基板上の微細パターンに発生した欠陥修正方法と修正装置
【課題】基板上の微細パターンに発生した欠陥を修正する加工を施す際に、修正材であるペーストを繰り返し欠陥部に供給する場合、既に欠陥部に供給したペーストの表面を破壊する場合がある。
【解決手段】繰り返し欠陥部に供給する場合、ペーストを供給する塗布針の先端部が、既に欠陥部に供給したペーストに接触することのないように、塗布針の先端部とペーストを供給する箇所との間に隙間を設けた状態で修正材の供給を行なう。
【解決手段】繰り返し欠陥部に供給する場合、ペーストを供給する塗布針の先端部が、既に欠陥部に供給したペーストに接触することのないように、塗布針の先端部とペーストを供給する箇所との間に隙間を設けた状態で修正材の供給を行なう。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板上の微細パターンに発生した欠陥部を修正する欠陥修正方法および欠陥修正装置に関するもので、より特定的にはプラズマディスプレイの背面板など基板上に形成されている微細パターンである、たとえばリブに発生した欠陥修正方法と修正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイは、近年の次世代テレビにおける高画質な画面として、急激に需要が拡大してきている。現在、プラズマテレビなどの用途において主流となっているプラズマディスプレイのパネルは、構成する主要な要素として、基板、電極、誘電体層、保護膜、リブ(隔壁)、蛍光体層がある。基板とは前面板と背面板の2枚の対向するガラス基板であり、この2枚の基板にプラズマディスプレイの表示を行う基本部位である電極、誘電体層、蛍光体層、リブ(隔壁)などが形成される。基板の各単位ピクセル間を分離するように設けられた壁であるリブは、隣接セルとの干渉を防止し混色を防ぐ。
【0003】
図1は、リブを含む一般的なプラズマディスプレイの構造を示す模式図である。図1に示すように、背面板である1aと前面板である1bとで構成される2枚の基板を基にして、基本部位が形成される。背面板1aの一方の主面上に、ある一定の間隔毎に設けられたリブ5は、蛍光体6の隣接セルとの干渉を防止し混色を防ぐ役割を持つ。前面板1bの内側には、表示電極2bと呼ばれる電極が配置されている。また、背面板1aの内側には、アドレス電極2aと呼ばれる電極が配置されており、アドレス期間に、表示電極2bのうちの走査電極との間で表示データに基づき、書き込み放電を行なう役割を果たす。また、前面板1bの内側の主面上には、誘電体層3と呼ばれる電荷の蓄積層が存在する。アドレス電極2aと表示電極2bとの間で書込み放電が生じたときに誘電体層3の表面に電荷が蓄積し、その電荷による電圧が表示期間内に印加される電圧と重畳されて面放電が起こり、表示セルの発光を行なう。さらに、誘電体層3の一方の主面上には保護膜4が蒸着されており、放電時に誘電体層3の表面に対して起こるスパッタダメージを軽減すると同時に表示放電に伴い二次電子を放出する役割を果たす。
【0004】
プラズマディスプレイの生産工程においては、基板上の微細パターンにて、たとえば電極の断線や短絡、リブの欠けや突起、蛍光体の混色などの欠陥が発生する。上述の欠陥の中でも特にリブに発生する欠陥については、当初は修正が困難であったため、欠陥が生じた基板に対しては廃却、もしくは手作業で修理するといった処理がなされていた。ところが、最近のプラズマディスプレイの需要拡大に伴う生産量増加により、欠陥が生じた基板の廃却に伴う経済的損失や、廃却量の増加に伴い発生しうる環境問題などを防止するため、リブに発生する欠陥を修正できる装置が強く求められるようになってきた。そのため、このリブに発生する欠陥を修正することが可能な機能の開発や商品化が行なわれてきた。リブはプラズマディスプレイのガラス背面板の上に形成され、本来、図1に示すような直方体状か、または図示しないが格子状で、セル間の隔壁の役割を持つものである。しかし、リブの製造工程において、ごみ、異物の付着や気泡の巻き込みなどにより、虫食い状の欠陥が生じる場合がある。図2は、リブに発生した欠陥部の形状の一例を示す模式図である。リブにこの欠陥が発生した状態で蛍光体を形成すると、蛍光体がこの欠陥部から隣接セルに漏れ出し、蛍光体の混色などによる画質の低下が生じる。また、このリブにこの欠陥があると、パネル点灯時に放電漏れが発生し、滅点や輝度の暗い点になり、パネル表示品質を著しく低下させる。このため、蛍光体を形成する工程の前にリブに発生する欠陥の修正を施す必要がある。
【0005】
これらのリブに発生する欠陥を修正する方法として、従来より、塗布針といわれる、リブの修正材であるペーストを塗布するために用いる針を用いることによる微細ペースト塗布技術や、レーザによるカット技術を改良した方法が行なわれている。さらに、ここへレーザ焼成機能や機械研磨機能、非接触形状測定機能などを新たに開発し付加することによる、リブに発生する欠陥の修正を行なう装置が開発されている。
【0006】
図3は、従来より行なわれている、微細パターン欠陥の補正方法の概略を示す、フローチャートである。まず、塗布針にペーストを付着する工程(S10)を実施する。これは具体的には、ある容器に充填されたペーストに塗布針の先端部を浸漬させることにより、塗布針の先端部にペーストを付着させる工程である。より詳細に述べると、たとえばリブに発生した虫食い状の欠陥を修正するときには、上述のとおり、修正材として用いるペーストを、塗布針を用いて、欠陥部に塗布して充填させることにより供給する。次に、欠陥部にペーストを塗布する工程(S20)を行なう。これは具体的には、先にペーストを付着させた塗布針の先端部をリブに発生した欠陥部に接触させることにより、リブの欠陥部がペーストで充填されるように塗布を行なう。続いて、ペーストを乾燥する工程(S30)を実施する。具体的には、たとえば炭酸ガスレーザを照射することで局所加熱を行ない、ペーストを乾燥させるといった手法により、欠陥部を充填させたペーストを、食み出した分が除去できる程度の硬度になるように加工する。その後、余分なペーストを除去する工程(S40)へと続く。これは正常なリブ幅より食み出したペーストを、ペーストカット用のレーザを照射することにより除去する工程である。具体的にはリブ5の近辺部分に備えられた誘電体層に影響を与えない程度のレーザ出力に設定し、加工部分にレーザを集光させて加工を行なう。ここで加工用のレーザとしては、YVO4レーザの第2高調波を使用している。または、エンドミルやスクラッチ針を用いて除去加工を行なうことにより、除去を行なうこともできる。その上で、ペーストを焼成する工程(S50)を行なう。すなわち、再び炭酸ガスレーザを照射して焼成し、ペーストを焼き固める。
【0007】
ここで、ペーストが欠陥部を充填したかを判断する工程(S55)を行なう。
これは具体的には、欠陥部に供給したペーストが欠陥部全体のうちどの程度を充填させたかについて検討する工程である。より詳細に述べると、後述するように、修正を行なう欠陥部の深さが深い場合、上述の工程(S10)から工程(S50)までを1通り行なっただけでは、ペーストを十分な高さ、すなわち隣接する正常なリブ上面と同じ高さまで盛り上げることが困難である。そのため通常は、上述の工程を数回繰り返すことにより欠陥部をペーストで充填することで、所望のリブ上面形状を形成する。そして工程(S55)により上述の、所望のリブ上面形状が形成できたと判断できたところで、最後に研磨加工(S60)を実施する。これはより具体的には以下に述べるとおりである。図4は、焼成したペーストを研磨加工するのに用いるテープ研磨機構を示す概略図である。図4を参照して、研磨加工の概要を説明する。研磨加工においては、正常なリブの表面より盛り上がった部分を削り取るため、図4に示すようなテープ研磨機構を用いて、研磨テープ12を巻き取り機構13を用いて巻き取りながら、研磨ヘッド11を修正部分24に押し付けることにより研磨加工を行う。以上の工程を実施することにより、修正が完了する。図4に示すテープ研磨機構10は、さまざまな材質に対応できるように、研磨条件のパラメータを選択可能となっている。以上の方法にてリブに発生した欠陥部の修正ができる装置を使用することにより、リブに欠陥が発生した基板を廃却したり、手作業で修理する必要がなくなった。
【非特許文献1】電子ディスプレイ技術2007 電子材料5月号別冊 pp117-121
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の従来の修正方法には以下に示すような欠点があった。上述のとおり、修正を行なう欠陥部の深さが深い場合、上述の工程を1回行なっただけでは、ペーストを十分な高さ、すなわち隣接する正常なリブ上面と同じ高さまで盛り上げることが困難である。そのため通常は、上述の工程を数回繰り返すことにより欠陥部をペーストで充填することで、所望のリブ上面形状を形成する。ところが、上述の工程を数回繰り返すことにより、せっかく修正を行なった箇所を破壊させてしまうという問題が起こりうる。
【0009】
図5から図8は、従来方法にて欠陥部に上述のペースト塗布による修正工程を1回行なった箇所に対して、ペースト塗布を繰り返す工程の概略図である。図5は、塗布針の先端部にペーストを塗布し終えた、繰り返し塗布を始める前の初期状態を示す概略図である。図6は、ペーストの付着した塗布針の先端部が降下し、既に供給されたペーストに接触している状態を示す概略図である。この状態で塗布したいペースト22を既に供給されたペースト23に付着させると、既に供給されたペースト23の表面に塗布針21の先端部が接触する衝撃により、針の先端部が既に供給されたペースト23の表面を破壊してしまうことがある。図7は、塗布針の先端部が既に供給されたペーストを破壊した状況を示す概略図である。なお、図8はペーストの塗布を終え、塗布針が上昇している状況を示す概略図である。
【0010】
図5において、塗布針21の先端部に塗布したいペースト22が付着された状態で、塗布針21がリブに発生した欠陥部7に接近しているが、欠陥部7には既に供給されたペースト23が存在する状態になっている。この状態でさらに塗布針21を下降させ、図6に示すように、塗布したいペースト22が既に供給されたペースト23に接触する。ここで塗布針21の先端部が既に供給されたペースト23の最上面よりも下降すれば、図7に示すように、塗布針21の先端部が既に供給されたペースト23を破壊し、図8に示すような状態になり、ペーストの供給不良を引き起こすことになる。
【0011】
