説明

基板処理装置および基板処理方法

【課題】処理液で濡れた基板表面を低表面張力溶剤を用いて乾燥させる基板処理装置および基板処理方法において、少ない低表面張力溶剤で基板表面を良好に乾燥させる。
【解決手段】リンス処理の終了後に、基板Wの回転速度が600rpmから10rpmに減速されてDIW液膜がパドル状に形成される。そして、9秒間だけDIWの供給を継続した後に停止し、所定時間(0.5秒間)が経過してパドル状の液膜の膜厚t1がほぼ均一になるのを待って、IPAが基板表面Wfの表面中央部に向けて例えば100(mL/min)の流量で吐出される。このIPA供給によって、基板Wの表面中央部ではDIWがIPAに置換されて置換領域SRが形成される。さらにIPA供給から3秒が経過すると、基板Wの回転速度が10rpmから300rpmに加速される。これによって、置換領域SRが基板Wの径方向に拡大して基板表面Wfの全面が低表面張力溶剤に置換される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板表面に処理液を供給して該基板表面に対して所定の湿式処理を施した後、処理液で濡れた基板表面を乾燥させる基板処理装置および基板処理方法に関するものである。なお、乾燥処理対象となる基板には、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(電界放出ディスプレイ:Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板等が含まれる。
【背景技術】
【0002】
薬液による薬液処理および純水などのリンス液によるリンス処理が行われた後、基板表面に付着するリンス液を除去すべく、数多くの乾燥方法が従来より提案されている。そのうちのひとつとして、純水よりも表面張力が低いIPA(イソプロピルアルコール:isopropyl alcohol)などの有機溶剤成分を含む液体(低表面張力溶剤)を用いた乾燥方法が知られている。この乾燥方法としては、例えば特許文献1に記載された乾燥方法がある。この乾燥方法を実行する基板処理装置では、基板表面に対してフッ酸処理を行った後、純水を基板表面に供給して洗浄処理(リンス処理)を施している。次いで、純水の供給停止後に途切れることなくあるいは純水を供給している途中から基板の表面にIPAを供給している。これにより、基板表面上の純水にIPAが溶解して純水がIPAにより置換される。その後、基板が高速回転されることによって基板表面からIPAが除去され、基板表面の乾燥処理が行われる。
【0003】
また、特許文献2に記載されたレジスト現像方法では、次のようにして基板表面上の微細なごみの量の低減を図りながら基板表面を乾燥させている。先ず、レジスト現像後に純水を基板に供給して純水洗浄(リンス処理)を行う。その後、容量比で10%程度のIPAを含んだ純水(IPA水溶液)を基板に供給して基板の洗浄を行う。次いで、基板を高速回転させながら基板をスピン乾燥させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−38595号公報(図5)
【特許文献2】特開平3−209715号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来技術では、基板を中速(例えば特許文献1では300rpm、特許文献2では500rpm)で回転させながら該基板表面にリンス液を供給してリンス処理を行っている。また、リンス処理に続く置換処理においては、基板の回転速度をそのまま維持した状態でIPAやIPA水溶液などの低表面張力溶剤を多量に基板表面に供給して短時間で基板上のリンス液を低表面張力溶剤に置換させている。したがって、従来技術では、低表面張力溶剤の使用量が比較的多く、ランニングコストが増大するという問題が発生していた。そこで、低表面張力溶剤の使用量を削減すべく、低表面張力溶剤の流量を低減させることが検討されている。
【0006】
しかしながら、低表面張力溶剤の流量を低減させると、低表面張力溶剤への置換は徐々にしか進行せず、マランゴニ対流により基板表面が部分的に乾燥することがあった。このことを図10を参照しながら簡単に説明する。IPA等の低表面張力溶剤の供給を開始した初期段階では、図10(a)に示すように、IPAなどの低表面張力溶剤は基板Wの表面中央部に供給されて低表面張力溶剤による置換領域SRが形成される。このとき、低表面張力溶剤の一部が基板表面Wfで跳ね返って置換領域SRの周囲に飛散したり、蒸発した低表面張力溶剤成分が置換領域SRの周囲に拡散したりして、置換領域周囲のリンス液内に混入することがある。特に、従来技術では、上記したように基板Wの回転速度を中速に維持しているため、液膜の厚みは比較的薄くなっている。そのため、低表面張力溶剤が混入した液膜部分MRで低表面張力溶剤の濃度が高くなり、その結果、同図(b)に示すように、混入部分MRでマランゴニ対流が発生して基板表面Wfが部分的に乾燥されてしまい、ウォータマーク発生などの不具合が生じてしまうことがあった。
【0007】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、処理液で濡れた基板表面をIPAなどの低表面張力溶剤を用いて乾燥させる基板処理装置および基板処理方法において、少ない低表面張力溶剤で基板表面を良好に乾燥させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明にかかる基板処理方法は、上記目的を達成するため、略水平状態の基板を第1速度で回転させながら処理液を用いて基板表面に対して湿式処理を施す湿式処理工程と、基板の回転速度を第2速度に減速して基板上に処理液の液膜をパドル状に形成するパドル形成工程と、基板の回転速度を第2速度以下に維持しながら、処理液よりも表面張力が低い低表面張力溶剤を基板の表面中央部に供給して低表面張力溶剤による置換領域を形成する置換領域形成工程と、低表面張力溶剤を表面中央部に供給して置換領域を基板の径方向に拡大させて基板表面全面を低表面張力溶剤に置換する置換工程と、置換工程後に低表面張力溶剤を基板表面から除去して該基板表面を乾燥させる乾燥工程とを備え、パドル形成工程において基板表面に処理液が供給されることを特徴としている。
【0009】
また、この発明にかかる基板処理装置は、処理液を用いた基板表面に対する湿式処理後に、処理液よりも表面張力が低い低表面張力溶剤で基板表面上の処理液を置換してから低表面張力溶剤を基板表面から除去して基板表面を乾燥させる基板処理装置において、基板を略水平姿勢で保持する基板保持手段と、基板保持手段に保持された基板を所定の回転軸回りに回転させる基板回転手段と、基板保持手段に保持された基板の表面中央部に低表面張力溶剤を供給する供給手段と、基板回転手段を制御して基板の回転速度を調整する制御手段とを備え、制御手段は、湿式処理での回転速度を第1速度に設定する一方、低表面張力溶剤の供給前に回転速度を第2速度に減速して基板上に処理液の液膜をパドル状に形成し、供給手段は、基板の回転速度が第2速度以下に維持された状態で低表面張力溶剤を供給して基板の表面中央部に低表面張力溶剤による置換領域を形成するのに続き、低表面張力溶剤を置換領域に供給して置換領域を基板の径方向に拡大させて基板表面全面を低表面張力溶剤に置換し、制御手段が基板を第2速度で回転させて処理液の液膜をパドル状に形成している間に基板表面に処理液が供給されることを特徴としている。
