説明

基板処理装置及び半導体装置の製造方法及び基板製造方法

【課題】誘導コイルの外側に設けられた金属材料で構成された部材が誘導加熱されることを抑制し、基板処理中の安全性を向上させる。
【解決手段】基板14を収容する反応管42と、該反応管の外周を囲うように設けられた誘導加熱部50と、該誘導加熱部の外を囲うように設けられる遮蔽部100と、前記反応管40内に少なくとも原料ガスを供給するガス供給部260,270,280と、前記誘導加熱部50が前記反応管40内を加熱すると共に、前記ガス供給部260,270,280から原料ガスを前記反応管40内へ供給させて前記基板14を処理する制御部152と、を備え、前記遮蔽部100が、前記誘導加熱部50の外を囲うように設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を処理する基板処理装置及び半導体装置の製造方法及び基板製造方法に関し、特に、炭化ケイ素(以下、SiCとする)エピタキシャル膜を基板上に成膜する基板処理装置及び半導体装置の製造方法及び基板製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パワーデバイス用素子材料として表面にSiCエピタキシャル膜を成長させたシリコン(Si)基板等が注目浴びている。SiCエピタキシャル膜は、反応管内に搬入された基板を1500〜1800℃に加熱し、シリコン元素を含む原料ガスと、炭素元素を含む原料ガスとを反応管内に供給することで形成できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述の温度範囲を達成する方法として、例えば誘導加熱が用いられる。具体的には、反応管を囲うように誘導コイルを設け、カーボンなどで構成される被加熱体を反応管内の基板を囲うように設ける。そして、誘導コイルに交流電流を流すことで被加熱体を誘導加熱し、被加熱体からの輻射熱により基板を加熱する。しかしながら、上述の方法では、誘導コイルの外部に設けられた金属部材にも誘導電流が流れてしまい、係る部材が高温となってしまい、危険性が増大する場合があった。
【0004】
本発明に係る基板処理装置及び半導体装置の製造方法は、誘導コイルの外側に設けられた金属材料で構成された部材が誘導加熱されることを抑制し、基板処理中の安全性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、基板を収容する反応管と、前記反応管の外周を囲うように設けられた誘導加熱部と、前記誘導加熱部の外を囲うように設けられる遮蔽部と、前記反応管内に少なくとも原料ガスを供給するガス供給部と、前記誘導加熱部が前記反応管内を加熱すると共に、前記ガス供給部から少なくとも前記原料ガスを前記反応管内へ供給させて前記基板を処理する制御部と、を備え、前記遮蔽部が、前記加熱部の外を囲うように設けられている基板処理装置が提供される。
【0006】
本発明の他の態様によれば、反応管内に基板を搬入する工程と、前記反応管の外を囲うように設けられる誘導加熱部が前記反応管内を加熱する工程と、ガス供給部から前記反応管内に少なくとも原料ガスを供給して前記基板を処理する工程と、前記基板を前記反応管内から搬出する工程と、を有し、前記誘導加熱部の外を囲うように遮蔽部が設けられる半導体装置の製造方法が提供される。
【0007】
本発明の更に他の態様によれば、反応管内に基板を搬入する工程と、前記反応管の外を囲うように設けられる誘導加熱部が前記反応管内を加熱する工程と、ガス供給部から前記反応管内に少なくとも原料ガスを供給して前記基板を処理する工程と、前記基板を前記反応管内から搬出する工程と、を有し、前記誘導加熱部の外を囲うように遮蔽部が設けられる基板製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る基板処理装置及び半導体装置の製造方法及び基板製造方法によれば、誘導加熱部の外に設けられた金属材料で構成された部材が誘導加熱されることを抑制でき、基
板処理中の安全性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第一実施形態に係る基板処理装置10の斜視図である。
【図2】本発明の第一実施形態態に係る処理炉40の側面断面図である。
【図3】本発明の第一実施形態に係る処理炉40の上面断面図である。
【図4】本発明の第一実施形態に係るコントローラ152のブロック構成図である。
【図5】本発明の第一実施形態に係る処理炉40及びその周辺構造の略図である。
【図6】遮蔽板100を構成する導電性部材の電流浸透深さを例示するグラフ図である。
【図7】本発明の第一実施形態に係る遮蔽板100の略図である。
【図8】本発明の第一実施形態に係る遮蔽板100の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
(1)基板処理装置の構成
まず、本実施形態に係る基板処理装置10の構成について、図1〜図5及び図7を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る基板処理装置10の斜視図である。図2は、本実施形態態に係る処理炉40の側面断面図である。図3は、本実施形態に係る処理炉40の上面断面図である。図4は、本実施形態に係るコントローラ152のブロック構成図である。図7は、本実施形態に係る処理炉40及びその周辺構造の略図である。
【0012】
<全体構成>
基板処理装置10は、バッチ式縦型熱処理装置として構成されている。基板処理装置10は、内部に処理炉40などの主要部が設けられる筐体12を備えている。筐体12内への基板搬送容器(ウエハキャリア)としては、ポッド16が用いられる。ポッド16内には、Si又はSiC等で構成された基板としてのウエハ14が、例えば25枚収納されるように構成されている。筐体12の正面側には、ポッドステージ18が配置されている。ポッド16は、蓋が閉じられた状態でポッドステージ18上に載置されるように構成されている。
