基板処理装置
【課題】処理液から引き上げられる複数の基板の全面を短時間で効率的に乾燥させることができる基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板保持具330において、背板333の正面には、4本のアーム341〜344が取り付けられている。各アーム341〜344は、水平方向に延びている。背板333の背面には、4本のアーム341〜344に対応して4個のモータが取り付けられている。各アーム341〜344の軸心と垂直な方向における断面は、楕円形状となっている。各アーム341〜344に形成された径小部345に基板Wの外周端部が挿入される。それにより、複数の基板Wが各アーム341〜344の径小部345の外周面により保持される。基板Wが処理槽から引き上げられ、各アーム341〜344と基板Wとの当接部が処理液の液面に位置する際に、モータが各アーム341〜344を回転させる。
【解決手段】基板保持具330において、背板333の正面には、4本のアーム341〜344が取り付けられている。各アーム341〜344は、水平方向に延びている。背板333の背面には、4本のアーム341〜344に対応して4個のモータが取り付けられている。各アーム341〜344の軸心と垂直な方向における断面は、楕円形状となっている。各アーム341〜344に形成された径小部345に基板Wの外周端部が挿入される。それにより、複数の基板Wが各アーム341〜344の径小部345の外周面により保持される。基板Wが処理槽から引き上げられ、各アーム341〜344と基板Wとの当接部が処理液の液面に位置する際に、モータが各アーム341〜344を回転させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に種々の処理を行う基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体ウェハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示装置用ガラス基板、プラズマディスプレイ用ガラス基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板等の基板に種々の処理を行うために、基板処理装置が用いられている。
【0003】
複数の基板を処理槽に貯留された処理液に浸漬し、洗浄処理を行う基板処理装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1の基板処理装置においては、処理槽内で基板の表面が薬液および純水により洗浄処理される。洗浄処理の施された基板は処理槽内から引き上げられる。
【0005】
洗浄処理後の基板に純水が付着していると、基板にパーティクルが付着し易くなる。また、基板に付着した純水が自然乾燥すると、基板にウォーターマークが形成される。したがって、特許文献1の基板処理装置においては、処理槽内から引き上げられた基板にドライエアが供給される。これにより、純水が付着した基板の表面が乾燥される(乾燥処理)。
【0006】
なお、特許文献1において、ドライエアとは極めて露点の低い気体をいい、基板に供給されるドライエアの露点は例えば約−70℃である。
【特許文献1】特開2006−310759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記のような基板処理装置においては、複数の基板を処理槽に貯留された純水に浸漬するために、一度に複数の基板を保持する基板保持具が用いられる。この基板保持具は、各基板の外周端部の一部を支持することにより、複数の基板を起立姿勢でかつ平行に保持する。
【0008】
したがって、複数の基板が基板保持具により保持される場合には、各基板の外周端部が基板保持具と当接する。これにより、基板保持具により保持される複数の基板が純水から引き上げられる際、各基板と基板保持具との当接部には純水が付着する。
【0009】
乾燥処理時において、基板保持具に当接しない基板の部分は、ドライエアを供給することにより比較的短時間で乾燥する。しかしながら、上記の当接部に付着する純水を乾燥させる場合、基板全体の乾燥処理が長時間化する。
【0010】
そこで、基板と基板保持具との当接部に付着する純水を短時間で乾燥させるために、基板に供給するドライエアの温度を上昇させる方法が考えられる。しかしながら、この方法では、基板に供給するドライエアの温度が上昇することにより、基板の表面が酸化するおそれがある。また、基板保持具に優れた耐熱性を有する材料を用いる必要が生じる。
