説明

基板処理装置および基板処理方法

【課題】厚みに面内分布が生じていても均一にエッチングすることができる基板処理装置および基板処理方法を提供する。
【解決手段】被処理物を保持して回転させる載置台22と、前記載置台22に保持された被処理物にエッチング液を供給するエッチング液供給部6と、前記エッチング液が供給された被処理物の厚み、または前記エッチング液が供給された被処理物に形成された膜の厚み、を測定する測定部25と、前記載置台22と、前記エッチング液供給部6と、前記測定部25と、を制御する制御部5とを備え、前記制御部5は、前記測定部25による測定結果に基づいて、前記エッチング液供給部6に所定の範囲より厚い厚みの部分に対してエッチング液を供給させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置やフラットパネルディスプレイなどの電子デバイスの製造においては、エッチング液を用いてエッチングすることによって、基板の厚みや基板の表面に形成された膜の厚みなどを所望の値にまで減じさせる処理が行われている。
例えば、エッチング液を用いてエッチングすることによって、ウェーハやガラス基板などの厚みや、ウェーハやガラス基板などの表面に形成された膜の厚みを所望の値にまで減じさせる処理が行われている。
【0003】
この様な基板処理においては、厚みを減じさせる処理と並行して厚みの測定を行い、測定された厚みに基づいてエッチング条件などが制御されている(例えば、特許文献1を参照)。
しかしながら、特許文献1に開示された技術においては、厚みに面内分布が生じることに関して考慮がされていなかった。そのため、膜の厚みや基板の厚みなどが不均一となり生産性が低下するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−100702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態は、生産性を向上させることができる基板処理装置および基板処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、被処理物を保持して回転させる載置部と、前記載置部に保持された被処理物にエッチング液を供給するエッチング液供給部と、前記エッチング液が供給された被処理物の厚み、または前記エッチング液が供給された被処理物に形成された膜の厚み、を測定する測定部と、前記載置部と、前記エッチング液供給部と、前記測定部と、を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記測定部による測定結果に基づいて、前記エッチング液供給部に所定の範囲より厚い厚みの部分に対してエッチング液を供給させること、を特徴とする基板処理装置が提供される。
【0007】
また、他の実施形態によれば、回転する被処理物にエッチング液を供給する工程と、前記エッチング液が供給された被処理物の厚み、または前記エッチング液が供給された被処理物に形成された膜の厚み、を測定する工程と、前記測定結果に基づいて、所定の範囲より厚い厚みの部分にエッチング液を供給する工程と、を備えたことを特徴とする基板処理方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、生産性を向上させることができる基板処理装置および基板処理方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施の形態に係る基板処理装置を例示する模式図である。
【図2】反射光の干渉現象を利用した厚み測定を例示するための模式図である。
【図3】厚みの面内分布の測定位置を例示するための模式図である。
【図4】第1の変形例を例示するための模式図である。
【図5】第2の変形例を例示するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本実施の形態に係る基板処理装置を例示する模式図である。
図1に示すように、基板処理装置1には、処理液供給部2、載置部3、測定部4、制御部5が設けられている。
処理液供給部2には、載置部3に保持された被処理物Wにエッチング液を供給するエッチング液供給部6と、載置部3に保持された被処理物Wに向けて洗浄液を供給する洗浄液供給部7と、被処理物Wに対するエッチング液と洗浄液との供給位置を変化させる位置変化部8と、が設けられている。
なお、本実施の形態においては、後述するように、エッチング液ノズル13の位置を変化させる駆動部8b(第2の駆動部)と、洗浄液ノズル21の位置を変化させる駆動部8bと、が共通化されている。
【0011】
