説明

基板ホルダ、成膜装置及び成膜方法

【課題】成膜効率の高い成膜装置を実現する。
【解決手段】板状の反転治具57に基板Wを複数保持し、基板を保持する4枚の反転治具57を保持する基板ホルダ50を、真空チャンバー内に基板Wと蒸着源とが対向するように配置し、真空蒸着を開始する。蒸着源と対向する基板Wが成膜された場合、基板ホルダ50を90度回転させる。1面が成膜された反転治具57を、反転治具57と一体になったゼネバ581を回転させることで反転させる。全ての反転治具57の両面が成膜されるまで、真空蒸着を継続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板ホルダ、成膜装置及び成膜方法に関する。特に、真空蒸着における基板ホルダ、成膜装置及び成膜方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薄膜の形成技術は、CVD(Chemical Vapor Deposition;化学気相成長)技術と、PVD(Physical Vapor Deposition;物理的成長)技術とに大きく分けられる。特にPVD技術の1種である真空蒸着法は、構造が簡単で、膜の厚さの制御が容易であることから、光学薄膜、電子部品等について、従来広く用いられてきた。また、PVD技術としては、他に各種のスパッタリングやイオンプレーティングが用いられている。
【0003】
PVD技術は、蒸着粒子を基板に効率よく堆積させるために成膜室内を真空にするステップと、蒸着粒子を基板に堆積させて薄膜を形成するステップと、を備えることを特徴とする。このようなPVD技術を使用し、バッチ処理で成膜を行う場合、1バッチ毎に、成膜室内をロータリーポンプ等で真空引きして所定の真空圧にしなければならない。この真空引きは、成膜時間と比較して長時間を要するため、1バッチでなるべく多くの基板の面に成膜するのが望ましい。例えば、特許文献1には、板状の基板を180度回転させることで、1バッチに基板の表面と裏面の2面を成膜するスパッタ装置が開示されている。また、同文献には、3枚の基板を備える3角柱型の基板ホルダを使用することで、1バッチに3面を成膜するスパッタ装置が開示されている。
【特許文献1】特開平3−82762号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、板状の基板ホルダを180度回転(反転)させる方法を使用する場合、板状の基板を反転させない場合と比較して、1バッチで成膜できる基板の面が2倍になるにすぎない。また、3角柱型の基板ホルダを使用する場合、隣り合う基板ホルダが互いに干渉しないように、板状の基板ホルダ使用時よりも基板ホルダ間のスペースを大きくとる必要があるが、1バッチで成膜できる基板の面が3倍になるにすぎない。このため、真空室内のスペースを大きくとる割には、成膜効率がそれほど向上しないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、成膜効率の高い成膜装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点にかかる基板ホルダは、
成膜室内に配置され、蒸着源から飛散させた蒸着粒子を堆積させる複数の基板を保持する基板ホルダであって、
複数の開口部を備え、前記複数の開口部のそれぞれに前記複数の基板を保持する複数の板状治具と、
前記複数の板状治具を側面とした多角柱が形成されるように、前記複数の板状治具を保持する保持手段と、
前記複数の板状治具の裏面を前記多角柱の側面に露出させるように、前記複数の板状治具を反転させる反転手段と、
前記多角柱の中心軸を回転軸として、前記複数の板状治具を回転させる回転手段と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の第2の観点にかかる成膜装置は、
成膜室内に配置された蒸着源と、
第1の観点に係る基板ホルダと、
前記蒸着源から飛散させた蒸着粒子を前記基板ホルダが保持する基板上に堆積して成膜する成膜手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
前記基板ホルダは、前記蒸着源の蒸発面に対する垂線を中心とする円周上に複数配置されており、
前記垂線を中心軸として前記基板ホルダを公転させる公転手段をさらに備えてもよい。
【0009】
本発明の第3の観点に係る基板ホルダは、
成膜室内に配置され、蒸着源から飛散させた蒸着粒子を堆積させる複数の基板を保持する筒型の基板ホルダであって、
前記基板ホルダの筒の延びる方向に沿って複数の基板が複数の列を形成するように、複数の基板を前記基板ホルダの側面に保持する保持手段と、
前記基板ホルダを円周方向に沿って回転させる基板ホルダ回転手段と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の第4の観点に係る基板ホルダは、
成膜室内に配置された蒸着源と、
第3の観点に係る基板ホルダと、
前記基板ホルダに保持された複数列の基板のうち一列が前記蒸着源に対向するようにマスクするマスク手段と、
前記蒸着源から飛散させた蒸着粒子を前記基板ホルダが保持する基板上に堆積して成膜する成膜手段と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の第5の観点にかかる成膜方法は、
