説明

基板上に微小物質を再現性良く堆積させる方法

【課題】
マイクロメータスケールの微小物質を基板の任意な位置に確実に堆積させる方法を提供する。
【解決手段】
内部に電極が挿入され、且つ、微小物質を溶剤に溶かした溶融液、或いは、溶剤に分散させて得られた微小物質を含む分散液が充填されているマイクロピペットを傾けて配置させ、その先端部が基板表面に近接するように位置決めし、適切な電圧を印加することで分散液のメニスカスを成長させ、基板表面に接触移動させることによって、マイクロメータスケールの微小物質を確実に堆積させる方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目視観察を行いながら、微小物質が溶剤溶けた状態の溶融液、或いは、分散された分散液やインク等の流体状の微小物質を基板上にマイクロメータスケール(0.5μm〜5μm程度)で堆積させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のナノテクノロジーの発達に伴い、電子デバイス、メモリー、マイクロマシンなどの微小領域の先端技術が注目を集めている。こうした微細なデバイスの製作には、従来、半導体デバイスプロセスで実績のあるフォトリソグラフィー技術が利用されている。フォトリソグラフィーは、極めて高精度に物質の堆積・除去が可能であるが、露光、現像、エッチングといった一連のプロセスが必要であるため大規模生産には適しているが、小規模・単品製造にはコスト的に問題がある。このような小規模・単品製造では、必要な部分に必要な材料を直接塗布或いは加工する技術が有効である。特に回路パターンの修正にはこのような技術は重要となる。
【0003】
非特許文献1に走査型プローブ顕微鏡を用いるナノスケール超音波振動切削、ピペットプローブ微細加工などの様々な微細加工技術が紹介されている。走査型プローブ顕微鏡は、プローブと名付けられている針状具の先端の位置を、レーザとフォトデテクタ( センサ) を用いた撮像装置で監視しながら、基板などの加工対象物の表面に沿って移動させ、所定位置の基板の状態を観察する光学装置である。上記非特許文献1には、この装置を用いることにより、微細加工が可能であると説明されている。しかしながら、目標としている寸法はかなり微細な領域で、且つ、装置の複雑さ実用化に問題があり本発明の属する技術分野では使用できない。
【0004】
さらに、上記非特許文献1には、微細加工のひとつとして、内部に電極ワイヤーを挿入したマイクロピペットをプローブとして利用し、硫酸銅水溶液等のイオン溶液を基板の表面に点着して金属めっき( ドットめっき) する方法が記載されている。しかしながら、基板が絶縁物の場合、上記技術は使用できない等の問題がある。
【0005】
一方、特許文献1には基板から離れた位置から流体を静電力によって吐出(飛翔)させて基板上に堆積させる方法が記載されている。特許文献1に開示されたインクジェット装置の液滴の飛翔までのメニスカスの挙動を、特許文献2でも引用し、その挙動を詳しく解説している。
【0006】
その解説によると、駆動電圧を印加する前は、インクに加えられているバイアス電圧による静電力とインクの表面張力の釣り合いによりインク表面に盛り上がったメニスカスが形成された状態となる。さらに駆動電圧を印加するとノズル先端のメニスカスは、液表面に発生した電荷が液面の盛り上がりの中心に寄り初め、それにより液面の盛り上がりの中心が高くなったメニスカスが形成される。
【0007】
その後、駆動電圧を印加し続けると、液表面に発生した電荷が更に中心に集中することによりテーラーコーンとよばれる半月状のメニスカスが形成され、該テーラーコーンの頂部に集中した電荷量による静電力がインクの表面張力を超えた段階で液滴の分離が行われ吐出される。
【0008】
さらに、特許文献2では、上記文献1を改良し、ノズル部のテーラーコーン形状の流体のメニスカスの液滴吐出直前の先端部曲率とほぼ同等サイズのノズル径になるように、流体吐出孔側が絞り込まれた形状のノズルを使用することにより、広範囲に必要であった電場の形成を狭くし、かつ流体のメニスカスでの電荷の移動量を小さくすることで、文献1よりも微細な寸法の微小物体の吐出を可能としている。
【0009】
また、非特許文献1、2、及び、特許文献3では、上記特許文献1、2とは異なる方法、即ち、電気泳動技術を用いて微小物を基板上に堆積させる方法が述べられている。この方式は先述したように絶縁物場への堆積には使用できない。しかしながら、本方式は微小物を吐出(飛翔させる)させる概念はなく、基板に微小物質を溶剤に溶かした溶融液や分散させたりした分散液をほぼ基板と接触させた状態で微小物の堆積を行っている。実際に非特許文献2に示された実験結果では、400nm以下の非常に微小なドットの堆積が可能となっている。上記非特許文献1にも1μm以下の堆積実験結果が示されている。堆積された寸法はかなり微小である。堆積物の大きさの差は、主に用いたマイクロピペットの吐出口の大きさの違いと言われている。
【0010】
一方、全く異なる方法で微小物を基板上に堆積させる方法が、特許文献4で述べられている。この方法は、マイクロピペットの中に細長い小型の塗布針を組み込み、機械的に塗布針を上下させて、マイクロピペット内のインクを押し出して基板上にインクを転写する技術である。本方式は絶縁物上にもインクを付着させることができる。しかしながら、機械的な手法を採用していることから、目標とする微小サイズの付着は難しく、且つ、観察しながら目標点に微小物質を堆積することは難しい。
【0011】
《非特許文献1》応用物理、第73 巻、第4号(2004) の490 〜493頁
《非特許文献2》Nanotechnology 18(2007)105301,pp1-5.