また、上述の既に供給されたペースト23の崩れを防止するためには、既に供給されたペースト23に塗布針21が接触したとしても破壊されないほどの十分な強度となるように、前工程にて照射する焼成用の炭酸ガスレーザの出力を上げて焼成を行なう必要がある。しかし、このような処理を施した場合、炭酸ガスレーザの大きなエネルギーにより、レーザ照射部にクラックが発生する可能性が大きくなる。このため、上述の方法は必ずしも好ましくない。
【0012】
本発明は、上述の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、基板上の微細パターンに発生した欠陥を修正する加工を施す際に、修正材であるペーストを繰り返し欠陥部に供給する場合、既に欠陥部に供給したペーストの表面を破壊させることなく、新たなペーストを塗布することが可能な欠陥修正方法および欠陥修正装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る、基板の一方の主表面上に形成された微細パターンに発生した欠陥部を修正する欠陥修正方法においては、欠陥部に修正材を、塗布針を用いて塗布することにより供給する工程と、修正材が供給された欠陥部に塗布針を用いて塗布することにより修正材を再度供給する工程とを備えている。また、上述の修正材を再度供給する工程においては、塗布針の先端部が欠陥部に先に供給した修正材の表面に接触しないように塗布針の位置が制御されている。
【0014】
また、塗布針の先端部が欠陥部に先に供給した修正材の表面に接触しないようにするために、塗布針の先端部と修正材を供給する箇所との間に隙間を設けた状態で修正材の供給を行なうことを特徴としている。
【0015】
上述のとおり、基板とはたとえばプラズマディスプレイパネルを構成する背面板を指す。また、基板上の微細パターンに発生した欠陥部とは、たとえばプラズマディスプレイパネルにおける画像の混色を防ぐリブに発生した虫食い状の欠陥部を指す。また修正材としては、たとえばリブを修正する場合には、低融点のガラスを溶融させたペーストを用いる。
【0016】
上述の、塗布針の先端部と欠陥部との間に隙間を設けた状態で繰り返し塗布を行なった場合のペースト塗布を繰り返す工程の概略図を図9から図12に示す。図9は、図5と同様の、繰り返し塗布を始める前の初期状態を示す概略図である。図10は、ペーストの付着した塗布針の先端部が降下始める状態を示す概略図である。ただし、図6と異なり、塗布針21は既に供給されたペースト23の表面に接触しない。さらに図11は、接触しないままに塗布したいペーストが既に供給されたペーストの表面上に広がった状態を示す概略図である。また、図12は、塗布が終わって塗布針が上昇している状況を示す概略図である。以上のような基板上の微細パターンに発生した欠陥の修正方法を用いることにより、既に供給されたペーストの表面を破壊させることなく、ペーストを繰り返し塗布することが可能となる。
【0017】
上述のように、塗布針の先端部と修正材を供給する箇所との間に隙間を設けた状態で修正材の供給を行なえば、塗布針の先端部が既に欠陥部に供給した修正材に接触してこれを破壊させる心配がなくなる。すなわち、先に供給した修正材を破壊させることなく、新たに修正材を供給することを可能とする。
【0018】
また、本発明に係る欠陥修正装置においては、先に供給した修正材を破壊させてしまう心配がないため、前工程にて照射する焼成用の炭酸ガスレーザの出力を上げて焼成を行なう必要もなくなる。その結果、焼成レーザの熱ひずみによりレーザ照射部にクラックが発生する可能性がなくなる。
【0019】
また、本発明に係る、修正材を再度供給する工程においては、塗布針の先端部と欠陥部に供給した修正材の表面との間の隙間量を検出するとともに、検出した隙間量に基づいて塗布針の先端部の位置を制御することにより、修正材の供給量を調整することを特徴とする。より具体的には、塗布針の先端部と、既に欠陥部に供給した修正材の表面との間に単に隙間を設けるだけでなく、隙間量を検出し、隙間量に基づいて塗布針の先端部が所望の位置に来るように調整する。このことにより、所望の修正材の供給量に応じて、塗布針の先端部の位置を所望の位置に来るよう調整することを可能とする。
【0020】
また、上述の検出して制御することができる隙間量を利用して、隙間量と供給量との間の関係を求める。そのために、欠陥部とは別の、修正材を塗布しても差し支えない塗布領域にて、修正材を供給する塗布針の先端部と、上述の別の塗布領域との隙間量を変化させながら複数回、別の塗布領域に修正材の供給を行なう。以上により、隙間量と供給量との間の関係を求めるためのテストである、試し塗布を行なう。具体的には、修正材を供給する塗布針の先端部と、試し塗布を行なう領域における表面との間の隙間量を変化させながら、複数回、修正材を供給する。そして、各隙間量に対して上述の別の塗布領域に実際に供給された修正材の量を測定する。次に、隙間量と上述の別の塗布領域に供給された修正材の量との関係を求める。この関係を求めることにより、上述のように検出して制御することが可能な隙間量が所望の値になるように塗布針の先端部の位置を調整する。以上の工程を踏むことにより、所望の量の修正材を供給することが可能となる。
【0021】
ところで本発明においては、塗布針の先端部を欠陥部に接触させずに塗布を行なうため、欠陥部の修正に用いる修正材を適正な粘度にしておく必要がある。修正材を塗布する際には、容器に充填させた修正材の槽の中に、塗布針の先端部を浸漬させ、塗布針の先端部に修正材を付着させるのであるが、このとき修正材の粘度が低いと、修正材が塗布針の先端部に十分に付着せず、結果として欠陥部への塗布量が少なくなる。また、粘度が高すぎると、塗布針の先端部に付着した修正材を欠陥部へ塗布しようとしても、塗布針の先端部に付着したままで塗布がスムーズに行なえなくなる。以上を踏まえて、スムーズに塗布を行なうために、修正材粘度の最適値を調査した結果、本発明では100〜200(Pa・s)程度の修正材を使用することとなった。
【0022】
また、本発明における欠陥の修正装置は、基板を搭載するテーブルと、基板の一方の主表面上に形成された微細パターンに発生した欠陥部に修正材を、塗布針を用いて塗布することにより欠陥部に修正材を供給する塗布機構とを設ける。また、テーブルを移動させることにより、基板と塗布機構とを相対的に移動させる移動機構と、テーブル、塗布機構、および移動機構を制御する制御部とを備える。さらに制御部は、基板の欠陥部に修正材を供給するときに、欠陥部の表面に塗布針が接触しないように移動機構を制御する。以上のような構造を持つ欠陥修正装置を用いて、上述の欠陥修正方法を導入できる適切な制御プログラムを適用する。このことにより、上述のとおり、先に供給した修正材を破壊させることなく、新たに修正材を供給することを可能とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明の基板上の微細パターンに発生した欠陥の修正装置と修正方法によれば、先に塗布焼成した修正材に接触して破壊させることなく、スムーズに欠陥部の修正を行なうことができる。また、先に塗布焼成した修正材を破壊する心配がないため、比較的弱い焼成レーザ出力で焼成ができ、熱ひずみによるクラックが発生する心配がなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0025】
(実施の形態1)
図13は、本発明に従った微細パターン欠陥修正装置の実施の形態1の全体を示す模式図である。また、図14は、本発明の実施の形態1に従った、微細パターン欠陥修正の工程の大まかな流れを示すフローチャートである。図15は、図14の工程(S100)から工程(S200)の詳細な流れを示すフローチャートである。また、図16は、図14の工程(S300)の詳細な流れを示すフローチャートである。さらに、図17から図21は、上述の試し塗布についてメカニズムを説明する模式図である。図13から図21を参照して、本発明に従った微細パターン欠陥修正装置の実施の形態1を説明する。
【0026】
本発明の実施の形態1における微細パターン欠陥修正装置101とは、たとえばプラズマディスプレイパネルを構成する背面板における微細パターンの一部である、リブ5(図2参照)と呼ばれる隔壁に発生した欠陥部7(図2参照)を修正する装置である。図13に示すように、微細パターン欠陥修正装置101には、水平縦方向(Y方向)に移動するYテーブル102を備え、Yテーブルの一方の主表面上に、上述のプラズマディスプレイパネルの2枚の対向するガラス基板のうちの背面板1aが設置されている。また、ペーストを塗布する際の、鉛直Z方向の位置を決定させるための試し塗布領域105を備える。さらに、たとえばプラズマディスプレイパネルを構成するリブ5(図1、図2参照)に発生した欠陥部7(図2参照)に塗布したペーストを乾燥ないし焼成させるための乾燥焼成用レーザ106と、焼成により凝固させた後の修正部分を研磨して形状を調整するためのテープ研磨機構107、リブ5の欠陥場所や塗布したペーストを観察するための観察機構108とを備える。塗布したペーストを乾燥させた後に余分なペーストを除去するためのスクラッチ機構109や、カット用レーザ110を有することも、本発明における微細パターン欠陥修正装置101の特徴である。ここへさらに、Zテーブル111、Xテーブル112、および非接触位置センサ113とを備えた装置となっている。上述のZテーブル111は、上述の欠陥部7を修正するためのペーストを塗布する塗布機構104、乾燥焼成用レーザ106、テープ研磨機構107、観察機構108、スクラッチ機構109、カット用レーザ110の各部分を上述のリブ5を修正する部分の、リブ5を備えている平面に垂直なZ方向に移動させる構造となっている。また、上述のXテーブル112は、上述のZテーブル111を垂直横方向であるX方向に移動させる構造となっている。なお、塗布機構104、乾燥焼成用レーザ106、テープ研磨機構107、観察機構108は、修正ヘッドを構成する。また、Yテーブル102、Zテーブル111、Xテーブル112をそれぞれY方向、Z方向、X方向に移動させる移動機構114と、Yテーブル102、Zテーブル111、Xテーブル112、塗布機構104、移動機構114を制御する制御部とを備えている。
【0027】
本発明に用いているペーストとしては、たとえばリブ5の修正を行なう場合には、リブ5の材料である低融点ガラス粉末を溶媒中に均一に分散させたものが使用され、たとえば、リブ5の成形時に使用するリブペーストと同じ物を使用する。上述の塗布したいペースト22を、上述の塗布機構104にある塗布針21の先端部に一定量付着させ、リブ5の欠陥箇所に対して塗布を行なう。なお、上述のとおり、塗布したいペースト22の粘度は100〜200(Pa・s)となるように準備する。
【0028】