成膜室内に蒸着源を配置する蒸着源配置ステップと、
複数の板状治具が備える複数の開口部のそれぞれに複数の基板を保持する基板保持ステップと、
前記複数の板状治具を側面とした多角柱が形成されるように、前記複数の板状治具を保持する板状治具保持ステップと、
前記複数の板状治具の裏面を前記多角柱の側面に露出させるように、前記複数の板状治具を反転させる反転ステップと、
前記多角柱の中心軸を回転軸として、前記複数の板状治具を回転させる回転ステップと、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、成膜効率の高い成膜装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(実施形態1)
本発明の実施形態1に係る真空蒸着装置について詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る真空蒸着装置1の側面図である。真空蒸着装置1は、図1に示すように、真空チャンバー10と、ヒータ30と、蒸着源40と、複数の基板ホルダ50と、シャッタ60と、アーム70と、ホルダ回転機構81と、アーム駆動機構83と、ホルダ公転機構85と、制御部100と、を備えて構成される。基板ホルダ50は、例えば8つ配置する。
【0014】
真空チャンバー10は、内部に密閉された空間(成膜室)を備え、成膜室内で薄膜を形成するために使用される。真空チャンバー10の室内にヒータ30と、蒸着源40と、基板ホルダ50と、シャッタ60と、アーム70とが配置される。また、真空チャンバー10は、真空チャンバー10内の気体を排気する排気機構13と、真空チャンバー10内に気体を供給する給気機構11とを備える。
【0015】
ヒータ30は、タングステンなどの融点の高い金属を材料とし、蒸着源40を抵抗加熱方式で加熱するために使用される。
【0016】
蒸着源40は、基板に堆積させるための成膜材料からなり、ヒータ30が蒸着源40を加熱することにより、成膜材料が蒸発する。シャッタ60は、開閉可能に構成され、閉時に蒸着粒子を遮蔽する。
【0017】
図2(a)は、基板ホルダ50の斜視図である。基板ホルダ50は、複数の基板を保持する部材であり、図2(a)に示すように、ロッド51と、ロッキングホイール53と、取付治具55と、反転治具57と、を備えて構成される。また、図2(b)は、基板ホルダ50をロッド51が取り付けられた方向から見た上面図である。
【0018】
ロッド51は、取付治具55を保持するための細長い棒状の部材であり、ゼネバ511を備える。ロッド51の一端は、真空チャンバー10の天井部に回転可能に取り付けられ、他端には、取付治具55が固定される。また、ロッド51は、ゼネバ511の中心部を貫通し、ゼネバ511と一体になっている。
【0019】
ゼネバ511は、複数の溝を備え、ロッド51と一体となっている歯車であり、例えば図2(a)に示すように、ロッキングホイール53に備えられたピンと係合する4つの溝を備える。
【0020】
ロッキングホイール53は、ゼネバ511の溝と係合するピンを備えた円盤状の部材であり、ホルダ回転機構81によりロッド51の伸びる方向と垂直な方向に回転する。図3(a)に示すように、真空蒸着を行う場合、ロッキングホイール53のピンとゼネバ511の溝とを係合させることで、基板が蒸着源40に対向するように基板ホルダ50を固定する。そして、基板ホルダ50を回転させる場合、ホルダ回転機構81は、制御部100の制御により、ロッキングホイール53を所定の方向に回転させる。図3(b)に示すように、ロッキングホイール53の回転により、ゼネバ511が回転する。そして、ゼネバ511と一体となったロッド51が回転することにより、基板ホルダ50が回転する。図3(c)に示すように、ロッキングホイール53が一周すると、ゼネバ511は、90度回転する。ゼネバ511の溝の数及びロッキングホイール53の直径を調節することで、ロッキングホイール53の1回転に対応するゼネバ511の回転角度を調節することができる。
【0021】
図2(a)に示すように取付治具55は、基板ホルダ50が反転治具57を保持するための多角形の板状の部材であり、例えば正方形の形状をしている。取付治具55の中心部にロッド51の一端が固定される。また、取付治具55の各辺の周辺部には、反転治具57を取り付けるための貫通孔551が形成されている。
【0022】
図4に、反転治具57の斜視図を示す。図4に示すように、反転治具57は、基板Wを保持する多角形の板状の部材であり、心棒571と、上面板575と、下面板573と、ヒンジ577と、固定子579と、ゼネバ581とを備えて構成される。
【0023】
上面板575、下面板573は、基板Wをはめ込んで保持するための開口部583が複数形成された板状の部材である。例えば、上面板575及び下面板573は台形の形状をし、開口部583は、円形である。これらの部材は、重ね合わせたとき互いの開口部583が一致するようにヒンジ577により接続される。
【0024】
固定子579は、下面板573に取り付けられる部材で、一方向に回すことで、重ね合わせた上面板575及び下面板573を離れないように固定する。また、他方向に回すことで、下面板573と重ね合わせた上面板575を下面板573から離すことができる。
【0025】