エッチング液供給部6には、タンク9、送液配管10、送液部11、送液制御部12、エッチング液ノズル13、排出液配管14、排出液制御部15、廃液配管16が設けられている。
なお、エッチング液供給部6を構成するこれらの要素の少なくともエッチング液と接触する部分は、エッチング液に対する耐性の高い材料から形成されるものとすることができる。例えば、エッチング液がフッ化水素酸(フッ化水素の水溶液)である場合は、エッチング液と接触する部分が、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂やポリエチレンなどから形成されるものとすることができる。
【0012】
タンク9は、エッチング液を収納する。エッチング液としては、例えば、フッ化水素酸、バッファードフッ酸(フッ化水素とフッ化アンモニウムを含む水溶液)などを例示することができる。ただし、これらに限定されるものではなく被処理物Wにおける処理面の材質に応じて適宜変更することができる。
【0013】
送液配管10は、一端がエッチング液ノズル13に接続され、他端がタンク9内のエッチング液に浸漬する位置に設けられている。
送液部11は、送液配管10に設けられ、タンク9内に収納されたエッチング液をエッチング液ノズル13に供給する。送液部11は、例えば、エッチング液に対する耐性を有する薬液ポンプなどとすることができる。
送液制御部12は、送液配管10に設けられ、送液部11により送液されるエッチング液の供給と停止とを制御する。また、送液部11により送液されるエッチング液の流量を制御するようにすることもできる。
エッチング液ノズル13の開口端は後述する載置台22の載置面22aに向けて設けられており、被処理物Wの処理面にエッチング液を供給することができるようになっている。エッチング液ノズル13の開口端とは反対側の端部には送液配管10が接続されている。
【0014】
排出液配管14は、一端が後述する処理カップ24の排出口24bに接続され、他端がタンク9に接続されている。
排出液制御部15は、排出液配管14に設けられ、処理カップの排出口から排出された使用済みのエッチング液、使用済みの洗浄液の排出先を切り替える。例えば、使用済みのエッチング液をタンク9側に流し、エッチング液を回収、再利用するようにすることができる。ただし、必要に応じて、使用済みのエッチング液を廃液配管16側に流すようにすることもできる。また、使用済みの洗浄液を廃液配管16側に流すことで、タンク9内に使用済みの洗浄液が混入することを防止するようにすることができる。
【0015】
廃液配管16は、一端が排出液制御部15に接続され、他端が図示しない廃液タンクなどに接続されている。
【0016】
洗浄液供給部7には、タンク17、送液配管18、送液部19、送液制御部20、洗浄液ノズル21が設けられている。
タンク17は、洗浄液を収納する。洗浄液としては、例えば、純水、脱イオン化された純水などを例示することができる。ただし、これに限定されるわけではなく被処理物Wに供給されたエッチング液を洗い流すことができるものを適宜選択することができる。
【0017】
送液配管18は、一端が洗浄液ノズル21に接続され、他端がタンク17内の洗浄液に浸漬する位置に設けられている。
送液部19は、送液配管18に設けられ、タンク17内に収納された洗浄液を洗浄液ノズル21に供給する。送液部19は、例えば、洗浄液に対する耐性を有するポンプなどとすることができる。
【0018】
送液制御部20は、送液配管18に設けられ、送液部19により送液される洗浄液の供給と停止とを制御する。また、送液部19により送液される洗浄液の流量を制御するようにすることもできる。
洗浄液ノズル21の開口端は後述する載置台22の載置面22aに向けて設けられており、被処理物Wの処理面に洗浄液を供給することができるようになっている。洗浄液ノズル21の開口端とは反対側の端部には送液配管18が接続されている。
【0019】
位置変化部8には、アーム部8a、駆動部8bが設けられている。
アーム部8aは、エッチング液ノズル13の開口端と、洗浄液ノズル21の開口端とを載置台22の載置面22aに向けるようにしてエッチング液ノズル13、洗浄液ノズル21を保持する。また、アーム部8aの一端は駆動部8bに接続されている。
【0020】
駆動部8bは、例えば、サーボモータなどの制御モータなどから構成され、アーム部8aを移動させることで、載置面22aに対するエッチング液ノズル13の開口端位置と、洗浄液ノズル21の開口端位置とを変化させる。この場合、駆動部8bは、被処理物Wに対するエッチング液と洗浄液との供給位置を変化させるとともに、停止位置などの位置制御ができるようになっている。駆動部8bは、例えば、揺動方向および水平方向の少なくともいずれかの方向にアーム部8aを移動させるものとすることができる。また、アーム部8aをさらに鉛直方向に移動させるものとすることもできる。
