説明

基板処理装置、及び、基板の製造方法

【課題】放射温度計の故障およびパラメータ設定ミス等を検知できる基板処理装置と基板製造方法を提供する。
【解決手段】基板が配置される処理室と、処理室又は加熱部の温度を検出する第1放射温度計630b、第2放射温度計630a、及び、第3放射温度計630cと、第1放射温度計による第1検出結果、第2放射温度計による第2検出結果、第3放射温度計による第3検出結果が入力され、加熱部を制御する温度制御部と、を具備し、温度制御部は、第1放射温度計による第1検出結果に基づく温度と第2放射温度計による第2検出結果に基づく温度とを比較し、所定の温度より差が離れていると判断し、かつ、第1放射温度計による第1検出結果に基づく温度と第3放射温度計による第3検出結果に基づく温度とを比較し、所定の温度より差が離れていると判断した場合、第1放射温度計が故障している判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置に関し、特に、基板処理装置の温度制御において放射温度計の故障を検知する方式に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェーハ等の基板に熱を加えながら処理を行う基板処理装置では、特許文献1に記載されるように熱電対や放射温度計を用いて処理室内の温度を検出し、検出された温度に基づいて、処理室内の温度を制御することが行われている。
【0003】
従って、この熱電対や放射温度計が故障すると、処理室内の正確な温度が検出できず、処理室内を本来ターゲットとしている温度に制御できない。そのため、従来の基板処理装置では、放射温度計から得られる測定値が測定可能範囲内にあるかどうかで検知することにより、放射温度計が正常に動作しているかチェックしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−210768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、放射率等の放射温度計の設定パラメータのみに瑕疵があった場合は、放射温度計自体は故障が無いために測定値が測定可能範囲内から外れることがないため、従来の方法によると、その瑕疵を検知できないという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、放射温度計の故障およびパラメータ設定ミス等を検知する方法を提供することにより、安全に放射温度計の計測、および、温度制御をすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、基板が配置される処理室と、前記処理室を加熱する加熱部と、前記処理室又は加熱部の温度を検出する第1放射温度計、第2放射温度計、及び、第3放射温度計と、前記第1放射温度計による第1検出結果、前記第2放射温度計による第2検出結果、前記第3放射温度計による第3検出結果が入力され、前記加熱部を制御する温度制御部と、を具備し、前記温度制御部は、前記第1放射温度計による第1検出結果に基づく温度と前記第2放射温度計による第2検出結果に基づく温度とを比較し、所定の温度より差が離れていると判断し、かつ、前記第1放射温度計による第1検出結果に基づく温度と前記第3放射温度計による第3検出結果に基づく温度とを比較し、所定の温度より差が離れていると判断した場合、前記第1放射温度計が故障している判断する基板処理装置が提供される。
【0008】
また、他の一態様によれば、基板を保持する保持部材を処理室内に搬入する搬入工程と、前記搬入工程の後、加熱部により前記処理室内を昇温する昇温工程と、前記処理室内に配置された基板の処理を行う処理工程と、を具備し、前記昇温工程及び前記処理工程において、前記処理室内の温度を検出し、当該検出結果に基づき処理室内の温度を制御するとともに、特定の放射温度計の測定値と他の放射温度計の測定値と比較しその差に応じて当該放射温度計の故障を検知する基板の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
安全に放射温度計の計測、および、温度制御をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明が適用される半導体製造装置の斜視図である。
【図2】本発明が適用される処理炉の側面断面図である。
【図3】本発明が適用される処理炉の平面断面図である。
【図4】本発明が適用される処理炉のうち温度検出に関する部分を抜き出した図である。
【図5】本発明が適用される処理炉のうち温度検出チップ及び放射温度計の配置を説明する図である。
【図6】本発明が適用される半導体製造装置のガス供給ユニットを説明する図である。
【図7】本発明が適用される半導体製造装置の制御構成を示すブロック図である。
【図8】本発明が適用される半導体製造装置の処理炉及びその周辺構造の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<全体構成>
先ず、図1に於いて、本発明の第1の実施形態に於けるSiCエピタキシャル膜を成膜する基板処理装置、および、半導体デバイスの製造工程の一つであるSiCエピタキシャル膜を成膜する基板の製造方法について説明する。
【0012】
基板処理装置(成膜装置)としての半導体製造装置10は、バッチ式縦型熱処理装置であり、主要部が配置される筐体12を有する。前記半導体製造装置10には、例えばSiC等で構成された基板としてのウェーハ14(図2参照)を収納する基板収容器として、フープ(以下、ポッドと称す)16がウェーハキャリアとして使用される。前記筐体12の正面側には、ポッドステージ18が配置されており、該ポッドステージ18にポッド16が搬送される。ポッド16には、例えば25枚のウェーハ14が収納され、蓋が閉じられた状態で前記ポッドステージ18にセットされる。
