説明

基板処理装置及び処理液の流路切り替え方法

【課題】基板の処理に使用された処理液のうち、回収すべき処理液と排出すべき処理液とが混ざり合うことを確実に抑えられる技術を提供する。
【解決手段】基板処理装置1は、基板Wの現像処理に使用される現像液を吐出するノズル30と、ノズル30から吐出された現像液が流下する基板処理槽10と、基板処理槽10の内部に廃液口431が設けられた配管43と、配管43と並列的に設けられ、現像液の回収と再利用とのために基板処理槽10の内部において回収口421が設けられた配管42と、基板処理槽10の所定部位に設けられ、揺動軸442を中心に揺動することによって、基板処理槽10内に流下した現像液の流出先を配管42と配管43との間で選択的に切り替える揺動部材445を有する現像液流路切替部44と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、PDP(Plasma Display Panel)用ガラス基板、有機EL表示パネル用ガラス基板、太陽電池用基板、磁気或は光ディスク用のガラス或はセラミック基板等の各種被処理基板に対して、処理を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現像液を基板に液盛りすることで行われる現像処理に使用された現像液は回収及び再使用される場合がある。しかしながら、現像液の種類によっては基板又は基板に塗布されたレジストと現像液とが反応することで非溶解物が生成されてしまい、現像処理に使用された現像液を再使用することによって、現像不良が引き起こされるおそれがある。
【0003】
特許文献1には、このような問題の解決を意図した基板処理装置が開示されている。この基板処理装置では、基板を経由せずにノズルから直に流下する現像液は回収及び再使用され、基板上に吐出されて現像処理に使用され、処理槽の内底部に流下した処理液は再使用されることなく排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−289037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の基板処理装置は、処理液を回収する回収ラインにつながる回収槽がノズルの直下に設けられた構造を有している。このため、搬送方向における基板の後端などから現像液が流下した場合には、現像処理に使用された現像液が回収槽に混入する恐れがあった。
【0006】
また、特許文献1には、切替弁を切り替えることによって、回収ラインにつながる流路と現像液を排出する排出ラインにつながる流路とを切り替える構成についても開示されている。この場合、切替弁が切り替えられてから直ちに、回収される現像液と廃棄される現像液との流路が切り替わることは困難であり、応答性が低い。このため、処理に使用された現像液と処理に使用されなかった現像液とのうち、一方の現像液が槽内に残存している状態で他方の現像液が槽内に流れ始めてしまい、現像液が混ざり合う恐れがあった。
【0007】
このような問題は、現像処理に限らず、洗浄又はエッチングなどの処理においても生じる恐れがある。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、基板の処理に使用された処理液のうち、回収すべき処理液と排出すべき処理液とが混ざり合うことを確実に抑えられる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、基板処理装置であって、基板の処理に使用される処理液を吐出するノズルと、前記ノズルから吐出された前記処理液が流下する処理槽と、前記処理槽内に開口した廃液流路と、前記廃液流路と並列的に設けられ、前記処理液の回収と再利用とのために前記処理槽内において開口した回収流路と、前記処理槽の前記所定部位に設けられ、揺動軸を中心に揺動することによって、前記処理槽内に流下した前記処理液の流出先を前記廃液流路と前記回収流路との間で選択的に切替える揺動部材を有する処理液流路切替部と、を備えている。
【0010】
第2の発明は、第1の発明に係る基板処理装置であって、前記処理槽内に設置され、前記ノズルから吐出された前記処理液を前記処理液流路切替部に導引するスロープ、をさらに備えている。
【0011】
第3の発明は、第2の発明に係る基板処理装置であって、上方から流下してくる前記処理液を前記揺動部材上に受ける位置を距離起点としたとき、前記揺動部材においては、前記廃液流路側への前記処理液の第1流出端までの第1距離が、前記回収流路側への前記処理液の第2流出端までの第2距離よりも短い。
【0012】
第4の発明は、第1の発明ないし第3の発明のいずれか一つに係る基板処理装置であって、前記ノズルは水平方向に延びる長尺のノズルであり、前記揺動部材が、前記ノズルの長手方向に沿って延びる長尺の板状面を持つ。
【0013】
第5の発明は、第1の発明ないし第4の発明のいずれか一つに係る基板処理装置であって、前記回収流路として、前記処理液の種類に応じて複数の単位回収流路が並列的に設置されており、前記複数の単位回収流路は前記処理槽内で並列的に開口しているとともに、前記基板処理装置が、前記処理槽内に落下して回収されるべき前記処理液の流出先を、前記複数の単位回収流路の間で選択的に切り替える回収流路切替部、をさらに備えている。
【0014】
第6の発明は、第5の発明に係る基板処理装置であって、前記揺動部材を第1の揺動部材と呼び、前記揺動部材の揺動軸を第1の揺動軸と呼ぶとき、前記回収流路切替部が、前記第1の揺動軸と平行に設けられた第2の揺動軸のまわりに揺動可能な少なくとも一つの第2の揺動部材、を備え、前記第2の揺動部材の傾斜状態に応じて、前記処理槽内に落下して回収されるべき前記処理液の流出先を前記複数の単位回収流路の間で切り替える。
【0015】
第7の発明は、第1の発明ないし第6の発明のいずれか一つに係る基板処理装置であって、前記ノズルの下方における前記基板の有無を判定するための基板検出を行う検出部と、前記検出手段による検出結果に応答して、前記揺動部材の傾斜状態を切り替える信号を生成し、前記揺動部材を揺動させる駆動部へ前記信号を出力する制御部と、をさらに備えている。
【0016】
