基板処理方法、この基板処理方法を実行させるためのプログラムを記録した記録媒体、基板処理装置及び差圧式流量計の異常検出方法
【課題】供給ノズルに処理液を供給するための供給流路に設けられた差圧式流量計の流量の計測値が真の値からずれたことを容易に検知することができる基板処理方法及び基板処理装置を提供する。
【解決手段】処理液を供給する供給流路に設けられた差圧式流量計を介して接続された供給ノズルにより基板に処理液を供給し、供給された処理液により基板を処理する基板処理方法において、基板に処理液を供給していないときに、供給流路内の圧力を差圧式流量計内の圧力計測部により計測する計測工程S15と、計測工程S15を行って計測した圧力値と、所定の圧力値とを比較することによって、圧力計側部が正常に動作しているかを判定する判定工程S16と、判定工程S16において圧力計側部が正常に動作していると判定したときに、基板に処理液を供給する供給工程S11とを有する。
【解決手段】処理液を供給する供給流路に設けられた差圧式流量計を介して接続された供給ノズルにより基板に処理液を供給し、供給された処理液により基板を処理する基板処理方法において、基板に処理液を供給していないときに、供給流路内の圧力を差圧式流量計内の圧力計測部により計測する計測工程S15と、計測工程S15を行って計測した圧力値と、所定の圧力値とを比較することによって、圧力計側部が正常に動作しているかを判定する判定工程S16と、判定工程S16において圧力計側部が正常に動作していると判定したときに、基板に処理液を供給する供給工程S11とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理液を用いて基板を処理する基板処理方法、この基板処理方法を実行させるためのプログラムを記録した記録媒体、基板処理装置及び差圧式流量計の異常検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造プロセスやフラットパネルディスプレー(FPD)の製造プロセスにおいては、被処理基板(以下「基板」又は「ウェハ」という。)である半導体ウェハやガラス基板に処理液を供給して液処理を行うプロセスが多用されている。このようなプロセスとしては、例えば、基板に付着したパーティクルやコンタミネーション等を除去する洗浄処理等を挙げることができる。
【0003】
上記したような洗浄処理等のプロセスを基板に対して行う基板処理装置としては、枚葉式の複数の液処理ユニットと、搬送装置とを備えたものが用いられている。液処理ユニットは、半導体ウェハ等の基板をスピンチャックに保持し、基板を回転させた状態で基板の表面または表裏面に処理液を供給して処理を行う。搬送装置は、これら液処理ユニットへの基板の搬入出を行う。また、装置のフットプリントの増加を抑制しつつより高いスループットを実現するために、上記液処理ユニットを多段に積層したレイアウトを有するものがある。
【0004】
このような基板処理装置においては、処理液(薬液)を供給する処理液ノズル(以下「供給ノズル」という。)がミキシングバルブを介して複数の薬液供給系に切替可能に接続されているものがある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に示す例では、各薬液供給系とミキシングバルブとの間に、各薬液供給系に対応する流量制御機構が設けられている。
【0005】
また、このような流量制御機構として、流体が流れる流路の途中に設けられた差圧式流量計と、流路の途中に設けられて流体の流れを調整するバルブと、バルブの開度を制御する制御部とを備えたものがある(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に示す例では、制御部は、設定流量と差圧式流量計により求められた流体の流量とに基づいてバルブの開度を制御する。また、差圧式流量計は、円管と、円管の上流側に配置された第1の圧力計と、円管の下流側に配置された第2の圧力計とを備えている。第1の圧力計は、円管に流入する流体の圧力を計測する。第2の圧力計は、円管から流出する流体の圧力を計測する
。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−34490号公報
【特許文献2】特開2006−153677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記した処理液を用いて基板を処理する基板処理方法においては、次のような問題があった。
【0008】
上記したように、流量制御機構は、差圧式流量計が計測した流量の計測値を設定流量に近づけるように、バルブの開度を制御する。また、差圧式流量計は、例えば上記した円管のように流路を絞る部分の上流側及び下流側にそれぞれ第1の圧力計及び第2の圧力計を有しており、第1の圧力計の計測値と第2の圧力計の計測値とに基づいて流量に換算することによって、流量の計測値を得る。
【0009】
ここで、第1の圧力計又は第2の圧力計において電気的な異常等が発生することによって、第1の圧力計の計測値又は第2の圧力計の計測値が真の値からずれた場合にも、差圧式流量計は、そのずれた値に基づいて流量に換算することによって、流量の計測値を得る。このとき、流量制御機構は、そのずれた流量が設定流量に近づくように制御する。そのため、例えば流量制御機構に、制御された流量が設定流量と等しくなっていることが表示されていたとしても、実際に流れている流量は、なお設定流量とずれている。
【0010】
上記したように流量の計測値が真の値からずれた場合には、供給ノズルから供給される処理液の流量を計量カップ等により直接秤量するようなことをしない限り、真の流量の値を計測することが難しい。従って、例えば第1の圧力計又は第2の圧力計において電気的な異常等が発生することによって、差圧式流量計が計測した流量の計測値が真の値からずれた場合には、そのずれたことを容易に検知することができないという問題があった。
【0011】
更に、上流側及び下流側を連通するように設けられた連通部を閉鎖するように設けられたダイヤフラムにより、上流側及び下流側の差圧を測定する差圧センサを用いた差圧式流量計もある。このような差圧センサを用いた差圧式流量計でも、ダイヤフラムの歪、変形に伴って不具合が発生し、流量の計測値が真の値からずれることがあるが、そのずれを容易に検知することができないという問題があった。
【0012】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、処理液を供給するための供給流路に設けられた差圧式流量計の流量の計測値が真の値からずれたことを容易に検知することができる基板処理方法、基板処理装置及び差圧式流量計の異常検出方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために本発明では、次に述べる各手段を講じたことを特徴とするものである。
【0014】
本発明の一実施例によれば、処理液を供給する供給流路に設けられた差圧式流量計を介して接続された供給ノズルにより基板に処理液を供給し、供給された処理液により基板を処理する基板処理方法において、基板に処理液を供給していないときに、前記供給流路内の圧力を前記差圧式流量計内の圧力計測部により計測する計測工程と、前記計測工程を行って計測した圧力値と、所定の圧力値とを比較することによって、前記圧力計側部が正常に動作しているかを判定する判定工程と、前記判定工程において前記圧力計側部が正常に動作していると判定したときに、基板に処理液を供給する供給工程とを有する基板処理方法が提供される。
【0015】
本開示の基板処理方法においては、前記計測工程は、基板に処理液を供給していないときに、前記供給流路に設けられ、前記供給流路を絞る絞り部の、上流側及び下流側における前記供給流路内の圧力を、前記圧力計測部により計測するものであり、前記判定工程は、前記計測工程を行って計測した前記上流側及び前記下流側における前記圧力の圧力差の絶対値と、所定の差圧上限値とを比較することによって、前記圧力計側部が正常に動作しているかを判定するようになっていても良い。
【0016】
本開示の基板処理方法においては、前記圧力計測部は、前記上流側における前記圧力を計測する第1の圧力計と、前記下流側における前記圧力を計測する第2の圧力計とを含み、前記圧力差は、前記第1の圧力計が計測した第1の圧力計測値と前記第2の圧力計が計測した第2の圧力計測値との差であり、前記計測工程は、供給系と前記供給流路との接続が遮断されているときに、前記圧力を計測するようになっていても良い。
【0017】
本開示の基板処理方法においては、前記圧力差の絶対値が前記差圧上限値より大きいときに、前記第1の圧力計測値又は前記第2の圧力計測値が所定の圧力基準値に等しくなるように、前記第1の圧力計のオフセット値又は前記第2の圧力計のオフセット値を補正するオフセット値補正工程を有するようになっていても良い。
【0018】
本開示の基板処理方法においては、前記基板は、基板に処理液が供給される処理ユニット内に、順次連続して搬入された後に処理液が供給され、前記計測工程は、前記処理ユニット内にて基板に処理液を供給する基板処理の後に実施され、前記判定工程において前記圧力計側部が正常に動作していると判定したときに、前記処理ユニット内に次に搬入される基板に処理液を供給する供給工程とを有するようになっていても良い。
【0019】
本開示の基板処理方法においては、前記基板は、基板に処理液が供給される処理ユニット内に、順次連続して搬入された後に処理液が供給され、前記計測工程は、前記処理ユニット内にて基板に処理液を供給する基板処理の後に実施され、前記判定工程において前記圧力計側部が正常に動作していると判定したときに、前記処理ユニット内に次に搬入される基板に処理液を供給する供給工程と、前記判定工程において前記圧力計側部が正常に動作していないと判定したときに、前記処理ユニット内に次に搬入される予定の基板を搬入しないようになっていても良い。
【0020】
本開示の基板処理方法においては、前記計測工程及び前記判定工程時に前記基板から処理液を除去する乾燥工程が実施されるようになっていても良い。
【0021】
また、本発明の他の一実施例によれば、基板を処理液により処理する基板処理装置において、基板を収容する処理ユニットと、基板に処理液を供給する供給ノズルと、前記供給ノズルに処理液を供給する供給系と前記供給ノズルとを接続する供給流路の途中に設けられた差圧式流量計と、を有し、基板に処理液を供給していないときに、前記差圧式流量計にて計測された圧力差の絶対値と、所定の差圧上限値とを比較することによって、前記差圧式流量計が正常に動作しているかを判定し、前記差圧式流量計が正常に動作していると判定したときに、基板に処理液を供給する基板処理装置が提供される。
【0022】
本開示の基板処理装置においては、前記差圧式流量計は、前記供給流路を絞る絞り部と、前記絞り部の上流側における前記供給流路内の圧力を計測する第1の圧力計と、前記絞り部の下流側における前記圧力を計測する第2の圧力計と、前記供給流路上に設けられた流量制御弁と、前記第1の圧力計が計測した第1の圧力計測値と前記第2の圧力計が計測した第2の圧力計測値との差である圧力差に基づいて、前記流量制御弁の開度を制御する流量制御部とを有し、基板に処理液を供給していないときに、前記圧力差の絶対値と、所定の差圧上限値とを比較することによって、前記第1の圧力計及び前記第2の圧力計が正常に動作しているかを判定することにより前記差圧式流量計が正常に動作しているかを判定するようになっていても良い。
【0023】
本開示の基板処理装置においては、前記処理ユニットに順次基板を搬入する搬送機構をさらに有し、前記処理ユニット内にて基板に処理液を供給する基板処理の後に前記供給流路内の圧力を計測し、前記差圧式流量計が正常に動作していると判定したときに、前記処理ユニット内に前記搬送機構により基板が搬入され、搬入された基板に処理液を供給するようになっていても良い。
【0024】
本開示の基板処理装置においては、前記処理ユニットに順次基板を搬入する搬送機構をさらに有し、前記処理ユニット内にて基板に処理液を供給する基板処理の後に前記供給流路内の圧力を計測し、前記差圧式流量計が正常に動作していると判定したときに、前記処理ユニット内に前記搬送機構により基板が搬入され、搬入された基板に処理液を供給し、前記差圧式流量計が正常に動作していないと判定したときに、前記処理ユニット内に次に搬入される予定の基板を搬入しないようになっていても良い。
【0025】
また、本発明の他の一実施例によれば、処理液を供給する供給流路に設けられた差圧式流量計の異常検出方法において、処理液を供給していないときに、前記供給流路内の圧力を前記差圧式流量計内の圧力計測部により計測する計測工程と、前記計測工程を行って計測した圧力値と、所定の圧力値とを比較することによって、前記圧力計側部が正常に動作しているかを判定する判定工程と、を有する差圧式流量計の異常検出方法が提供される。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、基板に処理液を供給する供給ノズルを有する基板処理装置において、供給ノズルに処理液を供給するための供給流路に設けられた差圧式流量計の流量の計測値が真の値からずれたことを容易に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態に係る基板処理装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】図1のA−A線に沿った正面側の断面図である。
【図3】図1のB−B線に沿った側面側の断面図である。
【図4】図1の基板処理装置に搭載された液処理ユニットの概略構成を示す断面図である。
【図5】図4に示す液処理ユニットの処理液供給機構の構成を示す図である。
【図6】図5に示す液処理ユニットの第1のLFCを含む供給系から供給ノズルまでの供給流路を示す図である。
【図7】差圧式流量計の絞り部及び圧力計測部の構成を示す模式図である。
【図8】差圧式センサを有する差圧式流量計の構成を示す模式図である。
【図9】モータバルブの構成を模式的に示す断面図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る基板処理装置が流量の計測値の真の値からのずれを検知する工程を含む基板処理方法の各ステップの手順を説明するためのフローチャートである。
【図11】流量の計測値の真の値からのずれを検知する工程を含む基板処理方法を行う際のタイムチャートである。
【図12】流量の計測値の真の値からのずれを検知する工程を含む基板処理方法を行う際の流量及び圧力差の時間変化を模式的に示すグラフである。
【図13】本発明の実施の形態の変形例に係る基板処理装置が流量の計測値の真の値からのずれを検知する工程を含む基板処理方法の各ステップの手順を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、本発明を実施するための形態について図面と共に説明する。ここでは、本発明を半導体ウェハ(以下、単に「ウェハ」と記す。)の表裏面洗浄を行う基板処理装置に適用した場合について示す。
(実施の形態)
始めに、図1から図3を参照し、本発明の実施の形態に係る基板処理装置の概略構成について説明する。
【0029】
図1は本発明の実施の形態に係る基板処理装置の概略構成を示す平面図、図2は図1のA−A線に沿った正面側の断面図、図3は図1のB−B線に沿った側面側の断面図である。
【0030】
この基板処理装置100は、複数のウェハWを収容するウェハキャリアCを載置し、ウェハWの搬入・搬出を行う搬入出ステーション(基板搬入出部)1と、ウェハWに洗浄処理を施すための処理ステーション(液処理部)2とを備えている。搬入出ステーション(基板搬入出部)1及び処理ステーション(液処理部)2は、隣接して設けられている。
【0031】
搬入出ステーション1は、キャリア載置部11、搬送部12、受け渡し部13及び筐体14を有している。キャリア載置部11は、複数のウェハWを水平状態で収容するウェハキャリアCを載置する。搬送部12は、ウェハWの搬送を行う。受け渡し部13は、ウェハWの受け渡しを行う。筐体14は、搬送部12および受け渡し部13を収容する。
【0032】
キャリア載置部11は4個のウェハキャリアCが載置可能である。載置されたウェハキャリアCは筐体14の垂直壁部12aに密着された状態とされ、大気に触れることなくその中のウェハWが搬送部12に搬入可能となっている。
【0033】
