説明

基板処理システム、基板搬送方法、プログラム及びコンピュータ記憶媒体

【課題】基板処理システムのフットプリントを小さくする。
【解決手段】複数の処理ユニットが上下方向に多段に設けられた処理ステーション3と、複数枚のウェハWを収容するカセットを載置するカセット載置台12と、処理ステーション3とカセット載置台12との間に配置されたウェハ搬送機構21と、を備えた基板処理システム1において、処理ステーション3とウェハ搬送機構21との間には、カセット載置台12と処理ステーション3との間で搬送されるウェハ、及び各処理ユニットの各段の間で搬送される基板を一時的に収容する複数の受け渡しユニットが多段に設けられた受け渡しブロック22が配置されている。ウェハ搬送機構21は、カセット載置台12と受け渡しブロック22との間でウェハを搬送する第1の搬送アームと、受け渡しユニットの各段の間でウェハを搬送する第2の搬送アームとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の処理を行う基板処理システム、基板処理システムにおける基板の搬送方法、プログラム及びコンピュータ記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体デバイスの製造工程におけるフォトリソグラフィー工程では、ウェハ上にレジスト液を塗布してレジスト膜を形成するレジスト塗布処理、レジスト膜を所定のパターンに露光する露光処理、露光されたレジスト膜を現像する現像処理などの一連の処理が順次行われ、ウェハ上に所定のレジストパターンが形成されている。これらの一連の処理は、ウェハを処理する各種処理ユニットやウェハを搬送する搬送ユニットなどを搭載した基板処理システムである塗布現像処理システムで行われている。
【0003】
例えば図17に示すように塗布現像処理システム200は、従来、外部からカセットCを搬入出するためのカセットステーション201と、レジスト塗布処理、現像処理及び熱処理等の各種処理を行う複数の処理ユニットが多段に設けられた処理ステーション202と、隣接する露光ユニットAと処理ステーション202との間でウェハの受け渡しを行うインターフェイスステーション203を一体に備えている(特許文献1)。
【0004】
カセットステーション201には、外部から搬入されたカセットCが載置されるカセット載置板210と、カセット載置板210のカセットCと処理ステーション202との間でウェハを搬送するウェハ搬送機構211が設けられている。また、処理ステーション202のカセットステーション201側には、カセット載置板210から処理ステーションに搬送される基板と処理ユニットの各段の間で搬送される基板を一時的に収容する受け渡しブロック212が設けられている。受け渡しブロック212には、ウェハを一時的に載置する受け渡しユニット(図示せず)が、上下方向に多段に設けられている。受け渡しブロック212には、各受け渡しユニットにおける各段の間のウェハの搬送を専門に行う他のウェハ搬送機構213が、受け渡しブロック212に隣接して設けられている。
【0005】
そして、塗布現像処理システム200においてウェハ処理が行われる際には、先ず1ロットの複数枚のウェハが収容されたカセットCが所定のカセット載置板210に載置される。次にウェハ搬送機構211によりカセットC内のウェハが順次受け渡しブロック212に搬送される。その後、各ウェハは処理ステーション202と露光ユニットAに搬送されて処理され、処理の終了したウェハは、ウェハ搬送機構211により処理ステーション202からカセット載置板210のカセットCに戻される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−278027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年、塗布現像処理システムには、当該塗布現像処理システムがクリーンルーム床面積に占める割合であるフットプリントを小さくすることが求められている。
【0008】
フットプリントを小さくするには、各処理ユニットを小型化したり、ウェハの搬送に要するスペースを小さくしたりする必要がある。しかしながら、処理ユニットの小型化には、当該処理ユニットの構成そのものを見直す必要があり制約が多い。
【0009】
一方、ウェハの搬送に要するスペースを小さくする場合、例えば受け渡しブロック212の配置を、例えば従来よりもカセット載置部210寄りに変更することで、処理ステーション202を短縮化することが提案できる。しかしながら、受け渡しブロック212には、各受け渡しユニットの各段の間でウェハを搬送するための他のウェハ搬送機構213を隣接して設ける必要があるため、受け渡しブロック212も配置上の制約をうける。このため、受け渡しブロック212の配置変更にも限界がある。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、基板処理システムのフットプリントを小さくすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の目的を達成するため、本発明は、基板を処理する複数の処理ユニットが上下方向に多段に設けられた処理ステーションと、複数枚の基板を収容するカセットを載置するカセット載置部と、前記処理ステーションと前記カセット載置部との間に配置された基板搬送機構と、を備えた基板処理システムにおいて、前記処理ステーションと前記基板搬送機構との間には、前記カセット載置部と前記処理ステーションとの間で搬送される基板、及び前記処理ユニットの各段の間で搬送される基板を一時的に収容する複数の受け渡しユニットが多段に設けられ、
前記基板搬送機構は、前記カセット載置部と前記各受け渡しユニットとの間で基板を搬送する第1の搬送アームと、前記各受け渡しユニットの各段の間で基板を搬送する第2の搬送アームとを備えていることを特徴としている。
【0012】
