説明

基板処理装置及び基板処理方法

【課題】処理槽の内部における下から上への流れを撹乱せず、貯留された処理液を他の処理液に効率よく置換させることができる基板処理装置及び基板処理方法を提供することを目的とする。
【解決手段】処理ユニット10は、内槽15の側壁507に形成された断面V字形の溝部16の、下側テーパー面163に向けて処理液を吐出して内槽15の内部に比較的低速の液流を形成する第三吐出ノズル221を備える。第三吐出ノズル221から吐出され内槽15の下側テーパー面163に衝突した流れのうち、上方向に向かう流れを板状部材18で阻止することにより、内槽15内の下から上への流れを撹乱することなく、効率良く処理液を置換することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板、液晶表示装置用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板等の平板状の基板を処理液中に浸漬することにより、基板に対して洗浄・エッチング等の処理を行う基板処理装置及び基板処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板の製造工程においては、処理槽に貯留された処理液中に基板を浸漬することにより基板の処理を行う基板処理装置が使用されている。このような装置の場合、処理の進行にともなって処理槽の中に貯留された処理液を他の処理液に置換したり、基板から脱離したパーティクル等が含まれた処理液を排出したりする必要が有る。このため、処理槽の底部近傍に処理液を吐出する吐出ノズルを配設し、その吐出ノズルから処理液を吐出して処理槽上部からオーバーフローさせることにより、処理液を置換する方法が採用されている。
【0003】
ここで、処理槽に貯留された処理液を効率よく置換するためには、置換中に処理液が渦や乱流などを生じて局所に滞留することなく処理槽内で均一に上方向に流れるように構成されることが望ましい。例えば、特許文献1に開示された基板処理装置においては、処理槽の側壁の下端付近であって処理槽の両側の側壁に設けられ、処理槽の内側に向けて開いた断面V字形状の溝の内側に吐出ノズルを設け、断面V字形状の溝の下側テーパー面に向けて処理液を吐出する。処理液は下側テーパー面に衝突し、下側テーパー面によって上下に拡散しつつ処理槽の内側へ向きを変えて進行する。断面V字形状の溝の下側テーパー面に衝突することにより流速が低下した処理液は、更に上下方向に拡散して処理槽の内側へ流れ込むことにより更に流速が低下する。これにより、処理槽の中の液体は、拡散されて流速が低下した処理液により処理槽の下から効率良く置換される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−81240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図1に示すように、特許文献1に開示された処理槽503では、側壁507の、底部509近傍に設けられた断面V字形状の溝505の下側のテーパー面517に対しノズル513から処理液を吐出している。吐出された処理液は下側のテーパー面517に衝突し、流速が低下すると共に、矢印B1で示される右上方向への流れ及び矢印B2で示される左下方向への流れに分かれる。
【0006】
矢印B2で示される流れは、底部509の内面に沿って流れ、反対側の側壁507に同様に設けられたノズル513から吐出され、底部509に沿って流れる処理液の流れと底部509の中央付近で衝突し、処理槽503を下から上に上昇する流れを構成する。
【0007】
この、処理槽503を下から上に上昇する流れにより、処理槽503の中に貯留された処理液の置換や、基板から脱離したパーティクル等が含まれた処理液の排出を効率良く行うことができる。
【0008】
ここで、処理槽503の両方の側壁507に設けられたノズル513から吐出されて底部509の中央付近で衝突し、処理槽503を下から上に上昇する流れには、矢印B4で示されるような処理槽503の中央から側壁507に向かう流れの成分が含まれている。
【0009】
また、溝505の下側のテーパー面517に衝突した流れは、矢印B2で示す流れの他に、矢印B1で示す流れもある。この流れは、右上方向に向かって上側テーパー面515に衝突し、方向を転換して矢印B3で示される処理槽503の中央へ向かう流れとなる。
【0010】
この、矢印B3の流れと矢印B4の流れが衝突し、溝505の上部付近で局所的に流速が低下することでよどみを形成する、あるいは局所的に渦を形成することとなり、処理液の排出や置換の効率をわずかに低下させる可能性がある。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、処理液置換時の処理槽内の液の流れを、処理槽内においてより均一に上方向に流れるように構成し、処理槽の内部に貯留された処理液を他の処理液に置換させる効率をさらに向上することができる基板処理装置及び基板処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、この発明は、側壁と底壁とを有し、その内部に処理液を貯留する処理槽と、処理槽を構成する側壁のうち、相対向する一対の側壁であって、底壁の近傍にそれぞれ形成され、前記処理槽内部に向けた開口を有する凹部と、凹部それぞれの内部に向けて処理液を吐出する一対の吐出手段と、凹部の上端付近と吐出手段とを連結する板状部材とを備える。
【0013】