第8の発明は、処理液の流路切り替え方法であって、基板の処理に使用される処理液をノズルから吐出する吐出工程と、前記ノズルから吐出して前記処理槽の内部に流下した前記処理液を、所定の揺動軸を中心に揺動可能な揺動部材上に受ける工程と、前記揺動部材の傾斜状態に応じて、前記揺動部材上に受けた前記処理液の流出先を、廃液流路側と、前記処理液の回収と再利用とのための回収流路側との間で選択的に切り替える処理液流路切替工程と、を備えている。
【発明の効果】
【0017】
第1の発明ないし第7の発明において、基板処理装置は、揺動軸を中心に揺動することによって、処理液の流出先を廃液流路と回収流路との間で選択的に切り替える処理液流路切替部を備える。このため、処理槽の内部に処理液の液だまりが形成されることなく、処理液は速やかに各流路を通って流出する。従って、処理槽の内部で基板の処理に使用されて排出される処理液と基板の処理に未使用の回収される処理液とが混ざり合うことを抑えられる。
【0018】
特に、第2の発明において、基板処理装置は、ノズルから吐出された処理液を処理液流路切替部に導引するスロープをさらに備える。そのため、処理槽は比較的簡易な構造を採用可能であり、ノズルから吐出された処理液を確実に処理液流路切替部に導くことができる。また、スロープが存在することによって、処理液流路切替部を比較的小さいサイズに形成できるため、処理液流路切替部は比較的容易に揺動することができる。
【0019】
特に、第3の発明において、上方から流下してくる処理液を揺動部材上に受ける位置を距離起点としたとき、揺動部材においては、廃液流路側への処理液の第1流出端までの第1距離が、回収流路側への処理液の第2流出端までの第2距離よりも短い。このため、処理液流路切替部上に残存している基板の処理に使用された処理液が回収流路に流れ込むことをより確実に抑制できる。
【0020】
特に、第4の発明において、ノズルは水平方向に延びる長尺のノズルであり、揺動部材が、ノズルの長手方向に沿って延びる長尺の板状面を持つため、現像液を確実に受け止められるとともに、速やかに流出させることができる。
【0021】
特に、第5の発明において、回収流路切替部が処理液の種類に応じて処理液が流れるべき単位回収流路に処理液の流出先を切り替えるため、複数種類の処理液を使用する場合であっても、処理液が混ざり合うことを抑えることができる。
【0022】
特に、第7の発明において、ノズルの下方における基板Wの有無を判定するための基板検出が行われ、検出結果に応答して揺動部材の傾斜状態が切り替えられる。このため、基板上で現像処理に使用された現像液と、現像処理に未使用の現像液との流出先を比較的正確なタイミングで各流路の間で選択的に切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置の平面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置における現像処理の一部の工程を示す概略側面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置における現像処理の一部の工程を示す概略側面図である。
【図4】制御部のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図5】印刷処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る基板処理装置における現像処理の一部の工程を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定する事例ではない。
【0025】
<1. 第1の実施形態>
<1−1. 基板処理装置1の概要>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置1の平面図である。また、図2は本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置1の処理の様子の一部分を示す側面図である。また、図3は、本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置1の処理の様子の一部分を示す側面図である。また、図4は、制御部90のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0026】
なお、以下の説明においては、方向及び向きを示す際に、適宜図中に示すXYZ直交座標を用いる。ここで、X軸及びY軸方向は水平方向、Z軸方向は鉛直方向(+Z側が上側、−Z側が下側)を示す。また、便宜上、Y軸方向を基板の搬送方向(+Y側が下流側、−Y側が上流側)とし、X軸方向を奥行き方向(+X側、−X側)とする。
【0027】
基板処理装置1は、基板Wの表面に印刷すべきパターン(たとえば電子回路パターンや、画素配列パターン)を形成する過程で、基板Wの表面に形成されたレジスト膜を現像処理するために使用される。処理対象となる基板Wは、代表的に液晶表示装置に画面パネルを製造するための角形のガラス基板であるが、半導体基板、フィルム液晶用フレキシブル基板、フォトマスク用基板、太陽電池用基板、カラーフィルタ用基板などの他の基板であってもよい。
【0028】
また、現像液には、例えば有機平坦化膜形成用のレジスト膜又はカラーフィルタ製造用のレジスト膜を現像処理するための現像液が使用される。このような現像液は基板W又は基板Wに形成されたこれらのレジストと反応して、使用済みの現像液を再使用する際に障害となる非溶解物を生成する特徴を有する。
【0029】
基板処理装置1は、基板処理槽10と、基板処理槽10内に設置され、基板Wに現像液を吐出するノズル30と、上流ユニットから基板処理槽10、そして下流ユニットへと水平姿勢の基板Wを搬送するコンベア20と、回収口421が基板処理槽10の底部に開口している配管42と、配管42と並列的に設けられ、廃液口431が基板処理槽10の底部に開口している配管43と、基板処理槽10の内部の所定部位に設置され、基板処理槽10内に流下した現像液の流出先を配管42と配管43との間で選択的に切り替える揺動部材445を有する現像液流路切替部44と、基板処理槽10の内部に設置され、ノズル30から吐出された後の現像液を現像液流路切替部44に導引する固定スロープ部45と、を備える。なお、本実施形態における廃液流路は廃液口431を入口側の開口とする配管43を流れる処理液の流路を称し、回収流路は回収口421を入口側の開口とする配管42を流れる処理液の流路を称する。