【0021】
被処理物Wを保持して回転させる載置部3には、載置台22、駆動部23、処理カップ24が設けられている。
載置台22は円板状を呈し、一方の主面が被処理物Wを載置する載置面22aとなっている。載置面22aの周縁には、被処理物Wの周端を支持する支持部22bが設けられている。この場合、載置面22aに載置された被処理物Wを保持するバキュームチャックなどの図示しない保持部を設けるようにすることができる。ただし、図示しない保持部は必ずしも必要ではなく、支持部22bにより被処理物Wの周端を支持することで、載置面22aに載置された被処理物Wが保持されるようにしてもよい。
載置台22の他方の主面の中心には回転軸22cが設けられている。回転軸22cは駆動部23と接続され、載置面22aに保持された被処理物Wを回転軸22c周りに回転させることができるようになっている。
【0022】
駆動部23は、例えば、サーボモータなどの制御モータなどから構成され、載置台22を回転軸22c周りに回転させるとともに、回転数や、停止位置などの位置制御などができるようになっている。
処理カップ24は、載置台22の外周方向を覆うように設けられている。処理カップ24は、有底の円筒状を呈し、上面が開放されている。処理カップ24の底板の中央には、回転軸22cを挿通させるための孔24aが設けられている。底板には、排出口24bが設けられており、排出口24bには排出液配管14の一端が接続されている。処理カップ24の側壁上部には、エッチング液や洗浄液が処理カップ24の上面から飛散することを抑制するために、先端が処理カップ24の中心に向けて傾斜している傾斜部24cが設けられている。
【0023】
測定部4は、エッチング液が供給された被処理物Wの厚み、またはエッチング液が供給された被処理物Wに形成された膜の厚み、を測定する。
測定部4には、厚み測定部25、アーム部26、駆動部27(第1の駆動部)が設けられている。
厚み測定部25は、例えば、反射光の干渉現象を利用したものとすることができる。
図2は、反射光の干渉現象を利用した厚み測定を例示するための模式図である。
図2に示すように、被処理物Wに向けて照射された光Lは、被処理物Wの表面および裏面において反射される。
ここで、被処理物Wの表面において反射された反射光L1と、被処理物Wの裏面において反射された反射光L2とでは位相がずれることになる。すなわち、被処理物Wの内部を透過する分だけ反射光L2の光路長が長くなり、その分位相がずれることになる。そして、この光路長差による光の位相差により反射光L1と反射光L2とが干渉する。そのため、この干渉光を分析することで被処理物Wの厚みを測定することができる。この場合、例えば、干渉光のピーク位置などを分析することで被処理物Wの厚みを測定することができる。
【0024】
また、一例として被処理物Wの厚みを測定する場合を例示したが、被処理物Wの表面に形成された膜の厚みを測定することもできる。すなわち、膜の表面において反射された反射光と、膜の裏面において反射された反射光とによる干渉光のピーク位置などを分析することで膜の厚みを測定することができる。
【0025】
なお、厚み測定部25は反射光の干渉現象を利用したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
例えば、被処理物Wや膜の中を超音波が往復する時間によって厚みを測定するものとすることもできる。
【0026】
この場合、厚み測定部25は、光や超音波などの照射、受信のみを行い、後述する制御部5において厚みを演算するようにすることもできるし、厚み測定部25において厚みを演算しそのデータを制御部5に送るようにすることもできる。
【0027】
アーム部26は、厚み測定部25の測定面25aを載置台22の載置面22aに向けるようにして厚み測定部25を保持する。また、アーム部26の一端は駆動部27に接続されている。
【0028】
駆動部27は、例えば、サーボモータなどの制御モータなどから構成され、アーム部26を介して厚み測定部25の位置を変化させる。すなわち、厚みの測定位置を変化させる。この場合、駆動部27は、厚みの測定位置を変化させるとともに、停止位置などの位置制御ができるようになっている。駆動部27は、例えば、揺動方向および水平方向の少なくともいずれかの方向にアーム部26を移動させるものとすることができる。また、アーム部26をさらに鉛直方向に移動させるものとすることもできる。