【0011】
本発明の目的は、処理液から引き上げられる複数の基板の全面を短時間で効率的に乾燥させることができる基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)第1の発明に係る基板処理装置は、基板に所定の処理を行う基板処理装置であって、処理液を貯留する処理槽と、基板の外周端部を支持し、基板を起立姿勢で保持する基板保持部と、処理槽内の処理液中と処理槽の上方位置との間で基板保持部により保持された基板を昇降させる基板昇降装置と、基板昇降装置により処理槽から引き上げられる基板に気体を供給する気体供給部とを備え、基板保持部は、略水平方向に延びるとともにその軸心を中心として回転する複数の棒状部材を含み、各棒状部材の外周面の一部分には、基板の外周端部を支持する第1の支持部が形成され、各棒状部材の外周面の他部分には、基板の外周端部を支持する第2の支持部が形成され、第1の支持部は、基板昇降装置により処理槽から基板が引き上げられる際に、処理槽内の処理液中で基板の外周端部に当接し、処理槽内の処理液外で基板の外周端部から離間し、第2の支持部は、基板の外周端部に当接するものである。
【0013】
この発明に係る基板処理装置においては、処理槽に処理液が貯留され、基板昇降装置により処理槽内の処理液中と処理槽の上方位置との間で基板保持部により保持された基板が昇降される。基板保持部は、複数の棒状部材の第1および第2の支持部により基板の外周端部を支持する。これにより、基板が起立姿勢で保持される。
【0014】
基板昇降装置により処理槽から基板が引き上げられる際に、処理槽内の処理液中で基板の外周端部と第1の支持部とが当接し、処理液外で基板の外周端部から第1の支持部が離間する。
【0015】
これにより、処理液が付着した第1の支持部が、処理液外で基板の外周端部と当接しない。それにより、第1の支持部と基板の外周端部との当接部に処理液が付着することが防止される。その結果、処理槽から引き上げられる基板の全面が気体供給部から供給される気体により短時間で効率的に乾燥する。
【0016】
処理槽内の処理液外では、第2の支持部が基板の外周端部に当接する。これにより、処理槽内の処理液外で、基板が第2の支持部により確実に支持される。
【0017】
また、各棒状部材を回転させることにより基板の外周端部が各棒状部材の外周面の一部分に当接する状態から基板の外周端部が各棒状部材の外周面の他部分に当接する状態へと容易に切り替えることができる。すなわち、第1の支持部により基板の外周端部を支持する状態から第2の支持部により基板の外周端部を支持する状態へと容易に切り替えることができる。
【0018】
(2)第2の支持部は、第2の支持部が基板の外周端部に当接する前に、処理槽内の処理液外に位置してもよい。
【0019】
これにより、第2の支持部は、基板の外周端部に当接する前に気体供給部から基板に供給される気体により乾燥する。
【0020】
それにより、基板昇降装置により処理槽から基板が引き上げられる際に、処理槽内の処理液外では、処理液が付着しない乾燥した第2の支持部により基板の外周端部が支持される。それにより、第2の支持部と基板の外周端部との当接部に処理液が付着することが確実に防止される。
【0021】
(3)各棒状部材は、非真円の断面を有し、処理槽から基板が引き上げられる際に、各棒状部材が回転することにより基板の外周端部と各棒状部材の外周面の一部分とが当接する状態から基板の外周端部と各棒状部材の外周面の他部分とが当接する状態に移行し、各棒状部材の回転中心から一部分までの距離は、各棒状部材の回転中心から他部分までの距離よりも短くてもよい。
【0022】
この場合、各棒状部材が回転することにより基板の外周端部が各棒状部材の外周面の一部分に当接する状態から基板の外周端部が各棒状部材の外周面の他部分に当接する状態へ移行すると、各棒状部材の回転中心から他部分までの距離が各棒状部材の回転中心から一部分までの距離よりも長いので、基板が各棒状部材の回転中心から相対的に離間するように移動する。
【0023】
これにより、基板の支持状態の切替動作と同時に基板が処理液外へ移動する。それにより、基板の外周端部が、乾燥した各棒状部材の外周面の他部分により処理液外で確実に支持される。
【0024】
(4)各棒状部材は、略円形の断面を有し、処理槽から基板が引き上げられる際に、基板の外周端部に接触した状態で回転しつつ移動することにより基板の外周端部と各棒状部材の外周面の一部分とが当接する状態から、基板の外周端部と各棒状部材の外周面の他部分とが当接する状態に移行してもよい。
