説明

基板保持装置

【課題】基板の裏面に回路パターンが存在しても、基板表面の平面度を確保して吸着保持を行うことができる基板保持装置を提供する。
【解決手段】基板保持面を有するステージと、ステージの基板保持面に配置され、裏面に回路パターンを有する基板を支持するブロックユニットと、を備える基板保持装置であり、ブロックユニットは、基板保持面上の所定位置に配置変更可能に設けられる1以上のブロック部を有し、ブロック部の少なくとも1つには、基板と当接する部分に基板の裏面を吸着させる吸着機構が設けられ、ステージの基板保持面に基板の回路パターンを避けるように配置されたブロック部の基板当接部に基板の裏面が載置された状態で、基板当接部の吸着機構により基板の裏面が吸着されることにより、基板がステージ上に吸着保持される構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布装置にて基板上に塗布液を塗布する際に基板を保持する基板保持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等のフラットパネルディスプレイには、レジスト液が塗布されたガラス基板(以下、塗布基板と称す)が使用されている。そして、この塗布基板は、ガラス基板上にレジスト液を均一に塗布する塗布装置を用いて作製される。
【0003】
このような塗布装置として、図7に示すような、基板を保持する基板保持装置71と、基板保持装置71に保持された基板1の上方に配置され、下端部のノズルからレジスト液を流出する塗布ヘッド(塗布部)72と、基板保持装置71に対して塗布ヘッド72を相対的に水平に移動させる相対移動手段73とを備え、基板保持装置71に対して塗布ヘッド72を相対的に水平に移動させながら塗布ヘッド72からレジスト液を流出し、基板保持装置71上の基板1にレジスト液を塗布するものがあり、例えば、下記特許文献1にて開示されている。
【0004】
ここで、基板の上面と塗布ヘッドのノズルとの間は、通常、数十〜百数十ミクロンの僅かな隙間しかないので、基板表面に凹凸がある場合、塗布ヘッドのノズルが基板に衝突して、ノズルや基板を損傷してしまうおそれがある。そこで、一般的には基板保持装置の基板接触面は平面度の良い平面であり、そこに基板を載置することで、基板表面に凹凸が出ないように保持している。
【0005】
しかし、裏面に回路パターンが存在する基板を保持する場合、基板保持装置の基板接触面が単なる平面であると、回路パターンと基板接触面が当接し、そこで基板表面が盛り上がることになるため、その部分で塗布ヘッドと基板とが衝突し、ノズルや基板を損傷してしまう。
【0006】
このような基板に対応する基板保持方法として、図8に示す通り、基板を収めるホルダー81と、ホルダー81を載置する基板保持盤82とを備え、裏面に回路パターン3を有する基板1を保持する場合、回路パターン3に対向する部分に溝83を設けたホルダー81に基板1を収めることで回路パターン3との当接を回避した状態にし、基板1の裏面で回路パターンが存在しない部分である裏面基板面2のみをホルダー81にて支持し、このホルダー81ごと基板保持盤82に載置することによって、基板1表面の平面度を確保する方法が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3653688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記の基板保持方法には、運用に手間とコストが非常にかかるといった問題がある。例えば、基板の種類が変わって基板の回路パターンの形状が異なると、それぞれに対して新たにホルダーを製作する必要がある。特に、少量多品種で基板を製作する場合には、ホルダーを新作するごとに手間とコストが要求されるので、負荷が非常に大きい。また、基板サイズが大判化するのに伴って、ホルダーの寸法も大きくする必要があるが、上述の通り基板表面と塗布ヘッドのノズル間にはわずかな隙間しか許されないため、ホルダーの寸法が大きくなるほどホルダーの平面度を出すために非常に高精度で困難な加工が要求され、製作するためにはさらに手間とコストが必要となっていた。