説明

基板クランプ装置

【課題】基板の機種切替え時にクランプ圧力が適正に設定変更され、基板クランプのミスを防止すること。
【解決手段】上流側から受け継がれたプリント基板Pは基板搬送コンベアにより搬送されるので、下降しているストッパに当接して係止し、位置決めされて搬送が停止される。そして、バックアップテーブル1を上昇させて、その後、エアシリンダ3が作動して、クランプ部材5がプリント基板Pを固定シュート2Aに押圧してその側面を挟持して、両者でプリント基板Pをクランプ支持する。この場合、CPU10はこのプリント基板Pに対応したクランプ圧力「1.4Mpa」でクランプするように電空レギュレータ8に指令を出して、この電空レギュレータ8によりエアシリンダ3に供給されるエアの圧力が調整されるので、この選択されたプリント基板Pに対応した適切なクランプ圧力となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を搬送シュートの一方に設けられたクランプ部材で他方の搬送シュートに押圧してクランプ支持する基板クランプ装置に関する。詳述すると、電子部品を装着する部品実装ラインを構成する実装作業装置に適用される基板クランプ装置に関し、例えばプリント基板上に半田ペーストを塗布するスクリーン印刷装置、プリント基板上に接着剤を塗布する接着剤塗布装置、プリント基板上に電子部品を装着する電子部品装着装置等の実装作業装置に適用される基板クランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の実装作業装置としてのスクリーン印刷機は、例えば特許文献1などに開示されており、プリント基板を搬送装置で搬送して、プリント基板とスクリーンとを位置合わせして、塗布剤をプリント基板上に塗布している。ここで、基板を一方の搬送シュートに他方の搬送シュートに設けられたクランプ部材で押圧してクランプ支持しているが、このときの基板をクランプする圧力はアナログのレギュレータを作業者のマニュアル操作により、基板の厚みに応じて調整することにより行われるのが一般的である。
【0003】
これにより、基板の厚みが薄い場合や、割り基板で剛性が小さい場合などは、クランプ圧力を小さくして、基板が反るのを防止している。また、印刷機であれば、印刷中や基板認識中に基板がずれないように、基板が反らない範囲でなるべくクランプ圧力を高くするために、厚みがあって剛性の高い基板であれば、クランプ圧力を高く調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−211108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、クランプ圧力を作業者がマニュアルで調整しているので、ときに基板の種類が切り替わっても、このクランプ圧力を変更しないと、圧力が高すぎて基板が反ったり、逆に低すぎてクランプが不十分となって、印刷機であれば印刷ズレ、クランプ外れ等が生じる事態が起こるという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、基板の機種切替え時にクランプ圧力が適正に設定変更され、基板クランプのミスを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このため第1の発明は、搬送シュートの一方に設けられたクランプ部材で基板を他方の搬送シュートに押圧してクランプ支持する基板クランプ装置において、前記基板を押圧するように前記クランプ部材を移動させるためのエアシリンダと、このエアシリンダに供給されるエアの圧力を調整するための電空レギュレータと、この電空レギュレータに供給されるエアの圧力データを基板の種類毎に格納する記憶装置と、生産する基板に対応する前記記憶装置に格納されたエアの圧力データに基づいて前記電空レギュレータを制御する制御装置とを設けたことを特徴とする。
【0008】
また第2の発明は、搬送シュートの一方に設けられたクランプ部材で基板を他方の搬送シュートに押圧してクランプ支持する基板クランプ装置において、前記基板を押圧するように前記クランプ部材を移動させるためのエアシリンダと、このエアシリンダに供給されるエアの圧力を調整するための電空レギュレータと、この電空レギュレータに供給されるエアの圧力データを少なくとも基板の材質と厚みに応じて格納する記憶装置と、生産する基板に対応する前記記憶装置に格納されたエアの圧力データに基づいて前記電空レギュレータを制御する制御装置とを設けたことを特徴とする。
