基板保持具及びその製造方法
【課題】支持板の突起加工を省略して密着保持層の安定した姿勢での支持や気体流通空間の区画を実現し、支持板の損傷を防ぐことのできる基板保持具及びその製造方法を提供する。
【解決手段】支持用の支持板1と、この支持板1の表面に貼着されて半導体ウェーハWを着脱自在に保持する可撓性の密着保持層10とを備え、支持板1の表面と密着保持層10との間に気体流通空間13を形成し、支持板1の中央部厚さ方向に、気体流通空間13の空気を外部に排気して密着保持層10を凹凸に変形させる排気孔2を穿孔した保持具で、支持板1の平坦な表面に貼着される密着保持層10の被貼着面11に複数の凹凸12を形成することにより、密着保持層10の姿勢を安定させ、かつ気体流通空間13を区画形成する。密着保持層10の被貼着面11に凹凸12を形成するので、支持板1に微細な突起を多数形成する必要がない。
【解決手段】支持用の支持板1と、この支持板1の表面に貼着されて半導体ウェーハWを着脱自在に保持する可撓性の密着保持層10とを備え、支持板1の表面と密着保持層10との間に気体流通空間13を形成し、支持板1の中央部厚さ方向に、気体流通空間13の空気を外部に排気して密着保持層10を凹凸に変形させる排気孔2を穿孔した保持具で、支持板1の平坦な表面に貼着される密着保持層10の被貼着面11に複数の凹凸12を形成することにより、密着保持層10の姿勢を安定させ、かつ気体流通空間13を区画形成する。密着保持層10の被貼着面11に凹凸12を形成するので、支持板1に微細な突起を多数形成する必要がない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハ等の基板を着脱自在に密着保持する基板保持具及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の基板保持具は、図示しないが、支持用の支持板と、この支持板の少なくとも表面周縁部に貼着されて半導体ウェーハを着脱自在に保持する可撓性の密着保持層とを備えて構成されている。
【0003】
支持板は、例えばSUS、ガラス、シリコンウェーハ等の所定の材料を使用して円板に形成され、周縁部を除く表面に断面皿形の凹部が凹み形成されるとともに、この凹部内の平坦な底面に、密着保持層の裏面を接着支持する多数の突起が間隔をおいて配列形成されており、この多数の突起と密着保持層との間に空気を流通させる気体流通空間が区画形成されている。
【0004】
各突起は、例えばサンドブラストや切削等の方法により微細な柱形に形成され、密着保持層を平坦に支持するよう機能する。また、支持板には、気体流通空間の空気を外部に排気する排気孔が穿孔され、この排気孔から気体流通空間の空気が外部に排気されることにより、密着保持層が変形して半導体ウェーハを取り外し可能とする(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007‐123651号公報
【特許文献2】特開2007‐123411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来における基板保持具は、以上のように構成され、優れた作用効果が期待できるものの、密着保持層の安定した姿勢での支持や気体流通空間の区画のため、支持板の凹部内に微細な突起が多数形成される必要があるので、支持板を難加工の硬質材料により製造する場合には、突起の形成が実に煩雑になり、作業が遅延するおそれがあるという問題がある。また、支持板をガラス等により製造する場合には、突起の形成中に支持板が割れ易く、しかも、突起の形成後にも、表面に生じた加工痕が支持板の破損の原因になりやすいという問題がある。
【0007】
本発明は上記に鑑みなされたもので、支持板の突起加工を省略して密着保持層の姿勢の安定化や気体流通空間の区画を実現することができ、しかも、支持板の損傷を防ぐことのできる基板保持具及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明においては上記課題を解決するため、支持板と、この支持板に貼り付けられて基板を着脱自在に保持する可撓性の密着保持層とを備え、支持板と密着保持層との間に気体流通空間を形成し、支持板に、気体流通空間の気体を外部に排気して密着保持層を変形させる排気孔を設けたものであって、
