説明

基板上に狭い配線部分を有するフリップチップ配線

【課題】フリップチップ配線を提供すること。
【解決手段】基板上のダイのフリップチップ配線は、配線の隆起を、キャプチャパッド上にではなく、リードまたはトレースの上の狭い配線パッドの上に嵌合することによってなされる。狭い配線パッドの幅は、取り付けられるダイ上の隆起のベース直径未満である。また、フリップチップパッケージは、活性表面において配線パッドに取り付けられた半田の隆起を有しているダイと、ダイ取り付け表面において導電性トレースの上に狭い配線パッドを有している基板とを含んでおり、上記基板における隆起は、トレース上の狭いパッドに嵌合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本出願は、2005年3月25日に出願され、「Flip chip interconnection having narrow interconnection sites on the substrate」と題された、米国仮特許出願第60/665,208号の優先権を主張し、上記米国仮特許出願は、本明細書に参考のために援用される。
【0002】
本出願は、2004年11月10日に出願され、「Bump−on−lead flip chip interconnection」と題された、米国特許出願第10/985,654号に関連する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
本発明は、半導体の実装に関し、特に、フリップチップ配線に関する。
【0004】
フリップフロップパッケージは、パッケージの基板上に取り付けられた半導体ダイ(ダイの活性側は、基板に面している)を含んでいる。基板は、誘電体の層と、少なくとも1つの金属層とから構成され、パターニングされることにより、基板回路が提供される。基板は、数ある特徴の中でもとりわけ、配線パッドまで延びているトレース(「リード」)を含んでいる。金属層は、例えば、マスクアンドエッチプロセスによって、エッチングされる。従来では、ダイ内の回路と基板内の回路との配線は、ダイ上の配線パッドの配列に取り付けられた隆起によってなされ、上記隆起は、基板上の対応する(相補的な)配線パ
ッド(しばしば「キャプチャパッド」と呼称される)の配列に結合される。キャプチャパッドは、典型的にはリードよりも遥かに幅広であり、例えば、リードの公称幅または設計幅の約2〜4倍の幅であり得る。
【0005】
集積回路上の電子的特徴の面密度は、非常に増大しており、チップが有する回路特徴の密度が高ければ高いほど、パッケージの基板上の回路に配線するためにチップが有している部分(「ダイパッド」)の密度も高くなり得る。
【0006】
パッケージが用いられるデバイス内では、パッケージは、基礎回路網、例えば印刷回路基板(例えば「マザーボード」)に接続され、これは、パッケージと基礎回路との間の第
2のレベルの配線(例えば、ピン、2次配線半田ボール)によってなされる。第2のレベ
ルの配線は、フリップチップ配線よりも大きなピッチを有するので、従来、基板上のルーティングは、「ファンアウト」していた。基板上の金属層のパターニングに関する顕著な進展により、細かい線および間隔の構成が可能になった。しかしながら、従来の配置において、隣接し合うパッドの間の間隔は、配列内のより内側のキャプチャパッドからエスケープし得るトレースの数を制限し、ダイの下部のキャプチャパッドとパッケージの外部ピンとの間のファンアウトルーティングが、パッケージの基板内の複数の金属層上に形成されていた。複雑な配線配列のために、複数の層を有する基板は、ダイのバッドとパッケージ上の第2のレベルの配線との間のルーティングを達成することが要求される。
【0007】
多層基板は高価なので、従来のフリップチップ構成では、典型的には、基板単独で、パッケージの費用の半分以上(一部の典型的な例では約60%)を占めていた。多層基板の費用の高さは、主流製品におけるフリップチップ技術の繁栄を制限する要因であった。
【0008】
従来のフリップチップ構成において、エスケープルーティングパターンは、典型的には、追加的な電気的寄生をもたらしていた。なぜならば、ルーティングは、シールドされていない配線のショートランと、信号伝達経路における配線層の間のバイアとを含んでいるからである。電気的寄生は、パッケージの性能を顕著に制限し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(概要)
本発明にしたがうと、チップ配線は、従来のキャプチャパッドの上にではなく、配線の隆起を狭い配線パッドの上に直接的に接続することによって達成される。本発明にしたがう狭いパッドの幅は、配線の隆起のベース直径にしたがって選択され、上記隆起は、狭いパッドに接続される。特に、狭いパッドの幅は、配線の隆起のベース直径よりも小さなもの(例えば、約20%〜約80%の範囲)であり得る。本発明は、基板上のトレースのより効率的なルーティングを提供する。特に、信号ルーティングは、基板の単一の金属層の全体に形成され得る。これは、基板内の層の数を低減し、単一の層において信号トレースを形成し、さらに、基板が満たすべき何らかのバイア、ライン、および空間の設計に関する柔軟性を可能にする。この基板の単純化は、フリップチップパッケージにおけるコスト全体を大幅に低減する。狭いパッド上に隆起を備えたパッドのアーキテクチャはまた、基板の設計からバイアおよび「スタブ」のような特徴を排除することを助け、マイクロチップによって制御された電気インピーダンス環境が、信号伝達が可能になるので、性能を大幅に向上させる。
【0010】
1つの一般的な局面において、本発明は、フリップチップ配線を特徴としている。上記フリップチップ配線は、半田の隆起を有しており、上記半田の隆起は、ダイ上の配線パッドに取り付けられており、基板上の対応する狭い配線パッドに嵌合される。
【0011】
別の一般的な局面において、本発明は、フリップチップパッケージを特徴としている。上記フリップチップパッケージは、活性表面における配線パッドに取り付けられた半田の隆起と、ダイ取り付け表面において狭い配線パッドを有している基板とを有しており、上記基板における隆起は、狭いパッドに嵌合され得る。
【0012】
一部の実施形態において、狭いパッド上に隆起を備えた配線は、処理中に再び融解する段階の間に、融解された半田を閉じ込めるために半田マスクを用いることなしに、本発明の方法にしたがって形成される。半田マスクの必要性を排除することにより、より精密な配線の幾何学的形状が可能になる。
【0013】
一部の実施形態において、基板はさらに、狭い配線パッドの上に開口部を有している半田マスクが提供される。一部の実施形態において、基板はさらに、狭い配線パッドの上に半田ペーストが提供されている。
【0014】
別の一般的な局面において、本発明は、フリップチップ配線を形成する方法を特徴としている。上記方法は、ダイ取り付け表面上に形成された狭い配線パッドを有している基板と、活性表面において配線パッドに取り付けられた隆起を有しているダイとを提供することと;基板およびダイを支持することと;硬化可能な接着剤の量を基板上(狭い配線パッドを少なくともカバーしている)またはダイの活性側の上(隆起を少なくともカバーしている)に分配することと;ダイを基板のダイ取り付け表面に向けて配置することであって、上記ダイは、ダイの活性側を有している、ことと;ダイおよび基板を位置合わせして、互いに向けて動かすことにより、上記隆起は、基板上の対応する狭い配線パッドに接触する、ことと;隆起を嵌合する狭いパッドの上に押圧するように、力を加えることであって、上記力は、隆起と嵌合する狭いパッドとの間から接着剤を除去するために十分である、ことと;少なくとも部分的に接着剤を硬化させることと;半田を融解し、その後再び凝固させることと;隆起とパッドとの間に、金属的な配線を形成することとによる。
【0015】
別の一般的な局面において、本発明は、フリップチップ配線を形成する方法を特徴としている。上記方法は、ダイ取り付け表面に形成された狭い配線パッドと、狭いパッドの上の開口部を有する半田マスクとを有している基板を提供することであって、ダイは、活性表面において配線パッドに取り付けられた隆起を有している、ことと;基板およびダイを支持することと;ダイを基板のダイ取り付け表面に向けて配置することであって、上記第は、ダイの活性側を有している、ことと;ダイおよび基板を位置合わせして、互いに向けて動かすことにより、上記隆起は、基板上の対応する狭い配線パッドに接触する、ことと;融解してその後に凝固することによって、隆起と狭い配線パッドとの間に配線を形成することとによる。
【0016】
一部の実施形態において、半田の隆起は、崩壊可能な半田部分を含んでおり、融解および凝固するステップは、隆起を融解することにより、狭いパッド上に配線を形成する。一部の実施形態において、基板は、狭いパッド上に半田ペーストが提供され、ダイおよび基板を互いに向けて動かすステップは、隆起と狭いパッド上の半田との間に、接触をもたらし、融解および凝固するステップは、狭いパッド上で半田を融解し、配線を形成する。