【0013】
筐体12内の正面側(図1の右側)であってポッドステージ18に対向する位置には、ポッド搬送装置20が設けられている。ポッド搬送装置20の近傍には、ポッド載置棚22、ポッドオープナ24及びウエハ枚数検出器26が設けられている。ポッド載置棚22は、ポッドオープナ24の上方に配置され、ポッド16を複数個載置した状態で保持するように構成されている。ウエハ枚数検出器26は、ポッドオープナ24に隣接して設けられる。ポッド搬送装置20は、ポッドステージ18とポッド載置棚22とポッドオープナ24との間でポッド16を搬送するように構成されている。ポッドオープナ24は、ポッド16の蓋を開けるように構成されている。ウエハ枚数検出器26は、蓋を開けられたポッド16内のウエハ14の枚数を検知するように構成されている。
【0014】
筐体12内には、ウエハ移載機28、基板支持具としてのボート30が設けられている。ウエハ移載機28は、アーム(ツィーザ)32を有し、図示しない駆動手段により、上下回転動作が可能な構造になっている。アーム32は、例えば5枚のウエハを同時に取り出すことができるように構成されている。アーム32を動かすことにより、ポッドオープナ24の位置に置かれたポッド16及びボート30間にて、ウエハ14が搬送されるように構成されている。
【0015】
ボート30は、例えばカーボングラファイトやSiC等の耐熱性材料で構成されており
、複数枚のウエハ14を水平姿勢でかつ互いに中心を揃えた状態で整列させて縦方向に積み上げて保持するように構成されている。ボート30の下部には、例えば石英やSiC等の耐熱性材料で構成された円盤形状の断熱部材としてのボート断熱部34が配置されている(図2参照)。ボート断熱部34は、後述する被加熱体48からの熱を、後述する処理炉40の下方側に伝え難くするように構成されている。
【0016】
筐体12内の背面側上部には、処理炉40が設けられている。処理炉40内には、複数枚のウエハ14を装填したボート30が下方から搬入されるように構成されている。
【0017】
<処理炉の構成>
図2及び図3は、ウエハ14上にSiCエピタキシャル膜を成膜する処理炉40の側面断面図及び上面断面図である。
【0018】
(反応容器)
処理炉40は反応管42を備えている。反応管42は、石英(SiO)またはSiC等の耐熱材料で構成されており、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。反応管42内の筒中空部には、反応室44が形成されている。反応室44は、Si又はSiC等で構成された基板としてウエハ14を、ボート30によって水平姿勢でかつ互いに中心を揃えた状態で整列させて縦方向に積み上げて保持した状態で収納可能に構成されている。
【0019】
反応管42の下方には、反応管42と同心円状にマニホールド43が設けられている。マニホールド43は例えばステンレス等で構成されており、上端及び下端が開口した円筒形状に形成されている。マニホールド43は反応管42を下方から支持するように設けられている。マニホールド43と反応管42との間には、シール部材としてのOリングが設けられている。マニホールド43が図示しない保持体に支持されることにより、反応管42は垂直に据えつけられた状態になっている。主に、反応管42とマニホールド43とにより反応容器が形成されている。
【0020】
(加熱部)
処理炉40は、誘導加熱により加熱される被加熱体48及び誘導加熱部(磁場発生部)としての誘導コイル50を備えている。被加熱体48は、例えばカーボン等で構成されており、反応室44内に収容されたボート30を囲うように設けられている。誘導コイル50は、絶縁耐熱材料で構成されコイル支持体50aにより支持され、反応管42の外周を囲うように設けられている。誘導コイル50には、図示しない交流電源から、例えば10〜100kHz、10〜200kWの交流電力が供給されるように構成されている。誘導コイル50に交流電流を流すことで、被加熱体48に交流磁場が加わり被加熱体48に誘導電流が流れ、被加熱体48が発熱するように構成されている。被加熱体48が発熱することで、被加熱体48から発せられる輻射熱により、ボート30に保持されたウエハ14や反応室44内が例えば1500℃〜1800℃の温度に加熱されるように構成されている。
【0021】
被加熱体48の近傍には、反応室44内の温度を検出する温度検出体として図示しない温度センサが設けられている。誘導コイル50及び温度センサには、電気的に温度制御部52が接続されている(図4参照)。温度制御部52は、温度センサにより検出された温度情報に基づき誘導コイル50への通電具合を調節することにより、反応室44内の温度が所定のタイミングにて所定の温度分布となるよう制御するように構成されている。
【0022】
被加熱体48と反応管42との間には、例えば誘導加熱されにくい材料であるカーボンフェルト等で構成された断熱材54が設けられている。断熱材54を設けることにより、
被加熱体48の熱が反応管42あるいは反応管42の外側へ伝達するのを抑制することができる。
【0023】
主に、被加熱体48、誘導コイル50、コイル支持体50a、図示しない交流電源、図示しない温度検出体、及び断熱材54により、本実施形態に係る加熱部が構成されている。
【0024】
(ガス供給系)
マニホールド43の側壁には、原料ガスとしてのシリコン含有ガス及び塩素含有ガスを供給する第1のガス供給ノズル60と、原料ガスとしての炭素含有ガス及び還元ガスとしての水素含有ガスを供給する第2のガス供給ノズル70と、不活性ガスとしてのアルゴンArガスを供給する第3のガス供給ノズル80と、が設けられている。なお、シリコン含有ガスとしては例えばシラン(SiH)ガス、塩素含有ガスとしては例えば塩化水素(HCl)ガス、炭素含有ガスとしては例えばプロパン(C)ガス、水素含有ガスとしては水素(H)ガスを用いることが出来る。
