説明

基板処理装置および半導体装置の製造方法

ガスを流し、基板に膜を堆積させる処理室と、処理室に配置され、基板を加熱するランプユニットと、ランプユニット囲う第1の囲い体と、第1の囲い体を囲う第2の囲い体と、ランプユニットと第1の囲い体との間の第1の空間、および第1の囲い体と第2の囲い体との間の第2の空間に、冷却媒体をそれぞれ流通させる冷媒流通装置とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置および半導体装置の製造方法に関し、特に、半導体基板に所望のガスを流し、基板に所望の膜を堆積させる基板処理装置およびそれを使用した半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の基板処理装置として、ランプを使用して基板を加熱するタイプの装置がある。本発明者は、このような装置において、その内部の雰囲気が基板を処理する処理室の雰囲気とは隔離された管を設け、この管の内部にランプを設け、この管とランプとの間に冷却媒体を流すことを案出した(日本国特願2003−332277号参照)。
【発明の開示】
【0003】
しかしながら、本発明者は、さらに研究を行った結果、本発明者が提案した上記装置では、基板処理時に処理室内に流すガスが反応して上記管の外側に堆積物を生じるという問題があることを見いだした。
【0004】
従って、本発明の主な目的は、基板に所望のガスを流し、ランプによって基板を加熱しながら、基板に所望の膜を堆積させる基板処理装置であって、ランプを覆う管等の囲い体に堆積物が生じるのを抑制または防止できる基板処理装置およびそれを使用した半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0005】
本発明の一態様によれば、
所望のガスを流し、基板に所望の膜を堆積させるための空間を提供する処理室と、
該処理室に配置され、該基板を加熱するフィラメントと該フィラメントを囲うランプ管とを含むランプユニットを、少なくとも一つ以上有したランプユニット群と、
該ランプユニットを囲う少なくとも第1と第2の囲い体であって、該ランプユニットを囲う第1の囲い体と、該第1の囲い体を囲う第2の囲い体と、
該ランプユニットと該第1の囲い体との間の第1の空間、および該第1の囲い体と該第2の囲い体との間の第2の空間に、冷却媒体を流通させる冷媒流通装置と、
を有する基板処理装置が提供される。
【0006】
本発明の他の態様によれば、
所望のガスを流し、基板に所望の膜を堆積させるための空間を提供する処理室と、
該処理室に配置され、該基板を加熱するフィラメントと該フィラメントを囲うランプ管とを含むランプユニットを、少なくとも一つ以上有したランプユニット群と、
該ランプユニットを囲う少なくとも第1と第2の囲い体であって、該ランプユニットを囲う第1の囲い体と、該第1の囲い体を囲う第2の囲い体と、
該ランプユニットと該第1の囲い体との間の第1の空間、および該第1の囲い体と該第2の囲い体との間の第2の空間に、冷却媒体を流通させる冷媒流通装置と、を有する基板処理装置を使用して、前記基板に前記所望の膜を堆積させる工程を備える半導体装置の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施例1の基板処理装置の処理炉を説明するための概略上面図である。
【図2】図1のAA線縦断面図である。
【図3】本発明の実施例1で使用されるチャンバ貫通石英管を説明するための概略斜視図である。
【図4】ランプのバルブ温度とランプの相対寿命との関係を示す図である。
【図5】空冷ガス用ブロアによる空冷風量の時間変化を示す図である。
【図6】本発明が好適に適用される基板処理装置を説明するための概略横断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の好ましい一実施の態様によれば、
所望のガスを流し、基板に所望の膜を堆積させるための空間を提供する処理室と、
該処理室に配置され、該基板を加熱するフィラメントと該フィラメントを囲うランプ管とを含むランプユニットを、少なくとも一つ以上有したランプユニット群と、