【0017】
別の一般的な局面において、本発明は、フリップチップ配線を形成する方法を特徴としている。上記方法は、基板を提供することであって、上記基板は、ダイ取り付け表面に形成された狭い配線パッドを有しており、狭いパッドの上の開口部を有する半田マスクを有しており、狭いパッド上に半田ペーストを有しており、活性表面において配線パッドに取り付けられた隆起を有しているダイを有している、ことと;基板およびダイを支持することと;ダイを基板のダイ取り付け表面に向けて配置することであって、上記ダイは、ダイの活性側を有している、ことと;ダイおよび基板を位置合わせして、互いに向けて動かすことにより、上記隆起は、基板上の対応する狭いパッドの上の半田ペーストに接触する、ことと;半田ペーストを融解および凝固させることにより、隆起と狭いパッドとの間に金属的な配線を形成することとによる。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
フリップチップ配線であって、
ダイ上の配線パッドに取り付けられた半田の隆起であって、該半田の隆起は、基板の配線部分におけるパッドに嵌合されている、半田の隆起
を備えており、該配線部分における該パッドの幅は、該隆起と該ダイのパッドとの間の接触界面の公称の幅未満である、フリップチップ配線。
(項目2)
上記配線部分における上記パッドの上記幅は、上記隆起と上記ダイのパッドとの間の接触界面の上記公称の幅の少なくとも約20%の大きさである、項目1に記載のフリップチップ配線。
(項目3)
上記配線部分における上記パッドの上記幅は、上記隆起と上記ダイのパッドとの間の接触界面の上記公称の幅の少なくとも約25%の大きさである、項目1に記載のフリップチップ配線。
(項目4)
上記配線部分における上記パッドの上記幅は、上記隆起と上記ダイのパッドとの間の接触界面の上記公称の幅の約80%未満の大きさである、項目2に記載のフリップチップ配線。
(項目5)
上記配線部分における上記パッドの上記幅は、上記隆起と上記ダイのパッドとの間の接触界面の上記公称の幅の約60%未満の大きさである、項目2に記載のフリップチップ配線。
(項目6)
上記配線部分における上記パッドの上記幅は、トレースの設計規則の幅の約120%の大きさである、項目1に記載のフリップチップ配線。
(項目7)
フリップチップ配線であって、
ダイ上の配線パッドに取り付けられた半田の隆起であって、該半田の隆起は、基板の配線部分におけるパッドに嵌合されている、半田の隆起
を備えており、該配線部分における該パッドの幅は、該隆起と該ダイのパッドとの間の接触界面の設計の幅未満である、フリップチップ配線。
(項目8)
上記配線部分における上記パッドの上記幅は、上記隆起と上記ダイのパッドとの間の接触界面の上記設計の幅の少なくとも約20%の大きさである、項目7に記載のフリップチップ配線。
(項目9)
上記配線部分における上記パッドの上記幅は、上記隆起と上記ダイのパッドとの間の接触界面の上記設計の幅の少なくとも約25%の大きさである、項目7に記載のフリップチップ配線。
(項目10)
上記配線部分における上記パッドの上記幅は、上記隆起と上記ダイのパッドとの間の接触界面の上記設計の幅の約80%未満の大きさである、項目8に記載のフリップチップ配線。
(項目11)
上記配線部分における上記パッドの上記幅は、上記隆起と上記ダイのパッドとの間の接触界面の上記設計の幅の約60%未満の大きさである、項目8に記載のフリップチップ配線。
(項目12)
上記配線部分における上記パッドの上記幅は、公称のトレースの幅の約120%の大きさである、項目1に記載のフリップチップ配線。
(項目13)
フリップチップ半導体パッケージであって、
複数の半田の隆起であって、該複数の半田の隆起のうちの各々は、ダイ上の配線パッドに取り付けられ、基板の配線部分における対応するパッドに嵌合されている、複数の半田の隆起
を備えており、該配線部分における該パッドの幅は、該隆起と該ダイのパッドとの間の接触界面の公称の幅未満である、フリップチップ半導体パッケージ。
(項目14)
上記配線部分における上記パッドの上記幅は、上記隆起と上記ダイのパッドとの間の接触界面の上記公称の幅の少なくとも約20%の大きさである、項目13に記載のフリップチップ半導体パッケージ。
(項目15)
上記配線部分における上記パッドの上記幅は、上記隆起と上記ダイのパッドとの間の接触界面の上記公称の幅の少なくとも約25%の大きさである、項目13に記載のフリップチップ半導体パッケージ。
(項目16)
上記配線部分における上記パッドの上記幅は、上記隆起と上記ダイのパッドとの間の接触界面の上記公称の幅の約80%未満の大きさである、項目14に記載のフリップチップ半導体パッケージ。
(項目17)
上記配線部分における上記パッドの上記幅は、上記隆起と上記ダイのパッドとの間の接触界面の上記公称の幅の約60%未満の大きさである、項目14に記載のフリップチップ半導体パッケージ。
(項目18)
上記配線部分における上記パッドの上記幅は、公称のトレースの幅の約120%の大きさである、項目14に記載のフリップチップ半導体パッケージ。
(項目19)
フリップチップ半導体パッケージであって、
複数の半田の隆起であって、該複数の半田の隆起のうちの各々は、ダイ上の配線パッドに取り付けられ、基板の配線部分における対応するパッドに嵌合されている、複数の半田の隆起
を備えており、該配線部分における該パッドの幅は、該隆起と該ダイのパッドとの間の接触界面の設計の幅未満である、フリップチップ半導体パッケージ。
(項目20)
上記配線部分における上記パッドの上記幅は、上記隆起と上記ダイのパッドとの間の接触界面の上記設計の幅の少なくとも約20%の大きさである、項目19に記載のフリップチップ半導体パッケージ。
(項目21)
上記配線部分における上記パッドの上記幅は、上記隆起と上記ダイのパッドとの間の接触界面の上記設計の幅の少なくとも約25%の大きさである、項目19に記載のフリップチップ半導体パッケージ。
(項目22)
上記配線部分における上記パッドの上記幅は、上記隆起と上記ダイのパッドとの間の接触界面の上記設計の幅の約80%未満の大きさである、項目20に記載のフリップチップ半導体パッケージ。
(項目23)
上記配線部分における上記パッドの上記幅は、上記隆起と上記ダイのパッドとの間の接触界面の上記設計の幅の約60%未満の大きさである、項目20に記載のフリップチップ半導体パッケージ。
(項目24)
上記配線部分における上記パッドの上記幅は、公称のトレースの幅の約120%の大きさである、項目20に記載のフリップチップ半導体パッケージ。
(項目25)
上記配線は、非半田マスク規定型である、項目1に記載のフリップチップ配線。
(項目26)
上記配線は、半田マスク規定型である、項目1に記載のフリップチップ配線。
(項目27)
ダイのフリップチップ配線のための基板であって、
該ダイは、隆起を有しており、各隆起は、ダイパッド上に取り付けられており、
該基板は、配線部分におけるパッドを有しているパターニングされた金属層を備えており、
該配線部分における該パッドの幅は、該隆起と該ダイパッドとの間の接触界面の公称の幅未満である、基板。
(項目28)
上記配線部分における上記パッドの上記幅は、上記隆起と上記ダイパッドとの間の接触界面の上記公称の幅の少なくとも約20%の大きさである、項目27に記載の基板。
(項目29)
上記配線部分における上記パッドの上記幅は、上記隆起と上記ダイパッドとの間の接触界面の上記公称の幅の少なくとも約25%の大きさである、項目27に記載の基板。
(項目30)
上記配線部分における上記パッドの上記幅は、上記隆起と上記ダイパッドとの間の接触界面の上記公称の幅の約80%未満の大きさである、項目28に記載の基板。
(項目31)
上記配線部分における上記パッドの上記幅は、上記隆起と上記ダイパッドとの間の接触界面の上記公称の幅の約60%未満の大きさである、項目28に記載の基板。
(項目32)
上記配線部分における上記パッドの上記幅は、設計のトレースの幅の約120%の大きさである、項目28に記載の基板。
(項目33)
フリップチップ配線を形成する方法であって、
項目27に記載の基板を提供することと、
該基板および上記ダイを支持することと、
ある量の硬化可能な接着剤を該基板上に分配することと、
該ダイの活性側が該基板のダイ取り付け表面に向くように該ダイを配置することと、
該ダイおよび該基板を位置合わせして、互いに向けて動かすことにより、該隆起が該基板上の上記対応する狭い配線パッドに接触することと、
該隆起を該嵌合する狭いパッドの上に押圧するように、力を加えることであって、該力は、該隆起と該嵌合する狭いパッドとの間から接着剤を除去するために十分である、ことと、
該接着剤を少なくとも部分的に硬化させることと、
上記半田を融解し、その後、再び凝固させることと、
該隆起と該パッドとの間に、金属的な配線を形成することと
を包含する、方法。
(項目34)
上記ある量の硬化可能な接着剤を上記基板上に分配することは、該基板上で少なくとも上記配線パッドをカバーする、項目33に記載の方法。
