説明

基板を有する平面変換器

一次的信号を二次的信号に変換する変換器1は、巻き線を有する基板11−14、21−23を含む、一次部分および二次部分を備えている。たとえば互いに隣接する基板11−14、21−23の任意のペアの間に、ゼロよりも大きな距離を導入することにより、変換器1の寄生容量が低減させられ、二次的信号は、1kV/μsecよりも大きな立上り時間を有する、比較的高速/高電圧のパルスを含むものとされ得る。近接効果およびその結果としての損失を減らすため、一次および二次基板11−14、21−23を、インターリーブされた態様で重ねることができる。かかるサンドイッチ構造は、漏れインダクタンスを低減させる。1つの特定の方向において容量損失をさらに減らすために、連続する一次基板11−14、21−23間の距離、および一次基板ならびに二次基板11−14、21−23の連続する組の間の距離が、その特定の方向に沿って増大させられる。比較的近接した基板11−14、21−23の間には比較的低い電位差が存在し、互いに比較的離れた基板11−14、21−23の間には比較的高い電位差が存在し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一次的信号を二次的信号に変換する変換器に関するものである。本発明はまた、かかる変換器を含むデバイス、およびかかる変換器の生産方法にも関するものである。
【背景技術】
【0002】
米国特許US6211767B1号は、その表題において平面変換器(planar transformer)を開示し、その図13において、1つの一次プリント回路基板と2つの二次プリント回路基板とを含む平面変換器を開示している。一次プリント回路基板は、二次プリント回路基板同士の間に挟まれている。一次プリント回路基板と平行に配された銅製スペーサが、二次プリント回路基板同士を相互接続している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の1つの目的は、一次的信号を、比較的高速のパルスおよび/または比較的高電圧のパルスを含み得る二次的信号に、変換する変換器を提供することである。かかるパルスは、たとえば、1kV/μsecよりも大きな立上り時間を有するものとされる。
【0004】
本発明のさらなる目的は、かかる変換器を含むデバイスを提供すること、およびかかる変換器の生産方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の側面によれば、一次的信号を二次的信号に変換する変換器は、上記の一次的信号を受け取る一次部分と、上記の二次的信号を供給する二次部分とを含み、上記の一次部分および二次部分が、それぞれ少なくとも1つの基板を含んでおり、各基板が、少なくとも1巻きの巻き線の少なくとも一部を含んでおり、2つの隣接する基板間の距離が、ゼロよりも大きくされている変換器によって規定される。
【0006】
たとえば互いに隣接する基板の任意のペアの間に、ゼロよりも大きな距離を導入することにより、変換器の寄生容量が低減させられる。その結果、二次的信号は、1kV/μsecよりも大きな立上り時間を有する、比較的高速のパルスおよび/または比較的高電圧のパルスを含むものとされ得る。
【0007】
たとえば銅の巻き線を有するプリント回路基板、またはたとえば絶縁層と導電層とを有する別の基板といったような各基板は、少なくとも1巻きの巻き線の少なくとも一部を含むものとされる。この巻き線は、たとえば、1つ以上のパターン化された導電性トレース(たとえば銅製トレース)から形成される。1つのトレースは、たとえばほぼ閉状態の環状パターンを形成し、それにより、ワイヤにより形成された1巻分すなわち1ループ分の巻き線と電磁的に等価なものを形成する。パターンは、C字型の形態であってもよく、その場合、C字の端点は端子点となる。
【0008】
上記の変換器の1つの実施形態によれば、上記の変換器は、上記の一次部分および二次部分の一方が、少なくとも第1および第2の基板を含んでおり、上記の一次部分および二次部分の他方が、少なくとも1つのさらなる基板を含んでおり、上記のさらなる基板の少なくとも一部が、上記の第1および第2の基板の間に配されているものとして規定される。
