし、例えば1ロット毎にテンプレートMを交換してもよい。
【0146】
上述した第6実施形態におけるインプリントシステムによれば、この発明に係る基板処理方法及び基板処理装置が適用されているため、ウエハWの表面に供給された密着剤であるシランカップリング剤に、N2ガスを吹き付けることにより、余剰なシランカップリング剤を迅速に除去することができるため、基板処理のスループットを向上させることができる。また、ウエハWの表面に供給されたシランカップリング剤に、気体を吹き付けることにより、ウエハWの表面とシランカップリング剤の化学結合を促進して、ウエハWの表面のシランカップリング剤による被覆率を向上することができるため、ウエハWと塗布膜Cの密着性を向上することができる。
【0147】
なお、上述した第6実施形態におけるインプリントシステムには、第1実施形態に係る基板処理装置を適用したが、他の実施形態すなわち第2〜5実施形態に係る基板処理装置を適用することができる。
【0148】
<第7実施形態>
上述した第6実施形態におけるインプリントシステムにおいては、凹凸パターンが設けられた転写面Maに、レジスト膜RとテンプレートMの剥離を促進するための離型膜Qが成膜してあるテンプレートMを用いてインプリント処理を行ったが、インプリントシステム内でテンプレートMの凹凸パターンが設けられた転写面Maに、レジスト膜RとテンプレートMの剥離を促進するための離型膜Qを成膜する処理を行ってもよい。例えば、図19,20に示すように、テンプレートMに離型剤供給処理等を施すテンプレート処理ステーション120を備えてもよい。
【0149】
図19,20に示すように、第7実施形態に係るインプリントシステムは、ウエハキャリアステーション10と、ウエハ処理ステーション20Aと、ウエハキャリアステーション10及びウエハ処理ステーション20Aに積層され、テンプレートMを複数枚例えば25枚収納するテンプレートキャリア131を搬出入するためのテンプレートキャリアステーション130と、このテンプレートキャリアステーション130から取り出されたテンプレートMに離型剤供給処理等を施すテンプレート処理ステーション120と、インプリントステーション80Aと、ウエハ処理ステーション20A及びテンプレート処理ステーション120とインプリントステーション80Aとの間に接続されて、ウエハW及びテンプレートMの受け渡しを行う搬送ステーション90Aと、で主要部が構成されている。
【0150】
テンプレートキャリアステーション130は、テンプレートキャリア131を複数個並べて載置可能な載置部132と、この載置部132から見て前方の壁面に設けられる開閉部(図示せず)と、開閉部を介してテンプレートキャリア131からテンプレートMを取り出すための搬送機構133とが設けられている。この搬送機構133は、テンプレートキャリア131と、後述するテンプレート処理ステーション120側の多段ユニットG8に属する受け渡しユニット(図示せず)との間で、ウエハWの受け渡しを行うように、水平のX,Y方向及び鉛直のZ方向に移動自在、並びに鉛直軸回りに回転自在に移動自在に構成されている。
【0151】
テンプレートキャリアステーション130の奥側には筐体121にて周囲を囲まれるテンプレート処理ステーション120が接続されている。テンプレート処理ステーション120は、図20に示すように、中心部に、垂直移動機構123によって垂直移動可能な搬送機構122が設けられ、この搬送機構122の周りに配置される多段ブロックG6,G7,G8,G9,G10,G11に、全ての処理ユニットが配置されている。この搬送機構122は、多段ブロックG6,G7,G8,G9,G10,G11に属する処理ユニットの間で、ウエハWの受け渡しを行うように、水平のX,Y方向及び鉛直のZ方向に移動自在、並びに鉛直軸回りに回転自在に移動自在に構成されている。この場合、多段ブロックG6,G7は右側面側に並列され、多段ブロックG8はテンプレートキャリアステーション130に隣接して配置され、多段ブロックG9は搬送ステーション90Aに隣接して配置され、多段ブロックG10,G11は左側面側に並列されている。
【0152】
この場合、多段ブロックG6には、テンプレートMの転写面Maに液体状の離型剤Qを塗布する離型剤塗布ユニット(図示せず)、テンプレートMの転写面Maの離型剤Qをリンスするリンスユニット(図示せず)が重ねられている。多段ブロックG7も同様に、離型剤塗布ユニット(図示せず)、リンスユニット(図示せず)が重ねられている。
【0153】
