説明

基板ホルダー及び真空処理装置

【課題】使用できる温度帯を広げることができる基板ホルダーを提供する。
【解決手段】本発明の基板ホルダー13は、一端部が基板支持面45に導通する接地軸53の他端部に接続され、接地軸53を接地電位に切替えるリレー回路61と、接地軸53の一端部のキャップを基板支持面45に押し付けるように付勢する圧縮コイルばね59と、接地軸53の他端部を真空側に配置し、圧縮コイルばね59の付勢方向に伸縮するベローズ57と、圧縮コイルばね59の付勢方向で狭持されるOリング63とを備えている。この構成により、接地軸53が熱膨張しても基板支持面45との導通を確保できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電吸着装置を備える基板ホルダー及びこのような基板ホルダーを備えた真空処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板ホルダーに設けられる静電吸着装置は、静電吸着板に電圧を印加することにより静電吸着板と基板に電荷を発生させ、基板を静電吸着板に吸着させる装置である。また、基板ホルダー内にヒーターを備える一方、吸着された基板と静電吸着板の隙間には一定圧力のガスを封止し、このガスを介して基板の温度を調整することができる。
【0003】
ところで、静電吸着板に印加している電圧を切っただけでは、静電吸着板と基板に発生した電荷を十分に除電できず残留電荷を生じることがある。この残留電荷によっても基板と静電吸着板の間には吸着力が発生するため、基板を静電吸着板から脱離するときにリフターピン等の機構と干渉するおそれがあった。リフターピンを基板に押し当てて物理的に基板をはがす構造(例えば、特許文献1−3参照)では、リフターピンと干渉により基板の損傷や基板の位置ズレなどが生じることがあった。
【0004】
特許文献1−3に開示された技術では、リフターピンの押し当てによる基板への物理的ダメージや基板と静電吸着板の擦れによるゴミの発生、逆電圧、プラズマによる基板への電気的ダメージが生じる懸念がある。
【0005】
また、リフターピンを使う方法は、基板処理時間以外に除電シーケンスの実施時間(リフターピン微接触動作時間,ガス充填時間,放電時間,逆電圧印加時間)が必要となるため、半導体製造装置で重要視されるスループットが低下するおそれがあった。
【0006】
上記問題を解決すべく、基板と静電吸着板表面に接するアース切替え装置を設けることにより、静電吸着板表面の電位をフローティング若しくはアースに切替えられる構造が開示されている(例えば、特許文献4参照)。特許文献4の技術によれば、加熱/冷却処理中はアース切替え装置をフローティングの状態にし、電荷を基板と静電吸着板表面に留め吸着を維持し、加熱/冷却処理を終えた後はアース切替え装置をアースの状態にし、基板と静電吸着板表面の電荷を瞬時にアースに逃がし基板の脱離を行うことができる。
【0007】
特許文献4の静電吸着装置技術によれば、誘電体板の表面に導体配線が設けられた構造で、導体配線には基板と静電吸着板表面の電荷を真空側から大気側に逃がす導体軸がねじ込まれ、導体軸の大気側はアース切替え装置に繋がれている。導体配線からアース切替え装置までの電位を同電位にしている。この機構により、基板脱離方法で問題となった物理的ダメージや電気的ダメージを払拭できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7−263531号公報
【特許文献2】特開2002−83860号公報
【特許文献3】特開2006−303138号公報
【特許文献4】特開2004−022889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献4に開示された構造では、高温域の加熱処理を行うと熱が導電軸に伝わるため導電軸の熱膨張が避けられない。導電軸の熱膨張は導体配線との接合部分に強い負荷をかけることがあり、熱膨張量が設計の許容量を超える場合には導体配線との接合部分にダメージを受けたり、導体配線が誘電体板から剥離したりするおそれがある。そのため、加熱温度の上限を定めるなどして使用温度域を制限していたが、使用できる温度域の拡大が望まれている。
【0010】
本発明の目的は、上述した問題点に鑑み、静電吸着装置を備える基板ホルダーから基板を脱離する操作において他の要素による物理的接触を伴わずに静電吸着板表面と基板の電荷を同時に除電が可能でありながら、使用できる温度帯を広げることができる基板ホルダー、及び半導体製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る基板ホルダーは、一端部が基板支持面に導通する軸部と、軸部の他端部に接続され、軸部を接地電位に切替え可能な切替え部と、軸部の一端部側を基板支持面に当接する方向に付勢する付勢手段と、ホルダー側と接地部側に、付勢手段の付勢方向で狭持される封止部材と、軸部の他端部側が内側に配置される隔壁部と、を備えることを特徴とする。
