説明

基板処理装置および基板処理方法

【課題】処理液で濡れた基板表面をIPAなどの低表面張力溶剤を用いて乾燥させる基板処理装置および基板処理方法において、乾燥処理の効率化を図る。
【解決手段】遮断部材90と基板表面Wfとの間に形成される間隙空間SPに環状気体吐出口99aから低露点空気を供給しつつ溶剤吐出口97aから低表面張力溶剤を吐出させて基板表面Wfの処理液を低表面張力溶剤で置換するのに続いて、溶剤吐出口97aからの低表面張力溶剤の吐出を停止させるとともに、環状気体吐出口99aから間隙空間SPへの低露点空気の供給を継続させたまま、基板Wの表面中央部に向けて中央気体吐出口98aから乾燥用ガスを吹きつけ、さらに基板Wを高速回転させて低表面張力溶剤を基板表面Wfから除去して該基板表面Wfを乾燥させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板表面に処理液を供給して該基板表面に対して所定の湿式処理を施した後、処理液で濡れた基板表面を乾燥させる基板処理装置および基板処理方法に関するものである。なお、乾燥処理対象となる基板には、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(電界放出ディスプレイ:Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板等が含まれる。
【背景技術】
【0002】
薬液による薬液処理および純水などのリンス液によるリンス処理が行われた後、基板表面に付着するリンス液を除去すべく、数多くの乾燥方法が従来より提案されている。そのうちのひとつとして、純水よりも表面張力が低いIPA(イソプロピルアルコール:isopropyl alcohol)などの有機溶剤成分を含む液体(低表面張力溶剤)を用いた乾燥方法が知られている。この乾燥方法としては、例えば特許文献1に記載された乾燥方法がある。この乾燥方法を実行する基板処理装置では、基板表面に対してフッ酸処理を行った後、純水を基板表面に供給して洗浄処理(リンス処理)を施している。次いで、純水の供給停止後に途切れることなくあるいは純水を供給している途中から基板の表面にIPA液を供給している。これにより、基板表面上の純水にIPA液が溶解して純水がIPA液により置換される。その後、基板が高速回転されることによって基板表面からIPA液が除去され、基板表面の乾燥処理が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−38595号公報(図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、基板表面の直上空間、つまり基板表面の周囲雰囲気における湿度が比較的高い場合には、次のような問題が発生する。すなわち、基板表面にIPA液を供給する際に基板表面の周囲雰囲気の湿度が比較的高い場合には、当該周囲雰囲気に含まれる水分がIPA液に吸湿される一方、基板を高速回転させて基板表面からIPA液を除去する際にIPA液に吸湿された水分が基板表面に残留してウォーターマークが発生したり、基板表面上の微細パターン内に水分が残留してパターン倒壊を引き起こすことがあった。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、処理液で濡れた基板表面をIPAなどの低表面張力溶剤を用いて乾燥させる基板処理装置および基板処理方法において、基板表面にウォーターマークが発生したり、基板表面上のパターンが倒壊するなどの不具合を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明にかかる基板処理装置は、上記目的を達成するため、基板表面に処理液を供給して該基板表面に対して所定の湿式処理を施した後、処理液よりも表面張力が低い低表面張力溶剤を基板表面に供給してから該低表面張力溶剤を基板表面から除去することによって基板表面を乾燥させる基板処理装置において、基板を略水平姿勢で保持する基板保持手段と、基板保持手段に保持された基板を所定の回転軸回りに回転させる基板回転手段と、基板保持手段に保持された基板に対向しながら基板表面から離間配置された遮断部材と、遮断部材と基板表面との間に形成される間隙空間に低露点空気を供給する低露点空気供給手段と、間隙空間に乾燥用ガスを供給する乾燥用ガス供給手段とを備えた基板処理装置において、遮断部材は、基板の表面中央部へ低表面張力溶剤を吐出する溶剤吐出口と、乾燥用ガス供給手段からの乾燥用ガスを基板表面の中央部に向けて吐出する中央気体吐出口と、低露点空気供給手段からの低露点空気を間隙空間に供給するとともに、溶剤吐出口および中央気体吐出口に対して径方向外側に、しかも溶剤吐出口および中央気体吐出口を取り囲むように環状に形成された環状気体吐出口とを有しており、溶剤吐出口から低表面張力溶剤を吐出しながら、環状気体吐出口から間隙空間に低露点空気が供給されるのに続き、溶剤吐出口からの低表面張力溶剤の吐出を停止させるとともに、環状気体吐出口から間隙空間への低露点空気の供給を継続させたまま、基板の表面中央部に向けて中央気体吐出口から乾燥用ガスを吹きつけ、さらに基板回転手段により基板を高速回転させて低表面張力溶剤を基板表面から除去して該基板表面を乾燥させることを特徴としている。
【0007】
また、この発明にかかる基板処理方法は、上記目的を達成するため、略水平姿勢で保持された基板を回転させながら基板の表面に処理液を供給して基板表面に対して所定の湿式処理を施す湿式処理工程と、処理液よりも表面張力が低い低表面張力溶剤を基板の表面中央部に吐出する溶剤吐出口を有する遮断部材を、処理液で濡れた基板表面に対向しながら基板表面から離間配置させた状態で、基板表面に溶剤吐出口から低表面張力溶剤を吐出させて基板表面に付着している処理液を低表面張力溶剤に置換させる置換工程と、置換工程後に基板を高速回転させて低表面張力溶剤を基板表面から除去して該基板表面を乾燥させるスピン乾燥工程とを備えた基板処理方法において、遮断部材は、乾燥用ガスを基板の表面中央部に向けて吐出する中央気体吐出口と、遮断部材と基板表面との間に形成される間隙空間に低露点空気を供給するとともに、溶剤吐出口および中央気体吐出口に対して径方向外側に、しかも溶剤吐出口および中央気体吐出口を取り囲むように環状に形成された環状気体吐出口とをさらに有しており、置換工程では、環状気体吐出口から間隙空間に低露点空気を供給し、置換工程とスピン乾燥工程との間に、低表面張力溶剤の供給を停止させるとともに、環状気体吐出口から間隙空間への低露点空気の供給を継続させたまま、基板の表面中央部に向けて中央気体吐出口から乾燥用ガスを吹きつける乾燥前処理工程を実行することを特徴としている。
【0008】
このように構成された発明(基板処理装置および方法)では、遮断部材が基板表面に対向しながら基板表面から離間配置された状態で低表面張力溶剤が遮断部材の溶剤吐出口から基板の表面中心部に吐出される。これによって、基板表面に付着している処理液が低表面張力溶剤に置換される。また、こうして低表面張力溶剤が吐出されて置換処理が実行されている間、低露点空気(CDA:Clean Dry Air)が遮断部材と基板表面との間に形成される間隙空間に供給される。したがって、基板表面の周囲雰囲気が低湿度雰囲気に保られて低表面張力溶剤が吐出されて低表面張力溶剤への水分の吸湿が抑制される。その結果、基板表面から低表面張力溶剤を除去して基板表面を乾燥させた際に水分が基板表面に残留するのを確実に防止することができ、ウォーターマークやパターン倒壊が効果的に抑制される。
