説明

基板処理装置及び処理液供給方法

【課題】枚葉処理される基板間の処理時間間隔を短縮し、生産効率を向上することのできる基板処理装置及び処理液供給方法を提供する。
【解決手段】制御手段10はノズル11の吐出口11aからプライミングローラ35に所定量の処理液Rを吐出させ、プライミング処理部36により前記プライミングローラ35を回転させて吐出口11aに付着しているレジスト液を整える一方、ポンプ22に、吸入管21を介して処理液供給源20から処理液を吸入させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプに処理液を充填し、前記ポンプからノズルに処理液を供給することにより、被処理基板に所定の塗布膜を形成する基板処理装置及び処理液供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、FPD(フラットパネルディスプレイ)の製造においては、いわゆるフォトリソグラフィ工程により回路パターンを形成することが行われている。
このフォトリソグラフィ工程では、ガラス基板等の被処理基板に所定の膜を成膜した後、処理液であるフォトレジスト(以下、レジストと呼ぶ)が塗布されレジスト膜(感光膜)が形成される。そして、回路パターンに対応して前記レジスト膜が露光され、これが現像処理され、パターン形成される。
【0003】
このようなフォトリソグラフィ工程において、被処理基板にレジスト液を塗布してレジスト膜を形成する方法として、例えば特許文献1に開示されるようにスリット状のノズル吐出口からレジスト液を帯状に吐出し、レジストを基板上に塗布する方法がある。
この方法を用いた従来のレジスト塗布装置について、図7を用いて簡単に説明する。
図7に示すレジスト塗布装置200は、基板Gがその上を搬送される長尺のステージ201と、このステージ201の上方に配設されるレジスト供給ノズル202と、ステージ201の長手方向(X方向)に沿って基板Gを搬送する基板搬送手段203とを具備している。レジスト供給ノズル202には、基板の幅方向(Y方向)に延びる微小隙間を有するスリット状の吐出口202aが設けられ、レジスト液供給源204からポンプ205を介して供給されたレジスト液が吐出口202aから吐出される構成となっている。
【0004】
また、基板搬送手段203は、ステージ201に沿って、その左右両側に敷設された一対のレール203aと、レール203aに沿って移動可能な一対のスライダ203bと、このスライダ203bにそれぞれ設けられ、基板Gの角部をそれぞれ下方から吸着保持する基板保持部203cとを有している。即ち、基板Gの四隅は基板保持部203cによって保持され、レール203aに沿って移動ベース203bが移動することにより基板Gがステージ201上を移動するようになされている。
【0005】
尚、図7に示す構成にあっては、基板Gの下面がステージ201と接触しないように、基板Gはステージ201上で浮上した状態となされている。具体的には、ステージ201上面には、エアを噴出する複数のエア孔201aが設けられ、これらエア孔201aから噴出したエア流によって基板Gの下面を持ち上げるようになされる。
【0006】
このように構成されたレジスト塗布装置200において、基板Gにレジスト膜を塗布形成する場合、ノズル202の吐出口202aからレジスト液を吐出しながら基板搬送手段203によってステージ201上を搬送される基板Gに対しノズル202の吐出口202aが相対的に走査される。これにより、基板G上にはレジスト液が膜状に塗布形成される。
【0007】
ところで、このレジスト塗布処理装置200にあっては、複数の基板Gへのレジスト塗布を枚葉処理するにあたり、各基板Gに対する塗布処理ごとに1回分の量のレジスト液が、ポンプ205に充填される(リロード工程と呼ぶ)。
図8を用いて説明すると、レジスト供給源204は、レジスト液Rを貯留するボトル210と、このボトル210のレジスト液Rを吸引するポンプ205と、ボトル210とポンプ205とを接続する吸入管211とを備える。
また、レジスト液Rが充填されたポンプ205は、レジスト液供給管212を介してノズル202にレジスト液Rを供給するようになっている。
【0008】
また、ノズル202とポンプ205との間のレジスト液供給管212には、ノズル202に供給されるレジスト液Rの流路を開閉するためのバルブV1が設けられ、ボトル210とポンプ205の間の吸入管211には、ポンプ205が吸引するレジスト液Rの流路を開閉するためのバルブV2が設けられている。
また、ポンプ205の動作、及びバルブV1、V2の動作は制御部215によって制御される構成となっている。
【0009】
