説明

基板ケース用不正開放防止機構

【課題】基板ケースが不正に開放されることを防止する基板ケース用不正開放防止機構を提供する。
【解決手段】切離頭部41を有する破断ねじ40に、該切離頭部41が収められる切離頭部収容室16を備えたねじカバー10を装着し、該破断ねじ40と該ねじカバー10とからなる破断ねじユニットUを用いて、ケース蓋3とケース本体2とを緊締するようにした。さらに、この緊締状態において、前記破断ねじ40を強制的に回動させ、前記切離頭部41をねじ本体(ねじ軸部43)から離脱させ、切離した該切離頭部41を、前記ねじカバー10の前記切離頭部収容室16内に残留させ、前記工具用ねじ操作孔13と前記ねじ本体(ねじ軸部43)との間に介在させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ、スロット等の遊技機に用いられる基板ケースに対する不正開放を防止するための不正開放防止機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、制御基板を備えたパチンコ、スロット等の遊技機が提供されており、該制御基板は、基板ケース内に収容されて該遊技機の背面に配置されている。そして、不正開放防止のため、該基板ケースには種々の対策が講じられている(例えば、特許文献1,2参照。)。
例えば、破断ねじを用いて基板ケースを封止する構成が知られている。更に述べると、該破断ねじは、ドライバー等の工具が当接する頭部と、ねじ溝が施されたねじ軸部とからなり、前記頭部が破断により欠落させることができるものである。かかる構成は、該破断ねじを所定位置に螺着させて基板ケースを封止した後、その頭部を意図的に切断して欠落させ、これにより、前記工具の使用を不能とするものである。このように、頭部が欠落してねじ軸部の回動が不能となると、基板ケースは開封できないため、不正行為を防止できる。
【0003】
【特許文献1】特開2003−340125号公報
【特許文献2】特開2007−267832号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記破断ねじを用いた不正防止機構にあっては、表面に露出したねじ軸部の頂部に特殊な工具を直接接触させ、これにより該ねじ軸部を不正に回動してねじ穴から抜き取り、基板ケースの封止を解除するという不正行為を抑止できなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するものであり、その要旨は、ケース本体と、該ケース本体を覆うケース蓋とを、破断ねじとこれに装着されたねじカバーとからなる破断ねじユニットを用いて開放不能に緊締し、該ケース本体と該ケース蓋とからなる基板ケースを封止する基板ケース用不正開放防止機構であって、前記破断ねじは、その頂部に、破断によりねじ本体から切離される切離頭部を有し、該切離頭部の頭頂には、工具の先端が係合し、かつ逆回し防止構造が施された工具用係合部が形成され、前記ねじカバーは、前記切離頭部を内包する切離頭部収容室を備え、かつ、該切離頭部収容室に内在する該切離頭部の頭頂を露出させる工具用ねじ操作孔が形成され、さらに該工具用ねじ操作孔の孔径は、該切離頭部より径小の寸法とされていると共に、前記破断ねじユニットのねじカバーがケース蓋に着座しつつ破断ねじがケース蓋を貫通してケース本体に螺入されることにより、該ケース本体と該ケース蓋とが緊締状態となり、さらに該緊締状態で、前記ねじカバーの前記工具用ねじ操作孔から挿入されて前記工具用係合部と係合した工具によって、強制的に該破断ねじが回動されて前記切離頭部がねじ本体から切離され、切離された該切離頭部が、該ねじカバーの前記切離頭部収容室内に残留して該工具用ねじ操作孔と該ねじ本体との間に介在してなることを特徴とする基板ケース用不正開放防止機構である。
【0006】
かかる構成にあっては、ねじカバーに形成された工具用ねじ操作孔と、破断ねじのねじ本体との間に、切離させた切離頭部が配置される。すなわち、前記ねじカバー内に切離頭部が残留していることにより、前記工具用ねじ操作孔に特殊工具を差し込んで前記ねじ本体にアクセスしようとしても、その間にある該切離頭部が邪魔となって、特殊工具はねじ本体に到達することができない。要は、該切離頭部は、基板ケースが緊締状態となるまでは、工具と係合して破断ねじの螺入作業を補助する役割を果たし、基板ケースが緊締状態となった後には、特殊工具による不正アクセスを阻止する役割を果たしている。
ここで、前記ねじカバーにおける工具用ねじ操作孔の孔径は、切離頭部よりも径小の寸法に設定されるため、切離された切離頭部は、該工具用ねじ操作孔から外へ抜け落ちたり、取り出されたりしてしまうことがない。
これまでに述べた対策により、破断ねじのねじ軸部が、ケース本体のねじ穴から抜き取られることがなくなり、該基板ケースの封止が確実に維持されることとなる。なお、前記破断ねじにあって、前記切断頭部の頭頂に配設された工具用係合部は、逆回し防止構造とされ、一方向にのみ回動操作できるものとされている。このため、該破断ねじを螺着する過程で不用意に逆回転させて切離頭部を破断させてしまうことを防止できると共に、不正行為者に対してセキュリティの高さを知らしめることができ、不正行為に対して万全を期した構成となる。
【0007】