【0029】
なお、厚み測定部25に振動をキャンセルする図示しない制震装置を設けたり、電気的なノイズを除去する図示しないノイズフィルタなどをさらに設けるようにすることができる。その様にすれば、厚みの測定精度を向上させることができる。
【0030】
制御部5は、駆動部8b、送液部11、送液制御部12、排出液制御部15、送液部19、送液制御部20、駆動部23、厚み測定部25、駆動部27と電気的に接続されている。そして、制御部5は、載置部3、エッチング液供給部6、洗浄液供給部7、測定部4を制御する。
また、制御部5は、厚み測定部25が光や超音波などの照射、受信のみを行う場合には厚みを演算する。
また、制御部5は、測定部4による測定結果に基づいて、エッチング液供給部6に所定の範囲より厚い厚みの部分に対してエッチング液を供給させる。すなわち、所定の範囲より厚い厚みの部分がある場合には、厚い厚みの部分の部分的な処理を行うようにエッチング液供給部6や載置部3などに設けられた各要素を制御する。
【0031】
なお、厚い厚みの部分の部分的な処理を行う際に、濃度や組成が異なるエッチング液を供給するようにすることもできる。この様な場合には、前述したタンク9、送液配管10、送液部11、送液制御部12などを複数組設け、供給されるエッチング液を切り替えるようにすればよい。
【0032】
また、制御部5は、被処理物Wと、厚み測定部25と、の相対的な位置を変化させることで、複数の測定位置における厚みの測定を行わせる。
また、制御部5は、被処理物Wと、エッチング液ノズル13と、の相対的な位置を変化させることで、複数の位置における厚い厚みの部分にエッチング液を供給させる。
なお、部分的な処理などに関する詳細については後述する。
【0033】
次に、基板処理装置1の作用について例示をする。
まず、図示しない搬入搬出手段などにより被処理物Wが載置台22の載置面22aに載置される。載置面22aに載置された被処理物Wは、バキュームチャックなどの図示しない保持部により保持される。なお、バキュームチャックなどの図示しない保持部が設けられていない場合には、支持部22bにより被処理物Wの周端が支持されることで、載置面22aに載置された被処理物Wが保持される。また、被処理物Wの周端が支持部22bにより支持される。そのため、載置台22が回転した際に被処理物Wの位置がずれることを抑制することができる。
【0034】
次に、駆動部23により回転軸22cを回転させることで、載置面22aに保持された被処理物Wを所定の回転数(例えば、100〜1500rpm(revolutions per minute))で回転させる。
そして、送液部11により、送液配管10を介してタンク9内に収納されたエッチング液がエッチング液ノズル13に向けて送液される。この際、送液制御部12により送液されるエッチング液の流量が所定の値となるように制御される。
【0035】
送液されたエッチング液はエッチング液ノズル13の開口端から被処理物Wの処理面全体に供給される。この際、位置変化部8により被処理物Wに対するエッチング液の供給位置が制御される。例えば、エッチング液ノズル13の開口端を、回転する被処理物Wの回転半径方向に移動させながらエッチング液を供給したり、被処理物Wの回転中心付近の上方にエッチング液ノズル13の開口端を固定した状態でエッチング液を供給したりすることができる。
被処理物Wの処理面に供給されたエッチング液により、処理面に対する処理が行われる。すなわち、被処理物Wまたは被処理物Wの表面に形成された膜の厚みを減じさせる処理が行われる。
【0036】
厚みを減じさせる処理に用いられたエッチング液は遠心力により被処理物Wの径外方向に排出される。被処理物Wの径外方向に排出されたエッチング液は、処理カップ24により飛散が抑制され、処理カップ24の底板上に集められる。底板上に集められたエッチング液は、排出口24b、排出液配管14を介してタンク9内に回収される。この際、排出液制御部15によりエッチング液の排出先を切り替えることができる。例えば、使用済みのエッチング液をタンク9側に流すようにすることもできるし、廃液配管16側に流すようにすることもできる。この場合、使用済みのエッチング液をタンク9側に流すようにすればエッチング液の再利用を図ることができる。また、使用済みのエッチング液を廃液配管16側に流すようにすればエッチング液の成分比の安定や汚染の抑制などを図ることができる。
【0037】
次に、測定部4により被処理物Wまたは被処理物Wの表面に形成された膜の厚みが測定される。この際、駆動部27によりアーム部26を移動させることで、厚み測定部25による厚みの測定位置を変化させることができる。