この構成において、ポンプ205に新たにレジスト液Rを充填する場合、図9のステップSt1に示すようにポンプ205からノズル202にレジスト液Rが供給された後(塗布処理後)、バルブV1が閉じられてバルブV2が開かれる(図9のステップSt2)。
そして、次に塗布処理を行う基板がある場合に(図9のステップSt3)、ステップSt4において、ボトル210からレジスト液Rが圧送されると共にポンプ205の吸引動作がなされ、これにより吸入管211を介してポンプ205に新たにレジスト液Rが充填される(レジスト液Rのリロード工程が完了する)。
また、リロード工程が完了すると、バルブV1が開かれてバルブV2が閉じられ(図9のステップSt5)、再び、ステップSt1の塗布処理が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−243670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前記のように各基板Gへの塗布処理(ステップSt1)の後にリロード工程(ステップSt4)を実施する場合、リロード工程に複数のステップ(バルブV1閉、バルブV2開、ポンプへの吸入、バルブV2閉、内圧調整等)が必要となる。
その結果、リロード工程に長い時間を要するため、枚葉処理される基板間の処理時間間隔(塗布処理完了後から次の基板Gへの塗布処理開始までの時間間隔)が長くなり、生産効率が低下するという課題があった。
【0012】
本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、ポンプに処理液を充填し、前記ポンプからノズルに処理液を供給することにより、被処理基板に所定の塗布膜を形成する基板処理装置及び処理液供給方法において、枚葉処理される基板間の処理時間間隔を短縮し、生産効率を向上することのできる基板処理装置及び処理液供給方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記した課題を解決するために、本発明に係る基板処理装置は、被処理基板に対しスリット状の吐出口を有するノズルから処理液を供給し、所定の塗布膜を形成する基板処理装置であって、前記ノズルの下方に進退自在に設けられ、前記ノズルの吐出口から所定量の処理液が吐出されたプライミングローラを回転させることにより、前記ノズルの吐出口に付着した処理液を整えるプライミング処理部と、処理液が充填可能であって、充填された処理液を、処理液供給管を介して前記ノズルに供給するポンプと、前記ポンプに、吸入管を介して処理液を供給可能な処理液供給源と、前記処理液供給管に設けられ、処理液の流路を開閉する第一のバルブと、前記吸入管に設けられ、処理液の流路を開閉する第二のバルブと、前記プライミング処理部と前記ポンプと前記処理液供給源と前記第一のバルブと前記第二のバルブの動作制御を行う制御手段とを備え、前記制御手段は、前記第一のバルブを開くと共に前記第二のバルブを閉じて、前記ノズルの吐出口から前記プライミングローラに所定量の処理液を吐出させ、前記プライミング処理部において前記プライミングローラを回転させる一方、前記第一のバルブを閉じると共に前記第二のバルブを開き、前記ポンプに、前記吸入管を介して前記処理液供給源から処理液を吸入させることに特徴を有する。
【0014】
このように構成することにより、ポンプに前記処理液供給源から処理液を充填するリロード工程は、プライミングローラの回転によるプライミング処理と並行して行うことができる。ここで、リロード工程に要する時間よりも、プライミング処理において必要とされるプライミングローラの回転動作の時間が長いため、プライミング処理の終了前に前記リロード工程を完了させることができる。
したがって、枚葉処理される基板間の処理時間間隔(塗布処理完了後から次の基板への塗布処理開始までの時間間隔)を従来よりも短縮することができ、生産効率を向上することができる。
【0015】
また、前記第一のバルブと前記ノズルとの間の前記処理液供給管に設けられ、前記第一のバルブが閉じられた際に前記処理液供給管に流れる所定量の処理液を吸引可能なカウンタバランスバルブを備え、前記制御手段は、前記第一のバルブを閉じると共に前記第二のバルブを開き、且つ前記カウンタバランスバルブを開いた状態で、前記ポンプに、前記吸入管を介して前記処理液供給源から処理液を吸入させることが望ましい。
或いは、前記制御手段は、前記第一のバルブを閉じると共に前記第二のバルブを開き、前記ポンプに、前記吸入管を介して前記処理液供給源から処理液を吸入させ、前記第一のバルブを開くと共に前記第二のバルブを閉じて、前記ポンプにより所定量の処理液を吸引させるようにしてもよい。
【0016】
