説明

基板処理装置、基板処理方法及びその基板処理方法を実行させるためのプログラムを記録した記憶媒体

【課題】基板をスピン乾燥する際に、基板の帯電量が面内で均一になるように制御することができる基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板を処理する基板処理装置において、処理部22と、処理部22内に設けられ、基板が載置される載置台32と、載置台32の中心を回転軸として、載置台32に載置されている基板を載置台32とともに回転させる回転部35と、基板の表面に、処理部22の温度と基板の帯電量に基づいて、所定の相対湿度に調湿された気体を供給する気体供給部34と、気体供給部34を移動させる第1の移動部84とを有する。気体供給部34により基板の表面に気体を供給する位置を移動させることによって、基板の帯電量を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置、基板処理方法及びその基板処理方法を実行させるためのプログラムを記録した記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造プロセスやフラットパネルディスプレー(FPD)の製造プロセスにおいては、半導体ウェハやガラス基板等の各種の基板に処理液を供給して処理を行うプロセスが多用されている。このようなプロセスとしては、例えば、基板の表面に付着したパーティクルや、大気との接触により形成された自然酸化膜を除去するための、各種の処理液による洗浄処理等を挙げることができる。
【0003】
上記したような洗浄処理等のプロセスを基板に対して行う基板処理装置としては、枚葉式の複数の基板処理部と、搬送部とを備えたものが用いられている。搬送部は、これら基板処理部への基板の搬入出を行う。
【0004】
基板処理部は、例えば、回転テーブル、複数の保持部及びノズルヘッドを有する。保持部は、回転テーブルに複数設けられ、搬送部により回転テーブルに載置される基板の周縁部を保持する。ノズルヘッドは、回転テーブルの上面側に位置しており、回転テーブルに載置された基板の上面に処理液等を供給する。
【0005】
このような基板処理部では、基板を回転させた状態で、ノズルヘッドにより基板の表面に処理液を供給して基板を液処理する。次いで、ノズルヘッドにより基板の表面にリンス液を供給して基板をリンス処理する。次いで、基板を回転させ、振り切り乾燥すなわちスピン乾燥させる。
【0006】
ところが、このスピン乾燥により、基板が帯電することがある。基板が帯電した場合、雰囲気中のパーティクルが基板に吸着するか、又は、基板上の絶縁膜を破壊するおそれがある。従って、基板処理装置として、基板が帯電することを防止するために、加湿された気体をチャンバに供給することによって、一様に除電するものがある(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−45924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、上記した基板処理装置における基板処理方法においては、次のような問題がある。
【0009】
例えばスピン乾燥により基板が帯電する場合、基板の面内で中心側から外周側に向かって変化するように電位の分布、すなわち帯電量の分布が発生することがある。基板の面内で帯電量の分布が発生する場合、特許文献1に示すような、加湿された気体をチャンバに供給することによって一様に除電する方法では、基板の帯電量が面内で均一になるように制御することができない。
【0010】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、基板をスピン乾燥する際に、基板の帯電量が面内で均一になるように制御することができる基板処理装置及び基板処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために本発明では、次に述べる各手段を講じたことを特徴とするものである。
【0012】
本発明の一実施例によれば、基板を処理する基板処理装置において、処理部と、前記処理部内に設けられ、基板が載置される載置台と、前記載置台の中心を回転軸として、前記載置台に載置されている基板を前記載置台とともに回転させる回転部と、前記基板の表面に、前記処理部の温度と前記基板の帯電量に基づいて、所定の相対湿度に調湿された気体を供給する気体供給部と、前記気体供給部を移動させる第1の移動部とを有し、前記気体供給部により前記基板の表面に前記気体を供給する位置を移動させることによって、前記基板の帯電量を制御することを特徴とする基板処理装置が提供される。
【0013】
また、本発明の他の一実施例によれば、基板を処理する基板処理方法において、基板が載置される載置台の中心を回転軸として、前記載置台に載置されている基板を前記載置台とともに回転部により回転させた状態で、気体供給部により、前記基板の表面に、所定の相対湿度に調湿された気体を供給する気体供給工程を有し、前記気体供給工程は、前記気体供給部を移動させることによって、前記気体供給部から前記基板の表面に前記気体を供給する位置を移動させながら、前記基板の表面に前記気体を供給して前記基板の帯電量を制御するものである、基板処理方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、基板をスピン乾燥する際に、基板の帯電量が面内で均一になるように制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施の形態に係る基板処理装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】液処理ユニットの縦断面図である。
【図3】処理液供給機構及びガス供給機構の構成を示す概略図である。
【図4】保持プレート及びクランプ部材の構成を示す平面図である。
【図5】液処理ユニットの基板保持機構の構成を示す縦断面であって、リフトピンプレート及び洗浄液供給管が下方位置にあるときの状態を示す図である。