この場合、厚み測定部25は、光や超音波などの照射、受信のみを行い、制御部5において厚みを演算するようにすることもできるし、厚み測定部25において厚みを演算しそのデータを制御部5に送るようにすることもできる。
また、厚み測定部25による厚みの測定は、エッチング液が供給されている最中に行われる。
厚みの測定位置は、予め定められた被処理物W上の1箇所としてもよいし、複数の箇所としてもよい。例えば、駆動部27によりアーム部26を移動させることで、厚み測定部25を複数の箇所に移動させ、各移動先において厚みの測定を行うようにすることができる。なお、複数の箇所において厚みの測定を行う場合には、平均値を厚みの測定値として採用することもできる。
【0038】
なお、厚みの時間変化から処理の終点を予測するようにすることもできる。例えば、所定の期間の間に測定された厚みの変化からエッチングレートを求め、このエッチングレートに基づいて処理の終点を予測するようにすることもできる。
【0039】
測定された厚みが所定の範囲内となった場合、または予測された終点に到達した場合には、被処理物Wの処理面へのエッチング液の供給が停止される。この場合、送液部11による送液を停止し、送液制御部12によりエッチング液の流通を遮断することで被処理物Wの処理面へのエッチング液の供給を停止するようにすることができる。
【0040】
次に、測定部4により被処理物Wまたは被処理物Wの表面に形成された膜の厚みの面内分布を測定する。この際、厚み測定部25の位置と、被処理物Wの回転方向の位置とを変化させて、厚みの面内分布を測定するようにすることができる。
【0041】
図3は、厚みの面内分布の測定位置を例示するための模式図である。
なお、図中の測定点100〜測定点111は測定位置を表している。また、周縁側に設けられた測定点100〜測定点107は被処理物Wの中心からそれぞれ同じ距離にあり、中心側に設けられた測定点108〜測定点111は被処理物Wの中心からそれぞれ同じ距離にある。
【0042】
この様な場合、例えば、厚み測定部25を測定点100の直上に移動させ測定点100における厚みを測定し、被処理物Wの回転方向の位置を変化させることで測定点101〜測定点107における厚みを順次測定するようにすることができる。そして、次に、厚み測定部25を測定点108の直上に移動させ測定点108における厚みを測定し、被処理物Wの回転方向の位置を変化させることで測定点109〜測定点111における厚みを順次測定するようにすることができる。なお、測定点の数、位置などは例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【0043】
また、被処理物Wを回転させ測定点が厚み測定部25の直下を通過する際に、被処理物Wと厚み測定部25との相対速度がほぼ無くなるように厚み測定部25を移動させつつ厚みの測定を行うようにすることもできる。
また、厚みの面内分布の傾向が予め分かっている場合には、測定点を限定することで測定の迅速化を図ることができる。
【0044】
次に、所定の範囲より厚い厚みの部分がある場合には、厚い厚みの部分の部分的な処理を行う。
例えば、厚い厚みの部分の直上にエッチング液ノズル13の開口端が位置するようにエッチング液ノズル13の開口端位置、被処理物Wの回転方向位置を移動させ、所定量のエッチング液を厚い厚みの部分に供給するようにすることができる。
この厚い厚みの部分の部分的な処理の最中は、被処理物Wを回転させずに所定量のエッチング液を厚い厚みの部分に供給するようにすることができる。なお、厚い厚みの部分が被処理物Wの中心(回転中心)から同じ距離にある場合には、被処理物Wを回転させつつ所定量のエッチング液を供給するようにすることもできる。
【0045】
なお、厚い厚みの部分の部分的な処理の終点検出は、例えば、時間管理によるものとすることもできるし、厚み測定部25により再度厚みを測定することによるものとすることもできる。
【0046】
また、厚い厚みの部分の部分的な処理を行う際に、濃度や組成が異なるエッチング液を供給するようにすることもできる。例えば、エッチング能力の高いエッチング液(例えば、濃度の高いエッチング液など)を供給するものとすれば、供給量を少なくすることができるので、エッチング液が供給される範囲を限定することができる。また、エッチング能力の低いエッチング液(例えば、濃度の低いエッチング液など)を供給するものとすれば、処理精度を向上させることができる。
【0047】
次に、必要に応じて洗浄液による洗浄(リンス処理)を行う。
洗浄液による洗浄を行う際には、まず、駆動部23により回転軸22cを回転させることで、載置面22aに保持された被処理物Wを所定の回転数(例えば、100〜1500rpm(revolutions per minute))で回転させる。