【0030】
ノズル30は、基板処理槽10の入口側開口11付近に設置されており、奥行き方向(X軸方向)に沿って複数配置される形態(図1ではノズル30が2基設置されている。)が一般的である。このようなノズル30は、後述する現像液の回収タンク422と配管32によって流路接続されており、ノズル30の吐出口から現像液が吐出される。なお、ノズルは、例えば奥行き方向に沿って水平方向に延びる長尺のノズルであってもよい。この場合、ノズルが有する吐出口は長手方向に沿ってスリット状に形成されている。
【0031】
基板Wの現像処理が連続して行われる間、現像液はノズル30から吐出された状態が維持され続ける。表面に露光済みのレジスト膜が形成された基板Wはこのようなノズル30の吐出口の直下位置を通過する際に、ノズル30から吐出されることで形成された現像液の液柱を通り抜ける。これによって、現像液が基板W上に液盛りされる。現像反応は、液盛りされた基板Wが搬送されている間に進行し、次工程において水洗処理が施されることによって停止する。
【0032】
このようなノズル30は、基板Wの搬送経路として構成されたコンベア20を跨ぐようにして設置された架橋構造体60が備えるノズル支持部61に設置されている。この架橋構造体60は昇降可能であるため、ノズル30の吐出口と基板Wとの間隔は調節可能である。
【0033】
基板処理槽10は、現像液が基板Wに塗布される工程が実施される槽である。基板処理槽10の下方の部分は、鉛直部101と、鉛直部101の下端から基板Wの搬送方向の下流側に向けて斜め下方に延び出た斜方部102と、斜方部102の下端から下方に形成された凹部103と、この凹部103に隣り合うようにして基板Wの搬送方向下流側に形成された現像液廃液槽46とで構成されている。
【0034】
配管42の入口側の開口である回収口421及び配管43の入口側の開口である廃液口431は凹部103に並列的に形成されている。廃液口431は基板Wの搬送方向上流側に形成され、回収口421は基板Wの搬送方向下流側に形成されている。本実施形態では、これらの回収口421及び廃液口431の大きさは、後述する現像液流路切替部44によって一方の開口に現像液の流路を切り替えることが可能な範囲で比較的大きく形成されている。また、本実施形態では、回収口421の開口断面積が廃液口431の開口断面積よりも大きく形成されている。なお、廃液口431が基板Wの搬送方向下流側に形成され、回収口421が基板Wの搬送方向上流側に形成される形態であっても構わない。
【0035】
配管43は基板処理槽10の外側に設けられた廃液タンク432に流路接続されており、配管43を流れる現像液は廃液タンク432に貯留される。
【0036】
配管42は回収タンク422に流路接続されており、配管42を流れる現像液は回収タンク422に貯留される。この回収タンク422は配管32によってノズル30と流路接続されている。
【0037】
配管32には、回収タンク422側から順に、フィルタ423とポンプ424とが介挿されている。回収タンク422に貯留された現像液は、ポンプ424の駆動によって配管32内を流れ、フィルタ423によって不純物をこし取られた後で、ノズル30から再び吐出される。このように、配管42、回収タンク422、配管32、ポンプ424、フィルタ423、ノズル30が現像液の循環系を構成しており、回収された現像液は再び基板Wの現像処理に使用される。なお、回収タンク422には現像液の新液が供給される図示しない新液供給機構も設けられており、回収タンク422内の現像液が不足する場合には新液供給機構が現像液の新液を供給する。
【0038】
基板処理槽10の内側における斜方部102に、本実施形態における導引部として固定スロープ部45が設置されている。導引部は、基板処理槽10の下方に流下した現像液を現像液流路切替部44の後述する揺動部材445上に導く部材である。固定スロープ部45は板状の部材であり、凹部103に向かって斜め下方に、その下端が揺動部材445の上方に位置するように設置されている。
【0039】
固定スロープ部45の奥行き方向(X軸方向)における幅は、基板Wの奥行き方向(X軸方向)における幅よりも大きい。従って、固定スロープ部45の上方に位置する基板Wから流下した現像液は、確実に固定スロープ部45に受け止められる。また、固定スロープ部45の奥行き方向(X軸方向)における両側端には、図示しない突部が搬送方向(Y軸方向)に沿って形成されている。このため、固定スロープ部45の表面に流下した現像液は、固定スロープ部45の側端から流れ落ちることなく固定スロープ部45の下端に流れ、現像液流路切替部44の揺動部材445の表面に流れ落ちる。
【0040】
現像液流路切替部44は、揺動部材445と、揺動部材445を駆動させるエアシリンダ443とを備える。揺動部材445は、板状に形成された板部441と、軸心方向が奥行き方向(X軸方向)に沿うとともに板部441の中心に設けられた揺動軸442と、を備える。揺動部材445は揺動軸442を中心にしてシーソーのように揺動可能であるため、板部441の傾きは自在に調節可能である。
【0041】
揺動部材445は、揺動軸442がY軸方向における回収口421と廃液口431との間の部分の上方に位置するように設置されている。このため、板部441の端部4412は回収口421の直上に位置し、板部441の端部4413は廃液口431の直上に位置している。
【0042】
この揺動部材445の板部441は、奥行き方向に沿って延びる長尺の板状面を有している。この板状面の幅は、奥行き方向におけるノズル30の両端よりも大きく、また、基板Wの奥行き方向(X軸方向)における幅よりも大きい。ノズルが、長尺のスリット状の吐出口を有するノズルである場合には、板部はノズルの長手方向に沿って板状面が延び出た構造を有する。従って、揺動部材445の上方に位置する基板Wから流下した現像液又は固定スロープ部45から流下した現像液は、確実に揺動部材445によって受け止められる。また、板部441のX軸方向における両側端には、図示しない突部が搬送方向に沿って形成されているため、現像液流路切替部44上に流下した現像液は、板部441の両側端から流れ落ちることなく、揺動する板部441の傾きに応じて、回収口421と廃液口431とのいずれか一方から配管42又は配管43に流れ込む。