心棒571は、下面板573に固定され、下面板573の上辺と下辺の中点を結ぶ直線に沿って伸びる、下面板573と一体になった棒状の部材である。心棒571の両端は、下面板573の上辺側、下辺側から飛び出ており、下辺側の一端にゼネバ581を備える。
【0026】
上記の構成により、基板Wが開口部583に保持され、上面板575及び下面板573を重ね合わせられる。そして、固定子579により、重ね合わされた上面板575と下面板573とが離れないように固定される。
【0027】
反転治具57の取付治具55への取り付け方について、図5を参照して説明する。図5に示すように、反転治具57と一体となっている心棒571の上辺側の一端が取付治具55に形成された貫通孔551を挿通し、取付ピン585により、この一端が回転可能に固定される。取付治具55には、4枚の反転治具57を取り付けるが、これら4枚の反転治具57がそれぞれ反転しても互いに干渉しないように、反転治具57を取付治具55に対し、斜めに取り付ける。
【0028】
アーム70は、反転治具57を反転させるための器具であり、真空チャンバー10の室内に配置される。アーム70は、図5に示すように、L字部71と伸縮部73とから構成される。伸縮部73は、一端がL字部71の一端に固定され、他端がアーム駆動機構83(図1)に固定された棒状の部材である。アーム駆動機構83は、制御部100の制御により、伸縮部73を反転治具57の方向へ向かってL字部71がゼネバ581と係合するまで伸縮させる。
【0029】
L字部71は、L字型の部材であり、一端が伸縮部73の先端に回転可能に固定される。伸縮部73の伸縮により、L字部71の先端がゼネバ581の溝と係合する。そして、アーム駆動機構83は、制御部100の制御により、ゼネバ581と係合したL字部71を、伸縮部73に固定された一端を中心として回転させる。反転治具57の一方の面の基板Wが成膜された後、ゼネバ581と係合したL字部71が180度回転することにより、反転治具57が反転する。
【0030】
図6に、本実施形態に係る真空蒸着装置1の上面図を示す。図6に示すように、8つの基板ホルダ50は、蒸着源40を中心とした円に沿って等間隔で真空チャンバー10の天井に固定される。また、基板ホルダ50の支持する4つの反転治具57のうち1つが、蒸着源40と所定の角度で対向するように、ロッド51と天井とのなす角度が調節されて固定される。
【0031】
基板ホルダ50が8つあるのに対し、アーム70は1つしかないから、8つの基板ホルダ50を全て反転させるにはアーム70と係合する位置まで、各基板ホルダ50を公転させる必要がある。そこで、ホルダ公転機構85は、制御部100の制御により、図6のように配置された回転ホルダ50を、それぞれの位置関係を維持しつつ、蒸着源40の周囲を公転させる。また、ホルダ公転機構85は成膜時に基板ホルダ50を所定の回転速度で公転させるための機構でもある。
【0032】
制御部100は、真空蒸着装置1を制御する制御装置であり、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)105と、RAM(Random Access Memory)103とを備えて構成される。この制御部100は、給気機構11と、排気機構13と、ヒータ30と、ホルダ回転機構81と、アーム駆動機構83と、ホルダ公転機構85と、装置内の各種の機器とを制御する。
【0033】
CPU101は、ROM105に格納されたプログラムを読み出して繰り返し実行する。
【0034】
ROM105は、真空蒸着プログラムを含む真空蒸着装置1の制御プログラムと、膜厚設定値Ts(nm)と、を格納する。膜厚設定値Ts(nm)は、基板ホルダ50の保持する基板Wに成膜される膜厚の設定値である。RAM103は、CPU101のワークエリアとして機能する。
【0035】
上記の構成により、基板Wが保持された反転治具57と、この反転治具57を4つ支持する基板ホルダ50が8つ、真空チャンバー10内に配置される。また、蒸着源40が真空チャンバー10内に設置される。そして、排気機構13により真空チャンバー10内が真空引きされ、シャッタ60を閉じた状態でヒータ30により蒸着源40が加熱される。
【0036】
反転治具57上の基板Wが蒸着源40に対向するように、ホルダ回転機構81が取付治具55を回転させると、ホルダ公転機構85が所定の回転速度で公転し、シャッタ60が開いて真空蒸着が開始される。そして、蒸着源40に対向する基板Wに蒸着粒子が堆積することにより、基板Wが成膜される。一面の成膜が終了するとシャッタ60が閉じ、ヒータ30およびホルダ公転機構85が停止される。一方の面が成膜された反転治具57はアーム70により反転される。さらに、ホルダ公転機構85は、8つの基板ホルダ50を、蒸着源40を中心として公転させる。
【0037】
次に、真空蒸着装置1の動作について図7〜図13を参照して詳細に説明する。
【0038】
CPU101は、ROM105から、真空蒸着装置1の制御プログラムを読み出して実行する。そして、ユーザの操作等に応答して、真空蒸着装置1の制御プログラムのメインフローの中で真空蒸着プログラムを読み出して、例えば、周期的なタイマ割込などにより、繰り返し実行する。
【0039】