【0009】
一次基板と二次基板とをインターリーブされた態様で重ねることにより、換言すると一次基板と二次基板とのサンドイッチ構造を形成することにより、近接効果が低減させられ、かつかかる近接効果によってもたらされる損失が低減させられる。
【0010】
上記の変換器の1つの実施形態によれば、上記の変換器は、上記の一次部分および二次部分の一方が、少なくとも第1および第2および第3の基板を含んでおり、上記の一次部分および二次部分の他方が、少なくとも第4および第5の基板を含んでおり、第4の基板の少なくとも一部が、第1および第2の基板の間に配されており、第5の基板の少なくとも一部が、第2および第3の基板の間に配されているものとして規定される。
【0011】
一次基板と二次基板とをインターリーブされた態様で重ねることにより、換言すると一次基板と二次基板とのサンドイッチ構造を形成することにより、近接効果が低減させられ、かつかかる近接効果によってもたらされる損失が低減させられる。
【0012】
上記で規定したような、インターリーブされた態様の重ね合わせ(サンドイッチ構造)は、変換器の漏れインダクタンスを低減させる。たとえば隣接する基板の任意のペア間における、ゼロよりも大きな距離と相俟って、これにより、二次的信号は、さらに高速のパルスおよび/またはさらに高電圧のパルスを含むものとされ得る。
【0013】
上記の変換器の1つの実施形態によれば、上記の変換器は、上記の第1および第2の基板の間の距離が、上記の第2および第3の基板の間の距離よりも小さいものとして規定される。
【0014】
1つの特定の方向に沿って、連続する一次基板間の距離を増大させることにより、この特定の方向において、容量損失がさらに低減させられる。
【0015】
上記の変換器の1つの実施形態によれば、上記の変換器は、上記の第1および第4の基板の間の距離が、上記の第4および第2の基板の間の距離よりも小さいものとして規定される。
【0016】
1つの特定の方向に沿って、一次基板と二次基板との連続する組の間の距離を増大させることにより、この特定の方向において、容量損失がさらに低減させられる。
【0017】
上記の変換器の1つの実施形態によれば、上記の変換器は、上記の第4および第2の基板の間の距離が、上記の第2および第5の基板の間の距離よりも小さく、かつ上記の第2および第5の基板の間の距離が、上記の第5および第3の基板の間の距離よりも小さいものとして規定される。
【0018】
1つの特定の方向に沿って、一次基板と二次基板との連続する組の間の距離を増大させることにより、この特定の方向において、容量損失がさらに低減させられる。
【0019】
上記の変換器の1つの実施形態によれば、上記の変換器は、上記の第1および第2および第3の基板の巻き線が、互いに直列接続されており、上記の第4および第5の基板の巻き線が、互いに直列接続されており、第1および第4の基板の少なくとも一方の1点が、接地点であるものとして規定される。
【0020】
好ましくは、上記の特定の方向は、基板に対して垂直な方向であって、第1の(第4の)基板から開始し、第2および第3の(第5の)基板に向かって延在する方向とされる。その場合、第1の(第4の)基板が接地されていれば、比較的近接した基板の間には比較的低い電位差が存在し、互いに比較的離れた基板の間には比較的高い電位差が存在することとなる。かかる変換器は、3つの異なる改善点(たとえば隣接する基板の任意のペアの間におけるゼロよりも大きな距離+サンドイッチ構造+増大する電圧に対して増大する距離)を有し、一次的信号を、10kV/μsecよりも大きな立上り時間を有するパルスを含む二次的信号に変換することができる。
【0021】
上記の変換器の1つの実施形態によれば、上記の変換器は、2つの外側脚部と1つの内側脚部と有するコアをさらに含み、上記の基板が、実質的に平行かつ/または実質的に平面状のプリント回路基板であり、上記の巻き線が、プリント回路基板上のプリントであって、上記の内側脚部を包囲し、かつ上記の外側脚部により包囲されており、当該変換器には、熱伝導性かつ電圧絶縁性の樹脂が含浸させられており、かつ当該変換器がさらに、基板に対する電磁妨害シールドおよびヒートシンクとして作用する、アルミニウム製コンテナを含んでいるものとして規定される。