筐体14は、搬送部12と受け渡し部13とを垂直に仕切る仕切り部材14aを有している。搬送部12は、搬送機構15と、その上方に設けられた清浄空気のダウンフローを供給するファン・フィルター・ユニット(FFU)16とを有している。搬送機構15は、ウェハWを保持するウェハ保持アーム15a、及びウェハ保持アーム15aを前後に移動させる機構を有している。また搬送機構15は、ウェハキャリアCの配列方向であるX方向に延在する水平ガイド17(図1参照)に沿って移動させる機構、垂直方向に設けられた垂直ガイド18(図2参照)に沿って移動させる機構、水平面内で回転させる機構を有している。この搬送機構15により、ウェハキャリアCと受け渡し部13との間でウェハWが搬送される。
【0034】
受け渡し部13は、受け渡しステージ19と、その上に設けられたウェハWを載置可能な載置部を複数備えた受け渡し棚20とを有している。受け渡し部13は、この受け渡し棚20を介して処理ステーション2との間でウェハWの受け渡しが行われるようになっている。
【0035】
図3に示すように、処理ステーション2は、直方体状をなす筐体21を有している。処理ステーション2は、筐体21内には、その中央上部にウェハキャリアCの配列方向であるX方向に直交するY方向に沿って延びる搬送路を構成する搬送室21aと、搬送室21aの両側に設けられた2つのユニット室21b、21cとを有している。ユニット室21b、21cにはそれぞれ搬送室21aに沿って6個ずつ合計12個の液処理ユニット22が水平に配列されている。
【0036】
筐体21内のユニット室21b、21cの下には、それぞれ配管を収容した配管ボックス21f、21gが設けられている。また、配管ボックス21f、21gの下には、それぞれ処理液貯留部としての薬液供給ユニット21h、21iが設けられている。
【0037】
搬送室21aの上方には、ファン・フィルター・ユニット(FFU)23が設けられ、搬送室21aに清浄空気のダウンフローを供給するようになっている。搬送室21aの内部には搬送機構24が設けられている。搬送機構24は、ウェハWを保持するウェハ保持アーム24a、及びウェハ保持アーム24aを前後に移動させる機構を有している。また、搬送機構24は、搬送室21aに設けられた水平ガイド25(図1参照)に沿ってY方向に移動させる機構、垂直方向に設けられた垂直ガイド26(図3参照)に沿って移動させる機構、水平面内で回転させる機構を有している。この搬送機構24により、各液処理ユニット22に対するウェハWの搬入出を行うようになっている。
【0038】
配管ボックス21f、21gには、処理液配管群70、排液配管71および排気配管72が水平に配置されている。処理液配管群70は、例えば、アンモニア水と過酸化水素を混合して形成されたアンモニア過水(SC1)を供給するSC1配管70a、純水を供給する純水配管70bを有している。
【0039】
次に、図3及び図4を参照し、本実施の形態に係る基板処理装置に搭載された液処理ユニットについて説明する。図4は、図1の基板処理装置に搭載された液処理ユニットの概略構成を示す断面図である。
【0040】
なお、液処理ユニット22は、本発明における処理ユニットに相当する。
【0041】
液処理ユニット22は、図4に拡大して示すように、ベースプレート41、ウェハ保持部42、回転モータ43、回転カップ44、表面処理液供給ノズル45、裏面処理液供給ノズル46及び排気・排液部(カップ)47を有する。ウェハ保持部42は、ウェハWを回転可能に保持する。回転モータ43は、ウェハ保持部42を回転させる。回転カップ44は、ウェハ保持部42に保持されたウェハWを囲繞するように設けられ、ウェハ保持部42とともに回転する。表面処理液供給ノズル45は、ウェハWの表面に処理液を供給する。裏面処理液供給ノズル46は、ウェハWの裏面に処理液を供給する。排気・排液部(カップ)47は、回転カップ44の周縁部に設けられている。
【0042】
排気・排液部(カップ)47の周囲およびウェハWの上方を覆うように、ケーシング48が設けられている。ケーシング48の上部にはファン・フィルター・ユニット(FFU)23からの気流を導入する気流導入部49が設けられており、図3に示すように、搬送室21aに繋がる開口49aから気流が導入される。
【0043】
ウェハ保持部42は、水平に設けられ中央に円形の孔51aを有する円板状をなす回転プレート51と、その裏面の孔51aの周囲部分に接続され、下方鉛直に延びる円筒状の回転軸52とを有している。そして、裏面処理液供給ノズル46を備えた昇降部材53が孔52aおよび孔51a内を昇降可能に設けられている。回転プレート51には、ウェハWの外縁を保持する3つ(1つのみ図示)の保持部材54が設けられている。
【0044】
回転軸52は、軸受け部材55を介してベースプレート41に回転可能に支持されている。回転軸52と回転モータ43の軸に嵌め込まれたプーリー58にはベルト57が巻き掛けられており、回転モータ43の回転駆動が回転軸52に伝達される。
【0045】
昇降部材53の上端部にはウェハ支持ピン65を有するウェハ支持台64が設けられている。また、昇降部材53の下端には接続部材66を介してシリンダ機構67が接続されており、このシリンダ機構67によって昇降部材53を昇降させることにより、ウェハWを昇降させてウェハWのローディングおよびアンローディングが行われる。
【0046】
表面処理液供給ノズル45は、ノズルアーム62に保持されている。表面処理液供給ノズル45は、図示しない駆動機構によりノズルアーム62を移動させることにより、ウェハWの上方の処理液供給位置と退避位置との間で移動可能となっている。このようにして、表面処理液供給ノズル45からウェハWの表面に処理液が供給されるようになっている。
【0047】
また、裏面処理液供給ノズル46は昇降部材53の内部の中心に垂直に設けられており、この裏面処理液供給ノズル46からウェハWの裏面に処理液が供給されるようになっている。
【0048】
表面処理液供給ノズル45並びに裏面処理液供給ノズル46には、それぞれ配管68a、68bを介して処理液が供給されるようになっている。配管68a、68bは、上記配管ボックス21fまたは21g内に水平に設けられた上記処理液配管群70を構成する配管70a、70bにそれぞれバルブ80a、80bが連結されてなる一体の供給系切替バルブ80dを介して接続されている。また、配管68a、68bの途中、すなわち図5を用いて後述する供給流路68a、68b上に、液体フローコントローラ(LFC)131、141が設けられている。
【0049】
なお、液体フローコントローラ(LFC)131、141のことを、以下「流量制御機構」という場合がある。
【0050】
回転カップ44は、回転プレート51とともに回転され、ウェハWから飛散した処理液がウェハWに戻ることが抑制され、処理液は下方に導かれる。
【0051】
排気・排液部(カップ)47は、回転カップ44から排出された処理液を受ける環状をなす排液カップ91と、排液カップ91の外側に、排液カップ91を囲繞するように設けられた環状をなす排気カップ92とを備えている。
【0052】
排液カップ91の底部の最外側部分には排液管94が接続されている。
【0053】
排気カップ92は、回転カップ44との間の環状をなす隙間から回転カップ44内およびその周囲の主にガス成分を取り込んで排気するようになっている。また、排気カップ92の下部には、ガス成分を排気する排気管95が接続されている。
【0054】
次に、図2を参照し、薬液供給ユニット21h、(21i)について説明する。(21hと21iは同構造であるため、代表して21hを説明する。)
薬液供給ユニット21hは、搬入出ステーション1側に設けられた、例えばアンモニア水と過酸化水素を混合したアンモニア過水(SC1)を貯留する第1薬液タンク101を有している。
【0055】
図2に示すように、第1薬液タンク101の側壁下部にはその中から薬液を送出するための送出管103が接続されており、送出管103には、ポンプ103aが設けられているとともに、接続管105が接続されている。接続管105は、配管ボックス21f内に水平に配置された処理液配管群70のSC1配管70aの一端側に接続されている。
【0056】
第1薬液タンク101の上部には薬液供給配管111が接続されており、この薬液供給配管111には混合器112が接続されている。混合器112には、純水配管113、アンモニア配管114および過酸化水素配管115が接続されており、混合器112にて純水とアンモニアと過酸化水素が混合されてアンモニア過水SC1が第1薬液タンク101に供給されるようになっている。純水配管113には液体フローコントローラ(LFC)116aおよびバルブ116bが設けられている。アンモニア配管114には液体フローコントローラ(LFC)117aおよびバルブ117bが設けられている。過酸化水素配管115には液体フローコントローラ(LFC)118aおよびバルブ118bが設けられている。
【0057】
なお、これら薬液洗浄以外に、純水によるリンスが行われるが、その際には、純水は純水供給源から純水送出管108及び純水配管70bを通って供給される。
【0058】
配管ボックス21f、21gに設けられた排液配管71にはドレイン配管123が接続されている。
【0059】
また、基板処理装置100は、図4に示すように、制御部200を有する。制御部200は、マイクロプロセッサ(コンピュータ)からなるプロセスコントローラ201を有しており、基板処理装置100の各構成部がこのプロセスコントローラ201に接続されて制御される構成となっている。また、プロセスコントローラ201には、工程管理者が基板処理装置100の各構成部を管理するためにコマンドの入力操作などを行うキーボードや、基板処理装置100の各構成部の可動状況を可視化して表示するディスプレイ等からなるユーザーインターフェース202が接続されている。さらに、プロセスコントローラ201には、基板処理装置100で実行される各種処理をプロセスコントローラ201の制御にて実現するための制御プログラムや、処理条件に応じて基板処理装置100の各構成部に所定の処理を実行させるための制御プログラムすなわちレシピが格納された記憶部203が接続されている。レシピは記憶部203の中の記憶媒体(記録媒体)に記憶されている。記憶媒体(記録媒体)は、ハードディスクや半導体メモリであってもよい。また、他の装置から、例えば専用回線を介してレシピを適宜伝送させるようにしてもよい。
【0060】
そして、必要に応じて、ユーザーインターフェース202からの指示等にて任意のレシピを記憶部203から呼び出してプロセスコントローラ201に実行させることで、プロセスコントローラ201の制御下で、基板処理装置100での所望の処理が行われる。
【0061】
このように構成される基板処理装置100においては、まず、搬入出ステーション1のキャリア載置部11に載置されたウェハキャリアCから搬送機構15により1枚のウェハWを取り出して受け渡しステージ19上の受け渡し棚20の載置部に載置し、この動作を連続的に行う。受け渡し棚20の載置部に載置されたウェハWは、処理ステーション2の搬送機構24により順次搬送されて、いずれかの液処理ユニット22に搬入される。
【0062】
液処理ユニット22においては、まず、保持部材54によりウェハWを保持し、回転モータ43によりウェハ保持部42を回転カップ44およびウェハWとともに回転させる。ウェハ保持部42を回転させながら、表面処理液供給ノズル45及び裏面処理液供給ノズル46から処理液を供給し、ウェハWの表裏面洗浄を行う。そして、このような処理液による洗浄処理の後、純水配管70bから各処理ユニット22に純水を供給して純水リンスを行い、その後、乾燥を行って洗浄処理を終了する。
【0063】
このようにして液処理を行った後、搬送機構24により液処理ユニット22からウェハWを搬出し、受け渡しステージ19の受け渡し棚20に載置し、受け渡し棚20から搬送機構15によりウェハキャリアCに戻される。
【0064】
次に、図5から図8を参照し、本実施の形態に係る基板処理装置の液処理ユニットにおける処理液供給機構について説明する。
【0065】
図5は、図4に示す液処理ユニットの処理液供給機構の構成を示す図である。なお、図5では、図4を用いて先に説明した部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0066】
処理液供給機構は、第1の処理液供給機構130及び第2の処理液供給機構140を有する。第1の処理液供給機構130は、基板の上面(表面)に処理液を供給し、第2の処理液供給機構140は、基板の下面(裏面)に処理液を供給する。
【0067】
第1の処理液供給機構130は、表面処理液供給ノズル45、供給系切替バルブ80d、及び第1のLFC131、表面処理液供給ノズル45への処理液の供給を制御する開閉バルブ135を有する。表面処理液供給ノズル45は、排気・排液部(カップ)47内のウェハ保持部42に回転可能に保持したウェハWの上面(表面)に処理液を供給するものである。供給系切替バルブ80dは、複数の配管70a、70bと配管68aを切替え可能に接続するものである。
【0068】
一方、第2の処理液供給機構140は、裏面処理液供給ノズル46、供給系切替バルブ80d、第2のLFC141、裏面処理液供給ノズル46への処理液の供給を制御する開閉バルブ136を有する。裏面処理液供給ノズル46は、排気・排液部(カップ)47内のウェハ保持部42に回転可能に保持した基板の下面(裏面)に処理液を供給するものである。また、供給系切替バルブ80dは、裏面処理液供給ノズル46に処理液を供給する複数の配管70a、70bと配管68aを切替可能に接続するものであり、前述した第1の処理液供給機構130と共通である。更に、第2のLFC141は、前述した第1のLFC131と同様にすることができる。従って、ここでは、第1の処理液供給機構130及び第2の処理液供給機構140を代表し、以下、第1の処理液供給機構130における供給ノズル及び流量制御機構を説明するものとする。
【0069】
なお、配管(SC1配管)70a、及び配管(純水配管)70bは、本発明における供給系に相当する。また、配管(SC1配管)70a、及び配管(純水配管)70bを含む処理液配管群70は、本発明における複数の供給系に相当する。
【0070】
第1のLFC131は、供給系切替バルブ80dと表面処理液供給ノズル45とを接続する供給流路68a上に設けられ、供給流路68aを流れる処理液の流量を制御する。第1のLFC131は、図6を用いて後述するように、差圧式流量計132、モータバルブ133及び流量制御部134を有する。
【0071】
なお、モータバルブ133は、本発明における流量制御弁に相当する。また、モータバルブ133に代え、供給流路の流量を制御することができる各種の流量制御弁を用いることができる。また、供給流路の流量を制御するために、流量制御弁の開度を制御するものでもよく、あるいは、複数の流量制御弁を供給流路上に並列に設け、開いている流量制御弁の個数を制御する、等の各種の方法により制御するものであってもよい。
【0072】
表面処理液供給ノズル45は、開閉バルブ135により、開閉切換可能に、第1のLFC131に接続されている。表面処理液供給ノズル45は、開閉バルブ135を介し供給流路68cが接続されるとともに、第1の流量F1で基板に処理液を供給する。
【0073】
ここでは、複数の供給系である処理液配管群70は、互いに異なる複数の種類の処理液を供給するように構成してもよい。例えばアンモニア過水SC1を供給するSC1配管、希フッ酸DHFを供給するDHF配管、及び純水DIWを供給する純水配管を含むようにすることもできる。
【0074】
表面処理液供給ノズル45は、供給系切替バルブ80d及び開閉バルブ135を切替えることにより、アンモニア過水SC1及び純水DIWのいずれかを第1の流量F1で基板に供給することができる。アンモニア過水SC1を供給するときは、第1の流量F1を例えば1200mL/minとし、純水DIWを供給するときは、第1の流量F1を例えば1800mL/minとすることができる。
【0075】
図6は、図5に示す液処理ユニットの第1のLFCを含む供給系から供給ノズルまでの供給流路を示す図である。図6は、表面処理液供給ノズル45から処理液を供給するときを示す。また、図6では、図4、図5を用いて先に説明した部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0076】
図6に示すように、第1の処理液供給機構130の第1のLFC131は、差圧式流量計132、モータバルブ133及び流量制御部134を有する。差圧式流量計132は、供給流路68a上に設けられており、後述するように、供給流路68aの流量を計測する。モータバルブ133は、供給流路68a上に設けられており、後述するように、モータ169によりバルブ160の開度を制御可能である。
【0077】
差圧式流量計132は、絞り部132a、圧力計測部132b及び演算部132cを有する。絞り部132aは、供給流路68aの途中に設けられており、供給流路68aを絞るためのものである。圧力計測部132bは、第1の圧力計132d及び第2の圧力計132eを有する。第1の圧力計132dは、絞り部132aの上流側における供給流路68f上に設けられており、絞り部132aの上流側における供給流路68f内を流れる流体の圧力を計測する。第2の圧力計132eは、絞り部132aの下流側における供給流路68g上に設けられており、絞り部132aの下流側における供給流路68g内を流れる流体の圧力を計測する。