【0043】
なお、揺動部材445は、シーソーのような構造に限られず、例えば板部の一方の端部に揺動軸が設けられた構造が採用されても構わない。また、板部の一方の端部に揺動軸が設けられた構造の現像液振分部が採用された場合、揺動軸の下方で板部が揺動する形態、又は揺動軸の上方で板部が揺動する形態など、いずれの形態であっても構わない。
【0044】
本実施形態における現像液流路切替部44では、揺動部材445が揺動軸442を中心に揺動することによって、板部441の端部4412が端部4413よりも下方に位置する傾斜状態と板部441の端部4413が端部4412よりも下方に位置する傾斜状態とのいずれか一方の傾斜状態に切り替えられる。
【0045】
ノズル30から吐出されて現像処理に使用されなかった現像液は、図3に示されるように、板部441の端部4412が端部4413よりも下方に位置した傾斜状態の揺動部材445上を流れる。揺動部材445上に流下した現像液は、板部441の傾きに沿って流れるため、廃液口431側に向かって流れることなく、回収口421側に向かって流れる。回収口421は比較的大きく形成されているため、現像液は速やかに回収口421から配管42に流れ込む。このように、現像処理に未使用の現像液は配管42を流れて回収タンク422に貯留され、基板Wの現像処理に再び使用される。
【0046】
一方、ノズル30から吐出されて現像処理に使用された現像液は、図2に示されるように、板部441の端部4413が端部4412よりも下方に位置した傾斜状態の揺動部材445上を流れる。揺動部材445上に流下した現像液は、板部441の傾きに沿って流れるため、回収口421側に向かって流れることなく、廃液口431側に向かって流れる。廃液口431は比較的大きく形成されているため、現像液は速やかに廃液口431から配管43に流れ込む。このように、現像処理に使用された現像液は配管43から基板処理槽10の外部に排出され、再使用されることなく廃液として処理される。
【0047】
一般的に回収される現像液の量は廃液として処理される現像液の量よりも多くなる。本実施形態では、回収口421の開口断面積が廃液口431の開口断面積よりも大きく形成されているため、回収される現像液は、基板処理槽10の内部に溜まることなく回収口421から配管42に流れ込む。
【0048】
本実施形態では、揺動部材445における揺動軸442と端部4413との間の部分が固定スロープ部45の下端の直下に位置する。従って、上方の固定スロープ部45から流下してくる現像液を揺動部材445上に受ける位置を距離起点としたとき、揺動部材445上において、距離起点から廃液口431側への現像液の流出端、即ち端部4413までの第1距離が、距離起点から回収口421側への現像液の流出端、即ち端部4412までの第2距離よりも短くなる。
【0049】
このように、揺動部材445の揺動軸442が揺動することによって、板部441の傾きが切り替えられる。これによって、現像液が流れる流路は配管42を含む回収流路と配管43を含む廃液流路とのいずれか一方に切り替えられる。このような揺動軸442の駆動は、揺動軸442の一方の端部に設けられたエアシリンダ443の駆動によって実現される。エアシリンダ443は後述する制御部90と電気的に接続されており、制御部90からの信号に応じてエアシリンダ443は駆動する。
【0050】
コンベア20は、回転する複数の搬送ローラ201の外周面の最上部が基板Wの下面に当接することで、基板Wを支持しつつ、搬送ローラ201の回転によって基板Wに推進力を与え、下流方向((+Y)方向)に移動させる接触式の搬送装置である。
【0051】
基板処理槽10よりも上流側におけるコンベア20の搬送ローラ201と搬送ローラ201との間に、第1切替センサ501が設置されている。また、基板処理槽10の内部におけるノズル30よりも下流側であって、コンベア20の搬送ローラ201と搬送ローラ201との間に、第2切替センサ502が設置されている。これらの第1切替センサ501及び第2切替センサ502には、例えば光学式のセンサなどが採用される。
【0052】
この第1切替センサ501及び第2切替センサ502は、ノズル30の下方における基板Wの有無を判定するために基板Wを検出し、後述する制御部90に信号を送信する。この検出結果に応答して、制御部90はエアシリンダ443の駆動を制御し、揺動部材445の板部441の角度、即ち傾斜状態を切り替える。
【0053】
より詳細には、第1切替センサ501がコンベア20によって搬送されてきた基板Wの先端を検出すると、制御部90に信号を送信する。この信号を受けた制御部90は所定時間経過後にエアシリンダ443に信号を送信し、現像液が配管43を流れるように、現像液流路切替部44の板部441の傾きを切り替える。つまり、板部441の端部4413が端部4412よりも下方に位置するように、エアシリンダ443は駆動される。
【0054】
このときの所定時間とは、第1切替センサ501が基板Wの先端を検出してから、おおよそ基板Wがノズル30の下方に到達するまでの時間をいう。なお、所定時間が、第1切替センサ501が基板Wの先端を検出してから、基板Wの現像処理に使用された現像液が配管42に流れ込む直前までの時間に設定されていれば、配管42に流れ込む回収可能な現像液の量が多くなるため理想的である。
【0055】
第2切替センサ502がコンベア20によって搬送されてきた基板Wの後端を検出すると制御部90に信号を送信する。この信号を受けた制御部90は、直ちにエアシリンダ443に信号を送信し、現像液が配管42を流れるように、現像液流路切替部44の板部441の傾きを切り替える。つまり、板部441の端部4412が端部4413よりも下方に位置するように、エアシリンダ443は駆動される。
【0056】
基板処理槽10は、凹部103よりも基板Wの搬送方向下流側に現像液廃液槽46を備える。この現像液廃液槽46の底部に廃液口4612が形成されている。配管461の一端はこの廃液口4612に接続されており、配管461の他端は廃液タンク49に流路接続されている。このため、配管461を流れる現像液は廃液タンク49に貯留される。