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、基板に裏面回路パターンを有する基板を保持する場合でも、手間とコストをかけることなく基板表面の平面度を確保することができる基板保持装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明の基板保持装置は、基板保持面を有するステージと、前記ステージの基板保持面に配置され、裏面に回路パターンを有する基板を支持するブロックユニットと、を備える基板保持装置であり、前記ブロックユニットは、前記基板保持面上の所定位置に配置変更可能に設けられる1以上のブロック部を有し、前記ブロック部は、前記基板の裏面に当接する基板当接部と、基板保持面に固定される位置固定部とを有し、これら基板当接部と位置固定部とが前記回路パターンの高さ寸法以上の寸法に離れて設けられており、前記ブロック部の少なくとも1つには、その基板当接部に前記基板の裏面を吸着させる吸着機構が設けられ、前記ステージの基板保持面に基板の回路パターンを避けるように配置された前記ブロック部の基板当接部に基板の裏面が載置された状態で、基板当接部の吸着機構により基板の裏面が吸着されることにより、基板が前記ステージ上に吸着保持されることを特徴としている。
【0011】
上記の基板保持装置によれば、基板裏面の回路パターンを避けて基板を吸着保持することが可能であるため、回路パターンが裏面に存在する箇所で基板表面が盛り上がることなく、基板表面の平面度を塗布時の塗布ヘッドと基板表面とで形成される寸法以下に確保して吸着保持を行うことができる。
【0012】
また、前記基板を支持する支持ピンをさらに備え、該支持ピンは前記ブロック部よりも小さい幅寸法を有し、該支持ピンは前記ステージの基板保持面に組み付けることで前記基板の裏面と当接して該基板を支持する構成とすることができる。
【0013】
この構成によれば、回路パターン同士の間など、ブロックユニットでは狭くて支持することが困難な箇所であっても、上記支持ピンを配置することにより基板を裏面から支持することが可能であり、さらに基板表面の平面度を確保するよう補助することができる。
【0014】
また、前記基板を支持する回路パターン支持部材をさらに備え、該回路パターン支持部材は基板の回路パターンに当接する当接部を有し、その当接部は弾性材料から形成されており、該回路パターン支持部材は前記ステージの基板保持面に組み付けることで前記回路パターンに当接して前記基板を裏面から支持する構成とすることもできる。
【0015】
この構成によれば、回路パターン支持部材が基板裏面の回路パターンをに当接して基板を保持することが可能になるため、特に裏面回路パターンが多く存在する基板において、ブロックユニット、支持ピンのみを用いる場合に比べて、さらに基板表面の平面度を確保した保持ができるよう補助することができる。
【0016】
また、前記ステージは、前記ブロックユニットを該ステージの基板保持面に組み付けるための組み付け機構を有し、該組み付け機構は前記支持ピン、および前記回路パターン支持部材を前記基板保持面に組み付ける際に共通で使用できる構成とすることができる。
【0017】
この構成により、1つの組み付け機構に対してどの支持部材を組み付けることも可能となるため、上記支持部材の組み付けのパターンが多様となり、様々な回路パターンの基板の保持に対応することができる。
【0018】
また、前記ステージは、縦横方向に複数個の分割ステージに分割され、該分割ステージに前記ブロックユニット、前記支持ピン、および前記回路パターン支持部材を特定のパターンに組み付けられたサブステージが複数パターン分形成されており、これらサブステージを取り替えることにより、前記基板保持面上の前記ブロックユニット、前記支持ピン、および前記回路パターン支持部材の配置パターンの変更を行うことができる構成とすることができる。
【0019】
この構成によれば、サブステージ単位での基板保持面上のブロックユニット、支持ピン、および回路パターン支持部材の配置パターンの切り替えが可能であるため、上記支持部材をひとつひとつ組み替えるのに比べて、裏面の回路パターンの配置位置が異なる基板を保持する際に行うステージの段取り替えを手間をかけずに実施することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の基板保持装置によれば、基板に裏面回路パターンが存在しても、手間とコストをかけることなく基板表面の平面度を確保して吸着保持を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態における基板保持装置の上面図である。