本発明によれば、処理ステーションとカセット載置部との間に配置された基板搬送機構が、第1の搬送アームと第2の搬送アームを有しているので、カセット載置部と受け渡しユニットとの間の基板搬送と、各受け渡しユニットの各段の間での基板搬送の双方を、基板搬送機構により実施できる。そのため、従来設けられていた、受け渡しユニットの各段の間での基板搬送のために専用で設けられていた基板搬送機構が不要となる。その結果、受け渡しブロックをカセット載置部寄りに配置を変更する際の制約がなくなり、受け渡しブロックを従来よりもカセット載置部寄りに配置することができる。したがって本発明によれば、基板処理システムのフットプリントを小さくすることができる。
【0013】
前記基板搬送機構は、平面視において水平方向に複数並べて設けられてもよい。
【0014】
前記基板搬送機構は、上下方向に複数並べて設けられてもよい。
【0015】
前記複数の処理ユニットは、当該処理ユニットで処理される基板の搬送経路が最短となるように上下方向に基板の処理順に並べて配置され、前記処理ステーションには、前記処理順に配置された処理ユニット群が、上下方向に少なくとも2段設けられていてもよい。
【0016】
前記受け渡しユニットにおける各段の間で基板を搬送する基板搬送装置が、前記処理ユニットと前記カセット載置部との間で且つ前記複数の基板搬送機構の間に配置されていてもよい。
【0017】
前記基板搬送機構の動作を制御する制御装置を備え、前記制御装置は、前記第1の搬送アームによる基板搬送のタイミングと、前記第2の搬送アームによる基板搬送のタイミングが重複した場合には、基板が待機状態となる時間が最小限となるように、いずれか一方の搬送アームにより優先して基板を搬送する制御を行ってもよい。
【0018】
前記基板搬送機構の動作を制御する制御装置を備え、前記制御装置は、前記第1の搬送アームによる基板搬送のタイミングと、前記第2の搬送アームによる基板搬送のタイミングが重複した場合には、前記第1の搬送アームによる前記カセット載置部と前記各受け渡しユニットとの間の基板搬送を優先するように制御し、基板を搬送していない他の基板搬送機構により、前記各受け渡しユニットの各段の間で搬送を行うように制御してもよい。
【0019】
前記受け渡しユニットは、基板を載置するプレートを複数有し、前記各プレートは基板を冷却する冷却板又は基板の温度調整を行う温度調整板であってもよい。
【0020】
前記搬送機構は、前記第1の搬送アーム及び前記第2の搬送アームを水平方向及び上下方向に移動させるアーム駆動部を有していてもよい。
【0021】
別な観点による本発明は、基板を処理する複数の処理ユニットが上下方向に多段に設けられた処理ステーションと、複数枚の基板を収容するカセットを載置するカセット載置部と、前記処理ステーションと前記カセット載置部との間に配置された基板搬送機構と、を備えた基板処理システムにおける基板の搬送方法であって、前記処理ステーションと前記基板搬送機構との間には、前記カセット載置部と前記処理ステーションとの間で搬送される基板、及び前記処理ユニットの各段の間で搬送される基板を一時的に収容する複数の受け渡しユニットが多段に設けられ、前記カセット載置部と前記各受け渡しユニットとの間の基板搬送は、前記基板搬送機構の第1の搬送アームにより行われ、前記各受け渡しユニットの各段の間での基板搬送は、前記基板搬送機構の第2の搬送アームにより行われることを特徴としている。
【0022】
前記第1の搬送アームによる基板搬送のタイミングと、前記第2の搬送アームによる基板搬送のタイミングが重複した場合には、基板が待機状態となる時間が最小限となるように、いずれか一方の搬送アームにより優先して基板を搬送してもよい。
【0023】
前記基板搬送機構は、平面視において水平方向に複数並べて設けられていてもよい。
【0024】
前記基板搬送機構は、上下方向に複数並べて設けられていてもよい。
【0025】
前記複数の処理ユニットは、当該処理ユニットで処理される基板の搬送経路が最短となるように上下方向に基板の処理順に並べて配置され、
前記処理ステーションには、前記処理順に配置された処理ユニット群が、少なくとも上下方向に2段設けられていてもよい。
【0026】
前記第1の搬送アームによる基板搬送のタイミングと、前記第2の搬送アームによる基板搬送のタイミングが重複した場合には、前記第1の搬送アームによる前記カセット載置部と前記各受け渡しユニットとの間の基板搬送を優先して行い、基板を搬送していない他の基板搬送機構により、前記各受け渡しユニットの各段の間における搬送を行ってもよい。
【0027】
前記受け渡しユニットにおける各段の間の搬送は、前記処理ユニットと前記カセット載置部との間で且つ前記複数の基板搬送機構の間に設けられた、前記受け渡しユニットにおける各段の間の基板搬送を行う基板搬送装置により行われてもよい。
【0028】
前記受け渡しユニットは、基板を載置するプレートを複数有し、前記各プレートは基板を冷却する冷却板又は基板の温度調整を行う温度調整板であってもよい。
【0029】
さらに別な観点による本発明によれば、前記基板搬送方法を基板処理システムによって実行させるために、当該基板処理システムを制御する制御装置のコンピュータ上で動作するプログラムが提供される。
【0030】
また別な観点による本発明によれば、前記プログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体が提供される。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、基板処理システムのフットプリントを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本実施の形態にかかる基板処理システムの内部構成の概略を示す平面図である。
【図2】本実施の形態にかかる基板処理システムの内部構成の概略を示す側面図である。
【図3】本実施の形態にかかる基板処理システムの内部構成の概略を示す側面図である。
【図4】ウェハ搬送機構の構成の概略を示す斜視図である。
【図5】ウェハ搬送機構の構成の概略を示す側面図である。
【図6】受け渡しユニットの構成の概略を示す正面図である。
【図7】プレート及び搬送アームの構成の概略を示す平面図である。
【図8】プレート及び搬送アームの構成の概略を示す平面図である。
【図9】基板処理システムで行われるウェハ処理の主な工程を示すフロー図である。