或いは、本発明に係る基板ホルダーは、基板支持面に支持される基板を吸着するための電圧が印加される静電吸着板及び基板支持面に支持される基板と導通する導体配線を少なくとも備えるホルダー本体部と、ホルダー本体部を支持するホルダー支持部と、導体配線を接地状態に切替えることができる除電部と、を有する基板ホルダーであって、除電部は、一端部が導体配線と当接する接地部と、接地部の他端部に接続され、接地部を介して導体配線を接地状態とフローティング状態とに切替える切替え部と、接地部を導体配線に当接する方向に付勢する付勢手段と、ホルダー側と接地部側に、付勢手段の付勢方向で狭持される封止部材と、を備えることを特徴とする基板ホルダー。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、静電吸着装置を備える基板ホルダーから基板を脱離する操作においてリフターピンなどによる物理的接触を伴わずに静電吸着板表面と基板の電荷を同時に除電が可能でありながら、広域温度帯における基板の脱離操作の信頼性を向上した基板ホルダー、及び、高い良品率と装置稼働率を実現する真空処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係るスパッタ成膜装置の断面概略図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る除電部の真空側端部の拡大図である。
【図3】本発明の第1施形態に係る除電部の大気側端部の拡大図である。
【図4】本発明の第2施形態に係る除電部の大気側端部の拡大図である。
【図5】本発明の第2施形態に係る除電部の大気側端部の変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に説明する部材、配置等は発明を具体化した一例であって本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変できることは勿論である。なお、図面の煩雑化を防ぐため一部を除いて省略している。以下の実施形態においては真空処理装置としてスパッタリング成膜装置に適用された基板ホルダーについて説明するが、CVD装置などの静電吸着装置を有する基板ホルダーを備える真空処理装置に本発明を適用できることはもちろんである。
【0015】
図1乃至3は本発明の第1実施形態に係る真空処理装置若しくは基板ホルダーについての図であり、図1はスパッタ成膜装置の断面概略図、図2は除電部の真空側端部の拡大図、図3は除電部の大気側端部の拡大図である。
【0016】
(第1実施形態)
図1は、本発明に係るスパッタリング装置(真空処理装置)の断面概略図である。
スパッタリング装置1は、内部を真空排気できる真空容器11、真空容器11の上部に取り付けられるターゲット電極12、被成膜材料を有するターゲット18、ターゲット電極12と対向して基板Wを支持できる基板ホルダー13を有している。なお、図1において、基板搬送装置、搬入/搬出ゲート、リフトピンなどは省略されている。
【0017】
真空容器11はステンレスやアルミニウム合金などの金属部材を用いて構成され、接地されている。また、真空容器11は、ガス導入装置19及び排気装置20に接続されている。ターゲット電極12は、絶縁材17を介して真空容器11に取り付けられている。また、ターゲット18はバッキングプレート(不図示)に被成膜材料がボンディングされて形成されており、被成膜材料がプラズマ形成空間に面するようにターゲット電極12に取り付けられている。ターゲット電極12は不図示のマッチングボックスを介して高周波電源16に接続されている。
【0018】
ターゲット電極12には、ターゲット18の温度上昇を防止するための冷却機構及び、ターゲット表面に磁場を形成する磁石ユニットが備えられている。高周波電源16としては、13.56MHzのものが工業的に利用しやすいが、他の周波数を用いることや高周波に直流を重畳することもできる。
【0019】
基板ホルダー13は、基板Wを支持するホルダー本体部21と、真空容器11を貫通して配設され、真空容器11内でホルダー本体部21に接続されているホルダー支持部22とを有している。ホルダー本体部21は、基板Wを加熱する基板加熱装置24の上部(ターゲット側)に基板Wを支持する静電吸着装置26が配置されて構成されている。
【0020】
まず、基板加熱装置24について説明する。基板加熱装置24は静電吸着装置26を支持する下部筐体31と下部筐体31内に設けられたヒーター電極33(加熱部)を主要な構成部材として備えている。ヒーター電極33は、螺旋形状若しくは蛇行形状などの電極パターンを有して構成されている。この電極パターンに電源(不図示)を接続し、直流または交流の電力を印加することでヒーター電極33に電流が流れ、発生したジュール熱により基板温度を制御することができる。本実施形態ではヒーター電極33としてグラファイト製を用いているが、タングステン製、若しくはPG/PBNヒーターなどを用いてもよい。