このように構成することにより、前記第一のバルブが、その閉動作によりノズルに余分な量の処理液を供給してしまう構成の場合には、その余分な量の処理液を吸引することが可能となり、塗布処理時の不具合の発生を防止することができる。
【0017】
また、或いは、前記第一のバルブは、前記処理液供給管の流入側端部と流出側端部とが接続されたシリンダと、前記シリンダ内において前記流出側端部を開閉自在に設けられた弁体と、前記弁体の変位動作に伴い撓曲し、前記シリンダ内における処理液の流路を形成するダイアフラムとを有し、前記制御手段は、前記第一のバルブを閉じると共に前記第二のバルブを開き、前記ポンプに、前記吸入管を介して前記処理液供給源から処理液を吸入させる構成としてもよい。
【0018】
このように第一のバルブを構成することにより、弁体の移動に伴いダイアフラムが大きく撓むため、バルブ開閉に伴うシリンダ内の容積変化を小さく抑えることができる。
即ち、これによりノズルへの余分な処理液の供給を抑制し、塗布処理時の不具合の発生を防止することができる。
【0019】
また、前記した課題を解決するために、本発明に係る処理液供給方法は、被処理基板に対しスリット状の吐出口から処理液を吐出するノズルと、前記ノズルの下方に進退自在に設けられ、前記ノズルの吐出口から所定量の処理液が吐出されたプライミングローラを回転させることにより、前記ノズルの吐出口に付着した処理液を整えるプライミング処理部と、処理液が充填可能であって、充填された処理液を、処理液供給管を介して前記ノズルに供給するポンプと、前記ポンプに、吸入管を介して処理液を供給可能な処理液供給源と、前記処理液供給管に設けられ、処理液の流路を開閉する第一のバルブと、前記吸入管に設けられ、処理液の流路を開閉する第二のバルブとを具備する基板処理装置において、処理液を前記ノズルに供給した前記ポンプに対し、新たに処理液を充填させる処理液供給方法であって、前記第一のバルブを開くと共に前記第二のバルブを閉じて、前記ノズルの吐出口から前記プライミングローラに所定量の処理液を吐出させるステップと、前記プライミング処理部により前記プライミングローラを回転させる一方、前記第一のバルブを閉じると共に前記第二のバルブを開き、前記ポンプに、前記吸入管を介して前記処理液供給源から処理液を吸入させるステップとを含むことに特徴を有する。
【0020】
このような方法によれば、ポンプに前記処理液供給源から処理液を充填するリロード工程は、プライミングローラの回転によるプライミング処理と並行して行うことができる。ここで、リロード工程に要する時間よりも、プライミング処理において必要とされるプライミングローラの回転動作の時間が長いため、プライミング処理の終了前に前記リロード工程を完了させることができる。
したがって、枚葉処理される基板間の処理時間間隔(塗布処理完了後から次の基板への塗布処理開始までの時間間隔)を従来よりも短縮することができ、生産効率を向上することができる。
【0021】
また、前記第一のバルブと前記ノズルとの間の前記処理液供給管に設けられ、前記第一のバルブが閉じられた際に前記処理液供給管に流れる所定量の処理液を吸引可能なカウンタバランスバルブとを備える前記基板処理装置において、前記第一のバルブを開くと共に前記第二のバルブを閉じて、前記ノズルの吐出口から前記プライミングローラに所定量の処理液を吐出させるステップの後、前記プライミング処理部により前記プライミングローラを回転開始させるステップと、前記第一のバルブを閉じると共に前記第二のバルブを開き、且つ前記カウンタバランスバルブを開くステップと、前記ポンプに、前記吸入管を介して前記処理液供給源から処理液を吸入させるステップとを実施することが望ましい。
或いは、前記第一のバルブを開くと共に前記第二のバルブを閉じて、前記ノズルの吐出口から前記プライミングローラに所定量の処理液を吐出させるステップの後、前記プライミング処理部により前記プライミングローラを回転開始させるステップと、前記第一のバルブを閉じると共に前記第二のバルブを開くステップと、前記ポンプに、前記吸入管を介して前記処理液供給源から処理液を吸入させるステップと、前記第一のバルブを開くと共に前記第二のバルブを閉じるステップと、前記ポンプにより所定量の処理液を吸引するステップとを実施してもよい。
【0022】
このようにすれば、前記第一のバルブが、その閉動作によりノズルに余分な量の処理液を供給してしまう構成の場合には、その余分な量の処理液を吸引することが可能となり、塗布処理時の不具合の発生を防止することができる。
【0023】
