基板の裏面の反り測定方法
【課題】基板の裏面の反りを測定する方法を提供する。
【解決手段】本基板の裏面の反り測定方法は、基板検出ステップS1と最適平面算出ステップS5と、算出ステップS6とを含む。また、本基板の裏面の反り測定方法において、基板検出ステップS1後、最適平面算出ステップS5前に、ノイズ除去ステップS2および外周部除去ステップS3、外周部除去ステップS3および平滑化ステップS4、またはノイズ除去ステップS2、外周部除去ステップS3および平滑化ステップS4を含むことができる。
【解決手段】本基板の裏面の反り測定方法は、基板検出ステップS1と最適平面算出ステップS5と、算出ステップS6とを含む。また、本基板の裏面の反り測定方法において、基板検出ステップS1後、最適平面算出ステップS5前に、ノイズ除去ステップS2および外周部除去ステップS3、外周部除去ステップS3および平滑化ステップS4、またはノイズ除去ステップS2、外周部除去ステップS3および平滑化ステップS4を含むことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイスなどに用いられる基板の裏面の反り測定方法に関し、詳しくは、レーザ変位計を用いた基板の裏面(結晶成長面と反対側の面をいう、以下同じ)の反り測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスなどに用いられる基板においては、特性のよい半導体デバイスを得るために、基板上に品質のよい1以上の半導体層を形成する必要があることから、基板の結晶成長面の反りおよび面粗さが小さいことが求められる。かかる結晶成長面の反りは光干渉方式のフラットネステスタにより測定することができ、結晶成長面の面粗さは、3D−SEM(三次元電子顕微鏡、以下同じ)などにより測定することができる(たとえば、松下嘉明,他3名,「超精密ウェーハ表面制御技術」,第1版,株式会社サイエンスフォーラム,2000年2月28日,p258−264,p272−278(非特許文献1)を参照)。
【0003】
基板上に品質のよい1以上の半導体層を形成するためには、基板の結晶成長面の反りおよび面粗さが小さいだけでなく、基板の裏面の反りおよび面粗さが小さいことが求められる。基板の裏面の反りおよび面粗さが大きいと、基板の結晶成長面に半導体層を形成する際、基板の裏面とサセプタ(基板を配置する台をいう、以下同じ)との間に形成される空隙部が大きくなり、サセプタから基板に伝わる熱の分布が不均一となり、基板の結晶成長面上に半導体層を均一に安定して形成することができなくなり、品質のよい半導体層の形成ができない。
【0004】
したがって、半導体デバイスの製作に適した基板を準備するためには、基板の結晶成長面の反りおよび面粗さのみならず、基板の裏面の反りおよび面粗さをも評価する必要がある。かかる裏面の面粗さは、3D−SEMなどにより測定することができる。
【0005】
しかし、裏面の面粗さは、基板の結晶成長面の面粗さに比べて大きく、面粗さRaが50nmを超えるものも多い。このため、光干渉方式のフラットネステスタによっては、裏面の反りを測定することが困難である。また、光干渉方式のフラットネステスタでは、反射光が得られないため、データ解析もできなかった。
【0006】
そこで、特性の良い半導体デバイスを作製するために、基板の裏面の反りを測定する方法の開発が、強く望まれていた。
【非特許文献1】松下嘉明,他3名,「超精密ウェーハ表面制御技術」,第1版,株式会社サイエンスフォーラム,2000年2月28日,p258−264,p272−278
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、基板の裏面の反りを測定する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、レーザ変位計を用いて基板の結晶成長面の反対側の面である裏面の反りを測定する方法であって、基板は基板支持台上に配置されており、レーザ変位計を用いて基板の裏面の複数の測定点にそれぞれ対応する複数の変位値を検出する基板検出ステップと、複数の変位値に含まれるノイズを除去するノイズ除去ステップと、複数の変位値から基板の外周部の測定点にそれぞれ対応する複数の変位値を除去して複数の計算用変位値を算出する外周部除去ステップと、複数の計算用変位値を平滑化処理して反り曲面を算出する平滑化ステップと、反り曲面との距離を最小にする最適平面を算出する最適平面算出ステップと、反り曲面が最適平面に対して有する一方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離および他方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離の和を反りとして算出する反り算出ステップとを含む基板の裏面の反り測定方法である。
【0009】
本発明にかかる基板の裏面の反り測定方法において、基板を3点の支持部を有する基板支持台上に基板の結晶成長面が3点の支持部で支持されるように配置することができる。また、基板検出ステップは、基板が配置されている基板支持台を二次元方向に段階的に移動させて、レーザフォーカス方式により、レーザ変位計と裏面の複数の測定点との距離を測定することにより行なうことができる。また、ノイズ除去ステップは、メディアンフィルタを用いて行なうことができる。また、平滑化ステップは、ガウシアンフィルタを用いて行なうことができる。また、最適平面算出ステップは、平滑化処理がされた複数の計算用変位値における各変位値で表わされる点と最適平面との距離の二乗の和が最小となるように最適平面を算出することにより行なうことができる。
【0010】
また、本発明にかかる基板の裏面の反り測定方法において、平滑化ステップと、最適平面算出ステップと、反り算出ステップとを含む最適化サイクルを1回以上繰り返すことができる。さらに、この最適化サイクルの繰り返しの間に、または、最適化サイクル中の平滑化ステップの後に、少なくとも1回のノイズ除去ステップを含めることができる。
【0011】
また、本発明は、レーザ変位計を用いて基板の結晶成長面の反対側の面である裏面の反りを測定する方法であって、基板は基板支持台上に配置されており、レーザ変位計を用いて基板の裏面の複数の測定点にそれぞれ対応する複数の変位値を検出する基板検出ステップと、複数の変位値でそれぞれ表わされる複数の点との距離を最小にする最適平面を算出する最適平面算出ステップと、複数の変位値でそれぞれ表わされる複数の点において最適平面に対して一方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離および他方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離の和を反りとして算出する反り算出ステップとを含む基板の裏面の反り測定方法である。
【0012】
また、本発明にかかる基板の裏面の反り測定方法において、基板検出ステップ後、最適平面算出ステップ前に、複数の変位値に含まれるノイズを除去するノイズ除去ステップと、複数の変位値から基板の外周部の測定点にそれぞれ対応する複数の変位値を除去して複数の計算用変位値を算出する外周部除去ステップとをさらに含み、最適平面算出ステップおよび反り算出ステップにおいて複数の変位値として複数の計算用変位値を用いることができる。ここで、ノイス除去ステップは、メディアンフィルタを用いて行なうことができる。
【0013】
また、本発明にかかる基板の裏面の反り測定方法において、基板検出ステップ後、最適平面算出ステップ前に、複数の変位値から基板の外周部の測定点にそれぞれ対応する複数の変位値を除去して複数の計算用変位値を算出する外周部除去ステップと、複数の計算用変位値を平滑化処理して反り曲面を算出する平滑化ステップとをさらに含み、最適平面算出ステップおよび反り算出ステップにおいて、複数の変位値でそれぞれ表わされる複数の点として反り曲面上の平滑化処理された複数の計算用変位値でそれぞれ表わされる複数の点を用いることができる。ここで、平滑化ステップは、ガウシアンフィルタを用いて行なうことができる。
【0014】
さらに、本発明にかかる基板の裏面の反り測定方法において、基板を3点の支持部を有する基板支持台上に基板の結晶成長面が3点の支持部で支持されるように配置することができる。また、基板検出ステップは、基板が配置されている基板支持台を二次元方向に段階的に移動させて、レーザフォーカス方式により、レーザ変位計と裏面の複数の測定点との距離を測定することにより行なうことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、基板の裏面の反りを測定する方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(実施形態1)
本発明にかかる基板の裏面の反り測定方法の一実施形態は、図1を参照して、レーザ変位計を用いて基板の結晶成長面の反対側の面である裏面の反りを測定する方法であって、基板は基板支持台上に配置されており、レーザ変位計を用いて基板の裏面の複数の測定点にそれぞれ対応する複数の変位値を検出する基板検出ステップS1と、複数の変位値に含まれるノイズを除去するノイズ除去ステップS2と、複数の変位値から基板の外周部の測定点にそれぞれ対応する複数の変位値を除去して複数の計算用変位値を算出する外周部除去ステップS3と、複数の計算用変位値を平滑化処理して反り曲面を算出する平滑化ステップS4と、反り曲面との距離を最小にする最適平面を算出する最適平面算出ステップS5と、反り曲面が最適平面に対して有する一方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離および他方側に最も大きな変位値で表される点と最適平面との距離の和を反りとして算出する反り算出ステップS6とを含む基板の裏面の反り測定方法である。かかる測定方法により、裏面の面粗さが大きな(たとえば、面粗さRaが50nm以上の)基板についても、基板の裏面の反りの測定が可能となる。なお、面粗さRaとは、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から測定曲線までの偏差の絶対値を合計してそれを基準長さで平均した値をいう。
【0017】
また、図1において、実線の枠で囲まれたステップは必須ステップを示し、破線の枠で囲まれたステップは任意ステップを示す。なお、本実施形態および図1においては、ノイズ除去ステップS2の後に外周部除去ステップS3を行なう場合を記載しているが、ノイズ除去ステップS2と外周部除去ステップS3の順序が逆であってもよい。
【0018】
ここで、図2を参照して、レーザ変位計15とは、レーザ光21を基板10の裏面10rに照射することにより、基板10の裏面10rの変位を測定する装置をいう。レーザの種類には特に制限はなく波長が670nmの赤色半導体レーザなどが用いられ、測定方式には特に制限はなくレーザフォーカス方式などが用いられる。また、レーザフォーカス方式のレーザ変位計は、光干渉方式のフラットネステスタに比べて、測定精度が低いが、面粗さRaが50nm以上の粗い裏面の測定が可能である。なお、赤色半導体レーザよりも波長が短い青色半導体レーザを用いることにより、レーザ変位計の測定精度を向上させることができる。また、レーザフォーカス方式のレーザ変位計は、光干渉方式のフラットネステスタと異なり、反射光21rが得られるため、変位値の解析および処理が可能となる。
【0019】
図2および図3を参照して、基板10は基板支持台12上に配置されている。基板10を基板支持台12上に配置する方法には、特に制限はないが、3点の支持部12hを有する基板支持台12上に、基板10の結晶成長面10cが上記3点の支持部12hで支持されるように配置することが好ましい。3点の支持部12hのみで基板10の結晶成長面10cの外周部を支持することにより、反り測定の際の結晶成長面10cの損傷を最小限にすることができる。また、上記3点の支持によって基板10が傾斜しても、反り曲面(裏面の反りを示す曲面をいう、以下同じ)との距離が最も小さくなるような最適平面を算出して、その反り曲面と最適平面との距離を算出することにより、基板10の傾斜を相殺できる。
【0020】
図1〜図3を参照して、基板検出ステップS1は、特に制限はないが、基板10を二次元方向(図3におけるX方向およびY方向をいう、以下同じ)に段階的に移動させて、レーザ変位計15と基板10の裏面10rとの距離Lを測定することにより行なうことができる。ここで、基板10の二次元方向への段階的移動は、基板支持台12と駆動装置14とを連結している駆動部13を二次元方向に段階的に移動させることにより行なうことができる。ここで、駆動装置14は、位置制御装置16により制御されている。
【0021】
このとき、基板の裏面の複数の測定点中のレーザ光21が照射されている測定点(任意に特定される測定点)100pの二次元方向の位置データは、位置制御装置16を介して、データ解析装置18に集められる。ここで、矢印22は位置データの伝達方向を示す。
【0022】
距離Lの測定方法には、特に制限はないが、たとえばレーザフォーカス方式により行なうことができる。ここで、レーザフォーカス方式とは、以下の測定方式をいう。レーザ変位計15内の光源からの入射光21iは、レーザ変位計15内で音叉により高速で上下動している対物レンズ(図示せず)を介して基板10の裏面10rの任意に特定される測定点100pに照射される。この任意に特定される測定点100pからの反射光21rは、レーザ変位計15内のピンホール(図示せず)を通過して受光素子(図示せず)に到達する。共焦点原理により、入射光21iが基板10の裏面10rの任意に特定される測定点100pに焦点を結んだときに反射光21rが上記ピンホールの位置で一点に集光されて受光素子に入光する。このときの上記音叉の位置をセンサ(図示せず)で測定することにより、レーザ変位計15と基板10の裏面10rの任意に特定される測定点100pとの距離Lを測定できる。このようにして、基板10の裏面10rの任意に特定される測定点100pの変位値z(a,b)(Z方向の変位値をいう、以下同じ)を測定することができる。
【0023】
このとき、基板10の裏面10rの複数の測定点10p中の任意に特定される測定点100pの変位値データは、レーザ変位計制御装置17を介して、データ解析装置18に集められる。ここで、矢印23は変位値データの伝達方向を示す。
【0024】
次に、図2および図3に示すように、基板を段階的に(たとえば、X方向またはY方向に一定のピッチPで)移動させた後、上記測定を行なうことにより、上記任意に特定される測定点100pにピッチPで隣接する測定点についての二次元方向(X方向およびY方向)の位置データおよびZ方向の変位値データが得られる。かかる操作を繰り返すことにより、基板10の裏面10rの複数の測定点10pのそれぞれについての二次元方向(X方向およびY方向)の位置データおよびZ方向の変位値データが得られる。こうして得られる二次元方向(X方向およびY方向)の位置データおよびZ方向の変位値データは、データ解析装置18に集められる。
【0025】
