説明

基板処理方法、基板処理装置及び記憶媒体

【課題】 異常な反応を起こる可能性を低減し、半導体集積回路装置の特性並びに歩留りの維持、向上を図ることが可能な基板処理方法を提供すること。
【解決手段】 被処理基板(W)を、弗素を含む処理ガスを含む雰囲気下でガス処理し、被処理基板(W)の表面に弗素を含む反応生成物(312)を形成する第1の工程と、ガス処理後の被処理基板(W)を加熱処理し、弗素と反応する反応ガスを含む雰囲気下でガス処理する第2の工程と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体ウエハ等の被処理基板に対して処理ガスを供給し、被処理基板にガス処理を施す基板処理方法、基板処理装置、並びに基板処理装置を制御するプログラムが記憶されたコンピュータ読取可能な記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、半導体デバイスの製造過程で、ドライエッチングやウエットエッチングに代わる微細化エッチングが可能な方法として、化学的酸化物除去処理(Chemical Oxide Removal:COR)と呼ばれる手法が注目されている。
【0003】
この手法の一例として、例えば被処理体である半導体ウエハの表面に形成された二酸化シリコン(SiO)膜をエッチングするために、減圧状態で被処理体を温度調節しながら、チャンバー内にフッ化水素(HF)ガスとアンモニア(NH)ガスの混合ガスを供給し、二酸化シリコンと反応させてフルオロケイ酸アンモニウム((NHSiF)を生成させ、次工程でこのフルオロケイ酸アンモニウムを加熱して昇華させることにより、二酸化シリコン膜を表面側から消費させてエッチングするプロセスが知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【特許文献1】米国特許出願公開第2004−0182417号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004−0184792号明細書
【特許文献3】特開2005−39185号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近時、半導体素子の微細化が進展し、半導体集積回路装置の高集積化が進んでいる。微細化及び高集積化が進むにつれ、半導体集積回路装置チップに形成されるコンタクト孔のサイズは小さくなり、また、チップ1個当たりに形成されるコンタクト孔の数も増えてくる。
【0005】
上記CORは、コンタクト孔形成の際に底部に生じた二酸化シリコン膜、いわゆる自然酸化膜の除去に有効である。
【0006】
しかしながら、コンタクト孔のサイズ縮小が進み、かつ、その数が増えてくると、コンタクト孔の内部に、弗素や弗素化合物が残渣として残ってしまう可能性が高くなる。コンタクト孔の内部に、反応性の高いハロゲンやハロゲン化合物、特に、弗素や弗素化合物が残ってしまうと、シリコン基板、ゲート電極、ゲート電極の側壁絶縁膜、層間絶縁膜、配線といった集積回路中の構造体と異常な反応を起こす可能性がある。異常な反応が起きてしまうと、半導体集積回路装置の歩留りが損なわれてしまう。
【0007】
この発明は、異常な反応が起きる可能性を低減し、半導体集積回路装置の特性並びに歩留りの維持、向上を図ることが可能な基板処理方法、基板処理装置、及び基板処理装置を制御するプログラムを記憶した記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明の第1態様に係る基板処理方法は、被処理基板を、弗素を含む処理ガスを含む雰囲気下でガス処理し、前記被処理基板の表面に弗素を含む反応生成物を形成する第1の工程と、前記ガス処理後の被処理基板を加熱処理し、弗素と反応する反応ガスを含む雰囲気下でガス処理する第2の工程と、を具備する。
【0009】
この発明の第2態様に係る基板処理装置は、弗素を含む処理ガスを導入する処理ガス導入部を有し、この処理ガス導入部を介して前記弗素を含む処理ガスを導入し、前記被処理基板を、前記弗素を含む処理ガスを含む雰囲気下でガス処理し、この被処理基板の表面に弗素を含む反応生成物を形成するガス処理部と、前記被処理基板を加熱する加熱機構と、弗素と反応する反応ガスを導入する反応ガス導入部とを有し、前記加熱機構を用いて前記ガス処理後の被処理基板を加熱処理し、前記反応ガス導入部を介して前記反応ガスを導入し、前記被処理基板を、前記弗素と反応する反応ガスを含む雰囲気下でガス処理する加熱及びガス処理部と、を具備する。
【0010】
この発明の第3態様に係る基板処理装置は、弗素を含む処理ガスを導入する処理ガス導入部を有し、この処理ガス導入部を介して前記弗素を含む処理ガスを導入し、前記被処理基板を、前記弗素を含む処理ガスを含む雰囲気下でガス処理し、この被処理基板の表面に弗素を含む反応生成物を形成するガス処理部と、前記被処理基板を加熱する加熱機構を有し、この加熱機構を用いて前記ガス処理後の被処理基板を加熱処理する加熱処理部と、を備え、前記ガス処理部が、弗素と反応する反応ガスを導入する反応ガス導入部をさらに有し、この反応ガス導入部を介して前記反応ガスを導入し、前記加熱処理後の被処理基板を前記弗素と反応する反応ガスを含む雰囲気下でガス処理するように構成されている。
【0011】
この発明の第4態様に係る基板処理方法は、上記第2態様に係る基板処理装置を用いた基板処理方法であって、前記被処理基板を前記ガス処理部に搬送し、このガス処理部に前記弗素を含む処理ガスを導入し、前記被処理基板を、前記弗素を含む処理ガスを含む雰囲気下でガス処理し、前記被処理基板の表面に弗素を含む反応生成物を形成する第1の工程と、前記ガス処理後の被処理基板を前記ガス処理部から前記加熱及びガス処理部に搬送し、この加熱及びガス処理部において、前記ガス処理後の被処理基板を加熱処理し、前記加熱及びガス処理部に前記弗素と反応する反応ガスを導入し、前記被処理基板を前記弗素と反応する反応ガスを含む雰囲気下でガス処理する第2の工程と、を具備する。
【0012】