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平8-238774号「静電吸引式インクジェット装置及びその駆動方法」
【特許文献2】公報特開2004-114370「静電吸引型流体ジェット装置」
【特許文献3】特開2005-349496「基板上に微小物を堆積させる方法」
【特許文献4】特許公開2010-207703「ニードル式ディスペンサ塗布針および液体転写方法」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、ナノスケールの微小物質を基板の任意の位置に、堆積目標場所をトップダウン観察しながらマイクロメータレベル(0.5μm〜5μm程度)の堆積方法を提供することを目的とする。
【0014】
特許文献1,2で述べられている技術内容、即ち、液滴を吐出・飛翔させて基板上に微小物を堆積させる技術は、比較的高電圧を用いた手法であること、実際の堆積場所をトップダウン観察しながら堆積を行う事が難しく、溶融液や分散液の種類・粘度等の選択が難しいなど、本発明の目的とする応用分野で採用するには課題がある。
【0015】
寸法的に目的を達成する唯一の解決策は、特許文献3に記載された技術が最も有望である。しかし、絶縁基板上での堆積ができない問題がある。しかしながら、転写される寸法は、ほぼマイクロピペット先端の吐出径で決まるという経験的な実験結果があることから、容易に本目的の目標寸法の堆積は可能であり、特許文献3の構成を基礎にして改良を加えることで目標の達成は可能であると考えた。
【0016】
一方、前述したように特許文献4の技術では塗布針方式を用いることで、絶縁物基板上にも確実に微小物質を付着させることが容易である。この方法は電圧を印加しなくとも微小物質を絶縁物上に付着させることが可能である。この概念(即ち接触させるだけで微小物の堆積は可能であるという事実)を用い、特許文献3で用いたマイクロピペットの先端の吐出径を堆積目標サイズに近い大きさ(例えば0.5μm〜数μm)にして、ほぼマイクロピペットの先端吐出口と基板とを接触状態にすることで、微小物の堆積は可能なはずであると考えられる。
【0017】
上記の方式でマイクロピペットの先端吐出径を2μmとして実験を行った結果、堆積物の寸法が2〜3μmで堆積ができた。因みにマイクロピペットは垂直に立てた状態で実験を行った。堆積対象物は絶縁物であるガラス基板を使用した。直流電圧やパルス電圧を印加していない。分散液として金ナノ粒子が混合された溶液を用い、金粒子を堆積後、焼結させた。その後、洗浄過程を経て剥がれていないことを確認し観察した。十分な密着性をもって堆積が可能となっていることを確認した。
【0018】
これらの実験結果から、直流電圧等を全く印加しなくても、マイクロピペットの先端と基板とを接触させるだけで、基板上に微小物の堆積が可能であることが確認できた。一度基板からマイクロピペット先端を離し、再度、別の場所で基板を近づけても堆積が継続して実行できることを確認した。分散液はマイクロピペット先端と基板との間の毛細管現象で供給されている。
【0019】
これは、ペンで字を書くような現象と同じであり、このような現象を利用したディップペン・ナノリソグラフィー(DPN:Dip Pen Nanolithography)、或いはfountain リソグラフィ技術といわれている方法と類似した技術である。
【0020】
マイクロピペットの先端と基板との距離を確認するには、良く知られた斜め観察方法で確認した。図1にそのイメージ図を示す。観察装置は、マイクロピペット9、基板4、望遠レンズ20、カメラ21、照明系22で構成されている。斜めから観察していることで、マイクロピペット9の実像とその反射像が同時に観察できる。画像でその両者が接触した位置が、基板4とマイクロピペット9が接触状態であると解釈する。
【0021】
しかしながら、上記寸法が2〜3μmで堆積ができた実験では、一部の場所で堆積に失敗している場所がある。さらに、上記実験を長時間行った後、或いは、ある程度時間を経た後では、マイクロピペット先端から分散液の供給が不安定になったためである。マイクロピペット先端から分散液が出てこない状態になった。この結果、基板上に微小物を堆積できなくなるという問題があった。
【0022】
ピペット内の液体を強制的に先端から吐出させる手法として、マイクロピペット内の背圧を制御し、分散液に正圧を印加して分散液を強制的に吐出させる手法が知られている。しかしながら、圧力制御が極めて難しく、一旦、加圧気味になると制御が困難で、多量の分散液を吐き出してしまう問題がある。背圧制御方式を用いてマイクロピペット内の分散液の押し出しを制御することは、極めて困難であることがわかった。特に、先端が微細になるほど制御が困難となった。
【0023】