図7に真空蒸着処理のフローチャートを示す。まず、反転治具57に基板Wを保持させ、蒸着源40および基板ホルダ50を配置する。実施例では作業員が基板および蒸着源を配置するものとするが、CPU101が、図示しないロボット等の制御により、蒸着源40を真空チャンバー10内に配置させ、基板Wを保持する基板ホルダ50を配置させてもよい。そして、CPU101は、ホルダ回転機構81に回転を指示する回転信号を送信することで、反転治具57の一面が蒸着源40と対向するように基板ホルダ50を回転させる(ステップS1)。
【0040】
CPU101は、排気機構13に運転を指示する運転信号を送信し、真空チャンバー10内を、例えば10-3〜10-5Pa程度の真空にさせる(ステップS3)。
【0041】
続いてCPU101は、成膜面数Nfを0で初期化する(ステップS5)。この成膜面数Nfは、膜厚設定値Ts以上の膜厚に成膜された、反転治具57の面の数を意味する。
【0042】
CPU101は、基板ホルダ回転処理を開始する(ステップS7)。基板ホルダ回転処理のフローチャートを図8に示す。基板ホルダ回転処理は、基板ホルダ50自身を回転させる処理である。基板ホルダ回転処理後、反転治具57の一面が蒸着源40に対向して固定されるようにロッキングホイール53のピンとゼネバ511の溝とを係合する。CPU101は、シャッタ60を閉じ、ヒータ30に加熱を開始させる開始信号を送信することで、蒸着源40を加熱させる。続いて、ホルダ公転機構85に回転を指示する成膜用公転信号を送信することで、基板ホルダ50を所定の回転速度で公転させる。CPU101は、蒸着源40が所定の蒸発温度に到達したことを確認し、シャッタ60を開いて基板Wに蒸着粒子を堆積させる(ステップS70)。
【0043】
CPU101は、ROM105から膜厚設定値Ts(nm)を読み出し、図示しない膜厚計により、蒸着源40に対向する基板Wの膜厚を測定する。CPU101は、蒸着源40に対向する基板Wの膜厚が膜厚設定値Ts(nm)以上であるか否かを判別する(ステップS71)。基板Wの膜厚が膜厚設定値Ts(nm)以上であると判別された場合(ステップS71:YES)、CPU101は、シャッタ60に蒸着粒子の遮蔽を指示する駆動信号を送信することで、シャッタ60を閉じさせる。続いて、ヒータ30に加熱の停止を指示する停止信号を送信することで、加熱を停止させ、ホルダ公転機構85に回転の停止を指示する停止信号を送信することで公転を停止させる(ステップS72)。CPU101は、RAM103から成膜面数Nfを読み出し、成膜面数Nfが7であるか否かを判別する(ステップS73)。成膜面数Nfが7であると判別された場合(ステップS73:YES)、7枚の面が成膜された後に8枚目の面が成膜された状態、即ち基板ホルダ50の保持する全ての基板Wが成膜された状態である。この場合、CPU101は、真空蒸着処理に戻り、次のステップS9に移行する。
【0044】
成膜面数Nfが7でないと判別された場合(ステップS73:NO)、CPU101は、ホルダ回転機構81に、回転を指示する回転信号を送信することにより、各基板ホルダ50を90度回転させる。基板ホルダ50を90度回転させることにより、CPU101は成膜されていない基板Wを蒸着源40と対向させる。そして、成膜面数Nfに1を加算する(ステップS75)。
【0045】
続いてCPU101は、成膜面数Nfが2以上、且つ5以下であるか否かを判別する(ステップS77)。成膜面数Nfが2以上、且つ5以下であると判別された場合(ステップS77:YES)、CPU101は基板反転処理を実行する(ステップS79)。成膜面数Nfが1以下、又は6以上と判別された場合(ステップS77:NO)或いはステップS79の後、CPU101はステップS70に戻る。
【0046】
基板反転処理(ステップS79)は各基板ホルダ50の反転治具57を反転させる処理である。各基板ホルダ50は4枚の反転治具57を保持しており、4枚のうち蒸着源40に対向する反転治具57上の基板Wに薄膜が形成される。一方、真空チャンバー10の壁面から伸びるアーム70は、蒸着源40に対向する反転治具57と向かい合う反転治具57を、成膜が終わったものから順に4枚反転させる。1枚目と2枚目の反転治具57が成膜されている間(Nf<2)、アーム70と係合する位置の反転治具57は成膜されていないから、アーム70は反転治具57を反転する必要は無い。また、反転治具57を4枚反転し終わった後(Nf>5)、アーム70は反転治具57を反転する必要は無くなる。
【0047】
図9に基板反転処理(ステップS79)のフローチャートを示す。CPU101は、アーム70に反転治具57の反転を指示する反転信号を送信することで、反転治具57を反転させる。そして、CPU101は、ホルダ公転機構85に、基板ホルダ50の公転を指示する反転処理用公転信号を送信することで、蒸着源40を中心とした基板ホルダ50の公転を開始させる(ステップS791)。
【0048】
CPU101は、8つの基板ホルダ50が45度公転したか否かを判別する(ステップS793)。基板ホルダ50は、蒸着源40を中心として等間隔で8つ配置されているので45度公転することで、各基板ホルダ50は、公転前に隣の基板ホルダ50が配置されていた位置へ移動する。基板ホルダ50が45度公転したと判別された場合(ステップS793:YES)、CPU101は、アーム70に反転信号を送信することで、反転治具57を反転させる(ステップS795)。そして、8つの基板ホルダ50が、公転を開始した位置から315度公転したか否かを判別する(ステップS797)。各基板ホルダ50が315度公転したときに、8つの基板ホルダ50全ての反転治具57が全て反転した状態となる。基板ホルダ50が45度公転していないと判別された場合(ステップS793:NO)又は、公転を開始した位置から315度公転していないと判別された場合(ステップS797:NO)、CPU101は、ステップS793に戻る。基板ホルダ50が、公転を開始した位置から315度公転したと判別された場合(ステップS797:YES)、CPU101は、反転処理用公転信号を停止し(ステップS799)、ステップS70に戻る。