【0021】
また、基板加熱装置に替えて基板冷却装置を備えるものであってもよい。この場合は、ヒーター電極33の代わりに液体窒素や液体ヘリウムなどの冷媒が流通する冷却管が下部筐体31に内蔵される構造が望ましい。もちろん、下部筐体31にヒーター電極33と冷却管をいずれも備えるものであってもよい。
【0022】
静電吸着装置26について説明する。静電吸着装置26は、誘電体層35、静電吸着板37、除電部40、ガス導入部(不図示)を有して構成されている。誘電体層35は、静電吸着装置26の筐体を構成している部材であり、誘電体材料から構成されている。誘電体層35の表面には、エンボス加工が施された基板支持面45が形成されている。基板支持面45のエンボス加工は複数の凸部46で基板の裏面を支持する形状であり、凸部46以外の部分と基板Wの裏面には所定の高さの隙間が形成される。
【0023】
さらに、基板支持面45には、導電性の膜状材料からなるメタルコート43(導体配線)が形成されている。メタルコート43は、凸部46の表面を通過するようにパターンが形成されている。すなわち、基板Wは凸部46表面のメタルコート43に接した状態で基板ホルダー13に支持される。
【0024】
静電吸着板37は、基板支持面45と平行に誘電体層35内部に配置されている電極であり、螺旋状若しくは蛇行状、放射状などの形状に構成されている。この静電吸着板37は直流電源回路に接続されており、直流電源回路(Ea,Eb)から所定の電圧を印加することで静電吸着装置26の基板支持面45に基板Wを静電吸着することができる。本実施形態の静電吸着板37は、誘電体層35内部に正負の電圧を印加するための一対の電極から構成されている双極電極の構造である。もちろん、本発明は単極電極構造の静電吸着板に適用することもできる。
【0025】
ガス導入部は、ヒーター電極33からの熱を効率よく基板に伝えるために基板Wと基板支持面45の隙間にガスを導入する機構であり、基板支持面45に形成されたガス導入孔からArやHeなどのガスを導入するように構成されている。なお、基板支持面45に形成されたエンボス加工の凸部46によって、基板Wと基板支持面45の隙間が形成された状態で基板Wは支持される。
【0026】
図2、3はそれぞれ除電部40の部分断面図であり、図2は除電部40の真空側端部の拡大図、図3は除電部40の大気側端部の拡大図である。除電部40は、基板支持面45のメタルコート43と電気的に接続される導電端子(キャップ)51と、導電端子と一体に設けられる接地軸53(接地部又は軸部)と、終端リング55と、ベローズ57と、圧縮コイルばね59とを有して構成されている。また、接地軸53は、接地軸53の電位状態をフローティング状態と接地状態に切替えできるリレー回路61に接続されている。なお、接地軸53の大気側の端部(真空側端部)には、終端リング55と同様な円板状部材(フランジ部56)が一体に設けられている。
【0027】
図2に基づいて、除電部40の真空側の端部について説明する。基板ホルダー13には、ホルダー本体部21とホルダー支持部22とを重力方向に貫通した貫通孔52が形成されている。接地軸53は、貫通孔52に挿通されて配置されているステンレス製の軸状部材である。接地軸53のうち、真空容器内に配置されている部分(一端部側)は真空雰囲気中に位置している。接地軸53の真空側の端部(一端部)は導電端子51(キャップ)と螺合されており、導電端子51を介して基板支持面45のメタルコート43と電気的に接続されている。
【0028】
なお、導電端子51は、基板支持面45に形成された窪み45aの高さよりも低い寸法に形成されており、且つ、貫通孔52の内径よりも大きい直径である。そのため、接地軸53を下方に付勢すると、基板ホルダー13に載置された基板Wに導電端子51が接触することを避けることできる。また、導電端子51とメタルコート43を当接させるとこで、導電端子51を介して接地軸53とメタルコート43との導通を確保することができる。
【0029】
図3に基づいて、除電部40の大気側の端部について説明する。接地軸53の大気側の端部(他端部)はシール構造であり、リレー回路61に電気的に接続されている。具体的には、接地軸53の大気側の端部には円板状のフランジ部56が一体に設けられており、フランジ部56にはベローズ57(弾性隔壁部又は第2付勢手段)が気密に接続されている。ベローズ57はフランジ部56の真空側端部側(他端部側)に取り付けられるため、接地軸53はベローズ57内側の真空側に配置される。
【0030】