従って、これらの課題を解決する方法として特許文献3の技術を改良した方法を提案する。本発明の直流電圧、パルス電圧、交番電圧の印加は分散液を凝縮や飛翔させる役目ではなく、塗布針の役目として機能させる。具体的にはマイクロピペット先端部分で溶融液や分散液の露出、即ちメニスカスの成長を行わせる事を目的とする。また直流電圧は基板表面の帯電状態を制御するために用いる。パルス電圧は分散液をパルス的に露出させるために用いる場合と、マイクロピペット内で分散液が詰まった場合に強制的に分散液を放出させる役目として機能させる。従って、パルス電圧には第1のパルス印加手段と第2のパルス印加手段の二通りを選択できる。それぞれの電圧を自由に制御できる構成とする。パルス電圧、交番電圧のバイアス電圧の変更も自由に制御できるようにしておく。
【0024】
分散液を露出させて基板と接触させるため、マイクロピペット先端と基板との距離は小さく、このため上記直流電圧、パルス電圧を低く設定することができるメリットがある。オペレータが直接加工対象物に接触する場合が多い環境では、出来るだけ使用する電圧は低い方が良いことは重要で、且つ、マイクロピペット先端と基板との距離は小さい方が堆積させる位置精度も高く制御できるメリットもある。
【0025】
さらに、特許文献3のシェア―フォースを用いる手法では垂直に立てたマイクロピペットと基板との距離は極めて接近(疑似接触)しており、先端を破損する場合が多かったが、本方式ではマイクロピペットを傾けて設置しているために先端を接触させても破損の心配は少ない。また、溶融液や分散液を露出させて基板と接触させる方式のため、基板とマイクロピペット先端部が確実に離れており、マイクロピペットを破損する確率を大幅に低減できる。
【0026】
さらに、微小物の堆積には目標位置を正確に観察しながら実施することが重要となる。例えば、トップダウン観察のような機能があれば、容易にオペレータが操作して、目標の位置に微小物を堆積させることができる。しかしながら、特許文献1、2、3に開示されたいずれの手法においても、その方法には触れていない。それは、これまでのマイクロピペットの設置方法が常に垂直方向となっており、顕微鏡等でのトップダウン観察を採用すると、マイクロピペット自体が障害物となり、加工する対象物を見ることが難しかったことに起因する。マイクロピペットを傾けて設置することで、トップダウン観察が実現できる。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明は、内部に電極が挿入され、また微小物質を含む溶融液や分散液が充填されているマイクロピペットを傾かせて設置し、その先端部を基板表面に近接させる駆動回路、制御回路、分散液と基板との間に直流電圧、パルス電圧、交番電圧を印加できる制御回路を具備することにより、分散液を基板表面に向けて適切なメニスカス状態になるようにマイクロピペット先端部から露出させ、露出した溶融液や分散液を基板と接触させることで微小物質を堆積させる方法である。本発明における分散液とは、水性媒体もしくは油性媒体(有機溶媒など)を分散媒とする分散液を意味する。
【発明の効果】
【0028】
本発明の方法を利用することにより、カーボンナノチューブ、蛋白質粒子、D N A 粒子、金属もしくは非金属の微粒子などの様々な種類のナノスケールの微小物質を基板の任意な位置に、マイクロメータレベル(0.5μm〜5μm程度)の寸法で確実に堆積させることが可能となる。
【0029】
また、本発明は小規模生産でのリペア加工に適切であり、オペレータによって作業する場合に適している。このような作業では欠陥部を観察しながら欠陥部への堆積作業を行う必要がある。マイクロピペットを傾かせたことで同時観察が達成でき、且つ、オペレータが目視で作業を監視しながら実施できる。また、将来的には画像処理を行う事でこれらの作業の自動化も可能となる。マイクロピペットと基板との距離が近いために、使用する電圧も極めて定電圧に設定でき、安全な環境下で微小物の堆積が可能になるなど利点が多い。
【0030】
また、斜めにマイクロピペットを設置したことから、マイクロピペットの先端と基板とが操作ミス等で接触してもピペット先端が弾性で変形するため破損する確率は大幅に低減できる。
【0031】
同時に、リペア加工では、堆積物を付着させた後、余分な堆積物や他のはみ出し欠陥(黒欠陥)をレーザ等で焼切る作業が必要となる。この工程も加工対象物を観察しながら観察光学系からレーザを照射することで実施できる。本方式の構成では後工程の作業もスムーズにできるメリットがある。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】マイクロピペットの先端と基板との接触状態を確認するための光学系の一例。
【図2】基板上に微小物質を堆積させる本発明を説明する図。
【図3】斜めに設置したマイクロピペットを基板に故意に押しつけて、先端部を変形させた状態を示す。斜めにピペットを設置して用いた場合、基板と多少の接触があっても先端が破損しないメリットを示している。
【図4】特許文献3で示されたシェアーフォース測定制御方式を用いて位置決めする第1の実施例を示す図。