【0010】
このように構成された発明(基板処理方法および装置)では、略水平状態の基板が第1速度で回転されるとともに、該基板表面に対して処理液を用いてリンス処理などの湿式処理が施される。その後で、基板の回転速度が第2速度(<第1速度)に減速されて基板上に処理液の液膜がパドル状に形成される。この状態で処理液よりも表面張力が低い低表面張力溶剤を基板の表面中央部に供給することによって、基板表面の中央部に低表面張力溶剤の置換領域が形成される(置換領域形成工程)。それに続いて、低表面張力溶剤がさらに表面中央部に供給されて置換領域が基板の径方向に拡大して基板表面全面が低表面張力溶剤に置換される(置換工程)。その後、低表面張力溶剤が基板表面から除去されて該基板表面が乾燥される。このように置換領域の形成および拡大をコントロールしながら基板表面全面を低表面張力溶剤に置換しているため、多量の低表面張力溶剤を基板表面に供給して一気に基板表面全面を低表面張力溶剤に置換する従来技術に比べて低表面張力溶剤の使用量を低減させることができる。
【0011】
ここで、置換領域の形成時に低表面張力溶剤が置換領域の周囲に混入してマランゴニ対流が発生する可能性があるが、基板の回転速度を上記のように制御しているため、マランゴニ対流の発生が抑制される。すなわち、本発明では、基板を回転しながらパドル状の液膜を形成するためには、処理液に作用する遠心力が処理液と基板表面との間で作用する表面張力よりも小さくなるように第2速度(ゼロも含む)は設定される。したがって、基板の回転速度を第2速度以下に維持することで、基板表面上の液膜は湿式処理に比べて厚くなる。そして、その状態で置換領域の形成が行われるため、低表面張力溶剤が置換領域の周囲に混入したとしても、液膜は従来技術に比べて厚くなっており、混入位置でのマランゴニ対流の発生が抑制される。その結果、基板表面が部分的に乾燥されるという不具合が効果的に防止される。
【0012】
また、置換工程においては置換領域が基板の径方向に拡大し、低表面張力溶剤の供給位置(基板の表面中央部)から基板上の処理液までの距離が広がっていくため、低表面張力溶剤が置換領域の周囲に混入する可能性が低くなっていく。そこで、置換工程においては、基板の回転速度を第2速度よりも高い回転速度に設定してもよく、これによって、基板上の処理液および低表面張力溶剤に作用する遠心力が増大して低表面張力溶剤への置換に要する時間が短縮される。また、回転速度の増大にしたがって液膜が薄くなり、基板表面全体を覆うために必要な低表面張力溶剤の使用量を削減することができる。
【0013】
基板の回転速度については時間経過に伴って加速するようにしてもよく、これは処理時間の短縮および低表面張力溶剤の使用量削減にとって好適である。例えば回転速度を多段階で加速することができる。しかも、回転速度を加速する際の加速度を回転速度の増大に伴って高めるように構成してもよい。
【0014】
なお、本発明に用いられる「低表面張力溶剤」としては、100%の有機溶剤成分やこれと純水との混合液を用いることができる。また、低表面張力溶剤として有機溶剤成分を含む溶剤に替えて、界面活性剤を必須的に含む溶剤を用いてもよい。ここで、「有機溶剤成分」としてはアルコール系有機溶剤を用いることができる。アルコール系有機溶剤としては、安全性、価格等の観点からイソプロピルアルコール、エチルアルコールまたはメチルアルコールを用いることができるが、特にイソプロピルアルコール(IPA)が好適である。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、基板の回転速度を第2速度以下に維持しながら低表面張力溶剤を基板の表面中央部に供給して置換領域を形成した後、該置換領域を基板の径方向に拡大させて基板表面全面を低表面張力溶剤に置換している。このため、低表面張力溶剤を無駄に使用することなく、処理液の液膜を低表面張力溶剤の液膜に置換することができる。また、基板表面に低表面張力溶剤の液膜を全面形成する途中でマランゴニ対流によって基板表面の一部が乾燥露出されるのを確実に防止することができる。したがって、少ない低表面張力溶剤で基板表面を良好に乾燥させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明にかかる基板処理装置の一実施形態を示す図である。
【図2】図1の基板処理装置の主要な制御構成を示すブロック図である。
【図3】図1の基板処理装置に装備された遮断部材の要部を示す縦断面図である。
【図4】図3のA―A’線断面図(横断面図)である。
【図5】図1の基板処理装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図6】図1の基板処理装置の動作を示す模式図である。
【図7】図1の基板処理装置の動作を示す模式図である。
【図8】比較例にかかる基板処理方法を示すタイミングチャートである。
【図9】比較例および実施例により処理された基板表面上でのパーティクル分布を示す図である。
【図10】従来の基板処理装置の動作を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1はこの発明にかかる基板処理装置の一実施形態を示す図である。また、図2は図1の基板処理装置の主要な制御構成を示すブロック図である。この基板処理装置は半導体ウエハ等の基板Wの表面Wfに付着している不要物を除去するための洗浄処理に用いられる枚葉式の基板処理装置である。より具体的には、基板表面Wfに対してフッ酸などの薬液による薬液処理および純水やDIW(脱イオン水:deionized
water)などのリンス液によるリンス処理を施した後、リンス液で濡れた基板表面Wfを乾燥させる装置である。なお、この実施形態では、基板表面Wfとはpoly−Si等からなるデバイスパターンが形成されたパターン形成面をいう。
【0018】
この基板処理装置は、基板表面Wfを上方に向けた状態で基板Wを略水平姿勢に保持して回転させるスピンチャック1と、スピンチャック1に保持された基板Wの表面Wfに向けて薬液を吐出する薬液吐出ノズル3と、スピンチャック1の上方位置に配置に配置された遮断部材9とを備えている。
【0019】
スピンチャック1は、回転支軸11がモータを含むチャック回転機構13の回転軸に連結されており、チャック回転機構13の駆動により回転軸J(鉛直軸)回りに回転可能となっている。これら回転支軸11、チャック回転機構13は、円筒状のケーシング2内に収容されている。回転支軸11の上端部には、円盤状のスピンベース15が一体的にネジなどの締結部品によって連結されている。したがって、装置全体を制御する制御ユニット4からの動作指令に応じてチャック回転機構13を駆動させることによりスピンベース15が回転軸J回りに回転する。このように、この実施形態では、チャック回転機構13が本発明の「基板回転手段」として機能する。また、制御ユニット4はチャック回転機構13を制御して回転速度を調整する。
【0020】
スピンベース15の周縁部付近には、基板Wの周縁部を把持するための複数個のチャックピン17が立設されている。チャックピン17は、円形の基板Wを確実に保持するために3個以上設けてあればよく、スピンベース15の周縁部に沿って等角度間隔で配置されている。チャックピン17のそれぞれは、基板Wの周縁部を下方から支持する基板支持部と、基板支持部に支持された基板Wの外周端面を押圧して基板Wを保持する基板保持部とを備えている。各チャックピン17は、基板保持部が基板Wの外周端面を押圧する押圧状態と、基板保持部が基板Wの外周端面から離れる解放状態との間を切り替え可能に構成されている。