この発明の第5態様に係る基板処理方法は、上記第3態様に係る基板処理装置を用いた基板処理方法であって、前記被処理基板を前記ガス処理部に搬送し、このガス処理部に前記弗素を含む処理ガスを導入し、前記被処理基板を、前記弗素を含む処理ガスを含む雰囲気下でガス処理し、前記被処理基板の表面に弗素を含む反応生成物を形成する第1の工程と、前記ガス処理後の被処理基板を前記ガス処理部から前記加熱処理部に搬送し、この加熱処理部において、前記ガス処理後の被処理基板を加熱処理し、前記弗素を含む反応生成物を分解する第2の工程と、前記加熱処理後の被処理基板を前記加熱処理部から前記ガス処理部へ搬送し、このガス処理部に前記弗素と反応する反応ガスを導入して前記被処理基板を前記弗素と反応する反応ガスを含む雰囲気下でガス処理し、前記加熱処理後の被処理基板の表面から弗素及び/又は弗素を含む化合物の残渣を除去する第3の工程と、を具備する。
【0013】
この発明の第6態様に係る記憶媒体は、コンピュータ上で動作し、基板処理装置を制御する制御プログラムが記憶されたコンピュータ読取可能な記憶媒体であって、前記制御プログラムが、実行時に、上記第5又は第6態様いずれか一つに係る基板処理方法が行われるように、コンピュータに前記基板処理装置を制御させる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、異常な反応が起きる可能性を低減し、半導体集積回路装置の特性並びに歩留りの維持、向上を図ることが可能な基板処理方法、基板処理装置、及び基板処理装置を制御するプログラムを記憶した記憶媒体を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、この発明の好ましい形態について説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1に、この発明の第1の実施形態に係る処理システム1aの概略構成を示す。この処理システム1aは、半導体ウエハ(以下、単にウエハと記す)Wを処理システム1aに対して搬入出させる搬入出部2と、搬入出部2に隣接させて設けられた2つのロードロック室(L/L)3と、各ロードロック室3にそれぞれ隣接させて設けられ、ウエハWに対してPHT(Post Heat Treatment)処理を行なうPHT処理装置(PHT)4と、各PHT処理装置4にそれぞれ隣接させて設けられ、ウエハWに対してCOR処理を行なうCOR処理装置(COR)5とを備えている。ロードロック室3、PHT処理装置4およびCOR処理装置5は、この順に一直線上に並べて設けられている。
【0017】
搬入出部2は、ウエハWを搬送する第1ウエハ搬送機構11が内部に設けられた搬送室(L/M)12を有している。第1ウエハ搬送機構11は、ウエハWを略水平に保持する2つの搬送アーム11a、11bを有している。搬送室12の長手方向の側部には、載置台13が設けられており、この載置台13には、ウエハWを複数枚並べて収容可能なキャリアCが例えば3つ備えられている。また、搬送室12に隣接して、ウエハWを回転させて偏心量を光学的に求めて位置合わせを行なうオリエンタ14が設置されている。
【0018】
搬入出部2において、ウエハWは、搬送アーム11a、11bによって保持され、第1ウエハ搬送装置11の駆動により略水平面内で直進移動、また昇降させられることにより、所望の位置に搬送させられる。そして、載置台13上のキャリアC、オリエンタ14、ロードロック室3に対してそれぞれ搬送アーム11a、11bが進退することにより、搬入出させられるようになっている。
【0019】
各ロードロック室3は、搬送室12との間にそれぞれゲートバルブ16が介在された状態で、搬送室12にそれぞれ連結されている。各ロードロック室3内には、ウエハWを搬送する第2ウエハ搬送機構17が設けられている。また、ロードロック室3は、所定の真空度まで真空引き可能に構成されている。
【0020】
第2ウエハ搬送機構17は、図2に示すように、多関節構造を有しており、ウエハWを略水平に保持する搬送アーム17aを有している。このウエハ搬送機構17においては、多関節構造を縮めた状態で搬送アーム17aがロードロック室3内に位置し、多関節構造を伸ばすことにより、搬送アーム17aがPHT処理装置4に位置し、さらに伸ばすことによりCOR処理装置5に位置することが可能となっており、搬送アーム17aにウエハWを載せた状態で第2ウエハ搬送機構17の多関節構造を伸縮させることにより、ウエハWをロードロック室3、PHT処理装置4、およびCOR処理装置5間でのウエハWを搬送することが可能となっている。
【0021】
PHT処理装置4は、図3に示すように、真空引き可能なチャンバー20と、その中でウエハWを載置する載置台23を有し、載置台23にはヒーター24が埋設されており、このヒーター24によりCOR処理が施された後のウエハWを加熱してCOR処理により生成した反応生成物を気化(昇華)させるPHT処理を行なう。チャンバー20のロードロック室3側には、ロードロック室3との間でウエハを搬送する搬入出口20aが設けられており、この搬入出口20aはゲートバルブ22によって開閉可能となっている。また、チャンバー20のCOR処理装置5側にはCOR処理装置5との間でウエハWを搬送する搬入出口20bが設けられており、この搬入出口20bはゲートバルブ54により開閉可能となっている。さらに、チャンバー20には、例えば、窒素ガス(N)などの不活性ガスを供給するガス供給路25を備えた不活性ガス供給機構26と、例えば、弗素(F)と反応するガス、例えば、アンモニアガス(NH)を供給するガス供給路27を備えた反応ガス供給機構28と、チャンバー20内を排気する排気路29を備えた排気機構30とが備えられている。不活性ガス供給路25は、窒素ガス供給源31に接続されている。そして、不活性ガス供給路25には、流路の開閉動作および窒素ガスの供給流量の調節が可能な流量調整弁32が介設されている。反応ガス供給路27は、アンモニアガス供給源34に接続されている。反応ガス供給路27には、流路の開閉動作およびNHガスの供給流量の調節が可能な流量調整弁33が介設されている。排気機構30の排気路29には、開閉弁35および真空ポンプ36が設けられている。
