説明

基板処理装置及び基板処理方法

【課題】高温で不安定な過酸化水素水を使用せずに、硫酸を用いて基板表面のレジスト残渣を効率よく除去することができる基板処理装置及び基板処理方法を提供する。
【解決手段】硫酸を含む第1の処理液及び水よりなる第2の処理液を用いて基板を処理する基板処理装置であって、基板の少なくとも一方の面に常温より高温に保持された前記第1の処理液の液膜を形成する液膜形成手段10、31と、前記基板の前記第1の処理液の液膜が形成された面に、前記第2の処理液の蒸気又はミストを供給する蒸気・ミスト供給手段40とを有することを特徴とする基板処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硫酸を用いて基板を処理する基板処理装置及び基板処理方法に係り、特に基板表面のレジスト残渣を効率よく除去することができる基板処理装置及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、硫酸と過酸化水素水との混合液を洗浄液として、半導体ウエハ(以下、ウエハともいう)等の基板の洗浄を行う方法が知られている。具体的には、硫酸と過酸化水素水とを混合させることにより生成されるカロ酸(HSO、ペルオキソ酸ともいう)によって、ウエハに付着したレジストを十分に分解させることにより当該ウエハの洗浄を行っている(この原理については後述する)。
【0003】
硫酸と過酸化水素水との混合液を用いて基板を処理するための基板処理装置について、図12を用いて説明する。図12は、一般的な基板処理装置の構成を示す概略構成図である。
【0004】
図12に示すように、一般的な基板処理装置は、洗浄のためにウエハが収容されるべき内槽110と、内槽110の周囲に設けられこの内槽110からあふれた液体が流入する外槽112とを備えている。また、外槽112内の液体を内槽110へ戻すための戻し管114が設置されている。この戻し管114には、外槽112内の液体を内槽110へ送る戻しポンプ116、戻し管114自体の振動等を軽減させるためのダンパ118、戻し管114内を通過する液体の加熱を行うヒータ120、および戻し管114内を通過する液体の濾過を行うフィルタ122がそれぞれ直列状態で介設されている。また、基板処理装置は、硫酸(HSO)を貯留する硫酸貯留槽124、および過酸化水素水(H)を貯留する過酸化水素水貯留槽130を備えており、各々、硫酸供給管128および過酸化水素水供給管134により、硫酸および過酸化水素水がそれぞれ内槽110内に供給されるようになっている。各々の薬液の供給は、硫酸供給バルブ126および過酸化水素水供給バルブ132によりそれぞれ調整されるようになっている。
【0005】
次に、このような基板処理装置による混合液の生成方法について以下に説明する。初期状態において、内槽110および外槽112は空状態となっている。
【0006】
まず、戻しポンプ116およびヒータ120をOFFとした状態で、硫酸供給バルブ126および過酸化水素水供給バルブ132を開とし、硫酸貯留槽124および過酸化水素水貯留槽130から硫酸、過酸化水素水を同時に内槽110内に供給する。ここで、硫酸の供給量を例えば25リットル/min、過酸化水素水の供給量を例えば5リットル/minとし、硫酸と過酸化水素水との供給量の割合を例えば5:1とする。過酸化水素水に対して硫酸の供給量を十分に大きくする理由については後述する。硫酸および過酸化水素水の供給は、内槽110が満杯となり外槽112まで液体があふれる状態となるまで続けられる。
【0007】
硫酸および過酸化水素水が内槽110に供給されることにより、硫酸と過酸化水素水との混合が行われる。
【0008】
ここで、硫酸と過酸化水素水との混合には二種類のパターンがある。
【0009】
まず、一つ目のパターンとしては、以下の化学反応が挙げられる。
【0010】
SO+H→HSO+HO+O・・・式(1)
式(1)による反応により、活性酸素(O)が生成される。この活性酸素は強い酸化剤である。
【0011】
一方、二つ目のパターンとしては、以下の化学反応が挙げられる。
【0012】
SO+H→HSO+HO・・・式(2)
式(2)による反応により、カロ酸(ペルオキソ酸ともいう、HSO)が生成される。このカロ酸も活性酸素と同様に強い酸化剤であるが、ウエハに付着するレジストのような有機物を分解するには、カロ酸の方が活性酸素よりも効果が大きい。すなわち、硫酸と過酸化水素水を混合させ、カロ酸を生成させることにより、ウエハに付着するレジストを十分に剥離することができるようになる。
【0013】
ここで、過酸化水素水に対する硫酸の割合(モル比)を横軸、カロ酸の生成率を縦軸とするグラフを図13に示す。図13に示すように、過酸化水素水に対する硫酸の割合(モル比)が大きいほど、カロ酸の生成率が高くなり、ウエハに付着するレジストをより十分に剥離することができるようになる。内槽110への硫酸と過酸化水素水との供給量の割合を例えば5:1としたのも、このような理由による。
【0014】
内槽110に対する硫酸および過酸化水素水の供給が終了すると、次に戻しポンプ116が作動し、外槽112内の液体が戻し管114を介して内槽110に戻される。また、内槽110からは液体が外槽112にあふれる。このようにして、内槽110および外槽112の組合せユニットにおいて液体の循環が行われる。ここで、ヒータ120も同時に作動し、戻し管114を通過する液体が加熱させられる。このことにより、内槽110内の液体の温度が、ウエハの洗浄に適した温度(例えば、100〜150℃)まで上昇することとなる。
【0015】
内槽110内の液体の温度が一定温度に達するまで戻しポンプ116およびヒータ120の作動を行ったあと、これらの戻しポンプ116およびヒータ120を再びOFFとする。その後、内槽110に複数枚のウエハを同時に浸し、硫酸と過酸化水素水との混合液、更に具体的には硫酸と過酸化水素水とを混合させることにより生成されるカロ酸により、ウエハに付着したレジストを分解してこのレジストを剥離させる。このようにして、ウエハの一連の洗浄工程が完了する。
【0016】
特許文献1及び特許文献2には、上記したような基板からのレジストの剥離等に有効なカロ酸を十分に生成するための硫酸と過酸化水素水とを用いる基板処理装置又は基板処理方法の例が開示されている。
【特許文献1】特開2000−164550号公報
【特許文献2】特開2008−041794号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ところが、上記の硫酸と過酸化水素水とを処理液として基板表面のレジスト残渣を除去するための基板処理を行う場合、次のような問題があった。
【0018】
硫酸を用いて基板処理を行う場合、硫酸の温度が高温になると洗浄力が高くなるため、処理層内の硫酸と過酸化水素水の温度が、ウエハの洗浄に適した温度(例えば、100〜150℃)に保持する必要があるが、過酸化水素水は、高温(例えば100℃以上)に保持すると、過酸化水素水が以下の化学反応を起こして分解してしまうため、過酸化水素水を安定に硫酸と混合させておくことができず、活性酸素又はカロ酸を安定して発生させることができず、洗浄力が低下してしまうという問題があった。
【0019】
2H→2HO+O・・・式(3)
更に、硫酸と過酸化水素水の温度をウエハの洗浄に適した温度(例えば、100〜150℃)に保持する場合、式(3)の反応によって過酸化水素水は分解して濃度が減少してしまうため、過酸化水素水を所定の濃度で供給することができないという問題があった。
【0020】
その結果、温度を上げて洗浄力を向上させることができないという問題があった。
【0021】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、高温で不安定な過酸化水素水を使用せずに、硫酸を用いて基板表面のレジスト残渣を効率よく除去することができる基板処理装置及び基板処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記の課題を解決するために本発明では、次に述べる各手段を講じたことを特徴とするものである。
【0023】