(項目35)
フリップチップ配線を形成する方法であって、
項目27に記載の基板を提供することと、
活性側において配線パッドに取り付けられた隆起を有している上記ダイを提供することと、
該基板および該ダイを支持することと、
硬化可能な接着剤の量を該ダイの該活性側の上に分配することと、
該ダイを該基板のダイ取り付け表面に向けて配置することであって、該ダイは、該ダイの活性側を有している、ことと、
該ダイおよび該基板を位置合わせして、互いに向けて動かすことにより、該隆起は、該基板上の上記対応するパッドに接触する、ことと、
該隆起を該嵌合する狭いパッドの上に押圧するように、力を加えることであって、該力は、該隆起と該嵌合する狭いパッドとの間から接着剤を除去するために十分である、ことと、
該接着剤を少なくとも部分的に硬化させることと、
上記半田を融解し、その後、再び凝固させることと、
該隆起と該パッドとの間に、金属的な配線を形成することと
を包含する、方法。
(項目36)
硬化可能な接着剤の量を上記ダイの上記活性側に分配することは、少なくとも上記隆起をカバーする、項目35に記載の方法。
(項目37)
フリップチップ配線を形成する方法であって、
項目27に記載の基板を提供することであって、該基板は、上記パッドの上に開口部を有した半田マスクを有している、ことと、
活性表面において配線パッドに取り付けられた隆起を有している上記ダイを提供することと、
該基板および該ダイを支持することと、
該ダイの活性側が該基板のダイ取り付け表面に向くように該ダイを配置することと、
該ダイおよび該基板を位置合わせして、互いに向けて動かすことにより、該隆起が該基板上の上記対応するパッドに接触することと、
融解し、その後、再び凝固させることにより、該隆起と該狭いパッドとの間に配線を形成することと
を包含する、方法。
(項目38)
上記隆起は、崩壊可能な半田部分を含んでおり、上記融解および凝固することは、該隆起を融解し、上記狭いパッド上に配線を形成する、項目35に記載の方法。
(項目39)
上記基板は、上記パッド上に半田ペーストを提供されており、
上記ダイおよび該基板を互いに向けて動かすことは、上記隆起と該パッド上の半田との間の接触をもたらし、
上記融解および凝固するステップは、上記狭いパッド上の半田を融解し、配線を形成する、項目35に記載の方法。
(項目40)
上記隆起は、崩壊可能な半田部分を含んでおり、
上記融解および凝固することは、該隆起を融解し、上記狭いパッド上に配線を形成する、項目37に記載の方法。
(項目41)
上記基板は、上記パッド上に半田ペーストを提供されており、
上記ダイおよび該基板を互いに向けて動かすことは、上記隆起と該パッド上の半田との間の接触をもたらし、
上記融解および凝固するステップは、上記狭いパッド上の半田を融解し、配線を形成する、項目37に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、従来のキャプチャパッド上に隆起を備えたフリップチップ配線の一部分の断面図の概略図であり、上記断面図は、図2おける矢印1−1’によって示されているパッケージの基板表面の平面に平行である。
【図2】図2は、従来のキャプチャパッド上に隆起を備えたフリップチップ配線の一部分を示す断面図の概略図であり、上記断面図は、図1における矢印2−2’によって示されているパッケージの基板表面の平面に垂直である。
【図3】図3は、別の従来のキャプチャパッド上に隆起を備えたフリップチップ配線の一部分を示す断面図の概略図であり、上記断面図は、パッケージの基板表面の平面に垂直である。
【図4】図4は、本発明の実施形態にしたがう、狭いパッド上に隆起を備えたフリップチップ配線の実施形態の一部分の断面図の概略図であり、上記断面図は、パッケージの基板表面の平面に平行である。
【図5】図5は、本発明の実施形態にしたがう、図4における狭いパッド上に隆起を備えたフリップチップ配線の実施形態の一部分を示す断面図の概略図であり、上記断面図は、図4における矢印5−5’によって示されているパッケージの基板表面の平面に垂直である。
【図6】図6は、本発明の実施形態にしたがう、狭いパッド上に隆起を備えたフリップチップ配線の別の実施形態の一部分の断面図の概略図であり、上記断面図は、パッケージの基板表面の平面に平行である。
【図7】図7は、本発明の実施形態にしたがう、図6における狭いパッド上に隆起を備えたフリップチップ配線の実施形態の一部分を示す断面図の概略図であり、上記断面図は、図6における矢印7−7’によって示されているパッケージの基板表面の平面に垂直である。
【図8】図8は、本発明の実施形態にしたがう、狭いパッド上に隆起を備えたフリップチップ配線の別の実施形態の一部分の断面図の概略図であり、上記断面図は、パッケージの基板表面の平面に平行である。
【図9】図9は、本発明の実施形態にしたがう、狭いパッド上に隆起を備えたフリップチップ配線の別の実施形態の一部分の断面図の概略図であり、上記断面図は、パッケージの基板表面の平面に平行である。
【図10】図10A〜図10Cは、本発明の実施形態にしたがう、フリップチップ配線を構成するプロセスにおける複数のステップを示す断面図の概略図である。
【図11】図11A〜図11Dは、本発明の実施形態にしたがう、フリップチップ配線を構成するプロセスにおける複数のステップを示す断面図の概略図である。
【図12】図12は、本発明の実施形態にしたがう、フリップチップ配線を構成するプロセスのための力と温度とのスケジュールを示す概略図である。
【図13】図13は、本発明の実施形態にしたがう、狭いパッド上に隆起を備えたフリップチップ配線を示す断面の概略図である。
【図14】図14A〜図14Eは、本発明の実施形態にしたがう、様々な配線パッドの形状を示す平面図の概略図である。
【図15】図15A〜図15Cは、本発明の実施形態にしたがう、様々な配線パッドの構成を示す平面図の概略図である。
【図16】図16Aおよび図16Bは、本発明の実施形態にしたがう、半田マスク開口部を示す平面図の概略図である。
【図17】図17は、本発明の実施形態にしたがう、半田マスク開口部に関連した様々な配線パッドの詳細を示す平面図の概略図である。
【図18】図18は、本発明の実施形態にしたがう、配線パッドに関連した様々な半田マスクの構成の詳細を示す平面図の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(詳細な説明)
本発明は、図面を参照することにより、以下でさらに詳細に記載され、上記図面は、本発明の代替的な実施形態を示している。図面は概略的であり、本発明の特徴と、その他の特徴および構造に対する本発明の構造の関係を示している。図示を明確にするために、本発明の実施形態を示す複数の図面において、他の図面に示されているエレメントに対応するエレメントは、特に番号の付け替えは一切されていないが、それらは、全ての図面において、同一であると容易に判断され得る。
【0020】
従来のフリップチップ配線は、融解処理を用いて隆起(慣習的には、半田の隆起)を対応するキャプチャパッドの嵌合表面上に接合することによって構成されていたので、これは、「キャプチャパッド上に隆起を備えた(bump−on−capture pad)」配線として公知である。BOC設計においては2つの特徴が際立っている:第1に、比較的大きなキャプチャパッドが、ダイ上の隆起との嵌合のために要求される;第2に、絶縁材料(典型的には「半田マスク」として公知)が、配線プロセスの間に、半田の流れを閉じ込めるために要求される。半田マスク開口部は、キャプチャパッドにおける融解された半田の輪郭を規定するか(「半田マスク規定型」;solder mask defi
ned)、あるいは半田の輪郭は、マスク開口部によって規定されない(「非半田マスク規定型」;non−solder mask defined);後者の場合、以下でさ
らに詳細に記載される図1の例のように、半田マスク開口部は、キャプチャパッドよりもかなり大きなものであり得る。半田マスク開口部を規定するための技術は、幅広い許容範囲を有する。したがって、半田マスク規定型の隆起の構成のためには、キャプチャパッドは、マスク開口部がパッドの嵌合表面上に配置されることを保証するために大きなものでなければならない(典型的には、マスク開口部の設計サイズよりもかなり大きくなければならない);そして、非半田マスク規定型の隆起の構成のためには、半田マスク開口部は、キャプチャパッドよりも大きなものでなければならない。キャプチャパッドの幅(または、円形のパッドに対しては直径)は、典型的には、ボール(または隆起)の直径とほぼ同じであり得、トレースの幅の2〜4倍の幅であり得る。これは、基板の最上層のルーティング空間のかなりの損失につながる。特に、例えば、「エスケープルーティングピッチ」は、基板技術が提供し得る最も細かいトレースのピッチよりも、はるかに大きなものであり得る。これは、かなりの数のパッドが、短いスタブおよびバイア(しばしばダイのフットプリントの下にあり、対象となっているパッドから出ている)によって、基板の下層の上でルーティングされなければならないということを意味している。