該ランプユニットを囲う少なくとも第1と第2の囲い体であって、該ランプユニットを囲う第1の囲い体と、該第1の囲い体を囲う第2の囲い体と、
該ランプユニットと該第1の囲い体との間の第1の空間、および該第1の囲い体と該第2の囲い体との間の第2の空間に、冷却媒体を流通させる冷媒流通装置と、
を有する基板処理装置が提供される。
【0009】
好ましくは、前記基板処理装置は、少なくとも該処理室内で基板を処理している間は、該第2の空間に該第1の空間よりも多くの量の冷却媒体を流通させるよう該冷媒流通装置を制御する制御部を有する。
【0010】
また、好ましくは、前記基板処理装置は、少なくとも該処理室内で基板を処理している間は、該第1の囲い体の温度より該第2の囲い体の温度を低くするように、該第1と第2の空間へ流通させる冷却媒体の量を制御する制御部を有する。
【0011】
また、好ましくは、少なくとも該処理室内で基板を処理している間は、該第1の空間と該第2の空間とで異なる冷却媒体を流通させ、該第2の空間に流通させる冷却媒体は、該第1の空間に流通させる冷却媒体よりも冷却効率の高い媒体である。例えば、第1の空間にNを流し、第2の空間にはHeまたはHを流す。
【0012】
また、好ましくは、前記基板処理装置は、該冷却媒体の流通量は、該処理室内にある基板の温度を昇温させる過程よりも、基板の温度を降温させる過程の方を多くするように該冷媒流通装置を制御する制御部を有する。
【0013】
また、好ましくは、前記第1の空間および第2の空間の少なくとも一方に、温度検出手段を設け、この温度検出手段の検出結果に基づいて、前記第1の空間および第2の空間に流通させる冷却媒体の流量の少なくとも一方を制御する。さらに好ましくは、前記第1の空間および第2の空間の両方に、温度検出手段をそれぞれ設け、これらの温度検出手段の検出結果にそれぞれ基づいて、前記第1の空間および第2の空間に流通させる冷却媒体の流量をそれぞれ制御する。
【0014】
また、本発明の好ましい他の実施の態様によれば、上記基板処理装置を用いて半導体装置を製造する半導体装置の製造方法が提供される。
【0015】
次に、図面を参照して本発明の好ましい実施例を説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の実施例1の基板処理装置の処理炉を説明するための概略上面図であり、図2は、図1のAA線縦断面図であり、図3は、本発明の実施例1で使用されるチャンバ貫通石英管を説明するための概略斜視図である。
【0017】
図1、2を参照すると、処理炉202は、チャンバ11と、サセプタ24と、上側ランプ群70および下側ランプ群72からなるヒータアッセンブリとを備えている。チャンバ11は、チャンバ蓋13とチャンバ本体12とを備え、チャンバ本体12は、チャンバ側壁15とチャンバ底14とを備えている。チャンバ側壁15は、4つのチャンバ側壁16、17、18、19からなっている。処理基板であるウエハ200は、サセプタ24に搭載されて処理される。サセプタ24は、サセプタ23およびその内部のサセプタ22からなっている。サセプタ22の内側には、ウエハ200よりも少し小さい貫通孔241が設けられており、ウエハ200の周辺部をサセプタ22によって保持している。ウエハ200がサセプタ24に搭載された状態で、ウエハ200、サセプタ24、チャンバ蓋13、チャンバ側壁16、17、18、19によって処理チャンバ20を画成している。なお、チャンバ蓋13とチャンバ本体12とにより処理室210を構成している。
【0018】
チャンバ11のチャンバ側壁16にはフランジ25が取り付けられ、フランジ25の側端には、ゲートバルブ130が取り付けられている。フランジ25の天井には、プロセスガス供給管27が設けられ、プロセスガスを処理室210に供給し得るようになっている。そして、プロセスガスはチャンバ側壁17に設けられたプロセスガス排気口28より処理室210外へ排気される。ウエハ200は、ゲートバルブ130を経由して処理室210内に搬入され、突上げピン40の上下により、サセプタ22に搭載される。また、処理が終わったウエハ200は、突上げピン40によりサセプタ22から持ち上げられ、ゲートバルブ130を介して処理室210から搬出される。なお、突上げピン40は、突き上げピン上下機構41により上下する。