なお、圧縮コイルばね59はベローズ57の外側と内側のいずれにも配置することができる。しかし、ベローズ57の外側に圧縮コイルばね59を配置することで、真空側に配置される部材の表面積の増大を抑えることができる。そのため、真空排気に要する時間を短縮できる。また、ベローズ57のフランジ部56とは逆側にはリング状の終端リング55が気密に接続されている。
【0031】
封止部材としてのOリング63を終端リング55とホルダー支持部22の間に挟んだ状態で支持(狭持)することによって、フランジ部56とベローズ57の内側を真空に保持することができる。ベローズ57の内側の空間は真空容器11内の空間と貫通孔52を介して連通している。なお、封止部材としては、フッ素ゴムからなるOリング63が好適に用いられるが、他の樹脂や金属性の封止部材を使用することができるものとする。
【0032】
ベローズ57(弾性隔壁部又は第2付勢手段)は、軸方向に伸縮する弾性を有しており、フランジ部56と終端リング55の間に位置している。そのため、ベローズ57の長さ若しくは接地軸53の長さを調整することによって、接地軸53を下方に付勢する弾性力(付勢力)をフランジ部56に付与することができる。
【0033】
接地軸53を下方に付勢することで、導電端子51をメタルコート43に押し付けることができ、これらの部材の間での確実な導通を確保することができる。
つまり、接地軸53や誘電体層35などの基板ホルダー13を構成する部材が熱により膨張/収縮しても、導電端子51を所定の圧力でメタルコート43に押圧することができるため、導電端子51とメタルコート43の導通を十分に確保することができる。
【0034】
なお、接地軸53を上方に付勢して導電端子51をメタルコート43に押圧する構造にも本発明の構成を適用することができる。例えば、基板ホルダーの裏側(ターゲットの逆側)まで延設したメタルコート43に導電端子51を押圧してもよい。つまり、付勢手段が導電端子51を付勢する方向は、導電端子51をメタルコート43に押し付ける方向である。
【0035】
圧縮コイルばね59は、接地軸53を下方に付勢する付勢力を強くするための部材である。圧縮コイルばね59によってベローズ57よりも強い付勢力を得ることができ、導電端子51とメタルコート43の導通をより確実にすることができる。本実施形態では付勢手段として主に圧縮コイルばね59を用いているが、ベローズ57も付勢力を有しているため付勢手段として機能させることができる。すなわち、ベローズ57は真空隔壁の機能に加えて、付勢手段としての機能を併せ有している。なお、ベローズ57の付勢力が十分強ければ、圧縮コイルばね59を用いないで付勢手段を構成することも可能である。
【0036】
付勢手段により、導電端子51とメタルコート43の導通を確実にすることができる。そのため、スパッタ成膜処理などの真空処理が終了した後に、リレー回路61を切替えて、基板Wの裏面と接しているメタルコート43を接地電位にすることで、基板Wの静電吸着を速やかに解除することができる。すなわち、基板Wの交換が従来よりも迅速且つ確実にできる。
【0037】
Oリング63は上述のように、接地軸53の付勢方向で2つの部材(終端リング55とフランジ部56)に挟み込まれて配置されている。Oリング63は接地軸53と接触しない構造であるため、メンテナンスなどで接地軸53を交換してもOリング63が捩れることがない。従って、より確実にシールを維持することができる。また、Oリング63の交換寿命を長くできるためメンテナンス間隔を延ばすことができる。
【0038】
(第2実施形態)
図4は、本発明の第2実施形態に係る基板ホルダーについての図であり、除電部の大気側端部の拡大図である。本実施形態に係る基板ホルダーの除電部の真空側端部は上述した第1実施形態と同様の構成である。また、第1実施形態と同様の部材については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0039】
本実施形態に係る基板ホルダーの大気側の端部は、接地軸53の端部が端部ケース67(隔壁部)の内側に配置されている。端部ケース67はステンレス製であり、フランジ部56や圧縮コイルばね59などを内側に配置できるように分割可能に構成されている。なお、本実施形態における接地部は、接地軸の端部と端部ケースを含んで構成されている。また、端部ケース67のOリングとのシール面が形成される部分には終端リング55が設けられている。また、圧縮コイルばね59は、接地軸53に形成されたフランジ部56と終端リング55のシール面の逆側面との間に配置されている。
【0040】
接地軸53は圧縮コイルばね59と端部ケース67を介してリレー回路61に電気的に接続される。なお、接地軸53とリレー回路61との導通を確実にするために、接地軸53(フランジ部56)と端部ケース67の間を銅線などで接続しても良い。また、図5に示すように、圧縮コイルばね59を、接地軸53に形成されたフランジ部56とホルダー支持部22の端部との間に配置してもよい。