なお、図3に示すように、円状の基板10を二次元方向(X方向およびY方向)に一定のピッチPで段階的に移動させるとき、レーザ光が基板10の裏面10rではなく基板支持台12上に照射される場合がある。図3に示すように、基板10が基板支持台12の凹部に配置されるような場合は、基板支持台12の非凹部面12aの測定点120aおよび凹部面12bの測定点120bが存在し得る。
【0026】
かかる場合には、図2を参照して、以下のようにして測定点120aおよび120bを除去して、基板10の裏面10rの複数の測定点10pにそれぞれ対応する複数の変位値を検出することができる。すなわち、レーザ変位計15と基板支持台12の非凹部面12aとの距離Laおよびレーザ変位計15と基板支持台12の凹部面12bとの距離Lbに対して、レーザ変位計15との距離Lが、La<L<Lbとなるような任意に特定される測定点100pのみを検出することにより、上記測定点120aおよび120bが除去され、基板10の裏面10rの複数の測定点10pにそれぞれ対応する複数の変位値が得られる。
【0027】
本実施形態において、ノイズ除去ステップS2は、複数の変位値に含まれるノイズを除去するものであれば特に制限はないが、メディアンフィルタを用いて行なうことが好ましい。ここで、図4を参照して、メディアンフィルタとは、上記複数の変位値(基板10の裏面10rの複数の測定点10pにそれぞれ対応する複数の変位値をいう、以下同じ)において任意に特定される変位値z(a,b)(任意に特定される測定点100pに対応する変位値をいう、以下同じ)を、変位値z(a,b)および変位値z(a,b)に近傍する複数の変位値z(a-1,b+1)、z(a-1,b)、z(a-1,b-1)、z(a,b+1)、z(a,b-1)、z(a+1,b+1)、z(a+1,b)、z(a+1、b-1)(任意に特定される測定点100pに近傍する複数の測定点101p,102p,103p,104p,105p,106p,107p,108pにそれぞれに対応する変位値をいう、以下同じ)を昇べきまた降べきの順に並べたときの中央値(メディアン)に置き換えるフィルタをいう。ここで、図4においては、変位値z(a,b)および変位値z(a,b)に近傍する複数の変位値z(a-1,b+1)、z(a-1,b)、z(a-1,b-1)、z(a,b+1)、z(a,b-1)、z(a+1,b+1)、z(a+1,b)、z(a+1、b-1)が2次元方向(X方向およびY方向)に一定のピッチPで配列している。
【0028】
なお、図4においては、近傍する複数の変位値として、任意に特定された変位値z(a,b)を取り囲んで隣接する8つの変位値z(a-1,b+1)、z(a-1,b)、z(a-1,b-1)、z(a,b+1)、z(a,b-1)、z(a+1,b+1)、z(a+1,b)およびz(a+1、b-1)を用いた(このようなメディアンフィルタを8近傍のメディアンフィルタという)が、近傍の複数の測定点は8つに限られない。たとえば、変位値の近傍の24の測定点を用いることもできる(このようなメディアンフィルタを24近傍のメディアンフィルタという)。
【0029】
また、本実施形態において、外周部除去ステップS3は、複数の変位値から基板の外周部の測定点にそれぞれ対応する複数の変位値を除去して複数の計算用変位値を算出するものであれば特に制限はないが、ノイズ除去ステップS2において8近傍のメディアンフィルタを用いる場合には、図3を参照して、上記複数の変位値から、基板10の外周部の測定点にそれぞれ対応する変位値として、外周10eから少なくとも2つ内側までの測定点111p,112pのそれぞれに対応する変位値を除去することが好ましい。
【0030】
ノイズ除去ステップS2において8近傍のメディアンフィルタを用いる場合、図3を参照して、基板10の外周10eから上記1つおよび2つ内側の変位値に近傍する8つの変位値の少なくとも1つの変位値は、基板支持台12の非凹部面12aまたは凹部面12bの変位値となり、上記ノイズ除去ステップによってはノイズが除去されていないからである。このようにして、複数の変位値から基板の外周部の測定点にそれぞれ対応する複数の変位値が除去されて、複数の計算用変位値が得られる。
【0031】
また、本実施形態において、平滑化ステップS4は、図6を参照して、上記複数の計算用変位値を平滑化処理して反り曲面30を算出するものであれば特に制限はないが、ガウシアンフィルタを用いて行なうことが好ましい。ここで、ガウシアンフィルタとは、複数の計算用変位値において任意に特定される変位値z(a,b)を、変位値z(a,b)および変位値z(a,b)に近傍する複数の変位値z(a-1,b+1)、z(a-1,b)、z(a-1,b-1)、z(a,b+1)、z(a,b-1)、z(a+1,b+1)、z(a+1,b)、z(a+1、b-1)についてのガウス関数f(x,y)を重み付けとして用いた加重平均値z'(a,b)に置き換えるフィルタをいう。かかる平滑化処理により、面粗さが大きい(たとえば、面粗さRaが50nm以上の)裏面であっても反りの測定が可能となる。
【0032】
二次元のガウス関数f(x,y)は、以下の式(1)で表される。ここで、aおよびbはそれぞれ任意に特定される測定点のX方向およびY方向の座標値を、σは標準偏差(σ2は分散)を、Nは規格化定数を示す。
【0033】
【数1】
【0034】
式(1)から明らかなように、測定点(x,y)と任意に特定される測定点(a,b)との距離が離れるほど、f(x,y)の値が小さくなり、重み付けが小さくなる。また、σの値が大きくなるほど、測定点(x,y)と測定点(a,b)との距離の違いによる重み付けの大小の差が小さくなる。
【0035】
上記においては、近傍する複数の変位値として、任意に特定された変位値z(a,b)を取り囲んで隣接する8つの変位値z(a-1,b+1)、z(a-1,b)、z(a-1,b-1)、z(a,b+1)、z(a,b-1)、z(a+1,b+1)、z(a+1,b)およびz(a+1、b-1)を用いた(このようなガウシアンフィルタを8近傍のガウシアンフィルタという)が、近傍の複数の変位値は8つに限られない。たとえば、変位値の近傍の24の変位値を用いることもできる(このようなガウシアンフィルタを24近傍のガウシアンフィルタという)。
【0036】
8近傍のガウシアンフィルタを用いるとは、具体的には、任意に特定された変位値z(a,b)を、図4に示す複数の変位値z(a-1,b+1)、z(a-1,b)、z(a-1,b-1)、z(a,b+1)、z(a,b)、z(a,b-1)、z(a+1,b+1)、z(a+1,b)およびz(a+1、b-1)のそれぞれに対して、図5(a)のカーネル(各変位値におけるフィルタの係数をマトリックス形式で表示したもの、以下同じ)に示す各係数としてガウス関数f(x,y)(ここで、x=a−1、a、a+1;y=b−1、b、b+1)の重みをつけて加重平均したz'(a,b)に置き換えることをいう。すなわち、以下の式(2)のようにして、z'(a,b)を得ることをいう。
【0037】
【数2】
【0038】
ガウシアンフィルタの各係数となるガウス関数f(x,y)は、任意に特定された変位値の測定点(a、b)からの測定点(x、y)の距離および標準偏差σによって決まる。たとえば、図5(b)はσ=5、規格化前の8近傍のガウシアンフィルタの各係数f(x,y)の値の配列を示し、図5(c)はσ=5、規格化後の8近傍のガウシアンフィルタの各係数f(x,y)の値の配列を示す。ここで、規格化とは、ガウシアンフィルタの各係数f(x,y)の比率を保持しながら、各係数f(x,y)の和が1となるように補正することをいう。
【0039】
なお、式(1)よりガウス関数はX方向およびY方向のそれぞれについて独立であることから、式(2)は、以下の式(3)および式(4)にそれぞれ示すように、X方向の和およびY方向の和の形に分離することができる。このことは、最初にX方向にサンプリングし、次いでY方向にサンプリングして得られた複数の変位値をデータ処理する方法に、ガウシアンフィルタによる平滑化を適用するのが数学的に妥当であることを裏付けている。
【0040】
【数3】
【0041】
なお、ガウス関数は、X方向およびY方向の平面内において点対称であるため、円形にサンプリングすることも可能である。このことは、式(2)を座標変換して得られた極座標における式(4)の重み付けの指数関数部分に角度θの係数が入らないことから裏付けられている。
【0042】
【数4】
【0043】
また、本実施形態において、最適平面算出ステップS5は、図6を参照して、反り曲面30との距離を最小にする最適平面50を算出するものであれば特に制限はない。ここで、反り曲面30との距離を最小にする最適平面を算出するとは、反り曲面30上の平滑化処理された複数の計算用変位値でそれぞれ表わされる複数の点との距離が最小になる最適平面を算出することをいい、反り曲面30上の平滑化処理がされた複数の計算用変位値における各変位値で表される点と最適平面50との距離の二乗の和が最小となるように最適平面50を算出すること(最小二乗法)が好ましい。かかる最小二乗法を用いることにより、3点支持されている基板10の裏面10r全体の平均的傾斜を示す最適平面50が得られる。
【0044】
また、本実施形態において、反り算出ステップS6は、図6を参照して、反り曲面30が最適平面50に対して有する、一方側に最も大きな変位値zPで表される点と前記最適平面との距離D+、および、他方側に最も大きな変位値zVで表される点と最適平面との距離D-の和を反りとして算出する。かかる算出方法には特に制限はないが、たとえば、図11を参照して、本実施形態の反り算出ステップS6は、反り曲面30上の平滑化処理された複数の計算用変位値でそれぞれ表わされる複数の点zにおいて、最適平面50に対して、一方側に最も大きな変位値で表わされる点zPと最適平面50との距離D+、および、他方側に最も大きな変位値で表わされる点zVと最適平面との距離D-の和を反りとして算出する。ここで、図11においては、最適平面50から一方側に変位している点を点zA、最適平面50より他方側に変位している点を点zBと表記した。このようにして、反り曲面30から、最適平面50で示される基板10の裏面10r全体の平均的傾斜を相殺して、基板10の裏面10rの反りを正確に測定することができる。
【0045】
ここで、反りの方向を反りの符号によって表すことができる。たとえば、図6(a)に示すような裏面の反り曲面30が凹状のものを+の反り、図6(b)に示すような裏面の反り曲面30が凸状のものを−の反りと表記することができる。
【0046】
(実施形態2)
本発明にかかる基板の裏面の反りの測定方法の他の実施形態は、図1〜図3を参照して、レーザ変位計15を用いて基板10の結晶成長面10cの反対側の面である裏面10rの反りを測定する方法であって、基板10は、基板支持台12上に配置されており、レーザ変位計15を用いて基板10の裏面10rの複数の測定点10pにそれぞれ対応する複数の変位値を検出する基板検出ステップS1と、複数の変位値に含まれるノイズを除去するノイズ除去ステップS2と、複数の変位値から基板10の外周部の測定点にそれぞれ対応する複数の変位値を除去して複数の計算用変位値を算出する外周部除去ステップS3と、複数の計算用変位値を平滑化処理して反り曲面を算出する平滑化ステップS4と、反り曲面との距離を最小にする最適平面を算出する最適平面算出ステップS5と、反り曲面が最適平面に対して有する、一方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離および他方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離の和を反りとして算出する反り算出ステップS6とを含み、上記平滑化ステップS4と、最適平面算出ステップS5と、反り算出ステップS6とを含む最適化サイクルC1を1回以上繰り返すことを特徴とする。
【0047】
かかる最適化サイクルC1を1回以上繰り返すことにより、基板10の裏面10rの反り曲面をより平滑にすることにより面粗さによる影響をより少なくして、裏面10rの反りをより正確に測定することができる。また、裏面10rの反りをより正確に測定する観点から、最適化サイクルC1において、平滑化ステップS4、最適平面算出ステップS5および反り算出ステップS6は、この順で含まれていることが好ましい。また、後述のように、かかる最適化サイクルC1には、平滑化ステップS4の後に、ノイズ除去ステップS2が含まれていてもよい。
【0048】
ここで、最適化サイクルC1の繰り返し回数には特に制限はないが、ある最適サイクル前の反りの値とその最適化サイクル後の反りの値の差が、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.1μm以下になるまでの繰り返し回数とできる。また、ある最適サイクル前の反りの値に対するその最適サイクル前の反りの値とその最適化サイクル後の反りの値の差の比が、好ましくは0.05以下、より好ましくは0.01以下になるまでの繰り返し回数とできる。
【0049】
(実施形態3)
本発明にかかる基板の裏面の反りの測定方法のさらに他の実施形態は、図1〜図3を参照して、レーザ変位計15を用いて基板10の結晶成長面10cの反対側の面である裏面10rの反りを測定する方法であって、基板10は、基板支持台12上に配置されており、レーザ変位計15を用いて基板10の裏面10rの複数の測定点10pにそれぞれ対応する複数の変位値を検出する基板検出ステップS1と、複数の変位値に含まれるノイズを除去するノイズ除去ステップS2と、複数の変位値から基板10の外周部の測定点にそれぞれ対応する複数の変位値を除去した複数の変位値からなる複数の計算用変位値を算出する外周部除去ステップS3と、複数の計算用変位値を平滑化処理して反り曲面を算出する平滑化ステップS4と、反り曲面との距離を最小にする最適平面を算出する最適平面算出ステップS5と、反り曲面が最適平面に対して有する、一方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離および他方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離の和を反りとして算出する反り算出ステップS6とを含み、上記平滑化ステップS4と、最適平面算出ステップS5と、反り算出ステップS6とを含む最適化サイクルC1を1回以上繰り返す反りの測定方法であって、最適化サイクルC1の繰り返しの間に、または、最適化サイクルC1中の平滑化ステップS4の後に、少なくとも1回のノイズ除去ステップS2を含む。
【0050】
最適化サイクルC1の繰り返しの間に、または、最適化サイクルC1中の平滑化ステップS4の後に、少なくとも1回のノイズ除去ステップS2を含むことにより、複数の変位値に含まれるノイズのより効果的な除去が可能となり、裏面10rの反りをより正確に測定することができる。
【0051】
上記実施形態1から3によれば、基板の裏面の反りを極めて正確に測定することができるが、測定された変位値の処理および解析の労力が大きい。本発明においては、以下の実施形態に示すように、測定された変位値の処理および解析を簡便化することにより、基板の裏面の反りを迅速にかつ正確に測定することができる。
【0052】
(実施形態4)