【図2】基板を保持した状態における基板保持装置の側面図である。
【図3】基板保持装置の斜視図である。
【図4】サブステージの一例を示す斜視図である。
【図5】サブステージの詳細の斜視図である。
【図6】サブステージの組み付け例を示す上面図である。
【図7】塗布装置の斜視図である。
【図8】基板を保持する方法の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に係る実施の形態を図面を用いて説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態における基板保持装置の上面図であり、また、図2は、基板保持装置の側面図である。図1、2より、基板保持装置は、上面に基板保持面4を有する平板状のステージ10と、この基板保持面4に保持され、基板1を裏面から支持するブロックユニット5、支持ピン22および回路パターン支持部材23とを有している。これらブロックユニット5、支持ピン22および回路パターン支持部材23を組み替えることにより、裏面に回路パターンを有する様々な基板1の裏面を表面の平面度を確保した状態で保持することができる。
【0024】
図3は、基板保持装置の斜視図である。ここで、ブロックユニット5は1以上のブロック部21で形成されており、ブロック部21は、吸着機構を備えた吸着ブロック21aまたは吸着機構を持たないブロック21bであり、また、本発明の基板保持装置は、少なくとも1つの吸着ブロック21aを必ず有している。
【0025】
また、ステージ10は、縦横方向に複数の分割ステージ10aに分割されており、それぞれの分割ステージ10aにブロック部21、支持ピン22、および回路パターン支持部材23(以下、各支持部材と称す)を組み付けることで、図4に示すようなサブステージ11を形成する。これらサブステージ11を、隣接するもの同士隙間無く縦横方向に配列し、定盤13上に組み付けることで、基板保持装置を形成している。また、これらサブステージ11を取り替えることにより、基板保持面4上の各支持部材の配置パターンの変更を行うことができる。ここで、分割ステージ10aは、異なる形状をとっていても良いが、同じ形状である方が望ましい。本実施形態では、分割ステージ10aはそれぞれ同形状の、表面が正方形の平板としている。各分割ステージ10aの形状が異なると、これらを組み合わせてステージ10を形成させるための組み付け方は限られるが、同形状にすることにより、各分割ステージ10aをどのように組み付けてもステージ10を形成することができるため、保持する基板の回路パターンの形状が変わる際に行う基板保持装置の段取り替えにおいてサブステージ11の取り替えのパターンを多く持つことが可能である。
【0026】
また、本実施形態では、9枚の分割ステージ10aを縦横方向に3枚ずつ配列し、ステージ10を構成しているが、必ずしもその限りではなく、基板1のサイズや分割ステージ10aのサイズにより、配列する枚数は何枚であっても良いし、縦横の枚数は等しくなくても良い。また、各分割ステージ10aは、定盤13との組み付け面にシムなどのスペーサを挿入することにより、組み付け高さおよび組み付け角度の微調整を行うことが可能であり、この各分割ステージ10aの取付け角度微調整を行うことにより、ステージ10全面の平面度調整を行うことが可能である。
【0027】
図4は、サブステージの一例の斜視図であり、また、図5はサブステージの詳細の斜視図であり、図4の各構成部材を分解して示したものである。分割ステージ10aは、分割された基板保持面である分割基板保持面4aを上面に有し、そこに組み付け機構12を備えている。そして、この組み付け機構12を利用して、ブロック部21、支持ピン22、および回路パターン支持部材23を分割ステージ10aに組み付けることで、図4に示すサブステージを形成する。ここで、本実施形態では、組み付け機構12はねじ穴としており、各支持部材をこのねじ穴にねじ止めして固定する。