【0009】
ここで、低表面張力溶剤を吐出している間のみならず、基板の乾燥を行っている間も低露点空気を吐出して基板表面の周囲雰囲気を低湿度雰囲気に保ちながら基板をスピン乾燥させてもよく、これによって基板の乾燥速度を向上させることができる。また、基板表面から除去された低表面張力溶剤が基板表面へ跳ね返るのを抑制でき、基板表面へのパーティクル付着を低減することができる。なお、スピン乾燥時に低露点空気の代わりに不活性ガスを供給してもよく、この場合には上記作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。つまり、基板表面の周囲雰囲気から低表面張力溶剤への酸素の溶解を低減することができるため、低表面張力溶剤の溶存酸素濃度の上昇を抑制することができる。その結果、基板表面に酸化膜が形成されたり、ウォーターマークが発生するのをより効果的に防止することができる。
【0010】
また、低露点空気供給手段からの低露点空気を基板表面の中央部に向けて吐出する中央気体吐出口を遮断部材に設けてもよい。このように遮断部材に対して溶剤吐出口のみならず中央気体吐出口をさらに設けているので、基板表面の中央部に向けて低表面張力溶剤と低露点空気をそれぞれ吐出することが可能となっている。したがって、遮断部材を基板表面に対向配置した状態で間隙空間に低露点空気を確実に供給することができる。
【0011】
また、基板表面の乾燥前に溶剤吐出口から低表面張力溶剤を吐出させて基板表面全体にパドル状の低表面張力溶剤による溶剤層を形成した後に、中央気体吐出口から基板の表面中央部に低露点空気を吐出させて溶剤層の中央部にホールを形成するとともにホールを基板の端縁方向に拡大させて基板表面を乾燥させてもよい。この構成によれば、基板乾燥時に基板の表面中央部に低表面張力溶剤が液滴状に残り、筋状パーティクルとなってウォーターマークが発生するのを確実に防止することができる。すなわち、基板を回転させて基板表面に付着する低表面張力溶剤を除去して乾燥させる際には、低表面張力溶剤に作用する遠心力は基板の表面中央部に位置する低表面張力溶剤ほど小さく、基板の表面端縁部から乾燥されていく。このとき、基板の表面中央部からその周囲にかけて液滴が残って、該液滴が基板の端縁方向に走り、この液滴の移動跡にウォーターマークが発生してしまうことがあった。これに対して、この発明によれば、上記したように基板表面の乾燥前に予め基板表面に形成したパドル状の低表面張力溶剤による溶剤層の中央部にホールを形成して該ホールを拡大させていくことにより基板の表面中央部に位置する低表面張力溶剤を排除しているので、ウォーターマークの発生を確実に防止できる。
【0012】
また、基板保持手段に保持された基板の表面中央部へ処理液を吐出する処理液吐出口と、低露点空気供給手段からの低露点空気を間隙空間に供給する環状気体吐出口を遮断部材に設けてもよい。特に、環状気体吐出口については、処理液吐出口、溶剤吐出口および中央気体吐出口に対して径方向外側に、しかも処理液吐出口、溶剤吐出口および中央気体吐出口を取り囲むように環状に形成するのが望ましい。この構成によれば、基板表面に向けて低露点空気を吐出する2種類の気体吐出口が遮断部材に設けられているので、例えば次のようにして低露点空気の用途に応じて適切な流量および流速で低露点空気を基板表面に向けて供給することができる。すなわち、(1)基板表面の周囲雰囲気を低露点空気雰囲気に保つには、基板表面上の液体を吹き飛ばすことのないように比較的大流量かつ低速で低露点空気を供給することが望まれる。その一方で、(2)基板表面上の低表面張力溶剤による溶剤層を基板表面から除去する際には、基板の表面中央部に比較的小流量かつ高速で低露点空気を供給することが望まれる。したがって、2種類の気体吐出口、つまり基板の表面中央部に向けて低露点空気を吐出する中央気体吐出口と、該中央気体吐出口に対して径方向外側に、しかも環状に形成されて間隙空間に低露点空気を供給する環状気体吐出口とを遮断部材に設けることで、互いに流量および流速が異なる低露点空気を各吐出口から吐出させることができる。このため、上記(1)および(2)のいずれの場合にも、適切な流量および流速で低露点空気を基板表面に向けて供給することができる。
【0013】
また、溶剤吐出口の口径は処理液吐出口の口径より小さくすることが好ましい。この構成によれば、次のような不具合の発生を防止できる。すなわち、低表面張力溶剤は処理液に比較して表面張力が低い。このため、処理液吐出用に形成された口径と同一口径の溶剤吐出口から低表面張力溶剤を吐出する場合には、低表面張力溶剤の吐出停止後、低表面張力溶剤が溶剤吐出口から落下するおそれがある。これに対して、本発明のように、低表面張力溶剤吐出用に溶剤吐出口の口径を処理液吐出口の口径より小さく形成することで、溶剤吐出口から低表面張力溶剤が落下するという不具合を防止できる。
【0014】
また、遮断部材を基板の回転軸回りに回転させてもよい。この構成によれば、間隙空間に巻き込み気流が発生するのを抑制することができる。これにより、湿式処理や置換処理を実行する際に、ミスト状の処理液や低表面張力溶剤が間隙空間に侵入して基板表面に付着するのを防止できる。また、湿式処理や置換処理を実行する際に、遮断部材のうち基板表面と対向する基板対向面に付着する処理液や低表面張力溶剤を振り切り、基板対向面に処理液や低表面張力溶剤が滞留するのを防止できる。
【0015】
なお、本発明に用いられる「低表面張力溶剤」としては、アルコール系有機溶剤や、HFE(ハイドロフルオロエーテル:hydrofluoroether)、アセトン(acetone)およびTrans-1,2ジクロロエチレン(trans 1,2-dichloroethylene)などを用いることができる。また、アルコール系有機溶剤としては、安全性、価格等の観点からイソプロピルアルコール、エチルアルコールまたはメチルアルコールを用いることができるが、特にイソプロピルアルコール(IPA)が好適である。また、低表面張力溶剤としては、単体成分のみからなる場合だけではなく、他の成分と混合した液であってもよい。例えば、IPAと純水の混合液であってもよいし、IPAとHFEの混合液であってもよい。
【0016】
また、低露点空気とは半導体装置や液晶表示装置などの電子部品を製造するプロセスに適合するように調湿・調温された空気を意味しており、例えば相対湿度10.5%(露点温度が約−10゜C)以下に減湿された空気である。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、低表面張力溶剤を吐出している間、遮断部材と基板表面との間に形成される間隙空間に低露点空気を吐出して基板表面の周囲雰囲気を低湿度雰囲気に保っているので、低表面張力溶剤への水分の吸湿を抑えることができる。そのため、基板表面から低表面張力溶剤を除去して基板表面を乾燥させた際に水分が基板表面に残留するのを確実に防止することができる。その結果、基板乾燥時にウォーターマークやパターン倒壊が発生するのを効果的に抑制することができ、基板乾燥を良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明にかかる基板処理装置の一実施形態を示す図である。
