説明

基板処理装置および基板処理方法

【課題】 周縁エッチング幅を正確に、しかも周面全体にわたって均一に制御しながら基板の表面周縁部から不要物をエッチング除去することができる基板処理装置および方法を提供する。
【解決手段】 処理規定部材146が基板表面Wfから所定の隙間だけ離間しながら基板表面Wfに沿って移動して基板Wの周縁部に対して位置決め、該周縁部との間に空間GPが形成される。そして、この空間GPに対して薬液が供給されて空間GPにおいて薬液による液密状態が形成され、処理規定部材146の位置に対応する周縁エッチング幅EHでエッチング処理が行われる。また、このように周縁エッチング幅EHをコントロールしながら回転している基板Wの周縁部に薬液を供給してエッチング処理を行っているため、周縁エッチング幅EHを周面全体にわたって均一に制御することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶用ガラス基板、光ディスク用基板等の基板に、薬液やリンス液などの処理液を供給して基板に所定の処理を行う基板処理装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハ等の基板の一連の処理工程においては、基板の表面にフォトレジスト等の薄膜を形成するための成膜工程を複数工程有しているが、この成膜工程では基板の裏面あるいは表面端部にも成膜されることがある。しかしながら、一般的には基板において成膜が必要なのは基板の表面のみであり、基板の裏面あるいは表面周縁部に成膜されてしまうと、成膜工程の後工程において、他の装置との接触により基板の裏面あるい表面端部に形成された薄膜が剥がれたりすることがあり、これが原因となって歩留まりの低下や基板処理装置自体のトラブルが起こることがある。
【0003】
そこで、基板の裏面および表面周縁部に形成された薄膜を除去するために、例えば特許文献1に記載された装置が提案されている。この装置では、その表面に薄膜が形成された基板を基板保持手段によって保持するとともに、該基板保持手段を回転させる。また、回転している基板の裏面に対して薬液を供給する。このとき、基板の表面に対向する対向面を有し、かつ基板の表面と所定の間隔離れた回転部材を回転させると、基板の回転および回転部材の回転によって、薬液は基板裏面全体に広がって基板裏面の不要物をエッチング除去するのみならず、基板の端面を介して基板表面の周縁部に回り込み、該周縁部の不要物をもエッチング除去する。こうして、基板の裏面および基板の表面周縁部のみにおいて薄膜がエッチング除去される。
【0004】
さらに、特許文献2に記載された装置では、基板の周縁部にリング形状のマスクを配置し、処理液をマスクで規定された領域に保持されるように、基板周縁部がエッチングされる。
【0005】
【特許文献1】特開2000−235948号公報(第2−3頁、図1)
【特許文献2】特開2002−246364号公報(段落[0036]〜[0037]、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記した基板処理は基板表面の略中央部に形成された非処理部の周辺から一定範囲の薄膜を除去するために行われるが、この除去範囲、つまり端面から内側に向かってエッチング除去される幅(以下「周縁エッチング幅」という)を正確にコントロールするのが望まれる。特に、薄膜として銅などのメタル層が基板表面に形成された場合には、上記基板処理では端面(べベル)近傍でのメタル除去を目的とするため、周縁エッチング幅を周面全体にわたって均一化することが非常に重要となっている。
【0007】
従来装置では、周縁エッチング幅を薬液の回り込み量で制御していた。つまり、基板の回転数を変更することで薬液の回り込み量が変化し、それに応じて周縁エッチング幅が調整される。しかしながら、基板の回転数により回り込み量を安定化することが困難であり、十分な均一性で周縁エッチング幅をコントロールすることは事実上できなかった。また、周縁エッチング幅を所望値に制御するために基板の回転数を高めると、基板から飛散した薬液が基板周辺に配置された部材、例えば飛散処理液の捕集用カップなどに衝突し、それにより跳ね返った薬液が非処理部に付着してしまうことがあった。
【0008】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、周縁エッチング幅を正確に、しかも周面全体にわたって均一に制御しながら基板の表面周縁部から不要物をエッチング除去することができる基板処理装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明にかかる基板処理装置は、回転する基板の表面の周縁部に薬液を供給して該周縁部の表面から不要物をエッチング除去する基板処理装置であって、上記目的を達成するため、基板の周縁部近傍にて、基板表面から所定の隙間だけ離間しながら基板表面に沿って移動自在に設けられた処理規定部材と、処理規定部材を駆動して基板表面に沿って移動させる駆動手段と、基板の周縁部と処理規定部材とで挟まれた空間に薬液を供給することによって該空間において薬液による液密状態を形成して基板の周縁部の表面から不要物をエッチング除去する薬液供給手段と、駆動手段を制御して基板の周縁部に対する処理規定部材の相対位置を調整し、基板の周縁部における薬液によるエッチング幅を制御する制御手段とを備えたことを特徴としている。
【0010】