また、多段ブロックG8には、テンプレートMに対して紫外線を照射し、テンプレートMの転写面Maに離型剤Qが成膜される前の転写面Maを洗浄する前洗浄ユニット(図示せず)、テンプレートMの温度を調節する温度調節ユニット(図示せず)、テンプレートMの受け渡しを行うための受け渡しユニット(図示せず)、テンプレートMを加熱処理する加熱ユニット(図示せず)が重ねられている。更に、多段ブロックG9にも、多段ブロックG8と同様に、前洗浄ユニット(図示せず)、温度調節ユニット(図示せず)、受け渡しユニット(図示せず)、加熱ユニット(図示せず)が重ねられている。
【0154】
また、多段ブロックG10には、使用後のテンプレートMの転写面Maを洗浄する後洗浄ユニット(図示せず)、洗浄後のテンプレートMの転写面Maを検査する検査ユニット(図示せず)が重ねられている。更に、多段ブロックG11にも、多段ブロック10と同様に、後洗浄ユニット(図示せず)、検査ユニット(図示せず)が重ねられている。
【0155】
搬送ステーション90Aは、ウエハ処理ステーション20A及びテンプレート処理ステーション120とインプリントステーション80Aとの間に設けられる搬送室93にて構成されており、搬送室93には、テンプレートMを搬送するアームを有する搬送機構94と、ウエハWを搬送するアームを有する搬送機構92が設けられている。また、搬送室93には、搬送機構94を挟んで左側に、複数例えば25枚のテンプレートMを一時的に収容するバッファユニット(BUF)が設けられ、右側にテンプレートMの表裏面を反転させる反転ユニット(TUR)が配置されている(図20参照)。また、バッファユニット(BUF)と反転ユニット(TUR)の下方には、第6実施形態と同様に、複数例えば25枚のウエハWを一時的に収容するバッファユニット(BUF)が配置されている(図19参照)。
【0156】
また、搬送機構94は、テンプレート処理ステーション120側の多段ブロックG9に属する受け渡しユニットと、後述するインプリントステーション80A側の多段ユニットG12に属する受け渡しユニット(TRS6)との間で、テンプレートMの受け渡しを行うように、水平のX,Y方向及び鉛直のZ方向に移動自在、並びに鉛直軸回りに回転自在に移動自在に構成されている。
【0157】
また、搬送機構92は、第6実施形態と同様に構成され、ウエハ処理ステーション20A側の多段ブロックG4Aに属する受け渡しユニット(TRS2)と、後述するインプリントステーション80A側の多段ユニットG5に属する受け渡しユニット(TRS3)との間で、ウエハWの受け渡しを行う。
【0158】
搬送ステーション90Aの奥側には筐体81Aにて周囲を囲まれるインプリントステーション80Aが接続されている。インプリントステーション80Aは、図20に示すように、中央にウエハW及びテンプレートMの搬送領域が形成されており、この搬送領域の周りには多段ブロックG5,G12及びインプリントブロックN2が配置されている。
【0159】
搬送ステーション90Aに隣接して配置される多段ブロックG12には、搬送機構94との間でテンプレートMの受け渡しを行う受け渡しユニット(TRS6)、複数例えば25枚のテンプレートMを一時的に収容するバッファユニット(BUF)が設けられ、この多段ブロックG12内に積層される各ユニット間でウエハWの受け渡しを行うための昇降自在に形成される搬送機構86が設けられている(図20参照)。なお、多段ブロックG5は、第6実施形態と同様に構成される。
【0160】
また、インプリントステーション80Aの中央に形成されるウエハW及びテンプレートMの搬送領域には、アームを有する搬送機構83,87が設けられている。テンプレートMを搬送する搬送機構87は、インプリントステーション80A側の多段ユニットG12に属する受け渡しユニット(TRS6)と、後述するインプリントブロックN2に属する受け渡しユニット(TRS7)との間で、ウエハWの受け渡しを行うように、水平のX,Y方向及び鉛直のZ方向に移動自在、並びに鉛直軸回りに回転自在に移動自在に構成されている。
【0161】
一方、ウエハを搬送する搬送機構83は、第6実施形態と同様に、インプリントステーション80A側の多段ユニットG5に属する受け渡しユニット(TRS3)と、後述するインプリントブロックに属する受け渡しユニット(TRS7)との間で、ウエハWの受け渡しを行う。
【0162】
