説明

基板処理装置

【課題】処理液から引き上げられる複数の基板の全面を短時間で効率的に乾燥させることができる基板処理装置を提供する。
【解決手段】ドライエア供給ダクト10A上に設けられた仕切板駆動部13は、複数の通気路110の一部を閉塞するための仕切板12をドライエア供給ダクト10Aの内側と上部外側との間でスライド可能に保持している。乾燥処理の開始から外周当接部WTが処理槽4から引き上げられるまでの間、仕切板12はドライエア供給ダクト10Aの上部外側に位置する。外周当接部WTが処理槽4から引き上げられると、仕切板12はドライエア供給ダクト10Aの内側にスライドする。この場合、仕切板12が最下部の通気路110を除く全ての通気路110を閉塞する。これにより、ドライエア供給ダクト10A内に供給されるドライエアDFが仕切板12により絞り込まれ、最下部の通気路110に導かれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に種々の処理を行う基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体ウェハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示装置用ガラス基板、プラズマディスプレイ用ガラス基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板等の基板に種々の処理を行うために、基板処理装置が用いられている。
【0003】
複数の基板を処理槽に貯留された処理液に浸漬し、洗浄処理を行う基板処理装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1の基板処理装置においては、処理槽内で基板の表面が薬液および純水により洗浄処理される。洗浄処理の施された基板は処理槽内から引き上げられる。
【0005】
洗浄処理後の基板に純水が付着していると、基板にパーティクルが付着し易くなる。また、基板に付着した純水が自然乾燥すると、基板にウォーターマークが形成される。したがって、特許文献1の基板処理装置においては、処理槽内から引き上げられた基板にドライエアが供給される。これにより、基板に付着した純水がドライエアにより置換され、基板の表面が乾燥される(乾燥処理)。
【0006】
なお、特許文献1において、ドライエアとは極めて露点の低い気体をいい、基板に供給されるドライエアの露点は例えば約−70℃である。
【特許文献1】特開2006−310759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記のような基板処理装置においては、複数の基板を処理槽に貯留された純水に浸漬するために、一度に複数の基板を保持する基板保持具が用いられる。この基板保持具は、各基板の外周端部の一部を支持することにより、複数の基板を起立姿勢でかつ平行に保持する。
【0008】
したがって、複数の基板が基板保持具により保持される場合には、各基板の外周端部が基板保持具と当接する。これにより、基板保持具により保持される複数の基板が純水から引き上げられる際、各基板と基板保持具との当接部には純水が付着する。
【0009】
乾燥処理時において、基板保持具に当接しない基板の部分は、ドライエアを供給することにより比較的短時間で乾燥する。しかしながら、上記の当接部に付着する純水を乾燥させる場合、基板全体の乾燥処理が長時間化する。
【0010】
そこで、基板と基板保持具との当接部に付着する純水を短時間で乾燥させるために、基板に供給するドライエアの温度を上昇させる方法が考えられる。しかしながら、この方法では、基板に供給するドライエアの温度が上昇することにより、基板の表面が酸化するおそれがある。また、基板保持具に優れた耐熱性を有する材料を用いる必要が生じる。
【0011】
本発明の目的は、処理液から引き上げられる複数の基板の全面を短時間で効率的に乾燥させることができる基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)第1の発明に係る基板処理装置は、基板に所定の処理を行う基板処理装置であって、処理液を貯留する処理槽と、基板の外周端部を支持し、基板を起立姿勢で保持する基板保持部と、処理槽内の処理液中と処理槽の上方位置との間で基板保持部により保持された基板を昇降させる基板昇降装置と、基板昇降装置により処理槽から引き上げられる基板に気体を供給する気体供給部と、気体供給部から基板に供給される気体の流れの断面を第1の断面および第1の断面よりも小さい第2の断面に切り替える切替機構とを備え、切替機構は、基板の外周端部と基板保持部との当接部が処理槽内に位置する間、気体供給部から基板に供給される気体の流れの断面を第1の断面に維持し、基板の外周端部と基板保持部との当接部が処理槽から引き上げられた後に気体供給部から基板に供給される気体の流れの断面を第2の断面に切り替えるものである。
【0013】
この発明に係る基板処理装置においては、処理槽に処理液が貯留され、基板昇降装置により処理槽内の処理液中と処理槽の上方位置との間で基板保持部により保持された基板が昇降される。基板保持部は、基板の外周端部を支持することにより基板を起立姿勢で保持している。基板が基板昇降装置により処理槽から引き上げられる際に、気体供給部から基板に気体が供給される。
【0014】
基板昇降装置による基板の引き上げ時において、基板の外周端部と基板保持部との当接部が処理槽内に位置する間、気体供給部から基板に供給される気体の流れの断面が、切替機構により第1の断面に維持される。これにより、処理槽から引き上げられる基板の表面が供給された気体により広い範囲で乾燥される。
【0015】
基板の外周端部と基板保持部との当接部が処理槽から引き上げられた後では、気体供給部から基板に供給される気体の流れの断面が、切替機構により第1の断面よりも小さい第2の断面に切り替えられる。これにより、気体供給部から基板に供給される気体の圧力および風速が増加し、気体が気体供給部から基板の外周端部と基板保持部との当接部に強い勢いで噴射される。