【0078】
表面処理液供給ノズル45から処理液を供給するときは、処理液配管群70と表面処理液供給ノズル45が接続されるように、開閉バルブ135及び供給系切替バルブ80dを切り替える。すなわち、開閉バルブ135を開く。また、供給系切替バルブ80dについては、アンモニア過水SC1を供給するSC1配管70aに切替える。
【0079】
演算部132cは、図6に示すように、圧力計測部132bの第1の圧力計132dが計測した第1の圧力計測値P1と、圧力計測部132bの第2の圧力計132eが計測した第2の圧力計測値P2との差である圧力差P1−P2に基づいて、供給流路68a(68f、68g)の流量演算値FMを演算する。演算部132cが流量演算値FMを演算することにより、差圧式流量計132は、流量を計測することができる。演算部132cは、流量演算値FMを含む計測信号SMを流量制御部134に出力する。
【0080】
流量制御部134は、予め設定された流量設定値FSと、差圧式流量計132が計測した流量演算値FMとに基づいて、モータバルブ133の開度を制御する。流量制御部134は、差圧式流量計132が計測した流量演算値FMを含む計測信号SMが差圧式流量計132から入力されるとともに、モータバルブ133の開度を制御する制御信号SCをモータバルブ133へ出力する。すなわち、流量制御部134は、圧力計測部132bが計測した第1の圧力計測値P1、第2の圧力計測値P2の差である圧力差に基づいて、モータバルブ133の開度を制御する制御信号SCをモータバルブ133へ出力する。
【0081】
流量制御部134で予め設定される流量設定値FSは、基板処理装置100を制御する制御部200のプロセスコントローラ201が設定するようにしてもよい。プロセスコントローラ201が流量設定値FSを設定する場合、流量制御部134は、プロセスコントローラ201が設定した流量設定値FSと、流量計測値FMとを比較し、流量計測値FMが流量設定値FSと等しくなるように、モータバルブ133の開度を制御する。
【0082】
また、流量制御部134からプロセスコントローラ201へ、流量計測値FMを含む計測信号SMを送ることにより、図4を用いて説明したユーザーインターフェース202に流量計測値FMを表示するようにしてもよい。
【0083】
また、図10を用いて後述するような、計測工程、判定工程及び警報出力工程とを含む基板処理方法をプロセスコントローラ201に実行させるための制御プログラムすなわちレシピを、記憶媒体(記録媒体)である記憶部203に記憶してもよい。
【0084】
図7は、差圧式流量計の絞り部及び圧力計測部の構成を示す模式図である。差圧式流量計は、流路上の圧力が異なる2地点間での圧力差(差圧)を計測し、ベルヌーイの定理に基づく演算を行って、流路を流れる流体の流量を求めるものである。そのため、差圧式流量計132は、差圧を発生させるために流路を絞る絞り部132aと、絞り部132aの両側での流路内の流体の圧力を測定する圧力計132d、132eを含む圧力計測部132bとを有する。差圧式流量計132の絞り部132aとして、オリフィス、ベンチュリ管、フローノズル、ピトー管等を用いることができる。また、差圧式流量計132の圧力計測部132bの圧力計132d、132eとして、ブルドン管ゲージ、ダイヤフラム式、ベローズ式、ひずみゲージ式等を用いることができる。本実施の形態では、一例として、絞り部132aとしてオリフィスを用い、圧力計132d、132eとして、ひずみゲージ式を用いる。
【0085】
図7に示すように、オリフィス(絞り部)132aの上流側の供給流路68fに第1の圧力計132dが設けられ、オリフィス(絞り部)132aの下流側の供給流路68gに第2の圧力計132eが設けられる。第1の圧力計132dが計測した供給流路68f内の流体の圧力(第1の圧力計測値)P1、第2の圧力計132eが計測した供給流路68g内の流体の圧力(第2の圧力計測値)P2、流量FMとの間には、以下の式(1)に示す関係がある。
【0086】
FM=CA0{2(P1−P2)/ρx}1/2 (1)
ただし、A0は絞り部132aの断面積、ρx(xは流体の種類を示している)は、流体の比重、Cは流出係数である。本実施の形態では、圧力P1、P2は、演算部132cに入力され、演算部132cにおいて、式(1)に基づいた演算を行うことによって、流量演算値FMが求められる。
【0087】
なお、差圧式流量計は、図6及び図7を用いて説明したような、圧力計測部132bが、第1の圧力計132d及び第2の圧力計132eを個別に有することによって、第1の圧力計測値P1と第2の圧力計測値P2との圧力差を求めるものでなくてもよい。供給流路68aにおける異なる2箇所における圧力の圧力差を計測することができればよく、圧力計測部132bが、第1の圧力計132d及び第2の圧力計132eを個別に有していなくてもよい。以下、図8を参照し、圧力計測部が、第1の圧力計及び第2の圧力計に代え、差圧式センサを有する例について説明する。図8は、差圧式センサを有する差圧式流量計の構成を示す模式図である。
【0088】
図8に示すように、差圧式流量計132fは、キャピラリ132g、差圧式センサ132hを有する。差圧式センサ132hは、連通部132i、ダイヤフラム132jを有し、圧力計側部に相当する。キャピラリ132gは、供給流路68aの途中に設けられており、供給流路68aを絞るためのものである。上流側の供給流路68f及び下流側の供給流路68gは、キャピラリ132gを挟んでU字形状を有するように構成されている。連通部132iは、上流側の供給流路68fと下流側の供給流路68gとを連通するように設けられている。ダイヤフラム132jは、連通部132iを上流側の供給流路68f側と下流側の供給流路68g側との間を閉鎖するように、設けられている。ダイヤフラム132jの供給流路68f側には圧力P1が加えられており、ダイヤフラム132jの供給流路68g側には圧力P2が加えられているため、圧力差P´=P1−P2に応じた撓み量が発生する。差圧式センサ132hは、発生した撓み量を検出し、検出した撓み量に基づいて、圧力差P´=P1−P2に換算する。差圧式センサ132hで換算された圧力差P´は、例えば図6に示すような演算部132cに信号入力され、演算部132cが圧力差P´に基づいて換算することによって、流量計測値FMが求められる。
【0089】
図9は、モータバルブの構成の一例を模式的に示す断面図である。図9に示すように、モータバルブ133は、バルブ160とバルブ160の上方に設けられたモータ169とを有する。
【0090】
バルブ160は、下向きに設けられて供給系切替バルブ80dを介して複数の供給系である処理液配管群70に接続する供給ポート161と、横向きに設けられて供給ノズル45側に接続する吐出ポート162とを有する。また、バルブ160は、供給ポート161と吐出ポート162とを連通する連通路163と、連通路163の上方側に開放する開口164とを有する。また、バルブ160は、開口164内に摺動自在に嵌挿され、下面に設けられた弁部165が、連通路163に設けられた弁座166に就座可能な弁体167とを有する。また、バルブ160は、弁体167に設けられた雌ねじ孔167aに螺合する雄ねじ軸168を有する。
【0091】
モータ169は、モータ169の回転軸が、雄ねじ軸168に接続されている。従って、雄ねじ軸168は、正逆回転可能に設けられている。
【0092】
このように構成されるモータバルブ133において、流量制御部134からの制御信号SCによりモータ169が正逆回転されることによって、連通路163の開度が調整され、供給ノズル45に供給される処理液の流量が調整されるようになっている。
【0093】
本実施の形態では、流量制御部134は、予め設定された流量設定値FSと、差圧式流量計132が計測した流量計測値FMとに基づいて、モータバルブ133の開度を制御する。あるいは、流量制御部134は、制御部200が設定した流量設定値FSと、流量計測値FMとを比較し、流量計測値FMが流量設定値FSと等しくなるように、モータバルブ133の開度を制御してもよい。
【0094】
次に、図10から図12を参照し、本実施の形態に係る基板処理装置が流量の計測値の真の値からのずれを検知する方法について説明する。
【0095】
図10は、本実施の形態に係る基板処理装置が流量の計測値の真の値からのずれを検知する工程を含む基板処理方法の各ステップの手順を説明するためのフローチャートである。図11は、流量の計測値の真の値からのずれを検知する工程を含む基板処理方法を行う際のタイムチャートである。図11は、上側から下側にかけて順に、第1のLFCの設定流量、第1のLFCの流量制御状態、絞り部の上流側のバルブ(供給系切替バルブ80d)の開閉状態、絞り部の下流側のバルブ(開閉バルブ135)の開閉状態を示している。図12は、流量の計測値の真の値からのずれを検知する工程を含む基板処理方法を行う際の流量及び圧力差の時間変化を模式的に示すグラフである。図12において、細実線は、左縦軸に基づいて流量の時間変化を示し、太実線は、右縦軸に基づいて圧力差の時間変化を示す。
【0096】
図10に示すように、本実施の形態に係る基板処理方法は、第1の供給工程(ステップS11)、第2の供給工程(ステップS12)及び流量ずれ検知工程(ステップS13からステップS17)を有する。流量ずれ検知工程は、供給系側遮断工程(ステップS13)、ノズル側遮断工程(ステップS14)、計測工程(ステップS15)、判定工程(ステップS16)、警報出力工程(ステップS17)を有する。
【0097】
始めに、第1の供給工程(ステップS11)を行う。第1の供給工程(ステップS11)では、前述したように、処理液配管群70と表面処理液供給ノズル45が接続されるように、開閉バルブ135及び供給系切替バルブ80dを切り替え、表面処理液供給ノズル45から例えばアンモニア過水SC1よりなる処理液を第1の流量F1でウェハWに供給する。
【0098】
図11に示すように、ステップS11において、第1のLFC131の制御はON状態であり、供給系切替バルブ80dはバルブ80aが開いた状態であり、開閉バルブ135は開いた状態である。また、ステップS11を行う時間を、例えば30秒とし、設定流量FSを、例えば1200mL/minとすることができる。また、表面処理液供給ノズル45から供給するアンモニア過水SC1の温度を、例えば80℃とすることができる。また、図12に示すように、圧力差P1−P2を、例えば30kPaとすることができる。
【0099】
次に、第2の供給工程(ステップS12)を行う。第2の供給工程(ステップS12)では、処理液配管群70と表面処理液供給ノズル45が接続されるように開閉バルブ135を切り替えた状態のまま、表面処理液供給ノズル45から例えば純水DIWよりなる処理液を第1の流量F1でウェハWに供給する。
【0100】
図11に示すように、このとき、第1のLFC131の制御はON状態であり、供給系切替バルブ80dはバルブ80bが開いた状態であり、開閉バルブ135は開いた状態である。また、ステップS12を行う時間を、例えば30秒とし、設定流量FSを、例えば1800mL/minとすることができる。また、表面処理液供給ノズル45から供給する純水DIWの温度を、例えば25℃とすることができる。また、図12に示すように、圧力差P1−P2を、例えば60kPaとすることができる。
【0101】
次に、供給系側遮断工程(ステップS13)から警報出力工程(ステップS17)を含む流量ずれ検知工程を行う。図11に示すように、流量ずれ検知工程を行う時間を、例えば40秒とすることができる。また、図11に示すように、流量ずれ検知工程を行う間、第1のLFC131の制御はOFF状態である。
【0102】
なお、供給系側遮断工程(ステップS13)から警報出力工程(ステップS17)の間に、基板に対しては、基板上の処理液を除去する乾燥(乾燥工程)が行われる。
【0103】
最初に、供給系側遮断工程(ステップS13)を行う。供給系側遮断工程(ステップS13)では、本発明における供給系に相当する処理液配管群70と供給流路68aとの接続を遮断する。具体的には、供給系切替バルブ80dのバルブ80a、80bを閉じた状態で、SC1配管70a、純水配管70bを含め、全ての配管70と供給流路68aとの接続を遮断する。
【0104】
図11に示すように、ステップS13において、供給系切替バルブ80dは全てのバルブが閉じた状態であるが、開閉バルブ135は開いた状態である。
【0105】
図12に示すように、供給系切替バルブ80dは全てのバルブが閉じることにより、表面処理液供給ノズル45からの処理液の供給は停止するため、供給流路68aの流量は直ちに0になる。また、それに伴って、圧力差P1−P2も略0になる。
【0106】
次に、ノズル側遮断工程(ステップS14)を行う。ノズル側遮断工程(ステップS14)では、供給ノズル45と供給流路68aとの接続を遮断する。具体的には、開閉バルブ135を閉じた状態で、表面処理液供給ノズル45と供給流路68aとの接続を遮断する。
【0107】
図11に示すように、ステップS14は、ステップS13が行われた後、さらにディレイ時間Td経過後に、行われるのが好ましい。また、ステップS14において、第1のLFC131の制御は引続きOFF状態であり、供給系切替バルブ80dは全てのバルブが閉じた状態であり、開閉バルブ135も閉じた状態である。また、図12に示すように、供給流路68aの流量は0のままであり、圧力差P1−P2も略0のままである。
【0108】
ステップS14をステップS13と略同時に行うと、開閉バルブ135が急に締め切られることによって流体の慣性で圧力が急激に増加して供給流路68a内に衝撃・振動水圧が発生する(いわゆるウォータハンマ現象)。一方、ステップS14をステップS13よりもディレイ時間Tdだけ遅く行うことによって、処理液の供給を停止する際のウォータハンマ現象を防止することができる。ディレイ時間Tdを、例えば2秒とすることができる。
【0109】
次に、計測工程(ステップS15)を行う。計測工程(ステップS15)では、圧力が安定した後、絞り部132aの上流側の圧力及び下流側の圧力を計測する。具体的には、第1の圧力計132dが第1の圧力計側値を計測し、第2の圧力計132eが第2の圧力計側値を計測する。なお、第1の圧力計側値及び第2の圧力計側値については、基板に処理液を供給している時の圧力計側値と区別するために、それぞれPC1、PC2という。
【0110】
ステップS13及びステップS14を行った直後、圧力差PC1−PC2が安定せず、一定の値に収束しない場合がある。従って、図12に示すように、ステップS13の後、さらに圧力差PC1−PC2が0に収束して安定化するまでの時間である圧力安定化時間Twが経過した後、ステップS15を行う。圧力安定化時間Twは、ディレイ時間Tdより長い時間であるため、ステップS15は、ステップS14が行われた後、十分な時間の経過の後に行うことになる。図12に示すように、圧力安定化時間Twを、例えば20秒とすることができる。
【0111】
次に、判定工程(ステップS16)を行う。判定工程(ステップS16)では、計測工程(ステップS15)を行って計測した圧力差の絶対値と、所定の差圧上限値とを比較することによって、圧力計側部132bが正常に動作しているかを判定する。
【0112】
具体的には、演算部132cにより、第1の圧力計測値PC1と第2の圧力計測値PC2との差である圧力差PC1−PC2の絶対値ΔPCMを演算する。そして、演算した圧力差の絶対値ΔPCMが、所定の差圧上限値ΔPCSより大きいか否かを判定する。すなわち、演算した圧力差の絶対値ΔPCMと、所定の差圧上限値ΔPCSとを比較する。
【0113】
ここで、所定の差圧上限値ΔPCSは、基板が処理液によって処理される際に、正常に処理されると判断された範囲内で設定される。例えば、正常に処理されると判断される範囲が±10%以内とする時に、所定の差圧上限値ΔPCSを正常に処理されると判断される範囲±10%以内の±5%の数値に設定する。
【0114】
式(1)を用いて説明したのと同様に、流量は圧力差PC1−PC2の例えば1/2乗に比例する。計測工程(ステップS15)では、供給流路68a内の流体の流量が0であるため、圧力差PC1−PC2は0に等しくなり、理論上絶対値ΔPCMは0になる。ここで、第1の圧力計132d及び第2の圧力計132eが正常な状態であるときは、絶対値ΔPCMは所定の差圧上限値ΔPCSよりも小さく、差圧式流量計132における流量の計測値の真の値からのずれは検知されない。言い換えれば、絶対値ΔPCMが所定の差圧上限値ΔPCSよりも小さいときに、圧力計側部132bは正常に動作していることになる。従って、圧力差の絶対値ΔPCMと所定の差圧上限値ΔPCSとを比較することによって、圧力計側部132bが正常に動作しているかを判定することができる。