【図6】液処理ユニットの基板保持機構の構成を示す縦断面であって、リフトピンプレート及び洗浄液供給管が上方位置にあるときの状態を示す図である。
【図7】実施の形態に係る基板処理方法において、ウェハの表面にリンス液又は調湿された気体が供給されている状態を模式的に示す斜視図(その1)である。
【図8】実施の形態に係る基板処理方法において、ウェハの表面にリンス液又は調湿された気体が供給されている状態を模式的に示す斜視図(その2)である。
【図9】比較例1におけるウェハ面内の電位分布を模式的に示すグラフである。
【図10】実施例1におけるウェハ面内の電位分布を模式的に示すグラフ(その1)である。
【図11】実施例1におけるウェハ面内の電位分布を模式的に示すグラフ(その2)である。
【図12】電位の面内平均値の相対湿度依存性を示すグラフである。
【図13】実施例2におけるウェハ面内の電位分布を模式的に示すグラフである。
【図14】実施例3におけるウェハ面内の電位分布を、比較例1におけるウェハ面内の電位分布と比較しながら模式的に示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明を実施するための形態について図面と共に説明する。ここでは、本発明を半導体ウェハ(以下、単に「ウェハ」と記す。)の表面洗浄を行う基板処理装置に適用した場合について示す。
(実施の形態)
始めに、図1を参照し、本発明の実施の形態に係る基板処理装置の概略構成について説明する。
【0017】
図1は本実施の形態に係る基板処理装置の概略構成を示す平面図である。
【0018】
この基板処理装置10は、複数のウェハWを収容するウェハキャリアWCを載置し、ウェハWの搬入・搬出を行う搬入出ステーション(基板搬入出部)1と、ウェハWに洗浄処理を施すための処理ステーション(液処理部)2とを備えている。搬入出ステーション(基板搬入出部)1及び処理ステーション(液処理部)2は、隣接して設けられている。
【0019】
搬入出ステーション1は、キャリア載置部11、搬送部12、受け渡し部13及び筐体14を有している。キャリア載置部11は、複数のウェハWを水平状態で収容する4個のウェハキャリアWCを載置する。搬送部12は、ウェハWの搬送を行う。受け渡し部13は、ウェハWの受け渡しを行う。筐体14は、搬送部12および受け渡し部13を収容する。
【0020】
搬送部12は、搬送機構15を有している。搬送機構15は、ウェハWを保持するウェハ保持アーム15a及びウェハ保持アーム15aを前後に移動させる機構を有している。また搬送機構15は、ウェハキャリアWCの配列方向であるX方向に延在する水平ガイド17に沿って移動させる機構、垂直方向に設けられた図示しない垂直ガイドに沿って移動させる機構、水平面内で回転させる機構を有している。この搬送機構15により、ウェハキャリアWCと受け渡し部13との間でウェハWが搬送される。
【0021】
受け渡し部13は、受け渡しステージ19上に、ウェハWを載置可能な載置部を複数備えた受け渡し棚20を有している。受け渡し部13は、この受け渡し棚20を介して処理ステーション2との間でウェハWの受け渡しが行われるようになっている。
【0022】
処理ステーション2は、直方体状をなす筐体21を有している。筐体21内には、その中央にウェハキャリアWCの配列方向であるX方向に直交するY方向に沿って延びる搬送路を構成する搬送室21aと、搬送室21aの両側に設けられた2つのユニット室21b、21cとを有している。ユニット室21b、21cにはそれぞれ搬送室21aに沿って6個ずつ合計12個の液処理ユニット22が水平に配列されている。
【0023】
搬送室21aの内部には搬送機構24が設けられている。搬送機構24は、ウェハWを保持するウェハ保持アーム24aを前後に移動させる機構を有している。また、搬送機構24は、搬送室21aに設けられた水平ガイド25に沿ってY方向に移動させる機構、垂直方向に設けられた図示しない垂直ガイドに沿って移動させる機構、水平面内で回転させる機構を有している。この搬送機構24により、各液処理ユニット22に対するウェハWの搬入出が行われる。
【0024】
次に、本実施の形態に係る基板処理装置に搭載された液処理ユニット22について説明する。
【0025】
図2は、液処理ユニット22の縦断面図である。
【0026】
液処理ユニット22は、ケーシング31と、ケーシング31内に設けられ、ウェハWを保持する基板保持機構32とを備えている。また、液処理ユニット22は、基板保持機構32によって保持されたウェハWに処理液を供給する処理液供給機構33と、基板保持機構32によって保持されたウェハWにガスを供給するガス供給機構34とを備えている。更に、液処理ユニット22は、基板保持機構32を回転させる回転機構35(モータ51)を備えている。
【0027】
なお、基板保持機構32は、ウェハWが載置されることによって、ウェハWを保持するものであり、本発明における載置台に相当する。また、回転機構35は、本発明における回転部に相当する。
【0028】
ケーシング31内であって基板保持機構32の周縁外方には、ウェハWを洗浄した後の処理液を受ける環状の排液カップ36が配置されている。そして、この排液カップ36には、排液カップ36を経た処理液を排出する排液管37が連結されている。また、ケーシング31の側壁には、ウェハWを出し入れするための出入口31aが設けられている。
【0029】
基板保持機構32は、リフトピンプレート41、保持プレート42、クランプ部材43を有する。リフトピンプレート41及び保持プレート42は、水平に設けられており、円板状をなしている。保持プレート42の周縁部には、ウェハWの周縁部を保持するためのクランプ部材43が設けられている。なお、リフトピンプレート41、保持プレート42及びクランプ部材43の詳細な構造については、後述する。
【0030】