【0041】
本発明によれば、静電吸着装置を備える基板ホルダーから基板を脱離する操作において他の要素による物理的接触を伴わずに静電吸着板表面と基板の電荷を同時に除電が可能でありながら、広域温度帯における基板の脱離操作の信頼性を向上した基板ホルダー、及び、高い良品率と装置稼働率を実現する真空処理装置を提供することができる。
【0042】
具体的には、本発明に係る基板ホルダーを用いることで、0℃以下から500℃以上の広い範囲での除電の信頼性を大幅に向上することが可能となった。そのため、基板一枚あたり30〜60秒、スループットを短縮できる半導体製造装置を実現できる。それにより、高い良品率と装置稼働率を実現する真空処理装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 スパッタリング装置
11 真空容器
12 ターゲット電極
13 基板ホルダー
16 高周波電源
18 ターゲット
19 ガス導入装置
20 排気装置
21 ホルダー本体部
22 ホルダー支持部
24 基板加熱装置
26 静電吸着装置
31 下部筐体
33 ヒーター電極
35 誘電体層
37 静電吸着板
40 除電部
43 メタルコート
45 基板支持面
46 凸部
51 導電端子
52 貫通孔
53 接地軸
55 終端リング
56 フランジ部
57 ベローズ(第2付勢手段、又は隔壁部)
59 圧縮コイルばね(付勢手段)
61 リレー回路
63 Oリング(封止部材)
67 端部ケース(隔壁部)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部が基板支持面に導通する軸部と、
前記軸部の他端部に接続され、前記軸部を接地電位に切替え可能な切替え部と、
前記軸部の一端部側を前記基板支持面に当接する方向に付勢する付勢手段と、
前記ホルダー側と前記接地部側に、前記付勢手段の付勢方向で狭持される封止部材と、
前記軸部の他端部側が内側に配置される隔壁部と、を備えることを特徴とする基板ホルダー。
【請求項2】
基板支持面に支持される基板を吸着するための電圧が印加される静電吸着板及び前記基板支持面に支持される基板と導通する導体配線を少なくとも備えるホルダー本体部と、
前記ホルダー本体部を支持するホルダー支持部と、
前記導体配線を接地状態に切替えることができる除電部と、を有する基板ホルダーであって、
前記除電部は、
一端部が前記導体配線と当接する接地部と、
前記接地部の他端部に接続され、前記接地部を介して前記導体配線を接地状態とフローティング状態とに切替える切替え部と、
前記接地部を前記導体配線に当接する方向に付勢する付勢手段と、
前記ホルダー側と前記接地部側に、前記付勢手段の付勢方向で狭持される封止部材と、を備えることを特徴とする基板ホルダー。
【請求項3】
前記接地部は、前記ホルダー支持部に形成された貫通孔に挿通され、前記導体配線と一端部で当接する軸部と、前記貫通孔の一端部を封止するように前記ホルダー支持部に接続され、前記軸部の他端部側が内側に配置される隔壁部と、を有してなり、
前記付勢手段は、前記隔壁部の内側に配置され、
前記封止部材は、前記ホルダー支持部と前記隔壁部に狭持されることを特徴とする請求項2に記載の基板ホルダー。
【請求項4】
前記接地部は、前記ホルダー支持部に形成された貫通孔に挿通され、前記導体配線と一端部で当接する軸部と、前記貫通孔の一端部を封止するように前記ホルダー支持部に接続され、前記軸部の他端部側が内側に配置される隔壁部と、を有してなり、
前記隔壁部はベローズであり、
前記ベローズは前記付勢手段を兼ねていることを特徴とする請求項2に記載の基板ホルダー。
【請求項5】
前記接地部の一端部には、前記基板支持面側から前記導体配線と当接するキャップが設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の基板ホルダー。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の基板ホルダーと真空容器とを少なくとも備える真空処理装置であって、
前記ホルダー本体部は前記真空容器内に配置されるとともに、前記ホルダー支持部は前記真空容器の真空隔壁を貫通して配置されており、
前記隔壁部の内側は前記真空容器の内部と前記貫通孔を介して連通していることを特徴とする真空処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−98277(P2013−98277A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238342(P2011−238342)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000227294)キヤノンアネルバ株式会社 (564)
【Fターム(参考)】