【0057】
現像液廃液槽46は、凹部103よりも下流側を搬送される基板Wの表面から流下した現像液を集液する槽である。現像液廃液槽46の搬送方向上流側における側面の上端部分4611は、凹部103、具体的には回収口421の上方に向けて斜め方向に延び出た構造を有する。このため、第2切替センサ502を通過した後で、基板Wの表面から基板処理槽10の底部に向けて流下した現像液は、この上端部分4611によって回収口421の内部に流れ落ちることを遮られる。上端部分4611上に流れ落ちた現像液は、上端部分4611を伝って、現像液廃液槽46内に流れ落ちる。現像液廃液槽46の底部に集められた現像液は、廃液口4612から配管461に流れ込み、廃液タンク49に貯留される。
【0058】
図4には、制御部90のハードウェア構成が示されている。制御部90のハードウェアとしての構成は、一般的なコンピュータと同様である。即ち、制御部90は、各種演算処理を行うCPU91、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるRОM92、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAM93及び制御用ソフトウェア、又はデータなどを記憶しておく磁気ディスク94、キーボード及びマウスなどの入力部95をバスライン99に接続して構成されている。さらに、バスライン99には、エアシリンダ443、コンベア20のモータ85、ポンプ424、第1切替センサ501、第2切替センサ502などが電気的に接続されている。
【0059】
<1−2. 処理の流れ>
図5には、基板Wの処理状況に応じたフローチャートが示されている。このフローチャートに沿って、基板処理装置1における基本的な基板処理の流れについて説明する。
【0060】
はじめに、現像液流路切替部44の揺動部材445がエアシリンダ443の駆動によって揺動し、現像液流路切替部44の板部441が有する回収口421側の端部4412が端部4413よりも下方に位置する傾斜状態に設定される。つまり現像液の流出先が配管42になるように流路が設定される(ステップS1)。
【0061】
そして、ノズル30から現像液の吐出が開始される(ステップS2)。ノズル30から吐出された現像液は、固定スロープ部45から現像液流路切替部44に流下し、現像液流路切替部44に沿って、回収口421から配管42に流れ込む。つまり、ノズル30から吐出された現像液のうち、基板Wの現像処理に未使用の現像液が配管42に流れ込む。このようにして配管42に流れ込んだ現像液は回収タンク422に貯留される。連続して搬送されてくる基板Wの現像処理が行われる間、回収タンク422に貯留された現像液が循環使用されることによって、ノズル30から現像液が吐出された状態は維持される。
【0062】
上流ユニットにて所定の処理が行われた基板Wは、コンベア20の回転によって、(+Y)方向に推進力を与えられ、下流方向に搬送される。
【0063】
このとき、第1切替センサ501が上流ユニットから搬送されてくる基板Wの先端を検出し(ステップS3)、制御部90に信号を送信する。
【0064】
第1切替センサ501上を通過した基板Wは入口側開口11から基板処理槽10の内部に搬送される。そして、基板Wがノズル30から吐出されている現像液の液柱を通り抜けることによって、現像液が基板Wの表面に液盛りされる。
【0065】
第1切替センサ501が基板Wを検出してから所定時間が経過した段階(ステップS4)で、制御部90はエアシリンダ443を駆動させ、板部441の傾きを切り替える。これによって、廃液口431側の板部441の端部4413が端部4412よりも下方に位置する状態になるため、揺動部材445上に流下した現像液は板部441に沿って、廃液口431から配管43に流れ込む。つまり現像液流路切替部44の揺動部材445が揺動することによって、板部441の傾きが切り替えられ、現像液の流出先が配管43になるように流路が設定される(ステップS5)。
【0066】
液盛りされた現像液がレジストと反応することで現像処理が行われる。液盛りされた現像液の一部はノズル30から吐出され続ける現像液に押し流され、基板Wの表面から下方に流れ落ちる。このような現像液は、固定スロープ部45から揺動部材445上に流れ落ち、揺動部材445の傾斜に沿って、廃液口431から配管43に流れ込む。このように、基板Wの表面に液盛りされ、現像処理に使用された現像液の流路は現像液流路切替部44によって配管43に切り替えられる。
【0067】
搬送される基板Wの後端がノズル30から吐出されることで形成された現像液の液柱を通り抜けると、ノズル30から吐出された現像液は基板処理槽10の底部に直に流れ落ちる。つまり、基板Wの現像処理に未使用の現像液が固定スロープ部45及び揺動部材445上を流れる。これによって、固定スロープ部45及び揺動部材445の表面に残存している、現像処理に使用された現像液が廃液口431に向けて押し流される。このようにして、固定スロープ部45及び現像液流路切替部44の表面は、現像処理に使用されていない回収可能な現像液に置換される。
【0068】
搬送される基板Wの後端が第2切替センサ502によって検出される(ステップS6)。第2切替センサ502は制御部90に信号を送信し、制御部90は、エアシリンダ443を駆動させて、揺動部材445を揺動させる。つまり、板部441の傾きが切り替えられる。これによって、板部441は、回収口421側の板部441の端部4412が端部4413よりも下方に位置する傾斜状態になる。これによって、それまで廃液口431から配管43に流れ込んでいた現像液は、その流路を切り替えられ、回収口421から配管42に流れ込む。つまり現像液流路切替部44の揺動部材445が揺動することによって、板部441の傾きが切り替えられ、現像液の流出先が配管42になるように流路が設定される(ステップS7)。
【0069】
配管42に流れ込んだ現像液は回収タンク422に貯留される。つまり、基板Wの現像処理に使用されることなく、基板処理槽10の底部に流下した現像液は再使用されるために回収される。
【0070】