【0021】
スピンベース15に対して基板Wが受渡しされる際には、複数個のチャックピン17を解放状態とし、基板Wに対して洗浄処理を行う際には、複数個のチャックピン17を押圧状態とする。押圧状態とすることによって、複数個のチャックピン17は基板Wの周縁部を把持してその基板Wをスピンベース15から所定間隔を隔てて略水平姿勢に保持することができる。これにより、基板Wはその表面(パターン形成面)Wfを上方に向け、裏面Wbを下方に向けた状態で支持される。このように、この実施形態では、チャックピン17が本発明の「基板保持手段」として機能する。なお、基板保持手段としてはチャックピン17に限らず、基板裏面Wbを吸引して基板Wを支持する真空チャックを用いてもよい。
【0022】
薬液吐出ノズル3は、薬液バルブ31を介して薬液供給源と接続されている。このため、制御ユニット4からの制御指令に基づいて薬液バルブ31が開閉されると、薬液供給源から薬液が薬液吐出ノズル3に向けて圧送され、薬液吐出ノズル3から薬液が吐出される。なお、薬液にはフッ酸またはBHF(バッファードフッ酸)などが用いられる。また、薬液吐出ノズル3にはノズル移動機構33(図2)が接続されており、制御ユニット4からの動作指令に応じてノズル移動機構33が駆動されることで、薬液吐出ノズル3を基板Wの回転中心の上方の吐出位置と吐出位置から側方に退避した待機位置との間で往復移動させることができる。
【0023】
遮断部材9は、板状部材90と、内部が中空に仕上げられ、板状部材90を支持する回転支軸91と、回転支軸91の中空部に挿通された内挿軸95とを有している。板状部材90は、中心部に開口部を有する円盤状の部材であって、スピンチャック1に保持された基板Wの表面Wfに対向配置されている。板状部材90は、その下面(底面)90aが基板表面Wfと略平行に対向する基板対向面となっており、その平面サイズは基板Wの直径と同等以上の大きさに形成されている。板状部材90は略円筒形状を有する回転支軸91の下端部に略水平に取り付けられ、回転支軸91は水平方向に延びるアーム92により基板Wの中心を通る回転軸J回りに回転可能に保持されている。内挿軸95の外周面と回転支軸91の内周面との間にはベアリング(図示せず)が介在して取り付けられている。アーム92には、遮断部材回転機構93と遮断部材昇降機構94が接続されている。
【0024】
遮断部材回転機構93は、制御ユニット4からの動作指令に応じて回転支軸91を回転軸J回りに回転させる。回転支軸91が回転させられると、板状部材90が回転支軸91とともに一体的に回転する。遮断部材回転機構93は、スピンチャック1に保持された基板Wの回転に応じて基板Wと同じ回転方向でかつ略同じ回転速度で板状部材90(下面90a)を回転させるように構成されている。
【0025】
また、遮断部材昇降機構94は、制御ユニット4からの動作指令に応じて遮断部材9をスピンベース15に近接して対向させたり、逆に離間させることが可能となっている。具体的には、制御ユニット4は遮断部材昇降機構94を作動させることで、基板処理装置に対して基板Wを搬入出させる際には、スピンチャック1の上方の離間位置に遮断部材9を上昇させる。その一方で、基板Wに対して所定の処理を施す際には、スピンチャック1に保持された基板Wの表面Wfのごく近傍に設定された所定の対向位置(図1に示す位置)まで遮断部材9を下降させる。この実施形態では、リンス処理が開始されてから遮断部材9を離間位置から対向位置に下降させ、乾燥処理が完了するまで継続して遮断部材9を対向位置に位置させる。
【0026】
図3は図1の基板処理装置に装備された遮断部材の要部を示す縦断面図である。また、図4は図3のA―A’線断面図(横断面図)である。回転支軸91の中空部に内挿された内挿軸95は、横断面が円形に形成されている。これは、内挿軸95(非回転側部材)と回転支軸91(回転側部材)との隙間の間隔を全周にわたって均等にするためであり、該隙間にシールガスを導入することで内挿軸95と回転支軸91との隙間を外部からシールされた状態としている。内挿軸95には3本の流体供給路が鉛直軸方向に延びるように形成されている。すなわち、リンス液の通路となるリンス液供給路96、リンス液に溶解して表面張力を低下させる有機溶媒成分を有する低表面張力溶剤の通路となる溶剤供給路97および窒素ガス等の不活性ガスの通路となるガス供給路98が内挿軸95に形成されている。リンス液供給路96、溶剤供給路97およびガス供給路98はPTFE(ポリテトラフルオロエチレン:polytetrafluoroethylene)からなる内挿軸95にそれぞれ、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂:polymer of tetrafluoroethylene and perfluoroalkylvinylether)製のチューブ96b,97b,98bを軸方向に挿入することによって形成されている。
【0027】
そして、リンス液供給路96、溶剤供給路97およびガス供給路98の下端がそれぞれ、リンス液吐出口96a、溶剤吐出口97aおよびガス吐出口98aとなってスピンチャック1に保持された基板Wの表面Wfと対向している。この実施形態では、内挿軸の直径が18〜20mmに形成されている。また、リンス液吐出口96a、溶剤吐出口97aおよびガス吐出口98aの口径がそれぞれ、4mm、1〜2mm、4mmに形成されている。このように、この実施形態では、溶剤吐出口97aの口径がリンス液吐出口96aの口径よりも小さくなっている。これにより、以下に示す不具合を防止できる。すなわち、低表面張力溶剤はリンス液(DIW)に比較して表面張力が低くなっている。このため、リンス液吐出用に形成された口径と同一口径の溶剤吐出口から低表面張力溶剤を吐出させた場合には、低表面張力溶剤の吐出停止後、低表面張力溶剤が溶剤吐出口から落下するおそれがある。一方で、溶剤吐出用に形成された口径と同一口径のリンス液吐出口からリンス液を吐出させた場合には、リンス液の吐出速度が速くなってしまう。その結果、電気的絶縁体であるリンス液(DIW)が基板表面Wfに比較的高速で衝突することにより、リンス液が直接に供給された基板表面Wfの供給部位が帯電して酸化するおそれがある。これに対して、この実施形態では、低表面張力溶剤とリンス液の吐出口を個別に設けるとともに、溶剤吐出口97aの口径をリンス液吐出口96aの口径よりも小さく形成している。このため、溶剤吐出口から低表面張力溶剤が落下するのを防止するとともに、リンス液吐出口からのリンス液の吐出速度が速くなるのを抑え、基板表面Wfの帯電による酸化を抑制することができる。
【0028】
また、この実施形態では、リンス液吐出口96aが遮断部材9の中心軸、つまり基板Wの回転軸Jから径方向外側にずれた位置に設けられている。これにより、リンス液吐出口96aから吐出されたリンス液が基板表面Wfの一点(基板Wの回転中心W0)に集中して供給されるのが回避される。その結果、基板表面Wfの帯電部位を分散させることができ、基板Wの帯電による酸化を低減することができる。その一方で、リンス液吐出口96aが回転軸Jから離れ過ぎると、基板表面Wf上の回転中心W0にリンス液を到達させることが困難となってしまう。そこで、この実施形態では、水平方向における回転軸Jからリンス液吐出口96a(吐出口中心)までの距離Lを4mm程度に設定している。ここで、基板表面Wf上の回転中心W0にリンス液(DIW)を供給し得る距離Lの上限値としては、以下に示す条件で20mmとなっている。