また、各支持部材をねじ止めする際に用いるねじの径は統一しており、こうすることにより、組み付け機構12のねじ穴の径は1種類用意するだけで良く、さらに、組み付け機構12の配置間隔を縦横等間隔にとり、その配置間隔に合わせて各支持部材にねじ固定部を設けることで、この組み付け機構12を各支持部材に対して共通で使用することができる。また、分割ステージ10aに組み付ける各支持部材の数は、組み付け機構12を用いて組み付けられる限り何個組み付けても良く、組み付けない支持部材があっても良い。また、組み付け機構12は、ねじ穴の形状だけでなく、上に凸のおねじであり、ナットなどを用いて各支持部材を固定する機構や、ねじではなく位置決めピンもしくはピン穴であり、これを用いたはめ込みにより各支持部材を固定する、などの機構であっても良い。
【0028】
ブロック部21は、本実施形態では、前述の通り吸着機構を備えた吸着ブロック21aまたは吸着機構を持たないブロック21bである。吸着ブロック21aおよびブロック21bはともに、直方体の形状をなし、下面に分割基板保持面4aに固定される位置固定部14aと、上面に基板1の裏面基板面2と当接する基板当接部14bとを有し、また、上面の四隅から下面の四隅へ貫通する貫通穴27を有している。この位置固定部14aを分割ステージ10aの分割基板保持面4aに当接させ、ボルト24を貫通穴27に通して組み付け機構12にねじ止めすることで、ブロック部21を分割ステージ10aに組み付ける。ここで、貫通穴27に関して、ボルト24を用いてブロック部21を分割ステージ10aにねじ止めした際にボルト24のねじ頭が基板当接部14bから上に出ないようにするため、貫通穴27の上部には座繰りが設けられている。こうすることで、ブロック部21を分割ステージ10aに組み付けた際に基板当接部14bの平面度を確保することができる。また、位置固定部14aと分割基板保持面4aとの間にシムなどのスペーサを挿入することで、組み付け高さおよび組み付け角度の微調整も可能である。
【0029】
ここで、吸着ブロック21aは、基板当接部14bに多孔質金属25を有し、吸着ブロック21aの一側面に吸気部26を有する点でブロック21bと異なっている。この吸気部26と多孔質金属25とは繋がっており、吸気部26に吸着ブロック21aの外部から配管を接続し、配管の他端に図示しない真空ポンプなどの吸気源を接続し、この吸気源から吸気を行うことで、多孔質金属25において吸気が行われる。ここで多孔質金属25が基板1を吸着することで、吸着ブロック21aが基板1を吸着保持することが可能である。本実施形態では、定盤13に真空源と配管接続された吸気口を設けており、この吸気口と各吸着ブロック21aの吸気部26とを配管接続することにより、各吸着ブロック21aで基板1を吸着保持することが可能である。
【0030】
ここで、ブロック部21の高さh(基板当接部14bと位置固定部14aとの距離)は、図2に示した通り、基板1の回路パターン3の高さtよりも高くしている。こうすることで、基板1を基板保持装置に搭載した際に回路パターン3が各分割ステージ10aの分割基板保持面4aと接触しないようにしており、分割基板保持面4aに対して基板1を浮かせた状態で基板1を支持する。
【0031】
支持ピン22は、ブロック部21と同様、下面に分割基板保持面4aに固定される位置固定部14aと、上面に基板1の裏面基板面2と当接する基板当接部14bとを有している。また、本実施形態では、ブロック部21の幅よりも小さい幅寸法の円筒状の形状をなし、基板当接部14bの近傍では先の尖った形状をとっている。この形状をとることにより基板当接部14bの面積は小さくなり、例えば回路パターン3同士の間など、裏面基板面2の幅が狭くてブロック部21で支持することが困難な部分などにおいてでも、この支持ピン22を分割ステージ10aに組み付けることにより、基板1を支持することができ、基板1の平面度の確保を補助する。
【0032】
また、支持ピン22は、位置固定部14aにおねじ24aを有し、このねじ径は、組み付け機構12のねじ穴と同じねじ径である。このおねじ24aを組み付け機構12にねじ込むことで、支持ピン12を分割ステージ10aに組み付ける。ここで、この組み付け高さは、ブロック部21の高さと同じくhである。また、位置固定部14aと分割基板保持面4aとの間にシムなどのスペーサを挿入することで、組み付け高さの微調整も可能である。