上述の塗布機構104は、上述のペーストを充填させた容器と、上述の塗布針21、塗布針を上下に駆動させる制御部であるアクチュエーターから成る。また、上述の乾燥焼成用レーザ106としてはたとえば、波長が10.6μmの連続発振炭酸ガスレーザを用い、これを照射して局所加熱を行なう方式を採用している。なお、レーザ出力や照射ビームの大きさ、すなわち直径などは任意に選択可能であり、修正を行なう欠陥のサイズや修正ペーストの種類などに応じて決定する。また、上述の観察機構108は、複数の対物レンズとそれらのうちのいずれか1つを選択するレボルバとを含む顕微鏡と、CCDカメラから構成される。さらに、充填させたペーストを乾燥させた後に余分なペーストをカットする際に用いるカット用レーザ110としては、たとえば波長が532nmのYVO4レーザの第2高調波を搭載している。これをリブの下部に存在する誘電体層に影響を与えない程度のレーザ出力に設定し、加工したい部分にレーザを集光させて除去加工を行なう。
【0029】
Zテーブル111は、たとえばガラス製の背面板1aに垂直なZ方向において背面板1aと修正ヘッドの相対位置決めを行なうことにより、観察機構108の焦点調整を行なったり、塗布機構104のZ方向の位置決めを行なったり、テープ研磨機構107の研磨テープをリブ5の上面に接触させるために使用される。Xテーブル112およびYテーブル102は、たとえばガラス製の背面板1aに平行なXY平面内において、背面板1aと修正ヘッドの相対位置決めを行なうために使用される。X、Y、Zテーブルの各々を動かす移動機構114はモータ、ボールねじなどにより駆動される。
【0030】
なお、背面板1aと観察機構108などを含む修正ヘッドとを相対的に位置決めするX、Y、Zテーブルの構成は図1に示したものに限定されるものではない。たとえば、ZテーブルはXY方向に静止し、背面板1aがXY方向に移動する構成でもよいし、静止した背面板1aに対してZテーブルがXY方向に移動する構成でもよい。また、以下の各機構104、106、107、108、109および110を1つのZテーブル111に搭載しても良いが、複数のZテーブルに分割して搭載してもよい。
【0031】
上述のとおり、本発明における、微細パターンへの欠陥修正方法は、たとえばリブ5の欠陥部7(図2参照)に修正材である塗布したいペースト22を、塗布針21を用いて塗布することにより供給する工程と、塗布したいペースト22が供給された欠陥部7に塗布針21を用いて塗布することにより塗布したいペースト22を再度供給する工程とを備える。そして、塗布したいペースト22を再度供給する工程においては、塗布針21の先端部が、欠陥部7に既に供給されたペースト23の表面に接触しないように塗布針21の位置が制御されているという特徴を持つ。そのため、たとえば欠陥部7を修正する塗布したいペースト22を既に塗布した箇所に繰り返し塗布する場合に、塗布針21の先端部と既に供給されたペースト23の表面との間に隙間を設けた状態で塗布を行なう機構を備えている。その機構は、図14に示すように、まず、ペーストの試し塗布(S100)を行なう。これは、上述の隙間の量と塗布したいペースト22が実際に塗布される量との関係を把握することにより、最適な隙間の量を決定させるために行なう工程である。試し塗布は、実際に修正を行なう欠陥部7(図2参照)とは別の場所に存在する試し塗布領域105にて行なう。つまり、まず塗布したいペースト22を先端部に付着させた塗布針21を、試し塗布領域105の一方の主表面の上側に移動させる。そして塗布針21をたとえばZ方向に沿った方向にて下降させることにより、試し塗布領域105に塗布したいペースト22を塗布させる。このとき、塗布針21の先端部と、試し塗布領域105における表面との間の隙間量を変化させながら、複数回、同様に試し塗布領域105に塗布したいペースト22を塗布させる。その上で、各隙間量に対して実際に塗布されたペーストの量を測定し、隙間量と試し塗布領域105に塗布されたペーストの量との関係を求める。以上により、ペーストを塗布したい量に対して設定すべき、最適な隙間の量を決定することができる。試し塗布は、最適な隙間の量が決定できるまで繰り返し行ない、最適な隙間の量が決定したところで(S200)、実際の微細パターンの欠陥部へのペースト塗布を行なう(S300)。このことにより、塗布針21の先端部が既に供給されたペースト23の表面に接触してこれを破壊してしまうといった現象を防止することができる。
【0032】
なお、上述のとおり、本発明の実施の形態1に用いるペーストは、欠陥部7に供給する際に塗布針21の先端部を欠陥部7に既に供給されたペースト23の表面に接触させないために、適正な粘度にしておく必要がある。上述のとおり、スムーズに塗布を行なうために、本発明の実施の形態1においては100〜200(Pa・s)程度のペーストを使用する。
【0033】
以下に、この欠陥修正装置を用いた微細パターンの欠陥修正方法について、リブ欠陥を修正する場合を例に説明する。まず、上述の塗布針21の先端部と欠陥部7との間に隙間を設ける機構について、隙間の量は塗布時に塗布針21を上下に駆動するZテーブル111の座標値を変更することにより、任意に調整することができる。最適な隙間の量は以下に示すZテーブル111の座標値の間で決定される。すなわち、塗布したいペースト22を塗布しようとする塗布針21の先端部が、その塗布したいペースト22を塗布しようとしている欠陥部7の表面にちょうど同じ高さにて接触する場合、隙間の量は0であると考える。この状態を状態1と定義する。また、塗布針に付着した塗布したいペースト22の下端部が、その塗布したいペースト22を塗布しようとしている欠陥部7の上面とちょうど同じ高さにて接する場合、隙間の量は最大値であると考える。この状態を状態2と定義する。塗布針21に接続された制御部であるアクチュエーターの働きにより、隙間の量が状態1の場合以上、かつ状態2の場合以下となるように、Zテーブル111が所定の位置まで上下方向に移動する。そして、最適な隙間の量を検討のうえ同定する仕組みになっている。
【0034】
最適な隙間の量は上述のとおり、試し塗布により決定する。上述のとおり、図17から図21は、上述の試し塗布についてメカニズムを説明する簡易図である。そのうち図17は、塗布針の先端部に付着させたペーストを、欠陥修正装置に設けられた試し塗布領域に塗布しようとする初期状態を示す概略図である。また、図18は、隙間の量が比較的大きい場合においてペーストが試し塗布領域に付着する様子を示す概略図である。同様に、図19は、隙間の量が比較的大きい場合に塗布されたペーストを上面から観察した状態を示す概略図である。同様に図20は、隙間の量が比較的小さい場合においてペーストが試し塗布領域に付着する様子を示す概略図である。さらに図21は、隙間の量が比較的小さい場合に塗布されたペーストを上面から観察した状態を示す概略図である。以上の図17から図21に示すように、塗布針21の先端部と試し塗布領域105との間の隙間の量に応じて、試し塗布領域105に付着される塗布したいペースト22の量を変化させることができる。具体的には、隙間の量が大きいほど塗布したいペースト22の付着量は少なくなり、隙間の量が小さいほど塗布したいペースト22の付着量は多くなる。これは以下の理由による。すなわち、塗布針21の先端部に付着させた塗布したいペースト22の量を一定と仮定すれば、隙間の量が大きい場合には、図18に示すように、塗布針21に付着した塗布したいペースト22のうち、試し塗布領域105に近い下部に付着している部分だけが試し塗布領域105に付着されうるために、付着量は少なくなり、図19に示すように、付着した部分の直径は小さくなる。これに対し、隙間の量が小さい場合には、図20に示すように、塗布針21に付着した修正ペーストの大部分が試し塗布領域105に付着されうるために、付着量は多くなり、図21に示すように、付着した部分の直径は大きくなる。以上の原理を利用して、実際の欠陥部7への塗布を行なうのである。なお、実際には、容器に充填させた塗布したいペースト22の槽の中に、塗布針21の先端部を浸漬させ、塗布針21の先端部に塗布したいペースト22を付着させるため、塗布針21の先端部に付着される塗布したいペースト22の量は一定ではない。このため、試し塗布を行なう際には、試し塗布を行なう領域における表面との間の隙間量を変化させながら、複数回、塗布したいペースト22を供給することにより、付着される塗布したいペースト22の量の偏差などを相殺する。
【0035】
以上のように、実際に欠陥部7への塗布作業を行なう前に、隙間の量を変化させながら、試し塗布領域105(図13参照)に、塗布したいペースト22の塗布を行なうことにより、その結果から最適な隙間の量を決定する。そのうえで、実際の欠陥部7と塗布針21の先端部との隙間の量を最適な値に保ちながら塗布作業を行なうことができる。
【0036】
次に、本実施の形態における塗布作業の一連の流れの詳細を示す。大まかな工程の流れは図14のフローチャートに示すとおりであるが、これを図15および図16のフローチャートを参照しながら、以下に詳細な説明を行なう。
【0037】
まず、ペーストを試し塗布する工程(S100)を行なう。これを詳しく述べるとまず上述のとおり、容器に充填された塗布したいペースト22に塗布針21の先端部を浸漬する。すなわち塗布針にペーストを付着する工程(S110)により、塗布針21の先端部に塗布したいペースト22を付着させる。続いて塗布機構を移動する工程(S120)として、Xテーブル112およびYテーブル102を駆動させることにより、塗布機構104(図13参照)を試し塗布領域105の上部に来るように移動させる。塗布機構104が試し塗布領域105の上部の適当な位置にセットできたところで、試し塗布領域に塗布する工程(S130)を行なう。ここでは、Zテーブル111を駆動させることにより塗布機構104を下降させ、試し塗布領域105の上に塗布を行なう。このとき、塗布針21の先端部と試し塗布領域105との隙間の量を様々に変えながら、各隙間の量に対して数回ずつ塗布を行なう。なお、隙間の量を設定する際は、レーザ変位計などの非接触位置センサ113を併用して所望の隙間量となるよう制御を行なう。すなわち、非接触位置センサ113にて、ガラス基板の基準位置を測定し、その位置をセンサの0点位置と定義する。そして塗布ペーストの直径測定を行なう工程(S140)へと進む。具体的にはXテーブル112およびYテーブル102を移動させながら、塗布されたペーストを観察機構108で上面から観察し、塗布されたペーストの縁から縁までのXテーブル112ないしYテーブル102の移動距離を測定検出することにより、塗布された各ペーストの直径を測定する。なお、実際には試し塗布を行なう際に塗布針21の先端部に付着する塗布したいペースト22の量は毎回一定とは限らず、多少の偏差を伴う。また、塗布したいペースト22を塗布する時の状況にも擾乱が発生することがあり、僅かな誤差により隙間の量と塗布されたペーストの直径との関係に狂いが生じることがある。このため、工程(S130)および工程(S140)の調査は、数回繰り返したうえで、隙間の量と塗布量との関係を求める工程(S150)では、隙間の量と塗布量、すなわち直径との関係を、上述した複数回の試し塗布の調査の結果の平均値から求めている。それゆえ、各回の測定結果に大きな偏差が存在しないところで、隙間の量と塗布量との関係を導き出すことが好ましい。以上の試し塗布により隙間の量と塗布量との間に適切な関係が見出せたところで、隙間量の設定値を決定する工程(S200)を実施する。なお、図14のフローチャートにおける工程(S200)と、図15のフローチャートにおける工程(S200)とは、同一の内容を示しており、図15の工程(S110)から工程(S150)にて、図14の工程(S100)の詳細な流れを説明し、その後工程(S200)に続く、ということを示している。