本発明にかかる基板の裏面の反りの測定方法のさらに他の実施形態は、図2、図3および図7を参照して、レーザ変位計15を用いて基板10の結晶成長面10cの反対側の面である裏面10rの反りを測定する方法であって、基板10は基板支持台12上に配置されており、レーザ変位計15を用いて基板10の裏面10rの複数の測定点10pにそれぞれ対応する複数の変位値を検出する基板検出ステップS1と、複数の変位値でそれぞれ表わされる複数の点との距離を最小にする最適平面を算出する最適平面算出ステップS5と、複数の変位値でそれぞれ表わされる複数の点において、最適平面に対して、一方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離、および、他方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離の和を反りとして算出する反り算出ステップS6とを含む。
【0053】
すなわち、本実施形態は、基板検出ステップS1、ノイズ除去ステップS2、外周部除去ステップS3、平滑化ステップS4、最適平面算出ステップS5および反り算出ステップS6を含む実施形態1の測定方法から、ノイズ除去ステップS2、外周部除去ステップS3および平滑化ステップS4が省略された基板の裏面の反り測定方法に相当する。以下、各ステップについて説明する。ここで、基板検出ステップS1は、実施形態1の場合と同様である。
【0054】
図7を参照して、本実施形態においては、最適平面算出ステップS5は基板検出ステップS1の次に行なわれる。したがって、最適平面算出ステップS5は、基板検出ステップS1で検出された複数の変位値に基づいて行なわれる。すなわち、本実施形態の最適平面算出ステップS5においては、上記の複数の変位値で表わされる複数の点との距離を最小にする最適平面が算出される。ここで、複数の変位値で表わされる複数の点との距離を最小にする最適平面を算出する方法は、特に制限はないが、複数の変位値における各変位値で表わされる点と最適平面との距離の二乗の和が最小となるように最適平面を算出すること(最小二乗法)が好ましい。
【0055】
また、図7を参照して、本実施形態においては、反り算出ステップS6は、基板検出ステップS1の次の最適平面算出ステップS5の次に行なわれる。したがって、反り算出ステップS6は、基板検出ステップS1で検出された複数の変位値および最適平面算出ステップS5で算出された最適平面に基づいて行なわれる。すなわち、図10を参照して、本実施形態の反り算出ステップS6は、複数の変位値でそれぞれ表わされる複数の点zにおいて、最適平面50に対して、一方側に最も大きな変位値で表わされる点zPと最適平面50との距離D+、および、他方側に最も大きな変位値で表わされる点zVと最適平面との距離D-の和を反りとして算出する。ここで、図10においては、最適平面50から一方側に変位している点(最適平面50上の点を含む)を点zA、最適平面50より他方側に変位している点を点zBと表記した。このようにして、複数の変位値でそれぞれ表わされる複数の点zから、最適平面50で示される基板10の裏面10r全体の平均的傾斜を相殺して、基板10の裏面10rの反りを迅速にかつ正確に測ることができる。
【0056】
(実施形態5)
本発明にかかる基板の裏面の反りの測定方法のさらに他の実施形態は、図8を参照して、実施形態4の測定方法において、基板検出ステップ1S後、最適平面算出ステップS5前に、複数の変位値に含まれるノイズを除去するノイズ除去ステップS2と、複数の変位値から基板の外周部の測定点にそれぞれ対応する複数の変位値を除去して複数の計算用変位値を算出する外周部除去ステップS3とをさらに含み、最適平面算出ステップS5および反り算出ステップS6において、複数の変位値として複数の計算用変位値を用いるものである。
【0057】
すなわち、本実施形態の測定方法は、図2〜図4および図8を参照して、レーザ変位計15を用いて基板10の結晶成長面10cの反対側の面である裏面10rの反りを測定する方法であって、基板10は基板支持台12上に配置されており、レーザ変位計15を用いて基板10の裏面10rの複数の測定点10pにそれぞれ対応する複数の変位値を検出する基板検出ステップS1と、複数の変位値に含まれるノイズを除去するノイズ除去ステップS2と、複数の変位値から基板の外周部の測定点にそれぞれ対応する複数の変位値を除去して複数の計算用変位値を算出する外周部除去ステップS3と、複数の計算用変位値でそれぞれ表わされる複数の点との距離を最小にする最適平面を算出する最適平面算出ステップS5と、複数の計算用変位値でそれぞれ表わされる複数の点において、最適平面に対して、一方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離、および、他方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離の和を反りとして算出する反り算出ステップS6とを含む。したがって、本実施形態の測定方法は、実施形態1の測定方法から、平滑化ステップS4を省略したものに相当する。
【0058】
以下、各ステップについて説明する。ここで、基板検出ステップS1、ノイズ除去ステップS2および外周部除去ステップS3は、実施形態1の場合と同様である。なお、本実施形態および図8においても、実施形態1および図1と同様に、ノイズ除去ステップS2の後に外周部除去ステップS3を行なう場合を記載しているが、ノイズ除去ステップS2と外周部除去ステップS3の順序が逆であってもよい。
【0059】
図8を参照して、本実施形態においては、最適平面算出ステップS5は外周部除去ステップS3の次に行なわれる。したがって、最適平面算出ステップS5は、外周部除去ステップS3で算出された複数の計算用変位値に基づいて行なわれる。すなわち、図10を参照して、本実施形態の最適平面算出ステップS5においては、上記の複数の計算用変位値で表わされる複数の点zとの距離を最小にする最適平面50が算出される。ここで、複数の計算用変位値で表わされる複数の点zとの距離を最小にする最適平面50を算出する方法は、特に制限はないが、複数の変位値における各変位値で表わされる点と最適平面50との距離の二乗の和が最小となるように最適平面50を算出すること(最小二乗法)が好ましい。
【0060】
また、図8を参照して、本実施形態においては、反り算出ステップS6は、外周部除去ステップS3の次の最適平面算出ステップS5の次に行なわれる。したがって、反り算出ステップS6は、外周部除去ステップS3で算出された複数の計算用変位値および最適平面算出ステップS5で算出された最適平面に基づいて行なわれる。すなわち、図10を参照して、本実施形態の反り算出ステップS6は、複数の計算用変位値でそれぞれ表わされる複数の点zにおいて、最適平面50に対して、一方側に最も大きな変位値で表わされる点zPと最適平面50との距離D+、および、他方側に最も大きな変位値で表わされる点zVと最適平面との距離D-の和を反りとして算出する。ここで、図10においては、最適平面50から一方側に変位している点(最適平面50上の点を含む)を点zA、最適平面50より他方側に変位している点を点zBと表記した。
【0061】
このようにして、複数の計算用変位値でそれぞれ表わされる複数の点zから、最適平面50で示される基板10の裏面10r全体の平均的傾斜を相殺して、基板10の裏面10rの反りを迅速にかつ正確に測ることができる。本実施形態においては、実施形態4に比べて、ノイズ除去ステップS2および外周部除去ステップS3が追加されているため、基板の裏面の反りをより正確に測ることができる。また、本実施形態においては、実施形態1と同様に、基板は3点の支持部を有する基板支持台上に基板の結晶成長面が3点の支持部で支持されるように配置されていることが好ましく、基板検出ステップS1は、基板が配置されている基板支持台を二次元方向に段階的に移動させて、レーザフォーカス方式により、レーザ変位計と裏面の複数の測定点との距離を測定することにより行なうことが好ましく、ノイズ除去ステップS2はメディアンフィルタを用いて行なうことが好ましい。
【0062】
(実施形態6)
本発明にかかる基板の裏面の反りの測定方法のさらに他の実施形態は、図9を参照して、実施形態4の測定方法において、基板検出ステップ1S後、最適平面算出ステップS5前に、複数の変位値から基板の外周部の測定点にそれぞれ対応する複数の変位値を除去して複数の計算用変位値を算出する外周部除去ステップS3と、複数の計算用変位値を平滑化処理して反り曲面を算出する平滑化ステップS4とをさらに含み、最適平面算出ステップS5および反り算出ステップS6において、複数の変位値でそれぞれ表わされる複数の点として反り曲面上の平滑化処理された複数の計算用変位値でそれぞれ表わされる複数の点を用いるものである。
【0063】
すなわち、本実施形態の測定方法は、図2〜図4および図9を参照して、レーザ変位計15を用いて基板10の結晶成長面10cの反対側の面である裏面10rの反りを測定する方法であって、基板10は基板支持台12上に配置されており、レーザ変位計15を用いて基板10の裏面10rの複数の測定点10pにそれぞれ対応する複数の変位値を検出する基板検出ステップS1と、複数の変位値から基板の外周部の測定点にそれぞれ対応する複数の変位値を除去して複数の計算用変位値を算出する外周部除去ステップS3と、複数の計算用変位値を平滑化処理して反り曲面を算出する平滑化ステップS4と、反り曲面上の平滑化処理された複数の計算用変位値でそれぞれ表わされる複数の点との距離を最小にする最適平面を算出する最適平面算出ステップS5と、反り曲面上の平滑化処理された複数の計算用変位値でそれぞれ表わされる複数の点において、最適平面に対して、一方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離、および、他方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離の和を反りとして算出する反り算出ステップS6とを含む。したがって、本実施形態の測定方法は、実施形態1の測定方法から、ノイズ除去ステップS2を省略したものに相当する。
【0064】
以下、各ステップについて説明する。ここで、基板検出ステップS1、外周部除去ステップS3および平滑化ステップS4は、実施形態1の場合と同様である。
【0065】
図9を参照して、本実施形態においては、最適平面算出ステップS5は平滑化ステップS4の次に行なわれる。したがって、最適平面算出ステップS5は、実施形態1の場合と同様に、平滑化ステップS4で算出された反り曲面上の平滑化処理された複数の計算用変位値に基づいて行なわれる。すなわち、図11を参照して、本実施形態の最適平面算出ステップS5においては、反り曲面30上の平滑化処理された複数の計算用変位値でそれぞれ表わされる複数の点zとの距離を最小にする最適平面50が算出される。ここで、反り曲面30上の平滑化処理された複数の計算用変位値でそれぞれ表わされる複数の点zとの距離を最小にする最適平面50を算出する方法は、特に制限はないが、反り曲面30上の平滑化処理された複数の計算用変位値における各変位値で表わされる点と最適平面50との距離の二乗の和が最小となるように最適平面50を算出すること(最小二乗法)が好ましい。
【0066】
また、図9を参照して、本実施形態においては、反り算出ステップS6は、平滑化ステップS4の次の最適平面算出ステップS5の次に行なわれる。したがって、反り算出ステップS6は、平滑化ステップS4で算出された反り曲面上の平滑化処理された複数の計算用変位値および最適平面算出ステップS5で算出された最適平面に基づいて行なわれる。すなわち、図11を参照して、本実施形態の反り算出ステップS6は、反り曲面30上の平滑化処理された複数の計算用変位値でそれぞれ表わされる複数の点zにおいて、最適平面50に対して、一方側に最も大きな変位値で表わされる点zPと最適平面50との距離D+、および、他方側に最も大きな変位値で表わされる点zVと最適平面との距離D-の和を反りとして算出する。ここで、図11においては、最適平面50から一方側に変位している点(最適平面50上の点を含む)を点zA、最適平面50より他方側に変位している点を点zBと表記した。
【0067】
このようにして、反り曲面30上の平滑化処理された複数の計算用変位値でそれぞれ表わされる複数の点zから、最適平面50で示される基板10の裏面10r全体の平均的傾斜を相殺して、基板10の裏面10rの反りを迅速にかつ正確に測ることができる。本実施形態においては、実施形態4に比べて、外周部除去ステップS3および平滑化ステップS4が追加されているため、基板の裏面の反りをより正確に測ることができる。また、本実施形態においては、実施形態1と同様に、基板は3点の支持部を有する基板支持台上に基板の結晶成長面が3点の支持部で支持されるように配置されていることが好ましく、基板検出ステップS1は、基板が配置されている基板支持台を二次元方向に段階的に移動させて、レーザフォーカス方式により、レーザ変位計と裏面の複数の測定点との距離を測定することにより行なうことが好ましく、平滑化ステップS4はガウシアンフィルタを用いて行なうことが好ましい。
【実施例】
【0068】
(比較例1)
直径5.08cm(2インチ)×厚さ400μmで、結晶成長面の面粗さRaが1.5nm、裏面の面粗さRaが42nmのGaN基板の裏面の反りを、光干渉方式のフラットネステスタ(ニデック社製FT−17(光出力部)およびFA−200(解析部))を用いて測定した。このフラットネステスタには、レーザ波長655nmの半導体レーザが用いられていた。また、変位値を測定するための測定点のピッチは、約100μmで、約70650点の測定点の変位を解析した。このGaN基板の裏面の反りは8.5μmであった。
【0069】
なお、GaN基板の結晶成長面および裏面の面粗さRaは、それぞれレーザフォーカス式のレーザ変位計を用いて750μm×700μmの範囲および3D−SEMを用いて100μm×80μmの範囲を測定し、かかる測定範囲から任意に特定した粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から測定曲線までの偏差の絶対値を合計してそれを基準長さで平均することにより算出した。
【0070】
(実施例1)
比較例1と同一のGaN基板の裏面の反りを、レーザフォーカス方式のレーザ変位計(キーエンス社製LT−9010(レーザ出力部)およびLT−9500(レーザ制御部))、XYポジションコントローラ(コムス社製CP−500)およびデータ解析装置(コムス社製CA−800)を用いて測定した。このレーザ変位計には、レーザ波長670nmの赤色半導体レーザが用いられていた。
【0071】
図1〜図3を参照して、まず、GaN基板(基板10)を、その結晶成長面10cの外周部が3つの支持部12hにより支持されるように、基板支持台12上に配置した。次いで、レーザ変位計15を用いてGaN基板(基板10)の裏面10rの複数の測定点10pにそれぞれ対応する複数の変位値を検出した(基板検出ステップS1)。ここで、測定点10pのピッチPは700μmとして、約5000点の複数の測定点10pにそれぞれ対応する複数の変位値を測定した。次いで、8近傍のメディアンフィルタを用いて複数の変位値に含まれるノイズを除去した(ノイズ除去ステップS2)。次いで、複数の変位値から基板10の外周10eから3つ内側までの測定点にそれぞれ対応する複数の変位値を除去して複数の計算用変位値を算出した(外周部除去ステップS3)。