現像液が回収口421から配管42に流入している状態で、搬送される基板Wの表面から現像液が流下した場合、当該現像液は現像液廃液槽46の上端部分4611に遮られるため、回収口421から配管42に流入することを抑えられる。上端部分4611に流下した現像液は、現像液廃液槽46に集められ、現像液廃液槽46の廃液口4612から配管461を流れて廃液タンク49に貯留される。
【0071】
基板Wが凹部103の上方を通過した後で、基板Wの表面から現像液が流下した場合には、基板Wから流下した現像液は、現像液廃液槽46に受け止められ、廃液口4612から配管461を流れて廃液タンク49に貯留される。
【0072】
次処理予定の基板Wが存在するか否かが制御部90によって判断される(ステップS8)。次処理予定の基板Wが存在する場合には、次処理予定の基板Wが第1切替センサ501に検出されてから所定時間が経過するまでの間、現像液は一連の現像液の循環系を流れ続ける。
【0073】
以上のように、本実施形態に係る基板処理装置1は、揺動軸442を中心に揺動することによって、現像液の流出先を配管42と配管43との間で選択的に切り替える現像液流路切替部44を備える。この現像液流路切替部44の駆動によって、現像処理に使用された現像液は分離され、廃液として処理される。一方、現像処理に未使用の現像液は回収されて再使用される。このため、現像不良を引き起こすおそれがある現像液を現像処理に使用する場合であっても、現像処理に使用された現像液の全量を廃液として処理する必要がなく、現像液を効率よく使用することができる。また、現像処理が行われる間、ノズル30から現像液を吐出させ続けることができるため、ノズル30からの現像液の吐出状態を一定に保つことができる。
【0074】
また、揺動部材445を有する現像液流路切替部44が、現像液の流出先を配管42と配管43との間で選択的に切り替えるため、現像液は速やかに基板処理槽10から各開口を通って基板処理槽10の外部に流出する。つまり、基板処理槽10の内部に現像液の液だまりが形成されることを抑えられる。従って、基板処理槽10の内部で基板Wの処理に使用された現像液と基板Wの処理に未使用の現像液とが混ざり合うことを抑えられる。これによって、現像処理に使用され、溶解したレジスト成分を含む現像液が回収タンク422に流れ込むことを抑えられるため、現像不良が生じることを抑えられる。
【0075】
また、基板処理装置1は導引部として固定スロープ部45をさらに備える。このため、基板処理槽10は現像液を現像液流路切替部44の揺動部材445に流下させるための特別な構造を備える必要がなく、比較的簡易な構造を採用可能である。また、ノズル30から吐出された現像液を確実に現像液流路切替部44に導くことができる。さらに、現像液流路切替部44の揺動部材445を比較的小さいサイズに形成できるため、揺動部材445は比較的容易に動作させることができる。
【0076】
また、上方の固定スロープ部45から流下してくる現像液を揺動部材445が受ける位置を距離起点としたとき、揺動部材445においては、廃液口431側への現像液の流出端である端部4413から距離起点までの第1距離が、回収口421側への現像液の流出端である端部4412から距離起点までの第2距離よりも短くなる。従って、配管43を流れてから廃液として処理される現像液が揺動部材445上で残存する量は、配管42を流れてから回収される現像液が揺動部材445上で残存する量よりも少なくなる。従って、揺動部材445上に残存する、廃液として処理される現像液が配管42に流れ込むことを極力抑えることができる。
【0077】
また、ノズルが水平方向に延びる長尺のノズルである場合、現像液は奥行き方向に沿って幅を有する液柱として吐出される。揺動部材445がノズルの長手方向に沿って延びる長尺の板状面を持つことによって、このような現像液を確実に受け止められるとともに、速やかに基板処理槽10外に現像液を流出させることができる。
【0078】
また、第1切替センサ501及び第2切替センサ502がノズルの下方における基板Wの有無を判定するための基板検出を行い、検出結果に応答して制御部90が揺動部材445を切り替えることができる。このため、現像処理に使用された現像液と、現像処理に未使用の現像液との流出先を比較的正確なタイミングで各流路の間で選択的に切り替えることができる。
【0079】
<2. 第2の実施形態>
図6には、本実施形態に係る基板処理装置1bが示されている。図6に示されるように、基板処理装置1bの基板処理槽10bには、基板Wの搬送方向に沿って上流側から順に廃液口431、回収口421a、回収口421bが形成されている。この回収口421a,421bそれぞれに配管42a,42bが流路接続されている。なお、廃液口431、回収口421a、回収口421bはこのような配置である必要はなく、並列的にこれらの開口が設置されていればよい。このような基板処理装置1bは、2種類の現像液が使用される場合であって、少なくとも一方の現像液がレジストと反応して非溶解物を生成する場合に採用される。なお、本実施形態では、これらの回収口421aに流路接続された配管42a,回収口421bに流路接続された配管42bが単位回収流路に相当する。これらの単位回収流路は使用される処理液の種類に応じて設置される。
【0080】
配管42a,42bは回収タンク422a,422bにそれぞれ流路接続されている。この回収タンク422a,422bと流路接続された配管80a,80bがバルブ100で配管32に連結されており、配管32はノズル30に流路接続されている。バルブ100が切り替わることによって、回収タンク422a又は回収タンク422bに貯留された各現像液がノズル30から吐出され、現像液は再使用される。
【0081】
本実施形態では、現像液流路切替部44が回収口421a,421b側に流路を設定した現像液の流路を、配管42aと配管42bとの間で切り替える回収流路切替部54を基板処理装置1bが備える。
【0082】