また、この発明にかかる基板処理方法は、回転する基板の表面の周縁部に薬液を供給して該周縁部の表面から不要物をエッチング除去する基板処理方法であって、上記目的を達成するため、基板の周縁部近傍にて、基板表面から所定の隙間だけ離間しながら基板表面に沿って処理規定部材を移動させて基板の周縁部に対する処理規定部材の相対位置を調整して処理規定部材を位置決めする位置決め工程と、位置決め工程により位置決めされた処理規定部材と、基板の周縁部とで挟まれた空間に薬液を供給することによって該空間において薬液による液密状態を形成して基板の周縁部の表面から不要物をエッチング除去するエッチング工程とを備えたことを特徴としている。
【0011】
このように構成された発明(基板処理装置および方法)では、処理規定部材が、基板の周縁部近傍にて、基板表面から所定の隙間だけ離間しながら基板表面に沿って移動されて基板の周縁部に対して相対的に位置決めされる。こうして位置決めされた処理規定部材と基板表面の周縁部との間には空間が形成される。そして、この空間に対して薬液が供給されて該空間において薬液による液密状態が形成される。このため、薬液が基板の径方向内側に侵入するのを効果的に抑え、薬液の供給範囲が処理規定部材に対応する範囲に規定される。また、このように薬液の供給範囲が規定されたまま基板が回転して該基板表面の周縁部の表面から不要物がエッチング除去される。その結果、処理規定部材に対応した周縁エッチング幅で、しかも周面全体にわたって均一に、基板の表面周縁部から不要物がエッチング除去される。また、駆動手段により処理規定部材を移動させることで周縁エッチング幅を制御することができるため、要求されるエッチング処理の内容に柔軟に対応することができ、優れた汎用性が得られる。
【0012】
ここで、エッチング処理の内容を予め処理レシピとして複数個規定しておき、それらの処理レシピから適宜選択した処理レシピで規定されるエッチング処理を行うようにしてもよい。この場合、エッチング処理の内容を規定する処理レシピとエッチング幅とを関連付けたジョブデータを複数個記憶部に記憶しておき、処理レシピが選択されると、該選択処理レシピに対応するジョブデータを記憶部から読出し、該ジョブデータに基づき処理規定部材を移動させてエッチング幅を制御するようにしてもよい。これにより、エッチング処理の内容が変更された場合にも、その変更に迅速に対応することができる。
【0013】
また、エッチング除去された基板表面の周縁部に対してはリンス処理を施すのが望ましく、従来より周知のリンス処理を実行してもよいし、また次のように処理規定部材を利用してもよい。すなわち、処理規定部材と基板表面の周縁部との間に形成された空間にリンス液を供給することによって空間においてリンス液による液密状態を形成して薬液によるエッチング処理を受けた基板の周縁部の表面にリンス処理を施すようにしてもよい。このように処理規定部材を利用することでリンス液を基板表面の周縁部に確実に供給してリンス処理を良好に行うことができるとともに、リンス液の使用量も低減することができる。
【0014】
このリンス処理を行うのにあたり、エッチング処理のために周縁エッチング幅に対応して位置決めされた処理規定部材をそのまま利用してもよい。また、エッチング処理後でかつリンス液供給手段によるリンス処理前に、処理規定部材をエッチング幅に対応する位置によりも基板の径方向内側に位置決めしてもよい。これにより、リンス液が供給される範囲が周縁エッチング幅からさらに基板の径方向内側に広がる。その結果、基板表面のうちエッチング処理の境界部分に対してもリンス液が確実に供給されることとなり、該境界部分でのリンス不良を確実に防止することができる。
【0015】
また、処理規定部材に対して基板の径方向内側に表面側気体吐出手段を設け、該表面側気体吐出手段から基板表面に向けて処理規定部材側に気体を吐出することでベルヌーイ効果を発揮させるように構成してもよい。また、基板を挟んで処理規定部材の反対側に裏面側気体吐出手段を設け、基板の裏面の周縁部に向けて気体を吐出するように構成してもよい。このような気体吐出手段を設けることでエッチング処理をさらに安定して行うことができる。
【0016】
さらに、処理規定部材を基板表面とほぼ直交する方向に移動可能に構成するとともに、駆動手段を制御することで基板表面の周縁部と処理規定部材との隙間間隔を調整するように構成してもよい。このように処理規定部材を単に基板表面に沿って移動させるのみならず、基板表面とほぼ直交する方向に移動させることにより処理規定部材を基板表面に対して2次元的に位置決めすることができる。これによって、処理規定部材と基板表面の周縁部との間に形成された空間の大きさおよび位置をコントロールすることができ、エッチング処理の多様性を高めることができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、基板の周縁部近傍にて、基板表面から所定の隙間だけ離間しながら基板表面に沿って処理規定部材を移動させて基板の周縁部に対する処理規定部材の相対位置を調整するとともに、該処理規定部材と基板の周縁部とで挟まれた空間に薬液を供給することによって該空間において薬液による液密状態を形成して基板の周縁部の表面から不要物をエッチング除去するようにしているので、周縁エッチング幅を正確に設定することができる。また、周縁エッチング幅をコントロールしながら回転している基板の周縁部に薬液を供給してエッチング処理を行っているため、周縁エッチング幅を周面全体にわたって均一に制御しながら基板の表面周縁部から不要物をエッチング除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
