説明

基板処理装置及び方法

【課題】蒸着均一度及び蒸着率を向上させることができる基板処理装置及び方法を提供する。
【解決手段】基板処理装置は処理室内に位置されたサセプタに基板が置かれ、シャワーヘッドが基板へガスを供給する。高周波電源は高周波ラインを通じてシャワーヘッドの第1側面に連結され、可変キャパシターは電気ラインを通じてシャワーヘッドの第1側面とは反対側を向く第2側面に連結される。電気ラインには高周波電源が提供されない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板処理装置及び方法に関し、より詳細にはプラズマを利用して基板を処理する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非晶質シリコンソーラセル(amorphous silicon solar cell)、マイクロ結晶ソーラセル(microcrystalline solar cell)、薄膜多結晶ソーラセル(thin film polycrystalline solar cell)、薄膜半導体素子(thin film semiconductor device)、光センサー(optical sensor)、半導体保護フィルム(semiconductor protective film)、及びディスプレー装置(display device)等のような多様な電子素子を製造するために基板上に薄膜を形成するための蒸着工程が要求される。このような蒸着工程を遂行するために、プラズマ化学気相蒸着(plasma chemical vapor deposition)装置が使用されている。
【0003】
一般的なプラズマ化学気相蒸着装置は、容量結合プラズマ放電によってプラズマを発生させる。このような蒸着装置の処理室の内部には2つの平板電極が所定間隔に離隔されて提供される。2つの電極の中で1つは接地され、基板が置かれるサセプタとして提供される。他の1つの電極はサセプタに対向するように位置され、高周波電源に連結される。
【0004】
蒸着工程で生産性向上及び費用節減のために薄膜の蒸着率を向上させることは重要であり、最近では、薄膜の蒸着率を向上させるために30乃至300メガヘルツ(MHz)の超短波(VHF、very high frequency)を電極へ印加する。しかし、大面積ソーラパネル(large area solar panel)のような大型基板に超短波を利用してプラズマ工程を遂行するとき、基板の領域別の蒸着均一度が大きく低下してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,363,881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、蒸着均一度及び蒸着率を向上させることができる基板処理装置及び方法を提供する。
【0007】
また、本発明は大面積ソーラパネル等のような大型基板を対象に蒸着工程を遂行できる基板処理装置及び方法を提供する。
【0008】
本発明の目的は、以上で言及された目的に制限されない。言及されないその他の目的は、当業者であれば下の記載から明確に理解できる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は基板処理装置を提供する。基板処理装置は処理室と、前記処理室内に位置され、基板が置かれるサセプタと、前記処理室内に位置され、前記基板にガスを供給するシャワーヘッドと、高周波ラインを通じて前記シャワーヘッドの第1側面に連結された高周波電源と、電気ラインを通じて前記シャワーヘッドの第1側面とは反対側を向く第2側面に連結された可変キャパシターと、を含み、前記電気ラインには高周波電源が提供されないように設ける。
【0010】
前記シャワーヘッドは単一で配され、前記シャワーヘッドの第1側面には複数の給電ロッドが配され、前記高周波ラインは前記給電ロッドに各々連結された高周波分岐ラインを有する。
【0011】
前記給電ロッドは前記シャワーヘッドの第1側面に沿って互に離隔して配される。前記シャワーヘッドの第2側面には複数の接続ロッドが前記シャワーヘッドの第2側面に沿って互に離隔して配され、前記電気ラインは複数の接続ロッドに各々連結された電気分岐ラインを有する。前記給電ロッドと前記接続ロッドとは各々一対一に対応し、互に対向するように配置される。
【0012】
基板処理装置は前記高周波電源と前記高周波分岐ラインとの間の区間で前記高周波ラインに提供される高周波整合器をさらに含む。そして、前記電気ラインに提供される可変インダクタをさらに含む。
【0013】
他の実施形態による基板処理装置は前記シャワーヘッドは複数個が同一の高さで互に離隔して配され、前記シャワーヘッドの第1側面には単一の給電ロッドが各々配され、前記シャワーヘッドの第2側面には単一の接続ロッドが各々配され、前記高周波ラインは前記給電ロッドに各々連結された高周波分岐ラインを有し、前記電気ラインは前記接続ロッドに各々連結された分岐電気ラインを有する。前記給電ロッドと前記接続ロッドとは一対一に対応して互に対向するように配置される。