保持プレート42の下面の中心部には、下方鉛直に延びる円筒状の回転軸42aが連結されている。また、保持プレート42の中心部には、円筒状の回転軸42aの孔42bに連通する円形の孔42cが形成されており、回転軸42aの孔42bの内部には、洗浄液供給管46が設けられている。洗浄液供給管46内には、ウェハWの裏面(下面)に向けて処理液を供給する裏面処理液供給路46aが設けられている。
【0031】
洗浄液供給管46は、第1の部材46bを介して昇降機構47に接続されており、上下方向に昇降自在に設けられている。
【0032】
洗浄液供給管46には、第2の部材46cが接続されている。そして、第2の部材46cには、3つの棒状の第3の部材46dが第2の部材46cから上方に延びるように接続されている。第3の部材46dは、リフトピンプレート41の裏面から下方に延びるように設けられた、後述する各接続部材41cに対応して設けられている。また、第3の部材46dは、昇降部材47により洗浄液供給管46が上方に移動する際に、接続部材41cを上方に押し上げることができる。
【0033】
回転軸42aは、軸受け部材48を介してベースプレート40に回転可能に支持されており、回転機構35により回転駆動される。
【0034】
ケーシング31内の上方部には、基板処理装置のファン・フィルター・ユニット(FFU)(図示せず)からの気体を、導入口31bを介して導入するための気体導入部55が設けられている。そして、導入口31bを介して導入された清浄空気(気体)を、基板保持機構32に保持されたウェハW上方の空間に供給する。
【0035】
また、気体導入部55と、ケーシング31内であって基板保持機構32等が設けられている空間56との間には、仕切り部材57が設けられている。仕切り部材57には、気体導入部55から空間56へ気体が流れるために、孔部57aが形成されている。
【0036】
排液カップ36の周縁外方には、気体導入部55から供給されてウェハWを経た清浄空気を取り込んで排気する環状の排気カップ58が配置されている。排気カップ58には、排気カップ58を経た気体を排出する排気管59が連結されている。
【0037】
図3(a)及び図3(b)は、それぞれ処理液供給機構33及びガス供給機構34の構成を示す概略図である。
【0038】
図2及び図3(a)に示すように、処理液供給機構33は、基板保持機構32によって保持されたウェハWの表面に処理液を供給するノズル61a、61bを含むノズルブロック61を有している。また、処理液供給機構33は、ノズルブロック61に連結され、ノズルブロック61を基板保持機構32に保持されたウェハWの表面に沿って移動させるノズルアーム62と、ノズルアーム62から下方鉛直方向に向かって延びるノズル揺動軸63とを有している。また、処理液供給機構33は、ノズル揺動軸63を駆動するノズル駆動部64を有している。ノズル駆動部64は、ノズル揺動軸63を駆動することによって、ノズル61a、61bをウェハW上方における中心側と外周側との間で移動させる。ノズル駆動部64は、本発明における第2の移動部に相当する。また、処理液供給機構33は、本発明におけるリンス液供給部に相当する。
【0039】
図3(a)に示すように、処理液供給機構33のノズル61a、61bを含むノズルブロック61、ノズルアーム62およびノズル揺動軸63内には、処理液が通過する処理液流路70と、リンス液が通過するリンス液流路71が設けられている。ノズル61aには、処理液流路70が接続されており、ノズル61bには、リンス液流路71が接続されている。すなわち、ノズル61aは、処理液を供給し、ノズル61bは、リンス液を供給する。
【0040】
処理液流路70は、第1バルブ77を介してアンモニア過水(SC1)を供給するSC1供給源73と接続されている。また、リンス液流路71は、第2バルブ79を介して純水(DIW)を供給するDIW供給源75と接続されている。第1バルブ77、第2バルブ79の各々には制御部100が接続されており、それぞれのバルブは、制御部100により制御される。
【0041】
なお、SC1以外に、例えば希フッ酸(DHF)、BHF(HFとNHFの混合溶液)、LAL(BHFと界面活性剤との混合溶液)を供給してもよい。また、乾燥溶媒として例えばIPA(イソプロピルアルコール)を供給してもよい。
【0042】
また、裏面処理液供給路46aへ処理液を供給する機構も、上述した処理液供給機構33と同様の構成からなっていてもよい。
【0043】
図2及び図3(b)に示すように、ガス供給機構34は、基板保持機構32によって保持されたウェハWの表面に、所定の相対湿度に調湿されたガスを供給するノズル81aを含むノズルブロック81を有している。また、ガス供給機構34は、ノズルブロック81に連結され、ノズルブロック81を基板保持機構32に保持されたウェハWの表面に沿って移動させるノズルアーム82と、ノズルアーム82から下方鉛直方向に向かって延びるノズル揺動軸83とを有している。また、ガス供給機構34は、ノズル揺動軸83を駆動するノズル駆動部84を有している。ノズル駆動部84は、ノズル揺動軸83を駆動することによって、ノズル81aをウェハW上方における中心側と外周側との間で移動させる。ノズル駆動部84は、本発明における第1の移動部に相当する。また、ガス供給機構34は、本発明における気体供給部に相当する。
【0044】
図3(b)に示すように、ガス供給機構34のノズル81aを含むノズルブロック81、ノズルアーム82およびノズル揺動軸83内には、ガスが通過するガス流路90が設けられている。ノズル81aには、ガス流路90が接続されており、ノズル81aは、所定の相対湿度に調湿されたガスを供給する。
【0045】
ガス流路90は、第3バルブ97を介して、所定の相対湿度に調湿されたガスを供給するガス供給源93と接続されている。第3バルブ97には制御部100が接続されており、第3バルブ97は、制御部100により制御される。
【0046】
なお、裏面処理液供給路46aへ処理液を供給する機構にも、上述したガス供給機構34と同様の構成からなるガス供給機構が併設されていてもよい。
【0047】
また、処理液供給機構33とガス供給機構34とは、一体に設けられていてもよい。すなわち、ノズルブロック61がノズル61a、61b、81aを有し、ノズル61a、61b、81aが一体的に移動可能に設けられていてもよい。