<基板処理装置>
図1は、この発明にかかる基板処理装置の一実施形態を示す図である。また、図2は図1の基板処理装置の部分拡大図である。この基板処理装置は基板表面の周縁部からメタル層やフォトレジスト層などの薄膜をエッチング除去するベベルエッチング装置であり、次のように構成されている。この基板処理装置1では、真空チャック11が設けられており、基板Wの表面Wfを下方に向けたフェースダウン姿勢のまま基板Wの裏面Wbの略中央部が真空チャック11により吸引保持される。これにより、基板表面Wfに例えばメタル層やフォトレジスト層などの薄膜TFを形成してなる基板Wがフェースダウン姿勢で、かつ略水平姿勢でベベルエッチング位置P1に位置決めされる。また、真空チャック11の後端部には、モータ12が連結されており、装置全体を制御する制御ユニット4からの動作指令に応じて回転駆動される。このモータ駆動により真空チャック11が基板Wを保持したまま回転し、その結果、ベベルエッチング位置P1で基板Wが回転される。
【0019】
また、真空チャック11に保持された基板Wの外周方向には、水平方向に伸びるガイド13A,13Bに沿って処理ヘッド14A,14Bがそれぞれ移動自在に設けられている。また、処理ヘッド14A,14Bにはアクチュエータ15A,15Bがそれぞれ連結されており、制御ユニット4からの動作指令に応じてアクチュエータ15A,15Bが作動することで処理ヘッド14A,14Bが基板Wの周縁部に近接したり(図1の実線位置)、逆に離間する(図1の破線位置)ように構成されている。このように、本実施形態では、アクチュエータ15A,15Bを本発明の「駆動手段」として機能させることで後述する処理規定部材を基板表面から所定の隙間だけ離間しながら基板表面に沿って移動させる。なお、この実施形態では、アクチュエータ15A,15Bは水平方向における処理ヘッド14A,14Bの移動量を連続的に設定することができるように構成されており、処理ヘッド14A,14Bの移動量制御による処理規定部材の位置決めについては後で詳述する。
【0020】
2つの処理ヘッド14A,14Bはともに同一構成を有しており、薬液供給ユニット16からエッチング処理に適した薬液の供給を受けて後述するようにエッチング処理を実行したり、リンス液供給ユニット17から純水やDIWなどのリンス液の供給を受けて後述するようにリンス処理を実行する。また、ガス供給ユニット18が処理ヘッド14A,14Bのガスノズルに接続されており、各ノズルに窒素ガスを供給する。より詳しくは、処理ヘッド14A,14Bは以下のように構成されている。なお、両処理ヘッド14A,14Bは同一構成であるため、処理ヘッド14Aの構成のみを説明し、処理ヘッド14Bの構成説明は省略する。
【0021】
この処理ヘッド14Aは、2つの本体部材141、142を連結してなるヘッド本体を有している。このヘッド本体では、本体部材141、142の間に基板Wの厚みよりも若干広い隙間SPが形成されており、アクチュエータ15Aの作動により処理ヘッド14Aが基板Wの周縁部に近接すると、基板Wの端面が処理ヘッド14Aの内部に入り込み、基板裏面Wbおよび基板表面Wfの周縁部がそれぞれ本体部材141、142と対向する。
【0022】
これらの本体部材141、142のうち基板裏面Wbと対向する裏面側本体部材141には、ガスノズル143が設けられている。このガスノズル143は上記したようにガス供給ユニット18と接続されており、基板裏面Wb側から周縁部に向けて窒素ガスを吐出する。これによって、後述するようにしてベベルエッチング処理(エッチング処理+リンス処理)中に処理液(薬液やリンス液)が基板裏面Wbに飛散して付着するのを防止してベベルエッチング処理の安定化を図っている。なお、この実施形態では、ガスノズル143に窒素ガスを供給しているが、空気や他の不活性ガスなどを吐出するように構成してもよい。
【0023】
もう一方の表面側本体部材142には、ガスノズル144および処理液ノズル145が設けられている。ガスノズル144は、ガスノズル143と同様に、ガス供給ユニット18と接続されており、基板表面Wf側から周縁部に向けて窒素ガスを吐出する。これによって、ベルヌーイ効果を発揮させて基板表面Wfを表面側本体部材142に近接状態で吸着させながら浮上させ、基板表面Wfと表面側本体部材142との離間距離を一定に保っている。
【0024】
また、処理液ノズル145はガスノズル144よりも基板外周側(図2の左手側)に設けられている。この処理液ノズル145は薬液供給ユニット16およびリンス液供給ユニット17と接続されており、薬液またはリンス液が選択的に供給される。また、処理液ノズル145の先端には、断面形状が台形形状を有し、基板表面Wfと平行な対向面が形成される処理規定部材146が取り付けられており、基板表面Wfの周縁部と近接配置される。このため、例えば制御ユニット4からの動作指令に応じて薬液供給ユニット16から薬液が圧送されると、処理液ノズル145から薬液が吐出され、処理規定部材146と基板表面Wfの周縁部との間に形成される微小空間GPにおいて薬液による液密状態が形成されるとともに、薬液の一部は処理規定部材146よりも基板外周側に広がる。したがって、処理規定部材146よりも基板Wの径方向内側(図2の右手側)には薬液は供給されず、その結果、薬液によるエッチング範囲、つまり周縁エッチング幅EHは処理規定部材146の位置により決定される。さらに言えば、上記したように処理ヘッド14Aの移動量を連続的に設定することができるため、処理ヘッド14Aの移動量を制御することで処理規定部材146の位置を変更させて周縁エッチング幅EHを任意の値に調整することができる。