第1の発明は、硫酸を含む第1の処理液及び水よりなる第2の処理液を用いて基板を処理する基板処理装置であって、基板の少なくとも一方の面に常温より高温に保持された前記第1の処理液の液膜を形成する液膜形成手段と、前記基板の前記第1の処理液の液膜が形成された面に、前記第2の処理液の蒸気又はミストを供給する蒸気・ミスト供給手段とを有することを特徴とする。
【0024】
第2の発明は、第1の発明に係る基板処理装置において、前記液膜形成手段は、前記第1の処理液を常温より高温の状態で貯留する処理槽と、前記処理槽の上方に配置され、前記第1の処理液及び前記第2の処理液を用いて基板を処理する処理容器と、前記処理槽と前記処理容器との間で基板を昇降させる基板昇降機構とを有し、前記蒸気・ミスト供給手段が、前記基板昇降機構によって基板を前記処理槽から引上げるか又は前記処理槽に浸漬させる際に、前記基板の前記処理槽に貯留された前記第1の処理液の液面近傍に、前記第2の処理液の蒸気又はミストを供給することを特徴とする。
【0025】
なお、本発明において、基板を第1の処理液に浸漬するとは、基板の全部を第1の処理液の液面より下に沈めることだけを意味するものではなく、基板の一部が第1の処理液の液面より上に露出した状態で、基板の他の部分を第1の処理液の液面より下に沈めることをも意味する。従って、基板を第1の処理液に浸漬するとは、基板の一部を第1の処理液の液面より下に沈めた状態で、基板を下に引き下げることをも意味する。
【0026】
第3の発明は、第2の発明に係る基板処理装置において、前記処理槽からオーバーフローした前記第1の処理液を受け止める外槽と、前記外槽から前記第1の処理液を回収し、再び前記処理槽に供給する処理液循環手段とを有することを特徴とする。
【0027】
第4の発明は、第3の発明に係る基板処理装置において、前記蒸気・ミスト供給手段は、前記処理容器の内部であって前記処理槽に貯留された前記第1の処理液の液面の近傍に設けられることを特徴とする。
【0028】
第5の発明は、第4の発明に係る基板処理装置において、前記処理容器の内部に設けられ、前記処理容器内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段を有することを特徴とする。
【0029】
第6の発明は、第5の発明に係る基板処理装置において、前記不活性ガス供給手段は、前記蒸気・ミスト供給手段の上方に設けられることを特徴とする。
【0030】
第7の発明は、第1の発明に係る基板処理装置において、前記液膜形成手段は、基板を載置する載置台と、前記載置台に載置された基板に常温より高温に保持された前記第1の処理液を供給する処理液供給手段とを有し、前記載置台に載置された基板上に前記処理液供給手段が前記第1の処理液を供給することによって、前記基板上に常温より高温に保持された前記第1の処理液の液膜を形成することを特徴とする。
【0031】
第8の発明は、第1の発明に係る基板処理装置において、前記液膜形成手段は、基板を載置し、該基板を常温より高温に保持する載置台と、前記載置台に載置された基板に前記第1の処理液を供給する処理液供給手段とを有し、前記載置台に載置された基板上に前記処理液供給手段が前記第1の処理液を供給することによって、前記基板上に常温より高温に保持された前記第1の処理液の液膜を形成することを特徴とする。
【0032】
第9の発明は、硫酸を含む第1の処理液及び水よりなる第2の処理液を用いて基板を処理する基板処理方法であって、基板の少なくとも一方の面に常温より高温に保持された前記第1の処理液の液膜を形成する液膜形成工程と、前記基板の前記第1の処理液の液膜が形成された面に、前記第2の処理液の蒸気又はミストを供給する蒸気・ミスト供給工程と
を有することを特徴とする。
【0033】
第10の発明は、第9の発明に係る基板処理方法において、前記液膜形成工程は、基板を常温より高温に保持された前記第1の処理液に浸漬するか又は常温より高温に保持された該第1の処理液から引上げることによって、前記基板に常温より高温に保持された前記第1の処理液の液膜を形成し、前記蒸気・ミスト供給工程は、前記基板の前記第1の処理液の液面近傍に、前記第2の処理液の蒸気又はミストを供給することを特徴とする。
【0034】
第11の発明は、第10の発明に係る基板処理方法において、気密可能に基板を処理する処理容器内に不活性ガスを供給することを特徴とする。
【0035】
第12の発明は、第11の発明に係る基板処理方法において、前記第2の処理液の蒸気又はミストを供給する蒸気・ミスト供給部より上方から前記不活性ガスを供給することを特徴とする。
【0036】
第13の発明は、第9の発明に係る基板処理方法において、前記液膜形成工程は、基板上に常温より高温に保持された前記第1の処理液を塗布することによって、前記基板上に常温より高温に保持された前記第1の処理液の液膜を形成することを特徴とする。
【0037】
第14の発明は、第9の発明に係る基板処理方法において、前記液膜形成工程は、常温より高温に保持された基板上に前記第1の処理液を塗布することによって、前記基板上に常温より高温に保持された前記第1の処理液の液膜を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、高温で不安定な過酸化水素水を使用せずに、硫酸を用いて基板表面のレジスト残渣を効率よく除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面と共に説明する。
(第1の実施の形態)
図1乃至図6を参照し、本発明の第1の実施の形態に係る基板処理装置及び基板処理方法を説明する。
【0040】
初めに、図1及び図2を参照し、本実施の形態に係る基板処理装置を説明する。
【0041】
図1は、本実施の形態に係る基板処理装置の構成を模式的に示す概略断面図である。図2は、本実施の形態に係る基板処理装置の基板処理装置の構成を模式的に示す斜視図である。
【0042】
本実施の形態に係る基板処理装置は、硫酸を含む第1の処理液1及び第2の処理液を用いて基板を処理する基板処理を気密可能に行う処理容器5と、第1の処理液を常温より高温の状態で貯留する処理槽10と、この処理槽10の上端開口部に連接し、処理槽10からオーバーフローした硫酸を含む第1の処理液1を受け止める外槽11と、処理槽10内において所定枚数例えば50枚の被処理体である半導体ウエハW(以下にウエハという)を適宜間隔をおいて配列した状態で保持する保持手段例えばウエハボート30と、処理槽10内に急速供給される第1の処理液1を収容する第1の処理液収容タンク20と、水よりなる第2の処理液を蒸気又はミストの状態で処理槽10内のウエハWに供給する蒸気・ミスト供給手段である蒸気・ミスト供給ノズル40と、第1の処理液収容タンク20内の第1の処理液1を処理槽10内に供給する供給ノズル28と、処理槽10の底部に配設されてウエハWに第1の処理液1を供給する供給手段例えばジェットノズル42を具備してなる。
【0043】
なお、本実施の形態では、第1の処理液として硫酸を用い、第2の処理液として水を用いた例を説明する。ただし、第1の処理液は、硫酸を含むのであれば、特に限定されるものではなく、第2の処理液は、水が主要な成分であれば、界面活性剤等が含まれていてもよく、特に限定されるものではない。
【0044】
また、本発明の実施の形態及び変形例における蒸気・ミスト供給ノズルは、本発明における蒸気・ミスト供給手段に相当する。
【0045】
処理容器5は、処理槽10の上方に配置され、外槽11の処理槽10の上端開口部に連接する側と反対側の側壁が上方に延長されてできる側壁5aと、側壁5aの上端開口部が処理容器の開口断面積を大きくするように外側に広がって設けられた開口部5bと、開口部5b上に載置され、気密に係止される上蓋5cとよりなる。従って、処理容器5の側壁5aの下方は、外槽11の処理槽10の上端開口部に連接する側と反対側の側壁に一体に接続される。
【0046】
処理容器5、処理槽10及び外槽11は、耐食性及び耐薬品性に富む材質例えば石英にて形成されている。また、処理槽10の底部には排液口10aが設けられ、この排液口10aにドレン弁12を介してドレン管13が接続されている。なお、排液口10aの上部にはメッシュ17が敷設されており、このメッシュ17によって処理槽10から排出される薬液中のごみ等を回収し得るようになっている。なお、処理槽10の上部側例えば処理槽10の上端から20〜40mmの位置には第1の処理液取出管18が接続されており、この第1の処理液取出管18に接続される比抵抗値検出器19によって処理槽10内の第1の処理液1の比抵抗値が測定されるように構成されている。