密着保持層の支持板に貼り付けられる被貼付面を凹凸に形成することにより、密着保持層の姿勢を安定させ、かつ気体流通空間を区画形成したことを特徴としている。
【0009】
また、本発明においては上記課題を解決するため、支持板と、この支持板に貼り付けられて基板を着脱自在に保持する可撓性の密着保持層とを用い、請求項1記載の基板保持具を製造する基板保持具の製造方法であって、
密着保持層の支持板に貼り付けられる被貼付面を凹凸に形成し、支持板に密着保持層の被貼付面を貼り付けて支持板と密着保持層との間に気体流通空間を区画形成し、かつ密着保持層の姿勢を安定させることを特徴としている。
【0010】
ここで、特許請求の範囲における支持板と密着保持層とは、同じ大きさでも良いし、異なる大きさでも良い。支持板は、何ら材質が限定されることはないが、脆弱の基板を十分にサポートし得る剛性を有することが好ましい。また、基板には、少なくとも各種大きさの半導体ウェーハ、ガラス基板、マスク基板、配線板等が単数複数含まれる。さらに、凹凸は、各種の成形法、転写法、熱プレス法等により、密着保持層の被貼付面に形成されて気体流通空間を形成する。この凹凸の凸部は、各種の柱形や錐台形等に形成することができる。
【0011】
本発明によれば、密着保持層の被貼付面に凹凸を形成して支持板に重ねることにより、密着保持層を安定した姿勢で支持するとともに、支持板と密着保持層との間に気体流通空間を形成することができるので、支持板に突起を形成する必要がない。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、密着保持層の支持板に貼り付けられる被貼付面を凹凸に形成するので、支持板の突起加工を省略して密着保持層の姿勢の安定化や気体流通空間の区画を実現することができ、しかも、支持板の損傷を防ぐことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る基板保持具及びその製造方法の実施形態を模式的に示す断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明すると、本実施形態における基板保持具は、図1に示すように、支持用の支持板1と、この支持板1に積層貼着されて半導体ウェーハWを着脱自在に保持する可撓性の密着保持層10とを備え、これら支持板1と密着保持層10との間に気体流通空間13を形成し、支持板1に、密着保持層10を変形させる排気孔2を穿孔した保持具で、支持板1の表面に貼着される密着保持層10の被貼着面11に複数の凹凸12を形成することにより、密着保持層10の姿勢を安定させ、かつ気体流通空間13を区画形成するようにしている。
【0015】
支持板1は、所定の材料を使用して密着保持層10と略同じ大きさの平面円形の板に形成され、表裏両面がそれぞれ平坦とされる。この支持板1は、ハンダリフロー工程等の耐熱性が要求される場合には、例えば金属(鉄系、SUS、チタン、アルミニウム等)、耐熱性の樹脂(液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド等)、複合材(ガラスエポキシ、C/Cコンポジット、ガラス/PPE、ガラス/BTレジン等)、セラミックス等を使用して形成される。
【0016】
また、支持板1に耐熱性が要求されない場合には、例えばポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート製の板が支持板1として使用される。
【0017】
支持板1の中央部厚さ方向には、気体流通空間13の空気を外部に排気する排気孔2が筒形に貫通して穿孔され、この排気孔2の下端部に真空ポンプ等からなるバキューム装置3が着脱自在に接続される。そして、このバキューム装置3が駆動することにより、平坦な密着保持層10が凸凹に変形して保持した半導体ウェーハWとの間に空気流入用の隙間を形成し、密着保持層10から半導体ウェーハWが取り外し可能となる。
【0018】
密着保持層10は、所定の材料を使用して自己密着性を有する弾性変形可能な平面円形の膜に形成され、支持板1の平坦な表面に貼着される裏面である被貼着面11に複数の凹凸12が一体形成されており、この複数の凹凸12の凸部14が従来の支持板1の突起として機能して支持板1の表面との間に気体流通空間13を区画形成したり、形状や姿勢を安定させる。
【0019】