【0115】
そして、流量の計測値の真の値からのずれが検知されないときは、ステップS11に戻り、次の基板に対し、ステップS11以降の各工程を行う。すなわち、判定工程(ステップS16)において圧力計側部132bが正常に動作していると判定したときに、ウェハに処理液を供給する第1の供給工程(ステップS11)以降の各工程を行う。
【0116】
一方、絶対値ΔPCMが所定の差圧上限値ΔPCSよりも大きいときは、警報出力工程(ステップS17)を行う。警報出力工程(ステップS17)では、流量制御機構の内部又は外部に設けられた図示しない警報出力部により、警報を出力する。すなわち、本実施の形態では、圧力差の絶対値が差圧上限値より大きいときに警報を出力する。
【0117】
警報出力工程(ステップS17)が行われたとき、通常の基板処理方法を中断し、メンテナンス工程を行う。メンテナンス工程では、例えば、第1の圧力計132d及び第2の圧力計132eのみを交換してもよく、又は差圧式流量計132全体を交換することにより第1の圧力計132d及び第2の圧力計132eを交換してもよい。または、計量カップ等を用いて供給ノズル45からの流量を秤量し、その秤量値が、所定の数値範囲内であるときは、第1の圧力計132d又は第2の圧力計132eのオフセット値又はゲイン値を調整し、較正を行ってもよい。あるいは、供給ノズル45からの流量の実測値が、所定の数値範囲外であるときは、第1の圧力計132d及び第2の圧力計132eのみを共に交換してもよく、又は差圧式流量計132全体を交換することにより第1の圧力計132d及び第2の圧力計132eを交換してもよい。
【0118】
また、図12に示したように、第1の流量F1が例えば1800mL/minのときに圧力差P1−P2を例えば60kPaになるようにすることができる。この場合、差圧上限値ΔPCSを例えば(±5%)3kPaとすることにより、第1の流量F1を1800mL/minとしたときに、流量の計測値の真の値からのずれが第1の流量F1の略5%以内になるように監視することができる。
【0119】
本実施の形態によれば、供給流路内を処理液が流れていないときに圧力差が0になることを利用し、基板処理装置が基板に処理液を供給していないときであって、供給系と供給流路との接続が遮断されているときに、流量ずれを検知する。これにより、差圧式流量計の流量の計測値が真の値からずれたことを容易に検知することができる。つまり差圧式流量計の異常を検出できる。
【0120】
また、本実施の形態によれば、基板処理装置の流量制御機構の演算部又は流量制御部のソフトウェアを追加するだけでよく、基板処理装置のハードウェアを追加しなくてもよい。従って、基板処理装置のコストが増大することがない。
【0121】
また、本実施の形態によれば、ダイヤフラム等により上流側及び下流側の差圧を測定する差圧センサを有する差圧式流量計を用いる場合、流量の計測値の真の値からのずれを容易に検知することができる。
【0122】
なお、本実施の形態では、供給系側遮断工程(ステップS13)を行い、その後例えば2秒程度の短いディレイ時間Tdが経過した後、ノズル側遮断工程(ステップS14)を行う例を説明した。しかしながら、ディレイ時間Tdを更に長くすることによって、供給流路68a内の流体の圧力を略大気圧に等しい状態(第1の圧力計側値PC1及び第2の圧力計側値PC2が略0に等しい状態)にし、その後ノズル側遮断工程(ステップS14)を行ってもよい。この場合には、第1の圧力計側値PC1及び第2の圧力計側値PC2が、ともに略0に等しい状態で、流量ずれの検知を行うことができる。
【0123】
また、本実施の形態では、供給流路を絞るために、上流側の供給流路と下流側の供給流路との間に絞り部等が設けられた例について説明した。しかし、上流側の供給流路と下流側の供給流路との間に差圧が発生すればよく、供給流路を絞らずに、上流側の供給流路と下流側の供給流路とを接続する部分の流路長を長くした接続部等が設けられていてもよい。
【0124】
また、本実施の形態では、判定工程において、上流側及び下流側における圧力の圧力差の絶対値と、所定の差圧上限値を比較することによって、圧力計側部が正常に動作しているかを判定する。しかし、上流側及び下流側のいずれか一方の圧力が正常であることが分かっている場合等においては、もう一方の圧力値のみを計測し、計測した圧力値を所定の圧力値と比較することによって、圧力計側部が正常に動作しているかを判定してもよい。
【0125】
また、本実施の形態の基板処理装置においては、各液処理ユニットに対し、搬送機構24により、順次処理前の基板が搬入され、処理後の基板が搬出される。本実施の形態の差圧式流量計の流量ずれ検知工程は、処理回数、処理時間などにより定期的に行われても良いが、一回の基板処理毎に行うことが好ましい。連続的に液処理ユニットに搬入される基板に対して一回の基板処理毎に流量ずれ検知工程が行われる場合において、判定工程において、圧力計測部が正常に動作していると判断された時、次に搬入される予定の基板を搬送機構24によりその液処理ユニットに搬入し、搬入された基板に対し処理液を供給する基板処理が行われるように、プロセスコントローラ201により制御する。判定工程において、圧力計測部が正常に動作していないと判断された時、次に搬入される予定の基板を搬送機構24によりその液処理ユニットには搬入しないようにプロセスコントローラ201により制御する。搬入されなかった基板は、他の正常な液処理ユニットに搬送するようにプロセスコントローラ201により制御されることが好ましい。さらに、判定工程にて圧力計測部が正常に動作していないと判断された時に処理された基板に対しては、圧力計測部が正常に動作していない状態で処理されたことを記録として残すようにすると良い。
(実施の形態の変形例)
次に、図13を参照し、本発明の実施の形態の変形例に係る基板処理方法について説明する。図13は、本変形例に係る基板処理装置が流量の計測値の真の値からのずれを検知する工程を含む基板処理方法の各ステップの手順を説明するためのフローチャートである。
【0126】
本変形例に係る基板処理方法は、第1の圧力計及び第2の圧力計の計測値のずれを補正する工程も含めて行う点で、実施の形態に係る基板処理装置と相違する。
【0127】
本変形例でも、図1から図3を用いて説明した実施の形態に係る基板処理装置を用いることができる。基板処理装置の各部、液処理ユニットの各部、また、流量制御機構も、実施の形態と同様である。
【0128】
一方、本変形例に係る基板処理方法における流量ずれ検知工程は、実施の形態で説明した各工程に加え、オフセット値補正工程を有する。図13に示すように、本変形例に係る基板処理方法は、第1の供給工程(ステップS11)、第2の供給工程(ステップS12)及び流量ずれ検知工程(ステップS13からステップS18)を有する。流量ずれ検知工程は、供給系側遮断工程(ステップS13)、ノズル側遮断工程(ステップS14)、計測工程(ステップS15)、判定工程(ステップS16)及び警報出力工程(ステップS17)に加え、オフセット値補正工程(ステップS18)を有する。第1の供給工程(ステップS11)から警報出力工程(ステップS17)までは、実施の形態と同様である。
【0129】
本変形例では、警報出力工程(ステップS17)が行われた後、オフセット値補正工程(ステップS18)を行う。オフセット値補正工程(ステップS18)では、第1の圧力計測値PC1又は第2の圧力計測値PC2が所定の圧力基準値に等しくなるように、第1の圧力計132dのオフセット値又は第2の圧力計132eのオフセット値を補正する。計測工程(ステップS15)で計測する第1の圧力計側値PC1、第2の圧力計側値PC2は、基板に処理液を供給する際に計測する第1の圧力計側値P1又は第2の圧力計側値P2、好ましくは圧力損失がない第1の圧力計側値P1に略等しい。また、流量制御部134において、例えば基板に処理液を供給する際の第1の圧力計側値P1に略等しい圧力基準値PStを予め設定しておく。これにより、第1の圧力計側値PC1又は第2の圧力計側値PC2が圧力基準値PStに等しくなるように、第1の圧力計132dのオフセット値又は第2の圧力計132eのオフセット値を補正することができる。
【0130】
オフセット値補正工程(ステップS18)が行われた後は、差圧式流量計132における流量の計測値の真の値からのずれは検知されなくなるため、ステップS11に戻り、次の基板に対し、ステップS11以降の各工程を行うことができる。一方、第1の圧力計132dのオフセット値又は第2の圧力計132eのオフセット値が、設定可能な範囲外にあって補正ができないときは、通常の基板処理方法を中断し、メンテナンス工程を行う。
【0131】
本変形例でも、実施の形態と同様に、供給流路内を処理液が流れていないときに圧力差が0になることを利用し、基板処理装置が基板に処理液を供給していないときであって、供給系と供給流路との接続が遮断されているときに、流量ずれを検知する。これにより、差圧式流量計の流量の計測値が真の値からずれたことを容易に検知することができる。
【0132】
更に、本変形例によれば、差圧式流量計の流量の計測値が真の値からずれたことが検知されたときに、第1の圧力計又は第2の圧力計のオフセット値を補正することによって、流量計の流量の計測値の真の値からのずれを容易に補正することができる。
【0133】
また、本変形例でも、基板処理装置の流量制御機構の演算部又は流量制御部のソフトウェアを追加するだけでよく、基板処理装置のハードウェアを追加しなくてもよい。従って、基板処理装置のコストが増大することがない。
【0134】
なお、本変形例では、警報出力工程(ステップS17)を行った後、オフセット値補正工程(ステップS18)を行う例を説明した。しかしながら、オフセット値補正工程(ステップS18)は、警報出力工程(ステップS17)を行う前であって、計測工程(ステップS15)と同時又は計測工程(ステップS15)を行った後に行ってもよく、あるいは、流量ずれ検知工程と独立して行ってもよい。
【0135】
以上、本発明の好ましい実施の形態について記述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0136】
42 ウェハ保持部
45 表面処理液供給ノズル
47 排気・排液部(カップ)
68a 供給流路
100 基板処理装置
131 第1のLFC
132 差圧式流量計
132a 絞り部
132b 圧力計測部
132d 第1の圧力計
132e 第2の圧力計
135 開閉バルブ
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理液を用いて基板を処理する基板処理方法、この基板処理方法を実行させるためのプログラムを記録した記録媒体、基板処理装置及び差圧式流量計の異常検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造プロセスやフラットパネルディスプレー(FPD)の製造プロセスにおいては、被処理基板(以下「基板」又は「ウェハ」という。)である半導体ウェハやガラス基板に処理液を供給して液処理を行うプロセスが多用されている。このようなプロセスとしては、例えば、基板に付着したパーティクルやコンタミネーション等を除去する洗浄処理等を挙げることができる。
【0003】
上記したような洗浄処理等のプロセスを基板に対して行う基板処理装置としては、枚葉式の複数の液処理ユニットと、搬送装置とを備えたものが用いられている。液処理ユニットは、半導体ウェハ等の基板をスピンチャックに保持し、基板を回転させた状態で基板の表面または表裏面に処理液を供給して処理を行う。搬送装置は、これら液処理ユニットへの基板の搬入出を行う。また、装置のフットプリントの増加を抑制しつつより高いスループットを実現するために、上記液処理ユニットを多段に積層したレイアウトを有するものがある。
【0004】
このような基板処理装置においては、処理液(薬液)を供給する処理液ノズル(以下「供給ノズル」という。)がミキシングバルブを介して複数の薬液供給系に切替可能に接続されているものがある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に示す例では、各薬液供給系とミキシングバルブとの間に、各薬液供給系に対応する流量制御機構が設けられている。
【0005】
また、このような流量制御機構として、流体が流れる流路の途中に設けられた差圧式流量計と、流路の途中に設けられて流体の流れを調整するバルブと、バルブの開度を制御する制御部とを備えたものがある(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に示す例では、制御部は、設定流量と差圧式流量計により求められた流体の流量とに基づいてバルブの開度を制御する。また、差圧式流量計は、円管と、円管の上流側に配置された第1の圧力計と、円管の下流側に配置された第2の圧力計とを備えている。第1の圧力計は、円管に流入する流体の圧力を計測する。第2の圧力計は、円管から流出する流体の圧力を計測する
。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−34490号公報
【特許文献2】特開2006−153677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記した処理液を用いて基板を処理する基板処理方法においては、次のような問題があった。
【0008】
上記したように、流量制御機構は、差圧式流量計が計測した流量の計測値を設定流量に近づけるように、バルブの開度を制御する。また、差圧式流量計は、例えば上記した円管のように流路を絞る部分の上流側及び下流側にそれぞれ第1の圧力計及び第2の圧力計を有しており、第1の圧力計の計測値と第2の圧力計の計測値とに基づいて流量に換算することによって、流量の計測値を得る。
【0009】
ここで、第1の圧力計又は第2の圧力計において電気的な異常等が発生することによって、第1の圧力計の計測値又は第2の圧力計の計測値が真の値からずれた場合にも、差圧式流量計は、そのずれた値に基づいて流量に換算することによって、流量の計測値を得る。このとき、流量制御機構は、そのずれた流量が設定流量に近づくように制御する。そのため、例えば流量制御機構に、制御された流量が設定流量と等しくなっていることが表示されていたとしても、実際に流れている流量は、なお設定流量とずれている。
【0010】
上記したように流量の計測値が真の値からずれた場合には、供給ノズルから供給される処理液の流量を計量カップ等により直接秤量するようなことをしない限り、真の流量の値を計測することが難しい。従って、例えば第1の圧力計又は第2の圧力計において電気的な異常等が発生することによって、差圧式流量計が計測した流量の計測値が真の値からずれた場合には、そのずれたことを容易に検知することができないという問題があった。
【0011】
更に、上流側及び下流側を連通するように設けられた連通部を閉鎖するように設けられたダイヤフラムにより、上流側及び下流側の差圧を測定する差圧センサを用いた差圧式流量計もある。このような差圧センサを用いた差圧式流量計でも、ダイヤフラムの歪、変形に伴って不具合が発生し、流量の計測値が真の値からずれることがあるが、そのずれを容易に検知することができないという問題があった。
【0012】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、処理液を供給するための供給流路に設けられた差圧式流量計の流量の計測値が真の値からずれたことを容易に検知することができる基板処理方法、基板処理装置及び差圧式流量計の異常検出方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために本発明では、次に述べる各手段を講じたことを特徴とするものである。
【0014】
本発明の一実施例によれば、処理液を供給する供給流路に設けられた差圧式流量計を介して接続された供給ノズルにより基板に処理液を供給し、供給された処理液により基板を処理する基板処理方法において、基板に処理液を供給していないときに、前記供給流路内の圧力を前記差圧式流量計内の圧力計測部により計測する計測工程と、前記計測工程を行って計測した圧力値と、所定の圧力値とを比較することによって、前記圧力計側部が正常に動作しているかを判定する判定工程と、前記判定工程において前記圧力計側部が正常に動作していると判定したときに、基板に処理液を供給する供給工程とを有する基板処理方法が提供される。
【0015】