【0047】
また、外槽11の底部には排液口11aが設けられており、この排液口11aとジェットノズル42とに循環管路43が接続されている。この循環管路43には排液口11a側から順に、ポンプ44、ダンパ45及びフィルタ46が介設されている。フィルタ46とジェットノズル42との間に切換弁47を介して純水供給源48が接続されている。また、排液口11aとポンプ44との間には切換弁51を介してドレン管52が接続され、また、切換弁49を介して第1の処理液供給源49aが接続され、フィルタ46と切換弁47との間には、ドレン弁53を介してドレン管54が分岐されている。なお、循環管路43、ポンプ44、ダンパ45、フィルタ46は、本発明における処理液循環手段に相当する。
【0048】
この場合、ジェットノズル42は、図2に示すように、ウエハボート30にて保持されたウエハWの下方両側に配設されるパイプ状のノズル本体42aの長手方向に適宜間隔をおいて穿設される多数のノズル孔42bを具備した構造となっている。
【0049】
上記のように、ジェットノズル42と外槽11の排液口11aとの間に循環配管系を設けることにより、第1の処理液供給源49aからポンプ44により処理槽10内に供給される第1の処理液を処理槽10からオーバーフローさせて外槽11で受け止め、外槽11から第1の処理液を回収し、回収した第1の処理液を再使用可能に再生し、再生した第1の処理液を循環管路43を循環させてジェットノズル42から再度ウエハWに供給させながらウエハWの表面に付着するパーティクルや金属イオンや酸化膜等を除去することができる。また、第1の処理液を排液した後、切換弁47を切り換えて純水供給源48から供給される純水をジェットノズル42からウエハWに噴射してウエハWに付着する薬液を除去することができる。なおこの場合、処理槽10からオーバーフローした純水はドレン管52を介して排出される。
【0050】
一方、第1の処理液タンク20は、図1に示すように、密閉状のタンク本体21の上端に、処理槽10に第1の処理液1を供給するための外気導入口22が設けられている。また、タンク本体21内には、タンク内の第1の処理液1の量を一定に維持するためのオーバーフロー管23が配設されると共に、タンク本体21の外側近傍には、第1の処理液1の液面の上限,下限及び適量を検出する上限センサ24a、下限センサ24b及び適量センサ24cが配設され、これらセンサによってタンク内に常時所定量の第1の処理液1が収容されるようになっている。この場合、タンク内の第1の処理液1の容量は少なくとも処理槽10内に急速供給される1回分の量例えば35リットル(l)以上である必要があり、好ましくは2回分の急速供給量例えば70リットル(l)収容する方がよい。なお、タンク本体21の底部には例えば石英管内にヒータ線を貫挿したヒータ25が配設されており、タンク内の第1の処理液1を所定温度例えば150〜170℃に加熱し得るようになっている。
【0051】
上記のように構成される第1の処理液タンク20のタンク本体21の底部に設けられた供給口(図示せず)と供給ノズル28とは供給管26を介して接続されており、供給管26に介設された供給弁27の開閉によって第1の処理液タンク20内の第1の処理液1が供給ノズル28から処理槽10内の外槽11に供給されるように構成されている。
【0052】
一方、蒸気・ミスト供給ノズル40は、開閉弁29を介設する工場の純水供給配管26aと接続され図1及び図2に示すように、処理槽10の対向する両側辺の上方に配設されており、各蒸気・ミスト供給ノズル40は、パイプ状のノズル本体40aの下側の処理槽内側に適宜間隔をおいて多数の蒸気・ミスト供給用ノズル孔40bを穿設してなる。
【0053】
ウエハボート30は、図2に示すように、処理槽10の外側に配設される基板昇降機構31に連結される取付部材32にボルト32aをもって固定される一対の(図面では一方のみを示す)逆T字状の支持部材33と、これら支持部材33の間の中央下端部に架設される1本の中央保持棒34と、支持部材33間の左右両側端部に互いに平行に架設される2本の側部保持棒35とで構成されており、基板昇降機構31の駆動によって処理容器5内を昇降し、処理槽10と処理容器5との間で基板を昇降させ得るように構成されている。また、後述するように、基板昇降機構31によって基板を処理槽10から引上げるか又は処理槽10に浸漬させる際に、蒸気・ミスト供給ノズル40が、基板の処理槽10に貯留された第1の処理液の液面近傍に、第2の処理液の蒸気又はミストを供給する。なおこの場合、中央保持棒34及び側部保持棒35にはそれぞれ長手方向に適宜間隔をおいて複数個例えば50個の保持溝34a、35aが設けられている。これら保持棒34、35は、耐食性、耐熱性及び耐強度性に優れた材質、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)製あるいは石英製部材にて形成されている。
【0054】
処理容器5の内部であって蒸気・ミスト供給ノズル40の上方には、処理容器5内に窒素ガスを含む不活性ガスを供給する不活性ガス供給ノズル50が設けられる。不活性ガス供給ノズル50は、蒸気・ミスト供給ノズル40と同様に、パイプ状のノズル本体50aの下側の処理槽内側に適宜間隔をおいて多数の不活性ガス供給用ノズル孔50bを穿設してなる。不活性ガス供給ノズル50は、本発明の不活性ガス供給手段に相当する。
【0055】
なお、高温の硫酸の液膜と水とが反応して発生する反応ガスは、気密可能に設けられた処理容器5内部に封じ込められ、図示しない排気パイプから排気される。
【0056】
次に、図3乃至図5を参照し、本実施形態の基板処理装置を用いた基板処理方法について説明する。
【0057】
図3は、本実施の形態に係る基板処理方法の各工程の手順を説明するためのフローチャートである。図4A乃至図4Cは、本実施の形態に係る基板処理方法を説明するための図であり、各工程における処理容器内の様子を模式的に示す概略断面図である。図3のステップS11乃至ステップS18の各々の工程が行われる際又は行われた後の処理容器内の様子は、図4A(a)乃至図4C(h)の各々の概略断面図に対応する。図5は、本実施の形態に係る基板処理方法を説明するための図であり、引上げられる基板の処理槽に貯留された第1の洗浄液の液面近傍に、第2の処理液の蒸気・ミストが供給される様子を模式的に示す図である。
【0058】
本実施の形態に係る基板処理方法は、図3に示すように、準備工程と、液膜形成工程と、蒸気・ミスト供給工程と、終了工程とを含む。準備工程は、ステップS11及びステップS12の工程を含み、液膜形成工程は、ステップS13乃至ステップS15の工程を含み、蒸気・ミスト供給工程は、ステップS16の工程を含み、終了工程は、ステップS17及びステップS18の工程を含む。
【0059】
初めに、ステップS11及びステップS12の工程を含む準備工程を行う。
【0060】
まず、ステップS11を行う。ステップS11は、処理容器内にウェハを搬入する前の準備を行う工程である。図4A(a)は、ステップS11の工程が行われる際の処理容器内の様子を模式的に示す概略断面図である。
【0061】
ステップS11では、図4A(a)に示されるように、ウェハボート30が基板(ウェハ)Wを保持しない状態で、処理容器5内に収容されている。処理槽10には、高温に保持された硫酸洗浄液を含む第1の処理液1が供給されている。不活性ガス供給ノズル50からは、不活性ガスが供給されている。
【0062】
具体的には、第1の処理液1は、処理槽10からオーバーフローさせると共に、循環管路43のポンプ44の駆動によってオーバーフローされた第1の処理液1をジェットノズル42から処理槽10の内部で噴射して供給されている。
【0063】
次に、ステップS12を行う。ステップS12は、処理容器の上蓋を開け、基板をウェハボートに保持させる工程である。図4A(b)は、ステップS12の工程が行われる際の処理容器内の様子を模式的に示す概略断面図である。
【0064】
不活性ガス供給ノズルからの不活性ガスの供給を停止し、処理容器5の上蓋5cを開け、基板昇降機構31を用いてウェハボート30を上昇させ、図示しないウエハチャックによって搬送される複数枚例えば50枚のウエハWをウエハボート30にて受け取り、再びウェハボート30を処理容器5内まで降下させ、処理容器5の上蓋5cを閉め、密閉する。