【0049】
基板反転処理(ステップS79)により、CPU101は、8つの基板ホルダ50の全てについて、基板ホルダ50がそれぞれ備える4枚の反転治具57のうち1枚を反転させることができる。
【0050】
図7に戻り、基板回転処理(ステップS7)を実行した後、CPU101は、給気機構11に運転開始を指示する運転信号を送信することで、真空チャンバー10内への空気の供給を開始させる(ステップS9)。基板Wと蒸着源40とを真空チャンバー10の外部に取り出して(ステップS11)真空蒸着処理を終了し、CPU101はメインフローに戻る。
【0051】
上記の構成により、CPU101は、基板ホルダ50の保持する4枚の反転治具57のそれぞれを、基板ホルダ50の回転により、蒸着源40に対向させる(ステップS75)。そして、反転治具57の一面が成膜された場合(ステップS71:YES)、CPU101は、8つの基板ホルダ50のそれぞれの反転治具57を反転させる(ステップS79)。
【0052】
真空蒸着装置1の動作の一例について、図10〜図15を参照して説明する。基板ホルダ50は8つ設置されるが、そのうちの1つを図10〜図15に図示する。また、以下では蒸着中の基板ホルダの公転動作、シャッタ60の開閉動作、およびヒータ30のON/OFF動作の説明を省略する。基板ホルダ50の4枚の反転治具57の保持する基板Wのうち、最初に蒸着源40に対向する面を表面W1、その裏面をW1Rとする。基板ホルダ50は、上述したようにホルダ回転機構81により、ロッド51の伸びる方向から見て反時計回りに回転する。そして、基板ホルダ50の回転により、2、3、4番目に蒸着源40と対向する基板の表面をW2、W3、W4とし、それぞれの裏面をW2R、W3R、W4Rとする。
【0053】
CPU101は、図10(a)に示すように、基板Wを保持する基板ホルダ50と蒸着源40とを真空チャンバー10内に配置させる(ステップS1)。そして、CPU101は真空チャンバー10内を真空にする(ステップS3)。CPU101は、成膜面数Nfの初期値を0にし、真空蒸着を開始させる。
【0054】
図10(b)に示すように、真空蒸着により、表面W1に形成される薄膜の膜厚が膜厚設定値Ts以上となった(成膜された)場合(ステップS71:YES)、Nfが0であり(ステップS73:NO)、まだ成膜されていない面がある。この場合、CPU101は、基板ホルダを90度回転させ、Nfに1を加算する(ステップS75)。
【0055】
図10(c)に示すように、基板ホルダ50の回転により、表面W2が蒸着源40と対向する。このとき、Nfは1であり(ステップS77:NO)、アーム70と係合する反転治具57の保持する基板Wの表面W3、裏面W3Rはまだ成膜されていない。このため、反転治具57は反転されない。
【0056】
図11(a)に示すように、表面W2が成膜された場合(ステップS71:YES)、CPU101は、Nfが1であるから(ステップS73:NO)、基板ホルダ50を90度回転させ、Nfに1を加算する(ステップS75)。
【0057】
図11(b)に示すように、基板ホルダ50の回転により、表面W3が蒸着源40と対向する。Nfが2であるから(ステップS77:YES)、CPU101は、アーム70の制御によりW1が成膜された反転治具57を反転する(ステップS791)。他の7つの基板ホルダ50の保持する反転治具57についても、CPU101は、基板ホルダ50を45度公転させるごとに反転させる(ステップS795)。
【0058】
図11(c)に示すように、表面W3が成膜されたことに応答して、CPU101は基板ホルダ50を回転させる(ステップS75)。図12(a)に示すように、CPU101は、W2が成膜された反転治具57を反転させる(ステップS79)。
【0059】
図12(b)に示すように、表面W4が成膜されたことに応答して、CPU101は基板ホルダ50を回転させる(ステップS75)。図12(c)に示すように、CPU101は、W3が成膜された反転治具57を反転させる(ステップS79)。
【0060】
図13(a)に示すように、裏面W1Rが成膜されたことに応答して、CPU101は基板ホルダ50を回転させる(ステップS75)。図13(b)に示すように、CPU101はW4が成膜された反転治具57を反転させる(ステップS79)。
【0061】
図13(c)に示すように、CPU101は裏面W2Rが成膜されたことに応答して、CPU101は基板ホルダ50を回転させる(ステップS75)。図14(a)に示すように、CPU101は表面W3Rを蒸着源40に対向させる。このとき、Nfが6であり(ステップS77:NO)、アーム70と係合する反転治具57の表面W1、裏面W1Rは両面とも成膜されている。このため、反転治具57は反転されない。
【0062】
図14(b)に示すように、CPU101は裏面W3Rが成膜されたことに応答して、CPU101は基板ホルダ50を回転させる(ステップS75)。図14(c)に示すように、CPU101は裏面W4Rを蒸着源40に対向させ、裏面W4Rが成膜される。