回収流路切替部54は、揺動部材545と、揺動部材545を駆動させるエアシリンダ543とを備える。揺動部材545は、板状に形成された板部541と、軸心方向が奥行き方向(X軸方向)に沿うとともに板部541の中心に設けられた揺動軸542と、を備えており、揺動軸542を中心にしてシーソーのように揺動可能である。この揺動軸542の長手方向は、揺動軸442の長手方向と平行に配設されており、この回収流路切替部54は、揺動軸542がY軸方向における回収口421aと回収口421bとの間の部分の上方に位置するように設置されている。つまり、板部541の端部5412は回収口421aの直上に位置し、板部541の端部5413は回収口421bの直上に位置している。なお、本実施形態では、基板Wの搬送方向上流側から順に揺動部材445、揺動部材545が配設されているが、このような形態に限られず、回収流路の配設位置に応じて、揺動部材545が揺動部材445よりも上流側に配設されていてもよい。
【0083】
板部541の奥行き方向(X軸方向)における幅は、板部441の奥行き方向(X軸方向)における幅よりも大きい。また、板部541のX軸方向における両端には、図示しない突部が搬送方向に沿って形成されているため、回収流路切替部54上に流下した現像液は、板部541の側端から流れ落ちることなく、揺動する板部541の傾きに応じて、回収口421aと回収口421bとのいずれか一方に流れる。
【0084】
揺動部材545は、板部541の傾斜状態に応じて、回収される現像液の流出先を各回収流路の間で切り替える。この板部541の上方に現像液流路切替部44の板部441の端部4412が位置している。従って板部441の端部4412から流下した現像液は、回収流路切替部54に受け止められる。
【0085】
このように、回収流路切替部54の揺動軸542が揺動することによって、板部541の傾きが切り替えられ、回収される現像液が流れる流路は、配管42aと配管42bとのいずれか一方に設定される。このような板部441の傾きの切り替えは、揺動軸542の一方の端部に設けられたエアシリンダ543の駆動によって実現される。エアシリンダ543は後述する制御部90と電気的に接続されており、制御部90からの信号に応じてエアシリンダ543は駆動する。
【0086】
処理の流れについて説明する。本実施形態では、始めに、レジストと反応して非溶解物を生成する第1現像液で現像処理が行われた後で、さらにレジストと反応して非溶解物を生成する第1現像液とは異なる第2現像液で現像処理が行われる場合を想定して説明する。なお、第1現像液は回収口421aから配管42aを通り、第2現像液は回収口421bから配管42bを通って回収されるものとする。
【0087】
はじめに、基板処理装置1bにおいて、現像液流路切替部44の板部441は端部4412が端部4413よりも下方に位置し、回収流路切替部54の板部541の端部5412が端部5413よりも下方に位置した状態に設定される。
【0088】
続いて、ノズル30から第1現像液の吐出が開始される。ノズル30から吐出された第1現像液は、固定スロープ部45から現像液流路切替部44に流下し、現像液流路切替部44から回収流路切替部54を経て、回収口421aから配管42aに流れ込む。
【0089】
基板Wの搬送が開始され、第1切替センサ501が基板Wの先端を検出すると、制御部90に信号を送信する。そして、基板Wは、入口側開口11から基板処理槽10の内部に搬送され、ノズル30から吐出されている第1現像液の液柱を通り抜ける。これによって、第1現像液が基板Wの表面に液盛りされる。液盛りされた第1現像液の一部は、ノズル30から吐出され続ける現像液に押し出されて、基板Wの表面から下方に流れ落ちる。流れ落ちた第1現像液は、固定スロープ部45の表面から現像液流路切替部44上に流下する。
【0090】
制御部90が第1切替センサ501から信号を受信し、所定時間が経過した後で、板部441の傾きは切り替えられ、廃液口431側の板部441の端部4413が端部4412よりも下方に位置する状態になる。このため、現像液流路切替部44上に流下した第1現像液は現像液流路切替部44に沿って流れ、廃液口431から配管43に流れ込む。このようにして、現像処理に使用された第1現像液は、現像液流路切替部44によって、流路を配管43に切り替えられ、配管43を通って排出される。
【0091】
搬送される基板Wの後端が第2切替センサ502によって検出されると、制御部90は、エアシリンダ443に信号を送信し、駆動させる。これによって、板部441の傾きは切り替えられ、回収口421a,421b側における板部441の端部4412が端部4413よりも下方に位置する状態になる。一方、回収流路切替部54は、初期状態と同様に回収口421a側の端部5412が端部5413よりも下方に位置した状態である。このため、廃液口431から配管43に流れ込んでいた第1現像液は、回収口421aから配管42aに流入しはじめる。このようにして、基板Wの現像処理に使用されることなく、基板処理槽10の底部に流下した第1現像液は配管42aを流れて回収及び再使用される。
【0092】
使用する現像液が第2現像液に切り替えられる際には、再び現像液流路切替部44の板部441の傾きが切り替えられ、第1現像液は廃液口431から配管43に流れ込み始める。そして、バルブ100が切り替えられ、配管32を流れる現像液が第1現像液から第2現像液に切り替えられる。配管32内における第1現像液と第2現像液との混合状態が解消されて第2現像液に置換されるまで、混合状態の現像液は廃液口431から吐出され続ける。
【0093】
所定時間経過後、ノズル30から吐出される現像液が第2現像液に切り替わった段階で、現像液流路切替部44の板部441は、第2現像液が回収口421bに流れるようにその傾きを切り替えられる。つまり、回収口421a,421b側における板部441の端部4412が端部4413よりも下方に位置するようにエアシリンダ443が駆動する。また、回収流路切替部54についても、回収口421b側における板部541の端部5413が端部5412よりも下方に位置するように、制御部90による信号を受けたエアシリンダ543は駆動する。これによって、ノズル30から吐出される第2現像液は、第2現像液が流れるべき配管42bに流れ込み、回収タンク422bで貯留される。
【0094】
そして、現像液流路切替部44が動作することによって、基板Wの現像処理に使用された第2現像液の流路と現像処理に未使用の第2現像液の流路とを切り替えながら現像処理が行われる。
【0095】