【0072】
次に、上記の複数の計算用変位値を、図5(c)に示す規格化後のσ=5の8近傍のガウシアンフィルタを用いて、平滑化処理して反り曲面を算出した(平滑化ステップS4)。次いで、平滑化処理がされた複数の計算用変位値における各変位値で表わされる点と最適平面との距離の二乗の和が最小となるように最適平面を算出した(最適平面算出ステップS5)。次いで、反り曲面が最適平面に対して有する、一方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離および他方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離の和を反りとして算出した(反り算出ステップS6)。こうして算出された反りは9.0μmであった。
【0073】
次に、再び、8近傍のメディアンフィルタを用いて複数の計算用変位値に含まれるノイズを除去した(ノイズ除去ステップS2)後、上記の平滑化ステップS4、最適平面算出ステップS5および反り算出ステップS6がこの順で行なわれる最適化サイクルを1回繰り返した。こうして算出された反りは8.5μmであった。
【0074】
次に、上記の最適化サイクルをさらに1回繰り返した。こうして算出された反りは8.3μmであり、直前の算出反りとの差が0.5μm以下となったため、最適化サイクルを終了し、基板の裏面の反りを8.3μmとした。
【0075】
実施例1と比較例1とを対比すると明らかなように、本発明にかかる反り測定方法により得られた反りは、従来の光干渉方式のフラットネステスタによる測定により得られた反りとほぼ一致した。このことから、本発明にかかる反り測定方法により基板の裏面の反りが正確に測定できることが確認された。
【0076】
(比較例2)
直径5.08cm(2インチ)×厚さ400μmで、結晶成長面の面粗さRaが3nm、裏面の面粗さRaが57nmのGaN基板の裏面の反りを、比較例1と同じ光干渉方式のフラットネステスタを用いて、同様の方法で測定を試みたが、測定面が粗く光が散乱されて測定に必要な干渉縞が得られず、裏面の反りを測定することができなかった。
【0077】
(実施例2)
比較例2と同一のGaN基板の裏面の反りを、実施例1と同様の方法で測定した。最初の反り算出ステップS6後に算出された反りは10.9μmであった。次に、ノイズ除去ステップS2を行なった後、実施例1と同様の最適化サイクルを1回繰り返した後(2回目の反り算出ステップS6後)に算出された反りは10.2μmであった。次に、上記最適化サイクルをさらに1回繰り返した後(3回目の反り算出ステップS6後)に算出された反りは10.0μmであった。こうして、直前の算出反りとの差が0.5μm以下となったため、最適化サイクルを終了し、基板の裏面の反りを10.0μmとした。
【0078】
実施例2と比較例2とを対比すると明らかなように、基板において面粗さRaが50nmを超える粗い裏面を有する基板について、従来の光干渉方式のフラットネステスタによる測定方法では基板の粗い裏面の反りを測定できなかったのに対し、本発明にかかる反り測定方法では基板の粗い裏面の反りを測定できた。
【0079】
(実施例3)
実施例2と同一のGaN基板の裏面の反りを、レーザフォーカス方式のレーザ変位計(キーエンス社製LT−9010(レーザ出力部)およびLT−9500(レーザ制御部))、XYポジションコントローラ(コムス社製CP−500)およびデータ解析装置(コムス社製CA−800)を用いて測定した。このレーザ変位計には、レーザ波長670nmの赤色半導体レーザが用いられていた。
【0080】
図2、図3および図7を参照して、まず、GaN基板(基板10)を、その結晶成長面10cの外周部が3つの支持部12hにより支持されるように、基板支持台12上に配置した。次いで、レーザ変位計15を用いてGaN基板(基板10)の裏面10rの複数の測定点10pにそれぞれ対応する複数の変位値を検出した(基板検出ステップS1)。ここで、測定点10pのピッチPは700μmとして、約5000点の複数の測定点10pにそれぞれ対応する複数の変位値を測定した。次いで、上記複数の変位値における各変位値で表わされる点と最適平面との距離の二乗の和が最小となるように最適平面を算出した(最適平面算出ステップS5)。次いで、上記複数の変位値でそれぞれ表わされる複数の点において、上記最適平面に対して、一方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離および他方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離の和を反りとして算出した(反り算出ステップS6)。こうして算出された反りは11.5μmであった。
【0081】
(実施例4)
実施例2と同一のGaN基板の裏面の反りを以下のようにして測定した。図8を参照して、基板検出ステップS1は実施例3と同様に行なった。次いで、8近傍のメディアンフィルタを用いて複数の変位値に含まれるノイズを除去した(ノイズ除去ステップS2)。次いで、複数の変位値から基板10の外周10eから3つ内側までの測定点にそれぞれ対応する複数の変位値を除去して複数の計算用変位値を算出した(外周部除去ステップS3)。次いで、上記の複数の計算用変位値における各変位値で表わされる点と最適平面との距離の二乗の和が最小となるように最適平面を算出した(最適平面算出ステップS5)。次いで、上記の複数の計算用変位値でそれぞれ表わされる複数の点において、上記の最適表面に対して、一方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離および他方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離の和を反りとして算出した(反り算出ステップS6)。こうして算出された反りは11.1μmであった。
【0082】
(実施例5)
実施例2と同一のGaN基板の裏面の反りを以下のようにして測定した。図8を参照して、基板検出ステップS1は実施例3と同様に行なった。次いで、複数の変位値から基板10の外周10eから3つ内側までの測定点にそれぞれ対応する複数の変位値を除去して複数の計算用変位値を算出した(外周部除去ステップS3)。次いで、上記の複数の計算用変位値を、図5(c)に示す規格化後のσ=5の8近傍のガウシアンフィルタを用いて、平滑化処理して反り曲面を算出した(平滑化ステップS4)。次いで、反り曲面上の平滑化処理がされた複数の計算用変位値における各変位値で表わされる点と最適平面との距離の二乗の和が最小となるように最適平面を算出した(最適平面算出ステップS5)。次いで、上記の反り曲面上の平滑化処理がされた複数の計算用変位値でそれぞれ表わされる複数の点において、上記の最適平面に対して、一方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離および他方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離の和を反りとして算出した(反り算出ステップS6)。こうして算出された反りは11.2μmであった。
【0083】
実施例3〜実施例5から明らかなように、基板検出ステップS1、最適平面算出ステップS5および反り算出ステップS6を含む測定方法(実施例3)、実施例3の測定方法にさらにノイズ除去ステップS2および外周部除去ステップS3を含む測定方法(実施例4)ならびに実施例3の測定方法にさらに外周部除去ステップS3および平滑化ステップS4を含む測定方法についても、簡便な処理によって、迅速にかつ正確に基板の裏面の反りを測定できた。
【0084】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明でなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明にかかる基板の裏面の反り測定方法の例を示すフローチャートである。
【図2】本発明にかかる基板の裏面の反り測定方法に用いられる測定装置を示す模式図である。
【図3】本発明にかかる基板の裏面の反り測定方法における複数の測定点を示す模式図である。
【図4】複数の測定点の配列を示す模式図である。
【図5】8近傍のガウシアンフィルタのカーネルを示す模式図である。ここで、(a)は各係数となるガウス関数f(x,y)の配列される位置を示し、(b)はσ=5、規格化前の各係数の配列を示し、(c)はσ=5、規格化後の各係数の配列を示す。
【図6】本発明にかかる基板の裏面の反り測定方法における反り算出ステップの例を示す模式図である。
【図7】本発明にかかる基板の裏面の反り測定方法の他の例を示すフローチャートである。
【図8】本発明にかかる基板の裏面の反り測定方法のさらに他の例を示すフローチャートである。
【図9】本発明にかかる基板の裏面の反り測定方法のさらに他の例を示すフローチャートである。
【図10】本発明にかかる基板の裏面の反り測定方法における反り算出ステップの他の例を示す模式図である。
【図11】本発明にかかる基板の裏面の反り測定方法における反り算出ステップのさらに他の例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0086】
10 基板、10c 結晶成長面、10e 外周、10p 測定点、10r 裏面、12 基板支持台、12a 非凹部面、12b 凹部面、12h 支持部、13 駆動部、14 駆動装置、15 レーザ変位計、16 駆動制御装置、17 レーザ変位計制御装置、18 データ解析装置、21 レーザ光、21i 入射光、21r 反射光、22 位置データ、23 変位値データ、100p 任意に特定される測定点、101p,102p,103p,104p,105p,106p,107p,108p 任意に特定される測定点に近傍する複数の測定点、111p 外周から1つ内側の測定点、112p 外周から2つ内側の測定点、120a 基板支持台の非凹部面の測定点、120b 基板支持台の凹部面の測定点、30 反り曲面、50 最適平面。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイスなどに用いられる基板の裏面の反り測定方法に関し、詳しくは、レーザ変位計を用いた基板の裏面(結晶成長面と反対側の面をいう、以下同じ)の反り測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスなどに用いられる基板においては、特性のよい半導体デバイスを得るために、基板上に品質のよい1以上の半導体層を形成する必要があることから、基板の結晶成長面の反りおよび面粗さが小さいことが求められる。かかる結晶成長面の反りは光干渉方式のフラットネステスタにより測定することができ、結晶成長面の面粗さは、3D−SEM(三次元電子顕微鏡、以下同じ)などにより測定することができる(たとえば、松下嘉明,他3名,「超精密ウェーハ表面制御技術」,第1版,株式会社サイエンスフォーラム,2000年2月28日,p258−264,p272−278(非特許文献1)を参照)。
【0003】
基板上に品質のよい1以上の半導体層を形成するためには、基板の結晶成長面の反りおよび面粗さが小さいだけでなく、基板の裏面の反りおよび面粗さが小さいことが求められる。基板の裏面の反りおよび面粗さが大きいと、基板の結晶成長面に半導体層を形成する際、基板の裏面とサセプタ(基板を配置する台をいう、以下同じ)との間に形成される空隙部が大きくなり、サセプタから基板に伝わる熱の分布が不均一となり、基板の結晶成長面上に半導体層を均一に安定して形成することができなくなり、品質のよい半導体層の形成ができない。
【0004】
したがって、半導体デバイスの製作に適した基板を準備するためには、基板の結晶成長面の反りおよび面粗さのみならず、基板の裏面の反りおよび面粗さをも評価する必要がある。かかる裏面の面粗さは、3D−SEMなどにより測定することができる。
【0005】
しかし、裏面の面粗さは、基板の結晶成長面の面粗さに比べて大きく、面粗さRaが50nmを超えるものも多い。このため、光干渉方式のフラットネステスタによっては、裏面の反りを測定することが困難である。また、光干渉方式のフラットネステスタでは、反射光が得られないため、データ解析もできなかった。
【0006】
そこで、特性の良い半導体デバイスを作製するために、基板の裏面の反りを測定する方法の開発が、強く望まれていた。
【非特許文献1】松下嘉明,他3名,「超精密ウェーハ表面制御技術」,第1版,株式会社サイエンスフォーラム,2000年2月28日,p258−264,p272−278
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、基板の裏面の反りを測定する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、レーザ変位計を用いて基板の結晶成長面の反対側の面である裏面の反りを測定する方法であって、基板は基板支持台上に配置されており、レーザ変位計を用いて基板の裏面の複数の測定点にそれぞれ対応する複数の変位値を検出する基板検出ステップと、複数の変位値に含まれるノイズを除去するノイズ除去ステップと、複数の変位値から基板の外周部の測定点にそれぞれ対応する複数の変位値を除去して複数の計算用変位値を算出する外周部除去ステップと、複数の計算用変位値を平滑化処理して反り曲面を算出する平滑化ステップと、反り曲面との距離を最小にする最適平面を算出する最適平面算出ステップと、反り曲面が最適平面に対して有する一方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離および他方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離の和を反りとして算出する反り算出ステップとを含む基板の裏面の反り測定方法である。
【0009】
本発明にかかる基板の裏面の反り測定方法において、基板を3点の支持部を有する基板支持台上に基板の結晶成長面が3点の支持部で支持されるように配置することができる。また、基板検出ステップは、基板が配置されている基板支持台を二次元方向に段階的に移動させて、レーザフォーカス方式により、レーザ変位計と裏面の複数の測定点との距離を測定することにより行なうことができる。また、ノイズ除去ステップは、メディアンフィルタを用いて行なうことができる。また、平滑化ステップは、ガウシアンフィルタを用いて行なうことができる。また、最適平面算出ステップは、平滑化処理がされた複数の計算用変位値における各変位値で表わされる点と最適平面との距離の二乗の和が最小となるように最適平面を算出することにより行なうことができる。
【0010】
また、本発明にかかる基板の裏面の反り測定方法において、平滑化ステップと、最適平面算出ステップと、反り算出ステップとを含む最適化サイクルを1回以上繰り返すことができる。さらに、この最適化サイクルの繰り返しの間に、または、最適化サイクル中の平滑化ステップの後に、少なくとも1回のノイズ除去ステップを含めることができる。
【0011】