【0021】
図1および図2は、概略的な断面図で、従来のフリップチップパッケージの一部分10、20を示している:図1における部分断面図は、図2における線1−1’に沿って、パッケージの基板表面に平行な平面で切り取られている;図2における部分断面図は、図1における線2−2’に沿って、パッケージの基板表面に垂直な平面で切り取られている。特定の特徴は、あたかも透過的に示されているが、図1における多くの特徴は、覆っている特徴によって、少なくとも部分的に曖昧にされている。ここで図1および図2の両方を参照すると、パッケージの基板のダイ取り付け表面は、誘電体の層12上に形成された金属層を含んでいる。金属層は、パターニングされてリード13とキャプチャパッド14とを形成する。絶縁体の層16は、典型的には、「半田マスク」と呼称され、基板のダイ取り付け表面をカバーする;半田マスクは、通常は、感光性の材料から構成され、従来のフォトレジストパターニング技術によってパターニングされ、キャプチャパッド14の嵌合表面を露出させる。配線の隆起15は、ダイ18の活性側のパッドに取り付けられ、基板上の対応するキャプチャパッド14の嵌合表面に接合され、ダイ上の回路と基板上のリードとの間の適切な電気的配線を形成する。リフローされた半田が冷却され、電気的な接続が形成された後に、アンダーフィル材料17が、ダイ18と基板12との間の空間に導入され、配線を機械的に安定させ、ダイと基板との間の特徴を保護する。
【0022】
例えば図1が示しているように、基板の上部の金属層における信号エスケープトレース(リード13)は、それらの各キャプチャパッド14から、破線11によって表されているダイのエッジ位置を越え、ダイのフットプリントから離れて延びている。典型的な例において、信号トレースは、約112umのエスケープピッチPを有し得る。30um/30umの設計規則は、図1に示されている構成におけるトレースに対して典型的である;すなわち、トレースは、公称では30umの幅であるが、トレースは、30umよりも接近して間隔付けられ得る。キャプチャパッドは、典型的には、トレースの幅の3倍なので、この例では、キャプチャパッドは、公称で90umの幅(あるいは、それらがほぼ円形であるときには、直径)を有する。そして、この例において、半田マスクにおける開口部は、パッドよりも大きく、公称で135umの幅(直径)を有している。
【0023】
図1および図2は、非半田マスク規定型の半田の輪郭を示している。ダイ上の隆起の易融材料が融解すると、融解した半田は、リードおよびキャプチャパッドの金属を「濡らす」傾向があり、半田は、マスクされていない任意の連続的な金属表面上で「逃げる」傾向がある。半田は、連続的なリード13に沿って流れ、ここでは、半田の流れは、半田マスク(例えば、図1における19)によって制限される。パッドにおける非半田マスク規定型の半田の輪郭は、図2に見ることができ、ここでは、隆起15の材料が、キャプチャパッド14の両側の上に、基板の誘電体の層12の表面に至るまで、流されている(29)。これは、非半田マスク規定型の輪郭にあたる。なぜならば、半田マスクは、表面上の、キャプチャパッドの両側を下降する、半田の流れを制限せず、そして、半田の流れは、パッドにかなり過剰な半田が存在しなければ融解された半田によって基板の誘電体の表面が濡らされ得ないという事実によって、典型的には制限されるからである。図1のような従来の配置におけるキャプチャパッドの密度の下限は、数ある要因の中でもとりわけ、信頼性のある狭いマスク構造を構成するためのマスク形成技術のキャパシティに関しての制限と、隣接し合うマスク開口部の間にマスク構造を提供することの必要性とによって、決定される。さらに、エスケープの密度の制限は、数ある要因の中でもとりわけ、より中心に配置されたキャプチャパッドからのエスケープラインが、より周縁に配置されたキャプチャパッドの間にルーティングされることの必要性によって制限される。
【0024】
図3は、従来の半田マスク規定型の半田の輪郭を、図2に似た断面図で示している。ダイ38が示されており、上記ダイは、キャプチャパッド34の嵌合表面上の隆起35によって固定されており、上記キャプチャパッドは、トレース(リード33)と共に、基板32の誘電体の層のダイ取り付け側の金属層をパターニングすることによって、形成されている。リフローされた半田が冷却され、電気的な接続が形成された後に、アンダーフィル材料37が、ダイ38と基板32との間に導入され、配線を機械的に安定させ、ダイと基板との間の特徴を保護する。ここでのキャプチャパッド34は、図1および図2の例におけるものよりも幅広く、半田マスク開口部は、キャプチャパッドよりも小さいので、39において示されているように、半田マスク材料は、各キャプチャパッドの嵌合表面の両側およびその一部分、ならびにリード33をカバーする。隆起35がそれぞれのキャプチャパッド34の嵌合表面に接触し、融解されると、半田マスク材料39は、融解された半田の流れを制限することにより、半田の形状は、キャプチャパッド34上のマスク開口部の形状および寸法によって規定される。従来の半田マスク規定型の、キャプチャパッド上に隆起を備えた配線の典型的な例において、キャプチャパッドは、約140umの直径を有し、半田マスク開口部は、約90umの直径を有し、ルーティングトレースは、約25um〜30umの幅である。隆起をダイパッド(図2、図3には示されていない)に取り付けるための嵌合表面、すなわち、隆起とダイパッドとの間の界面の直径は、半田マスク開口部によって、例えば、約90umの直径を有するように規定される。
【0025】
図4および図6の各々は、本発明の実施形態にしたがう、狭いパッド上に隆起を備えた(「BONP」;bump−on−narrow−pad)フリップチップ配線を示しており、それぞれは図5および図7の線4−4’および線6−6’に沿って基板表面に平行な平面で切り取られた概略的な部分断面図である。特定の特徴は、あたかも透過的に示されている。本発明にしたがうと、配線は、隆起を基板上のそれぞれの狭い配線パッドに嵌合させることによって達成されるので、これは、「狭いパッド上に隆起を備えた」(「BONP」)配線と呼称される。本発明のこれらの実施形態において、典型的に、半田マスク材料は、そのような細かい幾何学的配置では分解(resolove)されないので、半田マスクは用いられない。代わりに、以下で記載されるように、アセンブリプロセスにおいて、半田マスクを用いずに融解された半田の流れを閉じ込める機能が達成される。図5は、図4のパッケージの部分断面図を示しており、上記部分断面図は、図4の線5−5’に沿って、パッケージの基板表面の平面に垂直な平面で切り取られている;そして図7は、図6のパッケージの部分断面図を示しており、上記部分断面図は、図6の線7−7’に沿って、パッケージの基板表面の平面に垂直な平面で切り取られている。
【0026】
本発明にしたがう、狭いパッド上に隆起を備えた(「BONP」)基板に対するエスケープルーティングパターンは、図4および図6の例によって示されている;図4では、ダイ上で、配線ボールに対するダイ取り付けパッドが、ダイの周縁の近くの列に配置されており、隆起45は、破線41によって示されているダイのフットプリントのエッジの近くの列において、エスケープトレース43上の、対応する狭い配線パッドに嵌合されている;図6では、ダイ上で、ダイ取り付けパッドが、ダイの周縁の近くの平行な列の配列に配置されており、隆起65は、破線61によって示されているダイのフットプリントのエッジの近くの相補的な配列において、エスケープトレース63上の、対応する狭い配線パッドに嵌合されている。
【0027】
図4および図6が示しているように、本発明にしたがう、狭いパッド上に隆起を備えた配線を用いて達成可能なルーティングの密度は、基板技術によって提供される最も細かいトレースのピッチに等しいものであり得る。示されている特定の場合において、これは、従来のキャプチャパッド上に隆起を備えた配置において達成されるものよりも、約90%高いルーティング密度である。BONPの周縁の列の実施形態(例えば、図4)において、隆起は細かいピッチに配置され、上記ピッチは、基板の最も細かいトレースのピッチに等しいものであり得る。この配置は、アセンブリプロセスに対する挑戦を提起する。なぜならば、隆起と結合のピッチは、非常に細かくなければならないからである。BONPの周縁の配列の見地からの説明(例えば、図6)において、隆起は、エリアの配列に配置されており、より大きな隆起および結合のピッチのための、より大きな空間を提供するので、アセンブリプロセスに対する技術的挑戦を軽減する。配列の実施形態においてもまた、基板上のルーティングトレースは、周縁の列の配置におけるものと同じ効率的なピッチで配置されており、図6の配置は、細かいエスケープリーティングピッチによる利点を犠牲にすることなしに、細かいピッチの隆起および結合に関する重荷を軽減する