【0019】
上側ランプ群70に関しては、図3に示すように、石英製円管51を複数本並べて両端にフランジ53を溶接したチャンバ貫通石英管50を、チャンバ11に取り付けている。なお、隣接する石英製円管51同士の間には隙間が設けられている。さらに、突上げピン40が石英製円管51の間を移動できるように、突上げピン40が存在するところは、隣接する石英製円管51同士の間を広くしている。チャンバ貫通石英管50は、チャンバ後部(ゲートバルブ130と反対側)の側壁17に設けた貫通孔43より挿入し、チャンバ貫通石英管50の先端を、チャンバ側壁16の貫通孔42に挿入し、チャンバ貫通石英管50の先端のフランジ53をチャンバ側壁16に設けたフランジ44にOリング(図示せず)を介して押圧する。一方、チャンバ貫通石英管50の後端のフランジ53をチャンバ貫通石英管押えフランジ29によりOリング(図示せず)を介して押圧し、チャンバ貫通石英管50の前後2ヶ所のOリング(図示せず)を押圧しながら固定する。このように、チャンバ貫通石英管50の両端とチャンバ11との間はOリングによりシールされているので、処理室210内の雰囲気とチャンバ貫通石英管50の内部の雰囲気とを隔離することができ、その結果、処理室210内を減圧すると共に、チャンバ貫通石英管50の内部に冷却媒体としての空冷用のガスを流すことができる構造となっている。
【0020】
チャンバ貫通石英管50の複数本の石英製円管51の内部には、チャンバ貫通石英管52がそれぞれ挿入されている。そして、チャンバ貫通石英管52の内部にはランプ71がそれぞれ挿入されている。ランプ71は、フィラメント(図示せず)と該フィラメントを囲うランプ管(図示せず)とを含むランプユニットで構成されている。空冷ガスは、外側空冷ガス用ブロア(送風機)317により外側空冷ガス供給管34を経由し、外側空冷ガス供給チャンバ30を介して外側のチャンバ貫通石英管50の石英製円管51と内側のチャンバ貫通石英管52との間に流入し、外側の石英製円管51と内側のチャンバ貫通石英管52との間を通って、チャンバ31内に流出し、その後、空冷ガス排気口35より排気される。
【0021】
空冷ガスは、また、内側空冷ガス用ブロア(送風機)318により内側空冷ガス供給管37を経由し、外側空冷ガス供給チャンバ30内に設けられた内側空冷ガス供給チャンバ36を介して内側のチャンバ貫通石英管52とランプ71との間に流入し、内側のチャンバ貫通石英管52とランプ71との間を通って、チャンバ31内に流出し、その後、空冷ガス排気口35より排気される。
外側の石英製円管51と内側のチャンバ貫通石英管52との間を通って流れる空冷ガスの流量と内側のチャンバ貫通石英管52とランプ71との間を通って流れる空冷ガスの流量は、外側空冷ガス用ブロア317と内側空冷ガス用ブロア318とによりそれぞれ独立に制御される。
【0022】
外側の石英製円管51と内側のチャンバ貫通石英管52との間には、熱電対321が挿入され、内側のチャンバ貫通石英管52とランプ71との間には、熱電対322が挿入されている。熱電対321、322からの信号は、温度検出部316に送られ、そこで温度が求められ、主制御部310に送られる。主制御部310内のガス制御部314は、求められた温度に応じて外側空冷ガス用ブロア317と内側空冷ガス用ブロア318とをそれぞれ制御する。ガス制御部314は、プロセスガス供給の制御も行う。
【0023】
なお、ランプ71については、端部(封し部)を除いたバルブ部が風量可変の空冷領域である。ランプ71の端部(封し部)は図示しない別の手段により空冷している。
【0024】
下側ランプ群72に関しては、石英製円管でできたチャンバ貫通石英管54を、チャンバ11に貫通させている。チャンバ貫通石英管54の両端とチャンバ11の側壁18、19との間はそれぞれOリング(図示せず)によりシールされ、処理室210内の雰囲気とチャンバ貫通石英管54の内部の雰囲気とを隔離することができ、その結果、処理室210内を減圧すると共に、チャンバ貫通石英管54の内部に冷却媒体としての空冷用のガスを流すことができる構造となっている。
【0025】