【0025】
上記においては薬液を処理液ノズル145に圧送する場合について説明したが、薬液に代えてリンス液を圧送する場合も上記と同様である。つまり、制御ユニット4からの動作指令に応じてリンス液供給ユニット17からリンス液が圧送されると、処理液ノズル145からリンス液が吐出され、処理規定部材146と基板表面Wfの周縁部との間に形成される微小空間GPにおいてリンス液による液密状態が形成されるとともに、リンス液の一部は処理規定部材146よりも基板外周側に広がる。これによって、リンス液が供給される範囲をコントロールすることが可能となっている。
【0026】
次に、上記のように構成された基板処理装置の動作について図1ないし図4を参照しつつ説明する。図3は図1の基板処理装置の動作を示すフローチャートである。この装置では、基板Wの表面Wfにメタル層やフォトレジスト層などの薄膜TFが形成された基板Wがフェースダウン姿勢で基板処理装置1に搬入されると、該基板Wに対してベベルエッチング処理(エッチング工程+リンス工程+乾燥工程)が実行される。より具体的には、図3のフローチャートに示す一連の処理が実行される。
【0027】
まずステップS11でベベルエッチング位置P1にフェースダウン姿勢で搬送されてきた基板Wの裏面Wbの略中央部を真空チャック11により吸引保持する。これにより、基板Wがフェースダウン姿勢で、かつ略水平姿勢でベベルエッチング位置P1に位置決めされる。このとき、両処理ヘッド14A,14Bは基板Wの周縁部から離間しており(図1の破線位置)、基板Wとの干渉を防止している。
【0028】
そして、モータ12の駆動を開始させて基板Wをベベルエッチング位置P1で回転させる(ステップS12)。また、ステップS12と同時、あるいは前後して、両処理ヘッド14A,14Bを基板Wの周縁部に近接移動させて薬液による基板表面Wfの周縁部に対するエッチング処理が可能な状態に位置決めする(ステップS13)。すなわち、この実施形態では、図4に示すように、(1)エッチング処理の内容を規定する処理レシピ、(2)エッチング幅EH、(3)エッチング時の処理ヘッドの移動量Me、および(4)リンス時の処理ヘッドの移動量Mrを相互に関連付けたジョブデータ(1ラインデータ)が複数個予め制御ユニット4のメモリ(記憶部)41に記憶されている。そして、基板処理装置の操作パネル(図示省略)を介してオペレータが処理レシピの番号を選択すると、その処理レシピで予め設定された移動量Meだけ処理ヘッド14A,14Bがそれぞれガイド13A,13Bに沿って基板内周側(図2の右手側)に移動されて周縁エッチング幅EHに対応するように処理規定部材146が位置決めされる(同図(a))。
【0029】
こうして処理規定部材146の位置決めが完了すると、ガスノズル143,144から基板Wに向けて窒素ガスが吐出される。また、薬液供給ユニット16からエッチング処理に適した薬液がノズル145に圧送されて処理規定部材146と基板表面Wfの周縁部との微小空間GPにおいて薬液による液密状態が形成されるとともに、薬液の一部は処理規定部材146よりも基板外周側に広がる。これによって、周縁エッチング幅EHは処理規定部材146の位置により決定される周縁エッチング幅EHで基板表面Wfの周縁部から不要物(薄膜TF)がエッチング除去される(ステップS14;エッチング処理)。なお、エッチング処理中、薬液の圧送は継続される。このエッチング処理が基板回転に伴い連続的に行われて基板表面Wfの周縁部を所定の周縁エッチング幅EHで正確に、しかも外周全体にわたって均一にエッチング除去される。
【0030】
このエッチング処理が完了すると、制御ユニット4はメモリ41から選択処理レシピに対応する移動量Mrを読出し、その移動量Mrに基づきアクチュエータ15A,15Bを制御して処理ヘッド14A,14Bをそれぞれガイド13A,13Bに沿って基板内周側(図2の右手側)に移動する。ここでは、図4に示すように、いずれのレシピ番号についても移動量Mrは(Me+2mm)に設定されているため、処理ヘッド14A,14Bがそれぞれガイド13A,13Bに沿って基板内周側にさらに2mmだけ移動されて処理規定部材146がエッチング除去された箇所の端部に対向するように位置決めされる(ステップS15)。そして、薬液の代わりに、リンス液がノズル145に圧送されて処理規定部材146と基板表面Wfの周縁部との空間GPにおいてリンス液による液密状態が形成されるとともに、リンス液の一部は処理規定部材146よりも基板外周側に広がる。これによって、薄膜TFの周縁部および外周端部はもちろんのこと、エッチング除去された基板表面Wfの周縁部に対してリンス処理が実行される(ステップS16)。
【0031】
こうして、エッチング処理およびリンス処理が完了すると、モータ12の回転速度を高めて基板Wを高速回転させる。これによって、基板Wに付着する液体成分を振り切って基板Wを乾燥させた(ステップS17)後、基板Wの回転を停止させる(ステップS18)。こうしてベベルエッチング処理(エッチング処理+リンス処理+乾燥処理)が完了すると、図示を省略する基板搬送部の搬送アーム等による基板Wの受け取りが可能であることを確認した上で真空チャック11による基板保持を解除する(ステップS19)。これによって、ベベルエッチング処理を受けた基板Wを基板搬送部の搬送アームに受け渡す。