【0009】
更に第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記記憶装置には圧力データを基板の材質と厚みと押圧方向の寸法とに応じて格納することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、基板の機種切替え時にクランプ圧力が適正に設定変更され、基板クランプのミスを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】基板クランプ装置の平面図である。
【図2】基板クランプ装置の右側面図である。
【図3】基板情報を示す図である。
【図4】クランプ圧力値を基板の材質と、厚みと、Y方向のサイズとの関係により定められた関係データテーブルを示す図である。
【図5】プリント基板の機種切替えに伴う基板クランプ圧力の変更にかかるフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の具体的な実施形態を図面を参照しながら説明するが、プリント基板上に電子部品を装着する部品実装ラインを構成する実装作業装置としては、プリント基板上に半田ペーストを塗布するスクリーン印刷装置、プリント基板上に接着剤を塗布する接着剤塗布装置、プリント基板上に電子部品を装着する電子部品装着装置などがあるが、スクリーン印刷機の基板クランプ装置を実施形態として、以下説明する。
【0013】
このスクリーン印刷機はプリント基板P上に塗布剤であるクリーム半田を印刷するためのもので、装置本体上に設置された基板支持ユニットと、この基板支持ユニットの上方に配され水平方向に延びるY軸方向(スクリーン印刷機の前後方向)に移動するための移動機構を備えたスクリーン支持ユニットにより支持されたスクリーンと、基板支持ユニットとスクリーンとの間に配されて基板認識用カメラ等を備える移動体と、スクリーンに付されたスクリーン認識マークを撮像するスクリーン認識用カメラと、スクリーンの上方に配されてスキージを備えた印刷機構などを備えている。
【0014】
前記基板支持ユニットは、X軸方向、水平面内での角度方向、垂直方向に移動可能な移動機構(図示せず)と、プリント基板PをX軸方向に搬送する一対で構成された基板搬送コンベアを備えた搬送装置と、真空吸引源に連通する吸着孔(図示せず)が複数形成されてプリント基板Pを下方から吸着して水平に支持するためにZ方向(垂直方向)に移動可能なバックアップテーブル1と、前後に配列されてプリント基板の搬送を案内する一対の搬送シュート2とを備えている(図2参照)。
【0015】
一対の搬送シュート2は、プリント基板Pの搬送を案内すると共にプリント基板Pを側方から挟んで支持する固定シュート2Aと、可動シュート2Bとを備えている。そして、プリント基板Pの搬送方向と直交する幅サイズに合わせて、移動しない基準側の固定シュート2Aに対して可動シュート2Bを遠近移動させて、扱うプリント基板Pの前記幅サイズに対応するものである。
【0016】
更に、このスクリーン印刷機の外側に位置する前記可動シュート2Bの前面(外側)にはクランプ装置が設けられる。このクランプ装置は、前記可動シュート2Bの前面に内部に駆動源としてのエアシリンダ3を備えたシリンダ取付体4を2つ固定し、両エアシリンダ3が作動するとL字形状のロッド3Aが伸びて、このロッド3A上部に固定されたクランプ部材5をプリント基板Pを押圧する方向へ移動させる構成である。
【0017】
8はエアシリンダ3に圧縮空気供給源(図示せず)から供給されるエアの圧力を無段階に調整可能な電空レギュレータ(サーボバルブ)で、インターフェース9を介して本スクリーン印刷機を統括的に制御する制御装置としてのCPU10(セントラル・プロセッシング・ユニット)に接続されている。このCPU10にはバスラインを介して記憶装置としてのRAM(ランダム・アクセス・メモリ)11及びROM(リ−ド・オンリー・メモリ)12が接続されている。そして、CPU10は前記RAM11に記憶されたデータに基づき、前記ROM12に格納されたプログラムに従い、スクリーン印刷機の印刷動作に係る動作を統括制御する。
【0018】