また、前記破断ねじは、丸棒状のねじ軸部と、該ねじ軸部の一端に形成された固定頭部と、該ねじ軸部の軸線上で該固定頭部に連結された、該固定頭部との連結部位の破断により該固定頭部から切離できる切離頭部とからなり、該固定頭部と該切離頭部は、前記ねじ軸部より幅広であり、前記ねじカバーを構成するカバー筐体内には、前記固定頭部が収容される固定頭部収容室と、前記切離頭部が収容される切離頭部収容室とが、該カバー筐体内に配設された区画壁により仕切られることにより隣接して形成されている構成としてもよい。
【0008】
また、前記ケース蓋には、前記緊締状態にある前記ねじカバーが破断ねじの軸線周りに回動することを防止するねじカバー回動防止機構が設けられている構成が望ましい。
【0009】
かかる構成とすることにより、前記ねじカバーが、前記ケース蓋に対して遊転することなく強固に固定されることになり、例えば該ねじカバーを回転させながら不正に取り外し、さらに、切離された切離頭部を取り出そうとする等の不正行為を効果的に防ぐことができる。
【0010】
また、前記ケース本体及び前記ケース蓋のうち何れか一方に配設された嵌合雌部材と、いずれか他方に配設され、該嵌合雌部材に外挿される囲繞部材と、前記嵌合雌部材に前記囲繞部材が外挿された状態で該嵌合雌部材と嵌合するカシメ部材とを具備し、該カシメ部材が該嵌合雌部材に嵌合して両部材がカシメられた状態で、前記囲繞部材が該嵌合雌部材から抜脱不能となり、かつ、該囲繞部材が前記嵌合雌部材の周りで回動することにより、該ケース蓋が、該カシメ部材と該嵌合雌部材とからなるカシメ部を中心として、該ケース本体に対して脱離することなく回動スライドすると共に、該ケース蓋が該ケース本体を遮蔽した状態で、該ケース蓋に配置された前記破断ねじユニットの前記破断ねじと、該ケース本体に形成されたねじ穴とが同一軸上に配置され、該破断ねじが該ねじ穴に螺入可能となる構成としてもよい。
【0011】
かかる構成にあって、該基板ケースを不正に開放しようとする場合、狙われる箇所として、次の位置が想定される。すなわち、基板を出し入れするための開放部分を封止している上記破断ねじによるねじ止め箇所、または、ケース蓋とケース本体との連結部分であるカシメ部の箇所である。しかし、該ねじ止め箇所は、破断ねじを用いた上述の構成により不正開放が防止されている。一方、該カシメ部は、カシメ部材が嵌合雌部材に対して嵌合して両部材がカシメられていることにより、ケース蓋とケース本体とが脱離不能に連結し、該箇所の不正開放が防止されている。しかも、かかる部位は、前記囲繞部材により被覆されているため、該囲繞部材が防壁として機能し、外部からの不正アクセスに対して一層安全性が高められている。さらには、該ケース蓋の開放は、回動スライド方向にのみに限定された構造であるため、ケース蓋は、回動スライドさせて開けるしか開放の術がなく、開放方法に制限がある。したがって、この回動スライド構造は、開放が困難な構造であり、基板ケースの不正開放防止に寄与している。
このように、本基板ケースには、何重もの不正防止手段が施されているため、各部品を破壊することなく不正開放することは不可能であり、仮に破壊された場合はその痕跡により、極めて明瞭に不正開放の事実を一見にして把握することができる。
【0012】
また、前記ケース本体の壁面から、切断可能な被切断連結部が差し出され、かつ該被切断連結部が複数並設され、さらに、該被切断連結部の先端には上面に前記ねじ穴が設けられたケース本体側切離体が各々配設され、隣り合うケース本体側切離体同士も、切断可能な被切断連結部を介して連結されていると共に、前記ケース蓋の壁面から、切断可能な被切断連結部が差し出され、かつ該被切断連結部が複数並設され、さらに、該被切断連結部の先端には前記破断ねじユニットが装着されるユニット装着孔が貫設された筒状のケース蓋側切離体が各々配設され、隣り合うケース蓋側切離体同士も、切断可能な被切断連結部を介して連結されており、該ケース蓋が該ケース本体を遮蔽した状態で、前記ケース本体側切離体と前記ケース蓋側切離体とが重合して該ケース蓋側切離体の該ユニット装着孔と該ねじ穴とが連通し、該ユニット装着孔に装着された破断ねじユニットの破断ねじが、該ねじ穴に螺入可能となると共に、前記破断ねじがねじ穴に螺入されることにより結合したケース蓋側切離体およびケース本体側切離体を、各被切断連結部を切断することによって、該ケース蓋および該ケース本体から分離することができるようにしてもよい。
【0013】
かかる構成にあっては、重合したケース本体側切離体とケース蓋側切離体とからなる一対の切離体が複数並列することとなる。そして、該一対の切離体のうちいずれかを選択して破断ねじによる緊締作業を行えば、該基板ケースは封止される。一方、作業員が該基板ケースを適正に開放する場合は、緊締状態にある一対の切離体を、所要の被切断連結部を切断することにより該基板ケースから切離してやればよい。そうすると、基板ケースの封止が解除されるから、適正にケース蓋を開放することができる。なお、かかる構成は、前記破断ねじユニット自体をそっくりそのまま除去するものであるため、ケース蓋を開放する際に、ケース本体に残留した破断ねじが該ケース蓋の開放を妨げてしまうということがない。また、封止のために用いる一対の切離体を任意に選定することができ、作業性もよい。また、被切断連結部を切断した痕跡が確実に残るため、ケース蓋を開放した事実を容易に確認することができる。
【0014】