本開示の基板処理方法においては、前記計測工程は、基板に処理液を供給していないときに、前記供給流路に設けられ、前記供給流路を絞る絞り部の、上流側及び下流側における前記供給流路内の圧力を、前記圧力計測部により計測するものであり、前記判定工程は、前記計測工程を行って計測した前記上流側及び前記下流側における前記圧力の圧力差の絶対値と、所定の差圧上限値とを比較することによって、前記圧力計側部が正常に動作しているかを判定するようになっていても良い。
【0016】
本開示の基板処理方法においては、前記圧力計測部は、前記上流側における前記圧力を計測する第1の圧力計と、前記下流側における前記圧力を計測する第2の圧力計とを含み、前記圧力差は、前記第1の圧力計が計測した第1の圧力計測値と前記第2の圧力計が計測した第2の圧力計測値との差であり、前記計測工程は、供給系と前記供給流路との接続が遮断されているときに、前記圧力を計測するようになっていても良い。
【0017】
本開示の基板処理方法においては、前記圧力差の絶対値が前記差圧上限値より大きいときに、前記第1の圧力計測値又は前記第2の圧力計測値が所定の圧力基準値に等しくなるように、前記第1の圧力計のオフセット値又は前記第2の圧力計のオフセット値を補正するオフセット値補正工程を有するようになっていても良い。
【0018】
本開示の基板処理方法においては、前記基板は、基板に処理液が供給される処理ユニット内に、順次連続して搬入された後に処理液が供給され、前記計測工程は、前記処理ユニット内にて基板に処理液を供給する基板処理の後に実施され、前記判定工程において前記圧力計側部が正常に動作していると判定したときに、前記処理ユニット内に次に搬入される基板に処理液を供給する供給工程とを有するようになっていても良い。
【0019】
本開示の基板処理方法においては、前記基板は、基板に処理液が供給される処理ユニット内に、順次連続して搬入された後に処理液が供給され、前記計測工程は、前記処理ユニット内にて基板に処理液を供給する基板処理の後に実施され、前記判定工程において前記圧力計側部が正常に動作していると判定したときに、前記処理ユニット内に次に搬入される基板に処理液を供給する供給工程と、前記判定工程において前記圧力計側部が正常に動作していないと判定したときに、前記処理ユニット内に次に搬入される予定の基板を搬入しないようになっていても良い。
【0020】
本開示の基板処理方法においては、前記計測工程及び前記判定工程時に前記基板から処理液を除去する乾燥工程が実施されるようになっていても良い。
【0021】
また、本発明の他の一実施例によれば、基板を処理液により処理する基板処理装置において、基板を収容する処理ユニットと、基板に処理液を供給する供給ノズルと、前記供給ノズルに処理液を供給する供給系と前記供給ノズルとを接続する供給流路の途中に設けられた差圧式流量計と、を有し、基板に処理液を供給していないときに、前記差圧式流量計にて計測された圧力差の絶対値と、所定の差圧上限値とを比較することによって、前記差圧式流量計が正常に動作しているかを判定し、前記差圧式流量計が正常に動作していると判定したときに、基板に処理液を供給する基板処理装置が提供される。
【0022】
本開示の基板処理装置においては、前記差圧式流量計は、前記供給流路を絞る絞り部と、前記絞り部の上流側における前記供給流路内の圧力を計測する第1の圧力計と、前記絞り部の下流側における前記圧力を計測する第2の圧力計と、前記供給流路上に設けられた流量制御弁と、前記第1の圧力計が計測した第1の圧力計測値と前記第2の圧力計が計測した第2の圧力計測値との差である圧力差に基づいて、前記流量制御弁の開度を制御する流量制御部とを有し、基板に処理液を供給していないときに、前記圧力差の絶対値と、所定の差圧上限値とを比較することによって、前記第1の圧力計及び前記第2の圧力計が正常に動作しているかを判定することにより前記差圧式流量計が正常に動作しているかを判定するようになっていても良い。
【0023】
本開示の基板処理装置においては、前記処理ユニットに順次基板を搬入する搬送機構をさらに有し、前記処理ユニット内にて基板に処理液を供給する基板処理の後に前記供給流路内の圧力を計測し、前記差圧式流量計が正常に動作していると判定したときに、前記処理ユニット内に前記搬送機構により基板が搬入され、搬入された基板に処理液を供給するようになっていても良い。
【0024】
本開示の基板処理装置においては、前記処理ユニットに順次基板を搬入する搬送機構をさらに有し、前記処理ユニット内にて基板に処理液を供給する基板処理の後に前記供給流路内の圧力を計測し、前記差圧式流量計が正常に動作していると判定したときに、前記処理ユニット内に前記搬送機構により基板が搬入され、搬入された基板に処理液を供給し、前記差圧式流量計が正常に動作していないと判定したときに、前記処理ユニット内に次に搬入される予定の基板を搬入しないようになっていても良い。
【0025】
また、本発明の他の一実施例によれば、処理液を供給する供給流路に設けられた差圧式流量計の異常検出方法において、処理液を供給していないときに、前記供給流路内の圧力を前記差圧式流量計内の圧力計測部により計測する計測工程と、前記計測工程を行って計測した圧力値と、所定の圧力値とを比較することによって、前記圧力計側部が正常に動作しているかを判定する判定工程と、を有する差圧式流量計の異常検出方法が提供される。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、基板に処理液を供給する供給ノズルを有する基板処理装置において、供給ノズルに処理液を供給するための供給流路に設けられた差圧式流量計の流量の計測値が真の値からずれたことを容易に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態に係る基板処理装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】図1のA−A線に沿った正面側の断面図である。
【図3】図1のB−B線に沿った側面側の断面図である。
【図4】図1の基板処理装置に搭載された液処理ユニットの概略構成を示す断面図である。
【図5】図4に示す液処理ユニットの処理液供給機構の構成を示す図である。
【図6】図5に示す液処理ユニットの第1のLFCを含む供給系から供給ノズルまでの供給流路を示す図である。
【図7】差圧式流量計の絞り部及び圧力計測部の構成を示す模式図である。
【図8】差圧式センサを有する差圧式流量計の構成を示す模式図である。
【図9】モータバルブの構成を模式的に示す断面図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る基板処理装置が流量の計測値の真の値からのずれを検知する工程を含む基板処理方法の各ステップの手順を説明するためのフローチャートである。
【図11】流量の計測値の真の値からのずれを検知する工程を含む基板処理方法を行う際のタイムチャートである。
【図12】流量の計測値の真の値からのずれを検知する工程を含む基板処理方法を行う際の流量及び圧力差の時間変化を模式的に示すグラフである。
【図13】本発明の実施の形態の変形例に係る基板処理装置が流量の計測値の真の値からのずれを検知する工程を含む基板処理方法の各ステップの手順を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、本発明を実施するための形態について図面と共に説明する。ここでは、本発明を半導体ウェハ(以下、単に「ウェハ」と記す。)の表裏面洗浄を行う基板処理装置に適用した場合について示す。
(実施の形態)
始めに、図1から図3を参照し、本発明の実施の形態に係る基板処理装置の概略構成について説明する。
【0029】
図1は本発明の実施の形態に係る基板処理装置の概略構成を示す平面図、図2は図1のA−A線に沿った正面側の断面図、図3は図1のB−B線に沿った側面側の断面図である。
【0030】
この基板処理装置100は、複数のウェハWを収容するウェハキャリアCを載置し、ウェハWの搬入・搬出を行う搬入出ステーション(基板搬入出部)1と、ウェハWに洗浄処理を施すための処理ステーション(液処理部)2とを備えている。搬入出ステーション(基板搬入出部)1及び処理ステーション(液処理部)2は、隣接して設けられている。
【0031】
搬入出ステーション1は、キャリア載置部11、搬送部12、受け渡し部13及び筐体14を有している。キャリア載置部11は、複数のウェハWを水平状態で収容するウェハキャリアCを載置する。搬送部12は、ウェハWの搬送を行う。受け渡し部13は、ウェハWの受け渡しを行う。筐体14は、搬送部12および受け渡し部13を収容する。
【0032】
キャリア載置部11は4個のウェハキャリアCが載置可能である。載置されたウェハキャリアCは筐体14の垂直壁部12aに密着された状態とされ、大気に触れることなくその中のウェハWが搬送部12に搬入可能となっている。
【0033】
筐体14は、搬送部12と受け渡し部13とを垂直に仕切る仕切り部材14aを有している。搬送部12は、搬送機構15と、その上方に設けられた清浄空気のダウンフローを供給するファン・フィルター・ユニット(FFU)16とを有している。搬送機構15は、ウェハWを保持するウェハ保持アーム15a、及びウェハ保持アーム15aを前後に移動させる機構を有している。また搬送機構15は、ウェハキャリアCの配列方向であるX方向に延在する水平ガイド17(図1参照)に沿って移動させる機構、垂直方向に設けられた垂直ガイド18(図2参照)に沿って移動させる機構、水平面内で回転させる機構を有している。この搬送機構15により、ウェハキャリアCと受け渡し部13との間でウェハWが搬送される。
【0034】
受け渡し部13は、受け渡しステージ19と、その上に設けられたウェハWを載置可能な載置部を複数備えた受け渡し棚20とを有している。受け渡し部13は、この受け渡し棚20を介して処理ステーション2との間でウェハWの受け渡しが行われるようになっている。
【0035】
図3に示すように、処理ステーション2は、直方体状をなす筐体21を有している。処理ステーション2は、筐体21内には、その中央上部にウェハキャリアCの配列方向であるX方向に直交するY方向に沿って延びる搬送路を構成する搬送室21aと、搬送室21aの両側に設けられた2つのユニット室21b、21cとを有している。ユニット室21b、21cにはそれぞれ搬送室21aに沿って6個ずつ合計12個の液処理ユニット22が水平に配列されている。
【0036】
筐体21内のユニット室21b、21cの下には、それぞれ配管を収容した配管ボックス21f、21gが設けられている。また、配管ボックス21f、21gの下には、それぞれ処理液貯留部としての薬液供給ユニット21h、21iが設けられている。
【0037】
搬送室21aの上方には、ファン・フィルター・ユニット(FFU)23が設けられ、搬送室21aに清浄空気のダウンフローを供給するようになっている。搬送室21aの内部には搬送機構24が設けられている。搬送機構24は、ウェハWを保持するウェハ保持アーム24a、及びウェハ保持アーム24aを前後に移動させる機構を有している。また、搬送機構24は、搬送室21aに設けられた水平ガイド25(図1参照)に沿ってY方向に移動させる機構、垂直方向に設けられた垂直ガイド26(図3参照)に沿って移動させる機構、水平面内で回転させる機構を有している。この搬送機構24により、各液処理ユニット22に対するウェハWの搬入出を行うようになっている。
【0038】
配管ボックス21f、21gには、処理液配管群70、排液配管71および排気配管72が水平に配置されている。処理液配管群70は、例えば、アンモニア水と過酸化水素を混合して形成されたアンモニア過水(SC1)を供給するSC1配管70a、純水を供給する純水配管70bを有している。
【0039】
次に、図3及び図4を参照し、本実施の形態に係る基板処理装置に搭載された液処理ユニットについて説明する。図4は、図1の基板処理装置に搭載された液処理ユニットの概略構成を示す断面図である。
【0040】
なお、液処理ユニット22は、本発明における処理ユニットに相当する。
【0041】
液処理ユニット22は、図4に拡大して示すように、ベースプレート41、ウェハ保持部42、回転モータ43、回転カップ44、表面処理液供給ノズル45、裏面処理液供給ノズル46及び排気・排液部(カップ)47を有する。ウェハ保持部42は、ウェハWを回転可能に保持する。回転モータ43は、ウェハ保持部42を回転させる。回転カップ44は、ウェハ保持部42に保持されたウェハWを囲繞するように設けられ、ウェハ保持部42とともに回転する。表面処理液供給ノズル45は、ウェハWの表面に処理液を供給する。裏面処理液供給ノズル46は、ウェハWの裏面に処理液を供給する。排気・排液部(カップ)47は、回転カップ44の周縁部に設けられている。
【0042】
排気・排液部(カップ)47の周囲およびウェハWの上方を覆うように、ケーシング48が設けられている。ケーシング48の上部にはファン・フィルター・ユニット(FFU)23からの気流を導入する気流導入部49が設けられており、図3に示すように、搬送室21aに繋がる開口49aから気流が導入される。
【0043】
ウェハ保持部42は、水平に設けられ中央に円形の孔51aを有する円板状をなす回転プレート51と、その裏面の孔51aの周囲部分に接続され、下方鉛直に延びる円筒状の回転軸52とを有している。そして、裏面処理液供給ノズル46を備えた昇降部材53が孔52aおよび孔51a内を昇降可能に設けられている。回転プレート51には、ウェハWの外縁を保持する3つ(1つのみ図示)の保持部材54が設けられている。
【0044】
回転軸52は、軸受け部材55を介してベースプレート41に回転可能に支持されている。回転軸52と回転モータ43の軸に嵌め込まれたプーリー58にはベルト57が巻き掛けられており、回転モータ43の回転駆動が回転軸52に伝達される。
【0045】
昇降部材53の上端部にはウェハ支持ピン65を有するウェハ支持台64が設けられている。また、昇降部材53の下端には接続部材66を介してシリンダ機構67が接続されており、このシリンダ機構67によって昇降部材53を昇降させることにより、ウェハWを昇降させてウェハWのローディングおよびアンローディングが行われる。
【0046】
表面処理液供給ノズル45は、ノズルアーム62に保持されている。表面処理液供給ノズル45は、図示しない駆動機構によりノズルアーム62を移動させることにより、ウェハWの上方の処理液供給位置と退避位置との間で移動可能となっている。このようにして、表面処理液供給ノズル45からウェハWの表面に処理液が供給されるようになっている。
【0047】
また、裏面処理液供給ノズル46は昇降部材53の内部の中心に垂直に設けられており、この裏面処理液供給ノズル46からウェハWの裏面に処理液が供給されるようになっている。
【0048】
表面処理液供給ノズル45並びに裏面処理液供給ノズル46には、それぞれ配管68a、68bを介して処理液が供給されるようになっている。配管68a、68bは、上記配管ボックス21fまたは21g内に水平に設けられた上記処理液配管群70を構成する配管70a、70bにそれぞれバルブ80a、80bが連結されてなる一体の供給系切替バルブ80dを介して接続されている。また、配管68a、68bの途中、すなわち図5を用いて後述する供給流路68a、68b上に、液体フローコントローラ(LFC)131、141が設けられている。
【0049】
なお、液体フローコントローラ(LFC)131、141のことを、以下「流量制御機構」という場合がある。
【0050】
回転カップ44は、回転プレート51とともに回転され、ウェハWから飛散した処理液がウェハWに戻ることが抑制され、処理液は下方に導かれる。
【0051】
排気・排液部(カップ)47は、回転カップ44から排出された処理液を受ける環状をなす排液カップ91と、排液カップ91の外側に、排液カップ91を囲繞するように設けられた環状をなす排気カップ92とを備えている。
【0052】
排液カップ91の底部の最外側部分には排液管94が接続されている。
【0053】
排気カップ92は、回転カップ44との間の環状をなす隙間から回転カップ44内およびその周囲の主にガス成分を取り込んで排気するようになっている。また、排気カップ92の下部には、ガス成分を排気する排気管95が接続されている。
【0054】
次に、図2を参照し、薬液供給ユニット21h、(21i)について説明する。(21hと21iは同構造であるため、代表して21hを説明する。)
薬液供給ユニット21hは、搬入出ステーション1側に設けられた、例えばアンモニア水と過酸化水素を混合したアンモニア過水(SC1)を貯留する第1薬液タンク101を有している。
【0055】
図2に示すように、第1薬液タンク101の側壁下部にはその中から薬液を送出するための送出管103が接続されており、送出管103には、ポンプ103aが設けられているとともに、接続管105が接続されている。接続管105は、配管ボックス21f内に水平に配置された処理液配管群70のSC1配管70aの一端側に接続されている。
【0056】