【0016】
それにより、基板の外周端部と基板保持部との当接部に付着する処理液が、気体により吹き飛ばされる。その結果、処理槽から引き上げられる基板の全面が短時間で効率的に乾燥する。
【0017】
(2)気体供給部は、水平に延びる複数段の気体通気路を有し、切替機構は、複数段の気体通気路の一部を閉塞する仕切部材と、その仕切部材を駆動することにより複数段の気体通気路の一部を閉塞する駆動装置とを備えてもよい。
【0018】
この場合、複数段の気体通気路を流れる気体が、処理槽から引き上げられる基板に供給される。これにより、基板に均一かつ円滑に気体を供給することができる。
【0019】
また、仕切板が複数段の気体通気部の一部を閉塞しない場合には、基板に供給される気体の流れの断面が大きくなる。これにより、切替機構は、気体供給部から基板に供給される気体の流れの断面を容易に第1の断面で維持することができる。
【0020】
一方、仕切板が複数段の気体通気部の一部を閉塞すると、基板に供給される気体の流れの断面が小さくなる。これにより、切替機構は、気体供給部から基板に供給される気体の流れの断面を容易に第2の断面に切り替えることができる。
【0021】
(3)駆動装置は、仕切部材を起立姿勢で昇降させることにより複数段の気体通気路の一部を閉塞してもよい。
【0022】
この場合、切替機構が水平方向に大きくなることが防止される。その結果、基板処理装置の小型化が実現される。
【0023】
(4)駆動装置は、仕切部材を回動させることにより、複数段の気体通気路の一部を閉塞してもよい。この場合、切替機構の構成が容易になる。
【0024】
(5)駆動装置は、仕切部材により閉塞されない気体通気路へ流れる気体の流れの断面が漸次小さくなるように仕切部材を水平方向に対して傾斜した状態で保持してもよい。
【0025】
この場合、気体供給部内で閉塞されない気体通気路へ気体が円滑に導かれる。その結果、気体供給部内での乱流の発生が防止され、処理槽から引き上げられる基板が均一かつより効率的に乾燥する。
【0026】
(6)気体供給部は鉛直方向に延びる鉛直筒部と、鉛直筒部の上端から処理槽の上方位置へ水平方向に延びる水平筒部とを有してもよい。
【0027】
この場合、水平筒部から処理槽上の空間に気体を容易に供給することができる。また、鉛直筒部により、気体供給部が水平方向に大きくなることが防止される。その結果、水平方向における基板処理装置の小型化が実現される。
【0028】
(7)基板処理装置は、気体供給部に設けられ、気体供給部から基板に供給される気体の流れの方向を規制する方向規制部材をさらに備え、方向規制部材は、第2の断面で流れる気体を、斜め上方から基板の外周端部と基板保持部との当接部に向かうように規制してもよい。
【0029】
この場合、基板昇降装置による基板の引き上げ時に、基板の外周端部と基板保持部との当接部に付着する処理液が斜め上方から確実に吹き飛ばされる。それにより、基板の外周端部と基板保持部との当接部が迅速に乾燥する。
【0030】
(8)基板昇降装置は、第2の断面で流れる気体が、基板の外周端部と基板保持部との当接部に向かう場合に、基板保持部により保持された基板の昇降動作を停止してもよい。
【0031】
この場合、基板の外周端部と基板保持部との当接部に第2の断面で流れる気体が確実に噴射される。それにより、基板の外周端部と基板保持部との当接部に付着する処理液が、気体により確実に吹き飛ばされる。その結果、処理槽から引き上げられる基板の全面がより短時間で効率的に乾燥する。
【0032】
(9)気体は乾燥空気であってもよい。この場合、基板に付着する処理液が乾燥空気により置換され、より効率的に除去される。
【0033】
(10)気体供給部は、処理槽の一方側に配置され、基板処理装置は、処理槽の他方側に配置され、処理槽上の雰囲気を排出するための気体排出部をさらに備えてもよい。
【0034】
この場合、処理槽の一方側に配置された気体供給部から処理槽の他方側に配置された気体排出部へ円滑に気体が流れ、処理槽上の空間における乱流の発生が防止される。これにより、基板の均一かつ効率的な乾燥処理が実現される。
【発明の効果】
【0035】
本発明に係る基板処理装置によれば、処理液から引き上げられる複数の基板の全面を短時間で効率的に乾燥させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明の一実施の形態に係る基板処理装置について説明する。以下の説明において、基板とは、半導体ウェハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示装置用ガラス基板、プラズマディスプレイ用ガラス基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板等をいう。
【0037】
[1]第1の実施の形態
(1)基板処理装置の構成および動作
図1は、第1の実施の形態に係る基板処理装置の構成を示す模式的断面図である。図1に示すように、第1の実施の形態に係る基板処理装置100は、処理槽4、ダウンフローダクト20、基板移動機構30、処理液ミキシング装置50、ドライエア発生装置60、制御部70およびファンフィルタユニットFFUを備える。
【0038】
ダウンフローダクト20の上方にファンフィルタユニットFFUが配置されている。ファンフィルタユニットFFUは、ファンおよびフィルタを備える。ファンフィルタユニットFFUのファンが動作することにより、ダウンフローダクト20内に清浄な下降気流(ダウンフロー)が発生する。
【0039】
ダウンフローダクト20内の下部に処理槽4が設けられている。処理槽4は複数の基板Wを収納可能な内槽40および内槽40の上部外周を取囲むように設けられた外槽43により形成されている。内槽40は略直方体形状を有する。
