説明

基板乾燥装置およびそれを備えた基板処理装置

【課題】基板から液体を確実に除去することが可能な基板乾燥装置およびそれを備えた基板処理装置を提供する。
【解決手段】第1および第2の洗浄/乾燥処理ユニットSD1,SD2において、リンス液供給ノズル660は、リンス液供給管661aを介して脱気モジュールDMに接続されている。脱気モジュールDMはリンス液供給管661bを介してリンス液供給源R2に接続されている。脱気モジュールDMにおいて、リンス液の脱気処理が行われる。脱気処理後のリンス液が、リンス液供給管661aを通してリンス液供給ノズル660に供給される。基板Wの乾燥処理時に、リンス液供給ノズル660から基板W上にリンス液が供給される。それにより、基板W上にリンス液の液層が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を乾燥させる基板乾燥装置およびそれを備えた基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板等の各種基板に種々の処理を行うために、基板処理装置が用いられている。
【0003】
このような基板処理装置では、一般に、一枚の基板に対して複数の異なる処理が連続的に行われる。特許文献1に記載された基板処理装置は、インデクサブロック、反射防止膜用処理ブロック、レジスト膜用処理ブロック、現像処理ブロックおよびインターフェイスブロックにより構成される。インターフェイスブロックに隣接するように、基板処理装置とは別体の外部装置である露光装置が配置される。
【0004】
上記の基板処理装置においては、インデクサブロックから搬入される基板は、反射防止膜用処理ブロックおよびレジスト膜用処理ブロックにおいて反射防止膜の形成およびレジスト膜の塗布処理が行われた後、インターフェイスブロックを介して露光装置へと搬送される。露光装置において基板上のレジスト膜に露光処理が行われた後、基板はインターフェイスブロックを介して現像処理ブロックへ搬送される。現像処理ブロックにおいて基板上のレジスト膜に現像処理が行われることによりレジストパターンが形成された後、基板はインデクサブロックへと搬送される。
【0005】
近年、デバイスの高密度化および高集積化に伴い、レジストパターンの微細化が重要な課題となっている。従来の一般的な露光装置においては、レチクルのパターンを投影レンズを介して基板上に縮小投影することによって露光処理が行われていた。しかし、このような従来の露光装置においては、露光パターンの線幅は露光装置の光源の波長によって決まるため、レジストパターンの微細化に限界があった。
【0006】
そこで、露光パターンのさらなる微細化を可能にする投影露光方法として、液浸法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2の投影露光装置においては、投影光学系と基板との間に液体が満たされており、基板表面における露光光を短波長化することができる。それにより、露光パターンのさらなる微細化が可能となる。
【特許文献1】特開2003−324139号公報
【特許文献2】国際公開第99/49504号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献2の投影露光装置においては、基板と液体とが接触した状態で露光処理が行われる。そのため、基板は、液体が付着した状態で露光装置から搬出される。上記特許文献1の基板処理装置に上記特許文献2に記載されているような液浸法を用いた露光装置を外部装置として設ける場合、露光装置から搬出された基板に付着している液体が基板処理装置内に落下することを防止するため、露光処理後の基板を乾燥させる必要がある。
【0008】
基板の乾燥は、例えば基板を回転させて基板に付着する液体を振り切ることにより行われる。しかしながら、この場合、基板上に微小な液滴が残留することがある。液滴が残留すると、基板上にウォーターマーク等の反応生成物が生成され、基板の処理不良の原因となる。
【0009】
また、基板の現像処理後には、基板上の現像液を洗い流すため、純水等の液体を用いて洗浄処理が行われる。この場合も、基板を乾燥させる必要がある。しかしながら、上記と同様に基板上に微小な液滴が残留することがあり、ウォーターマーク等の反応生成物の生成によって基板の処理不良が発生することがある。
【0010】
本発明の目的は、基板から液体を確実に除去することが可能な基板乾燥装置およびそれを備えた基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)第1の発明に係る基板乾燥装置は、基板の乾燥処理を行う基板乾燥装置であって、基板を略水平に保持しつつ回転させる基板回転保持手段と、基板回転保持手段に保持された基板上にリンス液の液層を形成する液層形成手段と、基板回転保持手段により基板が回転する状態で、液層形成手段により基板上に形成されたリンス液の液層の中心部に向けて気体を吐出する気体吐出手段とを備え、液層形成手段は、リンス液から気体を除去する気体除去手段と、気体除去手段により気体が除去されたリンス液を基板上に供給するリンス液供給手段とを含むものである。
【0012】
この基板乾燥装置においては、基板回転保持手段により基板が略水平に保持され、その基板上に液層形成手段によりリンス液の液層が形成される。この場合、気体除去手段によって予めリンス液に含まれる気体が除去され、そのリンス液がリンス液供給手段により基板上に供給される。そのため、基板上に形成される液層中に気泡が発生することが抑制される。
【0013】
液層の形成後、基板回転保持手段により基板が回転する状態で、気体吐出手段により液層の中心部に向けて気体が吐出される。それにより、液層の中心部における張力が消滅し、遠心力によって液層が基板の外方に移動する。
【0014】
この場合、液層が円環形状を保持した状態で一体的に基板の外方へ移動する。特に、液層中における気泡の発生が抑制されることにより、液層の一体的な移動が妨げられない。したがって、基板上に微小液滴が残留することなく、液層が完全に取り除かれる。
【0015】
このような処理を行うことにより、基板上に液体が付着していた場合でも、その液体をリンス液の液層とともに基板上から取り除くことができ、基板を確実に乾燥させることができる。したがって、基板上におけるウォーターマーク等の反応生成物の生成を防止することができる。その結果、基板の処理不良の発生を防止することができる。
【0016】
(2)基板回転保持手段は、液層形成手段によるリンス液の液層の形成時に基板を第1の回転速度で回転させ、液層形成手段によるリンス液の液層の形成後に基板の回転速度を第2の回転速度まで段階的または連続的に上昇させ、気体吐出手段は、第1の回転速度よりも高く第2の回転速度よりも低い第3の回転速度で回転する基板上のリンス液の液層に気体を吐出してもよい。
【0017】
この場合、液層の形成時には基板回転保持手段により基板が第1の回転速度で回転する。それにより、基板が水平面に対して僅かに傾いた状態であっても、液層を基板上に均一に形成することができる。
【0018】
液層の形成後には、基板回転保持手段により基板の回転速度が段階的または連続的に上昇する。それにより、液層の周縁部に働く外方への遠心力が増加する。一方、液層の中心部には遠心力に対する張力が働き、液層は外方に飛散することなく基板上で保持される。
【0019】
基板の回転速度が上昇する過程で、基板の回転速度が第1の回転速度よりも高く第2の回転速度よりも低い第3の回転速度であるときに、気体吐出手段により基板上の液層の中心部に向けて気体が吐出される。それにより、液層の中心部における張力が消滅し、遠心力によって液層が基板の外方に移動する。
【0020】
これにより、液層を複数の領域に分離させることなく円環形状を保持した状態で確実に基板の外方に移動させることができる。そのため、基板上における微小液滴の形成が抑制され、基板上の液層を確実に取り除くことができる。
【0021】
(3)基板回転保持手段は、液層形成手段によるリンス液の液層の形成後であって気体吐出手段による気体の吐出前に、基板の回転速度を第1の回転速度よりも高く第2の回転速度よりも低い第4の回転速度に所定時間維持してもよい。
【0022】
この場合、液層が基板上の全域に広がるとともに、液層が基板上に安定に保持される。それにより、気体吐出手段による気体の吐出前に液層が基板の外方に飛散することが確実に防止されるとともに、気体の吐出時に、液層を複数の領域に分離させることなく円環形状を保持した状態でより確実に基板の外方に移動させることができる。
【0023】
(4)気体除去手段は、気体透過膜からなり、リンス液が導入される気体透過流路と、気体透過流路を気密に収容する気体収容室と、気体収容室内を真空吸引する真空吸引手段とを有してもよい。
【0024】
この場合、真空吸引手段により気体収容室内が真空吸引される状態で気体透過流路に導入されたリンス液から気体透過膜を通して気体が除去される。このようにして気体が除去されたリンス液を用いることにより、基板上に形成される液層中に気泡が発生することを防止することができる。