【0063】
図15に示すように、全ての基板Wの両面が成膜されたので(ステップS73:YES)、CPU101は、給気機構11に真空チャンバー10内へ空気を供給させ(ステップS9)、基板Wと蒸着源40とを取り出させる(ステップS11)。
【0064】
上述したように、基板ホルダ50が基板Wを保持する面を4面備え、且つ各面を反転させる構成とすることで、1バッチで基板Wを8面成膜することができる。本実施形態に係る基板ホルダ50を設置するには、反転するだけの板状の基板ホルダや、反転しない3角柱型の基板ホルダと比較して、真空チャンバー10内のスペースを大きくする必要がある。しかし、従来の基板ホルダより、1バッチ毎の成膜面数がかなり大きくなるので、全体として成膜効率が向上する。
【0065】
(実施形態2)
本発明の実施形態2に係る真空蒸着装置について詳細に説明する。図16は、本実施形態に係る真空蒸着装置1bの構成図である。真空蒸着装置1bは、図16に示すように、基板ホルダ50の代わりに基板ホルダ50bを備える他は、実施形態1に係る真空蒸着装置1と同様の構成である。また、真空蒸着装置1bの動作は、真空蒸着装置1と同様である。
【0066】
図17(a)は、基板ホルダ50bの斜視図である。図17(a)に示すように、基板ホルダ50bは、反転治具57の形状を台形でなく長方形とした以外は、実施形態1に係る基板ホルダ50と同様の構成である。図17(b)は、基板ホルダ50bをロッド51の方向から見た上面図である。
【0067】
基板ホルダ50bは、図16に示すように、真空チャンバー10の天井部とロッド51とが垂直になるように真空チャンバー10の天井部に固定することができる。このため、実施形態1に係る基板ホルダ50と比較して、真空チャンバー10内の空間を効率よく使用することができる。
【0068】
(実施形態3)
本発明の実施形態3に係る真空蒸着装置について詳細に説明する。本実施形態に係る真空蒸着装置は、反転治具57を反転治具57bに置き換えた以外は、実施形態2に係る真空蒸着装置と同じ構成である。
【0069】
図18に、本実施形態に係る反転治具57bの正面図を示す。図18(a)は、基板Wを保持させる前の反転治具57bの正面図である。反転治具57bは、図18(a)に示すように、心棒571と、ゼネバ581と、上板583aと、下板583bと、連結板585a、585b、585cとを備えて構成される。
【0070】
上板583a、下板583bは、取付治具55の一辺と同じ長さの辺を備える長方形の板状の部材である。連結板585a、585b、585cは、上板583aと下板583bとを接続する長方形の板状の部材である。上板583aと下板583bとの中央部が、連結板585bにより連結され、上板583aと下板583bと両端部が、連結板585a、585cにより連結される。連結板585aと585bとの間、及び連結板585bと585cとの間に、長方形の基板Wを保持することができるように、連結板585a、585b、585cの側面には溝が形成され、この溝を貫通するピン穴587aが複数形成されている。側部に穴の開いた長方形の基板Wを、基板Wの穴とピン穴587aとが一致するように保持し、ビス587bで基板Wを反転治具57に固定する。図18(b)に、基板Wを保持させた反転治具57bを示す。図18(b)に示すように、例えば反転治具57bは、8枚の基板Wを保持する。
【0071】
本実施形態に係る反転治具57bを使用することで、上板583aと、下板583bと、連結板585a、585b、585cとで形成された枠内に長方形の基板Wを効率よく保持することができる。
【0072】
(実施形態4)
本発明の実施形態4に係る真空蒸着装置について詳細に説明する。図19は、本実施形態に係る真空蒸着装置1cの構成図である。真空蒸着装置1cは、図19に示すように、マスク板90を備え、基板ホルダ50の代わりに基板ホルダ50cを備え、アーム70と、ホルダ公転機構85と、アーム駆動機構83とを備えない他は、実施形態1に係る真空蒸着装置1と同様の構成である。また、真空蒸着装置1cの動作は、真空蒸着装置1と同様である。
【0073】
図20は、基板ホルダ50cの斜視図である。図20に示すように、基板ホルダ50cは、円筒形状の部材であり、側面に円筒の伸びる方向に沿って一列に並んだ複数の基板保持部51cを、等間隔で複数列備える。この基板保持部51cに基板Wを固定することで、基板Wを保持する。また、この基板ホルダ50cは、ホルダ回転機構81により、円周方向に沿って回転する。
【0074】
図21に真空蒸着装置1cの上面図を示す。図21に示すように、8つの基板ホルダ50cが蒸着源40を中心として等間隔で配置される。マスク板90は、複数枚の板から構成される部材であり、各基板ホルダ50cの備える基板Wの一列のみが蒸着源40と対向するように、隣り合う板の間にスリットが形成されるように配置される。このスリットを通過して、蒸着粒子が基板Wの1列に堆積する。
【0075】
図22に示すように、真空蒸着装置1cで実行される真空蒸着処理は、ステップS5、S7を、ステップS5c、S7cに置き換えた以外は、真空蒸着装置1で実行される真空蒸着処理と同様である。
【0076】