【0065】
次に、ステップS13及びステップS15の工程を含む液膜形成工程及びステップS16の工程を含む蒸気・ミスト供給工程を行う。
【0066】
まず、ステップS13を行う。ステップS13は、基板を高温に保持された硫酸を含む第1の処理液に浸漬する工程である。図4A(c)は、ステップS13の工程が行われる際の処理容器内の様子を模式的に示す概略断面図である。
【0067】
基板(ウェハ)Wを処理槽10に浸漬させ、基板の温度が高温に保持された硫酸を含む第1の処理液1と同じ温度まで昇温するのを待機する。具体的には、20secほど待機する。
【0068】
と同時に、不活性ガス供給ノズル50より、窒素ガスを供給する。窒素ガスは、雰囲気を制御し、水蒸気を基板の洗浄液の液面と接する部分又は液面近傍に供給するための水蒸気のガスの分布を制御するバッファガスとして機能するとともに、後述する終了工程において処理容器5内をガス置換する際の置換用ガスとしても機能する。すなわち、基板(ウェハ)表面に形成された液膜に含まれる硫酸又は処理槽10に貯留された硫酸に水蒸気又は水のミストを供給した際に発生する硫酸を含む蒸気又はミストが処理容器5内を拡散するのを防止したり、基板(ウェハ)を処理容器5から排出する際に、処理容器5内の硫酸を含む雰囲気を不活性ガス雰囲気に置換したり、処理容器5内の硫酸を含む雰囲気が処理容器5の外に漏れるのを防止するためのものである。
【0069】
なお、窒素ガスは、本発明における不活性ガスに相当するが、特に限定されるものではなく、その他、He、Ar、Xe等種々の不活性ガスを用いることができる。
【0070】
次に、ステップS14を行う。ステップS14は、硫酸洗浄液の液面近傍に向けて、水よりなる第2の処理液の蒸気又はミストの供給を開始する工程である。図4B(d)は、ステップS14の工程が行われた後の処理容器内の様子を模式的に示す概略断面図である。
【0071】
なお、第2の処理液は、蒸気又はミストの何れかの状態、または蒸気及びミストの混合した状態で、供給することができる。以下、本実施の形態では、蒸気の状態で供給する場合を説明し、第1の実施の形態の変形例にて、ミストの状態で供給する場合を説明する。
【0072】
開閉弁29を開放して工場の純水供給配管26aから供給される純水を蒸気・ミスト供給ノズル40からウエハWに向けて蒸気として供給する。また、途中に設けられる図示しない蒸気発生器を介し、蒸気として供給してもよく、同様に、途中に設けられる図示しない温度調整器を介し、温度調整された蒸気として供給してもよい。また、蒸気の温度は、後述するように、基板の表面に形成される硫酸を含む第1の処理液の液膜の温度が予め定められた温度より下がらなければよく、特に限定されるものではないが、100℃以上とすることができ、特に110℃以上とすることができる。
【0073】
次に、ステップS15とステップS16とを同時に行う。ステップS15は、高温に保持された硫酸洗浄液に浸漬されている基板を引き上げることによって、基板の両面に高温に保持された硫酸洗浄液の液膜を形成する。ステップS16は、引上げられる基板の硫酸洗浄液の液面に接する部分又は液面近傍に、水の蒸気を供給する工程である。図4B(e)及び図4B(f)は、それぞれステップS15の工程とステップS16の工程とが同時に行われる途中及び同時に行われた後の処理容器の様子を模式的に示す概略断面図である。
【0074】
具体的には、基板昇降機構31を用い、ウェハボート30をゆっくりと上方に引上げることによって、基板の両面に高温に保持された硫酸洗浄液の液膜を形成した状態で基板を硫酸洗浄液から引き上げると同時に、引上げられた基板の硫酸洗浄液の液面に接する部分、すなわち、硫酸洗浄液と基板との界面の近傍に、水の蒸気を供給する。
【0075】
基板を引上げる引上げ速度は、シャワー供給ノズルから水の蒸気が供給される供給速度がある値の場合に、基板の温度が処理槽に貯留される処理液の温度とほとんど等しくなればよく、特に限定されるものではないが、10〜50mm/secとすることができる。
【0076】
ここで、図5を参照し、硫酸洗浄液の液面、すなわち、硫酸洗浄液と基板との界面の近傍に向けて、水の蒸気又はミストを供給する場合に、基板表面のレジスト残渣が除去される作用効果について説明する。
【0077】
図5を参照するに、硫酸洗浄液から引上げられるウェハWの両面には、液膜が形成されている。そして、ウェハWは高温に保持された硫酸洗浄液から徐々に引上げられ、硫酸洗浄液の液面より上は高温に保持されていないため、引上げられるウェハWの温度は、硫酸洗浄液の液面に接する部分では硫酸洗浄液の温度に等しく、液面から上方に遠い部分になるほど硫酸洗浄液の温度よりも低くなる。
【0078】
このような上下方向に沿った温度分布を有する液膜が形成された基板が硫酸洗浄液から引き上げられる際に、硫酸洗浄液の液面近傍に向けて水の蒸気が供給される場合、基板の硫酸洗浄液の液面に接する部分又は液面近傍は高温に保持されているため、基板表面に形成され高温に保持されている液膜の硫酸と、供給された水の蒸気が高温の基板表面で温度上昇して発生する高温の水の蒸気とが反応する。高温の水の蒸気は、例えば、微量の酸素を含有している場合に、その酸素が解離して活性酸素を発生したり、あるいは、高温の水の蒸気自体が解離して活性酸素を発生する。このようにして発生された活性酸素は、硫酸と反応し、例えば以下の式(4)に示す化学反応が起こり、カロ酸が発生する。
【0079】
SO+O→HSO・・・式(4)
ここで、上記式(4)の化学反応を促進するためには、反応速度を増大させるためになるべく高温に保持することが望ましく、反応が生ずる界面の面積を増大させるためになるべく水の蒸気として供給することが望ましい。従って、水が蒸気として供給される場合には、液膜付近で凝縮せず蒸気のまま液膜を形成する硫酸中に溶存することが望ましい。よって、液膜の温度は水の沸点である100℃以上とすることができる。その中でも、硫酸中に溶存する水の蒸気の量が少ないため、液膜を形成する硫酸中に水の蒸気がほとんど溶存せずカロ酸が効率よく発生し、かつ、処理槽中の硫酸が希釈されることがないという理由により、また、基板処理装置の各部の耐熱処理が比較的容易であるという理由により、110℃が好適である。その結果、基板表面で常温より高温の硫酸と活性酸素が反応してカロ酸が発生するため、第2の処理液として過酸化水素水を用いなくてもよく、しかも常温より高温を用いることができるため、反応速度が大きく、前述の界面にて、より激しい反応を発生させることができ、その反応を利用して、基板表面のレジスト残渣を効率よく除去するための基板処理を行うことができる。
【0080】
ここで、水の蒸気を供給する速度は、カロ酸が十分発生するための十分な量の水の蒸気であって、硫酸の液膜を冷却しない程度の量の水の蒸気の量を供給することができればよく、特に限定されるものではないが、例えば1cc/secとすることができる。また、硫酸洗浄液の温度が高いため、処理槽10中での水分の残留はない。
【0081】
なお、本実施の形態では、蒸気が連続して供給された状態で基板が連続して引上げられるため、液膜形成工程のステップS15の工程と蒸気・ミスト工程のステップS16の工程とは、同時に連続して行われる。しかし、ステップS15の工程を行うときには水の蒸気の供給を停止し、基板の硫酸洗浄液からの引き上げを途中で停止し、その状態で硫酸洗浄液の液面近傍に向けて、水の蒸気の供給を再開し、その後水の蒸気の供給を停止し、再び基板の硫酸洗浄液からの引き上げを再開する、という工程を繰返す場合には、ステップS15の工程とステップS16の工程を順番に行うことができる。
【0082】
また、ステップS15及びステップS16の工程を行った後、再度基板を下降させて硫酸洗浄液に浸漬し、再びステップS15及びステップS16の工程を行う、というサイクルを必要に応じて数回繰返すことができ、この繰返しによって、基板表面のレジスト残渣を更にきれいに除去することができる。なお、基板を下降させる速度は、例えば150mm/secとすることができる。
【0083】
次に、ステップS17及びステップS18の工程を含む終了工程を行う。
【0084】
まず、ステップS17の工程を行う。ステップS17の工程は、処理容器内の雰囲気を置換する工程である。図4C(g)は、ステップS17が行われる際の処理容器内の様子を模式的に示す概略断面図である。