また、前記ユニット装着孔の内面には、ユニット装着孔側係合部が設けられ、該破断ねじユニットにおけるねじカバーの側面には、ねじカバー側係合部が設けられ、前記ユニット装着孔側係合部及び/又は前記ねじカバー側係合部は、弾性体で構成されており、前記ケース本体側切離体と前記ケース蓋側切離体とが重合して該ケース蓋側切離体の前記ユニット装着孔と該ケース本体側切離体の前記ねじ穴とが連通した状態にあって、前記破断ねじユニットは、前記ユニット装着孔内で、該ユニット装着孔の開口側から前記ねじ穴に向けて摺動可能とされており、該ユニット装着孔の開口側に位置する場合に、前記ユニット装着孔内の前記ユニット装着孔側係合部と、該破断ねじユニットにおけるねじカバーのねじカバー側係合部とが係合した仮止め待機状態となると共に、前記仮止め待機状態の破断ねじユニットをねじ穴へ向けて押し込み、弾性体からなるユニット装着孔側係合部及び/又は前記ねじカバー側係合部を弾性変形させて前記係合を解除しつつ、該破断ねじユニットをねじ穴へ向けて摺動させることにより、該破断ねじユニットの破断ねじが該ねじ穴に螺入可能となる構成としてもよい。
【0015】
かかる構成とすると、未使用の破断ねじユニットをケース蓋側切離体内でストックしておくことが可能となり、未使用の破断ねじユニットをストックしておくスペースを別途設ける必要がない。このため、基板ケース全体を小型化させることが可能となる。また、破断ねじユニットを、簡単な押し込み作業でストック状態から使用可能状態へ移行させることができ、利便性に優れる。
【0016】
また、前記破断ねじに装着される前記ねじカバーが、中央に設定された基準線を中心にして蝶動することにより開閉するものであって、該ねじカバーを開放状態として破断ねじを装填し、該破断ねじが装填された状態で閉鎖状態とすると、該破断ねじが両側から挟まれるようにして該ねじカバーに装着されることとなる構成としてもよい。
【0017】
かかる構成における破断ねじは、カバーねじの部分体によって両側から挟まれて保持されるため、ねじカバーから簡単に脱離してしまうことがない。
【発明の効果】
【0018】
本発明の基板ケース用不正開放防止機構は、従来破棄されていた破断ねじの頭部に着目してなされたものであり、破断ねじに、本発明に係るねじカバーを装着し、破断して切離した切離頭部を該ねじカバー内に残留させて、ねじ軸部への不正アクセスを妨げる構成であるから、特殊工具等を用いた不正行為等を確実に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明における基板ケース用不正開放防止機構1を具体化した実施形態を説明する。
なお、本発明における遊技機(図示省略)とは、パチンコ機、パチスロ機、スロット機等であり、遊技場において島設備と総称される玉供給装置、コイン供給装置等に組み込まれて設置されるものである。
【0020】
前記遊技機の背面に取り付けられる基板ケース1A(図8参照)は、制御基板(図示省略)を収納するものであり、不正に開放されないように封止される。なお、該基板ケース1Aは、図1に示すケース本体2と、図2に示すケース蓋3とからなる。
【0021】
図1等に示すように、前記ケース本体2は、中央に配された主板部20を主体とし、その一端には、四個の円筒状の収納筒22が横列し立設されている。該複数の収納筒22は、後述の破断ねじユニットUをストックするストック部としての役割を果たしている。
【0022】
さらに、各収納筒22に隣接する位置には、後述の破断ねじ40が螺入されるねじ穴23が、四個横列して設けられている。
【0023】
また、前記ケース本体2の角隅部には、鉛直方向に配向された単一で略円筒形状の回動接続部21が設けられている。該回動接続部21は、中心寄りに配された嵌合雌部材24と、該嵌合雌部材24の外側に配された低背の囲繞壁25とからなり、嵌合雌部材24と囲繞壁25とが主板部20に対して立設されている。なお、前記嵌合雌部材24は、複数(4個)の起立部材が周状に間隔をおいて配置されてなると共に、各部材の内側面には、内向きに突出した係合部24Aが配設されている。
また、該ケース本体2には、端子板カバー(図示省略)が装着される端子板カバー取付部(図示省略)が設けられている。
【0024】
これに対し、図2に示すように、ケース蓋3は、中央に配された主板部30を主体とし、その一端には、側方に突き出された耳部32が四個横列して設けられている。さらに、各耳部32の基端には、後述の破断ねじユニットUが装着されるユニット装着孔33Aが各々開口し、さらに該ユニット装着孔33Aの底部には、該ユニット装着孔33Aより径小のねじ貫通孔33Bが貫設されている(図9参照)。
【0025】
さらに、図2に示すように、該ケース蓋3の他端には、鉛直方向に配向された単一で略円筒形状の回動接続部31が設けられている。該回動接続部31は、貫通孔34を具備する囲繞部材35を具備している。
【0026】
ところで、これまでに述べた図2に示すケース蓋3を、図1に示すケース本体2に適正に取り付けた際には、図8,9に示すように、ケース蓋3の四個のねじ貫通孔33Bと、ケース本体2の上面にある四個のねじ穴23とが、それぞれ上下方向で対応して同一軸線上に配置されることとなり、前記ユニット装着孔33Aから挿入された破断ねじ40が、その直下にあるねじ穴23に螺入されることとなる。
【0027】
次に、図3に従って、破断ねじユニットUについて説明する。
図3aに示すように、該破断ねじユニットUは、破断ねじ40と、これに装着されるねじカバー10とで構成される。