第1薬液タンク101の上部には薬液供給配管111が接続されており、この薬液供給配管111には混合器112が接続されている。混合器112には、純水配管113、アンモニア配管114および過酸化水素配管115が接続されており、混合器112にて純水とアンモニアと過酸化水素が混合されてアンモニア過水SC1が第1薬液タンク101に供給されるようになっている。純水配管113には液体フローコントローラ(LFC)116aおよびバルブ116bが設けられている。アンモニア配管114には液体フローコントローラ(LFC)117aおよびバルブ117bが設けられている。過酸化水素配管115には液体フローコントローラ(LFC)118aおよびバルブ118bが設けられている。
【0057】
なお、これら薬液洗浄以外に、純水によるリンスが行われるが、その際には、純水は純水供給源から純水送出管108及び純水配管70bを通って供給される。
【0058】
配管ボックス21f、21gに設けられた排液配管71にはドレイン配管123が接続されている。
【0059】
また、基板処理装置100は、図4に示すように、制御部200を有する。制御部200は、マイクロプロセッサ(コンピュータ)からなるプロセスコントローラ201を有しており、基板処理装置100の各構成部がこのプロセスコントローラ201に接続されて制御される構成となっている。また、プロセスコントローラ201には、工程管理者が基板処理装置100の各構成部を管理するためにコマンドの入力操作などを行うキーボードや、基板処理装置100の各構成部の可動状況を可視化して表示するディスプレイ等からなるユーザーインターフェース202が接続されている。さらに、プロセスコントローラ201には、基板処理装置100で実行される各種処理をプロセスコントローラ201の制御にて実現するための制御プログラムや、処理条件に応じて基板処理装置100の各構成部に所定の処理を実行させるための制御プログラムすなわちレシピが格納された記憶部203が接続されている。レシピは記憶部203の中の記憶媒体(記録媒体)に記憶されている。記憶媒体(記録媒体)は、ハードディスクや半導体メモリであってもよい。また、他の装置から、例えば専用回線を介してレシピを適宜伝送させるようにしてもよい。
【0060】
そして、必要に応じて、ユーザーインターフェース202からの指示等にて任意のレシピを記憶部203から呼び出してプロセスコントローラ201に実行させることで、プロセスコントローラ201の制御下で、基板処理装置100での所望の処理が行われる。
【0061】
このように構成される基板処理装置100においては、まず、搬入出ステーション1のキャリア載置部11に載置されたウェハキャリアCから搬送機構15により1枚のウェハWを取り出して受け渡しステージ19上の受け渡し棚20の載置部に載置し、この動作を連続的に行う。受け渡し棚20の載置部に載置されたウェハWは、処理ステーション2の搬送機構24により順次搬送されて、いずれかの液処理ユニット22に搬入される。
【0062】
液処理ユニット22においては、まず、保持部材54によりウェハWを保持し、回転モータ43によりウェハ保持部42を回転カップ44およびウェハWとともに回転させる。ウェハ保持部42を回転させながら、表面処理液供給ノズル45及び裏面処理液供給ノズル46から処理液を供給し、ウェハWの表裏面洗浄を行う。そして、このような処理液による洗浄処理の後、純水配管70bから各処理ユニット22に純水を供給して純水リンスを行い、その後、乾燥を行って洗浄処理を終了する。
【0063】
このようにして液処理を行った後、搬送機構24により液処理ユニット22からウェハWを搬出し、受け渡しステージ19の受け渡し棚20に載置し、受け渡し棚20から搬送機構15によりウェハキャリアCに戻される。
【0064】
次に、図5から図8を参照し、本実施の形態に係る基板処理装置の液処理ユニットにおける処理液供給機構について説明する。
【0065】
図5は、図4に示す液処理ユニットの処理液供給機構の構成を示す図である。なお、図5では、図4を用いて先に説明した部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0066】
処理液供給機構は、第1の処理液供給機構130及び第2の処理液供給機構140を有する。第1の処理液供給機構130は、基板の上面(表面)に処理液を供給し、第2の処理液供給機構140は、基板の下面(裏面)に処理液を供給する。
【0067】
第1の処理液供給機構130は、表面処理液供給ノズル45、供給系切替バルブ80d、及び第1のLFC131、表面処理液供給ノズル45への処理液の供給を制御する開閉バルブ135を有する。表面処理液供給ノズル45は、排気・排液部(カップ)47内のウェハ保持部42に回転可能に保持したウェハWの上面(表面)に処理液を供給するものである。供給系切替バルブ80dは、複数の配管70a、70bと配管68aを切替え可能に接続するものである。
【0068】
一方、第2の処理液供給機構140は、裏面処理液供給ノズル46、供給系切替バルブ80d、第2のLFC141、裏面処理液供給ノズル46への処理液の供給を制御する開閉バルブ136を有する。裏面処理液供給ノズル46は、排気・排液部(カップ)47内のウェハ保持部42に回転可能に保持した基板の下面(裏面)に処理液を供給するものである。また、供給系切替バルブ80dは、裏面処理液供給ノズル46に処理液を供給する複数の配管70a、70bと配管68aを切替可能に接続するものであり、前述した第1の処理液供給機構130と共通である。更に、第2のLFC141は、前述した第1のLFC131と同様にすることができる。従って、ここでは、第1の処理液供給機構130及び第2の処理液供給機構140を代表し、以下、第1の処理液供給機構130における供給ノズル及び流量制御機構を説明するものとする。
【0069】
なお、配管(SC1配管)70a、及び配管(純水配管)70bは、本発明における供給系に相当する。また、配管(SC1配管)70a、及び配管(純水配管)70bを含む処理液配管群70は、本発明における複数の供給系に相当する。
【0070】
第1のLFC131は、供給系切替バルブ80dと表面処理液供給ノズル45とを接続する供給流路68a上に設けられ、供給流路68aを流れる処理液の流量を制御する。第1のLFC131は、図6を用いて後述するように、差圧式流量計132、モータバルブ133及び流量制御部134を有する。
【0071】
なお、モータバルブ133は、本発明における流量制御弁に相当する。また、モータバルブ133に代え、供給流路の流量を制御することができる各種の流量制御弁を用いることができる。また、供給流路の流量を制御するために、流量制御弁の開度を制御するものでもよく、あるいは、複数の流量制御弁を供給流路上に並列に設け、開いている流量制御弁の個数を制御する、等の各種の方法により制御するものであってもよい。
【0072】
表面処理液供給ノズル45は、開閉バルブ135により、開閉切換可能に、第1のLFC131に接続されている。表面処理液供給ノズル45は、開閉バルブ135を介し供給流路68cが接続されるとともに、第1の流量F1で基板に処理液を供給する。
【0073】
ここでは、複数の供給系である処理液配管群70は、互いに異なる複数の種類の処理液を供給するように構成してもよい。例えばアンモニア過水SC1を供給するSC1配管、希フッ酸DHFを供給するDHF配管、及び純水DIWを供給する純水配管を含むようにすることもできる。
【0074】
表面処理液供給ノズル45は、供給系切替バルブ80d及び開閉バルブ135を切替えることにより、アンモニア過水SC1及び純水DIWのいずれかを第1の流量F1で基板に供給することができる。アンモニア過水SC1を供給するときは、第1の流量F1を例えば1200mL/minとし、純水DIWを供給するときは、第1の流量F1を例えば1800mL/minとすることができる。
【0075】
図6は、図5に示す液処理ユニットの第1のLFCを含む供給系から供給ノズルまでの供給流路を示す図である。図6は、表面処理液供給ノズル45から処理液を供給するときを示す。また、図6では、図4、図5を用いて先に説明した部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0076】
図6に示すように、第1の処理液供給機構130の第1のLFC131は、差圧式流量計132、モータバルブ133及び流量制御部134を有する。差圧式流量計132は、供給流路68a上に設けられており、後述するように、供給流路68aの流量を計測する。モータバルブ133は、供給流路68a上に設けられており、後述するように、モータ169によりバルブ160の開度を制御可能である。
【0077】
差圧式流量計132は、絞り部132a、圧力計測部132b及び演算部132cを有する。絞り部132aは、供給流路68aの途中に設けられており、供給流路68aを絞るためのものである。圧力計測部132bは、第1の圧力計132d及び第2の圧力計132eを有する。第1の圧力計132dは、絞り部132aの上流側における供給流路68f上に設けられており、絞り部132aの上流側における供給流路68f内を流れる流体の圧力を計測する。第2の圧力計132eは、絞り部132aの下流側における供給流路68g上に設けられており、絞り部132aの下流側における供給流路68g内を流れる流体の圧力を計測する。
【0078】
表面処理液供給ノズル45から処理液を供給するときは、処理液配管群70と表面処理液供給ノズル45が接続されるように、開閉バルブ135及び供給系切替バルブ80dを切り替える。すなわち、開閉バルブ135を開く。また、供給系切替バルブ80dについては、アンモニア過水SC1を供給するSC1配管70aに切替える。
【0079】
演算部132cは、図6に示すように、圧力計測部132bの第1の圧力計132dが計測した第1の圧力計測値P1と、圧力計測部132bの第2の圧力計132eが計測した第2の圧力計測値P2との差である圧力差P1−P2に基づいて、供給流路68a(68f、68g)の流量演算値FMを演算する。演算部132cが流量演算値FMを演算することにより、差圧式流量計132は、流量を計測することができる。演算部132cは、流量演算値FMを含む計測信号SMを流量制御部134に出力する。
【0080】
流量制御部134は、予め設定された流量設定値FSと、差圧式流量計132が計測した流量演算値FMとに基づいて、モータバルブ133の開度を制御する。流量制御部134は、差圧式流量計132が計測した流量演算値FMを含む計測信号SMが差圧式流量計132から入力されるとともに、モータバルブ133の開度を制御する制御信号SCをモータバルブ133へ出力する。すなわち、流量制御部134は、圧力計測部132bが計測した第1の圧力計測値P1、第2の圧力計測値P2の差である圧力差に基づいて、モータバルブ133の開度を制御する制御信号SCをモータバルブ133へ出力する。
【0081】
流量制御部134で予め設定される流量設定値FSは、基板処理装置100を制御する制御部200のプロセスコントローラ201が設定するようにしてもよい。プロセスコントローラ201が流量設定値FSを設定する場合、流量制御部134は、プロセスコントローラ201が設定した流量設定値FSと、流量計測値FMとを比較し、流量計測値FMが流量設定値FSと等しくなるように、モータバルブ133の開度を制御する。
【0082】
また、流量制御部134からプロセスコントローラ201へ、流量計測値FMを含む計測信号SMを送ることにより、図4を用いて説明したユーザーインターフェース202に流量計測値FMを表示するようにしてもよい。
【0083】
また、図10を用いて後述するような、計測工程、判定工程及び警報出力工程とを含む基板処理方法をプロセスコントローラ201に実行させるための制御プログラムすなわちレシピを、記憶媒体(記録媒体)である記憶部203に記憶してもよい。
【0084】
図7は、差圧式流量計の絞り部及び圧力計測部の構成を示す模式図である。差圧式流量計は、流路上の圧力が異なる2地点間での圧力差(差圧)を計測し、ベルヌーイの定理に基づく演算を行って、流路を流れる流体の流量を求めるものである。そのため、差圧式流量計132は、差圧を発生させるために流路を絞る絞り部132aと、絞り部132aの両側での流路内の流体の圧力を測定する圧力計132d、132eを含む圧力計測部132bとを有する。差圧式流量計132の絞り部132aとして、オリフィス、ベンチュリ管、フローノズル、ピトー管等を用いることができる。また、差圧式流量計132の圧力計測部132bの圧力計132d、132eとして、ブルドン管ゲージ、ダイヤフラム式、ベローズ式、ひずみゲージ式等を用いることができる。本実施の形態では、一例として、絞り部132aとしてオリフィスを用い、圧力計132d、132eとして、ひずみゲージ式を用いる。
【0085】
図7に示すように、オリフィス(絞り部)132aの上流側の供給流路68fに第1の圧力計132dが設けられ、オリフィス(絞り部)132aの下流側の供給流路68gに第2の圧力計132eが設けられる。第1の圧力計132dが計測した供給流路68f内の流体の圧力(第1の圧力計測値)P1、第2の圧力計132eが計測した供給流路68g内の流体の圧力(第2の圧力計測値)P2、流量FMとの間には、以下の式(1)に示す関係がある。
【0086】
FM=CA0{2(P1−P2)/ρx}1/2 (1)
ただし、A0は絞り部132aの断面積、ρx(xは流体の種類を示している)は、流体の比重、Cは流出係数である。本実施の形態では、圧力P1、P2は、演算部132cに入力され、演算部132cにおいて、式(1)に基づいた演算を行うことによって、流量演算値FMが求められる。
【0087】
なお、差圧式流量計は、図6及び図7を用いて説明したような、圧力計測部132bが、第1の圧力計132d及び第2の圧力計132eを個別に有することによって、第1の圧力計測値P1と第2の圧力計測値P2との圧力差を求めるものでなくてもよい。供給流路68aにおける異なる2箇所における圧力の圧力差を計測することができればよく、圧力計測部132bが、第1の圧力計132d及び第2の圧力計132eを個別に有していなくてもよい。以下、図8を参照し、圧力計測部が、第1の圧力計及び第2の圧力計に代え、差圧式センサを有する例について説明する。図8は、差圧式センサを有する差圧式流量計の構成を示す模式図である。
【0088】
図8に示すように、差圧式流量計132fは、キャピラリ132g、差圧式センサ132hを有する。差圧式センサ132hは、連通部132i、ダイヤフラム132jを有し、圧力計側部に相当する。キャピラリ132gは、供給流路68aの途中に設けられており、供給流路68aを絞るためのものである。上流側の供給流路68f及び下流側の供給流路68gは、キャピラリ132gを挟んでU字形状を有するように構成されている。連通部132iは、上流側の供給流路68fと下流側の供給流路68gとを連通するように設けられている。ダイヤフラム132jは、連通部132iを上流側の供給流路68f側と下流側の供給流路68g側との間を閉鎖するように、設けられている。ダイヤフラム132jの供給流路68f側には圧力P1が加えられており、ダイヤフラム132jの供給流路68g側には圧力P2が加えられているため、圧力差P´=P1−P2に応じた撓み量が発生する。差圧式センサ132hは、発生した撓み量を検出し、検出した撓み量に基づいて、圧力差P´=P1−P2に換算する。差圧式センサ132hで換算された圧力差P´は、例えば図6に示すような演算部132cに信号入力され、演算部132cが圧力差P´に基づいて換算することによって、流量計測値FMが求められる。
【0089】
図9は、モータバルブの構成の一例を模式的に示す断面図である。図9に示すように、モータバルブ133は、バルブ160とバルブ160の上方に設けられたモータ169とを有する。
【0090】
バルブ160は、下向きに設けられて供給系切替バルブ80dを介して複数の供給系である処理液配管群70に接続する供給ポート161と、横向きに設けられて供給ノズル45側に接続する吐出ポート162とを有する。また、バルブ160は、供給ポート161と吐出ポート162とを連通する連通路163と、連通路163の上方側に開放する開口164とを有する。また、バルブ160は、開口164内に摺動自在に嵌挿され、下面に設けられた弁部165が、連通路163に設けられた弁座166に就座可能な弁体167とを有する。また、バルブ160は、弁体167に設けられた雌ねじ孔167aに螺合する雄ねじ軸168を有する。
【0091】
モータ169は、モータ169の回転軸が、雄ねじ軸168に接続されている。従って、雄ねじ軸168は、正逆回転可能に設けられている。
【0092】
このように構成されるモータバルブ133において、流量制御部134からの制御信号SCによりモータ169が正逆回転されることによって、連通路163の開度が調整され、供給ノズル45に供給される処理液の流量が調整されるようになっている。