【図10】ウェハ搬送機構を水平方向に複数設けた場合のカセットステーション2の構成の概略を示す平面図である。
【図11】ウェハ搬送機構を上下方向に複数設けた場合のカセットステーション2の構成の概略を示す側面図である。
【図12】ウェハ搬送機構を水平方向に複数設けた場合のカセットステーション2の構成の概略を示す平面図である。
【図13】ウェハ搬送機構を水平方向に複数設けた場合のカセットステーション2の構成の概略を示す平面図である。
【図14】ウェハ搬送機構を水平方向に複数設けた場合のカセットステーション2の構成の概略を示す平面図である。
【図15】ウェハ搬送機構を上下方向に複数設けた場合のウェハ搬送機構近傍の構成の概略を示す背面図である。
【図16】他の実施の形態にかかる基板処理システムの内部構成の概略を示す側面図である。
【図17】従来の基板処理システムの内部構成の概略を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる基板処理システム1の内部構成の概略を示す説明図である。図2及び図3は、基板処理システム1の内部構成の概略を示す側面図である。なお、本実施の形態では、基板処理システム1が、例えば基板のフォトリソグラフィー処理を行う塗布現像処理システムである場合を例にして説明する。
【0034】
基板処理システム1は、図1に示すように例えば外部との間で、複数枚のウェハWが収容されたカセットCが搬入出されるカセットステーション2と、フォトリソグラフィー処理の中でウェハWに所定の処理を施す処理ユニットを複数備えた処理ステーション3と、処理ステーション3に隣接する露光ユニット4との間でウェハWの受け渡しを行うインターフェイスステーション5とを一体に接続した構成を有している。また、基板処理システム1は、各種処理ユニットなどの制御を行う制御装置6を有している。
【0035】
カセットステーション2は、例えばカセット搬入出部10とウェハ搬送部11により構成されている。カセット搬入出部10は、例えば基板処理システム1のY方向負方向(図1の左方向)側の端部に設けられている。カセット搬入出部10には、カセット載置部としてのカセット載置台12が設けられている。カセット載置台12上には、カセット載置板13が例えば4つ設けられている。カセット載置板13は、水平方向のX方向(図1の上下方向)に一列に並べて設けられている。これらのカセット載置板13には、基板処理システム1の外部に対してカセットCを搬入出する際に、カセットCを載置することができる。
【0036】
ウェハ搬送部11には、図1に示すようにX方向に延びる搬送路20上を移動自在なウェハ搬送機構21と、受け渡しブロック22が設けられている。受け渡しブロック22には、カセット載置板13と処理ステーション3との間で搬送される基板を一時的に収容する受け渡しユニット30〜35が、図2及び図3に示すように、下から上に向かって順に多段に設けられている。ウェハ搬送機構21の動作は、制御装置6によって制御される。
【0037】
ウェハ搬送機構21は、上下方向及び鉛直軸周り(θ方向)にも移動自在であり、各カセット載置板13上のカセットCと受け渡しブロック22の各受け渡しユニット30〜35との間、及び受け渡しユニット30〜35の各段の間でウェハWを搬送できる。なお、ウェハ搬送機構21及び受け渡しユニット30〜35の詳細な構成については後述する。
【0038】
カセットステーション2に隣接する処理ステーション3には、各種ユニットを備えた複数例えば3つのブロックG1、G2、G3が設けられている。処理ステーション3の正面側(図1のX方向負方向側)には、第1のブロックG1が設けられ、処理ステーション3の背面側(図1のX方向正方向側)には、第2のブロックG2が設けられている。また、処理ステーション3のインターフェイスステーション5側(図1のY方向正方向側)には、第3のブロックG3が設けられている。
【0039】
例えば第1のブロックG1には、複数の液処理ユニットがウェハWの処理順に沿って下から上の順で、且つカセットステーション2側からインターフェイスステーション5側(図1のY方向正方向側)の順に積層して配置されている。
【0040】
具体的には、例えば図2に示すように、ウェハWのレジスト膜の下層に反射防止膜(以下「下部反射防止膜」という)を形成する下部反射防止膜形成ユニット40が最下段に上下2段に配置されている。その上の段には、ウェハWにレジスト液を塗布してレジスト膜を形成するレジスト塗布ユニット41と、ウェハWのレジスト膜の上層に反射防止膜(以下「上部反射防止膜」という)を形成する上部反射防止膜形成ユニット42が水平方向に並んで配置され、このユニット41、42は上下方向にそれぞれ2段ずつ配置されている。上部反射防止膜形成ユニット42は、レジスト塗布ユニット41よりも処理ステーション3のインターフェイスステーション5側(図1のY方向正方向側)に設けられている。また、下部反射防止膜形成ユニット40とレジスト塗布ユニット41の上の段には、露光後のウェハWを現像処理する現像処理ユニット43が上下2段に配置されている。なお、上部反射防止膜形成ユニット42に代えて、例えばレジスト膜の上層に撥水性の保護膜を形成する保護膜塗布ユニットを配置してもよい。
【0041】
上述の各処理ユニット40〜43は、図2に示すように処理時にウェハWを収容するカップFを水平方向に複数有しており、複数のウェハWを並行して処理することができる。
【0042】
例えば第2のブロックG2には、図3に示すようにウェハWの熱処理を行う熱処理ユニット50〜52や、ウェハWを疎水化処理するアドヒージョンユニット53、ウェハWの外周部を露光する周辺露光ユニット54が、上記の各処理ユニット40〜43と同様に、ウェハWの処理順に沿って鉛直方向と水平方向に並べて配置されている。熱処理ユニット50〜52は、ウェハWを載置して加熱する熱板と、ウェハWを載置して冷却する冷却板を有し、加熱処理と冷却処理の両方を行うことができる。
【0043】
例えば第3のブロックG3には、複数の受け渡しユニット60〜65が下から順に設けられている。
【0044】