【0085】
開閉弁29を閉じて蒸気・ミスト供給ノズル40からの水の蒸気の供給を停止する。この際、ジェットノズル42からの硫酸洗浄液の供給は停止してもよく、あるいは図4C(g)に示すように、ジェットノズル42から硫酸洗浄液を供給し続けてもよい。
【0086】
このとき、不活性ガス供給ノズルを開き続け、処理容器内を例えば30sec程度の間、ガス置換する。これは、続く処理容器の上蓋を開放するために、処理容器内の雰囲気を不活性にするためであり、硫酸と水蒸気との反応を停止させるためのものである。不活性ガスとして、例えば、室温又は室温以上に加温された窒素ガスその他He、Ar、Xe等種々の不活性ガスを用いることができる。
【0087】
最後に、ステップS18の工程を行う。ステップS18の工程は、基板を処理容器から搬出する工程である。図4C(h)は、ステップS18が行われる際の処理容器内の様子を模式的に示す概略断面図である。
【0088】
図示しない供給弁を閉じて不活性ガスの供給を停止した後、処理容器5の上蓋5cを開け、基板昇降機構31によりウェハボート30を上昇させ、処理容器5の外に搬出し、ウエハWは図示しないウエハチャックによって把持されて外部に取り出される。
【0089】
以上、本実施の形態によれば、基板表面の高温の硫酸と活性酸素が反応してカロ酸が発生するため、高温で分解しやすい過酸化水素水を用いずに、基板表面のレジスト残渣を効率よく除去するための基板処理を行うことができる。
【0090】
すなわち、循環ラインの液を高い反応性にするのではなく、界面のみを高い反応性の液とすることで、循環する硫酸の温度を過酸化水素水を混合する方式よりもより高温にできるため、洗浄力を向上させることができる。また、硫酸の温度が高温であるため、添加する液は、過酸化水素水である必要はなく、純水で可能であるため、ランニングコストも低減することができる。
【0091】
なお、本実施の形態では、基板を第1の処理液に浸漬し(ステップS13)、その後基板を引上げることによって、基板に常温より高温に保持された第1の処理液の液膜を形成し(ステップS15)、引上げられる基板の第1の処理液の液面に接する部分又は液面近傍に、第2の処理液の蒸気を供給するが(ステップS16)、基板を引き下げて第1の処理液に浸漬することによって、基板に常温より高温に保持された第1の処理液の液膜を形成し、引き下げられる基板の第1の処理液の液面に接する部分又は液面近傍に、第2の処理液の蒸気を供給してもよい。この場合、ステップS13は、処理槽に貯留された高温の第1の処理液から基板を引上げるか又は引上げた状態のまま保持する工程であり、ステップS15は、第1の処理液に基板を浸漬する(引き下げる)ことによって、基板に高温に保持された第1の処理液の液膜を形成する工程であり、ステップS16は、浸漬される(引き下げられる)基板の第1の処理液の液面に接する部分又は液面近傍に、第2の処理液の蒸気を供給する工程である。
(第1の実施の形態の変形例)
次に、第1の実施の形態の変形例に係る基板処理装置及び基板処理方法について説明する。
【0092】
本変形例に係る基板処理方法は、第1の実施の形態に係る基板処理装置及び基板処理方法において、水の蒸気の代わりに水のミストを用いることを特徴とする。
【0093】
すなわち、本変形例においては、蒸気・ミスト供給ノズル40から供給する水の温度を100℃以下とし、蒸気・ミスト供給ノズル40から供給される第2の処理液を水の蒸気ではなく水のミストとして供給する。このとき、ミストの温度は、基板の表面に形成される硫酸を含む第1の処理液の液膜の温度が予め定められた温度より下がらなければよい。
【0094】
本変形例では、図3に示すステップS16の工程において、基板の硫酸を含む第1の処理液の液面に接する部分又は液面近傍に供給されるのは、水の蒸気ではなく水のミストであるため、第1の実施の形態と比較すると、水のミストが供給される基板の部分においては、硫酸よりなる液膜の温度が、処理槽10の硫酸と比べると下がるが、処理槽10の硫酸の温度をより高温に設定し、基板を硫酸より引き上げる引き上げ速度と、水のミストを供給する供給速度を調整することによって、基板の硫酸の液面に接する部分又は液面近傍の温度をなお高温に保持することができる。また、蒸気・ミスト供給ノズル40及び純水供給配管26a等の温度をより低温にすることができ、製造コストを低減することができる。
【0095】
本変形例においても、硫酸洗浄液の液面近傍に向けて、水のミストを供給する場合に、基板表面のレジスト残渣が除去される作用効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0096】
すなわち、前述した式(4)の化学反応を促進するためには、反応速度を増大させるためになるべく高温に保持することが望ましく、反応が生ずる界面の面積を増大させるためになるべく滴径の小さい水のミストとして供給することが望ましい。従って、水がミストとして供給される場合には、液膜付近で気化して蒸気として液膜を形成する硫酸中に溶存することが望ましい。よって、液膜の温度は水の沸点である100℃以上とすることができる。その中でも、硫酸中に溶存する水の蒸気の量が少ないため、液膜を形成する硫酸中に水の蒸気がほとんど溶存せずカロ酸が効率よく発生し、かつ、処理槽中の硫酸が希釈されることがないという理由により、110℃以上の高温が好適である。更に、硫酸の沸点である322℃までは、上記(4)で示される化学反応の反応速度が増大するが、特に著しく反応速度が増大するという理由により、130℃以上の高温が好適である。その結果、本変形例においても、基板表面で例えば130℃以上の高温で硫酸と活性酸素が反応してカロ酸が発生するため、第2の処理液として過酸化水素水を用いなくてもよく、しかも130℃以上の高温を用いることができるため、反応速度が大きく、基板表面のレジスト残渣を効率よく除去するための基板処理を行うことができる。
【0097】
なお、本変形例では、基板を第1の処理液に浸漬し(ステップS13)、その後基板を引上げることによって、基板に常温より高温に保持された第1の処理液の液膜を形成し(ステップS15)、引上げられる基板の第1の処理液の液面に接する部分又は液面近傍に、第2の処理液のミストを供給するが(ステップS16)、基板を引き下げて第1の処理液に浸漬することによって、基板に常温より高温に保持された第1の処理液の液膜を形成し、引き下げられる基板の第1の処理液の液面に接する部分又は液面近傍に、第2の処理液のミストを供給してもよい。この場合、ステップS13は、処理槽に貯留された高温の第1の処理液から基板を引上げるか又は引上げた状態のまま保持する工程であり、ステップS15は、第1の処理液に基板を浸漬する(引き下げる)ことによって、基板に高温に保持された第1の処理液の液膜を形成する工程であり、ステップS16は、浸漬される(引き下げられる)基板の第1の処理液の液面に接する部分又は液面近傍に、第2の処理液のミストを供給する工程である。
(第2の実施の形態)
次に、図6乃至図9を参照し、本発明の第2の実施の形態に係る基板処理装置及び基板処理方法を説明する。
【0098】
初めに、図6を参照し、本実施の形態に係る基板処理装置について説明する。図6は、本実施の形態に係る基板処理装置の構成を模式的に示す概略構成図である。
【0099】
本実施形態における基板処理装置は、被処理基板である半導体ウエハW(以下にウエハWという)を回転可能に載置する載置台であるスピンチャック61と、このスピンチャック61を回転駆動する回転駆動手段であるモータ62と、スピンチャック61によって保持されたウエハWの表面に硫酸を含む第1の処理液を供給する処理液供給手段63と、スピンチャック61によって保持されたウエハWの表面に水よりなる第2の処理液を蒸気又はミストで供給する蒸気・ミスト供給手段64と、少なくとも処理液を供給するタイミングと処理液を除去するタイミングを制御する制御手段65とで主要部が構成されている。
【0100】
この場合、上記スピンチャック61及びこのスピンチャック61によって保持されるウエハWの周囲及び下部には、カップ66が配設されており、このカップ66によって第1の処理液や第2の処理液が外部に飛散するのを防止している。なお、カップ66の底部には、排液口67と排気口68が設けられている。
【0101】