図4および図5を参照すると、リード43および狭い配線パッド46は、基板の誘電体の層42のダイ取り付け表面上の金属層をパターニングすることによって形成されている。狭いパッド46は、配線部分においてトレース43の拡張部として形成されている。配線パッドの幅(図5におけるW)は、配線部分におけるトレースの拡張部にわたる公称または設計の寸法である。本発明にしたがうと、基板上の狭い配線パッドの幅は、基板に接続されるダイ上の隆起の隆起ベース幅(「ベース直径」)にしたがって確立される。「隆起ベース幅」(図5におけるW)は、隆起45とダイパッド49との間の概して円い(ほぼ円形である)接触界面の公称または設計の直径である。(例えば、図2、図3、図5、および図7に概略的に示されているように、隆起−パッドの界面に平行な平面で切り取られた隆起の直径は、隆起のベース幅よりも大きなものであり得ることに留意されたい。)特に、本発明にしたがうと、配線パッドの幅Wは、隆起のベース幅Wよりも小さなものであり得、狭い配線パッドの幅は、隆起のベース幅の20%の小ささであり得る。多くの実施形態において、狭いパッドの幅は、隆起のベース幅の約20%〜約80%の範囲であり得る。一部の実施形態において、狭い配線パッドの幅は、隆起のベース幅よりも小さく隆起のベース幅の約25%よりも大きなものであり得る。一部の実施形態において、狭いパッドの幅は、隆起のベース幅の約60%未満であり得る。
【0028】
本発明にしたがうと、ダイ48の電気的配線は、ダイ上の隆起45をリード43上の狭い配線パッド46に接合することによって構成される。本発明にしたがうと、従来の比較的幅広いキャプチャパッドは、不必要であり、図4および図5の実施形態においては、半田マスクは一切要求されない;このプロセスは、以下で詳細に記載される。
【0029】
従来のキャプチャパッドは、典型的には、隆起とほぼ同じ幅(直径)であり、典型的には、トレースまたはリードの幅の2〜4倍の幅である。リードの幅に関して一部の変動が見込まれることに留意されたい。本明細書中で用いられているように、狭い配線パッドは、トレースの公称または設計規則の幅の少なくとも約120%の公称または設計の幅を有しており、かつ、本発明にしたがう狭いリードに隆起を備えた配線は、トレースの拡張部(公称または設計規則の幅の約120%よりも大きく、隆起のベース直径よりも小さい)に接続された隆起を含んでいるということに留意されたい。約120%未満の幅を有する配線部分は、狭い配線パッドを構成しない。公称または設計規則の幅の約120%未満であるリードの一部分に隆起を接続することによってなされる配線は、「リード上に隆起を備えた(bump−on−lead)」配線と呼称される。
【0030】
同様に、図6および図7を参照すると、リード63および狭い配線パッド66は、基板の誘電体の層62のダイ取り付け基板上の金属層をパターニングすることによって形成されている。信号エスケープトレースは、破線61によって示されているダイのエッジ位置を超え、ダイのフットプリントから離れて延びている。狭いパッド66は、配線部分においてトレース63の拡張部として形成されている。配線パッドの「幅」(図7におけるW)は、配線部分におけるトレースの拡張部にわたる公称または設計の寸法である。本発明にしたがって図4および図5に示されているような本発明の例において、基板上の狭い配線パッドの幅は、基板に接続されるダイ上の隆起の隆起ベース幅にしたがって確立される。「隆起ベース幅」(図7におけるW)は、隆起65とダイパッド69との間の概して円い(ほぼ円形である)接触界面の公称または設計の直径である。特に、本発明にしたがうと、配線パッドの幅Wは、隆起のベース幅Wよりも小さなものであり得、狭い配線パッドの幅は、隆起のベース幅の20%の小ささであり得る。多くの実施形態において、狭いパッドの幅は、隆起のベース幅の約20%〜約80%の範囲であり得る。一部の実施形態において、狭い配線パッドの幅は、隆起のベース幅よりも小さく隆起のベース幅の約25%よりも大きなものであり得る。一部の実施形態において、狭いパッドの幅は、隆起のベース幅の約60%未満であり得る。
【0031】
本発明にしたがうと、ダイ68の電気的配線は、ダイ上の隆起65をリード63上の狭い配線パッド66に接合することによって構成される。エスケープトレースのうちの特定のもの(例えば66)は、ダイのエッジ位置を越え、配線部分からダイのフットプリントの内部に向けて、列をなして延びており、配線部分の周縁の1つ以上の列の隆起65を通過している。本発明にしたがうと、キャプチャパッドは一切不必要であり、図6および図7の実施形態においては、半田マスクは一切要求されない;このプロセスは、以下でさらに詳細に記載される。
【0032】
本発明にしたがうと、トレースを形成する技術が進展するに伴い、約25um未満の公称または設計の幅を有するトレースを容易に形成することが可能である。低減されたトレースの幅は、増大されたルーティング密度を提供し得る。しかしながら、約25um未満のリード上の「リード上に隆起を備えた」フリップチップ配線の機械的信頼性は、満足できるものではない。なぜならば、隆起とリードとの間の界面の寸法は小さいので、良好な電気的配線を提供するための十分な結合強度を提供しないからである。本発明は、リードを(その寸法が隆起のベース直径に関連し、隆起のベース直径未満に制限される程度に)拡張することによって狭い配線パッドを形成することにより、信頼性のある機械的接続(および良好な電気的配線)を提供する。
【0033】
本発明にしたがう狭い配線パッドは、任意の様々な方法で形成され得る。一部のそのような形状は、より容易に構成可能であり、一部は、プロセスに関するその他の利点を提供し得る。例えば、狭いパッドは、例えば図14Aおよび図14Bに示されているように、概して長方形(正方形または細長い長方形のいずれか)であり得る;あるいは、狭いパッドは、例えば図14Cおよび図14Dに示されているように、概して円い(円形または楕円形のいずれか)ものであり得る。その他の形状が用いられ得る;1つの特に有用な形状が、図14Eの例によって示されており、上記形状は、リードまたはトレースの縦方向に沿って正方形または長方形の部分によって分離された半円形の部分を有している。また、図15Aおよび図15B(例として、概して長方形のパッドを示している)に示されているように、狭いパッドは、リードまたはトレースにおける対称的または非対称的な拡張部として形成され得る。また、図15C(例として、概して長方形のパッドを示している)に示されているように、狭いパッドは、必ずしもリードまたはトレースの端部に(あるいはその近くに)配置される必要はないが、配線が指定される任意のポイントに形成され得る。幅よりも長いパッドを形成することは、狭いパッドの濡れ得る嵌合表面(平面状の表面ならびに側部の拡張部分)を増大させ、配線の機械的強度を向上させ得る。さらに、パッドが幅よりも長い場合、半田マスク開口部(または隆起)の位置合わせミスに対する許容度は、増加し得る。特に、パッドがトレースの端部に存在する場合、細長いパッドは、半田マスク開口部(または隆起)がパッドの端部から離れて配置され得る可能性を低減させ得る。
【0034】
図4、図6、図8、および図9によって示されている半田マスク開口部は、概して円い(円形または楕円形)が、本発明にしたがうと、半田マスク開口部は、任意の様々な方法で形成され得る。例えば、図16A、図16B(例として概して長方形のパッドを示している)に示されているように、概して長方形の(正方形または細長い長方形のいずれかの)半田マスク開口部を提供することが、有利であり得る。所与の幅の正方形および長方形は、同じ幅(直径、短軸)を有する円形または楕円形よりも大きな面積を有している。したがって、正方形または長方形のマスク開口部は、大量の半田ペースト(またはその他の融解材料)を保持する能力を有しているので、このことは、隆起と嵌合する前に、融解材料(例えば半田ペースト)が、狭いパッド上の嵌合表面に適用されるという利点を提供し得る(以下でさらに詳細に記載される)。また、融解材料は、円形または楕円形のマスク開口部よりも、正方形または長方形のマスク開口部に印刷することが容易であり得る。なぜならば、印刷プロセスの位置合わせミスに対する大きな許容度が存在するからである。また、マスク開口部に対して幅の制限が与えられたとき、正方形または長方形のマスク開口部は、配線プロセスの間に、パッド上に大きな隆起を据え付けるための大きな開領域を提供する。
【0035】
本発明の実施形態にしたがう様々な狭いパッドの構成は、図17において、半田マスク176における円形のマスク開口部174に関連する例を用いて示されている。各例におけるマスク開口部は、幅(直径)Wを有しており、これは、例えば、約90umであり得る。リード上に隆起を備えた構成は、173に示されている。リードまたはトレース172は、公称(設計)の幅Wを有しており、これは、例えば、約30umであり得る。長方形の形状を有する狭いパッドは、175に示されている。この例において、狭いパッドが形成されるリードまたはトレースは、公称(設計)の幅WL’を有しており、これは、例えば、約30umであり得る。長方形の狭いパッドは、幅WP’を有しており、これは、例えば、約45umであり得る。楕円形の形状を有している狭いパッドは、177に示されている。上記狭いパッドは、より広いリードまたはトレースに形成されており、公称(設計)の幅WL’’を有している。これは、例えば、約50umであり得る。楕円形の形状によって拡張された長方形の形状を有している狭いパッドは、179に示されている。この例において、狭いパッドが形成され得る狭いリードまたはトレースは、公称(設計)の幅WL’’’を有しており、これは、例えば、約30umであり得る。狭いパッド179の長方形の部分は、幅WP’’を有しており、これは、例えば、約45umであり得る;また、楕円形の拡張された部分は、WPEを有しており、これは、例えば、約50umであり得る。