【0028】
前記破断ねじ40は、同一軸線上に二つの頭部が上下に並べられた二頭ねじとされている。具体的には、ねじ溝が施された丸棒状のねじ軸部43と、該ねじ軸部43の上端に形成された固定頭部42と、該固定頭部42の上端に連結された切離頭部41とからなる。なお、該固定頭部42と該切離頭部41の横幅は、共に、ねじ軸部43より幅広に設定されている。
【0029】
また、前記切離頭部41の頭頂には、ドライバー等の工具α(本実施例はマイナスドライバー)の先端が係合する工具用係合部44が形成されており、さらに該工具用係合部44は、傾斜状の滑面44Aと、該滑面44Aからほぼ垂直に起立する起立面44Bとを適宜組み合わせてなる逆回し防止構造とされている。
【0030】
上記破断ねじ40について、さらに詳述すると、前記固定頭部42と前記切離頭部41との連結部位は、該切離頭部41の下部が縮径したテーパ形状とされることにより、強度が低い易破断部とされている。すなわち、意図的に該連結部位は破断可能とされており、基板ケース1Aの封止作業において、ねじ軸部43をねじ穴23に最後までねじ込んだ後、さらに強制的に該破断ねじ40を工具αでねじ込むと、切離頭部41と固定頭部42との連結部位が捻られて破断し、該切離頭部41がねじ本体(ねじ軸部43と固定頭部42)から切離する。
【0031】
一方、前記ねじカバー10は、図3aに示すように、前記破断ねじ40の二つの頭部41,42を内包するものであり、筒形状のカバー筐体11からなる。
更に詳述すると、該カバー筐体11は、上面に工具用ねじ操作孔13が貫設され、下面に差出孔14が貫設されている。さらに、側面には装着孔12が開口されている。また、前記装着孔12は、前記差出孔14と連通している。さらに、該カバー筐体11内のほぼ中腹には、内向きに突き出された区画壁15が設けられ、この区画壁15によりカバー筐体11内は上側の切離頭部収容室16と、下側の固定頭部収容室17とに分割されている。
【0032】
かかる構成にあって、前記破断ねじ40は、前記ねじカバー10内に前記装着孔12を介して挿入され、図3bに示すような装着完了状態となる。そして、該装着完了状態において、前記切離頭部41は上側の切離頭部収容室16に配置され、前記固定頭部42は下側の固定頭部収容室17に配され、また、前記工具用ねじ操作孔13からは、前記切離頭部41の前記工具用係合部44が露出し、さらに前記差出孔14からは、前記ねじ軸部43が差し出される。
なお、前記工具用ねじ操作孔13の孔径は、前記切離頭部41より径小の寸法とされ、該切離頭部41が切離後に、該工具用ねじ操作孔13から抜け出さないように設定されている。また、前記差出孔14の孔径は、前記固定頭部42より径小の寸法とされ、当該破断ねじ40が、軸線方向においてねじカバー10から抜け落ちないように寸法設定されている。
【0033】
ところで、前記カバー筐体11は、図3等に示すように、平面視真円形状にされておらず、前記装着孔12側が長軸方向に沿って切り欠かれた平面視異形形状とされている。かかる構成により、該装着孔12側に、平面部で構成された回動規制面部18が形成されている。また、これに伴い、図2に示すように、ケース蓋3における該ユニット装着孔33Aの平面形状は、該ねじカバー10の外観形状に対応させた異形形状とされている。
該回動規制面部18は、後述するように、該カバー筐体11がユニット装着孔33A内で遊転することを防止するものである。
【0034】
次に、これまでに述べた破断ねじユニットUを用いた基板ケース1Aの封止手順を示すと共に、本発明に係る基板ケース用不正開放防止機構1を説明する。
まず、図3bに示すように、前記ねじカバー10に、前記破断ねじ40を装着して、破断ねじユニットUを準備すると共に、図4に示すように、ケース本体2の各収納筒22に該破断ねじユニットUを各々装填する。さらに、該ケース本体2において、端子板(図示省略)を覆っている端子板カバーを端子板カバー取付部に取り付ける。
【0035】
次に、図5に示すように、前記ケース本体2に、ケース蓋3を取り付ける。具体的には、図5aに示すように、ケース本体2の回動接続部21に、ケース蓋3の回動接続部31を上から差し込み、両接続部21,31を係合させ、さらに図5bに示すように、該回動接続部21,31の中空部分に、上方から回転ジョイントとしてのカシメ部材4を嵌着する。そうすると、図5cに示すように、両接続部21,31はカシメられて分離不能となると共に、相互に回動自在となり、該ケース蓋3が該ケース本体2に対して該カシメ部材4を中心に回動スライドする。
上記両接続部21,31のカシメ状態を更に詳しく述べれば、図6aに示すように、ケース本体2に配設された嵌合雌部材24に、ケース蓋3の貫通孔34が挿通されることにより囲繞部材35が外挿され、その後、上方から前記カシメ部材4が差し込まれて、図6bに示すような嵌合状態となる。具体的には、カシメ部材4の脚部4Aに設けられた係合部4Bが、前記嵌合雌部材24の係合部24Aと係合し、両部材4,24がカシメられる。また、前記囲繞部材35は、嵌合雌部材24周りで回動可能であり、これにより、ケース蓋3がケース本体2に対して該カシメ部材4を中心に回動スライド可能となる。