また、本発明は、レーザ変位計を用いて基板の結晶成長面の反対側の面である裏面の反りを測定する方法であって、基板は基板支持台上に配置されており、レーザ変位計を用いて基板の裏面の複数の測定点にそれぞれ対応する複数の変位値を検出する基板検出ステップと、複数の変位値でそれぞれ表わされる複数の点との距離を最小にする最適平面を算出する最適平面算出ステップと、複数の変位値でそれぞれ表わされる複数の点において最適平面に対して一方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離および他方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離の和を反りとして算出する反り算出ステップとを含む基板の裏面の反り測定方法である。
【0012】
また、本発明にかかる基板の裏面の反り測定方法において、基板検出ステップ後、最適平面算出ステップ前に、複数の変位値に含まれるノイズを除去するノイズ除去ステップと、複数の変位値から基板の外周部の測定点にそれぞれ対応する複数の変位値を除去して複数の計算用変位値を算出する外周部除去ステップとをさらに含み、最適平面算出ステップおよび反り算出ステップにおいて複数の変位値として複数の計算用変位値を用いることができる。ここで、ノイス除去ステップは、メディアンフィルタを用いて行なうことができる。
【0013】
また、本発明にかかる基板の裏面の反り測定方法において、基板検出ステップ後、最適平面算出ステップ前に、複数の変位値から基板の外周部の測定点にそれぞれ対応する複数の変位値を除去して複数の計算用変位値を算出する外周部除去ステップと、複数の計算用変位値を平滑化処理して反り曲面を算出する平滑化ステップとをさらに含み、最適平面算出ステップおよび反り算出ステップにおいて、複数の変位値でそれぞれ表わされる複数の点として反り曲面上の平滑化処理された複数の計算用変位値でそれぞれ表わされる複数の点を用いることができる。ここで、平滑化ステップは、ガウシアンフィルタを用いて行なうことができる。
【0014】
さらに、本発明にかかる基板の裏面の反り測定方法において、基板を3点の支持部を有する基板支持台上に基板の結晶成長面が3点の支持部で支持されるように配置することができる。また、基板検出ステップは、基板が配置されている基板支持台を二次元方向に段階的に移動させて、レーザフォーカス方式により、レーザ変位計と裏面の複数の測定点との距離を測定することにより行なうことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、基板の裏面の反りを測定する方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(実施形態1)
本発明にかかる基板の裏面の反り測定方法の一実施形態は、図1を参照して、レーザ変位計を用いて基板の結晶成長面の反対側の面である裏面の反りを測定する方法であって、基板は基板支持台上に配置されており、レーザ変位計を用いて基板の裏面の複数の測定点にそれぞれ対応する複数の変位値を検出する基板検出ステップS1と、複数の変位値に含まれるノイズを除去するノイズ除去ステップS2と、複数の変位値から基板の外周部の測定点にそれぞれ対応する複数の変位値を除去して複数の計算用変位値を算出する外周部除去ステップS3と、複数の計算用変位値を平滑化処理して反り曲面を算出する平滑化ステップS4と、反り曲面との距離を最小にする最適平面を算出する最適平面算出ステップS5と、反り曲面が最適平面に対して有する一方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離および他方側に最も大きな変位値で表される点と最適平面との距離の和を反りとして算出する反り算出ステップS6とを含む基板の裏面の反り測定方法である。かかる測定方法により、裏面の面粗さが大きな(たとえば、面粗さRaが50nm以上の)基板についても、基板の裏面の反りの測定が可能となる。なお、面粗さRaとは、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から測定曲線までの偏差の絶対値を合計してそれを基準長さで平均した値をいう。
【0017】
また、図1において、実線の枠で囲まれたステップは必須ステップを示し、破線の枠で囲まれたステップは任意ステップを示す。なお、本実施形態および図1においては、ノイズ除去ステップS2の後に外周部除去ステップS3を行なう場合を記載しているが、ノイズ除去ステップS2と外周部除去ステップS3の順序が逆であってもよい。
【0018】
ここで、図2を参照して、レーザ変位計15とは、レーザ光21を基板10の裏面10rに照射することにより、基板10の裏面10rの変位を測定する装置をいう。レーザの種類には特に制限はなく波長が670nmの赤色半導体レーザなどが用いられ、測定方式には特に制限はなくレーザフォーカス方式などが用いられる。また、レーザフォーカス方式のレーザ変位計は、光干渉方式のフラットネステスタに比べて、測定精度が低いが、面粗さRaが50nm以上の粗い裏面の測定が可能である。なお、赤色半導体レーザよりも波長が短い青色半導体レーザを用いることにより、レーザ変位計の測定精度を向上させることができる。また、レーザフォーカス方式のレーザ変位計は、光干渉方式のフラットネステスタと異なり、反射光21rが得られるため、変位値の解析および処理が可能となる。
【0019】
図2および図3を参照して、基板10は基板支持台12上に配置されている。基板10を基板支持台12上に配置する方法には、特に制限はないが、3点の支持部12hを有する基板支持台12上に、基板10の結晶成長面10cが上記3点の支持部12hで支持されるように配置することが好ましい。3点の支持部12hのみで基板10の結晶成長面10cの外周部を支持することにより、反り測定の際の結晶成長面10cの損傷を最小限にすることができる。また、上記3点の支持によって基板10が傾斜しても、反り曲面(裏面の反りを示す曲面をいう、以下同じ)との距離が最も小さくなるような最適平面を算出して、その反り曲面と最適平面との距離を算出することにより、基板10の傾斜を相殺できる。
【0020】
図1〜図3を参照して、基板検出ステップS1は、特に制限はないが、基板10を二次元方向(図3におけるX方向およびY方向をいう、以下同じ)に段階的に移動させて、レーザ変位計15と基板10の裏面10rとの距離Lを測定することにより行なうことができる。ここで、基板10の二次元方向への段階的移動は、基板支持台12と駆動装置14とを連結している駆動部13を二次元方向に段階的に移動させることにより行なうことができる。ここで、駆動装置14は、位置制御装置16により制御されている。
【0021】
このとき、基板の裏面の複数の測定点中のレーザ光21が照射されている測定点(任意に特定される測定点)100pの二次元方向の位置データは、位置制御装置16を介して、データ解析装置18に集められる。ここで、矢印22は位置データの伝達方向を示す。
【0022】
距離Lの測定方法には、特に制限はないが、たとえばレーザフォーカス方式により行なうことができる。ここで、レーザフォーカス方式とは、以下の測定方式をいう。レーザ変位計15内の光源からの入射光21iは、レーザ変位計15内で音叉により高速で上下動している対物レンズ(図示せず)を介して基板10の裏面10rの任意に特定される測定点100pに照射される。この任意に特定される測定点100pからの反射光21rは、レーザ変位計15内のピンホール(図示せず)を通過して受光素子(図示せず)に到達する。共焦点原理により、入射光21iが基板10の裏面10rの任意に特定される測定点100pに焦点を結んだときに反射光21rが上記ピンホールの位置で一点に集光されて受光素子に入光する。このときの上記音叉の位置をセンサ(図示せず)で測定することにより、レーザ変位計15と基板10の裏面10rの任意に特定される測定点100pとの距離Lを測定できる。このようにして、基板10の裏面10rの任意に特定される測定点100pの変位値z(a,b)(Z方向の変位値をいう、以下同じ)を測定することができる。
【0023】
このとき、基板10の裏面10rの複数の測定点10p中の任意に特定される測定点100pの変位値データは、レーザ変位計制御装置17を介して、データ解析装置18に集められる。ここで、矢印23は変位値データの伝達方向を示す。
【0024】
次に、図2および図3に示すように、基板を段階的に(たとえば、X方向またはY方向に一定のピッチPで)移動させた後、上記測定を行なうことにより、上記任意に特定される測定点100pにピッチPで隣接する測定点についての二次元方向(X方向およびY方向)の位置データおよびZ方向の変位値データが得られる。かかる操作を繰り返すことにより、基板10の裏面10rの複数の測定点10pのそれぞれについての二次元方向(X方向およびY方向)の位置データおよびZ方向の変位値データが得られる。こうして得られる二次元方向(X方向およびY方向)の位置データおよびZ方向の変位値データは、データ解析装置18に集められる。
【0025】
なお、図3に示すように、円状の基板10を二次元方向(X方向およびY方向)に一定のピッチPで段階的に移動させるとき、レーザ光が基板10の裏面10rではなく基板支持台12上に照射される場合がある。図3に示すように、基板10が基板支持台12の凹部に配置されるような場合は、基板支持台12の非凹部面12aの測定点120aおよび凹部面12bの測定点120bが存在し得る。
【0026】
かかる場合には、図2を参照して、以下のようにして測定点120aおよび120bを除去して、基板10の裏面10rの複数の測定点10pにそれぞれ対応する複数の変位値を検出することができる。すなわち、レーザ変位計15と基板支持台12の非凹部面12aとの距離Laおよびレーザ変位計15と基板支持台12の凹部面12bとの距離Lbに対して、レーザ変位計15との距離Lが、La<L<Lbとなるような任意に特定される測定点100pのみを検出することにより、上記測定点120aおよび120bが除去され、基板10の裏面10rの複数の測定点10pにそれぞれ対応する複数の変位値が得られる。
【0027】
本実施形態において、ノイズ除去ステップS2は、複数の変位値に含まれるノイズを除去するものであれば特に制限はないが、メディアンフィルタを用いて行なうことが好ましい。ここで、図4を参照して、メディアンフィルタとは、上記複数の変位値(基板10の裏面10rの複数の測定点10pにそれぞれ対応する複数の変位値をいう、以下同じ)において任意に特定される変位値z(a,b)(任意に特定される測定点100pに対応する変位値をいう、以下同じ)を、変位値z(a,b)および変位値z(a,b)に近傍する複数の変位値z(a-1,b+1)、z(a-1,b)、z(a-1,b-1)、z(a,b+1)、z(a,b-1)、z(a+1,b+1)、z(a+1,b)、z(a+1、b-1)(任意に特定される測定点100pに近傍する複数の測定点101p,102p,103p,104p,105p,106p,107p,108pにそれぞれに対応する変位値をいう、以下同じ)を昇べきまた降べきの順に並べたときの中央値(メディアン)に置き換えるフィルタをいう。ここで、図4においては、変位値z(a,b)および変位値z(a,b)に近傍する複数の変位値z(a-1,b+1)、z(a-1,b)、z(a-1,b-1)、z(a,b+1)、z(a,b-1)、z(a+1,b+1)、z(a+1,b)、z(a+1、b-1)が2次元方向(X方向およびY方向)に一定のピッチPで配列している。
【0028】
なお、図4においては、近傍する複数の変位値として、任意に特定された変位値z(a,b)を取り囲んで隣接する8つの変位値z(a-1,b+1)、z(a-1,b)、z(a-1,b-1)、z(a,b+1)、z(a,b-1)、z(a+1,b+1)、z(a+1,b)およびz(a+1、b-1)を用いた(このようなメディアンフィルタを8近傍のメディアンフィルタという)が、近傍の複数の測定点は8つに限られない。たとえば、変位値の近傍の24の測定点を用いることもできる(このようなメディアンフィルタを24近傍のメディアンフィルタという)。
【0029】
また、本実施形態において、外周部除去ステップS3は、複数の変位値から基板の外周部の測定点にそれぞれ対応する複数の変位値を除去して複数の計算用変位値を算出するものであれば特に制限はないが、ノイズ除去ステップS2において8近傍のメディアンフィルタを用いる場合には、図3を参照して、上記複数の変位値から、基板10の外周部の測定点にそれぞれ対応する変位値として、外周10eから少なくとも2つ内側までの測定点111p,112pのそれぞれに対応する変位値を除去することが好ましい。
【0030】
ノイズ除去ステップS2において8近傍のメディアンフィルタを用いる場合、図3を参照して、基板10の外周10eから上記1つおよび2つ内側の変位値に近傍する8つの変位値の少なくとも1つの変位値は、基板支持台12の非凹部面12aまたは凹部面12bの変位値となり、上記ノイズ除去ステップによってはノイズが除去されていないからである。このようにして、複数の変位値から基板の外周部の測定点にそれぞれ対応する複数の変位値が除去されて、複数の計算用変位値が得られる。
【0031】
また、本実施形態において、平滑化ステップS4は、図6を参照して、上記複数の計算用変位値を平滑化処理して反り曲面30を算出するものであれば特に制限はないが、ガウシアンフィルタを用いて行なうことが好ましい。ここで、ガウシアンフィルタとは、複数の計算用変位値において任意に特定される変位値z(a,b)を、変位値z(a,b)および変位値z(a,b)に近傍する複数の変位値z(a-1,b+1)、z(a-1,b)、z(a-1,b-1)、z(a,b+1)、z(a,b-1)、z(a+1,b+1)、z(a+1,b)、z(a+1、b-1)についてのガウス関数f(x,y)を重み付けとして用いた加重平均値z'(a,b)に置き換えるフィルタをいう。かかる平滑化処理により、面粗さが大きい(たとえば、面粗さRaが50nm以上の)裏面であっても反りの測定が可能となる。
【0032】
二次元のガウス関数f(x,y)は、以下の式(1)で表される。ここで、aおよびbはそれぞれ任意に特定される測定点のX方向およびY方向の座標値を、σは標準偏差(σ2は分散)を、Nは規格化定数を示す。
【0033】
【数1】
【0034】
式(1)から明らかなように、測定点(x,y)と任意に特定される測定点(a,b)との距離が離れるほど、f(x,y)の値が小さくなり、重み付けが小さくなる。また、σの値が大きくなるほど、測定点(x,y)と測定点(a,b)との距離の違いによる重み付けの大小の差が小さくなる。
【0035】
上記においては、近傍する複数の変位値として、任意に特定された変位値z(a,b)を取り囲んで隣接する8つの変位値z(a-1,b+1)、z(a-1,b)、z(a-1,b-1)、z(a,b+1)、z(a,b-1)、z(a+1,b+1)、z(a+1,b)およびz(a+1、b-1)を用いた(このようなガウシアンフィルタを8近傍のガウシアンフィルタという)が、近傍の複数の変位値は8つに限られない。たとえば、変位値の近傍の24の変位値を用いることもできる(このようなガウシアンフィルタを24近傍のガウシアンフィルタという)。
【0036】