そして、送液部19により、送液配管18を介してタンク17内に収納された洗浄液が洗浄液ノズル21に向けて送液される。この際、送液制御部20により送液される洗浄液の流量が所定の値となるように制御される。
【0048】
送液された洗浄液は洗浄液ノズル21の開口端から被処理物Wの処理面に供給される。この際、位置変化部8により被処理物Wに対する洗浄液の供給位置が制御される。
例えば、洗浄液ノズル21の開口端を、回転する被処理物Wの回転半径方向に移動させながら洗浄液を供給したり、被処理物Wの回転中心付近の上方に洗浄液ノズル21の開口端を固定した状態で洗浄液を供給したりすることができる。
被処理物Wの処理面に供給された洗浄液により、処理面に残留しているエッチング液が洗い流される。
【0049】
洗浄に用いられた洗浄液は遠心力により被処理物Wの径外方向に排出される。被処理物Wの径外方向に排出された洗浄液は、処理カップ24により飛散が抑制され、処理カップ24の底板上に集められる。底板上に集められた洗浄液は、排出口24b、排出液配管14、排出液制御部15、廃液配管16を介して図示しない廃液タンクなどに排出される。この際、排出液制御部15により洗浄液の排出先を切り替えることで使用済みの洗浄液が廃液配管16側へ排出されるようにされる。そのため、タンク9内に使用済みの洗浄液が混入することを防止することができる。
なお、洗浄液による洗浄は、厚みの面内分布を測定する前にも行うようにすることができる。
【0050】
本実施の形態によれば、厚みを減じさせる処理を行った際に厚みに面内分布が生じたとしても厚い厚みの部分を部分的に再度処理することができるので、厚みの均一化を図ることができる。そのため、歩留まりを向上させることができ、ひいては生産性を向上させることができる。
【0051】
図4は、第1の変形例を例示するための模式図である。
図4に示すように、第1の変形例に係る基板処理装置1aには、ガス供給部31がさらに設けられている。
ガス供給部31には、ガス供給源28、開閉部29、制御部30、配管32が設けられている。
【0052】
ガス供給源28は、窒素ガス、乾燥空気などを供給する。例えば、高圧の窒素ガス、乾燥空気などが収納された高圧ボンベなどとすることができる。ガス供給源28は、配管32を介して厚み測定部25と接続され、測定面25aの近傍が供給された窒素ガス、乾燥空気などのガスにより覆われるようになっている。
【0053】
開閉部29は、配管32に設けられ、ガスの供給と停止とを制御する。
制御部30は、配管32に設けられ、供給されるガスの流量や圧力などを制御する。
開閉部29と制御部30とは制御部5と電気的に接続され、制御部5によりそれぞれの動作が制御されるようになっている。
【0054】
回転する被処理物Wに供給されたエッチング液や洗浄液が厚み測定部25の測定面25aに付着すると、厚みの測定が困難となったり、測定精度が低下したりするおそれがある。本実施の形態においては、測定面25aの近傍が供給された窒素ガス、乾燥空気などのガスにより覆われるようになっているので、エッチング液や洗浄液が測定面25aに付着することを抑制することができる。
【0055】
図5は、第2の変形例を例示するための模式図である。
図5に示すように、第2の変形例に係る基板処理装置1bには、測定部カバー25bがさらに設けられている。
測定部カバー25bは、厚み測定部25を覆うようにして設けられている。測定部カバー25bの載置面22a側の端部は開放されているものとすることができる。この場合、厚みの測定に影響がでない程度に開口寸法を最小限のものとすることが好ましい。
また、厚みの測定に影響がでないのであれば、載置面22a側の端部を透明体などで塞ぐこともできる。
【0056】
前述したように、回転する被処理物Wに供給されたエッチング液や洗浄液が厚み測定部25の測定面25aに付着すると、厚みの測定が困難となったり、測定精度が低下したりするおそれがある。
本実施の形態においては、厚み測定部25を覆うようにして測定部カバー25bを設けているので、エッチング液や洗浄液が測定面25aに付着することを抑制することができる。
【0057】
また、前述したガス供給部31をさらに設けるようにしてもよい。その様にすれば、エッチング液や洗浄液が測定面25aに付着することをさらに抑制することができる。また、測定部カバー25bの内部に窒素ガス、乾燥空気などのガスを供給するものとすれば、供給されたガスの散逸を抑制することができるのでガスの消費量を抑制することができる。
【0058】