【0032】
以上のように、この実施形態によれば、処理規定部材146を、基板Wの周縁部近傍にて、基板表面Wfから所定の隙間だけ離間しながら基板表面Wfに沿って移動して基板Wの周縁部に対して位置決めして処理規定部材146と基板表面Wfの周縁部との間に空間GPを形成している。そして、この空間GPに対して薬液が供給されて該空間GPにおいて薬液による液密状態が形成される。このため、薬液が基板Wの径方向内側に侵入するのを効果的に抑えることができ、その結果、薬液の供給範囲が処理規定部材146に対応する範囲に規定する、つまり周縁エッチング幅EHを正確に設定することができる。また、このように周縁エッチング幅EHをコントロールしながら回転している基板Wの周縁部に薬液を供給してエッチング処理を行っているため、周縁エッチング幅EHを周面全体にわたって均一に制御しながら基板Wの表面周縁部から不要物をエッチング除去することができる。
【0033】
また、この実施形態では、アクチュエータ15A,15Bにより処理規定部材146を移動させることで周縁エッチング幅EHを制御することができるため、要求されるエッチング処理の内容に柔軟に対応することができ、優れた汎用性でベベルエッチング処理を行うことができる。
【0034】
また、図4に示すように、エッチング処理の内容を予め処理レシピを複数個規定しておき、それらから処理レシピが選択されると、該選択処理レシピに対応するジョブデータをメモリ41から読出し、該ジョブデータ中の移動量Meに基づき処理規定部材146を移動させてエッチング幅EHを制御しているため、エッチング処理の内容変更に対して迅速に対応することができる。
【0035】
さらに、リンス処理についても、エッチング処理と同様に、処理規定部材146と基板表面Wfの周縁部との間に形成された空間GPにリンス液を供給することによって空間GPにおいてリンス液による液密状態を形成して薬液によるエッチング処理を受けた基板Wの周縁部の表面にリンス処理を施している。このように処理規定部材146を利用することでリンス液を基板表面Wfの周縁部に確実に供給してリンス処理を良好に行うことができるとともに、リンス液の使用量も低減することができる。
【0036】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、基板Wをフェースダウン姿勢でベベルエッチング処理を実行しているが、図5に示すように、フェースアップ姿勢でベベルエッチング処理を行うように構成してもよい。
【0037】
また、上記実施形態では、2つの処理ヘッド14A,14Bを基板Wの両側に対向配置してベベルエッチング処理を行っているが、処理ヘッドの個数、配置関係や形状などについては任意である。また、上記実施形態では、窒素ガスを用いているが、窒素ガス以外の不活性ガスや空気などの気体を用いてもよいことは言うまでもない。
【0038】
また、上記実施形態では、図4に示すように、リンス時の移動量Mrが常にエッチング処理時の移動量Meよりも2mmだけ基板Wの径方向内側に移動させているが、移動量Mrの値はこれに限定されるものではなく、リンス処理の内容に応じて適宜変更することが可能である。ただし、基板表面Wfのうちエッチング処理の境界部分でのリンス不良を確実に防止するという観点からすれば、リンス時の移動量Mrはエッチング処理時の移動量Meよりも大きくなるように設定するのが望ましい。
【0039】
また、上記実施形態では、処理規定部材146が基板表面Wfに沿って移動自在に設けているが、処理規定部材146を基板表面Wfとほぼ直交する方向(図2の上下方向)に移動可能に構成するとともに、アクチュエータ15A,15Bなどの駆動手段を制御することで基板表面Wfの周縁部と処理規定部材146との隙間間隔を調整するように構成してもよい。または、真空チャック11を図1中上下方向に移動調整するようにしてもよい。このように処理規定部材146を単に基板表面Wfに沿って移動させるのみならず、基板表面Wfとほぼ直交する方向に移動させることにより処理規定部材146を基板表面Wfに対して2次元的に位置決めすることができる。これによって、処理規定部材146と基板表面Wfの周縁部との間に形成された空間GPの大きさおよび位置をコントロールすることができ、エッチング処理の多様性を高めることができる。
【0040】
さらに、上記実施形態では、断面形状が台形形状を有する処理規定部材146を用いているが、処理規定部材146の形状はこれに限定されるものではなく、任意である。要は、処理規定部材146が基板表面Wfの周縁部に対して近接して位置決めされた際、基板表面Wfの周縁部との間において薬液やリンス液による液密状態が安定して形成される限り、いかなる形状や大きさなどの処理規定部材を用いてもよい。
【0041】
<基板処理システム>
また、この発明にかかる基板処理装置を単体で使用してもよいが、他の基板処理を実行する基板処理装置、基板Wを搬送する基板搬送ユニットやインデクサ部などと組み合わせて基板処理システムを構築してもよい。その一例として、例えば図6に示す基板処理システムがある。以下、図6を参照しつつ、この発明にかかる基板処理システムの一実施形態について説明する。
【0042】
