基板への有機分子の高温付着
本発明は、半導体表面、特にシリコンに分子を付着させるための新規手順を提供するものである。ポルフィリンおよびフェロセンを含む(しかし、これらに限定されない)分子が分子ベースの情報記憶のための魅力的な候補であることは、以前に示されてきた。この新規付着手順は、単純であり、短時間に完了させることができ、最少量の材料しか必要とせず、様々な分子官能基と両立でき、場合によっては従来にない付着モチーフを生じる。これらの特徴は、ハイブリッド分子/半導体情報記憶デバイスを作るために必要な加工段階への分子材料の組込みを非常に向上させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、2003年7月25日出願の米国特許出願番号60/489,992の利益及び優先権を主張する、2003年7月28日出願の米国特許出願番号10/628,868号の一部係属出願である、2003年12月19日出願の米国特許出願番号10/742,596号の継続出願である。これらの出願のすべてが、完全な形で、あらゆる目的で本明細書に参照により援用されている。
【0002】
(連邦に後援された研究及び開発によってなされた発明に関する権利についての記載)
本出願は、米国陸軍により授与された承認番号MDA972−01−C−0072のもと米国政府の支援でなされたものである。米国政府は、本出願にある権利を有する。
【0003】
本発明は、半導体製造分野に関する。詳細には、本発明は、III、IVおよびV族元素(例えば、シリコン、ゲルマニウムなど)などに有機分子を結合させる新規方法を提供する。
【背景技術】
【0004】
導電性シリコンおよび他の表面上の規則分子集合体の製造は、マイクロエレクトロニクス業界においてその潜在的な用途のため少なからぬ関心を集めている。半導体製造の一つの目標は、集積回路上に設けられる能動素子の密度を上げることである。これを達成するために、集積回路において使用される能動素子を形成するために、様々なリソグラフプロセスの代替としてのまたはそれらと組み合わせての自己組立分子構造の使用に努力が向いてきた。
【0005】
加えて、こうした能動素子(例えば、メモリ素子)を形成する(例えば、米国特許第6,272,038号、同第6,212,093号、および同第6,208,553号、ならびにPCT国際公開公報第01/03126号参照)ため、および/またはある装置(例えば、電界効果トランジスタ、ゲート、センサ、トランスジューサなど)の構成要素を形成するための、有機分子の使用に関心が向いてきた。
【0006】
シリコンに共有結合的に付着させた有機分子は、Si−OおよびSi−C結合の強度のため、非常に安定している。シリコンと有機分子の間に共有結合を形成するための多数のアプローチが存在する(Buriak and Allen(1998)J.Am.Chem.Soc.,120:1339−1340; Bansal and Lewis(1998)J.Phys.Chem.102:1067−1070;Zhuら(1999)Langmuir 15:8147−8154; Coulterら(2000)J.Vac.Sci.Technol.A 18:1965−1970; Bourkherroub and Wayner(1999)J.Am.Chem.Soc.121:11513−11515; Clelandら(1995)Faraday Commun.,91:4001−4003; Batemanら(1998)Angew.Chem.Int.Ed.,37:2683−2685)。これらのアプローチには、水素末端化シリコン表面上への化学的堆積、電気化学的堆積および蒸着が含まれる。
【0007】
しかし、こうしたアプローチは、厳しい反応条件を典型的に伴い、比較的効率が悪く、有機分子を劣化させ、および/またはかなり毒性の物質の生産をもたらした。
【特許文献1】米国特許6272038
【発明の開示】
【0008】
本発明は、分子を半導体表面、特にシリコンに付着させるための新規手順を提供する。前記分子としては、ポルフィリンおよびフェロセンが含まれ、これらは、分子ベースの情報記憶のための魅力的な候補であることが以前に示されている。本新規付着手順は、単純であり、短時間で完了させることができ、最小量の材料しか必要とせず、種々の分子官能基と両立でき、場合によっては従来にない付着モチーフを生じる。これらの特徴は、ハイブリッド分子/半導体情報記憶デバイスを作成するために必要である加工段階への分子材料の組込みを非常に向上させる。
【0009】
従って、実施形態において、本発明は、II、III、IV、VもしくはVI族元素の表面に、またはII、III、IV、VもしくはVI族元素を含む半導体に(さらに好ましくは、III、IVもしくはV族元素を含む材料に)、または遷移金属、遷移金属酸化物もしくは窒化物に、および/または遷移金属を含む合金に、または他の金属に、有機分子を共有結合させる方法を提供する。
【0010】
従って、ある実施形態において、本発明は、表面にレドックス活性分子を結合させる方法を提供し、この方法は、付着基を有する一つ以上の耐熱性有機分子を提供すること;その分子もしくは異なる分子の混合物および/または表面を少なくとも約100℃の温度に加熱すること;ならびにその分子を表面と接触させることを含み、これによって、その分子は表面への共有結合を形成する。ある実施形態において、その有機分子は表面に電気的に結合される。方法は、場合により、不活性雰囲気(例えば、Ar2)下で行うことができる。ある実施形態において、前記加熱は、前記分子を気相になるよう加熱することを含み、前記接触は、気相を表面に接触させることを含む。ある実施形態において、前記加熱は、分子および/または表面を、分子が表面と接触しているときに加熱することを含む。ある実施形態において、前記加熱は、分子を表面に塗布し、同時に、またはその後分子および/または表面を加熱することを含む。前記有機分子は、溶媒中でまたは乾燥した状態で、または気相の状態で、または溶媒中以外で提供されうる。
【0011】
ある実施形態において、前記加熱は、少なくとも約100℃、好ましくは少なくとも約200℃、さらに好ましくは少なくとも約300℃、最も好ましくは少なくとも約400℃の温度に加熱される。加熱は、あらゆる適便な方法により、例えばCVD装置内、MBE装置内などで遂行することができる。ある実施形態において、表面は、III族元素、IV族元素、V族元素、III族元素を含む半導体、IV族元素を含む半導体、V族元素を含む半導体、遷移金属、および遷移金属酸化物から成る群より選択される物質を含む。ある好ましい表面は、次のうちの一つ以上を含む:タングステン、タンタルおよびニオブ、Ga、Au、Ag、Cu、Al、Ta、Ti、Ru、Ir、Pt、Pd、Os、Mn、Hf、Zr、V、Nb、La、Y、Gd、Sr、Ba、Cs、Cr、Co、Ni、Zn、Ga、In、Cd、Rh、Re、W、Mo、ならびにこれらの酸化物、合金、混合物および/または窒化物。ある実施形態において、表面は、III、IVもしくはV族および/またはドープIII、IVもしくはV族元素、例えば、シリコン、ゲルマニウム、ドープシリコンおよびドープゲルマニウムなどを含む。表面は、場合により、水素不動態化表面であってもよい。ある実施形態において、前記耐熱性分子は、ポルフィリン、ポルフィリン大員環、環拡大ポルフィリン、環縮小ポルフィリン、線状ポルフィリンポリマー、ポルフィリンサンドイッチ配位錯体、およびポルフィリンアレイから成る群より選択されるレドックス活性分子である。ある好ましいレドックス活性分子は、β位またはメソ位が置換されているポルフィリン大員環を含む。ある好ましいレドックス活性分子は、偶数または奇数正孔酸化を有するように、約50Å未満の間隔で互いに離れて保持されている等エネルギーの少なくとも二つのポルフィリンを含有するポルフィリン大員環を含み、ここで、正孔は、それら二つのポルフィリン間でホップし、奇数正孔酸化状態は、そのポルフィリン大員環のもう一つの酸化状態とは異なり、区別できる。
【0012】
ある実施形態において、付着基は、アリール官能基および/またはアルキル付着基を含む。ある実施形態において、前記アリール官能基は、ブロモ、ヨード、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、ホルミル、ブロモメチル、ビニル、アリル、S−アセチルチオメチル、Se−アセチルセレノメチル、エチニル、2−(トリメチルシリル)エチニル、メルカプト、メルカプトメチル、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル、およびジヒドロキシホスホリルから成る群より選択される官能基を含む。ある実施形態において、前記アルキル付着基は、ブロモ、ヨード、ヒドロキシ、ホルミル、ビニル、メルカプト、セレニル、S−アセチルチオ、Se−アセチルセレノ、エチニル、2−(トリメチルシリル)エチニル、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル、およびジヒドロキシホスホリルから成る群より選択される官能基を含む。ある実施形態において、前記付着基は、アルコールまたはホスホネートを含む。ある好ましい実施形態において、前記付着基は、4−(ヒドロキシメチル)フェニル、4−(S−アセチルチオメチル)フェニル、4−(Se−アセチルセレノメチル)フェニル、4−(メルカプトメチル)フェニル、4−(ヒドロセレノメチル)フェニル、4−ホルミルフェニル、4−(ブロモメチル)フェニル、4−ビニルフェニル、4−エチニルフェニル、4−アリルフェニル、4−[2−(トリメチルシリル)エチニル]フェニル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]フェニル、4−ブロモフェニル、4−ヨードフェニル、4−ヒドロキシフェニル、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル、ブロモ、ヨード、ヒドロキシメチル、S−アセチルチオメチル、Se−アセチルセレノメチル、メルカプトメチル、ヒドロセレノメチル、ホルミル、ブロモメチル、クロロメチル、エチニル、ビニル、アリル、4−[2−(4−ヒドロキシメチル)フェニル)エチニル]フェニル、4−(エチニル)ビフェン−4’−イル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]ビフェン−4’−イル、3,5−ジエチニルフェニル、および2−ブロモエチルから成る群より選択される。ある実施形態において、付着基を有する前記耐熱性有機分子は、5−[4−(S−アセチルチオメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(メルカプトメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(ヒドロキシメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(ヒドロキシメチル)フェニル]−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−アリルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ホルミルフェニル)−15−フェニル−10,20−ジ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ブロモメチルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−エチニルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ヨードフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ブロモフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ヒドロキシフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−エチニルフェニル)−15,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−ヨード−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−ヨードフェニル)−15,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(2−トリメチルシリル)エチニル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−エチニルフェニル)−10,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−ヨードフェニル)−10,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10,15−トリス(4−エチニルフェニル)−20−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−エチニルフェニル)−10,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−エチニルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(3−エチニルフェニル)−10,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10,15,20−テトラキス(4−エチニルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス[4−(2−(トリメチルシリル)エチニル)フェニル]−15,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(3,5−ジエチニルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、3,7−ジブロモ−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(2−トリメチルシリル)エチニル)フェニル]−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(Se−アセチルセレノメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ヨードフェニル)−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−エチニルフェニル)−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−エチニルビフェニル−4’−イル)−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ビニルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ビニルフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(ヒドロキシメチル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−アリルフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−アリルフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト銅(II)、c型トリプルデッカー[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[5,15−ビス(4−エチニルフェニル)−10,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィリン]、c型トリプルデッカー[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[5−[4−[2−(4−(ヒドロキシメチル)フェニル)エチニル]フェニル]−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィリン]、5,10−ビス[4−(2−(トリイソプロピルシリル)エチニル)ビフェン−4’−イル]−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、および5,10−ビス[4−(2−(トリイソプロピルシリル)エチニル)フェニル]−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)から成る群より選択される。
【0013】
ある実施形態において、前記接触は、有機分子を、表面の特定の領域へ選択的に接触させ、他の領域へ接触させないことを含む。例えば、前記接触は、揮発した有機分子を、表面の特定の領域へ選択的に接触させ、他の領域へ接触させないことを含む。ある実施形態において、前記接触は、表面の有機分子が付着すべきでない領域に保護被膜(例えば、原材料)を配置すること;分子と表面を接触させること;およびその保護被膜を除去して、有機分子の無い表面領域を与えることを含む。ある実施形態において、前記接触は、表面への有機分子を含む溶液または乾燥有機分子の接触プリンティングを含む。ある実施形態において、前記接触は、表面への有機分子を含む溶液の噴霧または滴下、または表面への乾燥有機分子の塗布を含む。ある実施形態において、前記接触は、表面を分子と接触させること、その後表面の選択領域をエッチングして有機分子を除去すること、を含む。ある実施形態において、前記接触は、分子線エピタキシー(MBE)、および/または化学蒸着(CVD)、および/またはプラズマ支援蒸着法、および/またはスパッタリングなどを含む。ある実施形態において、前記耐熱性有機分子は、少なくとも二種の異なる耐熱性有機分子種の混合物を含み、前記加熱は、その混合物および/または表面の加熱を含む。
【0014】
本発明は、レドックス活性分子(または異なるレドックス活性分子種の集まり)を表面に結合させる方法も提供する。この方法は典型的には、分子を気相へと加熱すること;およびその分子を表面に接触させことを含み、それによって、そのレドックス活性分子は表面に結合する。ある実施形態において、前記レドックス活性分子は、表面に共有結合される、および/または表面に電気的に結合される。ある実施形態において、前記加熱は、少なくとも約100℃、好ましくは少なくとも約200℃、さらに好ましくは少なくとも約300℃、および最も好ましくは少なくとも約400℃の温度への加熱である。加熱は、あらゆる便利な方法により、例えば、CVD装置内、MBE装置内などで遂行することができる。
【0015】
ある実施形態において、表面は、III族元素、IV族元素、V族元素、III族元素を含む半導体、IV族元素を含む半導体、V族元素を含む半導体、遷移金属、遷移金属酸化物、その他の金属から成る群より選択される物質、例えば上に記載したものを含むことができる。ある実施形態において、表面は、タングステン、タンタル、ニオブ、Au、Ag、Cu、Al、Ta、Ti、Ru、Ir、Pt、Pd、Os、Mn、Hf、Zr、V、Nb、La、Y、Gd、Sr、Ba、Cs、Cr、Co、Ni、Zn、Ga、In、Cd、Rh、Re、W、Mo、および/またはこれらの酸化物、窒化物もしくは合金などの材料を含む。ある実施形態においては、前記レドックス活性分子としては、本明細書に記載するあらゆる分子が含まれるが、これらに限定されない。同様に、前記付着基としては、本明細書に記載するあらゆる付着基が含まれるが、これらに限定されない。ある実施形態においては、II、III、IV、VまたはVI族元素、さらに好ましくはIII、IVまたはV族元素、さらにいっそう好ましくはIV族元素またはドープIV族元素(例えば、シリコン、ゲルマニウム、ドープシリコン、ドープゲルマニウムなど)。ある実施形態において、前記接触は、揮発有機分子を表面の特定の領域へ選択的に接触させ、他の領域へは接触させないことを含む。ある実施形態において、前記接触は、表面のレドックス活性分子が付着すべきでない領域に保護被膜を配置すること;分子と表面を接触させること;および保護被膜を除去してレドックス活性分子のない表面領域を生じさせることを含む。ある実施形態において、前記接触は、表面を分子と接触させること、その後表面の選択領域をエッチングしてそのレドックス活性分子を除去することを含む。ある実施形態において、前記接触は、分子線エピタキシー(MBE)、および/または化学蒸着(CVD)、および/またはプラズマ支援蒸着法、および/またはスパッタリングを含む。
【0016】
別の実施形態において、本発明は、共有結合によってそこに結合している有機分子を有する、II、III、IV、VまたはVI族元素の表面あるいはII、III、IV、VもしくはVI族元素または遷移金属、遷移金属酸化物もしくは窒化物または合金または混合物を含む半導体の表面を提供し、この場合、前記有機分子は、本明細書に記載する方法によって表面に結合させられる。ある実施形態において、前記有機分子は、レドックス活性分子であり、これには、本明細書に記載するあらゆる分子が含まれるが、それらに限定されない。同様に、前記付着基には、本明細書に記載するあらゆる付着基が含まれるが、これらに限定されない。ある実施形態では、II、III、IV、VまたはVI族元素、さらに好ましくはIII、IVまたはV族元素、さらにいっそう好ましくはIV族元素またはドープIV族元素(例えば、シリコン、ゲルマニウム、ドープシリコン、ドープゲルマニウムなど)。ある実施形態において、表面は、トランジスタにおける表面および/またはメモリ素子における表面を含む。ある実施形態において、表面は、多数のメモリ素子および/または一つ以上の集積回路素子(例えば、ダイオード、論理ゲート、および整流器)を含む。ある実施形態において、表面は、レドックス活性分子を含み、表面は、その分子の酸化状態を読み取るおよび/またはセットする装置、例えば、ボルタンメトリー装置、“アンペロメトリー装置、ポテンシオメトリー装置、クーロメトリー装置、およびインピーダンススペクトロメータなど、に電気的に結合されている。ある実施形態において、前記装置は、正弦波電圧電流計を含む。
【0017】
ある実施形態において、本発明は、規則分子集合体を製造する方法を提供する。この方法は、付着基で誘導化された一つの耐熱性有機分子(または多数の異なる耐熱性有機分子)を提供すること;その分子および/または表面を少なくとも100℃の温度に加熱すること;(表面はIII、IVもしくはV族元素または遷移金属もしくは金属酸化物を含む場合に)、前記分子を表面の多数の別個の位置に接触させ、それによってそれらの付着基が、前記多数の別個の位置で表面と共有またはイオン結合を形成すること、を典型的に含む。ある実施形態において、前記加熱は、少なくとも約100℃、好ましくは少なくとも約200℃、さらに好ましくは少なくとも約300℃、および最も好ましくは少なくとも約400℃の温度への加熱である。ある実施形態において、前記有機分子はレドックス活性分子であり、これには、本明細書に記載するあらゆる分子が含まれるが、それらに限定されない。同様に、前記付着基には、本明細書に記載するあらゆる付着基が含まれるが、これらに限定されない。ある実施形態では、II、III、IV、VまたはVI族元素、さらに好ましくはIII、IVまたはV族元素、さらにいっそう好ましくはIV族元素またはドープIV族元素(例えば、シリコン、ゲルマニウム、ドープシリコン、ドープゲルマニウムなど)。
【0018】
本発明は、III、IVもしくはV族タイプの材料または遷移金属もしくは遷移金属酸化物の表面に有機分子を結合するためのキットも提供する。このキットは、付着基(例えば、本明細書に記載するもの)で誘導化された耐熱性有機分子を収容する容器を典型的に含み、その分子および/または表面を約200℃以上の温度に加熱することによって有機分子を表面に結合させることを教示する教材を場合により含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(定義)
用語「酸化」は、元素、化合物または化学的置換基/サブユニットにおける1個以上の電子の喪失を指す。酸化反応では、反応に関与する元素の原子によって電子が失われる。これらの原子の電荷は、この場合、より正になるはずである。電子は、酸化を受ける化学種から失われ、そのため、酸化反応では電子が生成物のように見える。酸化反応では、「遊離」単位としての電子の見掛けの生産にもかかわらず、酸化される化学種、Fe2+(水溶液)から電子が失われるため、酸化は、Fe2+(水溶液)−−>Fe3+(水溶液)+e-の反応で発生する。逆に、還元という用語は、元素、化合物または化学的置換基/サブユニットによる1個以上の電子の獲得を指す。
【0020】
「酸化状態」は、電気的に中性の状態、または元素、化合物または化学的置換基/サブユニットへの電子の獲得または損失によって生じる状態を指す。好ましい実施形態において、用語「酸化状態」は、中性状態および電子の獲得または喪失(還元または酸化)によって生じる中性状態以外のあらゆる状態を含む状態を指す。
【0021】
用語「多重酸化状態」は、一つより多い酸化状態を意味する。好ましい実施形態において、これらの酸化状態は、電子の獲得(還元)を反映することもあり、または電子の喪失(酸化)を反映することもある。
【0022】
二つ以上の酸化状態に言及するときの用語「異なり、区別できる」は、その単位(原子、分子、凝集体、サブユニットなど)の実効電荷が、二つの異なる状態で存在しうることを意味する。これらの状態間の差が、室温(例えば、0℃から約40℃)で熱エネルギーより大きいとき、これらの状態を「区別できる」と言う。
【0023】
本発明のマルチサブユニット(例えば、重合体)記憶分子のサブユニットに言及するときに用いられる用語「緊密結合した」は、一方のサブユニットの酸化が、他方のサブユニットの酸化電位を変えるような、サブユニットの互いに対する位置付けを指す。好ましい実施形態において、この変更は、第二のサブユニットの(非中性)酸化状態が、第一のサブユニットの非中性酸化状態とは異なり、区別できるために充分なものである。好ましい実施形態において、この緊密結合は、共有結合(例えば、単結合、二重結合、三重結合など)によって達成される。しかし、ある実施形態において、この緊密結合は、リンカー、イオン相互作用、疎水性相互作用、金属の配位、または単純な機械的並置によるものであり得る。これらのサブユニットは、おそらくそのレドックスプロセスが単一の超分子のものであるほどに緊密に結合していると理解される。
【0024】
用語「電極」は、電荷(例えば、電子)を記憶分子に、および/または記憶分子から移送することができるあらゆる媒体を指す。好ましい電極は、金属または導電性有機分子である。電極は、実質的にあらゆる2次元または3次元形状(例えば、個別のライン、パッド、平面、球体、円柱など)に製造することができる。
【0025】
用語「固定電極」は、その電極が、本質的に安定であり、記憶媒体に対する位置が変わらないことを表すと解釈する。すなわち、電極および記憶媒体は、互いに対し本質的に固定された幾何学的関係で配置される。勿論、この関係が、熱変化に伴うその媒体の拡張および収縮のため、またはその電極および/または記憶媒体を構成する分子の配座の変化のため、多少変わることは理解される。それでもやはり、総体的な立体配置は、本質的に不変を保つ。好ましい実施形態において、この用語は、電極が可動「プローブ」(例えば、書込みまたは記録「ヘッド」、原子力顕微鏡(AFM)チップ、走査型トンネル顕微鏡(STM)チップなど)であるシステムを除外することが意図されている。
【0026】
用語「作用電極」は、記憶媒体および/または記憶分子の状態をセットするまたは読み取るために使用される一つ以上の電極を指すために用いられる。
【0027】
用語「参照電極」は、作用電極からの記録された測定値に対する参照(例えば、特定の基準電圧)を提供する一つ以上の電極を指すために用いられる。好ましい実施形態において、本発明のメモリデバイス内の参照電極は同じ電位であるが、いくつかの実施形態ではそうである必要ははい。
【0028】
記憶分子および/または記憶媒体ならびに電極に関して用いられるときの用語「電気的に結合された」は、電子が記憶媒体/分子から電極へまたは電極から記憶媒体/分子へ移動し、それによってその記憶媒体/分子の酸化状態が変わるような、記憶媒体または分子と電極の間の関わりを指す。電気的結合には、記憶媒体/分子と電極の間の直接共有結合、間接的共有結合(例えば、リンカーによるもの)、記憶媒体/分子と電極の間の直接もしくは間接イオン結合、または他の結合(例えば、疎水結合)が含まれうる。加えて、実際の結合を必要としない場合もあり、記憶媒体/分子が電極表面と単に接触している場合もある。電極が、記憶媒体/分子に対してその媒体/分子と電極の間の電子トンネル効果を可能にする近さにある場合、その電極と記憶媒体/分子の間にはいかなる接触も、必ずしも必要でない。
【0029】
用語「レドックス活性ユニット」または「レドックス活性サブユニット」は、適する電圧の印加により酸化または還元することができる分子または分子の成分を指す。
【0030】
用語「レドックス活性」分子は、適する電圧の印加により酸化または還元することができる分子または分子の成分を指す。
【0031】
本明細書で用いる「サブユニット」は、分子のレドックス活性成分を指す。
【0032】
用語「電気化学的電池」は、一般に、参照電極、作用電極、レドックス活性分子(例えば、記憶媒体、および必要な場合には、電極間および/または電極と媒体の間に電導性を生じさせるためのなんらかの手段(例えば、誘電体)を指す。いくつかの実施形態において、この誘電体は、記憶媒体の成分である。
【0033】
用語「メモリ素子」、「メモリセル」または「記憶セル」は、情報の記憶に使用することができる電気化学的電池を指す。好ましい「記憶セル」は、少なくとも一つ、好ましくは二つの電極(例えば、作用電極および参照電極)によってアドレス指定される記憶媒体の個別領域である。記憶セルは、個々にアドレス指定することができる(例えば、固有の電極が、各メモリ素子に対応付けられる)か、特に、異なるメモリ素子の酸化状態が区別できる場合には、複数のメモリ素子を単一の電極によってアドレス指定することができる。メモリ素子は、場合により誘電体(例えば、対イオンを含浸させた誘電体)を含むことができる。
【0034】
用語「記憶位置」は、記憶媒体が配置されている個別のドメインまたは領域を指す。一つ以上の電極でアドレス指定されるとき、その記憶位置は、記憶セルを形成しうる。しかし、二つの記憶位置が、本質的に同じ酸化状態を有するように同じ記憶媒体を有し、両方の記憶位置が、共通してアドレス指定される場合、それらは、一つの機能性記憶セルを形成しうる。
【0035】
特定の素子の「アドレス指定」は、電極を使用してメモリ素子の酸化状態を特異的に決定することができるように、メモリ素子と電極とを対応付ける(例えば、電気的に結合させる)ことを指す。
【0036】
用語「読み取る」または「精査する」は、一つ以上の分子(例えば、記憶媒体を含む分子)の酸化状態の判定を指す。
【0037】
句「集積回路の出力」は、一つ以上の集積回路および/または集積回路の一つ以上の成分によって生じる電圧または信号を指す。
【0038】
「ボルタンメトリー装置」は、電圧の印加または電圧の変化の結果として電気化学的電池において生じる電流を測定することができる装置である。
【0039】
「アンペロメトリー装置」は、特定の電位場ポテンシャル(「電圧」)の印加の結果として電気化学的電池において生じる電流を測定することができる装置である。
【0040】
「ポテンシオメトリー装置」は、電気化学的電池においてレドックス分子の平衡濃度の差の結果として生じる界面を横断する電位を測定することができる装置である。
「クーロメトリー装置」は、電気化学的電池への電位場(「電圧」)の印加中に生じた実効電荷を測定することができる装置である。
【0041】
「インピーダンススペクトロメータ」は、電気化学的電池の全インピーダンスを決定することができる装置である。
【0042】
「正弦波電圧電流計」は、電気化学的電池の周波数ドメインの特性を決定することができるボルタンメトリー装置である。
【0043】
用語「ポルフィリン大員環」は、ポルフィリンまたはポルフィリン誘導体を指す。こうした誘導体には、そのポルフィリン核とオルト縮合またはオルトペリ縮合している別環を有するポルフィリン;別の元素によってそのポルフィリン環の一つ以上の炭素原子が置換(骨格置換)されているポルフィリン;別の元素の原子によってポルフィリン環の窒素原子が置換(骨格窒素置換)されている誘導体;ポルフィリンの周辺(メソ−、β−)または中心原子に水素以外の置換基がある誘導体;ポルフィリンの一つ以上の結合が飽和している誘導体(ヒドロポルフィリン、例えば、クロリン、バクテリオクロリン、イソバクテリオクロリン、デカヒドロポルフィリン、コルフィン、ピロコルフィンなど);一つ以上のポルフィリン原子への一つ以上の金属の配位によって得られる誘導体(金属ポルフィリン);(ピロールユニットおよびピロメテニルユニットを含む)一つ以上の原子がポルフィリン環に挿入されている誘導体(環拡大ポルフィリン);一つ以上の基がポルフィリンから除去された誘導体(環縮小ポルフィリン、例えばコリン、コロール);ならびに前記誘導体の組み合わせ(例えば、フタロシアニン、サブフタロシアニン、およびポルフィリン異性体)が含まれる。好ましいポルフィリン大員環は、少なくとも一つの五員環を含む。
【0044】
用語「ポルフィリン」は、典型的には四つのピロール環と共に、四つの窒素原子、および様々な金属原子で容易に置換することができる二つの置換可能水素から成る環状構造を指す。典型的なポルフィリンは、ヘミンである。
【0045】
用語「マルチポルフィリンアレイ」は、個別の数の二つ以上の共役結合したポルフィリン大員環を指す。マルチポルフィリンアレイは、線状であってもよいし、環状であってもよいし、または枝分れしていてもよい。
【0046】
用語「サンドイッチ配位化合物」または「サンドイッチ配位錯体」は、式LnMn-1の化合物を指し、この式中の各Lは、複素環状配位子(下に記載するようなもの)であり、各Mは、金属であり、nは、2以上、最も好ましくは2または3であり、各金属は、一対の配位子の間に位置し、(その金属の酸化状態に依存して)各配位子中の一つ以上のヘテロ原子(典型的には多数のヘテロ原子、例えば2、3、4、5)に結合している。従って、サンドイッチ配位化合物は、金属が炭素原子に結合している有機金属化合物(例えばフェロセン)ではない。サンドイッチ配位化合物中の配位子は、一般に、積層配向(stacked orientation)で並んでいる(すなわち、一般に、互いに共面配向しており、軸方向に並んでいるが、互いに対しその軸を中心に回転していてもよいし、していなくてもよい)(例えば、NgおよびJiang(1997)Chemical Society Reviews 26:433−442参照)。サンドイッチ配位錯体には、「ダブルデッカーサンドイッチ配位化合物」および「トリプルデッカーサンドイッチ配位化合物」が含まれるが、これらに限定されない。サンドイッチ配位化合物の合成および使用は、米国特許第6,212,093号B1に詳細に記載されている。
【0047】
用語「ダブルデッカーサンドイッチ配位化合物」は、nが2であり、従って、式L1−−M1−−L2(式中、L1およびL2は、各々、同じであってもよいし、異なっていてもよい)を有する上に記載したようなサンドイッチ配位化合物を指す(Jiangら(1999)J.Porphyrins Phthalocyanines 3:322−328参照)。
【0048】
用語「トリプルデッカーサンドイッチ配位化合物」は、nが3であり、従って、式L1−−M1−−L2−−M2−−L3(式中、各L1、L2およびL3は、各々、同じであってもよいし、異なっていてもよく、ならびにM1およびM2は、同じであってもよいし、異なっていてもよい)を有する上に記載したようなサンドイッチ配位化合物を指す(Arnoldら(1999)Chemistry Letters 483−484参照)。
【0049】
「リンカー」は、二つの異なる分子を結合させるため、一つの分子の二つの異なるサブユニットを結合させるため、または分子を基板に結合させるために使用される分子である。
【0050】
「基板」は、(好ましくは固体の)、一つ以上の分子の付着に適する材料である。基板は、ガラス、プラスチック、シリコン、ゲルマニウム、鉱物(例えば、石英)、半導体材料(例えば、ドープシリコン、ドープゲルマニウムなど)、セラミックス、金属などを含む(しかし、これらに限定されない)材料から成り得る。
【0051】
好ましい実施形態において、金属が、「M」または「Mn」(式中、nは、整数である)で表されるとき、その金属が対イオンを伴っていることがあることは理解される。
【0052】
「II、III、IV、VまたはVI族元素または材料」には、純粋な元素、II、III、IV、VまたはVI族元素のドープ変種、および/またはII、III、IV、VまたはVI族元素の酸化変種が含まれる。
【0053】
用語「耐熱性有機分子」または「熱安定性有機分子」は、200℃から400℃の温度、好ましくは400℃で、少なくとも30秒間、好ましくは少なくとも1分間、さらに好ましくは少なくとも2から5分間安定である(例えば、分解を示さないか、実質的に分解を示さない)有機分子(例えば、ポルフィリン)を指す。
【0054】
「III、IVまたはV族基板」は、III、IVまたはV族元素を含む材料である。
【0055】
本明細書で用いられる用語「遷移金属」は、周期律表の3から12族にある38の元素を指す。典型的に、遷移金属は、それらの原子価電子、すなわちそれらが他の元素と化合するために使用する電子が、一つより多くの殻の中に存在し、その結果として幾つかの通常酸化状態を示す事実によって特徴づけられる。ある実施形態において、本発明の遷移金属には、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀、ラザフォージウムのうちの一つ以上、ならびに/またはこれらの酸化物および/もしくは窒化物および/もしくは合金および/もしくは混合物が含まれるが、それらに限定されない。
【0056】
「耐熱性有機分子を含む溶液」は、真溶液に限定されず、その懸濁液、分散液および乳濁液も含む。加えて、この溶液は、ペースト、ゲル、エーロゲル、および耐熱性有機分子を「含有すること」に適する本質的にあらゆる媒体を意図している。
【0057】
「付着基を有する分子」は、その付着基がその分子の固有成分である分子、付着基を付加させるように誘導化した分子、および付着基を含むリンカーを有するように誘導化した分子を含む。
【0058】
句「分子を加熱すること」は、分子の集まりを加熱することおよび/または単一の分子の運動エネルギーを増大させることを包含する。
【0059】
(詳細な説明)
I.基板への有機分子の結合
本発明は、II、III、IV、VまたはVI族タイプの材料、これらのドープ異性体および/またはこれらの酸化物、ならびに/あるいは遷移金属および/または遷移金属酸化物もしくは窒化物、の表面に有機分子を共有結合的に付着させる新規アプローチに関する。ある実施形態(図1参照)において、本方法は、付着基を有する(例えば、付着基を含む、または付着基もしくは付着基を有するリンカーで誘導化された)耐熱性有機分子を提供すること;および高温(例えば、少なくとも約200℃、好ましくは少なくとも約300℃、さらに好ましくは少なくとも約400℃)でその分子を表面に接触させることを含む。耐熱性有機分子、特にレドックス活性耐熱性有機分子(例えば、ポルフィリン大員環)が、こうした条件下で表面との有効な結合(例えば、共有結合)を形成することは、驚くべき発見であった。
【0060】
加えて、そうした付着させたレドックス活性分子が、安定を保ち、何千の、何百万ものサイクルを通してそれらの酸化状態のセットおよびリセットに耐えることができることは、特に驚くべき発見であった。
【0061】
様々な実施形態において、前記分子(例えば、単一化学種の耐熱性分子、または異なる化学種の耐熱性分子の混合物)を加熱し、表面と接触させることができ、および/または表面を加熱することができ、および/または前記分子と表面の両方を加熱することができる。加えて、表面および/または前記分子を、互いに接触させる前に、および/またはそれらが接触しているときに、加熱することができる。