【0093】
本実施の形態では、流量制御部134は、予め設定された流量設定値FSと、差圧式流量計132が計測した流量計測値FMとに基づいて、モータバルブ133の開度を制御する。あるいは、流量制御部134は、制御部200が設定した流量設定値FSと、流量計測値FMとを比較し、流量計測値FMが流量設定値FSと等しくなるように、モータバルブ133の開度を制御してもよい。
【0094】
次に、図10から図12を参照し、本実施の形態に係る基板処理装置が流量の計測値の真の値からのずれを検知する方法について説明する。
【0095】
図10は、本実施の形態に係る基板処理装置が流量の計測値の真の値からのずれを検知する工程を含む基板処理方法の各ステップの手順を説明するためのフローチャートである。図11は、流量の計測値の真の値からのずれを検知する工程を含む基板処理方法を行う際のタイムチャートである。図11は、上側から下側にかけて順に、第1のLFCの設定流量、第1のLFCの流量制御状態、絞り部の上流側のバルブ(供給系切替バルブ80d)の開閉状態、絞り部の下流側のバルブ(開閉バルブ135)の開閉状態を示している。図12は、流量の計測値の真の値からのずれを検知する工程を含む基板処理方法を行う際の流量及び圧力差の時間変化を模式的に示すグラフである。図12において、細実線は、左縦軸に基づいて流量の時間変化を示し、太実線は、右縦軸に基づいて圧力差の時間変化を示す。
【0096】
図10に示すように、本実施の形態に係る基板処理方法は、第1の供給工程(ステップS11)、第2の供給工程(ステップS12)及び流量ずれ検知工程(ステップS13からステップS17)を有する。流量ずれ検知工程は、供給系側遮断工程(ステップS13)、ノズル側遮断工程(ステップS14)、計測工程(ステップS15)、判定工程(ステップS16)、警報出力工程(ステップS17)を有する。
【0097】
始めに、第1の供給工程(ステップS11)を行う。第1の供給工程(ステップS11)では、前述したように、処理液配管群70と表面処理液供給ノズル45が接続されるように、開閉バルブ135及び供給系切替バルブ80dを切り替え、表面処理液供給ノズル45から例えばアンモニア過水SC1よりなる処理液を第1の流量F1でウェハWに供給する。
【0098】
図11に示すように、ステップS11において、第1のLFC131の制御はON状態であり、供給系切替バルブ80dはバルブ80aが開いた状態であり、開閉バルブ135は開いた状態である。また、ステップS11を行う時間を、例えば30秒とし、設定流量FSを、例えば1200mL/minとすることができる。また、表面処理液供給ノズル45から供給するアンモニア過水SC1の温度を、例えば80℃とすることができる。また、図12に示すように、圧力差P1−P2を、例えば30kPaとすることができる。
【0099】
次に、第2の供給工程(ステップS12)を行う。第2の供給工程(ステップS12)では、処理液配管群70と表面処理液供給ノズル45が接続されるように開閉バルブ135を切り替えた状態のまま、表面処理液供給ノズル45から例えば純水DIWよりなる処理液を第1の流量F1でウェハWに供給する。
【0100】
図11に示すように、このとき、第1のLFC131の制御はON状態であり、供給系切替バルブ80dはバルブ80bが開いた状態であり、開閉バルブ135は開いた状態である。また、ステップS12を行う時間を、例えば30秒とし、設定流量FSを、例えば1800mL/minとすることができる。また、表面処理液供給ノズル45から供給する純水DIWの温度を、例えば25℃とすることができる。また、図12に示すように、圧力差P1−P2を、例えば60kPaとすることができる。
【0101】
次に、供給系側遮断工程(ステップS13)から警報出力工程(ステップS17)を含む流量ずれ検知工程を行う。図11に示すように、流量ずれ検知工程を行う時間を、例えば40秒とすることができる。また、図11に示すように、流量ずれ検知工程を行う間、第1のLFC131の制御はOFF状態である。
【0102】
なお、供給系側遮断工程(ステップS13)から警報出力工程(ステップS17)の間に、基板に対しては、基板上の処理液を除去する乾燥(乾燥工程)が行われる。
【0103】
最初に、供給系側遮断工程(ステップS13)を行う。供給系側遮断工程(ステップS13)では、本発明における供給系に相当する処理液配管群70と供給流路68aとの接続を遮断する。具体的には、供給系切替バルブ80dのバルブ80a、80bを閉じた状態で、SC1配管70a、純水配管70bを含め、全ての配管70と供給流路68aとの接続を遮断する。
【0104】
図11に示すように、ステップS13において、供給系切替バルブ80dは全てのバルブが閉じた状態であるが、開閉バルブ135は開いた状態である。
【0105】
図12に示すように、供給系切替バルブ80dは全てのバルブが閉じることにより、表面処理液供給ノズル45からの処理液の供給は停止するため、供給流路68aの流量は直ちに0になる。また、それに伴って、圧力差P1−P2も略0になる。
【0106】
次に、ノズル側遮断工程(ステップS14)を行う。ノズル側遮断工程(ステップS14)では、供給ノズル45と供給流路68aとの接続を遮断する。具体的には、開閉バルブ135を閉じた状態で、表面処理液供給ノズル45と供給流路68aとの接続を遮断する。
【0107】
図11に示すように、ステップS14は、ステップS13が行われた後、さらにディレイ時間Td経過後に、行われるのが好ましい。また、ステップS14において、第1のLFC131の制御は引続きOFF状態であり、供給系切替バルブ80dは全てのバルブが閉じた状態であり、開閉バルブ135も閉じた状態である。また、図12に示すように、供給流路68aの流量は0のままであり、圧力差P1−P2も略0のままである。
【0108】
ステップS14をステップS13と略同時に行うと、開閉バルブ135が急に締め切られることによって流体の慣性で圧力が急激に増加して供給流路68a内に衝撃・振動水圧が発生する(いわゆるウォータハンマ現象)。一方、ステップS14をステップS13よりもディレイ時間Tdだけ遅く行うことによって、処理液の供給を停止する際のウォータハンマ現象を防止することができる。ディレイ時間Tdを、例えば2秒とすることができる。
【0109】
次に、計測工程(ステップS15)を行う。計測工程(ステップS15)では、圧力が安定した後、絞り部132aの上流側の圧力及び下流側の圧力を計測する。具体的には、第1の圧力計132dが第1の圧力計側値を計測し、第2の圧力計132eが第2の圧力計側値を計測する。なお、第1の圧力計側値及び第2の圧力計側値については、基板に処理液を供給している時の圧力計側値と区別するために、それぞれPC1、PC2という。
【0110】
ステップS13及びステップS14を行った直後、圧力差PC1−PC2が安定せず、一定の値に収束しない場合がある。従って、図12に示すように、ステップS13の後、さらに圧力差PC1−PC2が0に収束して安定化するまでの時間である圧力安定化時間Twが経過した後、ステップS15を行う。圧力安定化時間Twは、ディレイ時間Tdより長い時間であるため、ステップS15は、ステップS14が行われた後、十分な時間の経過の後に行うことになる。図12に示すように、圧力安定化時間Twを、例えば20秒とすることができる。
【0111】
次に、判定工程(ステップS16)を行う。判定工程(ステップS16)では、計測工程(ステップS15)を行って計測した圧力差の絶対値と、所定の差圧上限値とを比較することによって、圧力計側部132bが正常に動作しているかを判定する。
【0112】
具体的には、演算部132cにより、第1の圧力計測値PC1と第2の圧力計測値PC2との差である圧力差PC1−PC2の絶対値ΔPCMを演算する。そして、演算した圧力差の絶対値ΔPCMが、所定の差圧上限値ΔPCSより大きいか否かを判定する。すなわち、演算した圧力差の絶対値ΔPCMと、所定の差圧上限値ΔPCSとを比較する。
【0113】
ここで、所定の差圧上限値ΔPCSは、基板が処理液によって処理される際に、正常に処理されると判断された範囲内で設定される。例えば、正常に処理されると判断される範囲が±10%以内とする時に、所定の差圧上限値ΔPCSを正常に処理されると判断される範囲±10%以内の±5%の数値に設定する。
【0114】
式(1)を用いて説明したのと同様に、流量は圧力差PC1−PC2の例えば1/2乗に比例する。計測工程(ステップS15)では、供給流路68a内の流体の流量が0であるため、圧力差PC1−PC2は0に等しくなり、理論上絶対値ΔPCMは0になる。ここで、第1の圧力計132d及び第2の圧力計132eが正常な状態であるときは、絶対値ΔPCMは所定の差圧上限値ΔPCSよりも小さく、差圧式流量計132における流量の計測値の真の値からのずれは検知されない。言い換えれば、絶対値ΔPCMが所定の差圧上限値ΔPCSよりも小さいときに、圧力計側部132bは正常に動作していることになる。従って、圧力差の絶対値ΔPCMと所定の差圧上限値ΔPCSとを比較することによって、圧力計側部132bが正常に動作しているかを判定することができる。
【0115】
そして、流量の計測値の真の値からのずれが検知されないときは、ステップS11に戻り、次の基板に対し、ステップS11以降の各工程を行う。すなわち、判定工程(ステップS16)において圧力計側部132bが正常に動作していると判定したときに、ウェハに処理液を供給する第1の供給工程(ステップS11)以降の各工程を行う。
【0116】
一方、絶対値ΔPCMが所定の差圧上限値ΔPCSよりも大きいときは、警報出力工程(ステップS17)を行う。警報出力工程(ステップS17)では、流量制御機構の内部又は外部に設けられた図示しない警報出力部により、警報を出力する。すなわち、本実施の形態では、圧力差の絶対値が差圧上限値より大きいときに警報を出力する。
【0117】
警報出力工程(ステップS17)が行われたとき、通常の基板処理方法を中断し、メンテナンス工程を行う。メンテナンス工程では、例えば、第1の圧力計132d及び第2の圧力計132eのみを交換してもよく、又は差圧式流量計132全体を交換することにより第1の圧力計132d及び第2の圧力計132eを交換してもよい。または、計量カップ等を用いて供給ノズル45からの流量を秤量し、その秤量値が、所定の数値範囲内であるときは、第1の圧力計132d又は第2の圧力計132eのオフセット値又はゲイン値を調整し、較正を行ってもよい。あるいは、供給ノズル45からの流量の実測値が、所定の数値範囲外であるときは、第1の圧力計132d及び第2の圧力計132eのみを共に交換してもよく、又は差圧式流量計132全体を交換することにより第1の圧力計132d及び第2の圧力計132eを交換してもよい。
【0118】
また、図12に示したように、第1の流量F1が例えば1800mL/minのときに圧力差P1−P2を例えば60kPaになるようにすることができる。この場合、差圧上限値ΔPCSを例えば(±5%)3kPaとすることにより、第1の流量F1を1800mL/minとしたときに、流量の計測値の真の値からのずれが第1の流量F1の略5%以内になるように監視することができる。
【0119】
本実施の形態によれば、供給流路内を処理液が流れていないときに圧力差が0になることを利用し、基板処理装置が基板に処理液を供給していないときであって、供給系と供給流路との接続が遮断されているときに、流量ずれを検知する。これにより、差圧式流量計の流量の計測値が真の値からずれたことを容易に検知することができる。つまり差圧式流量計の異常を検出できる。
【0120】
また、本実施の形態によれば、基板処理装置の流量制御機構の演算部又は流量制御部のソフトウェアを追加するだけでよく、基板処理装置のハードウェアを追加しなくてもよい。従って、基板処理装置のコストが増大することがない。
【0121】
また、本実施の形態によれば、ダイヤフラム等により上流側及び下流側の差圧を測定する差圧センサを有する差圧式流量計を用いる場合、流量の計測値の真の値からのずれを容易に検知することができる。
【0122】
なお、本実施の形態では、供給系側遮断工程(ステップS13)を行い、その後例えば2秒程度の短いディレイ時間Tdが経過した後、ノズル側遮断工程(ステップS14)を行う例を説明した。しかしながら、ディレイ時間Tdを更に長くすることによって、供給流路68a内の流体の圧力を略大気圧に等しい状態(第1の圧力計側値PC1及び第2の圧力計側値PC2が略0に等しい状態)にし、その後ノズル側遮断工程(ステップS14)を行ってもよい。この場合には、第1の圧力計側値PC1及び第2の圧力計側値PC2が、ともに略0に等しい状態で、流量ずれの検知を行うことができる。
【0123】
また、本実施の形態では、供給流路を絞るために、上流側の供給流路と下流側の供給流路との間に絞り部等が設けられた例について説明した。しかし、上流側の供給流路と下流側の供給流路との間に差圧が発生すればよく、供給流路を絞らずに、上流側の供給流路と下流側の供給流路とを接続する部分の流路長を長くした接続部等が設けられていてもよい。
【0124】
また、本実施の形態では、判定工程において、上流側及び下流側における圧力の圧力差の絶対値と、所定の差圧上限値を比較することによって、圧力計側部が正常に動作しているかを判定する。しかし、上流側及び下流側のいずれか一方の圧力が正常であることが分かっている場合等においては、もう一方の圧力値のみを計測し、計測した圧力値を所定の圧力値と比較することによって、圧力計側部が正常に動作しているかを判定してもよい。
【0125】
また、本実施の形態の基板処理装置においては、各液処理ユニットに対し、搬送機構24により、順次処理前の基板が搬入され、処理後の基板が搬出される。本実施の形態の差圧式流量計の流量ずれ検知工程は、処理回数、処理時間などにより定期的に行われても良いが、一回の基板処理毎に行うことが好ましい。連続的に液処理ユニットに搬入される基板に対して一回の基板処理毎に流量ずれ検知工程が行われる場合において、判定工程において、圧力計測部が正常に動作していると判断された時、次に搬入される予定の基板を搬送機構24によりその液処理ユニットに搬入し、搬入された基板に対し処理液を供給する基板処理が行われるように、プロセスコントローラ201により制御する。判定工程において、圧力計測部が正常に動作していないと判断された時、次に搬入される予定の基板を搬送機構24によりその液処理ユニットには搬入しないようにプロセスコントローラ201により制御する。搬入されなかった基板は、他の正常な液処理ユニットに搬送するようにプロセスコントローラ201により制御されることが好ましい。さらに、判定工程にて圧力計測部が正常に動作していないと判断された時に処理された基板に対しては、圧力計測部が正常に動作していない状態で処理されたことを記録として残すようにすると良い。
(実施の形態の変形例)
次に、図13を参照し、本発明の実施の形態の変形例に係る基板処理方法について説明する。図13は、本変形例に係る基板処理装置が流量の計測値の真の値からのずれを検知する工程を含む基板処理方法の各ステップの手順を説明するためのフローチャートである。
【0126】
本変形例に係る基板処理方法は、第1の圧力計及び第2の圧力計の計測値のずれを補正する工程も含めて行う点で、実施の形態に係る基板処理装置と相違する。
【0127】
本変形例でも、図1から図3を用いて説明した実施の形態に係る基板処理装置を用いることができる。基板処理装置の各部、液処理ユニットの各部、また、流量制御機構も、実施の形態と同様である。
【0128】
一方、本変形例に係る基板処理方法における流量ずれ検知工程は、実施の形態で説明した各工程に加え、オフセット値補正工程を有する。図13に示すように、本変形例に係る基板処理方法は、第1の供給工程(ステップS11)、第2の供給工程(ステップS12)及び流量ずれ検知工程(ステップS13からステップS18)を有する。流量ずれ検知工程は、供給系側遮断工程(ステップS13)、ノズル側遮断工程(ステップS14)、計測工程(ステップS15)、判定工程(ステップS16)及び警報出力工程(ステップS17)に加え、オフセット値補正工程(ステップS18)を有する。第1の供給工程(ステップS11)から警報出力工程(ステップS17)までは、実施の形態と同様である。
【0129】