また、或いは、前記第一のバルブは、前記処理液供給管の流入側端部と流出側端部とが接続されたシリンダと、前記シリンダ内において前記流出側端部を開閉自在に設けられた弁体と、前記弁体の変位動作に伴い撓曲し、前記シリンダ内における処理液の流路を形成するダイアフラムとを有する前記基板処理装置において、前記第一のバルブを開くと共に前記第二のバルブを閉じて、前記ノズルの吐出口から前記プライミングローラに所定量の処理液を吐出させるステップの後、前記プライミング処理部により前記プライミングローラを回転開始させるステップと、前記第一のバルブを閉じると共に前記第二のバルブを開くステップと、前記ポンプに、前記吸入管を介して前記処理液供給源から処理液を吸入させるステップとを実施してもよい。
【0024】
このような方法により、弁体の移動に伴いダイアフラムが大きく撓むため、バルブ開閉に伴うシリンダ内の容積変化を小さく抑えることができる。
即ち、これによりノズルへの余分な処理液の供給を抑制し、塗布処理時の不具合の発生を防止することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ポンプに処理液を充填し、前記ポンプからノズルに処理液を供給することにより、被処理基板に所定の塗布膜を形成する基板処理装置及び処理液供給方法において、枚葉処理される基板間の処理時間間隔を短縮し、生産効率を向上することのできる基板処理装置及び処理液供給方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本発明にかかる基板処理装置が有するレジスト供給部の第一の実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1のレジスト供給部が具備するバルブの構成を示す断面図であって、図2(a)は開弁状態、図2(b)は閉弁状態を示す図である。
【図3】図3は、図1のレジスト供給部の一連の動作を示すフローである。
【図4】図4は、本発明にかかる基板処理装置が有するレジスト供給部の第二の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図5】図5(a)、図5(b)は、塗布処理時において生じる不具合を説明するためのノズルの正面図であって、ノズル吐出口に付着したレジスト液の状態を示す図である。
【図6】図6は、本発明に係る基板処理装置が有するレジスト供給部の第三の実施形態に係るバルブの構成を示す断面図であって、図6(a)は開弁状態、図6(b)は閉弁状態を示す図である。
【図7】図7は、従来の塗布処理ユニットの概略構成を説明するための斜視図である。
【図8】図8は、従来のレジスト供給部の概略構成を示すブロック図である。
【図9】図9は、従来のリロード工程の実施タイミングを説明するためのフローである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の基板処理装置及び処理液供給方法にかかる実施形態を、図面に基づき説明する。尚、この実施形態にあっては、本発明に係る基板処理装置を、被処理基板であるガラス基板を浮上搬送しながら、前記基板に対し処理液であるレジスト液の塗布処理を行うレジスト塗布処理ユニットに適用する場合を例にとって説明する。本発明に係る基板処理装置は、既に図7に示した従来の構成と同様に、スリット状の吐出口を有するノズルを基板に対し相対的に走査しながら処理液であるレジスト液の塗布処理を行うものである。
【0028】
図1は、本発明に係るレジスト塗布処理ユニットに具備され、ノズルにレジスト液を供給するレジスト供給部の第一の実施形態の構成を示すブロック図である。
図1に示すレジスト供給部30は、少なくとも塗布処理1回分(基板1枚分)のレジスト液Rを充填可能なレジストポンプ22と、このレジストポンプ22とノズル11とを接続するレジスト液供給管23とを備えている。
塗布処理時においては、レジストポンプ22よりレジスト液Rがレジスト液供給管23を介してノズル11に圧送され、ノズル11から基板G上にレジスト液Rが吐出されるようになされている。
前記レジストポンプ22は、例えばシリンジポンプからなり、ポンプ室を有するポンプ本体22aと、ポンプ室の容積を任意に変えるためのプランジャ22bと、このプランジャ22bを往復運動させるためのポンプ駆動部22cとを有している。
【0029】
また、レジスト液供給管23には、例えばエアオペレートバルブからなるバルブV1(第一のバルブ)が設けられ、レジスト液供給管23におけるレジスト液Rの流れをオン(全開導通)またはオフ(遮断)することが可能な構成となっている。
即ち、前記バルブV1は、図2(a)、図2(b)に示すように、円筒状に形成されたシリンダ16を備え、このシリンダ16の側部にレジスト液供給管23の流入側端部23aが接続され、シリンダ16の底部中央にレジスト液供給管23の流出側端部23bが接続されている。