【0025】
この場合、各棒状部材が回転しつつ移動することにより基板の外周端部が各棒状部材の外周面の一部分に当接する状態から基板の外周端部が各棒状部材の外周面の他部分に当接する状態へ移行する。その際に、各棒状部材の外周面と基板の外周端部との間にこすれが生じないので、こすれによるパーティクルの発生が十分に抑制される。
【0026】
また、基板の外周端部が複数の棒状部材の外周面の一部分に当接する状態から基板の外周端部が各棒状部材の外周面の他部分に当接する状態へ移行することにより、基板の外周端部が、乾燥した各棒状部材の外周面の他部分により処理液外で確実に支持される。
【0027】
(5)第2の発明に係る基板処理装置は、基板に所定の処理を行う基板処理装置であって、処理液を貯留する処理槽と、基板の外周端部を支持し、基板を起立姿勢で保持する基板保持部と、処理槽内の処理液中と処理槽の上方位置との間で基板保持部により保持された基板を昇降させる基板昇降装置と、基板昇降装置により処理槽から引き上げられる基板に気体を供給する気体供給部とを備え、基板保持部は、略水平方向に延びるとともにその軸心を中心として回転する第1の棒状部材と、略水平方向に延びる第2の棒状部材とを含み、第1の棒状部材は、非真円の断面を有し、第1の棒状部材の外周面の一部分には、基板の外周端部を支持する第1の支持部が形成され、第2の棒状部材の外周面の一部分には、基板の外周端部を支持する第2の支持部が形成され、第1の棒状部材は、回転することにより基板の外周端部と第1の支持部とが当接する状態から基板の外周端部と第1の支持部とが離間する状態に移行し、第1の支持部は、基板昇降装置により処理槽から基板が引き上げられる際に、処理槽内の処理液中で基板の外周端部に当接し、処理槽内の処理液外で基板の外周端部から離間し、第2の支持部は、基板の外周端部に当接するものである。
【0028】
この発明に係る基板処理装置においては、処理槽に処理液が貯留され、基板昇降装置により処理槽内の処理液中と処理槽の上方位置との間で基板保持部により保持された基板が昇降される。基板保持部は、第1および第2の棒状部材にそれぞれ形成された第1および第2の支持部により基板の外周端部を支持する。これにより、基板が起立姿勢で保持される。
【0029】
基板昇降装置により処理槽から基板が引き上げられる際に、処理槽内の処理液中で基板の外周端部と第1の支持部とが当接し、処理液外で基板の外周端部から第1の支持部が離間する。
【0030】
これにより、処理液が付着した第1の支持部が、処理液外で基板の外周端部と当接しない。それにより、第1の支持部と基板の外周端部との当接部に処理液が付着することが防止される。その結果、処理槽から引き上げられる基板の全面が気体供給部から供給される気体により短時間で効率的に乾燥する。
【0031】
また、基板昇降装置により処理槽から基板が引き上げられる際に、基板の外周端部が第2の棒状部材の外周面の一部分である第2の支持部により確実に支持される。それにより、基板が基板保持部により安定して保持される。
【0032】
さらに、第1の棒状部材が非真円の断面を有するので、基板昇降装置により処理槽から基板が引き上げられる際に、第1の棒状部材が回転することにより基板の外周端部と第1の棒状部材の外周面の一部分とが当接する状態から基板の外周端部と第1の棒状部材の外周面の一部分とが離間する状態に容易に移行することができる。
【0033】
(6)第2の支持部は、処理槽内の処理液中および処理液外で基板の外周端部に当接してもよい。
【0034】
この場合、基板昇降装置により処理槽から基板が引き上げられる際に、処理槽内の処理液中および処理液外で、基板の外周端部が確実に支持される。それにより、基板が基板保持部により安定して保持される。
【0035】
(7)第1の支持部が基板の外周端部から離間するときに、基板昇降装置による基板の処理槽からの引き上げ動作が一時的に停止されてもよい。
【0036】
この場合、第1の支持部が基板の外周端部に当接した状態で、基板が処理槽から引き上げられることが確実に防止される。また、気体供給部から基板に確実に気体が供給されるので、基板の全面がより確実に乾燥する。
【0037】
(8)気体は乾燥空気であってもよい。この場合、基板に付着する処理液が乾燥空気により置換され、より効率的に除去される。
【0038】
(9)気体供給部は、処理槽の一方側に配置され、基板処理装置は、処理槽の他方側に配置され、処理槽上の雰囲気を排出するための気体排出部をさらに備えてもよい。