【0033】
回路パターン支持部材23は、直方体の形状をとり、下面にはブロック部21および支持ピン22と同様に分割基板保持面4aに固定される位置固定部14aと、上面には回路パターン3と当接する回路パターン当接部14cとを有し、また、上面から下面へ貫通する貫通穴27および座繰り28をその両端に有している。また、本実施形態では、回路パターン支持部材23の組み付け高さはブロック部21や支持ピン22の高さhから回路パターン3の高さtを差し引いた(h−t)より若干高くしており、回路パターン当接部14cは、ウレタンなどの変形容易な弾性材から形成し、回路パターン3と当接した際に、当接した部分が回路パターン3に押されて弾性変形するようにしている。このように回路パターン当接部14cが弾性変形することによって、回路パターン3の高さtにばらつきがある場合でも、そのばらつきを吸収し、かつ当接する回路パターン3に負荷をかけることなく、基板1をブロック部21や支持ピン22で支持しているのと同じ高さで支持することができる。そして、この回路パターン支持部材23を、基板1裏面の回路パターン3が存在する部分において分割ステージ10aに組み付けることにより、回路パターン3を支持し、基板1の平面度の確保を補助することができる。特に、回路パターンが多く、ブロック部21や支持ピン22で支持だけでは平面度の確保が不十分な場合、この回路パターン支持部材23による回路パターン3の支持が有用である。ここで、回路パターン当接部14cは弾性材で形成されるが、回路パターン支持部材23全体が弾性材である必要はなく、回路パターン支持部材23の下部は金属など弾性材以外の材料で形成されていても良い。
【0034】
また、回路パターン支持部材23は、ブロック部21と同様にボルト24を貫通穴27に通して組み付け機構12にねじ止めすることで分割ステージ10aと組み付けており、その際、ボルト24のねじ頭は座繰りの中に収め、回路パターン当接部が弾性変形している際も回路パターン3と干渉しない高さにしている。また、位置固定部14aと分割基板保持面4aとの間にシムなどのスペーサを挿入することにより、組み付け高さおよび組み付け角度の微調整も可能である。
【0035】
次に、分割ステージ10a上の組み付け機構12の配置について、前述の通り、組み付け機構12を縦横方向に等間隔に配置しており、それらを分割基板保持面4a全面に配置させている。この組み付け機構12の配置間隔に合わせて各支持部材においてねじ固定する部分を設け、各支持部材が組み付け機構を共通で利用して分割ステージ10aに組み付けられるようにしている。こうすることにより、図6の(a)および(b)に一例を示すように、1つの分割ステージ10a上で各支持部材の配置を変更することができ、幾通りもの各支持部材の配置パターンを形成することができる。したがって、分割ステージ10aに各支持部材を組み付けることで形成するサブステージ11は、多様な形状をとることが可能であり、また、これらサブステージ11を組み合わせて配置することで形成する基板保持装置は、さらに多様な各種支持部材の配置パターンをとることができ、様々な形状の回路パターンを持つ基板に対応し、保持することが可能である。また、図6(a)に示すように、上記の支持部材の組み付けに使用しない組み付け機構12が残っていても、問題は無い。
【0036】
以上説明した通りの支持部材をステージ上に組み付けて基板保持装置を形成することにより、図1および図2に示した通りに基板1の保持を行うことが可能である。まず、ブロックユニット5を裏面基板部2に当接させることにより、基板1を基板保持面4から浮かせた状態で保持する。また、ブロックユニット5が配置できない狭い場所などにおいて支持ピン22を配置し、裏面基板部2に当接させることにより、基板1の支持を補助し、基板1の表面の平面度を確保することができる。また、図1に斜線で示す回路パターン3にさらに回路パターン支持部材23を当接させることにより、基板1の支持を補助し、基板1の表面の平面度を確保することができる。
【0037】
したがって、以上説明した通りの基板保持装置によれば、基板に裏面回路パターンが存在しても、基板表面の平面度を確保して吸着保持を行うことが可能である。
【0038】