【0030】
また、バルブV1は、前記流出側端部23bを開閉自在に設けられる弁体としてのニードル部17と、このニードル部17の上部に連結された円板状のピストン18とを備える。ピストン18は、その外周面がシリンダ16の内周面に対し摺動自在に設けられ、該ピストン18上において前記ニードル部17と同軸上に配置されたピストンロッド19が駆動されることによりシリンダ16内を往復移動するようになっている。
【0031】
尚、このバルブV1の開弁時にあっては、図2(a)に示すようにピストンロッド19の駆動によりニードル部17及びピストン18が上方に移動され、レジスト液供給管23の流入側端部23aと流出側端部23bとが連通する。
一方、バルブV1の閉弁時にあっては、図2(b)に示すようにピストンロッド19の駆動によりニードル部17及びピストン18が下方に移動され、ニードル部17が流出側端部23bを閉じる。
【0032】
更に、レジスト液供給管23には、圧力センサ26が取り付けられている。この圧力センサ26は、例えばゲージ圧力計からなり、大気圧を基準としてセンサ取付位置におけるレジスト液供給管23内のレジスト液Rの圧力を計測し、圧力測定値をゲージ圧力で現す電気信号を出力するようになされている。この圧力センサ26の出力は、フィードバック制御等のために制御部10に供給される構成となっている。
【0033】
また、レジスト供給部30は、レジスト液Rを貯留するボトル20と、このボトル20とレジストポンプ22を接続する吸入管21とを備えている。
前記ボトル20は密閉されており、ボトル内の液面へ向けてガス管27より圧送ガス(例えばNガス)が一定の圧力で供給されるようになっている。また、ガス管27には、例えばエアオペレートバルブからなるバルブV3が設けられている。
【0034】
また、吸入管21には、例えばエアオペレートバルブからなるバルブV2(第二のバルブ)が設けられ、吸入管21におけるレジスト液Rの流れをオン(全開導通)またはオフ(遮断)することが可能な構成となっている。尚、このバルブV2は、前記バルブV1と同様の構造を有している。
【0035】
また、本発明に係るレジスト塗布処理ユニットにおいては、基板Gへの塗布処理前にノズル先端の吐出口11aに付着しているレジスト液を整えるためのプライミングユニット36(プライミング処理部)を備えている。
このプライミングユニット36は、円柱状または円筒状のプライミングローラ35を有し、このプライミングローラ35は軸周りに回転可能に設けられている。また、プライミングユニット36は、プライミング駆動部37の駆動によって、ノズル11の下方に進退可能に設けられている。
【0036】
プライミングユニット36により、ノズル先端のレジスト液Rを整えるプライミング処理を行う場合には、プライミングローラ35がノズル先端に近接され、ローラ表面に吐出口11aから所定量のレジスト液Rが吐出され、その後、プライミングローラ35が所定方向に回転される。
これにより、スリット状のノズル吐出口11aに付着しているレジスト液Rが整えられるように構成されている。
【0037】
また、ノズル11は、ノズル昇降部13の駆動によって昇降移動可能に構成され、基板Gへの塗布処理時には、下降移動することによって基板Gに近接した状態となされる。
また、基板Gは、基板保持部7によって保持され、塗布処理時にあっては、前記基板保持部7が設けられたスライダ6が、搬送駆動部8の駆動によってレール5に沿ってノズル11の下方を移動し、それにより基板Gの上面をノズル11が相対的に走査するようになされている。
また、レジスト供給部30の各部と、プライミング処理ユニットと、ノズル昇降部13と、搬送駆動部8とは、制御部10(制御手段)によって駆動制御される構成となっている。
【0038】
続いて、このように構成されたレジスト供給部30において実施されるレジストポンプ22へのレジスト液Rのリロード工程、及び基板Gへの塗布処理におけるレジスト液Rの供給動作について図3に基づき説明する。図3は、レジスト供給部30の一連の動作を示すフローである。
複数の基板Gに対するレジスト液Rの塗布処理を枚葉処理で行う場合、最初に、ノズル吐出口11aに付着したレジスト液Rを整えるプライミング処理が行われる。
このプライミング処理にあっては、プライミング駆動部37の駆動により、プライミングユニット36がノズル11直下に移動される。また、制御部10の制御によりバルブV2が閉じられ、バルブV1が開かれた状態となされる。
【0039】
そして、ノズル吐出口11aからプライミングローラ35の表面に対し、所定量のレジスト液Rが吐出される(図3のステップS1)。