【0036】
本発明の実施形態にしたがう様々な半田マスク開口部は、図18において、リード(またはトレース)あるいは狭いパッド182に関連する例を用いて示されている。これらの例において、配線部分におけるリードまたは狭いパッドは、幅Wを有しており、これは、例えば、約40umであり得る。第1の例において、円形の半田マスク開口部185は、幅(直径)Wを有しており、これは、例えば、約90umであり得、配線部分183を露出している。第2の例において、長方形の半田マスク開口部187は、幅(リードまたは狭いパッドにわたる幅)Wm’(これは、例えば、約80umであり得る)と、長さLm’(これは、例えば、約120umであり得る)とを有しており、配線部分183’を露出している。第3の例において、楕円形の半田マスク開口部189は、幅(リードまたは狭いパッドにわたる幅)Wm’’(これは、例えば、約80umであり得る)と、長さLm’’(これは、例えば、約120umであり得る)とを有しており、配線部分183’’を露出している。長方形の開口部187および楕円形の開口部189は、この例における円形の開口部が大きな直径を有している場合でさえも、円形の半田マスク開口部185よりも、部分183’および部分183’’において、より長い長さの(よってより大きな面積の)リードまたはトレースを露出する。このことは、配線プロセスの間に、半田リフローのために大きな面積を提供するので、より耐久性のある配線をもたらし得る。長方形の開口部187によって露出された面積は、同じ幅および長さを有する楕円形の開口部189によって提供される面積よりも、わずかに大きいものであり得る;さらに、面積は、楕円形の開口部のわずかな位置合わせミスが存在するときに、低減され得るが、長方形の開口部のわずかな位置合わせミスによっては、低減されない。しかしながら、実際問題として、設計された長方形の開口部は、多かれ少なかれ円いコーナーを有し得る。なぜならば、半田マスク誘電体における開口部をパターニングするためのプロセスにおいて、分解能の制限があるからである。
【0037】
本発明にしたがう一部の例示的な例において、ダイ上に据え付けられる隆起ベースの直径は、約90umであり、狭い配線パッドは、基板上に、約25umから(ここで、トレースの幅は、約25um未満である)約50umまでの範囲の幅で、形成され得る。このことは、遥かに大きな直径(これは、典型的には、トレース幅の2〜4倍であり得る)を有する従来のキャプチャパッドを有している基板と比較して、ルーティング密度に関する顕著な向上を提供する。
【0038】
図4および図6が示しているように、本発明にしたがう、狭いパッド上に隆起を備えた配線は、顕著に高い信号トレースのエスケープルーティング密度を提供し得る。また、図4および図6が示しているように、本発明のこの局面にしたがうBONP配線は、配線部分において半田の輪郭を規定するために、半田マスクの使用を必要としない。
【0039】
図4、図5、図6、および図7に例として示されているような、実施形態のBONP配線は、本発明にしたがって、いくつかの方法のうちの任意の方法によって、半田マスクを必要とすることなしに、構成され得る。一般に、配線の隆起(典型的には半田の隆起)は、ダイの活性側の配線パッドに固定され得る。基板のダイ取り付け表面(「上」表面と呼称される)は、上部の金属層を有しており、上部の金属層は、パターニングされ、特定のダイの上の隆起の配置との配線に適切なように、配線部分において、トレースと狭いパッドとを提供する。本発明の好適な方法において、封入のための樹脂接着剤が、配線プロセスの融解段階の間に、半田の流れを閉じ込めるために用いられる。
【0040】
図8および図9は、本発明の他の実施形態にしたがう、狭いパッド上に隆起を備えたフリップチップ配線の一部分の2つの例を、基板表面に平行な表面で切り取った概略的な断面図で示している。特定の特徴は、あたかも透過的であるように示されている。本発明のこの局面にしたがうと、半田マスクが提供され、半田マスクは、約80um〜90umの範囲の公称のマスク開口部の直径を有し得る。半田マスクの材料は、そのようなピッチで分解され、特に、基板は、半田マスク(90umの開口部を有し、プラスマイナス25umの位置合わせの許容度を有する)を用いて、比較的廉価で構成され得る。一部の実施形態において、標準的な設計規則にしたがって構成され得る基板(積層例えば、4つの金属層の積層)が、用いられ得る。図8および図9の実施形態において、例えば、トレースは、〜90umのピッチであり得、狭いパッドは、270umのエリアの配列に存在し得、破線81によって示されているように、ダイのフットプリントのエッジにわたって、効果的なエスケープピッチ〜90umを提供し得る。
【0041】
図8および図9における実施形態において、ノンフロー(non−flow)アンダーフィルは、要求されない;従来のキャプラリーアンダーフィルが用いられ得る。
【0042】
図8における実施形態において、配線は、隆起を、基板82上のダイ取り付け表面上の誘電体の層の上にパターニングされた狭いリードまたはトレース83上の配線パッド84に、直接的に嵌合することによって、達成される;半田マスク86は、マスク開口部88の境界内で半田の流れを制限し、半田によって濡れ得るリードに沿って、配線部分から半田が流れることを防止する。追加的に、半田マスクは、リードの間で融解された半田の流れを閉じ込め得る。あるいはこれは、アセンブリプロセスにおいて達成され得る。
【0043】
図9、図8における実施形態において、トレース93上の狭いパッドは、基板92のダイ取り付け表面の誘電体の層の上にパターニングされ得る。半田ペーストは、リード93の配線部分(狭いパッド)94に提供され、配線のための融解媒体を提供する。半田マスク96における開口部98は、ペーストを規定する役目を担う。ペーストは、例えば、標準的なパターニングプロセスによって分配(dispense)され、その後、リフローされ、その後、ボールに合った一様な表面を提供する必要がある場合に、鋳造され得る。半田ペーストは、図8に関連して上記で記載された基板を用いることにより、アセンブリの過程で適用され得る;あるいは、基板は、アセンブリの前に適切にパターニングされたペーストを提供され得る。配線部分に対して選択的に半田を適用するその他のアプローチは、本発明の狭いパッド上に隆起を備えた実施形態において用いられ得、上記アプローチは、化学メッキ技術および電気メッキ技術を含んでいる。狭いパッド上に隆起を備えた構成は、配線のための追加的な半田の体積を提供するので、より高い生産率を提供し得、より高いダイスタンドオフを提供し得る。
【0044】
したがって、一実施形態において、本発明にしたがう、狭いパッド上に半田を備えた構成は、高い融点の半田の隆起(例えば、従来、セラミック基板との配線のために用いられていた、高鉛(高Pb)半田)を有しているダイを、有機基板上に配線するために用いられる。半田ペーストは、有機基板がリフローの間にダメージを受けないように十分低い融点を有するように、選択され得る。そのような実施形態において配線を形成するために、融点が高い配線の隆起は、狭いパッド上に半田を備えた部分に接触され、狭いパッド上に半田を備えた部分の再融解されたフューズは、隆起に接触される。狭いパッド上に半田を備えたプロセスと共に、崩壊しない(non−collapsible)隆起が用いられる。わずかな量の半田のみが各配線に存在しており、崩壊しない隆起がアセンブリの崩壊を防止するという事実によって、半田の移動または流れが制限されるので、予め用意された接着剤は要求されない。
【0045】
その他の実施形態において、本発明にしたがう、狭いパッド上に半田を備えた構成は、共融点(eutectic)の半田の隆起を有しているダイの配線に用いられる。
【0046】
狭いパッド上に隆起を備えた配線を構成する好適な方法の一実施形態は、図10A〜図10Cにおいて概略的に示されている。
【0047】