ところで、両部材4,24がカシメられたカシメ部50は、そのカシメ構造により、ケース蓋3とケース本体2とが分離してしまうことを防止すると共に、前記嵌合雌部材24が前記ケース蓋3の囲繞部材35とケース本体2の囲繞壁25とによって二重に囲繞されるため、不正なアクセスが困難とされている。さらに、該ケース蓋3の開放方向は、上記回動スライド方向に限定されるため、その開放が困難なものとされている。なお、変形例として、上記構成とは逆に、前記嵌合雌部材24がケース蓋3に配設され、前記囲繞部材35がケース本体2に配設された構成を採用しても勿論よい。
【0036】
上述のようにケース本体2にケース蓋3を開閉自在に取り付けた後は、開放状態にあるケース本体2の主板部20に、制御基板(図示省略)を適宜配置すると共に、図7aに示すように、収納筒22に収納されたいずれか一つの破断ねじユニットUを取り出しておく。そして、ケース蓋3を回動スライドさせて、図7bに示すように、該ケース蓋3でケース本体2を適正に覆う。さらに、図8に示すように、取り出しておいた破断ねじユニットUを、対応するユニット装着孔33Aに挿入すると共に、図9に示すように、破断ねじユニットUにおける下方に差し出された破断ねじ40のねじ軸部43を、ねじ貫通孔33Bに挿通させる。ここで、前記破断ねじユニットUにあっては、ねじカバー10が異形形状とされ、なおかつ、前記ユニット装着孔33Aもこれに対応した同一の平面形状とされているため、該ねじカバー10の装着向きが一方向に決まる(図8参照)。更に述べると、ねじカバー10の回動規制面部18が、該ユニット装着孔33Aの周縁のうち、円弧でない直線部分に沿って当接するため、ねじカバー10がユニット装着孔33A内において、破断ねじ40の軸線周りに遊転してしまうことが防止される。このようなねじカバー回動防止機構Rを採用することにより、ねじカバー10が、該ユニット装着孔33A内において緩みなく固定される。
【0037】
上述のように破断ねじユニットUをケース蓋3に装着した後は、図9aに示すように、ねじカバー10の工具用ねじ操作孔13を介して、工具αで破断ねじ40をケース本体2のねじ穴23に螺入する。具体的には、工具αの先端を、破断ねじ40の切離頭部41にある工具用係合部44に係合させ、該工具αを回動操作して、ねじ軸部43をねじ穴23内にねじ込む。
ここで、図9に示すように、該ユニット装着孔33Aの底部であって、該ねじ貫通孔33Bの周囲には、水平面からなるねじカバー着座部33Cが周成されている。
【0038】
さらに、該破断ねじ40を最後まで螺入すると、該破断ねじ40における固定頭部42の下面とケース本体2の上面との間に、ケース蓋3およびねじカバー10の差出孔14周辺部とが挟着される。これと共に、該ねじカバー10が、前記ねじカバー着座部33Cに強く圧着される。かかる状態にあっては、該ケース本体2と該ケース蓋3とが上下方向で挟圧されることとなるため、ケース蓋3は開放不能となって、基板ケース1Aが緊締(ねじ止め)された状態になる(図9a参照)。
【0039】
そして、上記状態とした後、さらに強制的に破断ねじ40を工具αにより回動操作して、その過剰な捻りにより該破断ねじ40を破断させ、切離頭部41を切離する。そうすると、図9bに示すように、切離した該切離頭部41が、前記ねじカバー10の切離頭部収容室16内に残留し、これで一連の基板ケース封止作業が完了する。
【0040】
図9bに示す状態にあって、仮に、ねじカバー10の工具用ねじ操作孔13を介して、破断ねじ40のねじ軸部43に特殊工具でアクセスしようとしても、該工具用ねじ操作孔13と該ねじ軸部43との間に、該切離頭部41が介在するから、かかる切離頭部41が邪魔をしてねじ軸部43に直接到達することができない。したがって、従来のように、特殊工具により破断ねじ40のねじ軸部43がケース本体2のねじ穴23から抜き出されることがないため、基板ケース1Aの封止が確実となる。
なお、再度述べると、ねじカバー10における工具用ねじ操作孔13の孔径は、前記切離頭部41の外径より径小に設定されているため、切離された切離頭部41が工具用ねじ操作孔13から抜け落ちて紛失してしまうことはない。
【0041】
ところで、封止された基板ケース1Aは、制御基板の交換等のために、作業員により適正に開封され、再度封止しなければならない場合がある。このような場合は、ユニット装着孔33A周辺を破壊して破断ねじ40をケース本体2に残しつつケース蓋3を開放した後、予めストックされていた破断ねじユニットUを用いて、再度基板ケース1Aを封止する。これまでに述べた図8等に示す実施例の場合、全部で四個の破断ねじユニットUを使用することができ、総計四回の開封・封止作業を行うことができる。
【0042】
次に、第一の変形例を説明する。
図10に示すように、前記ケース本体2Aにおいて、該ケース本体2Aの側壁面(側面)には、切断可能な杆状の被切断連結部23Bが外向きに差し出され、かつ該被切断連結部23Bが左右方向に複数並設されている。さらに、各被切断連結部23Bの先端には、前記ねじ穴23が設けられた円柱状のケース本体側切離体23Aが配設されている。また、隣り合う該ケース本体側切離体23A同士も、切断可能な被切断連結部23Cを介して、相互連結している。
【0043】
また、図11に示すように、前記ケース蓋3Aにおいて、該ケース蓋3Aの側壁面(側面)には、切断可能な被切断連結部32Bが外向きに差し出され、かつ該被切断連結部32Bが左右方向に複数並設されている。さらに、各被切断連結部32Bの先端には、前記破断ねじユニットUが装着されるユニット装着孔33Aが設けられたケース蓋側切離体32Aが配設されている。また、隣り合う該ケース蓋側切離体32A同士も、切断可能な被切断連結部32Cを介して、相互連結している。