【図2】図1の基板処理装置の主要な制御構成を示すブロック図である。
【図3】図1の基板処理装置に装備された遮断部材の要部を示す縦断面図である。
【図4】図3のA―A’線断面図である。
【図5】図1の基板処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】図1の基板処理装置の動作を示す模式図である。
【図7】この発明にかかる基板処理装置の他の実施形態を示す図である。
【図8】図7の基板処理装置の動作を示す模式図である。
【図9】この発明にかかる基板処理装置の別の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1はこの発明にかかる基板処理装置の一実施形態を示す図である。また、図2は図1の基板処理装置の主要な制御構成を示すブロック図である。この基板処理装置は半導体ウエハ等の基板Wの表面Wfに付着している不要物を除去するための洗浄処理に用いられる枚葉式の基板処理装置である。より具体的には、基板表面Wfに対してフッ酸などの薬液による薬液処理および純水やDIW(deionized water)などのリンス液によるリンス処理を施した後、リンス液で濡れた基板表面Wfを乾燥させる装置である。なお、この実施形態では、基板表面Wfとはpoly−Si等からなるデバイスパターンが形成されたパターン形成面をいう。
【0020】
この基板処理装置は、基板表面Wfを上方に向けた状態で基板Wを略水平姿勢に保持して回転させるスピンチャック1と、スピンチャック1に保持された基板Wの表面Wfに向けて薬液を吐出する薬液吐出ノズル3と、スピンチャック1の上方位置に配置に配置された遮断部材9とを備えている。
【0021】
スピンチャック1は、回転支軸11がモータを含むチャック回転機構13の回転軸に連結されており、チャック回転機構13の駆動により回転軸J(鉛直軸)回りに回転可能となっている。これら回転支軸11、チャック回転機構13は、円筒状のケーシング2内に収容されている。回転支軸11の上端部には、円盤状のスピンベース15が一体的にネジなどの締結部品によって連結されている。したがって、装置全体を制御する制御ユニット4からの動作指令に応じてチャック回転機構13を駆動させることによりスピンベース15が回転軸J回りに回転する。このように、この実施形態では、チャック回転機構13が本発明の「基板回転手段」として機能する。
【0022】
スピンベース15の周縁部付近には、基板Wの周縁部を把持するための複数個のチャックピン17が立設されている。チャックピン17は、円形の基板Wを確実に保持するために3個以上設けてあればよく、スピンベース15の周縁部に沿って等角度間隔で配置されている。チャックピン17のそれぞれは、基板Wの周縁部を下方から支持する基板支持部と、基板支持部に支持された基板Wの外周端面を押圧して基板Wを保持する基板保持部とを備えている。各チャックピン17は、基板保持部が基板Wの外周端面を押圧する押圧状態と、基板保持部が基板Wの外周端面から離れる解放状態との間を切り替え可能に構成されている。
【0023】
スピンベース15に対して基板Wが受渡しされる際には、複数個のチャックピン17を解放状態とし、基板Wに対して洗浄処理を行う際には、複数個のチャックピン17を押圧状態とする。押圧状態とすることによって、複数個のチャックピン17は基板Wの周縁部を把持してその基板Wをスピンベース15から所定間隔を隔てて略水平姿勢に保持することができる。これにより、基板Wはその表面(パターン形成面)Wfを上方に向け、裏面Wbを下方に向けた状態で支持される。このように、この実施形態では、チャックピン17が本発明の「基板保持手段」として機能する。なお、基板保持手段としてはチャックピン17に限らず、基板裏面Wbを吸引して基板Wを支持する真空チャックを用いてもよい。
【0024】
薬液吐出ノズル3は、薬液バルブ31を介して薬液供給源と接続されている。このため、制御ユニット4からの制御指令に基づいて薬液バルブ31が開閉されると、薬液供給源から薬液が薬液吐出ノズル3に向けて圧送され、薬液吐出ノズル3から薬液が吐出される。なお、薬液にはフッ酸またはBHF(Buffered Hydrofluoric acid:バッファードフッ酸)などが用いられる。また、薬液吐出ノズル3にはノズル移動機構33(図2)が接続されており、制御ユニット4からの動作指令に応じてノズル移動機構33が駆動されることで、薬液吐出ノズル3を基板Wの回転中心の上方の吐出位置と吐出位置から側方に退避した待機位置との間で往復移動させることができる。
【0025】
遮断部材9は、板状部材90と、内部が中空に仕上げられ、板状部材90を支持する回転支軸91と、回転支軸91の中空部に挿通された内挿軸95とを有している。板状部材90は、中心部に開口部を有する円盤状の部材であって、スピンチャック1に保持された基板Wの表面Wfに対向配置されている。板状部材90は、その下面(底面)90aが基板表面Wfと略平行に対向する基板対向面となっており、その平面サイズは基板Wの直径と同等以上の大きさに形成されている。板状部材90は略円筒形状を有する回転支軸91の下端部に略水平に取り付けられ、回転支軸91は水平方向に延びるアーム92により基板Wの中心を通る回転軸J回りに回転可能に保持されている。内挿軸95の外周面と回転支軸91の内周面との間にはベアリング(図示せず)が介在して取り付けられている。アーム92には、遮断部材回転機構93と遮断部材昇降機構94が接続されている。
【0026】
遮断部材回転機構93は、制御ユニット4からの動作指令に応じて回転支軸91を回転軸J回りに回転させる。回転支軸91が回転させられると、板状部材90が回転支軸91とともに一体的に回転する。遮断部材回転機構93は、スピンチャック1に保持された基板Wの回転に応じて基板Wと同じ回転方向でかつ略同じ回転速度で板状部材90(下面90a)を回転させるように構成されている。このように、この実施形態では遮断部材回転機構93が本発明の「遮断部材回転手段」として機能する。
【0027】
また、遮断部材昇降機構94は、制御ユニット4からの動作指令に応じて遮断部材9をスピンベース15に近接して対向させたり、逆に離間させることが可能となっている。具体的には、制御ユニット4は遮断部材昇降機構94を作動させることで、基板処理装置に対して基板Wを搬入出させる際には、スピンチャック1の上方の離間位置に遮断部材9を上昇させる。その一方で、基板Wに対して所定の処理を施す際には、スピンチャック1に保持された基板Wの表面Wfのごく近傍に設定された所定の対向位置(図1に示す位置)まで遮断部材9を下降させる。この実施形態では、リンス処理が開始されてから遮断部材9を離間位置から対向位置に下降させ、乾燥処理が完了するまで継続して遮断部材9を対向位置に位置させる。
【0028】