【0038】
隙間量の設定値が決まったところで、実際の微細パターンの欠陥部にペースト塗布を行なう工程(S300)を行なう。これを詳しく述べるとまず、塗布針にペーストを付着する工程(S310)を行なう。すなわち上述のように、容器に充填された塗布したいペースト22に塗布針21の先端部を浸漬し、先端部に塗布したいペースト22を付着させる。次に塗布機構を移動させる工程(S320)を実施する。すなわち上述のように、Xテーブル112およびYテーブル102を駆動させることにより、塗布機構104を実際の欠陥部7の上部に来るように移動させる。次に隙間の量を調節する工程(S330)である。具体的には、Zテーブル111を駆動させることにより、塗布針21の先端部と欠陥部7との隙間の量が先に決定した設定値、すなわち最適な隙間の量となる位置まで、塗布機構104を下降させることにより、隙間の量の調節を行なう。このように隙間の量を調節するために、現在の隙間の量を検出した上で、塗布針21の先端部の位置を制御する必要がある。すなわち、たとえば繰り返し塗布を行なう場合、1回目の塗布の際には欠陥部7の表面と塗布針21の先端部との距離である隙間の量を調節し、2回目以降の塗布においては、既に供給されたペースト23の表面と塗布針21の先端との距離である隙間の量を調節する。また、隙間の量の検出は、上述の非接触位置センサ113を併用して行なう。すなわち、非接触位置センサ113にて、ガラス基板の基準位置を測定し、その位置をセンサの0点位置と定義する。そして、次に、上述の0点位置と塗布針21の先端部との位置関係および、上述の0点位置と欠陥部7または既に供給されたペースト23の表面との位置関係を測定することにより、塗布針21の先端部と欠陥部7との隙間の量を把握する。この隙間の量が、先に決定した最適な隙間の量になるよう、塗布針21に接続された制御部であるアクチュエーターと、Zテーブル111が所定の位置まで上下方向に移動する。以上の方法により調整を行なう。このようにして隙間の量の調節ができた状態で、欠陥部7にペースト塗布を行なう工程(S340)を行なう。なお、上述のペースト塗布を行なう工程(S300)は、欠陥部7へのペーストの充填量が十分となるまで、繰り返し行なう。
【0039】
ところで、本発明は、既に欠陥部7に供給したペーストの表面を破壊させることなく、新たなペーストを塗布することが可能な欠陥修正方法および欠陥修正装置を提供することである。したがって、欠陥部7に初めてペースト塗布を行なう際においては、必ずしも本発明における手法を適用する必要はないと考えられる。上述の説明においては、1回目のペースト塗布を行なう前に隙間の量を決定する工程を導入し、1回目のペースト塗布を行なう際においても塗布針21の先端部および欠陥部7の表面部の間に適正な量の隙間を設けることとしている。しかし、1回目のペースト塗布を行なう際には、まだ欠陥部7にペーストが供給されていないため、塗布針21の先端部と欠陥部7との隙間の量を考慮せずにペースト塗布を行なっても差し支えない。したがって、試し塗布による隙間の量の同定は、実際の欠陥部7へのペースト塗布を始める前に行なっても良いが、1回目の塗布は隙間の量を考慮せずに行ない、2回目のペースト塗布を行なう前に試し塗布による隙間の量の同定を行ない、2回目以降のペースト塗布に対してのみ、隙間の量を制御して行なっても良い。
【0040】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の欠陥修正装置は、リブに発生した欠陥をスムーズに修正する技術として特に適している。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】リブを含む一般的なプラズマディスプレイの構造を示す模式図である。
【図2】リブに発生した欠陥部の形状の一例を示す模式図である。
【図3】従来より行なわれている、微細パターン欠陥の修正方法の概略を示す、フローチャートである。
【図4】焼成したペーストを研磨加工するのに用いるテープ研磨機構を示す概略図である。
【図5】塗布針の先端部にペーストを塗布し終えた、繰り返し塗布を始める前の初期状態を示す概略図である。
【図6】ペーストの付着した塗布針の先端部が降下し、既に供給されたペーストに接触している状態を示す概略図である。
【図7】塗布針の先端部が既に供給されたペーストを破壊した状況を示す概略図である。
【図8】ペーストの塗布を終え、塗布針が上昇している状況を示す概略図である。
【図9】図5と同様の、繰り返し塗布を始める前の初期状態を示すものである。
【図10】ペーストの付着した塗布針の先端部が降下始める状態を示す概略図である。
【図11】塗布針が接触しないままに塗布したいペーストが既に供給されたペーストの表面上に広がった状態を示す概略図である。
【図12】塗布が終わって塗布針が上昇している状況を示す概略図である。
【図13】本発明に従った微細パターン欠陥修正装置の実施の形態1の全体を示す模式図である。
【図14】本発明の実施の形態1に従った、微細パターン欠陥修正の工程の大まかな流れを示すフローチャートである。
【図15】図14の工程(S100)から工程(S200)の詳細な流れを示すフローチャートである。
【図16】図14の工程(S300)の詳細な流れを示すフローチャートである。
【図17】塗布針の先端部に付着させたペーストを、欠陥修正装置に設けられた試し塗布領域に塗布しようとする初期状態を示す概略図である。
【図18】隙間の量が比較的大きい場合においてペーストが試し塗布領域に付着する様子を示す概略図である。
【図19】隙間の量が比較的大きい場合に塗布されたペーストを上面から観察した状態を示す概略図である。
【図20】隙間の量が比較的小さい場合においてペーストが試し塗布領域に付着する様子を示す概略図である。
【図21】隙間の量が比較的小さい場合に塗布されたペーストを上面から観察した状態を示す概略図である。
【符号の説明】
【0043】
1a 背面板、1b 前面板、2a アドレス電極、2b 表示電極、3 誘電体層、4 保護膜、5 リブ、6 蛍光体、7 欠陥部、10 テープ研磨機構、11 研磨ヘッド、12 研磨テープ、13 巻き取り機構、21 塗布針、22 塗布したいペースト、23 既に供給されたペースト、24 修正部分、101 微細パターン欠陥修正装置、102 Yテーブル、104 塗布機構、105 試し塗布領域、106 乾燥焼成用レーザ、107 テープ研磨機構、108 観察機構、109 スクラッチ機構、110 カット用レーザ、111 Zテーブル、112 Xテーブル、113 非接触位置センサ、114 移動機構。
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板上の微細パターンに発生した欠陥部を修正する欠陥修正方法および欠陥修正装置に関するもので、より特定的にはプラズマディスプレイの背面板など基板上に形成されている微細パターンである、たとえばリブに発生した欠陥修正方法と修正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイは、近年の次世代テレビにおける高画質な画面として、急激に需要が拡大してきている。現在、プラズマテレビなどの用途において主流となっているプラズマディスプレイのパネルは、構成する主要な要素として、基板、電極、誘電体層、保護膜、リブ(隔壁)、蛍光体層がある。基板とは前面板と背面板の2枚の対向するガラス基板であり、この2枚の基板にプラズマディスプレイの表示を行う基本部位である電極、誘電体層、蛍光体層、リブ(隔壁)などが形成される。基板の各単位ピクセル間を分離するように設けられた壁であるリブは、隣接セルとの干渉を防止し混色を防ぐ。
【0003】
図1は、リブを含む一般的なプラズマディスプレイの構造を示す模式図である。図1に示すように、背面板である1aと前面板である1bとで構成される2枚の基板を基にして、基本部位が形成される。背面板1aの一方の主面上に、ある一定の間隔毎に設けられたリブ5は、蛍光体6の隣接セルとの干渉を防止し混色を防ぐ役割を持つ。前面板1bの内側には、表示電極2bと呼ばれる電極が配置されている。また、背面板1aの内側には、アドレス電極2aと呼ばれる電極が配置されており、アドレス期間に、表示電極2bのうちの走査電極との間で表示データに基づき、書き込み放電を行なう役割を果たす。また、前面板1bの内側の主面上には、誘電体層3と呼ばれる電荷の蓄積層が存在する。アドレス電極2aと表示電極2bとの間で書込み放電が生じたときに誘電体層3の表面に電荷が蓄積し、その電荷による電圧が表示期間内に印加される電圧と重畳されて面放電が起こり、表示セルの発光を行なう。さらに、誘電体層3の一方の主面上には保護膜4が蒸着されており、放電時に誘電体層3の表面に対して起こるスパッタダメージを軽減すると同時に表示放電に伴い二次電子を放出する役割を果たす。
【0004】