チャンバ貫通石英管54の内部にチャンバ貫通石英管55が挿入されている。そして、チャンバ貫通石英管55の内部にはランプ73が挿入されている。ランプ73は、フィラメント(図示せず)と該フィラメントを囲うランプ管(図示せず)とを含むランプユニットで構成されている。空冷ガスは、外側空冷ガス用ブロア(図示せず)により、外側空冷ガス供給チャンバ32を介して外側のチャンバ貫通石英管54と内側のチャンバ貫通石英管55との間に流入し、外側の石英製円管54と内側のチャンバ貫通石英管55との間を通って、チャンバ33内に流出し、その後排気される。
【0026】
空冷ガスは、また、内側空冷ガス用ブロア(図示せず)により外側空冷ガス供給チャンバ32内に設けられた内側空冷ガス供給チャンバ38を介して内側のチャンバ貫通石英管55とランプ73との間に流入し、内側のチャンバ貫通石英管55とランプ73との間を通って、チャンバ33内に流出し、その後排気される。外側の石英製円管54と内側のチャンバ貫通石英管55との間を通って流れる空冷ガスの流量と内側のチャンバ貫通石英管55とランプ73との間を通って流れる空冷ガスの流量は、外側空冷ガス用ブロア(図示せず)と内側空冷ガス用ブロア(図示せず)とによりそれぞれ独立に制御される。
【0027】
外側の石英製円管54と内側のチャンバ貫通石英管55との間には、熱電対(図示せず)が挿入され、内側のチャンバ貫通石英管52とランプ71との間には、熱電対(図示せず)が挿入されている。これらの熱電対(図示せず)からの信号は、温度検出部316に送られ、そこで温度が求められ、主制御部310に送られる。主制御部310内のガス制御部314は、求められた温度に応じて外側空冷ガス用ブロア(図示せず)と内側空冷ガス用ブロア(図示せず)とをそれぞれ制御する。
【0028】
なお、ランプ73については、端部(封し部)を除いたバルブ部が風量可変の空冷領域である。ランプ73の端部(封し部)は図示しない別の手段により空冷している。
【0029】
また、本実施例の基板処理装置の処理炉202は、ウエハ200の放射率を測定し、その放射率を計算するための非接触式の放射率測定手段を備える。すなわち、チャンバ蓋13上に放射率測定部301を設け、その内部に放射率測定用プローブ302を設ける。チャンバ蓋13に貫通孔303を設け、ウエハ200からの放射光を放射率測定用プローブ302で測定できるようにする。放射率測定用プローブ302からの信号は、放射率検出部311に送られ、そこで、放射率が求められ、主制御部310に送られる。
【0030】
処理炉202はさらに温度検出手段である複数の温度測定用プローブ305を備える。好ましくは、ウエハ200の異なる部分の温度をそれぞれ測定するために位置決めされた5個のプローブ305を含む。これによって処理サイクル中のウエハ200の面内温度の均一性が確保される。チャンバ蓋13に5個の貫通孔304を設け、その内部に温度測定用プローブ305の先端部をそれぞれ挿入し、ウエハ200からの放射光を温度測定用プローブ305で測定できるようにする。これらの温度測定用プローブ305はチャンバ蓋13に固定され、すべての処理条件においてウエハ200のデバイス面から放射される光子密度を常に測定する。プローブ305によって測定された光子密度に基づき温度検出部315にてウエハ温度に算出され、主制御部310にて放射率による補正が行われた後、設定温度と比較される。主制御部310は比較の結果、あらゆる偏差を計算し、加熱制御部312を介してヒータアッセンブリ内の加熱手段である上側ランプ群70、下側ランプ群72の複数ゾーンへの電力供給量を制御する。なお、主制御部310は、突上げピン上下機構41を制御する駆動制御部313をさらに備えている。
【0031】
図4に示すように、ランプの寿命を長く保つためには、ランプ点灯中はランプのバルブ表面を300℃〜500℃に保持する必要がある。また、他方では、CVD(Chemical Vapor Deposition)処理などの場合は、処理室内のガス(例えば、モノシラン、ジシラン、ジクロロシラン)が上側ランプ群70の外側のチャンバ貫通石英管50の石英製円管51や下側ランプ群72の外側のチャンバ貫通石英管54に反応して堆積することを防止するため、外側のチャンバ貫通石英管50の石英製円管51やチャンバ貫通石英管54を200℃程度以下に保持する必要がある。