次にプライミングローラ35が所定方向に回転開始され、プライミング処理が開始される(図3のステップS2)。
【0040】
前記プライミングローラ35の回転動作が継続して行われる間、制御部10の制御によりバルブV1が閉じられると共に、バルブV2が開かれる(図3のステップS3)。
そして、バルブV3が開かれてNガスがボトル20に送出され、ポンプ駆動部22cの駆動によってポンプ22は吸引動作を行う。即ち、ポンプ本体22aに塗布処理1回分のレジスト液Rが吸入されるリロード工程が行われる(図3のステップS4)。このリロード工程は、前記プライミングローラ35の回転動作が終了するまでに完了する。
【0041】
前記リロード工程が完了した後、プライミングローラ35の回転が停止され、プライミング処理が終了する(図3のステップS5)。
プライミング処理が終了すると、プライミング駆動部37の駆動により、プライミングユニット36がノズル11の下方から退避される。
また、ノズル昇降部13の駆動によりノズル11が下降移動して、吐出口11aが基板Gに近接される。
また、制御部10の制御によりバルブV1が開かれると共にバルブV2が閉じられ(図3のステップS6)、ノズル吐出口11aから所定量のレジスト液Rが基板G上に吐出される(図3のステップS7)。これにより、ノズル先端のレジスト液Rが基板Gに着液し、吐出口11aと基板Gの上面とがレジスト液Rで繋がった状態になされる。
【0042】
次に、制御部10は、搬送駆動部8を制御し、所定の初期速度で基板Gを搬送開始させると共に、ポンプ駆動部22cを制御し、所定の圧力値によりノズル吐出口11aからレジスト液Rを吐出させる。これにより基板Gへのレジスト液Rの塗布処理が実施される(図3のステップS8)。
塗布処理が終了すると、その基板Gは後段の処理部に搬出され、次の基板Gが有る場合には(図3のステップS9)、再びプライミング処理(図3のステップS1)以降の処理が繰り返される。
【0043】
以上のように、本発明に係る実施の形態によれば、レジストポンプ22へのリロード工程にあっては、プライミング処理においてノズル吐出口11aから所定量のレジスト液Rがプライミングローラ35上に吐出され、プライミングローラ35が回転開始された後に、バルブV1が閉じられて実施される。
このため、前記リロード工程は、プライミングローラ35の回転動作と並行して行われるが、リロード工程に要する時間よりも、プライミングローラの回転動作の所要時間が長いため(プライミング処理時間が長いため)、プライミング処理の終了前にリロード工程を完了させることができる。
したがって、枚葉処理される基板間の処理時間間隔(塗布処理完了後から次の基板への塗布処理開始までの時間間隔)を従来よりも短縮することができ、生産効率を向上することができる。
【0044】
続いて、本発明に係るレジスト塗布処理ユニットが備えるレジスト供給部30の第二の実施形態について説明する。
図4は、レジスト供給部30の第二の実施形態の構成を示すブロック図である。図4に示すレジスト供給部30にあっては、図1に示した構成に対し、バルブV4を追加した構成となる。
このバルブV4は、バルブV1と同じ構成であって、バルブV1とノズル11との間にカウンタバランスバルブとして設けられる。これにより、ノズル吐出口11aに付着しているレジスト液Rの状態を均一に保つことが出来る。
【0045】
具体的に説明すると、このバルブV4を設けない場合、図3のステップS3においてバルブV1を閉じると、図2(b)に示すようにピストン18が下方へ移動するため、シリンダ10内の容積が減少する。この容積が減少した分のレジスト液Rは、ノズル11へ供給されることとなるため、プライミング処理されている吐出口11aのレジスト液R(図5(a)の状態)に対し付加される。そして、図5(b)に示すように、この付加されたレジスト液Rによって、吐出口11aの中央部が盛り上がり、その両端部には段差R1が生じる。このため、塗布処理において、基板Gに形成された塗布膜の両端部分にスジ斑が生じる虞がある。
【0046】
そこで、前記バルブV4を設け、図3のステップS3においてバルブV1を閉じると同時にバルブV4を開くことにより、バルブV1を閉じた際にノズル11に供給される量のレジスト液RをバルブV4で吸収することができる。
即ち、ノズル吐出口11aの両端部にレジスト液Rの段差R1を生じさせることがなく、レジスト液Rの状態を均一に保つことが出来る。
尚、このバルブV4を設ける場合には、その他のバルブV1の開閉動作の際にも、その動作に同期して、バルブV1とは逆の開閉動作を行うよう制御することが望ましい。
【0047】
続いて、本発明に係るレジスト塗布処理ユニットが備えるレジスト供給部30の第三の実施形態について説明する。