搬送領域の奥手に向かって左右両側には、ウエハWの表面に形成された密着膜Cの少なくとも一部の表面に形成されたレジスト膜Rに、凹凸パターンが設けられた転写面Maを備えるテンプレートMの転写面Maを転写するインプリント処理を行うインプリントブロックN2が5個ずつ並列して配置されている。
【0163】
図20に示すように、インプリントブロックN2は、インプリント処理を行うインプリントユニット(NIL2)と、搬送機構83,87との間でウエハW及びテンプレートMの受け渡しを行う受け渡しユニット(TRS7)から主に構成されている。
【0164】
インプリントユニット(NIL2)は図示しない筺体にて周囲を囲まれており、筺体の搬送領域側の側面に、テンプレートMの搬入出口(図示せず)とウエハWの搬入出口(図示せず)が形成されている。なお、インプリントユニット(NIL2)のその他の構成は第6実施形態と同じである。
【0165】
なお、第7実施形態おいて、その他の構成は第6実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0166】
次に、上記のように構成される第7実施形態に係るインプリントシステムによるテンプレートM及びウエハWの処理について説明する。
【0167】
テンプレートキャリア131から搬送機構133により取り出されたテンプレートMは、搬送機構122によって、前洗浄ユニットに搬送され、紫外線を照射して洗浄される。その後、テンプレートMは離型剤塗布ユニットに搬送され、テンプレートMの転写面Ma全面に離型剤Qを塗布する(図21(a)参照)。この場合、離型剤Qとして、例えばフッ素炭化系化合物等を用いる。
【0168】
次いで、テンプレートMは、加熱ユニットに搬送され、例えば200℃に加熱してテンプレートM上の離型剤Qが焼成される(図21(b)参照)。次いで、温度調節ユニットに搬送され、テンプレートMが所定の温度に調節される。
【0169】
その後、テンプレートMは、リンスユニットに搬送され、例えば有機溶剤に浸漬して離型剤Qの未反応部のみが剥離され、転写面Maに沿った離型剤Qが成膜する。次いで、気体ガスをテンプレートMに吹き付け、その転写面Maを乾燥させる。(図21(c)参照)なお、離型剤Qの未反応部とは、離型剤QがテンプレートMの転写面Maと化学反応して当該転写面Maと吸着する部分以外をいう。
【0170】
その後、搬送機構122によって、テンプレートMはブロックG9の受け渡しユニットに搬送される。次いで、テンプレートMは、搬送ステーション90Aの搬送機構94によって、反転ユニット(TUR)に搬送されて、テンプレートMの表裏面が反転される。その後、テンプレートMは、搬送機構94によってインプリントステーション80Aの多段ブロックG12に属する受け渡しユニット(TRS6)に搬送される。その後、搬送機構87によって、インプリントブロックN2の受け渡しユニット(TRS7)に搬送され、図示しない搬送機構によってインプリントユニット(NIL2)内に搬送され、テンプレート保持部107のチャック108に吸着保持される。
【0171】
一方、テンプレート処理ステーション120においてテンプレートMに離型剤処理を行い、インプリントユニット(NIL2)へテンプレートMを搬送している間に、ウエハWは第6実施形態と同様にして処理され、インプリントユニット(NIL2)へ搬送される。
【0172】
ウエハWとテンプレートMがインプリントユニット(NIL2)内に搬送されると、第6実施形態と同様に、ウエハWの表面に形成された密着膜Cの一部の表面に形成されたレジスト膜Rに、凹凸パターンが設けられた転写面Maを備えるテンプレートMの転写面Maを転写するインプリント処理が行われる(図21(d)参照)。インプリント処理がなされたウエハWは、第6実施形態と同様にして、ウエハキャリア1に戻される。
【0173】
一方、上述した処理を終えたテンプレートMは、搬送手段87を介してテンプレート処理ステーション120の後洗浄ユニットに搬送され、後洗浄ユニットにおいて、テンプレートMの転写面Maに紫外線を照射した後、テンプレートMに洗浄液を供給して離型剤Qを除去する(図21(e)参照)。
【0174】
その後、テンプレートMは、搬送機構122によって検査ユニットに搬送される。そして、検査ユニットにおいて、例えば干渉縞の観察等により、テンプレートMの転写面Maが検査される(図21(f)参照)。
【0175】
その後、テンプレートMは、搬送機構122によって多段ユニットG8に属する受渡しユニットに搬送され、搬送機構133によってテンプレートキャリア131に戻される。なお、検査ユニットの検査結果が良好な場合、例えばテンプレートMの転写面Maが適切に洗浄され、且つその転写面Maが劣化していない場合には、テンプレートキャリア131に戻さないでテンプレート処理ステーション120にて再度離型剤処理してインプリント処理に使用してもよい。