【0014】
基板処理装置は隣接する前記シャワーヘッドの間に位置され、前記シャワーヘッドを電気的に絶縁させる絶縁部材をさらに含む。前記電気ラインに提供される可変インダクタをさらに含む。
【0015】
前記サセプタの上面と前記シャワーヘッドの底面との間の間隔は10mm以上20mm以下である。
【0016】
また、本発明は基板処理方法を提供する。基板処理方法はシャワーヘッドの第1側面に連結された給電ロッドを通じて前記シャワーヘッドへ高周波電力を印加し、前記シャワーヘッドの第1側面とは反対側を向く第2側面に連結された可変キャパシターの大きさを調節し、前記シャワーヘッドから基板へプラズマを供給し、前記基板へプラズマが供給される間において、前記可変キャパシターの容量は、第1工程時間の間には第1大きさに維持され、第2工程時間の間には前記第1大きさと相異なる第2大きさに維持される。
【0017】
前記可変キャパシターの容量が前記第1大きさに維持される間に、前記シャワーヘッドの第1領域は前記シャワーヘッドの第2領域よりプラズマ密度が高くなり、前記第2大きさに維持される間に、前記シャワーヘッドの第1領域は前記シャワーヘッドの第2領域よりプラズマ密度が低くなる。前記第1工程時間と前記第2工程時間では、工程時間が互に異なる。前記第1領域は前記シャワーヘッドの第1側面に隣接し、前記第2領域は前記シャワーヘッドの第2側面に隣接する。前記可変キャパシターの容量は、前記第1大きさと前記第2大きさとが交互に反複される。
【0018】
前記給電ロッドは前記シャワーヘッドの第1側面に沿って互に離隔して複数配され、前記高周波電力は前記給電ロッドへ同時に印加される。
【0019】
前記高周波電力は30MHz以上60MHz以下である。前記基板にプラズマが供給される間において、前記シャワーヘッドが位置される処理室の内部圧力は1Torr以上10Torr以下である。
【0020】
前記可変キャパシターが設置され、前記シャワーヘッドの第2側面に連結される電気ラインには高周波電源が提供されない。前記シャワーヘッドは単一で配され、前記給電ロッドは複数配供されて前記シャワーヘッドの第1側面に沿って互に離隔された地点で前記高周波電力を印加する。
【0021】
本発明の他の実施形態による基板処理装置は処理室と、前記処理室内に位置され、基板が置かれるサセプタと、前記処理室内に位置され、前記基板にガスを供給するシャワーヘッドと、高周波ラインを通じて前記シャワーヘッドの第1側面に連結された高周波電源と、前記高周波電源と前記シャワーヘッドとの間の区間で前記高周波ラインに設置される高周波整合器と、前記シャワーヘッドの第1側面とは反対側を向く第2側面に連結された電気ラインに提供される可変キャパシター及び可変インダクタのうち少なくとも一方と、を含み、前記電気ラインには高周波電源が提供されないように設ける。
【0022】
前記シャワーヘッドは単一で配され、前記給電ロッドは複数配されて前記シャワーヘッドの第1側面に沿って互に離隔して配置され、前記高周波ラインは前記給電ロッドに各々連結された高周波分岐ラインを有する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、基板の全体領域に膜が均一な厚さで蒸着できる。
【0024】
また、本発明によると、電極の領域にしたがって生成されるプラズマの密度調節が可能であるので、大面積ソーラパネル等のような大型基板に均一な厚さで膜を蒸着できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の基板処理装置の平面図である。
【図2】図1の基板処理装置の斜視図である。
【図3】図1の基板処理装置の内部構成を概略的に示す断面図である。
【図4】本発明の一実施形態によるシャワーヘッドを示す斜視図である。
【図5】印加された電力の周波数にしたがって発生されるプラズマの密度を示すグラフである。
【図6】可変キャパシターの容量の大きさにしたがって発生されるプラズマ密度を示すグラフである。
【図7】本発明の他の実施形態による基板処理装置の平面図である。
【図8】図7の基板処理装置の内部構成を概略的に示す断面図である。
【図9】図8のシャワーヘッドを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態は様々な形態に変形することができ、本発明の範囲が以下で説明する実施形態によって限定されることはない。本実施形態は当業者に本発明をより完全に説明するためのものであり、図面での構成要素の形状等も、説明をより明確化するために概略化されている。
【0027】
図1は本発明の基板処理装置の平面図であり、図2は図1の基板処理装置の斜視図であり、図3は図1の基板処理装置の内部構成を概略的に示す断面図である。