【0025】
(5)第2の発明に係る基板処理装置は、露光装置に隣接するように配置される基板処理装置であって、基板に処理を行うための処理部と、処理部と露光装置との間で基板の受け渡しを行うための受け渡し部とを備え、処理部および受け渡し部の少なくとも一方は、基板の乾燥処理を行う基板乾燥装置を含み、基板乾燥装置は、基板を略水平に保持しつつ回転させる基板回転保持手段と、基板回転保持手段に保持された基板上にリンス液の液層を形成する液層形成手段と、基板回転保持手段により基板が回転する状態で、液層形成手段により基板上に形成されたリンス液の液層の中心部に向けて気体を吐出する気体吐出手段とを備え、液層形成手段は、リンス液から気体を除去する気体除去手段と、気体除去手段により気体が除去されたリンス液を基板上に供給するリンス液供給手段とを含むものである。
【0026】
この基板処理装置においては、処理部により基板に処理が行われ、受け渡し部によりその基板が処理部から露光装置へ受け渡される。露光装置により基板に露光処理が行われた後、その基板が受け渡し部により露光装置から処理部へ受け渡される。露光装置による露光処理前または露光処理後に、基板乾燥装置により基板の乾燥処理が行われる。
【0027】
基板乾燥装置においては、基板回転保持手段により基板が略水平に保持され、その基板上に液層形成手段によりリンス液の液層が形成される。この場合、気体除去手段によって予めリンス液に含まれる気体が除去され、そのリンス液がリンス液供給手段により基板上に供給される。そのため、基板上に形成される液層中に気泡が発生することが抑制される。
【0028】
液層の形成後、基板回転保持手段により基板が回転する状態で、気体吐出手段により液層の中心部に向けて気体が吐出される。それにより、液層の中心部における張力が消滅し、遠心力によって液層が基板の外方に移動する。
【0029】
この場合、液層が円環形状を保持した状態で一体的に基板の外方へ移動する。特に、液層中における気泡の発生が抑制されることにより、液層の一体的な移動が妨げられない。したがって、基板上に微小液滴が残留することなく、液層が完全に取り除かれる。
【0030】
このような処理を行うことにより、基板上に液体が付着していた場合でも、その液体をリンス液の液層とともに基板上から取り除くことができ、基板を確実に乾燥させることができる。したがって、基板上におけるウォーターマーク等の反応生成物の生成を防止することができる。その結果、基板の処理不良の発生を防止することができる。
【0031】
(6)基板乾燥装置は、露光装置による露光処理後に基板の乾燥処理を行ってもよい。
【0032】
この場合、露光装置において基板に液体が付着しても、その液体をリンス液の液層とともに基板上から取り除くことができる。また、微小液滴を基板上に残留させることなく、基板を確実に乾燥させることができる。それにより、基板上におけるウォーターマーク等の反応生成物の生成を抑制することができる。その結果、基板の処理不良の発生を防止することができる。
【0033】
(7)基板乾燥装置は、露光装置による露光処理前に基板の乾燥処理を行ってもよい。
【0034】
この場合、基板上に塵埃等が付着していても、それらをリンス液の液層とともに取り除くことができる。また、微小液滴を基板上に残留させることなく、基板を確実に乾燥させることができる。それにより、基板上におけるウォーターマーク等の反応生成物の生成を抑制することができる。その結果、基板の処理不良の発生を防止することができる。
【0035】
(8)基板乾燥装置は、基板回転保持手段に保持された基板上に現像液を供給する現像液供給手段をさらに含み、液層形成手段は、基板回転保持手段に保持された基板上にリンス液を供給することにより基板上の現像液を洗い流した後、基板上にリンス液の液層を形成してもよい。
【0036】
この場合、基板上に現像液を供給することにより露光後の基板に現像処理を行うことができる。そして、基板上の現像液を洗い流した後、微小液滴を基板上に残留させることなく、基板を確実に乾燥させることができる。それにより、基板上に残留する液滴に起因する現像欠陥の発生を確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、基板上に液体が付着していた場合でも、その液体をリンス液の液層とともに基板上から取り除くことができ、基板を確実に乾燥させることができる。したがって、基板上におけるウォーターマーク等の反応生成物の生成を防止することができる。その結果、基板の処理不良の発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明の実施の形態に係る基板乾燥装置およびそれを備えた基板処理装置について図面を用いて説明する。以下の説明において、基板とは、半導体基板、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板等をいう。
【0039】
(1)基板処理装置の構成
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る基板処理装置の平面図である。なお、図1ならびに後述する図2〜図4には、位置関係を明確にするために互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を示す矢印を付している。X方向およびY方向は水平面内で互いに直交し、Z方向は鉛直方向に相当する。なお、各方向において矢印が向かう方向を+方向、その反対の方向を−方向とする。また、Z方向を中心とする回転方向をθ方向としている。
【0040】
図1に示すように、基板処理装置500は、インデクサブロック9、反射防止膜用処理ブロック10、レジスト膜用処理ブロック11、現像処理ブロック12、レジストカバー膜用処理ブロック13、レジストカバー膜除去ブロック14およびインターフェースブロック15を含む。また、インターフェースブロック15に隣接するように露光装置16が配置される。露光装置16においては、液浸法により基板Wに露光処理が行われる。
【0041】
以下、インデクサブロック9、反射防止膜用処理ブロック10、レジスト膜用処理ブロック11、現像処理ブロック12、レジストカバー膜用処理ブロック13、レジストカバー膜除去ブロック14およびインターフェースブロック15の各々を処理ブロックと呼ぶ。
【0042】
インデクサブロック9は、各処理ブロックの動作を制御するメインコントローラ(制御部)30、複数のキャリア載置台40およびインデクサロボットIRを含む。インデクサロボットIRには、基板Wを受け渡すためのハンドIRHが設けられる。
【0043】
反射防止膜用処理ブロック10は、反射防止膜用熱処理部100,101、反射防止膜用塗布処理部50および第1のセンターロボットCR1を含む。反射防止膜用塗布処理部50は、第1のセンターロボットCR1を挟んで反射防止膜用熱処理部100,101に対向して設けられる。第1のセンターロボットCR1には、基板Wを受け渡すためのハンドCRH1,CRH2が上下に設けられる。
【0044】
インデクサブロック9と反射防止膜用処理ブロック10との間には、雰囲気遮断用の隔壁17が設けられる。この隔壁17には、インデクサブロック9と反射防止膜用処理ブロック10との間で基板Wの受け渡しを行うための基板載置部PASS1,PASS2が上下に近接して設けられる。上側の基板載置部PASS1は、基板Wをインデクサブロック9から反射防止膜用処理ブロック10へ搬送する際に用いられ、下側の基板載置部PASS2は、基板Wを反射防止膜用処理ブロック10からインデクサブロック9へ搬送する際に用いられる。
【0045】
また、基板載置部PASS1,PASS2には、基板Wの有無を検出する光学式のセンサ(図示せず)が設けられている。それにより、基板載置部PASS1,PASS2において基板Wが載置されているか否かの判定を行うことが可能となる。また、基板載置部PASS1,PASS2には、固定設置された複数本の支持ピンが設けられている。なお、上記の光学式のセンサおよび支持ピンは、後述する基板載置部PASS3〜PASS13にも同様に設けられる。
【0046】
レジスト膜用処理ブロック11は、レジスト膜用熱処理部110,111、レジスト膜用塗布処理部60および第2のセンターロボットCR2を含む。レジスト膜用塗布処理部60は、第2のセンターロボットCR2を挟んでレジスト膜用熱処理部110,111に対向して設けられる。第2のセンターロボットCR2には、基板Wを受け渡すためのハンドCRH3,CRH4が上下に設けられる。
【0047】