次に、本実施の形態に係る基板処理方法について例示をする。
前述した基板処理装置の作用において例示をしたように、本実施の形態に係る基板処理方法は、回転する被処理物にエッチング液を供給する工程と、エッチング液が供給された被処理物の厚み、またはエッチング液が供給された被処理物に形成された膜の厚み、を測定する工程と、測定結果に基づいて、所定の範囲より厚い厚みの部分にエッチング液を供給する工程と、を備えたものとすることができる。
【0059】
また、厚みを測定する工程において、厚みの測定位置を変化させることで、複数の測定位置における厚みの測定が行われるようにすることができる。
また、厚い厚みの部分にエッチング液を供給する工程において、複数の位置における厚い厚みの部分にエッチング液が供給されるようにすることができる。
なお、これらの各工程の内容については、前述した基板処理装置の作用において例示をしたものと同様のため詳細な説明は省略する。
【0060】
以上、実施の形態について例示をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、基板処理装置1、1a、1bなどが備える各要素の形状、寸法、材質、数、配置などは、例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0061】
1 基板処理装置、2 処理液供給部、3 載置部、4 測定部、5 制御部、6 エッチング液供給部、7 洗浄液供給部、8 位置変化部、22 載置台、23 駆動部、24 処理カップ、25 厚み測定部、25a 測定面、25b 測定部カバー、26 アーム部、27 駆動部、28 ガス供給源、29 開閉部、30 制御部、31 ガス供給部、W 被処理物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物を保持して回転させる載置部と、
前記載置部に保持された被処理物にエッチング液を供給するエッチング液供給部と、
前記エッチング液が供給された被処理物の厚み、または前記エッチング液が供給された被処理物に形成された膜の厚み、を測定する測定部と、
前記載置部と、前記エッチング液供給部と、前記測定部と、を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記測定部による測定結果に基づいて、前記エッチング液供給部に所定の範囲より厚い厚みの部分に対してエッチング液を供給させること、を特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記測定部は、厚み測定部と、前記厚み測定部の位置を変化させる第1の駆動部と、を備え、
前記制御部は、前記被処理物と前記厚み測定部との相対的な位置を変化させることで、複数の測定位置における厚みの測定を行わせること、を特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記エッチング液供給部は、エッチング液ノズルと、前記エッチング液ノズルの位置を変化させる第2の駆動部と、を備え、
前記制御部は、前記被処理物と前記エッチング液ノズルとの相対的な位置を変化させることで、複数の位置における前記厚い厚みの部分にエッチング液を供給させること、を特徴とする請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
回転する被処理物にエッチング液を供給する工程と、
前記エッチング液が供給された被処理物の厚み、または前記エッチング液が供給された被処理物に形成された膜の厚み、を測定する工程と、
前記測定結果に基づいて、所定の範囲より厚い厚みの部分にエッチング液を供給する工程と、を備えたことを特徴とする基板処理方法。
【請求項5】
前記厚みを測定する工程において、厚みの測定位置を変化させることで、複数の前記測定位置における厚みの測定が行われること、を特徴とする請求項4記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記厚い厚みの部分にエッチング液を供給する工程において、複数の位置における前記厚い厚みの部分にエッチング液が供給されること、を特徴とする請求項4または5に記載の基板処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−4294(P2012−4294A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−137135(P2010−137135)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】