【0048】
図4は、保持プレート42及びクランプ部材43の構成を示す平面図である。図5及び図6は、液処理ユニット22の基板保持機構32の構成を示す縦断面であって、リフトピンプレート41及び洗浄液供給管46がそれぞれ下方位置又は上方位置にあるときの状態を示す図である。
【0049】
図4に示すように、保持プレート42の周縁部近傍において、周方向に沿って互いに異なる位置に配置された、複数のクランプ部材43が設けられている。本実施の形態では、一例として、3つのクランプ部材43が、保持プレート42に保持されているウェハWの周方向に等間隔に設けられている。
【0050】
リフトピンプレート41は円板形状のものからなり、その中心部分には貫通孔41aが形成されている。貫通孔41aには洗浄液供給管46が通されている。リフトピンプレート41の表面には、リフトピンプレート41の中心部と周縁部との間において、3本のリフトピン41bが周方向に等間隔に設けられている。また、リフトピンプレート41の裏面には、リフトピンプレート41の中心部と周縁部との間において、下方に延びる3つの棒状の接続部材41cが周方向に等間隔に設けられている。
【0051】
保持プレート42には、接続部材41cの各々が通過するように、3つの貫通孔42dが周方向に等間隔で形成されている。また、保持プレート42の裏面において、各貫通孔42dの箇所には、保持プレート42の裏面から下方に延びる3つの円筒形状の収容部材42eが設けられ、各接続部材41cを収容する。
【0052】
図5に示すように、リフトピンプレート41が下方位置にあるときは、各接続部材41cは各収容部材42eに収容された状態となる。これにより、保持プレート42を回転させたときに、各接続部材41cを介してリフトピンプレート41も連動して回転する。一方、図6に示すように、リフトピンプレート41が上方位置にあるときは、各接続部材41cはその下部における一部分のみが各収容部材42eに収容された状態となり、各接続部材41cは貫通孔42dを通過して保持プレート42から上方に突出する。
【0053】
各収容部材42eの中空部分にはバネ42fが圧縮された状態で収容されている。バネ42fが圧縮状態から元の状態に戻ろうとする力により、接続部材41cには常に下向きの力(保持プレート42から下方に移動しようとする力)が加えられている。
【0054】
保持プレート42には、図5に示すようにリフトピンプレート41が下方位置にあるときにウェハWを側方から保持し、一方、図6に示すようにリフトピンプレート41が上方位置にあるときにウェハWから離間する、クランプ部材43が設けられている。
【0055】
クランプ部材43は、ウェハWを側方から保持する保持部材43bと、軸43aに関して保持部材43bと反対側に設けられた被押圧部材43cとを有し、保持プレート42に軸支する軸43aを中心として回動する。
【0056】
クランプ部材43は、リフトピンプレート41が上方位置から下方位置に移動したときに、リフトピンプレート41の下面により被押圧部材43cが下方に押圧されることによって、軸43aを中心として回転する。これにより、図5に示すように、リフトピンプレート41が下方位置に到達したときに、ウェハWはリフトピン41bの先端から上方に離間し、リフトピン41bから上方に浮いた状態で、クランプ部材43により側方から保持されることとなる。
【0057】
制御部100は、マイクロプロセッサ(コンピュータ)からなるプロセスコントローラ101を有しており、基板処理装置10の各構成部がこのプロセスコントローラ101に接続されて制御される構成となっている。また、プロセスコントローラ101には、工程管理者が基板処理装置10の各構成部を管理するためにコマンドの入力操作などを行うキーボードや、基板処理装置10の各構成部の可動状況を可視化して表示するディスプレイ等からなるユーザーインターフェース102が接続されている。さらに、プロセスコントローラ101には、基板処理装置10で実行される各種処理をプロセスコントローラ101の制御にて実現するための制御プログラムや、処理条件に応じて基板処理装置10の各構成部に所定の処理を実行させるための制御プログラムすなわちレシピが格納された記憶部103が接続されている。レシピは記憶部103の中の記憶媒体に記憶されている。記憶媒体は、ハードディスクや半導体メモリであってもよい。また、他の装置から、例えば専用回線を介してレシピを適宜伝送させるようにしてもよい。
【0058】
そして、必要に応じて、ユーザーインターフェース102からの指示等にて任意のレシピを記憶部103から呼び出してプロセスコントローラ101に実行させる。これにより、プロセスコントローラ101の制御下で、モータ51、昇降機構47、処理液供給機構33、ガス供給機構34、ノズル駆動部64、84、第2バルブ79、第3バルブ97を含む各部材を制御し、基板処理装置10での所望の処理が行われる。
【0059】
次に、上記した制御部100により液処理ユニット22を用いて行なわれる基板処理方法について説明する。
【0060】
図7及び図8は、本実施の形態に係る基板処理方法において、ウェハの表面にリンス液又は調湿された気体が供給されている状態を模式的に示す斜視図である。
【0061】
予め、搬入出ステーション1のキャリア載置部11に載置されたウェハキャリアWCから搬送機構15によりウェハWを取り出して受け渡し棚20の載置部に載置し、この動作を連続的に行う。
【0062】
