説明

基板の受取り積替機

【課題】 積替え操作が早い基板の受取り積替機を提供すること。基板に傷が付くことのない基板の受取り積替機を提供すること。
【解決手段】 板状の基板10が水平方向に搬送される搬送装置2の搬送下流側端部に受取り装置4を配置し、搬送装置2の搬送下流側端部近傍に配置した、積替装置6によって、搬送装置2によって搬送された基板10を受取り装置4に積み替える基板10の受取り積替機である。積替装置6は、搬送方向に回転駆動する複数のアーム12と、アーム12の先端部に設けられた係合部13とを有し、基板10の搬送方向側の端部が積替装置6の係合部13に係合してアーム12の回転駆動により転動し、アーム12の回転に伴ってアーム12が傾斜した際に基板10の先端がアーム12の係合から外れて、受取り装置4に積み替えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板などの板状の基板を搬送装置上で水平方向に搬送した後、台車などの受取り装置上に縦方向に載置するために移送する基板の受取り積替機に関し、詳しくは基板表面に傷などを付けることなく実施できる基板の受取り積替機に関する。
【背景技術】
【0002】
コンベアなどの搬送装置上で基板の表面を加工後、搬送装置の搬送側端部に配置した回転アームにより基板を積載装置へ積替える装置が特開平2003−40449号公報(特許文献1)に開示されている。
【0003】
この装置によれば、アームに設けられた吸着パッドで搬送装置上の基板を吸着保持し、この状態でアームを回転させ、積載装置へ基板を受け渡すものである。
【0004】
しかし、この装置を用いて基板を積替える場合には、アームの駆動が反復駆動であるため基板の積替え速度が遅いという欠点があり、また吸着パッドによる吸着が不十分である場合には基板が外れて基板に傷をつけてしまうという欠点がある。
【特許文献1】特開平2003−40449号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、積替え操作が早い基板の受取り積替機を提供することを目的とする。
【0006】
本発明の他の目的は、基板に傷が付くことのない基板の受取り積替機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の基板の受取り積替機は、板状の基板が水平方向に搬送される搬送装置の搬送下流側端部に受取り装置を配置し、該搬送装置の搬送下流側端部近傍に配置した積替装置によって、該搬送装置によって搬送された基板を該受取り装置に積み替える基板の受取り積替機であって、
該積替装置は、搬送方向に回転駆動する複数のアームと、該アームの先端部に設けられた係合部とを有し、
基板の搬送方向側の端部が該アームの係合部に係合してアームの回転駆動により転動し、アームの回転に伴ってアームが傾斜した際に基板の先端がアームの係合から外れて、受取り装置に積み替えられるものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0008】
一つの実施形態では、前記前記アームが3つであり、3つのアームにより側面視で略三角形状となっている。
【0009】
一つの実施形態では、前記アームは、駆動ローラの周囲に取り付けられている。
【0010】
一つの実施形態では、前記アームが搬送装置の搬送ラインとほぼ一致する状態となり得る。
【0011】
一つの実施形態では、前記係合部が、断面略コ字形を有し、アームの延長部と、該延長部から折曲された曲折部と該折曲部から延長部側へ折り返された係止片と、を有し、該係止片はやや外向きに傾斜している。
【0012】
一つの実施形態では、前記搬送装置は、搬送方向に並んだ複数のローラよりなる縦方向の搬送ローラを横方向に複数有し、該搬送ローラ間に前記アームが配置されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の基板の受取り積替機によれば、基板の搬送方向側の端部が積替装置の係合部に係合してアームの回転駆動により転動し、アームの回転に伴ってアームが傾斜した際に基板の先端がアームの係合から外れて、受取り装置に積み替えられるので、確実に基板を積み替えることができて落下などにより基板表面に傷が付くことがなく、またアームが回転駆動されるので、基板の移送速度が早いものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施形態を図面について説明する。
【0015】
図1〜図4に示すように、本発明の基板の受取り積替機Aは、搬送装置2と、該搬送装置2の搬送下流側端部に配置された受取装置4と、該搬送装置2の搬送下流側端部近傍に配置された積替装置6とを備えている。プリント基板10などの板状の基板10が該搬送装置2上を水平方向に搬送され、該搬送装置2によって搬送された基板10を受取装置4に積み替えるものである。
【0016】