【0044】
そして、図11に示すように、該ケース蓋3Aが該ケース本体2Aを遮蔽した状態で、前記ケース本体側切離体23Aと前記ケース蓋側切離体32Aとが上下に重なり合い、該ケース蓋側切離体32Aの前記ユニット装着孔33Aに装着された破断ねじユニットUの破断ねじ40が、該ケース本体側切離体23Aの前記ねじ穴23に螺入可能となる。この状態で、上述した操作によって破断ねじ40がねじ穴23に螺入されると、ケース蓋3Aとケース本体2Aとが結合し封止される。
【0045】
ところで、作業員が、封止された基板ケース1A(図11参照)を適正に開放したい場合がある。この場合は、図12に示すように、所要の被切断連結部32B,23B,23C,32Cを切断することにより、封止に寄与している破断ねじ40が含まれる部位を、該基板ケース1Aから除去してやればよい。
そうすると、基板ケース1Aの封止が解除されるから、適正にケース蓋3Aを開放することができる。なお、本実施例は、上述のように破断ねじユニットU自体をそっくりそのまま取り外して開封するのであり、開封時に破断ねじ40が取り残されてケース蓋3Aの開放を邪魔するということがない。このため、封止の際に、いずれのケース本体側切離体23Aおよび前記ケース蓋側切離体32Aを選択して利用したとしても、その開閉に支障が出ることがない。また、被切断連結部32B,23B,23C,32Cを切断した痕跡が明確に残るため、ケース蓋3Aを開放した事実を容易に確認することができる。
【0046】
さらに、第二の変形例が提案される。
図13に示すように、ケース蓋3Bにおいて、その側壁面(側面)には、切断可能な被切断連結部72Bが外向きに差し出されている。さらに、該被切断連結部72Bの先端には、ユニット装着孔73Aが貫設された円筒形のケース蓋側切離体72Aが配設されている。
また、該ユニット装着孔73Aの内周には、摺動溝76と、逃げ溝77とが筒方向に沿って形成されている。さらに、該摺動溝76の中間部には、ユニット装着孔側係合部75が内向きに突設されている。そして、これまでに述べた実施例と同様に、該ケース蓋側切離体72Aのユニット装着孔73A内には、破断ねじユニットU1(後述)が挿入される。
【0047】
なお、図示は省略するが、前記被切断連結部72Bは、左右方向に複数並設されており、各被切断連結部72Bの先端にケース蓋側切離体72Aが配設され、隣り合うケース蓋側切離体72A同士も、被切断連結部72Cを介して、相互連結している。さらに、本変形例に使用されるケース本体2Aは、第一の変形例に係るケース本体2Aが採用される。
【0048】
そして、図14に示すように、ケース本体2Aがケース蓋3Bに覆われると、前記ケース本体側切離体23Aと前記ケース蓋側切離体72Aとが上下で重なり合い、該ケース蓋側切離体72Aの前記ユニット装着孔73Aと、該ケース本体側切離体23Aの前記ねじ穴23とが連通する。
【0049】
次に、破断ねじユニットU1について説明する。
図17,18に示すように、本変形例のねじカバー60は、合成樹脂材料からなり、中央に設定された基準線69を中心にして左右に配置された部分体60A,60Bで構成されている。そして、ねじカバー60は、該基準線69を基準にして蝶動可能とされている。すなわち、基準線69を中心に部分体60A,60Bが開け閉めされることにより、図17,18に示すような開放状態、または図16に示すような閉鎖状態となる。なお、該ねじカバー60の両端には、互いに係合する係合部68A、68Bがそれぞれ設けられており、閉鎖状態で両係合部68A、68Bを係合させることが可能となっている。
【0050】
また、該ねじカバー60の側面には、弾性材からなるねじカバー側係合部70が設けられている。また、該ねじカバー側係合部70の中間部には、係合溝71が設けられている。そして、該ねじカバー側係合部70は、弾性変形することにより、前記側面に対して出没自在とされている。
【0051】
また、該ねじカバー60の内面であってほぼ中間位置には、中心向きに突き出された区画壁65が設けられ、上側の切離頭部収容室66と下側の固定頭部収容室67とが形成されている。また、上端には工具用ねじ操作孔63が開口し、下端には差出孔64が形成されている。
【0052】
そして、該ねじカバー60にあって、破断ねじ40を装着するには、まず該ねじカバー60を左右に開いて開放状態とする。そして、切離頭部41を切離頭部収容室66に配置し、固定頭部42を固定頭部収容室67に配置して、該ねじカバー60に破断ねじ40を装填する。
次に、この装填状態でねじカバー60を閉じて閉鎖状態とすると、該破断ねじ40が該ねじカバー60に挟まれるようにして確実に装着されることとなる。
【0053】
上記破断ねじユニットU1は、前記ユニット装着孔73A内に開口側から挿入される。ここで、該ねじカバー60のねじカバー側係合部70が、ユニット装着孔73Aの摺動溝76に嵌め込まれ、かつ、該ねじカバー60の基準線69の凸条が、ユニット装着孔73Aの逃げ溝77に嵌め込まれる。そして、該破断ねじユニットU1が筒方向に沿って下方に押し込まれると、図15aに示すように、ねじカバー側係合部70が弾性変形しながら、係合溝71にユニット装着孔側係合部75が嵌り込み、該破断ねじユニットU1がユニット装着孔73A内に仮止めされた待機状態となる。