【0032】
そこで、主制御部310内のガス制御部314により、外側空冷ガス用ブロア317と内側空冷ガス用ブロア318とをそれぞれ制御することにより、上側ランプ群70の外側の石英製円管51と内側のチャンバ貫通石英管52との間を通って流れる空冷ガスの流量と内側のチャンバ貫通石英管52とランプ71との間を通って流れる空冷ガスの流量をそれぞれ制御し、外側空冷ガス用ブロア(図示せず)と内側空冷ガス用ブロア(図示せず)とをそれぞれ制御することにより、下側ランプ群72の外側の石英製円管54と内側のチャンバ貫通石英管55との間を通って流れる空冷ガスの流量と内側のチャンバ貫通石英管55とランプ73との間を通って流れる空冷ガスの流量をそれぞれ制御して、ランプ71、73のバルブ表面を300℃〜500℃、例えば400℃に保持すると共に、上側ランプ群70の外側のチャンバ貫通石英管50の石英製円管51や下側ランプ群72の外側のチャンバ貫通石英管54を200℃以下に保って、処理室内のガスが外側のチャンバ貫通石英管50の石英製円管51や外側のチャンバ貫通石英管54に反応して堆積することを防止している。
【0033】
この様子を図5に示す。内側空冷ガス用ブロアは、ランプ71、73のバルブ表面が400℃に保持されるように空冷風量を自動で調整している。外側空冷ガス用ブロワーは、膜堆積防止のため空冷風量を100%としている。
【0034】
また、ウエハの微細化が進むと共に、本実施例のようなランプ加熱装置ではウエハ200の急速な昇温および降温が要求される。この際に、外側空冷ガス用ブロワーは、膜堆積防止のため空冷風量を100%としているので、降温時にランプのバルブとチャンバ貫通石英管の温度が下がらずに高温のままであることを防止でき、ウエハを急速に降温できる。なお、この場合に、降温時に内側空冷ガス用ブロアの風量を昇温中や処理中の場合よりも大きくすることにより、ウエハをより一層急速に降温できる。
【0035】
さらに、上側ランプ群70の外側の石英製円管51と内側のチャンバ貫通石英管52や下側ランプ群72の外側の石英製円管54と内側のチャンバ貫通石英管55の大きさ等、外側空冷ガス用ブロアや内側空冷ガス用ブロアの空冷ガス供給能力次第では、昇温や、処理中には、外側空冷ガス用ブロアの風量を100%にする必要がなくなる。その場合には、降温時における外側空冷ガス用ブロアの風量を昇温中や処理中の場合よりも大きくすることにより、ウエハを急速に降温できる。なお、この場合においても、降温時に内側空冷ガス用ブロアの風量を昇温中や処理中の場合よりも大きくすることにより、ウエハをより一層急速に降温できる。
【0036】
以上、本実施例を実施することにより、チャンバ貫通石英管の温度が高温となることを防止することができ、処理室内のガスが反応してチャンバ貫通石英管の外側に堆積することを抑制または防止でき、また、ウエハ温度の降温も急速に行える基板処理装置を提供する点で、実用上極めて大きな効果を奏することができる。
【0037】
次に、図6を参照して、本発明が好適に適用される基板処理装置の概要を説明する。
【0038】
なお、本発明が好適適用される基板処理装置においてはウエハなどの基板を搬送するキャリヤとしては、FOUP(front opening unified pod。以下、ポッドという。)が使用されている。また、以下の説明において、前後左右は図6を基準とする。すなわち、図6が示されている紙面に対して、前は紙面の下、後ろは紙面の上、左右は紙面の左右とする。
【0039】
図6に示されているように、基板処理装置は真空状態などの大気圧未満の圧力(負圧)に耐えるロードロックチャンバ構造に構成された第一の搬送室103を備えており、第一の搬送室103の筐体101は平面視が六角形で上下両端が閉塞した箱形状に形成されている。第一の搬送室103には負圧下でウエハ200を移載する第一のウエハ移載機112が設置されている。第一のウエハ移載機112は、エレベータ115によって、第一の搬送室103の気密性を維持しつつ昇降できるように構成されている。
【0040】