【0025】
第1のガス供給ノズル60、第2のガス供給ノズル70、及び第3のガス供給ノズル80は、例えばカーボングラファイトで構成されている。第1のガス供給ノズル60及び第2ガス供給ノズルの下流側は、被加熱体48とボート30の搬入予定領域との間にそれぞれ配設されている。第3のガス供給ノズル80の下流側は、反応管42と断熱材54との間に配設されている。第1のガス供給ノズル60、第2のガス供給ノズル70の側部には、積層されたウエハ14間にガスを供給する第1のガス供給口60a、第2のガス供給口70aが複数開設されている。第3のガス供給ノズル80の下流端には、第3のガス供給口80aが開設されている。
【0026】
第1のガス供給ノズル60の上流端には、第1のガス供給管260の下流端が接続されている。第1のガス供給管260の上流側には、シリコン含有ガス供給管261の下流端及び塩素含有ガス供給管262の下流端がそれぞれ接続されている。シリコン含有ガス供給管261には、上流側から順に、SiHガス供給源261a、流量制御器(流量制御手段)としてのマスフローコントローラ(MFC)261b、バルブ261cが設けられている。塩素含有ガス供給管262には、上流側から順に、HClガス供給源262a、流量制御器(流量制御手段)としてのマスフローコントローラ(MFC)262b、バルブ262cが設けられている。
【0027】
第2のガス供給ノズル70の上流端には、第2のガス供給管270の下流端が接続されている。第2のガス供給管270の上流側には、炭素含有ガス供給管271の下流端及び水素含有ガス供給管222の下流端がそれぞれ接続されている。炭素含有ガス供給管271には、上流側から順に、Cガス供給源271a、流量制御器(流量制御手段)としてのマスフローコントローラ(MFC)271b、バルブ271cが設けられている。水素含有ガス供給管272には、上流側から順に、Hガス供給源272a、流量制御器(流量制御手段)としてのマスフローコントローラ(MFC)272b、バルブ272cが設けられている。
【0028】
第3のガス供給ノズル80の上流端には、第3のガス供給管280の下流端が接続されている。第3のガス供給管280には、上流側から順に、アルゴン(Ar)ガス供給源281a、流量制御器(流量制御手段)としてのマスフローコントローラ(MFC)281b、バルブ281cが設けられている。
【0029】
バルブ261c、262c、271c、272c、280c、MFC261b、262b、271b、272b、280bは、ガス流量制御部78に電気的に接続されている(
図4参照)。ガス流量制御部78は、反応室44内に供給されるSiHガス、HClガス、Cガス、Hガス、Arガスの流量が、それぞれ所定のタイミングで所定の流量となるよう、バルブ261c、262c、271c、272c、280c、及びMFC261b、262b、271b、272b、280bを制御するように構成されている。
【0030】
主に、第1のガス供給ノズル60、第1のガス供給口60a、第1のガス供給管260、シリコン含有ガス供給管261、塩素含有ガス供給管262、バルブ261c、262c、MFC261b、262b、SiHガス供給源261a、及びHClガス供給源262aにより、本実施形態に係る第1のガス供給系が構成されている。また、主に、第2のガス供給ノズル70、第2のガス供給口70a、第2のガス供給管270、炭素含有ガス供給管271、水素含有ガス供給管272、バルブ271c、272c、MFC271b、272b、Cガス供給源271a、及びHガス供給源272aにより、本実施形態に係る第2のガス供給系が構成されている。また、主に、第3のガス供給ノズル80、第3のガス供給口80a、第3のガス供給管280、バルブ280c、MFC280b、及びアルゴンガス供給源280aにより、本実施形態に係る第3のガス供給系が構成されている。そして、主に、第1のガス供給系、第2のガス供給系、及び第3のガス供給系により、本実施形態に係るガス供給系が構成されている。
【0031】
なお、好ましくは、反応室44内において第1及び第1のガス供給ノズル60、70と第1のガス排気口231aとの間であって、被加熱体48とウエハ14との間には構造物400を設けることがよい。例えば、図3に示すように、対向する位置にそれぞれ構造物400を設ける。構造物400としては、好ましくは、断熱材若しくはカーボンフェルト等で構成すると、耐熱、パーティクル発生することを抑制することができる。
【0032】
(排気系)
マニホールド43の側壁には、反応室44内の雰囲気を排気する排気管230が接続されている。排気管230の上流側は、反応室44内で、第1の排気管231及び第2の排気管232の2本に分岐している。第1の排気管231は被加熱体48とボート30の搬入予定領域との間に配設されており、第2の排気管232は反応管42と断熱材54との間に配設されている。第1の排気管231の上流端には第1のガス排気口231aが開設されており、第2の排気管232の上流端には第2のガス排気口232aが開設されている。
【0033】
排気管230には、上流側から順に、図示しない圧力センサ、圧力調整装置としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ214、真空ポンプ220が設けられている。図示しない圧力センサ、APCバルブ214、及び真空ポンプ220は、圧力制御部98に電気的に接続されている(図4参照)。圧力制御部98は、反応室44内の圧力が所定のタイミングで所定の圧力となるよう、APCバルブ214の開度を制御するように構成されている。主に、排気管230、第1の排気管231、第2の排気管232、第1のガス排気口231a、第2のガス排気口232a、図示しない圧力センサ、APCバルブ214、及び真空ポンプ220により、本実施形態に係る排気系が構成されている。