【0040】
内槽40の底部には、内槽40内に処理液を供給するための処理液供給管41および内槽40内の処理液を排出するための処理液排出管42が接続されている。本実施の形態において、内槽40内では基板Wの洗浄処理が行われる。洗浄処理時に内槽40内に供給される処理液は、洗浄液またはリンス液である。
【0041】
すなわち、内槽40内に洗浄液を供給し、内槽40内に貯留された洗浄液に基板Wを浸漬することにより、基板Wの表面を洗浄する。その後、内槽40内の洗浄液をリンス液に置換する。
【0042】
洗浄液としては、BHF(バッファードフッ酸)、DHF(希フッ酸)、フッ酸、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、シュウ酸またはアンモニア等の薬液が用いられる。リンス液としては、純水、炭酸水、水素水、電解イオン水等が用いられる。
【0043】
処理液供給管41の上流端が処理液ミキシング装置50に接続されている。処理液ミキシング装置50には、例えば薬液および純水が供給されている。処理液ミキシング装置50は、供給される薬液および純水を所定の割合で混合することができる。したがって、処理液ミキシング装置50は、薬液、純水またはそれらの混合液を処理液またはリンス液として処理液供給管41を介して内槽40内に供給する。
【0044】
外槽43の底部には、内槽40の上部から溢れ出し(オーバーフロー)、外槽43内に流れ込む処理液を排出するための処理液排出管44が接続されている。
【0045】
内槽40の上方位置に基板移動機構30が設けられている。基板移動機構30は複数の基板Wを保持する基板保持具330を上下方向に移動させる。
【0046】
基板保持具330は基板Wの外周端部を支持することにより、複数の基板Wを起立姿勢でかつ平行に並ぶように保持する。この場合、複数の基板Wは、基板保持具330が備える3つのアーム341,342,343により保持される。詳細は後述する。
【0047】
ここで、基板処理装置100に対する複数の基板Wの搬入および搬出は、図示しない搬送機構が、複数の基板Wを基板保持具330に搬送することにより行われる。
【0048】
ダウンフローダクト20の上部には、搬送エリアTEが設けられている。搬送エリアTEは、図示しない搬送機構と基板保持具330との間で複数の基板Wの受け渡しを行う際に用いられる。
【0049】
搬送エリアTEを取囲むダウンフローダクト20の部分において、対向する2つの側面にはそれぞれ開口20hが形成されている。2つの開口20hの近傍には、それぞれ開口20hを開閉可能なシャッタSHおよびシャッタ駆動部SDが設けられている。シャッタ駆動部SDは、シャッタSHを駆動することによりダウンフローダクト20の開口20hの開閉を行う。
【0050】
例えば、基板処理装置100への複数の基板Wの搬入時には、シャッタSHが開くことにより、複数の基板Wを保持する図示しない搬送機構がダウンフローダクト20内に進入する。そして、基板保持具330が、図示しない搬送機構から複数の基板Wを受け取る。
【0051】
また、基板処理装置100からの複数の基板Wの搬出時には、洗浄処理後の複数の基板Wが、ダウンフローダクト20内の基板保持具330から図示しない搬送機構に渡される。そこで、シャッタSHが開くことにより、複数の基板Wを保持する図示しない搬送機構がダウンフローダクト20外に移動する。
【0052】
処理槽4の上端部近傍に位置するダウンフローダクト20の部分において、対向する2つの側面にはそれぞれドライエア供給ダクト10Aおよびドライエア排気ダクト10Bが取り付けられている。
【0053】
ドライエア供給ダクト10Aには複数の通気ガイド11、仕切板12および仕切板駆動部13が設けられている。ドライエア排気ダクト10Bには通気ガイド11が設けられている。ドライエア供給ダクト10Aは配管61を介してドライエア発生装置60と接続されている。
【0054】
ドライエア発生装置60により発生されたドライエアDFが、配管61を通じてドライエア供給ダクト10Aに送られる。それにより、内槽40から引き上げられる基板WにドライエアDFが水平方向に吹き付けられ、基板Wの乾燥処理が行われる。基板WにドライエアDFが吹き付けられることにより、基板W周辺の雰囲気がドライエア排気ダクト10Bから排気される。
【0055】
これにより、基板WにドライエアDFが吹き付けられる際に、処理槽4上の雰囲気における乱流の発生が防止され、処理槽4の一方側から他方側へドライエアDFの円滑な流れが形成される。それにより、基板Wの均一かつ効率的な乾燥処理が実現される。
【0056】
ここで、ドライエアDFとは、極めて露点の低い気体をいう。ドライエア供給ダクト10Aからダウンフローダクト20内に供給されるドライエアDFの露点は、例えば約−70℃である。
【0057】
制御部70は、仕切板駆動部13、基板移動機構30、処理液ミキシング装置50、ドライエア発生装置60、シャッタ駆動部SDおよびファンフィルタユニットFFUと接続されている。制御部70がこれら構成部の動作を制御することにより、ダウンフローダクト20内のダウンフロー、基板処理装置100に対する基板Wの搬入搬出動作、基板Wの洗浄処理および基板Wの乾燥処理が制御される。
【0058】
ファンフィルタユニットFFUは、ダウンフローダクト20内にダウンフローを発生させる。基板移動機構30は、洗浄処理の開始時に複数の基板Wを保持する基板保持具330を内槽40内に移動させる。この状態で、処理液ミキシング装置50が、薬液または薬液と純水との混合液を洗浄液として内槽40内に供給する。これにより、基板Wが内槽40内で洗浄液に浸漬され、基板Wの表面が洗浄される。
【0059】
その後、処理液ミキシング装置50は、純水をリンス液として内槽40内に供給し、内槽40内の洗浄液を純水に置換する。これにより、基板Wが内槽40内で純水に浸漬される。このようにして、基板Wの洗浄処理が完了する。