そして、受け渡し棚20の載置部に載置されたウェハWは、処理ステーション2の搬送機構24により順次搬送されて、いずれかの液処理ユニット22に搬入される。液処理ユニット22では、ウェハ保持アーム24aが、出入口31aを通って、ケーシング31の外部から内部へ前進する。ウェハ保持アーム24aがケーシング31の内部へ前進した状態で、昇降機構47によりリフトピンプレート41が下方位置から上方位置に移動し、ウェハWは、ウェハ保持アーム24aからリフトピンプレート41のリフトピン41bに受け渡される。リフトピン41bにウェハWが受け渡された状態で、ウェハ保持アーム24aを出入口31aを通ってケーシング31の内部から外部へ後退させ、昇降機構47によりリフトピンプレート41を上方位置から下方位置に移動させる。そして、リフトピンプレート41を下方位置に移動させるときに、リフトピンプレート41の下面により被押圧部材43cが下方に押圧され、クランプ部材43が軸43aを中心として回動することによって、ウェハWはクランプ部材43に側方から保持される(保持工程)。
【0063】
次いで、クランプ部材43に保持されているウェハWに、各種の基板処理を行う(基板処理工程)。
【0064】
例えば、回転機構35により保持プレート42を回転させることによって、クランプ部材43に保持されているウェハWを回転させる。そして、回転しているウェハWに、ノズル61aから、例えばSC1等の処理液を供給する。
【0065】
次いで、処理液を供給したウェハWに、ノズル61bから、例えば純水等のリンス液を供給する。
【0066】
図7(a)に示すように、ノズル61bがウェハWの略中心上に位置するときに、ノズル61bから純水Rの供給を開始する(リンス液供給工程)。これにより、供給された純水RがウェハWの表面の全面に広がって液膜を形成し、ウェハW表面上の処理液を洗い流す。
【0067】
次いで、図7(b)に示すように、ノズル61bから純水Rを供給した状態で、ウェハWの表面に純水Rを供給する位置がウェハWの中心から外周側に向け移動するように、ノズル61bを移動させる。また、ノズル61bの移動に追随するように、ノズル81aを移動させる。
【0068】
この時ウェハW上の純水Rを供給する位置よりも外周側の領域AR12では、ノズル61bから供給された純水Rが遠心力によりウェハWの中心側から外周側に拡散し、ウェハWの表面が純水Rの液膜で覆われる。一方、ウェハW上の純水Rを供給する位置よりも中心側の領域AR11では、供給された純水Rが、遠心力により、ウェハWの外周側の領域AR12に移動してしまうので、液膜は形成されない。
【0069】
次いで、ノズル61b、ノズル81aを移動させ、ノズル81aがウェハWの略中心上に位置するときに、図7(c)に示すように、ノズル81aから調湿されたガスGの供給を開始する(気体供給工程)。
【0070】
図7(c)に示すように、ウェハW上の純水Rを供給する位置よりも外周側の領域AR22では、回転するウェハWの上方であって、ノズル81aよりもウェハWの外周側に配置されるノズル61bから供給された純水RがウェハW上に液膜を形成し、ウェハW表面を洗い流す。一方、ウェハW上の純水Rを供給する位置よりも中心側の領域AR21では、回転するウェハWの略中心の上方であって、ノズル61bよりもウェハWの中心側に配置されるノズル81aからガスGがウェハW上に供給され、ウェハW表面の純水Rを除去し、ウェハWを乾燥させる。
【0071】
そして、ノズル61bから純水Rを供給した状態で、ウェハWの表面に純水Rを供給する位置がウェハWの中心側から外周側に向け移動するように、ノズル61bを移動させる。また、ノズル81aからガスGを供給した状態で、ウェハWの表面にガスGを供給する位置が、ウェハWの表面に純水Rを供給する位置の移動に追随してウェハWの中心側から外周側に向け移動するように、ノズル81aを移動させる。
【0072】
このようにして、図8(a)に示すように、ノズル61bがウェハWの略周縁上に位置するまで、ノズル61b、ノズル81aを移動させる。
【0073】
図8(a)に示すように、ウェハW上の純水Rを供給する位置よりも外周側の領域AR32では、回転するウェハWの上方であって、ノズル81aよりもウェハWの外周側に配置されるノズル61bから供給された純水RがウェハW上に液膜を形成し、ウェハW表面を洗い流す。一方、ウェハW上の純水Rを供給する位置よりも中心側の領域AR31では、ウェハWの上方であって、ノズル61bよりもウェハWの中心側に配置されるノズル81aからガスGがウェハW上に供給され、ウェハW表面の純水Rを除去し、ウェハWを乾燥させる。
【0074】
更に、図8(b)に示すように、ノズル61bがウェハWの周縁よりも外側に位置し、ノズル81aがウェハWの略周縁上に位置するまで、ノズル61b、ノズル81aを移動させる。ノズル61bがウェハWの周縁よりも外側の位置まで移動したら、ノズル61bからの純水Rの供給を停止する。また、ノズル81aからガスGを供給した状態で、ウェハWの表面にガスGを供給する位置がウェハWの周縁上まで移動するように、ノズル81aを移動させる。ウェハWの上方よりノズル81aからガスGがウェハW上に供給され、ウェハW表面の純水Rを除去し、ウェハWを乾燥させる。
【0075】
更に、ノズル61b、ノズル81aを移動させ、ノズル61b、ノズル81aともにウェハWの周縁よりも外側の位置まで移動したら、ノズル81aからのガスGの供給を停止する。そして、回転機構35のモータ51の回転が停止され、クランプ部材43に保持されているウェハWの回転も停止される。
【0076】
次いで、昇降機構47によって、リフトピンプレート41が上方位置に移動させられて、ウェハWが受け渡し位置(上方位置)に上昇する。そして、搬送機構24により液処理ユニット22からウェハWを搬出する(受け渡し工程)。搬出したウェハWは、搬送機構24により受け渡しステージ19の受け渡し棚20に載置され、更に、受け渡し棚20から搬送機構15によりウェハキャリアWCに戻される。
【0077】
以上の一連の工程により、一枚のウェハWの処理が終了する。
【0078】
次に、ウェハWの帯電量を面内で均一になるように制御できることについて、本実施の形態(実施例1)及び比較例1を参照して説明する。
【0079】
図9は、比較例1におけるウェハW面内の電位分布を模式的に示すグラフである。図10及び図11は、実施例1におけるウェハW面内の電位分布を模式的に示すグラフである。
【0080】