【0034】
なお、第1のガス排気口231aは、ウエハ14を介して第1のガス供給口60a、第2のガス供給口70aと対向するように配置されている。第1のガス供給口60a及び第2のガス供給口70aから供給されたガスは、反応室44内の被加熱体48の内側を通り、ウエハ14に対して平行に流れ、第1の排気口90から排気される。そして、ウエハ14全体が効率的にかつ均一にガスに晒される。
【0035】
また、第2のガス排気口232aは、断熱材54を介して第3のガス供給口80aと対
向するように配置されている。第3のガス供給口80aから供給されたガスは、反応管42と断熱材54との間を流れ、第2のガス排気口232aから排出される。そのため、例えばシリコン含有ガス、炭素含有ガス、塩素含有ガス、又はそれらの混合ガスが反応管42と断熱材54との間に侵入することが抑制され、反応管42の内壁又は断熱材54の外壁に不要な生成物が付着するのを防止することができる。
【0036】
(遮蔽部)
誘導加熱部としての誘導コイル50の外側には、誘導コイル50の外を円柱状或いは角柱状に囲う遮蔽部として例えば遮蔽板100が設けられている。図7は、本発明の第一実施形態に係る遮蔽板100の略図である。遮蔽板100は、導電性材料としての例えばCu(銅)により構成されている。遮蔽板100が設けられることで、誘導コイル50に交流電流を流した際に、遮蔽板100の外側に設けられた筐体12が備えるネジやナット等の導電性部材に誘導電流が流れてしまうことを抑制できる。すなわち、誘導コイル50に交流電流を流した際に、誘導コイル50の外側に設けられた遮蔽板100の表面に積極的に誘導電流を流すことで、遮蔽板100外側への誘導コイル50からの電磁誘導を遮蔽することが可能となる。図8は、遮蔽板100に誘導電流が流れる様子を示す略図である。
【0037】
なお、好ましくは、本実施形態に係る遮蔽部の一例としての遮蔽板100は、誘導コイル50の外を隙間なく一体的に囲うように設けられていると良い。これにより、誘導コイル50に交流電流を流した際に、誘導コイル50の外側に設けられた遮蔽板100の表面に確実に誘導電流を流すことができ、遮蔽板100外側への誘導コイル50からの電磁誘導を確実に遮蔽することが可能となる。
【0038】
また、更に好ましくは、本実施形態に係る遮蔽板100の厚さは、遮蔽板100を構成する導電性材料の電流浸透深さの少なくとも2倍の厚さとしていると良い。図6は、遮蔽板100を構成する導電性部材の電流浸透深さを例示するグラフ図である。電流浸透深さが0.6mmであるCuにより遮蔽板100を構成した場合には、遮蔽板100の厚さを1.2mm以上、好ましくは2.4mm以上とする。これにより、誘導コイル50に交流電流を流した際に、誘導コイル50の外側に設けられた遮蔽板100により確実に誘導電流を流すことができ、遮蔽板100外側への誘導コイル50からの電磁誘導を確実に遮蔽することが可能となる。例えば、仮に遮蔽板100のつなぎ目などに隙間が生じてしまった場合であっても、遮蔽板100の厚さを上述の厚さとすることで、遮蔽板100の内側表面(誘導コイル50側)から外側表面(遮蔽板100の外側)へと向かう誘導電流の経路(渦状の経路)を確保することができる。これにより、遮蔽板100により確実に誘導電流を流すことができ、遮蔽板100外側への誘導コイル50からの電磁誘導をより確実に遮蔽することが可能となる。なお、誘導電流は遮蔽板100の表面に流れるが、遮蔽板100の厚さが上述の範囲より薄いと(例えば電流浸透深さと同程度の厚さであると)、遮蔽板100のつなぎ目などに隙間が生じてしまった場合などに、遮蔽板100の内側表面(誘導コイル50側)から外側表面(遮蔽板100の外側)へと向かう誘導電流の経路(渦状の経路)を確保することができず、遮蔽板100外側への誘導コイル50からの電磁誘導を確実に遮蔽することが困難となる。
【0039】
なお、本実施形態に係る遮蔽板100には、冷却媒体(冷却水など)を供給して遮蔽板100を冷却する冷却機構101を備えている。冷却機構101により遮蔽板100を冷却することにより、遮蔽板100に誘導電流を流した際における遮蔽板100の温度上昇を抑制し、遮蔽板100の温度を例えば25℃〜100℃の温度に維持することが可能となる。これにより、基板処理装置を安全に運用することが可能となる。主に、遮蔽板100、冷却機構101により、本実施形態に係る遮蔽部が構成されている。
【0040】
(処理炉40の周辺構造)
図7は、本発明の第一実施形態に係る処理炉40及びその周辺構造の略図である。図7に示すように、処理炉40の下方には、予備室としてのロードロック室110が設けられている。ロードロック室110を構成する側壁の外面には、ボートエレベータ115が設けられている。ボートエレベータ115は、下基板112、ガイドシャフト116、ボール螺子118、上基板120、昇降モータ122、昇降基板130、及びベローズ128を備えている。下基板112は、ロードロック室110を構成する側壁の外面に水平姿勢で固定されている。下基板112には、昇降台114と嵌合するガイドシャフト116、及び昇降台114と螺合するボール螺子118がそれぞれ鉛直姿勢で設けられている。ガイドシャフト116及びボール螺子118の上端には、上基板120が水平姿勢で固定されている。ボール螺子118は、上基板120に設けられた昇降モータ122により回転させられるように構成されている。ガイドシャフト116は、昇降台114の上下動を許容しつつ水平方向の回転を抑制するように構成されている。ボール螺子118を回転させることにより、昇降台114が昇降するように構成されている。
【0041】