図3は図1の基板処理装置に装備された遮断部材の要部を示す縦断面図である。また、図4は図3のA―A’線断面図(横断面図)である。回転支軸91の中空部に内挿された内挿軸95は、横断面が円形に形成されている。これは、内挿軸95(非回転側部材)と回転支軸91(回転側部材)との隙間の間隔を全周にわたって均等にするためであり、該隙間にシールガスを導入することで内挿軸95と回転支軸91との隙間を外部からシールされた状態としている。内挿軸95には3本の流体供給路が鉛直軸方向に延びるように形成されている。すなわち、リンス液の通路となるリンス液供給路96、IPA液の通路となるIPA液供給路97および低露点空気の通路となる中央空気供給路98が内挿軸95に形成されている。リンス液供給路96、IPA液供給路97および中央空気供給路98はPTFE(ポリテトラフルオロエチレン:polytetrafluoroethylene)からなる内挿軸95にそれぞれ、PFA(パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)製のチューブ96b,97b,98bを軸方向に挿入することによって形成されている。
【0029】
そして、リンス液供給路96、IPA液供給路97および中央空気供給路98の下端がそれぞれ、リンス液吐出口96a(本発明の「処理液吐出口」に相当)、IPA液吐出口97a(本発明の「溶剤吐出口」に相当)および中央気体吐出口98aとなってスピンチャック1に保持された基板Wの表面Wfと対向している。この実施形態では、内挿軸の直径が18〜20mmに形成されている。また、リンス液吐出口96a、IPA液吐出口97aおよび中央気体吐出口98aの口径がそれぞれ、4mm、2〜3mm、4mmに形成されている。このように、この実施形態では、IPA液吐出口97aの口径がリンス液吐出口96aの口径よりも小さくなっている。これにより、以下に示す不具合を防止できる。すなわち、IPA液はリンス液(DIW)に比較して表面張力が低くなっている。このため、リンス液吐出用に形成された口径と同一口径のIPA液吐出口からIPA液を吐出させた場合には、IPA液の吐出停止後、IPA液がIPA液吐出口から落下するおそれがある。一方で、IPA液吐出用に形成された口径と同一口径のリンス液吐出口からリンス液を吐出させた場合には、リンス液の吐出速度が速くなってしまう。その結果、電気的絶縁体であるリンス液(DIW)が基板表面Wfに比較的高速で衝突することにより、リンス液が直接に供給された基板表面Wfの供給部位が帯電して酸化するおそれがある。これに対して、この実施形態では、IPA液とリンス液の吐出口を個別に設けるとともに、IPA液吐出口97aの口径をリンス液吐出口96aの口径よりも小さく形成している。このため、IPA液吐出口からIPA液が落下するのを防止するとともに、リンス液吐出口からのリンス液の吐出速度が速くなるのを抑え、基板表面Wfの帯電による酸化を抑制することができる。
【0030】
また、この実施形態では、リンス液吐出口96aが遮断部材9の中心軸、つまり基板Wの回転軸Jから径方向外側にずれた位置に設けられている。これにより、リンス液吐出口96aから吐出されたリンス液が基板表面Wfの一点(基板Wの回転中心W0)に集中して供給されるのが回避される。その結果、基板表面Wfの帯電部位を分散させることができ、基板Wの帯電による酸化を低減することができる。その一方で、リンス液吐出口96aが回転軸Jから離れ過ぎると、基板表面Wf上の回転中心W0にリンス液を到達させることが困難となってしまう。そこで、この実施形態では、水平方向における回転軸Jからリンス液吐出口96a(吐出口中心)までの距離Lを4mm程度に設定している。ここで、基板表面Wf上の回転中心W0にリンス液(DIW)を供給し得る距離Lの上限値としては、以下に示す条件で20mmとなっている。
【0031】
DIWの流量:2L/min
基板回転数:1500rpm
基板表面の状態:表面中央部が疎水面
また、回転軸JからIPA液吐出口97a(吐出口中心)までの距離の上限値についても、基板回転数を1500rpmに設定する限り、上記した回転軸Jからリンス液吐出口96a(吐出口中心)までの距離Lの上限値(20mm)と基本的に同じである。
【0032】
一方で、回転軸Jから中央気体吐出口98a(吐出口中心)までの距離については、対向位置に位置決めされた遮断部材9(板状部材90)と基板表面Wfとの間に形成される間隙空間SPに低露点空気を供給し得る限り、特に限定されず任意である。しかしながら、後述するようにして基板表面Wf上に形成されたIPA液による溶剤層に低露点空気を吹付けて該溶剤層を基板Wから排出させる観点からは、中央気体吐出口98aは回転軸J上あるいはその近傍位置に設けることが好ましい。
【0033】
また、回転支軸91の内壁面と内挿軸95の外壁面との間に形成される空間部分が環状空気供給路99を構成しており、環状空気供給路99の下端が環状の気体吐出口99aとなっている。つまり、遮断部材9には、基板表面Wfの中央部に向けて低露点空気を吐出する中央気体吐出口98aのほかに環状気体吐出口99aが、リンス液吐出口96a、IPA液吐出口97aおよび中央気体吐出口98aに対して径方向外側に、しかもリンス液吐出口96a、IPA液吐出口97aおよび中央気体吐出口98aを取り囲むようにして設けられている。この環状気体吐出口99aの開口面積は中央気体吐出口98aの開口面積に比較して遥かに大きく形成されている。このように、2種類のガス吐出口が遮断部材9に設けられているので、互いに流量および流速が異なる低露点空気を各吐出口から吐出させることができる。例えば(1)基板表面Wfの周囲雰囲気を低露点空気雰囲気に保つには、基板表面Wf上の液体を吹き飛ばすことのないように比較的大流量かつ低速で低露点空気を供給することが望まれる。その一方で、(2)基板表面Wf上のIPA液による溶剤層を基板表面Wfから除去する際には、基板Wの表面中央部に比較的小流量かつ高速で低露点空気を供給することが望まれる。したがって、上記(1)の場合には、主として環状気体吐出口99aから低露点空気を吐出させることにより、上記(2)の場合には、主として中央気体吐出口98aから低露点空気を吐出させることにより、低露点空気の用途に応じて適切な流量および流速で低露点空気を基板表面Wfに向けて供給することができる。
【0034】
また、内挿軸95の先端(下端)は板状部材90の下面90aと面一になっておらず、下面90aを含む同一平面から上方側に退避している(図3)。このような構成によれば、中央気体吐出口98aから吐出された低露点空気が基板表面Wfに到達するまでに該低露点空気を拡散させ、低露点空気の流速をある程度減少させることができる。すなわち、中央気体吐出口98aからの低露点空気の流速が速すぎると、環状気体吐出口99aからの低露点空気と互いに干渉して基板表面Wf上のIPA液による溶剤層を基板Wから排出することが困難となる。その結果、基板表面Wf上に液滴が残ってしまう。これに対して、上記構成によれば、中央気体吐出口98aからの低露点空気の流速が緩和され、基板表面Wf上のIPA液による溶剤層を確実に基板Wから排出することができる。
【0035】
図1に戻って説明を続ける。リンス液供給路96の上端部はリンス液バルブ83を介して工場のユーティリティ等で構成されるDIW供給源に接続されており、リンス液バルブ83が開かれることにより、リンス液吐出口96aからDIWをリンス液として吐出可能となっている。
【0036】
また、IPA液供給路97の上端部はIPA液供給ユニット7に接続されている。このIPA液供給ユニット7はIPA液を貯留するタンク(図示省略)を有しており、制御ユニット4からの動作指令に応じて作動してタンク内のIPA液をIPA液供給路97に圧送可能となっている。