【0022】
COR処理装置5は、図4および図5に示すように、密閉構造のチャンバー40を備えており、チャンバー40の内部には、ウエハWを略水平にした状態で載置させる載置台42が設けられている。また、COR処理装置5には、チャンバー40にHFガスおよびNHガス等を供給するガス供給機構43、チャンバー40内を排気する排気機構44が設けられている。そして、チャンバー40内にHFガスとNHガスを導入して所定圧力に維持し、これらガスをウエハWに接触させて、ウエハW上に形成された酸化膜(SiO)に作用させ、反応生成物としてフルオロケイ酸アンモニウム[(NHSiF]を生成させるようになっている。対象となる酸化膜としては、ウエハWの表面に形成される自然酸化膜であってもよいし、デバイスを構成する酸化膜であってもよい。
【0023】
チャンバー40は、チャンバー本体51と蓋体52とによって構成されている。チャンバー本体51は、底部51aおよび略円筒形状の側壁部51bを備えている。側壁部51bの下部は、底部51aによって閉塞されており、側壁部51bの上部は開口になっている。この上部の開口に蓋体52が装着されて閉塞される。側壁部51bと蓋体52とは、図示しないシール部材により封止されて、チャンバー40内の気密性が確保されている。
【0024】
図5に示すように、側壁部51bには、PHT処理装置4のチャンバー20に対してウエハWを搬入出する搬入出口53が設けられており、この搬入出口53はゲートバルブ54により開閉可能となっている。すなわち、チャンバー40は、ゲートバルブ54を介してPHT処理装置4のチャンバー20に連結されている。
【0025】
蓋体52は、蓋体本体52aと、処理ガスを吐出させるシャワーヘッド52bとを備えている。シャワーヘッド52bは、蓋体本体52aの下部に取付けられており、シャワーヘッド52bの下面が、蓋体52の内面(下面)となっている。また、シャワーヘッド52bは、チャンバー40の天井部を構成し、載置台42の上方に設置されており、載置台42上のウエハWに対して上方から、各種ガスを供給するようになっている。シャワーヘッド52bの下面には、ガスを吐出させるための複数の吐出口52cが、下面全体に開口して形成されている。
【0026】
載置台42は、平面視略円形をなしており、底部51aに固定されている。載置台42の内部には、載置台42の温度を調節する温度調節器55が設けられている。温度調節器55は、例えば温度調節用媒体(例えば水など)が循環させられる管路を備えており、かかる管路内を流れる温度調節用媒体と熱交換が行なわれることにより、載置台42の温度が調節され、載置台42上のウエハWの温度制御がなされる。
【0027】
ガス供給機構43は、前述したシャワーヘッド52bと、チャンバー40内にHFガスを供給するHFガス供給路61と、NHガスを供給するNHガス供給路62と、不活性ガスとしてArを供給するArガス供給路63と、Nガスを供給するNガス供給路64とを備えている。HFガス供給路61、NHガス供給路62、Arガス供給路63およびNガス供給路64は、シャワーヘッド52bに接続されており、シャワーヘッド52bを介してチャンバー40内にHFガス、NHガス、ArガスおよびNガスが吐出され、拡散されるようになっている。
【0028】
HFガス供給路61は、HFガス供給源71に接続されている。また、HFガス供給路61には、流路の開閉動作およびHFガスの供給流量の調節が可能な流量調節弁72が設けられている。同様に、NHガス供給路62は、NHガス供給源73に接続されており、該NHガス供給路62には、流路の開閉動作およびアンモニアガスの供給流量の調節が可能な流量調整弁74が介設されている。Arガス供給路63は、Arガス供給源75に接続されており、該Arガス供給路63には、流路の開閉動作およびArガスの供給流量の調節が可能な流量調整弁76が介設されている。Nガス供給路64は、Nガス供給源77に接続されており、Nガス供給路64には、流路の開閉動作および窒素ガスの供給流量の調節が可能な流量調整弁78が介設されている。
【0029】
排気機構44は、開閉弁82、強制排気を行なうための真空ポンプ83が設けられた排気路85を備えている。排気路85の端部は、チャンバー40の底部51aの開口に接続されている。
【0030】
COR処理装置5を構成するチャンバー40、載置台42等の各種構成部品の材質としては、Alが用いられている。チャンバー40を構成するAl材は無垢のものであってもよいし、内面(チャンバー本体51の内面、シャワーヘッド52bの下面など)に陽極酸化処理を施したものであってもよい。一方、載置台42を構成するAlの表面は耐摩耗性が要求されるので、陽極酸化処理を行って表面に耐摩耗性の高い酸化被膜(Al)を形成することが好ましい。
【0031】
図1に示すように、処理システム1aは制御部90を有している。制御部90は、図6に示すように、処理システム1aの各構成部を制御するマイクロプロセッサ(コンピュータ)を備えたプロセスコントローラ91を有している。プロセスコントローラ91には、オペレータが処理システム1aを管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードや、処理システム1aの稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等からなるユーザーインターフェース92が接続されている。また、プロセスコントローラ91には、処理システム1aで実行される各種処理、例えばCOR処理装置5における処理ガスの供給やチャンバー40内の排気などをプロセスコントローラ90の制御にて実現するための制御プログラムや処理条件に応じて処理システム1aの各構成部に所定の処理を実行させるための制御プログラムすなわちレシピ、さらに各種データベース等が格納された記憶部93が接続されている。レシピは記憶部93の中の記憶媒体に記憶されている。記憶媒体は、ハードディスク等の固定的に設けられているものであってもよいし、CD−ROM、DVD、フラッシュメモリ等の可搬性のものであってもよい。また、他の装置から、例えば専用回線を介してレシピを適宜伝送させるようにしてもよい。