なお、本実施の形態でも、第1の処理液として硫酸を用い、第2の処理液として水を用いた例を説明する。ただし、第1の処理液は、硫酸を含むのであれば、特に限定されるものではなく、第2の処理液は、水が主要な成分であれば、界面活性剤等が含まれていてもよく、特に限定されるものではない。
【0102】
処理液供給手段63は、移動機構69aによってウエハWの上方に水平移動可能に、またウエハWの表面近傍に近接するため、垂直移動も可能に構成されて、ウエハWの上面に硫酸を含む第1の処理液を供給(吐出)する処理液供給ノズル63aを具備しており、この処理液供給ノズル63aと処理液供給源63bとを接続する処理液供給管路63cに、処理液供給源63b側から順に、処理液供給ポンプ63d、フィルタ63e、第1の処理液の温度を所定温度に温度調整する温度コントローラ63f及び開閉弁63gが介設されている。
【0103】
また、蒸気・ミスト供給手段64は、移動機構69bによってウエハWの上方に水平移動可能及び垂直移動可能に構成されて、ウエハWの上面に水よりなる第2の処理液を蒸気又はミストで供給(吐出又は噴射)する蒸気・ミスト供給ノズル64aを具備しており、この蒸気・ミスト供給ノズル64aと蒸気・ミスト供給源64bとを接続する蒸気・ミスト供給管路64cに、蒸気・ミスト供給源64b側から順に、流量コントローラ64d、フィルタ64e、開閉弁64f及び第2の処理液の蒸気又はミストの温度を所定温度に温度調整する温度調整手段である温度コントローラ64gが介設されている。なお、蒸気・ミスト供給管路64cの温度コントローラ64gと蒸気・ミスト供給ノズル64aとの間には、切換弁(図示せず)を介して図示しないリンス液例えば純水の供給源が接続されている。
【0104】
一方、上記制御手段65は、例えば中央演算処理装置(CPU)にて形成されており、この制御手段65(以下にCPU65という)からの制御信号が、上記モータ62、処理液供給ノズル63aの移動機構69a及び蒸気・ミスト供給ノズル64aの移動機構69b等の駆動系と、処理液供給手段63の処理液供給ポンプ63d、温度コントローラ63f及び開閉弁63g、蒸気・ミスト供給手段64の流量コントローラ64d、開閉弁64f及び温度コントローラ64gに伝達されるように構成されている。
【0105】
したがって、CPU65からの制御信号によってモータ62が所定の回転数例えば1〜150rpmの低速回転と、100〜500rpmの中速回転及び500〜3000rpmの高速回転が切り換え可能となっている。この場合、低速回転とは、ウエハWの表面に第1の処理液を供給しても遠心力により液膜として広がらない程度の回転をいい、中速回転とは、ウエハWの表面に供給した第1の処理液が遠心力により広がり液膜が形成される形成される程度の回転をいい、また、高速回転とは、ウェハWの表面に形成された液膜を遠心力で振り切る回転である。
【0106】
なお、本実施の形態におけるスピンチャック(載置台)61と、第1の処理液を供給する処理液供給手段63は、本発明における液膜形成手段に相当し、スピンチャック61は、例えば中速回転を行うときに液膜形成手段として機能することができる。
【0107】
また、CPU65からの制御信号によって処理液供給ノズル63a又は蒸気・ミスト供給ノズル64aがウエハWの上方を水平移動かつ垂直移動つまりウエハWに対して相対移動可能になっている。更に、CPU65からの制御信号によって所定量の第1の処理液や第2の処理液の蒸気又はミストがウエハWに供給されるように構成されている。
【0108】
次に、図7乃至図9を参照し、本実施の形態に係る基板処理方法について説明する。
【0109】
図7は、本実施の形態に係る基板処理方法の各工程の手順を説明するためのフローチャートである。図8は、本実施の形態に係る基板処理方法を説明するための図であり、各工程におけるカップ内の様子を模式的に示す概略断面図である。図7のステップS21乃至ステップS24の各々の工程が行われる際又は行われた後のカップ内の様子は、図8(a)乃至図8(d)の各々の概略断面図に対応する。図9は、本実施の形態に係る基板処理方法を説明するための図であり、基板の第1の処理液の液膜が形成された面に、第2の処理液の蒸気・ミストが供給される様子を模式的に示す図である。
【0110】
本実施の形態に係る基板処理方法は、図7に示すように、載置工程と、液膜形成工程と、蒸気・ミスト供給工程と、取外し工程とを含む。載置工程は、ステップS21の工程を含み、液膜形成工程は、ステップS22の工程を含み、蒸気・ミスト供給工程は、ステップS23の工程を含み、取外し工程は、ステップS24の工程を含む。
【0111】
まず、ステップS21の工程を含む載置工程を行う。ステップS21は、基板を載置台であるスピンチャック上に載置する工程である。図8(a)は、ステップS21の工程が行われた後のカップ内の様子を模式的に示す概略断面図である。
【0112】
図示しない搬送手段によってウエハWをスピンチャック61上に搬送し、ウエハWをスピンチャック61にて載置し、保持する。そして、移動機構69aの駆動により処理液供給ノズル63aをウエハWの中心部上方に移動し、この状態でモータ62の駆動によりスピンチャック61及びウエハWを低速回転例えば35rpmの回転数で回転すると共に、処理液供給ノズル63aから所定量の硫酸を含む第1の処理液1を吐出(供給)し、この状態を所定時間(例えば3秒)行ってウエハWの表面に第1の処理液1を接触させる。これにより、第1の処理液1である硫酸がウエハWの表面に残留するレジスト残渣の凹凸の凹部内まで侵入する。このとき、高温に保持された第1の処理液1を供給するため、温度コントローラ63fによって第1の処理液1の温度を例えば150℃の高温に調整する。第1の処理液の温度は、硫酸が後述する蒸気・ミスト供給工程で供給される第2の処理液である水の蒸気・ミストと化学反応してカロ酸が効率よく発生するのであればよく、特に限定されるものではないが、例えば140℃以上とすることによって、基板上のレジストの残渣を効率よく除去することができる。
【0113】
次に、ステップS22を含む液膜形成工程を行う。ステップS22は、基板上に高温に保持された硫酸を含む第1の処理液を供給することによって、基板上に常温より高温に保持された第1の処理液の液膜を形成する工程である。図8(b)は、ステップS22の工程が行われる際のカップ内の様子を模式的に示す概略断面図である。
【0114】
処理液供給ノズル63aから所定量の第1の処理液1を吐出した状態で、スピンチャック61及びウエハWを例えば200rpmの回転数で回転し、この状態を所定時間(例えば30秒)行って、ウエハWの表面全体に第1の処理液1の液膜を形成する。
【0115】
次に、ステップS23を含む蒸気・ミスト供給工程を行う。ステップS23は、基板の第1の処理液として硫酸の液膜が形成された面に、第2の処理液として水を蒸気又はミストで供給する工程である。図8(c)は、ステップS23の工程が行われる際のカップ内の様子を模式的に示す概略断面図である。
【0116】
蒸気・ミスト供給手段64から所定量の第2の処理液の蒸気又はミストを吐出した状態で、スピンチャック61及びウエハWを例えば300rpmの回転数で回転し、この状態を所定時間(例えば60秒)行って、ウエハWの表面全体に第2の処理液の蒸気又はミストを供給する。
【0117】
ここで、図9を参照し、第1の処理液として硫酸よりなる液膜に向けて、第2の処理液として水の蒸気を供給する場合に、基板表面のレジスト残渣が除去される作用効果について説明する。
【0118】
図9を参照するに、スピンチャック61に載置されるウェハWの上面には、硫酸よりなる第1の処理液1の液膜が形成されている。そして、ウェハWは、ウェハW上に供給される硫酸よりなる第1の処理液1が常温より高温に保持されているため、ウェハW上に形成される液膜の温度は、ウェハWの表面に供給される第1の処理液が保持されている高温に等しくなる。
【0119】
このような高温に保持された液膜が形成された基板の面に水の蒸気が供給される場合、高温で基板表面に形成された液膜の硫酸と、供給された水の蒸気とが反応する。高温の水の蒸気は、例えば、微量の酸素を含有している場合に、その酸素が解離して活性酸素を発生したり、あるいは、高温の水蒸気自体が解離して活性酸素を発生する。このようにして発生された活性酸素は、硫酸と反応し、例えば第1の実施の形態で式(4)により示した反応と同じ化学反応が起こり、カロ酸が発生する。