【図5】本発明に於いて顕微鏡6を使用してマイクロピペット9の先端と基板4との距離(間隔)を決定する第2の実施例を示す図。
【図6】本発明に於いて顕微鏡6を使用してマイクロピペット9の先端と基板4との距離(間隔)を決定する第2の実施例を示す図。
【図7】本発明に於いて顕微鏡6を使用してマイクロピペット9の先端と基板4との距離(間隔)を決定する第2の実施例を示す図。
【図8】本発明に於いて顕微鏡6を使用してマイクロピペット9の先端と基板4との距離(間隔)を決定する第2の実施例を示す図。
【図9】微小物の堆積を繰り返し実施している状態。
【図10】微小物の堆積を繰り返し実施している状態。
【図11】堆積後、マイクロピペット9を持上げた状態を示し、パターン5とピペット9の同時観察が可能なことを示す図。
【図12】約1.5μm離れた状態でパルス電圧を印加しメニスカスを形成させ微小物のドット堆積を行った結果を示す。
【図13】マイクロピペット9の先端部から溶融液や分散液13のメニスカスがパルス印加で成長し、先端部と離れた状態に置かれた基板4と接触し堆積が行われる様子を示した概念図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
基板上に微小物質を堆積させる本発明の方法について、添付図面を参照しながら詳しく説明する。
図2は、基板上に微小物質を堆積させる本発明の基本構成を説明する図であり、このような構成とすることによって、微小物質を任意な位置に確実に安定して堆積させることが可能となる。且つ、堆積作業は目標物を観察しながら実施できる。
【0034】
以下簡単に図2を用いて本発明の基本構成を説明する。適当な定盤1に精密XYZステージ2が設置され、紙面に対し垂直方向、横方向、上下方向の移動がXYZステージ制御回路3で可能となっている。精密XYZステージ2の上面には基板4が適当な方法で固定される。ここでは基板の例としてフォトマスクを例に説明する。基板表面にはパターン5が形成されている。精密XYZステージ2は基板4を搭載して精密にXYZ方向に移動できる。基板4上に形成されたパターン5を観察するために顕微鏡6が設けられている。パターン像は図中の矢印に示される光路を通り、反射鏡7で反射されLCD等の表示装置8によって観察することができる。ここでは顕微鏡や観察光学系は重要な構成要素では無いため簡略化して書かれている。
【0035】
マイクロピペット9は細いガラス管で製作された中空の筒である。このようなガラス管は主にバイオ工学の分野で使用される場合が多い。先端内径は非常に細く0.5μmから数10μmまでのものが容易に入手できる。マイクロピペット9は、観察時に顕微鏡6の対物レンズと干渉しない位置関係で、顕微鏡観察光軸から傾かせて設置する。マイクロピペット9は、マイクロピペットステージ10と適切な方法で固定できる構造となっている。マイクロピペットステージ10はマイクロピペットステージ制御回路11を用いてマイクロピペット9をXYZ方向にサブμmオーダで移動させることができる。
【0036】
この様な構成にすることで基板4上のパターン5の観察、マイクロピペット9の先端部分の観察や位置決めを行う事ができる。パターン5とマイクロピペット9の先端は図に示すように焦点位置が若干異なる位置にあるため、同時に焦点を合わせて観察することは出来ない。しかし、それぞれ単独で焦点合わせが可能となっている(この操作に関しては後述する)。また、マイクロピペット9の先端部はサブμmオーダで、且つ、基板4との距離を数μm程度以下に離して設定(この設定に関しても後述する)されるが、オペレータはパターン5を観察しながら、若干焦点ズレしてはいるもののマイクロピペット9の先端部を同時に観察して堆積作業を進めることができる。
【0037】
先ず、マイクロピペット9の中に微小物質12を含んだ分散液13を注入する。この操作は、マイクロピペット9を垂直に立てた状態で注射器を用いて注入する(図示せず)。或いは、市販されているマイクロローダ(図示せず)と呼ばれる器具を用いて簡単に注入することが出来る。注入された分散液は毛細管現象で暫く放置すると先端まで到達する。
【0038】
因みに、マイクロピペット9を垂直に立てて堆積を行うと、操作ミス等によって、先端と基板とが接触し破損する場合があった。しかし、マイクロピペット9を図2に示したように傾かせて設置したことで、例え基板と接触したとしても先端が弾性変形し破損しにくい。マイクロピペット9の先端が極めて細いために弾性変形することで衝突ショックを和らぐことができるためである。図3に故意に基板にマイクロピペットを押しつけて、変形させた状態を示す。このようにマイクロピペット9を傾かせることで、運用中の操作ミスでマイクロピペット9の破損を低減できるというメリットも生まれる。
【0039】