【0013】
前記筐体12内の正面であって、前記ポッドステージ18に対向する位置には、ポッド搬送装置20が配置されている。又、該ポッド搬送装置20の近傍にはポッド収納棚22、ポッドオープナ24及び基板枚数検知器26が配置されている。前記ポッド収納棚22は前記ポッドオープナ24の上方に配置され、ポッド16を複数個載置した状態で保持する様に構成されている。前記基板枚数検知器26は、前記ポッドオープナ24に隣接して配置され、前記ポッド搬送装置20は前記ポッドステージ18と前記ポッド収納棚22と前記ポッドオープナ24との間でポッド16を搬送する。前記ポッドオープナ24はポッド16の蓋を開けるものであり、前記基板枚数検知器26は蓋を開けられたポッド16内のウェーハ14の枚数を検知する様になっている。
【0014】
前記筐体12内には、基板移載機28、基板保持具としてのボート30が配置されている。前記基板移載機28は、アーム(ツイーザ)32を有し、図示しない駆動手段により昇降可能且つ回転可能な構造となっている。前記アーム32は、例えば5枚のウェーハ14を取出すことができ、前記アーム32を動かすことにより、前記ポッドオープナ24の位置に置かれたポッド16及びボート30間にてウェーハ14を搬送する。
【0015】
前記ボート30は、例えばカーボングラファイトやSiC等の耐熱性材料で構成されており、複数枚のウェーハ14を水平姿勢で、且つ互いに中心を揃えた状態で整列させて縦方向に積上げ、保持する様に構成されている。尚、前記ボート30の下部には、例えば石英やSiC等の耐熱性材料で構成された円筒形状の断熱部材としてボート断熱部34が配置されており、後述する被加熱体48からの熱が処理炉40の下方側に伝わりにくくなる様に構成されている(図2参照)。
【0016】
前記筐体12内の背面側上部には前記処理炉40が配置されている。該処理炉40内に複数枚のウェーハ14を装填した前記ボート30が搬入され、熱処理が行われる。
【0017】
<処理炉構成>
次に、図2から図6において、SiCエピタキシャル膜を成膜する前記半導体製造装置10の前記処理炉40について説明する。処理炉40には、第1のガス供給口68を有する第1のガス供給ノズル60、第2のガス供給口72を有する第2のガス供給ノズル70、及び第1のガス排気口90が設けられる。又、不活性ガスを供給する第3のガス供給口360、第2のガス排気口390が図示されている。
【0018】
処理炉40は、石英又はSiC等の耐熱性材料からなり、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成された反応管42を備えている。前記反応管42の下方には、反応管42と同心円状にマニホールド36が配設されている。該マニホールド36は、例えばステンレス等からなり、上端及び下端が開口した円筒形状に形成されている。該マニホールド36は、前記反応管42を支持する様に設けられている。尚、前記マニホールド36と前記反応管42との間には、シール部材としてのOリング(図示せず)が設けられている。前記マニホールド36が図示しない保持体に支持されることにより、前記反応管42は垂直に据付けられた状態になっている。該反応管42と前記マニホールド36により、反応容器が形成されている。
【0019】
前記処理炉40は、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成された被誘導体48及び磁場発生部としての誘導コイル50を具備している。被誘導体48の筒中空部には、反応室44が形成れており、SiC等で構成された基板としてのウェーハ14を保持したボート30を収納可能に構成されている。また、図2の下枠内に示されるように、ウェーハ14は、円環状の下部ウェーハホルダ15に保持され、上面を円板状の上部ウェーハホルダ15aで覆われた状態でボート30に保持されるとよい。これにより、ウェーハ上部から落下しているパーティクルからウェーハ14を守ることができると共に、成膜面(ウェーハ14の下面)に対して裏面側の成膜を抑制することができる。また、ウェーハホルダ15の分ボート柱から成膜面を離すことができ、ボート柱の影響を小さくすることができる。ボート30は、水平姿勢で、且つ、互いに中心を揃えた状態で縦方向に整列するようにウェーハホルダ15に保持されたウェーハ14を保持するよう構成されている。被誘導体48は、該反応管42の外側に設けられた誘導コイル50により発生される磁場によって加熱される様になっており、被誘導体48が発熱することにより、反応室44内が加熱される様になっている。
【0020】
尚、好ましくは、反応室44内に於いて前記第1及び第2のガス供給ノズル60,70と第1のガス排気口90との間であって、前記被加熱体48とウェーハ14との間には、被加熱体48とウェーハ14との間の空間を埋める様、鉛直方向に延在し断面が円弧状の構造物300を反応室44内に設けるのがよい。例えば、図3に示す様に、対向する位置にそれぞれ構造物300を設けることで、第1及び第2のガス供給ノズル60,70から供給されるガスが、被誘導体48の内壁に沿ってウェーハ14を迂回するのを防止することができる。構造物400としては、好ましくは断熱材若しくはカーボンフェルト等で構成すると、耐熱及びパーティクルの発生を抑制することができる。
【0021】
反応管42と被誘導体48との間には、例えば誘電されにくいカーボンフェルト等で構成された断熱材54が設けられ、該断熱材54を設けることにより、被誘導体48の熱が反応管42或は該反応管42の外側へ伝達するのを抑制することができる。