【0120】
本実施の形態においても、上記式(4)の化学反応を促進するために、液膜を高温に保持し、供給された水は、蒸気のまま液膜を形成する硫酸中に溶存することが望ましい。よって、第1の実施の形態と同様に、液膜の温度は水の沸点である100℃以上の高温とすることができ、110℃以上の高温が好適であり、140℃が更により好適である。その結果、基板表面で硫酸と活性酸素が反応してカロ酸が発生するため、高温で分解しやすい過酸化水素水を使用せずに、反応速度が大きく、基板表面のレジスト残渣を効率よく除去するための基板処理を行うことができる。
【0121】
なお、本実施の形態でも、ステップS22の工程とステップS23の工程を順番に繰返して行うことによって、基板上に硫酸を含む第1の処理液の液膜を形成する工程と、液膜が形成された面に水の蒸気を供給する工程を交互に繰返して行うことができる。ウエハWの表面に第1の処理液1を供給し、ウエハWの表面に第1の処理液1の液膜を形成する工程と、ウエハWの表面に第2の処理液の蒸気又はミストを供給する工程を順次繰り返し行うことにより、ウエハWの表面に接触して化学反応し反応性が弱くなった第1の処理液1を未反応の新規な第1の処理液1に頻繁に置換することができるため、例えばカロ酸の濃度等の基板処理に有効な成分の濃度を継続して一定に保つことができる。
【0122】
最後に、ステップS24の工程を行う。ステップS24は、基板を載置台から取り外す工程である。図8(d)は、ステップS24の工程が行われた後のカップ内の様子を模式的に示す概略断面図である。
【0123】
処理液供給手段63からの第1の処理液1の供給を停止したまま、スピンチャック61及びウエハWを低速回転例えば35rpmの回転数で回転すると共に、蒸気・ミスト供給ノズル64a又は図示しない純水供給源から純水を吐出し、この状態を所定時間(例えば3秒)行って、ウエハWの表面に付着する第1の処理液、第2の処理液及びレジスト残渣を洗い流す。
【0124】
上記のようにしてリンス処理を行った後、図示しないNガス供給ノズルからウエハWの表面にNガスを供給(噴射)して、ウエハ表面に付着する純水の水滴を除去する。この場合、温度コントローラ64gによってNガスの温度を室温より高めに調整することにより、乾燥処理を効率よく行うことができる。また、ウエハWの回転と、Nガス供給ノズルを水平方向に往復移動させることとを組み合せることにより、更に乾燥処理を迅速に行うことができる。乾燥処理後、ウエハWをスピンチャック61上から搬出して処理を終了する。
(第2の実施の形態の変形例)
次に、図10及び図11を参照し、第2の実施の形態の変形例に係る基板処理装置及び基板処理方法について説明する。
【0125】
図10は、本変形例に係る基板処理方法の各工程の手順を説明するためのフローチャートである。図11は、本変形例に係る基板処理方法を説明するための図であり、各工程におけるカップ内の様子を模式的に示す概略断面図である。図10のステップS31乃至ステップS34の各々の工程が行われる際又は行われた後のカップ内の様子は、図11(a)乃至図11(d)の各々の概略断面図に対応する。
【0126】
本変形例に係る基板処理方法は、第2の実施の形態に係る基板処理装置及び基板処理方法において、基板上に常温より高温に保持された第1の処理液を塗布する代わりに、常温より高温に保持された基板上に第1の処理液を塗布することを特徴とする。
【0127】
すなわち、本変形例においては、常温より高温に保持した水の蒸気を硫酸よりなる第1の処理液の液膜が形成された基板上に供給する代わりに、スピンチャック61aに温度制御機構61bを設け、スピンチャック61aからの伝熱によりスピンチャック61aに載置される基板の温度を制御することを特徴とする。
【0128】
本変形例に係る基板処理方法は、図10に示すように、載置工程と、液膜形成工程と、蒸気・ミスト供給工程と、取外し工程とを含む。載置工程は、ステップS31の工程を含み、液膜形成工程は、ステップS32の工程を含み、蒸気・ミスト供給工程は、ステップS33の工程を含み、取外し工程は、ステップS34の工程を含む。
【0129】
まず、ステップS31の工程を含む載置工程を行う。ステップS31は、基板を載置台であるスピンチャック61a上に載置する工程であり、第2の実施の形態におけるステップS21と同一の工程である。図11(a)は、ステップS21の工程が行われた後のカップ内の様子を模式的に示す概略断面図である。
【0130】
次に、ステップS32を含む液膜形成工程を行う。ステップS32は、高温に保持された基板上に硫酸を含む第1の処理液を供給することによって、基板上に常温より高温に保持された第1の処理液の液膜を形成する工程である。図11(b)は、ステップS32の工程が行われる際のカップ内の様子を模式的に示す概略断面図である。
【0131】
ステップS32は、第2の実施の形態におけるステップS22と異なる。すなわち、ウェハWの表面に形成される液膜の温度を常温より高温に保持するために、第2の実施の形態では、液膜を形成する第1の処理液1を温度コントローラ63fによって高温に保持するのと相違し、本変形例では、液膜が形成されるウェハWをスピンチャック61aに設けられた温度制御機構61bによって例えば150℃の高温に保持する。
【0132】
処理液供給ノズル63aから所定量の第1の処理液1を吐出した状態で、スピンチャック61及びウエハWを例えば200rpmの回転数で回転し、この状態を所定時間(例えば30秒)行って、ウエハWの表面全体に第1の処理液1の液膜を形成する。
【0133】
次に、ステップS33を含む蒸気・ミスト供給工程を行う。ステップS33は、基板の第1の処理液として硫酸の液膜が形成された面に、第2の処理液として水を蒸気又はミストで供給する工程であり、第2の実施の形態におけるステップS23と同一の工程である。図11(c)は、ステップS33の工程が行われる際のカップ内の様子を模式的に示す概略断面図である。
【0134】
最後に、ステップS34の工程を行う。ステップS34は、基板を載置台から取り外す工程であり、第2の実施の形態におけるステップS24と同一の工程である。図11(d)は、ステップS34の工程が行われた後のカップ内の様子を模式的に示す概略断面図である。
【0135】
本変形例においても、基板の高温に保持された液膜が形成された面に水の蒸気が供給され、水により発生された活性酸素が基板表面で硫酸と反応してカロ酸が発生するため、高温で分解しやすい過酸化水素水を使用せずに、反応速度が大きく、基板表面のレジスト残渣を効率よく除去するための基板処理を行うことができる。
【0136】
以上、本発明の好ましい実施の形態について記述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0137】
特に上記実施例では、処理する基板として半導体ウエハを例にとって説明したが、これに限定されず、LCD基板、ガラス基板、セラミック基板等を基板として処理する場合にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る基板処理装置の構成を模式的に示す概略断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る基板処理装置の基板処理装置の構成を模式的に示す斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る基板処理方法の各工程の手順を説明するためのフローチャートである。
【図4A】本発明の第1の実施の形態に係る基板処理方法を説明するための図であり、各工程における処理容器内の様子を模式的に示す概略断面図(その1)である。
【図4B】本発明の第1の実施の形態に係る基板処理方法を説明するための図であり、各工程における処理容器内の様子を模式的に示す概略断面図(その2)である。