【0062】
ある実施形態において、前記耐熱性有機分子は、有機溶媒(例えば、THF、メシチレン、ジュレン、o−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1−クロロナフタレン、2−クロロナフタレン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオナミド、ベンゾニトリルおよびアニソールなど)に溶解される。その後、前記分子を含有する溶液を表面に塗布することができる。加熱は、様々な慣用法のいずれによっても遂行することができる。例えば、表面に塗布する前に溶媒を加熱することができる。ある実施形態では、溶媒を表面に塗布する前に、溶媒と表面の両方を加熱することができる。ある好ましい実施形態において、表面は、溶媒の塗布後に加熱される。これは、(例えば、オーブンの中で)表面を焼付けることによって適便に遂行することができる。ある好ましい実施形態において、表面は、不活性雰囲気(例えば、アルゴンまたは他の不活性ガス)下で加熱される(つまり焼付けされる)。
【0063】
特に大型ウェハ(例えば、直径が12インチより大きいもの)が製造に使用される、ある実施形態では、本発明の無溶媒法が利用される。本無溶媒法では、電気活性分子(例えば、フェロセンおよびポルフィリンのようなレドックス活性分子)または他の耐熱性分子のSAMが、溶媒を使用せずに所望の表面(例えば、シリコン、二酸化ケイ素、金属、金属酸化物、金属窒化物など)の上に形成される。言い換えると、完全に乾燥した環境で付着を行うことができる。様々な実施形態において、このプロセスは、固相分子を適切な温度で加熱して固相分子を気相に変換し、その後、その気相分子を所望の表面に移送する。このプロセスは、分子と基板の温度を別々に制御することもでき、これは、最大付着密度の達成を助長しうる。このプロセスは、半導体業界において材料を堆積させるために同様の技法(例えば、CVDおよびMBE)が既に使用されているので、生産に容易に応用することができる。
【0064】
無溶媒付着の幾つかの基本的アプローチを図7に図示する。一つのアプローチでは、耐熱性分子(または分子の混合物)を、基板(例えば、III、IVまたはV族元素、遷移金属、遷移金属酸化物または窒化物など)を収容したチャンバの中に置く。溶媒を揮発させ、耐熱性分子のみを残す。その後、そのチャンバを加熱してその分子を揮発させ、それが基板表面と接触し、結合する。
【0065】
図7に図示する別のアプローチでは、分子を乾燥粉末としてそのチャンバの中に置く。再び、そのチャンバを加熱してその分子を揮発させ、それが基板表面に接触し、結合する。
【0066】
ある実施形態では、表面に結合させられる分子(例えば、乾燥形態のもの、または後に揮発させる溶媒中のもの)を表面の上に直接置く。その後、その分子および/または表面を(例えば、200℃以上に)加熱し、その分子は、表面に(例えば、イオン結合により、さらに好ましくは共有結合により)結合する。
【0067】
様々なパラメータを、あらゆる具体的有機分子の付着のために、最適化することができる。これらには、(1)分子の濃度、(2)焼付け時間、および(3)焼付け温度が含まれる。図3、4および5は、代表的なポルフィリン(図2の分子104)についてのこれらの研究の結果を示している。各図において、左のパネルは、共有結合で付着している分子のサイクリックボルタンモグラムを示す。これらのボルタンモグラムの特性は、共有結合的付着および頑強な電気化学的挙動を示している(例えば、Liら(2002 Appl.Phys.Lett 81:1494−1496; Rothら(2003)J.Am.Chem.Soc.125:505−517参照)。右のパネルは、分子付着量を示すものである。このタイプの分子の飽和吸着量は、10-10molcm-2の範囲内である。上の三つのパラメータは、独立ではないが、これらの図は、以下の重要な観測を示している。第一に、本明細書に記載の方法を用いると、マイクロモル濃度の材料を使用して比較的高い表面付着量(5×10-10molcm-2の範囲内)で分子を付着させることができる(例えば、図3参照)。極めて少量の材料(例えば、約5mM未満、好ましくは約1mM未満、さらに好ましくは約500μM若しくは100μM未満、さらにいっそう好ましくは10μM未満、および最も好ましくは約1μMの濃度)を使用する容易な付着は、シリコンに分子を固着するために使用されてきた他の手順とは明確に異なる。これらの手順は、典型的には、非常に高い溶液中分子濃度または純分子濃度を使用する。非常の少量の材料の使用は、数グラム情報記憶分子を使用して何百万ものチップを製造できることを示している。少量の材料の使用は、比較的少量の有機溶媒を使用することができ、それによって環境危険を最小化できることも示している。
【0068】
加えて、数分(例えば、典型的には約1秒から約1時間、好ましくは約10秒から約30分、さらに好ましくは約1分から約5、10または15分、および最も好ましくは約30秒から約1または2分)ほどの短い焼付け時間により高い表面付着量をもたらすことは、驚くべき発見であった(図4)。短い時間によって、その加工段階で使用されるエネルギーの量が最小化される。
【0069】
400℃もの高い焼付け温度を、分子の劣化を伴わずに使用できることも、驚くべき発見であった(図5)。この結果は、CMOS装置の製造における多数の加工段階が、高温加工を必要とするという点で、重要である。ある実施形態において、好ましい焼付け温度は、約125℃から約400℃、好ましくは約200℃から約400℃、さらに好ましくは約250℃から約400℃、および最も好ましくは約300℃から約400℃の範囲である。
【0070】
さらに有意な点は、情報記憶分子上の様々な官能基が、シリコンまたは他の基板(例えば、III、IVまたはV族元素、遷移金属、遷移金属酸化物または窒化物、遷移金属合金など)への付着の際の使用に適することである。これらの基には、アルコール、チオール、S−アセチルチオール、ブロモメチル、アリル、ヨードアリール、カルボキシアルデヒド、エチン、ビニル、ヒドロキシメチルが含まれるが、これらに限定されない。エチル、メチルまたはアレーンのような基が、オクタエチルポルフィリン、メソ−テトラフェニルポルフィリン、メソ−テトラ−p−トリルポルフィリンおよびメソ−テトラメシチルポルフィリンの亜鉛キレートとの実質的付着を達成することができないことによって証明されるように、本質的に付着を与えないことも注目される。
【0071】
S−アセチルチオール、ブロモメチル、ヨードアリール、カルボキシアルデヒドおよびエチンによる付着成功は、先例がない。ヨードアリール基による付着成功は、直接アリール−Si付着を生じる点で、並外れて価値がある。得られた情報記憶分子は、表面から垂直に配置することができ、これは、後続のパターン形成を容易にする。こうした様々な官能基による付着能は、卓越した多機能性をもたらす。
【0072】
ある実施形態では、加熱は、オーブンの中に基板を入れることによって遂行されるが、本質的にあらゆる適便な加熱方法を利用することができ、特定の(例えば、工業)生産状況について、適切な加熱および接触方法を最適化することができる。従って、例えば、ある実施形態では、加熱は、付着させるべき有機分子を含有する熱溶液に表面を浸漬することにより、遂行することができる。局部的な加熱/パターン形成は、例えば高温コンタクトプリンタ、またはレーザーを使用して遂行することができる。加熱は、押込空気、熱対流炉、放射加熱などを利用して遂行することもできる。上述の実施形態は、限定のためではなく、説明のためのものである。
【0073】
II.有機分子
レドックス活性有機分子を含む多数の有機分子が、本発明の方法において適用でき、相当有効でさえあるほど耐熱性であることは、驚くべき発見であった。適する耐熱性有機分子には、典型的に、メタロセン(例えば、フェロセン)、ポルフィリン、環拡大ポルフィリン、環縮小ポルフィリン、線状ポルフィリンポリマー、ポルフィリンサンドイッチ配位錯体、およびポルフィリンアレイが含まれるが、これらに限定されない。
【0074】
ある好ましい耐熱性有機分子には、5−[4−(S−アセチルチオメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(メルカプトメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(ヒドロキシメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(ヒドロキシメチル)フェニル]−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−アリルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ホルミルフェニル)−15−フェニル−10,20−ジ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ブロモメチルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−エチニルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ヨードフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ブロモフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ヒドロキシフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−エチニルフェニル)−15,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−ヨード−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−ヨードフェニル)−15,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(2−トリメチルシリル)エチニル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−エチニルフェニル)−10,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−ヨードフェニル)−10,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10,15−トリス(4−エチニルフェニル)−20−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−エチニルフェニル)−10,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−エチニルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(3−エチニルフェニル)−10,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10,15,20−テトラキス(4−エチニルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス[4−(2−(トリメチルシリル)エチニル)フェニル]−15,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(3,5−ジエチニルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、3,7−ジブロモ−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(2−トリメチルシリル)エチニル)フェニル]−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(Se−アセチルセレノメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ヨードフェニル)−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−エチニルフェニル)−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−エチニルビフェニル−4’−イル)−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ビニルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ビニルフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(ヒドロキシメチル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−アリルフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−アリルフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト銅(II)、c型トリプルデッカー[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[5,15−ビス(4−エチニルフェニル)−10,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィリン]、c型トリプルデッカー[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[5−[4−[2−(4−(ヒドロキシメチル)フェニル)エチニル]フェニル]−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィリン]、5,10−ビス[4−(2−(トリイソプロピルシリル)エチニル)ビフェン−4’−イル]−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス[4−(2−(トリイソプロピルシリル)エチニル)フェニル]−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)などが含まれるが、これらに限定されない。
【0075】
本発明の方法での使用に対する特定の分子の適合性は、容易に判定することができる。関心のある分子を、本発明の方法に従って、表面(例えば、水素不動態化表面)に単に結合させる。その後、(例えば、本明細書に記載するように、または米国特許第6,272,038号、同第6,212,093号および同第6,208,553号、PCT国際公開公報第01/03126号に記載されているように、またはRothら(2000)Vac.Sci.Technol.B 18:2359−2364; Rothら(2003)J.Am.Chem.Soc.125:505−517により記載されているように)正弦波ボルタンメトリーを行って、1)その(それらの)分子が表面に結合したか否か、2)付着量(結合)の程度、および3)その結合手順の間に分子が劣化したか否かを評価することができる。
【0076】
表1は、本明細書に記載の付着手順を用いて試験した多数のポルフィリンの試験結果(電気化学的特性付け)を説明するものである。付着したポルフィリンについて、主観的EGFPスケールを使用して、それらの電気化学的挙動を評価した。
【0077】
表1.本明細書に記載の方法に従ってシリコン基板に付着させたポルフィリンの電気化学的挙動。すべての置換基は、p位にあり、各化合物は、別に示されていないかぎり一つの置換基を有する。
【0078】
【表1】
【0079】
上に記載した化合物は、説明的な意味を持ち、限定的な意味は持たないことに注意する。他の適する化合物は、本明細書に記載するような常用のスクリーニング手順を使用して容易に確かめることができる。
【0080】
ある有機分子が、高温(例えば、200℃から400℃)で、特定の部位で分解する場合、その「反応性」部位は、多くの場合、安定な保護基で誘導化することができることも留意すべきである。前記分子は、本発明の方法に従って表面に結合させられることができ、その後保護基は有機分子から化学的に取り外すことができる。
【0081】
典型的に、この有機分子は、溶媒、分散液、乳濁液、ペースト、ゲルなどの中に供給される。好ましい溶媒、ペースト、ゲル、乳濁液、分散液などは、実質的に基板を劣化することなく、II、III、IV、Vおよび/もしくはIV族材料ならびに/または遷移金属に塗布することができ、その基板に結合させるべき有機分子を可溶化するか懸濁させるが劣化はしない溶媒である。ある実施形態において、好ましい溶媒は、高沸点溶媒(例えば、初期沸点が約130℃より高い、好ましくは約150℃より高い、さらに好ましくは約180℃より高い溶媒)を含む。そうした溶媒には、ベンゾニトリル、ジメチルホルムアミド、キシレン、オルト−ジクロロベンゼンなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0082】
III.付着分子
基板(例えば、II、III、IV、VもしくはVI族元素、半導体および/もしくは酸化物、ならびに/または遷移金属、遷移金属酸化物もしくは窒化物など)への付着を行うために、耐熱性有機分子は、一つ以上の付着基を(例えば、置換基として)有し、および/または一つまたはそれ以上の付着基に直接もしくはリンカーにより付着するように誘導化されている。
【0083】
ある好ましい実施形態において、付着基は、アリールまたはアルキル基を含む。ある好ましいアリール基には、ブロモ、ヨード、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、ホルミル、ブロモメチル、ビニル、アリル、S−アセチルチオメチル、Se−アセチルセレノメチル、エチニル、2−(トリメチルシリル)エチニル、メルカプト、メルカプトメチル、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル、およびジヒドロキシホスホリルなどの官能基が含まれる。ある好ましいアルキル基には、ブロモ、ヨード、ヒドロキシ、ホルミル、ビニル、メルカプト、セレニル、S−アセチルチオ、Se−アセチルセレノ、エチニル、2−(トリメチルシリル)エチニル、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル、およびジヒドロキシホスホリルなどの官能基が含まれる。
【0084】
ある実施形態において、付着基には、アルコール、チオール、S−アセチルチオール、ブロモメチル、アリル、ヨードアリール、カルボキシアルデヒド、エチンなどが含まれるが、これらに限定されない。ある実施形態において、付着基には、4−(ヒドロキシメチル)フェニル、4−(S−アセチルチオメチル)フェニル、4−(Se−アセチルセレノメチル)フェニル、4−(メルカプトメチル)フェニル、4−(ヒドロセレノメチル)フェニル、4−ホルミルフェニル、4−(ブロモメチル)フェニル、4−ビニルフェニル、4−エチニルフェニル、4−アリルフェニル、4−[2−(トリメチルシリル)エチニル]フェニル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]フェニル、4−ブロモフェニル、4−ヨードフェニル、4−ヒドロキシフェニル、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル、ブロモ、ヨード、ヒドロキシメチル、S−アセチルチオメチル、Se−アセチルセレノメチル、メルカプトメチル、ヒドロセレノメチル、ホルミル、ブロモメチル、クロロメチル、エチニル、ビニル、アリル、4−[2−(4−ヒドロキシメチル)フェニル)エチニル]フェニル、4−(エチニル)ビフェン−4’−イル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]ビフェン−4’−イル、3,5−ジエチニルフェニル、2−ブロモエチルなどが含まれるが、これらに限定されない。これらの付着基は、説明的な意味を持ち、限定的な意味は持たない。
【0085】
他の付着基の適合性は、容易に評価することができる。関心のある付着基を有する耐熱性有機分子を、本明細書に記載の方法に従って基板(例えば、水素不動態化シリコン)に(直接またはリンカーを用いて)結合させる。その後、付着の効率を、例えば上に記載したような正弦波ボルタンメトリーを用いて、電気化学的に評価することができる。
【0086】
付着基は、耐熱性有機分子を含む置換基であり得る。あるいは、前記有機分子は、その分子にその(それらの)付着基を直接またはリンカーにより共有結合するように誘導化することができる。
【0087】
例えばアルコールまたはチオールで、分子を誘導化する手段は、当業者によく知られている(例えば、Grykoら(1999)J.Org.Chem.,64:8635−8647; SmithおよびMarch(2001)March’s Advanced Organic Chemistry,John Wiley & Sons,第5版など参照)。
【0088】
付着基が、アルコールを含む場合、ある実施形態において、適するアルコールには、一級アルコール、二級アルコール、三級アルコール、ベンジルアルコール、およびアリールアルコール(すなわちフェノール)が含まれるが、これらに限定されない。ある特に好ましいアルコールには、炭素数2から10の直鎖アルコール、ベンジルアルコールおよびフェネチルアルコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0089】
付着基が、チオールを含むとき、ある実施形態において、適するチオールには、一級チオール、二級チオール、三級チオール、ベンジルチオールおよびアリールチオールが含まれるが、これらに限定されない。特に好ましいチオールには、炭素原子数2から10の直鎖チオール、ベンジルチオールおよびフェネチルチオールが含まれるが、これらに限定されない。
【0090】
IV.基板
本発明の方法は、本質的にあらゆるまたはすべてのII、III、IV、VまたはVI族材料(例えば、II、III、IV、VもしくはVI族元素、半導体、および/またはそれらの酸化物)に、および/または遷移金属、遷移金属酸化物、遷移金属窒化物、遷移金属を含む合金もしくは複合材などに、有機分子を共有結合させるために適する。ある好ましい実施形態において、基板は、すべてのIII、IVもしくはV族材料(例えば、炭素、シリコン、ゲルマニウム、スズ、鉛)、ドープII、III、IV、VおよびVI族元素、または純粋もしくはドープII、III、IV、VもしくはVI族元素の酸化物、あるいは遷移金属、遷移金属酸化物または遷移金属窒化物を含む。ある好ましい実施形態において、表面は、III、IVまたはV族材料、さらに好ましくはIV族材料(酸化物、および/またはドープ変種)、さらにいっそう好ましくはシリコンもしくはゲルマニウム表面またはドープおよび/もしくは酸化シリコンもしくはゲルマニウム表面である。
ある実施形態において、基板に使用することができる材料には、Si、Ge、SiC、Ga、Au、Ag、Cu、Al、Ta、Ti、Ru、Ir、Pt、Pd、Os、Mn、Hf、Zr、V、Nb、La、Y、Gd、Sr、Ba、Cs、Cr、Co、Ni、Zn、Ga、In、Cd、Rh、Re、W、ならびにこれらの酸化物および窒化物が含まれるが、これらに限定されないことは、本明細書中の教示から理解されるであろう。
【0091】
II、III、IV、VまたはVI族元素、遷移金属、遷移金属酸化物または窒化物は、本質的に純粋なものであってもよいし、またはドープ(例えば、p型もしくはn型ドープ)されていてもよいし、および/または合金になっていてもよい。II〜VI族元素とともに使用するための、特に、III、IVおよびV族元素とともに使用するための、さらに特にIV族元素(例えば、シリコン、ゲルマニウムなど)とともに使用するためのp型およびn型ドーパントは、当業者によく知られている。こうしたドーパントには、リン化合物、ホウ素化合物、砒素化合物、アルミニウム化合物などが含まれるが、これらに限定されない。多くのドープII、III、IV、VまたはVI族元素が半導体であり、それらには、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、BaTe、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InP、InAs、InSb、AlS、AlP、AlSb、PbS、PbSe、GeおよびSiならびにこれらの三元および四元混合物が挙げられるが、それらに限定されない。
表面は、本質的にあらゆる形態をとることができる。例えば、板状基板、エッチング処理基板、別の基板上の堆積ドメインなどとして、提供されてもよい。特に好ましい形態には、固体電子工学製造プロセスにおいて一般に使用されている形態が挙げられる。
必ずしも必要でないが、ある実施形態において、表面は、使用前に例えば当業者に知られている標準的な方法を用いて清浄化される。従って、例えば、一つの好ましい実施形態において、表面は、一連の溶媒(例えば、アセトン、トルエン、アセトン、エタノールおよび水)中で超音波処理し、その後、高温(例えば、100℃)で標準的なウェハ清浄液(例えば、Piranha(硫酸:30%過酸化水素、2:1))に暴露することにより、清浄化することができる。
ある実施形態において、酸化物は、基板表面から除去することができ、また表面は、水素不動態化されていてもよい。水素不動態化ための多数のアプローチが当業者によく知られている。例えば、一つのアプローチでは、分子水素のフローを、磁場中の高密度マイクロ波プラズマに通す。この磁場は、荷電粒子による衝撃からサンプル表面を護るために役立つ。それ故、交差ビーム(CB)法は、多くの半導体デバイスにとって非常に有害であるプラズマエッチングおよび重イオン衝撃の回避を可能にする(例えば、Balmashnovら(1990)Semiconductor Science and Technology,5:242参照)。一つの特に好ましい実施形態において、不動態化は、不動態化すべき表面をフッ化アンモニウム溶液(好ましくは、酸素をスパージしたもの)と接触させることによる。
【0092】
他の表面清浄および不動態化法は、当業者には公知である(例えば、Choudhury(1997) The Handbook of Microlithography,Micromachining,and Microfabrication,Soc.Photo−Optical Instru.Engineer、Bard & Faulkner(1997)Fundamentals of Microfabricationなど参照)。
【0093】
V.基板上での有機分子のパターン形成
ある実施形態では、耐熱性有機分子を、基板の表面全体にわたって均一な薄膜を形成するように付着させる。他の実施形態では、前記有機分子を表面の一つ以上の別個の位置で別々に結合させる。ある実施形態では、異なる分子を表面の異なる位置で結合させる。
【0094】
分子を結合させる位置設定は、多数の手段のうちのいずれによって遂行してもよい。例えば、ある実施形態では、有機分子を含む溶液を表面上の特定の位置に選択的に堆積させることができる。他のある実施形態では、その溶液を表面上に均一に堆積させることができ、選択領域を加熱することができる。ある実施形態では、有機分子を表面全体に結合させ、その後、特定の領域から選択的にエッチングすることができる。
【0095】
表面を有機分子と選択的に接触させるための最も一般的なアプローチは、有機分子がないべきである表面の領域を、その(それらの)分子を含む溶液または気相がそれらの領域と接触することができないようにマスクすることを含む。これは、マスキング材(例えば、ポリマーレジスト)で基板を被覆し、結合させるべき領域のレジストをエッチングして除去することにより、容易に遂行することができる。あるいは、感光性レジストを表面に塗布し、保護すべき領域において(たとえば、紫外線により)選択的に活性化することができる。こうした「フォトリソグラフ」法は、半導体業界では公知である(例えば、Van Zant(2000)Microchip Fabrication: A Practical Guide to Semiconductor Processing; NishiおよびDoering(2000)Handbook of Semiconductor Manufacturing Technology ; Xiao(2000) Introduction to Semiconductor Manufacturing Technology; Campbell(1996) The Science and Engineering of Microelectronic Fabrication(Oxford Series in Electrical Engineering),Oxford University Pressなど参照)。加えて、レジストを表面に単にコンタクトプリンティングすることにより、レジストを表面上にパターン形成することができる。
【0096】
他のアプローチでは、表面を分子と均一に接触させる。その後、表面のそれらの分子がないようにすべき領域からそれらの分子を選択的にエッチングして除去する。エッチング方法は、当業者によく知られており、プラズマエッチング、レーザーエッチング、酸エッチングなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0097】
他のアプローチは、例えば結合させるべき領域に試薬を選択的に堆積させる形に造られたコンタクトプリントヘッドを使用する、試薬のコンタクトプリンティング;特定の領域に試薬を選択的に堆積させるインクジェット装置(例えば、米国特許代6,221,653号参照)の使用;試薬を特定の領域内に選択的に閉じ込めるダムの使用などを含む。
【0098】
ある好ましい実施形態において、結合反応は、数回繰り返えされる。その(それらの)反応が完了した後、結合していない有機分子を、例えば標準的な洗浄段階(例えば、ベンゾニトリル洗浄、その後の乾燥塩化メチレン中での超音波処理)を用いて、表面から洗い落とす。
【0099】
上述の方法は、説明のためのものである。本明細書に提供する教示にかんがみて、半導体製造技術分野の技術者には、他のアプローチが明らかであろう。
【0100】
VI.工業的スケールアップ
本発明の方法は、商業的製造作業用に容易にスケールアップされる。一つのそうしたスケールアップのアプローチを図9に図示する。この図は、気相分子付着用の2ゾーン型炉1を説明するものである。装置内では、分子粉末2が一方のゾーンに保持され、ウェハ3が別のゾーンに保持される。各ゾーンは、(例えば、単一ヒーター制御部または個別ヒーター制御部(この説明図の6および7)により独立して調整することができるヒーター4、5によって)個々に加熱することができる。各ゾーンは、必要な温度に独立して加熱ことができる。温度を変えることにより分子蒸気圧を制御することができる。このシステムでは、分子蒸気を他のゾーンのウェハに輸送するために使用することができる、ガス入口8に供給されそのオーブンを通ってガス出口9に抜ける、キャリヤガス(例えば、Ar、N2など)の使用も可能である。この炉は、このシステムをキャリヤガスの出口においてポンプで排気することにより、低圧(減圧)で操作することもできる。この低圧プロセスにより、分子蒸気圧を非常に正確に制御することができる。また、大気圧プロセスと比較して不純物の量を低減させる。
【0101】
図10に図示する別の装置構成は、気相分子付着法の高真空操作に適する。このアプローチでは、基板3は、真空炉チャンバ20内に配置される。付着させるべき分子は、エフュージョンセルコントローラ24によって制御されるエフュージョンセル(例えば、クヌーセンセル(Kセル)、例えばSpecsによる低温エフュージョンセル)22内に保持される。Kセル上のシャッター26の開閉により、基板表面に到達し、付着単分子層28を形成することができる分子の量を制御することができる。
【0102】
これらの方法は、説明的な意味を持ち、限定的な意味は持たない。本明細書に提供する教示を用いて、当業者は、本明細書に記載の分子の加熱および表面との接触のための多数のアプローチを考え出すことができる。耐熱性分子またはそうした分子の混合物を加熱および/または揮発させるための、ならびに高温で表面にそれらをパターン形成するまたは均一に堆積させるための装置および方法は、市販されており、当業者によく知られている。そうした方法には、分子線エピタキシー(MBE)(例えばフロリダのSPECS Scientific Instrumentsから入手できる機器)、化学蒸着法(CVD)(例えばCVD Equipment Corp.から入手できる機器)、液相エピタキシャル堆積(LPE)(例えばニューヨーク州ロンコンコマのCVD Equipment Corp.から入手できる機器)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0103】
VII.高電荷密度材料
ドープまたは非ドープ基板(III、IVまたはV族元素、遷移金属、遷移金属酸化物、窒化物などを含む基板)にレドックス活性分子を結合させる本明細書に記載の方法によって、他の以前に知られている方法より高く、均一な有機分子(例えば、レドックス活性化学種)の充填が生じることは、本発明の驚くべき発見である。これは、レドックス活性分子を用いて、ボルタンメトリー測定において観察される、より高い陽極電位でのより低い酸化電流として証明することができる。加えて、サイクリックボルタンモグラムは、より鋭く、より対称的なピークを示す。
【0104】
加えて、基板上のレドックス活性分子の改善された均一性およびより高い充填により、有意に高い電荷密度を蓄積することができる材料が得られる。従って、好ましい実施形態において、本発明は、レドックス活性分子の非ゼロ酸化状態あたり、少なくとも約75μクーロン/cm2、好ましくは少なくとも約100μクーロン/cm2、さらに好ましくは少なくとも約150μクーロン/cm2、および最も好ましくは少なくとも200または250μクーロン/cm2の電荷密度で電荷を蓄積することができる、一つ以上のレドックス活性化学種が結合している基板(例えば、IV族元素基板)を提供する。こうした材料は、分子メモリ(メモリチップ)の製造に有用である。
【0105】
様々な結合性分子をレドックス活性化学種の代わりに使用する場合、高い均一性および分子密度が、特定の検体に対してより高い感度および選択性を有するセンサをもたらす。
【0106】
VIII.基板に結合した有機分子の使用
本発明の方法は、本質的にあらゆる耐熱性有機分子をII、III、IV、VまたはVI族材料表面、好ましくはIII、IVまたはV族表面および/もしくは遷移金属表面に付着させるために使用することができる。ある好ましい実施形態において、前記分子は、レドックス活性分子であり、分子メモリを形成するために使用することができる。他の好ましい実施形態において、前記分子は、本質的にあらゆる他の耐熱性分子であり得る。ある他の耐熱性分子には、限定ではないが結合パートナー(例えば、ある抗体、配位子、核酸、糖類など)が挙げられ、特定の検体を検出するためのセンサを形成することができる。
【0107】
「分子メモリ」において、遷移金属および/またはII、III、IV、VもしくはVI族材料に結合させたレドックス活性分子(一つ以上の非ゼロレドックス状態を有する分子)が、ビット(例えば、各レドックス状態はビットを表すことができる)の記憶に使用される。基板材料(例えば、シリコン、ゲルマニウムなど)に付着させたレドックス活性分子は、様々な酸化状態で一つ以上のビットを記憶することができる記憶セルを形成する。ある実施形態において、記憶セルは、一つ以上のレドックス活性分子を含み、多数の異なる、区別できる酸化状態を有する「記憶媒体」に電気的に結合した固定電極を特徴とする。データは、電気的に結合された電極により一つ以上の電子を前記記憶媒体に加えるか、そこから取ることによって、その(好ましくは非中性)酸化状態に記憶される。レドックス活性分子の酸化状態は、例えば、米国特許第6,272,038号、同第6,212,093号および同第6,208,553号ならびにPCT国際公開公報第01/03126号に記載されているような電気化学的方法(例えば、サイクリックボルタンメトリー)を用いてセットするおよび/または読み取ることができる。
【0108】
遷移金属ならびにII、III,IV、VおよびVI族材料、特にIV族材料(例えば、シリコン、ゲルマニウムなど)は、電子チップの製造に一般に使用されているため、本明細書に提供する方法は、既存の加工/製造法と両立できる分子メモリチップの製造に即座に用いることができる。加えて、レドックス活性分子を含む記憶セルの構成および使用の詳細は、米国特許第6,272,038号、同第、6,212,093号および同第6,208,553号ならびにPCT国際公開公報第01/03126号において見出すことができる。
【0109】
本発明での使用に適するある好ましいレドックス活性分子は、多数の酸化状態を有することを特徴とする。これらの酸化状態は、一つ以上のレドックス活性ユニットによってもたらされる。レドックス活性ユニットは、適切な電圧の印加によってセットされ得る一つ以上の別個の酸化状態を有する分子または分子のサブユニットを指す。従って、例えば、一つの実施形態において、レドックス活性分子は、二つ以上(例えば8)の異なる、区別できる酸化状態を含むことができる。必然的ではないが典型的に、こうした多状態分子は、幾つかのレドックス活性ユニット(例えば、ポルフィリンまたはフェロセン)から成るであろう。各レドックス活性分子は、それ自体、少なくとも一つのレドックス活性ユニットであるか、少なくとも一つのレドックス活性ユニットを含むが、二つ以上のレドックス活性ユニットを容易に含むことができる。
【0110】
好ましいレドックス活性分子には、ポルフィリン大員環が挙げられるが、これに限定されない。特に好ましいレドックス活性分子には、ポルフィリン、環拡大ポルフィリン、環縮小ポルフィリン、フェロセン、線状ポルフィリンポリマー、ポルフィリンサンドイッチ配位錯体、およびポルフィリンアレイが含まれる。
【0111】
ある実施形態において、レドックス活性分子は、式I:
【0112】
【化1】
【0113】
(式中、Lは、リンカーであり、Mは、金属(例えば、Fe、Ru、Os、Co、Ni、Ti、Nb、Mn、Re、V、Cr、W)であり、S1およびS2は、アリール、フェニル、シクロアルキル、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、過フルオロアルキル、過フルオロアリール、ピリジル、シアノ、チオシアナト、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アシル、スルホキシ、スルホニル、イミド、アミドおよびカルバモイルから成る群より独立して選択される置換基である)
に示すようなメタロセンである。好ましい実施形態では、置換アリール基をポルフィリンに付着させ、そのアリール基上の置換基は、アリール、フェニル、シクロアルキル、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、過フルオロアルキル、過フルオロアリール、ピリジル、シアノ、チオシアナト、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アシル、スルホキシ、スルホニル、イミド、アミドおよびカルバモイルから成る群より選択される。
【0114】
ある適する置換基には4−クロロフェニル、3−アセトアミドフェニル、2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい置換基は、約2ボルト未満のレドックス電位範囲もたらす。Xは、基板、基板に共有結合することができる反応部位(例えば、アルコール、チオールなど)から成る群より選択される。一部の実施形態において、L−Xは、アルコールまたはチオールであることは理解されよう。ある例において、L−Xは、S1またはS2のような別の置換基(S3)で置き換えることができる。ある実施形態において、L−Xは、存在してもよいし、存在しなくてもよく、存在する場合には、好ましくは、4−ヒドロキシフェニル、4−(2−(4−ヒドロキシフェニル)エチニル)フェニル、4−(ヒドロキシメチル)フェニル、4−メルカプトフェニル、4−(2−(4−メルカプトフェニル)エチニル)フェニル、4−メルカプトメチルフェニル、4−ヒドロセレノフェニル、4−(2−(4−ヒドロセレノフェニル)エチニル)フェニル、4−ヒドロテルロフェニル、4−(ヒドロセレノメチル)フェニル、4−(2−(4−ヒドロテルロフェニル)エチニル)フェニル、4−(ヒドロテルロメチル)フェニルなどである。