【0022】
又、誘導コイル50の外側には、反応室44内の熱が外側に伝達するのを抑制する為の、例えば水冷構造である外側断熱壁55が反応室44を囲む様に設けられている。更に、外側断熱壁55の外側には、誘導コイル50により発生された磁場が外側に漏れるのを防止する磁気シール58が設けられている。
【0023】
又、図4に示されるように、放射光反射ミラー620と温度検出手段である放射温度計630が反応室44の下方の空間に設けられている。前記放射光反射ミラー620は、ビューポート610を介して被誘導体48と断熱材54との間に設けられた温度測定用チップ600と対向する位置に設けられ、放射温度計620は、温度測定用チップ600から放出され、放射光反射ミラー620によって反射された赤外光等の放射光を受光することで、温度測定用チップ600の温度を測定し、図7に示される温度制御部52に光ファイバ、シリアル通信を介して通知し、測定結果をフィードバックできる様になっている。
【0024】
又、温度測定用チップ600と被誘導体48は、同材質であり、温度測定用チップ600は、被誘導体48と近接しているから、温度測定用チップ600は、被誘導体48と同様に加熱され、温度測定用チップ600の温度は、被誘導体48の温度と等しくなり、温度測定用チップ600の温度を測定することで被誘導体48の温度の正確な測定が可能となる。
【0025】
更に、被誘導体48と断熱材54との間の温度検出チップとは異なる位置に、過温保護用熱電対640が設けられる。過温保護用熱電対640により検出された温度も、放射温度計で検出された温度と同様に温度制御部52に通知される。
【0026】
図5は、温度測定用チップ600及び放射温度計630の配置を示している。温度測定用チップ600aは、被誘導体48を高さ方向に3つのゾーンに分割し、最も位置が高いゾーンIに対応して設けられる。また、温度測定用チップ600aに対応して高温用放射温度計630aが設けられ、温度測定用チップ600aからの放射光は、高温用放射温度計630aに入射する。中央部のゾーンIIに対応して、温度測定用チップ600b及び600dが設けられる。また、温度測定用チップ600bに対応して高温用放射温度計630bが設けられ、温度測定用チップ600bからの放射光は、高温用放射温度計630bに入射する。更に、温度測定用チップ600dに対応して低温用放射温度計630dが設けられ、温度測定用チップ600dからの放射光は、高温用放射温度計600bに対して低温側の温度を検出する低温用放射温度計630dに入射する。最も位置の低いゾーンIIIには、温度測定用チップ600cが設けられ、それに対応し、高温用放射温度計600cが設けられる。温度測定用チップ600cからの放射光は、高温用放射温度計630cに入射する。
【0027】
このように本実施形態では、被誘導体48を高さ方向に複数ゾーンに分割し、夫々のゾーンに対して温度測定用チップ600、及び、高温用放射温度計630が設けられ、各ゾーンの温度が検出できるようになっている。また、中央部のゾーンIIは、温度測定用チップ600dと低温用放射温度計630dが更に設けられ、昇温中の低い温度の時に温度制御ができるようになっている。なお、図5には図示していないが、過温保護用熱電対640も同様に各ゾーンに対応して設けられている。
【0028】
また、図2に示す様に、被誘導体48とウェーハ14との間には、少なくともSi(シリコン)原子含有ガスと、Cl(塩素)原子含有ガスとをウェーハ14に供給するために少なくとも1つの第1のガス供給口68が設けられた第1のガス供給ノズル60が設置される。又、被誘導体48とウェーハ14との間の第1のガス供給ノズル60とは異なる箇所には、少なくともC(炭素)原子含有ガスと還元ガスとをウェーハ14に供給するために、少なくとも1つの前記第2のガス供給口72が設けられた第2のガス供給ノズル70が設けられる。また、第1のガス排気口90も同様に被加熱体48とウェーハ14との間に配置される。又、反応管42と断熱材54との間に、第3のガス供給口360及び第2のガス排気口390が配置されている。
【0029】
第1のガス供給ノズル60及び第2のガス供給ノズル70は、夫々1本ずつでも構わないが、図3に示されるように、第2のガス供給ノズル70は3本設けられ、第2のガス供給ノズル70に挟まれるように第1のガス供給ノズル60が設けられるように構成すると良い。このように交互に配置することにより、Si原子含有ガスとC原子含有ガスの混合を促進することができる。また、第1のガス供給ノズル及び第2のガス供給ノズルを奇数本とすることにより、中央の第2ガス供給ノズル70を中心に成膜ガス供給を左右対称とすることができ、ウェーハ14内の均一性を高めることができる。
【0030】
第1のガス供給口68及び第1のガス供給ノズル60は、例えばカーボングラファイトで構成され、反応室44内に設けられる。又、第1のガス供給ノズル60は、マニホールド36を貫通する様に該マニホールド36に取付けられている。ここで、SiCエピタキシャル膜を形成する際に、第1のガス供給口68は、少なくともSi(シリコン)原子含有ガスとして、例えばモノシラン(以下SiH4とする)ガスと、Cl(塩素)原子含有ガスとして、例えば塩化水素(以下HClとする)ガスと、キャリアガスとして不活性ガス(例えばAr(アルゴン))とを第1のガス供給ノズル60を介して、反応室44内に供給する様になっている。
【0031】
該第1のガス供給ノズル60は、第1のガスライン222を介してガス供給ユニット200に接続される。また、図6に示されるように、該第1のガスライン222は、SiH4ガス、HClガス、不活性ガスに対して流量制御器(流量制御手段)としてのマスフローコントローラ(以下MFCとする)211c,211d,211f、及び、バルブ212c,212c,212fを介して、例えばSiH4ガス供給源210c、HClガス供給源210d、不活性ガス供給源210fに接続されている。