【0039】
この場合、処理槽の一方側に配置された気体供給部から処理槽の他方側に配置された気体排出部へ円滑に気体が流れ、処理槽上の空間における乱流の発生が防止される。これにより、基板の均一かつ効率的な乾燥処理が実現される。
【発明の効果】
【0040】
本発明に係る基板処理装置によれば、処理液から引き上げられる複数の基板の全面を短時間で効率的に乾燥させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
本発明の一実施の形態に係る基板処理装置について説明する。以下の説明において、基板とは、半導体ウェハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示装置用ガラス基板、プラズマディスプレイ用ガラス基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板等をいう。
【0042】
[1]第1の実施の形態
(1)基板処理装置の構成および動作
図1は、第1の実施の形態に係る基板処理装置の構成を示す模式的断面図である。図1に示すように、第1の実施の形態に係る基板処理装置100は、処理槽4、ダウンフローダクト20、基板移動機構30、処理液ミキシング装置50、ドライエア発生装置60、制御部70およびファンフィルタユニットFFUを備える。
【0043】
ダウンフローダクト20の上方にファンフィルタユニットFFUが配置されている。ファンフィルタユニットFFUは、ファンおよびフィルタを備える。ファンフィルタユニットFFUのファンが動作することにより、ダウンフローダクト20内に清浄な下降気流(ダウンフロー)が発生する。
【0044】
ダウンフローダクト20内の下部に処理槽4が設けられている。処理槽4は複数の基板Wを収納可能な内槽40および内槽40の上部外周を取囲むように設けられた外槽43により形成されている。内槽40は略直方体形状を有する。
【0045】
内槽40の底部には、内槽40内に処理液を供給するための処理液供給管41および内槽40内の処理液を排出するための処理液排出管42が接続されている。本実施の形態において、内槽40内では基板Wの洗浄処理が行われる。洗浄処理時に内槽40内に供給される処理液は、洗浄液またはリンス液である。
【0046】
すなわち、内槽40内に洗浄液を供給し、内槽40内に貯留された洗浄液に基板Wを浸漬することにより、基板Wの表面を洗浄する。その後、内槽40内の洗浄液をリンス液に置換する。
【0047】
洗浄液としては、BHF(バッファードフッ酸)、DHF(希フッ酸)、フッ酸、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、シュウ酸またはアンモニア等の薬液が用いられる。リンス液としては、純水、炭酸水、水素水、電解イオン水等が用いられる。
【0048】
処理液供給管41の上流端が処理液ミキシング装置50に接続されている。処理液ミキシング装置50には、例えば薬液および純水が供給されている。処理液ミキシング装置50は、供給される薬液および純水を所定の割合で混合することができる。したがって、処理液ミキシング装置50は、薬液、純水またはそれらの混合液を処理液またはリンス液として処理液供給管41を介して内槽40内に供給する。
【0049】
外槽43の底部には、内槽40の上部から溢れ出し(オーバーフロー)、外槽43内に流れ込む処理液を排出するための処理液排出管44が接続されている。
【0050】
内槽40の上方位置に基板移動機構30が設けられている。基板移動機構30は複数の基板Wを保持する基板保持具330を上下方向に移動させる。
【0051】
基板保持具330は基板Wの外周端部を支持することにより、複数の基板Wを起立姿勢でかつ平行に並ぶように保持する。本実施の形態において、複数の基板Wは、基板保持具330が備える複数(本例では4本)のアームにより保持される。詳細は後述する。
【0052】
ここで、基板処理装置100に対する複数の基板Wの搬入および搬出は、図示しない搬送機構が、複数の基板Wを基板保持具330に搬送することにより行われる。
【0053】
ダウンフローダクト20の上部には、搬送エリアTEが設けられている。搬送エリアTEは、図示しない搬送機構と基板保持具330との間で複数の基板Wの受け渡しを行う際に用いられる。
【0054】