マイクロピペット9の内部にはワイヤー電極91が設けられ、配線92が外部まで引き出される。ワイヤー電極91や配線92は固定された状態であっても良いし、分散液13を注入したあと差し込んでも良い。ワイヤー電極91の延長上には3つのスイッチ14、15、16が設けられており、それぞれグランドライン17、直流電圧18、パルス電圧(交番電圧)19へと選択して接続することができる。この選択は、実際の堆積操作の状況に応じて行う。パルス電圧は低電圧用(微小物堆積用)と高電圧用(分散液吐出用)の2種類が用意される。直流電圧印加、低電圧パルス印加による堆積は、マイクロピペット先端部から溶融液や分散液の露出を行わせ、基板と接触させる目的で用いられる。
【0040】
上記溶融液、分散液とは、カーボンナノチューブ、蛋白質粒子、D N A 粒子、金属もしくは非金属のナノ粒子などの様々な種類のナノスケールの微小物質を純水などの水性媒体や適当な溶剤に溶かしこんだ、或いは、分散したものである。一般に、金属ナノ微粒子に代表される微小物質は、水性媒体に分散させ、コロイダル溶液とした場合に、プラスまたはマイナスに帯電する。試料液中の微小物質は特に帯電のための処理を施さなくても良い場合が多いが、必要に応じて公知の帯電処理を施してもよい。
【実施例】
【0041】
これまでの堆積は、図1に示した光学的な方法でマイクロピペット9の先端と基板とを目視で観察しながらほぼ疑似的に接触したと思われる位置で堆積作業が実行された。しかし、本発明では特許文献3で示された方法、観察顕微鏡を用いた方法の2通り(シェアーフォース測定制御方式、顕微鏡焦点位置合わせ方式)で確実に位置決めを行うことを提案する。図1で紹介した観察方法は、実際の装置化には他の機器との干渉があり支障があるため、本特許の応用分野では使うことが難しいためである。
【0042】
先ず、マイクロピペット9の先端と基板4との間隔を設定する第1の実施例として、特許文献3で示されたシェアーフォース測定制御方式を図4で説明する。溶融液や分散液を充填した電極付きマイクロピペット9を励振用PZT振動子23に装着し、発振器24 からの信号に従って、励振用PZT振動子23を振動させる。この振動がマイクロピペット9の先端部に伝達されることで、マイクロピペット9の先端部が横方向に僅かに振動(例えば、振動振幅が2〜3nm)する。マイクロピペット9の先端部に水晶振動子25を接触させ振動により起電した信号を測定する。この信号は、ロックインアンプ26、制御回路27を経て発振器24の同期信号として取り出す。同期信号はマイクロピペット9の先端部の振動成分である。この振動成分がディスプレイ28の縦軸に、XYZステージ3からのZ軸情報が横軸にリアルタイムで波形29として表示される。マイクロピペットステージ10、マイクロピペットステージ制御系11を用いて基板4とマイクロピペット9を接近させ、マイロピペット9の先端部の状態をディスプレイ28の波形29(同期信号の大きさ)を見ながら基板4の表面とマイクロピペット9の先端部との疑似接触位置を求めることができる。この座標をもとに、マイクロピペット9の先端部と基板4との距離を正確に定めることができる。
【0043】
実際には、マイロピペット9の先端部の位置は以下の方法で検知、制御する。励振用PZT振動子23により加振(或いは共振)状態にあるマイロピペット9の先端部は、基板4への接近につれてシェアーフォース(せん断力)がかかり、このため、先端部の振動振幅は小さくなる。そして、マイクロピペット9の先端部が基板4の表面に接触するか、或いはほぼ接触状態(疑似接触状態)に近くなると、マイクロピペット9の先端部の振動は消失する。この過渡現象の情報を用いて位置決めが行われる。分散液の堆積に必要な位置情報は、波形29で測定されたように適当な落ち込み位置で決定される。分散液13の物理特性(粘度等)によって、その位置は変わるため実験によって決める。一度条件が決まれば、上記波形29の観察によって正確な疑似接触位置がきまり、その位置から決められた距離離すことでマイクロピペット9の先端と基板4との距離を正確に位置決めすることができる。上記方法はマイクロピペット9を傾かせて設置しても全く問題無く採用できる。
【0044】
次に、マイクロピペット9の先端に生じるシェアーフォースの影響を測定する方法以外に、もっと簡単な方法でマイクロピペット9と基板4との距離を設定することができる第2の実施例を説明する。図2に示した構成で既に準備されている顕微鏡6を用いて基板の焦点位置とピペット先端の焦点位置をそれぞれ測定し両者の距離を位置決めする制御方法である。
【0045】
以下、図5から図8を用いて観察顕微鏡6を使用して簡単にマイクロピペット9の先端と基板4との距離(間隔)を決定する第2の実施方法を説明する。先ず、図5に示すように、精密XYZステージ2を用いて基板4をマイクロピペット9の焦点合わせに干渉しない適当な位置まで遠ざけ、顕微鏡6とレーザ照明光30を用いてマイクロピペット9の先端を焦点位置に合わせる。レーザ照明光30は顕微鏡6の焦点位置を通過する光路に調整しておく。焦点位置で集光し反射される構造とする。集光位置(対物レンズ6の焦点位置)では成るべく小さいスポット径にしておく。マイクロピペット9の先端を焦点位置に近づけると先端からの乱反射光31が顕微鏡6を通して観察できる。この乱反射光31を用いて市販の画像処理オートフォーカスを用いて、マイクロピペット9の先端近傍を焦点位置に合わせることができる。しかし、レーザ照明光30を用いた手法は必須では無く、作業者のやり易さを考慮したものであり、通常の顕微鏡観察光源を用いた画像処理でも焦点位置合わせは可能である。