プラズマディスプレイの生産工程においては、基板上の微細パターンにて、たとえば電極の断線や短絡、リブの欠けや突起、蛍光体の混色などの欠陥が発生する。上述の欠陥の中でも特にリブに発生する欠陥については、当初は修正が困難であったため、欠陥が生じた基板に対しては廃却、もしくは手作業で修理するといった処理がなされていた。ところが、最近のプラズマディスプレイの需要拡大に伴う生産量増加により、欠陥が生じた基板の廃却に伴う経済的損失や、廃却量の増加に伴い発生しうる環境問題などを防止するため、リブに発生する欠陥を修正できる装置が強く求められるようになってきた。そのため、このリブに発生する欠陥を修正することが可能な機能の開発や商品化が行なわれてきた。リブはプラズマディスプレイのガラス背面板の上に形成され、本来、図1に示すような直方体状か、または図示しないが格子状で、セル間の隔壁の役割を持つものである。しかし、リブの製造工程において、ごみ、異物の付着や気泡の巻き込みなどにより、虫食い状の欠陥が生じる場合がある。図2は、リブに発生した欠陥部の形状の一例を示す模式図である。リブにこの欠陥が発生した状態で蛍光体を形成すると、蛍光体がこの欠陥部から隣接セルに漏れ出し、蛍光体の混色などによる画質の低下が生じる。また、このリブにこの欠陥があると、パネル点灯時に放電漏れが発生し、滅点や輝度の暗い点になり、パネル表示品質を著しく低下させる。このため、蛍光体を形成する工程の前にリブに発生する欠陥の修正を施す必要がある。
【0005】
これらのリブに発生する欠陥を修正する方法として、従来より、塗布針といわれる、リブの修正材であるペーストを塗布するために用いる針を用いることによる微細ペースト塗布技術や、レーザによるカット技術を改良した方法が行なわれている。さらに、ここへレーザ焼成機能や機械研磨機能、非接触形状測定機能などを新たに開発し付加することによる、リブに発生する欠陥の修正を行なう装置が開発されている。
【0006】
図3は、従来より行なわれている、微細パターン欠陥の補正方法の概略を示す、フローチャートである。まず、塗布針にペーストを付着する工程(S10)を実施する。これは具体的には、ある容器に充填されたペーストに塗布針の先端部を浸漬させることにより、塗布針の先端部にペーストを付着させる工程である。より詳細に述べると、たとえばリブに発生した虫食い状の欠陥を修正するときには、上述のとおり、修正材として用いるペーストを、塗布針を用いて、欠陥部に塗布して充填させることにより供給する。次に、欠陥部にペーストを塗布する工程(S20)を行なう。これは具体的には、先にペーストを付着させた塗布針の先端部をリブに発生した欠陥部に接触させることにより、リブの欠陥部がペーストで充填されるように塗布を行なう。続いて、ペーストを乾燥する工程(S30)を実施する。具体的には、たとえば炭酸ガスレーザを照射することで局所加熱を行ない、ペーストを乾燥させるといった手法により、欠陥部を充填させたペーストを、食み出した分が除去できる程度の硬度になるように加工する。その後、余分なペーストを除去する工程(S40)へと続く。これは正常なリブ幅より食み出したペーストを、ペーストカット用のレーザを照射することにより除去する工程である。具体的にはリブ5の近辺部分に備えられた誘電体層に影響を与えない程度のレーザ出力に設定し、加工部分にレーザを集光させて加工を行なう。ここで加工用のレーザとしては、YVO4レーザの第2高調波を使用している。または、エンドミルやスクラッチ針を用いて除去加工を行なうことにより、除去を行なうこともできる。その上で、ペーストを焼成する工程(S50)を行なう。すなわち、再び炭酸ガスレーザを照射して焼成し、ペーストを焼き固める。
【0007】
ここで、ペーストが欠陥部を充填したかを判断する工程(S55)を行なう。
これは具体的には、欠陥部に供給したペーストが欠陥部全体のうちどの程度を充填させたかについて検討する工程である。より詳細に述べると、後述するように、修正を行なう欠陥部の深さが深い場合、上述の工程(S10)から工程(S50)までを1通り行なっただけでは、ペーストを十分な高さ、すなわち隣接する正常なリブ上面と同じ高さまで盛り上げることが困難である。そのため通常は、上述の工程を数回繰り返すことにより欠陥部をペーストで充填することで、所望のリブ上面形状を形成する。そして工程(S55)により上述の、所望のリブ上面形状が形成できたと判断できたところで、最後に研磨加工(S60)を実施する。これはより具体的には以下に述べるとおりである。図4は、焼成したペーストを研磨加工するのに用いるテープ研磨機構を示す概略図である。図4を参照して、研磨加工の概要を説明する。研磨加工においては、正常なリブの表面より盛り上がった部分を削り取るため、図4に示すようなテープ研磨機構を用いて、研磨テープ12を巻き取り機構13を用いて巻き取りながら、研磨ヘッド11を修正部分24に押し付けることにより研磨加工を行う。以上の工程を実施することにより、修正が完了する。図4に示すテープ研磨機構10は、さまざまな材質に対応できるように、研磨条件のパラメータを選択可能となっている。以上の方法にてリブに発生した欠陥部の修正ができる装置を使用することにより、リブに欠陥が発生した基板を廃却したり、手作業で修理する必要がなくなった。
【非特許文献1】電子ディスプレイ技術2007 電子材料5月号別冊 pp117-121
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の従来の修正方法には以下に示すような欠点があった。上述のとおり、修正を行なう欠陥部の深さが深い場合、上述の工程を1回行なっただけでは、ペーストを十分な高さ、すなわち隣接する正常なリブ上面と同じ高さまで盛り上げることが困難である。そのため通常は、上述の工程を数回繰り返すことにより欠陥部をペーストで充填することで、所望のリブ上面形状を形成する。ところが、上述の工程を数回繰り返すことにより、せっかく修正を行なった箇所を破壊させてしまうという問題が起こりうる。
【0009】
図5から図8は、従来方法にて欠陥部に上述のペースト塗布による修正工程を1回行なった箇所に対して、ペースト塗布を繰り返す工程の概略図である。図5は、塗布針の先端部にペーストを塗布し終えた、繰り返し塗布を始める前の初期状態を示す概略図である。図6は、ペーストの付着した塗布針の先端部が降下し、既に供給されたペーストに接触している状態を示す概略図である。この状態で塗布したいペースト22を既に供給されたペースト23に付着させると、既に供給されたペースト23の表面に塗布針21の先端部が接触する衝撃により、針の先端部が既に供給されたペースト23の表面を破壊してしまうことがある。図7は、塗布針の先端部が既に供給されたペーストを破壊した状況を示す概略図である。なお、図8はペーストの塗布を終え、塗布針が上昇している状況を示す概略図である。
【0010】
図5において、塗布針21の先端部に塗布したいペースト22が付着された状態で、塗布針21がリブに発生した欠陥部7に接近しているが、欠陥部7には既に供給されたペースト23が存在する状態になっている。この状態でさらに塗布針21を下降させ、図6に示すように、塗布したいペースト22が既に供給されたペースト23に接触する。ここで塗布針21の先端部が既に供給されたペースト23の最上面よりも下降すれば、図7に示すように、塗布針21の先端部が既に供給されたペースト23を破壊し、図8に示すような状態になり、ペーストの供給不良を引き起こすことになる。
【0011】
また、上述の既に供給されたペースト23の崩れを防止するためには、既に供給されたペースト23に塗布針21が接触したとしても破壊されないほどの十分な強度となるように、前工程にて照射する焼成用の炭酸ガスレーザの出力を上げて焼成を行なう必要がある。しかし、このような処理を施した場合、炭酸ガスレーザの大きなエネルギーにより、レーザ照射部にクラックが発生する可能性が大きくなる。このため、上述の方法は必ずしも好ましくない。
【0012】
本発明は、上述の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、基板上の微細パターンに発生した欠陥を修正する加工を施す際に、修正材であるペーストを繰り返し欠陥部に供給する場合、既に欠陥部に供給したペーストの表面を破壊させることなく、新たなペーストを塗布することが可能な欠陥修正方法および欠陥修正装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る、基板の一方の主表面上に形成された微細パターンに発生した欠陥部を修正する欠陥修正方法においては、欠陥部に修正材を、塗布針を用いて塗布することにより供給する工程と、修正材が供給された欠陥部に塗布針を用いて塗布することにより修正材を再度供給する工程とを備えている。また、上述の修正材を再度供給する工程においては、塗布針の先端部が欠陥部に先に供給した修正材の表面に接触しないように塗布針の位置が制御されている。
【0014】
また、塗布針の先端部が欠陥部に先に供給した修正材の表面に接触しないようにするために、塗布針の先端部と修正材を供給する箇所との間に隙間を設けた状態で修正材の供給を行なうことを特徴としている。
【0015】
上述のとおり、基板とはたとえばプラズマディスプレイパネルを構成する背面板を指す。また、基板上の微細パターンに発生した欠陥部とは、たとえばプラズマディスプレイパネルにおける画像の混色を防ぐリブに発生した虫食い状の欠陥部を指す。また修正材としては、たとえばリブを修正する場合には、低融点のガラスを溶融させたペーストを用いる。
【0016】
上述の、塗布針の先端部と欠陥部との間に隙間を設けた状態で繰り返し塗布を行なった場合のペースト塗布を繰り返す工程の概略図を図9から図12に示す。図9は、図5と同様の、繰り返し塗布を始める前の初期状態を示す概略図である。図10は、ペーストの付着した塗布針の先端部が降下始める状態を示す概略図である。ただし、図6と異なり、塗布針21は既に供給されたペースト23の表面に接触しない。さらに図11は、接触しないままに塗布したいペーストが既に供給されたペーストの表面上に広がった状態を示す概略図である。また、図12は、塗布が終わって塗布針が上昇している状況を示す概略図である。以上のような基板上の微細パターンに発生した欠陥の修正方法を用いることにより、既に供給されたペーストの表面を破壊させることなく、ペーストを繰り返し塗布することが可能となる。
【0017】
上述のように、塗布針の先端部と修正材を供給する箇所との間に隙間を設けた状態で修正材の供給を行なえば、塗布針の先端部が既に欠陥部に供給した修正材に接触してこれを破壊させる心配がなくなる。すなわち、先に供給した修正材を破壊させることなく、新たに修正材を供給することを可能とする。
【0018】
また、本発明に係る欠陥修正装置においては、先に供給した修正材を破壊させてしまう心配がないため、前工程にて照射する焼成用の炭酸ガスレーザの出力を上げて焼成を行なう必要もなくなる。その結果、焼成レーザの熱ひずみによりレーザ照射部にクラックが発生する可能性がなくなる。
【0019】