搬送エリアTEを取囲むダウンフローダクト20の部分において、対向する2つの側面にはそれぞれ開口20hが形成されている。2つの開口20hの近傍には、それぞれ開口20hを開閉可能なシャッタSHおよびシャッタ駆動部SDが設けられている。シャッタ駆動部SDは、シャッタSHを駆動することによりダウンフローダクト20の開口20hの開閉を行う。
【0055】
例えば、基板処理装置100への複数の基板Wの搬入時には、シャッタSHが開くことにより、複数の基板Wを保持する図示しない搬送機構がダウンフローダクト20内に進入する。そして、基板保持具330が、図示しない搬送機構から複数の基板Wを受け取る。
【0056】
また、基板処理装置100からの複数の基板Wの搬出時には、洗浄処理後の複数の基板Wが、ダウンフローダクト20内の基板保持具330から図示しない搬送機構に渡される。そこで、シャッタSHが開くことにより、複数の基板Wを保持する図示しない搬送機構がダウンフローダクト20外に移動する。
【0057】
処理槽4の上端部近傍に位置するダウンフローダクト20の部分において、対向する2つの側面にはそれぞれドライエア供給ダクト10Aおよびドライエア排気ダクト10Bが取り付けられている。
【0058】
ドライエア供給ダクト10Aおよびドライエア排気ダクト10Bには複数の通気ガイド11が設けられている。ドライエア供給ダクト10Aは配管61を介してドライエア発生装置60と接続されている。
【0059】
ドライエア発生装置60により発生されたドライエアDFが、配管61を通じてドライエア供給ダクト10Aに送られる。それにより、内槽40から引き上げられる基板WにドライエアDFが水平方向に吹き付けられ、基板Wの乾燥処理が行われる。基板WにドライエアDFが吹き付けられることにより、基板W周辺の雰囲気がドライエア排気ダクト10Bから排気される。
【0060】
これにより、基板WにドライエアDFが吹き付けられる際に、処理槽4上の雰囲気における乱流の発生が防止され、処理槽4の一方側から他方側へドライエアDFの円滑な流れが形成される。それにより、基板Wの均一かつ効率的な乾燥処理が実現される。
【0061】
ここで、ドライエアDFとは、極めて露点の低い気体をいう。ドライエア供給ダクト10Aからダウンフローダクト20内に供給されるドライエアDFの露点は、例えば約−70℃である。
【0062】
制御部70は、基板移動機構30、処理液ミキシング装置50、ドライエア発生装置60、基板保持具330、シャッタ駆動部SDおよびファンフィルタユニットFFUと接続されている。制御部70がこれら構成部の動作を制御することにより、ダウンフローダクト20内のダウンフロー、基板処理装置100に対する基板Wの搬入搬出動作、基板Wの洗浄処理および基板Wの乾燥処理が制御される。
【0063】
ファンフィルタユニットFFUは、ダウンフローダクト20内にダウンフローを発生させる。基板移動機構30は、洗浄処理の開始時に複数の基板Wを保持する基板保持具330を内槽40内に移動させる。この状態で、処理液ミキシング装置50が、薬液または薬液と純水との混合液を洗浄液として内槽40内に供給する。これにより、基板Wが内槽40内で洗浄液に浸漬され、基板Wの表面が洗浄される。
【0064】
その後、処理液ミキシング装置50は、純水をリンス液として内槽40内に供給し、内槽40内の洗浄液を純水に置換する。これにより、基板Wが内槽40内で純水に浸漬される。このようにして、基板Wの洗浄処理が完了する。
【0065】
基板移動機構30は、洗浄処理が完了した基板Wを内槽40の上方へ引き上げる。そこで、ドライエア発生装置60が、引き上げられた基板WにドライエアDFを供給する。これにより、基板Wに付着した純水がドライエアDFにより置換され、基板Wの表面が乾燥される(乾燥処理)。
【0066】
なお、乾燥処理時以外において、ドライエア発生装置60は、ダウンフローダクト20内へのドライエアDFの供給量を低減している(スローリーク)。
【0067】
基板Wの引き上げ時において、基板保持具330は、基板Wを保持する4本のアームを動作させる。これにより、4本のアームによる基板Wの保持位置が変化する。すなわち、基板Wの外周端部と4本のアームとの当接部の位置が変化する。詳細は後述する。
【0068】
また、基板Wの内槽40からの引き上げ時において、処理液ミキシング装置50は、少量の純水を継続して内槽40内に供給している。したがって、基板Wの内槽40からの引き上げ時には、内槽40の上部開口から純水が溢れ出している。内槽40から溢れ出した純水は外槽43へ流れ込み、外槽43に接続された処理液排出管44から排出される。
【0069】