【0176】
なお、テンプレートMをインプリントユニット(NIL2)から搬出するタイミングは、テンプレートMの劣化等を考慮して設定される。例えばウエハW1枚の処理毎にテンプレートMを交換してもよいし、例えば1ロット毎にテンプレートMを交換してもよい。
【0177】
上述した第7実施形態におけるインプリントシステムによれば、この発明に係る基板処理方法及び基板処理装置が適用されているため、ウエハWの表面に供給された密着剤であるシランカップリング剤に、N2ガスを吹き付けることにより、余剰なシランカップリング剤を迅速に除去することができるため、基板処理のスループットを向上させることができる。また、ウエハWの表面に供給されたシランカップリング剤に、気体を吹き付けることにより、ウエハWの表面とシランカップリング剤の化学結合を促進して、ウエハWの表面のシランカップリング剤による被覆率を向上することができるため、ウエハWと塗布膜Cの密着性を向上することができる。
【0178】
なお、上述した第7実施形態におけるインプリントシステムには、第1実施形態に係る基板処理装置を適用したが、他の実施形態すなわち第2〜5実施形態に係る基板処理装置を適用することができる。
【0179】
以上、この発明の実施の形態の一例について説明したが、この発明はこの形態に限らず種々の態様を採りうるものである。例えば、基板としてウエハWを用いたが、これに限定されることなく、例えばFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレクチルなどの他の基板であっても適用することができる。
【符号の説明】
【0180】
W ウエハ(基板)
C 密着膜
R 塗布膜(レジスト膜)
M テンプレート
Ma 転写面
P レジストパターン
COT 塗布ユニット
HP 加熱ユニット
COL 冷却ユニット
RINSE 洗浄ユニット
MOS 加湿ユニット
UV 紫外線照射ユニット
7 コントローラ(制御部)
40 スピンチャック(基板保持部)
42 回転駆動機構
52 密着剤ノズル(密着剤供給ノズル)
52A スプレーノズル(密着剤供給ノズル)
53 気体ノズル(気体供給ノズル)
56A ノズル移動機構(気体供給ノズル移動機構)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面に形成された密着膜の少なくとも一部の表面に形成された塗布膜に、凹凸パターンが設けられた転写面を備えるテンプレートの上記転写面を転写するインプリント処理に供する基板の処理方法であって、
上記基板を回転させながら、上記基板の表面に密着剤を供給する供給工程と、
上記基板を回転させながら、上記基板の表面に気体を供給して、余剰な上記密着剤を除去する除去工程と、
を具備することを特徴とする基板の処理方法。
【請求項2】
請求項1記載の基板の処理方法において、
上記供給工程において、上記基板の表面に上記密着剤のミストを供給する、ことを特徴とする基板の処理方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の基板の処理方法において、
上記供給工程において、上記基板の表面に水を混合した上記密着剤を供給する、ことを特徴とする基板の処理方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の基板の処理方法において、
上記除去工程は、気体供給ノズルから上記基板の中心部に気体を供給した後に、上記気体供給ノズルを上記基板の中心部から周縁部に移動させつつ、上記気体供給ノズルから上記基板の表面に気体を供給する、ことを特徴とする基板の処理方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の基板の処理方法において、
上記除去工程において、水蒸気を含む気体を上記基板の表面に供給する、ことを特徴とする基板の処理方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の基板の処理方法において、
上記供給工程及び上記除去工程を加湿雰囲気で行う、ことを特徴とする基板の処理方法。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の基板の処理方法において、