【0028】
図1乃至図3に示すように、基板処理装置1は基板Sに対する蒸着工程を遂行するものである。基板処理装置1は処理室100、サセプタ200、シャワーヘッド300、電源供給部400、位相可変部材500、及びガス分配部材600を有する。
【0029】
処理室100は蒸着工程が遂行される空間を提供する。処理室100はボディー110と蓋120とを有する。ボディー110は上面が開放された内部空間111を有し、蓋120はボディー110の開放された上面を覆って内部空間111を外部から密閉させる。ボディー110の一側壁には基板Sの搬入/搬出のための開口が形成され、開口はスロットバルブ130によって開閉される。スロットバルブ130は処理室100の内部へ基板Sが搬入されるとき、そして基板Sが処理室100外部へ搬出されるとき、開口を開放する。スロットバルブ130は処理室100の内で基板処理工程が遂行される間に開口を閉鎖する。ボディー110の底面には複数の排気ホール112が形成され、複数の排気ホール112は排気部材140に連結される。排気部材140は工程進行の時、処理室100の内部を減圧して工程圧力で維持させ、工程で発生した反応部産物を処理室100の外部へ排気する。排気部材140は排気ポンプ141、及び排気ホール112と排気ポンプ141とを連結する排気ライン142で形成される。
【0030】
サセプタ200は処理室100の内部に位置され、基板Sを支持する。プラズマ工程処理に提供される基板Sは、例えばソーラパネル(solar panel)である。また、基板Sは大面積基板として、横及び縦の長さが各々1メートル(m)を超過する大きさであってもよく、5世代(1、100×1、300mm)以上の大きさでも提供され得る。サセプタ200の上面210は概略矩形状を有し、基板Sより広い面積となる。サセプタ200は上面210の高さが変更されるように昇降される。本実施形態では、サセプタ200は基板Sのローディング/アンローディングの時に上昇し、基板Sの工程遂行の時の位置よりも上面210が高く位置される。サセプタ200はプラズマを発生させるために互に対向する2つの電極のうちの1つの電極として、接地して配される。サセプタ200には、複数のリフトホール(図示せず)がサセプタ200の上面210及び下面を貫通して形成される。複数のリフトホールには複数のリフトピン(図示せず)が配され、これら複数のリフトピンがリフトホールに沿って昇降して、サセプタ200の上へ基板Sをローディング/アンローディングする。サセプタ200の内部にはヒーター(図示せず)が配され、このヒーターが基板Sを加熱して基板Sの温度を工程温度に維持させる。
【0031】
サセプタ200の上部にはシャワーヘッド300が位置される。シャワーヘッド300は互に対向する2つの電極のうちの他の1つの電極として配される。
【0032】
図4は本発明の一実施形態によるシャワーヘッド300を示す斜視図である。
【0033】
図1乃至図4に示すように、シャワーヘッド300は、概略直六面体形状を有する単一のブロックであり、工程ガスを流入させる流入空間301が内部に形成される。シャワーヘッド300の上面及び底面は、サセプタ200の上面210に対応するか或いはそれより広い面積で形成される。シャワーヘッド300の上面には複数の供給ホール302が形成される。複数の供給ホール302はガス分配部材600に連結され、流入空間301へ工程ガスを供給する通路として提供される。シャワーヘッド300の底面はサセプタ200の上面に対向して並べられ、サセプタ200の上面210との間に所定間隔を維持する。本実施形態では、シャワーヘッド300の底面はサセプタ200の上面と10mm乃至20mmの間隔に維持される。一般的に、プラズマ放電に要求される放電電圧は処理室100内部の工程圧力と2つの電極の間の間隔に比例する。したがって、工程圧力が高くなれば、プラズマ発生のための放電電圧の大きさも高くなる。しかし、放電電圧の大きさを増加させるためには現実的な制限がある。本発明では、このような現実的な制限を考慮して、サセプタ200とシャワーヘッド300との間隔を10mm乃至20mmに維持させる。これによれば、工程圧力が高くなっても2つの電極200、300の間の間隔が最小間隔に維持されるので、高い工程圧力条件でもプラズマ放電に要求される放電電圧を印加することができる。
【0034】
シャワーヘッド300の底面はプラズマによるアーク(arc)の発生を防止するためにその表面が陽極化(Anodize)処理され得る。シャワーヘッド300の底面には複数の噴射ホール303が形成される。複数の噴射ホール303は互に離隔されてシャワーヘッド300の底面に均一に形成され、流入空間301へ供給された工程ガスを基板Sへ供給する。
【0035】