【0115】
式Iの分子の酸化状態は、その金属および置換基によって決まる。様々な適するメタロセンが、米国特許第6,272,038号、同第、6,212,093号および同第6,208,553号ならびにPCT国際公開公報第01/03126号に開示されている。
【0116】
他の適するレドックス活性分子には、式II:
【0117】
【化2】
【0118】
(式中、Fは、レドックス活性サブユニット(例えば、フェロセン、置換フェロセン、メタロポルフィリンまたはメタロクロリンなど)であり;J1は、リンカーであり;Mは、金属(例えば、Zn、Mg、Cd、Hg、Cu、Ag、Au、Ni、Pd、Pt、Co、Rh、Ir、Mn、B、Al、Ga、PbおよびびSn)であり;S1およびS2は、アリール、フェニル、シクロアルキル、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、過フルオロアルキル、過フルオロアリール、ピリジル、シアノ、チオシアナト、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アシル、スルホキシ、スルホニル、イミド、アミドおよびカルバモイルから成る群より独立して選択され、この場合、前記置換基は、約2ボルト未満のレドックス電位範囲をもたらし;K1、K2、K3およびK4は、N、O、S、Se、TeおよびCHから成る群より独立して選択され;Lは、リンカーであり;Xは、基板、基板に共有結合することができる反応部位から成る群より選択される)
によって示されるポルフィリンが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、XまたはL−Xは、アルコールまたはチオールである。一部の実施形態において、L−Xは、除去されて、S1またはS2の場合と同じ群から独立して選択される置換基で置きかえられてもよい。
【0119】
他の適する分子には、5−[4−(S−アセチルチオメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(メルカプトメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(ヒドロキシメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(ヒドロキシメチル)フェニル]−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−アリルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ホルミルフェニル)−15−フェニル−10,20−ジ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ブロモメチルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−エチニルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ヨードフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ブロモフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ヒドロキシフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−エチニルフェニル)−15,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−ヨード−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−ヨードフェニル)−15,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(2−トリメチルシリル)エチニル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−エチニルフェニル)−10,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−ヨードフェニル)−10,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10,15−トリス(4−エチニルフェニル)−20−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−エチニルフェニル)−10,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−エチニルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(3−エチニルフェニル)−10,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10,15,20−テトラキス(4−エチニルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス[4−(2−(トリメチルシリル)エチニル)フェニル]−15,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(3,5−ジエチニルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、3,7−ジブロモ−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(2−トリメチルシリル)エチニル)フェニル]−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(Se−アセチルセレノメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ヨードフェニル)−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−エチニルフェニル)−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−エチニルビフェニル−4’−イル)−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ビニルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ビニルフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(ヒドロキシメチル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−アリルフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−アリルフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト銅(II)、c型トリプルデッカー[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[5,15−ビス(4−エチニルフェニル)−10,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィリン]、c型トリプルデッカー[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[5−[4−[2−(4−(ヒドロキシメチル)フェニル)エチニル]フェニル]−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィリン]、5,10−ビス[4−(2−(トリイソプロピルシリル)エチニル)ビフェン−4’−イル]−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス[4−(2−(トリイソプロピルシリル)エチニル)フェニル]−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)などが含まれるが、これらに限定されない。
【0120】
本発明のメモリデバイスに使用されるレドックス活性分子のレドックス活性ユニットの正孔蓄積および正孔ホッピング特性に対する制御により、メモリデバイスのアーキテクチャに対する精密な制御が可能となる。
【0121】
こうした制御は、合成設計を通して行使される。正孔蓄積特性は、それら自体が本発明のデバイスに使用されるレドックス活性記憶媒体であるか、レドックス活性記憶媒体を組み立てるために使用される、レドックス活性ユニットもしくはサブユニットの酸化電位に依存する。正孔蓄積特性およびレドックス電位は、基本分子、会合金属および周辺置換基の選択により正確に調整することができる(Yangら(1999)J.Porphyrins Phthalocyanines,3:117−147)。分子メモリのための分子の設計は、米国特許第6,272,038号、同第、6,212,093号および同第6,208,553号ならびにPCT国際公開公報第01/03126号において詳細に論じられている。
【0122】
IX.キット
さらに別の実施形態において、本発明は、本発明の方法を実施するための、または本発明の方法によって製造された材料を使用するためのキットを提供する。一つの実施形態において、本キットは、本発明の方法に従ってII、III、IV、VまたはVI族タイプの材料に有機分子を結合させるために使用される一つ以上の試薬を含む。こうした試薬には、材料表面を清浄化および/もしくは不動態化するための試薬、ならびに/または表面に結合させるべき有機分子、ならびに/またはその(それらの)有機分子を誘導化するための付着分子(例えば、(例えば、本明細書に記載されているように、アルコール、チオール、S−アセチルチオール、ブロモメチル、アリル、ヨードアリール、カルボキシアルデヒド、エチン、ビニル、ヒドロキシメチルなどの)付着基で有機分子を誘導化するための試薬)、ならびに/または誘導化された有機分子を表面に結合させる際に使用するための溶媒、ならびに/または誘導化された表面を洗浄するための試薬などが含まれるが、これらに限定されない。
【0123】
ある実施形態において、本キットは、本明細書に記載されているような、耐熱性有機分子(例えば、レドックス活性分子)が結合しているII、III、IV、VまたはVI族タイプの材料を含む。II、III、IV、VまたはVI族タイプの材料は、ある実施形態では分子メモリを含み、ある実施形態ではセンサを含む。
【0124】
加えて、本キットは、本発明の方法を実施するための指示(すなわち、プロトコル)を含む教材を場合により含むことができる。好ましい教材は、本発明の方法に従ってII、III、IV、VまたはVI族タイプの材料に耐熱性有機分子を結合させるために、および/またはメモリ素子もしくはセンサとして有機分子を結合したII、III、IV、VまたはVI族タイプの材料を使用するためにそのキットの内容を利用するプロトコルを提供する。これらの教材は、典型的に、書かれた物または印刷物を含むが、こうしたものに限定されない。本発明では、そうした教示を記憶することができ、それらを最終使用者に伝達することができるあらゆる媒体が想定されている。こうした媒体には、電子記憶媒体(例えば、磁気ディスク、テープ、カートリッジ、チップ)、光学媒体(例えば、CD ROM)などが含まれるが、これらに限定されない。こうした媒体は、そうした教材を提供するインターネットサイトへのアドレスを含むこともある。
【0125】
以下の実施例は、説明のために提供されるものであり、クレームされた本発明を制限するために提供されるものではない。
【実施例1】
【0126】
分子は、実世界処理および操作条件下で電子デバイスにおいて動作することができる。
【0127】
分子エレクトロニクス分野の中心教義は、分子成分が、従来の超小型回路内に存在する半導体ベースのデバイスの代わりに機能素子として使用できるいということである(Kwok and Ellenbogen(2002)Materials Today,28−37; CarrollおよびGerman(2002)Angew.Chem.Int.Ed.41:4378−4400)。この役割に役立つには、分子成分は、製造中の高温(例えば、400℃)での加工段階や、寿命を通じての非常に多数(109〜1012)の操作サイクル、を含む困難な条件のもとでも頑強であり続けなければならない(International Technology Roadmap for Semiconductors(ITRS),Semiconductor Industry Association,San Jose,CA(2000))。分子材料はそうした要件を満たすために十分な安定性を有するのかという懐疑論が、少なからずある。ここで、我々は、ポルフィリンベースの情報記憶媒体が、計算装置での使用に必要な処理および操作課題を満たすことを証明する。
【0128】
分子ベースの情報記憶のための我々のアプローチは、電荷蓄積素子(Rothら(2000)Vac.Sci.Technol.B 18:2359−2364)としてレドックス活性ポルフィリン分子を利用する。我々は、これらの分子を、デバイス用シリコンプラットフォームに共有結合的に付着させて、第一世代ハイブリッド分子/半導体デバイスの基礎を形成することを明らかにした(Rothら(2003)J.Am.Chem.Soc.125:505−517)。ポルフィリンベースの情報記憶素子は、ダイナミックランダムアクセスメモリにおける半導体素子のもの(ミリ秒)と比較して長い(分)電荷保持時間を示す(Rothら(2000)Vac.Sci.Technol.B 18:2359−2364; Rothら(2003)J.Am.Chem.Soc.125:505−517)。これらの分子は、これらをマルチビット情報記憶媒体としての使用に適するようにするレドックス特性も示す。
【0129】
図6Aは、Si−O−C結合によりSi(100)につながれているポルフィリン単分子層のサイクリックボルタンメトリー挙動を示している。この単分子層は、フォトリソグラフィーによりパターン形成し水素を不動態化したマイクロメートルスケールのSi(100)プラットフォーム上に少量(〜1μL)の希釈溶液(〜100μM)を置き、不活性雰囲気条件下、400℃で数分間、そのサンプルを焼き付けることによって形成した。そのポルフィリン単分子層のボルタンメトリー応答は、ずっと低い温度(100〜200℃で数時間)で形成したポルフィリン単分子層のもの(Rothら(2003)J.Am.Chem.Soc.125:505−517)と同じであり、また、殆どの有機分子が熱分解する温度で分子の一体性が維持されることを示している。この高温手順は、現行の半導体製造法に容易に適合させることができ、デバイスの製造に極少量の材料しか要さないという重要な追加の利益を有する。
【0130】
本ポルフィリン情報記憶媒体の頑強性は、(1)電気的に中性の単分子層を酸化し、(2)得られた正に帯電した単分子層をその電気的に中性な状態に還元するサイクルを繰り返し行うことにより、検査した。酸化事象は、1ビットの情報の書込みと等価であり、還元事象は、その情報の消去または破壊読取と等価である。図6Aの五つのボルタンモグラムは、0、2.5×104、1.8×106、1.1×109、および1.1×1010酸化/還元サイクル後のそのシステムの応答を示すものである。実験中、電気的サイクリングの性質を変えた。システムを24時間連続してサイクリングする日もあり、数分から12時間までの範囲の期間、故意にサイクリングを停止した日もあった。故意にではなく、停電のため、一時、サイクリングを停止した。データは、〜107サイクルの初期「バーンイン」期間の後にボルタンメトリー応答が安定したことを示している。このシステムの頑強性を図6Bにさらに図示し、ここでは、積分ボルタンメトリー信号(その単分子層の電荷に対応する)をサイクル数の関数としてプロットする。これらのデータは、その単分子層の電荷蓄積特性が、全実験の間に最小限(数パーセント)の変化しか示さないことを示している。サイクリングを任意に停止した時(>1010サイクル、〜27日)、システムは、劣化の兆候を示さなかった。総括して、これらのデータは、ポルフィリンベースの情報記憶媒体が、極めて頑強であることを示しており、ハイブリッド分子/半導体電子デバイスでの選択分子の使用にとってよい前兆である。
【実施例2】
【0131】
無溶媒付着
図7は、気相分子付着の概念を証明するために使用した実験構成を図示するものである。パネル(a)に図示するように、我々は、バイアル内の一片のシリコンウェハの頂部に一滴の分子溶液(テトラヒドロフラン(THF)溶液中のレドックス活性ポルフィリン)を置いた。第二のシリコンウェハ片をその隣に置いた。その後、我々は、そのバイアルを封止し、アルゴンで数分間パージして、THFを除去/乾燥させた。これによって、第一シリコン片上には分子粉末のみが残る。そのパージの間、アルゴンフローを低く保って、分子粉末が他方のシリコンチップへと吹き飛ばされないようにした。この段階の後、バイアルを様々な温度(10〜20分間、300〜400℃)で加熱した。その後、バイアルを室温に冷まし、それらのシリコン片をジクロロメタンですすいだ。
【0132】
溶媒を伴わない第二の構成を図7(パネルb)に図示する。我々は、バイアルの中に分子を含む粉末と一緒にシリコン片を密封し、それらが互いに接触しないようにした。その後、粉末がシリコン表面上に吹き飛ばされないようにしながら、そのバイアルをアルゴンでパージした。その後、そのバイアルを300〜400℃で10〜20分間加熱した。
【0133】
図7、パネル(c)は、シリコン基板を、分子を含む粉末に面するように(数ミリメートルの距離で)保持した(パネルc)を使用した第三の設定を示すものである。あとの手順は、上に記載したものと同様であった。
【0134】
図8は、そのプロセスの間、サンプルが分子と接触しなかった、パネル(a)に図示したとおり作成したサンプルの一つからのサイクリックボルタンメトリー(CyV)測定値を示すものである。分子のレドックス活性に関連したピークをはっきりと見ることができる。このプロットから導き出される分子付着密度は、酸化および還元ピークについて1×1013〜2×1013cm-2であり、これは、伝統的な直接液相付着プロセスからの結果に匹敵する。また、レドックスピーク電位は、我々の以前のデータと一致した。
【0135】
図7のパネル(b)に図示した方法に従って作成したサンプルは、パネル(a)に図示した方法に従って作成したサンプルのものに非常に類似した電気的性質を有した。これらのサンプルについての付着密度は、8×1013〜1×1014cm-2であることがわかった。これらの値は、我々が第一のアプローチを用いて得たものより高く、これは、このケースのほうが分子蒸気圧が高かったことに起因するものかもしれない。
【0136】
図7のパネル(c)に図示した方法に従って製造したサンプルは、パネル(b)に図示した方法に従って作成したサンプルのものに非常に類似した電気的性質を有したが、分子とサンプルの間の間隔が減少したため、より高い付着を生じた。
【0137】
これらの実験は、高い密度および一体性での分子付着が、溶媒を一切必要としない完全「乾式」プロセスにより達成され得ることを示している。我々は、このアプローチが、「湿潤」法より従来の製造プロセスによく適するであろうと考える。加えて、この「乾式」付着は、大規模で低コストの加工とも両立できる。
【実施例3】
【0138】
高温プロセスによる半導体表面へのポルフィリンの容易な共有結合的付着
分子エレクトロニクス分野は、半導体のバルク特性に依存するデバイスは、機構サイズがナノスケールの寸法に達すると、機能するために必要な特性を保持することができなくなるという見通しにより、駆り立てられてきた。結果として、メモリーアーキテクチャと回路素子の両方に使用するための分子ベースの電子材料の開発に大きな関心が持たれた(例えば、Kwokら,Materials Today(2002年2月),28−37;CarrollおよびGerman(2002)Angew.Chem.Int.Ed.,41:4378−4400)。この目標に向けて、我々は、分子の性質を利用して情報を記憶するデバイスの構築を目的とする計画に従事した(Rothら(2000)Vac.Sci.Technol.B 18:2359−2364; Rothら(2003)ACS Symp.Series,844:51−61; Rothら(2003)Am.Chem.Soc.,125:505−517; Liら(2002)Appl.Phys.Lett.,81:1494−1496; Liら(2003)Appl.Phys.Lett.,83:198−200.)。我々らのアプローチでは、電気活性表面に付着させたレドックス活性ポルフィリン分子の集まりが、能動記憶媒体としての役割を果たし、情報が、それらの分子の個別のレドックス状態に記憶される。我々の研究の焦点は、分子材料が半導体プラットフォームに付着しているハイブリッドアーキテクチャの開発であった。過渡期の技術としてのハイブリッド分子/半導体アーキテクチャの実現は、分子ベースの能動媒体によって生じる利益により、半導体業界の巨大な基盤に影響を及ぼす。
【0139】
我々は、ポルフィリン(Rothら(2003)Am.Chem.Soc.,125:505−517)およびフェロセン(Rothら(2003)Am.Chem.Soc.,125:505−517; Liら(2002)Appl.Phys.Lett.,81:1494−1496)を単結晶Siプラットフォーム(および酸化物上層で改質したSiプラットフォーム(Liら(2003)Appl.Phys.Lett.,83:198−200))に付着させて、ハイブリッド分子/半導体デバイスの基礎を形成することができることを明らかにした。Siプラットフォーム(水素不動態化されたもの又はイオン変性されたもの)にポルフィリンを付着させるための一つの手順は、フォトリソグラフィーによりパターン形成したマイクロメートルサイズのSi電極上に、高沸点溶媒(例えば、ベンゾニトリル)中のアルコール官能化分子の一滴を置き、その後、〜170℃で数時間加熱し、この間に追加の溶媒をそのサンプル領域に添加することを含む(Rothら(2003)Am.Chem.Soc.,125:505−517)。この手順は、高品質の単分子層を生じるが、この手順は、時間がかかり、ウェハレベルでの工業操作に即座に適合させることができない。
【0140】
Siプラットフォームにポルフィリンを付着させるためのこの手順の限界が、我々を別戦略の探究に駆り立てた。このことに関しては、Si表面への有機分子の付着を探求する最近の研究が多数ある(SongおよびSailor(1999)Comments on Inorganic Chemistry,21:69−84; Bent(2002)Surf.Sci.,500:879−903; Buriak(2002)J.Chem.Rev.,102,1271−1308)。これらの戦略には、Siにポルフィリンを付着させることの利点(および殆どの場合、不利点も)が、全く提示されていない。それにもかかわらず、ポルフィリンが、他のタイプの有機分子が分解する極高温(不活性雰囲気条件下、400℃)で安定であることが知られているという事実(Liuら(2003)Science,302:1543−1545)と併せて(ポルフィリンと他のタイプの分子の両者についての)熱付着法の成功が、極高温処理戦略の探求に我々を駆り立てた。
【0141】
この実施例において、我々は、多種多様なアリール官能基を有するポルフィリンが、高温加工条件下で、迅速、容易に付着されることを証明する。付着に成功した様々な分子の構造を図11に示す。ブロモ、ヨード、ブロモメチル、ホルミル、S−アセチルチオメチル、Se−アセチルセレノメチルおよびトリメチルシリルエチニル基の付着成功は、先例がない。我々は、高温加工条件が、Si基板上へのサンプルの直接堆積またはSi基質上へ向けての昇華により付着を生じさせることを、さらに証明する。
【0142】
初期高温付着手順は、直接堆積アプローチを伴う。この手順では、先ずポルフィリンを有機溶媒に溶解し、得られた希釈溶液の小滴(1μL)をマイクロメートルサイズのシリコンプラットフォーム上に置いた。
【0143】
100μm × 100μmのSiプラットフォームを、デバイス用ウェハ(BドープSi(100);ρ=0.005〜0.1Ωcm)から、フォトリソグラフィーにより作成した。この電気化学的研究を行うためのすべての材料、手順および技法ならびに器具は、Rothら(2003)Am.Chem.Soc.,125:505−517に記載されているとおりであった。分子の表面付着量は、ボルタンモグラムにおけるピークを積分することにより決定した。Siプラットフォームの温度は、そのプラットフォームに直接、熱電対を取り付けることにより測定した。
【0144】
そのプラットフォームをバイアルに入れ、それを封止し、Arでパージした。その後、特定の温度に予熱したホットプレート上にそのバイアルを置き、特定の時間、「焼付け」た。その後、そのSiプラットフォームを冷却し、洗浄して、付着していないポルフィリンを除去し、ボルタンメトリーにより精査して単分子層の質を調査し、上に記載したように表面付着量を決定した。図12(上のパネル)は、100μMの堆積用溶液を使用してポルフィリンを付着させ、その後、400℃で2分間焼付けることによって得られた6および8の代表サイクリックボルタンモグラムを示すものである。
【0145】
直接堆積のための「最良」付着条件は、焼付け温度、焼付け時間、堆積用溶液中のポルフィリンの濃度、および堆積用溶媒の性質を変化させることの影響を調べる系統的研究により決定した。これらの可変項のうちの最初の三つは独立ではないが、これらの研究は、以下の一般的な傾向を示した:(1)焼付け温度を上昇させるにつれて、表面付着量が、単調に増加する。例えば、100℃から400℃に焼付け温度を上昇させる(焼付け時間30分;堆積用溶液中ポルフィリン濃度1mM)と、表面濃度が、1×10-11mol cm-2から〜8×10-11mol cm-1に上昇した(ポルフィリンについての飽和付着量は、〜10-10mol cm-2である)。400℃より高い温度では、さらなる付着は達成されず、システムが劣化した。(2)焼付け温度を上昇させるにつれて、最高表面付着量を達成するために必要な時間が、単調に短縮された。例えば、200℃で最大付着量を達成するために1時間の焼付け時間が必要であった。この時間は、焼付け温度を400℃に上昇させると、2分に短縮された。(3)堆積用溶液中のポルフィリンの濃度を1μMから100μMに上昇させるにつれて、所定の焼付け時間および温度についての表面付着量が、系統的に増加した。100μMより上にポルフィリン濃度を上昇させても、付着量には殆ど影響がなかった。(4)高沸点溶媒(ベンゾニトリル、bp=191℃)と低沸点溶媒(THF、bp=66℃)の両方が、堆積条件と焼付け条件の特定のセットについて本質的に同一の結果をもたらした。
【0146】
ボルタンモグラムの特性は、共有結合的付着および頑強な電気化学的挙動を示している(Rothら(2003)Am.Chem.Soc.,125:505−517)。同様のボルタンメトリーが、同じ堆積条件を使用して、図11中の他の分子について観察された。付着は、ポルフィリンに直接結合された官能基(例えば、ヨード、ホルミル、ビニル、エチニル、アリル)を有する多数のポルフィリンでも達成された。対照として、官能基がない様々なポルフィリンの亜鉛キレートを試験した。これらの分子には、オクタエチルポルフィリン、メソ−テトラフェニルポルフィリン、メソ−テトラ−p−トリルポルフィリン、およびメソ−テトラメシルポルフィリンが含まれる。焼付けた薄膜が洗浄により完全に除去された観察結果から明らかであるように、これらのポルフィリンのいずれについても付着は観察されなかった(加えて、ボルタンメトリーピークも観察されなかった)。
【0147】
これらの結果は、この高温付着手手順が、(1)様々な官能基をカバーする広い範囲を有し、(2)様々なアレーン置換基を許容し、(3)無差別の付着を生じないことを示している。
【0148】
次の高温付着手順は、間接的堆積アプローチを伴う。この手順では、加熱バイアルの中に挿入することができる直径の円筒形ガラス容器の底に、少量のポルフィリン(<1mg)を置いた。この容器の頂部は、内側に向いているマイクロメートルサイズの電極(固体サンプルより〜3mm上)を具備するSiプラットフォームをその頂部に置くことができるように平坦であった。そのバイアルを封止し、Arでパージして、特定の温度に予熱したホットプレート上に配置し、ポルフィリンを特定の時間、昇華させた。その後、Siプラットフォームを冷却し、洗浄して、付着していないポルフィリンを除去し、ボルタンメトリーにより精査して単分子層の質を調査し、表面付着量を決定した。6および8の代表サイクリックボルタンモグラムを図12(下のパネル)に示す。これらの分子は、両方とも、400℃で20分間昇華させることによって付着させた。
【0149】
間接的堆積のための「最良」付着条件は、昇華温度および焼付け時間を変化させることの影響を調べる系統的研究により決定した。300℃未満の温度では、比較的少ない付着しかこの昇華法によって達成されなかった。400℃では、昇華時間が増すにつれて表面付着量が、単調に増加した。20分より長い時間では、さらなる付着量は観察されなかった。
【0150】
この昇華法によって得られたボルタンモグラムの特性は、前記焼付け法によって得られたものと相当類似している。図11中の他の分子についても同様の結果が得られた。
【0151】
総括すると、ここで報告した研究は、様々な官能基を有するポルフィリンを高温加工によってSiに共有結合的に付着させることができることを示している。本方法は、ポルフィリンを付着させるためのほぼ普遍的な戦略をもたらす。前記焼成アプローチは、付着プロセスにおいて少量の溶媒しか使用しないので、本質的に「乾式」であり、前記昇華アプローチは、そのプロセスに溶媒を必要としない点で、完全に「乾式」である。この後者のプロセスは、非常に大きな(30cm)Siウェハへの分子の均一な付着が、将来世代ハイブリッド分子/半導体デバイスの製造において予想される半導体加工の展望から、特に興味をそそる。
【実施例4】
【0152】
遷移金属表面への有機分子の付着
アルコールテザーまたはホスホネートテザーのいずれかを有する様々なレドックス分子を、スパッタリングしたW表面に付着させた。これらの表面は、付着前に酸化環境で加熱処理した。タングステン領域をフォトリソグラフィーによって規定した。付着のための分子溶液は、ベンゾニトリルに分子を溶解することにより調製した。サンプルは、付着プロセスの間、Ar2中、設定温度で保持した。堆積後、そのサンプルをテトラヒドロフラン中での超音波処理によって清浄した。プロピレンカーボネート(PC)(Aldrich、99.7%)中1.0Mのヘキサフルオロリン酸テトラブチルアンモニウム(TBAH)(Aldrich)の溶液を支持電解質として使用した。対電極を、7.0M NH4OH中で銀線を超音波処理し、それを脱イオン水およびエタノールですすぐことによって作成した。それらのサンプルをサイクリックボルタンメトリーによって測定した。それらは卓越した挙動を示した。
【0153】
本明細書に記載する実施例および実施形態は単に説明のためのものであること、それらにかんがみて様々な変形または変更が当業者に示唆されるであろうこと、およびそうした変形および変更が本出願の精神および権限ならびに添付のクレームの範囲に包含されるはずであることは、理解される。本明細書において引用したすべての出版物、特許および特許出願は、完全な形で、あらゆる目的で本明細書に参照により取り込まれている。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】図1は本発明の方法による耐熱性有機分子の基板への付着を概略的に説明する。
【図2】図2は本発明の方法において使用する例示の耐熱性有機分子を示す。
【図3】図3はパターン形成されたSi−H表面にポルフィリンを付着させるためのTHF中のポルフィリンアルコール(ポルフィリン−OH)の濃度の最適化を説明する。
【図4】図4はキャスティング・焼付けプロセスを使用するSi−H上へのポルフィリン−OH(化合物104)の付着に対する焼付け時間の影響を示す。他の条件:400℃、THF中1mM、100V/秒。
【図5】図5はパターン形成されたSi−H表面にポルフィリンアルコール(ポルフィリン−OH)を付着させるための焼付け温度の最適化を説明する。他の条件:THF中1mM、60分、100V/秒。
【図6A】図6AはSi−O−C結合によりSi(100)につながれているポルフィリン単分子層のサイクリックボルタンメトリー挙動を示す。
【図6B】図6Bはサイクル数の関数としてプロットした積分ボルタンメトリー信号(前記単分子層の電荷に対応する)を示す。
【図7】図7は基板への有機分子の無溶媒付着のための幾つかの基本的アプローチを説明する。
【図8】図8は、図7に図示したとおり作成したサンプルの一つ、パネル(a)、からのサイクリックボルタンメトリー(CyV)測定値を示す(この場合、前記サンプルは、そのプロセスの間、分子溶液に触れなかった)。
【図9】図9は気相分子付着のための2ゾーン炉を示す。
【図10】図10は、基板に有機分子を付着させるためのK−セルを利用するエピタキシーシステムを説明する。
【図11】図11は本明細書に記載の高温プロセスによって付着させたポルフィリンを説明する。Arは、メシチル、p−トリル、および/またはフェニル基から成る。
【図12】図12は、p型Si(100)微小電極上の化合物6および8(図11参照)の単分子層の高速走査サイクリックボルタンモグラム(100Vs-1)を示す図である。この溶媒/電解質上層は、1.0M Bu4NPF6を含有するプロピレンカーボネートから成る。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、2003年7月25日出願の米国特許出願番号60/489,992の利益及び優先権を主張する、2003年7月28日出願の米国特許出願番号10/628,868号の一部係属出願である、2003年12月19日出願の米国特許出願番号10/742,596号の継続出願である。これらの出願のすべてが、完全な形で、あらゆる目的で本明細書に参照により援用されている。
【0002】
(連邦に後援された研究及び開発によってなされた発明に関する権利についての記載)
本出願は、米国陸軍により授与された承認番号MDA972−01−C−0072のもと米国政府の支援でなされたものである。米国政府は、本出願にある権利を有する。
【0003】
本発明は、半導体製造分野に関する。詳細には、本発明は、III、IVおよびV族元素(例えば、シリコン、ゲルマニウムなど)などに有機分子を結合させる新規方法を提供する。
【背景技術】
【0004】
導電性シリコンおよび他の表面上の規則分子集合体の製造は、マイクロエレクトロニクス業界においてその潜在的な用途のため少なからぬ関心を集めている。半導体製造の一つの目標は、集積回路上に設けられる能動素子の密度を上げることである。これを達成するために、集積回路において使用される能動素子を形成するために、様々なリソグラフプロセスの代替としてのまたはそれらと組み合わせての自己組立分子構造の使用に努力が向いてきた。
【0005】
加えて、こうした能動素子(例えば、メモリ素子)を形成する(例えば、米国特許第6,272,038号、同第6,212,093号、および同第6,208,553号、ならびにPCT国際公開公報第01/03126号参照)ため、および/またはある装置(例えば、電界効果トランジスタ、ゲート、センサ、トランスジューサなど)の構成要素を形成するための、有機分子の使用に関心が向いてきた。
【0006】
シリコンに共有結合的に付着させた有機分子は、Si−OおよびSi−C結合の強度のため、非常に安定している。シリコンと有機分子の間に共有結合を形成するための多数のアプローチが存在する(Buriak and Allen(1998)J.Am.Chem.Soc.,120:1339−1340; Bansal and Lewis(1998)J.Phys.Chem.102:1067−1070;Zhuら(1999)Langmuir 15:8147−8154; Coulterら(2000)J.Vac.Sci.Technol.A 18:1965−1970; Bourkherroub and Wayner(1999)J.Am.Chem.Soc.121:11513−11515; Clelandら(1995)Faraday Commun.,91:4001−4003; Batemanら(1998)Angew.Chem.Int.Ed.,37:2683−2685)。これらのアプローチには、水素末端化シリコン表面上への化学的堆積、電気化学的堆積および蒸着が含まれる。
【0007】
しかし、こうしたアプローチは、厳しい反応条件を典型的に伴い、比較的効率が悪く、有機分子を劣化させ、および/またはかなり毒性の物質の生産をもたらした。
【特許文献1】米国特許6272038
【発明の開示】
【0008】
本発明は、分子を半導体表面、特にシリコンに付着させるための新規手順を提供する。前記分子としては、ポルフィリンおよびフェロセンが含まれ、これらは、分子ベースの情報記憶のための魅力的な候補であることが以前に示されている。本新規付着手順は、単純であり、短時間で完了させることができ、最小量の材料しか必要とせず、種々の分子官能基と両立でき、場合によっては従来にない付着モチーフを生じる。これらの特徴は、ハイブリッド分子/半導体情報記憶デバイスを作成するために必要である加工段階への分子材料の組込みを非常に向上させる。
【0009】
従って、実施形態において、本発明は、II、III、IV、VもしくはVI族元素の表面に、またはII、III、IV、VもしくはVI族元素を含む半導体に(さらに好ましくは、III、IVもしくはV族元素を含む材料に)、または遷移金属、遷移金属酸化物もしくは窒化物に、および/または遷移金属を含む合金に、または他の金属に、有機分子を共有結合させる方法を提供する。
【0010】
従って、ある実施形態において、本発明は、表面にレドックス活性分子を結合させる方法を提供し、この方法は、付着基を有する一つ以上の耐熱性有機分子を提供すること;その分子もしくは異なる分子の混合物および/または表面を少なくとも約100℃の温度に加熱すること;ならびにその分子を表面と接触させることを含み、これによって、その分子は表面への共有結合を形成する。ある実施形態において、その有機分子は表面に電気的に結合される。方法は、場合により、不活性雰囲気(例えば、Ar2)下で行うことができる。ある実施形態において、前記加熱は、前記分子を気相になるよう加熱することを含み、前記接触は、気相を表面に接触させることを含む。ある実施形態において、前記加熱は、分子および/または表面を、分子が表面と接触しているときに加熱することを含む。ある実施形態において、前記加熱は、分子を表面に塗布し、同時に、またはその後分子および/または表面を加熱することを含む。前記有機分子は、溶媒中でまたは乾燥した状態で、または気相の状態で、または溶媒中以外で提供されうる。
【0011】