図6(a)、図6(b)は、この第三の実施形態におけるバルブV1の構成を示す断面図である。
図6(a)はバルブが開いた状態を示し、図6(b)はバルブが閉じた状態を示している。図示するように、このバルブV1は、第一の実施形態において図2に示した構成に対し、ピストン18に代えてダイアフラム25を備える。
【0048】
ダイアフラム25は、その外縁部がシリンダ16の内周面に対し摺動自在に設けられ、該ダイアフラム25上において前記ニードル部17と同軸上に配されたピストンロッド19が駆動されることによって、シリンダ16内を上下移動するようになっている。
この構成において、バルブV1の開弁時にあっては、図6(a)に示すようにピストンロッド19の駆動によりニードル部17及びダイアフラム25が撓みながら上方に移動され、レジスト液供給管23の流入側端部23aと流出側端部23bとが連通する。
一方、バルブV1の閉弁時にあっては、図6(b)に示すようにピストンロッド19の駆動によりニードル部17及びダイアフラム25が撓みながら下方に移動され、ニードル部17が流出側端部23bを閉じる。
【0049】
このように、このバルブV1における開弁及び閉弁の動作時にあっては、ニードル部17の変位動作に伴い、ダイアフラム25が大きく撓曲する。このため、ニードル部17の変位に対してダイアフラム25の外縁部の変位が短くなり、シリンダ16内の容積変化が小さく抑えられる。
即ち、図6に示すバルブV1の構成によれば、図3のステップS3において、バルブV1を閉じる動作が行われても、シリンダ10内の容積を殆ど変化させずに、流出側端部23bを閉じることができる。このため、図5(b)に示したレジスト液Rの段差R1の発生を防止することができる。
【0050】
尚、前記第二の実施形態、及び第三の実施形態においては、第一の実施形態の構成に改良を加えた構成としたが、第一の実施形態の装置構成であってもポンプ動作の制御により、図5(b)に示したレジスト液Rの段差R1の発生を防止することができる。
即ち、塗布処理のために図3のステップS6においてバルブV1を開いた後、ポンプ22を吸引動作(サックバック)させ、バルブV1からノズル11に余分に供給された量のレジスト液Rを吸引させてもよい。
【符号の説明】
【0051】
10 制御部(制御手段)
11 ノズル
11a ノズル吐出口
20 ボトル(処理液供給源)
21 吸入管(処理液供給源)
23 レジスト液供給管(処理液供給管)
35 プライミングローラ
36 プライミング処理部
G ガラス基板(被処理基板)
R レジスト液(処理液)
V1 バルブ(第一のバルブ)
V2 バルブ(第二のバルブ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理基板に対しスリット状の吐出口を有するノズルから処理液を供給し、所定の塗布膜を形成する基板処理装置であって、
前記ノズルの下方に進退自在に設けられ、前記ノズルの吐出口から所定量の処理液が吐出されたプライミングローラを回転させることにより、前記ノズルの吐出口に付着した処理液を整えるプライミング処理部と、処理液が充填可能であって、充填された処理液を、処理液供給管を介して前記ノズルに供給するポンプと、前記ポンプに、吸入管を介して処理液を供給可能な処理液供給源と、前記処理液供給管に設けられ、処理液の流路を開閉する第一のバルブと、前記吸入管に設けられ、処理液の流路を開閉する第二のバルブと、前記プライミング処理部と前記ポンプと前記処理液供給源と前記第一のバルブと前記第二のバルブの動作制御を行う制御手段とを備え、
前記制御手段は、
前記第一のバルブを開くと共に前記第二のバルブを閉じて、前記ノズルの吐出口から前記プライミングローラに所定量の処理液を吐出させ、
前記プライミング処理部において前記プライミングローラを回転させる一方、前記第一のバルブを閉じると共に前記第二のバルブを開き、前記ポンプに、前記吸入管を介して前記処理液供給源から処理液を吸入させることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記第一のバルブと前記ノズルとの間の前記処理液供給管に設けられ、前記第一のバルブが閉じられた際に前記処理液供給管に流れる所定量の処理液を吸引可能なカウンタバランスバルブを備え、
前記制御手段は、
前記第一のバルブを閉じると共に前記第二のバルブを開き、且つ前記カウンタバランスバルブを開いた状態で、前記ポンプに、前記吸入管を介して前記処理液供給源から処理液を吸入させることを特徴とする請求項1に記載された基板処理装置。
【請求項3】
前記第一のバルブは、