【0029】
DIWの流量:2L/min
基板回転数:1500rpm
基板表面の状態:表面中央部が疎水面
また、回転軸Jから溶剤吐出口97a(吐出口中心)までの距離の上限値についても、基板回転数を1500rpmに設定する限り、上記した回転軸Jからリンス液吐出口96a(吐出口中心)までの距離Lの上限値(20mm)と基本的に同じである。
【0030】
一方で、回転軸Jからガス吐出口98a(吐出口中心)までの距離については、対向位置に位置決めされた遮断部材9(板状部材90)と基板表面Wfとの間に形成される間隙空間SPに窒素ガスを供給し得る限り、特に限定されず任意である。しかしながら、後述するようにして基板表面Wf上に形成された低表面張力溶剤による溶剤層に窒素ガスを吹付けて該溶剤層を基板Wから排出させる観点からは、ガス吐出口98aは回転軸J上あるいはその近傍位置に設けることが好ましい。
【0031】
また、回転支軸91の内壁面と内挿軸95の外壁面との間に形成される空間部分が外側ガス供給路99を構成しており、外側ガス供給路99の下端が環状の外側ガス吐出口99aとなっている。つまり、遮断部材9には、基板表面Wfの中央部に向けて窒素ガスを吐出するガス吐出口98aのほかに外側ガス吐出口99aが、リンス液吐出口96a、溶剤吐出口97aおよびガス吐出口98aに対して径方向外側に、しかもリンス液吐出口96a、溶剤吐出口97aおよびガス吐出口98aを取り囲むようにして設けられている。この外側ガス吐出口99aの開口面積はガス吐出口98aの開口面積に比較して遥かに大きく形成されている。このように、2種類のガス吐出口が遮断部材9に設けられているので、互いに流量および流速が異なる窒素ガスを各吐出口から吐出させることができる。例えば(1)基板表面Wfの周囲雰囲気を不活性ガス雰囲気に保つには、基板表面Wf上の液体を吹き飛ばすことのないように比較的大流量かつ低速で窒素ガスを供給することが望まれる。その一方で、(2)基板表面Wf上の低表面張力溶剤による溶剤層を基板表面Wfから除去する際には、基板Wの表面中央部に比較的小流量かつ高速で窒素ガスを供給することが望まれる。したがって、上記(1)の場合には、主として外側ガス吐出口99aから窒素ガスを吐出させることにより、上記(2)の場合には、主としてガス吐出口98aから窒素ガスを吐出させることにより、窒素ガスの用途に応じて適切な流量および流速で窒素ガスを基板表面Wfに向けて供給することができる。
【0032】
また、内挿軸95の先端(下端)は板状部材90の下面90aと面一になっておらず、下面90aを含む同一平面から上方側に退避している(図3)。このような構成によれば、ガス吐出口98aから吐出された窒素ガスが基板表面Wfに到達するまでに該窒素ガスを拡散させ、窒素ガスの流速をある程度減少させることができる。すなわち、ガス吐出口98aからの窒素ガスの流速が速すぎると、外側ガス吐出口99aからの窒素ガスと互いに干渉して基板表面Wf上の低表面張力溶剤による溶剤層を基板Wから排出することが困難となる。その結果、基板表面Wf上に液滴が残ってしまう。これに対して、上記構成によれば、ガス吐出口98aからの窒素ガスの流速が緩和され、基板表面Wf上の低表面張力溶剤による溶剤層を確実に基板Wから排出することができる。
【0033】
図1に戻って説明を続ける。リンス液供給路96の上端部はリンス液バルブ83を介して工場のユーティリティ等で構成されるDIW供給源に接続されており、リンス液バルブ83が開かれることにより、リンス液吐出口96aからDIWをリンス液として吐出可能となっている。
【0034】
また、溶剤供給路97の上端部は溶剤供給ユニット7に接続されている。溶剤供給ユニット7は、低表面張力溶剤を生成するためのキャビネット部70を備え、キャビネット部70にて生成された低表面張力溶剤を溶剤供給路97に圧送可能となっている。有機溶媒成分としては、DIW(表面張力:72mN/m)に溶解して表面張力を低下させる物質、例えばイソプロピルアルコール(表面張力:21〜23mN/m)が用いられる。なお、有機溶媒成分はイソプロピルアルコールに限定されず、エチルアルコール、メチルアルコールの各種有機溶媒成分を用いるようにしてもよい。また、有機溶媒成分は液体に限らず、各種アルコールの蒸気を有機溶媒成分としてDIWに溶解させて低表面張力溶剤を生成するようにしてもよい。
【0035】
キャビネット部70は、低表面張力溶剤を貯留する貯留タンク72を備えている。この貯留タンク72には貯留タンク72内にDIWを供給するためのDIW導入管73の一端が取り込まれており、その他方端が開閉バルブ73aを介してDIW供給源に接続されている。さらに、DIW導入管73の経路途中には流量計73bが介装されており、流量計73bがDIW供給源から貯留タンク72に導入されるDIWの流量を計測する。そして、制御ユニット4は、流量計73bで計測される流量に基づき、DIW導入管73を流通するDIWの流量を目標の流量(目標値)にするように、開閉バルブ73aを開閉制御する。
【0036】
同様にして、貯留タンク72には貯留タンク72内にIPA液体を供給するためのIPA導入管74の一端が取り込まれており、その他方端が開閉バルブ74aを介してIPA供給源に接続されている。さらに、IPA導入管74の経路途中には流量計74bが介装されており、流量計74bがIPA供給源から貯留タンク72に導入されるIPA液体の流量を計測する。そして、制御ユニット4は流量計74bで計測される流量に基づき、IPA導入管74を流通するIPA液体の流量を目標の流量(目標値)にするように開閉バルブ74aを開閉制御する。
【0037】
この実施形態では、低表面張力溶剤中のIPAの体積百分率(以下「IPA濃度」という)を調整可能となっている、つまり100%のIPAを低表面張力溶剤として供給することも、あるいはIPAとDIWを混合した混合液を低表面張力溶剤として供給することも可能となっている。なお、常に100%のIPAを低表面張力溶剤として用いる場合には、次に説明する溶剤バルブ76を介してIPAを直接供給するように構成してもよい。
【0038】
貯留タンク72には、その一端が溶剤供給路97に接続された溶剤供給管75の他端が挿入され、貯留タンク72に貯留されている低表面張力溶剤を溶剤バルブ76を介して溶剤供給路97に供給可能に構成されている。溶剤供給管75には、貯留タンク72に貯留されている低表面張力溶剤を溶剤供給管75に送り出す定量ポンプ77や、定量ポンプ77により溶剤供給管75に送り出される低表面張力溶剤の温度を調整する温調器78、低表面張力溶剤中の異物を除去するフィルタ79が設けられている。さらに、溶剤供給管75にはIPA濃度を監視するための濃度計80が介装されている。
【0039】