また、この発明は、側壁と底壁とを有し、その内部に処理液を貯留する処理槽と、処理槽を構成する側壁のうち、相対向する一対の側壁であって、底壁の近傍にそれぞれ形成され、前記処理槽内部に向けた開口を有する凹部と、凹部それぞれの内部に向けて処理液を吐出する一対の吐出手段とを備え、吐出手段は、凹部の上半部分に当接又は埋設されている。
【0014】
このように構成された発明では、側壁に形成された凹部に、吐出手段から吐出された処理液が衝突して上下に分離する流れのうち、上方向に向かう流れを板状部材や吐出手段自体を凹部に当接又は埋設することで阻止する。これにより、凹部の上方であって処理槽内部において処理槽の中央から外側に向かう成分を持つ流れと、吐出手段から凹部に向けて吐出され、処理槽の中央上方に向かう流れが衝突することによって生ずる処理液のよどみや渦を防止し、処理液が処理槽内で均一に上方向に流れるようにして効率良く処理液を置換することができる。
【0015】
また、凹部は、処理槽の内側へ向けて開いた断面V字形状の溝とし、吐出ノズルは、断面V字形状の溝を構成する一対のテーパー面のうち、下側のテーパー面へ向けて処理液を吐出することもできる。
【0016】
このように構成された発明では、吐出手段から吐出された処理液が、下側のテーパー面により流れの方向を処理槽の中央に変更される。処理槽を挟んで対向する2つの凹部からの流れは処理槽中央付近で衝突し、処理槽内を上昇するゆっくりとした流れとなる。これにより、処理液を効率よく置換することができる。
【0017】
また、本願の他の発明は、基板に対して処理液による処理を行う基板処理方法であって、a)側壁と底壁とを有する処理槽の内部において、処理液中に基板を浸漬する工程と、b)前記側壁の内側面に設けられた凹部に向けてノズルから処理液を吐出しつつ、前記凹部内から前記ノズルの上方へ向かう処理液の流れを堰き止め、前記凹部から前記底壁側へ向かう処理液の流れを形成する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、側壁に形成された凹部において上下に分離された処理液の流れのうち、上方に向かう流れを阻止することで、処理槽の下から上への流れを撹乱することなく均一な流れとし、処理液の置換効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】特許文献1の処理槽における処理液の流れを示した図である。
【図2】この発明にかかる基板処理装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図3】処理部の構成を示した図である。
【図4】処理部の処理槽を、基板の主面と平行な平面で切断した縦断面図である。
【図5】処理部の処理槽を、基板の主面と垂直な平面で切断した縦断面図である。
【図6】処理液を吐出した際の流れを示す図である。
【図7】処理部の処理液供給部の構成を示した図である。
【図8】処理部の動作を示したフローチャートである。
【図9】処理部の動作を示したフローチャートである。
【図10】薬液置換時の内槽内の処理液の流れの概要を示した図である。
【図11】薬液置換時の内槽内の処理液の流れの概要を示した図である。
【図12】特許文献1の処理槽における処理液の流れの数値シミュレーション結果を示した図である。
【図13】この発明に係る処理部の処理槽における処理液の流れの数値シミュレーション結果を示した図である。
【図14】この発明に係る処理部の変形例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<1.基板処理装置の構成>
図2は、この発明にかかる基板処理装置9の概略構成を示す斜視図である。この基板処理装置9は、半導体ウエハ等の複数枚の基板(以下、単に「基板」と称する)に対し、薬液やリンス液(以下「処理液」と称する)による処理を行うバッチ式の基板処理装置である。
【0021】
この基板処理装置9は、基板Wに対し、処理液による処理を行う処理部1と、処理部1により処理が行われた基板Wを乾燥する乾燥部7と、装置外部から搬入されたカセットCが載置されるカセット載置部91と、カセットCと後述する基板搬送部93との間で基板Wを移載する基板移載部92と、基板移載部92、処理部1及び乾燥部7の間で基板Wを搬送する基板搬送部93とで構成される。なお、方向関係を明確にするために、図2中にXYZ座標系を示している。尚、以下の説明の便宜上、XYZ座標系の矢印の指す方向を+(プラス)、矢印の指す方向と逆の方向を−(マイナス)とする。
【0022】
カセット載置部91は、基板処理装置9の一方の端部(図2において基板処理装置9の−X方向の端部)に配置される。カセット載置部91は、基板処理装置9の外部から搬入され、あるいは外部に搬出されるカセットCが載置されるカセット載置領域911と、カセットCを内部に収容して洗浄するカセット洗浄機構917と、カセット載置領域911、カセット洗浄機構917及び基板移載部92の間でカセットCを移載するカセット移載ロボット913と、を備える。
【0023】
カセット載置領域911は、カセット載置部91の一方の端部(図2においてカセット載置部91の−X方向の端部)に配置され、その上面にカセットCを複数個(図2においては6個)載置可能に構成されている。カセット移載ロボット913はカセット載置領域911と、カセット洗浄機構917及び基板移載部92との間に配置される。カセット移載ロボット913は、カセット把持アーム915を有し、カセットCの側面を把持して移載可能なように、Y方向およびZ方向に移動自在であると共に、Z軸方向に伸びる軸回りに回転自在に構成されている。カセット洗浄機構917はカセット移載ロボット913を挟んでカセット載置領域911の反対側に配置され、内部に2つのカセットCを収納してカセットCを洗浄可能なように構成される。