【0032】
そして、必要に応じて、ユーザーインターフェース92からの指示等にて任意のレシピを記憶部93から呼び出してプロセスコントローラ91に実行させることで、プロセスコントローラ91の制御下で、処理システム1aでの所望の処理が行われる。
【0033】
特に、本実施形態では、プロセスコントローラ91により、COR処理装置5におけるガス処理の後に、PHT処理装置4において不活性ガス、例えば、Nガス雰囲気下での加熱処理を施す。さらに、この加熱処理の後に、引き続いて弗素と反応するガス、例えば、NHガス雰囲気下でガス処理を施す。このため、プロセスコントローラ91は、不活性ガスをチャンバー20に供給した後、反応ガスをチャンバー20に供給するように、ガス供給機構26及び28を制御する。
【0034】
次に、このような処理システム1aの処理動作について説明する。
【0035】
まず、処理システム1aによって処理されるウエハWの構造について説明する。
【0036】
図7Aは、ウエハWの表面(デバイス形成面)部分の要部断面図である。
【0037】
ウエハWは半導体基板として、例えば、シリコンからなる基板301を備えている。基板301の表面領域には、基板301とは異なる導電型のソース/ドレイン領域302が形成されている。ソース/ドレイン領域302間のチャネル領域303上には、例えば、基板301を熱酸化して形成された熱酸化膜(SiO)からなるゲート絶縁膜304が形成されている。ゲート絶縁膜304上には、ゲート電極としての導電性ポリシリコン膜305が形成されている。導電性ポリシリコン膜305上には、例えば、窒化シリコン(Si)を用いて形成されたキャップ層306が形成されている。導電性ポリシリコン膜305及びキャップ層306の側壁上には、例えば、窒化シリコン(Si)を用いて形成された側壁絶縁膜307が形成されている。これらゲート絶縁膜304、導電性ポリシリコン膜305、キャップ層306、及び側壁絶縁膜307を含むゲート電極構造体308が形成されている基板301上には、低誘電率絶縁材料、例えば、SOD(Spin On Dielectric)を用いて形成された層間絶縁膜309が形成されている。
【0038】
図7Aに示すような構造の層間絶縁膜309に、図7Bに示すように、コンタクト孔310を形成する。コンタクト孔310は、ソース/ドレイン領域302に達するように層間絶縁膜309に形成される。図7Bに示すコンタクト孔310は、層間絶縁膜309のエッチングレートと、層間絶縁膜309とは異なる材料、本例では窒化シリコンからなる側壁絶縁膜307のエッチングレートとの差を利用して、側壁絶縁膜307に対して自己整合的に形成されている。層間絶縁膜309のエッチングを終了した後、コンタクト孔310の底部に露出した基板301の表面、本例ではソース/ドレイン領域302の表面が酸素にふれると、自然酸化膜(SiO)311が形成される。上記処理システム1aは、例えば、自然酸化膜311の除去に利用することができる。
【0039】
即ち、図7Bに示す状態のウエハWをキャリアC内に収納し、処理システム1aに搬送する。この処理システム1aにおいては、大気側のゲートバルブ16を開いた状態で搬入出部2のキャリアCから第1ウエハ搬送機構11の搬送アーム11a、11bのいずれかによりウエハWを1枚ロードロック室3に搬送し、ロードロック室3内の第2ウエハ搬送機構17のウエハ搬送アーム17aに受け渡す。
【0040】
その後、大気側のゲートバルブ16を閉じてロードロック室3内を真空排気し、次いでゲートバルブ22および54を開いて、ウエハ搬送アーム17aをCOR処理装置5まで伸ばして載置台42にウエハWを載置する。
【0041】
その後、搬送アーム17aをロードロック室3に戻し、ゲートバルブ54を閉じ、チャンバー40内を密閉状態とし、まず、ガス供給機構43からNHガス、ArガスおよびNガスをチャンバー40内に導入する。また、温度調節器55によってウエハWの温度を所定の目標値(例えば約25℃程度)に調節する。
【0042】
その後、チャンバー40内にガス供給機構43からHFガスが導入される。ここで、チャンバー40内には、予めNHガスが供給されているので、HFガスを導入することによりチャンバー40内の雰囲気はHFガスとNHガスとを含む雰囲気となり、ウエハWに対してCOR処理が開始される。これにより、ウエハWの凹部305の表面に存在する自然酸化膜311は、フッ化水素ガスの分子およびアンモニアガスの分子と化学反応して、図7Cに示すように反応生成物312に変質される。COR処理中は、チャンバー40内は所定の圧力、例えば、約13.3Pa(0.1Torr)に維持されるようにする。
【0043】
反応生成物312としては、フルオロケイ酸アンモニウム((NHSiF)や水等が生成される。
【0044】
このような処理が終了した後、ゲートバルブ22、54を開き、第2ウエハ搬送機構17の搬送アーム17aにより載置台42上の処理後のウエハWを受け取り、PHT処理装置4のチャンバー20内の載置台23上に載置する。そして、搬送アーム17aをロードロック室3に退避させ、ゲートバルブ22、54を閉じた後、チャンバー20内にNガスを導入しつつ、ヒーター24により載置台23上のウエハWを加熱する。これにより、上記COR処理によって生じた反応生成物312が加熱されて気化し、コンタクト孔310の底部から除去され、図7Dに示すように基板301、本例ではソース/ドレイン領域302の表面が露出する。
【0045】
このように、COR処理の後、PHT処理を行なうことにより、ドライ雰囲気で自然酸化膜311を除去することができ、ウォーターマーク等が生じない。また、自然酸化膜311をプラズマレスで除去できるのでウエハWにダメージの少ない処理が可能である。さらに、COR処理は、所定時間経過後、エッチングが進まなくなるので、オーバーエッチをかけても反応が進まず、エンドポイント管理も不要にすることができる。
【0046】