該搬送装置2は、両側壁部21,21と、両側壁部21,21間に架設された支軸22と、該支軸22に取り付けられた複数のローラ23と、を有している。複数のローラ23は、搬送方向に並んで縦方向の搬送ローラ24が構成され、この搬送ローラ23が横方向に複数配置されている。該搬送ローラ23間に後述する積替装置6のアーム12が配置されている。
【0017】
積替装置6は、搬送方向に回転する3つのアーム12を有し、そのアーム12の先端部に係合部13が設けられている。なお、アーム12は4つ以上であってもよい。
【0018】
図4に示すように、積替装置6の中央部には駆動ローラ8が配置され、アーム12はこの駆動ローラ8を囲んで、側面視で三角形状を形成するように配置されている。アーム12の回転方向の先端部には断面略コ字状の係合部13が形成されている。この係合部13は、アーム12の延長部分である基部16と、該基部16から折曲された折曲片17と、該折曲片17からさらに基部16方向へ折り返された係止片18とを有している。基部16と係止片18との間の間隔寸法は基板10の厚みより大きく形成され、また係止片18は基部16に対してやや外側が広くなるように傾斜している。
【0019】
積替装置6は、搬送装置2の搬送方向側の端部に配置され、アーム12は上記左右の搬送ローラ23,23間に配置されている。アーム12はサーボモータにて回転駆動される。また、該アーム12が水平状態となった際には、搬送装置2の搬送ラインとほぼ一致する状態となる。搬送装置2の搬送側端部には、搬送装置2上の基板10の端部を検知するセンサー(図示せず)が配置されている。このセンサーが基板10の端部の位置が積替装置6の近傍に位置したことを検知すると、アーム12を回転駆動してそのアーム12内に基板10の先端部が挿入できるようにする。
【0020】
搬送装置2上を水平方向に基板10が送られると、基板10の搬送方向側の端部が積替装置6のアーム12の係合部13に係合する。アーム12は搬送方向へ回転駆動するので、そのアーム12の転動とともに基板10も回転して、図5(a)〜(b)に示すように、アーム12の回転に伴ってアーム12が傾斜する。すると、基板10の先端が係合部13の係合から外れて(図5(c))、受取装置4に上に積み替えられる。
【0021】
受取装置4は例えば台車などで構成でき、作業者は台車上に積載された基板10を別工程への処理のために運搬する。
【0022】
基板10としては、プリント基板10の他に、板状の各種基板10を使用することができる。またアーム12の形状や係合部の形状は種々変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の基板の受取り積替機の概略側面図。
【図2】図1に示す基板の受取り積替機の概略平面図。
【図3】図1に示す基板の受取り積替機の概略正面図。
【図4】積替装置の概略側面図。
【図5】積替装置の動作を説明する図。
【符号の説明】
【0024】
2 搬送装置
4 受取装置
6 積替え装置
8 駆動ローラ
10 基板
12 アーム
13 係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の基板が水平方向に搬送される搬送装置の搬送下流側端部に受取り装置を配置し、該搬送装置の搬送下流側端部近傍に配置した積替装置によって、該搬送装置によって搬送された基板を該受取り装置に積み替える基板の受取り積替機であって、
該積替装置は、搬送方向に回転駆動する複数のアームと、該アームの先端部に設けられた係合部とを有し、
基板の搬送方向側の端部が該アームの係合部に係合してアームの回転駆動により転動し、アームの回転に伴ってアームが傾斜した際に基板の先端がアームの係合から外れて、受取り装置に積み替えられる基板の受取り積替機。
【請求項2】
前記アームが3つであり、3つのアームにより側面視で略三角形状となっている請求項1に記載の基板の受取り積替機。
【請求項3】
前記アームは、駆動ローラの周囲に取り付けられている請求項1に記載の基板の受取り積替機。
【請求項4】
前記アームが搬送装置の搬送ラインとほぼ一致する状態となり得る請求項1に記載の基板の受取り積替機。
【請求項5】
前記係合部が、断面略コ字形を有し、アームの延長部と、該延長部から折曲された曲折部と該折曲部から延長部側へ折り返された係止片と、を有し、該係止片はやや外向きに傾斜している請求項1に記載の基板の受取り積替機。
【請求項6】
前記搬送装置は、搬送方向に並んだ複数のローラよりなる縦方向の搬送ローラを横方向に複数有し、該搬送ローラ間に前記アームが配置されている請求項1に記載の基板の受取り積替機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−246179(P2007−246179A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−68104(P2006−68104)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【出願人】(591005394)株式会社太洋工作所 (7)