【0032】
上記構成により、SiH4ガス、HClガス、不活性ガスのそれぞれの供給流量、濃度、分圧、供給タイミングを反応室44内に於いて制御することができる。バルブ212c,212d,212f、MFC211c,211d,211fは、ガス流量制御部78に電気的に接続されており、それぞれ供給するガスの流量が所定流量となる様に、所定のタイミングにて制御される様になっている(図7参照)。尚、SiH4ガス、HClガス、不活性ガスのそれぞれの前記ガス供給源210c,210d、210f、前記バルブ212c,212d、212f、前記MFC211c,211d,211f、前記第1のガスライン222、前記第1のガス供給ノズル60及び該第1のガス供給ノズル60に少なくとも1つ設けられる前記第1のガス供給口68により、ガス供給系として第1のガス供給系が構成される。
【0033】
前記第2のガス供給口72は、例えばカーボングラファイトで構成され、反応室44内に設けられる。また、第2のガス供給ノズル70は、マニホールド36を貫通する様に、該マニホールド36に取付けられている。ここで、SiCエピタキシャル膜を形成する際に、第2のガス供給口72は、少なくともC(炭素)原子含有ガスとして、例えばプロパン(以下C3H8とする)ガスと、還元ガスとして、例えば水素(H原子単体、若しくはH2分子。以下H2とする)とを第2のガス供給ノズル70を介して反応室44内に供給する様になっている。
【0034】
第2のガス供給ノズル70は、第2のガスライン260を介してガス供給ユニット200に接続されている。また、図6に示されるように該第2のガスライン260は、例えばガス配管213a,213bと接続され、該ガス配管213a,213bはそれぞれ、C(炭素)原子含有ガスとして、例えばC3H8ガスに対して流量制御手段としてのMFC211a及びバルブ212bを介してC3H8ガス供給源210aに接続され、還元ガスとして、例えばH2ガスに対して流量制御手段としてのMFC211b及びバルブ212bを介してH2ガス供給源210bに接続されている。
【0035】
上記構成により、例えばC3H8ガス、H2ガスの供給流量、濃度、分圧を反応室44内に於いて制御することができる。バルブ212a,212b、前記MFC211a,211bは前記ガス流量制御部78に電気的に接続されており、供給するガス流量が所定の流量となる様、所定のタイミングにて制御される様になっている(図7参照)。尚、C3H8ガス、H2ガスのガス供給源210a,210b、バルブ212a,212b、MFC211a,211b、第2のガスライン260、第2のガス供給ノズル70、第2のガス供給口72により、ガス供給系として第2のガス供給系が構成される。
【0036】
又、第1のガス供給ノズル60及び第2のガス供給ノズル70に於いて、基板の配列領域に第1のガス供給口68及び第2のガス供給口72が1つ設けられていてもよく、ウェーハ14の所定枚数毎に設けられていてもよい。
【0037】
<排気系>
図3に示す様に、第1のガス排気口90が、ボート30より下部に設けられ、マニホールド36には、第1のガス排気口90に接続されたガス排気管230が貫通する様設けられている。該ガス排気管230の下流側には、図示しない圧力検出器としての圧力センサ及び、圧力調整器としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ214を介して真空ポンプ等の真空排気装置220が接続されている。圧力センサ及びAPCバルブ214には、圧力制御部98が電気的に接続されており、該圧力制御部98は圧力センサにより検出された圧力に基づいてAPCバルブ214の開度を調整し、処理炉40内の圧力が所定の圧力となる様所定のタイミングにて制御する様に構成されている(図7参照)。
【0038】
上記した様に、第1のガス供給口68から少なくともSi(シリコン)原子含有ガスとCl(塩素)原子含有ガスとを供給し、第2のガス供給口72から少なくともC(炭素)原子含有ガスと還元ガスとを供給し、供給されたガスはSi又はSiCで構成されたウェーハ14に対し平行に流れ、第1のガス排気口90より排気されるので、ウェーハ14全体が効率的且つ均一にガスに晒される。
【0039】
又、図3に示す様に、第3のガス供給口360は反応管42と断熱材54との間に配置され、マニホールド36を貫通する様に取付けられている。更に、第2のガス排気口390が、反応管42と断熱材54との間であり、第3のガス供給口360に対して対向する様に配置され、第2のガス排気口390はガス排気管230に接続されている。第3のガス供給口360は前記マニホールド36を貫通する第3のガスライン240に形成され、バルブ212e、MFC211eを介してガス供給源210eと接続されている。該ガス供給源210eからは不活性ガスとして、例えば希ガスのArガスが供給され、SiCエピタキシャル膜成長に寄与するガス、例えばSi(シリコン)原子含有ガス又はC(炭素)原子含有ガス又はCl(塩素)原子含有ガス又はそれらの混合ガスが、反応管42と断熱材54との間に進入するのを防ぎ、反応管42の内壁又は断熱材54の外壁に不要な生成物が付着するのを防止することができる。
【0040】
又、反応管42と断熱材54との間に供給された不活性ガスは、第2のガス排気口390よりガス排気管230の下流側にあるAPCバルブ214を介して真空排気装置220から排気される。
【0041】
<各ガス供給系に供給されるガスの詳細>