ある実施形態において、前記加熱は、少なくとも約100℃、好ましくは少なくとも約200℃、さらに好ましくは少なくとも約300℃、最も好ましくは少なくとも約400℃の温度に加熱される。加熱は、あらゆる適便な方法により、例えばCVD装置内、MBE装置内などで遂行することができる。ある実施形態において、表面は、III族元素、IV族元素、V族元素、III族元素を含む半導体、IV族元素を含む半導体、V族元素を含む半導体、遷移金属、および遷移金属酸化物から成る群より選択される物質を含む。ある好ましい表面は、次のうちの一つ以上を含む:タングステン、タンタルおよびニオブ、Ga、Au、Ag、Cu、Al、Ta、Ti、Ru、Ir、Pt、Pd、Os、Mn、Hf、Zr、V、Nb、La、Y、Gd、Sr、Ba、Cs、Cr、Co、Ni、Zn、Ga、In、Cd、Rh、Re、W、Mo、ならびにこれらの酸化物、合金、混合物および/または窒化物。ある実施形態において、表面は、III、IVもしくはV族および/またはドープIII、IVもしくはV族元素、例えば、シリコン、ゲルマニウム、ドープシリコンおよびドープゲルマニウムなどを含む。表面は、場合により、水素不動態化表面であってもよい。ある実施形態において、前記耐熱性分子は、ポルフィリン、ポルフィリン大員環、環拡大ポルフィリン、環縮小ポルフィリン、線状ポルフィリンポリマー、ポルフィリンサンドイッチ配位錯体、およびポルフィリンアレイから成る群より選択されるレドックス活性分子である。ある好ましいレドックス活性分子は、β位またはメソ位が置換されているポルフィリン大員環を含む。ある好ましいレドックス活性分子は、偶数または奇数正孔酸化を有するように、約50Å未満の間隔で互いに離れて保持されている等エネルギーの少なくとも二つのポルフィリンを含有するポルフィリン大員環を含み、ここで、正孔は、それら二つのポルフィリン間でホップし、奇数正孔酸化状態は、そのポルフィリン大員環のもう一つの酸化状態とは異なり、区別できる。
【0012】
ある実施形態において、付着基は、アリール官能基および/またはアルキル付着基を含む。ある実施形態において、前記アリール官能基は、ブロモ、ヨード、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、ホルミル、ブロモメチル、ビニル、アリル、S−アセチルチオメチル、Se−アセチルセレノメチル、エチニル、2−(トリメチルシリル)エチニル、メルカプト、メルカプトメチル、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル、およびジヒドロキシホスホリルから成る群より選択される官能基を含む。ある実施形態において、前記アルキル付着基は、ブロモ、ヨード、ヒドロキシ、ホルミル、ビニル、メルカプト、セレニル、S−アセチルチオ、Se−アセチルセレノ、エチニル、2−(トリメチルシリル)エチニル、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル、およびジヒドロキシホスホリルから成る群より選択される官能基を含む。ある実施形態において、前記付着基は、アルコールまたはホスホネートを含む。ある好ましい実施形態において、前記付着基は、4−(ヒドロキシメチル)フェニル、4−(S−アセチルチオメチル)フェニル、4−(Se−アセチルセレノメチル)フェニル、4−(メルカプトメチル)フェニル、4−(ヒドロセレノメチル)フェニル、4−ホルミルフェニル、4−(ブロモメチル)フェニル、4−ビニルフェニル、4−エチニルフェニル、4−アリルフェニル、4−[2−(トリメチルシリル)エチニル]フェニル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]フェニル、4−ブロモフェニル、4−ヨードフェニル、4−ヒドロキシフェニル、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル、ブロモ、ヨード、ヒドロキシメチル、S−アセチルチオメチル、Se−アセチルセレノメチル、メルカプトメチル、ヒドロセレノメチル、ホルミル、ブロモメチル、クロロメチル、エチニル、ビニル、アリル、4−[2−(4−ヒドロキシメチル)フェニル)エチニル]フェニル、4−(エチニル)ビフェン−4’−イル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]ビフェン−4’−イル、3,5−ジエチニルフェニル、および2−ブロモエチルから成る群より選択される。ある実施形態において、付着基を有する前記耐熱性有機分子は、5−[4−(S−アセチルチオメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(メルカプトメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(ヒドロキシメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(ヒドロキシメチル)フェニル]−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−アリルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ホルミルフェニル)−15−フェニル−10,20−ジ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ブロモメチルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−エチニルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ヨードフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ブロモフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ヒドロキシフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−エチニルフェニル)−15,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−ヨード−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−ヨードフェニル)−15,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(2−トリメチルシリル)エチニル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−エチニルフェニル)−10,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−ヨードフェニル)−10,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10,15−トリス(4−エチニルフェニル)−20−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−エチニルフェニル)−10,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−エチニルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(3−エチニルフェニル)−10,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10,15,20−テトラキス(4−エチニルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス[4−(2−(トリメチルシリル)エチニル)フェニル]−15,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(3,5−ジエチニルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、3,7−ジブロモ−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(2−トリメチルシリル)エチニル)フェニル]−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(Se−アセチルセレノメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ヨードフェニル)−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−エチニルフェニル)−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−エチニルビフェニル−4’−イル)−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ビニルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ビニルフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(ヒドロキシメチル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−アリルフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−アリルフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト銅(II)、c型トリプルデッカー[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[5,15−ビス(4−エチニルフェニル)−10,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィリン]、c型トリプルデッカー[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[5−[4−[2−(4−(ヒドロキシメチル)フェニル)エチニル]フェニル]−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィリン]、5,10−ビス[4−(2−(トリイソプロピルシリル)エチニル)ビフェン−4’−イル]−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、および5,10−ビス[4−(2−(トリイソプロピルシリル)エチニル)フェニル]−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)から成る群より選択される。
【0013】
ある実施形態において、前記接触は、有機分子を、表面の特定の領域へ選択的に接触させ、他の領域へ接触させないことを含む。例えば、前記接触は、揮発した有機分子を、表面の特定の領域へ選択的に接触させ、他の領域へ接触させないことを含む。ある実施形態において、前記接触は、表面の有機分子が付着すべきでない領域に保護被膜(例えば、原材料)を配置すること;分子と表面を接触させること;およびその保護被膜を除去して、有機分子の無い表面領域を与えることを含む。ある実施形態において、前記接触は、表面への有機分子を含む溶液または乾燥有機分子の接触プリンティングを含む。ある実施形態において、前記接触は、表面への有機分子を含む溶液の噴霧または滴下、または表面への乾燥有機分子の塗布を含む。ある実施形態において、前記接触は、表面を分子と接触させること、その後表面の選択領域をエッチングして有機分子を除去すること、を含む。ある実施形態において、前記接触は、分子線エピタキシー(MBE)、および/または化学蒸着(CVD)、および/またはプラズマ支援蒸着法、および/またはスパッタリングなどを含む。ある実施形態において、前記耐熱性有機分子は、少なくとも二種の異なる耐熱性有機分子種の混合物を含み、前記加熱は、その混合物および/または表面の加熱を含む。
【0014】
本発明は、レドックス活性分子(または異なるレドックス活性分子種の集まり)を表面に結合させる方法も提供する。この方法は典型的には、分子を気相へと加熱すること;およびその分子を表面に接触させことを含み、それによって、そのレドックス活性分子は表面に結合する。ある実施形態において、前記レドックス活性分子は、表面に共有結合される、および/または表面に電気的に結合される。ある実施形態において、前記加熱は、少なくとも約100℃、好ましくは少なくとも約200℃、さらに好ましくは少なくとも約300℃、および最も好ましくは少なくとも約400℃の温度への加熱である。加熱は、あらゆる便利な方法により、例えば、CVD装置内、MBE装置内などで遂行することができる。
【0015】
ある実施形態において、表面は、III族元素、IV族元素、V族元素、III族元素を含む半導体、IV族元素を含む半導体、V族元素を含む半導体、遷移金属、遷移金属酸化物、その他の金属から成る群より選択される物質、例えば上に記載したものを含むことができる。ある実施形態において、表面は、タングステン、タンタル、ニオブ、Au、Ag、Cu、Al、Ta、Ti、Ru、Ir、Pt、Pd、Os、Mn、Hf、Zr、V、Nb、La、Y、Gd、Sr、Ba、Cs、Cr、Co、Ni、Zn、Ga、In、Cd、Rh、Re、W、Mo、および/またはこれらの酸化物、窒化物もしくは合金などの材料を含む。ある実施形態においては、前記レドックス活性分子としては、本明細書に記載するあらゆる分子が含まれるが、これらに限定されない。同様に、前記付着基としては、本明細書に記載するあらゆる付着基が含まれるが、これらに限定されない。ある実施形態においては、II、III、IV、VまたはVI族元素、さらに好ましくはIII、IVまたはV族元素、さらにいっそう好ましくはIV族元素またはドープIV族元素(例えば、シリコン、ゲルマニウム、ドープシリコン、ドープゲルマニウムなど)。ある実施形態において、前記接触は、揮発有機分子を表面の特定の領域へ選択的に接触させ、他の領域へは接触させないことを含む。ある実施形態において、前記接触は、表面のレドックス活性分子が付着すべきでない領域に保護被膜を配置すること;分子と表面を接触させること;および保護被膜を除去してレドックス活性分子のない表面領域を生じさせることを含む。ある実施形態において、前記接触は、表面を分子と接触させること、その後表面の選択領域をエッチングしてそのレドックス活性分子を除去することを含む。ある実施形態において、前記接触は、分子線エピタキシー(MBE)、および/または化学蒸着(CVD)、および/またはプラズマ支援蒸着法、および/またはスパッタリングを含む。
【0016】
別の実施形態において、本発明は、共有結合によってそこに結合している有機分子を有する、II、III、IV、VまたはVI族元素の表面あるいはII、III、IV、VもしくはVI族元素または遷移金属、遷移金属酸化物もしくは窒化物または合金または混合物を含む半導体の表面を提供し、この場合、前記有機分子は、本明細書に記載する方法によって表面に結合させられる。ある実施形態において、前記有機分子は、レドックス活性分子であり、これには、本明細書に記載するあらゆる分子が含まれるが、それらに限定されない。同様に、前記付着基には、本明細書に記載するあらゆる付着基が含まれるが、これらに限定されない。ある実施形態では、II、III、IV、VまたはVI族元素、さらに好ましくはIII、IVまたはV族元素、さらにいっそう好ましくはIV族元素またはドープIV族元素(例えば、シリコン、ゲルマニウム、ドープシリコン、ドープゲルマニウムなど)。ある実施形態において、表面は、トランジスタにおける表面および/またはメモリ素子における表面を含む。ある実施形態において、表面は、多数のメモリ素子および/または一つ以上の集積回路素子(例えば、ダイオード、論理ゲート、および整流器)を含む。ある実施形態において、表面は、レドックス活性分子を含み、表面は、その分子の酸化状態を読み取るおよび/またはセットする装置、例えば、ボルタンメトリー装置、“アンペロメトリー装置、ポテンシオメトリー装置、クーロメトリー装置、およびインピーダンススペクトロメータなど、に電気的に結合されている。ある実施形態において、前記装置は、正弦波電圧電流計を含む。
【0017】
ある実施形態において、本発明は、規則分子集合体を製造する方法を提供する。この方法は、付着基で誘導化された一つの耐熱性有機分子(または多数の異なる耐熱性有機分子)を提供すること;その分子および/または表面を少なくとも100℃の温度に加熱すること;(表面はIII、IVもしくはV族元素または遷移金属もしくは金属酸化物を含む場合に)、前記分子を表面の多数の別個の位置に接触させ、それによってそれらの付着基が、前記多数の別個の位置で表面と共有またはイオン結合を形成すること、を典型的に含む。ある実施形態において、前記加熱は、少なくとも約100℃、好ましくは少なくとも約200℃、さらに好ましくは少なくとも約300℃、および最も好ましくは少なくとも約400℃の温度への加熱である。ある実施形態において、前記有機分子はレドックス活性分子であり、これには、本明細書に記載するあらゆる分子が含まれるが、それらに限定されない。同様に、前記付着基には、本明細書に記載するあらゆる付着基が含まれるが、これらに限定されない。ある実施形態では、II、III、IV、VまたはVI族元素、さらに好ましくはIII、IVまたはV族元素、さらにいっそう好ましくはIV族元素またはドープIV族元素(例えば、シリコン、ゲルマニウム、ドープシリコン、ドープゲルマニウムなど)。
【0018】
本発明は、III、IVもしくはV族タイプの材料または遷移金属もしくは遷移金属酸化物の表面に有機分子を結合するためのキットも提供する。このキットは、付着基(例えば、本明細書に記載するもの)で誘導化された耐熱性有機分子を収容する容器を典型的に含み、その分子および/または表面を約200℃以上の温度に加熱することによって有機分子を表面に結合させることを教示する教材を場合により含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(定義)
用語「酸化」は、元素、化合物または化学的置換基/サブユニットにおける1個以上の電子の喪失を指す。酸化反応では、反応に関与する元素の原子によって電子が失われる。これらの原子の電荷は、この場合、より正になるはずである。電子は、酸化を受ける化学種から失われ、そのため、酸化反応では電子が生成物のように見える。酸化反応では、「遊離」単位としての電子の見掛けの生産にもかかわらず、酸化される化学種、Fe2+(水溶液)から電子が失われるため、酸化は、Fe2+(水溶液)−−>Fe3+(水溶液)+e-の反応で発生する。逆に、還元という用語は、元素、化合物または化学的置換基/サブユニットによる1個以上の電子の獲得を指す。
【0020】
「酸化状態」は、電気的に中性の状態、または元素、化合物または化学的置換基/サブユニットへの電子の獲得または損失によって生じる状態を指す。好ましい実施形態において、用語「酸化状態」は、中性状態および電子の獲得または喪失(還元または酸化)によって生じる中性状態以外のあらゆる状態を含む状態を指す。
【0021】
用語「多重酸化状態」は、一つより多い酸化状態を意味する。好ましい実施形態において、これらの酸化状態は、電子の獲得(還元)を反映することもあり、または電子の喪失(酸化)を反映することもある。
【0022】
二つ以上の酸化状態に言及するときの用語「異なり、区別できる」は、その単位(原子、分子、凝集体、サブユニットなど)の実効電荷が、二つの異なる状態で存在しうることを意味する。これらの状態間の差が、室温(例えば、0℃から約40℃)で熱エネルギーより大きいとき、これらの状態を「区別できる」と言う。
【0023】
本発明のマルチサブユニット(例えば、重合体)記憶分子のサブユニットに言及するときに用いられる用語「緊密結合した」は、一方のサブユニットの酸化が、他方のサブユニットの酸化電位を変えるような、サブユニットの互いに対する位置付けを指す。好ましい実施形態において、この変更は、第二のサブユニットの(非中性)酸化状態が、第一のサブユニットの非中性酸化状態とは異なり、区別できるために充分なものである。好ましい実施形態において、この緊密結合は、共有結合(例えば、単結合、二重結合、三重結合など)によって達成される。しかし、ある実施形態において、この緊密結合は、リンカー、イオン相互作用、疎水性相互作用、金属の配位、または単純な機械的並置によるものであり得る。これらのサブユニットは、おそらくそのレドックスプロセスが単一の超分子のものであるほどに緊密に結合していると理解される。
【0024】
用語「電極」は、電荷(例えば、電子)を記憶分子に、および/または記憶分子から移送することができるあらゆる媒体を指す。好ましい電極は、金属または導電性有機分子である。電極は、実質的にあらゆる2次元または3次元形状(例えば、個別のライン、パッド、平面、球体、円柱など)に製造することができる。
【0025】
用語「固定電極」は、その電極が、本質的に安定であり、記憶媒体に対する位置が変わらないことを表すと解釈する。すなわち、電極および記憶媒体は、互いに対し本質的に固定された幾何学的関係で配置される。勿論、この関係が、熱変化に伴うその媒体の拡張および収縮のため、またはその電極および/または記憶媒体を構成する分子の配座の変化のため、多少変わることは理解される。それでもやはり、総体的な立体配置は、本質的に不変を保つ。好ましい実施形態において、この用語は、電極が可動「プローブ」(例えば、書込みまたは記録「ヘッド」、原子力顕微鏡(AFM)チップ、走査型トンネル顕微鏡(STM)チップなど)であるシステムを除外することが意図されている。
【0026】
用語「作用電極」は、記憶媒体および/または記憶分子の状態をセットするまたは読み取るために使用される一つ以上の電極を指すために用いられる。
【0027】
用語「参照電極」は、作用電極からの記録された測定値に対する参照(例えば、特定の基準電圧)を提供する一つ以上の電極を指すために用いられる。好ましい実施形態において、本発明のメモリデバイス内の参照電極は同じ電位であるが、いくつかの実施形態ではそうである必要ははい。
【0028】
記憶分子および/または記憶媒体ならびに電極に関して用いられるときの用語「電気的に結合された」は、電子が記憶媒体/分子から電極へまたは電極から記憶媒体/分子へ移動し、それによってその記憶媒体/分子の酸化状態が変わるような、記憶媒体または分子と電極の間の関わりを指す。電気的結合には、記憶媒体/分子と電極の間の直接共有結合、間接的共有結合(例えば、リンカーによるもの)、記憶媒体/分子と電極の間の直接もしくは間接イオン結合、または他の結合(例えば、疎水結合)が含まれうる。加えて、実際の結合を必要としない場合もあり、記憶媒体/分子が電極表面と単に接触している場合もある。電極が、記憶媒体/分子に対してその媒体/分子と電極の間の電子トンネル効果を可能にする近さにある場合、その電極と記憶媒体/分子の間にはいかなる接触も、必ずしも必要でない。
【0029】
用語「レドックス活性ユニット」または「レドックス活性サブユニット」は、適する電圧の印加により酸化または還元することができる分子または分子の成分を指す。
【0030】
用語「レドックス活性」分子は、適する電圧の印加により酸化または還元することができる分子または分子の成分を指す。
【0031】
本明細書で用いる「サブユニット」は、分子のレドックス活性成分を指す。
【0032】
用語「電気化学的電池」は、一般に、参照電極、作用電極、レドックス活性分子(例えば、記憶媒体、および必要な場合には、電極間および/または電極と媒体の間に電導性を生じさせるためのなんらかの手段(例えば、誘電体)を指す。いくつかの実施形態において、この誘電体は、記憶媒体の成分である。
【0033】
用語「メモリ素子」、「メモリセル」または「記憶セル」は、情報の記憶に使用することができる電気化学的電池を指す。好ましい「記憶セル」は、少なくとも一つ、好ましくは二つの電極(例えば、作用電極および参照電極)によってアドレス指定される記憶媒体の個別領域である。記憶セルは、個々にアドレス指定することができる(例えば、固有の電極が、各メモリ素子に対応付けられる)か、特に、異なるメモリ素子の酸化状態が区別できる場合には、複数のメモリ素子を単一の電極によってアドレス指定することができる。メモリ素子は、場合により誘電体(例えば、対イオンを含浸させた誘電体)を含むことができる。
【0034】
用語「記憶位置」は、記憶媒体が配置されている個別のドメインまたは領域を指す。一つ以上の電極でアドレス指定されるとき、その記憶位置は、記憶セルを形成しうる。しかし、二つの記憶位置が、本質的に同じ酸化状態を有するように同じ記憶媒体を有し、両方の記憶位置が、共通してアドレス指定される場合、それらは、一つの機能性記憶セルを形成しうる。
【0035】
特定の素子の「アドレス指定」は、電極を使用してメモリ素子の酸化状態を特異的に決定することができるように、メモリ素子と電極とを対応付ける(例えば、電気的に結合させる)ことを指す。
【0036】
用語「読み取る」または「精査する」は、一つ以上の分子(例えば、記憶媒体を含む分子)の酸化状態の判定を指す。
【0037】
句「集積回路の出力」は、一つ以上の集積回路および/または集積回路の一つ以上の成分によって生じる電圧または信号を指す。
【0038】
「ボルタンメトリー装置」は、電圧の印加または電圧の変化の結果として電気化学的電池において生じる電流を測定することができる装置である。
【0039】
「アンペロメトリー装置」は、特定の電位場ポテンシャル(「電圧」)の印加の結果として電気化学的電池において生じる電流を測定することができる装置である。
【0040】
「ポテンシオメトリー装置」は、電気化学的電池においてレドックス分子の平衡濃度の差の結果として生じる界面を横断する電位を測定することができる装置である。
「クーロメトリー装置」は、電気化学的電池への電位場(「電圧」)の印加中に生じた実効電荷を測定することができる装置である。
【0041】
「インピーダンススペクトロメータ」は、電気化学的電池の全インピーダンスを決定することができる装置である。
【0042】
「正弦波電圧電流計」は、電気化学的電池の周波数ドメインの特性を決定することができるボルタンメトリー装置である。
【0043】
用語「ポルフィリン大員環」は、ポルフィリンまたはポルフィリン誘導体を指す。こうした誘導体には、そのポルフィリン核とオルト縮合またはオルトペリ縮合している別環を有するポルフィリン;別の元素によってそのポルフィリン環の一つ以上の炭素原子が置換(骨格置換)されているポルフィリン;別の元素の原子によってポルフィリン環の窒素原子が置換(骨格窒素置換)されている誘導体;ポルフィリンの周辺(メソ−、β−)または中心原子に水素以外の置換基がある誘導体;ポルフィリンの一つ以上の結合が飽和している誘導体(ヒドロポルフィリン、例えば、クロリン、バクテリオクロリン、イソバクテリオクロリン、デカヒドロポルフィリン、コルフィン、ピロコルフィンなど);一つ以上のポルフィリン原子への一つ以上の金属の配位によって得られる誘導体(金属ポルフィリン);(ピロールユニットおよびピロメテニルユニットを含む)一つ以上の原子がポルフィリン環に挿入されている誘導体(環拡大ポルフィリン);一つ以上の基がポルフィリンから除去された誘導体(環縮小ポルフィリン、例えばコリン、コロール);ならびに前記誘導体の組み合わせ(例えば、フタロシアニン、サブフタロシアニン、およびポルフィリン異性体)が含まれる。好ましいポルフィリン大員環は、少なくとも一つの五員環を含む。
【0044】
用語「ポルフィリン」は、典型的には四つのピロール環と共に、四つの窒素原子、および様々な金属原子で容易に置換することができる二つの置換可能水素から成る環状構造を指す。典型的なポルフィリンは、ヘミンである。
【0045】
用語「マルチポルフィリンアレイ」は、個別の数の二つ以上の共役結合したポルフィリン大員環を指す。マルチポルフィリンアレイは、線状であってもよいし、環状であってもよいし、または枝分れしていてもよい。
【0046】
用語「サンドイッチ配位化合物」または「サンドイッチ配位錯体」は、式LnMn-1の化合物を指し、この式中の各Lは、複素環状配位子(下に記載するようなもの)であり、各Mは、金属であり、nは、2以上、最も好ましくは2または3であり、各金属は、一対の配位子の間に位置し、(その金属の酸化状態に依存して)各配位子中の一つ以上のヘテロ原子(典型的には多数のヘテロ原子、例えば2、3、4、5)に結合している。従って、サンドイッチ配位化合物は、金属が炭素原子に結合している有機金属化合物(例えばフェロセン)ではない。サンドイッチ配位化合物中の配位子は、一般に、積層配向(stacked orientation)で並んでいる(すなわち、一般に、互いに共面配向しており、軸方向に並んでいるが、互いに対しその軸を中心に回転していてもよいし、していなくてもよい)(例えば、NgおよびJiang(1997)Chemical Society Reviews 26:433−442参照)。サンドイッチ配位錯体には、「ダブルデッカーサンドイッチ配位化合物」および「トリプルデッカーサンドイッチ配位化合物」が含まれるが、これらに限定されない。サンドイッチ配位化合物の合成および使用は、米国特許第6,212,093号B1に詳細に記載されている。
【0047】
用語「ダブルデッカーサンドイッチ配位化合物」は、nが2であり、従って、式L1−−M1−−L2(式中、L1およびL2は、各々、同じであってもよいし、異なっていてもよい)を有する上に記載したようなサンドイッチ配位化合物を指す(Jiangら(1999)J.Porphyrins Phthalocyanines 3:322−328参照)。
【0048】
用語「トリプルデッカーサンドイッチ配位化合物」は、nが3であり、従って、式L1−−M1−−L2−−M2−−L3(式中、各L1、L2およびL3は、各々、同じであってもよいし、異なっていてもよく、ならびにM1およびM2は、同じであってもよいし、異なっていてもよい)を有する上に記載したようなサンドイッチ配位化合物を指す(Arnoldら(1999)Chemistry Letters 483−484参照)。
【0049】
「リンカー」は、二つの異なる分子を結合させるため、一つの分子の二つの異なるサブユニットを結合させるため、または分子を基板に結合させるために使用される分子である。
【0050】
「基板」は、(好ましくは固体の)、一つ以上の分子の付着に適する材料である。基板は、ガラス、プラスチック、シリコン、ゲルマニウム、鉱物(例えば、石英)、半導体材料(例えば、ドープシリコン、ドープゲルマニウムなど)、セラミックス、金属などを含む(しかし、これらに限定されない)材料から成り得る。
【0051】
好ましい実施形態において、金属が、「M」または「Mn」(式中、nは、整数である)で表されるとき、その金属が対イオンを伴っていることがあることは理解される。
【0052】
「II、III、IV、VまたはVI族元素または材料」には、純粋な元素、II、III、IV、VまたはVI族元素のドープ変種、および/またはII、III、IV、VまたはVI族元素の酸化変種が含まれる。
【0053】
用語「耐熱性有機分子」または「熱安定性有機分子」は、200℃から400℃の温度、好ましくは400℃で、少なくとも30秒間、好ましくは少なくとも1分間、さらに好ましくは少なくとも2から5分間安定である(例えば、分解を示さないか、実質的に分解を示さない)有機分子(例えば、ポルフィリン)を指す。
【0054】
「III、IVまたはV族基板」は、III、IVまたはV族元素を含む材料である。
【0055】
本明細書で用いられる用語「遷移金属」は、周期律表の3から12族にある38の元素を指す。典型的に、遷移金属は、それらの原子価電子、すなわちそれらが他の元素と化合するために使用する電子が、一つより多くの殻の中に存在し、その結果として幾つかの通常酸化状態を示す事実によって特徴づけられる。ある実施形態において、本発明の遷移金属には、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀、ラザフォージウムのうちの一つ以上、ならびに/またはこれらの酸化物および/もしくは窒化物および/もしくは合金および/もしくは混合物が含まれるが、それらに限定されない。
【0056】
「耐熱性有機分子を含む溶液」は、真溶液に限定されず、その懸濁液、分散液および乳濁液も含む。加えて、この溶液は、ペースト、ゲル、エーロゲル、および耐熱性有機分子を「含有すること」に適する本質的にあらゆる媒体を意図している。
【0057】
「付着基を有する分子」は、その付着基がその分子の固有成分である分子、付着基を付加させるように誘導化した分子、および付着基を含むリンカーを有するように誘導化した分子を含む。
【0058】
句「分子を加熱すること」は、分子の集まりを加熱することおよび/または単一の分子の運動エネルギーを増大させることを包含する。
【0059】
(詳細な説明)
I.基板への有機分子の結合
本発明は、II、III、IV、VまたはVI族タイプの材料、これらのドープ異性体および/またはこれらの酸化物、ならびに/あるいは遷移金属および/または遷移金属酸化物もしくは窒化物、の表面に有機分子を共有結合的に付着させる新規アプローチに関する。ある実施形態(図1参照)において、本方法は、付着基を有する(例えば、付着基を含む、または付着基もしくは付着基を有するリンカーで誘導化された)耐熱性有機分子を提供すること;および高温(例えば、少なくとも約200℃、好ましくは少なくとも約300℃、さらに好ましくは少なくとも約400℃)でその分子を表面に接触させることを含む。耐熱性有機分子、特にレドックス活性耐熱性有機分子(例えば、ポルフィリン大員環)が、こうした条件下で表面との有効な結合(例えば、共有結合)を形成することは、驚くべき発見であった。
【0060】
加えて、そうした付着させたレドックス活性分子が、安定を保ち、何千の、何百万ものサイクルを通してそれらの酸化状態のセットおよびリセットに耐えることができることは、特に驚くべき発見であった。
【0061】
様々な実施形態において、前記分子(例えば、単一化学種の耐熱性分子、または異なる化学種の耐熱性分子の混合物)を加熱し、表面と接触させることができ、および/または表面を加熱することができ、および/または前記分子と表面の両方を加熱することができる。加えて、表面および/または前記分子を、互いに接触させる前に、および/またはそれらが接触しているときに、加熱することができる。
【0062】
ある実施形態において、前記耐熱性有機分子は、有機溶媒(例えば、THF、メシチレン、ジュレン、o−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1−クロロナフタレン、2−クロロナフタレン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオナミド、ベンゾニトリルおよびアニソールなど)に溶解される。その後、前記分子を含有する溶液を表面に塗布することができる。加熱は、様々な慣用法のいずれによっても遂行することができる。例えば、表面に塗布する前に溶媒を加熱することができる。ある実施形態では、溶媒を表面に塗布する前に、溶媒と表面の両方を加熱することができる。ある好ましい実施形態において、表面は、溶媒の塗布後に加熱される。これは、(例えば、オーブンの中で)表面を焼付けることによって適便に遂行することができる。ある好ましい実施形態において、表面は、不活性雰囲気(例えば、アルゴンまたは他の不活性ガス)下で加熱される(つまり焼付けされる)。
【0063】
特に大型ウェハ(例えば、直径が12インチより大きいもの)が製造に使用される、ある実施形態では、本発明の無溶媒法が利用される。本無溶媒法では、電気活性分子(例えば、フェロセンおよびポルフィリンのようなレドックス活性分子)または他の耐熱性分子のSAMが、溶媒を使用せずに所望の表面(例えば、シリコン、二酸化ケイ素、金属、金属酸化物、金属窒化物など)の上に形成される。言い換えると、完全に乾燥した環境で付着を行うことができる。様々な実施形態において、このプロセスは、固相分子を適切な温度で加熱して固相分子を気相に変換し、その後、その気相分子を所望の表面に移送する。このプロセスは、分子と基板の温度を別々に制御することもでき、これは、最大付着密度の達成を助長しうる。このプロセスは、半導体業界において材料を堆積させるために同様の技法(例えば、CVDおよびMBE)が既に使用されているので、生産に容易に応用することができる。
【0064】
無溶媒付着の幾つかの基本的アプローチを図7に図示する。一つのアプローチでは、耐熱性分子(または分子の混合物)を、基板(例えば、III、IVまたはV族元素、遷移金属、遷移金属酸化物または窒化物など)を収容したチャンバの中に置く。溶媒を揮発させ、耐熱性分子のみを残す。その後、そのチャンバを加熱してその分子を揮発させ、それが基板表面と接触し、結合する。
【0065】
図7に図示する別のアプローチでは、分子を乾燥粉末としてそのチャンバの中に置く。再び、そのチャンバを加熱してその分子を揮発させ、それが基板表面に接触し、結合する。
【0066】
ある実施形態では、表面に結合させられる分子(例えば、乾燥形態のもの、または後に揮発させる溶媒中のもの)を表面の上に直接置く。その後、その分子および/または表面を(例えば、200℃以上に)加熱し、その分子は、表面に(例えば、イオン結合により、さらに好ましくは共有結合により)結合する。
【0067】
様々なパラメータを、あらゆる具体的有機分子の付着のために、最適化することができる。これらには、(1)分子の濃度、(2)焼付け時間、および(3)焼付け温度が含まれる。図3、4および5は、代表的なポルフィリン(図2の分子104)についてのこれらの研究の結果を示している。各図において、左のパネルは、共有結合で付着している分子のサイクリックボルタンモグラムを示す。これらのボルタンモグラムの特性は、共有結合的付着および頑強な電気化学的挙動を示している(例えば、Liら(2002 Appl.Phys.Lett 81:1494−1496; Rothら(2003)J.Am.Chem.Soc.125:505−517参照)。右のパネルは、分子付着量を示すものである。このタイプの分子の飽和吸着量は、10-10molcm-2の範囲内である。上の三つのパラメータは、独立ではないが、これらの図は、以下の重要な観測を示している。第一に、本明細書に記載の方法を用いると、マイクロモル濃度の材料を使用して比較的高い表面付着量(5×10-10molcm-2の範囲内)で分子を付着させることができる(例えば、図3参照)。極めて少量の材料(例えば、約5mM未満、好ましくは約1mM未満、さらに好ましくは約500μM若しくは100μM未満、さらにいっそう好ましくは10μM未満、および最も好ましくは約1μMの濃度)を使用する容易な付着は、シリコンに分子を固着するために使用されてきた他の手順とは明確に異なる。これらの手順は、典型的には、非常に高い溶液中分子濃度または純分子濃度を使用する。非常の少量の材料の使用は、数グラム情報記憶分子を使用して何百万ものチップを製造できることを示している。少量の材料の使用は、比較的少量の有機溶媒を使用することができ、それによって環境危険を最小化できることも示している。
【0068】
加えて、数分(例えば、典型的には約1秒から約1時間、好ましくは約10秒から約30分、さらに好ましくは約1分から約5、10または15分、および最も好ましくは約30秒から約1または2分)ほどの短い焼付け時間により高い表面付着量をもたらすことは、驚くべき発見であった(図4)。短い時間によって、その加工段階で使用されるエネルギーの量が最小化される。
【0069】
400℃もの高い焼付け温度を、分子の劣化を伴わずに使用できることも、驚くべき発見であった(図5)。この結果は、CMOS装置の製造における多数の加工段階が、高温加工を必要とするという点で、重要である。ある実施形態において、好ましい焼付け温度は、約125℃から約400℃、好ましくは約200℃から約400℃、さらに好ましくは約250℃から約400℃、および最も好ましくは約300℃から約400℃の範囲である。
【0070】
さらに有意な点は、情報記憶分子上の様々な官能基が、シリコンまたは他の基板(例えば、III、IVまたはV族元素、遷移金属、遷移金属酸化物または窒化物、遷移金属合金など)への付着の際の使用に適することである。これらの基には、アルコール、チオール、S−アセチルチオール、ブロモメチル、アリル、ヨードアリール、カルボキシアルデヒド、エチン、ビニル、ヒドロキシメチルが含まれるが、これらに限定されない。エチル、メチルまたはアレーンのような基が、オクタエチルポルフィリン、メソ−テトラフェニルポルフィリン、メソ−テトラ−p−トリルポルフィリンおよびメソ−テトラメシチルポルフィリンの亜鉛キレートとの実質的付着を達成することができないことによって証明されるように、本質的に付着を与えないことも注目される。
【0071】
S−アセチルチオール、ブロモメチル、ヨードアリール、カルボキシアルデヒドおよびエチンによる付着成功は、先例がない。ヨードアリール基による付着成功は、直接アリール−Si付着を生じる点で、並外れて価値がある。得られた情報記憶分子は、表面から垂直に配置することができ、これは、後続のパターン形成を容易にする。こうした様々な官能基による付着能は、卓越した多機能性をもたらす。