比較例1では、ノズル61bからウェハWにリンス液を供給する位置が移動せず、ノズル81aからウェハWに供給されるガスは、所定の相対湿度に調湿されておらず、また、ノズル81aからウェハWにガスを供給する位置が移動しないものとする。このとき、スピン乾燥後のウェハW面内における電位分布は、図9に示すように、ウェハW全面に亘り負の電位を有するとともに、中心で電位(−V1)が最も低く、外周で電位(−V2)が最も高くなるような、不均一な分布を示すことがある。ウェハW全面に亘り負の電位を有するのは、例えばリンス液に含まれるイオンがウェハWに吸着するためと考えられる。また、中心における電位(−V1)が最も低く、外周における電位(−V2)が最も高くなるのは、リンス液がウェハWの中心側から外周側へ流れることでウェハの表面を流れる流動距離が異なることにより、リンス液の帯電量(電位)が変化するためと考えられる。
【0081】
実施例1では、ノズル61bを移動させることで、ウェハWにリンス液を供給する位置を移動させる。ウェハWにリンス液を供給する位置を移動させることによって、リンス液がウェハWの表面を流れる流動距離が等しくなるため、図10に示すように、ウェハWの帯電量を面内で略均一にすることができる。
【0082】
さらに、実施例1では、ノズル81aからウェハWに供給されるガスは、所定の相対湿度に調湿されており、また、ノズル81aからウェハWにガスを供給する位置が移動する。これにより、中心側から外周側にかけての各位置において、ウェハW表面に供給する水分量を調整することができる。従って、図11に示すように、ウェハW全面に亘り例えば−V3の負の電位を有するように、ウェハWの電位を制御することができる。すなわち、ウェハWの帯電量を面内で均一になるように制御できる。
【0083】
更に、所定の相対湿度を調整することによって、ウェハWの帯電を打ち消すように、ウェハWの帯電量を制御できることについて、実施例2を参照して説明する。
【0084】
図12は、ウェハW面内における電位の平均値(面内平均値)の相対湿度依存性を示すグラフである。図13は、実施例2におけるウェハ面内の電位分布を模式的に示すグラフである。
【0085】
まず、処理空間23℃の条件で、35%、45%、53%と異なる相対湿度に調湿されたガスを用いて実施例1を行い、得られたウェハW表面の電位を例えばファラデーゲージ等の表面電位計により測定し、面内平均値を計算した。ただし、相対湿度の効果を調べるために、リンス液供給工程を行わず、予め同一状態に帯電させたウェハWに気体供給工程を行った。そして、気体供給工程における回転数を2000rpmとし、ガスの供給時間を60秒とした。
【0086】
計算された面内平均値は、図12に示すように、相対湿度の増加に伴って、正の電位から減少し、53%の相対湿度に調湿されたガスを用いて実施例1を行った場合、略0に等しい電位になった。また、図示はしていないものの、53%を超える相対湿度に調湿されたガスを用いて実施例1を行った場合、面内平均値は略0のままであった。
【0087】
実施例1において図10を用いて前述したように、ノズル61bからウェハWにリンス液を供給する位置が移動することによって、ウェハW全面に亘り−V1の負の電位が発生するものとする。このとき、実施例2として、供給されるガスを所定の相対湿度に調湿し、各位置において−V1の負の電位を打ち消すことによって、図13に示すように、ウェハW全面に亘り電位を略0に等しい電位にすることができる。すなわち、ウェハWの帯電を打ち消すように、ウェハWの帯電量を制御できる。
【0088】
実施例2では、ウェハWの表面にガスを供給する位置が、ウェハWの表面にリンス液を供給する位置の移動に追随してウェハWの中心側から外周側に向け移動するように、ノズル81aを移動させる。これにより、ウェハWをリンス処理した後、すぐに帯電を打ち消すことができ、ウェハWの帯電時間を短くすることができる。従って、ウェハW表面にダメージを与えるおそれを小さくできる。
【0089】
更に、本実施の形態では、ウェハWの帯電を打ち消すように、ガスの相対湿度、ウェハWの表面にガスを供給する際のモータ51の回転数、ウェハWの表面にガスを供給する位置、ガスを供給する供給量、又は、ガスを供給する供給時間等を調整することが好ましい。あるいは、ガスの相対湿度を予め決めておき、予め決められた相対湿度に基づいて、ウェハWの帯電を打ち消すように、モータ51の回転数、ウェハWの表面にガスを供給する位置、ガスを供給する供給量、又は、ガスを供給する供給時間を調整することが好ましい。これにより、ウェハWの帯電を更に容易に打ち消すことができ、ウェハWの全面に亘り、ウェハW表面の帯電量を0にすることができる。
【0090】
図12に示すように、予め決められた相対湿度として、液処理ユニット22の内部すなわち処理空間の温度が23℃であるときに、45%以下であることが好ましい。図12に示すように、予め決められた相対湿度が、23℃の温度で45%以下であるときに、電位の面内平均値が正の値となる。そのため、リンス液を供給した後、ウェハWの全面に亘り発生する−V1の負の電位を打ち消すことができる。また、本実施の形態に係る基板処理装置が設置されるクリーンルーム内の雰囲気は、一般的に相対湿度が45%程度になるように調湿されている。そのため、ノズル81aから供給するガスの相対湿度が45%以下であることによって、クリーンルーム内の雰囲気よりも相対湿度が高くなることを防止できる。
【0091】
また、予め決められた相対湿度としては、一般的に用いられるドライエアーにおける相対湿度よりも大きいことが好ましい。ドライエアーとは、例えば露点が−60℃であるものをいい、露点が−60℃であるときは、20℃における相対湿度が0.05%程度の値になる。予め決められた相対湿度が、一般的に用いられるドライエアーにおける相対湿度よりも大きいときは、供給するガスの相対湿度を容易に調湿することができる。
(実施の形態の変形例)
次いで、実施の形態の変形例に係る基板処理装置及び基板処理方法について説明する。
【0092】