【0060】
基板移動機構30は、洗浄処理が完了した基板Wを内槽40の上方へ引き上げる。そこで、ドライエア発生装置60が、引き上げられた基板WにドライエアDFを供給する。これにより、基板Wに付着した純水がドライエアDFにより置換され、基板Wの表面が乾燥される(乾燥処理)。なお、ドライエア発生装置60は、基板WへのドライエアDFの供給量を調整する。
【0061】
この乾燥処理時において、制御部70は、仕切板駆動部13を制御することにより、ドライエア供給ダクト10Aから基板Wに供給されるドライエアDFの風速および流れの断面を変更する。詳細は後述する。
【0062】
なお、乾燥処理時以外において、ドライエア発生装置60は、ダウンフローダクト20内へのドライエアDFの供給量を低減している(スローリーク)。
【0063】
基板Wの内槽40からの引き上げ時において、処理液ミキシング装置50は、少量の純水を継続して内槽40内に供給している。したがって、基板Wの内槽40からの引き上げ時には、内槽40の上部開口から純水が溢れ出している。内槽40から溢れ出した純水は外槽43へ流れ込み、外槽43に接続された処理液排出管44から排出される。
【0064】
処理液供給管41および処理液排出管42,44には、それぞれ図示しないバルブが設けられている。制御部70はこれらのバルブの開閉動作も制御する。これにより、処理槽4内の処理液の供給系および排出系の開閉動作が制御される。
【0065】
(2)基板保持具の構造
図2は、図1の基板保持具330の外観斜視図である。図2に示すように、基板保持具330は、昇降軸331、支持板332、背板333および保持部340を備える。保持部340は、サイドアーム341,342、センターアーム343およびアーム固定部346を含む。
【0066】
この基板保持具330において、昇降軸331は、図1の基板移動機構30により昇降可能に保持される。昇降軸331の上端に支持板332が水平に取り付けられている。支持板332の一端面には、下方へ垂直に延びるように背板333が取り付けられている。
【0067】
背板333の下端部に保持部340が取り付けられている。保持部340のサイドアーム341は背板333の下端の一側部から水平に延び、サイドアーム342は背板333の下端の他側部から水平に延び、センターアーム343は背板333の下端の中央部から水平に延びている。
【0068】
サイドアーム341,342およびセンターアーム343の先端には、アーム固定部346が取り付けられている。サイドアーム341,342およびセンターアーム343の上面には、基板Wを保持するために等間隔で複数の基板保持溝345が形成されている。アーム341,342,343に形成された基板保持溝345に基板Wの外周端部が挿入される。これにより、複数の基板Wが起立姿勢でかつ平行に保持される。
【0069】
それにより、複数の基板Wが基板保持具330により保持された状態では、各基板Wの外周端部とアーム341,342,343とが当接する。以下の説明では、この当接部を外周当接部WTと呼ぶ。図2では、外周当接部WTが太い点線により示されている。
【0070】
(3)基板処理装置の構成および乾燥処理の詳細
図3および図4は、図1の基板処理装置100により基板Wの乾燥処理が行われる様子を示す側面図である。図3および図4に示すように、ドライエア供給ダクト10Aは、処理槽4の外方で下方から鉛直方向に延びる矩形の鉛直筒状部VRと、鉛直筒状部VRの上端から処理槽4に向かって水平方向に延びる矩形の水平筒状部HRとを備える。水平筒状部HRの端面は開口している。ドライエア排気ダクト10Bは、箱型形状を有し、一端面が開口している。
【0071】
ドライエア供給ダクト10Aおよびドライエア排気ダクト10Bは、互いの開口する端面が処理槽4上の空間を挟んで対向するように配置されている。
【0072】
ドライエア供給ダクト10Aの水平筒状部HRの内部には、ドライエア供給ダクト10Aの端面から所定の長さで水平方向に延びるように複数の通気ガイド11が設けられている。複数の通気ガイド11により、上下方向に並ぶように複数の通気路110が形成されている。
【0073】
ドライエア供給ダクト10A上の所定の位置に、仕切板駆動部13が取り付けられている。仕切板駆動部13は、複数の通気路110の一部を閉塞するための仕切板12をドライエア供給ダクト10Aの内側と上部外側との間でスライド可能に保持している。
【0074】
乾燥処理の詳細を説明する。乾燥処理時には、図3および図4に矢印Uで示すように、複数の基板Wを保持する基板保持具330が基板移動機構30により処理槽4から徐々に引き上げられる。これにより、複数の基板Wが処理槽4に貯留される純水DIW内から徐々に外部に露出する。
【0075】
図3に示すように、乾燥処理の開始から上述の外周当接部WTが処理槽4から引き上げられるまでの間、仕切板12は仕切板駆動部13によりドライエア供給ダクト10Aの上部外側に保持される。
【0076】
この場合、ドライエア供給ダクト10Aの複数の通気路110は仕切板12により閉塞されない。それにより、図3の矢印F1で示すように、ドライエア供給ダクト10Aの端面全体から処理槽4上の空間にドライエアDFが供給される。これにより、純水DIWの液面LSから引き上げられた基板Wの部分が広い範囲に渡ってドライエアDFにより乾燥される。
【0077】
その後、図4に示すように、外周当接部WTが処理槽4から引き上げられると、仕切板12は仕切板駆動部13によりドライエア供給ダクト10Aの内側にスライドする。
【0078】
これにより、仕切板12が最下部の通気路110を除く全ての通気路110を閉塞する。それにより、ドライエア供給ダクト10A内に供給されるドライエアDFが仕切板12により絞り込まれ、最下部の通気路110に導かれる。
【0079】