しかしながら、図7Eに示すように、PHT処理後、コンタクト孔310の内部に、フルオロケイ酸アンモニウム((NHSiF)の分解物である弗素や弗素化合物(例えば、CF)が残渣313として残ってしまう可能性がある。残渣313はハロゲン、本例では弗素を含んでいる。このような残渣313が残ったままウエハWを大気開放してしまうと、大気が含む成分、例えば、水分(HO)を巻き込んで、残渣313が基板301、ゲート電極(ポリシリコン膜305)、側壁絶縁膜307、層間絶縁膜309、及びこの後形成される配線といった集積回路中の構造体と異常な反応を起こす可能性がある。異常な反応を起こした場合を、参考例として図9Aおよび図9Bに示す。
【0047】
図9Aに示すように、残渣313が残ったままウエハWを大気開放してしまうと、大気中に含まれた成分(例えば、HO)、残渣313に含まれたハロゲン、及び残渣313が付着している構造体(例えば、Si、SiO、Si等)に含まれた成分が反応し、大きな反応生成物314に成長する。さらに、反応生成物314が大気に晒され続けると、さらに別の異物に変化する可能性もある。反応生成物314や異物を含んだまま、配線315がコンタクト孔310内に形成されてしまうと、図9Bに示すように、例えば、配線315が細ってしまう、といった影響を半導体集積回路装置に与えてしまう。配線315が細るだけでは配線315とソース/ドレイン領域302との電気的な接触が途絶えたわけではないので半導体集積回路装置は動作する。しかしながら、同じウエハ内に形成される半導体集積回路装置どうしの特性ばらつきを大きくさせたり、半導体集積回路装置の高速動作化を妨げてしまう要因になったりする。さらには、反応生成物314や異物がコンタクト孔310を塞ぐほどに大きく成長したり、あるいは今後の微細化の進展によりコンタクト孔310が、たとえ反応生成物314や異物が微小なものであったとしても簡単に塞がれるほどに小さくなったりした場合には、半導体集積回路装置の歩留りを悪化させる要因にもなりうる。
【0048】
そこで、本実施形態では、PHT処理後に、残渣313が発生することを想定して、万が一、残渣313が発生しても残渣313を除去できるように工夫した。
【0049】
具体的には、上記ガス処理後のウエハW、本実施形態ではCOR処理後のウエハWを、加熱処理、本実施形態ではPHT処理しながら、ウエハWを弗素と反応する反応ガスを含む雰囲気下でガス処理する。又はPHT処理後のウエハWを弗素と反応する反応ガスを含む雰囲気下でガス処理する。これらのようにウエハWをガス処理することで、残渣313が発生しないように、又は残渣が313発生しても除去されるようにした。
【0050】
例えば、本実施形態では、残渣313が発生しても除去されるように、チャンバー20内にNガスを導入しつつ、ヒーター24により載置台23上のウエハWを加熱したまま、ゲートバルブ22、54を開けずに、そのまま、チャンバー20内に弗素と反応するガスを供給するようにした。
【0051】
本例では、図7Dに示したように、Nガス雰囲気下でウエハWを加熱し、ウエハWから、反応生成物312と自然酸化膜311が反応生成物312に変質する過程で発生した水分とを十分に気化させる。反応生成物312および水分を気化させ、これらを十分に取り除いた後、図7Fに示すように、チャンバー20内にNガスに加えて弗素と反応するガス、本例では、NHガスを供給し、弗素や弗素化合物の残渣313を除去するようにした。また、弗素と反応するガスとして、特に、NHガスを用いる場合には、残渣313を除去する前、即ち、NHガスを含む雰囲気下でウエハWをガス処理する前に、ウエハWをPHT処理し、PHT処理において十分に水分(HO)を気化させておくことが良い。NHガスはHOと反応しやすく、ウエハW中の構造体を溶かすアンモニア水が、微量ながらも生成される可能性があるためである。NHガスを用いて残渣313を除去する場合には、水分を十分に気化させておくことで、ウエハW中の構造体の不慮のエッチングを抑制することができる。水分を十分に気化させるには、図7Dに示したように、弗素と反応するガスをチャンバー20内に供給する前に、不活性ガス、例えば、Nガス雰囲気下で加熱処理を行うことが良い。
【0052】
さらに、図7Fに示す工程においては、弗素や弗素化合物を含む残渣313が万が一存在していたことを想定して、残渣313を十分に除去できる条件で行わなければならない。そこで、残渣313の除去反応を促進させるべく、ウエハWは、本例のように加熱したままで行われることが良い。ウエハWの温度の一例は100乃至200℃である。処理圧力も、残渣313の気化を促進させるべく、低い圧力下で行われることが良い。処理圧力の一例は500乃至1000mTorrである。
【0053】
このような図7C乃至図7Fに示された処理システム1aで実施される一連の処理は、制御部90の記憶部93内の記憶媒体にレシピとして格納されれば良い。レシピとして記憶媒体に格納しておくことによって、プロセスコントローラ91の制御により実行することができる。
【0054】
このようにPHT処理の後、図7Fに示すように、引き続き残渣除去処理を行うことにより、万が一、残渣313が存在していた場合でも、残渣313を除去することができる。よって、半導体集積回路装置内に異常な反応が起きる可能性が低減され、半導体集積回路装置の特性並びに歩留りの維持、向上を図ることが可能となる。
【0055】
このような残渣除去処理が終了した後、第2ウエハ搬送装置17の搬送アーム17aによりウエハWをロードロック室3に収容し、ゲートバルブ22を閉じた後、ロードロック室3を大気に戻し、第1ウエハ搬送機構11によりウエハWを搬入出部2のキャリアCに収納する。
【0056】
以上のような動作を、キャリアCに収納されているウエハWの枚数繰り返し、処理を終了する。この後は、図8に示すように、コンタクト孔310内に配線315を形成する等、引き続き半導体集積回路装置の製造プロセスが実施されれば良い。
【0057】