前記RAM11はプリント基板Pの種類毎の各種情報であるパターンプログラムデータ、例えば図3に示すような基板情報などが格納されている。即ち、前記RAM11には、図3に示すように、プリント基板Pの種類毎にX方向(「X」で示す。)、Y方向(基板を押圧する方向であり、「Y」で示す。)、厚さ(「T」で示す。)のサイズとプリント基板Pの材質等のパターンプログラムデータの基板情報が格納されている。なお、基板ID「PB001」は、X方向が200mm、Y方向が200mm、厚さが1.6mmであって、材質はガラスエポキシ樹脂で作製されたガラスエポキシ基板であることを意味している。
【0019】
また、クランプ部材5がプリント基板Pを固定シュート2Aに押圧保持する際のエアシリンダ3に供給されるエアが電空レギュレータ8により調整されるが、図4に示すように、クランプ圧力値をプリント基板Pの材質と、プリント基板Pの厚みと、Y方向(プリント基板Pの搬送方向と直交する方向)のサイズとの関係により定められた関係データテーブルが前記RAM11に格納されている。
【0020】
即ち、例えばガラスエポキシ基板で、厚さが0.5mm未満、Y方向のサイズが50mm未満は、クランプ圧力は1.6Mpa(メガパスカル)であり、セラミック基板で、厚さが0.5mm以上0.8mm未満、Y方向のサイズが75mm以上100mm未満の場合は、クランプ圧力は1.4Mpaである。
【0021】
なお、このクランプ圧力は、基板の材質及び厚みに応じて定めてもよく、必ずしも、基板のY方向のサイズまでも考慮しなくともよい。
【0022】
そして、表示装置としてのモニター13、このモニター13に設けられたタッチパネルスイッチ14がインターフェース9を介してCPU10に接続されており、作業者がタッチパネルスイッチ14を操作することにより、スクリーン印刷に係る種々の設定を行うことができる。
【0023】
次に、図5に示すフローチャートに基づいて、プリント基板Pの機種切替えに伴い、基板クランプ圧力の変更について、説明する。先ず、機種切替えは、モニター13に表示されたタッチパネルスイッチ14の押圧操作に基づいて、これから生産するプリント基板Pを選択すると(ステップS01)、CPU10はこの選択されたプリント基板PのRAM11に格納されたパターンプログラムデータの基板情報を取得する(ステップS02)。
【0024】
CPU10はこの取得した基板情報(図3参照)に基づいて、図4に示す関係データテーブルを参照して、クランプ圧力を決定する(ステップS03)。即ち、この選択された基板の種類がセラミック基板で、厚さが0.7mm(0.5mm以上0.8mm未満)で、Y方向のサイズが85mm(75mm以上100mm未満)の場合には、クランプ圧力は1.4Mpaである。
【0025】
そして、CPU10は電空レギュレータ8へこの決定されたクランプ圧力「1.4Mpa」のデータを送信し(ステップS04)、この決定されたクランプ圧力「1.4Mpa」のデータに変更してRAM11に格納する(ステップS05)。従って、プリント基板Pの生産の際には、このクランプ圧力でクランプ部材5がプリント基板Pを固定シュート2Aに押圧してその側面を挟持して、両者でプリント基板Pをクランプ支持するように制御する。即ち、CPU10がRAM11に格納されたクランプ圧力「1.4Mpa」を読み出して、このクランプ圧力「1.4Mpa」でクランプするように電空レギュレータ8に指令を出し、この電空レギュレータ8によりエアシリンダ3に供給されるエアの圧力が調整され、この選択されたプリント基板Pに対応した適切なクランプ圧力となり、印刷ズレ、クランプ外れ等が生じることが防止される。
【0026】
なお、電空レギュレータ8に設けられたレジスタにクランプ圧力を保持させ、基板をクランプするときには、保持されているクランプ圧力になるように、圧力を調整してもよい。
【0027】
また、これから生産するプリント基板Pが選択された際には、種々の、例えばプリント基板Pのサイズに合わせて基板搬送コンベア及び搬送シュート2の段取り替えや、選択されたプリント基板Pに合わせてスクリーンなどの段取り替えを前記CPU10が自動的に行うか、又は作業者が手動で行うこととなる。
【0028】
次に、スクリーン印刷機の簡単な印刷動作について、以下説明する。先ず、上流側から受け継がれたプリント基板Pは基板搬送コンベアにより図1における左から右に流れるので、下降しているストッパに搬送されて移動して来たプリント基板Pが当接して係止し、位置決めされて搬送が停止される。
【0029】