シャワーヘッド300の流入空間301にはガス分散板310が配される。ガス分散板310はシャワーヘッド300の内側面から離隔され、シャワーヘッド300の底面と並んで配置される。ガス分散板310は単一の板で提供されるか、又は複数の板を同一高さで互に離隔して配置することで提供される。ガス分散板310は、流入空間301へ流入された工程ガスが流入空間301の各領域に均一に供給されるように、流入されたガスを分散させる。分散されたガスは、複数の噴射ホール303を通じて均一に基板Sへ供給され得る。ガス分散板310には複数の貫通ホール(図示せず)が形成され、これら複数の貫通ホールを通じて、ガス分散板310の上部から下部へと工程ガスが直接流れる。
【0036】
シャワーヘッド300の第1側面300aには電源供給部400が連結される。電源供給部400はシャワーヘッド300へ高周波電力を印加する。電源供給部400は高周波電源410、給電ロッド420、高周波整合器430、及び、高周波ライン440を含む。高周波電源410は高周波電力を発生させる。高周波電源410としてはRF電源が使用され得る。
【0037】
給電ロッド420はシャワーヘッド300の第1側面300aに連結される。給電ロッド420はロッド(rod)形状の伝導体であり、シャワーヘッド300と電気的に連結される。本実施形態では、給電ロッド420はシャワーヘッド300の第1側面300aに沿って互に離隔して複数配され、同一高さで一列に配置される。各々の給電ロッド420a乃至420dはシャワーヘッド300の第1側面300aへ高周波電力を印加する。給電ロッド420a乃至420dはシャワーヘッド300の第1側面300aの横方向に沿って均一間隔をあけて高周波電力を印加するので、シャワーヘッド300の全体領域には高周波電力が均一に印加される。
【0038】
高周波ライン440は高周波電源410と給電ロッド420a乃至420dとを電気的に連結する。本実施形態では、高周波ライン440は高周波メインライン441と高周波分枝ライン442とを有する。高周波メインライン441には高周波電源410が設置されて高周波電力が印加される。高周波分岐ライン442a乃至442dは各々の一端が高周波メインライン441の分岐端に連結され、他端が給電ロッド420a乃至420dに各々連結される。高周波分岐ライン442a乃至442dは一対一で対応して給電ロッド420a乃至420dに連結される。そのため、高周波電力は各々の給電ロッド420a乃至420dへ同時に印加され得る。高周波整合器430は高周波メインライン441に設置されて、高周波電力の電力損失を最小化する。
【0039】
シャワーヘッド300の第2側面300bには位相可変部材500が連結される。シャワーヘッド300の第2側面300bは第1側面300aとは反対側を向く面である。位相可変部材500は接続ロッド510、電気ライン520、可変キャパシター530、及びインダクタ540を含む。
【0040】
接続ロッド510はシャワーヘッド300の第2側面300bに連結される。
【0041】
接続ロッド510はロッド形状の伝導体で提供され、シャワーヘッド300と電気的に連結される。
【0042】
本実施形態では、接続ロッド510はシャワーヘッド300の第2側面300bに沿って互に離隔して複数配され、同一高さで一列に配置される。各々の接続ロッド510a乃至510dは給電ロッド420a乃至420dと一対一で対応して互に対向するように配置される。各々の接続ロッド510a乃至510dにはシャワーヘッド300へ印加された高周波電力が伝達される。接続ロッド510a乃至510dは電気ライン520に連結される。電気ライン520はメイン電気ライン521と複数個の分岐電気ライン522を有する。メイン電気ライン521には可変キャパシター530とインダクタ540が配され、終端が接地される。分岐電気ライン522a乃至522dは各々の一端が接続ロッド510a乃至510dに連結され、他端がメイン電気ライン521の分岐端に連結される。分岐電気ライン522a乃至522dは一対一で対応して接続ロッド510a乃至510dに連結される。可変キャパシター530は、対向する一対の電極板の間の間隔調節を通じて、格納できる電圧と電荷との容量を調節することができる。インダクタ540には固定インダクタ又は可変インダクタが用いられる。
【0043】
ガス分配部材600はシャワーヘッド300の流入空間301へ工程ガスを供給する。ガス分配部材600はハウジング610、流入ポート620、及び連結管630を有する。ハウジング610は薄板形状であり、内部空間611が形成される。ハウジング610はシャワーヘッド300の上部に位置され、シャワーヘッド300と並べて配置される。ハウジング610の上面には流入ポート620が連結される。流入ポート620は管状であり、処理室100の蓋120を貫通してハウジング610に連結される。工程ガスは流入ポート620を通じてハウジング610の内部空間611へ流入される。複数の連結管630はハウジング610とシャワーヘッド300との間に位置され、ハウジング610の内部空間611とシャワーヘッド300との流入空間301を連結する。複数の連結管630は互に離隔して複数配される。本実施形態では、複数の連結管630を上方から視たとき、複数の行と列とを有する格子模様で配置される。上述した構造によって、処理室100の外部に格納された工程ガスは流入ポート620を通じてハウジング610の内部空間611へ供給され、ハウジング610の内部空間611で一時的に留まった後、複数の連結管630を通じてシャワーヘッド300の流入空間301へ供給される。