この場合、ドライエア供給ダクト10Aの最下部の通気路110を通るドライエアDFの圧力は、配管61を通じてドライエア供給ダクト10A内に供給されるドライエアDFに比べて大きくなる。
【0080】
そのため、処理槽4上の空間に供給されるドライエアDFの風速は、乾燥処理の開始から外周当接部WTが処理槽4から引き上げられるまでの間に比べて大きくなる。また、処理槽4上の空間に供給されるドライエアDFの流れの断面は乾燥処理の開始から外周当接部WTが処理槽4から引き上げられるまでのドライエアDFの流れの断面に比べて小さくなる。
【0081】
したがって、図4の矢印F2で示すように、外周当接部WTが処理槽4から引き上げられると、ドライエアDFがドライエア供給ダクト10Aの最下部の通気路110から外周当接部WTに集中的に強い勢いで噴射される。
【0082】
それにより、処理槽4から引き上げられる際に外周当接部WTに付着する純水DIWが、ドライエアDFにより吹き飛ばされる。また、外周当接部WTに付着する純水DIWが、噴射されたドライエアDFにより置換される。その結果、処理槽4から引き上げられる複数の基板Wの全面が短時間で効率的に乾燥する。
【0083】
本実施の形態では、図3および図4に示すように、仕切板12はドライエア供給ダクト10Aの内側と上部外側との間で、起立姿勢でスライド(昇降動作)する。これにより、複数の通気路110の一部を閉塞するための構成が水平方向に大きくなることが防止されている。それにより、ドライエア供給ダクト10Aとドライエア排気ダクト10Bとが並ぶ方向におけるドライエア供給ダクト10Aの長さを小さくすることができる。その結果、基板処理装置の小型化が実現される。
【0084】
(4)変形例
本実施の形態において、基板移動機構30は、外周当接部WTが引き上げられた状態で基板保持具330の昇降動作を一時的に停止してもよい。例えば、基板移動機構30は、外周当接部WTがドライエア供給ダクト10Aの最下部の通気路110の高さに位置する状態で基板保持具330の昇降動作を一時停止する。
【0085】
この場合、ドライエア供給ダクト10Aの最下部から噴射されるドライエアDFが確実に外周当接部WTに供給される。それにより、外周当接部WTに付着した純水DIWがドライエアDFにより確実に吹き飛ばされる。そして、外周当接部WTが迅速に乾燥する。
【0086】
本実施の形態において、乾燥処理は基板WにドライエアDFを供給することにより行われるが、基板Wに供給する気体はドライエアDFに限られない。ドライエアDFに代えて、例えばIPA(イソプロピルアルコール)蒸気を用いてもよいし、低温のN(窒素)ガスを用いてもよい。この場合、外周当接部WTに付着する純水DIWが、IPA蒸気または低温のNガスにより吹き飛ばされる。
【0087】
[2]第2の実施の形態
第2の実施の形態に係る基板処理装置について、第1の実施の形態に係る基板処理装置100と異なる点を説明する。
【0088】
図5および図6は、第2の実施の形態に係る基板処理装置により基板Wの乾燥処理が行われる様子を示す側面図である。
【0089】
本実施の形態において、ドライエア供給ダクト10Aには、仕切板駆動部13Bおよび仕切板12が設けられている。さらに、ドライエア供給ダクト10Aの内部上面にはヒンジ部12Rが設けられている。仕切板12の一端が、ヒンジ部12Rに回動可能に取り付けられている。
【0090】
乾燥処理時には、図5および図6の矢印Uで示すように、複数の基板Wを保持する基板保持具330が処理槽4から徐々に引き上げられる。
【0091】
図5に示すように、乾燥処理の開始から外周当接部WTが処理槽4から引き上げられるまでの間、仕切板12は仕切板駆動部13Bにより回動され(矢印R1)、鉛直方向に交差する方向(例えば水平方向)に沿うように保持される。この場合、ドライエア供給ダクト10Aの複数の通気路110は仕切板12により閉塞されない。
【0092】
それにより、図5の矢印F1で示すように、ドライエア供給ダクト10Aの端面全体から処理槽4上の空間にドライエアDFが供給される。これにより、純水DIWの液面LSから引き上げられた基板Wの部分が広い範囲に渡ってドライエアDFにより乾燥される。
【0093】
その後、図6に示すように、外周当接部WTが処理槽4から引き上げられると、仕切板12は仕切板駆動部13Bにより回動され(矢印R2)、鉛直方向に沿うように保持される。この場合、仕切板12は全ての通気ガイド11の端部に当接し、最下部の通気路110を除く全ての通気路110を閉塞する。これにより、ドライエア供給ダクト10A内に供給されるドライエアDFが仕切板12により絞り込まれ、最下部の通気路110に導かれる。
【0094】
それにより、図6の矢印F2で示すように、外周当接部WTが処理槽4から引き上げられると、ドライエアDFがドライエア供給ダクト10Aの最下部の通気路110から外周当接部WTに集中的に強い勢いで噴射される。その結果、第1の実施の形態と同様に、外周当接部WTが迅速に乾燥し、処理槽4から引き上げられる複数の基板Wの全面が短時間で効率的に乾燥する。
【0095】
本実施の形態においても、例えば基板移動機構30は、外周当接部WTがドライエア供給ダクト10Aの最下部の通気路110の高さに位置する状態で基板保持具330の昇降動作を一時停止する。この場合、外周当接部WTに付着した純水DIWがドライエアDFにより確実に吹き飛ばされる。それにより、外周当接部WTが迅速に乾燥する。
【0096】
[3]第3の実施の形態
第3の実施の形態に係る基板処理装置について、第1の実施の形態に係る基板処理装置100と異なる点を説明する。
【0097】
図7および図8は、第3の実施の形態に係る基板処理装置により基板Wの乾燥処理が行われる様子を示す側面図である。
【0098】
本実施の形態において、ドライエア供給ダクト10Aには、仕切板駆動部13Bおよび仕切板12が設けられている。さらに、最上部の通気ガイド11における処理槽4の反対側の端部にヒンジ部12Rが設けられている。仕切板12の一端が、ヒンジ部12Rに回動可能に取り付けられている。