【0022】
上記のコアは、2つのE80コアを組み合わせることにより実現されてもよい。2つの隣接する基板間の距離は、(1つまたは複数の)コア内、および/または(1つまたは複数の)コアの近傍において画定され得る。変換器は、たとえば100ワット未満のパワーレベル、または100から10000ワットのパワーレベル、または10000ワット超のパワーレベルといったような、多数の異なるパワーレベルにおいて使用され得る。一次基板同士は、それら一次基板に対して実質的に垂直な、別の1つの基板を介して互いに直列接続されてもよい。二次基板同士は、ピンを介して互いに直列接続されてもよい。
【0023】
本発明の第2の側面によれば、変換器を含むデバイスが、上記の一次的信号を生成するソース、および/または上記の二次的信号を受け取る負荷を、さらに含むデバイスによって規定される。
【0024】
このソースは、たとえばハーフブリッジまたはフルブリッジを含むものとされる。負荷は、たとえば誘電体バリア放電ランプを含むものとされる。
【0025】
本発明の第3の側面によれば、変換器の生産方法が、2つの隣接する基板を、互いに上記の距離をおいて取り付ける工程を含む方法により規定される。
【0026】
巻き線を有する基板を含む変換器の漏れインダクタンスおよび寄生容量は、それらの基板および巻き線の位置に依存するというのが、1つの洞察として挙げられる。比較的高速のパルスおよび/または比較的高電圧のパルスを可能とするために、たとえば隣接する基板の任意のペアの間において、ゼロよりも大きな距離が存在するべきであるという思想が、1つの基本思想として挙げられる。
【0027】
一次的信号を、比較的高速のパルスおよび/または比較的高電圧のパルスを含み得る二次的信号に、変換する変換器を供給するという課題が解決される。1つのさらなる利点として挙げられるのは、変換器が、比較的コンパクトとなり、かつ比較的低いパワー損失を有するものとなるという点である。
【0028】
本発明の上記およびその他の側面は、以下で説明する実施形態を参照することにより明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に従う変換器の上面写真
【図2】本発明に従う変換器の側面写真
【図3】本発明に従う変換器の側面図
【図4】本発明に従う変換器を含む、本発明に従うデバイスを示した図
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1には、本発明に従う変換器の上面写真が示されている。(一次)上方基板と、その上方基板の下に配された(二次)基板とが、明確に認められ、それらの基板は2つのコアにより包囲されている。上側基板は、1巻きの巻き線を含んでいる。より厳密にいうと、上側基板は、ほぼ閉状態の環状パターンの形式を有するパターン化された導電性トレースを含んでおり、それにより、ワイヤにより形成された1巻分すなわち1ループ分の巻き線と電磁的に等価なものを形成している。上側基板の下に配された基板は、1巻分よりも多くの巻き線を含んでいる。
【0031】
図2には、本発明に従う変換器の側面写真が示されている。インターリーブされた形態で重ねられた、4つの(一次)基板および3つの(二次)基板が明確に認められ、それらの基板は2つのコアにより包囲されている。4つの(一次)基板は、それら4つの(一次)基板に対して実質的に垂直な別の1つの基板を介して、互いに直列接続されている。3つの(二次)基板は、ピンを介して互いに直列接続されている。
【0032】
図3には、図2に則した、本発明に従う変換器1の側面図が示されている。変換器1は、一次側(左側)において、下から順番に、たとえば1巻きの巻き線を有する基板11、たとえば2巻きの巻き線を有する基板12、たとえば2巻きの巻き線を有する基板13、およびたとえば1巻きの巻き線を有する基板14を含んでいる。また、変換器1は、二次側(右側)において、下から順番に、たとえば15巻きの巻き線を有する基板21、たとえば14巻きの巻き線を有する基板22、およびたとえば15巻きの巻き線を有する基板23を含んでいる。変換器1はさらに、たとえば2つのコア31−32を含んでおり、これらコアの各々は、たとえば2つの外側脚部と1つの内側脚部とを含むものとされる。上記の巻き線は、たとえば、上記の内側脚部を包囲し、かつ外側脚部により包囲されるものとされる。