反射防止膜用処理ブロック10とレジスト膜用処理ブロック11との間には、雰囲気遮断用の隔壁18が設けられる。この隔壁18には、反射防止膜用処理ブロック10とレジスト膜用処理ブロック11との間で基板Wの受け渡しを行うための基板載置部PASS3,PASS4が上下に近接して設けられる。上側の基板載置部PASS3は、基板Wを反射防止膜用処理ブロック10からレジスト膜用処理ブロック11へ搬送する際に用いられ、下側の基板載置部PASS4は、基板Wをレジスト膜用処理ブロック11から反射防止膜用処理ブロック10へ搬送する際に用いられる。
【0048】
現像処理ブロック12は、現像用熱処理部120,121、現像処理部70および第3のセンターロボットCR3を含む。現像処理部70は、第3のセンターロボットCR3を挟んで現像用熱処理部120,121に対向して設けられる。第3のセンターロボットCR3には、基板Wを受け渡すためのハンドCRH5,CRH6が上下に設けられる。
【0049】
レジスト膜用処理ブロック11と現像処理ブロック12との間には、雰囲気遮断用の隔壁19が設けられる。この隔壁19には、レジスト膜用処理ブロック11と現像処理ブロック12との間で基板Wの受け渡しを行うための基板載置部PASS5,PASS6が上下に近接して設けられる。上側の基板載置部PASS5は、基板Wをレジスト膜用処理ブロック11から現像処理ブロック12へ搬送する際に用いられ、下側の基板載置部PASS6は、基板Wを現像処理ブロック12からレジスト膜用処理ブロック11へ搬送する際に用いられる。
【0050】
レジストカバー膜用処理ブロック13は、レジストカバー膜用熱処理部130,131、レジストカバー膜用塗布処理部80および第4のセンターロボットCR4を含む。レジストカバー膜用塗布処理部80は、第4のセンターロボットCR4を挟んでレジストカバー膜用熱処理部130,131に対向して設けられる。第4のセンターロボットCR4には、基板Wを受け渡すためのハンドCRH7,CRH8が上下に設けられる。
【0051】
現像処理ブロック12とレジストカバー膜用処理ブロック13との間には、雰囲気遮断用の隔壁20が設けられる。この隔壁20には、現像処理ブロック12とレジストカバー膜用処理ブロック13との間で基板Wの受け渡しを行うための基板載置部PASS7,PASS8が上下に近接して設けられる。上側の基板載置部PASS7は、基板Wを現像処理ブロック12からレジストカバー膜用処理ブロック13へ搬送する際に用いられ、下側の基板載置部PASS8は、基板Wをレジストカバー膜用処理ブロック13から現像処理ブロック12へ搬送する際に用いられる。
【0052】
レジストカバー膜除去ブロック14は、露光後ベーク用熱処理部140,141、レジストカバー膜除去用処理部90および第5のセンターロボットCR5を含む。露光後ベーク用熱処理部141はインターフェースブロック15に隣接し、後述するように、基板載置部PASS11,PASS12を備える。レジストカバー膜除去用処理部90は、第5のセンターロボットCR5を挟んで露光後ベーク用熱処理部140,141に対向して設けられる。第5のセンターロボットCR5には、基板Wを受け渡すためのハンドCRH9,CRH10が上下に設けられる。
【0053】
レジストカバー膜用処理ブロック13とレジストカバー膜除去ブロック14との間には、雰囲気遮断用の隔壁21が設けられる。この隔壁21には、レジストカバー膜用処理ブロック13とレジストカバー膜除去ブロック14との間で基板Wの受け渡しを行うための基板載置部PASS9,PASS10が上下に近接して設けられる。上側の基板載置部PASS9は、基板Wをレジストカバー膜用処理ブロック13からレジストカバー膜除去ブロック14へ搬送する際に用いられ、下側の基板載置部PASS10は、基板Wをレジストカバー膜除去ブロック14からレジストカバー膜用処理ブロック13へ搬送する際に用いられる。
【0054】
インターフェースブロック15は、送りバッファ部SBF、第1の洗浄/乾燥処理ユニットSD1、第6のセンターロボットCR6、エッジ露光部EEW、戻りバッファ部RBF、載置兼冷却ユニットPASS−CP(以下、P−CPと略記する)、基板載置部PASS13、インターフェース用搬送機構IFRおよび第2の洗浄/乾燥処理ユニットSD2を含む。なお、第1の洗浄/乾燥処理ユニットSD1は、露光処理前の基板Wの洗浄および乾燥処理を行い、第2の洗浄/乾燥処理ユニットSD2は、露光処理後の基板Wの洗浄および乾燥処理を行う。第1および第2の洗浄/乾燥処理ユニットSD1,SD2の詳細は後述する。
【0055】
また、第6のセンターロボットCR6には、基板Wを受け渡すためのハンドCRH11,CRH12(図4参照)が上下に設けられ、インターフェース用搬送機構IFRには、基板Wを受け渡すためのハンドH1,H2(図4参照)が上下に設けられる。インターフェースブロック15の詳細については後述する。
【0056】
本実施の形態に係る基板処理装置500においては、Y方向に沿ってインデクサブロック9、反射防止膜用処理ブロック10、レジスト膜用処理ブロック11、現像処理ブロック12、レジストカバー膜用処理ブロック13、レジストカバー膜除去ブロック14およびインターフェースブロック15が順に並設されている。
【0057】
図2は、図1の基板処理装置500を+X方向から見た概略側面図であり、図3は、図1の基板処理装置500を−X方向から見た概略側面図である。なお、図2においては、基板処理装置500の+X側に設けられるものを主に示し、図3においては、基板処理装置500の−X側に設けられるものを主に示している。
【0058】
まず、図2を用いて、基板処理装置500の+X側の構成について説明する。図2に示すように、反射防止膜用処理ブロック10の反射防止膜用塗布処理部50(図1参照)には、3個の塗布ユニットBARCが上下に積層配置されている。各塗布ユニットBARCは、基板Wを水平姿勢で吸着保持して回転するスピンチャック51およびスピンチャック51上に保持された基板Wに反射防止膜の塗布液を供給する供給ノズル52を備える。
【0059】
レジスト膜用処理ブロック11のレジスト膜用塗布処理部60(図1参照)には、3個の塗布ユニットRESが上下に積層配置されている。各塗布ユニットRESは、基板Wを水平姿勢で吸着保持して回転するスピンチャック61およびスピンチャック61上に保持された基板Wにレジスト膜の塗布液を供給する供給ノズル62を備える。
【0060】
現像処理ブロック12の現像処理部70には、5個の現像処理ユニットDEVが上下に積層配置されている。各現像処理ユニットDEVは、基板Wを水平姿勢で吸着保持して回転するスピンチャック71およびスピンチャック71上に保持された基板Wに現像液を供給する供給ノズル72を備える。
【0061】
レジストカバー膜用処理ブロック13のレジストカバー膜用塗布処理部80には、3個の塗布ユニットCOVが上下に積層配置されている。各塗布ユニットCOVは、基板Wを水平姿勢で吸着保持して回転するスピンチャック81およびスピンチャック81上に保持された基板Wにレジストカバー膜の塗布液を供給する供給ノズル82を備える。レジストカバー膜の塗布液としては、レジストおよび水との親和力が低い材料(レジストおよび水との反応性が低い材料)を用いることができる。例えば、フッ素樹脂である。塗布ユニットCOVは、基板Wを回転させながら基板W上に塗布液を塗布することにより、基板W上に形成されたレジスト膜上にレジストカバー膜を形成する。
【0062】
レジストカバー膜除去ブロック14のレジストカバー膜除去用処理部90には、3個の除去ユニットREMが上下に積層配置されている。各除去ユニットREMは、基板Wを水平姿勢で吸着保持して回転するスピンチャック91およびスピンチャック91上に保持された基板Wに剥離液(例えばフッ素樹脂)を供給する供給ノズル92を備える。除去ユニットREMは、基板Wを回転させながら基板W上に剥離液を塗布することにより、基板W上に形成されたレジストカバー膜を除去する。
【0063】
なお、除去ユニットREMにおけるレジストカバー膜の除去方法は上記の例に限定されない。例えば、基板Wの上方においてスリットノズルを移動させつつ基板W上に剥離液を供給することによりレジストカバー膜を除去してもよい。
【0064】
インターフェースブロック15内の+X側には、エッジ露光部EEWおよび3個の第2の洗浄/乾燥処理ユニットSD2が上下に積層配置される。各エッジ露光部EEWは、基板Wを水平姿勢で吸着保持して回転するスピンチャック98およびスピンチャック98上に保持された基板Wの周縁を露光する光照射器99を備える。
【0065】
次に、図3を用いて、基板処理装置500の−X側の構成について説明する。図3に示すように、反射防止膜用処理ブロック10の反射防止膜用熱処理部100,101には、2個の加熱ユニット(ホットプレート)HPおよび2個の冷却ユニット(クーリングプレート)CPがそれぞれ積層配置される。また、反射防止膜用熱処理部100,101には、最上部に加熱ユニットHPおよび冷却ユニットCPの温度を制御するローカルコントローラLCが各々配置される。
【0066】