昇降台114には、中空の昇降シャフト124が垂直姿勢で固定されている。昇降台114と昇降シャフト124との連結部は、気密に構成されている。昇降シャフト124は、昇降台114と共に昇降するように構成されている。昇降シャフト124の下方側端部は、ロードロック室110を構成する天板126を貫通している。ロードロック室110の天板126に設けられる貫通穴の内径は、昇降シャフト124と天板126とが接触することのない様に、昇降シャフト124の外径よりも大きく構成されている。ロードロック室110と昇降台114との間には、昇降シャフト124の周囲を覆うように、伸縮性を有する中空伸縮体としてのベローズ128が設けられている。昇降台114とベローズ128との連結部、及び天板126とベローズ128との連結部はそれぞれ気密に構成されており、ロードロック室110内の気密が保持されるように構成されている。ベローズ128は、昇降台114の昇降量に対応できる充分な伸縮量を有している。ベローズ128の内径は、昇降シャフト124とベローズ128とが接触することのない様に、昇降シャフト124の外径よりも充分に大きく構成されている。
【0042】
ロードロック室110内に突出した昇降シャフト124の下端には、昇降基板130が水平姿勢で固定されている。昇降シャフト124と昇降基板130との連結部は、気密に構成されている。昇降基板130の上面には、Oリング等のシール部材を介してシールキャップ219が気密に取付けられている。シールキャップ219は、例えばステンレス等の金属よりなり、円盤状に形成されている。昇降モータ122を駆動してボール螺子118を回転させ、昇降台114、昇降シャフト124、昇降基板130、及びシールキャップ219を上昇させることにより、反応室44内にボート30が搬入(ボートローディング)されると共に、処理炉40の開口部(炉口)がシールキャップ219により閉塞されるよう構成されている。また、昇降モータ122を駆動してボール螺子118を回転させ、昇降台114、昇降シャフト124、昇降基板130、及びシールキャップ219を下降させることにより、反応室44内からボート30が搬出(ボートアンローディング)されるよう構成されている。昇降モータ122には、駆動制御部108が電気的に接続されている。駆動制御部108は、ボートエレベータ115が所望のタイミングにて所望の動作をするよう制御する。
【0043】
昇降基板130の下面には、Oリング等のシール部材を介して駆動部カバー132が気密に取付けられている。昇降基板130と駆動部カバー132とにより駆動部収納ケース140が構成されている。駆動部収納ケース140の内部は、ロードロック室110内の雰囲気と隔離されている。駆動部収納ケース140の内部には、回転機構104が設けられている。回転機構104には電力供給ケーブル138が接続されている。電力供給ケーブル138は、昇降シャフト124の上端から昇降シャフト124内を通って回転機構104まで導かれており、回転機構104に電力を供給するように構成されている。回転機
構104が備える回転軸106の上端部は、シールキャップ219を貫通して、基板保持具としてのボート30を下方から支持するように構成されている。回転機構104を作動させることにより、ボート30に保持されたウエハ14を反応室44内で回転させることが可能なように構成されている。回転機構104には、駆動制御部108が電気的に接続されている。駆動制御部108は、回転機構104が所望のタイミングにて所望の動作をするよう制御する。
【0044】
また、駆動部収納ケース140の内部であって回転機構104の周囲には、冷却機構136が設けられている。冷却機構136及びシールキャップ219には冷却流路140aが形成されている。冷却流路140aには冷却水を供給する冷却水配管142が接続されている。冷却水配管142は、昇降シャフト124の上端から昇降シャフト124内を通って冷却流路140aまで導かれ、冷却流路140aにそれぞれ冷却水を供給するように構成されている。
【0045】
(コントローラ)
図4は、基板処理装置10の各部の動作を制御する制御部としてのコントローラ152のブロック構成図である。コントローラ152は、主制御部150と、主制御部150に電気的に接続された温度制御部52、ガス流量制御部78、圧力制御部98、駆動制御部108とを備えている。主制御部150は、操作部及び入出力部を備えている。
【0046】
(2)基板処理工程
次に、上述したように構成された基板処理装置10を用いて、半導体デバイスの製造工程の一工程として、SiC等で構成されるウエハ14などの基板上に、例えばSiC膜をエピタキシャル成長させる方法について説明する。なお、以下の説明において、基板処理装置10を構成する各部の動作は、コントローラ152により制御される。
【0047】
まず、ポッドステージ18に複数枚のウエハ14を収容したポッド16を載置する。ポッド搬送装置20によりポッド16をポッドステージ18上からポッド載置棚22上に移載する。ポッド搬送装置20により、ポッド載置棚22上に載置されたポッド16をポッドオープナ24に搬送する。ポッドオープナ24により、ポッド16の蓋を開き、ウエハ枚数検出器26によりポッド16に収容されているウエハ14の枚数を検知する。
【0048】
次に、ウエハ移載機28により、ポッド16からウエハ14を取り出し、ボート30に移載する。
【0049】
複数枚のウエハ14がボート30に装填されると、複数枚のウエハ14を保持したボート30を、昇降モータ122による昇降台114及び昇降シャフト124の昇降動作により反応室44内に搬入(ボートローディング)する。この状態で、シールキャップ219はOリングを介してマニホールド43の下端をシールした状態となる。
【0050】