図1に示すように受け渡しブロック22及び第1のブロックG1〜第3のブロックG3に囲まれた領域には、ウェハ搬送領域Dが形成されている。ウェハ搬送領域Dには、例えば図3に示すように複数のウェハ搬送機構70〜72が下から順に設けられている。各ウェハ搬送機構70〜72は、例えばY方向、X方向、θ方向及び鉛直方向に移動自在な搬送アームを有している。ウェハ搬送機構70〜72は、ウェハ搬送領域D内を移動し、周囲の受け渡しブロック22、第1のブロックG1、第2のブロックG2及び第3のブロックG3内の同程度の高さの所定のユニットにウェハWを搬送できる。
【0045】
インターフェイスステーション5には、ウェハ搬送機構90が設けられている。ウェハ搬送機構90は、例えば前後方向、θ方向及び上下方向に移動自在な搬送アームを有している。ウェハ搬送機構90は、例えば搬送アームにウェハWを支持して、第3のブロックG3内の各受け渡しユニットと露光ユニット4との間でウェハWを搬送できる。
【0046】
次に、上述したウェハ搬送機構21と、受け渡しユニット30〜35の構成について説明する。図4は、ウェハ搬送機構21の構成の概略を示す斜視図であり、図5はウェハ搬送機構21の構成の概略を示す側面図である。
【0047】
ウェハ搬送機構21は、図4及び図5に示すように、上下方向に並べて配置された第1の搬送アーム100と、第2の搬送アーム101を有している。第1の搬送アーム100は、その先端が2本に分岐した略U字形状を有しており、カセットCと受け渡しブロック22との間でウェハWを搬送することができる。第1の搬送アーム100の上面には、ウェハWを吸着保持するための吸引孔(図示せず)が設けられている。
【0048】
第2の搬送アーム101は、ウェハWよりも直径の大きい略3/4円環系状(C字形状)を有しており、受け渡しブロック22の各段の間で上下方向にウェハWの受け渡しを行うことができる。第2の搬送アーム101には、当該第2の搬送アーム101の内側に向かって突出する保持部102が例えば4箇所に設けられている。各保持部102の上面には、ウェハWを吸着保持するための吸引孔(図示せず)が設けられている。
【0049】
第1の搬送アーム100と第2の搬送アーム101の基端部には、アーム駆動部110が設けられている。このアーム駆動部110により、各搬送アーム100、101はそれぞれ独立して水平方向に移動できる。これら搬送アーム100、101とアーム駆動部110は、基台111に支持されている。基台111の下方には、回転駆動部112が設けられている。基台111は、当該基台111の下面に設けられたシャフト113を介して回転駆動部112に接続されている。この回転駆動部112により、基台111及び各搬送アーム100、101はシャフト113を中心軸として回転でき、且つ昇降できる。また、回転駆動部112は、ウェハ搬送部11の搬送路20を水平方向に移動自在に構成されている。
【0050】
次に、受け渡しユニット30の構成について説明する。図6は受け渡しユニット30の構成の概略を示す側面図であり、図7及び図8は、受け渡しユニット30の構成の概略を示す横断面図である。
【0051】
受け渡しユニット30は、例えば図6に示すように、ウェハ搬送機構21及び処理ステーション3側の面が開口した角柱形状の筐体120を有している。ウェハ搬送機構21の各搬送アーム100、101とウェハ搬送機構70〜72の各搬送アームは、この開口から受け渡しユニット30の内部にアクセス自在となっている。
【0052】
筐体120の内側には、ウェハWを保持する複数のプレート140〜146が鉛直方向に積層して設けられている。プレート140は、例えばウェハWを載置して温度調整する温度調整板である。プレート140は、例えば図7に示すように、略円盤形状を有している。プレート140は、水平な上面を有し、当該上面には、例えばウェハWを吸着保持するための吸引孔(図示せず)が設けられている。
【0053】
プレート140の内部には、温度調整用として例えばペルチェ素子などの温度調整部材(図示せず)が内蔵されており、プレート140に載置されるウェハWの温度を所望の温度、例えば23℃に調整することができる。
【0054】
プレート140には、上下方向に貫通する複数の貫通孔150が形成されている。貫通孔150には、昇降ピン151が設けられている。昇降ピン151は、シリンダなどの昇降駆動機構(図示せず)によって上下動できる。昇降ピン151は、貫通孔150内を挿通してプレート140の上面に突出し、ウェハWを支持して昇降できる。したがって、第1の搬送アーム100が上下動することによって、ウェハWを第1の搬送アーム100と昇降ピン151との間で受け渡しすることができる。プレート141、142の構成もプレート140と同様である。
【0055】
プレート143は、例えばウェハWを載置して冷却する冷却板である。プレート140の内部には、冷却用の冷媒を流通させる冷媒流路(図示せず)が形成されており、プレート140に載置されるウェハWを冷却することができる。
【0056】
プレート143の外周縁部には、例えば図8に示すように、平面視において第2の搬送アーム101の保持部102の形状に対応して凹状に窪んだ窪み部143aが、周方向に沿って所定の間隔で設けられている。したがって、第2の搬送アーム101がプレート143に対して相対的に上下動することによって、第2の搬送アーム101とプレート143との間でウェハWの受け渡しをすることができる。プレート144〜146の構成もプレート143と同様である。
【0057】
受け渡しユニット31の構成は、受け渡しユニット30の構成と同様であるので、説明を省略する。受け渡しユニット32、33には、プレート143と同様の構成のプレートのみが例えば7枚設けられており、その他の構成については、受け渡しユニット30と同様である。この場合、受け渡しユニット32、33内のウェハWは、第1の搬送アーム100によりカセットCとの間で搬送されることはなく、第2の搬送アーム101による受け渡しブロック22内の各段の間での搬送のみが行われる。また、受け渡しユニット34、35は、プレート140と同様の構成のプレートのみが例えば7枚設けられており、その他の構成については、受け渡しユニット30と同様である。この場合、受け渡しユニット34、35内のウェハWは、第1の搬送アーム100により、カセットCとの間の搬送のみが行われる。