【0046】
因みに、実際の評価では、対物レンズは可視光対応、50倍、NA(開口数)は0.4を用いた。焦点深度は±約1.2μmである。また、市販の画像処理オートフォーカスを用いる焦点位置の位置決め再現性は約0.5μmp-pのものを使用した。
【0047】
マイクロピペット9の先端近傍の位置合わせは、マイクロピペットステージ10、マイクロピペットステージ制御系11を用いて行う。焦点位置合わせ後の位置座標(Xp、Yp、Zp)をマイクロピペットステージ制御系11で記憶しておく。この焦点合わせ位置は、マイクロピペット9の先端部分全体、それも上側表面の位置合わせである。従って、先端部は若干厳密な焦点位置から下がっている。
【0048】
次に、図6に示すように、マイクロピペット9を基板4の焦点合わせ動作に干渉しない位置まで遠ざけておき、基板4のパターン5を顕微鏡6の焦点位置に精密XYZステージ2を用いて位置決めする。この作業も画像処理オートフォーカス技術を用いる、焦点位置にある位置座標(Xk、Yk、Zk)をXYZステージ制御回路3で記憶しておく。
【0049】
次に、図7に示すように、マイクロピペット9を焦点位置近傍に移動させる。この際、マイクロピペット9の先端部考慮分(先端部は若干焦点位置より下がっているためと、焦点面は先端の上表面に合っているため)を概算し、位置座標を(Xp、Yp、Zp+αp)[αp:マイクロピペット9の先端部考慮分]として焦点面より上方向なるように移動させる。これは基板4が焦点位置に移動してもマイクロピペット9の先端と接触させないためである。
【0050】
こうすることによって、図8に示すように、基板4上のパターン5に焦点があった状態とマイクロピペット9の先端部が若干デフォーカスした状態が観察できる。この状態でパターン5を観察しながらマイクロピペット9の先端部を堆積座標(Xp、Yp)へ微調整し欠陥部分へ正確に位置合わせする。さらに、その状態でマイクロピペットステージ制御系11を用いてパルス微動送りを行いながらマイクロピペット9の先端がパターン5に接触させるまで下降させる(接触位置は先端部が若干変形することでわかる)。その位置座標(Xp、Yp、Zp+αc)[αc:マイクロピペット9の先端が基板4(パターン5)と接触している座標]を記憶する。
【0051】
その後、基板4とマイクロピペット9の先端との間隔αg(後述する方法で決める)を用いて、堆積を行う時は(Xp、Yp、Zp+αc+αg)の位置座標とする。このような方法で正確なマイクロピペット9の先端と基板4との距離を定めることが出来きた。
【0052】
別の場所(X,Y)での堆積を行う場合は、一旦、マイクロピペット9を大きくずらし、次の堆積座標へステージを動かし焦点合わせを行う。これは基板4の厚さムラやステージの上下変動があるためである。その後、マイクロピペット9を先ず、位置座標(Xp、Yp、Zp+αp)に移動させ、次に、微動送りを用いて(Xp、Yp、Zp+αc+αg)まで移動させる。この様な方法で、基板4(パターン5)とマイクロピペット9の先端との間隔を一定に制御することができる。この方式では、基板4の焦点位置合わせ再現性が問題となるため、必ず一方向から(実際には下方向からZステージを上げていき位置決めすることで、画像オートフォーカス、ステージ移動の焦点面への位置決め再現性は0.5μm以下に制御することができた。
【0053】
上記に述べた操作手順は、必ずともパターンが存在する基板上で行う必要はなく、別に設けたダミーパターン上やダミーパターンを作った特別な場所をステージ上に設けておき、Zp+αc+αgを決定することができる。このようなダミーパターンを設けることで、溶融液や分散液の強制吐出、試堆積、印加電圧の校正・再調整等を行うことができる。上記の操作を繰り返すことにより、基板の表面の所望の位置に所望の量の微小物を堆積させることができる。
【0054】
因みに、垂直にマイクロピペット9を垂直に立てた状態で堆積実験を行うと、操作ミスによって、先端と基板4が接触し破損する場合があった。しかしながら、マイクロピペット9を傾かせて設置したことで、Zp+αc+αgを求める際に基板と接触させたとしても弾性変形し、破損しにくくなった。
【0055】