【0072】
ある実施形態では、加熱は、オーブンの中に基板を入れることによって遂行されるが、本質的にあらゆる適便な加熱方法を利用することができ、特定の(例えば、工業)生産状況について、適切な加熱および接触方法を最適化することができる。従って、例えば、ある実施形態では、加熱は、付着させるべき有機分子を含有する熱溶液に表面を浸漬することにより、遂行することができる。局部的な加熱/パターン形成は、例えば高温コンタクトプリンタ、またはレーザーを使用して遂行することができる。加熱は、押込空気、熱対流炉、放射加熱などを利用して遂行することもできる。上述の実施形態は、限定のためではなく、説明のためのものである。
【0073】
II.有機分子
レドックス活性有機分子を含む多数の有機分子が、本発明の方法において適用でき、相当有効でさえあるほど耐熱性であることは、驚くべき発見であった。適する耐熱性有機分子には、典型的に、メタロセン(例えば、フェロセン)、ポルフィリン、環拡大ポルフィリン、環縮小ポルフィリン、線状ポルフィリンポリマー、ポルフィリンサンドイッチ配位錯体、およびポルフィリンアレイが含まれるが、これらに限定されない。
【0074】
ある好ましい耐熱性有機分子には、5−[4−(S−アセチルチオメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(メルカプトメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(ヒドロキシメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(ヒドロキシメチル)フェニル]−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−アリルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ホルミルフェニル)−15−フェニル−10,20−ジ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ブロモメチルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−エチニルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ヨードフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ブロモフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ヒドロキシフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−エチニルフェニル)−15,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−ヨード−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−ヨードフェニル)−15,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(2−トリメチルシリル)エチニル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−エチニルフェニル)−10,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−ヨードフェニル)−10,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10,15−トリス(4−エチニルフェニル)−20−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−エチニルフェニル)−10,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−エチニルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(3−エチニルフェニル)−10,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10,15,20−テトラキス(4−エチニルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス[4−(2−(トリメチルシリル)エチニル)フェニル]−15,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(3,5−ジエチニルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、3,7−ジブロモ−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(2−トリメチルシリル)エチニル)フェニル]−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(Se−アセチルセレノメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ヨードフェニル)−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−エチニルフェニル)−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−エチニルビフェニル−4’−イル)−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ビニルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ビニルフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(ヒドロキシメチル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−アリルフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−アリルフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト銅(II)、c型トリプルデッカー[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[5,15−ビス(4−エチニルフェニル)−10,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィリン]、c型トリプルデッカー[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[5−[4−[2−(4−(ヒドロキシメチル)フェニル)エチニル]フェニル]−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィリン]、5,10−ビス[4−(2−(トリイソプロピルシリル)エチニル)ビフェン−4’−イル]−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス[4−(2−(トリイソプロピルシリル)エチニル)フェニル]−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)などが含まれるが、これらに限定されない。
【0075】
本発明の方法での使用に対する特定の分子の適合性は、容易に判定することができる。関心のある分子を、本発明の方法に従って、表面(例えば、水素不動態化表面)に単に結合させる。その後、(例えば、本明細書に記載するように、または米国特許第6,272,038号、同第6,212,093号および同第6,208,553号、PCT国際公開公報第01/03126号に記載されているように、またはRothら(2000)Vac.Sci.Technol.B 18:2359−2364; Rothら(2003)J.Am.Chem.Soc.125:505−517により記載されているように)正弦波ボルタンメトリーを行って、1)その(それらの)分子が表面に結合したか否か、2)付着量(結合)の程度、および3)その結合手順の間に分子が劣化したか否かを評価することができる。
【0076】
表1は、本明細書に記載の付着手順を用いて試験した多数のポルフィリンの試験結果(電気化学的特性付け)を説明するものである。付着したポルフィリンについて、主観的EGFPスケールを使用して、それらの電気化学的挙動を評価した。
【0077】
表1.本明細書に記載の方法に従ってシリコン基板に付着させたポルフィリンの電気化学的挙動。すべての置換基は、p位にあり、各化合物は、別に示されていないかぎり一つの置換基を有する。
【0078】
【表1】
【0079】
上に記載した化合物は、説明的な意味を持ち、限定的な意味は持たないことに注意する。他の適する化合物は、本明細書に記載するような常用のスクリーニング手順を使用して容易に確かめることができる。
【0080】
ある有機分子が、高温(例えば、200℃から400℃)で、特定の部位で分解する場合、その「反応性」部位は、多くの場合、安定な保護基で誘導化することができることも留意すべきである。前記分子は、本発明の方法に従って表面に結合させられることができ、その後保護基は有機分子から化学的に取り外すことができる。
【0081】
典型的に、この有機分子は、溶媒、分散液、乳濁液、ペースト、ゲルなどの中に供給される。好ましい溶媒、ペースト、ゲル、乳濁液、分散液などは、実質的に基板を劣化することなく、II、III、IV、Vおよび/もしくはIV族材料ならびに/または遷移金属に塗布することができ、その基板に結合させるべき有機分子を可溶化するか懸濁させるが劣化はしない溶媒である。ある実施形態において、好ましい溶媒は、高沸点溶媒(例えば、初期沸点が約130℃より高い、好ましくは約150℃より高い、さらに好ましくは約180℃より高い溶媒)を含む。そうした溶媒には、ベンゾニトリル、ジメチルホルムアミド、キシレン、オルト−ジクロロベンゼンなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0082】
III.付着分子
基板(例えば、II、III、IV、VもしくはVI族元素、半導体および/もしくは酸化物、ならびに/または遷移金属、遷移金属酸化物もしくは窒化物など)への付着を行うために、耐熱性有機分子は、一つ以上の付着基を(例えば、置換基として)有し、および/または一つまたはそれ以上の付着基に直接もしくはリンカーにより付着するように誘導化されている。
【0083】
ある好ましい実施形態において、付着基は、アリールまたはアルキル基を含む。ある好ましいアリール基には、ブロモ、ヨード、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、ホルミル、ブロモメチル、ビニル、アリル、S−アセチルチオメチル、Se−アセチルセレノメチル、エチニル、2−(トリメチルシリル)エチニル、メルカプト、メルカプトメチル、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル、およびジヒドロキシホスホリルなどの官能基が含まれる。ある好ましいアルキル基には、ブロモ、ヨード、ヒドロキシ、ホルミル、ビニル、メルカプト、セレニル、S−アセチルチオ、Se−アセチルセレノ、エチニル、2−(トリメチルシリル)エチニル、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル、およびジヒドロキシホスホリルなどの官能基が含まれる。
【0084】
ある実施形態において、付着基には、アルコール、チオール、S−アセチルチオール、ブロモメチル、アリル、ヨードアリール、カルボキシアルデヒド、エチンなどが含まれるが、これらに限定されない。ある実施形態において、付着基には、4−(ヒドロキシメチル)フェニル、4−(S−アセチルチオメチル)フェニル、4−(Se−アセチルセレノメチル)フェニル、4−(メルカプトメチル)フェニル、4−(ヒドロセレノメチル)フェニル、4−ホルミルフェニル、4−(ブロモメチル)フェニル、4−ビニルフェニル、4−エチニルフェニル、4−アリルフェニル、4−[2−(トリメチルシリル)エチニル]フェニル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]フェニル、4−ブロモフェニル、4−ヨードフェニル、4−ヒドロキシフェニル、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル、ブロモ、ヨード、ヒドロキシメチル、S−アセチルチオメチル、Se−アセチルセレノメチル、メルカプトメチル、ヒドロセレノメチル、ホルミル、ブロモメチル、クロロメチル、エチニル、ビニル、アリル、4−[2−(4−ヒドロキシメチル)フェニル)エチニル]フェニル、4−(エチニル)ビフェン−4’−イル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]ビフェン−4’−イル、3,5−ジエチニルフェニル、2−ブロモエチルなどが含まれるが、これらに限定されない。これらの付着基は、説明的な意味を持ち、限定的な意味は持たない。
【0085】
他の付着基の適合性は、容易に評価することができる。関心のある付着基を有する耐熱性有機分子を、本明細書に記載の方法に従って基板(例えば、水素不動態化シリコン)に(直接またはリンカーを用いて)結合させる。その後、付着の効率を、例えば上に記載したような正弦波ボルタンメトリーを用いて、電気化学的に評価することができる。
【0086】
付着基は、耐熱性有機分子を含む置換基であり得る。あるいは、前記有機分子は、その分子にその(それらの)付着基を直接またはリンカーにより共有結合するように誘導化することができる。
【0087】
例えばアルコールまたはチオールで、分子を誘導化する手段は、当業者によく知られている(例えば、Grykoら(1999)J.Org.Chem.,64:8635−8647; SmithおよびMarch(2001)March’s Advanced Organic Chemistry,John Wiley & Sons,第5版など参照)。
【0088】
付着基が、アルコールを含む場合、ある実施形態において、適するアルコールには、一級アルコール、二級アルコール、三級アルコール、ベンジルアルコール、およびアリールアルコール(すなわちフェノール)が含まれるが、これらに限定されない。ある特に好ましいアルコールには、炭素数2から10の直鎖アルコール、ベンジルアルコールおよびフェネチルアルコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0089】
付着基が、チオールを含むとき、ある実施形態において、適するチオールには、一級チオール、二級チオール、三級チオール、ベンジルチオールおよびアリールチオールが含まれるが、これらに限定されない。特に好ましいチオールには、炭素原子数2から10の直鎖チオール、ベンジルチオールおよびフェネチルチオールが含まれるが、これらに限定されない。
【0090】
IV.基板
本発明の方法は、本質的にあらゆるまたはすべてのII、III、IV、VまたはVI族材料(例えば、II、III、IV、VもしくはVI族元素、半導体、および/またはそれらの酸化物)に、および/または遷移金属、遷移金属酸化物、遷移金属窒化物、遷移金属を含む合金もしくは複合材などに、有機分子を共有結合させるために適する。ある好ましい実施形態において、基板は、すべてのIII、IVもしくはV族材料(例えば、炭素、シリコン、ゲルマニウム、スズ、鉛)、ドープII、III、IV、VおよびVI族元素、または純粋もしくはドープII、III、IV、VもしくはVI族元素の酸化物、あるいは遷移金属、遷移金属酸化物または遷移金属窒化物を含む。ある好ましい実施形態において、表面は、III、IVまたはV族材料、さらに好ましくはIV族材料(酸化物、および/またはドープ変種)、さらにいっそう好ましくはシリコンもしくはゲルマニウム表面またはドープおよび/もしくは酸化シリコンもしくはゲルマニウム表面である。
ある実施形態において、基板に使用することができる材料には、Si、Ge、SiC、Ga、Au、Ag、Cu、Al、Ta、Ti、Ru、Ir、Pt、Pd、Os、Mn、Hf、Zr、V、Nb、La、Y、Gd、Sr、Ba、Cs、Cr、Co、Ni、Zn、Ga、In、Cd、Rh、Re、W、ならびにこれらの酸化物および窒化物が含まれるが、これらに限定されないことは、本明細書中の教示から理解されるであろう。
【0091】
II、III、IV、VまたはVI族元素、遷移金属、遷移金属酸化物または窒化物は、本質的に純粋なものであってもよいし、またはドープ(例えば、p型もしくはn型ドープ)されていてもよいし、および/または合金になっていてもよい。II〜VI族元素とともに使用するための、特に、III、IVおよびV族元素とともに使用するための、さらに特にIV族元素(例えば、シリコン、ゲルマニウムなど)とともに使用するためのp型およびn型ドーパントは、当業者によく知られている。こうしたドーパントには、リン化合物、ホウ素化合物、砒素化合物、アルミニウム化合物などが含まれるが、これらに限定されない。多くのドープII、III、IV、VまたはVI族元素が半導体であり、それらには、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、BaTe、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InP、InAs、InSb、AlS、AlP、AlSb、PbS、PbSe、GeおよびSiならびにこれらの三元および四元混合物が挙げられるが、それらに限定されない。
表面は、本質的にあらゆる形態をとることができる。例えば、板状基板、エッチング処理基板、別の基板上の堆積ドメインなどとして、提供されてもよい。特に好ましい形態には、固体電子工学製造プロセスにおいて一般に使用されている形態が挙げられる。
必ずしも必要でないが、ある実施形態において、表面は、使用前に例えば当業者に知られている標準的な方法を用いて清浄化される。従って、例えば、一つの好ましい実施形態において、表面は、一連の溶媒(例えば、アセトン、トルエン、アセトン、エタノールおよび水)中で超音波処理し、その後、高温(例えば、100℃)で標準的なウェハ清浄液(例えば、Piranha(硫酸:30%過酸化水素、2:1))に暴露することにより、清浄化することができる。
ある実施形態において、酸化物は、基板表面から除去することができ、また表面は、水素不動態化されていてもよい。水素不動態化ための多数のアプローチが当業者によく知られている。例えば、一つのアプローチでは、分子水素のフローを、磁場中の高密度マイクロ波プラズマに通す。この磁場は、荷電粒子による衝撃からサンプル表面を護るために役立つ。それ故、交差ビーム(CB)法は、多くの半導体デバイスにとって非常に有害であるプラズマエッチングおよび重イオン衝撃の回避を可能にする(例えば、Balmashnovら(1990)Semiconductor Science and Technology,5:242参照)。一つの特に好ましい実施形態において、不動態化は、不動態化すべき表面をフッ化アンモニウム溶液(好ましくは、酸素をスパージしたもの)と接触させることによる。
【0092】
他の表面清浄および不動態化法は、当業者には公知である(例えば、Choudhury(1997) The Handbook of Microlithography,Micromachining,and Microfabrication,Soc.Photo−Optical Instru.Engineer、Bard & Faulkner(1997)Fundamentals of Microfabricationなど参照)。
【0093】
V.基板上での有機分子のパターン形成
ある実施形態では、耐熱性有機分子を、基板の表面全体にわたって均一な薄膜を形成するように付着させる。他の実施形態では、前記有機分子を表面の一つ以上の別個の位置で別々に結合させる。ある実施形態では、異なる分子を表面の異なる位置で結合させる。
【0094】
分子を結合させる位置設定は、多数の手段のうちのいずれによって遂行してもよい。例えば、ある実施形態では、有機分子を含む溶液を表面上の特定の位置に選択的に堆積させることができる。他のある実施形態では、その溶液を表面上に均一に堆積させることができ、選択領域を加熱することができる。ある実施形態では、有機分子を表面全体に結合させ、その後、特定の領域から選択的にエッチングすることができる。
【0095】
表面を有機分子と選択的に接触させるための最も一般的なアプローチは、有機分子がないべきである表面の領域を、その(それらの)分子を含む溶液または気相がそれらの領域と接触することができないようにマスクすることを含む。これは、マスキング材(例えば、ポリマーレジスト)で基板を被覆し、結合させるべき領域のレジストをエッチングして除去することにより、容易に遂行することができる。あるいは、感光性レジストを表面に塗布し、保護すべき領域において(たとえば、紫外線により)選択的に活性化することができる。こうした「フォトリソグラフ」法は、半導体業界では公知である(例えば、Van Zant(2000)Microchip Fabrication: A Practical Guide to Semiconductor Processing; NishiおよびDoering(2000)Handbook of Semiconductor Manufacturing Technology ; Xiao(2000) Introduction to Semiconductor Manufacturing Technology; Campbell(1996) The Science and Engineering of Microelectronic Fabrication(Oxford Series in Electrical Engineering),Oxford University Pressなど参照)。加えて、レジストを表面に単にコンタクトプリンティングすることにより、レジストを表面上にパターン形成することができる。
【0096】
他のアプローチでは、表面を分子と均一に接触させる。その後、表面のそれらの分子がないようにすべき領域からそれらの分子を選択的にエッチングして除去する。エッチング方法は、当業者によく知られており、プラズマエッチング、レーザーエッチング、酸エッチングなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0097】
他のアプローチは、例えば結合させるべき領域に試薬を選択的に堆積させる形に造られたコンタクトプリントヘッドを使用する、試薬のコンタクトプリンティング;特定の領域に試薬を選択的に堆積させるインクジェット装置(例えば、米国特許代6,221,653号参照)の使用;試薬を特定の領域内に選択的に閉じ込めるダムの使用などを含む。
【0098】
ある好ましい実施形態において、結合反応は、数回繰り返えされる。その(それらの)反応が完了した後、結合していない有機分子を、例えば標準的な洗浄段階(例えば、ベンゾニトリル洗浄、その後の乾燥塩化メチレン中での超音波処理)を用いて、表面から洗い落とす。
【0099】
上述の方法は、説明のためのものである。本明細書に提供する教示にかんがみて、半導体製造技術分野の技術者には、他のアプローチが明らかであろう。
【0100】
VI.工業的スケールアップ
本発明の方法は、商業的製造作業用に容易にスケールアップされる。一つのそうしたスケールアップのアプローチを図9に図示する。この図は、気相分子付着用の2ゾーン型炉1を説明するものである。装置内では、分子粉末2が一方のゾーンに保持され、ウェハ3が別のゾーンに保持される。各ゾーンは、(例えば、単一ヒーター制御部または個別ヒーター制御部(この説明図の6および7)により独立して調整することができるヒーター4、5によって)個々に加熱することができる。各ゾーンは、必要な温度に独立して加熱ことができる。温度を変えることにより分子蒸気圧を制御することができる。このシステムでは、分子蒸気を他のゾーンのウェハに輸送するために使用することができる、ガス入口8に供給されそのオーブンを通ってガス出口9に抜ける、キャリヤガス(例えば、Ar、N2など)の使用も可能である。この炉は、このシステムをキャリヤガスの出口においてポンプで排気することにより、低圧(減圧)で操作することもできる。この低圧プロセスにより、分子蒸気圧を非常に正確に制御することができる。また、大気圧プロセスと比較して不純物の量を低減させる。
【0101】
図10に図示する別の装置構成は、気相分子付着法の高真空操作に適する。このアプローチでは、基板3は、真空炉チャンバ20内に配置される。付着させるべき分子は、エフュージョンセルコントローラ24によって制御されるエフュージョンセル(例えば、クヌーセンセル(Kセル)、例えばSpecsによる低温エフュージョンセル)22内に保持される。Kセル上のシャッター26の開閉により、基板表面に到達し、付着単分子層28を形成することができる分子の量を制御することができる。
【0102】
これらの方法は、説明的な意味を持ち、限定的な意味は持たない。本明細書に提供する教示を用いて、当業者は、本明細書に記載の分子の加熱および表面との接触のための多数のアプローチを考え出すことができる。耐熱性分子またはそうした分子の混合物を加熱および/または揮発させるための、ならびに高温で表面にそれらをパターン形成するまたは均一に堆積させるための装置および方法は、市販されており、当業者によく知られている。そうした方法には、分子線エピタキシー(MBE)(例えばフロリダのSPECS Scientific Instrumentsから入手できる機器)、化学蒸着法(CVD)(例えばCVD Equipment Corp.から入手できる機器)、液相エピタキシャル堆積(LPE)(例えばニューヨーク州ロンコンコマのCVD Equipment Corp.から入手できる機器)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0103】
VII.高電荷密度材料
ドープまたは非ドープ基板(III、IVまたはV族元素、遷移金属、遷移金属酸化物、窒化物などを含む基板)にレドックス活性分子を結合させる本明細書に記載の方法によって、他の以前に知られている方法より高く、均一な有機分子(例えば、レドックス活性化学種)の充填が生じることは、本発明の驚くべき発見である。これは、レドックス活性分子を用いて、ボルタンメトリー測定において観察される、より高い陽極電位でのより低い酸化電流として証明することができる。加えて、サイクリックボルタンモグラムは、より鋭く、より対称的なピークを示す。
【0104】
加えて、基板上のレドックス活性分子の改善された均一性およびより高い充填により、有意に高い電荷密度を蓄積することができる材料が得られる。従って、好ましい実施形態において、本発明は、レドックス活性分子の非ゼロ酸化状態あたり、少なくとも約75μクーロン/cm2、好ましくは少なくとも約100μクーロン/cm2、さらに好ましくは少なくとも約150μクーロン/cm2、および最も好ましくは少なくとも200または250μクーロン/cm2の電荷密度で電荷を蓄積することができる、一つ以上のレドックス活性化学種が結合している基板(例えば、IV族元素基板)を提供する。こうした材料は、分子メモリ(メモリチップ)の製造に有用である。
【0105】
様々な結合性分子をレドックス活性化学種の代わりに使用する場合、高い均一性および分子密度が、特定の検体に対してより高い感度および選択性を有するセンサをもたらす。
【0106】
VIII.基板に結合した有機分子の使用
本発明の方法は、本質的にあらゆる耐熱性有機分子をII、III、IV、VまたはVI族材料表面、好ましくはIII、IVまたはV族表面および/もしくは遷移金属表面に付着させるために使用することができる。ある好ましい実施形態において、前記分子は、レドックス活性分子であり、分子メモリを形成するために使用することができる。他の好ましい実施形態において、前記分子は、本質的にあらゆる他の耐熱性分子であり得る。ある他の耐熱性分子には、限定ではないが結合パートナー(例えば、ある抗体、配位子、核酸、糖類など)が挙げられ、特定の検体を検出するためのセンサを形成することができる。
【0107】
「分子メモリ」において、遷移金属および/またはII、III、IV、VもしくはVI族材料に結合させたレドックス活性分子(一つ以上の非ゼロレドックス状態を有する分子)が、ビット(例えば、各レドックス状態はビットを表すことができる)の記憶に使用される。基板材料(例えば、シリコン、ゲルマニウムなど)に付着させたレドックス活性分子は、様々な酸化状態で一つ以上のビットを記憶することができる記憶セルを形成する。ある実施形態において、記憶セルは、一つ以上のレドックス活性分子を含み、多数の異なる、区別できる酸化状態を有する「記憶媒体」に電気的に結合した固定電極を特徴とする。データは、電気的に結合された電極により一つ以上の電子を前記記憶媒体に加えるか、そこから取ることによって、その(好ましくは非中性)酸化状態に記憶される。レドックス活性分子の酸化状態は、例えば、米国特許第6,272,038号、同第6,212,093号および同第6,208,553号ならびにPCT国際公開公報第01/03126号に記載されているような電気化学的方法(例えば、サイクリックボルタンメトリー)を用いてセットするおよび/または読み取ることができる。
【0108】
遷移金属ならびにII、III,IV、VおよびVI族材料、特にIV族材料(例えば、シリコン、ゲルマニウムなど)は、電子チップの製造に一般に使用されているため、本明細書に提供する方法は、既存の加工/製造法と両立できる分子メモリチップの製造に即座に用いることができる。加えて、レドックス活性分子を含む記憶セルの構成および使用の詳細は、米国特許第6,272,038号、同第、6,212,093号および同第6,208,553号ならびにPCT国際公開公報第01/03126号において見出すことができる。
【0109】
本発明での使用に適するある好ましいレドックス活性分子は、多数の酸化状態を有することを特徴とする。これらの酸化状態は、一つ以上のレドックス活性ユニットによってもたらされる。レドックス活性ユニットは、適切な電圧の印加によってセットされ得る一つ以上の別個の酸化状態を有する分子または分子のサブユニットを指す。従って、例えば、一つの実施形態において、レドックス活性分子は、二つ以上(例えば8)の異なる、区別できる酸化状態を含むことができる。必然的ではないが典型的に、こうした多状態分子は、幾つかのレドックス活性ユニット(例えば、ポルフィリンまたはフェロセン)から成るであろう。各レドックス活性分子は、それ自体、少なくとも一つのレドックス活性ユニットであるか、少なくとも一つのレドックス活性ユニットを含むが、二つ以上のレドックス活性ユニットを容易に含むことができる。
【0110】
好ましいレドックス活性分子には、ポルフィリン大員環が挙げられるが、これに限定されない。特に好ましいレドックス活性分子には、ポルフィリン、環拡大ポルフィリン、環縮小ポルフィリン、フェロセン、線状ポルフィリンポリマー、ポルフィリンサンドイッチ配位錯体、およびポルフィリンアレイが含まれる。
【0111】
ある実施形態において、レドックス活性分子は、式I:
【0112】
【化1】
【0113】
(式中、Lは、リンカーであり、Mは、金属(例えば、Fe、Ru、Os、Co、Ni、Ti、Nb、Mn、Re、V、Cr、W)であり、S1およびS2は、アリール、フェニル、シクロアルキル、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、過フルオロアルキル、過フルオロアリール、ピリジル、シアノ、チオシアナト、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アシル、スルホキシ、スルホニル、イミド、アミドおよびカルバモイルから成る群より独立して選択される置換基である)
に示すようなメタロセンである。好ましい実施形態では、置換アリール基をポルフィリンに付着させ、そのアリール基上の置換基は、アリール、フェニル、シクロアルキル、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、過フルオロアルキル、過フルオロアリール、ピリジル、シアノ、チオシアナト、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アシル、スルホキシ、スルホニル、イミド、アミドおよびカルバモイルから成る群より選択される。
【0114】
ある適する置換基には4−クロロフェニル、3−アセトアミドフェニル、2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい置換基は、約2ボルト未満のレドックス電位範囲もたらす。Xは、基板、基板に共有結合することができる反応部位(例えば、アルコール、チオールなど)から成る群より選択される。一部の実施形態において、L−Xは、アルコールまたはチオールであることは理解されよう。ある例において、L−Xは、S1またはS2のような別の置換基(S3)で置き換えることができる。ある実施形態において、L−Xは、存在してもよいし、存在しなくてもよく、存在する場合には、好ましくは、4−ヒドロキシフェニル、4−(2−(4−ヒドロキシフェニル)エチニル)フェニル、4−(ヒドロキシメチル)フェニル、4−メルカプトフェニル、4−(2−(4−メルカプトフェニル)エチニル)フェニル、4−メルカプトメチルフェニル、4−ヒドロセレノフェニル、4−(2−(4−ヒドロセレノフェニル)エチニル)フェニル、4−ヒドロテルロフェニル、4−(ヒドロセレノメチル)フェニル、4−(2−(4−ヒドロテルロフェニル)エチニル)フェニル、4−(ヒドロテルロメチル)フェニルなどである。
【0115】
式Iの分子の酸化状態は、その金属および置換基によって決まる。様々な適するメタロセンが、米国特許第6,272,038号、同第、6,212,093号および同第6,208,553号ならびにPCT国際公開公報第01/03126号に開示されている。
【0116】
他の適するレドックス活性分子には、式II:
【0117】
【化2】
【0118】
(式中、Fは、レドックス活性サブユニット(例えば、フェロセン、置換フェロセン、メタロポルフィリンまたはメタロクロリンなど)であり;J1は、リンカーであり;Mは、金属(例えば、Zn、Mg、Cd、Hg、Cu、Ag、Au、Ni、Pd、Pt、Co、Rh、Ir、Mn、B、Al、Ga、PbおよびびSn)であり;S1およびS2は、アリール、フェニル、シクロアルキル、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、過フルオロアルキル、過フルオロアリール、ピリジル、シアノ、チオシアナト、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アシル、スルホキシ、スルホニル、イミド、アミドおよびカルバモイルから成る群より独立して選択され、この場合、前記置換基は、約2ボルト未満のレドックス電位範囲をもたらし;K1、K2、K3およびK4は、N、O、S、Se、TeおよびCHから成る群より独立して選択され;Lは、リンカーであり;Xは、基板、基板に共有結合することができる反応部位から成る群より選択される)
によって示されるポルフィリンが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、XまたはL−Xは、アルコールまたはチオールである。一部の実施形態において、L−Xは、除去されて、S1またはS2の場合と同じ群から独立して選択される置換基で置きかえられてもよい。
【0119】
他の適する分子には、5−[4−(S−アセチルチオメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(メルカプトメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(ヒドロキシメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(ヒドロキシメチル)フェニル]−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−アリルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ホルミルフェニル)−15−フェニル−10,20−ジ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ブロモメチルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−エチニルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ヨードフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ブロモフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ヒドロキシフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−エチニルフェニル)−15,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−ヨード−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−ヨードフェニル)−15,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(2−トリメチルシリル)エチニル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−エチニルフェニル)−10,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−ヨードフェニル)−10,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10,15−トリス(4−エチニルフェニル)−20−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−エチニルフェニル)−10,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−エチニルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(3−エチニルフェニル)−10,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10,15,20−テトラキス(4−エチニルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス[4−(2−(トリメチルシリル)エチニル)フェニル]−15,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(3,5−ジエチニルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、3,7−ジブロモ−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(2−トリメチルシリル)エチニル)フェニル]−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(Se−アセチルセレノメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ヨードフェニル)−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−エチニルフェニル)−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−エチニルビフェニル−4’−イル)−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ビニルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ビニルフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(ヒドロキシメチル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−アリルフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−アリルフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト銅(II)、c型トリプルデッカー[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[5,15−ビス(4−エチニルフェニル)−10,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィリン]、c型トリプルデッカー[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[5−[4−[2−(4−(ヒドロキシメチル)フェニル)エチニル]フェニル]−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィリン]、5,10−ビス[4−(2−(トリイソプロピルシリル)エチニル)ビフェン−4’−イル]−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス[4−(2−(トリイソプロピルシリル)エチニル)フェニル]−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)などが含まれるが、これらに限定されない。