【0037】
中央空気供給路98および環状空気供給路99の上端部はそれぞれCDAバルブ84、85を介して工場のユーティリティ等で構成されるCDA供給源に接続されている。そして、CDAバルブ84が開かれることにより中央気体吐出口98aから低露点空気を吐出可能に、またCDAバルブ85が開かれることにより環状気体吐出口99aから低露点空気を吐出可能となっている。つまり、制御ユニット4の動作指令に応じてCDA供給源から中央空気供給路98および環状空気供給路99に個別に低露点空気を圧送可能となっており、対向位置に位置決めされた遮断部材9(板状部材90)と基板表面Wfとの間に形成される間隙空間SPに低露点空気を供給することができる。なお、この実施形態では、CDAバルブ84、85、中央空気供給路98および環状空気供給路99が本発明の「低露点空気供給手段」として機能しているが、クリーンルーム内の空気を基板処理に適合するように調湿・調温するCDA供給ユニットを装置内に設け、制御ユニット4の動作指令に応じてCDA供給ユニットから低露点空気を供給するように構成してもよい。
【0038】
ケーシング2の周囲には、受け部材21が固定的に取り付けられている。受け部材21には、円筒状の仕切り部材23a,23b,23cが立設されている。ケーシング2の外壁と仕切り部材23aの内壁との間の空間が第1排液槽25aを形成し、仕切り部材23aの外壁と仕切り部材23bの内壁との間の空間が第2排液槽25bを形成し、仕切り部材23bの外壁と仕切り部材23cの内壁との間の空間が第3排液槽25cを形成している。
【0039】
第1排液槽25a、第2排液槽25bおよび第3排液槽25cの底部にはそれぞれ、排出口27a,27b,27cが形成されており、各排出口は相互に異なるドレインに接続されている。例えばこの実施形態では、第1排液槽25aは使用済みの薬液を回収するための槽であり、薬液を回収して再利用するための回収ドレインに連通されている。また、第2排液槽25bは使用済みのリンス液を排液するための槽であり、廃棄処理のための廃棄ドレインに連通されている。さらに、第3排液槽25cは使用済みのIPA液を排液するための槽であり、廃棄処理のための廃棄ドレインに連通されている。
【0040】
各排液槽25a〜25cの上方にはスプラッシュガード6が設けられている。スプラッシュガード6はスピンチャック1に水平姿勢で保持されている基板Wの周囲を包囲するようにスピンチャック1の回転軸Jに対して昇降自在に設けられている。このスプラッシュガード6は回転軸Jに対して略回転対称な形状を有しており、スピンチャック1と同心円状に径方向内側から外側に向かって配置された3つのガード61,62,63を備えている。3つのガード61,62,63は、最外部のガード63から最内部のガード61に向かって、順に高さが低くなるように設けられるとともに、各ガード61,62,63の上端部が鉛直方向に延びる面内に収まるように配置されている。
【0041】
スプラッシュガード6は、ガード昇降機構65と接続され、制御ユニット4からの動作指令に応じてガード昇降機構65の昇降駆動用アクチェータ(例えばエアシリンダーなど)を作動させることで、スプラッシュガード6をスピンチャック1に対して昇降させることが可能となっている。この実施形態では、ガード昇降機構65の駆動によりスプラッシュガード6を段階的に昇降させることで、回転する基板Wから飛散する処理液を第1〜第3排液槽25a〜25cに分別して排液させることが可能となっている。
【0042】
ガード61の上部には、断面くの字形で内方に開いた溝状の第1案内部61aが形成されている。そして、薬液処理時にスプラッシュガード6を最も高い位置(以下「第1高さ位置」という)に位置させることで、回転する基板Wから飛散する薬液が第1案内部61aで受け止められ、第1排液槽25aに案内される。具体的には、第1高さ位置として、第1案内部61aがスピンチャック1に保持された基板Wの周囲を取り囲むようにスプラッシュガード6を配置させることで、回転する基板Wから飛散する薬液がガード61を介して第1排液槽25aに案内される。
【0043】
また、ガード62の上部には、径方向外側から内側に向かって斜め上方に傾斜した傾斜部62aが形成されている。そして、リンス処理時にスプラッシュガード6を第1高さ位置よりも低い位置(以下「第2高さ位置」という)に位置させることで、回転する基板Wから飛散するリンス液が傾斜部62aで受け止められ、第2排液槽25bに案内される。具体的には、第2高さ位置として、傾斜部62aがスピンチャック1に保持された基板Wの周囲を取り囲むようにスプラッシュガード6を配置させることで、回転する基板Wから飛散するリンス液がガード61の上端部とガード62の上端部との間を通り抜けて第2排液槽25bに案内される。
【0044】
同様にして、ガード63の上部には、径方向外側から内側に向かって斜め上方に傾斜した傾斜部63aが形成されている。そして、置換処理時にスプラッシュガード6を第2高さ位置よりも低い位置(以下「第3高さ位置」という)に位置させることで、回転する基板Wから飛散するIPA液が傾斜部63aで受け止められ、第2排液槽25cに案内される。具体的には、第3高さ位置として、傾斜部63aがスピンチャック1に保持された基板Wの周囲を取り囲むようにスプラッシュガード6を配置させることで、回転する基板Wから飛散するIPA液がガード62の上端部とガード63の上端部との間を通り抜けて第3排液槽25cに案内される。
【0045】
さらに、第3高さ位置よりも低い位置(以下「退避位置」という)に位置させて、スピンチャック1をスプラッシュガード6の上端部から突出させることで、基板搬送手段(図示せず)が未処理の基板Wをスピンチャック1に載置したり、処理済の基板Wをスピンチャック1から受け取ることが可能となっている。
【0046】
次に、上記のように構成された基板処理装置の動作について図5および図6を参照しつつ詳述する。図5は図1の基板処理装置の動作を示すフローチャートである。また、図6は図1の基板処理装置の動作を示す模式図である。先ず、制御ユニット4はスプラッシュガード6を退避位置に位置させて、スピンチャック1をスプラッシュガード6の上端部から突出させる。そして、この状態で基板搬送手段(図示せず)により未処理の基板Wが装置内に搬入されると(ステップS1)、基板Wに対して洗浄処理(薬液処理+リンス処理+パドル形成処理+置換処理+乾燥処理)を実行する。基板表面Wfには例えばpoly−Siからなる微細パターンが形成されている。そこで、この実施形態では、基板表面Wfを上方に向けた状態で基板Wが装置内に搬入され、スピンチャック1に保持される。なお、遮断部材9はスピンチャック1の上方の離間位置にあり、基板Wとの干渉を防止している。
【0047】
続いて、制御ユニット4はスプラッシュガード6を第1高さ位置(図1に示す位置)に配置して、基板Wに対して薬液処理を実行する。すなわち、薬液吐出ノズル3を吐出位置に移動させるとともに、チャック回転機構13の駆動によりスピンチャック1に保持された基板Wを所定の回転速度(例えば800rpm)で回転させる(ステップS2)。そして、薬液バルブ31を開いて薬液吐出ノズル3から基板表面Wfに薬液としてフッ酸を供給する。基板表面Wfに供給されたフッ酸は遠心力により広げられ、基板表面Wf全体がフッ酸により薬液処理される(ステップS3)。基板Wから振り切られたフッ酸は第1排液槽25aに案内され、適宜再利用される。