前記処理液供給管の流入側端部と流出側端部とが接続されたシリンダと、前記シリンダ内において前記流出側端部を開閉自在に設けられた弁体と、前記弁体の変位動作に伴い撓曲し、前記シリンダ内における処理液の流路を形成するダイアフラムとを有し、
前記制御手段は、
前記第一のバルブを閉じると共に前記第二のバルブを開き、前記ポンプに、前記吸入管を介して前記処理液供給源から処理液を吸入させることを特徴とする請求項1に記載された基板処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記第一のバルブを閉じると共に前記第二のバルブを開き、前記ポンプに、前記吸入管を介して前記処理液供給源から処理液を吸入させ、
前記第一のバルブを開くと共に前記第二のバルブを閉じて、前記ポンプにより所定量の処理液を吸引させることを特徴とする請求項1に記載された基板処理装置。
【請求項5】
被処理基板に対しスリット状の吐出口から処理液を吐出するノズルと、前記ノズルの下方に進退自在に設けられ、前記ノズルの吐出口から所定量の処理液が吐出されたプライミングローラを回転させることにより、前記ノズルの吐出口に付着した処理液を整えるプライミング処理部と、処理液が充填可能であって、充填された処理液を、処理液供給管を介して前記ノズルに供給するポンプと、前記ポンプに、吸入管を介して処理液を供給可能な処理液供給源と、前記処理液供給管に設けられ、処理液の流路を開閉する第一のバルブと、前記吸入管に設けられ、処理液の流路を開閉する第二のバルブとを具備する基板処理装置において、処理液を前記ノズルに供給した前記ポンプに対し、新たに処理液を充填させる処理液供給方法であって、
前記第一のバルブを開くと共に前記第二のバルブを閉じて、前記ノズルの吐出口から前記プライミングローラに所定量の処理液を吐出させるステップと、
前記プライミング処理部により前記プライミングローラを回転させる一方、前記第一のバルブを閉じると共に前記第二のバルブを開き、前記ポンプに、前記吸入管を介して前記処理液供給源から処理液を吸入させるステップとを含むことを特徴とする処理液供給方法。
【請求項6】
前記第一のバルブと前記ノズルとの間の前記処理液供給管に設けられ、前記第一のバルブが閉じられた際に前記処理液供給管に流れる所定量の処理液を吸引可能なカウンタバランスバルブとを備える前記基板処理装置において、
前記第一のバルブを開くと共に前記第二のバルブを閉じて、前記ノズルの吐出口から前記プライミングローラに所定量の処理液を吐出させるステップの後、
前記プライミング処理部により前記プライミングローラを回転開始させるステップと、
前記第一のバルブを閉じると共に前記第二のバルブを開き、且つ前記カウンタバランスバルブを開くステップと、
前記ポンプに、前記吸入管を介して前記処理液供給源から処理液を吸入させるステップとを実施することを特徴とする請求項5に記載された処理液供給方法。
【請求項7】
前記第一のバルブは、前記処理液供給管の流入側端部と流出側端部とが接続されたシリンダと、前記シリンダ内において前記流出側端部を開閉自在に設けられた弁体と、前記弁体の変位動作に伴い撓曲し、前記シリンダ内における処理液の流路を形成するダイアフラムとを有する前記基板処理装置において、
前記第一のバルブを開くと共に前記第二のバルブを閉じて、前記ノズルの吐出口から前記プライミングローラに所定量の処理液を吐出させるステップの後、
前記プライミング処理部により前記プライミングローラを回転開始させるステップと、
前記第一のバルブを閉じると共に前記第二のバルブを開くステップと、
前記ポンプに、前記吸入管を介して前記処理液供給源から処理液を吸入させるステップとを実施することを特徴とする請求項5に記載された処理液供給方法。
【請求項8】
前記第一のバルブを開くと共に前記第二のバルブを閉じて、前記ノズルの吐出口から前記プライミングローラに所定量の処理液を吐出させるステップの後、
前記プライミング処理部により前記プライミングローラを回転開始させるステップと、
前記第一のバルブを閉じると共に前記第二のバルブを開くステップと、
前記ポンプに、前記吸入管を介して前記処理液供給源から処理液を吸入させるステップと、
前記第一のバルブを開くと共に前記第二のバルブを閉じるステップと、
前記ポンプにより所定量の処理液を吸引するステップとを実施することを特徴とする請求項5に記載された処理液供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−191141(P2012−191141A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55738(P2011−55738)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】