反応室44内が所定の圧力(真空度)となるように真空ポンプ220によって真空排気される。この際、反応室44内の圧力は、圧力センサで測定され、この測定された圧力に基づき第1のガス排気口231a及び第2のガス排気口390に連通するAPCバルブ214がフィードバック制御される。また、図示しない交流電源から誘導コイル50に、例えば10〜100kHz、10〜200kWの交流電力を供給し、被加熱体48に交流磁場を加えて被加熱体48に誘導電流を流し、被加熱体48を発熱させる。そして、被加熱体48から発せられる輻射熱により、ボート30に保持されたウエハ14や反応室44内を例えば1500℃〜1800℃の温度範囲に加熱する。この際、反応室44内が所定の温度分布となるように、温度センサが検出した温度情報に基づき誘導コイル50への通電具合をフィードバック制御する。なお、誘導コイル50に交流電流を流すときには、冷却
機構101により遮蔽板100に冷却媒体を供給し、遮蔽板100を冷却し、遮蔽板100の温度を例えば25℃〜100℃の温度に維持する。続いて、回転機構218により、ボート30及びウエハ14を回転させる。
【0051】
バルブ261c、262cを開き、MFC261b、262bにより流量制御されたシリコン含有ガスとしてのSiHガス、塩素含有ガスとしてのHClガスを、第1のガス供給口60aから反応室44内に供給する。また、このときバルブ271c、272cを開き、MFC271b、272bにより流量制御された炭素含有ガスとしてのCガス、水素含有ガスとしてのHガスを、第2のガス供給口70aから反応室44内に供給する。反応室44内に供給されたSiHガス、HClガス、Cガス、及びHガスは、反応室44内の被加熱体48の内側を通り、ウエハ14に対して平行に流れ、第1の排気口90から排気される。そして、ウエハ14全体が効率的にかつ均一にガスに晒され、ウエハ14の表面にSiC膜がエピタキシャル成長される。
【0052】
また、このときバルブ280cを開き、MFC280bにより流量制御された不活性ガスとしてのアルゴンガスを、第3のガス供給口80aから反応室44内に供給する。反応室44内に供給されたアルゴンガスは、反応管42と断熱材54との間を流れ、第2のガス排気口232aから排出される。そのため、そのため、例えばシリコン含有ガス、炭素含有ガス、塩素含有ガス、又はそれらの混合ガスが反応管42と断熱材54との間に侵入することが抑制され、反応管42の内壁又は断熱材54の外壁に不要な生成物が付着するのが防止される。
【0053】
所定の時間が経過し、所望の膜厚のSiC膜がエピタキシャル成長したら、バルブ261c、262c、271b、272bを閉めてSiHガス、HClガス、Cガス、及びHガスの反応室44内への供給を停止する。そして、図示しない不活性ガス供給源から被加熱体48の内側に不活性ガスを供給し、被加熱体48の内側を不活性ガスで置換すると共に、反応室44内の圧力を常圧に復帰させる。
【0054】
その後、昇降モータ122によりシールキャップ219を下降させて、マニホールド43の下端を開口させ、処理済ウエハ14を保持したボート30をマニホールド43の下端から反応管42の外部に搬出(ボートアンローディング)する。そして、ボート30に支持された全てのウエハ14が冷えるまで、ボート30を所定位置で待機させる。待機させたボート30のウエハ14が所定温度まで冷却されると、ウエハ移載機28により、ボート30からウエハ14を取り出し、ポッドオープナ24にセットされている空のポッド16に搬送して収容する。その後、ポッド搬送装置20により、ウエハ14が収容されたポッド16をポッド載置棚22、またはポッドステージ18に搬送する。このようにして基板処理装置10の一連の作用が完了する。
【0055】
(3)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
【0056】
(a)本実施形態によれば、誘導コイル50の外側には、誘導コイル50の外周を円柱状或いは角柱状に囲う遮蔽板100が設けられている。遮蔽板100は、導電性材料としての例えばCu(銅)等により構成されている。遮蔽板100が設けられることで、誘導コイル50に交流電力を供給した際に、遮蔽板100の外側に設けられた筐体12が備えるネジやナット等の導電性部材に誘導電流が流れてしまうことを抑制できる。すなわち、誘導コイル50に交流電流を流した際に、誘導コイル50の外側に設けられた遮蔽板100の表面に積極的に誘導電流を流すことで、遮蔽板100外側への誘導コイル50からの電磁誘導を遮蔽することが可能となる。その結果、係る部材の温度上昇を抑制でき、安全性を高めることができる。
【0057】
(b)本実施形態によれば、本実施形態に係る遮蔽板100は、誘導コイル50の外周を隙間なく一体的に囲うように設けられている。これにより、誘導コイル50に交流電流を流した際に、誘導コイル50の外側に設けられた遮蔽板100の表面に確実に誘導電流を流すことができ、遮蔽板100外側への誘導コイル50からの電磁誘導を確実に遮蔽することが可能となる。
【0058】
(c)本実施形態に係る遮蔽板100の厚さは、遮蔽板100を構成する導電性材料の電流浸透深さの少なくとも2倍の厚さとしている。具体的には、電流浸透深さが0.6mmであるCuにより遮蔽板100を構成した場合には、遮蔽板100の厚さを1.2mm以上、好ましくは2.4mm以上としている。これにより、誘導コイル50に交流電流を流した際に、誘導コイル50の外側に設けられた遮蔽板100により確実に誘導電流を流すことができ、遮蔽板100外側への誘導コイル50からの電磁誘導を確実に遮蔽することが可能となる。例えば、仮に遮蔽板100のつなぎ目などに隙間が生じてしまった場合であっても、遮蔽板100の厚さを上述の厚さとすることで、遮蔽板100の内側表面(誘導コイル50側)から外側表面(遮蔽板100の外側)へと向かう誘導電流の経路(渦状の経路)を確保することができる。これにより、遮蔽板100により確実に誘導電流を流すことができ、遮蔽板100外側への誘導コイル50からの電磁誘導をより確実に遮蔽することが可能となる。