【0120】
本発明のメモリデバイスに使用されるレドックス活性分子のレドックス活性ユニットの正孔蓄積および正孔ホッピング特性に対する制御により、メモリデバイスのアーキテクチャに対する精密な制御が可能となる。
【0121】
こうした制御は、合成設計を通して行使される。正孔蓄積特性は、それら自体が本発明のデバイスに使用されるレドックス活性記憶媒体であるか、レドックス活性記憶媒体を組み立てるために使用される、レドックス活性ユニットもしくはサブユニットの酸化電位に依存する。正孔蓄積特性およびレドックス電位は、基本分子、会合金属および周辺置換基の選択により正確に調整することができる(Yangら(1999)J.Porphyrins Phthalocyanines,3:117−147)。分子メモリのための分子の設計は、米国特許第6,272,038号、同第、6,212,093号および同第6,208,553号ならびにPCT国際公開公報第01/03126号において詳細に論じられている。
【0122】
IX.キット
さらに別の実施形態において、本発明は、本発明の方法を実施するための、または本発明の方法によって製造された材料を使用するためのキットを提供する。一つの実施形態において、本キットは、本発明の方法に従ってII、III、IV、VまたはVI族タイプの材料に有機分子を結合させるために使用される一つ以上の試薬を含む。こうした試薬には、材料表面を清浄化および/もしくは不動態化するための試薬、ならびに/または表面に結合させるべき有機分子、ならびに/またはその(それらの)有機分子を誘導化するための付着分子(例えば、(例えば、本明細書に記載されているように、アルコール、チオール、S−アセチルチオール、ブロモメチル、アリル、ヨードアリール、カルボキシアルデヒド、エチン、ビニル、ヒドロキシメチルなどの)付着基で有機分子を誘導化するための試薬)、ならびに/または誘導化された有機分子を表面に結合させる際に使用するための溶媒、ならびに/または誘導化された表面を洗浄するための試薬などが含まれるが、これらに限定されない。
【0123】
ある実施形態において、本キットは、本明細書に記載されているような、耐熱性有機分子(例えば、レドックス活性分子)が結合しているII、III、IV、VまたはVI族タイプの材料を含む。II、III、IV、VまたはVI族タイプの材料は、ある実施形態では分子メモリを含み、ある実施形態ではセンサを含む。
【0124】
加えて、本キットは、本発明の方法を実施するための指示(すなわち、プロトコル)を含む教材を場合により含むことができる。好ましい教材は、本発明の方法に従ってII、III、IV、VまたはVI族タイプの材料に耐熱性有機分子を結合させるために、および/またはメモリ素子もしくはセンサとして有機分子を結合したII、III、IV、VまたはVI族タイプの材料を使用するためにそのキットの内容を利用するプロトコルを提供する。これらの教材は、典型的に、書かれた物または印刷物を含むが、こうしたものに限定されない。本発明では、そうした教示を記憶することができ、それらを最終使用者に伝達することができるあらゆる媒体が想定されている。こうした媒体には、電子記憶媒体(例えば、磁気ディスク、テープ、カートリッジ、チップ)、光学媒体(例えば、CD ROM)などが含まれるが、これらに限定されない。こうした媒体は、そうした教材を提供するインターネットサイトへのアドレスを含むこともある。
【0125】
以下の実施例は、説明のために提供されるものであり、クレームされた本発明を制限するために提供されるものではない。
【実施例1】
【0126】
分子は、実世界処理および操作条件下で電子デバイスにおいて動作することができる。
【0127】
分子エレクトロニクス分野の中心教義は、分子成分が、従来の超小型回路内に存在する半導体ベースのデバイスの代わりに機能素子として使用できるいということである(Kwok and Ellenbogen(2002)Materials Today,28−37; CarrollおよびGerman(2002)Angew.Chem.Int.Ed.41:4378−4400)。この役割に役立つには、分子成分は、製造中の高温(例えば、400℃)での加工段階や、寿命を通じての非常に多数(109〜1012)の操作サイクル、を含む困難な条件のもとでも頑強であり続けなければならない(International Technology Roadmap for Semiconductors(ITRS),Semiconductor Industry Association,San Jose,CA(2000))。分子材料はそうした要件を満たすために十分な安定性を有するのかという懐疑論が、少なからずある。ここで、我々は、ポルフィリンベースの情報記憶媒体が、計算装置での使用に必要な処理および操作課題を満たすことを証明する。
【0128】
分子ベースの情報記憶のための我々のアプローチは、電荷蓄積素子(Rothら(2000)Vac.Sci.Technol.B 18:2359−2364)としてレドックス活性ポルフィリン分子を利用する。我々は、これらの分子を、デバイス用シリコンプラットフォームに共有結合的に付着させて、第一世代ハイブリッド分子/半導体デバイスの基礎を形成することを明らかにした(Rothら(2003)J.Am.Chem.Soc.125:505−517)。ポルフィリンベースの情報記憶素子は、ダイナミックランダムアクセスメモリにおける半導体素子のもの(ミリ秒)と比較して長い(分)電荷保持時間を示す(Rothら(2000)Vac.Sci.Technol.B 18:2359−2364; Rothら(2003)J.Am.Chem.Soc.125:505−517)。これらの分子は、これらをマルチビット情報記憶媒体としての使用に適するようにするレドックス特性も示す。
【0129】
図6Aは、Si−O−C結合によりSi(100)につながれているポルフィリン単分子層のサイクリックボルタンメトリー挙動を示している。この単分子層は、フォトリソグラフィーによりパターン形成し水素を不動態化したマイクロメートルスケールのSi(100)プラットフォーム上に少量(〜1μL)の希釈溶液(〜100μM)を置き、不活性雰囲気条件下、400℃で数分間、そのサンプルを焼き付けることによって形成した。そのポルフィリン単分子層のボルタンメトリー応答は、ずっと低い温度(100〜200℃で数時間)で形成したポルフィリン単分子層のもの(Rothら(2003)J.Am.Chem.Soc.125:505−517)と同じであり、また、殆どの有機分子が熱分解する温度で分子の一体性が維持されることを示している。この高温手順は、現行の半導体製造法に容易に適合させることができ、デバイスの製造に極少量の材料しか要さないという重要な追加の利益を有する。
【0130】
本ポルフィリン情報記憶媒体の頑強性は、(1)電気的に中性の単分子層を酸化し、(2)得られた正に帯電した単分子層をその電気的に中性な状態に還元するサイクルを繰り返し行うことにより、検査した。酸化事象は、1ビットの情報の書込みと等価であり、還元事象は、その情報の消去または破壊読取と等価である。図6Aの五つのボルタンモグラムは、0、2.5×104、1.8×106、1.1×109、および1.1×1010酸化/還元サイクル後のそのシステムの応答を示すものである。実験中、電気的サイクリングの性質を変えた。システムを24時間連続してサイクリングする日もあり、数分から12時間までの範囲の期間、故意にサイクリングを停止した日もあった。故意にではなく、停電のため、一時、サイクリングを停止した。データは、〜107サイクルの初期「バーンイン」期間の後にボルタンメトリー応答が安定したことを示している。このシステムの頑強性を図6Bにさらに図示し、ここでは、積分ボルタンメトリー信号(その単分子層の電荷に対応する)をサイクル数の関数としてプロットする。これらのデータは、その単分子層の電荷蓄積特性が、全実験の間に最小限(数パーセント)の変化しか示さないことを示している。サイクリングを任意に停止した時(>1010サイクル、〜27日)、システムは、劣化の兆候を示さなかった。総括して、これらのデータは、ポルフィリンベースの情報記憶媒体が、極めて頑強であることを示しており、ハイブリッド分子/半導体電子デバイスでの選択分子の使用にとってよい前兆である。
【実施例2】
【0131】
無溶媒付着
図7は、気相分子付着の概念を証明するために使用した実験構成を図示するものである。パネル(a)に図示するように、我々は、バイアル内の一片のシリコンウェハの頂部に一滴の分子溶液(テトラヒドロフラン(THF)溶液中のレドックス活性ポルフィリン)を置いた。第二のシリコンウェハ片をその隣に置いた。その後、我々は、そのバイアルを封止し、アルゴンで数分間パージして、THFを除去/乾燥させた。これによって、第一シリコン片上には分子粉末のみが残る。そのパージの間、アルゴンフローを低く保って、分子粉末が他方のシリコンチップへと吹き飛ばされないようにした。この段階の後、バイアルを様々な温度(10〜20分間、300〜400℃)で加熱した。その後、バイアルを室温に冷まし、それらのシリコン片をジクロロメタンですすいだ。
【0132】
溶媒を伴わない第二の構成を図7(パネルb)に図示する。我々は、バイアルの中に分子を含む粉末と一緒にシリコン片を密封し、それらが互いに接触しないようにした。その後、粉末がシリコン表面上に吹き飛ばされないようにしながら、そのバイアルをアルゴンでパージした。その後、そのバイアルを300〜400℃で10〜20分間加熱した。
【0133】
図7、パネル(c)は、シリコン基板を、分子を含む粉末に面するように(数ミリメートルの距離で)保持した(パネルc)を使用した第三の設定を示すものである。あとの手順は、上に記載したものと同様であった。
【0134】
図8は、そのプロセスの間、サンプルが分子と接触しなかった、パネル(a)に図示したとおり作成したサンプルの一つからのサイクリックボルタンメトリー(CyV)測定値を示すものである。分子のレドックス活性に関連したピークをはっきりと見ることができる。このプロットから導き出される分子付着密度は、酸化および還元ピークについて1×1013〜2×1013cm-2であり、これは、伝統的な直接液相付着プロセスからの結果に匹敵する。また、レドックスピーク電位は、我々の以前のデータと一致した。
【0135】
図7のパネル(b)に図示した方法に従って作成したサンプルは、パネル(a)に図示した方法に従って作成したサンプルのものに非常に類似した電気的性質を有した。これらのサンプルについての付着密度は、8×1013〜1×1014cm-2であることがわかった。これらの値は、我々が第一のアプローチを用いて得たものより高く、これは、このケースのほうが分子蒸気圧が高かったことに起因するものかもしれない。
【0136】
図7のパネル(c)に図示した方法に従って製造したサンプルは、パネル(b)に図示した方法に従って作成したサンプルのものに非常に類似した電気的性質を有したが、分子とサンプルの間の間隔が減少したため、より高い付着を生じた。
【0137】
これらの実験は、高い密度および一体性での分子付着が、溶媒を一切必要としない完全「乾式」プロセスにより達成され得ることを示している。我々は、このアプローチが、「湿潤」法より従来の製造プロセスによく適するであろうと考える。加えて、この「乾式」付着は、大規模で低コストの加工とも両立できる。
【実施例3】
【0138】
高温プロセスによる半導体表面へのポルフィリンの容易な共有結合的付着
分子エレクトロニクス分野は、半導体のバルク特性に依存するデバイスは、機構サイズがナノスケールの寸法に達すると、機能するために必要な特性を保持することができなくなるという見通しにより、駆り立てられてきた。結果として、メモリーアーキテクチャと回路素子の両方に使用するための分子ベースの電子材料の開発に大きな関心が持たれた(例えば、Kwokら,Materials Today(2002年2月),28−37;CarrollおよびGerman(2002)Angew.Chem.Int.Ed.,41:4378−4400)。この目標に向けて、我々は、分子の性質を利用して情報を記憶するデバイスの構築を目的とする計画に従事した(Rothら(2000)Vac.Sci.Technol.B 18:2359−2364; Rothら(2003)ACS Symp.Series,844:51−61; Rothら(2003)Am.Chem.Soc.,125:505−517; Liら(2002)Appl.Phys.Lett.,81:1494−1496; Liら(2003)Appl.Phys.Lett.,83:198−200.)。我々らのアプローチでは、電気活性表面に付着させたレドックス活性ポルフィリン分子の集まりが、能動記憶媒体としての役割を果たし、情報が、それらの分子の個別のレドックス状態に記憶される。我々の研究の焦点は、分子材料が半導体プラットフォームに付着しているハイブリッドアーキテクチャの開発であった。過渡期の技術としてのハイブリッド分子/半導体アーキテクチャの実現は、分子ベースの能動媒体によって生じる利益により、半導体業界の巨大な基盤に影響を及ぼす。
【0139】
我々は、ポルフィリン(Rothら(2003)Am.Chem.Soc.,125:505−517)およびフェロセン(Rothら(2003)Am.Chem.Soc.,125:505−517; Liら(2002)Appl.Phys.Lett.,81:1494−1496)を単結晶Siプラットフォーム(および酸化物上層で改質したSiプラットフォーム(Liら(2003)Appl.Phys.Lett.,83:198−200))に付着させて、ハイブリッド分子/半導体デバイスの基礎を形成することができることを明らかにした。Siプラットフォーム(水素不動態化されたもの又はイオン変性されたもの)にポルフィリンを付着させるための一つの手順は、フォトリソグラフィーによりパターン形成したマイクロメートルサイズのSi電極上に、高沸点溶媒(例えば、ベンゾニトリル)中のアルコール官能化分子の一滴を置き、その後、〜170℃で数時間加熱し、この間に追加の溶媒をそのサンプル領域に添加することを含む(Rothら(2003)Am.Chem.Soc.,125:505−517)。この手順は、高品質の単分子層を生じるが、この手順は、時間がかかり、ウェハレベルでの工業操作に即座に適合させることができない。
【0140】
Siプラットフォームにポルフィリンを付着させるためのこの手順の限界が、我々を別戦略の探究に駆り立てた。このことに関しては、Si表面への有機分子の付着を探求する最近の研究が多数ある(SongおよびSailor(1999)Comments on Inorganic Chemistry,21:69−84; Bent(2002)Surf.Sci.,500:879−903; Buriak(2002)J.Chem.Rev.,102,1271−1308)。これらの戦略には、Siにポルフィリンを付着させることの利点(および殆どの場合、不利点も)が、全く提示されていない。それにもかかわらず、ポルフィリンが、他のタイプの有機分子が分解する極高温(不活性雰囲気条件下、400℃)で安定であることが知られているという事実(Liuら(2003)Science,302:1543−1545)と併せて(ポルフィリンと他のタイプの分子の両者についての)熱付着法の成功が、極高温処理戦略の探求に我々を駆り立てた。
【0141】
この実施例において、我々は、多種多様なアリール官能基を有するポルフィリンが、高温加工条件下で、迅速、容易に付着されることを証明する。付着に成功した様々な分子の構造を図11に示す。ブロモ、ヨード、ブロモメチル、ホルミル、S−アセチルチオメチル、Se−アセチルセレノメチルおよびトリメチルシリルエチニル基の付着成功は、先例がない。我々は、高温加工条件が、Si基板上へのサンプルの直接堆積またはSi基質上へ向けての昇華により付着を生じさせることを、さらに証明する。
【0142】
初期高温付着手順は、直接堆積アプローチを伴う。この手順では、先ずポルフィリンを有機溶媒に溶解し、得られた希釈溶液の小滴(1μL)をマイクロメートルサイズのシリコンプラットフォーム上に置いた。
【0143】
100μm × 100μmのSiプラットフォームを、デバイス用ウェハ(BドープSi(100);ρ=0.005〜0.1Ωcm)から、フォトリソグラフィーにより作成した。この電気化学的研究を行うためのすべての材料、手順および技法ならびに器具は、Rothら(2003)Am.Chem.Soc.,125:505−517に記載されているとおりであった。分子の表面付着量は、ボルタンモグラムにおけるピークを積分することにより決定した。Siプラットフォームの温度は、そのプラットフォームに直接、熱電対を取り付けることにより測定した。
【0144】
そのプラットフォームをバイアルに入れ、それを封止し、Arでパージした。その後、特定の温度に予熱したホットプレート上にそのバイアルを置き、特定の時間、「焼付け」た。その後、そのSiプラットフォームを冷却し、洗浄して、付着していないポルフィリンを除去し、ボルタンメトリーにより精査して単分子層の質を調査し、上に記載したように表面付着量を決定した。図12(上のパネル)は、100μMの堆積用溶液を使用してポルフィリンを付着させ、その後、400℃で2分間焼付けることによって得られた6および8の代表サイクリックボルタンモグラムを示すものである。
【0145】
直接堆積のための「最良」付着条件は、焼付け温度、焼付け時間、堆積用溶液中のポルフィリンの濃度、および堆積用溶媒の性質を変化させることの影響を調べる系統的研究により決定した。これらの可変項のうちの最初の三つは独立ではないが、これらの研究は、以下の一般的な傾向を示した:(1)焼付け温度を上昇させるにつれて、表面付着量が、単調に増加する。例えば、100℃から400℃に焼付け温度を上昇させる(焼付け時間30分;堆積用溶液中ポルフィリン濃度1mM)と、表面濃度が、1×10-11mol cm-2から〜8×10-11mol cm-1に上昇した(ポルフィリンについての飽和付着量は、〜10-10mol cm-2である)。400℃より高い温度では、さらなる付着は達成されず、システムが劣化した。(2)焼付け温度を上昇させるにつれて、最高表面付着量を達成するために必要な時間が、単調に短縮された。例えば、200℃で最大付着量を達成するために1時間の焼付け時間が必要であった。この時間は、焼付け温度を400℃に上昇させると、2分に短縮された。(3)堆積用溶液中のポルフィリンの濃度を1μMから100μMに上昇させるにつれて、所定の焼付け時間および温度についての表面付着量が、系統的に増加した。100μMより上にポルフィリン濃度を上昇させても、付着量には殆ど影響がなかった。(4)高沸点溶媒(ベンゾニトリル、bp=191℃)と低沸点溶媒(THF、bp=66℃)の両方が、堆積条件と焼付け条件の特定のセットについて本質的に同一の結果をもたらした。
【0146】
ボルタンモグラムの特性は、共有結合的付着および頑強な電気化学的挙動を示している(Rothら(2003)Am.Chem.Soc.,125:505−517)。同様のボルタンメトリーが、同じ堆積条件を使用して、図11中の他の分子について観察された。付着は、ポルフィリンに直接結合された官能基(例えば、ヨード、ホルミル、ビニル、エチニル、アリル)を有する多数のポルフィリンでも達成された。対照として、官能基がない様々なポルフィリンの亜鉛キレートを試験した。これらの分子には、オクタエチルポルフィリン、メソ−テトラフェニルポルフィリン、メソ−テトラ−p−トリルポルフィリン、およびメソ−テトラメシルポルフィリンが含まれる。焼付けた薄膜が洗浄により完全に除去された観察結果から明らかであるように、これらのポルフィリンのいずれについても付着は観察されなかった(加えて、ボルタンメトリーピークも観察されなかった)。
【0147】
これらの結果は、この高温付着手手順が、(1)様々な官能基をカバーする広い範囲を有し、(2)様々なアレーン置換基を許容し、(3)無差別の付着を生じないことを示している。
【0148】
次の高温付着手順は、間接的堆積アプローチを伴う。この手順では、加熱バイアルの中に挿入することができる直径の円筒形ガラス容器の底に、少量のポルフィリン(<1mg)を置いた。この容器の頂部は、内側に向いているマイクロメートルサイズの電極(固体サンプルより〜3mm上)を具備するSiプラットフォームをその頂部に置くことができるように平坦であった。そのバイアルを封止し、Arでパージして、特定の温度に予熱したホットプレート上に配置し、ポルフィリンを特定の時間、昇華させた。その後、Siプラットフォームを冷却し、洗浄して、付着していないポルフィリンを除去し、ボルタンメトリーにより精査して単分子層の質を調査し、表面付着量を決定した。6および8の代表サイクリックボルタンモグラムを図12(下のパネル)に示す。これらの分子は、両方とも、400℃で20分間昇華させることによって付着させた。
【0149】
間接的堆積のための「最良」付着条件は、昇華温度および焼付け時間を変化させることの影響を調べる系統的研究により決定した。300℃未満の温度では、比較的少ない付着しかこの昇華法によって達成されなかった。400℃では、昇華時間が増すにつれて表面付着量が、単調に増加した。20分より長い時間では、さらなる付着量は観察されなかった。
【0150】
この昇華法によって得られたボルタンモグラムの特性は、前記焼付け法によって得られたものと相当類似している。図11中の他の分子についても同様の結果が得られた。
【0151】
総括すると、ここで報告した研究は、様々な官能基を有するポルフィリンを高温加工によってSiに共有結合的に付着させることができることを示している。本方法は、ポルフィリンを付着させるためのほぼ普遍的な戦略をもたらす。前記焼成アプローチは、付着プロセスにおいて少量の溶媒しか使用しないので、本質的に「乾式」であり、前記昇華アプローチは、そのプロセスに溶媒を必要としない点で、完全に「乾式」である。この後者のプロセスは、非常に大きな(30cm)Siウェハへの分子の均一な付着が、将来世代ハイブリッド分子/半導体デバイスの製造において予想される半導体加工の展望から、特に興味をそそる。
【実施例4】
【0152】
遷移金属表面への有機分子の付着
アルコールテザーまたはホスホネートテザーのいずれかを有する様々なレドックス分子を、スパッタリングしたW表面に付着させた。これらの表面は、付着前に酸化環境で加熱処理した。タングステン領域をフォトリソグラフィーによって規定した。付着のための分子溶液は、ベンゾニトリルに分子を溶解することにより調製した。サンプルは、付着プロセスの間、Ar2中、設定温度で保持した。堆積後、そのサンプルをテトラヒドロフラン中での超音波処理によって清浄した。プロピレンカーボネート(PC)(Aldrich、99.7%)中1.0Mのヘキサフルオロリン酸テトラブチルアンモニウム(TBAH)(Aldrich)の溶液を支持電解質として使用した。対電極を、7.0M NH4OH中で銀線を超音波処理し、それを脱イオン水およびエタノールですすぐことによって作成した。それらのサンプルをサイクリックボルタンメトリーによって測定した。それらは卓越した挙動を示した。
【0153】
本明細書に記載する実施例および実施形態は単に説明のためのものであること、それらにかんがみて様々な変形または変更が当業者に示唆されるであろうこと、およびそうした変形および変更が本出願の精神および権限ならびに添付のクレームの範囲に包含されるはずであることは、理解される。本明細書において引用したすべての出版物、特許および特許出願は、完全な形で、あらゆる目的で本明細書に参照により取り込まれている。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】図1は本発明の方法による耐熱性有機分子の基板への付着を概略的に説明する。
【図2】図2は本発明の方法において使用する例示の耐熱性有機分子を示す。
【図3】図3はパターン形成されたSi−H表面にポルフィリンを付着させるためのTHF中のポルフィリンアルコール(ポルフィリン−OH)の濃度の最適化を説明する。
【図4】図4はキャスティング・焼付けプロセスを使用するSi−H上へのポルフィリン−OH(化合物104)の付着に対する焼付け時間の影響を示す。他の条件:400℃、THF中1mM、100V/秒。
【図5】図5はパターン形成されたSi−H表面にポルフィリンアルコール(ポルフィリン−OH)を付着させるための焼付け温度の最適化を説明する。他の条件:THF中1mM、60分、100V/秒。
【図6A】図6AはSi−O−C結合によりSi(100)につながれているポルフィリン単分子層のサイクリックボルタンメトリー挙動を示す。
【図6B】図6Bはサイクル数の関数としてプロットした積分ボルタンメトリー信号(前記単分子層の電荷に対応する)を示す。
【図7】図7は基板への有機分子の無溶媒付着のための幾つかの基本的アプローチを説明する。
【図8】図8は、図7に図示したとおり作成したサンプルの一つ、パネル(a)、からのサイクリックボルタンメトリー(CyV)測定値を示す(この場合、前記サンプルは、そのプロセスの間、分子溶液に触れなかった)。
【図9】図9は気相分子付着のための2ゾーン炉を示す。
【図10】図10は、基板に有機分子を付着させるためのK−セルを利用するエピタキシーシステムを説明する。
【図11】図11は本明細書に記載の高温プロセスによって付着させたポルフィリンを説明する。Arは、メシチル、p−トリル、および/またはフェニル基から成る。
【図12】図12は、p型Si(100)微小電極上の化合物6および8(図11参照)の単分子層の高速走査サイクリックボルタンモグラム(100Vs-1)を示す図である。この溶媒/電解質上層は、1.0M Bu4NPF6を含有するプロピレンカーボネートから成る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レドックス活性分子を表面に結合させる方法であって、
付着基を有する耐熱性有機分子を提供することと;
前記分子および/または前記表面を少なくとも約100℃の温度に加熱することと;
前記分子を前記表面に接触させることにより前記分子が前記表面への共有結合を形成することと
を含む方法。
【請求項2】
前記有機分子を前記表面に電気的に結合させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記加熱が、不活性雰囲気下での加熱である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記加熱が、前記分子を気相になるまで加熱することを含み、前記接触が、前記気相を前記表面に接触させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記加熱が、前記分子および/または前記表面を、前記分子が前記表面と接触しているときに、加熱することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記加熱が、前記分子を前記表面に塗布し、それと同時にまたはその後、その分子および/または表面を加熱することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記分子が、溶媒中ではない、請求項4から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記分子の前記加熱が、少なくとも約200℃の温度に前記分子を加熱することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記分子の前記加熱が、少なくとも約300℃の温度に前記分子を加熱することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記分子の前記加熱が、少なくとも約400℃の温度に前記分子を加熱することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記加熱が、CVD装置内で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記加熱が、MBE装置内で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記表面が、III族元素、IV族元素、V族元素、III族元素を含む半導体、IV族元素を含む半導体、V族元素を含む半導体、遷移金属、および遷移金属酸化物から成る群より選択される材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記表面が、タングステン、タンタルおよびニオブから成る群より選択される遷移金属または遷移金属の酸化物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記表面が、Ga、Au、Ag、Cu、Al、Ta、Ti、Ru、Ir、Pt、Pd、Os、Mn、Hf、Zr、V、Nb、La、Y、Gd、Sr、Ba、Cs、Cr、Co、Ni、Zn、Ga、In、Cd、Rh、Re、W、Moから成る群より選択される金属の元素、合金、酸化物または窒化物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記III、IVまたはV族元素が、IV族元素またはドープIV族元素である、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記III、IVまたはV族元素が、シリコン、ゲルマニウム、ドープシリコンおよびドープゲルマニウムから成る群より選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記表面が、水素不動態化表面である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記耐熱性分子が、ポルフィリン、ポルフィリン大員環、環拡大ポルフィリン、環縮小ポルフィリン、線状ポルフィリンポリマー、ポルフィリンサンドイッチ配位錯体、およびポルフィリンアレイから成る群より選択されるレドックス活性分子である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記レドックス活性分子が、β位またはメソ位が置換されているポルフィリン大員環を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記レドックス活性分子が、偶数または奇数正孔酸化を有するように、約50Å未満の間隔で互いに離れて保持されている等エネルギーの少なくとも二つのポルフィリンを含有するポルフィリン大員環を含み、正孔は、前記二つのポルフィリン間でホップし、前記奇数正孔酸化状態は、前記ポルフィリン大員環の別の酸化状態と異なり、区別できる、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記付着基がアリール官能基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記アリール官能基が、ブロモ、ヨード、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、ホルミル、ブロモメチル、ビニル、アリル、S−アセチルチオメチル、Se−アセチルセレノメチル、エチニル、2−(トリメチルシリル)エチニル、メルカプト、メルカプトメチル、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル、およびジヒドロキシホスホリルから成る群より選択される官能基を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記付着基がアルキル官能基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記アルキル付着基が、ブロモ、ヨード、ヒドロキシ、ホルミル、ビニル、メルカプト、セレニル、S−アセチルチオ、Se−アセチルセレノ、エチニル、2−(トリメチルシリル)エチニル、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル、およびジヒドロキシホスホリルから成る群より選択される官能基を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記付着基が、アルコールまたはホスホネートを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記付着基が、4−(ヒドロキシメチル)フェニル、4−(S−アセチルチオメチル)フェニル、4−(Se−アセチルセレノメチル)フェニル、4−(メルカプトメチル)フェニル、4−(ヒドロセレノメチル)フェニル、4−ホルミルフェニル、4−(ブロモメチル)フェニル、4−ビニルフェニル、4−エチニルフェニル、4−アリルフェニル、4−[2−(トリメチルシリル)エチニル]フェニル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]フェニル、4−ブロモフェニル、4−ヨードフェニル、4−ヒドロキシフェニル、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル、ブロモ、ヨード、ヒドロキシメチル、S−アセチルチオメチル、Se−アセチルセレノメチル、メルカプトメチル、ヒドロセレノメチル、ホルミル、ブロモメチル、クロロメチル、エチニル、ビニル、アリル、4−[2−(4−ヒドロキシメチル)フェニル)エチニル]フェニル、4−(エチニル)ビフェン−4’−イル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]ビフェン−4’−イル、3,5−ジエチニルフェニル、および2−ブロモエチルから成る群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
付着基を有する前記耐熱性有機分子が、5−[4−(S−アセチルチオメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(メルカプトメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(ヒドロキシメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(ヒドロキシメチル)フェニル]−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−アリルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ホルミルフェニル)−15−フェニル−10,20−ジ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ブロモメチルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−エチニルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ヨードフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ブロモフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ヒドロキシフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−エチニルフェニル)−15,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−ヨード−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−ヨードフェニル)−15,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(2−トリメチルシリル)エチニル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−エチニルフェニル)−10,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−ヨードフェニル)−10,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10,15−トリス(4−エチニルフェニル)−20−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−エチニルフェニル)−10,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−エチニルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(3−エチニルフェニル)−10,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10,15,20−テトラキス(4−エチニルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス[4−(2−(トリメチルシリル)エチニル)フェニル]−15,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(3,5−ジエチニルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、3,7−ジブロモ−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(2−トリメチルシリル)エチニル)フェニル]−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(Se−アセチルセレノメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ヨードフェニル)−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−エチニルフェニル)−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−エチニルビフェン−4’−イル)−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ビニルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ビニルフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(ヒドロキシメチル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−アリルフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−アリルフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト銅(II)、c型トリプルデッカー[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[5,15−ビス(4−エチニルフェニル)−10,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィリン]、c型トリプルデッカー[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[5−[4−[2−(4−(ヒドロキシメチル)フェニル)エチニル]フェニル]−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィリン]、5,10−ビス[4−(2−(トリイソプロピルシリル)エチニル)ビフェン−4’−イル]−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、および5,10−ビス[4−(2−(トリイソプロピルシリル)エチニル)フェニル]−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)から成る群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記接触が、前記表面の特定の領域へ有機分子を選択的に接触させ他の領域へは接触させないこと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記接触が、前記表面の特定の領域へ揮発有機分子を選択的に接触させ他の領域へは接触させないこと、を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項31】