レジスト膜用処理ブロック11のレジスト膜用熱処理部110,111には、2個の加熱ユニットHPおよび2個の冷却ユニットCPがそれぞれ積層配置される。また、レジスト膜用熱処理部110,111には、最上部に加熱ユニットHPおよび冷却ユニットCPの温度を制御するローカルコントローラLCが各々配置される。
【0067】
現像処理ブロック12の現像用熱処理部120,121には、2個の加熱ユニットHPおよび2個の冷却ユニットCPがそれぞれ積層配置される。また、現像用熱処理部120,121には、最上部に加熱ユニットHPおよび冷却ユニットCPの温度を制御するローカルコントローラLCが各々配置される。
【0068】
レジストカバー膜用処理ブロック13のレジストカバー膜用熱処理部130,131には、2個の加熱ユニットHPおよび2個の冷却ユニットCPがそれぞれ積層配置される。また、レジストカバー膜用熱処理部130,131には、最上部に加熱ユニットHPおよび冷却ユニットCPの温度を制御するローカルコントローラLCが各々配置される。
【0069】
レジストカバー膜除去ブロック14の露光後ベーク用熱処理部140には、2個の加熱ユニットHPおよび2個の冷却ユニットCPが上下に積層配置され、露光後ベーク用熱処理部141には2個の加熱ユニットHP、2個の冷却ユニットCPおよび基板載置部PASS11,PASS12が上下に積層配置される。また、露光後ベーク用熱処理部140,141には、最上部に加熱ユニットHPおよび冷却ユニットCPの温度を制御するローカルコントローラLCが各々配置される。
【0070】
次に、図4を用いてインターフェースブロック15について詳細に説明する。
【0071】
図4は、インターフェースブロック15を+Y側から見た概略側面図である。図4に示すように、インターフェースブロック15内において、−X側には、送りバッファ部SBFおよび3個の第1の洗浄/乾燥処理ユニットSD1が積層配置される。また、インターフェースブロック15内において、+X側の上部には、エッジ露光部EEWが配置される。
【0072】
エッジ露光部EEWの下方において、インターフェースブロック15内の略中央部には、戻りバッファ部RBF、2個の載置兼冷却ユニットP−CPおよび基板載置部PASS13が上下に積層配置される。エッジ露光部EEWの下方において、インターフェースブロック15内の+X側には、3個の第2の洗浄/乾燥処理ユニットSD2が上下に積層配置される。
【0073】
また、インターフェースブロック15内の下部には、第6のセンターロボットCR6およびインターフェース用搬送機構IFRが設けられている。第6のセンターロボットCR6は、送りバッファ部SBFおよび第1の洗浄/乾燥処理ユニットSD1と、エッジ露光部EEW、戻りバッファ部RBF、載置兼冷却ユニットP−CPおよび基板載置部PASS13との間で上下動可能かつ回動可能に設けられている。インターフェース用搬送機構IFRは、戻りバッファ部RBF、載置兼冷却ユニットP−CPおよび基板載置部PASS13と、第2の洗浄/乾燥処理ユニットSD2との間で上下動可能かつ回動可能に設けられている。
【0074】
(2)基板処理装置の動作
次に、本実施の形態に係る基板処理装置500の動作について図1〜図4を参照しながら説明する。
【0075】
(2−1)インデクサブロック〜レジストカバー膜除去ブロックの動作
まず、インデクサブロック9〜レジストカバー膜除去ブロック14の動作について簡単に説明する。
【0076】
インデクサブロック9のキャリア載置台40の上には、複数枚の基板Wを多段に収納するキャリアCが搬入される。インデクサロボットIRは、ハンドIRHを用いてキャリアC内に収納された未処理の基板Wを取り出す。その後、インデクサロボットIRは±X方向に移動しつつ±θ方向に回転移動し、未処理の基板Wを基板載置部PASS1に載置する。
【0077】
本実施の形態においては、キャリアCとしてFOUP(front opening unified pod)を採用しているが、これに限定されず、SMIF(Standard Mechanical Inter Face)ポッドや収納基板Wを外気に曝すOC(open cassette)等を用いてもよい。
【0078】
さらに、インデクサロボットIR、第1〜第6のセンターロボットCR1〜CR6およびインターフェース用搬送機構IFRには、それぞれ基板Wに対して直線的にスライドさせてハンドの進退動作を行う直動型搬送ロボットを用いているが、これに限定されず、関節を動かすことにより直線的にハンドの進退動作を行う多関節型搬送ロボットを用いてもよい。
【0079】
基板載置部PASS1に載置された未処理の基板Wは、反射防止膜用処理ブロック10の第1のセンターロボットCR1により受け取られる。第1のセンターロボットCR1は、その基板Wを反射防止膜用熱処理部100,101に搬入する。
【0080】
その後、第1のセンターロボットCR1は、反射防止膜用熱処理部100,101から熱処理済みの基板Wを取り出し、その基板Wを反射防止膜用塗布処理部50に搬入する。この反射防止膜用塗布処理部50では、露光時に発生する定在波やハレーションを減少させるために、塗布ユニットBARCにより基板W上に反射防止膜が塗布形成される。
【0081】
次に、第1のセンターロボットCR1は、反射防止膜用塗布処理部50から塗布処理済みの基板Wを取り出し、その基板Wを反射防止膜用熱処理部100,101に搬入する。その後、第1のセンターロボットCR1は、反射防止膜用熱処理部100,101から熱処理済みの基板Wを取り出し、その基板Wを基板載置部PASS3に載置する。
【0082】
基板載置部PASS3に載置された基板Wは、レジスト膜用処理ブロック11の第2のセンターロボットCR2により受け取られる。第2のセンターロボットCR2は、その基板Wをレジスト膜用熱処理部110,111に搬入する。
【0083】
その後、第2のセンターロボットCR2は、レジスト膜用熱処理部110,111から熱処理済みの基板Wを取り出し、その基板Wをレジスト膜用塗布処理部60に搬入する。このレジスト膜用塗布処理部60では、塗布ユニットRESにより反射防止膜が塗布形成された基板W上にレジスト膜が塗布形成される。
【0084】
次に、第2のセンターロボットCR2は、レジスト膜用塗布処理部60から塗布処理済みの基板Wを取り出し、その基板Wをレジスト膜用熱処理部110,111に搬入する。その後、第2のセンターロボットCR2は、レジスト膜用熱処理部110,111から熱処理済みの基板Wを取り出し、その基板Wを基板載置部PASS5に載置する。
【0085】
基板載置部PASS5に載置された基板Wは、現像処理ブロック12の第3のセンターロボットCR3により受け取られる。第3のセンターロボットCR3は、その基板Wを基板載置部PASS7に載置する。
【0086】
基板載置部PASS7に載置された基板Wは、レジストカバー膜用処理ブロック13の第4のセンターロボットCR4により受け取られる。第4のセンターロボットCR4は、その基板Wをレジストカバー膜用塗布処理部80に搬入する。このレジストカバー膜用塗布処理部80では、塗布ユニットCOVによりレジスト膜が塗布形成された基板W上にレジストカバー膜が塗布形成される。
【0087】
次に、第4のセンターロボットCR4は、レジストカバー膜用塗布処理部80から塗布処理済みの基板Wを取り出し、その基板Wをレジストカバー膜用熱処理部130,131に搬入する。その後、第4のセンターロボットCR4は、レジストカバー膜用熱処理部130,131から熱処理済みの基板Wを取り出し、その基板Wを基板載置部PASS9に載置する。
【0088】
基板載置部PASS9に載置された基板Wは、レジストカバー膜除去ブロック14の第5のセンターロボットCR5により受け取られる。第5のセンターロボットCR5は、その基板Wを基板載置部PASS11に載置する。
【0089】
基板載置部PASS11に載置された基板Wは、インターフェースブロック15の第6のセンターロボットCR6により受け取られ、後述するように、インターフェースブロック15および露光装置16において所定の処理が施される。インターフェースブロック15および露光装置16において基板Wに所定の処理が施された後、その基板Wは、第6のセンターロボットCR6によりレジストカバー膜除去ブロック14の露光後ベーク用熱処理部141に搬入される。
【0090】
露光後ベーク用熱処理部141においては、基板Wに対して露光後ベーク(PEB)が行われる。その後、第6のセンターロボットCR6は、露光後ベーク用熱処理部141から基板Wを取り出し、その基板Wを基板載置部PASS12に載置する。
【0091】
なお、本実施の形態においては露光後ベーク用熱処理部141により露光後ベークを行っているが、露光後ベーク用熱処理部140により露光後ベークを行ってもよい。
【0092】
基板載置部PASS12に載置された基板Wは、レジストカバー膜除去ブロック14の第5のセンターロボットCR5により受け取られる。第5のセンターロボットCR5は、その基板Wをレジストカバー膜除去用処理部90に搬入する。レジストカバー膜除去用処理部90においては、レジストカバー膜が除去される。