【0059】
(d)本実施形態によれば、誘導コイル50に交流電流を流すときには、冷却機構101により遮蔽板100に冷却媒体を供給して遮蔽板100を冷却するように構成されている。その結果、遮蔽板100に誘導電流を流しても、遮蔽板100の温度上昇を抑制することができる。その結果、安全性を高めることが可能となる。
【0060】
(e)本実施形態によれば、第1のガス供給ノズル60からSiHガスとHClガスとを供給し、第2のガス供給ノズル70からCガスとHガスとを供給するようにしている。これにより、第1のガス供給ノズル60や第2のガス供給ノズル70内でのガスの反応を防ぐことができ、第1のガス供給ノズル60や第2のガス供給ノズル70内での堆積膜の形成を抑制することができる。
【0061】
(f)本実施形態によれば、第1のガス供給ノズル60や第2のガス供給ノズル70内でのガスの消費を抑制することができ、反応室44内の上流及び下流におけるSiCエピタキシャル成長を均一に行うことができる。
【0062】
(g)本実施形態によれば、第1のガス供給ノズル60や第2のガス供給ノズル70内での原料ガスの消費を抑制することができ、堆積膜の成長による第1のガス供給ノズル60や第2のガス供給ノズル70内の閉塞を抑制することができる。
【0063】
(h)本実施形態によれば、第1のガス供給ノズル60や第2のガス供給ノズル70内での原料ガスの消費を抑制することができ、ノズル内の堆積物が剥離又は脱離することに起因する反応室44内のパーティクル増加又はウエハ14へのパーティクル付着の問題の発生を抑制することができる。
【0064】
<本発明の他の実施形態>
以上、本発明の実施の形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0065】
例えば、遮蔽板100の材料として銅(Cu)を例示したが、アルミニウム(Al)、黄銅、鉄やこれらの合金等を用いてもよい。また、単一の材料から構成する場合だけでな
く、導電性材料と非導電性材料とを含む複合材料により構成してもよい。また、遮蔽板100を円柱状あるいは角柱状に形成する場合を例示したが、半球状にするなど任意に形状を変更可能である。
【0066】
また例えば、第1のガス供給ノズル60、第2のガス供給ノズル70、第3のガス供給ノズル80はそれぞれ1本ずつ設ける場合に限定されず、複数本設けてもよい。例えば、上述の実施形態では、第1のガス供給ノズル60よりシリコン含有ガス及び塩素含有ガスを供給し、第2のガス供給ノズル70より炭素含有ガス及び還元ガスを供給するように構成したが、ガス種ごとにガス供給ノズルを設けてもよい。
【0067】
また例えば、シリコン含有ガスとしてシラン(SiH)ガスを例示したが、ジシラン(Si)ガス、トリシラン(Si)ガスを用いてもよい。また、塩素含有ガスとして塩化水素(HCl)ガスを例示したが、塩素(Cl)ガス等の他のハロゲンガスを用いてもよい。また、シリコン含有ガスと塩素含有ガスとを混合させる場合に限らず、シリコンと塩素とを含むガス、例えば、テトラクロロシラン(SiCl)ガス、トリクロロシラン(通称TCS,SiHCl)ガス、ジクロロシラン(通称DCS,SiH2Cl)ガを反応室44内に供給してもよい。
【0068】
また例えば、炭素含有ガスとしてプロパン(C)ガスを例示したが、エチレン(C)ガス、アセチレン(C)ガス等の他の炭素含有ガスを用いてもよい。
【0069】
なお、還元ガスとして水素(H)ガスを例示したが、水素含有ガス、またはアルゴン(Ar)ガス、ヘリウム(He)ガス、ネオン(Ne)ガス、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)等の希ガスより少なくとも1つのガス、又はHガス、水素含有ガス、上述の希ガスより少なくとも1つのガスとの組み合わせされたガス等を供給してもよい。
【0070】
また例えば、不活性ガスとして、希ガスのアルゴンガスを例示したが、ヘリウム(He)ガス、ネオン(Ne)ガス、クリプトン(Kr)ガス、キセノン(Xe)ガス等を用いてもよい。
【0071】
<本発明の好ましい形態>
以下に、本発明の好ましい形態について付記する。
【0072】
本発明の一態様によれば、
基板を収容する反応管と、
前記反応管の外周を囲うように設けられた誘導加熱部と、
前記誘導加熱部の外を囲うように設けられる遮蔽部と、
前記反応管内に少なくとも原料ガスを供給するガス供給部と、
前記誘導加熱部が前記反応管内を加熱すると共に、前記ガス供給部から少なくとも前記原料ガスを前記反応管内へ供給させて前記基板を処理する制御部と、を備え、
前記遮蔽部が、前記加熱部の外を囲うように設けられている基板処理装置が提供される。
【0073】
本発明の他の態様によれば、
反応管内に基板を搬入する工程と、
前記反応管の外を囲うように設けられる誘導加熱部が前記反応管内を加熱する工程と、
ガス供給部から前記反応管内に少なくとも原料ガスを供給して前記基板を処理する工程と、
前記基板を前記反応管内から搬出する工程と、を有し、
前記誘導加熱部の外を囲うように遮蔽部が設けられる
半導体装置の製造方法が提供される。
【0074】
本発明の更に他の態様によれば、
反応管内に基板を搬入する工程と、
前記反応管の外を囲うように設けられる誘導加熱部が前記反応管内を加熱する工程と、
ガス供給部から前記反応管内に少なくとも原料ガスを供給して前記基板を処理する工程と、
前記基板を前記反応管内から搬出する工程と、を有し、
前記誘導加熱部の外を囲うように遮蔽部が設けられる
基板製造方法が提供される。
【0075】
好ましくは、前記遮蔽部は、前記遮蔽板に冷却媒体を供給して前記遮蔽板を冷却する冷却機構を有する。
【0076】
また好ましくは、前記遮蔽部の厚さは、該遮断部を構成する材料の電流浸透深さの値の2倍以上の厚さとする。
【0077】