また、溶剤供給管75には、溶剤バルブ76と濃度計80との間に溶剤循環管81の一端が分岐接続される一方、溶剤循環管81の他端が貯留タンク72に接続されている。この溶剤循環管81には循環用バルブ82が介装されている。そして、装置の稼動中は、定量ポンプ77および温調器78が常に駆動され、基板Wに低表面張力溶剤を供給しない間は、溶剤バルブ76が閉じられる一方、循環用バルブ82が開かれる。これにより、貯留タンク72から定量ポンプ77により送り出される低表面張力溶剤が溶剤循環管81を通じて貯留タンク72に戻される。つまり、基板Wに低表面張力溶剤を供給しない間は、貯留タンク72、溶剤供給管75および溶剤循環管81からなる循環経路を低表面張力溶剤が循環する。その一方で、基板Wに低表面張力溶剤を供給するタイミングになると、溶剤バルブ76が開かれる一方、循環用バルブ82が閉じられる。これにより、貯留タンク72から送り出される低表面張力溶剤が溶剤供給路97に供給される。このように、基板Wに低表面張力溶剤を供給しない間は、低表面張力溶剤を循環させておくことによって、DIWとIPAとが攪拌され、DIWとIPAとを十分に混ざり合った状態とすることができる。また、溶剤バルブ76の開成後、所定の温度に調整されるとともに、異物が除去された低表面張力溶剤を速やかに溶剤供給路97に供給することができる。
【0040】
ガス供給路98および外側ガス供給路99の上端部はそれぞれ、ガス供給ユニット18(図2)と接続されており、制御ユニット4の動作指令に応じてガス供給ユニット18からガス供給路98および外側ガス供給路99に個別に窒素ガスを圧送可能となっている。これにより、対向位置に位置決めされた遮断部材9(板状部材90)と基板表面Wfとの間に形成される間隙空間SPに窒素ガスを供給することができる。
【0041】
ケーシング2の周囲には、受け部材21が固定的に取り付けられている。受け部材21には、円筒状の仕切り部材23a,23b,23cが立設されている。ケーシング2の外壁と仕切り部材23aの内壁との間の空間が第1排液槽25aを形成し、仕切り部材23aの外壁と仕切り部材23bの内壁との間の空間が第2排液槽25bを形成し、仕切り部材23bの外壁と仕切り部材23cの内壁との間の空間が第3排液槽25cを形成している。
【0042】
第1排液槽25a、第2排液槽25bおよび第3排液槽25cの底部にはそれぞれ、排出口27a,27b,27cが形成されており、各排出口は相互に異なるドレインに接続されている。例えばこの実施形態では、第1排液槽25aは使用済みの薬液を回収するための槽であり、薬液を回収して再利用するための回収ドレインに連通されている。また、第2排液槽25bは使用済みのリンス液を排液するための槽であり、廃棄処理のための廃棄ドレインに連通されている。さらに、第3排液槽25cは使用済みの低表面張力溶剤を排液するための槽であり、廃棄処理のための廃棄ドレインに連通されている。
【0043】
各排液槽25a〜25cの上方にはスプラッシュガード6が設けられている。スプラッシュガード6はスピンチャック1に水平姿勢で保持されている基板Wの周囲を包囲するようにスピンチャック1の回転軸Jに対して昇降自在に設けられている。このスプラッシュガード6は回転軸Jに対して略回転対称な形状を有しており、スピンチャック1と同心円状に径方向内側から外側に向かって配置された3つのガード61,62,63を備えている。3つのガード61,62,63は、最外部のガード63から最内部のガード61に向かって、順に高さが低くなるように設けられるとともに、各ガード61,62,63の上端部が鉛直方向に延びる面内に収まるように配置されている。
【0044】
スプラッシュガード6は、ガード昇降機構65と接続され、制御ユニット4からの動作指令に応じてガード昇降機構65の昇降駆動用アクチェータ(例えばエアシリンダーなど)を作動させることで、スプラッシュガード6をスピンチャック1に対して昇降させることが可能となっている。この実施形態では、ガード昇降機構65の駆動によりスプラッシュガード6を段階的に昇降させることで、回転する基板Wから飛散する処理液を第1〜第3排液槽25a〜25cに分別して排液させることが可能となっている。
【0045】
ガード61の上部には、断面くの字形で内方に開いた溝状の第1案内部61aが形成されている。そして、薬液処理時にスプラッシュガード6を最も高い位置(以下「第1高さ位置」という)に位置させることで、回転する基板Wから飛散する薬液が第1案内部61aで受け止められ、第1排液槽25aに案内される。具体的には、第1高さ位置として、第1案内部61aがスピンチャック1に保持された基板Wの周囲を取り囲むようにスプラッシュガード6を配置させることで、回転する基板Wから飛散する薬液がガード61を介して第1排液槽25aに案内される。
【0046】
また、ガード62の上部には、径方向外側から内側に向かって斜め上方に傾斜した傾斜部62aが形成されている。そして、リンス処理時にスプラッシュガード6を第1高さ位置よりも低い位置(以下「第2高さ位置」という)に位置させることで、回転する基板Wから飛散するリンス液が傾斜部62aで受け止められ、第3排液槽25bに案内される。具体的には、第2高さ位置として、傾斜部62aがスピンチャック1に保持された基板Wの周囲を取り囲むようにスプラッシュガード6を配置させることで、回転する基板Wから飛散するリンス液がガード61の上端部とガード62の上端部との間を通り抜けて第2排液槽25bに案内される。
【0047】
同様にして、ガード63の上部には、径方向外側から内側に向かって斜め上方に傾斜した傾斜部63aが形成されている。そして、置換処理時にスプラッシュガード6を第2高さ位置よりも低い位置(以下「第3高さ位置」という)に位置させることで、回転する基板Wから飛散する低表面張力溶剤が傾斜部63aで受け止められ、第2排液槽25cに案内される。具体的には、第3高さ位置として、傾斜部63aがスピンチャック1に保持された基板Wの周囲を取り囲むようにスプラッシュガード6を配置させることで、回転する基板Wから飛散する低表面張力溶剤がガード62の上端部とガード63の上端部との間を通り抜けて第3排液槽25cに案内される。
【0048】
さらに、第3高さ位置よりも低い位置(以下「退避位置」という)に位置させて、スピンチャック1をスプラッシュガード6の上端部から突出させることで、基板搬送手段(図示せず)が未処理の基板Wをスピンチャック1に載置したり、処理済の基板Wをスピンチャック1から受け取ることが可能となっている。
【0049】
次に、上記のように構成された基板処理装置の動作について図5ないし図7を参照しつつ詳述する。図5は図1の基板処理装置の動作を示すタイミングチャートである。また、図6および図7は図1の基板処理装置の動作を示す模式図である。この装置では、制御ユニット4はメモリ(図示省略)に記憶されているプログラムにしたがって装置各部を制御して基板Wに対して一連の処理を施す。すなわち、制御ユニット4はスプラッシュガード6を退避位置に位置させて、スピンチャック1をスプラッシュガード6の上端部から突出させる。そして、この状態で基板搬送手段(図示せず)により未処理の基板Wが装置内に搬入されると、基板Wに対して洗浄処理(薬液処理+リンス処理+パドル形成処理+置換領域形成処理+置換処理+乾燥処理)を実行する。基板表面Wfには例えばpoly−Siからなる微細パターンが形成されている。そこで、この実施形態では、基板表面Wfを上方に向けた状態で基板Wが装置内に搬入され、スピンチャック1に保持される。なお、遮断部材9はスピンチャック1の上方の離間位置にあり、基板Wとの干渉を防止している。
【0050】