次に、上述した第1のガス供給系及び第2のガス供給系を構成する理由について説明する。SiCエピタキシャル膜を成膜する半導体製造装置では、少なくともSi(シリコン)原子含有ガスと、C(炭素)原子含有ガスとで構成される原料ガスを反応室44に供給し、SiCエピタキシャル膜を成膜する必要がある。また、本実施例の様に、複数枚のウェーハ14が水平姿勢で多段に整列させて保持される場合に於いて、ウェーハ間の均一性を向上させるため、成膜ガスを夫々のウェーハ近傍のガス供給口から供給できるように、前記反応室44内にガス供給ノズルを設けている。従って、ガス供給ノズル内も反応室と同じ条件となっている。この時、Si原子含有ガスとC原子含有ガスを同じガス供給ノズルにて供給すると、原料ガス同士が反応することで原料ガスが消費され、反応室44の下流側で原料ガスが不足するだけでなく、ガス供給ノズル内で反応し堆積したSiC膜等の堆積物がガス供給ノズルを閉塞し、原料ガスの供給が不安定になると共に、パーティクルを発生させる等の問題を生じてしまう。
【0042】
そこで、本実施例では、第1のガス供給ノズル60を介してSi原子含有ガスを供給し、第2のガス供給ノズル70を介してC原子含有ガスを供給している。このように、Si原子含有ガスとC原子含有ガスを異なるガス供給ノズルから供給することにより、ガス供給ノズル内では、SiC膜が堆積しないようにすることができる。なお、Si原子含有ガス及びC原子含有ガスの濃度や流速を調整したい場合は、夫々適切なキャリアガスを供給すればよい。
【0043】
更に、Si原子含有ガスを、より効率的に使用するため水素ガスのような還元ガスを用いる場合がある。この場合、還元ガスは、C原子含有ガスを供給する第2のガス供給ノズル70を介して供給することが望ましい。このように還元ガスをC原子含有ガスと共に供給し、反応室44内でSi原子含有ガスと混合することにより、還元ガスが少ない状態となるためSi原子含有ガスの分解を成膜時と比較して抑制することができ、第1のガス供給ノズル内におけるSi膜の堆積を抑制することが可能となる。この場合、還元ガスをC原子含有ガスのキャリアガスとして用いることが可能となる。なお、Si原子含有ガスのキャリアとしては、アルゴン(Ar)のような不活性ガス(特に希ガス)を用いることにより、Si膜の堆積を抑制することが可能となる。
【0044】
更に、第1のガス供給ノズル60には、HClのような塩素原子含有ガスを供給することが望ましい。このようにすると、Si原子含有ガスが熱により分解し、第1のガス供給ノズル内に堆積可能な状態となったとしても、塩素によりエッチングモードとすることが可能となり、第1のガス供給ノズル内へのSi膜の堆積をより抑制することが可能になる。
【0045】
尚、図2に示す例では、第1のガス供給ノズル60にSiH4ガス及びHClガスを供給し、第2のガス供給ノズル70にC3H8ガス及びH2ガスを供給する構成で説明したが、上述した通り、図2、図4及び図6に示す例は、最も良いと考えられる組合せであり、それに限られることはない。
【0046】
又、図2、図3、及び、図6に示す例では、SiCエピタキシャル膜を形成する際に流すCl(塩素)原子含有ガスとしてHClガスを例示したが、塩素ガスを用いてもよい。
【0047】
又、上述ではSiCエピタキシャル膜を形成する際に、Si(シリコン)原子含有ガスとCl(塩素)原子含有ガスとを供給したが、Si原子とCl原子を含むガス、例えばテトラクロロシラン(以下SiCl4とする)ガス、トリクロロシラン(以下SiHCl3)ガス、ジクロロシラン(以下SiH2Cl2)ガスを供給してもよい。また、言うまでもないが、これらのSi原子及びCl原子を含むガスは、Si原子含有ガスでも有り、又は、Si原子含有ガス及びCl原子含有ガスの混合ガスともいえる。特に、SiCl4は、熱分解される温度が比較的高いため、ノズル内のSi消費抑制の観点から望ましい。
【0048】
又、上述ではC(炭素)原子含有ガスとしてC3H8ガスを例示したが、エチレン(以下C2H4とする)ガス、アセチレン(以下C2H2とする)ガスを用いてもよい。
【0049】
また、還元ガスとしてH2ガスを例示したが、これに限らず他のH(水素)原子含有ガスを用いても良い。更には、キャリアガスとしては、Ar(アルゴン)ガス、He(ヘリウム)ガス、Ne(ネオン)ガス、Kr(クリプトン)ガス、Xe(キセノン)ガス等の希ガスのうち少なくとも1つを用いてもよいし、上記したガスを組合わせた混合ガスを用いてもよい。
【0050】
上述では、第1のガス供給ノズル60を介してSi原子含有ガスを供給し、第2のガス供給ノズル70を介してC原子含有ガスを供給することでガス供給ノズル内のSiC膜の堆積を抑制するようにしている(以下、Si原子含有ガスとC原子含有ガスを分離して供給する方式を、「セパレート方式」と呼ぶ。)。しかしながら、この方法は、ガス供給ノズル内でのSiC膜の堆積を抑制できるものの、Si原子含有ガスとC原子含有ガスの混合がガス供給口68,72からウェーハ14に到達するまでの間に充分に行う必要がある。
【0051】
従って、ウェーハ内の均一化の観点から見れば、Si原子含有ガスとC原子含有ガスを予め混合して、ガス供給ノズル60に供給するほうが望ましい(以下、Si原子含有ガスとC原子含有ガスを同一のガス供給ノズルから供給する方式を「プレミックス方式」と呼ぶ。)。しかしながら、Si原子含有ガス及びC原子含有ガスを同一のガス供給ノズルから供給するとガス供給ノズル内にSiC膜が堆積してしまう恐れがある。一方で、Si原子含有ガスは、エッチングガスである塩素と還元ガスである水素との比(Cl/H)を大きくすると塩素によるエッチング効果の方が大きくなり、Si原子含有ガスの反応を抑えることが可能である。従って、一方のガス供給ノズルにSi原子含有ガス、C原子含有ガス、及び、塩素含有ガスを供給し、還元反応に用いられる還元ガス(例えば、水素ガス)を他方のガス供給ノズルから供給することで、ガス供給ノズル内のCl/Hが大きくなり、SiC膜の堆積を抑制することが可能である。