【0099】
乾燥処理時には、図7および図8の矢印Uで示すように、複数の基板Wを保持する基板保持具330が処理槽4から徐々に引き上げられる。
【0100】
図7に示すように、乾燥処理の開始から外周当接部WTがドライエア供給ダクト10Aの最上部の通気路110の高さに位置するまでの間、仕切板12は仕切板駆動部13Bにより回動され(矢印R3)、その他端が鉛直筒状部VRの内側の側面に当接するように保持される。このとき、仕切板12は、一端が他端よりも上方に位置する状態で鉛直方向に対して傾斜している。この場合、ドライエア供給ダクト10A内の最上部の通気路110が、仕切板12により閉塞される。
【0101】
それにより、図1のドライエア発生装置60からドライエア供給ダクト10Aに供給されるドライエアDFは、最上部の通気路110を除く全ての通気路110からドライエア供給ダクト10Aの開口する端面に送られる。
【0102】
そして、図7の矢印F1で示すように、最上部の通気路110を除く全ての通気路110から処理槽4上の空間にドライエアDFが供給される。すなわち、ドライエア供給ダクト10Aの端面のほぼ全体から処理槽4上の空間にドライエアDFが供給される。これにより、純水DIWの液面LSから引き上げられた基板Wの部分が広い範囲に渡ってドライエアDFにより乾燥される。
【0103】
その後、図8に示すように、外周当接部WTが処理槽4から引き上げられ、外周当接部WTがドライエア供給ダクト10Aの最上部の通気路110の高さに位置すると、仕切板12は仕切板駆動部13Bにより回動され(矢印R4)、その他端が水平筒状部HRの内側の下面に当接するように、起立姿勢で保持される。
【0104】
この場合、仕切板12は全ての通気ガイド11の端部に当接し、最上部の通気路110を除く全ての通気路110を閉塞する。これにより、ドライエア供給ダクト10A内に供給されるドライエアDFが仕切板12により絞り込まれ、最上部の通気路110に導かれる。
【0105】
それにより、図8の矢印F2で示すように、ドライエアDFがドライエア供給ダクト10Aの最上部の通気路110から外周当接部WTに集中的に強い勢いで噴射される。その結果、第1の実施の形態と同様に、外周当接部WTが迅速に乾燥し、処理槽4から引き上げられる複数の基板Wの全面が短時間で効率的に乾燥する。
【0106】
上記のように、本実施の形態において、仕切板12は、鉛直筒状部VRの内側の側面、または水平筒状部HRの内側の下面に当接することにより複数の通気路110の閉塞状態を切り替える。
【0107】
これにより、水平方向における複数の通気ガイド11の端部と鉛直筒状部VRの内側の側面との間の距離を短く設定することができる。すなわち、ドライエア供給ダクト10Aとドライエア排気ダクト10Bとが並ぶ方向における鉛直筒状部VRの幅WVRを小さくすることができる。
【0108】
それにより、ドライエア供給ダクト10Aとドライエア排気ダクト10Bとが並ぶ方向におけるドライエア供給ダクト10Aの長さを小さくすることができる。その結果、基板処理装置の小型化が実現される。
【0109】
図7および図8の基板処理装置において、例えば基板移動機構30は、外周当接部WTがドライエア供給ダクト10Aの最上部の通気路110の高さに位置する状態で基板保持具330の昇降動作を一時停止する。
【0110】
この場合、ドライエア供給ダクト10Aの最上部から噴射されるドライエアDFが確実に外周当接部WTに供給される。それにより、外周当接部WTに付着した純水DIWがドライエアDFにより確実に吹き飛ばされる。そして、外周当接部WTが迅速に乾燥する。
【0111】
本実施の形態において、ドライエア供給ダクト10Aの開口する端面に、処理槽4上の空間に供給されるドライエアDFの流れを規制する風向規制部材を設けてもよい。
【0112】
図9は、図7および図8のドライエア供給ダクト10Aの開口する端面にドライエアDFの流れを規制する風向規制部材を設けた例を示す側面図である。
【0113】
図9に示すように、本例では、ドライエア供給ダクト10Aの開口する端面の一部に風向規制部材111が設けられている。風向規制部材111は、図9の矢印F3で示すように、ドライエア供給ダクト10Aの最上部の通気路110から処理槽4上の空間に供給されるドライエアDFの流れを上方から斜め下方に向かうように規制する。これにより、処理槽4から引き上げられる外周当接部WTに、上方から斜め下方に向かうように強い勢いでドライエアDFを噴射することができる。
【0114】
ここで、外周当接部WTに付着する純水DIWは、基板保持具330のサイドアーム341,342およびセンターアーム343の上面に残留しやすい。したがって、風向規制部材111を用いることにより、サイドアーム341,342およびセンターアーム343の上面に残留する純水DIWが斜め上方から容易かつ確実にドライエアDFにより吹き飛ばされる。
【0115】
その結果、外周当接部WTがより迅速に乾燥し、処理槽4から引き上げられる複数の基板Wの全面がより短時間で効率的に乾燥する。
【0116】
なお、基板Wの内槽40からの引き上げ時には、特に基板Wとセンターアーム343との外周当接部WTに多量の純水DIWが付着しやすい。したがって、風向規制部材111を用いる場合には、処理槽4上の空間に供給されるドライエアDFが基板Wとセンターアーム343との当接部に直接噴射されるように、風向規制部材111を調整し、仕切板12を駆動することが好ましい。
【0117】
図9の基板処理装置において、例えば基板移動機構30は、最上部の通気路110から基板Wとセンターアーム343との当接部にドライエアDFが直接噴射される状態で基板保持具330の昇降動作を一時停止する。
【0118】