【0044】
上述したような構成を有する基板処理装置を利用して基板Sに対する蒸着工程を遂行する過程は、次の通りである。
【0045】
基板Sがサセプタ200の上面210にローディングされると、処理室100の内部が外部に対して密閉される。サセプタ200の上面210とシャワーヘッド300の底面とは10mm乃至20mmの間隔に維持される。排気部材140は処理室100の内部空気を外部へ排気して処理室100の内部を減圧する。本実施形態では、排気部材140の減圧によって処理室100内部圧力は1Torr以上且つ10Torr以下に維持される。これは、プラズマ蒸着工程で処理室100の内部圧力が一般的に1Torr未満に未満に維持されることに比べて、相対的に高圧状態である。処理室100の内部圧力が1Torr未満に維持される場合、発生されたプラズマイオンの平均自由行路(Mean Free Path)が長くなってイオン衝突によるダメージ(Damage)が薄膜で発生する。しかし、処理室100の内部圧力が1Torr以上に維持される場合、プラズマイオンの平均自由行路が短くなってイオン衝突によるダメージの発生が予防できる。このため、蒸着される薄膜の品質が向上される。
【0046】
処理室100の内部圧力が前記圧力に維持されれば、ガス分配部材600からシャワーヘッド300の流入空間301へ工程ガスが供給される。シャワーヘッド300の流入空間301内の工程ガスは複数の噴射ホール303を通じてサセプタ200とシャワーヘッド300との間の空間へ供給される。
【0047】
工程ガスが供給される間に、シャワーヘッド300に高周波電力が印加される。高周波電力はシャワーヘッド300の第1側面300aに連結された給電ロッド420を通じてシャワーヘッド300へ印加される。本実施形態では、印加される高周波電力は30MHz以上60MHz以下の周波数を維持する。印加された高周波電力によってサセプタ200とシャワーヘッド300との間の空間に留まる工程ガスは解離され、プラズマ状態になる。
【0048】
図5は印加された電力の周波数にしたがって発生するプラズマの密度を示すグラフである。
【0049】
図5に示すように、印加された高周波数電力Aは低周波数の電力Bに比べて全体的に高い密度のプラズマを発生させる。しかし、高周波数電力Aによって発生されるプラズマには、電極の領域にしたがって大きな密度差が生じるという問題がある。このような密度差は、基板Sに蒸着される薄膜の厚さを不均一にする。
【0050】
本発明では、高周波電力の印加によって発生するプラズマの密度差を解決するために、シャワーヘッド300の第2側面300bに連結された可変キャパシター530の容量の大きさを調節する。可変キャパシター530の容量変化にしたがって、相対的に高い密度のプラズマが発生する領域が変更される。
【0051】
図6は可変キャパシター530の容量の大きさにしたがって発生されるプラズマ密度を示すグラフである。
【0052】
図3及び図6に示すように、可変キャパシター530の容量の大きさにしたがって周波数位相が移動され、プラズマが高密度で発生する領域の位置が移動される。本実施形態では、可変キャパシター530の容量が第1大きさAに維持される場合、シャワーヘッド300の第1領域X1では第2領域X2よりもプラズマ密度が高く形成される。そして、可変キャパシター530の容量が第2大きさBに維持される場合、シャワーヘッド300の第2領域X2では第1領域X1よりもプラズマ密度が高く形成される。第1大きさAと第2大きさBとは、互に異なる。シャワーヘッド300の第1領域X1は、シャワーヘッド300の第1側面300aに隣接する領域であり、第2領域X2は、シャワーヘッド300の第2側面300bに隣接する領域である。可変キャパシター530は、基板Sへプラズマが供給される第1工程時間の間は第1大きさAに維持され、第2工程時間の間に第2大きさBに維持される。このため、第1工程時間と第2工程時間とが経過する間に、プラズマはシャワーヘッド300の全体領域にかけて均一な密度A+Bで発生し、基板Sの全体領域には均一な厚さの薄膜が蒸着される。
【0053】
基板Sへプラズマが供給される間に、可変キャパシター530の容量は第1大きさAと第2大きさBとが交互に反複される。第1工程時間は第2工程時間より短いか、或いは長くてもよい。このような工程条件の変更は、相対的に高い密度のプラズマが発生される位置及び発生されるプラズマの密度差を考慮して、使用者が多様に行うことができる。
【0054】