上記供給工程の前に、上記基板の表面に水蒸気を供給する工程、を更に具備する、ことを特徴とする基板の処理方法。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の基板の処理方法において、
上記除去工程の後に、上記基板を所定の温度まで加熱して、上記基板の表面に上記密着剤を化学結合して密着膜を形成する加熱工程、を更に具備する、ことを特徴とする基板の処理方法。
【請求項9】
請求項8記載の基板の処理方法において、
上記加熱工程の後に、上記基板を所定の温度まで冷却する冷却工程、を更に具備する、ことを特徴とする基板の処理方法。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載の基板の処理方法において、
上記除去工程の後に、上記基板に洗浄液を供給して洗浄する洗浄工程、を更に具備する、ことを特徴とする基板の処理方法。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載の基板の処理方法において、
上記供給工程の前に、上記基板の表面を紫外線処理して、上記基板の表面に水酸基を形成する工程、を更に具備する、ことを特徴とする基板の処理方法。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれかに記載の基板の処理方法において、
上記密着剤は、シランカップリング剤である、ことを特徴とする基板の処理方法。
【請求項13】
基板の表面に形成された密着膜の少なくとも一部の表面に形成された塗布膜に、凹凸パターンが設けられた転写面を備えるテンプレートの上記転写面を転写するインプリント処理に供する基板の処理装置であって、
上記基板を回転させながら、上記基板の表面に密着剤を供給すると共に、上記基板の表面に気体を供給して、余剰な上記密着剤を除去する塗布ユニットと、を具備し、
上記塗布ユニットは、
上記基板を水平に保持する基板保持部と、
上記基板保持部を鉛直軸回りに回転させる回転駆動機構と、
上記基板保持部に保持された基板の表面に上記密着剤を供給する密着剤供給ノズルと、
上記基板保持部に保持された上記基板の表面に気体を供給する気体供給ノズルと、
上記密着剤供給ノズルから上記基板への上記密着剤の供給、上記気体供給ノズルから上記基板への気体の供給及び上記回転駆動機構を制御する制御部と、を備え、
上記制御部からの制御信号に基づいて、上記基板を回転させながら、上記密着剤供給ノズルから上記基板の表面に密着剤を供給した後、上記基板を回転させながら、上記気体供給ノズルから、上記基板の表面に気体を供給して余剰な上記密着剤を除去する、ことを特徴とする基板の処理装置。
【請求項14】
請求項13記載の基板の処理装置において、
上記密着剤供給ノズルから、上記基板の表面に上記密着剤のミストを供給する、ことを特徴とする基板の処理装置。
【請求項15】
請求項13又は14記載の基板の処理装置において、
上記密着剤供給ノズルから、上記基板の表面に水を混合した上記密着剤を供給する、ことを特徴とする基板の処理装置。
【請求項16】
請求項13ないし15のいずれかに記載の基板の処理装置において、
上記気体供給ノズルを上記基板の表面に沿った方向に移動可能であって、上記制御部により移動動作が制御される気体供給ノズル移動機構を更に備え、上記制御部は、上記気体供給ノズルから上記基板の中心部に気体を供給した後に、上記気体供給ノズルを上記基板の中心部から周縁部に移動させつつ、上記気体供給ノズルから上記基板に気体を供給する、ことを特徴とする基板の処理装置。
【請求項17】
請求項13ないし16のいずれかに記載の基板の処理装置において、
上記気体供給ノズルから、水蒸気を含む気体を上記基板の表面に供給する、ことを特徴とする基板の処理装置。
【請求項18】
請求項13ないし17のいずれかに記載の基板の処理装置において、
上記塗布ユニット内を加湿雰囲気に形成可能な加湿ユニットを更に具備する、ことを特徴とする基板の処理装置。
【請求項19】
請求項13ないし18のいずれかに記載の基板の処理装置において、
上記制御部は、上記密着剤供給ノズルから上記基板の表面に密着剤を供給する前に、上記基板を回転させながら、上記気体供給ノズルから、上記基板の表面に水蒸気を含む気体を供給する、ことを特徴とする基板の処理装置。
【請求項20】
請求項13ないし19のいずれかに記載の基板の処理装置において、
上記塗布ユニットにおいて処理された上記基板を加熱して、上記基板の表面に上記密着剤を化学結合して密着膜を形成する加熱ユニットを更に具備する、ことを特徴とする基板の処理装置。