密着保持層10は、例えばシリコーンゴム、フッ素ゴム、熱可塑性エラストマー、合成ゴム、天然ゴム等の材料により、凹凸12を含む全体の厚さが50〜500μm程度に成形され、支持板1の表面に耐熱性の接着剤や接着テープにより接着されたり、シリコーン系やフッ素ゴム系の粘着剤、粘着テープにより粘着される。
【0020】
凹凸12は、密着保持層10の周縁部以外の被貼着面11に各種の成形法や熱プレス転写法により成形され、複数の凸部14が密着保持層10全体の厚さの2/3〜1/4程度の高さとされる。この複数の凸部14は、密着保持層10の平坦な姿勢や支持を安定させる観点から全て同じ高さに形成され、凸部14と凸部14との間に空気を流通させる空隙が形成されており、各凸部14が支持板1の表面に接触したり、接着する円柱形に形成される。
【0021】
凹凸12の成形に際しては、例えば密着保持層10がミラブルシリコーンゴムで成形される場合には、金型でプレス成形され、密着保持層10が液状シリコーンゴムで成形される場合には、金型でLIMS成形される。また、密着保持層10が熱可塑性エラストマーで成形される場合には、熱プレス転写される。
【0022】
上記構成において、基板保持具を製造する場合には、先ず、支持板1を所定の材料により形成し、必要に応じて支持板1の表裏両面をそれぞれ平坦とし、支持板1の中央部厚さ方向に排気孔2を穿孔する。また、密着保持層10を所定の材料により成形し、この密着保持層10の裏面である被貼着面11に複数の凹凸12を同時にあるいは後から成形する。これら支持板1と密着保持層10との製造順序は、特に問うものではなく、必要に応じて変更することができる。
【0023】
こうして支持板1と密着保持層10とを別々に得たら、支持板1の表面に密着保持層10の被貼着面11とその複数の凸部14を積層して強固に接着又は粘着し、支持板1と密着保持層10との間に気体流通空間13を区画形成すれば、基板保持具を製造することができる。
【0024】
次に、基板保持具に半導体ウェーハWを保持させる場合には、密着性を有する密着保持層10の平坦な表面に半導体ウェーハWを重ねて押圧すれば、半導体ウェーハWを隙間なく密着保持させることができる。この際、支持板1の表面に被貼着面11の複数の凸部14がそれぞれ接触しているので、密着保持層10が一部凹んだり、傾くことがなく、半導体ウェーハWを安定した状態で保持することができる。
【0025】
これに対し、基板保持具から半導体ウェーハWを取り外したい場合には、支持板1の排気孔2にバキューム装置3を接続して駆動すれば良い。すると、気体流通空間13が負圧化されるので、平坦な密着保持層10が波打ち、密着保持層10と半導体ウェーハWとの間に空気流入用の隙間が形成され、密着保持層10から半導体ウェーハWを簡単に取り外すことができる。
【0026】
上記構成によれば、密着保持層10の被貼着面11に凹凸12を形成して密着保持層10を平坦な安定状態に支持したり、気体流通空間13を得るので、支持板1の表面に断面皿形の凹部を凹み形成したり、微細な突起を多数形成する必要が全くない。したがって、突起の形成作業に伴う煩雑化、複雑化、遅延化を有効に抑制防止することができる。また、支持板1を難加工の硬質材料により製造することもできる。さらに、突起の形成中に支持板1が割れたり、加工痕が支持板1の破損の原因になることもなく、基板保持具を長期に亘り使用することができる。
【0027】
なお、上記実施形態では支持板1の表面に密着保持層10を接着剤により接着したり、粘着剤により粘着したが、何らこれに限定されるものではない。例えば、密着保持層10の密着性を利用し、支持板1の表面に密着保持層10を直接的に密着固定しても良い。また、支持板1と密着保持層10とを平面楕円形、矩形、多角形等としても良い。さらに、支持板1の側部厚さ方向等に排気孔2を穿孔しても良い。
【符号の説明】
【0028】
1 支持板
2 排気孔
10 密着保持層
11 被貼着面(被貼付面)
12 凹凸
13 気体流通空間
14 凸部
W 半導体ウェーハ(基板)
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハ等の基板を着脱自在に密着保持する基板保持具及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の基板保持具は、図示しないが、支持用の支持板と、この支持板の少なくとも表面周縁部に貼着されて半導体ウェーハを着脱自在に保持する可撓性の密着保持層とを備えて構成されている。