続いて、制御ユニット4はスプラッシュガード6を第1高さ位置(図1に示す位置)に配置して、基板Wに対して薬液処理を実行する。すなわち、薬液吐出ノズル3を吐出位置に移動させるとともに、チャック回転機構13の駆動によりスピンチャック1に保持された基板Wを200〜1200rpmの範囲内で定められる回転速度(例えば800rpm)で回転させる。そして、薬液バルブ31を開いて薬液吐出ノズル3から基板表面Wfに薬液としてフッ酸を供給する(HF供給)。基板表面Wfに供給されたフッ酸は遠心力により広げられ、基板表面Wf全体がフッ酸により薬液処理される。基板Wから振り切られたフッ酸は第1排液槽25aに案内され、適宜再利用される。
【0051】
薬液処理が終了すると、薬液吐出ノズル3が待機位置に移動される。そして、スプラッシュガード6が第2高さ位置に配置され、基板Wに対して本発明の「湿式処理」としてリンス処理が実行される。すなわち、リンス液バルブ83を開いて、離間位置に位置する遮断部材9のリンス液吐出口96aからリンス液を吐出させる(DIW供給)。また、リンス液の吐出と同時に遮断部材9を対向位置に向けて下降させ、該対向位置に位置決めする。このように、薬液処理後、すぐに基板表面Wfにリンス液を供給することで基板表面Wfを継続して濡れた状態としておく。これは次のような理由による。すなわち、薬液処理後、フッ酸が基板Wから振り切られると、基板表面Wfの乾燥がはじまる。その結果、基板表面Wfが部分的に乾燥し、基板表面Wfにシミ等が発生することがある。したがって、このような基板表面Wfの部分的な乾燥を防止するため、基板表面Wfを濡れた状態としておくことが重要となっている。また、遮断部材9のガス吐出口98aおよび外側ガス吐出口99aから窒素ガスを吐出させる。ここでは、主として外側ガス吐出口99aから窒素ガスを吐出させる。つまり、外側ガス吐出口99aから比較的大流量の窒素ガスを吐出させる一方、ガス吐出口98aから吐出させる窒素ガスの流量が微小量となるように、両吐出口から吐出させる窒素ガスの流量バランスを調整する。
【0052】
図5に示す窒素ガス流量において、破線は外側ガス吐出口99aから吐出されるガス流量を表し、実線はガス吐出口98aおよび外側ガス吐出口99aから吐出されるガス流量の合計を表している。図5に示すように、基板表面Wfにリンス液としてのDIWを供給するに際して吐出する窒素ガスの流量を例えば100SLM(standard
liter per minute)とするとき、そのうちの95SLMを外側ガス吐出口99aから供給する一方、残余の5SLMをガス吐出口98aから供給するようにする。
【0053】
ガス流量は上記に限定されるものではないが、ガス吐出口98aからのガス流量としては5SLMないし40SLM、外側ガス吐出口99aからのガス流量としては95SLMないし100SLM程度が好ましい。
【0054】
リンス液吐出口96aから基板表面Wfに供給されたリンス液は基板Wの回転に伴う遠心力により広げられ、基板表面Wf全体がリンス処理される(湿式処理工程)。つまり、基板表面Wfに残留付着するフッ酸が本発明の処理液に相当するリンス液によって洗い流され基板表面Wfから除去される。基板Wから振り切られた使用済みのリンス液は第2排液槽25bに案内され、廃棄される。また、間隙空間SPに窒素ガスが供給されることで基板表面Wfの周囲雰囲気が低酸素濃度雰囲気に保たれている。このため、リンス液の溶存酸素濃度の上昇を抑制することができる。なお、リンス処理時における基板Wの回転速度(第1速度)は例えば600rpmに設定される(図6(a))。
【0055】
また、上記したリンス処理および後述の処理(パドル形成処理、置換領域形成処理、置換処理、乾燥処理)を実行する際には、遮断部材9の板状部材90を基板Wと同じ回転方向でかつ略同じ回転速度で回転させる。これにより、板状部材90の下面90aと基板表面Wfとの間に相対的な回転速度差が発生するのを防止して、間隙空間SPに巻き込み気流が発生するのを抑制することができる。このため、ミスト状のリンス液および低表面張力溶剤が間隙空間SPに侵入して基板表面Wfに付着するのを防止できる。また、板状部材90を回転させることで下面90aに付着するリンス液や低表面張力溶剤を振り切り、下面90aにリンス液や低表面張力溶剤が滞留するのを防止できる。
【0056】
所定時間のリンス処理が終了すると、次にパドル形成処理が実行される。すなわち、制御ユニット4は、リンス処理の終了後に、基板Wの回転速度を第1速度よりも遅い第2速度に減速する。これによって、リンス液吐出口96aから吐出されるリンス液が基板表面Wfに溜められてDIW液膜がパドル状に形成される(パドル形成処理)。この実施形態では、制御ユニット4は第2速度を10rpmに設定し、9秒間だけリンス液の供給を継続させた後、リンス液バルブ83を閉じてリンス液吐出口96aからのリンス液の吐出を停止させる。これによって、図6(b)に示すように、DIW液膜が形成される。なお、第2速度は10rpmに限定されるものではないが、リンス液に作用する遠心力がリンス液と基板表面Wfとの間で作用する表面張力よりも小さくなるという条件が満足する範囲で第2速度を設定する必要がある。というのも、リンス液の液膜をパドル状に形成するためには、上記条件の充足が必須だからである。
【0057】
そして、DIW供給停止後、所定時間(この実施形態では、0.5秒間)が経過してパドル状DIW液膜の膜厚t1が基板Wの全面でほぼ均一になるのを待って、制御ユニット4はスプラッシュガード6を第3高さ位置に配置する。それに続いて、溶剤バルブ76を開いて溶剤吐出口97aから低表面張力溶剤を吐出させる。ここでは、キャビネット部70において、100%のIPAが予め準備されており、IPAが溶剤吐出口97aから基板表面Wfの表面中央部に向けて低流量、例えば100(mL/min)の流量で吐出される。このIPA供給によって、図6(c)に示すように、基板Wの表面中央部ではDIW液膜の中央部がIPAに置換されて置換領域SRが液膜に形成される(置換領域形成処理)。
【0058】
IPA供給から3秒が経過すると、制御ユニット4はIPA供給を継続させたまま基板Wの回転速度を10rpmから300rpmに加速する。これによって、置換領域SRが基板Wの径方向に拡大して基板表面Wfの全面が低表面張力溶剤に置換される(置換処理)。この実施形態では、次に説明するように、基板Wの回転速度を2段階で加速している。
【0059】
制御ユニット4は基板Wの回転速度を0.5秒をかけて10rpmから100rpmに加速する(第1置換処理)。このように回転速度の加速によって基板表面Wf上の液膜(DIW領域+IPA領域(置換領域SR))に作用する遠心力が増大してDIWが振り切られるとともに置換領域SRが径方向に広がっていく(図6(d))。このとき、基板表面Wf上の液膜厚みは回転速度に対応する厚みt2と薄くなり、所定時間(この実施形態では1秒)経過すると、基板Wの表面外周部に存在していたDIWは全て基板Wから振り落とされるとともに、置換領域SRが基板表面Wfの全面に均一に広がって基板表面WfはIPA液膜で全面的に覆われる。
【0060】
次の第2置換処理では、制御ユニット4は基板Wの回転速度を0.5秒をかけて100rpmから300rpmに加速する。これは基板表面Wfに形成された微細パターンFPの間隙内部に残留しているリンス液(図7(a)中の「残留DIW」)をIPAに置換するために行われるものである。つまり、回転速度の加速によってIPAが基板表面Wfで大きく流動し、これによって微細パターンFPの間隙内部では残留DIWがIPAに置換される(図7(b))。これによって、基板表面Wfに付着するDIWがIPAに確実に置換される。このように第2置換処理での加速度(=(300−100)/0.5)を、第1置換処理での加速度(=(100−10)/0.5)よりも高めることで残留DIWの置換効率を高めることができる。なお、基板Wから振り切られた使用済みのIPAは第3排液槽25cに案内され、廃棄される。