本変形例では、警報出力工程(ステップS17)が行われた後、オフセット値補正工程(ステップS18)を行う。オフセット値補正工程(ステップS18)では、第1の圧力計測値PC1又は第2の圧力計測値PC2が所定の圧力基準値に等しくなるように、第1の圧力計132dのオフセット値又は第2の圧力計132eのオフセット値を補正する。計測工程(ステップS15)で計測する第1の圧力計側値PC1、第2の圧力計側値PC2は、基板に処理液を供給する際に計測する第1の圧力計側値P1又は第2の圧力計側値P2、好ましくは圧力損失がない第1の圧力計側値P1に略等しい。また、流量制御部134において、例えば基板に処理液を供給する際の第1の圧力計側値P1に略等しい圧力基準値PStを予め設定しておく。これにより、第1の圧力計側値PC1又は第2の圧力計側値PC2が圧力基準値PStに等しくなるように、第1の圧力計132dのオフセット値又は第2の圧力計132eのオフセット値を補正することができる。
【0130】
オフセット値補正工程(ステップS18)が行われた後は、差圧式流量計132における流量の計測値の真の値からのずれは検知されなくなるため、ステップS11に戻り、次の基板に対し、ステップS11以降の各工程を行うことができる。一方、第1の圧力計132dのオフセット値又は第2の圧力計132eのオフセット値が、設定可能な範囲外にあって補正ができないときは、通常の基板処理方法を中断し、メンテナンス工程を行う。
【0131】
本変形例でも、実施の形態と同様に、供給流路内を処理液が流れていないときに圧力差が0になることを利用し、基板処理装置が基板に処理液を供給していないときであって、供給系と供給流路との接続が遮断されているときに、流量ずれを検知する。これにより、差圧式流量計の流量の計測値が真の値からずれたことを容易に検知することができる。
【0132】
更に、本変形例によれば、差圧式流量計の流量の計測値が真の値からずれたことが検知されたときに、第1の圧力計又は第2の圧力計のオフセット値を補正することによって、流量計の流量の計測値の真の値からのずれを容易に補正することができる。
【0133】
また、本変形例でも、基板処理装置の流量制御機構の演算部又は流量制御部のソフトウェアを追加するだけでよく、基板処理装置のハードウェアを追加しなくてもよい。従って、基板処理装置のコストが増大することがない。
【0134】
なお、本変形例では、警報出力工程(ステップS17)を行った後、オフセット値補正工程(ステップS18)を行う例を説明した。しかしながら、オフセット値補正工程(ステップS18)は、警報出力工程(ステップS17)を行う前であって、計測工程(ステップS15)と同時又は計測工程(ステップS15)を行った後に行ってもよく、あるいは、流量ずれ検知工程と独立して行ってもよい。
【0135】
以上、本発明の好ましい実施の形態について記述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0136】
42 ウェハ保持部
45 表面処理液供給ノズル
47 排気・排液部(カップ)
68a 供給流路
100 基板処理装置
131 第1のLFC
132 差圧式流量計
132a 絞り部
132b 圧力計測部
132d 第1の圧力計
132e 第2の圧力計
135 開閉バルブ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液を供給する供給流路に設けられた差圧式流量計を介して接続された供給ノズルにより基板に処理液を供給し、供給された処理液により基板を処理する基板処理方法において、
基板に処理液を供給していないときに、前記供給流路内の圧力を前記差圧式流量計内の圧力計測部により計測する計測工程と、
前記計測工程を行って計測した圧力値と、所定の圧力値とを比較することによって、前記圧力計側部が正常に動作しているかを判定する判定工程と、
前記判定工程において前記圧力計側部が正常に動作していると判定したときに、基板に処理液を供給する供給工程と
を有する基板処理方法。
【請求項2】
前記計測工程は、基板に処理液を供給していないときに、前記供給流路に設けられ、前記供給流路を絞る絞り部の、上流側及び下流側における前記供給流路内の圧力を、前記圧力計測部により計測するものであり、
前記判定工程は、前記計測工程を行って計測した前記上流側及び前記下流側における前記圧力の圧力差の絶対値と、所定の差圧上限値とを比較することによって、前記圧力計側部が正常に動作しているかを判定するものである請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記圧力計測部は、前記上流側における前記圧力を計測する第1の圧力計と、前記下流側における前記圧力を計測する第2の圧力計とを含み、
前記圧力差は、前記第1の圧力計が計測した第1の圧力計測値と前記第2の圧力計が計測した第2の圧力計測値との差であることを特徴とする請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記圧力差の絶対値が前記差圧上限値より大きいときに、前記第1の圧力計測値又は前記第2の圧力計測値が所定の圧力基準値に等しくなるように、前記第1の圧力計のオフセット値又は前記第2の圧力計のオフセット値を補正するオフセット値補正工程を有する請求項3に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記基板は、基板に処理液が供給される処理ユニット内に、順次連続して搬入された後に処理液が供給され、
前記計測工程は、前記処理ユニット内にて基板に処理液を供給する基板処理の後に実施され、
前記判定工程において前記圧力計側部が正常に動作していると判定したときに、前記処理ユニット内に次に搬入される基板に処理液を供給する供給工程と
を有する請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記基板は、基板に処理液が供給される処理ユニット内に、順次連続して搬入された後に処理液が供給され、
前記計測工程は、前記処理ユニット内にて基板に処理液を供給する基板処理の後に実施され、
前記判定工程において前記圧力計側部が正常に動作していると判定したときに、前記処理ユニット内に次に搬入される基板に処理液を供給する供給工程と、
前記判定工程において前記圧力計側部が正常に動作していないと判定したときに、前記処理ユニット内に次に搬入される予定の基板を搬入しないこと、
を有する請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項7】
前記計測工程及び前記判定工程時に前記基板から処理液を除去する乾燥工程が実施されることを有する請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項8】
コンピュータに請求項1から請求項7のいずれかに記載の基板処理方法を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項9】
基板を処理液により処理する基板処理装置において、
基板を収容する処理ユニットと、
基板に処理液を供給する供給ノズルと、
前記供給ノズルに処理液を供給する供給系と前記供給ノズルとを接続する供給流路の途中に設けられた差圧式流量計と、
を有し、
基板に処理液を供給していないときに、前記差圧式流量計にて計測された圧力差の絶対値と、所定の差圧上限値とを比較することによって、前記差圧式流量計が正常に動作しているかを判定し、前記差圧式流量計が正常に動作していると判定したときに、基板に処理液を供給する基板処理装置。
【請求項10】
前記差圧式流量計は、
前記供給流路を絞る絞り部と、
前記絞り部の上流側における前記供給流路内の圧力を計測する第1の圧力計と、
前記絞り部の下流側における前記圧力を計測する第2の圧力計と、
前記供給流路上に設けられた流量制御弁と、
前記第1の圧力計が計測した第1の圧力計測値と前記第2の圧力計が計測した第2の圧力計測値との差である圧力差に基づいて、前記流量制御弁の開度を制御する流量制御部と
を有し、
基板に処理液を供給していないときに、前記圧力差の絶対値と、所定の差圧上限値とを比較することによって、前記第1の圧力計及び前記第2の圧力計が正常に動作しているかを判定することにより前記差圧式流量計が正常に動作しているかを判定することを有する、請求項9記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記処理ユニットに順次基板を搬入する搬送機構をさらに有し、
前記処理ユニット内にて基板に処理液を供給する基板処理の後に前記供給流路内の圧力を計測し、
前記差圧式流量計が正常に動作していると判定したときに、前記処理ユニット内に前記搬送機構により基板が搬入され、搬入された基板に処理液を供給することを有する請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記処理ユニットに順次基板を搬入する搬送機構をさらに有し、
前記処理ユニット内にて基板に処理液を供給する基板処理の後に前記供給流路内の圧力を計測し、
前記差圧式流量計が正常に動作していると判定したときに、前記処理ユニット内に前記搬送機構により基板が搬入され、搬入された基板に処理液を供給し、
前記差圧式流量計が正常に動作していないと判定したときに、前記処理ユニット内に次に搬入される予定の基板を搬入しないことを有する請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項13】
処理液を供給する供給流路に設けられた差圧式流量計の異常検出方法において、
処理液を供給していないときに、前記供給流路内の圧力を前記差圧式流量計内の圧力計測部により計測する計測工程と、
前記計測工程を行って計測した圧力値と、所定の圧力値とを比較することによって、前記圧力計側部が正常に動作しているかを判定する判定工程と、
を有する差圧式流量計の異常検出方法。
【請求項1】
処理液を供給する供給流路に設けられた差圧式流量計を介して接続された供給ノズルにより基板に処理液を供給し、供給された処理液により基板を処理する基板処理方法において、
基板に処理液を供給していないときに、前記供給流路内の圧力を前記差圧式流量計内の圧力計測部により計測する計測工程と、
前記計測工程を行って計測した圧力値と、所定の圧力値とを比較することによって、前記圧力計側部が正常に動作しているかを判定する判定工程と、
前記判定工程において前記圧力計側部が正常に動作していると判定したときに、基板に処理液を供給する供給工程と
を有する基板処理方法。
【請求項2】
前記計測工程は、基板に処理液を供給していないときに、前記供給流路に設けられ、前記供給流路を絞る絞り部の、上流側及び下流側における前記供給流路内の圧力を、前記圧力計測部により計測するものであり、
前記判定工程は、前記計測工程を行って計測した前記上流側及び前記下流側における前記圧力の圧力差の絶対値と、所定の差圧上限値とを比較することによって、前記圧力計側部が正常に動作しているかを判定するものである請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記圧力計測部は、前記上流側における前記圧力を計測する第1の圧力計と、前記下流側における前記圧力を計測する第2の圧力計とを含み、
前記圧力差は、前記第1の圧力計が計測した第1の圧力計測値と前記第2の圧力計が計測した第2の圧力計測値との差であることを特徴とする請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記圧力差の絶対値が前記差圧上限値より大きいときに、前記第1の圧力計測値又は前記第2の圧力計測値が所定の圧力基準値に等しくなるように、前記第1の圧力計のオフセット値又は前記第2の圧力計のオフセット値を補正するオフセット値補正工程を有する請求項3に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記基板は、基板に処理液が供給される処理ユニット内に、順次連続して搬入された後に処理液が供給され、
前記計測工程は、前記処理ユニット内にて基板に処理液を供給する基板処理の後に実施され、
前記判定工程において前記圧力計側部が正常に動作していると判定したときに、前記処理ユニット内に次に搬入される基板に処理液を供給する供給工程と
を有する請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記基板は、基板に処理液が供給される処理ユニット内に、順次連続して搬入された後に処理液が供給され、
前記計測工程は、前記処理ユニット内にて基板に処理液を供給する基板処理の後に実施され、
前記判定工程において前記圧力計側部が正常に動作していると判定したときに、前記処理ユニット内に次に搬入される基板に処理液を供給する供給工程と、
前記判定工程において前記圧力計側部が正常に動作していないと判定したときに、前記処理ユニット内に次に搬入される予定の基板を搬入しないこと、
を有する請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項7】
前記計測工程及び前記判定工程時に前記基板から処理液を除去する乾燥工程が実施されることを有する請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項8】
コンピュータに請求項1から請求項7のいずれかに記載の基板処理方法を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項9】
基板を処理液により処理する基板処理装置において、
基板を収容する処理ユニットと、
基板に処理液を供給する供給ノズルと、
前記供給ノズルに処理液を供給する供給系と前記供給ノズルとを接続する供給流路の途中に設けられた差圧式流量計と、
を有し、
基板に処理液を供給していないときに、前記差圧式流量計にて計測された圧力差の絶対値と、所定の差圧上限値とを比較することによって、前記差圧式流量計が正常に動作しているかを判定し、前記差圧式流量計が正常に動作していると判定したときに、基板に処理液を供給する基板処理装置。
【請求項10】
前記差圧式流量計は、
前記供給流路を絞る絞り部と、
前記絞り部の上流側における前記供給流路内の圧力を計測する第1の圧力計と、
前記絞り部の下流側における前記圧力を計測する第2の圧力計と、
前記供給流路上に設けられた流量制御弁と、
前記第1の圧力計が計測した第1の圧力計測値と前記第2の圧力計が計測した第2の圧力計測値との差である圧力差に基づいて、前記流量制御弁の開度を制御する流量制御部と
を有し、
基板に処理液を供給していないときに、前記圧力差の絶対値と、所定の差圧上限値とを比較することによって、前記第1の圧力計及び前記第2の圧力計が正常に動作しているかを判定することにより前記差圧式流量計が正常に動作しているかを判定することを有する、請求項9記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記処理ユニットに順次基板を搬入する搬送機構をさらに有し、
前記処理ユニット内にて基板に処理液を供給する基板処理の後に前記供給流路内の圧力を計測し、
前記差圧式流量計が正常に動作していると判定したときに、前記処理ユニット内に前記搬送機構により基板が搬入され、搬入された基板に処理液を供給することを有する請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記処理ユニットに順次基板を搬入する搬送機構をさらに有し、
前記処理ユニット内にて基板に処理液を供給する基板処理の後に前記供給流路内の圧力を計測し、
前記差圧式流量計が正常に動作していると判定したときに、前記処理ユニット内に前記搬送機構により基板が搬入され、搬入された基板に処理液を供給し、
前記差圧式流量計が正常に動作していないと判定したときに、前記処理ユニット内に次に搬入される予定の基板を搬入しないことを有する請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項13】
処理液を供給する供給流路に設けられた差圧式流量計の異常検出方法において、
処理液を供給していないときに、前記供給流路内の圧力を前記差圧式流量計内の圧力計測部により計測する計測工程と、
前記計測工程を行って計測した圧力値と、所定の圧力値とを比較することによって、前記圧力計側部が正常に動作しているかを判定する判定工程と、
を有する差圧式流量計の異常検出方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
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【図4】
【図5】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−199256(P2011−199256A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−268389(P2010−268389)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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