また、本発明に係る、修正材を再度供給する工程においては、塗布針の先端部と欠陥部に供給した修正材の表面との間の隙間量を検出するとともに、検出した隙間量に基づいて塗布針の先端部の位置を制御することにより、修正材の供給量を調整することを特徴とする。より具体的には、塗布針の先端部と、既に欠陥部に供給した修正材の表面との間に単に隙間を設けるだけでなく、隙間量を検出し、隙間量に基づいて塗布針の先端部が所望の位置に来るように調整する。このことにより、所望の修正材の供給量に応じて、塗布針の先端部の位置を所望の位置に来るよう調整することを可能とする。
【0020】
また、上述の検出して制御することができる隙間量を利用して、隙間量と供給量との間の関係を求める。そのために、欠陥部とは別の、修正材を塗布しても差し支えない塗布領域にて、修正材を供給する塗布針の先端部と、上述の別の塗布領域との隙間量を変化させながら複数回、別の塗布領域に修正材の供給を行なう。以上により、隙間量と供給量との間の関係を求めるためのテストである、試し塗布を行なう。具体的には、修正材を供給する塗布針の先端部と、試し塗布を行なう領域における表面との間の隙間量を変化させながら、複数回、修正材を供給する。そして、各隙間量に対して上述の別の塗布領域に実際に供給された修正材の量を測定する。次に、隙間量と上述の別の塗布領域に供給された修正材の量との関係を求める。この関係を求めることにより、上述のように検出して制御することが可能な隙間量が所望の値になるように塗布針の先端部の位置を調整する。以上の工程を踏むことにより、所望の量の修正材を供給することが可能となる。
【0021】
ところで本発明においては、塗布針の先端部を欠陥部に接触させずに塗布を行なうため、欠陥部の修正に用いる修正材を適正な粘度にしておく必要がある。修正材を塗布する際には、容器に充填させた修正材の槽の中に、塗布針の先端部を浸漬させ、塗布針の先端部に修正材を付着させるのであるが、このとき修正材の粘度が低いと、修正材が塗布針の先端部に十分に付着せず、結果として欠陥部への塗布量が少なくなる。また、粘度が高すぎると、塗布針の先端部に付着した修正材を欠陥部へ塗布しようとしても、塗布針の先端部に付着したままで塗布がスムーズに行なえなくなる。以上を踏まえて、スムーズに塗布を行なうために、修正材粘度の最適値を調査した結果、本発明では100〜200(Pa・s)程度の修正材を使用することとなった。
【0022】
また、本発明における欠陥の修正装置は、基板を搭載するテーブルと、基板の一方の主表面上に形成された微細パターンに発生した欠陥部に修正材を、塗布針を用いて塗布することにより欠陥部に修正材を供給する塗布機構とを設ける。また、テーブルを移動させることにより、基板と塗布機構とを相対的に移動させる移動機構と、テーブル、塗布機構、および移動機構を制御する制御部とを備える。さらに制御部は、基板の欠陥部に修正材を供給するときに、欠陥部の表面に塗布針が接触しないように移動機構を制御する。以上のような構造を持つ欠陥修正装置を用いて、上述の欠陥修正方法を導入できる適切な制御プログラムを適用する。このことにより、上述のとおり、先に供給した修正材を破壊させることなく、新たに修正材を供給することを可能とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明の基板上の微細パターンに発生した欠陥の修正装置と修正方法によれば、先に塗布焼成した修正材に接触して破壊させることなく、スムーズに欠陥部の修正を行なうことができる。また、先に塗布焼成した修正材を破壊する心配がないため、比較的弱い焼成レーザ出力で焼成ができ、熱ひずみによるクラックが発生する心配がなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0025】
(実施の形態1)
図13は、本発明に従った微細パターン欠陥修正装置の実施の形態1の全体を示す模式図である。また、図14は、本発明の実施の形態1に従った、微細パターン欠陥修正の工程の大まかな流れを示すフローチャートである。図15は、図14の工程(S100)から工程(S200)の詳細な流れを示すフローチャートである。また、図16は、図14の工程(S300)の詳細な流れを示すフローチャートである。さらに、図17から図21は、上述の試し塗布についてメカニズムを説明する模式図である。図13から図21を参照して、本発明に従った微細パターン欠陥修正装置の実施の形態1を説明する。
【0026】
本発明の実施の形態1における微細パターン欠陥修正装置101とは、たとえばプラズマディスプレイパネルを構成する背面板における微細パターンの一部である、リブ5(図2参照)と呼ばれる隔壁に発生した欠陥部7(図2参照)を修正する装置である。図13に示すように、微細パターン欠陥修正装置101には、水平縦方向(Y方向)に移動するYテーブル102を備え、Yテーブルの一方の主表面上に、上述のプラズマディスプレイパネルの2枚の対向するガラス基板のうちの背面板1aが設置されている。また、ペーストを塗布する際の、鉛直Z方向の位置を決定させるための試し塗布領域105を備える。さらに、たとえばプラズマディスプレイパネルを構成するリブ5(図1、図2参照)に発生した欠陥部7(図2参照)に塗布したペーストを乾燥ないし焼成させるための乾燥焼成用レーザ106と、焼成により凝固させた後の修正部分を研磨して形状を調整するためのテープ研磨機構107、リブ5の欠陥場所や塗布したペーストを観察するための観察機構108とを備える。塗布したペーストを乾燥させた後に余分なペーストを除去するためのスクラッチ機構109や、カット用レーザ110を有することも、本発明における微細パターン欠陥修正装置101の特徴である。ここへさらに、Zテーブル111、Xテーブル112、および非接触位置センサ113とを備えた装置となっている。上述のZテーブル111は、上述の欠陥部7を修正するためのペーストを塗布する塗布機構104、乾燥焼成用レーザ106、テープ研磨機構107、観察機構108、スクラッチ機構109、カット用レーザ110の各部分を上述のリブ5を修正する部分の、リブ5を備えている平面に垂直なZ方向に移動させる構造となっている。また、上述のXテーブル112は、上述のZテーブル111を垂直横方向であるX方向に移動させる構造となっている。なお、塗布機構104、乾燥焼成用レーザ106、テープ研磨機構107、観察機構108は、修正ヘッドを構成する。また、Yテーブル102、Zテーブル111、Xテーブル112をそれぞれY方向、Z方向、X方向に移動させる移動機構114と、Yテーブル102、Zテーブル111、Xテーブル112、塗布機構104、移動機構114を制御する制御部とを備えている。
【0027】
本発明に用いているペーストとしては、たとえばリブ5の修正を行なう場合には、リブ5の材料である低融点ガラス粉末を溶媒中に均一に分散させたものが使用され、たとえば、リブ5の成形時に使用するリブペーストと同じ物を使用する。上述の塗布したいペースト22を、上述の塗布機構104にある塗布針21の先端部に一定量付着させ、リブ5の欠陥箇所に対して塗布を行なう。なお、上述のとおり、塗布したいペースト22の粘度は100〜200(Pa・s)となるように準備する。
【0028】
上述の塗布機構104は、上述のペーストを充填させた容器と、上述の塗布針21、塗布針を上下に駆動させる制御部であるアクチュエーターから成る。また、上述の乾燥焼成用レーザ106としてはたとえば、波長が10.6μmの連続発振炭酸ガスレーザを用い、これを照射して局所加熱を行なう方式を採用している。なお、レーザ出力や照射ビームの大きさ、すなわち直径などは任意に選択可能であり、修正を行なう欠陥のサイズや修正ペーストの種類などに応じて決定する。また、上述の観察機構108は、複数の対物レンズとそれらのうちのいずれか1つを選択するレボルバとを含む顕微鏡と、CCDカメラから構成される。さらに、充填させたペーストを乾燥させた後に余分なペーストをカットする際に用いるカット用レーザ110としては、たとえば波長が532nmのYVO4レーザの第2高調波を搭載している。これをリブの下部に存在する誘電体層に影響を与えない程度のレーザ出力に設定し、加工したい部分にレーザを集光させて除去加工を行なう。
【0029】
Zテーブル111は、たとえばガラス製の背面板1aに垂直なZ方向において背面板1aと修正ヘッドの相対位置決めを行なうことにより、観察機構108の焦点調整を行なったり、塗布機構104のZ方向の位置決めを行なったり、テープ研磨機構107の研磨テープをリブ5の上面に接触させるために使用される。Xテーブル112およびYテーブル102は、たとえばガラス製の背面板1aに平行なXY平面内において、背面板1aと修正ヘッドの相対位置決めを行なうために使用される。X、Y、Zテーブルの各々を動かす移動機構114はモータ、ボールねじなどにより駆動される。
【0030】
なお、背面板1aと観察機構108などを含む修正ヘッドとを相対的に位置決めするX、Y、Zテーブルの構成は図1に示したものに限定されるものではない。たとえば、ZテーブルはXY方向に静止し、背面板1aがXY方向に移動する構成でもよいし、静止した背面板1aに対してZテーブルがXY方向に移動する構成でもよい。また、以下の各機構104、106、107、108、109および110を1つのZテーブル111に搭載しても良いが、複数のZテーブルに分割して搭載してもよい。
【0031】
上述のとおり、本発明における、微細パターンへの欠陥修正方法は、たとえばリブ5の欠陥部7(図2参照)に修正材である塗布したいペースト22を、塗布針21を用いて塗布することにより供給する工程と、塗布したいペースト22が供給された欠陥部7に塗布針21を用いて塗布することにより塗布したいペースト22を再度供給する工程とを備える。そして、塗布したいペースト22を再度供給する工程においては、塗布針21の先端部が、欠陥部7に既に供給されたペースト23の表面に接触しないように塗布針21の位置が制御されているという特徴を持つ。そのため、たとえば欠陥部7を修正する塗布したいペースト22を既に塗布した箇所に繰り返し塗布する場合に、塗布針21の先端部と既に供給されたペースト23の表面との間に隙間を設けた状態で塗布を行なう機構を備えている。その機構は、図14に示すように、まず、ペーストの試し塗布(S100)を行なう。これは、上述の隙間の量と塗布したいペースト22が実際に塗布される量との関係を把握することにより、最適な隙間の量を決定させるために行なう工程である。試し塗布は、実際に修正を行なう欠陥部7(図2参照)とは別の場所に存在する試し塗布領域105にて行なう。つまり、まず塗布したいペースト22を先端部に付着させた塗布針21を、試し塗布領域105の一方の主表面の上側に移動させる。そして塗布針21をたとえばZ方向に沿った方向にて下降させることにより、試し塗布領域105に塗布したいペースト22を塗布させる。このとき、塗布針21の先端部と、試し塗布領域105における表面との間の隙間量を変化させながら、複数回、同様に試し塗布領域105に塗布したいペースト22を塗布させる。その上で、各隙間量に対して実際に塗布されたペーストの量を測定し、隙間量と試し塗布領域105に塗布されたペーストの量との関係を求める。以上により、ペーストを塗布したい量に対して設定すべき、最適な隙間の量を決定することができる。試し塗布は、最適な隙間の量が決定できるまで繰り返し行ない、最適な隙間の量が決定したところで(S200)、実際の微細パターンの欠陥部へのペースト塗布を行なう(S300)。このことにより、塗布針21の先端部が既に供給されたペースト23の表面に接触してこれを破壊してしまうといった現象を防止することができる。