【0024】
基板移載部92は、カセット載置部91と乾燥部7との間に配置される。基板移載部92はカセット移載台921を備える。カセット移載台921は2つのカセットCを載置可能に構成される。カセット移載台921はY方向に移動自在とされ、また、カセット移載台921上に載置されたカセットCはZ軸方向に伸びる軸回りに回転可能とされている。また、図示しない突き上げ機構により2つのカセットからすべての基板Wを上方(+Z方向)に突き上げて基板搬送部93に移載し、また、基板搬送部93に保持されている基板Wを2つのカセットCに移載することができるように構成される。
【0025】
基板搬送部93は、基板移載部92、乾燥部7および処理部1の上方に配置される。基板搬送部93は、本体部931と、基板保持部材933と、を備える。本体部931は、未処理の基板Wを基板移載部92から処理部1へ、処理後の基板Wを処理部1から乾燥部7へ、乾燥後の基板Wを乾燥部7から基板移載部92へ移送可能なように、X方向へ移動自在とされる。基板保持部材933は本体部931から+Y方向へ延びる1対の柱状部材であり、基板Wの外縁部を保持することにより、基板Wを起立姿勢にて保持可能に構成される。
【0026】
処理部1は基板処理装置9のカセット載置部91とは反対の端(図2において+X方向の端部)に配置される。処理部1は複数(本実施形態では2つ)の処理ユニット10を備える。処理ユニット10は、内部に処理液を貯留して基板Wを浸漬し、基板Wに対して処理液による処理を行う処理槽11と、基板搬送部93から基板Wを受け取り、処理槽11へ基板Wを浸漬し、処理後の基板Wを基板搬送部93に渡すリフタ13と、を備える。尚、リフタ13は基板搬送部93と基板Wを受け渡し可能とし、基板Wを処理槽11に貯留された液体に浸漬し、引き上げることが可能とするため、Z方向に移動自在に構成されている。処理ユニット10の構成の詳細については後述する。
【0027】
乾燥部7は基板移載部92と処理部1の間に配置される。乾燥部7は、内部に基板Wを収容して基板Wの乾燥を行う乾燥槽71と、基板搬送部93と乾燥槽71との間で基板Wの受け渡しを行うリフタ73と、を備える。乾燥槽71における基板Wの乾燥方法は、基板Wを高速回転することにより遠心力で振り切り乾燥する方法、基板Wをイソプロピルアルコールなどの液中に浸漬した後引き上げる方法、基板Wの表面に高流速の温風を吹きつける方法など、様々な方法が適用される。
【0028】
次に、基板処理装置9の動作について説明する。基板処理装置9の外部から無人搬送車などにより搬入された未処理の基板Wが収納されたカセットCは、カセット載置部91のカセット載置領域911の上に載置される。カセット載置領域911に載置された未処理の基板Wを収納したカセットCは、カセット移載ロボット913により基板移載部92のカセット移載台921に移載される。
【0029】
カセット移載台921に移載されたカセットCは、内部に収納された基板Wの主面が全て相対向する方向(基板Wの径方向が全て平行になる方向)に回転される。その後、基板Wは突き上げ機構により上方向に突き上げられ、基板搬送部93の基板保持部材933の上に移載される。
【0030】
基板移載部92により基板Wが基板搬送部93に移載された後の空のカセットCは、カセット移載ロボット913によりカセット洗浄機構917に移載され、洗浄される。洗浄されたカセットCはカセット移載ロボット913により再び基板移載部92に移載される。
【0031】
未処理の基板Wを保持した基板搬送部93は、処理部1の複数ある処理ユニット10のいずれかのリフタ13の上空まで移動し、基板Wをリフタ13へ移載する。処理ユニット10は、リフタ13を下降(−Z方向へ移動)して処理槽11に貯留された処理液に基板Wを浸漬し、基板Wの処理を行う。処理が終了すると、リフタ13を上昇(+Z方向へ移動)し、基板搬送部93へ移載する。尚、処理ユニット10の動作の詳細については後述する。
【0032】
処理後の基板Wを保持した基板搬送部93は、乾燥部7の上空へ移動し、リフタ73へ基板Wを移載する。乾燥部7はリフタ73を下降し、乾燥槽71内の乾燥機構(図示せず)に移載し、乾燥処理を行う。乾燥が完了した基板Wは、リフタ73により保持され、基板搬送部93へ移載される。
【0033】
乾燥終了後の基板Wを保持した基板搬送部93は、基板移載部92の上空へ移動し、カセット移載台921の突き上げ機構に処理後の基板Wを移載する。基板移載部92は突き上げ機構に載置された基板Wをカセット移載台921に載置されたカセットCに収納する。
【0034】
洗浄処理終了後の基板Wが収納されたカセットCは、カセット移載ロボット913によりカセット載置領域911に移載され、その後基板処理装置9の外部に搬出される。
【0035】
この実施形態では、処理部1に処理ユニット10を2台、乾燥部7に乾燥槽71を1台配設しているが、処理ユニットや乾燥槽の数および配設位置はこれに限定されない。すなわち、求められるタクトに合わせて処理ユニットや乾燥槽の数を増減してもよい。また、基板搬送部93についても複数台配設して、例えば一方の基板搬送ロボットが処理ユニット10から乾燥槽71に複数枚の基板Wを搬送している間に、他方の基板搬送ロボットが乾燥槽71から基板移載部92に別の複数枚の基板Wを搬送させるように構成してもよい。
【0036】