【請求項21】
請求項20記載の基板の処理装置において、
上記加熱ユニットにおいて処理された上記基板を所定の温度まで冷却する冷却ユニットを更に具備する、ことを特徴とする基板の処理装置。
【請求項22】
請求項13ないし21のいずれかに記載の基板の処理装置において、
上記塗布ユニットにおいて処理された上記基板に洗浄液を供給して洗浄する洗浄ユニットを更に具備する、ことを特徴とする基板の処理装置。
【請求項23】
請求項13ないし22のいずれかに記載の基板の処理装置において、
上記塗布ユニットにおいて処理前の上記基板の表面を紫外線処理して上記基板の表面に水酸基を形成する紫外線照射ユニットを更に具備する、ことを特徴とする基板の処理装置。
【請求項24】
請求項13ないし23記載の基板の処理装置において、
上記密着剤は、シランカップリング剤である、ことを特徴とする基板の処理装置。
【請求項1】
基板の表面に形成された密着膜の少なくとも一部の表面に形成された塗布膜に、凹凸パターンが設けられた転写面を備えるテンプレートの上記転写面を転写するインプリント処理に供する基板の処理方法であって、
上記基板を回転させながら、上記基板の表面に密着剤を供給する供給工程と、
上記基板を回転させながら、上記基板の表面に気体を供給して、余剰な上記密着剤を除去する除去工程と、
を具備することを特徴とする基板の処理方法。
【請求項2】
請求項1記載の基板の処理方法において、
上記供給工程において、上記基板の表面に上記密着剤のミストを供給する、ことを特徴とする基板の処理方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の基板の処理方法において、
上記供給工程において、上記基板の表面に水を混合した上記密着剤を供給する、ことを特徴とする基板の処理方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の基板の処理方法において、
上記除去工程は、気体供給ノズルから上記基板の中心部に気体を供給した後に、上記気体供給ノズルを上記基板の中心部から周縁部に移動させつつ、上記気体供給ノズルから上記基板の表面に気体を供給する、ことを特徴とする基板の処理方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の基板の処理方法において、
上記除去工程において、水蒸気を含む気体を上記基板の表面に供給する、ことを特徴とする基板の処理方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の基板の処理方法において、
上記供給工程及び上記除去工程を加湿雰囲気で行う、ことを特徴とする基板の処理方法。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の基板の処理方法において、
上記供給工程の前に、上記基板の表面に水蒸気を供給する工程、を更に具備する、ことを特徴とする基板の処理方法。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の基板の処理方法において、
上記除去工程の後に、上記基板を所定の温度まで加熱して、上記基板の表面に上記密着剤を化学結合して密着膜を形成する加熱工程、を更に具備する、ことを特徴とする基板の処理方法。
【請求項9】
請求項8記載の基板の処理方法において、
上記加熱工程の後に、上記基板を所定の温度まで冷却する冷却工程、を更に具備する、ことを特徴とする基板の処理方法。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載の基板の処理方法において、
上記除去工程の後に、上記基板に洗浄液を供給して洗浄する洗浄工程、を更に具備する、ことを特徴とする基板の処理方法。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載の基板の処理方法において、
上記供給工程の前に、上記基板の表面を紫外線処理して、上記基板の表面に水酸基を形成する工程、を更に具備する、ことを特徴とする基板の処理方法。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれかに記載の基板の処理方法において、
上記密着剤は、シランカップリング剤である、ことを特徴とする基板の処理方法。
【請求項13】