【0032】
なお、上述のとおり、本発明の実施の形態1に用いるペーストは、欠陥部7に供給する際に塗布針21の先端部を欠陥部7に既に供給されたペースト23の表面に接触させないために、適正な粘度にしておく必要がある。上述のとおり、スムーズに塗布を行なうために、本発明の実施の形態1においては100〜200(Pa・s)程度のペーストを使用する。
【0033】
以下に、この欠陥修正装置を用いた微細パターンの欠陥修正方法について、リブ欠陥を修正する場合を例に説明する。まず、上述の塗布針21の先端部と欠陥部7との間に隙間を設ける機構について、隙間の量は塗布時に塗布針21を上下に駆動するZテーブル111の座標値を変更することにより、任意に調整することができる。最適な隙間の量は以下に示すZテーブル111の座標値の間で決定される。すなわち、塗布したいペースト22を塗布しようとする塗布針21の先端部が、その塗布したいペースト22を塗布しようとしている欠陥部7の表面にちょうど同じ高さにて接触する場合、隙間の量は0であると考える。この状態を状態1と定義する。また、塗布針に付着した塗布したいペースト22の下端部が、その塗布したいペースト22を塗布しようとしている欠陥部7の上面とちょうど同じ高さにて接する場合、隙間の量は最大値であると考える。この状態を状態2と定義する。塗布針21に接続された制御部であるアクチュエーターの働きにより、隙間の量が状態1の場合以上、かつ状態2の場合以下となるように、Zテーブル111が所定の位置まで上下方向に移動する。そして、最適な隙間の量を検討のうえ同定する仕組みになっている。
【0034】
最適な隙間の量は上述のとおり、試し塗布により決定する。上述のとおり、図17から図21は、上述の試し塗布についてメカニズムを説明する簡易図である。そのうち図17は、塗布針の先端部に付着させたペーストを、欠陥修正装置に設けられた試し塗布領域に塗布しようとする初期状態を示す概略図である。また、図18は、隙間の量が比較的大きい場合においてペーストが試し塗布領域に付着する様子を示す概略図である。同様に、図19は、隙間の量が比較的大きい場合に塗布されたペーストを上面から観察した状態を示す概略図である。同様に図20は、隙間の量が比較的小さい場合においてペーストが試し塗布領域に付着する様子を示す概略図である。さらに図21は、隙間の量が比較的小さい場合に塗布されたペーストを上面から観察した状態を示す概略図である。以上の図17から図21に示すように、塗布針21の先端部と試し塗布領域105との間の隙間の量に応じて、試し塗布領域105に付着される塗布したいペースト22の量を変化させることができる。具体的には、隙間の量が大きいほど塗布したいペースト22の付着量は少なくなり、隙間の量が小さいほど塗布したいペースト22の付着量は多くなる。これは以下の理由による。すなわち、塗布針21の先端部に付着させた塗布したいペースト22の量を一定と仮定すれば、隙間の量が大きい場合には、図18に示すように、塗布針21に付着した塗布したいペースト22のうち、試し塗布領域105に近い下部に付着している部分だけが試し塗布領域105に付着されうるために、付着量は少なくなり、図19に示すように、付着した部分の直径は小さくなる。これに対し、隙間の量が小さい場合には、図20に示すように、塗布針21に付着した修正ペーストの大部分が試し塗布領域105に付着されうるために、付着量は多くなり、図21に示すように、付着した部分の直径は大きくなる。以上の原理を利用して、実際の欠陥部7への塗布を行なうのである。なお、実際には、容器に充填させた塗布したいペースト22の槽の中に、塗布針21の先端部を浸漬させ、塗布針21の先端部に塗布したいペースト22を付着させるため、塗布針21の先端部に付着される塗布したいペースト22の量は一定ではない。このため、試し塗布を行なう際には、試し塗布を行なう領域における表面との間の隙間量を変化させながら、複数回、塗布したいペースト22を供給することにより、付着される塗布したいペースト22の量の偏差などを相殺する。
【0035】
以上のように、実際に欠陥部7への塗布作業を行なう前に、隙間の量を変化させながら、試し塗布領域105(図13参照)に、塗布したいペースト22の塗布を行なうことにより、その結果から最適な隙間の量を決定する。そのうえで、実際の欠陥部7と塗布針21の先端部との隙間の量を最適な値に保ちながら塗布作業を行なうことができる。
【0036】
次に、本実施の形態における塗布作業の一連の流れの詳細を示す。大まかな工程の流れは図14のフローチャートに示すとおりであるが、これを図15および図16のフローチャートを参照しながら、以下に詳細な説明を行なう。
【0037】
まず、ペーストを試し塗布する工程(S100)を行なう。これを詳しく述べるとまず上述のとおり、容器に充填された塗布したいペースト22に塗布針21の先端部を浸漬する。すなわち塗布針にペーストを付着する工程(S110)により、塗布針21の先端部に塗布したいペースト22を付着させる。続いて塗布機構を移動する工程(S120)として、Xテーブル112およびYテーブル102を駆動させることにより、塗布機構104(図13参照)を試し塗布領域105の上部に来るように移動させる。塗布機構104が試し塗布領域105の上部の適当な位置にセットできたところで、試し塗布領域に塗布する工程(S130)を行なう。ここでは、Zテーブル111を駆動させることにより塗布機構104を下降させ、試し塗布領域105の上に塗布を行なう。このとき、塗布針21の先端部と試し塗布領域105との隙間の量を様々に変えながら、各隙間の量に対して数回ずつ塗布を行なう。なお、隙間の量を設定する際は、レーザ変位計などの非接触位置センサ113を併用して所望の隙間量となるよう制御を行なう。すなわち、非接触位置センサ113にて、ガラス基板の基準位置を測定し、その位置をセンサの0点位置と定義する。そして塗布ペーストの直径測定を行なう工程(S140)へと進む。具体的にはXテーブル112およびYテーブル102を移動させながら、塗布されたペーストを観察機構108で上面から観察し、塗布されたペーストの縁から縁までのXテーブル112ないしYテーブル102の移動距離を測定検出することにより、塗布された各ペーストの直径を測定する。なお、実際には試し塗布を行なう際に塗布針21の先端部に付着する塗布したいペースト22の量は毎回一定とは限らず、多少の偏差を伴う。また、塗布したいペースト22を塗布する時の状況にも擾乱が発生することがあり、僅かな誤差により隙間の量と塗布されたペーストの直径との関係に狂いが生じることがある。このため、工程(S130)および工程(S140)の調査は、数回繰り返したうえで、隙間の量と塗布量との関係を求める工程(S150)では、隙間の量と塗布量、すなわち直径との関係を、上述した複数回の試し塗布の調査の結果の平均値から求めている。それゆえ、各回の測定結果に大きな偏差が存在しないところで、隙間の量と塗布量との関係を導き出すことが好ましい。以上の試し塗布により隙間の量と塗布量との間に適切な関係が見出せたところで、隙間量の設定値を決定する工程(S200)を実施する。なお、図14のフローチャートにおける工程(S200)と、図15のフローチャートにおける工程(S200)とは、同一の内容を示しており、図15の工程(S110)から工程(S150)にて、図14の工程(S100)の詳細な流れを説明し、その後工程(S200)に続く、ということを示している。
【0038】
隙間量の設定値が決まったところで、実際の微細パターンの欠陥部にペースト塗布を行なう工程(S300)を行なう。これを詳しく述べるとまず、塗布針にペーストを付着する工程(S310)を行なう。すなわち上述のように、容器に充填された塗布したいペースト22に塗布針21の先端部を浸漬し、先端部に塗布したいペースト22を付着させる。次に塗布機構を移動させる工程(S320)を実施する。すなわち上述のように、Xテーブル112およびYテーブル102を駆動させることにより、塗布機構104を実際の欠陥部7の上部に来るように移動させる。次に隙間の量を調節する工程(S330)である。具体的には、Zテーブル111を駆動させることにより、塗布針21の先端部と欠陥部7との隙間の量が先に決定した設定値、すなわち最適な隙間の量となる位置まで、塗布機構104を下降させることにより、隙間の量の調節を行なう。このように隙間の量を調節するために、現在の隙間の量を検出した上で、塗布針21の先端部の位置を制御する必要がある。すなわち、たとえば繰り返し塗布を行なう場合、1回目の塗布の際には欠陥部7の表面と塗布針21の先端部との距離である隙間の量を調節し、2回目以降の塗布においては、既に供給されたペースト23の表面と塗布針21の先端との距離である隙間の量を調節する。また、隙間の量の検出は、上述の非接触位置センサ113を併用して行なう。すなわち、非接触位置センサ113にて、ガラス基板の基準位置を測定し、その位置をセンサの0点位置と定義する。そして、次に、上述の0点位置と塗布針21の先端部との位置関係および、上述の0点位置と欠陥部7または既に供給されたペースト23の表面との位置関係を測定することにより、塗布針21の先端部と欠陥部7との隙間の量を把握する。この隙間の量が、先に決定した最適な隙間の量になるよう、塗布針21に接続された制御部であるアクチュエーターと、Zテーブル111が所定の位置まで上下方向に移動する。以上の方法により調整を行なう。このようにして隙間の量の調節ができた状態で、欠陥部7にペースト塗布を行なう工程(S340)を行なう。なお、上述のペースト塗布を行なう工程(S300)は、欠陥部7へのペーストの充填量が十分となるまで、繰り返し行なう。
【0039】