【0061】
図5に示すように、ガス吐出口98aおよび外側ガス吐出口99aからの窒素ガス流量は置換処理が終了するまでの間、リンス処理時と同じ流量に維持される。このように、遮断部材9を基板表面Wfに近接配置した状態で比較的大流量かつ低速の窒素ガスを継続的に基板表面Wfに供給しながらリンス処理および置換処理を実行することにより、周囲雰囲気に含まれるミスト中の薬液やリンス液の成分が間隙空間SPに入り込むのを抑制することができる。特に、置換処理において基板表面Wfを覆うIPAにリンス液のミストが混入することに起因するウォーターマークの発生を効果的に抑制することができる。
【0062】
こうして、置換処理が完了すると、制御ユニット4はチャック回転機構13の回転速度を高めて基板Wを高速回転(例えば1000rpm)させる。これにより、基板表面Wfに付着するIPAが振り切られ、基板Wの乾燥処理(スピンドライ)が実行される(乾燥処理)。このとき、パターンの間隙には低表面張力溶剤が入り込んでいるので、パターン倒壊やウォーターマーク発生を防止できる。また、間隙空間SPはガス吐出口98aおよび外側ガス吐出口99aから供給される窒素ガスで満たされていることから、乾燥時間を短縮するとともに基板Wに付着する液体成分(低表面張力溶剤)への被酸化物質の溶出を低減してウォーターマークの発生をさらに効果的に抑制することができる。
【0063】
また、乾燥処理においては窒素ガスの流量を100SLMから140SLMに増加させることにより(図5)、ミスト等の回り込みがより確実に防止される。このとき、外側ガス吐出口99aからの吐出量をあまり変化させない一方(95SLMから100SLMへ)、ガス吐出口98aからの吐出量を大きく増加させることにより(5SLMから40SLMへ)、基板表面Wfの中央部に流速の高い窒素ガス流を供給することができる。こうすることにより、基板中央部から周縁部へ向けてIPAを効率よく排出させることができる。
【0064】
基板Wの乾燥処理が終了すると、制御ユニット4はチャック回転機構13を制御して基板Wの回転を停止させる。窒素ガスの供給は、少なくとも基板の回転が停止するまでの間継続されることが望ましい。そして、スプラッシュガード6を退避位置に位置させて、スピンチャック1をスプラッシュガード6の上方から突出させる。その後、基板搬送手段が処理済の基板Wを装置から搬出して、1枚の基板Wに対する一連の洗浄処理が終了する。
【0065】
以上のように、この実施形態によれば、100(mL/min)という低流量のIPAを基板表面Wfの中央部に供給しながら置換領域SRの形成および拡大を行っている。したがって、基板表面全面をIPAに置換するために必要なIPAの使用量を、従来技術(多量のIPAを基板表面に供給して一気に基板表面全面をIPAに置換する)に比べて大幅に低減させることができる。
【0066】
また本実施形態では、基板Wの回転速度を第2速度に減速してDIW液膜を厚みt1に増大させ、この状態を維持しながらIPAを基板Wの表面中央部に供給することによって、基板表面Wfの中央部にIPAの置換領域SRが形成される。このとき、基板表面Wf上の液膜のうち置換領域SRの周囲に位置しているDIW領域にIPAが混入することがあるが、基板表面Wf上の液膜が比較的厚く(厚みt1)なっているために、混入位置でのマランゴニ対流の発生を抑制することができる。その結果、基板表面Wfが部分的に乾燥されるという不具合を効果的に防止することができる。
【0067】
ここで、基板Wの回転速度を第2速度に維持したままIPA供給を続けて置換処理を行ってもよいが、本実施形態のように基板Wの回転速度を第2速度よりも高い回転速度(100rpm)に加速してもよい。というのも、置換領域SRの形成後においては、IPAの供給位置(基板Wの表面中央部)から基板W上のDIW領域までの距離が広がっているため、IPAが置換領域SRの周囲に混入する可能性が低くなっているからである。そこで、本実施形態では、基板Wの回転速度を加速することによって、基板表面Wf上の液膜(DIW領域+置換領域SR)に作用する遠心力が増大し、IPAへの置換に要する時間が短縮される。また、回転速度の増大にしたがって液膜が薄くなり、基板表面全体を覆うために必要なIPAの使用量を削減することができる。
【0068】
さらに、基板表面WfがIPAで全面覆われた時点で置換処理を完了してもよいが、本実施形態では、この状態から、さらに基板Wの回転速度を300rpmに増大させている、つまり第2置換処理を行っているため、微細パターンFPの残留DIWをIPAに確実に置換することができる。したがって、パターンの倒壊をさらに効果的に抑制することができる。
【0069】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば上記実施形態では、置換処理において基板Wの回転速度を2段階に分けて加速しているが、3段階以上に分けて加速してもよい。また、置換処理において基板Wの回転速度を連続的に加速するように構成してもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、パドル形成処理と同じ回転速度、つまり第2速度で基板Wを回転させながら置換領域形成処理を実行しているが、基板Wの回転を停止した状態や第2速度よりも低速で回転させた状態で置換領域形成処理を実行してもよい。要は、基板の回転速度を第2速度以下に維持しながら低表面張力溶剤を基板の表面中央部に供給して低表面張力溶剤による置換領域を形成することで上記実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0071】
また、上記実施形態では、IPAを低表面張力溶剤として用いているが、キャビネット部70でIPAとDIWの混合液を作成し、これを低表面張力溶剤として用いてもよい。また、混合液の生成方法はこれに限定されない。例えば、DIWを遮断部材の液供給路(またはノズル)に向けて送液する送液経路上にインラインでIPA等の有機溶媒成分を混合させて混合液を生成してもよい。また、キャビネット部などの混合液生成手段は、基板処理装置内に設ける場合に限らず、基板処理装置とは別個に設けられた他の装置において生成した混合液を基板処理装置内に設けられた遮断部材を介して基板表面Wfに供給させてもよい。さらに、IPAなどの有機溶剤成分を含む溶剤に替えて界面活性剤を必須的に含む溶剤を用いてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、リンス液としてDIWを用いているが、炭酸水(DIW+CO2)など基板表面Wfに対して化学的洗浄作用を有しない成分を含んだ液体をリンス液として用いるようにしてもよい。この場合、基板表面Wfに付着しているリンス液と同一組成の液体(炭酸水)と有機溶媒成分とを混合したものを混合液として用いてもよい。また、リンス液として炭酸水を用いる一方で、混合液は炭酸水の主成分であるDIWと有機溶媒成分とを混合したものを用いてもよい。さらに、リンス液としてDIWを用いる一方で、混合液は炭酸水と有機溶媒成分とを混合したものを用いてもよい。要は、基板表面Wfに付着している液体と主成分が同一である液体と有機溶媒成分とを混合したものを混合液として用いればよい。また、リンス液としては、DIW、炭酸水の他、水素水、希薄濃度(例えば1ppm程度)のアンモニア水、希薄濃度の塩酸なども用いることができる。