すなわち、この待機状態が、未使用の破断ねじユニットU1をケース蓋側切離体72A内でストックしている状態となる。
【0054】
そして、このようにストック状態にある破断ねじユニットU1を使用する場合は、まず、ケース蓋3Aでケース本体2Aを遮蔽し、ケース蓋側切離体72とケース本体側切離体23Aとを上下で重合させる。そしてこの状態で、図15bに示すように、ケース蓋側切離体72A内にある該破断ねじユニットU1をさらに下方へ、すなわちケース本体側切離体23A側へ押し込んでやる。このとき、ねじカバー60のねじカバー側係合部70は弾性変形し、係合溝71とユニット装着孔側係合部75との係合が解かれて、仮止め待機状態が解除される。そしてさらに、該破断ねじユニットU1をねじ穴23へ向けて摺動させると、該破断ねじユニットU1の破断ねじ40がねじ貫通孔73Bを介して該ねじ穴23に螺入可能となり、ケース本体2Aとケース蓋3Aとを緊締することが可能となる。
【0055】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、パチンコ、スロット等の遊技機に用いられる基板ケースに対する不正開放を防止するための不正開放防止機構であり、産業上利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】ケース本体の外観斜視図である。
【図2】ケース蓋の外観斜視図である。
【図3】破断ねじユニットの斜視図であり、(a)は、ねじカバーと破断ねじが分離した状態を示し、(b)は、ねじカバーに破断ねじが装着された状態を示している。
【図4】破断ねじユニットがケース本体に収容された状態を示す斜視図である。
【図5】ケース本体とケース蓋とを開閉自在に接続する手順を示す斜視図である。
【図6】カシメ部の断面側面図であり、(a)は、嵌合前の状態、(b)は、嵌合状態をそれぞれ示している。
【図7】ケース本体をケース蓋で遮蔽する手順を示す斜視図である。
【図8】封止された基板ケースの斜視図である。
【図9】螺着された破断ねじ周辺を示す縦断側面図であり、(a)は、破断ねじの破断前の状態を示し、(b)は、破断後の状態を示している。
【図10】第一の変形例に係るケース本体を示す部分斜視図である。
【図11】第一の変形例に係るケース本体とケース蓋とを示す部分斜視図である。
【図12】第一の変形例であって、被切断連結部を切断した状態を示す斜視図である。
【図13】第二の変形例に係るケース蓋を示す部分斜視図である。
【図14】第二の変形例に係るケース本体とケース蓋とを示す部分斜視図である。
【図15】(a)は第二の変形例に係る破断ねじユニットの仮止め待機状態を示し、(b)は使用状態を示す断面図である。
【図16】第二の変形例に係る破断ねじユニットの外観斜視図である。
【図17】第二の変形例に係るねじカバーの正面図である。
【図18】第二の変形例に係るねじカバーの背面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 基板ケース用不正開放防止機構
1A 基板ケース
2,2A ケース本体
3,3A,3B ケース蓋
4 カシメ部材
10,60 ねじカバー
11 カバー筐体
13,63 工具用ねじ操作孔
15,65 区画壁
16,66 切離頭部収容室
17,67 固定頭部収容室
23 ねじ穴
23A ケース本体側切離体
23B,23C 被切断連結部
24 嵌合雌部材
32A,72,72A ケース蓋側切離体
32B,32C 被切断連結部
33A,73A ユニット装着孔
33B ねじ貫通孔
35 囲繞部材
40 破断ねじ
41 切離頭部
42 固定頭部(ねじ本体)
43 ねじ軸部(ねじ本体)
44 工具用係合部
44A 滑面(逆回し防止構造)
44B 起立面(逆回し防止構造)
50 カシメ部
69 基準線
70 ねじカバー側係合部
72B,72C 被切断連結部
75 ユニット装着孔側係合部
R ねじカバー回動防止機構
U,U1 破断ねじユニット
α 工具


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース本体と、
該ケース本体を覆うケース蓋と
を、破断ねじとこれに装着されたねじカバーとからなる破断ねじユニットを用いて開放不能に緊締し、該ケース本体と該ケース蓋とからなる基板ケースを封止する基板ケース用不正開放防止機構であって、
前記破断ねじは、その頂部に、破断によりねじ本体から切離される切離頭部を有し、該切離頭部の頭頂には、工具の先端が係合し、かつ逆回し防止構造が施された工具用係合部が形成され、
前記ねじカバーは、
前記切離頭部を内包する切離頭部収容室を備え、かつ、該切離頭部収容室に内在する該切離頭部の頭頂を露出させる工具用ねじ操作孔が形成され、さらに該工具用ねじ操作孔の孔径は、該切離頭部より径小の寸法とされていると共に、
前記破断ねじユニットのねじカバーがケース蓋に着座しつつ破断ねじがケース蓋を貫通してケース本体に螺入されることにより、該ケース本体と該ケース蓋とが緊締状態となり、さらに該緊締状態で、前記ねじカバーの前記工具用ねじ操作孔から挿入されて前記工具用係合部と係合した工具によって、強制的に該破断ねじが回動されて前記切離頭部がねじ本体から切離され、切離された該切離頭部が、該ねじカバーの前記切離頭部収容室内に残留して該工具用ねじ操作孔と該ねじ本体との間に介在してなることを特徴とする基板ケース用不正開放防止機構。