8近傍のガウシアンフィルタを用いるとは、具体的には、任意に特定された変位値z(a,b)を、図4に示す複数の変位値z(a-1,b+1)、z(a-1,b)、z(a-1,b-1)、z(a,b+1)、z(a,b)、z(a,b-1)、z(a+1,b+1)、z(a+1,b)およびz(a+1、b-1)のそれぞれに対して、図5(a)のカーネル(各変位値におけるフィルタの係数をマトリックス形式で表示したもの、以下同じ)に示す各係数としてガウス関数f(x,y)(ここで、x=a−1、a、a+1;y=b−1、b、b+1)の重みをつけて加重平均したz'(a,b)に置き換えることをいう。すなわち、以下の式(2)のようにして、z'(a,b)を得ることをいう。
【0037】
【数2】
【0038】
ガウシアンフィルタの各係数となるガウス関数f(x,y)は、任意に特定された変位値の測定点(a、b)からの測定点(x、y)の距離および標準偏差σによって決まる。たとえば、図5(b)はσ=5、規格化前の8近傍のガウシアンフィルタの各係数f(x,y)の値の配列を示し、図5(c)はσ=5、規格化後の8近傍のガウシアンフィルタの各係数f(x,y)の値の配列を示す。ここで、規格化とは、ガウシアンフィルタの各係数f(x,y)の比率を保持しながら、各係数f(x,y)の和が1となるように補正することをいう。
【0039】
なお、式(1)よりガウス関数はX方向およびY方向のそれぞれについて独立であることから、式(2)は、以下の式(3)および式(4)にそれぞれ示すように、X方向の和およびY方向の和の形に分離することができる。このことは、最初にX方向にサンプリングし、次いでY方向にサンプリングして得られた複数の変位値をデータ処理する方法に、ガウシアンフィルタによる平滑化を適用するのが数学的に妥当であることを裏付けている。
【0040】
【数3】
【0041】
なお、ガウス関数は、X方向およびY方向の平面内において点対称であるため、円形にサンプリングすることも可能である。このことは、式(2)を座標変換して得られた極座標における式(4)の重み付けの指数関数部分に角度θの係数が入らないことから裏付けられている。
【0042】
【数4】
【0043】
また、本実施形態において、最適平面算出ステップS5は、図6を参照して、反り曲面30との距離を最小にする最適平面50を算出するものであれば特に制限はない。ここで、反り曲面30との距離を最小にする最適平面を算出するとは、反り曲面30上の平滑化処理された複数の計算用変位値でそれぞれ表わされる複数の点との距離が最小になる最適平面を算出することをいい、反り曲面30上の平滑化処理がされた複数の計算用変位値における各変位値で表される点と最適平面50との距離の二乗の和が最小となるように最適平面50を算出すること(最小二乗法)が好ましい。かかる最小二乗法を用いることにより、3点支持されている基板10の裏面10r全体の平均的傾斜を示す最適平面50が得られる。
【0044】
また、本実施形態において、反り算出ステップS6は、図6を参照して、反り曲面30が最適平面50に対して有する、一方側に最も大きな変位値zPで表される点と前記最適平面との距離D+、および、他方側に最も大きな変位値zVで表される点と最適平面との距離D-の和を反りとして算出する。かかる算出方法には特に制限はないが、たとえば、図11を参照して、本実施形態の反り算出ステップS6は、反り曲面30上の平滑化処理された複数の計算用変位値でそれぞれ表わされる複数の点zにおいて、最適平面50に対して、一方側に最も大きな変位値で表わされる点zPと最適平面50との距離D+、および、他方側に最も大きな変位値で表わされる点zVと最適平面との距離D-の和を反りとして算出する。ここで、図11においては、最適平面50から一方側に変位している点を点zA、最適平面50より他方側に変位している点を点zBと表記した。このようにして、反り曲面30から、最適平面50で示される基板10の裏面10r全体の平均的傾斜を相殺して、基板10の裏面10rの反りを正確に測定することができる。
【0045】
ここで、反りの方向を反りの符号によって表すことができる。たとえば、図6(a)に示すような裏面の反り曲面30が凹状のものを+の反り、図6(b)に示すような裏面の反り曲面30が凸状のものを−の反りと表記することができる。
【0046】
(実施形態2)
本発明にかかる基板の裏面の反りの測定方法の他の実施形態は、図1〜図3を参照して、レーザ変位計15を用いて基板10の結晶成長面10cの反対側の面である裏面10rの反りを測定する方法であって、基板10は、基板支持台12上に配置されており、レーザ変位計15を用いて基板10の裏面10rの複数の測定点10pにそれぞれ対応する複数の変位値を検出する基板検出ステップS1と、複数の変位値に含まれるノイズを除去するノイズ除去ステップS2と、複数の変位値から基板10の外周部の測定点にそれぞれ対応する複数の変位値を除去して複数の計算用変位値を算出する外周部除去ステップS3と、複数の計算用変位値を平滑化処理して反り曲面を算出する平滑化ステップS4と、反り曲面との距離を最小にする最適平面を算出する最適平面算出ステップS5と、反り曲面が最適平面に対して有する、一方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離および他方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離の和を反りとして算出する反り算出ステップS6とを含み、上記平滑化ステップS4と、最適平面算出ステップS5と、反り算出ステップS6とを含む最適化サイクルC1を1回以上繰り返すことを特徴とする。
【0047】
かかる最適化サイクルC1を1回以上繰り返すことにより、基板10の裏面10rの反り曲面をより平滑にすることにより面粗さによる影響をより少なくして、裏面10rの反りをより正確に測定することができる。また、裏面10rの反りをより正確に測定する観点から、最適化サイクルC1において、平滑化ステップS4、最適平面算出ステップS5および反り算出ステップS6は、この順で含まれていることが好ましい。また、後述のように、かかる最適化サイクルC1には、平滑化ステップS4の後に、ノイズ除去ステップS2が含まれていてもよい。
【0048】
ここで、最適化サイクルC1の繰り返し回数には特に制限はないが、ある最適サイクル前の反りの値とその最適化サイクル後の反りの値の差が、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.1μm以下になるまでの繰り返し回数とできる。また、ある最適サイクル前の反りの値に対するその最適サイクル前の反りの値とその最適化サイクル後の反りの値の差の比が、好ましくは0.05以下、より好ましくは0.01以下になるまでの繰り返し回数とできる。
【0049】
(実施形態3)
本発明にかかる基板の裏面の反りの測定方法のさらに他の実施形態は、図1〜図3を参照して、レーザ変位計15を用いて基板10の結晶成長面10cの反対側の面である裏面10rの反りを測定する方法であって、基板10は、基板支持台12上に配置されており、レーザ変位計15を用いて基板10の裏面10rの複数の測定点10pにそれぞれ対応する複数の変位値を検出する基板検出ステップS1と、複数の変位値に含まれるノイズを除去するノイズ除去ステップS2と、複数の変位値から基板10の外周部の測定点にそれぞれ対応する複数の変位値を除去した複数の変位値からなる複数の計算用変位値を算出する外周部除去ステップS3と、複数の計算用変位値を平滑化処理して反り曲面を算出する平滑化ステップS4と、反り曲面との距離を最小にする最適平面を算出する最適平面算出ステップS5と、反り曲面が最適平面に対して有する、一方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離および他方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離の和を反りとして算出する反り算出ステップS6とを含み、上記平滑化ステップS4と、最適平面算出ステップS5と、反り算出ステップS6とを含む最適化サイクルC1を1回以上繰り返す反りの測定方法であって、最適化サイクルC1の繰り返しの間に、または、最適化サイクルC1中の平滑化ステップS4の後に、少なくとも1回のノイズ除去ステップS2を含む。
【0050】
最適化サイクルC1の繰り返しの間に、または、最適化サイクルC1中の平滑化ステップS4の後に、少なくとも1回のノイズ除去ステップS2を含むことにより、複数の変位値に含まれるノイズのより効果的な除去が可能となり、裏面10rの反りをより正確に測定することができる。
【0051】
上記実施形態1から3によれば、基板の裏面の反りを極めて正確に測定することができるが、測定された変位値の処理および解析の労力が大きい。本発明においては、以下の実施形態に示すように、測定された変位値の処理および解析を簡便化することにより、基板の裏面の反りを迅速にかつ正確に測定することができる。
【0052】
(実施形態4)
本発明にかかる基板の裏面の反りの測定方法のさらに他の実施形態は、図2、図3および図7を参照して、レーザ変位計15を用いて基板10の結晶成長面10cの反対側の面である裏面10rの反りを測定する方法であって、基板10は基板支持台12上に配置されており、レーザ変位計15を用いて基板10の裏面10rの複数の測定点10pにそれぞれ対応する複数の変位値を検出する基板検出ステップS1と、複数の変位値でそれぞれ表わされる複数の点との距離を最小にする最適平面を算出する最適平面算出ステップS5と、複数の変位値でそれぞれ表わされる複数の点において、最適平面に対して、一方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離、および、他方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離の和を反りとして算出する反り算出ステップS6とを含む。
【0053】
すなわち、本実施形態は、基板検出ステップS1、ノイズ除去ステップS2、外周部除去ステップS3、平滑化ステップS4、最適平面算出ステップS5および反り算出ステップS6を含む実施形態1の測定方法から、ノイズ除去ステップS2、外周部除去ステップS3および平滑化ステップS4が省略された基板の裏面の反り測定方法に相当する。以下、各ステップについて説明する。ここで、基板検出ステップS1は、実施形態1の場合と同様である。
【0054】
図7を参照して、本実施形態においては、最適平面算出ステップS5は基板検出ステップS1の次に行なわれる。したがって、最適平面算出ステップS5は、基板検出ステップS1で検出された複数の変位値に基づいて行なわれる。すなわち、本実施形態の最適平面算出ステップS5においては、上記の複数の変位値で表わされる複数の点との距離を最小にする最適平面が算出される。ここで、複数の変位値で表わされる複数の点との距離を最小にする最適平面を算出する方法は、特に制限はないが、複数の変位値における各変位値で表わされる点と最適平面との距離の二乗の和が最小となるように最適平面を算出すること(最小二乗法)が好ましい。
【0055】
また、図7を参照して、本実施形態においては、反り算出ステップS6は、基板検出ステップS1の次の最適平面算出ステップS5の次に行なわれる。したがって、反り算出ステップS6は、基板検出ステップS1で検出された複数の変位値および最適平面算出ステップS5で算出された最適平面に基づいて行なわれる。すなわち、図10を参照して、本実施形態の反り算出ステップS6は、複数の変位値でそれぞれ表わされる複数の点zにおいて、最適平面50に対して、一方側に最も大きな変位値で表わされる点zPと最適平面50との距離D+、および、他方側に最も大きな変位値で表わされる点zVと最適平面との距離D-の和を反りとして算出する。ここで、図10においては、最適平面50から一方側に変位している点(最適平面50上の点を含む)を点zA、最適平面50より他方側に変位している点を点zBと表記した。このようにして、複数の変位値でそれぞれ表わされる複数の点zから、最適平面50で示される基板10の裏面10r全体の平均的傾斜を相殺して、基板10の裏面10rの反りを迅速にかつ正確に測ることができる。
【0056】
(実施形態5)
本発明にかかる基板の裏面の反りの測定方法のさらに他の実施形態は、図8を参照して、実施形態4の測定方法において、基板検出ステップ1S後、最適平面算出ステップS5前に、複数の変位値に含まれるノイズを除去するノイズ除去ステップS2と、複数の変位値から基板の外周部の測定点にそれぞれ対応する複数の変位値を除去して複数の計算用変位値を算出する外周部除去ステップS3とをさらに含み、最適平面算出ステップS5および反り算出ステップS6において、複数の変位値として複数の計算用変位値を用いるものである。
【0057】
すなわち、本実施形態の測定方法は、図2〜図4および図8を参照して、レーザ変位計15を用いて基板10の結晶成長面10cの反対側の面である裏面10rの反りを測定する方法であって、基板10は基板支持台12上に配置されており、レーザ変位計15を用いて基板10の裏面10rの複数の測定点10pにそれぞれ対応する複数の変位値を検出する基板検出ステップS1と、複数の変位値に含まれるノイズを除去するノイズ除去ステップS2と、複数の変位値から基板の外周部の測定点にそれぞれ対応する複数の変位値を除去して複数の計算用変位値を算出する外周部除去ステップS3と、複数の計算用変位値でそれぞれ表わされる複数の点との距離を最小にする最適平面を算出する最適平面算出ステップS5と、複数の計算用変位値でそれぞれ表わされる複数の点において、最適平面に対して、一方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離、および、他方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離の和を反りとして算出する反り算出ステップS6とを含む。したがって、本実施形態の測定方法は、実施形態1の測定方法から、平滑化ステップS4を省略したものに相当する。
【0058】
以下、各ステップについて説明する。ここで、基板検出ステップS1、ノイズ除去ステップS2および外周部除去ステップS3は、実施形態1の場合と同様である。なお、本実施形態および図8においても、実施形態1および図1と同様に、ノイズ除去ステップS2の後に外周部除去ステップS3を行なう場合を記載しているが、ノイズ除去ステップS2と外周部除去ステップS3の順序が逆であってもよい。
【0059】
図8を参照して、本実施形態においては、最適平面算出ステップS5は外周部除去ステップS3の次に行なわれる。したがって、最適平面算出ステップS5は、外周部除去ステップS3で算出された複数の計算用変位値に基づいて行なわれる。すなわち、図10を参照して、本実施形態の最適平面算出ステップS5においては、上記の複数の計算用変位値で表わされる複数の点zとの距離を最小にする最適平面50が算出される。ここで、複数の計算用変位値で表わされる複数の点zとの距離を最小にする最適平面50を算出する方法は、特に制限はないが、複数の変位値における各変位値で表わされる点と最適平面50との距離の二乗の和が最小となるように最適平面50を算出すること(最小二乗法)が好ましい。
【0060】