CPU101は、排気機構13に真空チャンバー10内を真空にさせ(ステップS3)、成膜列数Nrを0で初期化する(ステップS5c)。この成膜列数Nrは、膜厚設定値Ts以上の膜厚に成膜された、基板ホルダ50cの列の数を意味する。基板ホルダ50cは、例えば12の列を備える。この場合、成膜列数Nrは最大で11である。
【0077】
図23に真空蒸着装置1cで実行される基板ホルダ回転処理(ステップS7c)を示す。基板ホルダ回転処理は、基板ホルダ50c自身を回転させ、基板ホルダ50cの保持する基板W全てを成膜する処理である。
【0078】
CPU101は、ヒータ30を加熱し、所定の蒸発温度に到達した後シャッタ60を開き(ステップS70c)、ROM105から膜厚設定値Ts(nm)を読み出してRAM103に格納する。そして、蒸着源40に対向する基板Wが成膜されたか否かを判別する(ステップS71c)。基板Wが成膜されたと判別された場合(ステップS71c:YES)、CPU101は、シャッタ60を閉じヒータ30を停止する(ステップS72c)。基板Wが成膜されていないと判別された場合(ステップS71c:NO)、CPU101は、ステップS70cに戻る。ステップS71cの後、CPU101は、RAM103から成膜列数Nfを読み出し、成膜列数Nrが11であるか否かを判別する(ステップS73c)。成膜列数Nrが11であると判別された場合(ステップS73c:YES)、12列分の基板Wが成膜された状態、即ち基板ホルダ50cの保持する全ての基板Wが成膜された状態である。この場合、CPU101は、真空蒸着処理に戻り、次のステップS9に移行する。
【0079】
成膜列数Nrが11でないと判別された場合(ステップS73c:NO)、CPU101は、ホルダ回転機構81に回転信号を送信することで、基板ホルダ50cを30度回転させ、Nrに1を加算する(ステップS75c)。基板ホルダ50を30度回転させることにより、CPU101は成膜されていない基板Wを蒸着源40と対向させる。ステップS75cの後、CPU101は、ステップS70cの処理に戻る。
【0080】
上述のように、基板ホルダ50cを円筒形状とすることで、実施形態1又は2に係る基板ホルダよりも、必要なスペースは大きくなるが、 より多数の基板Wを1バッチで成膜することができる。
【0081】
なお、第1〜第3実施例では、ゼネバ581とアーム70とを係合させ、アーム70の回転により反転治具57を反転させているが、取付治具55にモータを備えるなど、他の反転機構を使用してもよい。
【0082】
取付治具55や反転治具57の形状や構造は、第1〜第3実施形態に示した形状に限られない。基板を保持する部材と、基板を保持する治具を複数保持する部材と、これらの部材を回転させて全ての基板の両面を成膜できる構成であれば、部材の形状や構造は問わない。
【0083】
第1〜第3実施形態では、4枚の反転治具57を備えた基板ホルダを使用しているが、より多数の反転治具57を備え、且つ各面を反転させる構成としてもよい。
【0084】
反転治具57は、基板ホルダ50の回転方向と平行な方向に反転させているが、基板ホルダ50の回転方向と垂直な方向に反転させてもよい。また、反転治具自体を反転させるのでなく、反転治具57の保持する基板Wを個々に反転させる構成としてもよい。
【0085】
蒸着源40は、抵抗加熱方式としたが、電子ビーム等他の加熱方式を用いてもよい。
【0086】
基板ホルダ50の回転および反転治具57の反転動作の順序は実施例のフローチャートに限られるものではなく、反転治具57の各面が蒸着源40に対向する順序は適宜選択すればよい。
【0087】
ホルダ公転機構85は成膜時に基板ホルダ50を所定の回転速度で公転させるものとしたが、成膜時の公転は省略してもよい。
【0088】
第2〜第4実施形態の基板ホルダ50b、50cは、真空チャンバー10の天井部とロッド51とが垂直になるように配置したが、真空チャンバー10の天井部とロッド51とが平行になるように配置してもよい。
【0089】
上述の実施形態では、真空蒸着装置に、本発明を適用した場合について説明したが、スパッタリング装置やイオンプレーティング装置など、他の成膜装置にも本発明を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の実施形態1に係る真空蒸着装置の構成図である。
【図2】(a)本発明の実施形態1に係る基板ホルダの斜視図である。(b)本発明の実施形態1に係る基板ホルダの上面図である。
【図3】(a)本発明の実施形態1に係る基板ホルダの回転機構を説明するための図である。(b)本発明の実施形態1に係る基板ホルダの回転機構を説明するための図である。(c)本発明の実施形態1に係る基板ホルダの回転機構を説明するための図である。
【図4】本発明の実施形態1に係る反転治具の斜視図である。
【図5】本発明の実施形態1に係る取付治具と反転治具との斜視図である。
【図6】本発明の実施形態1に係る真空蒸着装置の上面図である。
【図7】本発明の実施形態1に係る真空蒸着処理のフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態1に係る基板ホルダ回転処理のフローチャートである。
【図9】本発明の実施形態1に係る基板反転処理のフローチャートである。
【図10】(a)本発明の実施形態1に係る基板の成膜を説明するための図である。(b)本発明の実施形態1に係る基板ホルダの回転を説明するための図である。(c)本発明の実施形態1に係る基板の成膜を説明するための図である。