この場合、ドライエア供給ダクト10Aの最上部から噴射されるドライエアDFが確実に外周当接部WTに供給される。それにより、外周当接部WTに付着した純水DIWがドライエアDFにより確実に吹き飛ばされる。そして、外周当接部WTが迅速に乾燥する。
【0119】
[4]第4の実施の形態
第4の実施の形態に係る基板処理装置について、第1の実施の形態に係る基板処理装置100と異なる点を説明する。
【0120】
図10および図11は、第4の実施の形態に係る基板処理装置により基板Wの乾燥処理が行われる様子を示す側面図である。
【0121】
本実施の形態において、ドライエア供給ダクト10Aには、仕切板駆動部13Bおよび仕切板12が設けられている。さらに、最上部の通気ガイド11における処理槽4の反対側の端部にヒンジ部12Rが設けられている。仕切板12の一端が、ヒンジ部12Rに回動可能に取り付けられている。
【0122】
乾燥処理時には、図10および図11の矢印Uで示すように、複数の基板Wを保持する基板保持具330が処理槽4から徐々に引き上げられる。
【0123】
図10に示すように、乾燥処理の開始から外周当接部WTがドライエア供給ダクト10Aの最上部の通気路110の高さに位置するまでの間、仕切板12は仕切板駆動部13Bにより回動され(矢印R5)、その他端が鉛直筒状部VRの内側の側面に当接し、水平方向に沿うように保持される。この場合、ドライエア供給ダクト10A内の最上部の通気路110が、仕切板12により閉塞される。
【0124】
それにより、図1のドライエア発生装置60からドライエア供給ダクト10Aに供給されるドライエアDFは、最上部の通気路110を除く全ての通気路110からドライエア供給ダクト10Aの開口する端面に送られる。
【0125】
そして、図10の矢印F1で示すように、最上部の通気路110を除く全ての通気路110から処理槽4上の空間にドライエアDFが供給される。すなわち、ドライエア供給ダクト10Aの端面のほぼ全体から処理槽4上の空間にドライエアDFが供給される。これにより、純水DIWの液面LSから引き上げられた基板Wの部分が広い範囲に渡ってドライエアDFにより乾燥される。
【0126】
その後、図11に示すように、外周当接部WTが処理槽4から引き上げられ、外周当接部WTがドライエア供給ダクト10Aの最上部の通気路110の高さに位置すると、仕切板12は仕切板駆動部13Bにより回動され(矢印R6)、その他端が水平筒状部HRの内側の下面に当接するように保持される。このとき、仕切板12は、一端が他端よりも上方に位置する状態で鉛直方向に対して傾斜している。
【0127】
この場合、仕切板12は、最上部の通気路110を除く全ての通気路110を閉塞する。これにより、ドライエア供給ダクト10A内に供給されるドライエアDFが仕切板12により絞り込まれ、最上部の通気路110に導かれる。
【0128】
それにより、図11の矢印F2で示すように、ドライエアDFがドライエア供給ダクト10Aの最上部の通気路110から外周当接部WTに集中的に強い勢いで噴射される。その結果、第1の実施の形態と同様に、外周当接部WTが迅速に乾燥し、処理槽4から引き上げられる複数の基板Wの全面が短時間で効率的に乾燥する。
【0129】
本実施の形態では、最上部の通気路110から外周当接部WTにドライエアDFを供給する際、仕切板12が鉛直方向に対して傾斜した状態で保持される。これにより、ドライエア供給ダクト10Aの内部において、図1のドライエア発生装置60からドライエア供給ダクト10A内に供給されるドライエアDFの流れの断面が、最上部の通気路110に向かって漸次小さくなる。
【0130】
したがって、ドライエア発生装置60からドライエア供給ダクト10A内に供給されるドライエアDFが、最上部の通気路110に向かって円滑に流入する。これにより、外周当接部WTに向かって正確かつ円滑にドライエアDFが噴射される。また、ドライエア供給ダクト10A内で乱流が発生することによるドライエアDFの露点分布の変動が抑制される。これにより、複数の基板Wの全面を均一かつ効率的に乾燥することができる。
【0131】
本実施の形態においても、例えば基板移動機構30は、外周当接部WTがドライエア供給ダクト10Aの最上部の通気路110の高さに位置する状態で基板保持具330の昇降動作を一時停止する。この場合、外周当接部WTに付着した純水DIWがドライエアDFにより確実に吹き飛ばされる。それにより、外周当接部WTが迅速に乾燥する。
【0132】
なお、本実施の形態においても、ドライエア供給ダクト10Aの端面に、第3の実施の形態で説明した風向規制部材111(図9)を設けてもよい。この場合にも、上記と同様の効果を得ることができる。
【0133】
[5]請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0134】
上記実施の形態では、基板保持具330が基板保持部の例であり、基板移動機構30が基板昇降装置の例であり、ドライエア発生装置60およびドライエア供給ダクト10Aが気体供給部の例である。
【0135】
また、制御部70、仕切板12、ヒンジ部12Rおよび仕切板駆動部13,13Bが切替機構の例であり、外周当接部WTが基板の外周端部と基板保持部との当接部の例であり、通気路110が気体通気路の例であり、仕切板12が仕切り部材の例であり、仕切板駆動部13,13Bが駆動装置の例である。
【0136】
さらに、鉛直筒状部VRが鉛直筒部の例であり、水平筒状部HRが水平筒部の例であり、風向規制部材111が方向規制部材の例であり、ドライエアDFが乾燥空気の例であり、ドライエア排気ダクト10Bが気体排出部の例である。
【0137】