本実施形態では、給電ロッド420はシャワーヘッド300の第1側面300aの横方向に沿って互に離隔して複数配され、各々の給電ロッド420へ高周波電力が同時に印加される。複数の高周波電力は一定の距離を置き、シャワーヘッド300に同時に印加されるので、プラズマはシャワーヘッド300の第1側面300aの横方向に沿って均一な密度に発生される。
【0055】
図7は本発明の他の実施形態による基板処理装置の平面図であり、図8は図7の基板処理装置の内部構成を概略的に示す断面図であり、図9は図8のシャワーヘッド300を示す斜視図である。
【0056】
図7乃至図9に示すように、シャワーヘッド300は前記実施形態と異なり、複数配される。シャワーヘッド300a乃至300dは同一な高さで第1方向11に互に離隔して配され、各々のシャワーヘッド300a乃至300dはその横方向が第2方向12と平行となるように配置される。第2方向12は上方から視たとき、第1方向11と垂直になる方向であり、各々のシャワーヘッド300a乃至300dは、第1方向11に並んだ側面の幅よりも第2方向12に並んだ側面の幅のほうが相対的に長くなるように設けている。第1方向11及び第2方向12と垂直になる方向を第3方向13と称する。シャワーヘッド300a乃至300dは各々同一な大きさ及び形状を有する。各々のシャワーヘッド300a乃至300dはサセプタ200の上面より小さい面積の底面を有し、複数個のシャワーヘッド300a乃至300dが互に組み合わされて、サセプタ200の上面に対応する底面を形成する。シャワーヘッド300a乃至300dの内部には、流入空間301a乃至301dが各々形成され、その底面には噴射ホール303a乃至303dが互に離隔して均一に形成される。シャワーヘッド300a乃至300dの上面には複数の連結管630が各々連結され、流入空間301a乃至301dに工程ガスを供給する。
【0057】
シャワーヘッド300a乃至300dの第1方向11に並んだ第1側面A1乃至A4には、各々給電ロッド420a乃至420dが連結される。各々のシャワーヘッド300a乃至300dには単一の給電ロッド420a乃至420dが連結される。給電ロッド420a乃至420dは高周波ライン440を通じて高周波電源410に連結され、高周波電源410で発生した高周波電力を各々のシャワーヘッド300a乃至300dに印加する。シャワーヘッド300a乃至300dの第1側面A1乃至A4と平行に並んだ第2側面B1乃至B4には、単一の接続ロッド510a乃至510dが各々連結される。接続ロッド510a乃至510dは、電気ライン520を通じて可変キャパシター530に連結される。各々のシャワーヘッド300a乃至300dにおいて、給電ロッド420a乃至420dと接続ロッド520a乃至520dとは一対一で対応され、互に対向するように配置される。
【0058】
隣接するシャワーヘッド300a乃至300dの間には絶縁部材330a乃至330cが各々配される。絶縁部材330a乃至330cは、隣接するシャワーヘッド300a乃至300dの互に対向する側面の間に配される。絶縁部材330a乃至330cは絶縁材質から成り、隣接するシャワーヘッド300a乃至300dを電気的に絶縁させる。図1に示されたシャワーヘッド300のように、複数個の給電ロッド420a乃至420dを通じて単一のシャワーヘッド300に高周波電力が同時に印加される場合、印加された高周波電力は、接続ロッド510a乃至510dへ伝達される過程で乱され得る。しかし、本実施形態では、各々のシャワーヘッド300a乃至300dに単一の給電ロッド420a乃至420dが連結され、隣接するシャワーヘッド300a乃至300dとの間に絶縁部材330a乃至330cが配されてシャワーヘッド300a乃至300dは互に電気的に絶縁されるので、シャワーヘッド300a乃至300dに印加された高周波電力が、隣接する他のシャワーヘッド300a乃至300dに印加された高周波電力で乱れることが防止される。
【0059】
各々のシャワーヘッド300a乃至300dへ印加された高周波電力はシャワーヘッド300a乃至300dとサセプタ200との間に留まる工程ガスを解離させてプラズマを生成する。生成されるプラズマの密度は、シャワーヘッド300a乃至300dの第2方向12の領域にしたがって差異が発生する。本実施形態では、可変キャパシター530の容量が第1大きさを維持する場合、シャワーヘッド300a乃至300dの第1領域で生成されるプラズマ密度が第2領域で生成されるプラズマ密度より高くなる。そして、可変キャパシター530の容量が第2大きさを維持する場合、シャワーヘッド300a乃至300dの第2領域で生成されるプラズマ密度が第1領域で生成されるプラズマ密度より高くなる。可変キャパシター530は第1工程時間の間で第1大きさに維持され、第2工程時間の間で第2大きさに維持される。このため、第1工程時間及び第2工程時間が経過する間に、シャワーヘッド300a乃至300dの第1領域及び第2領域で生成されたプラズマの全体密度が均一になる。また、第1方向11に配置された複数のシャワーヘッド300a乃至300dには高周波電力が同時に印加され、絶縁部材330a乃至330cによって隣接するシャワーヘッド300a乃至300dへ印加された高周波電力の間には乱れが発生しないので、第1工程時間及び第2工程時間の間に、第1方向11にプラズマが均一な密度に形成され得る。このように、第1工程時間と第2工程時間との間に、シャワーヘッド330a乃至330cの第1方向11及び第2方向12に沿ってプラズマが均一な密度に形成されるので、薄膜が均一な厚さで基板に蒸着され得る。