このように、第1の実施形態によれば、弗素及び/又は弗素を含む化合物の残渣を除去できることで異常な反応が起きる可能性が低減される。よって、半導体集積回路装置の特性並びに歩留りの維持、向上を図ることが可能な処理システム(基板処理装置)と、基板処理方法、並びにこの基板処理方法に従って処理システム(基板処理装置)を制御するレシピ(プログラム)を記憶した記憶媒体を得ることができる。
【0058】
また、第1の実施形態では、図10に示すように、一つの処理システム1a中、本例ではCOR処理装置5の真空チャンバー40内で、被処理基板、例えば、ウエハWの表面上に形成されている自然酸化膜を反応生成物に変性する。この後、反応生成物が形成されたウエハWを、大気開放することなく、ゲートバルブ54を介してPHT処理装置4の真空チャンバー20内に搬送し、反応生成物を気化させ、さらに、ウエハWから弗素及び/又は弗素を含む化合物の残渣313を除去する。このように、第1の実施形態では、被処理基板を大気開放することなく残渣313を除去できる。このため、被処理基板を大気開放し、他の処理システムに移送して上記残渣313を除去する場合に比較して、残渣313の異常成長や、あるいは残渣313が付着したままのウエハWが搬入出部2やカセットCに搬送されることによる再汚染を起こす可能性を低減させたまま、上記残渣313を除去することが可能となる。よって、被処理基板を清浄な状態に保ちつつ、上記残渣313をより確実に除去することができる。このような残渣313の除去は、さらなる微細化及び高集積化が進んだ半導体集積回路装置への適用に有利である。
【0059】
しかも、第1の実施形態では、PHT処理装置4の一つの真空チャンバー20の中で、反応生成物312を気化させた後、これに連続して上記残渣313を除去することができる。よって、上記被処理基板を清浄な状態に保ちつつ、上記残渣313をより確実に除去できる、という利点を、より良く得ることができる。
【0060】
(第2の実施形態)
図11は、この発明の第2の実施形態に係る処理システム1のPHT処理装置4及びCOR処理装置5の部分を示す断面図である。
【0061】
図10に示したように、第1の実施形態では、PHT処理装置4のチャンバー20に、弗素と反応するガス、例えば、NHガスを供給するようにした。
【0062】
しかし、COR処理装置5のチャンバー40には、NHガスを供給する供給経路が備えられている。これを利用して、残渣313の除去処理をチャンバー40内で行うことも可能である。
【0063】
図11に示すように、第2の実施形態に係る処理システム1bが、第1の実施形態に係る処理システム1aと異なるところは、PHT処理装置4のチャンバー20に、弗素と反応するガス、例えば、NHガスを供給する供給経路が備えられていないことである。
【0064】
第2の実施形態に係る処理システム1bでは、以下のようにして残渣313の除去処理を行う。
【0065】
まず、ウエハWを、チャンバー40内にゲートバルブ22、54、チャンバー20を介して搬送し、ゲートバルブ54を閉じてCOR処理(自然酸化膜を反応生成物に変質させる処理)をチャンバー40で行う。
【0066】
次いで、ゲートバルブ54を介してウエハWをチャンバー40からチャンバー20内に搬送し、ゲートバルブ22、54を閉じてPHT処理(反応生成物を気化させる処理)をチャンバー20で行う。
【0067】
次いで、ゲートバルブ54を介してウエハWをチャンバー20からチャンバー40内に搬送し、ゲートバルブ54を閉じて残渣313の除去処理をチャンバー40で行う。
【0068】
COR処理、PHT処理、及び残渣313の除去処理の条件は、例えば、第1の実施形態において説明した条件で良い。
【0069】
なお、第2の実施形態に係る処理システム1bでは、チャンバー40において、COR処理と残渣313の除去処理とを行う。残渣313の除去処理は加熱処理である。このため、載置台42の内部にはウエハWの温度を調節する温度調節器55に加えて、ウエハWを加熱するヒーターを設けておくか、あるいは温度調節器55に、温度調節機能に加えて加熱機能を持たせておくことが良い。
【0070】
第2の実施形態に係る処理システム1bによれば、第1の実施形態と同様に、残渣313を除去できる利点を得ることができる。さらに、PHT処理装置4のチャンバー20に、弗素と反応するガス、例えば、NHガスを供給する供給経路を設けなくても良いので、処理システム1bを簡易に構成できる、という利点を得ることができる。
【0071】
(第3の実施形態)
残渣313を除去した後、被処理基板、例えば、ウエハWの表面にHガスを供給してガス処理を施し、残渣除去後のウエハWの表面を水素終端させるようにしても良い。
【0072】
特に、ウエハWのシリコン基板301表面から自然酸化膜を除去した場合には、基板表面に露呈したシリコンのダングリングボンド(未結合手)に水素が結合するので、基板301の表面が不活性になってトラップ等が発生し難くなり、品質の良い半導体集積回路装置を製造することが可能となる。
【0073】
このような処理システムの一例としては、図12に示すように、水素ガス供給源101から流量調整弁102を介してチャンバー20に水素ガスを供給するガス供給路103を備えた水素ガス(H)供給機構104を、チャンバー20に接続するようにすれば良い。
【0074】
一例に係る処理システム1cは、PHT処理装置4のチャンバー20にHガスを導入することができるので、残渣313の除去処理をチャンバー20内で行う場合に好適に使用することができる。残渣313の除去処理後、同じチャンバー20内で水素終端処理を行うことで、ウエハWの表面、特に、シリコン基板301の表面のダングリングボンドに他の物質が結合する前に水素で終端させることができる。よって、シリコン基板301の表面の水素終端化を効率よく行うことができる。
【0075】
また、他例としては、図13に示すように、図12に示した水素ガス供給機構104を、COR装置5のチャンバー40に接続するようにしても良い。
【0076】
他例に係る処理システム1dは、COR装置5のチャンバー40にHガスを導入することができるので、残渣313の除去処理をチャンバー40内で行う場合に好適に使用することができる。