【請求項2】
前記破断ねじは、
丸棒状のねじ軸部と、
該ねじ軸部の一端に形成された固定頭部と、
該ねじ軸部の軸線上で該固定頭部に連結された、該固定頭部との連結部位の破断により該固定頭部から切離できる切離頭部と
からなり、
該固定頭部と該切離頭部は、前記ねじ軸部より幅広であり、
前記ねじカバーを構成するカバー筐体内には、
前記固定頭部が収容される固定頭部収容室と、
前記切離頭部が収容される切離頭部収容室と
が、該カバー筐体内に配設された区画壁により仕切られることにより隣接して形成されている請求項1記載の基板ケース用不正開放防止機構。
【請求項3】
前記ケース蓋には、
前記緊締状態にある前記ねじカバーが破断ねじの軸線周りに回動することを防止するねじカバー回動防止機構が設けられている請求項1又は請求項2記載の基板ケース用不正開放防止機構。
【請求項4】
前記ケース本体及び前記ケース蓋のうち何れか一方に配設された嵌合雌部材と、
いずれか他方に配設され、該嵌合雌部材に外挿される囲繞部材と、
前記嵌合雌部材に前記囲繞部材が外挿された状態で該嵌合雌部材と嵌合するカシメ部材とを具備し、
該カシメ部材が該嵌合雌部材に嵌合して両部材がカシメられた状態で、
前記囲繞部材が該嵌合雌部材から抜脱不能となり、かつ、該囲繞部材が前記嵌合雌部材の周りで回動することにより、該ケース蓋が、該カシメ部材と該嵌合雌部材とからなるカシメ部を中心として、該ケース本体に対して脱離することなく回動スライドすると共に、
該ケース蓋が該ケース本体を遮蔽した状態で、
該ケース蓋に配置された前記破断ねじユニットの前記破断ねじと、該ケース本体に形成されたねじ穴とが同一軸上に配置され、該破断ねじが該ねじ穴に螺入可能となる請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の基板ケース用不正開放防止機構。
【請求項5】
前記ケース本体の壁面から、切断可能な被切断連結部が差し出され、かつ該被切断連結部が複数並設され、さらに、該被切断連結部の先端には上面に前記ねじ穴が設けられたケース本体側切離体が各々配設され、隣り合うケース本体側切離体同士も、切断可能な被切断連結部を介して連結されていると共に、
前記ケース蓋の壁面から、切断可能な被切断連結部が差し出され、かつ該被切断連結部が複数並設され、さらに、該被切断連結部の先端には前記破断ねじユニットが装着されるユニット装着孔が貫設された筒状のケース蓋側切離体が各々配設され、隣り合うケース蓋側切離体同士も、切断可能な被切断連結部を介して連結されており、
該ケース蓋が該ケース本体を遮蔽した状態で、前記ケース本体側切離体と前記ケース蓋側切離体とが重合して該ケース蓋側切離体の該ユニット装着孔と該ねじ穴とが連通し、該ユニット装着孔に装着された破断ねじユニットの破断ねじが、該ねじ穴に螺入可能となると共に、
前記破断ねじがねじ穴に螺入されることにより結合したケース蓋側切離体およびケース本体側切離体を、各被切断連結部を切断することによって、該ケース蓋および該ケース本体から分離することができる請求項4記載の基板ケース用不正開放防止機構。
【請求項6】
前記ユニット装着孔の内面には、ユニット装着孔側係合部が設けられ、
該破断ねじユニットにおけるねじカバーの側面には、ねじカバー側係合部が設けられ、
前記ユニット装着孔側係合部及び/又は前記ねじカバー側係合部は、弾性体で構成されており、
前記ケース本体側切離体と前記ケース蓋側切離体とが重合して該ケース蓋側切離体の前記ユニット装着孔と該ケース本体側切離体の前記ねじ穴とが連通した状態にあって、
前記破断ねじユニットは、前記ユニット装着孔内で、該ユニット装着孔の開口側から前記ねじ穴に向けて摺動可能とされており、
該ユニット装着孔の開口側に位置する場合に、前記ユニット装着孔内の前記ユニット装着孔側係合部と、該破断ねじユニットにおけるねじカバーのねじカバー側係合部とが係合した仮止め待機状態となると共に、
前記仮止め待機状態の破断ねじユニットをねじ穴へ向けて押し込み、弾性体からなるユニット装着孔側係合部及び/又は前記ねじカバー側係合部を弾性変形させて前記係合を解除しつつ、該破断ねじユニットをねじ穴へ向けて摺動させることにより、該破断ねじユニットの破断ねじが該ねじ穴に螺入可能となる請求項5記載の基板ケース用不正開放防止機構。
【請求項7】
前記破断ねじに装着される前記ねじカバーが、中央に設定された基準線を中心にして蝶動することにより開閉するものであって、
該ねじカバーを開放状態として破断ねじを装填し、該破断ねじが装填された状態で閉鎖状態とすると、該破断ねじが両側から挟まれるようにして該ねじカバーに装着されることとなる請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の基板ケース用不正開放防止機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−136814(P2010−136814A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−314441(P2008−314441)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【出願人】(504214291)株式会社アイセイ (11)
【Fターム(参考)】