前記接触が、
表面の前記有機分子が付着すべきでない領域に保護被膜を配置することと;
前記分子と表面を接触させることと;および
その保護被膜を除去して、前記有機分子のない表面の領域を生じさせることと、
を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記接触が、表面への、前記有機分子を含む溶液または乾燥有機分子のコンタクトプリンティングを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記接触が、表面へ前記有機分子を含む溶液または乾燥有機分子を噴霧または滴下することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記接触が、表面を前記分子と接触させること、その後、前記表面の選択領域をエッチングして、前記有機分子を除去することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記接触が、分子線エピタキシー(MBE)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
前記接触が、化学蒸着法(CVD)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
前記接触が、プラズマ支援蒸着法を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記接触が、スパッタリングを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項39】
前記耐熱性有機分子が、少なくとも二つの異なる耐熱性有機分子種の混合物を含み、前記加熱が、前記混合物および/または表面を加熱することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項40】
レドックス活性分子を表面に結合させる方法であって、
前記分子を気相になるまで加熱することと;
前記分子を表面に接触させることで前記レドックス活性分子が前記表面に結合することと、
を含む方法。
【請求項41】
前記レドックス活性分子を表面に共有結合させる、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記レドックス活性分子を表面に電気的に結合させる、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
気相になるまでの前記分子の前記加熱が、少なくとも約100℃の温度へ前記分子を加熱することを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
気相になるまでの前記分子の前記加熱が、少なくとも約200℃の温度へ前記分子を加熱することを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
気相になるまでの前記分子の前記加熱が、少なくとも約300℃の温度へ前記分子を加熱することを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項46】
前記加熱が、CVD装置内で行われる、請求項40に記載の方法。
【請求項47】
前記加熱が、MBE装置内で行われる、請求項40に記載の方法。
【請求項48】
前記表面が、III族元素、IV族元素、V族元素、III族元素を含む半導体、IV族元素を含む半導体、V族元素を含む半導体、遷移金属、および遷移金属酸化物から成る群より選択される材料を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項49】
前記表面が、タングステン、タンタルおよびニオブから成る群より選択される遷移金属または遷移金属の酸化物もしくは窒化物を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項50】
前記表面が、Ga、Au、Ag、Cu、Al、Ta、Ti、Ru、Ir、Pt、Pd、Os、Mn、Hf、Zr、V、Nb、La、Y、Gd、Sr、Ba、Cs、Cr、Co、Ni、Zn、Ga、In、Cd、Rh、Re、W、Moから成る群より選択される金属の元素、合金、酸化物または窒化物を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項51】
前記III、IVまたはV族元素が、IV族元素またはドープIV族元素である、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記III、IVまたはV族元素が、シリコン、ゲルマニウム、ドープシリコンおよびドープゲルマニウムから成る群より選択される、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
前記表面が、水素不動態化表面である、請求項40に記載の方法。
【請求項54】
前記耐熱性分子が、ポルフィリン、ポルフィリン大員環、環拡大ポルフィリン、環縮小ポルフィリン、線状ポルフィリンポリマー、ポルフィリンサンドイッチ配位錯体、およびポルフィリンアレイから成る群より選択されるレドックス活性分子である、請求項40に記載の方法。
【請求項55】
前記レドックス活性分子が、β位またはメソ位が置換されているポルフィリン大員環を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記レドックス活性分子が、偶数または奇数正孔酸化を有するように、約50Å未満の間隔で互いに離れて保持されている等エネルギーの少なくとも二つのポルフィリンを含有するポルフィリン大員環を含み、正孔は、前記二つのポルフィリン間でホップし、前記奇数正孔酸化状態は、前記ポルフィリン大員環の別の酸化状態と異なり、区別できる、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
前記付着基が、アリール官能基を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項58】
前記アリール官能基が、ブロモ、ヨード、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、ホルミル、ブロモメチル、ビニル、アリル、S−アセチルチオメチル、Se−アセチルセレノメチル、エチニル、2−(トリメチルシリル)エチニル、メルカプト、メルカプトメチル、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル、およびジヒドロキシホスホリルから成る群より選択される官能基を含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記付着基が、アルキル官能基を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項60】
前記アルキル付着基が、ブロモ、ヨード、ヒドロキシ、ホルミル、ビニル、メルカプト、セレニル、S−アセチルチオ、Se−アセチルセレノ、エチニル、2−(トリメチルシリル)エチニル、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル、およびジヒドロキシホスホリルから成る群より選択される官能基を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記付着基が、アルコールまたはホスホネートを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項62】
前記付着基が、4−(ヒドロキシメチル)フェニル、4−(S−アセチルチオメチル)フェニル、4−(Se−アセチルセレノメチル)フェニル、4−(メルカプトメチル)フェニル、4−(ヒドロセレノメチル)フェニル、4−ホルミルフェニル、4−(ブロモメチル)フェニル、4−ビニルフェニル、4−エチニルフェニル、4−アリルフェニル、4−[2−(トリメチルシリル)エチニル]フェニル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]フェニル、4−ブロモフェニル、4−ヨードフェニル、4−ヒドロキシフェニル、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル、ブロモ、ヨード、ヒドロキシメチル、S−アセチルチオメチル、Se−アセチルセレノメチル、メルカプトメチル、ヒドロセレノメチル、ホルミル、ブロモメチル、クロロメチル、エチニル、ビニル、アリル、4−[2−(4−ヒドロキシメチル)フェニル)エチニル]フェニル、4−(エチニル)ビフェン−4’−イル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]ビフェン−4’−イル、3,5−ジエチニルフェニル、および2−ブロモエチルから成る群より選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項63】
付着基を有する前記耐熱性有機分子が、5−[4−(S−アセチルチオメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(メルカプトメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(ヒドロキシメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(ヒドロキシメチル)フェニル]−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−アリルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ホルミルフェニル)−15−フェニル−10,20−ジ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ブロモメチルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−エチニルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ヨードフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ブロモフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ヒドロキシフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−エチニルフェニル)−15,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−ヨード−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−ヨードフェニル)−15,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(2−トリメチルシリル)エチニル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−エチニルフェニル)−10,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−ヨードフェニル)−10,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10,15−トリス(4−エチニルフェニル)−20−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−エチニルフェニル)−10,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−エチニルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(3−エチニルフェニル)−10,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10,15,20−テトラキス(4−エチニルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス[4−(2−(トリメチルシリル)エチニル)フェニル]−15,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(3,5−ジエチニルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、3,7−ジブロモ−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(2−トリメチルシリル)エチニル)フェニル]−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(Se−アセチルセレノメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ヨードフェニル)−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−エチニルフェニル)−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−エチニルビフェン−4’−イル)−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ビニルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ビニルフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(ヒドロキシメチル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−アリルフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−アリルフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト銅(II)、c型トリプルデッカー[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[5,15−ビス(4−エチニルフェニル)−10,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィリン]、c型トリプルデッカー[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[5−[4−[2−(4−(ヒドロキシメチル)フェニル)エチニル]フェニル]−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィリン]、5,10−ビス[4−(2−(トリイソプロピルシリル)エチニル)ビフェン−4’−イル]−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、および5,10−ビス[4−(2−(トリイソプロピルシリル)エチニル)フェニル]−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)から成る群より選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項64】
前記接触が、揮発有機分子を表面の特定の領域へ選択的に接触させ他の領域へは接触させないことを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項65】
前記接触が、
表面の前記レドックス活性分子が付着すべきでない領域に保護被膜を配置することと;
前記分子と表面を接触させることと;
その保護被膜を除去して、前記レドックス活性分子のない表面の領域を生じさせることと
を含む、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記接触が表面を前記分子と接触させることと、その後表面の選択領域をエッチングして、前記有機分子を除去することとを含む、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
前記接触が、分子線エピタキシー(MBE)を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項68】
前記接触が、化学蒸着法(CVD)を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項69】
前記接触が、プラズマ支援蒸着法を含む、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記接触が、スパッタリングを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項71】
そこに共有結合した有機分子を有する表面であって、
前記表面はIII族元素、IV族元素、V族元素、ドープIII族元素、ドープIV族元素、ドープV族元素、遷移金属、および遷移金属酸化物から成る群より選択される材料の表面を含み、
前記有機分子は請求項1に記載の方法によって前記表面に結合されている、表面。
【請求項72】
前記有機分子が、レドックス活性分子である、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記有機分子が、ポルフィリン、ポルフィリン大員環、環拡大ポルフィリン、環縮小ポルフィリン、線状ポルフィリンポリマー、ポルフィリンサンドイッチ配位錯体、およびポルフィリンアレイから成る群より選択される、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記有機分子が、β位またはメソ位が置換されているポルフィリン大員環を含む、請求項72に記載の方法。
【請求項75】
レドックス活性分子をそこに付着させたIII、IVもしくはV族元素または遷移金属もしくは遷移金属酸化物を含むレドックス活性基板であって、
前記レドックス活性分子が、付着基によって前記III、IVまたはV族元素の表面に共有結合的に付着されており;
前記レドックス活性分子が、少なくとも約200℃の温度で安定な有機分子であり;
前記共有結合的付着が、シランによるものではない、レドックス活性基板。
【請求項76】
前記レドックス活性分子が、炭素、酸素、硫黄またはセレンの原子を含むリンカーによって表面に結合している、請求項75に記載の基板。
【請求項77】
前記レドックス活性分子が、ポルフィリン、ポルフィリン大員環、環拡大ポルフィリン、環縮小ポルフィリン、線状ポルフィリンポリマー、ポルフィリンサンドイッチ配位錯体、およびポルフィリンアレイから成る群より選択される、請求項75に記載の基板。
【請求項78】
前記レドックス活性体が、β位またはメソ位が置換されているポルフィリン大員環を含む、請求項75に記載の基板。
【請求項79】
前記付着基が、アリール官能基を含む、請求項75に記載の基板。
【請求項80】
前記アリール官能基が、ブロモ、ヨード、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、ホルミル、ブロモメチル、ビニル、アリル、S−アセチルチオメチル、Se−アセチルセレノメチル、エチニル、2−(トリメチルシリル)エチニル、メルカプト、メルカプトメチル、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル、およびジヒドロキシホスホリルから成る群より選択される官能基を含む、請求項79に記載の基板。
【請求項81】
前記付着基が、アルキル官能基を含む、請求項75に記載の基板。
【請求項82】
前記アルキル付着基が、ブロモ、ヨード、ヒドロキシ、ホルミル、ビニル、メルカプト、セレニル、S−アセチルチオ、Se−アセチルセレノ、エチニル、2−(トリメチルシリル)エチニル、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル、およびジヒドロキシホスホリルから成る群より選択される官能基を含む、請求項81に記載の基板。
【請求項83】
前記付着基が、アルコールまたはホスホネートを含む、請求項75に記載の基板。
【請求項84】
前記付着基が、4−(ヒドロキシメチル)フェニル、4−(S−アセチルチオメチル)フェニル、4−(Se−アセチルセレノメチル)フェニル、4−(メルカプトメチル)フェニル、4−(ヒドロセレノメチル)フェニル、4−ホルミルフェニル、4−(ブロモメチル)フェニル、4−ビニルフェニル、4−エチニルフェニル、4−アリルフェニル、4−[2−(トリメチルシリル)エチニル]フェニル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]フェニル、4−ブロモフェニル、4−ヨードフェニル、4−ヒドロキシフェニル、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル、ブロモ、ヨード、ヒドロキシメチル、S−アセチルチオメチル、Se−アセチルセレノメチル、メルカプトメチル、ヒドロセレノメチル、ホルミル、ブロモメチル、クロロメチル、エチニル、ビニル、アリル、4−[2−(4−ヒドロキシメチル)フェニル)エチニル]フェニル、4−(エチニル)ビフェン−4’−イル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]ビフェン−4’−イル、3,5−ジエチニルフェニル、および2−ブロモエチルから成る群より選択される、請求項75に記載の基板。
【請求項85】
付着基に付着している前記レドックス活性体が、5−[4−(S−アセチルチオメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(メルカプトメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(ヒドロキシメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(ヒドロキシメチル)フェニル]−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−アリルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ホルミルフェニル)−15−フェニル−10,20−ジ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ブロモメチルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−エチニルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ヨードフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ブロモフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ヒドロキシフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−エチニルフェニル)−15,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−ヨード−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−ヨードフェニル)−15,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(2−トリメチルシリル)エチニル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−エチニルフェニル)−10,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−ヨードフェニル)−10,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10,15−トリス(4−エチニルフェニル)−20−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−エチニルフェニル)−10,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−エチニルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(3−エチニルフェニル)−10,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10,15,20−テトラキス(4−エチニルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス[4−(2−(トリメチルシリル)エチニル)フェニル]−15,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(3,5−ジエチニルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、3,7−ジブロモ−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(2−トリメチルシリル)エチニル)フェニル]−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(Se−アセチルセレノメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ヨードフェニル)−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−エチニルフェニル)−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−エチニルビフェン−4’−イル)−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ビニルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ビニルフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(ヒドロキシメチル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−アリルフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−アリルフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト銅(II)、c型トリプルデッカー[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[5,15−ビス(4−エチニルフェニル)−10,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィリン]、c型トリプルデッカー[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[5−[4−[2−(4−(ヒドロキシメチル)フェニル)エチニル]フェニル]−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィリン]、5,10−ビス[4−(2−(トリイソプロピルシリル)エチニル)ビフェニル−4’−イル]−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、および5,10−ビス[4−(2−(トリイソプロピルシリル)エチニル)フェニル]−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)から成る群より選択される、請求項75に記載の基板。
【請求項86】
IV族元素を含む、請求項75に記載の基板。
【請求項87】
前記III、IVまたはV族元素が、シリコンまたはゲルマニウムである、請求項75に記載の基板。
【請求項88】
ドープゲルマニウム表面を含む、請求項87に記載の基板。
【請求項89】
ドープシリコン表面を含む、請求項87に記載の基板。
【請求項90】
n型ドープシリコン表面を含む、請求項89に記載の基板。
【請求項91】
p型ドープシリコン表面を含む、請求項89に記載の基板。
【請求項92】
タングステン、タンタルおよびニオブから成る群より選択される遷移金属または遷移金属の酸化物を含む、請求項75に記載の基板。
【請求項93】
前記表面が、Ga、Au、Ag、Cu、Al、Ta、Ti、Ru、Ir、Pt、Pd、Os、Mn、Hf、Zr、V、Nb、La、Y、Gd、Sr、Ba、Cs、Cr、Co、Ni、Zn、Ga、In、Cd、Rh、Re、W、Moから成る群より選択される金属の元素、合金、酸化物または窒化物を含む、請求項75に記載の基板。
【請求項94】
電気化学的電池を含む、請求項75に記載の基板。
【請求項95】
多数のメモリ素子を含む、請求項75に記載の基板。
【請求項96】
一つ以上の集積回路素子をさらに含む、請求項75に記載の基板。
【請求項97】
前記回路素子が、トランジスタ、ダイオード、論理ゲート、および整流器から成る群より選択される、請求項96に記載の基板。
【請求項98】
基板上のレドックス活性分子が、その分子の酸化状態を読み取るまたはセットする装置に電気的に結合されている、請求項75に記載の基板。
【請求項99】
基板上のレドックス活性分子が、ボルタンメトリー装置、アンペロメトリー装置、ポテンシオメトリー装置、クーロメトリー装置、およびインピーダンススペクトロメータから成る群より選択される装置に結合されている、請求項75に記載の基板。
【請求項100】
基板上のレドックス活性分子が、正弦波電圧電流計に結合されている、請求項75に記載の基板。
【請求項101】
付着基で誘導化された耐熱性有機分子を提供することと;
前記分子および/または表面を少なくとも約100℃の温度に加熱することと;
前記分子を前記表面と接触させることと
を含む方法であって、
前記表面がIII、IVもしくはV族元素または遷移金属もしくは金属酸化物を含み、前記分子を前記表面上の多数の別個の位置で接触させることで前記付着基が、前記多数の別個の位置で前記表面と共有またはイオン結合を形成する、規則分子集合体を製造する方法。
【請求項102】
前記分子および/または前記表面が、少なくとも約300℃の温度に加熱される、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記分子および/または前記表面が、少なくとも約400℃の温度に加熱される、請求項101に記載の方法。
【請求項104】
付着基で誘導化された耐熱性有機分子を収容する容器
を含む、III、IVもしくはV族タイプの材料または遷移金属もしくは遷移金属酸化物の表面に有機分子を結合するためのキット。
【請求項105】
有機分子を表面にその分子および/または表面を約200℃以上の温度に加熱することによって結合させることを教示する教材をさらに含む、請求項104に記載のキット。
【請求項1】
レドックス活性分子を表面に結合させる方法であって、
付着基を有する耐熱性有機分子を提供することと;
前記分子および/または前記表面を少なくとも約100℃の温度に加熱することと;
前記分子を前記表面に接触させることにより前記分子が前記表面への共有結合を形成することと
を含む方法。
【請求項2】
前記有機分子を前記表面に電気的に結合させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記加熱が、不活性雰囲気下での加熱である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記加熱が、前記分子を気相になるまで加熱することを含み、前記接触が、前記気相を前記表面に接触させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記加熱が、前記分子および/または前記表面を、前記分子が前記表面と接触しているときに、加熱することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記加熱が、前記分子を前記表面に塗布し、それと同時にまたはその後、その分子および/または表面を加熱することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記分子が、溶媒中ではない、請求項4から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記分子の前記加熱が、少なくとも約200℃の温度に前記分子を加熱することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記分子の前記加熱が、少なくとも約300℃の温度に前記分子を加熱することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記分子の前記加熱が、少なくとも約400℃の温度に前記分子を加熱することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記加熱が、CVD装置内で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記加熱が、MBE装置内で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記表面が、III族元素、IV族元素、V族元素、III族元素を含む半導体、IV族元素を含む半導体、V族元素を含む半導体、遷移金属、および遷移金属酸化物から成る群より選択される材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記表面が、タングステン、タンタルおよびニオブから成る群より選択される遷移金属または遷移金属の酸化物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記表面が、Ga、Au、Ag、Cu、Al、Ta、Ti、Ru、Ir、Pt、Pd、Os、Mn、Hf、Zr、V、Nb、La、Y、Gd、Sr、Ba、Cs、Cr、Co、Ni、Zn、Ga、In、Cd、Rh、Re、W、Moから成る群より選択される金属の元素、合金、酸化物または窒化物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記III、IVまたはV族元素が、IV族元素またはドープIV族元素である、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記III、IVまたはV族元素が、シリコン、ゲルマニウム、ドープシリコンおよびドープゲルマニウムから成る群より選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記表面が、水素不動態化表面である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記耐熱性分子が、ポルフィリン、ポルフィリン大員環、環拡大ポルフィリン、環縮小ポルフィリン、線状ポルフィリンポリマー、ポルフィリンサンドイッチ配位錯体、およびポルフィリンアレイから成る群より選択されるレドックス活性分子である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記レドックス活性分子が、β位またはメソ位が置換されているポルフィリン大員環を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記レドックス活性分子が、偶数または奇数正孔酸化を有するように、約50Å未満の間隔で互いに離れて保持されている等エネルギーの少なくとも二つのポルフィリンを含有するポルフィリン大員環を含み、正孔は、前記二つのポルフィリン間でホップし、前記奇数正孔酸化状態は、前記ポルフィリン大員環の別の酸化状態と異なり、区別できる、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記付着基がアリール官能基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記アリール官能基が、ブロモ、ヨード、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、ホルミル、ブロモメチル、ビニル、アリル、S−アセチルチオメチル、Se−アセチルセレノメチル、エチニル、2−(トリメチルシリル)エチニル、メルカプト、メルカプトメチル、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル、およびジヒドロキシホスホリルから成る群より選択される官能基を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記付着基がアルキル官能基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記アルキル付着基が、ブロモ、ヨード、ヒドロキシ、ホルミル、ビニル、メルカプト、セレニル、S−アセチルチオ、Se−アセチルセレノ、エチニル、2−(トリメチルシリル)エチニル、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル、およびジヒドロキシホスホリルから成る群より選択される官能基を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記付着基が、アルコールまたはホスホネートを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記付着基が、4−(ヒドロキシメチル)フェニル、4−(S−アセチルチオメチル)フェニル、4−(Se−アセチルセレノメチル)フェニル、4−(メルカプトメチル)フェニル、4−(ヒドロセレノメチル)フェニル、4−ホルミルフェニル、4−(ブロモメチル)フェニル、4−ビニルフェニル、4−エチニルフェニル、4−アリルフェニル、4−[2−(トリメチルシリル)エチニル]フェニル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]フェニル、4−ブロモフェニル、4−ヨードフェニル、4−ヒドロキシフェニル、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル、ブロモ、ヨード、ヒドロキシメチル、S−アセチルチオメチル、Se−アセチルセレノメチル、メルカプトメチル、ヒドロセレノメチル、ホルミル、ブロモメチル、クロロメチル、エチニル、ビニル、アリル、4−[2−(4−ヒドロキシメチル)フェニル)エチニル]フェニル、4−(エチニル)ビフェン−4’−イル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]ビフェン−4’−イル、3,5−ジエチニルフェニル、および2−ブロモエチルから成る群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