【0033】
2つのコア31−32を用いるのに代えて、より大きな1つのコア、または3つ以上のコアが用いられてもよい。基板11−14および21−23は、たとえば実質的に平行な基板、かつ/またはたとえば実質的に平面状のプリント回路基板とされ得る。上記の巻き線は、プリント回路基板上のプリントであってもよい。変換器1には、熱伝導性かつ電圧絶縁性の樹脂が含浸させられていてもよく、また変換器1はさらに、基板11−14ならびに21−23に対する電磁妨害シールドおよびヒートシンクとして作用する、アルミニウム製コンテナを含んでいてもよい。
【0034】
図4には、本発明に従う変換器1を含む、本発明に従うデバイス2が図示されている。この図では、変換器1は、等価回路の形式で示されている。この回路は、たとえば上記のコア31−32に対応する、コア33を含んでいる。この回路はさらに、4つの一次インダクタすなわち一次巻き線群15−18を含んでおり、巻き線群15(たとえば1巻き)は基板11上に配されており、巻き線群16(たとえば2巻き)は基板12上に配されており、巻き線群17(たとえば2巻き)は基板13上に配されており、巻き線群18(たとえば1巻き)は基板14上に配されている。この回路はさらに、3つの二次インダクタすなわち二次巻き線群24−26を含んでおり、巻き線群24(たとえば15巻き)は基板21上に配されており、巻き線群25(たとえば14巻き)は基板22上に配されており、巻き線群26(たとえば15巻き)は基板23上に配されている。変換器1の一次側は、ハーフブリッジまたはフルブリッジといったソース3に接続されており、このソース3はさらに、たとえばDC電源に接続される。変換器1の二次側は、たとえば負荷(図示せず)にさらに接続される。
【0035】
変換器1は、ソース3から来る一次的信号を、負荷用の二次的信号に変換する。変換器1は、一次的信号を受け取る一次部分と、二次的信号を供給する二次部分とを含んでいる。これらの一次部分および二次部分は、それぞれ少なくとも1つの基板11−14および21−23を含んでおり、各基板は、少なくとも1巻きの巻き線の少なくとも一部を含んでいる。たとえば互いに隣接する基板11−14および21−23の任意のペアの間に、ゼロよりも大きな距離を導入することにより、変換器1の寄生容量が低減させられる。その結果、二次的信号は、1kV/μsecよりも大きな立上り時間を有する、比較的高速のパルスおよび/または比較的高電圧のパルスを含むものとされ得る。
【0036】
たとえば、上記の一次部分および二次部分のうちの一方が、少なくとも2つの基板11−12を含むものとされ、一次部分および二次部分のうちの他方が、少なくとも1つの基板21を含むものとされ、基板21の少なくとも一部が、基板11−12の間に配される。あるいは、たとえば、上記の一次部分および二次部分のうちの一方が、少なくとも3つの基板11−13を含むものとされ、一次部分および二次部分のうちの他方が、少なくとも2つの基板21−22を含むものとされ、基板21の少なくとも一部が、基板11−12の間に配され、基板22の少なくとも一部が、基板12−13の間に配される。こうして、一次基板と二次基板とが、インターリーブされた態様で重ねられる。換言すると、近接効果、およびかかる近接効果によってもたらされる損失を低減させるため、一次基板と二次基板とのサンドイッチ構造が形成されている。これにより、変換器の漏れインダクタンスが低減される。
【0037】
基板11−12間の距離は、基板12−13間の距離よりも小さい。連続する一次基板間の距離を、特定の方向に沿って大きくしていくことにより、その特定の方向において、容量損失がさらに低減される。基板11と21との間の距離は、基板21と12との間の距離よりも小さい。
【0038】