筐体101の六枚の側壁のうち前側に位置する二枚の側壁には、搬入用の予備室122と搬出用の予備室123とがそれぞれゲートバルブ244,127を介して連結されており、それぞれ負圧に耐え得るロードロックチャンバ構造に構成されている。さらに、予備室122には搬入室用の基板置き台140が設置され、予備室123には搬出室用の基板置き台141が設置されている。
【0041】
予備室122および予備室123の前側には、略大気圧下で用いられる第二の搬送室121がゲートバルブ128、129を介して連結されている。第二の搬送室121にはウエハ200を移載する第二のウエハ移載機124が設置されている。第二のウエハ移載機124は第二の搬送室121に設置されたエレベータ126によって昇降されるように構成されているとともに、リニアアクチュエータ132によって左右方向に往復移動されるように構成されている。
【0042】
図6に示されているように、第二の搬送室121の左側にはオリエンテーションフラット合わせ装置106が設置されている。
【0043】
図6に示されているように、第二の搬送室121の筐体125には、ウエハ200を第二の搬送室121に対して搬入搬出するためのウエハ搬入搬出口134と、ウエハ搬入搬出口を閉塞する蓋142と、ポッドオープナ108がそれぞれ設置されている。ポッドオープナ108は、IOステージ105に載置されたポッド100のキャップ及びウエハ搬入搬出口134を閉塞する蓋142を開閉するキャップ開閉機構136とを備えており、IOステージ105に載置されたポッド100のキャップ及びウエハ搬入搬出口134を閉塞する蓋142をキャップ開閉機構136によって開閉することにより、ポッド100のウエハ出し入れを可能にする。また、ポッド100は図示しない工程内搬送装置(RGV)によって、IOステージ105に、供給および排出されるようになっている。
【0044】
図6に示されているように、筐体101の六枚の側壁のうち背面側に位置する二枚の側壁には、ウエハに所望の処理を行う第一の処理炉202と、第二の処理炉137とがそれぞれ隣接して連結されている。第一の処理炉202および第二の処理炉137はいずれもコールドウオール式の処理炉によってそれぞれ構成されている。また、筐体101における六枚の側壁のうちの残りの互いに対向する二枚の側壁には、第三の処理炉としての第一のクーリングユニット138と、第四の処理炉としての第二のクーリングユニット139とがそれぞれ連結されており、第一のクーリングユニット138および第二のクーリングユニット139はいずれも処理済みのウエハ200を冷却するように構成されている。
【0045】
以下、構成をもつ基板処理装置を使用した処理工程を説明する。
【0046】
未処理のウエハ200は25枚がポッド100に収納された状態で、処理工程を実施する基板処理装置へ工程内搬送装置によって搬送されて来る。図6に示されているように、搬送されて来たポッド100はIOステージ105の上に工程内搬送装置から受け渡されて載置される。ポッド100のキャップ及びウエハ搬入搬出口134を開閉する蓋142がキャップ開閉機構136によって取り外され、ポッド100のウエハ出し入れ口が開放される。
【0047】
ポッド100がポッドオープナ108により開放されると、第二の搬送室121に設置された第二のウエハ移載機124はポッド100からウエハ200をピックアップし、予備室122に搬入し、ウエハ200を基板置き台140に移載する。この移載作業中には、第一の搬送室103側のゲートバルブ244は閉じられており、第一の搬送室103の負圧は維持されている。ウエハ200の基板置き台140への移載が完了すると、ゲートバルブ128が閉じられ、予備室122が排気装置(図示せず)によって負圧に排気される。
【0048】
予備室122が予め設定された圧力値に減圧されると、ゲートバルブ244、130が開かれ、予備室122、第一の搬送室103、第一の処理炉202が連通される。続いて、第一の搬送室103の第一のウエハ移載機112は基板置き台140からウエハ200をピックアップして第一の処理炉202に搬入する。そして、第一の処理炉202内に処理ガスが供給され、所望の処理がウエハ200に行われる。
【0049】