そして、バックアップテーブル1を上昇させて、図2に実線で示すプリント基板Pを点線で示す位置まで上昇させ、その後、エアシリンダ3が作動して、クランプ部材5がプリント基板Pを固定シュート2Aに押圧してその側面を挟持して、両者でプリント基板Pをクランプ支持する。この場合、前述したように、CPU10はクランプ圧力「1.4Mpa」でクランプするように電空レギュレータ8に指令を出して、この電空レギュレータ8によりエアシリンダ3に供給されるエアの圧力が調整されるので、この選択されたプリント基板Pに対応した適切なクランプ圧力となり、印刷ズレ、クランプ外れ等が生じることが防止される。
【0030】
そして、プリント基板Pはクランプ支持されたたまま、バックアップテーブル1に吸着保持されて水平に支持される。なお、バックアップテーブル上に支持ピンを植設して、プリント基板Pを水平に支持するようにしてもよい。
【0031】
そして、スクリーン認識用カメラによりスクリーンに付されたスクリーン認識マークを撮像すると共に基板認識用カメラによりプリント基板Pに付された基板認識マークが撮像されて、認識処理装置(図示せず)がこれらの画像を認識処理し、CPU10に両者の認識処理結果が送出される。すると、制御部において、認識処理結果に基づいて各基板認識マークの位置と各スクリーン認識マークの位置とを相対的に位置決めさせるべき位置ズレ量を演算して内蔵する記憶部に演算結果を格納すると共に、この位置ズレ量に基づいて、CPU10はプリント基板Pとスクリーンの相対的な位置ズレを補正して位置決めする。
【0032】
そして、更に基板支持ユニットを上昇させて、水平に支持された状態のプリント基板Pをスクリーンの下面に密着させ、印刷機構を動作させて、スキージ(図示せず)がクリーム半田をスクリーンの印刷パターン孔を介してプリント基板P上に塗布して印刷が行われ、印刷終了後に基板支持ユニットが下降し、この印刷されたプリント基板Pはバックアップテーブル1から基板搬送コンベア上に載置されて下流に搬送される。
【0033】
以上のように本発明の実施態様について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の代替例、修正又は変形を包含するものである。
【符号の説明】
【0034】
1 バックアップテーブル
2 搬送シュート
2A 固定シュート
2B 可動シュート
3 エアシリンダ
5 クランプ部材
8 電空レギュレータ
10 CPU10
11 RAM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送シュートの一方に設けられたクランプ部材で基板を他方の搬送シュートに押圧してクランプ支持する基板クランプ装置において、前記基板を押圧するように前記クランプ部材を移動させるためのエアシリンダと、このエアシリンダに供給されるエアの圧力を調整するための電空レギュレータと、この電空レギュレータに供給されるエアの圧力データを基板の種類毎に格納する記憶装置と、生産する基板に対応する前記記憶装置に格納されたエアの圧力データに基づいて前記電空レギュレータを制御する制御装置とを設けたことを特徴とする基板クランプ装置。
【請求項2】
搬送シュートの一方に設けられたクランプ部材で基板を他方の搬送シュートに押圧してクランプ支持する基板クランプ装置において、前記基板を押圧するように前記クランプ部材を移動させるためのエアシリンダと、このエアシリンダに供給されるエアの圧力を調整するための電空レギュレータと、この電空レギュレータに供給されるエアの圧力データを少なくとも基板の材質と厚みに応じて格納する記憶装置と、生産する基板に対応する前記記憶装置に格納されたエアの圧力データに基づいて前記電空レギュレータを制御する制御装置とを設けたことを特徴とする基板クランプ装置。
【請求項3】
前記記憶装置には圧力データを基板の材質と厚みと押圧方向の寸法とに応じて格納することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の基板クランプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−204908(P2011−204908A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70799(P2010−70799)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(300022504)株式会社日立ハイテクインスツルメンツ (607)
【Fターム(参考)】