次に、処理ユニット10の構成について説明する。この処理ユニット10は、処理槽11の中に処理液を貯留し、貯留された処理液中に基板Wを浸漬することにより、基板Wに対して処理を行う装置である。図3は処理ユニット10の構成を示す模式図である。処理ユニット10は、処理液を貯留する処理槽11と、処理槽11に複数の処理液を供給する処理液供給部41と、基板Wを保持して処理槽11内の処理液に浸漬した後引き上げるリフタ13と、処理ユニット10の動作を制御する制御部97と、を備える。
【0037】
次に、処理槽11の構成を図4ないし図7を用いて説明する。図4は、処理槽11を、基板Wの主面と平行な平面で切断した縦断面図である。図5は、処理槽11を、基板Wの主面と垂直な平面で切断した縦断面図である。図6は、後述する第三吐出ノズル221、221から処理液を吐出した際の処理液の流れを説明する図である。図7は、処理液供給部41の構成を示した図である。
【0038】
処理槽11は、石英や耐薬性の樹脂により構成された貯留容器である。処理槽11は、処理液を貯留してその内部に基板Wを浸漬させる内槽15と、内槽15の外周部に形成された外槽17とを有している。内槽15は、基板Wが浸漬された状態における基板Wの下方に位置し、上方に開口した略V字形状を有する底壁153と、基板Wの側方であって、基板Wの主面に平行な位置に基板Wを挟んで配設される1対の短辺側壁152、152と、基板Wの主面に垂直な位置(リフタ131に保持された複数の基板Wの配列方向に平行)に基板Wを挟んで配設される1対の長辺側壁151、151とを備える。これら短辺側壁152、152及び長辺側壁151、151が、本発明における側壁に相当する。尚、内槽15の上部は開放されている。
【0039】
内槽15の上部付近(処理液中に浸漬された基板Wの中心よりも高い位置、かつ内槽15が満杯の状態における水面より下の位置)には、中空管状の部材である一対の第一吐出ノズル201、201が、基板Wを挟んで対向する一対の長辺側壁151、151の内側近傍に、基板Wの配列方向に沿って水平に固定されている。また、それぞれの第一吐出ノズル201、201には処理液中に浸漬された基板Wに向かって斜め下方に処理液を吐出するための複数の吐出口203が等間隔に形成されている。複数の吐出口203の基板Wの配列方向(X軸方向)における位置は、リフタ13に保持された隣り合う基板Wの間および両端に配置された基板Wの外側に対応する位置となっている。第一吐出ノズル201、201に処理液が供給されると、複数の吐出口203から斜め下方である内槽15の内部において処理液に浸漬されている基板Wに向けて処理液が吐出される。第一吐出ノズル201、201は、後述する第三吐出ノズル221、221より上方に配置され、本発明の第一撹拌用吐出手段を構成している。
【0040】
内槽15の底壁153の近傍には、中空管状の部材である一対の第二吐出ノズル211、211が、基板Wを挟んで対向する一対の長辺側壁151、151の内側の近傍に、基板Wの配列方向に沿って水平に固定されている。また、それぞれの第二吐出ノズル211、211には処理液中に浸漬された基板Wに向かって斜め上方に処理液を吐出するための複数の吐出口213が等間隔に形成されている。複数の吐出口213の基板Wの配列方向(X軸方向)における位置は、リフタ13に保持された隣り合う基板Wの間および両端に配置された基板Wの外側に対応する位置となっている。第二吐出ノズル211、211に処理液が供給されると、複数の吐出口213から斜め上方である内槽15の内部において処理液に浸漬されている基板Wに向けて処理液が吐出される。第二吐出ノズル211、211は、後述する第三吐出ノズル221、221より下方に配置され、本発明の第二撹拌用吐出手段を構成している。
【0041】
また、第一吐出ノズル201、201および第二吐出ノズル211、211は、本発明の撹拌用吐出手段を構成している。
【0042】
第一吐出ノズル201、201の下方であって第二吐出ノズル211、211の上方、かつ処理液中に浸漬された基板Wの中心よりも低い位置の長辺側壁151、151には内槽15の内側へ向けて開いた断面V字形状の溝である溝部16、16が形成されている。溝部16、16は、一対の長辺側壁151、151のそれぞれにおいて、水平方向に延びている。即ち、溝部16、16はX軸方向の長さが長辺側壁151、151と略等しい平板状の上側テーパー面161と下側テーパー面163で構成され、上側テーパー面161と下側テーパー面163はそれぞれ1つの長辺を共有する形で接合されている。また、上側テーパー面161と下側テーパー面163は接合された長辺を内槽15の外側へ突出するように(断面V字型の開口を内槽15の内側に向けて)設けられる。この、溝部16、16が、本発明における凹部に相当する。
【0043】
第三吐出ノズル221、221は溝部16、16の、内槽15の内側へ向けて開いた開口付近に配置され、基板Wを挟んで対向する一対の長辺側壁151に沿って水平に固定されている。第三吐出ノズル221、221には、溝部16、16の下側テーパー面に向けて処理液を吐出する複数の吐出口223が形成されている。複数の吐出口223は、溝部16、16に沿って、水平方向に配列されている。また、複数の吐出口223のX軸方向の位置は、処理槽11内における隣り合う基板Wの間および両端に配置された基板Wの外側に対応する位置となっている。第三吐出ノズル221、221に処理液が供給されると、第三吐出ノズル221、221の複数の吐出口223から溝部16、16の下側テーパー面163に向けて処理液が吐出される。すなわち、第三吐出ノズル221、221は、溝部16、16の内部へ向けて、斜め下方へ処理液を吐出する。この、第三吐出ノズル221、221が本発明における吐出手段に相当する。