また、以上の説明では、基板保持面に組み付け機構を有し、それを用いて各支持部材を固定する形態について述べてきたが、各支持部材の配置が可変となる他の形態、例えば、組み付け機構は持たず、位置固定部に磁石を備えた各支持部材、および鉄など磁性を持つ材料からなるステージを有して、磁力を利用して各支持部材をステージに固定する形態などをとっても良い。
【符号の説明】
【0039】
1 基板
2 裏面基板面
3 回路パターン
4 基板保持面
4a 分割基板保持面
5 ブロックユニット
10 ステージ
10a 分割ステージ
11 サブステージ
12 組み付け機構
13 定盤
14a 位置固定部
14b 基板当接部
14c 回路パターン当接部
21 ブロック部
21a 吸着ブロック
21b ブロック
22 支持ピン
23 回路パターン支持部材
24 ボルト
24a おねじ
25 多孔質金属
26 吸気部
27 貫通穴
71 基板保持装置
72 塗布ヘッド
73 相対移動手段
81 ホルダー
82 基板保持盤
83 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板保持面を有するステージと、
前記ステージの基板保持面に配置され、裏面に回路パターンを有する基板を支持するブロックユニットと、
を備える基板保持装置であり、
前記ブロックユニットは、前記基板保持面上の所定位置に配置変更可能に設けられる1以上のブロック部を有し、
前記ブロック部は、前記基板の裏面に当接する基板当接部と、基板保持面に固定される位置固定部とを有し、これら基板当接部と位置固定部とが前記回路パターンの高さ寸法以上の寸法に離れて設けられており、
前記ブロック部の少なくとも1つには、その基板当接部に前記基板の裏面を吸着させる吸着機構が設けられ、
前記ステージの基板保持面に基板の回路パターンを避けるように配置された前記ブロック部の基板当接部に基板の裏面が載置された状態で、基板当接部の吸着機構により基板の裏面が吸着されることにより、基板が前記ステージ上に吸着保持されることを特徴とする基板保持装置。
【請求項2】
前記基板を支持する支持ピンをさらに備え、該支持ピンは前記ブロック部よりも小さい幅寸法を有し、該支持ピンは前記ステージの基板保持面に組み付けることで前記基板の裏面と当接して該基板を支持するものであることを特徴とする、請求項1に記載の基板保持装置。
【請求項3】
前記基板を支持する回路パターン支持部材をさらに備え、該回路パターン支持部材は基板の回路パターンに当接する当接部を有し、その当接部は弾性材料から形成されており、該回路パターン支持部材は前記ステージの基板保持面に組み付けることで前記回路パターンに当接して前記基板を裏面から支持するものであることを特徴とする、請求項1または2に記載の基板保持装置。
【請求項4】
前記ステージは、前記ブロックユニットを該ステージの基板保持面に組み付けるための組み付け機構を有し、該組み付け機構は前記支持ピン、および前記回路パターン支持部材を前記基板保持面に組み付ける際に共通で使用できるものであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の基板保持装置。
【請求項5】
前記ステージは、縦横方向に複数個の分割ステージに分割され、該分割ステージに前記ブロックユニット、前記支持ピン、および前記回路パターン支持部材を特定のパターンに組み付けられたサブステージが複数パターン分形成されており、これらサブステージを取り替えることにより、前記基板保持面上の前記ブロックユニット、前記支持ピン、および前記回路パターン支持部材の配置パターンの変更を行うことができることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の基板保持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−69833(P2012−69833A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214744(P2010−214744)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000219314)東レエンジニアリング株式会社 (505)
【Fターム(参考)】