【0093】
次に、第5のセンターロボットCR5は、レジストカバー膜除去用処理部90から処理済みの基板Wを取り出し、その基板Wを基板載置部PASS10に載置する。
【0094】
基板載置部PASS10に載置された基板Wは、レジストカバー膜用処理ブロック13の第4のセンターロボットCR4により基板載置部PASS8に載置される。
【0095】
基板載置部PASS8に載置された基板Wは、現像処理ブロック12の第3のセンターロボットCR3により受け取られる。第3のセンターロボットCR3は、その基板Wを現像処理部70に搬入する。現像処理部70においては、露光された基板Wに対して現像処理が施される。
【0096】
次に、第3のセンターロボットCR3は、現像処理部70から現像処理済みの基板Wを取り出し、その基板Wを現像用熱処理部120,121に搬入する。その後、第3のセンターロボットCR3は、現像用熱処理部120,121から熱処理後の基板Wを取り出し、その基板Wを基板載置部PASS6に載置する。
【0097】
基板載置部PASS6に載置された基板Wは、レジスト膜用処理ブロック11の第2のセンターロボットCR2により基板載置部PASS4に載置される。基板載置部PASS4に載置された基板Wは反射防止膜用処理ブロック10の第1のセンターロボットCR1により基板載置部PASS2に載置される。
【0098】
基板載置部PASS2に載置された基板Wは、インデクサブロック9のインデクサロボットIRによりキャリアC内に収納される。これにより、基板処理装置500における基板Wの各処理が終了する。
【0099】
(2−2)インターフェースブロックの動作
次に、インターフェースブロック15の動作について詳細に説明する。
【0100】
上述したように、インデクサブロック9に搬入された基板Wは、所定の処理を施された後、レジストカバー膜除去ブロック14(図1)の基板載置部PASS11に載置される。
【0101】
基板載置部PASS11に載置された基板Wは、インターフェースブロック15の第6のセンターロボットCR6により受け取られる。第6のセンターロボットCR6は、その基板Wをエッジ露光部EEW(図4)に搬入する。このエッジ露光部EEWにおいては、基板Wの周縁部に露光処理が施される。
【0102】
次に、第6のセンターロボットCR6は、エッジ露光部EEWからエッジ露光済みの基板Wを取り出し、その基板Wを第1の洗浄/乾燥処理ユニットSD1のいずれかに搬入する。第1の洗浄/乾燥処理ユニットSD1においては、上述したように露光処理前の基板Wの洗浄および乾燥処理が行われる。
【0103】
ここで、露光装置16による露光処理の時間は、通常、他の処理工程および搬送工程よりも長い。その結果、露光装置16が後の基板Wの受け入れをできない場合が多い。この場合、基板Wは送りバッファ部SBF(図4)に一時的に収納保管される。本実施の形態では、第6のセンターロボットCR6は、第1の洗浄/乾燥処理ユニットSD1から洗浄および乾燥処理済みの基板Wを取り出し、その基板Wを送りバッファ部SBFに搬送する。
【0104】
次に、第6のセンターロボットCR6は、送りバッファ部SBFに収納保管されている基板Wを取り出し、その基板Wを載置兼冷却ユニットP−CPに搬入する。載置兼冷却ユニットP−CPに搬入された基板Wは、露光装置16内と同じ温度(例えば、23℃)に維持される。
【0105】
なお、露光装置16が十分な処理速度を有する場合には、送りバッファ部SBFに基板Wを収納保管せずに、第1の洗浄/乾燥処理ユニットSD1から載置兼冷却ユニットP−CPに基板Wを搬送してもよい。
【0106】
続いて、載置兼冷却ユニットP−CPで上記所定温度に維持された基板Wが、インターフェース用搬送機構IFRの上側のハンドH1(図4)により受け取られ、露光装置16内の基板搬入部16a(図1)に搬入される。
【0107】
露光装置16において露光処理が施された基板Wは、インターフェース用搬送機構IFRの下側のハンドH2(図4)により基板搬出部16b(図1)から搬出される。インターフェース用搬送機構IFRは、ハンドH2により、その基板Wを第2の洗浄/乾燥処理ユニットSD2のいずれかに搬入する。第2の洗浄/乾燥処理ユニットSD2においては、上述したように露光処理後の基板Wの洗浄および乾燥処理が行われる。
【0108】
第2の洗浄/乾燥処理ユニットSD2において洗浄および乾燥処理が施された基板Wは、インターフェース用搬送機構IFRのハンドH1(図4)により取り出される。インターフェース用搬送機構IFRは、ハンドH1により、その基板Wを基板載置部PASS13に載置する。
【0109】
基板載置部PASS13に載置された基板Wは、第6のセンターロボットCR6により受け取られる。第6のセンターロボットCR6は、その基板Wをレジストカバー膜除去ブロック14(図1)の露光後ベーク用熱処理部141に搬送する。
【0110】
なお、除去ユニットREM(図2)の故障等により、レジストカバー膜除去ブロック14が一時的に基板Wの受け入れをできないときは、戻りバッファ部RBFに露光処理後の基板Wを一時的に収納保管することができる。
【0111】
(3)洗浄/乾燥処理ユニット
次に、第1および第2の洗浄/乾燥処理ユニットSD1,SD2について詳細に説明する。第1および第2の洗浄/乾燥処理ユニットSD1,SD2の構成は互いに同じである。
【0112】
(3−1)構成
図5は、第1および第2の洗浄/乾燥処理ユニットSD1,SD2の構成を説明するための図である。図5に示すように、第1および第2の洗浄/乾燥処理ユニットSD1,SD2は、基板Wを水平に保持するとともに、基板Wの中心を通る鉛直な回転軸の周りで基板Wを回転させるためのスピンチャック621を備える。
【0113】
スピンチャック621は、チャック回転駆動機構636によって回転される回転軸625の上端に固定されている。また、スピンチャック621には吸気路(図示せず)が形成されており、スピンチャック621上に基板Wを載置した状態で吸気路内を排気することにより、基板Wの下面をスピンチャック621に真空吸着し、基板Wを水平姿勢で保持することができる。
【0114】
スピンチャック621により保持される基板Wの上方位置と外方位置との間で移動可能に洗浄液供給ノズル650、リンス液供給ノズル660および不活性ガス供給ノズル670が設けられている。洗浄液供給ノズル650、リンス液供給ノズル660および不活性ガス供給ノズル670は、図示しないノズル駆動機構によってそれぞれ独立に駆動される。
【0115】
洗浄液供給ノズル650は、洗浄液供給管651を介して洗浄液供給源R1に接続されている。洗浄液供給管651にはバルブVaが介挿されている。バルブVaを開くことにより洗浄液供給源R1から洗浄液供給ノズル650に洗浄液が供給される。洗浄液としては、例えば、純水、純水に錯体(イオン化したもの)を溶かした液またはフッ素系薬液が用いられる。
【0116】
リンス液供給ノズル660は、リンス液供給管661aを介して脱気モジュールDMに接続されている。また、脱気モジュールDMはリンス液供給管661bを介してリンス液供給源R2に接続されている。リンス液供給管661bにはバルブVbが介挿されている。バルブVbを開くことにより、洗浄液供給源R1から脱気モジュールDMにリンス液が供給される。脱気モジュールDMにおいて、リンス液に溶存する気体を除去する処理(以下、脱気処理と呼ぶ)が行われる。脱気処理後のリンス液が、リンス液供給ノズル660に供給される。脱気モジュールDMの具体的な構成については後述する。本実施の形態においては、リンス液として純水が用いられる。
【0117】
不活性ガス供給ノズル670は、不活性ガス供給管671を介して不活性ガス供給源R3に接続されている。不活性ガス供給管671にはバルブVcが介挿されている。バルブVcを開くことにより不活性ガス供給源R3から不活性ガス供給ノズル670に不活性ガスが供給される。不活性ガスとしては、例えば、窒素ガスが用いられる。なお、不活性ガスの代わりに、エアー(空気)等の他の気体を用いてもよい。
【0118】
スピンチャック621に保持された基板Wは、処理カップ623内に収容される。処理カップ623の内側には、筒状の仕切壁633が設けられている。また、スピンチャック621の周囲を取り囲むように、基板Wの処理に用いられた処理液(洗浄液またはリンス液)を排液するための排液空間631が形成されている。さらに、排液空間631を取り囲むように、処理カップ623と仕切壁633との間に、基板Wの処理に用いられた処理液を回収するための回収液空間632が形成されている。
【0119】
排液空間631には、排液処理装置(図示せず)へ処理液を導くための排液管634が接続され、回収液空間632には、回収処理装置(図示せず)へ処理液を導くための回収管635が接続されている。
【0120】