【0044】
溝部16、16の上側テーパー面161の上端付近と第三吐出ノズル221、221との間には板状部材18が取り付けられており、第三吐出ノズル221、221の上側にある溝部16、16の開口を閉塞している。板状部材18は、処理槽11と一体に形成されたものであってもよく、処理槽11に取り付けられた別体の部材であってもよい。板状部材18は、第三吐出ノズル221の最も+X側の端部に配置された吐出口223に対応する位置から、第三吐出ノズル221の最も−X側の端部に配置された吐出口223に対応する位置まで、X軸方向に広がっていることが、好ましい。
【0045】
図6は図4において一点鎖線で示される領域Xの拡大図であり、第三吐出ノズル221、221から処理液が吐出された場合の処理液の流れを模式的に示したものである。一方の第三吐出ノズル221周辺の流れについては、他方の第三吐出ノズル221の周辺と鏡像関係にあるため、図4における右側の第三吐出ノズル221を代表として説明する。
【0046】
第三吐出ノズル221から吐出された処理液は、溝部16の下側テーパー面163に衝突し、下側テーパー面163に沿って拡散しつつ内槽15の内側へ向きを変えて進行する。拡散された処理液は、太くかつ低速な液流F11となって内槽15の底部中央位置に到達し、反対側の第三吐出ノズル221から吐出された流れと衝突することにより、内槽15の上方へ向きを変えてゆっくりと上昇し、内槽15をオーバーフローして外槽17に捕集される。
【0047】
内槽15の内部には、処理液の比抵抗値を計測するための比抵抗計31が設けられている。比抵抗計31は、一対の金属電極を有しており、当該金属電極間の電気抵抗を計測することにより、処理液の比抵抗値を計測する。比抵抗計31は、後述する処理液の置換処理の際に、処理槽11の内部に貯留された処理液の比抵抗値を計測し、取得された比抵抗値の情報を制御部97に送信する。なお、比抵抗計31は、金属電極中に温度センサを内蔵し、所定温度における比抵抗値の換算値を制御部97に送信するものであってもよい。
【0048】
リフタ13は、基板Wを保持しつつ内槽15の内部と処理槽11の上方の位置との間で基板Wを昇降移動させるための搬送機構である。リフタ13は、基板Wの配列方向にのびる3本の保持棒131を有しており、各保持棒131には図示しない複数の保持溝が刻設されている。基板Wは、その周縁部を保持溝に嵌合させた状態で3本の保持棒131上に互いに平行に起立姿勢で保持される。また、リフタ13は、モータやボールネジ等を組み合わせた公知の機構により構成される駆動部135と、シャフト133を介して接続されている。駆動部135を動作させるとリフタ13は上下に移動し、基板Wは、内槽15の内部の浸漬位置(基板Wが内槽15に貯留された処理液に完全に浸漬される位置)と、処理槽11の上方の引き上げ位置(基板Wが内槽15に貯留された処理液から完全に露出した位置)との間で搬送される。このリフタ13と駆動部135が本発明における保持手段に相当する。
【0049】
次に、処理液供給部41について図7を用いて説明する。図7は処理液供給部41の構成を示す図である。処理液供給部41は処理槽11に処理液である脱イオン水(De Ionized Water。以下「DIW」と称する)及びフッ酸(以下「HF」と称する)を供給するDIW供給部421及びHF供給部431を備える。
【0050】
DIW供給部421には配管423の一端が管路接続し、配管423の他端は集合配管401に管路接続している。また、配管423には開閉弁425が介挿されており、開閉弁425は常時閉成とされている。また、開閉弁425は制御部97と電気的に接続されている。尚、DIW供給部421は基板処理装置9の内部に設けられていても、外部に設けられていてもよい。さらに、DIW供給部421は内部にDIWを貯留するタンクを備える構成を採っても良いし、工場ユーティリティから直接DIWの供給を受ける構成を採っても良い。
【0051】
HF供給部431には配管433の一端が管路接続し、配管433の他端は集合配管401に管路接続している。また、配管433には開閉弁435が介挿されており、開閉弁435は常時閉成とされている。また、開閉弁435は制御部97と電気的に接続されている。尚、HF供給部431は基板処理装置9の内部に設けられていても、外部に設けられていてもよい。さらに、HF供給部431は内部にHFを貯留するタンクを備える構成を採っても良いし、工場ユーティリティから直接HFの供給を受ける構成を採っても良い。
【0052】
集合配管401は途中で2つに分岐し、それぞれ第一分岐配管403及び第二分岐配管405に管路接続している。また、2つに分岐した集合配管401には開閉弁407、409がそれぞれ介挿されており、開閉弁407、409はともに常時閉成とされている。また、開閉弁407、409は制御部97と電気的に接続されている。
【0053】
第一分岐配管403は内槽15の2つの長辺側壁151、151の上側に配設された2本の第一吐出ノズル201、201と下側に配設された2本の第二吐出ノズル211、211にそれぞれ管路接続している。第二分岐配管405は内槽15の2つの長辺側壁151、151に設けられた溝部16、16近傍に配設された2本の第三吐出ノズル221、221に管路接続している。
【0054】
制御部97が開閉弁425に動作指令を行い、開閉弁425が開成するとDIW供給部421からDIWの供給が開始される。この時点で、制御部97が開閉弁407に動作指令を行い、開閉弁407が開成すると、DIW供給部421からDIWが配管423、集合配管401、第一分岐配管403を介して、第一吐出ノズル201、201及び第二吐出ノズル211、211から内槽15内に吐出される。