【0060】
前記実施形態では、可変キャパシター530の容量の大きさを変化させることによって、プラズマの密度をシャワーヘッド300の領域にしたがって互いに異ならしめているが、これと異なり、可変インダクタの容量の大きさを変化させることによって、プラズマの密度をシャワーヘッド300の領域にしたがって異ならしめるように設けてもよい。
【0061】
また、前記実施形態では可変キャパシター530と可変インダクタとが共に設置されているが、これと異なり、可変キャパシター530と可変インダクタのうち一方のみが配されてもよい。また、可変キャパシター530は固定インダクタと共に設置されてもよく、可変インダクタと固定キャパシターを共に設置してもよい。
【0062】
以上の詳細な説明は、本発明を望ましい実施形態を示して説明するものであり、本発明は、多様な他の組み合わせ、変更及び環境で使用することができる。即ち、本明細書に開示された発明の概念の範囲、上述した開示内容と均等な範囲及び/又は当業界の技術又は知識の範囲内で変更又は修正が可能である。前述した実施形態は本発明の技術的思想を具現するための最善の状態を説明するものであり、本発明の具体的な適用分野及び用途で要求される多様な変更が可能である。したがって、以上の発明の詳細な説明は、開示された実施状態に本発明を制限するものでなく、また、添付された請求の範囲は、他の実施状態をも含むものとして解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0063】
100 処理室
200 サセプタ
300 シャワーヘッド
400 電源供給部
410 高周波電源
420 給電ロッド
430 高周波整合器
440 高周波ライン
500 位相可変部材
510 接続ロッド
520 電気ライン
530 可変キャパシター
540 インダクタ
600 ガス分配部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理室と、
前記処理室内に位置され、基板が置かれるサセプタと、
前記処理室内に位置され、前記基板にガスを供給するシャワーヘッドと、
高周波ラインを通じて前記シャワーヘッドの第1側面に連結された高周波電源と、
電気ラインを通じて前記シャワーヘッドの第1側面とは反対側を向く第2側面に連結された可変キャパシターと、を含み、
前記電気ラインには高周波電源が提供されないように設けたことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記シャワーヘッドは単一で配され、前記シャワーヘッドの第1側面には複数の給電ロッドが配され、
前記高周波ラインは前記給電ロッドに各々連結された複数の高周波分岐ラインを有することを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記給電ロッドは前記シャワーヘッドの第1側面に沿って互に離隔して配されることを特徴とする請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記シャワーヘッドの第2側面には複数の接続ロッドが前記シャワーヘッドの第2側面に沿って互に離隔して配され、
前記電気ラインは複数の接続ロッドに各々連結された電気分岐ラインを有することを特徴とする請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記給電ロッドと前記接続ロッドとは各々一対一で対応され、互に対向するように配置されることを特徴とする請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記高周波電源と前記高周波分岐ラインとの間の区間で前記高周波ラインに提供される高周波整合器をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記電気ラインに提供されるインダクタをさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記シャワーヘッドは複数個が同一高さで互に離隔して配され、
前記シャワーヘッドの第1側面には単一の給電ロッドが各々配され、前記シャワーヘッドの第2側面には単一の接続ロッドが各々配され、