図6はこの発明にかかる基板処理装置を用いて構成した基板処理システムの一実施形態を示す図である。この基板処理システムは、半導体ウエハ等の基板Wに対して処理液や処理ガスなどによる処理を施すための枚葉式の処理システムである。この基板処理システムは、基板Wに対して処理を施す基板処理部PPと、この基板処理部PPに結合されたインデクサ部IDと、処理流体(液体または気体)の供給/排出のための構成を収容した処理流体ボックス110,120とを備えている。
【0043】
インデクサ部IDは、基板Wを収容するためのカセットC(複数の基板Wを密閉した状態で収容するFOUP(Front Opening Unified Pod)、SMIF(Standard Mechanical Inter Face)ポッド、OC(Open Cassette)など)を複数個保持することができるカセット保持部210と、このカセット保持部210に保持されたカセットCにアクセスして、未処理の基板WをカセットCから取り出したり、処理済の基板をカセットCに収納したりするためのインデクサロボット220とを備えている。各カセットCは、複数枚の基板Wを微小な間隔をあけて上下方向に積層して保持するための複数段の棚(図示省略)を備えており、各段の棚に1枚ずつ基板Wを保持することができるようになっている。各段の棚は、基板Wの下面の周縁部に接触し、基板Wを下方から保持する構成となっており、基板Wは表面(デバイス形成面)を上方に向け、裏面を下方に向けたほぼ水平な姿勢でカセットCに収容されている。
【0044】
基板処理部PPは、平面視においてほぼ中央に配置された基板搬送ロボット(基板搬送装置)130と、この基板搬送ロボット130が取付けられたフレーム300とを有している。このフレーム300には、基板搬送ロボット130を取り囲むように、複数個(この実施形態では4個)のユニット配置部310,320,330,340が設けられており、さらに、基板搬送ロボット130によるアクセスが可能な位置に、基板反転ユニット140が取付けられている。
【0045】
ユニット配置部310,320,330,340には、上記実施形態にかかる基板処理装置をユニット化した処理ユニット以外に、(a)基板Wを保持して回転させるとともに基板Wに薬液ノズルから薬液を供給して基板Wを処理する薬液処理ユニットMP、(b)基板Wを保持して回転させ、基板Wに純水を供給するとともに、基板表面をスクラブブラシでスクラブするスクラブ洗浄ユニットSS、(c)基板Wを保持して回転させるとともに基板Wにポリマー除去液を供給して基板W上の残渣物を除去するポリマー除去ユニットSR、および(d)保持された基板Wに薬液を含む蒸気またはケミカルガスを含む蒸気を供給して基板Wを処理する気相洗浄ユニットVPから選択した任意の処理ユニットを取付けることができる。すなわち、フレーム300は、上記の複数種類(この実施形態では5種類)の処理ユニットに対する共通のプラットフォームを提供しており、複数種類(最大で4種類)の処理ユニットを任意に組み合わせて搭載することができるように構成されている。これにより、新材料に対応したプロセスや、微細化に対応したプロセスに容易に対応することができる。また、2種類の処理ユニットを搭載する場合に、処理タクトに合わせて、第1の種類の処理ユニットを1個搭載し、第2の種類の処理ユニットを3個搭載したり、第1の種類の処理ユニットを2個搭載し、第2の種類の処理ユニットを2個搭載したりすることもできる。
【0046】
この構成により、少なくとも2種類の処理ユニットが基板搬送ユニットとともに1台の基板処理システムに備えられることから、1台の基板処理システムで2種以上の処理を基板Wに対して連続的に施すことが可能となる。これにより、多品種少量生産に良好に対応することができる。また、複数の処理が要求される場合において連続的に基板Wに対して処理を施すことでスループットを向上させることができる。
【0047】
また、各処理ユニット(薬液処理ユニットMP、スクラブ洗浄ユニットSS、ポリマー除去ユニットSR、および気相洗浄ユニットVP)は、共通のベースユニットを基本骨格に有しており、ベースユニットは上記実施形態にかかる基板処理装置と同一の構成を備えている。そして、基板受渡し位置P3において基板搬送ロボット130との間で基板Wを受渡しするため高さ方向に共通の基板受渡し位置P3が設定される。したがって、どの処理ユニットを基板処理部PPに配置したとしても基板搬送ロボット130からのアクセスが変更なく行われる。
【0048】
基板搬送ロボット130は、インデクサロボット220から未処理の基板Wを受け取ることができ、かつ処理済の基板Wをインデクサロボット220に受け渡すことができる。また、基板搬送ロボット130は、ユニット配置部310,320,330,340に配置された処理ユニットおよび基板反転ユニット140にアクセスすることができ、これらとの間で相互に基板Wの受け渡しを行うことができるようになっている。
【0049】
より具体的には、例えば、基板搬送ロボット130は、当該基板処理部PPのフレーム300に固定された基台部と、この基台部に対して昇降可能に取付けられた昇降ベースと、この昇降ベースに対して鉛直軸回りの回転が可能であるように取付けられた回転ベースと、この回転ベースに取付けられた一対のハンドとを備えている。一対の基板保持ハンドは、それぞれ、上記回転ベースの回転軸線に対して近接/離反する方向に進退可能に構成されている。このような構成により、基板搬送ロボット130は、インデクサロボット220、ユニット配置部310,320,330,340に配置された処理ユニットおよび基板反転ユニット140のいずれかに対して基板保持ハンドを向け、その状態で基板保持ハンドを進退させることができ、これによって、基板Wの受け渡しを行うことができる。