処理カップ623の上方には、基板Wからの処理液が外方へ飛散することを防止するためのガード624が設けられている。このガード624は、回転軸625に対して回転対称な形状からなっている。ガード624の上端部の内面には、断面く字状の排液案内溝641が環状に形成されている。
【0121】
また、ガード624の下端部の内面には、外側下方に傾斜する傾斜面からなる回収液案内部642が形成されている。回収液案内部642の上端付近には、処理カップ623の仕切壁633を受け入れるための仕切壁収納溝643が形成されている。
【0122】
このガード624には、ボールねじ機構等で構成されたガード昇降駆動機構(図示せず)が設けられている。ガード昇降駆動機構は、ガード624を、回収液案内部642がスピンチャック621に保持された基板Wの外周端面に対向する回収位置と、排液案内溝641がスピンチャック621に保持された基板Wの外周端面に対向する排液位置との間で上下動させる。ガード624が回収位置(図5に示すガードの位置)にある場合には、基板Wから外方へ飛散した処理液が回収液案内部642により回収液空間632に導かれ、回収管635を通して回収される。一方、ガード624が排液位置にある場合には、基板Wから外方へ飛散した処理液が排液案内溝641により排液空間631に導かれ、排液管634を通して排液される。以上の構成により、処理液の排液および回収が行われる。
【0123】
(3−2)動作
次に、上記構成を有する第1および第2の洗浄/乾燥処理ユニットSD1,SD2の処理動作について説明する。なお、以下に説明する第1および第2の洗浄/乾燥処理ユニットSD1,SD2の各構成要素の動作は、図1のメインコントロ−ラ(制御部)30により制御される。
【0124】
まず、基板Wの搬入時には、ガード624が下降するとともに、図1の第6のセンターロボットCR6またはインターフェース用搬送機構IFRが基板Wをスピンチャック621上に載置する。スピンチャック621上に載置された基板Wは、スピンチャック621により吸着保持される。
【0125】
次に、ガード624が上述した排液位置まで移動するとともに、洗浄液供給ノズル650が基板Wの中心部上方に移動する。その後、回転軸625が回転し、この回転に伴ってスピンチャック621に保持されている基板Wが回転する。その後、洗浄液供給ノズル650から基板Wの上面に洗浄液が吐出される。これにより、基板Wの洗浄が行われる。
【0126】
なお、第1の洗浄/乾燥処理ユニットSD1においては、この洗浄時に基板W上のレジストカバー膜の成分が洗浄液中に溶出する。また、基板Wの洗浄においては、基板Wを回転させつつ基板W上に洗浄液を供給している。この場合、基板W上の洗浄液は遠心力により常に基板Wの周縁部へと移動し飛散する。したがって、洗浄液中に溶出したレジストカバー膜の成分が基板W上に残留することを防止することができる。
【0127】
なお、上記のレジストカバー膜の成分は、例えば、基板W上に純水を盛って一定時間保持することにより溶出させてもよい。また、基板W上への洗浄液の供給は、二流体ノズルを用いたソフトスプレー方式により行ってもよい。
【0128】
所定時間経過後、洗浄液の供給が停止されるとともに洗浄液供給ノズル650が退避する。続いて、リンス液供給ノズル660が基板Wの中心部上方に移動し、基板Wの上面にリンス液を吐出する。これにより、基板W上の洗浄液が洗い流される。その後、基板Wの乾燥処理が行われる。基板Wの乾燥処理の詳細については後述する。
【0129】
その後、回転軸625の回転が停止し、ガード624が下降する。そして、図1の第6のセンターロボットCR6またはインターフェース用搬送機構IFRが基板Wを搬出する。これにより、第1および第2の洗浄/乾燥処理ユニットSD1,SD2における処理動作が終了する。なお、洗浄および乾燥処理中におけるガード624の位置は、処理液の回収または排液の必要性に応じて適宜変更することが好ましい。
【0130】
なお、上記実施の形態においては、洗浄液供給ノズル650により洗浄液を供給し、リンス液供給ノズル660によりリンス液を供給しているが、洗浄液およびリンス液のいずれをも供給できる共通のノズルを用いてもよい。また、洗浄液供給ノズル650およびリンス液供給ノズル660としては、ストレートノズルまたはスリットノズル等の種々のノズルを用いることができる。
【0131】
また、基板Wの汚染が軽微な場合、洗浄液を用いた洗浄を行わなくてもよい。この場合、以下に示すようなリンス液を用いた乾燥処理を行うことで基板W上の汚染物を十分に取り除くことができる。
【0132】
(3−3)基板の乾燥処理の詳細
以下、第1および第2の洗浄/乾燥処理ユニットSD1,SD2における基板Wの乾燥処理について詳細に説明する。
【0133】
通常、遠心力を利用して基板Wの乾燥を行う場合、基板W上にリンス液の微小な液滴が残留しやすい。これは、微小な液滴にはその質量に応じた小さな遠心力しか働かないので、基板Wから引き離すことが困難となるためである。また、基板Wの中心部近傍に微小な液滴が付着している場合には、液滴に働く遠心力がさらに小さくなるので、取り除くことがさらに困難となる。基板W上のレジストカバー膜の疎水性が高い場合には、このような液滴が特に形成されやすい。
【0134】
本実施の形態では、微小な液滴の残留が防止され、基板W上のリンス液を確実に取り除くことができる。以下、図6〜図9を用いて詳細を説明する。
【0135】
図6は基板Wの乾燥処理を段階的に示す図であり、図7は基板Wの乾燥処理時におけるリンス液の移動を説明するための図である。図8は回転軸625の回転速度を時系列で示す図である。
【0136】
上記のように、基板Wの洗浄処理後、リンス液により基板Wの上の洗浄液が洗い流される。その後、回転軸625(図5)の回転速度が低下する。これにより、基板Wの回転によって振り切られるリンス液の量が減少し、図6(a)に示すように、基板Wの表面全体にリンス液の液層Lが形成される。なお、リンス液の供給および回転軸625の回転を一旦停止してから再度回転軸625を低回転速度で回転させて基板W上に液層Lを形成してもよく、または、回転軸625の回転を停止した状態で基板W上に液層Lを形成してもよい。
【0137】
次に、リンス液の供給が停止されるとともにリンス液供給ノズル660が退避し、次いで、回転軸625の回転速度が上昇する。この場合、液層Lの中心部に働く遠心力は周縁部に働く遠心力に比べて小さい。そのため、液層Lの中心部には、周縁部に働く遠心力に釣り合う張力が働く。それにより、液層Lは外方に飛散することなく基板上で保持される。回転速度の上昇により、遠心力が張力よりもやや大きくなることにより、液層Lは、図6(b)に示すように、周縁部の厚みが厚くなるとともに中心部の厚みが薄くなった状態で基板W上に保持される。
【0138】
次に、不活性ガス供給ノズル670が基板Wの中心部上方に移動し、図6(c)に示すように、不活性ガス供給ノズル670から液層Lの中心部に向けて不活性ガスが吐出され、液層Lの中心部にホール(孔)Hが形成される。それにより、液層Lの周縁部に働く遠心力に釣り合う張力が消滅する。また、不活性ガスの吐出とともに回転軸625の回転速度がさらに上昇する。それにより、図6(d)および図6(e)に示すように、液層Lが基板Wの外方に向かって移動する。
【0139】
このとき、液層Lは、図7(a)〜図7(c)に示すように、複数の領域に分離されずに、表面張力により円環形状を保持した状態で一体的に基板Wの外方へ移動する。それにより、リンス液の微小液滴の形成が抑制され、基板W上の液体を取り除くことができる。
【0140】
続いて、基板Wの乾燥処理時における回転軸625の回転速度について詳細に説明する。
【0141】
図8に示すように、期間T1には、回転速度S1で回転軸625が回転される。回転速度S1は、例えば10rpmである。この期間T1内において、基板W上にリンス液が供給される。この場合、基板Wが水平面に対して僅かに傾いた状態であっても、液層Lを基板W上に均一に形成することができる。なお、基板W上の全域に均一に液層Lを形成することができるのであれば、期間T1においては回転軸625の回転を停止してもよい。
【0142】
次に、期間T2には、回転速度S1よりも高い回転速度S2で回転軸625が回転される。回転速度S2は、例えば10〜100rpmである。それにより、液層Lが基板W上の全域に広がるとともに、表面張力により基板W上に保持される。
【0143】
次に、期間T3には、回転速度S2よりも高い回転速度S3で回転軸625が回転される。回転速度S3は、例えば200〜1000rpmである。期間T2から期間T3に移行する際に、基板Wに不活性ガスが吐出される。この場合、円環形状を保持した状態で液層Lを一体的に基板Wの外方へ移動させることができる。
【0144】
なお、不活性ガスの吐出のタイミングは、期間T2から期間T3へ移行する直前でもよく、期間T3へ移行した直後でもよい。また、不活性ガスの吐出時間は、例えば0.5〜8secである。すなわち、液層LにホールH(図6)が形成されるだけの短時間のみ不活性ガスが吐出されてもよく、または基板W上から液層Lが取り除かれるまで継続的に不活性ガスが吐出されてもよい。