【0058】
即ち、上述のような構成を有するウェハ搬送機構21及び受け渡しブロック22においては、ウェハ搬送機構21の第1の搬送アーム100により、カセットCと受け渡しユニット30、31間のウェハ搬送、及びカセットCと受け渡しユニット34、35間のウェハ搬送が行われる。また、第2の搬送アーム101により、受け渡しユニット30、31と受け渡しユニット32、33との間でウェハ搬送が行われる。なお、受け渡しブロック22の構成については、本実施の形態に限定されるものではなく、受け渡しブロック22内の各受け渡しユニット30〜35の配置や数、また、各受け渡しユニット30〜35内の各プレート140〜146の配置や数についても任意に決定が可能である。
【0059】
また、ウェハ搬送機構21によるウェハWの搬送は、制御装置6により、基板処理システム1の各処理ユニットでのウェハWの処理効率が最大化するように制御される。具体的には、第1の搬送アーム100による、例えばカセットCと受け渡しユニット30間でのウェハWの搬送のタイミングと、第2の搬送アーム101による受け渡しユニット30から受け渡しユニット32へのウェハWの搬送のタイミングが重複した場合、いずれか一方のウェハWの搬送を優先させ、他方のウェハWは、優先して搬送されるウェハWの搬送が完了するまでは待機状態とする。そしてこの際、制御装置6は、待機状態となる時間が最小となるように、換言すれば、待機状態が生じることによる基板処理システム1のスループットの低下が最小限となるように、優先して搬送するウェハWを選択する。
【0060】
制御装置6は、例えばCPUやメモリなどを備えたコンピュータにより構成されている。この制御装置6には、例えば基板処理システム1の各種処理ユニットでのウェハ処理の内容や各ウェハWの搬送ルートを定めた処理レシピが、プログラムとして例えばメモリに記憶されている。このプログラムを実行することによって、基板処理システム1の各種処理ユニットや上述した各ウェハ搬送機構の動作を制御し、基板処理システム1におけるウェハWの各種処理や搬送の制御が行われる。なお、前記プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータで読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、その記憶媒体Hから制御装置6にインストールされたものであってもよい。
【0061】
以上のように構成された基板処理システム1では、例えば次のようなウェハ処理が行われる。図9は、かかるウェハ処理の主な工程の例を示すフロー図である。
【0062】
ウェハWの処理にあたっては、先ず、1ロットの複数枚のウェハWを収容したカセットCが、カセットステーション2の所定のカセット載置板13に載置される。その後、ウェハ搬送機構21の第1の搬送アーム100によりカセットC内の各ウェハWが順次取り出され、受け渡しブロック22の例えば受け渡しユニット30に搬送される。受け渡しユニット30に搬送されたウェハWは、例えばプレート140に載置され所定の温度に温度調整処理される(図9の工程S1)。
【0063】
次にウェハWは、ウェハ搬送機構70によって第1のブロックG1の下部反射防止膜形成ユニット40に搬送され、ウェハW上に下部反射防止膜が形成される(図9の工程S2)。その後ウェハWは、第2のブロックG2の熱処理ユニット50に搬送され、加熱処理が行われる。その後、ウェハWは、アドヒージョンユニット53に搬送され、アドヒージョン処理される(図9の工程S3)。
【0064】
次にウェハWは、ウェハ搬送機構70により受け渡しユニット30に戻され、プレート143に載置される。プレート143に載置されたウェハWは所定の温度に冷却され、その後、ウェハ搬送機構21の第2の搬送アーム101によって同じ受け渡しブロック22の受け渡しユニット32に搬送される。その後ウェハWは、ウェハ搬送機構71によってレジスト塗布ユニット41に搬送され、ウェハW上にレジスト膜が形成される(図9の工程S4)。
【0065】
その後ウェハWは、ウェハ搬送機構71によって熱処理ユニット51に搬送されて、プリベーク処理される(図9の工程S5)。その後、ウェハWは、ウェハ搬送機構71によって同じ第2のブロックG2の上部反射防止膜形成ユニット42に搬送され、ウェハW上に上部反射防止膜が形成される(図9の工程S6)。
【0066】
その後ウェハWは、ウェハ搬送機構71によって熱処理ユニット51に搬送されて、加熱され、温度調節される。次いでウェハWは、周辺露光ユニット54に搬送され、周辺露光処理される(図9工程S7)。
【0067】
その後、ウェハWは、ウェハ搬送機構71によって第3のブロックG3の受け渡しユニット62に搬送される。受け渡しユニット62に搬送されたウェハWは、インターフェイスステーション5のウェハ搬送機構90によって露光ユニット4に搬送され、露光処理される(図9の工程S8)。
【0068】
次に、ウェハWは、ウェハ搬送機構90によって第3のブロックG3の受け渡しユニット64に搬送される。その後、ウェハWは、ウェハ搬送機構72によって第2のブロックG2の熱処理ユニット52に搬送され、露光後ベーク処理される(図9の工程S9)。その後、ウェハWは、ウェハ搬送機構72によって現像処理ユニット43に搬送され、現像される(図9の工程S10)。現像終了後、ウェハWは、熱処理ユニット52に搬送され、ポストベーク処理される(図9の工程S11)。
【0069】
その後、ウェハWは、ウェハ搬送機構72によって受け渡しブロック22の受け渡しユニット34に搬送される。そして、受け渡しユニット34のウェハWはウェハ搬送機構21の第1の搬送アーム100により、所定のカセット載置板13のカセットCに搬送される。こうして、一連のフォトリソグラフィー工程が終了する。
【0070】