このように、現像液が複数種類使用される場合には、所定の現像液が、廃液流路となる配管と当該現像液の回収流路とを流れるように、現像液流路切替部44及び回収流路切替部54はその駆動を制御される。
【0096】
以上のように、本実施形態に係る基板処理装置1bでは、複数種類の現像液が使用される場合であっても、回収流路切替部54が揺動軸を中心に揺動することによって、現像液の種類に応じて現像液が流れるべき回収流路に現像液を流すことができる。従って、回収される現像液同士が混合されることを抑えることができる。また、現像液の切り替えを比較的容易に行うことができる。
【0097】
<変形例>
以下において、変形例について説明する。上記第1の実施形態及び第2の実施形態では、現像処理が実施される基板処理装置1,1bに本発明が使用されていたがこのような形態には限られない。洗浄、エッチングなどの処理が行われる基板処理装置に本発明を適用することも可能である。
【0098】
また、上記第1の実施形態及び第2の実施形態では、揺動部材445,545を駆動させるためエアシリンダ443,543を使用しているがこれに限られるものではなく、他の構成を採用してもよい。例えば、モータ等が用いられて揺動部材を駆動させてもよい。
【0099】
また、上記第1の実施形態及び第2の実施形態では、第1切替センサ501及び第2切替センサ502が基板Wの位置を検出した信号に基づき、現像液流路切替部44や回収流路切替部54を動作させていたが、これに限られるものではない。検出信号に基づき制御部90は各種機構の動作を制御することができる。また、第1切替センサ501及び第2切替センサ502が設けられる位置や個数は適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0100】
1,1b 基板処理装置
10,10b 基板処理槽
30 ノズル
42,42a,42b 配管
43 配管
44 現像液流路切替部
45 固定スロープ部
54 回収流路切替部
90 制御部
421,421a,421b 回収口
431 廃液口
442 揺動軸
445 揺動部材
542 揺動軸
545 揺動部材
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の処理に使用される処理液を吐出するノズルと、
前記ノズルから吐出された前記処理液が流下する処理槽と、
前記処理槽内に開口した廃液流路と、
前記廃液流路と並列的に設けられ、前記処理液の回収と再利用とのために前記処理槽内において開口した回収流路と、
前記処理槽の前記所定部位に設けられ、揺動軸を中心に揺動することによって、前記処理槽内に流下した前記処理液の流出先を前記廃液流路と前記回収流路との間で選択的に切替える揺動部材を有する処理液流路切替部と、
を備える基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置であって、
前記処理槽内に設置され、前記ノズルから吐出された前記処理液を前記処理液流路切替部に導引するスロープ、
をさらに備える基板処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の基板処理装置であって、
上方から流下してくる前記処理液を前記揺動部材上に受ける位置を距離起点としたとき、前記揺動部材においては、前記廃液流路側への前記処理液の第1流出端までの第1距離が、前記回収流路側への前記処理液の第2流出端までの第2距離よりも短いことを特徴とする、基板処理装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一つに記載の基板処理装置であって、
前記ノズルは水平方向に延びる長尺のノズルであり、
前記揺動部材が、前記ノズルの長手方向に沿って延びる長尺の板状面を持つ、基板処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか一つに記載の基板処理装置であって、
前記回収流路として、前記処理液の種類に応じて複数の単位回収流路が並列的に設置されており、
前記複数の単位回収流路は前記処理槽内で並列的に開口しているとともに、
前記基板処理装置が、
前記処理槽内に落下して回収されるべき前記処理液の流出先を、前記複数の単位回収流路の間で選択的に切り替える回収流路切替部、
をさらに備える、基板処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の基板処理装置であって、
前記揺動部材を第1の揺動部材と呼び、前記揺動部材の揺動軸を第1の揺動軸と呼ぶとき、
前記回収流路切替部が、
前記第1の揺動軸と平行に設けられた第2の揺動軸のまわりに揺動可能な少なくとも一つの第2の揺動部材、
を備え、
前記第2の揺動部材の傾斜状態に応じて、前記処理槽内に落下して回収されるべき前記処理液の流出先を前記複数の単位回収流路の間で切り替える、基板処理装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか一つに記載の基板処理装置であって、
前記ノズルの下方における前記基板の有無を判定するための基板検出を行う検出部と、
前記検出手段による検出結果に応答して、前記揺動部材の傾斜状態を切り替える信号を生成し、前記揺動部材を揺動させる駆動部へ前記信号を出力する制御部と、
をさらに備える、基板処理装置。
【請求項8】
基板の処理に使用される処理液をノズルから吐出する吐出工程と、
前記ノズルから吐出して前記処理槽の内部に流下した前記処理液を、所定の揺動軸を中心に揺動可能な揺動部材上に受ける工程と、
前記揺動部材の傾斜状態に応じて、前記揺動部材上に受けた前記処理液の流出先を、廃液流路側と、前記処理液の回収と再利用とのための回収流路側との間で選択的に切り替える処理液流路切替工程と、
を備える、処理液の流路切り替え方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−51337(P2013−51337A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189173(P2011−189173)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】