図面を参照すると、基板112が提供され、上記基板は、少なくとも1つの誘電体の層を有しており、ダイ取り付け表面113上に金属層を有している。上記金属層は、ダイ取り付け表面上に、回路(特に、トレースまたはリードの上の狭い配線パッド114)を提供するように、パターニングされている。基板112は、例えばキャリアまたはステージ116上で、支持部に面しているダイ取り付け表面113と対向する基板表面により、支持されている。封入樹脂122の量は、基板のダイ取り付け表面113にわたって分配され、少なくとも、リード上の狭い配線パッド114をカバーする。ダイ102が提供され、上記ダイは、活性側103の上のダイパッド(図面には図示されていない)に取り付けられる隆起104を有している。隆起は、融解材料を含んでおり、これは、狭いパッドの嵌合表面と接触する。ピックアンドプレイスツール108は、チャック(chuck)106を含んでおり、上記チャックは、チャック106とダイの裏面101とを接触させることにより、ダイをピックアップし得る。図10Aに示されているように、ピックアンドプレイスツールを用いることにより、ダイは、活性部分を有する基板を、基板のダイ取り付け表面に向けるように、配置され得る;また、ダイおよび基板は、位置合わせされ、互いに対して動かされ(矢印M)、その結果、隆起104は、基板上のトレース(リード)の上の対応する狭い配線パッド114に接触する。その後、図10Bに示されているように、リード上の狭い基板115における嵌合表面134に隆起105を押す力(矢印F)が加えられる。力は、接着剤122を、隆起と狭い配線パッド115の嵌合表面134との間から除去(displace)するために、少なくとも十分なものでなければならない。隆起は、力によって変形され得、隆起の接触表面および/または狭いパッドの嵌合表面の上の酸化膜を破り得る。隆起の変形は、隆起の融解材料が狭いパッドの上面またはエッジの上に押圧される結果につながり得る。接着剤は、132において示されているように、例えば選択された温度まで加熱することにより、少なくとも部分的に硬化され得る。このステージにおいて、接着剤は、部分的に硬化されるだけでよく、すなわち、接着剤と導電性のトレースとの間の界面に沿って融解された半田の流れをその後に防止するために十分な範囲で硬化されるだけでよい。図10Cにおいて一般的に140で示されているように、その後隆起105の融解材料が融解され、その後再び凝固されることにより、隆起105と狭いパッド115との間に金属的(metallurgical)な配線を形成し、接着剤の硬化が完了されることにより、ダイの取り付けと、嵌合表面(ここでは、配線の界面)144における電気的配線の固定を完了する。図6に示されている例示的な構成に関し、図10Cに示されている断面図の平面において、配線は、特定の隆起145と、特定のリード上の対応する狭い配線との間に形成される。その他のリード156は、その他の位置において、狭い配線パッド155上に配線され、これは、その他の断面図において観察可能であり得る。比較的高いトレース密度が示されている。接着剤の硬化は、半田を融解する前に、半田を融解するのと同時に、半田を融解させたのに続いて、完了され得る。典型的に、接着剤は、熱硬化性の接着剤であり得、プロセスにおける任意の段階での硬化の範囲は、温度を調節することによって、制御される。コンポーネントは、ピックアンドプレイスツールのチャンクの温度を上昇させることによって、あるいは例えば基板支持部の温度を上昇させることによって加熱され、硬化され得る。
【0048】
プロセスは、図11A〜図11Dにさらに詳細に示されている。図11Aにおいて、基板212は、導電性(金属)のトレースを有するダイ取り付け表面に提供されており、トレース上の配線部分における狭い配線パッド214は、接着剤222によってカバーされている。ダイの活性側が基板のダイ取り付け表面に面し、ダイ上の隆起204が狭いパッド214上の対応する嵌合表面と位置合わせされるように、ダイ202が、位置合わせされる(矢印A)。ダイおよび基板は、互いに向けて動かされ、その結果、隆起は、狭いパッド上のそれぞれの嵌合表面と接触する。その後、図11Bに示されているように、隆起205および狭いパッド215を互いに対して動かすように力が加えられ、図11Bにおける232に示されているように、接着剤を除去させ、嵌合表面234上ならびに狭いパッドのエッジの上に、隆起を変形させる。狭いパッド上の隆起の変形は、隆起の接触平面および狭いパッドの嵌合表面の上の酸化膜を破ることにより、良好な電気的接続を確立し、狭いパッドのエッジの上の隆起の変形は、良好な一時的な機械的接続を確立することに役立つ。図10A〜図10Cの例におけるように、特定のトレース216の狭い配線パッドは、図11Bの外部に存在している。図11Cにおける236に示されているように、接着剤を部分的に硬化させるために、熱が加えられる。その後、図11Dに示されているように、隆起の融解材料を融解させるのに十分なように、隆起の温度を上昇させるために、熱が加えられる。このことは(必ずしも完全ではないにしても)、接着剤246の硬化を完了させ、狭い配線パッド215において、隆起245の嵌合表面244上に対する、金属的な配線を完了する。硬化された接着剤は、ダイの取り付けを安定化させる。
【0049】
好適な方法の代替的な実施形態において、接着剤は、基板に対してではなく、ダイ表面に予め塗布され得るか、あるいは少なくともダイ表面上の隆起に塗布され得る。接着剤は、例えば、容器内に貯蔵され得、ダイの活性側は、貯蔵庫内に浸され、取り出されることにより、かなりの量の接着剤が隆起の上に運ばれ得る;その後、ピックアンドプレイスツールを用いることにより、ダイの活性部分を有する支持基板を、基板のダイ取り付け表面に向けるように、ダイが配置され得、ダイおよび基板が位置合わせされ、互いに向けて動くことにより、隆起が基板上の対応するトレース(リード)と接触する。そのような方法は、2004年8月24日に出願された、米国特許第6,780,682号に記載されており、上記米国特許は、本明細書に参考のために援用される。その後、上述のように、力を加えること、硬化させること、ならびに融解することが、実行される。
【0050】
本発明にしたがうプロセスのための力および温度のスケジュールは、図12における例によって概略的に示されている。この図において、時間は、水平軸上で左から右に走っており;力のプロファイル310は、太い実線で示されており、温度のプロファイル320は、破線で示されている。温度のプロファイルは、約80℃〜約90℃の範囲の温度で開始する。力のプロファイルは、実質的に力ゼロで開始する。以下で記載されるように、開始時間tで開始すると、力は、Fから除去/変形の力Fまで、急に(ほとんど一瞬のうちに)上昇され312、一定の時間にわたってその力に保持される314。Fは、隆起と狭い配線パッドの嵌合表面との間から離れるように接着を除去するために十分大きな力であり得る;また、好適には、隆起の融解部分(狭いパッドの接触部分)を嵌合表面上に変形し、酸化膜を破ることにより、金属から金属への良好な(金属的な)接触を形成し、一部の実施形態においては、狭いパッドのエッジの上で上記接触を形成し、隆起と狭いパッドとの間の機械的インタークロック(「クリープ」変形)を確立する。必要な力の全体の大きさは、隆起の材料および寸法に依存し、隆起の数に依存し、必要以上の実験をすることなしに、決定され得る。力が上昇されるに伴い、温度もまた、開始温度Tからゲル温度Tまで、急に上昇される322。ゲル温度Tは、接着剤を部分的に(「ゲル」まで)硬化するために必要な温度である。好適には、力および温度の斜面は、Fが到達してTが到達する前の瞬間の後に、短い時間のずれtdefが存在するように、設定され得る。上記の時間のずれtdefは、少なくとも、接着剤の部分的な硬化が開始する前に、上昇された力が、接着を除去し、隆起を変形することを可能にするために、十分長いものであり得る。アセンブリは、接着の部分的な硬化をもたらすために十分な時間tdefの間、除去/変形の圧力Fおよびゲル温度Tに維持される314,324。接着剤は、十分に固くなり得、その後、半田を再び融解する段階の間に、良好な隆起の輪郭を維持し得る。すなわち、効果的に固くなることにより、隆起の融解材料の望ましくない除去を防いだり、あるいは狭いパッドおよびリードに沿った融解された融解材料の流れを防いだりし得る。一旦接着剤が十分な範囲まで部分的に硬化されると、圧力は、実質的に力(コンポーネントの重さ)がなくなるまで、急に下方向に傾斜され得る318。その後、温度は、隆起の融解部分(半田)を再び融解させるのに十分な温度Tにまで、さらに上昇される323。さらに、アセンブリは、時間tmelt/cureの間、再び融解する温度Tに維持され得る325。時間tmelt/cureは、狭いパッド上に再び融解された半田を形成するのに少なくとも十分であり、好適には、接着剤を実質的に(必ずしも完全ではないにしても)硬化させるのに十分である。その後、温度は、開始温度Tにまで下方向に傾斜し、最終的に周辺温度にまで下方向に傾斜する328。図12において概説されたプロセスは、その過程を5〜10秒の間、実行し得る。
【0051】