以上の実施の形態によれば、処理ステーション3とカセット載置台12との間に配置されたウェハ搬送機構21が、第1の搬送アーム100と第2の搬送アーム101を有しているので、このウェハ搬送機構21により、カセット載置台12上のカセットCと各受け渡しユニット30〜35との間のウェハ搬送と、各受け渡しユニット30〜35の各段の間でのウェハ搬送とを行うことができる。そのため、従来、受け渡しユニット30〜35の各段の間でのウェハ搬送のために専用で設けられていた、例えば図16に示される他のウェハ搬送機構213が不要となる。したがって、受け渡しブロック22の配置をカセット載置台12寄りに変更する際の制約がなくなり、受け渡しブロック22を従来よりもカセット載置台寄りに配置することができる。この結果、基板処理システム1のフットプリントを小さくすることができる。
【0071】
また、例えば受け渡しユニット30〜35を、温度調整機能や冷却機能を有するプレート140〜146により構成したので、ウェハWの搬送の合間に、当該ウェハWの温度調整や冷却を行うことができる。これにより、基板処理システム1におけるウェハ処理のスループットを向上させることができる。また、従来の処理ステーション3に設けられていた温度調整用のユニットや冷却用のユニットを削減することができる。したがって、処理ステーション3を小型化することができ、基板処理システム1のフットプリントをさらに小さくできる。
【0072】
なお、以上の実施の形態では、カセットステーション2に一つのウェハ搬送機構21が設けられた場合の例について説明したが、ウェハ搬送機構21は複数設けられていてもよい。かかる場合、例えば図10に示すように、鉛直方向及び水平方向にそれぞれ独立して移動自在な複数のウェハ搬送機構21a、21bを、平面視において当該ウェハ搬送機構21a、21bの水平方向の移動経路が重なるように配置してもよい。また、例えば図11に示すように、複数のウェハ搬送機構21a、21bを上下方向に複数配置してもよい。
【0073】
図10では、平面視において複数ウェハ搬送機構21a、21bの水平方向の移動経路が重なるように配置した例として、当該ウェハ搬送機構21a、21bを、例えば搬送路20に沿って並べた場合を描図している。この場合、例えば、カセットC1、C2寄り(図10のX方向正方向側)に設けられたウェハ搬送機構21aにより当該カセットC1、C2と受け渡しユニット30〜35との間でウェハWを搬送し、カセットC3、C4寄り(図10のX方向負方向側)に設けられたウェハ搬送機構21bにより当該カセット当該カセットC3、C4と受け渡しユニット30〜35との間でウェハWを搬送するようにしてもよい。こうすることで、各ウェハ搬送機構21a、21bの搬送路20に沿った移動距離、即ち水平方向の移動距離を最小限にすることができるので、効率的にウェハWを搬送できる。
【0074】
また、複数のウェハ搬送機構21a、21bを設けることで、いずれが一方、例えばウェハ搬送機構21aが故障した場合であっても、故障していない健全なウェハ搬送機構21bによりウェハWの搬送を継続できる。かかる場合、故障したウェハ搬送機構21aは、健全なウェハ搬送機構21bと干渉しないように、例えば搬送路20のX方向正方向側端部の退避位置に移動させることが好ましい。
【0075】
なお、複数のウェハ搬送機構21a、21bを設けた場合、受け渡しユニット30〜35の各段の間でのウェハWの搬送には、状況に応じてウェハ搬送機構21aとウェハ搬送機構21bのどちらを用いてもよい。具体的には、例えばウェハ搬送機構21aの第1の搬送アーム100による、カセットC1と受け渡しユニット34間でのウェハWの搬送のタイミングと、第2の搬送アーム101による受け渡しユニット30、32の段間でのウェハWの搬送のタイミングが重複する場合であっても、ウェハ搬送機構21bがウェハの搬送を行っていない状態にある場合や、ウェハ搬送機構21bにより搬送を行うほうがウェハWの待機時間が少なくなる場合は、このウェハ搬送機構21bの第2の搬送アーム101で例えば受け渡しユニット30、32の段間での搬送を行うようにしてもよい。こうすることで、基板処理システム1内のウェハWの搬送を滞りなく行うことができる。
【0076】
なお、図10には、複数のウェハ搬送機構21a、21bを搬送路20に設けた場合を描図したが、複数のウェハ搬送機構21a、21bを設ける場合、搬送路20は必ずしも設ける必要がない。換言すれば、ウェハ搬送機構21a、21bを図10のX方向に沿って移動させる必要がない。かかる場合、例えば図12に示すように、カセットC1、C2と受け渡しブロック22との間にウェハ搬送機構21aを、カセットC3、C4と受け渡しブロック22との間にウェハ搬送機構21bを配置してもよい。この際、各カセットC1〜C4についても、各ウェハ搬送機構21a、21bの回転軸の中心方向に向けて配置することが好ましい。また、各受け渡しユニット30〜35の筐体120に形成されたカセット載置台12側の開口は、ウェハ搬送機構21a、21bの各搬送アーム100、101が斜め方向からウェハWにアクセス可能なように構成される。こうすることで、ウェハ搬送機構21a、21bのX方向への移動が不要となるので、搬送路20を設ける必要がなくなる。
【0077】
また、カセットC1〜C4そのものの配置についても、例えば図13に示すように、各カセットC1、C2とウェハ搬送機構21aとの配置の軌跡が平面視において略L字状となるようにしてもよい。
【0078】
また、複数のウェハ搬送機構21a、21bを、平面視において水平方向に並べて配置する場合、平面視におけるウェハ搬送機構21a、21bとの間に、例えば図14に示すように、受け渡しブロック22の各段の間におけるウェハWを搬送する、基板搬送機構160を設けてもよい。基板搬送装置160は、例えば、ウェハ搬送機構21の第2の搬送アーム101と同じ構成の搬送アームを備え、水平方向及び上下方向に移動自在である。かかる場合、例えばウェハ搬送機構21aとウェハ搬送機構21bの双方がウェハWを搬送している際に、受け渡しユニット30〜35の各段の間でのウェハWの搬送が必要となっても、基板搬送装置160により各段の間のウェハWの搬送を行うことで、基板処理システム1内で滞りなくウェハWの搬送を行うことができる。
【0079】
次に、図11に示されるような、上下方向に複数配置された複数のウェハ搬送機構21a、21bの構成について説明する。
【0080】