【0048】
薬液処理が終了すると、薬液吐出ノズル3が待機位置に移動される。そして、スプラッシュガード6が第2高さ位置に配置され、基板Wに対して本発明の「湿式処理」としてリンス処理が実行される。すなわち、制御ユニット4はリンス液バルブ83を開いて、離間位置に位置する遮断部材9のリンス液吐出口96aからリンス液(DIW)を吐出させてリンス処理を開始する(ステップS4:図6(a))。また、リンス液の吐出と同時に遮断部材9を対向位置に向けて下降させ、該対向位置に位置決めする。このように、薬液処理後、すぐに基板表面Wfにリンス液を供給することで基板表面Wfを継続して濡れた状態としておく。これは次のような理由による。すなわち、薬液処理後、フッ酸が基板Wから振り切られると、基板表面Wfの乾燥がはじまる。その結果、基板表面Wfが部分的に乾燥し、基板表面Wfにシミ等が発生することがある。したがって、このような基板表面Wfの部分的な乾燥を防止するため、基板表面Wfを濡れた状態としておくことが重要となっている。
【0049】
また、制御ユニット4はCDAバルブ85を開いて遮断部材9の環状気体吐出口99aから低露点空気を吐出させる(ステップS5:環状CDA供給)。なお、両気体吐出口98a、99aから同時に低露点空気を吐出させてもよいが、この場合、環状気体吐出口99aから比較的大流量の低露点空気を吐出させる一方、中央気体吐出口98aから吐出させる低露点空気の流量が微小量となるように、両吐出口から吐出させる低露点空気の流量バランスを調整するのが望ましい。
【0050】
リンス液吐出口96aから基板表面Wfに供給されたリンス液は基板Wの回転に伴う遠心力により広げられ、基板表面Wf全体がリンス処理される(湿式処理工程)。つまり、基板表面Wfに残留付着するフッ酸がリンス液によって洗い流され基板表面Wfから除去される。基板Wから振り切られた使用済みのリンス液は第2排液槽25bに案内され、廃棄される。また、間隙空間SPに低露点空気が供給されることで基板表面Wfの周囲雰囲気が低湿度雰囲気に保たれている。なお、リンス処理時における基板Wの回転速度は例えば600rpmに設定される。
【0051】
また、上記したリンス処理ならびに後述のパドル形成処理、置換処理および乾燥処理を実行する際には、遮断部材9の板状部材90を基板Wと同じ回転方向でかつ略同じ回転速度で回転させる。これにより、板状部材90の下面90aと基板表面Wfとの間に相対的な回転速度差が発生するのを防止して、間隙空間SPに巻き込み気流が発生するのを抑制することができる。このため、ミスト状のリンス液およびIPA液が間隙空間SPに侵入して基板表面Wfに付着するのを防止可能となっている。また、板状部材90を回転させることで下面90aに付着するリンス液やIPA液を振り切り、下面90aにリンス液やIPA液が滞留するのを防止可能となっている。
【0052】
所定時間のリンス処理が終了すると、制御ユニット4は基板Wの回転速度をリンス処理時の回転速度よりも遅い回転速度(この実施形態では10rpm)に減速する。これによって、同図(b)に示すように、低露点空気が間隙空間SPに継続的にして供給された状態のままリンス液吐出口96aから吐出されるリンス液(DIW)が基板表面Wfに溜められてリンス液膜がパドル状に形成される(ステップS6:パドル形成処理)。なお、パドル形成処理時の回転速度は10rpmに限定されるものではないが、リンス液に作用する遠心力がリンス液と基板表面との間で作用する表面張力よりも小さくなるという条件が満足する範囲で回転速度を設定する必要がある。というのも、リンス液の液膜をパドル状に形成するためには、上記条件の充足が必須だからである。
【0053】
こうしてパドル形成が完了すると、制御ユニット4はリンス液バルブ83を閉じてリンス液の吐出を停止するとともに、スプラッシュガード6を第3高さ位置に配置する。そして、制御ユニット4は間隙空間SPへの低露点空気の供給を継続したままIPA液供給ユニット7を作動させてIPA液吐出口97aからIPA液を吐出させる(ステップS7)。これによって、間隙空間SPが低湿度雰囲気に保たれた状態のまま基板Wの表面中央部に向けてIPA液が供給される(同図(c))。また、この実施形態では、置換処理の進行に伴って基板Wの回転速度を変化させている。つまり、IPA液供給の初期段階では、基板Wの表面中央部ではリンス液膜の中央部がIPA液に置換されて置換領域が液膜に形成される。このときの回転速度はパドル形成処理と同程度(この実施形態では10rpm)に設定されている。そして、IPA液供給から所定時間、例えば2.5秒が経過すると、IPA液供給を継続させたまま基板Wの回転速度を10rpmから100rpmに加速する。このように回転速度の加速によって基板表面上の液膜(リンス液領域+IPA液領域(置換領域))に作用する遠心力が増大してリンス液が振り切られるとともに置換領域が径方向に広がっていく。このとき、基板表面上の液膜厚みは回転速度に対応する厚みと薄くなり、所定時間(この実施形態では1秒)経過すると、基板Wの表面外周部に存在していたリンス液は全て基板Wから振り落とされるとともに、置換領域が基板表面の全面に均一に広がって基板表面はIPA液膜(溶剤層)41で全面的に覆われる。さらに、制御ユニット4は0.5秒をかけて基板Wの回転速度を100rpmから300rpmに加速する。これは基板表面に形成された微細パターン(図示省略)の間隙内部に残留しているリンス液をIPA液に置換するために行われるものである。つまり、回転速度の加速によってIPA液が基板表面で大きく流動し、これによって微細パターンの間隙内部では残留リンス液がIPA液に置換される。これによって、基板表面に付着するリンス液がIPA液に確実に置換される。
【0054】
こうして、置換処理が完了すると、制御ユニット4は環状気体吐出口99aからの低露点空気の吐出を継続させたままチャック回転機構13の回転速度を高めて基板Wを高速回転(例えば1000〜3000rpm)させる。これにより、基板表面Wfに付着するIPA液が振り切られ、基板Wの乾燥処理(スピンドライ)が実行される(ステップS8;乾燥工程)。この乾燥処理の開始時点より制御ユニット4はCDAバルブ84を開いて中央気体吐出口98aからも低露点空気を吐出させる(ステップS9)。これによって、中央気体吐出口98aおよび環状気体吐出口99aから低露点空気が吐出されて間隙空間SPは低露点空気で満たされて低湿度状態で乾燥処理が実行される。なお、基板Wの乾燥処理が終了すると、制御ユニット4はチャック回転機構13を制御して基板Wの回転を停止させる(ステップS10)とともに、CDAバルブ84、85を閉じて低露点空気の吐出を停止する(ステップS11)。そして、スプラッシュガード6を退避位置に位置させて、スピンチャック1をスプラッシュガード6の上方から突出させる。その後、基板搬送手段が処理済の基板Wを装置から搬出して、1枚の基板Wに対する一連の洗浄処理が終了する(ステップS12)。
【0055】