付着基を有する前記耐熱性有機分子が、5−[4−(S−アセチルチオメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(メルカプトメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(ヒドロキシメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(ヒドロキシメチル)フェニル]−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−アリルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ホルミルフェニル)−15−フェニル−10,20−ジ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ブロモメチルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−エチニルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ヨードフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ブロモフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ヒドロキシフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−エチニルフェニル)−15,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−ヨード−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−ヨードフェニル)−15,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(2−トリメチルシリル)エチニル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−エチニルフェニル)−10,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−ヨードフェニル)−10,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10,15−トリス(4−エチニルフェニル)−20−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−エチニルフェニル)−10,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−エチニルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(3−エチニルフェニル)−10,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10,15,20−テトラキス(4−エチニルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス[4−(2−(トリメチルシリル)エチニル)フェニル]−15,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(3,5−ジエチニルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、3,7−ジブロモ−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(2−トリメチルシリル)エチニル)フェニル]−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(Se−アセチルセレノメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ヨードフェニル)−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−エチニルフェニル)−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−エチニルビフェン−4’−イル)−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ビニルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ビニルフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(ヒドロキシメチル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−アリルフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−アリルフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト銅(II)、c型トリプルデッカー[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[5,15−ビス(4−エチニルフェニル)−10,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィリン]、c型トリプルデッカー[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[5−[4−[2−(4−(ヒドロキシメチル)フェニル)エチニル]フェニル]−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィリン]、5,10−ビス[4−(2−(トリイソプロピルシリル)エチニル)ビフェン−4’−イル]−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、および5,10−ビス[4−(2−(トリイソプロピルシリル)エチニル)フェニル]−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)から成る群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記接触が、前記表面の特定の領域へ有機分子を選択的に接触させ他の領域へは接触させないこと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記接触が、前記表面の特定の領域へ揮発有機分子を選択的に接触させ他の領域へは接触させないこと、を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項31】
前記接触が、
表面の前記有機分子が付着すべきでない領域に保護被膜を配置することと;
前記分子と表面を接触させることと;および
その保護被膜を除去して、前記有機分子のない表面の領域を生じさせることと、
を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記接触が、表面への、前記有機分子を含む溶液または乾燥有機分子のコンタクトプリンティングを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記接触が、表面へ前記有機分子を含む溶液または乾燥有機分子を噴霧または滴下することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記接触が、表面を前記分子と接触させること、その後、前記表面の選択領域をエッチングして、前記有機分子を除去することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記接触が、分子線エピタキシー(MBE)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
前記接触が、化学蒸着法(CVD)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
前記接触が、プラズマ支援蒸着法を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記接触が、スパッタリングを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項39】
前記耐熱性有機分子が、少なくとも二つの異なる耐熱性有機分子種の混合物を含み、前記加熱が、前記混合物および/または表面を加熱することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項40】
レドックス活性分子を表面に結合させる方法であって、
前記分子を気相になるまで加熱することと;
前記分子を表面に接触させることで前記レドックス活性分子が前記表面に結合することと、
を含む方法。
【請求項41】
前記レドックス活性分子を表面に共有結合させる、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記レドックス活性分子を表面に電気的に結合させる、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
気相になるまでの前記分子の前記加熱が、少なくとも約100℃の温度へ前記分子を加熱することを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
気相になるまでの前記分子の前記加熱が、少なくとも約200℃の温度へ前記分子を加熱することを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
気相になるまでの前記分子の前記加熱が、少なくとも約300℃の温度へ前記分子を加熱することを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項46】
前記加熱が、CVD装置内で行われる、請求項40に記載の方法。
【請求項47】
前記加熱が、MBE装置内で行われる、請求項40に記載の方法。
【請求項48】
前記表面が、III族元素、IV族元素、V族元素、III族元素を含む半導体、IV族元素を含む半導体、V族元素を含む半導体、遷移金属、および遷移金属酸化物から成る群より選択される材料を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項49】
前記表面が、タングステン、タンタルおよびニオブから成る群より選択される遷移金属または遷移金属の酸化物もしくは窒化物を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項50】
前記表面が、Ga、Au、Ag、Cu、Al、Ta、Ti、Ru、Ir、Pt、Pd、Os、Mn、Hf、Zr、V、Nb、La、Y、Gd、Sr、Ba、Cs、Cr、Co、Ni、Zn、Ga、In、Cd、Rh、Re、W、Moから成る群より選択される金属の元素、合金、酸化物または窒化物を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項51】
前記III、IVまたはV族元素が、IV族元素またはドープIV族元素である、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記III、IVまたはV族元素が、シリコン、ゲルマニウム、ドープシリコンおよびドープゲルマニウムから成る群より選択される、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
前記表面が、水素不動態化表面である、請求項40に記載の方法。
【請求項54】
前記耐熱性分子が、ポルフィリン、ポルフィリン大員環、環拡大ポルフィリン、環縮小ポルフィリン、線状ポルフィリンポリマー、ポルフィリンサンドイッチ配位錯体、およびポルフィリンアレイから成る群より選択されるレドックス活性分子である、請求項40に記載の方法。
【請求項55】
前記レドックス活性分子が、β位またはメソ位が置換されているポルフィリン大員環を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記レドックス活性分子が、偶数または奇数正孔酸化を有するように、約50Å未満の間隔で互いに離れて保持されている等エネルギーの少なくとも二つのポルフィリンを含有するポルフィリン大員環を含み、正孔は、前記二つのポルフィリン間でホップし、前記奇数正孔酸化状態は、前記ポルフィリン大員環の別の酸化状態と異なり、区別できる、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
前記付着基が、アリール官能基を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項58】
前記アリール官能基が、ブロモ、ヨード、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、ホルミル、ブロモメチル、ビニル、アリル、S−アセチルチオメチル、Se−アセチルセレノメチル、エチニル、2−(トリメチルシリル)エチニル、メルカプト、メルカプトメチル、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル、およびジヒドロキシホスホリルから成る群より選択される官能基を含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記付着基が、アルキル官能基を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項60】
前記アルキル付着基が、ブロモ、ヨード、ヒドロキシ、ホルミル、ビニル、メルカプト、セレニル、S−アセチルチオ、Se−アセチルセレノ、エチニル、2−(トリメチルシリル)エチニル、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル、およびジヒドロキシホスホリルから成る群より選択される官能基を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記付着基が、アルコールまたはホスホネートを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項62】
前記付着基が、4−(ヒドロキシメチル)フェニル、4−(S−アセチルチオメチル)フェニル、4−(Se−アセチルセレノメチル)フェニル、4−(メルカプトメチル)フェニル、4−(ヒドロセレノメチル)フェニル、4−ホルミルフェニル、4−(ブロモメチル)フェニル、4−ビニルフェニル、4−エチニルフェニル、4−アリルフェニル、4−[2−(トリメチルシリル)エチニル]フェニル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]フェニル、4−ブロモフェニル、4−ヨードフェニル、4−ヒドロキシフェニル、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル、ブロモ、ヨード、ヒドロキシメチル、S−アセチルチオメチル、Se−アセチルセレノメチル、メルカプトメチル、ヒドロセレノメチル、ホルミル、ブロモメチル、クロロメチル、エチニル、ビニル、アリル、4−[2−(4−ヒドロキシメチル)フェニル)エチニル]フェニル、4−(エチニル)ビフェン−4’−イル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]ビフェン−4’−イル、3,5−ジエチニルフェニル、および2−ブロモエチルから成る群より選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項63】
付着基を有する前記耐熱性有機分子が、5−[4−(S−アセチルチオメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(メルカプトメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(ヒドロキシメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(ヒドロキシメチル)フェニル]−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−アリルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ホルミルフェニル)−15−フェニル−10,20−ジ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ブロモメチルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−エチニルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ヨードフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ブロモフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ヒドロキシフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−エチニルフェニル)−15,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−ヨード−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−ヨードフェニル)−15,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(2−トリメチルシリル)エチニル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−エチニルフェニル)−10,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−ヨードフェニル)−10,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10,15−トリス(4−エチニルフェニル)−20−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−エチニルフェニル)−10,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−エチニルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(3−エチニルフェニル)−10,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10,15,20−テトラキス(4−エチニルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス[4−(2−(トリメチルシリル)エチニル)フェニル]−15,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(3,5−ジエチニルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、3,7−ジブロモ−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(2−トリメチルシリル)エチニル)フェニル]−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(Se−アセチルセレノメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ヨードフェニル)−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−エチニルフェニル)−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−エチニルビフェン−4’−イル)−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ビニルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ビニルフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(ヒドロキシメチル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−アリルフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−アリルフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト銅(II)、c型トリプルデッカー[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[5,15−ビス(4−エチニルフェニル)−10,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィリン]、c型トリプルデッカー[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[5−[4−[2−(4−(ヒドロキシメチル)フェニル)エチニル]フェニル]−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィリン]、5,10−ビス[4−(2−(トリイソプロピルシリル)エチニル)ビフェン−4’−イル]−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、および5,10−ビス[4−(2−(トリイソプロピルシリル)エチニル)フェニル]−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)から成る群より選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項64】
前記接触が、揮発有機分子を表面の特定の領域へ選択的に接触させ他の領域へは接触させないことを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項65】
前記接触が、
表面の前記レドックス活性分子が付着すべきでない領域に保護被膜を配置することと;
前記分子と表面を接触させることと;
その保護被膜を除去して、前記レドックス活性分子のない表面の領域を生じさせることと
を含む、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記接触が表面を前記分子と接触させることと、その後表面の選択領域をエッチングして、前記有機分子を除去することとを含む、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
前記接触が、分子線エピタキシー(MBE)を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項68】
前記接触が、化学蒸着法(CVD)を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項69】
前記接触が、プラズマ支援蒸着法を含む、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記接触が、スパッタリングを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項71】
そこに共有結合した有機分子を有する表面であって、
前記表面はIII族元素、IV族元素、V族元素、ドープIII族元素、ドープIV族元素、ドープV族元素、遷移金属、および遷移金属酸化物から成る群より選択される材料の表面を含み、
前記有機分子は請求項1に記載の方法によって前記表面に結合されている、表面。
【請求項72】
前記有機分子が、レドックス活性分子である、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記有機分子が、ポルフィリン、ポルフィリン大員環、環拡大ポルフィリン、環縮小ポルフィリン、線状ポルフィリンポリマー、ポルフィリンサンドイッチ配位錯体、およびポルフィリンアレイから成る群より選択される、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記有機分子が、β位またはメソ位が置換されているポルフィリン大員環を含む、請求項72に記載の方法。
【請求項75】
レドックス活性分子をそこに付着させたIII、IVもしくはV族元素または遷移金属もしくは遷移金属酸化物を含むレドックス活性基板であって、
前記レドックス活性分子が、付着基によって前記III、IVまたはV族元素の表面に共有結合的に付着されており;
前記レドックス活性分子が、少なくとも約200℃の温度で安定な有機分子であり;
前記共有結合的付着が、シランによるものではない、レドックス活性基板。
【請求項76】
前記レドックス活性分子が、炭素、酸素、硫黄またはセレンの原子を含むリンカーによって表面に結合している、請求項75に記載の基板。
【請求項77】
前記レドックス活性分子が、ポルフィリン、ポルフィリン大員環、環拡大ポルフィリン、環縮小ポルフィリン、線状ポルフィリンポリマー、ポルフィリンサンドイッチ配位錯体、およびポルフィリンアレイから成る群より選択される、請求項75に記載の基板。
【請求項78】
前記レドックス活性体が、β位またはメソ位が置換されているポルフィリン大員環を含む、請求項75に記載の基板。
【請求項79】
前記付着基が、アリール官能基を含む、請求項75に記載の基板。
【請求項80】
前記アリール官能基が、ブロモ、ヨード、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、ホルミル、ブロモメチル、ビニル、アリル、S−アセチルチオメチル、Se−アセチルセレノメチル、エチニル、2−(トリメチルシリル)エチニル、メルカプト、メルカプトメチル、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル、およびジヒドロキシホスホリルから成る群より選択される官能基を含む、請求項79に記載の基板。
【請求項81】
前記付着基が、アルキル官能基を含む、請求項75に記載の基板。
【請求項82】
前記アルキル付着基が、ブロモ、ヨード、ヒドロキシ、ホルミル、ビニル、メルカプト、セレニル、S−アセチルチオ、Se−アセチルセレノ、エチニル、2−(トリメチルシリル)エチニル、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル、およびジヒドロキシホスホリルから成る群より選択される官能基を含む、請求項81に記載の基板。
【請求項83】
前記付着基が、アルコールまたはホスホネートを含む、請求項75に記載の基板。
【請求項84】
前記付着基が、4−(ヒドロキシメチル)フェニル、4−(S−アセチルチオメチル)フェニル、4−(Se−アセチルセレノメチル)フェニル、4−(メルカプトメチル)フェニル、4−(ヒドロセレノメチル)フェニル、4−ホルミルフェニル、4−(ブロモメチル)フェニル、4−ビニルフェニル、4−エチニルフェニル、4−アリルフェニル、4−[2−(トリメチルシリル)エチニル]フェニル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]フェニル、4−ブロモフェニル、4−ヨードフェニル、4−ヒドロキシフェニル、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル、ブロモ、ヨード、ヒドロキシメチル、S−アセチルチオメチル、Se−アセチルセレノメチル、メルカプトメチル、ヒドロセレノメチル、ホルミル、ブロモメチル、クロロメチル、エチニル、ビニル、アリル、4−[2−(4−ヒドロキシメチル)フェニル)エチニル]フェニル、4−(エチニル)ビフェン−4’−イル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]ビフェン−4’−イル、3,5−ジエチニルフェニル、および2−ブロモエチルから成る群より選択される、請求項75に記載の基板。
【請求項85】
付着基に付着している前記レドックス活性体が、5−[4−(S−アセチルチオメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(メルカプトメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(ヒドロキシメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(ヒドロキシメチル)フェニル]−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−アリルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ホルミルフェニル)−15−フェニル−10,20−ジ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ブロモメチルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−エチニルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ヨードフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ブロモフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ヒドロキシフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−エチニルフェニル)−15,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−ヨード−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−ヨードフェニル)−15,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(2−トリメチルシリル)エチニル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−エチニルフェニル)−10,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−ヨードフェニル)−10,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10,15−トリス(4−エチニルフェニル)−20−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−エチニルフェニル)−10,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−エチニルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(3−エチニルフェニル)−10,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10,15,20−テトラキス(4−エチニルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス[4−(2−(トリメチルシリル)エチニル)フェニル]−15,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(3,5−ジエチニルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、3,7−ジブロモ−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(2−トリメチルシリル)エチニル)フェニル]−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(Se−アセチルセレノメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ヨードフェニル)−10,20−ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−エチニルフェニル)−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−エチニルビフェン−4’−イル)−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ビニルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ビニルフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(ヒドロキシメチル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−アリルフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−アリルフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト銅(II)、c型トリプルデッカー[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[5,15−ビス(4−エチニルフェニル)−10,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィリン]、c型トリプルデッカー[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[(t−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[5−[4−[2−(4−(ヒドロキシメチル)フェニル)エチニル]フェニル]−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィリン]、5,10−ビス[4−(2−(トリイソプロピルシリル)エチニル)ビフェニル−4’−イル]−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、および5,10−ビス[4−(2−(トリイソプロピルシリル)エチニル)フェニル]−15,20−ビス(4−t−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)から成る群より選択される、請求項75に記載の基板。
【請求項86】
IV族元素を含む、請求項75に記載の基板。
【請求項87】
前記III、IVまたはV族元素が、シリコンまたはゲルマニウムである、請求項75に記載の基板。
【請求項88】
ドープゲルマニウム表面を含む、請求項87に記載の基板。
【請求項89】
ドープシリコン表面を含む、請求項87に記載の基板。
【請求項90】
n型ドープシリコン表面を含む、請求項89に記載の基板。
【請求項91】
p型ドープシリコン表面を含む、請求項89に記載の基板。
【請求項92】
タングステン、タンタルおよびニオブから成る群より選択される遷移金属または遷移金属の酸化物を含む、請求項75に記載の基板。
【請求項93】
前記表面が、Ga、Au、Ag、Cu、Al、Ta、Ti、Ru、Ir、Pt、Pd、Os、Mn、Hf、Zr、V、Nb、La、Y、Gd、Sr、Ba、Cs、Cr、Co、Ni、Zn、Ga、In、Cd、Rh、Re、W、Moから成る群より選択される金属の元素、合金、酸化物または窒化物を含む、請求項75に記載の基板。
【請求項94】
電気化学的電池を含む、請求項75に記載の基板。
【請求項95】
多数のメモリ素子を含む、請求項75に記載の基板。
【請求項96】
一つ以上の集積回路素子をさらに含む、請求項75に記載の基板。
【請求項97】
前記回路素子が、トランジスタ、ダイオード、論理ゲート、および整流器から成る群より選択される、請求項96に記載の基板。
【請求項98】
基板上のレドックス活性分子が、その分子の酸化状態を読み取るまたはセットする装置に電気的に結合されている、請求項75に記載の基板。
【請求項99】
基板上のレドックス活性分子が、ボルタンメトリー装置、アンペロメトリー装置、ポテンシオメトリー装置、クーロメトリー装置、およびインピーダンススペクトロメータから成る群より選択される装置に結合されている、請求項75に記載の基板。
【請求項100】
基板上のレドックス活性分子が、正弦波電圧電流計に結合されている、請求項75に記載の基板。
【請求項101】
付着基で誘導化された耐熱性有機分子を提供することと;
前記分子および/または表面を少なくとも約100℃の温度に加熱することと;
前記分子を前記表面と接触させることと
を含む方法であって、
前記表面がIII、IVもしくはV族元素または遷移金属もしくは金属酸化物を含み、前記分子を前記表面上の多数の別個の位置で接触させることで前記付着基が、前記多数の別個の位置で前記表面と共有またはイオン結合を形成する、規則分子集合体を製造する方法。
【請求項102】
前記分子および/または前記表面が、少なくとも約300℃の温度に加熱される、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記分子および/または前記表面が、少なくとも約400℃の温度に加熱される、請求項101に記載の方法。
【請求項104】
付着基で誘導化された耐熱性有機分子を収容する容器
を含む、III、IVもしくはV族タイプの材料または遷移金属もしくは遷移金属酸化物の表面に有機分子を結合するためのキット。
【請求項105】
有機分子を表面にその分子および/または表面を約200℃以上の温度に加熱することによって結合させることを教示する教材をさらに含む、請求項104に記載のキット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2007−502013(P2007−502013A)
【公表日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521986(P2006−521986)
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【国際出願番号】PCT/US2004/024105
【国際公開番号】WO2005/043583
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(500027932)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (39)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【国際出願番号】PCT/US2004/024105
【国際公開番号】WO2005/043583
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(500027932)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (39)
【Fターム(参考)】
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