【0077】
このように、第3の実施形態によれば、残渣313が除去されたウエハWに対して、例えば、残渣313の除去処理をしたチャンバーと同一のチャンバ−内で、水素終端処理をする。同一チャンバー内で水素終端処理をすることで、残渣313が除去され、清浄になったウエハWの表面を、さらに水素終端化することは、より良い品質を持つ半導体集積回路の製造に有意義である。
【0078】
(第4の実施形態)
第1乃至第3の実施形態では、HFガスとNHガスとが混合された雰囲気下でウエハWをガス処理することで、自然酸化膜を反応生成物に変質させた。しかしながら、自然酸化膜を反応生成物に変質させる手法は、これに限られるものではない。例えば、弗素を含むガスとしては、HFガスの代わりにNFガスを用いるようにしても良い。
【0079】
また、NFガスを用いる場合には、例えば、プラズマ形成部を備えたチャンバーを用い、このプラズマ形成部にNガスとHガスとを供給し、NガスとHガスとをプラズマ化した上でウエハW上に供給し、このプラズマ化されたNガスとHガス(即ち、活性種)の流れの中にNFガスを添加するようにすると良い。
【0080】
以上、この発明を第1乃至第4実施形態により説明したが、この発明は上記実施形態に限定されることなく種々変形可能である。
【0081】
例えば、上記実施形態では、ウエハWに形成されたコンタクト孔の底から自然酸化膜を除去する工程を参照して説明したが、自然酸化膜の除去工程であれば、コンタクト孔の底から自然酸化膜を除去する工程以外の工程にも適用することができる。
【0082】
また、自然酸化膜の除去以外にも、半導体集積回路装置の製造プロセスにおいて、弗素を含む処理ガスを用いてガス処理を行って弗素を含む反応生成物を形成し、この反応生成物を分解するような工程を踏むようなプロセスであれば適用することができる。この場合においても弗素や弗素化合物の残渣を除去できる、という利点を得ることができる。
【0083】
また、上記実施形態においては、Nガス供給源、及びNHガス供給源を、PHT処理装置4とCOR処理装置5とで別々に持つように記載したが、ガス供給源はPHT処理装置4とCOR処理装置5とで別々に備えていても、互いに共用されてもどちらでも構わない。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】この発明の第1の実施形態に係る処理システムの概略構成を示す平面図
【図2】図1の処理システムに搭載された第2のウエハ搬送機構の構成を示す平面図
【図3】図1の処理システムに搭載されたPHT処理装置を示す断面図
【図4】図1の処理システムに搭載されたCOR処理装置の概略構成を示す側面図
【図5】図1の処理システムに搭載されたCOR処理装置のチャンバーの構成を示す概略縦断面図
【図6】図1の処理システムの制御部の構成を示すブロック図
【図7】図1の処理システムで処理されるウエハの表面付近の構造を示す断面図
【図8】図1の処理システムで処理されるウエハの表面付近の構造を示す断面図
【図9】参考例に係るウエハ表面付近の構造を示す断面図
【図10】この発明の第1の実施形態に係る処理システムのPHT処理装置及びCOR処理装置の部分を示す断面図
【図11】この発明の第2の実施形態に係る処理システムのPHT処理装置及びCOR処理装置の部分を示す断面図
【図12】この発明の第3の実施形態の一例に係る処理システムのPHT処理装置及びCOR処理装置の部分を示す断面図
【図13】この発明の第3の実施形態の他例に係る処理システムのPHT処理装置及びCOR処理装置の部分を示す断面図
【符号の説明】
【0085】
1a、1b…処理システム、2…搬入出部、3…ロードロック室、4…PHT処理装置、5…COR処理装置、11…第1ウエハ搬送機構、17…第2ウエハ搬送機構、40…チャンバー、82…開閉バルブ、90…制御部、91…プロセスコントローラ、311…自然酸化膜、312…反応生成物、313…弗素や弗素化合物の残渣

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理基板を、弗素を含む処理ガスを含む雰囲気下でガス処理し、前記被処理基板の表面に弗素を含む反応生成物を形成する第1の工程と、
前記ガス処理後の被処理基板を加熱処理し、弗素と反応する反応ガスを含む雰囲気下でガス処理する第2の工程と、
を具備することを特徴とする基板処理方法。
【請求項2】
前記第2の工程が、
前記ガス処理後の被処理基板を加熱処理し、前記弗素を含む反応生成物を分解する工程と、
前記加熱処理後の被処理基板を、弗素と反応する反応ガスを含む雰囲気下でガス処理し、前記加熱処理後の被処理基板の表面から弗素及び/又は弗素化合物を含む残渣を除去する工程と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記弗素と反応する反応ガスが、NH、又はCOであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記弗素を含む処理ガスが、HF、又はNFであることを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記被処理基板の表面に弗素を含む反応生成物を形成する工程が、自然酸化膜を反応生成物に変質させる工程であることを特徴とする請求項4に記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記第2の工程後の前記被処理基板を、前記Hガスを含む雰囲気下でガス処理し、前記第2の工程後の前記被処理基板の表面を水素終端させる工程を、さらに具備することを特徴とする請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項7】
弗素を含む処理ガスを導入する処理ガス導入部を有し、この処理ガス導入部を介して前記弗素を含む処理ガスを導入し、前記被処理基板を、前記弗素を含む処理ガスを含む雰囲気下でガス処理し、この被処理基板の表面に弗素を含む反応生成物を形成するガス処理部と、