前記高周波ラインは前記給電ロッドに各々連結された高周波分岐ラインを有し、
前記電気ラインは前記接続ロッドに各々連結された分岐電気ラインを有することを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記給電ロッドと前記接続ロッドとは一対一で対応されて互に対向するように配置されることを特徴とする請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
隣接する前記シャワーヘッドの間に位置され、前記シャワーヘッドを電気的に絶縁させる絶縁部材をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記電気ラインに提供されるインダクタをさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記サセプタの上面と前記シャワーヘッドの底面の間の間隔は10mm以上20mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項13】
シャワーヘッドの第1側面に連結された給電ロッドを通じて前記シャワーヘッドに高周波電力を印加し、前記シャワーヘッドの第1側面とは反対側を向く第2側面に連結された可変キャパシターの大きさを調節し、前記シャワーヘッドから基板にプラズマを供給し、
前記基板にプラズマが供給される間において、前記可変キャパシターの容量は、第1工程時間の間には第1大きさに維持され、第2工程時間の間には前記第1大きさと異なる第2大きさに維持されることを特徴とする基板処理方法。
【請求項14】
前記可変キャパシターの容量が
前記第1大きさに維持される間に、前記シャワーヘッドの第1領域は前記シャワーヘッドの第2領域よりプラズマ密度が高くなり、
前記第2大きさに維持される間に、前記シャワーヘッドの第1領域は前記シャワーヘッドの第2領域よりプラズマ密度が低くなることを特徴とする請求項13に記載の基板処理方法。
【請求項15】
前記第1工程時間と前記第2工程時とでは、工程時間が互に異なることを特徴とする請求項14に記載の基板処理方法。
【請求項16】
前記第1領域は前記シャワーヘッドの第1側面に隣接し、前記第2領域は前記シャワーヘッドの第2側面に隣接することを特徴とする請求項14に記載の基板処理方法。
【請求項17】
前記可変キャパシターの容量は、前記第1大きさと前記第2大きさとが交互に反複されることを特徴とする請求項14に記載の基板処理方法。
【請求項18】
前記給電ロッドは前記シャワーヘッドの第1側面に沿って互に離隔して複数配され、
前記高周波電力は前記給電ロッドへ同時に印加されることを特徴とする請求項14に記載の基板処理方法。
【請求項19】
前記高周波電力は30MHz以上60MHz以下であることを特徴とする請求項14に記載の基板処理方法。
【請求項20】
前記基板にプラズマが供給される間において、前記シャワーヘッドが位置される処理室の内部圧力は1Torr以上10Torr以下であることを特徴とする請求項14に記載の基板処理方法。
【請求項21】
前記可変キャパシターが設置され前記シャワーヘッドの第2側面に連結される電気ラインには高周波電源が提供されないことを特徴とする請求項13に記載の基板処理方法。
【請求項22】
前記シャワーヘッドは単一で配され、
前記給電ロッドは複数配されて前記シャワーヘッドの第1側面に沿って互に離隔された地点で前記高周波電力を印加することを特徴とする請求項13に記載の基板処理方法。
【請求項23】
処理室と、
前記処理室内に位置され、基板が置かれるサセプタと、
前記処理室内に位置され、前記基板にガスを供給するシャワーヘッドと、
高周波ラインを通じて前記シャワーヘッドの第1側面に連結された高周波電源と、
前記高周波電源と前記シャワーヘッドとの間の区間で前記高周波ラインに設置される高周波整合器と、
前記シャワーヘッドの第1側面とは反対側を向く第2側面に連結された電気ラインに提供される可変キャパシター及び可変インダクタのうち少なくとも一方と、を含み、
前記電気ラインには高周波電源が提供されないように設けたことを特徴とする基板処理装置。
【請求項24】
前記シャワーヘッドは単一で配され、
前記給電ロッドは複数配されて前記シャワーヘッドの第1側面に沿って互に離隔して配置され、
前記高周波ラインは前記給電ロッドに各々連結された高周波分岐ラインを有することを特徴とする請求項23に記載の基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−97356(P2012−97356A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239398(P2011−239398)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(500376449)セメス株式会社 (61)
【Fターム(参考)】