以上のように、この実施形態によれば、基板表面Wfに付着しているリンス液をIPA液に置換する間、低露点空気(CDA)が間隙空間SPに供給されて基板表面Wfの周囲雰囲気が低湿度雰囲気に保たれている。このため、IPA液吐出口97aから吐出されたIPA液への水分の吸湿を効果的に抑制することができる。その結果、基板表面WfからIPA液を除去して基板表面Wfを乾燥させた際に、IPA液中の水分が基板表面Wfに残留するという現象を確実に抑えてウォーターマークやパターン倒壊を効果的に抑制することができる。
【0056】
また、この実施形態では、置換処理の間のみならず、基板Wの乾燥処理中にも低露点空気を吐出して基板表面Wfの周囲雰囲気を低湿度雰囲気に保っているため、基板Wの乾燥速度を向上させることができる。また、基板表面Wfから除去されたIPA液が基板表面Wfへ跳ね返ることも効果的に抑制することができ、基板表面Wfへのパーティクル付着の低減が可能となっている。
【0057】
また、この実施形態では、遮断部材9に対してIPA液吐出口97aのみならず中央気体吐出口98aを設けているので、遮断部材9を基板表面Wfに対向配置した状態で基板表面Wfの中央部に向けてIPA液と低露点空気をそれぞれ吐出することが可能となっている。したがって、遮断部材9を基板表面に対向配置させたまま間隙空間SPへの低露点空気の吐出を開始することができ、間隙空間SPに低露点空気を確実に供給して効率的に低湿度雰囲気を形成することができる。また、IPA液と低露点空気を同時に吐出することができ、スループットの面でも有利である。というのも、IPA液を薬液供給と同様にノズル供給方式を採用した場合にはIPA液を供給している間、遮断部材9を離間位置に退避させておく必要があり、置換処理中に間隙空間SPに低湿度雰囲気を形成するのは困難であるし、遮断部材の移動やノズル移動を伴うためである。これに対し、本実施形態によれば、上記したように当該問題を一挙に解決することができる。
【0058】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば図7および図8に示すようにスピン乾燥時に低露点空気の代わりに窒素ガスなどの不活性ガスを供給可能に構成してもよい。以下、図7および図8を参照しつつ本発明にかかる他の実施形態について説明する。
【0059】
図7はこの発明にかかる基板処理装置の他の実施形態を示す図である。また、図8は図7の基板処理装置の動作を示す模式図である。この実施形態が図1の実施形態と大きく相違する点は、中央気体吐出口98aおよび環状気体吐出口99aからの気体の吐出態様であり、その他の構成および動作については同一である。つまり、この実施形態では、中央気体吐出口98aは窒素バルブ87を介して工場のユーティリティ等で構成される窒素ガス供給源に接続されている。そして、窒素バルブ87が開かれることにより中央気体吐出口98aから窒素ガスを吐出可能となっている。一方、環状気体吐出口99aに対しては窒素バルブ88を介して窒素ガス供給源が接続されており、制御ユニット4がCDAバルブ85および窒素バルブ88を開閉制御することによって環状気体吐出口99aから低露点空気または窒素ガスを選択的に吐出可能となっている。
【0060】
そして、基板搬送手段(図示せず)により未処理の基板Wが装置内に搬入されると、制御ユニット4は装置各部を制御して基板Wに対して洗浄処理(薬液処理+リンス処理+パドル形成処理+置換処理+乾燥処理)を実行する。すなわち、上記実施形態と同様にして薬液処理を行った後、制御ユニット4はCDAバルブ85を開いて環状気体吐出口99aから低露点空気を吐出しながら、上記実施形態と同様にしてリンス処理(図8(a))、パドル形成処理(同図(b))および置換処理(同図(c))を実行する。
【0061】
次に乾燥処理を実行する際、制御ユニット4はCDAバルブ85を閉じる一方、窒素バルブ88を開いて低露点空気に代えて窒素ガスを環状気体吐出口99aから吐出する。また、制御ユニット4は窒素バルブ87を開いて窒素ガスを中央気体吐出口98aから吐出する。これにより、間隙空間SPに窒素ガスが供給されて基板表面Wfの周囲雰囲気が低湿度雰囲気から不活性ガス雰囲気に切り替わり、その不活性ガス雰囲気で乾燥処理が実行される。したがって、この周囲雰囲気からIPA液への酸素の溶解を低減させることができ、IPA液の溶存酸素濃度の上昇を抑制することができる。その結果、基板表面Wfに酸化膜が形成されたり、ウォーターマークが発生するのをより効果的に防止することができる。
【0062】
また、上記実施形態では、置換処理に続いて乾燥処理を直ちに実行しているが、置換処理と乾燥処理の間に、図9に示す乾燥前処理を実行してもよい。以下、図9を参照しつつ本発明にかかる別の実施形態について説明する。
【0063】
図9はこの発明にかかる基板処理装置の別の実施形態を示す図である。この実施形態では、置換処理が完了した(図9(a))後に、次に示す乾燥前処理工程を実行して基板表面Wf上のIPA液を基板Wから排出させる。先ず、制御ユニット4はIPA液供給ユニット7からのIPA液の供給を停止するとともに基板Wの表面中央部に向けて中央気体吐出口98aから低露点空気あるいは窒素ガスなどの乾燥用ガスを吹きつける。つまり、中央気体吐出口98aから吐出させる乾燥用ガスの流量を環状気体吐出口99aから吐出させる乾燥用ガスの流量に比較して相対的に高めるように両吐出口から吐出させる乾燥用ガスの流量バランスを調整する。そうすると、図9(b)に示すように、中央気体吐出口98aから基板表面Wfに吹き付けられる乾燥用ガス(低露点空気または窒素ガス)によってIPA液膜41の中央部のIPA液が基板Wの径方向外側に押し退けられてIPA液膜(溶剤層)41の中央部にホール42が形成され、その表面部分が乾燥される。そして、引き続き、乾燥用ガスを基板Wの表面中央部に吹き付けていくことで、図9(c)に示すように、先に形成されたホール42が基板Wの端縁方向(同図の左右方向)に拡大していき、IPA液膜41の中央側のIPA液が中央側から基板端縁側に徐々に押し遣られて乾燥領域が広がっていく。これにより、基板Wの表面中央部にIPA液を残すことなく、基板Wの表面中央部に付着するIPA液を除去することができる。この後にスピン乾燥が実行されて基板表面全体が乾燥される。
【0064】
以上のように、この実施形態によれば、乾燥前処理工程を実行することによって乾燥工程(スピンドライ)の間に基板Wの表面中央部にIPA液が液滴状に残り、筋状パーティクルとなって基板表面Wfにウォーターマークが形成されるのを確実に防止できる。
【0065】
また、上記した実施形態の置換処理では、基板表面に形成されたパターンが倒壊するなどの不具合を防止して乾燥性能を高めるために低表面張力液としてIPA液を用いて置換処理を行っているが、IPA液以外に、エチルアルコール、メチルアルコール、HFE(ハイドロフルオロエーテル:hydrofluoroether)、アセトン(acetone)およびTrans-1,2ジクロロエチレン(trans 1,2-dichloroethylene)などの各種有機溶剤を低表面張力液として用いるようにしてもよい。また、低表面張力溶剤としては、単体成分のみからなる場合だけではなく、他の成分と混合した液であってもよい。例えば、IPAと純水の混合液であってもよいし、IPAとHFEの混合液であってもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、半導体ウエハ等の基板Wに対して薬液処理、リンス処理、置換処理および乾燥処置を行う装置および方法に本発明を適用しているが、基板Wの種類や処理内容はこれに限定されるものではなく、処理液を基板に供給して湿式処理を施した後に、処理液よりも表面張力が低い低表面張力溶剤を基板表面に供給してから該低表面張力溶剤を基板表面から除去することによって基板表面を乾燥させる基板処理装置および方法に本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