ウェハ搬送機構21a、21bは、例えば図15に示すように、鉛直方向に平行に延伸する直動レール170、170に対し、鉛直方向に摺動自在に設けられた昇降基台171、172によりそれぞれ支持されている。各昇降基台171、172は、直動レール170、170に沿って並行に設けられた昇降機構173、174によりそれぞれ独立して昇降できる。昇降機構173、174は、例えば、モータ175とプーリ176とを組み合わせて構成され、モータ175の正転逆転を制御することで、昇降基台171、172の上昇下降を制御できる。各昇降基台171、172の上面には、各ウェハ搬送機構21a、21bの回転駆動部112、112がそれぞれ支持されている。これにより、ウェハ搬送機構21a、21bの各搬送アーム100、101は、独立して回転動作及び昇降動作ができ、且つ水平方向に移動できる。
【0081】
上記のように、複数のウェハ搬送機構21a、21bを上下方向に配置した場合も、いずれか一方、例えばウェハ搬送機構21aが故障した場合であっても、健全なウェハ搬送機構21bによりウェハWの搬送を継続できる。かかる場合、故障したウェハ搬送機構21aは、健全なウェハ搬送機構21bと干渉しないように、例えば直動レール170上端部の退避位置まで移動させることが好ましい。なお、搬送機構21a、21bを上下方向に配置するにあたっては、例えば図11や図14に示すように同一の鉛直線上に配置する必要はなく、例えば上下に配置されたウェハ搬送機構21aとウェハ搬送機構21bとが、平面視において一部重なり合うような配置であってもよい。
【0082】
なお、以上の実施の形態では、例えば第1のブロックG1の場合についていうと、図2に示すように、各処理ユニット40〜43がウェハWの処理順に沿って上下に2段ずつ配置されていたが、第1のブロックや第2のブロック内の各処理ユニットの配置や設置数についてはウェハ搬送機構21の設置数や配置などに応じて適宜設定されるものであり、本実施の形態の内容に限定されるものではない。特に、複数のウェハ搬送機構21a、21bを図11のように同一の鉛直線上に配置する場合、各処理ユニット40〜43間でのウェハWの上下方向の移動距離が最小となるように各処理ユニット40〜43を配置してもよい。具体的には、例えば第1のブロックG1の場合の例でいうと、図16に示すように、各処理ユニット40〜43をウェハWの処理順に一段ずつ設けた処理ユニット群Aを配置し、さらに、現像処理ユニット43の上段に、各処理ユニット40〜43を処理ユニット群Aと同様に一段ずつ設けた処理ユニット群Bを配置するようにしてもよい。その際、各受け渡しユニット30〜35も、対応する各処理ユニットに合わせて下から上に、受け渡しユニット30、32、34、31、33、35の順に配置される。
【0083】
かかる場合、例えば下方に配置されたウェハ搬送機構21aにより、処理ユニット群AにかかるウェハWの搬送、換言すれば、受け渡しブロック22の下半分に配置された各受け渡しユニット30、32、34にかかるウェハWの搬送を行い、ウェハ搬送機構21aの上方に配置されたウェハ搬送機構21bにより、処理ユニット群BにかかるウェハWの搬送を行うことが好ましい。こうすることで、ウェハW搬送の際のウェハ搬送機構21a、21bの上下方向への移動距離が短くなるので、ウェハWを効率的に搬送できる。
【0084】
なお、以上の実施の形態では、受け渡しブロック22はウェハ搬送部11に設けられていたが、例えば処理ステーション3とカセットステーション2との間に設けられていてもよいし、処理ステーション3に設けてもよい。いずれの場合においても、従来、受け渡しユニット30〜35の各段の間でのウェハ搬送のために専用で設けられていた、図17に示される他のウェハ搬送機構213が不要となるので、基板処理システム1のフットプリントを小さくすることができる。
【0085】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。本発明は、基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、例えば半導体ウェハ等の基板に対して処理を行う際に有用である。
【符号の説明】
【0087】
1 基板処理システム
2 カセットステーション
3 処理ステーション
4 露光ユニット
5 インターフェイスステーション
6 制御装置
10 カセット搬入出部
11 ウェハ搬送部
12 カセット載置台
13 カセット載置板
20 搬送路
21 ウェハ搬送機構
22 受け渡しブロック
30〜35 受け渡しユニット
40 下部反射防止膜形成ユニット
41 レジスト塗布ユニット
42 上部反射防止膜形成ユニット
43 現像処理ユニット
50〜52 熱処理ユニット
53 アドヒージョンユニット
54 周辺露光ユニット
60〜65 受け渡しユニット
70〜72 ウェハ搬送機構
90 ウェハ搬送機構
100 第1の搬送アーム
101 第2の搬送アーム
102 保持部
110 アーム駆動部
111 基台
112 回転駆動部
113 シャフト
120 筐体
140〜146 プレート
150 貫通孔
151 昇降ピン
160 基板搬送装置
170 直動レール
171、172 昇降基台
173、174 昇降機構
175 モータ
176 プーリ
W ウェハ
F カップ
D ウェハ搬送領域
C カセット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する複数の処理ユニットが上下方向に多段に設けられた処理ステーションと、複数枚の基板を収容するカセットを載置するカセット載置部と、前記処理ステーションと前記カセット載置部との間に配置された基板搬送機構と、を備えた基板処理システムにおいて、
前記処理ステーションと前記基板搬送機構との間には、前記カセット載置部と前記処理ステーションとの間で搬送される基板、及び前記処理ユニットの各段の間で搬送される基板を一時的に収容する複数の受け渡しユニットが多段に設けられ、
前記基板搬送機構は、前記カセット載置部と前記各受け渡しユニットとの間で基板を搬送する第1の搬送アームと、前記各受け渡しユニットの各段の間で基板を搬送する第2の搬送アームとを備えていることを特徴とする、基板処理システム。
【請求項2】
前記基板搬送機構は、平面視において水平方向に複数並べて設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の基板処理システム。