【0145】
なお、上記の回転軸625の回転速度は、基板W上のレジストカバー膜の疎水性、またはリンス液の濡れ性(例えば、接触角)等に応じて適宜変更してもよい。例えば、レジストカバー膜の疎水性が高い場合には、液層Lが複数の領域に分離して液滴が形成されやすくなるため、回転軸625の回転速度をより低く設定することが好ましい。
【0146】
また、本実施の形態では、図8に示すように、回転軸625の回転速度が、回転速度S1,S2,S3の3段階で上昇するが、これに限らず、2段階または4段階以上で上昇してもよく、あるいは、段階的ではなく連続的に上昇してもよい。
【0147】
(3−4)液層に含まれる気泡について
上記の乾燥処理時において、基板W上に形成される液層Lに気泡が含まれていると、その気泡によって基板Wの外方に向かう液層Lの動きが変化する場合がある。図9は、気泡による液層Lの動きの変化の一例を示す図である。
【0148】
図9(a)〜図9(c)に示すように、液層Lに気泡が含まれていると、遠心力で液層Lの中心部付近の厚みが薄くなったときに液層Lの中心部からずれた位置で気泡が破裂し、ホールHaが形成されることがある。この場合、ホールHaにおいて液層Lの張力が消滅し、ホールHaを始点として液層Lが基板Wの外方に向かって移動する。
【0149】
この場合、液層Lに加わる遠心力がホールHaを中心として対称でないので、液層Lが円環形状に保持されない。そのため、液層Lが分離して基板W上に液滴が残留する。
【0150】
また、ホールHaが、不活性ガスの吐出によるホールHと同時に形成される場合がある。あるいは複数のホールHaが同時に形成される場合もある。これらの場合にも、液層Lが円環形状に保持されない。そのため、液層Lが分離して基板W上に液滴が残留しやすくなる。
【0151】
基板W上に液滴が残留すると、基板W上にウォーターマーク等の反応生成物が生成され、現像欠陥の原因となる。
【0152】
そこで、本実施の形態では、脱気モジュールDMによってリンス液の脱気処理が行われる。この場合、液層L内に気泡が発生することを抑制することができる。それにより、気泡の破裂によるホールHaの形成を防止することができ、液層Lを複数の領域に分離させることなく円環形状を保持した状態で確実に基板Wの外方に移動させることができる。したがって、基板W上における液滴の残留を防止することができる。その結果、ウォーターマーク等の反応生成物の生成を抑制することができる。
【0153】
図10には、脱気処理後のリンス液を用いた場合と、脱気処理前のリンス液を用いた場合との比較結果が示される。ここでは、リンス液中の酸素濃度の比較および乾燥処理後に基板W上に生成されるウォーターマーク数の比較を行った。
【0154】
図10に示すように、脱気処理前のリンス液中の酸素濃度は、4.0mg/Lであった。そのリンス液を用いて上記の乾燥処理を行った結果、基板W上に約500個のウォーターマークが生成された。一方、脱気処理後のリンス液中の酸槽濃度は、1.7mg/Lであった、そのリンス液を用いて上記の乾燥処理を行った結果、基板W上には、約60個のウォーターマークしか生成されなかった。
【0155】
このように、脱気処理を行ったリンス液を用いて上記の乾燥処理を行うことにより、基板W上に生成される反応生成物の数が大幅に低減されることがわかった。
【0156】
(3−5)脱気モジュールの構成
図11は、脱気モジュールDMの具体的な構成例を示す模式的断面図である。図11に示す脱気モジュールDMは、継手部701,702、液流路703および真空チャンバ704を備える。
【0157】
真空チャンバ704の一端部に継手部701が取り付けられ、他端部に継手部702が取り付けられる。真空チャンバ704の内部は、気密に封止される。真空チャンバ704内において、継手部701に液流路703の一端が接続され、継手部702に液流路703の他端が接続される。液流路703は、中空糸膜からなる複数の細管によって構成される。
【0158】
真空チャンバ704の外部において、継手部701にリンス液供給管661bが接続され、継手部702にリンス液供給管661aが接続される。リンス液がリンス液供給管661aから継手部701を介して液流路703に流入し、継手部702を介してリンス液供給管661bに流出する。
【0159】
真空チャンバ704は、脱気用配管705を介して真空吸引源706に接続されている。真空吸引源706は、例えば工場内の真空ラインである。真空吸引源706により、真空チャンバ704内の真空吸引が行われる。脱気用配管705には、真空チャンバ704内の真空圧を調整するための真空圧調整バルブ707が介挿されている。
【0160】
この脱気モジュールDMにおいては、リンス液が液流路703を流れる際に、中空糸膜を通してリンス液から溶存気体が除去される。脱気処理後のリンス液は、リンス液供給管661aを通して図5のリンス液供給ノズル660に導かれ、基板W上に供給される。
【0161】
(4)本実施の形態の効果
本実施の形態では、インターフェースブロック15の第2の洗浄/乾燥処理ユニットSD2において、露光処理後の基板Wの乾燥処理が行われる。この場合、脱気処理を行ったリンス液を用いて基板W上に液層Lを形成し、遠心力および表面張力を利用して液層Lを一体的に基板Wの外方に移動させる。それにより、微小な液滴が基板W上に残留することなく、基板W上の洗浄液およびリンス液を確実に取り除くことができる。したがって、基板W上におけるウォーターマーク等の反応生成物の生成を抑制することができる。その結果、基板Wの処理不良の発生を防止することができる。
【0162】
また、第2の洗浄/乾燥処理ユニットSD2においては、乾燥処理前に基板Wの洗浄処理が行われる。この場合、露光処理時に液体が付着した基板Wに雰囲気中の塵埃等が付着しても、その付着物を取り除くことができる。それにより、基板Wの汚染を防止することができる。その結果、基板の処理不良を確実に防止することができる。
【0163】
また、露光装置16において基板Wの露光処理が行われる前に、第1の洗浄/乾燥処理ユニットSD1において基板Wの洗浄処理が行われる。この洗浄処理時に、基板W上のレジストカバー膜の成分の一部が洗浄液またはリンス液中に溶出し、洗い流される。そのため、露光装置16において基板Wが液体と接触しても、基板W上のレジストカバー膜の成分は液体中にほとんど溶出しない。また、露光処理前の基板Wに付着した塵埃等を取り除くことができる。これらの結果、露光装置16内の汚染が防止される。
【0164】
また、第1の洗浄/乾燥処理ユニットSD1においては、基板Wの洗浄処理後に基板Wの乾燥処理が行われる。この場合も、第2の洗浄/乾燥処理ユニットSD2と同様に、微小な液滴が基板W上に残留することなく、基板W上の洗浄液およびリンス液を確実に取り除くことができる。したがって、基板W上におけるウォーターマーク等の反応生成物の生成を抑制することができる。その結果、基板Wの処理不良の発生を防止することができる。
【0165】
また、洗浄処理時に基板Wに付着した洗浄液またはリンス液が取り除かれることにより、露光処理前に洗浄液またはリンス液が基板W上のレジストカバー膜またはレジスト膜に染み込むことが防止される。それにより、露光処理時における解像性能の劣化を防止することができる。
【0166】
(5)他の実施の形態
現像処理ブロック12の現像処理ユニットDEVにおいて、上記と同様の乾燥処理を行ってもよい。図12は、現像処理ユニットDEVの構成を説明するための図である。図12の現像処理ユニットDEVについて、図5の第1および第2の洗浄/乾燥処理ユニットSD1,SD2と異なる点を説明する。
【0167】
図12に示すように、現像処理ユニットDEVは、スピンチャック621の代わりにスピンチャック71を備え、洗浄液供給ノズル650の代わりに現像液供給ノズル71を備える。現像液供給ノズル71は、現像液供給管751を介して現像液供給源R4に接続されている。現像液供給管751には、バルブVdが介挿されている。バルブVdを開くことにより、現像液供給源R4から現像液供給ノズル71に現像液が供給される。
【0168】
現像処理時には、現像液供給ノズル71が基板Wの中心部上方に移動する。そして、スピンチャック21によって基板Wが回転する状態で現像液供給ノズル71から基板Wの中心部に現像液が吐出される。この場合、基板Wの回転に伴う遠心力によって現像液が基板Wの中心部から周縁部に広がる。それにより、基板W上に現像液が液盛される。なお、基板Wの回転を停止した状態で基板W上への現像液の液盛を行ってもよい。その後、現像液供給ノズル71からの現像液の吐出が停止されるとともに基板Wの回転が停止される。基板W上では、レジスト膜の溶解反応が進行する。
【0169】