本変形例に係る基板処理装置は、ウェハの表面にガスを供給する位置を移動させながら、供給するガスの相対湿度を調整するものである。例えばガス供給源93に、ドライエアーを供給するドライエアー供給源と、23℃の温度で45%の相対湿度に調湿された調湿ガスを供給する調湿ガス供給源とを設け、ドライエアー供給源からのドライエアーと、調湿ガス供給源からの調湿ガスとを混合して供給する。このとき、ドライエアーと調湿ガスとの混合比を調整することにより、供給するガスの相対湿度を調整することができる。
【0093】
なお、本変形例では、ガス供給機構34が供給するガスの相対湿度を調整できる点を除き、実施の形態に係る基板処理装置と同一の基板処理装置を用いることができるため、基板処理装置についての説明を省略する。
【0094】
また、本変形例に係る基板処理方法では、ウェハWの帯電を打ち消すように、ウェハWの表面にガスを供給する位置を移動させながら、供給するガスの相対湿度を調整する。
【0095】
本変形例でも、実施の形態と同様に、ウェハWを液処理ユニット22に搬入した後、クランプ部材43に保持されているウェハWを回転させた状態で、回転しているウェハWに、ノズル61aから、例えばSC1等の処理液を供給する。次いで、処理液を供給したウェハWに、ノズル61bから、例えば純水等のリンス液を供給する。次いで、実施の形態で図7(a)から図8(b)を用いて説明したのと同様に、ノズル61bから純水Rを供給した状態で、ウェハWの表面に純水Rを供給する位置がウェハWの中心側から外周側に向け移動するように、ノズル61bを移動させる。また、ノズル81aからガスGを供給した状態で、ウェハWの表面にガスGを供給する位置が、ウェハWの表面に純水Rを供給する位置の移動に追随してウェハWの中心側から外周側に向け移動するように、ノズル81aを移動させる。そして、ノズル61bがウェハWの周縁よりも外側の位置まで移動したら、ノズル61bからの純水Rの供給を停止する。また、ノズル61b、ノズル81aともにウェハWの周縁よりも外側の位置まで移動したら、ノズル81aからのガスGの供給を停止する。そして、ウェハWの回転を停止し、液処理ユニット22からウェハWを搬出する。
【0096】
ただし、本変形例では、ウェハWの表面にガスを供給する位置を移動させながら、供給するガスの相対湿度を調整する。従って、ガスを供給する位置の帯電量に応じて、供給するガスの相対湿度を調整することで、ウェハW表面の各位置における電位を制御できる。
【0097】
次に、ウェハWの帯電量を面内で均一になるように制御できることについて、実施例3、及び、実施の形態で説明した比較例1を参照して説明する。
【0098】
図14は、実施例3におけるウェハW面内の電位分布を、比較例1におけるウェハW面内の電位分布と比較しながら模式的に示すグラフである。
【0099】
図9を用いて前述したように、比較例1では、ノズル81aからウェハWに供給されるガスは、所定の相対湿度に調湿されておらず、また、ノズル81aからウェハWにガスを供給する位置が移動しないものとする。このとき、スピン乾燥後のウェハW面内における電位分布は、図9に示すように、ウェハW全面に亘り負の電位を有するとともに、中心で電位(−V1)が最も低く、外周で電位(−V2)が最も高くなるような、不均一な分布を示すことがある。
【0100】
一方、実施例3では、ウェハWの帯電を打ち消すように、ウェハWにガスを供給する位置を移動させながら、相対湿度を調整する。従って、ウェハWの各位置に応じた負の電位を打ち消すことができ、図14に示すように、ウェハW全面に亘り電位を略0に等しい電位にすることができる。
【0101】
図12に示したように、ウェハWに供給するガスの相対湿度が23℃において45%以下であるときは、ウェハWの電位を正方向に変化させる変化量を相対湿度に応じて調整することができる。従って、図9に示したような比較例1のウェハWの帯電を打ち消すためには、例えばウェハWの中心に供給するガスの相対湿度が35%となり、ウェハWの周縁に供給するガスの相対湿度が45%となるように、ノズル81aを移動させながら、供給するガスの相対湿度を連続的に変化させる。これにより、ノズル61bを移動させなかった場合、ノズル61bを移動させてウェハWにリンス液を供給する位置を移動しても帯電量が均一にならなかった場合など、ウェハWの帯電量が面内で均一でなくても、各位置における帯電量に応じて相対湿度を調整することで、局所的に帯電量を制御することができる。これにより、ウェハWの帯電量が面内で略0になるように、より確実に制御できる。
【0102】
以上、本発明の好ましい実施の形態について記述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0103】
実施の形態及び実施の形態の変形例では、基板の表面に調湿された気体を供給する位置が、基板の表面にリンス液を供給する位置の移動に追随して移動するように、基板の表面に調湿された気体を供給する位置を移動させる例について説明した。しかし、本発明は、基板の表面に調湿された気体を供給する位置が、基板の表面にリンス液を供給する位置の移動に追随して移動せず、単に移動するものであってもよい。また、本発明は、調湿された気体を供給する位置を移動する速度が一定であるものに限られず、途中で速度を変えるものであってもよい。更に、本発明は、基板をリンス処理した後、スピン乾燥する際に適用されるものに限定されず、リンス処理以外の各種の処理の後、スピン乾燥する際にも適用可能なものである。
【符号の説明】
【0104】
10 基板処理装置
32 基板保持機構
33 処理液供給機構
34 ガス供給機構
35 回転機構
42 保持プレート
61b、81a ノズル
64、84 ノズル駆動部
75 DIW供給源
93 ガス供給源
100 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する基板処理装置において、
処理部と、
前記処理部内に設けられ、基板が載置される載置台と、
前記載置台の中心を回転軸として、前記載置台に載置されている基板を前記載置台とともに回転させる回転部と、
前記基板の表面に、前記処理部の温度と前記基板の帯電量に基づいて、所定の相対湿度に調湿された気体を供給する気体供給部と、