【0050】
一対の基板保持ハンドは、一方を未処理の基板Wを保持するために用い、他方を処理済の基板Wを保持するために用いるように使い分けてもよい。また、一対の基板保持ハンドは、インデクサロボット220、ユニット配置部310,320,330,340に配置された処理ユニットおよび基板反転ユニット140との基板Wの受け渡しの際に、一方の基板保持ハンドで基板Wを相手から受け取り、次いで、他方の基板保持ハンドで基板Wを相手側に受け渡すように作動させるようにしてもよい。
【0051】
インデクサロボット220は、いずれかのカセットCから未処理の基板Wを取り出して基板搬送ロボット130に受け渡すとともに、基板搬送ロボット130から処理済の基板Wを受け取ってカセットCに収容するように動作する。処理済の基板Wは、当該基板Wが未処理の状態のときに収容されていたカセットCに収容されてもよいし、未処理の基板Wを収容するカセットCと処理済の基板Wを収容するカセットCとを分けておいて、未処理の状態のときに収容されていたカセットCとは別のカセットCに処理済の基板Wが収容されるようにしてもよい。
【0052】
基板搬送ロボット130によって、基板反転ユニット140に基板Wを搬入し、この基板Wの表裏を反転させることができるから、ユニット配置部310,320,330,340に配置された処理ユニットにおいて、基板Wのデバイス形成面(本発明の「基板表面」に相当)および非デバイス形成面(本発明の「基板裏面」に相当)のいずれに対しても処理を行わせることができる。
【0053】
この構成により、2種の処理ユニット間で基板Wの表裏を反転することができるので、基板Wの表裏それぞれの面に対して、2種の処理ユニットによる異なる処理を施すことができる。これにより、基板Wの両面それぞれに対して最適な処理を施すことができる。さらに詳しくは、ある処理ユニットに搬入して基板Wを反転させ、反転後の基板Wを別の処理ユニットに搬入して処理することで、基板Wの他方面に対する処理を行うことができる。これにより、基板Wの各面に適した処理を施すことができ、基板Wの両面を良好に処理することができる。
【0054】
このように構成された基板処理システムに対して、基板Wの表面(デバイス形成面)を上方に向けた状態で複数枚の基板Wを収容したカセットCがインデクサロボット220によりインデクサ部IDに搬送されてくると、以下のようにして各基板Wに対して処理を行う。ここでは、例えば、ユニット配置部310に上記実施形態にかかる基板処理装置の処理ユニットを配置して該処理ユニットにより基板の裏面(非デバイス形成面)および/または基板Wの表面(デバイス形成面)の周縁部を処理する場合における該システムの動作について説明する。
【0055】
まず、インデクサロボット220がカセットCからフェースアップ状態のまま基板Wを取出し、基板搬送ロボット130に受け渡した後、この基板搬送ロボット130が基板Wを基板反転ユニット140に搬送する(ローディング)。そして、この基板Wを受けた基板反転ユニット140は、基板Wを反転させた後、フェースダウン状態で、すなわちデバイス形成面を下方に向けた状態にして基板搬送ロボット130に受け渡す。この基板搬送ロボット130はユニット配置部310に配置された処理ユニット(例えば図1の基板処理装置の同一構成の処理ユニット)に搬入する。
【0056】
この処理ユニットでは、基板搬送ロボット130から未処理基板Wがベベルエッチング位置P1に搬送されてくると、基板搬送ロボット130から未処理基板Wを受け取る。そして、該処理ユニットは、上記した実施形態にかかる基板処理装置と同一動作を実行して基板表面(デバイス形成面)Wfの周縁部から不要物をエッチング除去するベベルエッチング処理を実行する。
【0057】
一連の処理が完了すると、ベベルエッチング位置P1から基板搬送ロボット130が処理済基板Wを受け取り、基板反転ユニット140に搬送する。そして、この基板反転ユニット140により基板Wをフェースアップ状態にした後、この基板Wを基板搬送ロボット130が受け取り、さらにインデクサロボット220に受け渡した後、このインデクサロボット220がカセットCに戻す(アンローディング)。なお、処理ユニットによる処理後、引き続き別の処理を実行させる場合は、処理内容に応じて基板搬送ロボット130は基板Wをそのままフェースダウン状態で、あるいは基板反転ユニット140に搬送することで基板Wをフェースアップ状態にした後に他の処理ユニット(薬液処理ユニットMP、スクラブ洗浄ユニットSS、ポリマー除去ユニットSR、および気相洗浄ユニットVP)に搬送する。
【0058】
なお、この実施形態にかかる基板処理システムでは、処理ユニットとして4つの処理ユニットを装備しているが、その個数や配置などについては任意である。また、基板処理システムとしては、上記実施形態にかかる基板処理装置と同一構成を有する処理ユニットと、該処理ユニットに基板を搬送する搬送ユニットとを少なくとも設けているものであれば、上記作用効果が得られる。したがって、処理ユニットおよび搬送ユニット以外に、他のユニットを追加して基板処理システムを構築するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