【図11】(a)本発明の実施形態1に係る基板ホルダの回転を説明するための図である。(b)本発明の実施形態1に係る反転治具の反転を説明するための図である。(c)本発明の実施形態1に係る基板ホルダの回転を説明するための図である。
【図12】(a)本発明の実施形態1に係る反転治具の反転を説明するための図である。(b)本発明の実施形態1に係る基板の成膜を説明するための図である。(c)本発明の実施形態1に係る反転治具の反転を説明するための図である。
【図13】(a)本発明の実施形態1に係る基板ホルダの回転を説明するための図である。(b)本発明の実施形態1に係る反転治具の反転を説明するための図である。(c)本発明の実施形態1に係る基板ホルダの回転を説明するための図である。
【図14】(a)本発明の実施形態1に係る基板の成膜を説明するための図である。(b)本発明の実施形態1に係る基板ホルダの回転を説明するための図である。(c)本発明の実施形態1に係る基板の成膜を説明するための図である。
【図15】本発明の実施形態1に係る基板の成膜を説明するための図である。
【図16】本発明の実施形態2に係る真空蒸着装置の構成図である。
【図17】(a)本発明の実施形態2に係る基板ホルダの斜視図である。(b)本発明の実施形態2に係る基板ホルダの上面図である。
【図18】(a)本発明の実施形態3に係る基板ホルダの斜視図である。(b)本発明の実施形態3に係る基板ホルダの上面図である。
【図19】本発明の実施形態4に係る真空蒸着装置の構成図である。
【図20】本発明の実施形態4に係る基板ホルダの斜視図である。
【図21】本発明の実施形態4に係る真空蒸着装置の上面図である。
【図22】本発明の実施形態4に係る真空蒸着処理のフローチャートである。
【図23】本発明の実施形態4に係る基板ホルダ回転処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0091】
1 真空蒸着装置
10 真空チャンバー
11 給気機構
13 排気機構
30 ヒータ
40 蒸着源
50 基板ホルダ
51 ロッド
511 ゼネバ
53 ロッキングホイール
55 取付治具
57 反転治具
571 心棒
573 下面板
575 上面板
577 ヒンジ
579 固定子
581 ゼネバ
583 開口部
60 シャッタ
70 アーム
71 L字部
73 伸縮部
81 ホルダ回転機構
83 アーム駆動機構
85 ホルダ公転機構
90 マスク板
100 制御部
101 CPU
103 RAM
105 ROM
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成膜室内に配置され、蒸着源から飛散させた蒸着粒子を堆積させる複数の基板を保持する基板ホルダであって、
複数の開口部を備え、前記複数の開口部のそれぞれに前記複数の基板を保持する複数の板状治具と、
前記複数の板状治具を側面とした多角柱が形成されるように、前記複数の板状治具を保持する保持手段と、
前記複数の板状治具の裏面を前記多角柱の側面に露出させるように、前記複数の板状治具を反転させる反転手段と、
前記多角柱の中心軸を回転軸として、前記複数の板状治具を回転させる回転手段と、
を備えることを特徴とする基板ホルダ。
【請求項2】
成膜室内に配置された蒸着源と、
請求項1に記載の基板ホルダと、
前記蒸着源から飛散させた蒸着粒子を前記基板ホルダが保持する基板上に堆積して成膜する成膜手段と、
を備えることを特徴とする成膜装置。
【請求項3】
前記基板ホルダは、前記蒸着源の蒸発面に対する垂線を中心とする円周上に複数配置されており、
前記垂線を中心軸として前記基板ホルダを公転させる公転手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項2に記載の成膜装置。
【請求項4】
成膜室内に配置され、蒸着源から飛散させた蒸着粒子を堆積させる複数の基板を保持する筒型の基板ホルダであって、
前記基板ホルダの筒の延びる方向に沿って複数の基板が複数の列を形成するように、複数の基板を前記基板ホルダの側面に保持する保持手段と、
前記基板ホルダを円周方向に沿って回転させる基板ホルダ回転手段と、
を備えることを特徴とする基板ホルダ。
【請求項5】
成膜室内に配置された蒸着源と、
請求項4に記載の基板ホルダと、
前記基板ホルダに保持された複数列の基板のうち一列が前記蒸着源に対向するようにマスクするマスク手段と、
前記蒸着源から飛散させた蒸着粒子を前記基板ホルダが保持する基板上に堆積して成膜する成膜手段と、
を備えることを特徴とする成膜装置。
【請求項6】
成膜室内に蒸着源を配置する蒸着源配置ステップと、
複数の板状治具が備える複数の開口部のそれぞれに複数の基板を保持する基板保持ステップと、
前記複数の板状治具を側面とした多角柱が形成されるように、前記複数の板状治具を保持する板状治具保持ステップと、
前記複数の板状治具の裏面を前記多角柱の側面に露出させるように、前記複数の板状治具を反転させる反転ステップと、
前記多角柱の中心軸を回転軸として、前記複数の板状治具を回転させる回転ステップと、
を備えることを特徴とする成膜方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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