この発明は、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板などを含む基板全般に湿式処理および乾燥処理を施す基板処理装置および方法に適用することができる。
【符号の説明】
【0068】
7…IPA液供給ユニット
9…遮断部材
13…チャック回転機構(基板回転手段)
17…チャックピン(基板保持手段)
41…IPA液膜(溶剤層)
42…ホール
93…遮断部材回転機構(遮断部材回転手段)
97a…IPA液吐出口(溶剤吐出口)
98a…中央気体吐出口
99a…環状気体吐出口
SP…間隙空間
W…基板
Wf…基板表面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板表面に処理液を供給して該基板表面に対して所定の湿式処理を施した後、前記処理液よりも表面張力が低い低表面張力溶剤を前記基板表面に供給してから該低表面張力溶剤を前記基板表面から除去することによって前記基板表面を乾燥させる基板処理装置において、
前記基板を略水平姿勢で保持する基板保持手段と、
前記基板保持手段に保持された前記基板を所定の回転軸回りに回転させる基板回転手段と、
前記基板保持手段に保持された前記基板に対向しながら前記基板表面から離間配置された遮断部材と、
前記遮断部材と前記基板表面との間に形成される間隙空間に低露点空気を供給する低露点空気供給手段と、
前記間隙空間に乾燥用ガスを供給する乾燥用ガス供給手段とを備え、
前記遮断部材は、前記基板の表面中央部へ前記低表面張力溶剤を吐出する溶剤吐出口と、前記乾燥用ガス供給手段からの前記乾燥用ガスを前記基板表面の中央部に向けて吐出する中央気体吐出口と、前記低露点空気供給手段からの前記低露点空気を前記間隙空間に供給するとともに、前記溶剤吐出口および前記中央気体吐出口に対して径方向外側に、しかも前記溶剤吐出口および前記中央気体吐出口を取り囲むように環状に形成された環状気体吐出口とを有しており、
前記溶剤吐出口から前記低表面張力溶剤を吐出しながら、前記環状気体吐出口から前記間隙空間に前記低露点空気を供給するのに続き、
前記溶剤吐出口からの前記低表面張力溶剤の吐出を停止させるとともに、前記環状気体吐出口から前記間隙空間への前記低露点空気の供給を継続させたまま、前記基板の表面中央部に向けて前記中央気体吐出口から前記乾燥用ガスを吹きつけ、
さらに前記基板回転手段により前記基板を高速回転させて前記低表面張力溶剤を前記基板表面から除去して該基板表面を乾燥させることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記溶剤吐出口からの前記低表面張力溶剤の吐出を停止させる前に、前記基板表面全体にパドル状の前記低表面張力溶剤による溶剤層を形成する請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記溶剤吐出口からの前記低表面張力溶剤の吐出を停止させた後、前記中央気体吐出口から吐出される前記乾燥用ガスの流量が、前記環状気体吐出口から吐出される前記低露点空気の流量よりも多い請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記環状気体吐出口の開口面積は前記中央気体吐出口の開口面積よりも大きい請求項1ないし3のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記遮断部材は、板状部材と、前記板状部材を支持し、内部が中空に仕上げられた支軸と、前記支軸の中空部に挿通された内挿軸とを有しており、
前記環状気体吐出口は前記支軸の内壁面と前記内挿軸の外壁面との間に形成される請求項1ないし4のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記内挿軸の先端に前記中央気体吐出口が形成されるとともに、前記中央気体吐出口は前記板状部材の先端面を含む平面から退避している請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
略水平姿勢で保持された基板を回転させながら前記基板の表面に処理液を供給して前記基板表面に対して所定の湿式処理を施す湿式処理工程と、
前記処理液よりも表面張力が低い低表面張力溶剤を前記基板の表面中央部に吐出する溶剤吐出口を有する遮断部材を、前記処理液で濡れた前記基板表面に対向しながら前記基板表面から離間配置させた状態で、前記基板表面に前記溶剤吐出口から前記低表面張力溶剤を吐出させて前記基板表面に付着している前記処理液を前記低表面張力溶剤に置換させる置換工程と、
前記置換工程後に前記基板を高速回転させて前記低表面張力溶剤を前記基板表面から除去して該基板表面を乾燥させるスピン乾燥工程とを備え、
前記遮断部材は、乾燥用ガスを前記基板の表面中央部に向けて吐出する中央気体吐出口と、前記遮断部材と前記基板表面との間に形成される間隙空間に低露点空気を供給するとともに、前記溶剤吐出口および前記中央気体吐出口に対して径方向外側に、しかも前記溶剤吐出口および前記中央気体吐出口を取り囲むように環状に形成された環状気体吐出口とをさらに有しており、
前記置換工程では、前記環状気体吐出口から前記間隙空間に前記低露点空気を供給し、
前記置換工程と前記スピン乾燥工程との間に、前記低表面張力溶剤の供給を停止させるとともに、前記環状気体吐出口から前記間隙空間への前記低露点空気の供給を継続させたまま、前記基板の表面中央部に向けて前記中央気体吐出口から前記乾燥用ガスを吹きつける乾燥前処理工程を実行することを特徴とする基板処理方法。
【請求項8】
前記置換工程では、前記基板表面全体にパドル状の前記低表面張力溶剤による溶剤層を形成する請求項7に記載の基板処理方法。
【請求項9】
前記乾燥前処理工程では、前記中央気体吐出口から吐出される前記乾燥用ガスの流量が、前記環状気体吐出口から吐出される前記低露点空気の流量よりも多い請求項7または8に記載の基板処理方法。
【請求項10】
前記乾燥前処理工程において前記中央気体吐出口から吐出される前記乾燥用ガスは前記低露点空気である請求項7ないし9のいずれか1項に記載の基板処理方法。





【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−102238(P2013−102238A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−38898(P2013−38898)
【出願日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【分割の表示】特願2008−60515(P2008−60515)の分割
【原出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】