基板の表面に形成された密着膜の少なくとも一部の表面に形成された塗布膜に、凹凸パターンが設けられた転写面を備えるテンプレートの上記転写面を転写するインプリント処理に供する基板の処理装置であって、
上記基板を回転させながら、上記基板の表面に密着剤を供給すると共に、上記基板の表面に気体を供給して、余剰な上記密着剤を除去する塗布ユニットと、を具備し、
上記塗布ユニットは、
上記基板を水平に保持する基板保持部と、
上記基板保持部を鉛直軸回りに回転させる回転駆動機構と、
上記基板保持部に保持された基板の表面に上記密着剤を供給する密着剤供給ノズルと、
上記基板保持部に保持された上記基板の表面に気体を供給する気体供給ノズルと、
上記密着剤供給ノズルから上記基板への上記密着剤の供給、上記気体供給ノズルから上記基板への気体の供給及び上記回転駆動機構を制御する制御部と、を備え、
上記制御部からの制御信号に基づいて、上記基板を回転させながら、上記密着剤供給ノズルから上記基板の表面に密着剤を供給した後、上記基板を回転させながら、上記気体供給ノズルから、上記基板の表面に気体を供給して余剰な上記密着剤を除去する、ことを特徴とする基板の処理装置。
【請求項14】
請求項13記載の基板の処理装置において、
上記密着剤供給ノズルから、上記基板の表面に上記密着剤のミストを供給する、ことを特徴とする基板の処理装置。
【請求項15】
請求項13又は14記載の基板の処理装置において、
上記密着剤供給ノズルから、上記基板の表面に水を混合した上記密着剤を供給する、ことを特徴とする基板の処理装置。
【請求項16】
請求項13ないし15のいずれかに記載の基板の処理装置において、
上記気体供給ノズルを上記基板の表面に沿った方向に移動可能であって、上記制御部により移動動作が制御される気体供給ノズル移動機構を更に備え、上記制御部は、上記気体供給ノズルから上記基板の中心部に気体を供給した後に、上記気体供給ノズルを上記基板の中心部から周縁部に移動させつつ、上記気体供給ノズルから上記基板に気体を供給する、ことを特徴とする基板の処理装置。
【請求項17】
請求項13ないし16のいずれかに記載の基板の処理装置において、
上記気体供給ノズルから、水蒸気を含む気体を上記基板の表面に供給する、ことを特徴とする基板の処理装置。
【請求項18】
請求項13ないし17のいずれかに記載の基板の処理装置において、
上記塗布ユニット内を加湿雰囲気に形成可能な加湿ユニットを更に具備する、ことを特徴とする基板の処理装置。
【請求項19】
請求項13ないし18のいずれかに記載の基板の処理装置において、
上記制御部は、上記密着剤供給ノズルから上記基板の表面に密着剤を供給する前に、上記基板を回転させながら、上記気体供給ノズルから、上記基板の表面に水蒸気を含む気体を供給する、ことを特徴とする基板の処理装置。
【請求項20】
請求項13ないし19のいずれかに記載の基板の処理装置において、
上記塗布ユニットにおいて処理された上記基板を加熱して、上記基板の表面に上記密着剤を化学結合して密着膜を形成する加熱ユニットを更に具備する、ことを特徴とする基板の処理装置。
【請求項21】
請求項20記載の基板の処理装置において、
上記加熱ユニットにおいて処理された上記基板を所定の温度まで冷却する冷却ユニットを更に具備する、ことを特徴とする基板の処理装置。
【請求項22】
請求項13ないし21のいずれかに記載の基板の処理装置において、
上記塗布ユニットにおいて処理された上記基板に洗浄液を供給して洗浄する洗浄ユニットを更に具備する、ことを特徴とする基板の処理装置。
【請求項23】
請求項13ないし22のいずれかに記載の基板の処理装置において、
上記塗布ユニットにおいて処理前の上記基板の表面を紫外線処理して上記基板の表面に水酸基を形成する紫外線照射ユニットを更に具備する、ことを特徴とする基板の処理装置。
【請求項24】
請求項13ないし23記載の基板の処理装置において、
上記密着剤は、シランカップリング剤である、ことを特徴とする基板の処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2013−74016(P2013−74016A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210539(P2011−210539)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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