【0055】
DIW供給部421からDIWの供給が開始された時点で、制御部97が開閉弁409に動作指令を行い、開閉弁409が開成すると、DIW供給部421からDIWが配管423、集合配管401、第二分岐配管405を介して、第三吐出ノズル221、221から内槽15内に吐出される。尚、開閉弁407と開閉弁409は選択的に開成される。
【0056】
制御部97が開閉弁435に動作指令を行い、開閉弁435が開成するとHF供給部431からHFの供給が開始される。この時点で、制御部97が開閉弁407に動作指令を行い、開閉弁407が開成すると、HF供給部431からHFが配管433、集合配管401、第一分岐配管403を介して、第一吐出ノズル201、201及び第二吐出ノズル211、211から内槽15内に吐出される。
【0057】
HF供給部431からHFの供給が開始された時点で、制御部97が開閉弁409に動作指令を行い、開閉弁409が開成すると、HF供給部431からHFが配管423、集合配管401、第二分岐配管405を介して、第三吐出ノズル221、221から内槽15内に吐出される。
【0058】
すなわち、開閉弁407および開閉弁409は、第三吐出ノズル221、221による処理液の吐出と、第一吐出ノズル201、201及び第二吐出ノズル211、211による処理液の吐出とを切り替える、切り替え手段を構成している。
【0059】
外槽17には配管171の一端が管路接続されており、配管171の他端は図示しない排液処理部へ管路接続している。内槽15からオーバーフローした処理液は外槽17に受け止められ、配管171を介して排液処理部へ送られ、再利用や廃棄に関する処理が行われる。
【0060】
制御部97は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAM及び制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく磁気ディスクを備える。磁気ディスクには、基板Wに応じた処理条件が、処理プログラム(レシピとも呼ばれる)として予め格納されおり、CPUがその内容をRAMに読み出し、RAMに読み出された処理プログラムの内容に従ってCPUが基板処理装置9の各部を制御する。
【0061】
<2.基板処理装置の動作>
続いて、上記の処理ユニット10において基板Wを処理するときの動作について、図8及び図9のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0062】
この処理ユニット10において基板Wの処理を行うときには、まず、制御部97が動作指令を行い、開閉弁407を閉成すると共に開閉弁409及び開閉弁425を開成する。これにより、DIW供給部421から、DIWが、配管423、集合配管401、第二分岐配管405を介して、第三吐出ノズル221、221から内槽15内に吐出される。これにより、DIWが内槽15の内部に徐々に貯留され、やがて内槽15の上部から外槽17へオーバーフローする(ステップS01)。外槽17へオーバーフローしたDIWは、配管171を通って排液処理部へ排出される。
【0063】
次に、カセット載置部91、基板移載部92及び基板搬送部93を経由して搬送された基板Wが、処理槽11の上方である引き上げ位置において待機するリフタ13上に載置される。リフタ13上に基板Wが載置されると、制御部97が駆動部135に動作指令を行い、駆動部135を動作させてリフタ13を浸漬位置に降下させる。これにより、内槽15の内部に貯留されたDIW中に基板Wが浸漬される(ステップS02)。
【0064】
続いて、制御部97が動作指令を行い、開閉弁409及び開閉弁425を閉成するとともに開閉弁407及び開閉弁435を開成する。これにより、HF供給部431から、HFが、配管433、集合配管401、第一分岐配管403を介して、第一吐出ノズル201、201及び第二吐出ノズル211、211から内槽15内に吐出される。このように内槽15の内部にHFを供給しつつ、内槽15の上部から外槽17へ処理液をオーバーフローさせることにより、内槽15の内部をDIWからHFに徐々に置換する(ステップS03)。
【0065】
DIWからHFへの置換が開始されると、基板Wの主面近傍に供給されたHFにより、基板Wのエッチング処理が開始される。ここで、HFは、内槽15の両側に配置された第一吐出ノズル201、201及び第二吐出ノズル211、211から内槽15の内側へ向けて吐出され、図10に示すように、内槽15の内部に比較的高速の液流を形成する。このため、内槽15の内部に供給されたHFは、内槽15の内部全体に大きく攪拌される。したがって、DIWからHFへの置換の途中においても、常に、内槽15の内部においてHFの濃度は均一化され、基板Wの主面全体に均一にエッチング処理が行われる。
【0066】
図8に戻る。DIWからHFへの置換が完了した後も、必要に応じて第一吐出ノズル201、201及び第二吐出ノズル211、211からのHFの吐出を継続する。内槽15に貯留されたHFの中に浸漬された基板Wは、引き続きエッチング処理を受ける(ステップS04)。
【0067】
続いて、内槽15の内部をHFからDIWに置換する(ステップS05)。以下では、ステップS05におけるHFからDIWへの置換処理の詳細な手順について、図9のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0068】