一次基板と二次基板との連続する組の間の距離を、特定の方向に沿って大きくしていくことにより、その特定の方向において、容量損失がさらに低減される。基板21と12との間の距離は、基板12と22との間の距離よりも小さく、基板12と22との間の距離は、基板22と13との間の距離よりも小さく、以下同様とされる。一次基板と二次基板との連続する組の間の距離を、特定の方向に沿って大きくしていくことにより、その特定の方向において、容量損失がさらに低減される。
【0039】
基板11および21の少なくとも一方の1点は、接地点とされる。これにより、この基板11および/または21は接地され、比較的近接した基板の間には比較的低い電位差が存在し、互いに比較的離れた基板の間には比較的高い電位差が存在することとなる。かかる変換器は、3つの異なる改善点(たとえば隣接する基板の任意のペアの間におけるゼロよりも大きな距離+サンドイッチ構造+増大する電圧に対して増大する距離)を有し、一次的信号を、10kV/μsecよりも大きな立上り時間を有するパルスを含む二次的信号に変換することができる。
【0040】
たとえば銅により巻き線がプリントされた平面プリント回路基板すなわちPCBを有する構造をベースとした、本発明に従う変換器は、良好な熱カップリング性と、低い漏れインダクタンスとを有する。一次巻き線PCBと二次巻き線PCBとをインターリーブされた態様で重ねることにより、同じ電流を担持する過度に多くの巻き線PCBが、互いに隣接して配されることが回避される(1つの方向に向かうピークアンペア巻き線の数が低く保たれ、それにより近接効果が制限される)。すべての一次巻き線層が互いに重ねられ、かつすべての二次巻き線層も互いに重ねられた場合には、近接効果の損失は指数関数的に増大し、過度に高い銅パワー損失をもたらす。
【0041】
銅パワー損失と漏れインダクタンスとを最小限に抑えるために、巻き線に対し比較的少ない数の巻き数が使用されるべきであり、かつ比較的大きなコア部が使用されるべきである(たとえば、互いに対向する2つのE80コアの対)。
【0042】
一次−二次浮遊容量を減らすため、インターリーブされた一次−二次PCB間の距離は、二次電圧が累積するにつれて拡大され、最も高い二次電圧を有するPCBが、一次PCBから最も大きな距離だけ離間されて配される構成がとられる。(水平方向の)一次PCB同士は、左側にある1つの(垂直方向の)PCBによって相互接続される一方、二次PCB同士は、垂直ピンによって相互接続される。
【0043】
隣接する2つの基板間の距離がゼロよりも大きいという条件を満たす限り、一次基板の一次個数と、二次基板の二次個数とは、任意に選択することができる。
【0044】
要約すると、一次的信号を二次的信号に変換する変換器1は、巻き線を有する基板11−14、21−23を含む、一次部分および二次部分を備えている。たとえば互いに隣接する基板11−14、21−23の任意のペアの間に、ゼロよりも大きな距離を導入することにより、変換器1の寄生容量が低減させられ、二次的信号は、1kV/μsecよりも大きな立上り時間を有する、比較的高速/高電圧のパルスを含むものとされ得る。近接効果およびその結果としての損失を減らすため、一次および二次基板11−14、21−23を、インターリーブされた態様で重ねることができる。かかるサンドイッチ構造は、漏れインダクタンスを低減させる。1つの特定の方向において容量損失をさらに減らすために、連続する一次基板11−14、21−23間の距離、および一次基板ならびに二次基板11−14、21−23の連続する組の間の距離が、その特定の方向に沿って増大させられる。比較的近接した基板11−14、21−23の間には比較的低い電位差が存在し、互いに比較的離れた基板11−14、21−23の間には比較的高い電位差が存在し得る。
【0045】