実際に上記の操作で微小物堆積を試みた時の写真を図9〜図11に示す。画像は適宜拡大して示している。図9は、基板4に形成されたパターン5上にマイクロピペット9を位置座標(Xp、Yp、Zp+αp)にセットした状態を示す(写真ではガラス上にマイクロピペット9を近づけている)。マイクロピペット9はデフォーカスした状態である。図10は、従来方法で微小物の堆積を繰り返し行っている状態を示し、マイクロピペット9の先端は略基板4の近傍にある。写真で示すように、斜めに設置したマイクロピペット9を用いても微小物堆積が実行されている。図11は堆積後、マイクロピペット9を持上げた状態を示し、パターン5とピペット9の同時観察が可能で、欠陥場所を見ながらマイクロピペット9の先端を位置決めでき、且つ、堆積後の状態も観察できることを示している。これは、マイクロピペット9が堆積場所の真上に存在したとしても、その先端は極めて細いために、先端領域以外の顕微鏡の光束が堆積対象物や堆積物を捉えカメラ上に結像するためである。本実験では(Xp、Yp、Zp+αc+αg)の座標は基板4とマイクロピペット9の先端がほぼ疑似接触している状態である。堆積物の寸法にはバラツキがあるものの、2〜3μm程度であった。
【0056】
上記の評価結果は、マイクロピペット9を斜めに設置しても微小物堆積は可能であること、基板4の上に分散液を置くだけである程度の微小物堆積は可能であることを示している。
【0057】
しかしながら、上述したように堆積記実験を長時間行った後、或いは、ある程度時間を経た後に堆積を再開した場合、マイクロピペット先端から分散液の供給が出来なくなることが生じた。更に、マイクロピペット先端から全く分散液が出てこなく基板上に微小物を堆積できなくなる場合があった。同時に、上記の方法では1μm以下の堆積はできなかった。これらを解決するのが以下に説明する電圧印加である。
【0058】
先ず、マイクロピペット先端から分散液13が出てこなく基板上に微小物を堆積できなくなる場合への対策として、多くの静電インクジェット特許で実現されているパルス印加技術を用いる。これは堆積させずに暫く放置しておいた場合に、全く分散液13がマイクロピペット9からでなくなるための対策である。この操作は装置の一部に脱着可能なダミーパターン領域を設けておき、その場所で強制的に分散液13を吐出させる。パルス電圧を印加しインクを塗布する方法は特許文献1,2でも述べられている。この手法と同じであるため詳細説明は行わないが、本発明ではマイクロピペット9と基板4とを極めて近接させた状態でパルス電圧を印加させるため低電圧で行うことができる。実験によると、基板4とマイクロピペット9の先端との間隔を10μm程度離した状態で、約150V程度のパルス電圧印加で十分に強制吐出を行うことができた。印加時間が終了すると吐出は停止した。低電圧のパルス電圧印加で詰まりは解消できた。
【0059】
次に、1μm以下の堆積を確実に行ない、且つ、安定した堆積を実行するためのパルス電圧印加について説明する。これには、先端部のメニスカスを制御する低電圧の直流電圧、パルス電圧、交番電圧を印加する必要がある。これらの電圧印加によって微細堆積の実行と堆積の安定化を図る。ここで、直流電圧は基板4の帯電状態に応じて印加される場合に用いられる。パルス電圧、交番電圧印加する電圧はマイクロピペット9の先端から分散液13を露出させる、即ちメニスカスを成長させるために用いられる。実験結果を図12に示す。(Xp、Yp、Zp+αc+αg)の座標、即ち基板4とマイクロピペット9の先端の距離(間隔)が約1.5μm離れた状態で、60Vのパルス電圧を印加してドット堆積を行った結果を図12の写真の右側に示した。ガラス基板上に微小物のドット堆積を行うことができている。因みに、図11のパルス印加電圧無しで疑似接触状態でのドット堆積を行った結果と比べ、明らかに形成されたドットの寸法は小さく、1μm以下(0.8μm程度)が達成されている。パルス印加電圧は10V以上から微小物の堆積が確認された。パルス印加を行わない場合は、全く微小物の堆積は行われなかった。
【0060】
60V以下のパルス電圧で微小サイズの堆積が可能となるのは、パルス電圧が印加されることで図13に示すようにメニスカスがマイクロピペット9の先端部で形成され、分散液13が図に示した(a)から(c)へと発達する過程で基板4と接触し、微細物の堆積が行われた結果である。静電インクジェット方式のようにインクを吐出(飛翔させて)させて堆積を行わなくても、低電圧でメニスカスを形成させ、メニスカスの先端と基板とを接触させることで、微小物の堆積が物質を堆積させることが可能になった。マイクロピペット9の先端は確実に基板4と離れた状態で堆積が実行されるために、先端部の損傷はなく、安定的に堆積が実行される。溶融液や分散液13のメニスカスが吐出することなく基板4と接触する程度の距離として、実験的に低電圧の印加で堆積できる条件とし、先端の吐出径の4倍以下が最適であることを見出した。
【0061】
パルス電圧はドット堆積を実行させるためと、ピペット先端が詰まった場合に強制的に吐出を行うための二通りで用いられる。従って堆積用パルス電圧と強制吐出用電圧とで2種類のパルス電圧を制御する機能を持つ。また、強制吐出用電圧を用いて試射を定期的に行うことでマイクロピット9の先端部で分散液13と一定の濡れ性を確保でき、次への堆積がスムーズに行えるメリットも出る。一方、交番電圧はステージを動かしながら規則的に連続して堆積を行う場合に用いられる。