【0003】
支持板は、例えばSUS、ガラス、シリコンウェーハ等の所定の材料を使用して円板に形成され、周縁部を除く表面に断面皿形の凹部が凹み形成されるとともに、この凹部内の平坦な底面に、密着保持層の裏面を接着支持する多数の突起が間隔をおいて配列形成されており、この多数の突起と密着保持層との間に空気を流通させる気体流通空間が区画形成されている。
【0004】
各突起は、例えばサンドブラストや切削等の方法により微細な柱形に形成され、密着保持層を平坦に支持するよう機能する。また、支持板には、気体流通空間の空気を外部に排気する排気孔が穿孔され、この排気孔から気体流通空間の空気が外部に排気されることにより、密着保持層が変形して半導体ウェーハを取り外し可能とする(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007‐123651号公報
【特許文献2】特開2007‐123411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来における基板保持具は、以上のように構成され、優れた作用効果が期待できるものの、密着保持層の安定した姿勢での支持や気体流通空間の区画のため、支持板の凹部内に微細な突起が多数形成される必要があるので、支持板を難加工の硬質材料により製造する場合には、突起の形成が実に煩雑になり、作業が遅延するおそれがあるという問題がある。また、支持板をガラス等により製造する場合には、突起の形成中に支持板が割れ易く、しかも、突起の形成後にも、表面に生じた加工痕が支持板の破損の原因になりやすいという問題がある。
【0007】
本発明は上記に鑑みなされたもので、支持板の突起加工を省略して密着保持層の姿勢の安定化や気体流通空間の区画を実現することができ、しかも、支持板の損傷を防ぐことのできる基板保持具及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明においては上記課題を解決するため、支持板と、この支持板に貼り付けられて基板を着脱自在に保持する可撓性の密着保持層とを備え、支持板と密着保持層との間に気体流通空間を形成し、支持板に、気体流通空間の気体を外部に排気して密着保持層を変形させる排気孔を設けたものであって、
密着保持層の支持板に貼り付けられる被貼付面を凹凸に形成することにより、密着保持層の姿勢を安定させ、かつ気体流通空間を区画形成したことを特徴としている。
【0009】
また、本発明においては上記課題を解決するため、支持板と、この支持板に貼り付けられて基板を着脱自在に保持する可撓性の密着保持層とを用い、請求項1記載の基板保持具を製造する基板保持具の製造方法であって、
密着保持層の支持板に貼り付けられる被貼付面を凹凸に形成し、支持板に密着保持層の被貼付面を貼り付けて支持板と密着保持層との間に気体流通空間を区画形成し、かつ密着保持層の姿勢を安定させることを特徴としている。
【0010】
ここで、特許請求の範囲における支持板と密着保持層とは、同じ大きさでも良いし、異なる大きさでも良い。支持板は、何ら材質が限定されることはないが、脆弱の基板を十分にサポートし得る剛性を有することが好ましい。また、基板には、少なくとも各種大きさの半導体ウェーハ、ガラス基板、マスク基板、配線板等が単数複数含まれる。さらに、凹凸は、各種の成形法、転写法、熱プレス法等により、密着保持層の被貼付面に形成されて気体流通空間を形成する。この凹凸の凸部は、各種の柱形や錐台形等に形成することができる。
【0011】
本発明によれば、密着保持層の被貼付面に凹凸を形成して支持板に重ねることにより、密着保持層を安定した姿勢で支持するとともに、支持板と密着保持層との間に気体流通空間を形成することができるので、支持板に突起を形成する必要がない。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、密着保持層の支持板に貼り付けられる被貼付面を凹凸に形成するので、支持板の突起加工を省略して密着保持層の姿勢の安定化や気体流通空間の区画を実現することができ、しかも、支持板の損傷を防ぐことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る基板保持具及びその製造方法の実施形態を模式的に示す断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明すると、本実施形態における基板保持具は、図1に示すように、支持用の支持板1と、この支持板1に積層貼着されて半導体ウェーハWを着脱自在に保持する可撓性の密着保持層10とを備え、これら支持板1と密着保持層10との間に気体流通空間13を形成し、支持板1に、密着保持層10を変形させる排気孔2を穿孔した保持具で、支持板1の表面に貼着される密着保持層10の被貼着面11に複数の凹凸12を形成することにより、密着保持層10の姿勢を安定させ、かつ気体流通空間13を区画形成するようにしている。