上記で述べた実施形態は、本発明を限定するものではなく、説明するためのものであり、当業者においては、特許請求の範囲による本発明の技術的範囲から逸脱することなく、多くの変更実施形態を設計することができるであろう点に留意されたい。請求項において、括弧内に配された参照符号は、その請求項を限定するものと捉えられるべきではない。「含む」もしくは「備える」との語、およびその活用形の使用は、請求項中に記載された以外の要素または工程の存在を排除するものではない。ある要素に先行する「1つの」との冠詞は、かかる要素が複数存在することを排除するものではない。いくつかの手段を列挙した装置の請求項では、それらの手段のいくつかが、同一のハードウェア項目によって実装されてもよい。特定の施策が単に互いに異なる従属請求項に記載されているということは、それらの施策の組合せは有利に用いることができないことを示すものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次的信号を二次的信号に変換する変換器であって、当該変換器は、前記一次的信号を受け取る一次部分と、前記二次的信号を供給する二次部分とを含んでおり、前記一次部分および前記二次部分は、それぞれ少なくとも1つの基板を含んでおり、各基板は、少なくとも1巻きの巻き線の少なくとも一部を含んでおり、2つの隣接する基板間の距離が、ゼロよりも大きいことを特徴とする変換器。
【請求項2】
前記一次部分および前記二次部分の一方が、少なくとも第1および第2の基板を含んでおり、前記一次部分および前記二次部分の他方が、少なくとも1つのさらなる基板を含んでおり、前記さらなる基板の少なくとも一部が、前記第1および第2の基板の間に配されていることを特徴とする請求項1記載の変換器。
【請求項3】
前記一次部分および前記二次部分の一方が、少なくとも第1および第2および第3の基板を含んでおり、前記一次部分および前記二次部分の他方が、少なくとも第4および第5の基板を含んでおり、前記第4の基板の少なくとも一部が、前記第1および第2の基板の間に配されており、前記第5の基板の少なくとも一部が、前記第2および第3の基板の間に配されていることを特徴とする請求項1記載の変換器。
【請求項4】
前記第1および第2の基板の間の距離が、前記第2および第3の基板の間の距離よりも小さいことを特徴とする請求項3記載の変換器。
【請求項5】
前記第1および第4の基板の間の距離が、前記第4および第2の基板の間の距離よりも小さいことを特徴とする請求項3記載の変換器。
【請求項6】
前記第4および第2の基板の間の距離が、前記第2および第5の基板の間の距離よりも小さく、かつ前記第2および第5の基板の間の距離が、前記第5および第3の基板の間の距離よりも小さいことを特徴とする請求項5記載の変換器。
【請求項7】
前記第1および第2および第3の基板の前記巻き線が、互いに直列接続されており、前記第4および第5の基板の前記巻き線が、互いに直列接続されており、前記第1および第4の基板の少なくとも一方の1点が、接地点であることを特徴とする請求項3記載の変換器。
【請求項8】
当該変換器がさらに、2つの外側脚部と1つの内側脚部と有するコアを含み、前記基板は、実質的に平行かつ/または実質的に平面状のプリント回路基板であり、前記巻き線は、前記プリント回路基板上のプリントであって、前記内側脚部を包囲し、かつ前記外側脚部により包囲されており、当該変換器には、熱伝導性かつ電圧絶縁性の樹脂が含浸させられており、かつ当該変換器がさらに、前記基板に対する電磁妨害シールドおよびヒートシンクとして作用する、アルミニウム製コンテナを含んでいることを特徴とする請求項1記載の変換器。
【請求項9】
請求項1記載の変換器を含むデバイスであって、前記一次的信号を生成するソース、および/または前記二次的信号を受け取る負荷を、さらに含んでいることを特徴とするデバイス。
【請求項10】
請求項1記載の変換器の生産方法であって、2つの隣接する基板を、互いに前記距離をおいて取り付ける工程を含むことを特徴とする生産方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−525600(P2010−525600A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504929(P2010−504929)
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際出願番号】PCT/IB2008/051473
【国際公開番号】WO2008/132645
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】