【請求項3】
前記基板搬送機構は、上下方向に複数並べて設けられていることを特徴とする、請求項2に記載の基板処理システム。
【請求項4】
前記複数の処理ユニットは、当該処理ユニットで処理される基板の搬送経路が最短となるように上下方向に基板の処理順に並べて配置され、
前記処理ステーションには、前記処理順に配置された処理ユニット群が、上下方向に少なくとも2段設けられていることを特徴とする、請求項3に記載の基板処理システム。
【請求項5】
前記受け渡しユニットにおける各段の間で基板を搬送する基板搬送装置が、前記処理ユニットと前記カセット載置部との間で且つ前記複数の基板搬送機構の間に配置されていることを特徴とする、請求項2〜4のいずれかに記載の基板処理システム。
【請求項6】
前記基板搬送機構の動作を制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、前記第1の搬送アームによる基板搬送のタイミングと、前記第2の搬送アームによる基板搬送のタイミングが重複した場合には、基板が待機状態となる時間が最小限となるように、いずれか一方の搬送アームにより優先して基板を搬送する制御を行うことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の基板処理システム。
【請求項7】
前記基板搬送機構の動作を制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、前記第1の搬送アームによる基板搬送のタイミングと、前記第2の搬送アームによる基板搬送のタイミングが重複した場合には、前記第1の搬送アームによる前記カセット載置部と前記各受け渡しユニットとの間の基板搬送を優先するように制御し、基板を搬送していない他の基板搬送機構により、前記各受け渡しユニットの各段の間で搬送を行うように制御することを特徴とする、請求項2〜5のいずれかに記載の基板処理システム。
【請求項8】
前記受け渡しユニットは、基板を載置するプレートを複数有し、前記各プレートは基板を冷却する冷却板又は基板の温度調整を行う温度調整板であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の基板処理システム。
【請求項9】
前記搬送機構は、前記第1の搬送アーム及び前記第2の搬送アームを水平方向及び上下方向に移動させるアーム駆動部を有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の基板処理システム。
【請求項10】
基板を処理する複数の処理ユニットが上下方向に多段に設けられた処理ステーションと、複数枚の基板を収容するカセットを載置するカセット載置部と、前記処理ステーションと前記カセット載置部との間に配置された基板搬送機構と、を備えた基板処理システムにおける基板の搬送方法であって、
前記処理ステーションと前記基板搬送機構との間には、前記カセット載置部と前記処理ステーションとの間で搬送される基板、及び前記処理ユニットの各段の間で搬送される基板を一時的に収容する複数の受け渡しユニットが多段に設けられ、
前記カセット載置部と前記各受け渡しユニットとの間の基板搬送は、前記基板搬送機構の第1の搬送アームにより行われ、前記各受け渡しユニットの各段の間での基板搬送は、前記基板搬送機構の第2の搬送アームにより行われることを特徴とする、基板搬送方法。
【請求項11】
前記第1の搬送アームによる基板搬送のタイミングと、前記第2の搬送アームによる基板搬送のタイミングが重複した場合には、基板が待機状態となる時間が最小限となるように、いずれか一方の搬送アームにより優先して基板を搬送することを特徴とする、請求項10に記載の基板搬送方法。
【請求項12】
前記基板搬送機構は、平面視において水平方向に複数並べて設けられていることを特徴とする、請求項11に記載の基板搬送方法。
【請求項13】
前記基板搬送機構は、上下方向に複数並べて設けられていることを特徴とする、請求項12に記載の基板搬送方法。
【請求項14】
前記複数の処理ユニットは、当該処理ユニットで処理される基板の搬送経路が最短となるように上下方向に基板の処理順に並べて配置され、
前記処理ステーションには、前記処理順に配置された処理ユニット群が、少なくとも上下方向に2段設けられていることを特徴とする、請求項13に記載の基板搬送方法。
【請求項15】
前記第1の搬送アームによる基板搬送のタイミングと、前記第2の搬送アームによる基板搬送のタイミングが重複した場合には、前記第1の搬送アームによる前記カセット載置部と前記各受け渡しユニットとの間の基板搬送を優先して行い、
基板を搬送していない他の基板搬送機構により、前記各受け渡しユニットの各段の間における搬送を行うことを特徴とする、請求項12〜14のいずれかに記載の基板搬送方法。
【請求項16】
前記受け渡しユニットにおける各段の間の搬送は、前記処理ユニットと前記カセット載置部との間で且つ前記複数の基板搬送機構の間に設けられた、前記受け渡しユニットにおける各段の間の基板搬送を行う基板搬送装置により行われることを特徴とする、請求項12〜14のいずれかに記載の基板搬送方法。
【請求項17】
前記受け渡しユニットは、基板を載置するプレートを複数有し、前記各プレートは基板を冷却する冷却板又は基板の温度調整を行う温度調整板であることを特徴とする、請求項10〜16のいずれかに記載の基板搬送方法。
【請求項18】
請求項10〜17のいずかに記載の基板搬送方法を基板処理システムによって実行させるために、当該基板処理システムを制御する制御装置のコンピュータ上で動作するプログラム。
【請求項19】
請求項18に記載のプログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−69873(P2013−69873A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207463(P2011−207463)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】