第一の処理炉202で処理が完了すると、処理済みのウエハ200は第一の搬送室103の第一のウエハ移載機112によって第一の搬送室103に搬出される。
【0050】
そして、第一のウエハ移載機112は第一の処理炉202から搬出したウエハ200を第一のクーリングユニット138へ搬入し、処理済みのウエハを冷却する。
【0051】
第一のクーリングユニット138にウエハ200を移載すると、第一のウエハ移載機112は予備室122の基板置き台140に予め準備されたウエハ200を第一の処理炉202に前述した作動によって移載し、第一の処理炉202内に処理ガスが供給され、所望の処理がウエハ200に行われる。
【0052】
第一のクーリングユニット138において予め設定された冷却時間が経過すると、冷却済みのウエハ200は第一のウエハ移載機112によって第一のクーリングユニット138から第一の搬送室103に搬出される。
【0053】
冷却済みのウエハ200が第一のクーリングユニット138から第一の搬送室103に搬出されたのち、ゲートバルブ127が開かれる。そして、第1のウエハ移載機112は第一のクーリングユニット138から搬出したウエハ200を予備室123へ搬送し、基板置き台141に移載した後、予備室123はゲートバルブ127によって閉じられる。
【0054】
予備室123がゲートバルブ127によって閉じられると、排出用予備室123内が不活性ガスにより略大気圧に戻される。予備室123内が略大気圧に戻されると、ゲートバルブ129が開かれ、第二の搬送室121の予備室123に対応したウエハ搬入搬出口134を閉塞する蓋142と、IOステージ105に載置された空のポッド100のキャップがポッドオープナ108によって開かれる。続いて、第二の搬送室121の第二のウエハ移載機124は基板置き台141からウエハ200をピックアップして第二の搬送室121に搬出し、第二の搬送室121のウエハ搬入搬出口134を通してポッド100に収納して行く。処理済みの25枚のウエハ200のポッド100への収納が完了すると、ポッド100のキャップとウエハ搬入搬出口134を閉塞する蓋142がポッドオープナ108によって閉じられる。閉じられたポッド100はIOステージ105の上から次の工程へ工程内搬送装置によって搬送されて行く。
【0055】
以上の作動が繰り返されることにより、ウエハが、順次、処理されて行く。以上の作動は第一の処理炉202および第一のクーリングユニット138が使用される場合を例にして説明したが、第二の処理炉137および第二のクーリングユニット139が使用される場合についても同様の作動が実施される。
【0056】
なお、上述の基板処理装置では、予備室122を搬入用、予備室123を搬出用としたが、予備室123を搬入用、予備室122を搬出用としてもよい。また、第一の処理炉202と第二の処理炉137は、それぞれ同じ処理を行ってもよいし、別の処理を行ってもよい。第一の処理炉202と第二の処理炉137で別の処理を行う場合、例えば第一の処理炉202でウエハ200にある処理を行った後、続けて第二の処理炉137で別の処理を行わせてもよい。また、第一の処理炉202でウエハ200にある処理を行った後、第二の処理炉137で別の処理を行わせる場合、第一のクーリングユニット138(又は第二のクーリングユニット139)を経由するようにしてもよい。
【0057】
明細書、特許請求の範囲、図面および要約書を含む2004年3月1日提出の日本国特許出願2004−56363号の開示内容全体は、そのまま引用してここに組み込まれる。
【0058】
種々の典型的な実施の形態を示しかつ説明してきたが、本発明はそれらの実施の形態に限定されない。従って、本発明の範囲は、次の請求の範囲によってのみ限定されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上説明したように、本発明の好ましい実施形態によれば、基板に所望のガスを流し、ランプによって基板を加熱しながら、基板に所望の膜を堆積させる基板処理装置であって、ランプを覆う管等の囲い体に堆積物が生じるのを抑制または防止できる基板処理装置およびそれを使用した半導体装置の製造方法が提供される。