ところで、本発明は、既に欠陥部7に供給したペーストの表面を破壊させることなく、新たなペーストを塗布することが可能な欠陥修正方法および欠陥修正装置を提供することである。したがって、欠陥部7に初めてペースト塗布を行なう際においては、必ずしも本発明における手法を適用する必要はないと考えられる。上述の説明においては、1回目のペースト塗布を行なう前に隙間の量を決定する工程を導入し、1回目のペースト塗布を行なう際においても塗布針21の先端部および欠陥部7の表面部の間に適正な量の隙間を設けることとしている。しかし、1回目のペースト塗布を行なう際には、まだ欠陥部7にペーストが供給されていないため、塗布針21の先端部と欠陥部7との隙間の量を考慮せずにペースト塗布を行なっても差し支えない。したがって、試し塗布による隙間の量の同定は、実際の欠陥部7へのペースト塗布を始める前に行なっても良いが、1回目の塗布は隙間の量を考慮せずに行ない、2回目のペースト塗布を行なう前に試し塗布による隙間の量の同定を行ない、2回目以降のペースト塗布に対してのみ、隙間の量を制御して行なっても良い。
【0040】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の欠陥修正装置は、リブに発生した欠陥をスムーズに修正する技術として特に適している。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】リブを含む一般的なプラズマディスプレイの構造を示す模式図である。
【図2】リブに発生した欠陥部の形状の一例を示す模式図である。
【図3】従来より行なわれている、微細パターン欠陥の修正方法の概略を示す、フローチャートである。
【図4】焼成したペーストを研磨加工するのに用いるテープ研磨機構を示す概略図である。
【図5】塗布針の先端部にペーストを塗布し終えた、繰り返し塗布を始める前の初期状態を示す概略図である。
【図6】ペーストの付着した塗布針の先端部が降下し、既に供給されたペーストに接触している状態を示す概略図である。
【図7】塗布針の先端部が既に供給されたペーストを破壊した状況を示す概略図である。
【図8】ペーストの塗布を終え、塗布針が上昇している状況を示す概略図である。
【図9】図5と同様の、繰り返し塗布を始める前の初期状態を示すものである。
【図10】ペーストの付着した塗布針の先端部が降下始める状態を示す概略図である。
【図11】塗布針が接触しないままに塗布したいペーストが既に供給されたペーストの表面上に広がった状態を示す概略図である。
【図12】塗布が終わって塗布針が上昇している状況を示す概略図である。
【図13】本発明に従った微細パターン欠陥修正装置の実施の形態1の全体を示す模式図である。
【図14】本発明の実施の形態1に従った、微細パターン欠陥修正の工程の大まかな流れを示すフローチャートである。
【図15】図14の工程(S100)から工程(S200)の詳細な流れを示すフローチャートである。
【図16】図14の工程(S300)の詳細な流れを示すフローチャートである。
【図17】塗布針の先端部に付着させたペーストを、欠陥修正装置に設けられた試し塗布領域に塗布しようとする初期状態を示す概略図である。
【図18】隙間の量が比較的大きい場合においてペーストが試し塗布領域に付着する様子を示す概略図である。
【図19】隙間の量が比較的大きい場合に塗布されたペーストを上面から観察した状態を示す概略図である。
【図20】隙間の量が比較的小さい場合においてペーストが試し塗布領域に付着する様子を示す概略図である。
【図21】隙間の量が比較的小さい場合に塗布されたペーストを上面から観察した状態を示す概略図である。
【符号の説明】
【0043】
1a 背面板、1b 前面板、2a アドレス電極、2b 表示電極、3 誘電体層、4 保護膜、5 リブ、6 蛍光体、7 欠陥部、10 テープ研磨機構、11 研磨ヘッド、12 研磨テープ、13 巻き取り機構、21 塗布針、22 塗布したいペースト、23 既に供給されたペースト、24 修正部分、101 微細パターン欠陥修正装置、102 Yテーブル、104 塗布機構、105 試し塗布領域、106 乾燥焼成用レーザ、107 テープ研磨機構、108 観察機構、109 スクラッチ機構、110 カット用レーザ、111 Zテーブル、112 Xテーブル、113 非接触位置センサ、114 移動機構。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の一方の主表面上に形成された微細パターンに発生した欠陥部を修正する欠陥修正方法であって、
前記欠陥部に修正材を、塗布針を用いて塗布することにより供給する工程と、
前記修正材が供給された前記欠陥部に前記塗布針を用いて塗布することにより修正材を再度供給する工程とを備え、
前記修正材を再度供給する工程においては、前記塗布針の先端部が前記欠陥部に先に供給した修正材の表面に接触しないように前記塗布針の位置が制御されている、欠陥修正方法。
【請求項2】
前記塗布針の先端部と前記修正材を供給する箇所との間に隙間を設けた状態で前記修正材の供給を行なうことを特徴とする、請求項1に記載の欠陥修正方法。
【請求項3】
前記修正材を再度供給する工程においては、前記塗布針の先端部と前記欠陥部に供給した修正材の表面との間の隙間量を検出するとともに、検出した前記隙間量に基づいて前記塗布針の先端部の位置を制御することにより、修正材の供給量を調整することを特徴とする、請求項1または2に記載の欠陥修正方法。
【請求項4】
前記欠陥部とは別の塗布領域にて、前記修正材を供給する前記塗布針の先端部と前記別の塗布領域との隙間量を変化させながら、複数回前記別の塗布領域に前記修正材の供給を行なう工程と、
前記別の塗布領域に供給された前記修正材の量を測定する工程と、
前記隙間量と前記別の塗布領域に供給された前記修正材の量との関係を求める工程と、
前記関係および、予め設定された供給すべき前記修正材の量とから、前記隙間量の設定値を決定する工程とをさらに備え、
前記修正材を再度供給する工程においては、
検出した前記隙間量が前記設定値と同じになるように前記塗布針の先端部の位置を制御する、請求項3に記載の欠陥修正方法。
【請求項5】
前記修正材は、粘度が100〜200(Pa・s)となるように準備することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の欠陥修正方法。
【請求項6】
前記基板はプラズマディスプレイパネルを構成する背面板であり、前記微細パターンはプラズマディスプレイパネルを構成するリブであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の欠陥修正方法。
【請求項7】
基板を搭載するテーブルと、
前記基板の一方の主表面上に形成された微細パターンに発生した欠陥部に修正材を、塗布針を用いて塗布することにより前記欠陥部に修正材を供給する塗布機構と、
前記テーブルを移動させることにより、前記基板と前記塗布機構とを相対的に移動させる移動機構と、
前記テーブル、前記塗布機構、および前記移動機構を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記基板の欠陥部に前記修正材を供給するときに、前記欠陥部の表面に前記塗布針が接触しないように前記移動機構を制御する、欠陥修正装置。
【請求項1】
基板の一方の主表面上に形成された微細パターンに発生した欠陥部を修正する欠陥修正方法であって、
前記欠陥部に修正材を、塗布針を用いて塗布することにより供給する工程と、
前記修正材が供給された前記欠陥部に前記塗布針を用いて塗布することにより修正材を再度供給する工程とを備え、
前記修正材を再度供給する工程においては、前記塗布針の先端部が前記欠陥部に先に供給した修正材の表面に接触しないように前記塗布針の位置が制御されている、欠陥修正方法。
【請求項2】
前記塗布針の先端部と前記修正材を供給する箇所との間に隙間を設けた状態で前記修正材の供給を行なうことを特徴とする、請求項1に記載の欠陥修正方法。
【請求項3】
前記修正材を再度供給する工程においては、前記塗布針の先端部と前記欠陥部に供給した修正材の表面との間の隙間量を検出するとともに、検出した前記隙間量に基づいて前記塗布針の先端部の位置を制御することにより、修正材の供給量を調整することを特徴とする、請求項1または2に記載の欠陥修正方法。
【請求項4】
前記欠陥部とは別の塗布領域にて、前記修正材を供給する前記塗布針の先端部と前記別の塗布領域との隙間量を変化させながら、複数回前記別の塗布領域に前記修正材の供給を行なう工程と、
前記別の塗布領域に供給された前記修正材の量を測定する工程と、
前記隙間量と前記別の塗布領域に供給された前記修正材の量との関係を求める工程と、
前記関係および、予め設定された供給すべき前記修正材の量とから、前記隙間量の設定値を決定する工程とをさらに備え、
前記修正材を再度供給する工程においては、
検出した前記隙間量が前記設定値と同じになるように前記塗布針の先端部の位置を制御する、請求項3に記載の欠陥修正方法。
【請求項5】
前記修正材は、粘度が100〜200(Pa・s)となるように準備することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の欠陥修正方法。
【請求項6】
前記基板はプラズマディスプレイパネルを構成する背面板であり、前記微細パターンはプラズマディスプレイパネルを構成するリブであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の欠陥修正方法。
【請求項7】
基板を搭載するテーブルと、
前記基板の一方の主表面上に形成された微細パターンに発生した欠陥部に修正材を、塗布針を用いて塗布することにより前記欠陥部に修正材を供給する塗布機構と、
前記テーブルを移動させることにより、前記基板と前記塗布機構とを相対的に移動させる移動機構と、
前記テーブル、前記塗布機構、および前記移動機構を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記基板の欠陥部に前記修正材を供給するときに、前記欠陥部の表面に前記塗布針が接触しないように前記移動機構を制御する、欠陥修正装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
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【図20】
【図21】
【公開番号】特開2009−145685(P2009−145685A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−323683(P2007−323683)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】
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