内槽15の内部をHFからDIWに置換するときには、まず、制御部97が動作指令を行い、開閉弁435を閉成し、開閉弁425を開成する。尚、開閉弁409が閉成、開閉弁407が開成されている状態は維持する。これにより、DIW供給部421からDIWが配管423、集合配管401、第一分岐配管403を介して、第一吐出ノズル201、201及び第二吐出ノズル211、211から内槽15内に吐出される。このように内槽15の内部にDIWを供給しつつ、内槽15の上部から外槽17へ処理液をオーバーフローさせることにより、内槽15の内部をHFからDIWに徐々に置換する(ステップS51)。
【0069】
ここで、HFからDIWへの置換の初期段階では、内槽15の内部に残存するHFにより基板Wのエッチング処理が依然として進行する。このような置換の初期段階においては、第一吐出ノズル201、201及び第二吐出ノズル211、211からDIWを吐出し、図10に示したように、内槽15の内部に比較的高速の液流を形成する。これにより、内槽15の内部に残存するHFは、内槽15の内部全体に大きく攪拌され、基板Wの主面全体において均一にエッチング処理が行われる。
【0070】
図9に戻る。HFからDIWへの置換が進行すると、内槽15の内部に貯留された処理液中のHFの濃度は徐々に低下する。そして、HF濃度の低下に伴い、比抵抗計31の計測値は徐々に上昇する。制御部97は、比抵抗計31の計測値を受信し、当該計測値が所定の基準値r1に到達したかどうか連続的に監視する(ステップS52)。ここで、基準値r1は、処理液中のHFにより基板Wに対するエッチング処理が実質的に進行しなくなるような処理液の比抵抗値であり、事前の実験等に基づいて制御部97に予め設定されている。
【0071】
制御部97は、比抵抗計31の計測値が上記の基準値r1に到達した時点で制御指令を行い、開閉弁407を閉成するとともに開閉弁409を開成する。これにより、第一吐出ノズル201、201及び第二吐出ノズル211、211からのDIWの吐出を停止して、第三吐出ノズル221、221からのDIWの吐出を開始する(ステップS53)。
【0072】
第三吐出ノズル221、221から吐出されたDIWは、内槽15の長辺側壁151に形成された溝部16、16に衝突して拡散し、内槽15の底部中央付近へ向けて進行する。このため、内槽15の内部では、図11に示すように、内槽15の底部付近から上部へ向かう低速かつ一律な液流が形成される。したがって、内槽15の内部に残存するHFは、低速なDIWの液流に押し出されるようにして内槽15の上部から外槽17へ排出され、内槽15の内部においてDIWへの置換が効率よく進行する。
【0073】
また、このステップS53では、長辺側壁151、151の内側面に設けられた溝部16、16に向けて、第三ノズル221、221からDIWが吐出される。このとき、溝部16の下側テーパー面163に衝突して上下に分離されたDIWの流れのうち、第三ノズル221、221の上方へ向かう流れは、板状部材18により堰き止められる。このため、内槽15の底部から上方へ向かうDIWの流れが、溝部16の上部付近において、撹乱されにくくなる。すなわち、溝部16から底壁153側へ向かうDIWは、内槽15の底部から上方へ向けて、より均一に流れることとなる。その結果、内槽15の内部において、DIWへの置換が、より効率よく進行する。
【0074】
図9に戻る。制御部97は、引き続き比抵抗計31の計測値を受信し、当該計測値が所定の基準値r2に到達したかどうかを連続的に監視する(ステップS54)。ここで、基準値r2は、処理液中のHFがほぼ完全に排出され、内槽15の内部がほぼ完全にDIWに置換されたと判断できるような処理液の比抵抗値であり、予め制御部ユニット97に設定されている。そして、比抵抗計31の比抵抗値が基準値r2に到達すると、後続のステップS06へ移行する。
【0075】
図8に戻る。制御部97は、比抵抗計31の計測値が上記の基準値r2に到達した後も、必要に応じて第三吐出ノズル221、221からのDIWの吐出を継続する。これにより、内槽15に貯留されたDIWの中に浸漬された基板Wは、DIWによるリンス処理を受ける(ステップS06)。
【0076】
その後、制御部97が駆動部135に動作指令を行い、リフタ13を引き上げ位置に上昇させることにより、内槽15の内部から基板Wを引き上げる(ステップS07)。これにより、処理ユニット10における一組の基板Wに対する処理が終了する。
【0077】
図12及び図13に、特許文献1の処理槽503、及び本実施形態の内槽15における処理液の置換を行っている状態(上記のステップS53に相当する、処理液を吐出ノズル513または第三吐出ノズル221、221から吐出している状態)の流れをシミュレーションした結果を示す。図12及び図13は汎用の流体解析ソフトウェアを使用したシミュレーションの結果を概略化して示したものである。これによると、図12における吐出ノズル513の左上付近に生じていた処理液の液流の乱れが、図13においては解消されており、全体として概ね内槽15の下から上へ向かう流れが生じている。従って、効率的に処理液の置換ができる流れが発生していることが理解される。
【0078】
<3.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、上記の実施形態では、溝部16、16は、一対の上側テーパー面161と下側テーパー面163により構成される断面V字形状の溝であったが、溝部16、16の形状は、断面V字形状以外の多角形状や曲面形状(半円形)等の他の形状であってもよい。
【0079】