また、図8を参照して、本実施形態においては、反り算出ステップS6は、外周部除去ステップS3の次の最適平面算出ステップS5の次に行なわれる。したがって、反り算出ステップS6は、外周部除去ステップS3で算出された複数の計算用変位値および最適平面算出ステップS5で算出された最適平面に基づいて行なわれる。すなわち、図10を参照して、本実施形態の反り算出ステップS6は、複数の計算用変位値でそれぞれ表わされる複数の点zにおいて、最適平面50に対して、一方側に最も大きな変位値で表わされる点zPと最適平面50との距離D+、および、他方側に最も大きな変位値で表わされる点zVと最適平面との距離D-の和を反りとして算出する。ここで、図10においては、最適平面50から一方側に変位している点(最適平面50上の点を含む)を点zA、最適平面50より他方側に変位している点を点zBと表記した。
【0061】
このようにして、複数の計算用変位値でそれぞれ表わされる複数の点zから、最適平面50で示される基板10の裏面10r全体の平均的傾斜を相殺して、基板10の裏面10rの反りを迅速にかつ正確に測ることができる。本実施形態においては、実施形態4に比べて、ノイズ除去ステップS2および外周部除去ステップS3が追加されているため、基板の裏面の反りをより正確に測ることができる。また、本実施形態においては、実施形態1と同様に、基板は3点の支持部を有する基板支持台上に基板の結晶成長面が3点の支持部で支持されるように配置されていることが好ましく、基板検出ステップS1は、基板が配置されている基板支持台を二次元方向に段階的に移動させて、レーザフォーカス方式により、レーザ変位計と裏面の複数の測定点との距離を測定することにより行なうことが好ましく、ノイズ除去ステップS2はメディアンフィルタを用いて行なうことが好ましい。
【0062】
(実施形態6)
本発明にかかる基板の裏面の反りの測定方法のさらに他の実施形態は、図9を参照して、実施形態4の測定方法において、基板検出ステップ1S後、最適平面算出ステップS5前に、複数の変位値から基板の外周部の測定点にそれぞれ対応する複数の変位値を除去して複数の計算用変位値を算出する外周部除去ステップS3と、複数の計算用変位値を平滑化処理して反り曲面を算出する平滑化ステップS4とをさらに含み、最適平面算出ステップS5および反り算出ステップS6において、複数の変位値でそれぞれ表わされる複数の点として反り曲面上の平滑化処理された複数の計算用変位値でそれぞれ表わされる複数の点を用いるものである。
【0063】
すなわち、本実施形態の測定方法は、図2〜図4および図9を参照して、レーザ変位計15を用いて基板10の結晶成長面10cの反対側の面である裏面10rの反りを測定する方法であって、基板10は基板支持台12上に配置されており、レーザ変位計15を用いて基板10の裏面10rの複数の測定点10pにそれぞれ対応する複数の変位値を検出する基板検出ステップS1と、複数の変位値から基板の外周部の測定点にそれぞれ対応する複数の変位値を除去して複数の計算用変位値を算出する外周部除去ステップS3と、複数の計算用変位値を平滑化処理して反り曲面を算出する平滑化ステップS4と、反り曲面上の平滑化処理された複数の計算用変位値でそれぞれ表わされる複数の点との距離を最小にする最適平面を算出する最適平面算出ステップS5と、反り曲面上の平滑化処理された複数の計算用変位値でそれぞれ表わされる複数の点において、最適平面に対して、一方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離、および、他方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離の和を反りとして算出する反り算出ステップS6とを含む。したがって、本実施形態の測定方法は、実施形態1の測定方法から、ノイズ除去ステップS2を省略したものに相当する。
【0064】
以下、各ステップについて説明する。ここで、基板検出ステップS1、外周部除去ステップS3および平滑化ステップS4は、実施形態1の場合と同様である。
【0065】
図9を参照して、本実施形態においては、最適平面算出ステップS5は平滑化ステップS4の次に行なわれる。したがって、最適平面算出ステップS5は、実施形態1の場合と同様に、平滑化ステップS4で算出された反り曲面上の平滑化処理された複数の計算用変位値に基づいて行なわれる。すなわち、図11を参照して、本実施形態の最適平面算出ステップS5においては、反り曲面30上の平滑化処理された複数の計算用変位値でそれぞれ表わされる複数の点zとの距離を最小にする最適平面50が算出される。ここで、反り曲面30上の平滑化処理された複数の計算用変位値でそれぞれ表わされる複数の点zとの距離を最小にする最適平面50を算出する方法は、特に制限はないが、反り曲面30上の平滑化処理された複数の計算用変位値における各変位値で表わされる点と最適平面50との距離の二乗の和が最小となるように最適平面50を算出すること(最小二乗法)が好ましい。
【0066】
また、図9を参照して、本実施形態においては、反り算出ステップS6は、平滑化ステップS4の次の最適平面算出ステップS5の次に行なわれる。したがって、反り算出ステップS6は、平滑化ステップS4で算出された反り曲面上の平滑化処理された複数の計算用変位値および最適平面算出ステップS5で算出された最適平面に基づいて行なわれる。すなわち、図11を参照して、本実施形態の反り算出ステップS6は、反り曲面30上の平滑化処理された複数の計算用変位値でそれぞれ表わされる複数の点zにおいて、最適平面50に対して、一方側に最も大きな変位値で表わされる点zPと最適平面50との距離D+、および、他方側に最も大きな変位値で表わされる点zVと最適平面との距離D-の和を反りとして算出する。ここで、図11においては、最適平面50から一方側に変位している点(最適平面50上の点を含む)を点zA、最適平面50より他方側に変位している点を点zBと表記した。
【0067】
このようにして、反り曲面30上の平滑化処理された複数の計算用変位値でそれぞれ表わされる複数の点zから、最適平面50で示される基板10の裏面10r全体の平均的傾斜を相殺して、基板10の裏面10rの反りを迅速にかつ正確に測ることができる。本実施形態においては、実施形態4に比べて、外周部除去ステップS3および平滑化ステップS4が追加されているため、基板の裏面の反りをより正確に測ることができる。また、本実施形態においては、実施形態1と同様に、基板は3点の支持部を有する基板支持台上に基板の結晶成長面が3点の支持部で支持されるように配置されていることが好ましく、基板検出ステップS1は、基板が配置されている基板支持台を二次元方向に段階的に移動させて、レーザフォーカス方式により、レーザ変位計と裏面の複数の測定点との距離を測定することにより行なうことが好ましく、平滑化ステップS4はガウシアンフィルタを用いて行なうことが好ましい。
【実施例】
【0068】
(比較例1)
直径5.08cm(2インチ)×厚さ400μmで、結晶成長面の面粗さRaが1.5nm、裏面の面粗さRaが42nmのGaN基板の裏面の反りを、光干渉方式のフラットネステスタ(ニデック社製FT−17(光出力部)およびFA−200(解析部))を用いて測定した。このフラットネステスタには、レーザ波長655nmの半導体レーザが用いられていた。また、変位値を測定するための測定点のピッチは、約100μmで、約70650点の測定点の変位を解析した。このGaN基板の裏面の反りは8.5μmであった。
【0069】
なお、GaN基板の結晶成長面および裏面の面粗さRaは、それぞれレーザフォーカス式のレーザ変位計を用いて750μm×700μmの範囲および3D−SEMを用いて100μm×80μmの範囲を測定し、かかる測定範囲から任意に特定した粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から測定曲線までの偏差の絶対値を合計してそれを基準長さで平均することにより算出した。
【0070】
(実施例1)
比較例1と同一のGaN基板の裏面の反りを、レーザフォーカス方式のレーザ変位計(キーエンス社製LT−9010(レーザ出力部)およびLT−9500(レーザ制御部))、XYポジションコントローラ(コムス社製CP−500)およびデータ解析装置(コムス社製CA−800)を用いて測定した。このレーザ変位計には、レーザ波長670nmの赤色半導体レーザが用いられていた。
【0071】
図1〜図3を参照して、まず、GaN基板(基板10)を、その結晶成長面10cの外周部が3つの支持部12hにより支持されるように、基板支持台12上に配置した。次いで、レーザ変位計15を用いてGaN基板(基板10)の裏面10rの複数の測定点10pにそれぞれ対応する複数の変位値を検出した(基板検出ステップS1)。ここで、測定点10pのピッチPは700μmとして、約5000点の複数の測定点10pにそれぞれ対応する複数の変位値を測定した。次いで、8近傍のメディアンフィルタを用いて複数の変位値に含まれるノイズを除去した(ノイズ除去ステップS2)。次いで、複数の変位値から基板10の外周10eから3つ内側までの測定点にそれぞれ対応する複数の変位値を除去して複数の計算用変位値を算出した(外周部除去ステップS3)。
【0072】
次に、上記の複数の計算用変位値を、図5(c)に示す規格化後のσ=5の8近傍のガウシアンフィルタを用いて、平滑化処理して反り曲面を算出した(平滑化ステップS4)。次いで、平滑化処理がされた複数の計算用変位値における各変位値で表わされる点と最適平面との距離の二乗の和が最小となるように最適平面を算出した(最適平面算出ステップS5)。次いで、反り曲面が最適平面に対して有する、一方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離および他方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離の和を反りとして算出した(反り算出ステップS6)。こうして算出された反りは9.0μmであった。
【0073】
次に、再び、8近傍のメディアンフィルタを用いて複数の計算用変位値に含まれるノイズを除去した(ノイズ除去ステップS2)後、上記の平滑化ステップS4、最適平面算出ステップS5および反り算出ステップS6がこの順で行なわれる最適化サイクルを1回繰り返した。こうして算出された反りは8.5μmであった。
【0074】
次に、上記の最適化サイクルをさらに1回繰り返した。こうして算出された反りは8.3μmであり、直前の算出反りとの差が0.5μm以下となったため、最適化サイクルを終了し、基板の裏面の反りを8.3μmとした。
【0075】
実施例1と比較例1とを対比すると明らかなように、本発明にかかる反り測定方法により得られた反りは、従来の光干渉方式のフラットネステスタによる測定により得られた反りとほぼ一致した。このことから、本発明にかかる反り測定方法により基板の裏面の反りが正確に測定できることが確認された。
【0076】
(比較例2)
直径5.08cm(2インチ)×厚さ400μmで、結晶成長面の面粗さRaが3nm、裏面の面粗さRaが57nmのGaN基板の裏面の反りを、比較例1と同じ光干渉方式のフラットネステスタを用いて、同様の方法で測定を試みたが、測定面が粗く光が散乱されて測定に必要な干渉縞が得られず、裏面の反りを測定することができなかった。
【0077】
(実施例2)
比較例2と同一のGaN基板の裏面の反りを、実施例1と同様の方法で測定した。最初の反り算出ステップS6後に算出された反りは10.9μmであった。次に、ノイズ除去ステップS2を行なった後、実施例1と同様の最適化サイクルを1回繰り返した後(2回目の反り算出ステップS6後)に算出された反りは10.2μmであった。次に、上記最適化サイクルをさらに1回繰り返した後(3回目の反り算出ステップS6後)に算出された反りは10.0μmであった。こうして、直前の算出反りとの差が0.5μm以下となったため、最適化サイクルを終了し、基板の裏面の反りを10.0μmとした。
【0078】
実施例2と比較例2とを対比すると明らかなように、基板において面粗さRaが50nmを超える粗い裏面を有する基板について、従来の光干渉方式のフラットネステスタによる測定方法では基板の粗い裏面の反りを測定できなかったのに対し、本発明にかかる反り測定方法では基板の粗い裏面の反りを測定できた。
【0079】
(実施例3)
実施例2と同一のGaN基板の裏面の反りを、レーザフォーカス方式のレーザ変位計(キーエンス社製LT−9010(レーザ出力部)およびLT−9500(レーザ制御部))、XYポジションコントローラ(コムス社製CP−500)およびデータ解析装置(コムス社製CA−800)を用いて測定した。このレーザ変位計には、レーザ波長670nmの赤色半導体レーザが用いられていた。
【0080】
図2、図3および図7を参照して、まず、GaN基板(基板10)を、その結晶成長面10cの外周部が3つの支持部12hにより支持されるように、基板支持台12上に配置した。次いで、レーザ変位計15を用いてGaN基板(基板10)の裏面10rの複数の測定点10pにそれぞれ対応する複数の変位値を検出した(基板検出ステップS1)。ここで、測定点10pのピッチPは700μmとして、約5000点の複数の測定点10pにそれぞれ対応する複数の変位値を測定した。次いで、上記複数の変位値における各変位値で表わされる点と最適平面との距離の二乗の和が最小となるように最適平面を算出した(最適平面算出ステップS5)。次いで、上記複数の変位値でそれぞれ表わされる複数の点において、上記最適平面に対して、一方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離および他方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離の和を反りとして算出した(反り算出ステップS6)。こうして算出された反りは11.5μmであった。
【0081】
(実施例4)
実施例2と同一のGaN基板の裏面の反りを以下のようにして測定した。図8を参照して、基板検出ステップS1は実施例3と同様に行なった。次いで、8近傍のメディアンフィルタを用いて複数の変位値に含まれるノイズを除去した(ノイズ除去ステップS2)。次いで、複数の変位値から基板10の外周10eから3つ内側までの測定点にそれぞれ対応する複数の変位値を除去して複数の計算用変位値を算出した(外周部除去ステップS3)。次いで、上記の複数の計算用変位値における各変位値で表わされる点と最適平面との距離の二乗の和が最小となるように最適平面を算出した(最適平面算出ステップS5)。次いで、上記の複数の計算用変位値でそれぞれ表わされる複数の点において、上記の最適表面に対して、一方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離および他方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離の和を反りとして算出した(反り算出ステップS6)。こうして算出された反りは11.1μmであった。
【0082】
(実施例5)