その結果、本発明は、半導体ウエハに所望のガスを流し、ランプによって半導体ウエハを加熱しながら、半導体ウエハに所望の膜を堆積させる基板処理装置およびそれを使用した半導体装置の製造方法に特に好適に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望のガスを流し、基板に所望の膜を堆積させるための空間を提供する処理室と、
該処理室に配置され、該基板を加熱するフィラメントと該フィラメントを囲うランプ管とを含むランプユニットを、少なくとも一つ以上有したランプユニット群と、
該ランプユニットを囲う少なくとも第1と第2の囲い体であって、該ランプユニットを囲う第1の囲い体と、該第1の囲い体を囲う第2の囲い体と、
該ランプユニットと該第1の囲い体との間の第1の空間、および該第1の囲い体と該第2の囲い体との間の第2の空間に、冷却媒体を流通させる冷媒流通装置と、
を有する基板処理装置。
【請求項2】
少なくとも該処理室内で基板を処理している間は、該第2の空間に該第1の空間よりも多くの量の冷却媒体を流通させるよう該冷媒流通装置を制御する制御部を有する請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第2の空間には一定の流量で冷却媒体を流通し、前記第1の空間には流量を可変して冷却媒体を流通するよう制御する請求項2記載の基板処理装置。
【請求項4】
少なくとも該処理室内で基板を処理している間は、該第1の囲い体の温度より該第2の囲い体の温度を低くするように、該第1と第2の空間へ流通させる冷却媒体の量を制御する制御部を有する請求項1記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第1の囲い体の温度が、300〜500℃の範囲となるように制御される請求項4記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記第2の囲い体の温度が、200℃以下となるように制御される請求項4記載の基板処理装置。
【請求項7】
少なくとも該処理室内で基板を処理している間は、該第1の空間と該第2の空間とで異なる冷却媒体を流通させ、該第2の空間に流通させる冷却媒体が、該第1の空間に流通させる冷却媒体よりも冷却効率の高い媒体である請求項1記載の基板処理装置。
【請求項8】
該冷却媒体の流通量は、該処理室内にある基板の温度を昇温させる過程よりも、基板の温度を降温させる過程の方を多くするように該冷媒流通装置を制御する制御部を有する請求項1記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記第2の空間に流通される冷却媒体の量は、基板の昇温過程と降温過程とで同量の冷却媒体を流通させ、前記第1の空間に流通される冷却媒体の量は、基板の昇温過程よりも降温過程の方を多くして冷却媒体を流通するように制御される請求項8記載の基板処理装置。
【請求項10】
所望のガスを流し、基板に所望の膜を堆積させるための空間を提供する処理室と、
該処理室に配置され、該基板を加熱するフィラメントと該フィラメントを囲うランプ管とを含むランプユニットを、少なくとも一つ以上有したランプユニット群と、
該ランプユニットを囲う少なくとも第1と第2の囲い体であって、該ランプユニットを囲う第1の囲い体と、該第1の囲い体を囲う第2の囲い体と、
該ランプユニットと該第1の囲い体との間の第1の空間、および該第1の囲い体と該第2の囲い体との間の第2の空間に、冷却媒体を流通させる冷媒流通装置と、を有する基板処理装置を使用して、前記基板に前記所望の膜を堆積させる工程を備える半導体装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【国際公開番号】WO2005/083760
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【発行日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−510500(P2006−510500)
【国際出願番号】PCT/JP2005/003279
【国際出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】