【図4C】本発明の第1の実施の形態に係る基板処理方法を説明するための図であり、各工程における処理容器内の様子を模式的に示す概略断面図(その3)である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る基板処理方法を説明するための図であり、引上げられる基板の処理槽に貯留された第1の洗浄液の液面近傍に、第2の処理液の蒸気・ミストが供給される様子を模式的に示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る基板処理装置の構成を模式的に示す概略構成図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る基板処理方法の各工程の手順を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る基板処理方法を説明するための図であり、各工程におけるカップ内の様子を模式的に示す概略断面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る基板処理方法を説明するための図であり、基板の第1の処理液の液膜が形成された面に、第2の処理液の蒸気・ミストが供給される様子を模式的に示す図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態の変形例に係る基板処理方法の各工程の手順を説明するためのフローチャートである。
【図11】本発明の第2の実施の形態の変形例に係る基板処理方法を説明するための図であり、各工程におけるカップ内の様子を模式的に示す概略断面図である。
【図12】一般的な基板処理装置の構成を示す概略構成図である。
【図13】過酸化水素水に対する硫酸の割合(モル比)を横軸、カロ酸の生成率を縦軸とするグラフである。
【符号の説明】
【0139】
5 処理容器
10 処理槽(液膜形成手段)
10a、11a、67 排液口
11 外槽
12、53 ドレン弁
13、52、54 ドレン管
17 メッシュ
18 第1の処理液取出管
19 比抵抗値検出器
20 第1の処理液収容タンク
24a 上限センサ
24b 下限センサ
24c 適量センサ
26 供給管
26a 純水供給配管
28 供給ノズル
29、63g、64f 開閉弁
30 ウェハボート
31 基板昇降機構(液膜形成手段)
32 取付部材
32a ボルト
33 支持部材
34 中央保持棒
35 側部保持棒
34a、35a 保持溝
40、64a 蒸気・ミスト供給ノズル(蒸気・ミスト供給手段)
40a、42a、50a ノズル本体
40b、42b、50b ノズル孔
42 ジェットノズル
43 循環管路
44 ポンプ
45 ダンパ
46、63e、64e フィルタ
47、49、51 切換弁
49a 第1の処理液供給源
61、61a スピンチャック
62 モータ
63 処理液供給手段
63a 処理液供給ノズル
63b 処理液供給源
63c 処理液供給管路
63d 処理液供給ポンプ
63f、64g 温度コントローラ
64 蒸気・ミスト供給手段
64b 蒸気・ミスト供給源
64c 蒸気・ミスト供給管路
64d 流量コントローラ
65 CPU(制御手段)
66 カップ
68 排気口
69a、69b 移動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫酸を含む第1の処理液及び水よりなる第2の処理液を用いて基板を処理する基板処理装置であって、
基板の少なくとも一方の面に常温より高温に保持された前記第1の処理液の液膜を形成する液膜形成手段と、
前記基板の前記第1の処理液の液膜が形成された面に、前記第2の処理液の蒸気又はミストを供給する蒸気・ミスト供給手段と
を有することを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記液膜形成手段は、
前記第1の処理液を常温より高温の状態で貯留する処理槽と、
前記処理槽の上方に配置され、前記第1の処理液及び前記第2の処理液を用いて基板を処理する処理容器と、
前記処理槽と前記処理容器との間で基板を昇降させる基板昇降機構と
を有し、
前記蒸気・ミスト供給手段が、前記基板昇降機構によって基板を前記処理槽から引上げるか又は前記処理槽に浸漬させる際に、前記基板の前記処理槽に貯留された前記第1の処理液の液面近傍に、前記第2の処理液の蒸気又はミストを供給することを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記処理槽からオーバーフローした前記第1の処理液を受け止める外槽と、
前記外槽から前記第1の処理液を回収し、再び前記処理槽に供給する処理液循環手段と
を有することを特徴とする請求項2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記蒸気・ミスト供給手段は、前記処理容器の内部であって前記処理槽に貯留された前記第1の処理液の液面の近傍に設けられることを特徴とする請求項3記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記処理容器の内部に設けられ、前記処理容器内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段を有することを特徴とする請求項4記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記不活性ガス供給手段は、前記蒸気・ミスト供給手段の上方に設けられることを特徴とする請求項5記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記液膜形成手段は、
基板を載置する載置台と、
前記載置台に載置された基板に常温より高温に保持された前記第1の処理液を供給する処理液供給手段と
を有し、
前記載置台に載置された基板上に前記処理液供給手段が前記第1の処理液を供給することによって、前記基板上に常温より高温に保持された前記第1の処理液の液膜を形成することを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記液膜形成手段は、
基板を載置し、該基板を常温より高温に保持する載置台と、
前記載置台に載置された基板に前記第1の処理液を供給する処理液供給手段と
を有し、
前記載置台に載置された基板上に前記処理液供給手段が前記第1の処理液を供給することによって、前記基板上に常温より高温に保持された前記第1の処理液の液膜を形成することを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項9】
硫酸を含む第1の処理液及び水よりなる第2の処理液を用いて基板を処理する基板処理方法であって、
基板の少なくとも一方の面に常温より高温に保持された前記第1の処理液の液膜を形成する液膜形成工程と、
前記基板の前記第1の処理液の液膜が形成された面に、前記第2の処理液の蒸気又はミストを供給する蒸気・ミスト供給工程と
を有することを特徴とする基板処理方法。
【請求項10】
前記液膜形成工程は、
基板を常温より高温に保持された前記第1の処理液に浸漬するか又は常温より高温に保持された該第1の処理液から引上げることによって、前記基板に常温より高温に保持された前記第1の処理液の液膜を形成し、
前記蒸気・ミスト供給工程は、
前記基板の前記第1の処理液の液面近傍に、前記第2の処理液の蒸気又はミストを供給することを特徴とする請求項9記載の基板処理方法。
【請求項11】
気密可能に基板を処理する処理容器内に不活性ガスを供給することを特徴とする請求項10記載の基板処理方法。
【請求項12】
前記第2の処理液の蒸気又はミストを供給する蒸気・ミスト供給部より上方から前記不活性ガスを供給することを特徴とする請求項11記載の基板処理方法。
【請求項13】
前記液膜形成工程は、
基板上に常温より高温に保持された前記第1の処理液を塗布することによって、前記基板上に常温より高温に保持された前記第1の処理液の液膜を形成することを特徴とする請求項9記載の基板処理方法。
【請求項14】
前記液膜形成工程は、
常温より高温に保持された基板上に前記第1の処理液を塗布することによって、前記基板上に常温より高温に保持された前記第1の処理液の液膜を形成することを特徴とする請求項9記載の基板処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−103189(P2010−103189A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−271273(P2008−271273)
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】