この発明は、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、光ディスク用基板などを含む基板全般の表面に対してベベルエッチング処理を施す基板処理装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】この発明にかかる基板処理装置の一実施形態を示す図である。
【図2】図1の基板処理装置の部分拡大図である。
【図3】図1の基板処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】メモリに記憶されたジョブデータを示す図である。
【図5】この発明にかかる基板処理装置の他の実施形態を示す図である。
【図6】この発明にかかる基板処理装置を用いて構成した基板処理システムの一実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
1…基板処理装置
4…制御ユニット(制御手段)
15A,15B…アクチュエータ(駆動手段)
16…薬液供給ユニット(薬液供給手段)
17…リンス液供給ユニット(リンス液供給手段)
41…メモリ(記憶部)
146…処理規定部材
GP…(基板の周縁部と処理規定部材とで挟まれた)空間
Wb…基板裏面
Wf…基板表面
W…基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する基板の表面の周縁部に薬液を供給して該周縁部の表面から不要物をエッチング除去する基板処理装置において、
前記基板の周縁部近傍にて、前記基板表面から所定の隙間だけ離間しながら前記基板表面に沿って移動自在に設けられた処理規定部材と、
前記処理規定部材を駆動して前記基板表面に沿って移動させる駆動手段と、
前記基板の周縁部と前記処理規定部材とで挟まれた空間に薬液を供給することによって該空間において前記薬液による液密状態を形成して前記基板の周縁部の表面から不要物をエッチング除去する薬液供給手段と、
前記駆動手段を制御して前記基板の周縁部に対する前記処理規定部材の相対位置を調整し、前記基板の周縁部における前記薬液によるエッチング幅を制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記エッチング処理の内容を規定する処理レシピとエッチング幅とを関連付けたジョブデータを複数個記憶する記憶部を備え、前記複数の処理レシピから選択された処理レシピで規定されるエッチング処理を実行する請求項1記載の基板処理装置であって、
前記制御手段は、選択された処理レシピに対応するジョブデータを前記記憶部から読出し、該ジョブデータに基づき前記処理規定部材を移動させてエッチング幅を制御する基板処理装置。
【請求項3】
前記空間にリンス液を供給することによって前記空間において前記リンス液による液密状態を形成して前記薬液によるエッチング処理を受けた前記基板の周縁部の表面にリンス処理を施すリンス液供給手段をさらに備える請求項1または2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記エッチング処理後でかつ前記リンス液供給手段によるリンス処理前に、前記処理規定部材が前記エッチング幅に対応する位置によりも前記基板の径方向内側に位置決めされるように前記駆動手段を制御する請求項3記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記処理規定部材に対して前記基板の径方向内側に配置され、前記基板表面に向けて前記処理規定部材側に気体を吐出することでベルヌーイ効果を発揮させる表面側気体吐出手段をさらに備えた請求項1ないし4のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記基板を挟んで前記処理規定部材の反対側に配置され、前記基板の裏面の周縁部に向けて気体を吐出する裏面側気体吐出手段をさらに備えた請求項1ないし5のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記駆動手段は前記処理規定部材を駆動して前記処理規定部材を前記基板表面とほぼ直交する方向に移動可能に構成され、しかも、
前記制御手段は前記駆動手段を制御して前記基板表面の周縁部と前記処理規定部材との隙間間隔を調整する請求項1ないし6のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項8】
回転する基板の表面の周縁部に薬液を供給して該周縁部の表面から不要物をエッチング除去する基板処理方法において、
前記基板の周縁部近傍にて、前記基板表面から所定の隙間だけ離間しながら前記基板表面に沿って処理規定部材を移動させて前記基板の周縁部に対する前記処理規定部材の相対位置を調整して前記処理規定部材を位置決めする位置決め工程と、
前記位置決め工程により位置決めされた前記処理規定部材と、前記基板の周縁部とで挟まれた空間に薬液を供給することによって該空間において前記薬液による液密状態を形成して前記基板の周縁部の表面から不要物をエッチング除去するエッチング工程と
を備えたことを特徴とする基板処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−41445(P2006−41445A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−223413(P2004−223413)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】