前記気体供給部を移動させる第1の移動部と
を有し、
前記気体供給部により前記基板の表面に前記気体を供給する位置を移動させることによって、前記基板の帯電量を制御することを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記基板の帯電を打ち消すように、前記基板の表面に前記気体を供給する位置を移動させながら、前記所定の相対湿度を調整することを特徴とする、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記回転部と、前記気体供給部と、前記第1の移動部との動作を制御する制御部を有し、
前記制御部は、
前記基板を前記回転部により回転させた状態で、前記基板の表面に前記気体を供給する位置を前記第1の移動部により移動させながら、前記基板の表面に前記気体を供給するように制御するとともに、
前記基板の帯電を打ち消すように、前記所定の相対湿度に基づいて、前記回転部の回転数、前記基板の表面に前記気体を供給する位置、前記気体を供給する供給量又は前記気体を供給する供給時間を制御するものである、請求項1又は請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記基板の表面に、リンス液を供給するリンス液供給部を有し、
前記制御部は、
前記基板を回転させた状態で、前記基板の表面に前記リンス液供給部からリンス液を供給し、
前記基板の表面であって、供給されたリンス液が除去された部分に、前記気体を供給するように制御するものである、請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記リンス液供給部を移動させることによって、前記リンス液供給部から前記基板の表面にリンス液を供給する位置を移動させる第2の移動部を有し、
前記制御部は、
前記基板を回転させた状態で、前記第2の移動部により、前記基板の表面にリンス液を供給する位置を前記基板の中心側から外周側へ移動させながら、前記基板の表面にリンス液を供給するように制御するものである、請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記基板の表面にリンス液を供給する位置を前記第2の移動部により移動させながら、前記基板の表面にリンス液を供給するとともに、前記基板の表面に前記気体を供給する位置を前記第1の移動部により移動させながら、前記基板の表面に前記気体を供給するように制御するとともに、
前記基板の表面に前記気体を供給する位置が、前記基板の表面にリンス液を供給する位置の移動に追随して移動するように、前記基板の表面に前記気体を供給する位置を前記第1の移動部により移動させるように制御するものである、請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記処理部の温度が23℃であるときに、前記所定の相対湿度は、45%以下である、請求項1から請求項6のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項8】
基板を処理する基板処理方法において、
基板が載置される載置台の中心を回転軸として、前記載置台に載置されている基板を前記載置台とともに回転部により回転させた状態で、気体供給部により、前記基板の表面に、所定の相対湿度に調湿された気体を供給する気体供給工程を有し、
前記気体供給工程は、前記気体供給部を移動させることによって、前記気体供給部から前記基板の表面に前記気体を供給する位置を移動させながら、前記基板の表面に前記気体を供給して前記基板の帯電量を制御するものである、基板処理方法。
【請求項9】
前記基板の帯電を打ち消すように、前記基板の表面に前記気体を供給する位置を移動させながら、前記所定の相対湿度を調整することを特徴とする、請求項8に記載の基板処理方法。
【請求項10】
前記基板の帯電を打ち消すように、前記所定の相対湿度に基づいて、前記気体供給工程における、前記回転部の回転数、前記基板の表面に前記気体を供給する位置、前記気体を供給する供給量又は前記気体を供給する供給時間を制御する、請求項8又は請求項9に記載の基板処理方法。
【請求項11】
前記基板を回転させた状態で、前記基板の表面にリンス液供給部によりリンス液を供給するリンス液供給工程を有し、
前記気体供給工程は、前記基板の表面であって、供給されたリンス液が除去された部分に、前記気体を供給するものである、請求項10に記載の基板処理方法。
【請求項12】
前記リンス液供給工程は、前記リンス液供給部を移動させることによって、前記リンス液供給部から前記基板の表面にリンス液を供給する位置を前記基板の中心側から外周側へ移動させながら、前記基板の表面にリンス液を供給するものである、請求項11に記載の基板処理方法。
【請求項13】
前記気体供給工程は、
前記リンス液供給工程を行うとともに、前記基板の表面に前記気体を供給する位置を前記第1の移動部により移動させながら、前記基板の表面に前記気体を供給するものであって、
前記基板の表面に前記気体を供給する位置が、前記基板の表面にリンス液を供給する位置の移動に追随して移動するように、前記基板の表面に前記気体を供給する位置を前記第1の移動部により移動させるものである、請求項12に記載の基板処理方法。
【請求項14】
前記気体の温度が23℃であるときに、前記所定の相対湿度は、45%以下である、請求項8から請求項13のいずれかに記載の基板処理方法。
【請求項15】
コンピュータに請求項8から請求項14のいずれかに記載の基板処理方法を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−26568(P2013−26568A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162298(P2011−162298)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】