なお、請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明に係る基板処理装置は、半導体ウェハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示装置用ガラス基板、プラズマディスプレイ用ガラス基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板等の基板の製造に有効に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】第1の実施の形態に係る基板処理装置の構成を示す模式的断面図である。
【図2】図1の基板保持具の外観斜視図である。
【図3】図1の基板処理装置により基板の乾燥処理が行われる様子を示す側面図である。
【図4】図1の基板処理装置により基板の乾燥処理が行われる様子を示す側面図である。
【図5】第2の実施の形態に係る基板処理装置により基板の乾燥処理が行われる様子を示す側面図である。
【図6】第2の実施の形態に係る基板処理装置により基板の乾燥処理が行われる様子を示す側面図である。
【図7】第3の実施の形態に係る基板処理装置により基板の乾燥処理が行われる様子を示す側面図である。
【図8】第3の実施の形態に係る基板処理装置により基板の乾燥処理が行われる様子を示す側面図である。
【図9】図7および図8のドライエア供給ダクトの開口する端面にドライエアの流れを規制する風向規制部材を設けた例を示す側面図である。
【図10】第4の実施の形態に係る基板処理装置により基板の乾燥処理が行われる様子を示す側面図である。
【図11】第4の実施の形態に係る基板処理装置により基板の乾燥処理が行われる様子を示す側面図である。
【符号の説明】
【0140】
4 処理槽
10A ドライエア供給ダクト
10B ドライエア排気ダクト
12 仕切板
12R ヒンジ部
13,13B 仕切板駆動部
30 基板移動機構
60 ドライエア発生装置
70 制御部
100 基板処理装置
110 通気路
111 風向規制部材
330 基板保持具
DF ドライエア
HR 水平筒状部
VR 鉛直筒状部
W 基板
WT 外周当接部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に所定の処理を行う基板処理装置であって、
処理液を貯留する処理槽と、
基板の外周端部を支持し、基板を起立姿勢で保持する基板保持部と、
前記処理槽内の処理液中と前記処理槽の上方位置との間で前記基板保持部により保持された基板を昇降させる基板昇降装置と、
前記基板昇降装置により前記処理槽から引き上げられる基板に気体を供給する気体供給部と、
前記気体供給部から基板に供給される気体の流れの断面を第1の断面および前記第1の断面よりも小さい第2の断面に切り替える切替機構とを備え、
前記切替機構は、基板の外周端部と前記基板保持部との当接部が前記処理槽内に位置する間、前記気体供給部から基板に供給される気体の流れの断面を前記第1の断面に維持し、基板の外周端部と前記基板保持部との当接部が前記処理槽から引き上げられた後に前記気体供給部から基板に供給される気体の流れの断面を前記第2の断面に切り替えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記気体供給部は、水平に延びる複数段の気体通気路を有し、
前記切替機構は、前記複数段の気体通気路の一部を閉塞する仕切部材と、その仕切部材を駆動することにより前記複数段の気体通気路の一部を閉塞する駆動装置とを備える請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記駆動装置は、前記仕切部材を起立姿勢で昇降させることにより前記複数段の気体通気路の一部を閉塞することを特徴とする請求項2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記駆動装置は、前記仕切部材を回動させることにより、前記複数段の気体通気路の一部を閉塞することを特徴とする請求項2記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記駆動装置は、前記仕切部材により閉塞されない気体通気路へ流れる気体の流れの断面が漸次小さくなるように前記仕切部材を水平方向に対して傾斜した状態で保持することを特徴とする請求項4記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記気体供給部は鉛直方向に延びる鉛直筒部と、前記鉛直筒部の上端から前記処理槽の上方位置へ水平方向に延びる水平筒部とを有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記気体供給部に設けられ、前記気体供給部から基板に供給される気体の流れの方向を規制する方向規制部材をさらに備え、
前記方向規制部材は、前記第2の断面で流れる気体を、斜め上方から基板の外周端部と前記基板保持部との当接部に向かうように規制することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記基板昇降装置は、前記第2の断面で流れる気体が、基板の外周端部と前記基板保持部との当接部に向かう場合に、前記基板保持部により保持された基板の昇降動作を停止することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記気体は乾燥空気であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記気体供給部は、前記処理槽の一方側に配置され、
前記処理槽の他方側に配置され、前記処理槽上の雰囲気を排出するための気体排出部をさらに備えることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−210882(P2008−210882A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−44410(P2007−44410)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】