所定時間経過後、リンス液供給ノズル660が基板の中心部上方に移動し、リンス液供給ノズル660から基板W上にリンス液が吐出される。それにより、レジスト膜の溶解反応が停止される。続いて、基板Wが高速で回転する状態でリンス液供給ノズル660から継続的にリンス液が吐出され、基板W上の現像液が洗い流される。なお、基板Wの回転を停止した状態で基板上の現像液を洗い流してもよい。
【0170】
この後、図6〜図8に示した基板Wの乾燥処理が行われ、基板Wに付着するリンス液が除去される。この場合、脱気モジュールDMによる脱気処理後のリンス液が用いられる。そのため、基板W上に形成されるリンス液の液層L内の気泡の量が低減される。それにより、リンス液の液層Lを複数の領域に分離させることなく円環形状を保持した状態で確実に基板Wの外方に移動させることができる。
【0171】
したがって、微小な液滴が基板W上に残留することなく、基板W上のリンス液を確実に取り除くことができる。その結果、基板W上に残留する液滴に起因する現像欠陥を確実に防止することができる。
【0172】
(6)さらに他の実施の形態
上記実施の形態では、第1および第2の洗浄/乾燥処理ユニットSD1,SD2がインターフェースブロック15内に配置されるが、第1および第2の洗浄/乾燥処理ユニットSD1,SD2の少なくとも一方が図1に示すレジストカバー膜除去ブロック14内に配置されてもよい。あるいは、第1および第2の洗浄/乾燥処理ユニットSD1,SD2の少なくとも一方を含む洗浄/乾燥処理ブロックを図1に示すレジストカバー膜除去ブロック14とインターフェースブロック15との間に設けてもよい。
【0173】
また、第1の洗浄/乾燥処理ユニットSD1、第2の洗浄/乾燥処理ユニットSD2、塗布ユニットBARC,RES、COV、現像処理ユニットDEV、除去ユニットREM、加熱ユニットHP、冷却ユニットCPおよび載置兼冷却ユニットP−CPの個数は、各処理ブロックの処理速度に合わせて適宜変更してもよい。
【0174】
(7)請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0175】
上記実施の形態では、第1の洗浄/乾燥処理ユニットSD1、第2の洗浄/乾燥処理ユニットSD2または現像処理ユニットDEVが基板乾燥装置の例であり、スピンチャック71,621が基板回転保持手段の例であり、リンス液供給ノズル660および脱気モジュールDMが液層形成手段の例であり、不活性ガス供給ノズル670が気体吐出手段の例であり、脱気モジュールDMが気体除去手段の例であり、リンス液供給ノズル660がリンス液供給手段の例であり、液流路703が気体透過流路の例であり、真空チャンバ704が気体収容室の例であり、脱気用配管705が真空吸引手段の例である。
【0176】
また、インデクサブロック9、反射防止膜用処理ブロック10、レジスト膜用処理ブロック11、現像処理ブロック12、レジストカバー膜用処理ブロック13およびレジストカバー膜除去ブロック14が処理部の例であり、インターフェースブロック15が受け渡し部の例である。
【0177】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0178】
本発明は、種々の基板の処理等に有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0179】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る基板処理装置の平面図である。
【図2】図1の基板処理装置を+X方向から見た概略側面図である。
【図3】図1の基板処理装置を−X方向から見た概略側面図である。
【図4】インターフェースブロックを+Y側から見た概略側面図である。
【図5】第1および第2の洗浄/乾燥処理ユニットの構成を説明するための図である。
【図6】基板の乾燥処理を段階的に示す図である。
【図7】基板の乾燥処理時におけるリンス液の移動を説明するための図である。
【図8】回転軸の回転速度を時系列で示す図である。
【図9】気泡による液層の動きの変化の一例を示す図である。
【図10】脱気処理後のリンス液を用いた場合と脱気処理前のリンス液を用いた場合との比較結果を示す図である。
【図11】脱気モジュールの具体的な構成例を示す模式的断面図である。
【図12】現像処理ユニットの構成を説明するための図である。
【符号の説明】
【0180】
9 インデクサブロック
10 反射防止膜用処理ブロック
11 レジスト膜用処理ブロック
12 現像処理ブロック
13 レジストカバー膜用処理ブロック
14 レジストカバー膜除去ブロック
15 インターフェースブロック
16 露光装置
500 基板処理装置
71,621 スピンチャック
650 洗浄液供給ノズル
660 リンス液供給ノズル
670 不活性ガス供給ノズル
DM 脱気モジュール
SD1 第1の洗浄/乾燥処理ユニット
SD2 第2の洗浄/乾燥処理ユニット
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の乾燥処理を行う基板乾燥装置であって、
基板を略水平に保持しつつ回転させる基板回転保持手段と、
前記基板回転保持手段に保持された基板上にリンス液の液層を形成する液層形成手段と、
前記基板回転保持手段により基板が回転する状態で、前記液層形成手段により基板上に形成されたリンス液の液層の中心部に向けて気体を吐出する気体吐出手段とを備え、
前記液層形成手段は、
リンス液から気体を除去する気体除去手段と、
前記気体除去手段により気体が除去されたリンス液を基板上に供給するリンス液供給手段とを含むことを特徴とする基板乾燥装置。
【請求項2】
前記基板回転保持手段は、前記液層形成手段によるリンス液の液層の形成時に基板を第1の回転速度で回転させ、前記液層形成手段によるリンス液の液層の形成後に基板の回転速度を第2の回転速度まで段階的または連続的に上昇させ、
前記気体吐出手段は、前記第1の回転速度よりも高く前記第2の回転速度よりも低い第3の回転速度で回転する基板上のリンス液の液層に気体を吐出することを特徴とする請求項1記載の基板乾燥装置。
【請求項3】
前記基板回転保持手段は、前記液層形成手段によるリンス液の液層の形成後であって前記気体吐出手段による気体の吐出前に、基板の回転速度を前記第1の回転速度よりも高く前記第2の回転速度よりも低い第4の回転速度に所定時間維持することを特徴とする請求項2記載の基板乾燥装置。
【請求項4】
前記気体除去手段は、
気体透過膜からなり、リンス液が導入される気体透過流路と、
前記気体透過流路を気密に収容する気体収容室と、
前記気体収容室内を真空吸引する真空吸引手段とを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の基板乾燥装置。
【請求項5】
露光装置に隣接するように配置される基板処理装置であって、
基板に処理を行うための処理部と、
前記処理部と前記露光装置との間で基板の受け渡しを行うための受け渡し部とを備え、
前記処理部および前記受け渡し部の少なくとも一方は、
基板の乾燥処理を行う基板乾燥装置を含み、
前記基板乾燥装置は、
基板を略水平に保持しつつ回転させる基板回転保持手段と、
前記基板回転保持手段に保持された基板上にリンス液の液層を形成する液層形成手段と、
前記基板回転保持手段により基板が回転する状態で、前記液層形成手段により基板上に形成されたリンス液の液層の中心部に向けて気体を吐出する気体吐出手段とを備え、
前記液層形成手段は、
リンス液から気体を除去する気体除去手段と、
前記気体除去手段により気体が除去されたリンス液を基板上に供給するリンス液供給手段とを含むことを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
前記基板乾燥装置は、前記露光装置による露光処理後に基板の乾燥処理を行うことを特徴とする請求項5記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記基板乾燥装置は、前記露光装置による露光処理前に基板の乾燥処理を行うことを特徴とする請求項5または6記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記基板乾燥装置は、
前記基板回転保持手段に保持された基板上に現像液を供給する現像液供給手段をさらに含み、
前記液層形成手段は、前記基板回転保持手段に保持された基板上にリンス液を供給することにより基板上の現像液を洗い流した後、基板上にリンス液の液層を形成することを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−260034(P2009−260034A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−107168(P2008−107168)
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【出願人】(506322684)株式会社SOKUDO (158)
【Fターム(参考)】