【0015】
支持板1は、所定の材料を使用して密着保持層10と略同じ大きさの平面円形の板に形成され、表裏両面がそれぞれ平坦とされる。この支持板1は、ハンダリフロー工程等の耐熱性が要求される場合には、例えば金属(鉄系、SUS、チタン、アルミニウム等)、耐熱性の樹脂(液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド等)、複合材(ガラスエポキシ、C/Cコンポジット、ガラス/PPE、ガラス/BTレジン等)、セラミックス等を使用して形成される。
【0016】
また、支持板1に耐熱性が要求されない場合には、例えばポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート製の板が支持板1として使用される。
【0017】
支持板1の中央部厚さ方向には、気体流通空間13の空気を外部に排気する排気孔2が筒形に貫通して穿孔され、この排気孔2の下端部に真空ポンプ等からなるバキューム装置3が着脱自在に接続される。そして、このバキューム装置3が駆動することにより、平坦な密着保持層10が凸凹に変形して保持した半導体ウェーハWとの間に空気流入用の隙間を形成し、密着保持層10から半導体ウェーハWが取り外し可能となる。
【0018】
密着保持層10は、所定の材料を使用して自己密着性を有する弾性変形可能な平面円形の膜に形成され、支持板1の平坦な表面に貼着される裏面である被貼着面11に複数の凹凸12が一体形成されており、この複数の凹凸12の凸部14が従来の支持板1の突起として機能して支持板1の表面との間に気体流通空間13を区画形成したり、形状や姿勢を安定させる。
【0019】
密着保持層10は、例えばシリコーンゴム、フッ素ゴム、熱可塑性エラストマー、合成ゴム、天然ゴム等の材料により、凹凸12を含む全体の厚さが50〜500μm程度に成形され、支持板1の表面に耐熱性の接着剤や接着テープにより接着されたり、シリコーン系やフッ素ゴム系の粘着剤、粘着テープにより粘着される。
【0020】
凹凸12は、密着保持層10の周縁部以外の被貼着面11に各種の成形法や熱プレス転写法により成形され、複数の凸部14が密着保持層10全体の厚さの2/3〜1/4程度の高さとされる。この複数の凸部14は、密着保持層10の平坦な姿勢や支持を安定させる観点から全て同じ高さに形成され、凸部14と凸部14との間に空気を流通させる空隙が形成されており、各凸部14が支持板1の表面に接触したり、接着する円柱形に形成される。
【0021】
凹凸12の成形に際しては、例えば密着保持層10がミラブルシリコーンゴムで成形される場合には、金型でプレス成形され、密着保持層10が液状シリコーンゴムで成形される場合には、金型でLIMS成形される。また、密着保持層10が熱可塑性エラストマーで成形される場合には、熱プレス転写される。
【0022】
上記構成において、基板保持具を製造する場合には、先ず、支持板1を所定の材料により形成し、必要に応じて支持板1の表裏両面をそれぞれ平坦とし、支持板1の中央部厚さ方向に排気孔2を穿孔する。また、密着保持層10を所定の材料により成形し、この密着保持層10の裏面である被貼着面11に複数の凹凸12を同時にあるいは後から成形する。これら支持板1と密着保持層10との製造順序は、特に問うものではなく、必要に応じて変更することができる。
【0023】
こうして支持板1と密着保持層10とを別々に得たら、支持板1の表面に密着保持層10の被貼着面11とその複数の凸部14を積層して強固に接着又は粘着し、支持板1と密着保持層10との間に気体流通空間13を区画形成すれば、基板保持具を製造することができる。
【0024】