図12における実施形態における接着剤は、「ノーフローアンダーフィル(no−flow underfill)」と呼称され得る。フリップチップ配線のための一部のアプローチにおいて、金属的な配線が、最初に形成され、その後、アンダーフィル材料が、ダイと基板との間の空間に流される。本発明にしたがう「ノーフローアンダーフィル」は、ダイおよび基板が互いに接近する前に塗布され、ノーフローアンダーフィルは、隆起を狭いパッドに接近させることによって、ならびにダイと基板との対向し合う表面によって、除去され得る。本発明にしたがうノンフローアンダーフィル接着剤のための接着剤は、好適には、高速ゲル化接着剤であり、高速ゲル化接着剤は、1〜2秒の時間において、ゲル温度で十分にゲル化する材料である。ノンフローアンダーフィル接着剤に好適な材料は、例えば、Toshiba ChemicalsおよびLoktite−Henkelによって市販されているような、いわゆる非導電性のペーストである。
【0052】
代替的な隆起構造が、本発明にしたがう、狭いパッド上に隆起を備えた配線に用いられ得る。特に、例えば、いわゆる合成半田の隆起が用いられ得る。合成半田の隆起は、異なる隆起の材料から構成された、少なくとも2つの隆起部分を有しており、少なくとも2つの隆起部分は、リフロー条件の下で崩壊可能な隆起部分と、リフロー条件の下で実質的に崩壊しない隆起部分とを含んでいる。崩壊しない部分は、ダイの上の配線部分に取り付けられる;崩壊しない部分のための典型的な従来の材料は、例えば、高い鉛(Pd)含有率を有する様々な半田を含み;例えば、金(Au)を含む。崩壊可能な部分は、崩壊しない部分に接合され、これは、本発明にしたがう狭い配線パッドを有する配線を構成する崩壊可能な部分である。合成隆起の崩壊可能な部分のための典型的な従来の材料は、例えば、共融点の半田を含んでいる。
【0053】
合成隆起を用いる狭いパッド上に隆起を備えた配線の例は、図13における概略的な断面図に示されている。ここで図13を参照すると、ダイ302は、合成隆起を有するダイの活性側においてダイパッドの上に配置されており、これは、崩壊しない部分345と崩壊可能な部分347とを含んでいる。崩壊可能な部分は、例えば、共融点の半田であるか、あるいは、比較的低い融点の半田であり得る。崩壊可能な部分は、狭いパッドの嵌合表面に接触し、ここで、狭いパッドの上の隆起の融解部分の変形が所望され、隆起の崩壊可能な部分は、用いられる力の条件下で、変形し得る。崩壊しない部分は、例えば、高い鉛(Pb)含有率を有する半田であり得る。崩壊しない部分は、処理の間に基板に対する圧力の下で、ダイが動かされるときには変形せず、プロセスのリフロー段階の間に融解しない。したがって、崩壊しない部分は、ダイの活性表面と基板の取り付け表面との間に、スタンドオフ距離を提供するように、寸法が決められ得る。
【0054】
例えば、図4、図5、図6、および図7に示されている実施形態において、隆起は必ずしも完全に崩壊可能な隆起ではないことに留意されたい。これらの図面に示されている構造は、代替的に、合成隆起を用いて構成され得、あるいは狭いパッド上に半田を備えた方法において、崩壊しない隆起(例えば、高Pbまたは高Auの隆起)を用いて構成され得る。
【0055】
また、上述を踏まえると、図13に現れているような配線は、合成型ではない崩壊しない隆起(高Pb、高Auの隆起)を、融解材料(例えば、半田ペーストとして提供され得る、共融点の半田、または比較的低い融点を有する半田)を有している嵌合表面上に提供された狭い配線パッドに接触させることにより、形成され得る。あるいは、狭い配線パッドは、融解材料を有する嵌合表面に提供され得、隆起は、合成の隆起であり得、崩壊可能な(融解可能な)位置に提供され得る。狭い配線パッドは、融解材料を有する嵌合表面上に提供されているが、処理中に、キャピラリーアンダーフィルによってフォローされた半田マスクを用いることが、好適である。
【0056】
その他の実施形態は、以下の請求の範囲の範囲内にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスを作成する方法であって、
半導体ダイの表面上に複数の配線パッドを形成することと、
基板の表面上に複数の導電性のトレースを形成することであって、前記複数の導電性のトレースは、配線部分を有する、ことと、
前記複数の導電性のトレースおよび前記基板の表面上に接着剤層を形成することと、
前記複数の配線パッドの各々と前記配線部分との間に配線構造を形成することと
を含み、
前記配線構造を形成することは、
(a)前記配線構造および接着剤層に力を加えずに第1の温度を適用することと、
(b)前記第1の温度で力を加えることにより、前記配線部分上で、前記接着剤層を動かし、前記配線構造を変形させる、ことと、
(c)前記接着剤層を部分的に硬化するために前記力を維持しながら、前記第1の温度よりも高い第2の温度を適用することと、
(d)前記第2の温度を維持しながら、前記力を取り除くことと、
(e)前記力を取り除いた後で、前記第2の温度よりも高い第3の温度を適用することと、
(f)前記第3の温度を取り除くことと
を順に行うことにより実行される、方法。
【請求項2】
前記第1の温度は、80℃〜90℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第3の温度は、前記配線部分上の前記配線構造を再融解する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の導電性のトレースを形成することは、前記配線部分の幅を、前記導電性のトレースの幅の120%よりも小さくなるように形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記配線構造を形成することは、隆起を形成することを含み、前記隆起は、対応する配線パッドと接触する崩壊しない部分と、対応する配線部分と接触する融解可能な部分とを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
半導体デバイスを作成する方法であって、
半導体ダイの表面上に配線パッドを形成することと、
基板の表面上に導電性のトレースを形成することであって、前記導電性のトレースは、配線部分を有する、ことと、
前記配線パッドと前記配線部分との間に配線構造を形成することと
を含み、
前記配線構造を形成することは、
(a)第1の温度の下で力を適用することにより、前記配線部分上の前記配線構造を変形させることと、
(b)前記第1の温度を維持しながら、前記力を取り除くことと、
(c)前記力を取り除いた後に、前記第1の温度よりも高い第2の温度を適用することと、
(d)前記第2の温度を取り除くことと
を行うことにより実行される、方法。
【請求項7】
前記導電性のトレースを形成することは、前記配線部分の幅を、前記導電性のトレースの幅の120%よりも小さくなるように形成することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記導電性のトレースを形成することは、前記配線部分の幅を、前記導電性のトレースの幅と実質的に等しくなるように形成することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記配線構造を形成することは、隆起を形成することを含み、前記隆起は、前記配線パッドと接触する崩壊しない部分と、前記配線部分と接触する融解可能な部分とを有する、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
半導体ダイであって、前記半導体ダイの表面上に形成された配線パッドを有する、半導体ダイと、
基板であって、前記基板は、前記基板の表面上に形成された導電性のトレースを有し、前記導電性のトレースは、配線部分を有する、基板と、
配線構造であって、前記配線構造は、前記配線部分の上の前記配線構造を変形させるために第1の温度で力を加え、前記力を取り除いた後に前記第1の温度よりも高い第2の温度の下で、前記配線パッドと前記配線部分のうちの1つとの間に形成される、配線構造と
を備えている、半導体デバイス。
【請求項11】
前記配線部分の幅は、前記導電性のトレースの幅の120%よりも小さい、請求項10に記載の半導体デバイス。
【請求項12】
前記配線構造は、隆起を含み、前記隆起は、前記配線パッドと接触する崩壊しない部分と、前記配線部分と接触する融解可能な部分とを有する、請求項10に記載の半導体デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図12】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−64980(P2012−64980A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−282221(P2011−282221)
【出願日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【分割の表示】特願2008−503281(P2008−503281)の分割
【原出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(507316815)スタッツ チップパック リミテッド (6)
【Fターム(参考)】