実施例2と同一のGaN基板の裏面の反りを以下のようにして測定した。図8を参照して、基板検出ステップS1は実施例3と同様に行なった。次いで、複数の変位値から基板10の外周10eから3つ内側までの測定点にそれぞれ対応する複数の変位値を除去して複数の計算用変位値を算出した(外周部除去ステップS3)。次いで、上記の複数の計算用変位値を、図5(c)に示す規格化後のσ=5の8近傍のガウシアンフィルタを用いて、平滑化処理して反り曲面を算出した(平滑化ステップS4)。次いで、反り曲面上の平滑化処理がされた複数の計算用変位値における各変位値で表わされる点と最適平面との距離の二乗の和が最小となるように最適平面を算出した(最適平面算出ステップS5)。次いで、上記の反り曲面上の平滑化処理がされた複数の計算用変位値でそれぞれ表わされる複数の点において、上記の最適平面に対して、一方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離および他方側に最も大きな変位値で表わされる点と最適平面との距離の和を反りとして算出した(反り算出ステップS6)。こうして算出された反りは11.2μmであった。
【0083】
実施例3〜実施例5から明らかなように、基板検出ステップS1、最適平面算出ステップS5および反り算出ステップS6を含む測定方法(実施例3)、実施例3の測定方法にさらにノイズ除去ステップS2および外周部除去ステップS3を含む測定方法(実施例4)ならびに実施例3の測定方法にさらに外周部除去ステップS3および平滑化ステップS4を含む測定方法についても、簡便な処理によって、迅速にかつ正確に基板の裏面の反りを測定できた。
【0084】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明でなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明にかかる基板の裏面の反り測定方法の例を示すフローチャートである。
【図2】本発明にかかる基板の裏面の反り測定方法に用いられる測定装置を示す模式図である。
【図3】本発明にかかる基板の裏面の反り測定方法における複数の測定点を示す模式図である。
【図4】複数の測定点の配列を示す模式図である。
【図5】8近傍のガウシアンフィルタのカーネルを示す模式図である。ここで、(a)は各係数となるガウス関数f(x,y)の配列される位置を示し、(b)はσ=5、規格化前の各係数の配列を示し、(c)はσ=5、規格化後の各係数の配列を示す。
【図6】本発明にかかる基板の裏面の反り測定方法における反り算出ステップの例を示す模式図である。
【図7】本発明にかかる基板の裏面の反り測定方法の他の例を示すフローチャートである。
【図8】本発明にかかる基板の裏面の反り測定方法のさらに他の例を示すフローチャートである。
【図9】本発明にかかる基板の裏面の反り測定方法のさらに他の例を示すフローチャートである。
【図10】本発明にかかる基板の裏面の反り測定方法における反り算出ステップの他の例を示す模式図である。
【図11】本発明にかかる基板の裏面の反り測定方法における反り算出ステップのさらに他の例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0086】
10 基板、10c 結晶成長面、10e 外周、10p 測定点、10r 裏面、12 基板支持台、12a 非凹部面、12b 凹部面、12h 支持部、13 駆動部、14 駆動装置、15 レーザ変位計、16 駆動制御装置、17 レーザ変位計制御装置、18 データ解析装置、21 レーザ光、21i 入射光、21r 反射光、22 位置データ、23 変位値データ、100p 任意に特定される測定点、101p,102p,103p,104p,105p,106p,107p,108p 任意に特定される測定点に近傍する複数の測定点、111p 外周から1つ内側の測定点、112p 外周から2つ内側の測定点、120a 基板支持台の非凹部面の測定点、120b 基板支持台の凹部面の測定点、30 反り曲面、50 最適平面。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ変位計を用いて基板の結晶成長面の反対側の面である裏面の反りを測定する方法であって、
前記基板は、基板支持台上に配置されており、
前記レーザ変位計を用いて前記基板の前記裏面の複数の測定点にそれぞれ対応する複数の変位値を検出する基板検出ステップと、
前記複数の変位値に含まれるノイズを除去するノイズ除去ステップと、
前記複数の変位値から前記基板の外周部の測定点にそれぞれ対応する複数の変位値を除去して複数の計算用変位値を算出する外周部除去ステップと、
前記複数の計算用変位値を平滑化処理して反り曲面を算出する平滑化ステップと、
前記反り曲面との距離を最小にする最適平面を算出する最適平面算出ステップと、
前記反り曲面が前記最適平面に対して有する、一方側に最も大きな変位値で表わされる点と前記最適平面との距離、および、他方側に最も大きな変位値で表わされる点と前記最適平面との距離の和を反りとして算出する反り算出ステップとを含む基板の裏面の反り測定方法。
【請求項2】
前記基板は、3点の支持部を有する前記基板支持台上に前記基板の前記結晶成長面が前記3点の支持部で支持されるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の基板の裏面の反り測定方法。
【請求項3】
前記基板検出ステップは、前記基板が配置されている前記基板支持台を二次元方向に段階的に移動させて、レーザフォーカス方式により、前記レーザ変位計と前記裏面の前記複数の測定点との距離を測定することにより行なうことを特徴とする請求項1に記載の基板の裏面の反り測定方法。
【請求項4】
前記ノイズ除去ステップは、メディアンフィルタを用いて行なうことを特徴とする請求項1に記載の基板の裏面の反り測定方法。
【請求項5】
前記平滑化ステップは、ガウシアンフィルタを用いて行なうことを特徴とする請求項1に記載の基板の裏面の反り測定方法。
【請求項6】
前記最適平面算出ステップは、前記平滑化処理がされた前記複数の計算用変位値における各変位値で表わされる点と前記最適平面との距離の二乗の和が最小となるように前記最適平面を算出することにより行なうことを特徴とする請求項1に記載の基板の裏面の反り測定方法。
【請求項7】
前記平滑化ステップと、前記最適平面算出ステップと、前記反り算出ステップとを含む最適化サイクルを1回以上繰り返すことを特徴とする請求項1に記載の基板の裏面の反り測定方法。
【請求項8】
前記最適化サイクルの繰り返しの間に、または、前記最適化サイクル中の前記平滑化ステップの後に、少なくとも1回のノイズ除去ステップを含む請求項7に記載の基板の裏面の反り測定方法。
【請求項9】
レーザ変位計を用いて基板の結晶成長面の反対側の面である裏面の反りを測定する方法であって、
前記基板は、基板支持台上に配置されており、
前記レーザ変位計を用いて前記基板の前記裏面の複数の測定点にそれぞれ対応する複数の変位値を検出する基板検出ステップと、
前記複数の変位値でそれぞれ表わされる複数の点との距離を最小にする最適平面を算出する最適平面算出ステップと、
前記複数の変位値でそれぞれ表わされる複数の点において、前記最適平面に対して、一方側に最も大きな変位値で表わされる点と前記最適平面との距離、および、他方側に最も大きな変位値で表わされる点と前記最適平面との距離の和を反りとして算出する反り算出ステップとを含む基板の裏面の反り測定方法。
【請求項10】
前記基板検出ステップ後、前記最適平面算出ステップ前に、
前記複数の変位値に含まれるノイズを除去するノイズ除去ステップと、
前記複数の変位値から前記基板の外周部の測定点にそれぞれ対応する複数の変位値を除去して複数の計算用変位値を算出する外周部除去ステップとをさらに含み、
前記最適平面算出ステップおよび前記反り算出ステップにおいて、前記複数の変位値として前記複数の計算用変位値を用いる請求項9に記載の基板の裏面の反り測定方法。
【請求項11】
前記ノイズ除去ステップは、メディアンフィルタを用いて行なうことを特徴とする請求項10に記載の基板の裏面の反り測定方法。
【請求項12】
前記基板検出ステップ後、前記最適平面算出ステップ前に、
前記複数の変位値から前記基板の外周部の測定点にそれぞれ対応する複数の変位値を除去して複数の計算用変位値を算出する外周部除去ステップと、
前記複数の計算用変位値を平滑化処理して反り曲面を算出する平滑化ステップとをさらに含み、
前記最適平面算出ステップおよび前記反り算出ステップにおいて、前記複数の変位値でそれぞれ表わされる複数の点として前記反り曲面上の平滑化処理された前記複数の計算用変位値でそれぞれ表わされる複数の点を用いる請求項9の記載の基板の裏面の反り測定方法。
【請求項13】
前記平滑化ステップは、ガウシアンフィルタを用いて行なうことを特徴とする請求項12に記載の基板の裏面の反り測定方法。
【請求項14】
前記基板は、3点の支持部を有する前記基板支持台上に前記基板の前記結晶成長面が前記3点の支持部で支持されるように配置されていることを特徴とする請求項9、請求項10または請求項12に記載の基板の裏面の反り測定方法。
【請求項15】
前記基板検出ステップは、前記基板が配置されている前記基板支持台を二次元方向に段階的に移動させて、レーザフォーカス方式により、前記レーザ変位計と前記裏面の前記複数の測定点との距離を測定することにより行なうことを特徴とする請求項9、請求項10または請求項12に記載の基板の裏面の反り測定方法。
【請求項1】
レーザ変位計を用いて基板の結晶成長面の反対側の面である裏面の反りを測定する方法であって、
前記基板は、基板支持台上に配置されており、
前記レーザ変位計を用いて前記基板の前記裏面の複数の測定点にそれぞれ対応する複数の変位値を検出する基板検出ステップと、
前記複数の変位値に含まれるノイズを除去するノイズ除去ステップと、
前記複数の変位値から前記基板の外周部の測定点にそれぞれ対応する複数の変位値を除去して複数の計算用変位値を算出する外周部除去ステップと、
前記複数の計算用変位値を平滑化処理して反り曲面を算出する平滑化ステップと、
前記反り曲面との距離を最小にする最適平面を算出する最適平面算出ステップと、
前記反り曲面が前記最適平面に対して有する、一方側に最も大きな変位値で表わされる点と前記最適平面との距離、および、他方側に最も大きな変位値で表わされる点と前記最適平面との距離の和を反りとして算出する反り算出ステップとを含む基板の裏面の反り測定方法。
【請求項2】
前記基板は、3点の支持部を有する前記基板支持台上に前記基板の前記結晶成長面が前記3点の支持部で支持されるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の基板の裏面の反り測定方法。
【請求項3】
前記基板検出ステップは、前記基板が配置されている前記基板支持台を二次元方向に段階的に移動させて、レーザフォーカス方式により、前記レーザ変位計と前記裏面の前記複数の測定点との距離を測定することにより行なうことを特徴とする請求項1に記載の基板の裏面の反り測定方法。
【請求項4】
前記ノイズ除去ステップは、メディアンフィルタを用いて行なうことを特徴とする請求項1に記載の基板の裏面の反り測定方法。
【請求項5】
前記平滑化ステップは、ガウシアンフィルタを用いて行なうことを特徴とする請求項1に記載の基板の裏面の反り測定方法。
【請求項6】
前記最適平面算出ステップは、前記平滑化処理がされた前記複数の計算用変位値における各変位値で表わされる点と前記最適平面との距離の二乗の和が最小となるように前記最適平面を算出することにより行なうことを特徴とする請求項1に記載の基板の裏面の反り測定方法。
【請求項7】
前記平滑化ステップと、前記最適平面算出ステップと、前記反り算出ステップとを含む最適化サイクルを1回以上繰り返すことを特徴とする請求項1に記載の基板の裏面の反り測定方法。
【請求項8】
前記最適化サイクルの繰り返しの間に、または、前記最適化サイクル中の前記平滑化ステップの後に、少なくとも1回のノイズ除去ステップを含む請求項7に記載の基板の裏面の反り測定方法。
【請求項9】
レーザ変位計を用いて基板の結晶成長面の反対側の面である裏面の反りを測定する方法であって、
前記基板は、基板支持台上に配置されており、
前記レーザ変位計を用いて前記基板の前記裏面の複数の測定点にそれぞれ対応する複数の変位値を検出する基板検出ステップと、
前記複数の変位値でそれぞれ表わされる複数の点との距離を最小にする最適平面を算出する最適平面算出ステップと、
前記複数の変位値でそれぞれ表わされる複数の点において、前記最適平面に対して、一方側に最も大きな変位値で表わされる点と前記最適平面との距離、および、他方側に最も大きな変位値で表わされる点と前記最適平面との距離の和を反りとして算出する反り算出ステップとを含む基板の裏面の反り測定方法。
【請求項10】
前記基板検出ステップ後、前記最適平面算出ステップ前に、
前記複数の変位値に含まれるノイズを除去するノイズ除去ステップと、
前記複数の変位値から前記基板の外周部の測定点にそれぞれ対応する複数の変位値を除去して複数の計算用変位値を算出する外周部除去ステップとをさらに含み、
前記最適平面算出ステップおよび前記反り算出ステップにおいて、前記複数の変位値として前記複数の計算用変位値を用いる請求項9に記載の基板の裏面の反り測定方法。
【請求項11】
前記ノイズ除去ステップは、メディアンフィルタを用いて行なうことを特徴とする請求項10に記載の基板の裏面の反り測定方法。
【請求項12】
前記基板検出ステップ後、前記最適平面算出ステップ前に、
前記複数の変位値から前記基板の外周部の測定点にそれぞれ対応する複数の変位値を除去して複数の計算用変位値を算出する外周部除去ステップと、
前記複数の計算用変位値を平滑化処理して反り曲面を算出する平滑化ステップとをさらに含み、
前記最適平面算出ステップおよび前記反り算出ステップにおいて、前記複数の変位値でそれぞれ表わされる複数の点として前記反り曲面上の平滑化処理された前記複数の計算用変位値でそれぞれ表わされる複数の点を用いる請求項9の記載の基板の裏面の反り測定方法。
【請求項13】
前記平滑化ステップは、ガウシアンフィルタを用いて行なうことを特徴とする請求項12に記載の基板の裏面の反り測定方法。
【請求項14】
前記基板は、3点の支持部を有する前記基板支持台上に前記基板の前記結晶成長面が前記3点の支持部で支持されるように配置されていることを特徴とする請求項9、請求項10または請求項12に記載の基板の裏面の反り測定方法。
【請求項15】
前記基板検出ステップは、前記基板が配置されている前記基板支持台を二次元方向に段階的に移動させて、レーザフォーカス方式により、前記レーザ変位計と前記裏面の前記複数の測定点との距離を測定することにより行なうことを特徴とする請求項9、請求項10または請求項12に記載の基板の裏面の反り測定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−248452(P2007−248452A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−355597(P2006−355597)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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