また、上記の実施形態では、溝部16、16の上側テーパー面161の上端付近から第三吐出ノズル221、221それぞれに向けて板状部材18が延設されていたが、図14に示すように、第三吐出ノズル221、221を溝部16、16の上側テーパー面161に接触または埋設して設置する構成を取っても良い。この場合、第三吐出ノズル221から溝部16へ向けて吐出されて、上下に分離された処理液の流れのうち、上方へ向かう処理液の流れは、第三吐出ノズル221、221自体により堰き止められる。したがって、内槽15の底部から上方へ向かう処理液の流れが、溝部16の上部付近において撹乱されることを、抑制できる。
【0080】
また、上記の実施形態では、処理液としてHFおよびDIWを使用していたが、本発明の基板処理装置は、他の処理液を使用して基板Wの処理を行うものであってもよい。また、本発明は、半導体基板を処理対象とする基板処理装置だけではなく、液晶表示装置用ガラス基板やフォトマスク用ガラス基板等の種々の基板を処理対象とする基板処理装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0081】
1 処理部
7 乾燥部
9 基板処理装置
10 処理ユニット
11 処理槽
13 リフタ
15 内槽
16 溝部
17 外槽
18 板状部材
22 駆動部
31 比抵抗計
41 処理液供給部
71 乾燥槽
73 リフタ
91 カセット載置部
92 基板移載部
93 基板搬送部
97 制御ユニット
151 長辺側壁
152 短辺側壁
153 底壁
161 上側テーパー面
163 下側テーパー面
201 第一吐出ノズル
203 吐出口
211 第二吐出ノズル
213 吐出口
221 第三吐出ノズル
223 吐出口
401 集合配管
403 第一分岐配管
403 分岐配管
405 第二分岐配管
405 分岐配管
911 カセット載置領域
913 カセット移載ロボット
915 カセット把持アーム
917 カセット洗浄機構
921 カセット移載台
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁と底壁とを有し、その内部に処理液を貯留する処理槽と、
前記処理槽を構成する側壁のうち、相対向する一対の前記側壁であって、底壁の近傍にそれぞれ形成され、前記処理槽内部に向けた開口を有する凹部と、
前記凹部それぞれの内部に向けて処理液を吐出する一対の吐出手段と、
前記凹部の上端付近と前記吐出手段とを連結する板状部材と、
を備える基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置であって、
前記凹部は、前記一対の側壁のそれぞれにおいて水平方向に延びる溝であり、
前記吐出手段は、前記溝に沿って水平方向に配列された複数の吐出口を有し、
前記板状部材は、一方の端部に配置された前記吐出口に対応する位置から、他方の端部に配置された前記吐出口に対応する位置まで、広がっている基板処理装置。
【請求項3】
側壁と底壁とを有し、その内部に処理液を貯留する処理槽と、
前記処理槽を構成する側壁のうち、相対向する一対の前記側壁であって、底壁の近傍にそれぞれ形成され、前記処理槽内部に向けた開口を有する凹部と、
前記凹部それぞれの内部に向けて処理液を吐出する一対の吐出手段と、
を備え、
前記吐出手段は、前記凹部の上半部分に当接又は埋設されている基板処理装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の基板処理装置であって、
前記吐出手段は、前記凹部の内部へ向けて、斜め下方へ処理液を吐出する基板処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の基板処理装置であって、
前記凹部は、前記処理槽の内側へ向けて開いた断面V字形状の溝であり、
前記吐出手段は、前記断面V字形状の溝を構成する一対のテーパー面のうち、下側の
テーパー面へ向けて処理液を吐出する基板処理装置。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の基板処理装置であって、
前記処理槽内の基板に向けて処理液を吐出する撹拌用吐出手段と、
前記一対の吐出手段による処理液の吐出と、前記撹拌用吐出手段による処理液の吐出とを切り替える切り替え手段と、
をさらに備える基板処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の基板処理装置であって、
前記撹拌用吐出手段は、
前記一対の吐出手段より上方に配置された一対の第一撹拌用吐出手段と、
前記一対の吐出手段より下方に配置された一対の第二撹拌用吐出手段と、
を含む基板処理装置。
【請求項8】
基板に対して処理液による処理を行う基板処理方法であって、
a)側壁と底壁とを有する処理槽の内部において、処理液中に基板を浸漬する工程と、
b)前記側壁の内側面に設けられた凹部に向けてノズルから処理液を吐出しつつ、前記凹部内から前記ノズルの上方へ向かう処理液の流れを堰き止め、前記凹部から前記底壁側へ向かう処理液の流れを形成する工程と、
を含む基板処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−70022(P2013−70022A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−110928(P2012−110928)
【出願日】平成24年5月14日(2012.5.14)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】