【実施例】
【0073】
次に本発明の実施例を示すが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0074】
図8は比較例にかかる基板処理方法を示すタイミングチャートである。この比較例が本発明の実施例(図5)と大きく相違する点は、リンス処理と乾燥処理との間で行われる処理内容である。すなわち、本発明の実施例では上記したようにリンス処理後に置換領域形成処理と置換処理が行われる。これに対し、比較例ではリンス処理後に基板Wの回転速度が300rpmに減速されるものの液膜は非パドル状態であり、しかも膜厚は薄くなっている。そして、その回転速度を維持したままIPA供給が低流量(100mL/min)で16秒間継続されて基板表面Wf上のDIW液膜がIPA液膜に置換される。その後で、基板Wの回転速度が1000rpmに加速されて乾燥処理が実行される。
【0075】
こうして比較例により基板処理された基板表面Wfに付着しているパーティクル(粒径;0.06μm以上)の数をKLA−Tencor社製のパーティクル評価装置SP1−TBIを用いて評価したところ、パーティクル数が432個増加した。また、その基板表面Wfをモニターしたところ、図9(a)に示すパーティクル分布が観測された。なお、同図において、白丸ラインは基板Wの周端部を示すとともに、白点は基板表面Wfに付着するパーティクルを示している。
【0076】
一方、8枚の基板Wについて、本発明の実施例により基板処理された基板表面Wfに付着しているパーティクル(粒径;0.06μm以上)の数を上記パーティクル評価装置SP1−TBIを用いて評価したところ、パーティクル数の変化はそれぞれ(+9個)、(+53個)、(−125個)、(−173個)、(−132個)、(−107個)および(+26個)となっており、パーティクルの付着が比較例に比べて大幅に安定していることがわかる。また、これらの8枚の基板Wのうち6枚の基板表面Wfをモニターしたところ、図9(b)〜(g)に示すパーティクル分布が観測された。
【0077】
これらの結果から明らかなように、本発明によれば、低表面張力溶剤の使用量を低減すべく低表面張力溶剤の流量を低減させた場合であっても、本発明のように置換領域形成処理および置換処理を施すことによって、基板表面Wfを良好に乾燥させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
この発明は、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板などを含む基板全般の表面に対して乾燥処理を施す基板処理装置および基板処理方法に適用することができる。
【符号の説明】
【0079】
1…スピンチャック
4…制御ユニット(制御手段)
7…溶剤供給ユニット(供給手段)
13…チャック回転機構(基板回転手段)
17…チャックピン(基板保持手段)
J…回転軸
SR…置換領域
Wf…基板表面
W…基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略水平状態の基板を第1速度で回転させながら処理液を用いて前記基板表面に対して湿式処理を施す湿式処理工程と、
前記基板の回転速度を第2速度に減速して前記基板上に前記処理液の液膜をパドル状に形成するパドル形成工程と、
前記基板の回転速度を前記第2速度以下に維持しながら、前記処理液よりも表面張力が低い低表面張力溶剤を前記基板の表面中央部に供給して前記低表面張力溶剤による置換領域を形成する置換領域形成工程と、
前記低表面張力溶剤を前記表面中央部に供給して前記置換領域を前記基板の径方向に拡大させて前記基板表面全面を前記低表面張力溶剤に置換する置換工程と、
前記置換工程後に前記低表面張力溶剤を前記基板表面から除去して該基板表面を乾燥させる乾燥工程とを備え、
前記パドル形成工程において前記基板表面に前記処理液が供給されることを特徴とする基板処理方法。
【請求項2】
前記基板表面に前記処理液を供給しつつ、前記基板の回転速度を前記第1速度から前記第2速度に減速する請求項1記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記置換工程では、前記第2速度よりも高い回転速度で前記基板を回転させる請求項1または2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記置換工程では、前記基板の回転速度は時間経過に伴って加速される請求項3記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記置換工程では、前記基板の回転速度は多段階で加速され、回転速度を加速する際の加速度は前記回転速度の増大に伴って高められている請求項4記載の基板処理方法。
【請求項6】
処理液を用いた基板表面に対する湿式処理後に、前記処理液よりも表面張力が低い低表面張力溶剤で前記基板表面上の前記処理液を置換してから前記低表面張力溶剤を前記基板表面から除去して前記基板表面を乾燥させる基板処理装置において、
基板を略水平姿勢で保持する基板保持手段と、
前記基板保持手段に保持された基板を所定の回転軸回りに回転させる基板回転手段と、
前記基板保持手段に保持された前記基板の表面中央部に前記低表面張力溶剤を供給する供給手段と、
前記基板回転手段を制御して前記基板の回転速度を調整する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記湿式処理での回転速度を第1速度に設定する一方、前記低表面張力溶剤の供給前に回転速度を第2速度に減速して前記基板上に前記処理液の液膜をパドル状に形成し、
前記供給手段は、前記基板の回転速度が前記第2速度以下に維持された状態で前記低表面張力溶剤を供給して前記基板の表面中央部に前記低表面張力溶剤による置換領域を形成するのに続き、前記低表面張力溶剤を前記置換領域に供給して前記置換領域を前記基板の径方向に拡大させて前記基板表面全面を前記低表面張力溶剤に置換し、
前記制御手段が前記基板を前記第2速度で回転させて前記処理液の前記液膜をパドル状に形成している間に前記基板表面に前記処理液が供給される
ことを特徴とする基板処理装置。
【請求項7】
前記基板表面に前記処理液が供給されている状態で、前記制御手段は前記基板の回転速度を前記第1速度から前記第2速度に減速する請求項6記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記置換領域が形成された後に、前記基板の回転速度を前記第2速度よりも高い回転速度に加速する請求項6または7に記載の基板処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−70103(P2013−70103A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−8951(P2013−8951)
【出願日】平成25年1月22日(2013.1.22)
【分割の表示】特願2008−60514(P2008−60514)の分割
【原出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】