次に、基板保持具に半導体ウェーハWを保持させる場合には、密着性を有する密着保持層10の平坦な表面に半導体ウェーハWを重ねて押圧すれば、半導体ウェーハWを隙間なく密着保持させることができる。この際、支持板1の表面に被貼着面11の複数の凸部14がそれぞれ接触しているので、密着保持層10が一部凹んだり、傾くことがなく、半導体ウェーハWを安定した状態で保持することができる。
【0025】
これに対し、基板保持具から半導体ウェーハWを取り外したい場合には、支持板1の排気孔2にバキューム装置3を接続して駆動すれば良い。すると、気体流通空間13が負圧化されるので、平坦な密着保持層10が波打ち、密着保持層10と半導体ウェーハWとの間に空気流入用の隙間が形成され、密着保持層10から半導体ウェーハWを簡単に取り外すことができる。
【0026】
上記構成によれば、密着保持層10の被貼着面11に凹凸12を形成して密着保持層10を平坦な安定状態に支持したり、気体流通空間13を得るので、支持板1の表面に断面皿形の凹部を凹み形成したり、微細な突起を多数形成する必要が全くない。したがって、突起の形成作業に伴う煩雑化、複雑化、遅延化を有効に抑制防止することができる。また、支持板1を難加工の硬質材料により製造することもできる。さらに、突起の形成中に支持板1が割れたり、加工痕が支持板1の破損の原因になることもなく、基板保持具を長期に亘り使用することができる。
【0027】
なお、上記実施形態では支持板1の表面に密着保持層10を接着剤により接着したり、粘着剤により粘着したが、何らこれに限定されるものではない。例えば、密着保持層10の密着性を利用し、支持板1の表面に密着保持層10を直接的に密着固定しても良い。また、支持板1と密着保持層10とを平面楕円形、矩形、多角形等としても良い。さらに、支持板1の側部厚さ方向等に排気孔2を穿孔しても良い。
【符号の説明】
【0028】
1 支持板
2 排気孔
10 密着保持層
11 被貼着面(被貼付面)
12 凹凸
13 気体流通空間
14 凸部
W 半導体ウェーハ(基板)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持板と、この支持板に貼り付けられて基板を着脱自在に保持する可撓性の密着保持層とを備え、支持板と密着保持層との間に気体流通空間を形成し、支持板に、気体流通空間の気体を外部に排気して密着保持層を変形させる排気孔を設けた基板保持具であって、
密着保持層の支持板に貼り付けられる被貼付面を凹凸に形成することにより、密着保持層の姿勢を安定させ、かつ気体流通空間を区画形成したことを特徴とする基板保持具。
【請求項2】
支持板と、この支持板に貼り付けられて基板を着脱自在に保持する可撓性の密着保持層とを用い、請求項1記載の基板保持具を製造する基板保持具の製造方法であって、
密着保持層の支持板に貼り付けられる被貼付面を凹凸に形成し、支持板に密着保持層の被貼付面を貼り付けて支持板と密着保持層との間に気体流通空間を区画形成し、かつ密着保持層の姿勢を安定させることを特徴とする基板保持具の製造方法。
【請求項1】
支持板と、この支持板に貼り付けられて基板を着脱自在に保持する可撓性の密着保持層とを備え、支持板と密着保持層との間に気体流通空間を形成し、支持板に、気体流通空間の気体を外部に排気して密着保持層を変形させる排気孔を設けた基板保持具であって、
密着保持層の支持板に貼り付けられる被貼付面を凹凸に形成することにより、密着保持層の姿勢を安定させ、かつ気体流通空間を区画形成したことを特徴とする基板保持具。
【請求項2】
支持板と、この支持板に貼り付けられて基板を着脱自在に保持する可撓性の密着保持層とを用い、請求項1記載の基板保持具を製造する基板保持具の製造方法であって、
密着保持層の支持板に貼り付けられる被貼付面を凹凸に形成し、支持板に密着保持層の被貼付面を貼り付けて支持板と密着保持層との間に気体流通空間を区画形成し、かつ密着保持層の姿勢を安定させることを特徴とする基板保持具の製造方法。
【図1】
【公開番号】特開2011−159936(P2011−159936A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−22784(P2010−22784)
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】
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