【0052】
<処理炉の周辺構成>
次に、図8に於いて、処理炉40及びその周辺の構成について説明する。該処理炉40の下方には、該処理炉40の下端開口を気密に閉塞する為の炉口蓋体としてシールキャップ102が設けられている。該シールキャップ102は、例えばステンレス等の金属製であり、円盤状に形成されている。該シールキャップ102の上面には、処理炉40の下端と当接するシール材としてのOリング(図示せず)が設けられている。シールキャップ102には回転機構104が設けられ、該回転機構104の回転軸106はシールキャップ102を貫通してボート30に接続されており、該ボート30を回転させることでウェーハ14を回転させる様に構成されている。
【0053】
又、シールキャップ102は処理炉40の外側に設けられた昇降機構として、後述する昇降モータ122によって垂直方向に昇降される様に構成されており、これにより前記ボート30を処理炉40に対して搬入搬出することが可能となっている。回転機構104及び昇降モータ122には、駆動制御部108が電気的に接続されており、所定の動作をする様所定のタイミングにて制御する様構成されている(図5参照)。
【0054】
予備室としてのロードロック室110の外面に下基板112が設けられている。該下基板112には、昇降台114と摺動自在に嵌合するガイドシャフト116及び昇降台114と螺合するボール螺子118が設けられている。又、下基板112に立設した前記ガイドシャフト116及びボール螺子118の上端には上基板120が設けられている。ボール螺子118は、上基板120に設けられた昇降モータ122によって回転され、ボール螺子118が回転されることで昇降台114が昇降する様になっている。
【0055】
該昇降台114には中空の昇降シャフト124が垂設され、昇降台114と昇降シャフト124の連結部は気密となっており、該昇降シャフト124は昇降台114と共に昇降する様になっている。昇降シャフト124はロードロック室110の天板126を遊貫し、昇降シャフト124が貫通する天板126の貫通孔は、昇降シャフト124が天板126と接触することがない様充分な隙間が形成されている。
【0056】
又、ロードロック室110と昇降台114との間には、昇降シャフト124の周囲を覆う様に伸縮性を有する中空伸縮体としてベローズ128が設けられ、該ベローズ128によりロードロック室110が気密に保たれる様になっている。尚、ベローズ128は昇降台114の昇降量に対応できる充分な伸縮量を有し、ベローズ128の内径は昇降シャフト124の外径に比べて充分に大きく、伸縮の際に前記ベローズ128と昇降シャフト124が接触することがない様に構成されている。
【0057】
該昇降シャフト124の下端には、昇降基板130が水平に固着され、該昇降基板130の下面にはOリング等のシール部材を介して駆動部カバー132が気密に取付けられる。昇降基板130と駆動部カバー132とで駆動部収納ケース134が構成され、この構成により該駆動部収納ケース134内部はロードロック室110内の雰囲気と隔離される。
【0058】
又、駆動部収納ケース134の内部には前記ボート30の回転機構104が設けられ、該回転機構104の周辺は冷却機構135によって冷却される様になっている。
【0059】
電力ケーブル138は、昇降シャフト124の上端から中空部を通り、回転機構104に導かれて接続されている。又、冷却機構135及びシールキャップ102には冷却水流路140が形成されている。更に、冷却水配管142が昇降シャフト124の上端から中空部を通り冷却水流路140に導かれて接続されている。
【0060】
昇降モータ122が駆動され、ボール螺子118が回転することで、昇降台114及び昇降シャフト124を介して駆動部収納ケース134を昇降させる。
【0061】
該駆動部収納ケース134が上昇することにより、昇降基板130に気密に設けられているシールキャップ102が処理炉40の開口部である炉口144を閉塞し、ウェーハ処理が可能な状態となる。又、駆動部収納ケース134が下降することにより、シールキャップ102と共にボート30が降下され、ウェーハ14を外部に搬出できる状態となる。
【0062】
<制御部>
次に、図5に於いて、SiCエピタキシャル膜を成膜する半導体製造装置10を構成する各部の制御構成について説明する。
【0063】
温度制御部52、ガス流量制御部78、圧力制御部98、駆動制御部108は、操作部及び入出力部を構成し、半導体製造装置10全体を制御する主制御部150に電気的に接続されている。又、温度制御部52、ガス流量制御部78、圧力制御部98、駆動制御部108は、コントローラ152として構成されている。
【0064】
<温度制御方法>
次に、温度制御部52における温度制御について説明する。通常、温度制御部52は、中央部のゾーンIIに対応した放射温度計630b及び630dにて検出された温度に基づいて制御を行う。なお、高温用放射温度計600a及び高温用放射温度計600cは、後述する故障検出用のモニタとして用いられる。まず、昇温開始時には、低温用放射温度計600dにて検出された温度に基づいて、誘電コイル50に供給される電力の制御を行う。その後、所定の温度を超えた時点で、低温用放射温度計600dにて検出された温度から高温用放射温度計600bにて検出された温度に基づいて所定の温度になるように誘電コイル50に供給する電力を制御する。
【0065】