本発明の更に他の態様によれば、
基板を収容する反応管と、
前記反応管の外を囲うように設けられた誘導コイルを有する加熱部と、
前記誘導コイルの外周を囲うように設けられた遮蔽板と、
前記反応管内に原料ガスを供給するガス供給部と、
前記誘導コイルに交流電流を流して前記反応管内を加熱すると共に、前記ガス供給部から少なくとも前記原料ガスを供給させて前記基板を処理する制御部と、を備え、
前記遮蔽板が、前記誘導コイルの外周を隙間なく囲うように設けられている
基板処理装置が提供される。
【0078】
本発明の他の態様によれば、
基板を収容する反応管と、
前記反応管の外を囲うように設けられた誘導コイルを有する加熱部と、
前記誘導コイルの外周を囲うように設けられた導電性材料で構成される遮蔽板と、
前記反応管内に原料ガスを供給するガス供給部と、
前記誘導コイルに交流電流を流して前記反応管内を加熱すると共に、前記ガス供給部から少なくとも前記原料ガスを供給させて前記基板を処理する制御部と、を備え、
遮蔽板の厚さを、該遮蔽板を構成する電流浸透深さの少なくとも2倍である基板処理装置が提供される。
【0079】
好ましくは、
前記遮蔽部は、前記遮蔽板に冷却媒体を供給して前記遮蔽板を冷却する冷却機構を有する。
【0080】
本発明の更に他の態様によれば、
反応管内に基板を搬入する工程と、
前記反応管の外を囲うように設けられた誘導コイルに交流電流を流して前記反応管内を加熱する工程と、
ガス供給部から前記反応管内に少なくとも原料ガスを供給して前記基板を処理する工程と、
前記基板を前記反応管内から搬出する工程と、を有し、
遮蔽板を、前記誘導コイルの外を隙間なく囲うように設ける
半導体装置の製造方法が提供される。
【0081】
本発明の更に他の態様によれば、
反応管内に基板を搬入する工程と、
前記反応管の外周を囲うように設けられた誘導コイルに交流電流を流して前記反応管内を加熱する工程と、
ガス供給部から前記反応管内に少なくとも原料ガスを供給して前記基板を処理する工程と、
前記基板を前記反応管内から搬出する工程と、を有し、
遮蔽板の厚さを、該遮蔽板を構成する導電性材料の電流浸透深さの少なくとも2倍の厚さとする半導体装置の製造方法が提供される。
【0082】
本発明の更に他の態様によれば、
反応管内に基板を搬入する工程と、
前記反応管の外を囲うように設けられた誘導コイルに交流電流を流して前記反応管内を加熱する工程と、
ガス供給部から前記反応管内に少なくとも原料ガスを供給して前記基板を処理する工程と、
前記基板を前記反応管内から搬出する工程と、を有し、
遮蔽板を、前記誘導コイルの外を隙間なく囲うように設ける
基板製造方法が提供される。
【0083】
本発明の更に他の態様によれば、
前記反応管の外周を囲うように設けられた誘導コイルに交流電流を流して前記反応管内を加熱する工程と、
ガス供給部から前記反応管内に少なくとも原料ガスを供給して前記基板を処理する工程と、
前記基板を前記反応管内から搬出する工程と、を有し、
前記遮蔽板の厚さを、該遮蔽板を構成する導電性材料の少なくとも2倍の厚さとする
基板製造方法が提供される。
【0084】
好ましくは、
前記遮蔽板が銅で構成されており、該遮蔽板の厚さは少なくとも1.2mm以上の厚さを有する。
【0085】
また好ましくは、
冷却機構により前記遮蔽板に冷却媒体を供給して前記遮蔽板を冷却する。
【符号の説明】
【0086】
14 ウエハ(基板)
42 反応管
44 反応室
48 被加熱体
50 誘導コイル(誘導加熱部)
100 遮蔽板(遮蔽部)
152 コントローラ(制御部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を収容する反応管と、
前記反応管の外周を囲うように設けられた誘導加熱部と、
前記誘導加熱部の外を囲うように設けられる遮蔽部と、
前記反応管内に少なくとも原料ガスを供給するガス供給部と、
前記誘導加熱部が前記反応管内を加熱すると共に、前記ガス供給部から少なくとも前記原料ガスを前記反応管内へ供給させて前記基板を処理する制御部と、を備え、
前記遮蔽部が、前記加熱部の外を囲うように設けられている
ことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
反応管内に基板を搬入する工程と、
前記反応管の外を囲うように設けられる誘導加熱部が前記反応管内を加熱する工程と、
ガス供給部から前記反応管内に少なくとも原料ガスを供給して前記基板を処理する工程と、
前記基板を前記反応管内から搬出する工程と、を有し、
前記誘導加熱部の外を囲うように遮蔽部が設けられる
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
反応管内に基板を搬入する工程と、
前記反応管の外を囲うように設けられる誘導加熱部が前記反応管内を加熱する工程と、
ガス供給部から前記反応管内に少なくとも原料ガスを供給して前記基板を処理する工程と、
前記基板を前記反応管内から搬出する工程と、を有し、
前記誘導加熱部の外を囲うように遮蔽部が設けられる
ことを特徴とする基板製造方法。
【請求項4】
前記遮蔽部は、前記遮蔽板に冷却媒体を供給して前記遮蔽板を冷却する冷却機構を有することを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記遮蔽部の厚さは、該遮断部を構成する材料の電流浸透深さの値の2倍以上の厚さとすることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−181613(P2011−181613A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−42818(P2010−42818)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】