前記被処理基板を加熱する加熱機構と、弗素と反応する反応ガスを導入する反応ガス導入部とを有し、前記加熱機構を用いて前記ガス処理後の被処理基板を加熱処理し、前記反応ガス導入部を介して前記反応ガスを導入し、前記被処理基板を、前記弗素と反応する反応ガスを含む雰囲気下でガス処理する加熱及びガス処理部と、
を具備することを特徴とする基板処理装置。
【請求項8】
前記ガス処理部と前記加熱及びガス処理部との間が、前記被処理基板を大気開放せずに、搬送可能に構成されていることを特徴とする請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記加熱及びガス処理部が、Hガスを導入するHガス導入部を、さらに具備することを特徴とする請求項6乃至請求項8いずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項10】
弗素を含む処理ガスを導入する処理ガス導入部を有し、この処理ガス導入部を介して前記弗素を含む処理ガスを導入し、前記被処理基板を、前記弗素を含む処理ガスを含む雰囲気下でガス処理し、この被処理基板の表面に弗素を含む反応生成物を形成するガス処理部と、
前記被処理基板を加熱する加熱機構を有し、この加熱機構を用いて前記ガス処理後の被処理基板を加熱処理する加熱処理部と、を備え、
前記ガス処理部が、弗素と反応する反応ガスを導入する反応ガス導入部をさらに有し、この反応ガス導入部を介して前記反応ガスを導入し、前記加熱処理後の被処理基板を前記弗素と反応する反応ガスを含む雰囲気下でガス処理するように構成されていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項11】
前記ガス処理部と前記加熱処理部との間が、前記被処理基板を大気開放せずに、搬送可能に構成されていることを特徴とする請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記ガス処理部が、Hガスを導入するHガス導入部を、さらに具備することを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記弗素と反応するガスが、NH、又はCOであることを特徴とする請求項7乃至請求項12いずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記弗素を含む処理ガスが、HF又はNFであることを特徴とする請求項7乃至請求項13いずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記被処理基板の表面に形成される弗素を含む反応生成物が、自然酸化膜が変質されたものであることを特徴とする請求項14に記載の基板処理装置。
【請求項16】
請求項7に記載された基板処理装置を用いた基板処理方法であって、
前記被処理基板を前記ガス処理部に搬送し、このガス処理部に前記弗素を含む処理ガスを導入し、前記被処理基板を、前記弗素を含む処理ガスを含む雰囲気下でガス処理し、前記被処理基板の表面に弗素を含む反応生成物を形成する第1の工程と、
前記ガス処理後の被処理基板を前記ガス処理部から前記加熱及びガス処理部に搬送し、この加熱及びガス処理部において、前記ガス処理後の被処理基板を加熱処理し、前記加熱及びガス処理部に前記弗素と反応する反応ガスを導入し、前記被処理基板を前記弗素と反応する反応ガスを含む雰囲気下でガス処理する第2の工程と、
を具備することを特徴とする基板処理方法。
【請求項17】
前記第2の工程が、
前記ガス処理後の被処理基板を加熱処理し、前記弗素を含む反応生成物を分解する工程と、
前記加熱処理後の被処理基板を、前記弗素と反応する反応ガスを含む雰囲気下でガス処理し、前記加熱処理後の被処理基板の表面から弗素及び/又は弗素化合物を含む残渣を除去する工程と、を含むことを特徴とする請求項16に記載の基板処理方法。
【請求項18】
前記ガス処理後の被処理基板が、前記ガス処理部から前記加熱及びガス処理部へ大気開放されずに搬送されることを特徴とする請求項16又は請求項17に記載の基板処理方法。
【請求項19】
請求項10に記載された基板処理装置を用いた基板処理方法であって、
前記被処理基板を前記ガス処理部に搬送し、このガス処理部に前記弗素を含む処理ガスを導入し、前記被処理基板を、前記弗素を含む処理ガスを含む雰囲気下でガス処理し、前記被処理基板の表面に弗素を含む反応生成物を形成する第1の工程と、
前記ガス処理後の被処理基板を前記ガス処理部から前記加熱処理部に搬送し、この加熱処理部において、前記ガス処理後の被処理基板を加熱処理し、前記弗素を含む反応生成物を分解する第2の工程と、
前記加熱処理後の被処理基板を前記加熱処理部から前記ガス処理部へ搬送し、このガス処理部に前記弗素と反応する反応ガスを導入して前記被処理基板を前記弗素と反応する反応ガスを含む雰囲気下でガス処理し、前記加熱処理後の被処理基板の表面から弗素及び/又は弗素を含む化合物の残渣を除去する第3の工程と、
を具備することを特徴とする基板処理方法。
【請求項20】
前記ガス処理後の被処理基板が、前記ガス処理部から前記加熱処理部へ大気開放されずに搬送され、
前記加熱処理後の被処理基板が、前記加熱処理部から前記ガス処理部へ大気開放されずに搬送されることを特徴とする請求項19に記載の基板処理方法。
【請求項21】
コンピュータ上で動作し、基板処理装置を制御する制御プログラムが記憶されたコンピュータ読取可能な記憶媒体であって、
前記制御プログラムが、実行時に、請求項16から請求項20のいずれか一つに記載の基板処理方法が行われるように、コンピュータに前記基板処理装置を制御させることを特徴とするコンピュータ読取可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−158774(P2009−158774A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−336521(P2007−336521)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】