【0062】
実験ではパルス印加電圧は単純な矩形波であったが、交番電圧(sin波)を印加してもよい。また、バイアス電圧(プラス側とマイナス側が存在する一組のパルス電圧を作り出すため)を加えた印加であってもよい。また基板4のチャージ状態、溶融液や分散液13の堆積抵抗率、誘電率によって様々な電圧、波形が考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は既に堆積サイズが5μm以上の修正に用いられている技術の改良版であり、より、微細な堆積物を、これまで以上に再現性良く安定的に堆積させる方法を達成するために行った。多品種少量生産のパターン修正が要求される領域で、期待されている技術である。産業上の利用可能性は十分にあると確信している。
【符号の説明】
【0064】
1 定盤
2 精密XYZステージ
3 XYZステージ制御回路
4 基板
5 パターン
6 顕微鏡
7 反射鏡
8 表示装置
9 マイクロピペット
9(a) ワイヤー電極
9(b) 配線
10 マイクロピペットステージ
11 マイクロピペットステージ制御系
12 微小物質
13 溶融液、或いは、分散液
14 グランドライン用スイッチ
15 直流電源用スイッチ
16 パルス電源用スイッチ
17 グランドライン
18 直流電源
19 パルス電源
20 望遠レンズ
21 カメラ
22 照明系
23 励振用PZT振動子
24 発振器
25 水晶振動子
26 ロックインアンプ
27 制御回路(・・・)
28 ディスプレイ
29 波形
30 レーザ照明光
31 乱反射光
91 ワイヤー電極
92 配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に電極が挿入され、また微小物質を溶剤に溶かした溶融液、或いは溶剤に分散させて得られた帯電状態の分散液が充填されているマイクロピペットを基板の垂直軸に対し傾けて設置し、その先端部から露出した溶融液や分散液を基板表面に近接するように配置するとともに、マイクロピペット内の溶融液や分散液と基板との間に任意波形(直流電圧、パルス電圧、交流電圧など)を印可できる制御回路と、マイクロピペットと基板との距離を制御する駆動系及びその制御回路、マイクロピペットと基板を同時に観察できる観察手段とを具備し、マイクロピペットと基板との距離をマイクロピペット吐出口径の4倍以下に制御し、マイクロピペットの吐出口から露出した溶融液や分散液を基板表面上に接触させることでマイクロメータスケールの微小物質を堆積させる方法。
【請求項2】
マイクロピペットを基板の垂直軸に対し斜めに設置する角度は、観察顕微鏡との干渉を避けるような角度であることを特徴とする請求項1に記載の微小物質を堆積させる方法。
【請求項3】
マイクロピペットの先端部と基板との間の距離が、マイクロピペットに装着された振動子によりシェアーフォース制御される範囲を基準としてマイクロピペットの先端部と基板との距離を定めることを特徴とする請求項1 、2、に記載の微小物質を堆積させる方法。
【請求項4】
マイクロピペットの先端部と基板との間の距離が、マイクロピペットと基板を同時に観察できる観察手段によって位置決めされることを特徴とする請求項1、2、4に記載の微小物質を堆積させる方法。
【請求項5】
マイクロピペットの先端部と基板との間の距離が、マイクロピペット先端が基板上に接触し、変形したことを確認、或いは、接触した状態で分散液が付着したことを確認した後、適切な制御でマイクロピペットの先端部と基板と距離を定めることを特徴とする請求項1、2、4に記載の微小物質を堆積させる方法。
【請求項6】
マイクロピペット内の分散液と基板との間に印加する直流電圧は、基板の帯電状態に合わせて使用され、第1のパルス電圧は分散液をマイクロピペット吐出口から適正な露出状態にするために用いられ、第2のパルス電圧はマイクロピペット内の分散液を強制的に一定量吐出させる場合に用いられ、交番電圧は規則的に堆積を行う場合に用いられることを特徴とする請求項1、2、3、4 、5、に記載の微小物質を堆積させる方法。
【請求項7】
第1のパルス電圧、交番電圧は100V以下、第2のパルス電圧は150V以上で実施されるように、ピペットと基板との距離を設定することを特徴とする請求項1、2、3、4 、5、6に記載の微小物を堆積させる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−86001(P2013−86001A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227227(P2011−227227)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(711001686)株式会社デザインテック (1)
【出願人】(304023318)国立大学法人静岡大学 (416)
【Fターム(参考)】