また、過温保護用熱電対640により所定の温度を超えたことが検出された場合には、温度制御部52は、誘電コイル50に供給する電力をオフにするように制御する。これにより、安全に運用することが可能となる。
【0066】
温度制御部52は、反応室44内の温度制御と並行して、放射温度計600が故障していないかもチェックする。本発明では、3つのゾーンに配置されている高温用放射温度計600a,600b,600cの測定値を比較し、それぞれの高温用放射温度計について、他の高温用放射温度計の測定値との温度差が大きいとき、当該放射温度計が故障していると判断する。詳細に説明すると、予め故障判断基準となる温度差Eを設定しておき、中央部の高温用放射温度計600bの測定値(以下、中央部HC)について、上部の高温用放射温度計600aの測定値(以下、上部HU)、および、下部の高温用放射温度計600cの測定値(以下、下部HL)と比較し、以下の条件1が成立したとき、中央部HCが故障していると判断する。そして、中央部HCが故障していると判断された場合は、ヒータを駆動するパワーを0とする。
|上部HU−中央部HC|>E、かつ、|下部HL−中央部HC|>E …(条件1)
(但し、|・|は絶対値演算を示す。)
【0067】
なお、中央部HCが故障していると判断された場合は、故障していないと判断された上部HUまたは下部HLに切り替えて温度制御を継続してもよい。または、中央部HCが故障していると判断された場合は、故障していないと判断された上部HUと下部HLの平均値に切り替えて温度制御を継続してもよい。
【0068】
<SiC膜の形成方法>
次に、上述した半導体製造装置10を用い、半導体デバイスの製造工程の一工程として、SiC等で構成されるウェーハ14等の基板上に、例えばSiC膜を形成する基板の製造方法について説明する。尚、以下の説明に於いて半導体製造装置10を構成する各部の動作は、コントローラ152により制御される。
【0069】
先ず、ポッドステージ18に複数枚のウェーハ14を収納したポッド16がセットされると、ポッド搬送装置20によりポッド16をポッドステージ18からポッド収納棚22へ搬送し、ストックする。次に、ポッド搬送装置20により、ポッド収納棚22にストックされたポッド16をポッドオープナ24に搬送してセットし、該ポッドオープナ24によりポッド16の蓋を開き、基板枚数検知器26によりポッド16に収納されているウェーハ14の枚数を検知する。
【0070】
次に、基板移載機28により、ポッドオープナ24の位置にあるポッド16からウェーハ14を取出し、ボート30に移載する。
【0071】
複数枚のウェーハ14がボート30に装填されると、ウェーハ14を保持したボート30は、昇降モータ122による昇降台114及び昇降シャフト124の昇降動作により反応室44内に搬入(ボートローディング)される。この状態では、シールキャップ102はOリング(図示せず)を介してマニホールド36の下端をシールした状態となる。
【0072】
ボート30搬入後、反応室44内が所定の圧力(真空度)となる様に、真空排気装置220によって真空排気される。この時、反応室44内の圧力は、圧力センサ(図示せず)によって測定され、測定された圧力に基づき第1のガス排気口90及び第2のガス排気口390に連通するAPCバルブ214がフィードバック制御される。又、ウェーハ14及び反応室44内が所定の温度となる様前記被誘導体48が加熱される。この時、反応室44内が所定の温度分布となる様、放射温度計600d又は放射温度計600dが検出した温度情報に基づき、上述のように、誘導コイル50への通電具合がフィードバック制御される。続いて、回転機構104により、ボート30が回転されることで、ウェーハ14が周方向に回転される。
【0073】
続いて、SiCエピタキシャル成長反応に寄与するSi(シリコン)原子含有ガス及びCl(塩素)原子含有ガスは、それぞれガス供給源210c,210dから供給され、前記第1のガス供給口68より前記反応室44内に噴出される。又、C(炭素)原子含有ガス及び還元ガスであるH2ガスが、所定の流量となる様に対応する前記MFC211a,211bの開度が調整された後、バルブ212a,212bが開かれ、それぞれのガスが第2のガスライン260に流通し、第2のガス供給ノズル70に流通して第2のガス供給口72より反応室44内に導入される。
【0074】
第1のガス供給口68及び第2のガス供給口72より供給されたガスは、反応室44内の被誘導体48の内側を通り、第1のガス排気口90からガス排気管230を通って排気される。第1のガス供給口68及び第2のガス供給口72より供給されたガスは、反応室44内を通過する際に、SiC等で構成されるウェーハ14と接触し、ウェーハ14表面上にSiCエピタキシャル膜成長がなされる。
【0075】
又、ガス供給源210eより、不活性ガスとしての希ガスであるArガスが所定の流量となる様に対応するMFC211eの開度が調整された後、バルブ212eが開かれ、第3のガスライン240に流通し、第3のガス供給口360から反応室44内に供給される。第3のガス供給口360から供給された不活性ガスとしての希ガスであるArガスは、反応室44内の断熱材54と反応管42との間を通過し、第2のガス排気口390から排気される。
【0076】
次に、予め設定された時間が経過すると、上述したガスの供給が停止され、図示しない不活性ガス供給源より不活性ガスが供給され、反応室44内の被加熱体48の内側の空間が不活性ガスで置換されると共に、反応室44内の圧力が常圧に復帰される。
【0077】
その後、昇降モータ122によりシールキャップ102が下降され、マニホールド36の下端が開口されると共に、処理済みのウェーハ14がボート30に保持された状態でマニホールド36の下端から反応管42の外部に搬出(ボートアンローディング)され、ボート30に保持されたウェーハ14が冷える迄、ボート30を所定位置にて待機させる。待機させた該ボート30のウェーハ14が所定温度迄冷却されると、基板移載機28により、ボート30からウェーハ14を取出し、ポッドオープナ24にセットされている空のポッド16に搬送して収納する。その後、ポッド搬送装置20によりウェーハ14が収納されたポッド16をポッド収納棚22、又は前記ポッドステージ18に搬送する。この様にして、半導体製造装置10の一連の作動が完了する。
【0078】
以上、実施形態に基づいて本発明を説明してきたが、これに限らず、様々な変更が可能なことはいうまでもない。例えば、実施形態では、SiCエピタキシャル成長装置において説明してきたが、これに限らず、基板を加熱して処理を行う基板処理装置全般に用いることができる。また、加熱方式も誘導加熱方式に限らず、抵抗式ヒータやランプ加熱であっても適用可能である。放射温度計の配置する位置も反応室の下に限らず、反応管の側壁に設けても良い。また、ゾーンの分割も3分割に限らず、より多くても良い。
【0079】
以上の説明のように、本発明によれば、現在測定している複数の放射温度計との測定値の比較によって故障もしくは設定ミス等を検知することができ、安全に放射温度計の計測、および、温度制御をすることができる。
【0080】
最後に本発明の好ましい主たる態様について付記する。
(1)基板が配置される処理室と、前記処理室を加熱する加熱部と、前記処理室又は加熱部の温度を検出する第1放射温度計、第2放射温度計、及び、第3放射温度計と、前記第1放射温度計による第1検出結果、前記第2放射温度計による第2検出結果、前記第3放射温度計による第3検出結果が入力され、前記加熱部を制御する温度制御部と、を具備し、前記温度制御部は、前記第1放射温度計による第1検出結果に基づく温度と前記第2放射温度計による第2検出結果に基づく温度とを比較し、所定の温度より差が離れていると判断し、かつ、前記第1放射温度計による第1検出結果に基づく温度と前記第3放射温度計による第3検出結果に基づく温度とを比較し、所定の温度より差が離れていると判断した場合、前記第1放射温度計が故障している判断する基板処理装置。
(2)上記(1)において、前記処理室は、高さ方向に並んだ複数の基板を保持するボートが搬入されることで前記基板が配置され、前記第1放射温度計、前記第2放射温度計、前記第3放射温度計は、異なる高さに位置するように配置され、前記第1放射温度計は、前記第2放射温度計及び前記第3放射温度計との間の高さになるように配置される基板処理装置。
(3)上記(1)又は(2)において、前記温度制御部は、前記第1放射温度計が故障していると判断した場合、前記加熱部による加熱を終了する基板処理装置。
(4)上記(1)又は(2)において、前記温度制御部は、前記第1放射温度計が故障していると判断した場合、前記第2放射温度計による第2検出結果又は前記第3放射温度計による第3検出結果に基づいて前記加熱部を制御する基板処理装置。
(5)上記(1)又は(2)において、前記温度制御部は、前記第1放射温度計が故障していると判断した場合、前記第2放射温度計による第2検出結果に基づく温度と前記第3放射温度計による第3検出結果に基づく温度との平均値を用いて前記加熱部を制御する基板処理装置。
(6)基板を保持する保持部材を処理室内に搬入する搬入工程と、前記搬入工程の後、加熱部により前記処理室内を昇温する昇温工程と、前記処理室内に配置された基板の処理を行う処理工程と、を具備し、前記昇温工程及び前記処理工程において、前記処理室内の温度を検出し、当該検出結果に基づき処理室内の温度を制御するとともに、特定の放射温度計の測定値と他の放射温度計の測定値と比較しその差に応じて当該放射温度計の故障を検知する基板の製造方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板が配置される処理室と、
前記処理室を加熱する加熱部と、
前記処理室又は加熱部の温度を検出する第1放射温度計、第2放射温度計、及び、第3放射温度計と、
前記第1放射温度計による第1検出結果、前記第2放射温度計による第2検出結果、前記第3放射温度計による第3検出結果が入力され、前記加熱部を制御する温度制御部と、を具備し、
前記温度制御部は、前記第1放射温度計による第1検出結果に基づく温度と前記第2放射温度計による第2検出結果に基づく温度とを比較し、所定の温度より差が離れていると判断し、かつ、前記第1放射温度計による第1検出結果に基づく温度と前記第3放射温度計による第3検出結果に基づく温度とを比較し、所定の温度より差が離れていると判断した場合、前記第1放射温度計が故障している判断する基板処理装置。
【請求項2】
基板を保持する保持部材を処理室内に搬入する搬入工程と、
前記搬入工程の後、加熱部により前記処理室内を昇温する昇温工程と、
前記処理室内に配置された基板の処理を行う処理工程と、を具備し、
前記昇温工程及び前記処理工程において、前記処理室内の温度を検出し、当該検出結果に基づき処理室内の温度を制御するとともに、特定の放射温度計の測定値と他の放射温度計の測定値と比較しその差に応じて当該放射温度計の故障を検知する基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−193985(P2012−193985A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56595(P2011−56595)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】