処理液供給管41および処理液排出管42,44には、それぞれ図示しないバルブが設けられている。制御部70はこれらのバルブの開閉動作も制御する。これにより、処理槽4内の処理液の供給系および排出系の開閉動作が制御される。
【0070】
(2)基板保持具の構造
図2は図1の基板保持具330の外観斜視図であり、図3は図1の基板保持具330の上面図および基板保持具330が備えるアームの拡大側面図である。以下の説明では、基板保持具330の基板Wが保持される側を正面と呼び、反対側を背面と呼ぶ。
【0071】
図2および図3(a)に示すように、基板保持具330は、昇降軸331、支持板332、背板333、保持部340および4個のモータMを備える。保持部340は、4本のアーム341,342,343,344およびアーム固定片346を含む。
【0072】
この基板保持具330において、昇降軸331は、図1の基板移動機構30により昇降可能に保持される。昇降軸331の上端に支持板332が水平に取り付けられている。支持板332の一端面には、下方へ垂直に延びるように背板333が取り付けられている。
【0073】
背板333の正面の下端近傍には、一側面近傍から他側面近傍にかけて並ぶように保持部340の4本のアーム341〜344が取り付けられている。なお、背板333の中央(内側)に位置するアーム342,343は、背板333の両側面近傍(外側)に位置するアーム341,344よりも少し低い高さに配置されている。各アーム341〜344は、背板333に対して直交する方向に延びている。アーム341〜344の先端には、アーム固定片346が取り付けられている。
【0074】
背板333の背面には、正面に取り付けられる4本のアーム341〜344に対応して4個のモータMが取り付けられている。モータMの回転軸MJは、背板333に形成された図示しない貫通孔を通してアーム341〜344を支持する。これにより、モータMは、アーム341〜344をそれぞれの軸心を中心として回転させる。
【0075】
なお、図3(a)の矢印R1で示すように、4個のモータMのうち背板333の一側面側に位置する2個のモータMは、アーム341,342を正面側から見て時計回りに回転させる。また、図3(a)の矢印R2で示すように、4個のモータMのうち背板333の他側面側に位置する2個のモータMは、アーム343,344を正面側から見て反時計回りに回転させる。4個のモータMの動作は、図1の制御部70により制御される。
【0076】
各アーム341〜344の軸心と垂直な方向における断面は、楕円形状となっている。各アーム341〜344には、その軸心に沿って並ぶように等間隔で複数の径小部345が形成されている。
【0077】
アーム341〜344の径小部345に基板Wの外周端部が挿入される。これにより、複数の基板Wが4本のアーム341〜344により起立姿勢で平行に並ぶように保持される。
【0078】
図3(b)に示すように、各アーム341〜344の径小部345は、その軸心に沿う断面が軸心に対して二次曲線を描くように滑らかに形成されている。これにより、アーム341〜344が基板Wの外周端部を保持する際に、基板Wの外周端部が破損することが防止されている。
【0079】
(3)乾燥処理の詳細
以下、第1の実施の形態に係る基板処理装置100による乾燥処理の詳細を説明する。図4〜図6は、図1の基板処理装置100による乾燥処理の詳細を説明するための図である。
【0080】
乾燥処理が開始されると、図4(a)の太い矢印Uで示すように、4本のアーム341〜344により保持された基板Wが、図1の処理槽4に貯留された純水DIWから徐々に引き上げられる。これにより、基板Wが、純水DIWの液面LSから徐々に外部に露出する。
【0081】
このとき、純水DIWの液面LS上の空間には、破線矢印で示すように、図1のドライエア供給ダクト10AからドライエアDFが流れる。これにより、純水DIWの液面LSから引き上げられた部分の基板Wの表面が広い範囲に渡ってドライエアDFにより乾燥される。
【0082】
次に、図4(b)に示すように、外側の2本のアーム341,344と基板Wとの当接部WT1が純水DIWの液面LSに到達すると、図1の基板移動機構30による基板Wの引き上げ動作が一時的に停止する。
【0083】
図6(a)に、図4(b)のアーム344による基板Wの保持状態が拡大図で示されている。乾燥処理の開始から基板Wの引き上げ動作が一時停止するまでの間、外側のアーム344は、楕円の短軸と外周部とが交差する一方の端点(以下、短軸端点と呼ぶ)Aにより基板Wの外周端部を保持する。他のアーム341〜343も、一方の短軸端点により基板Wの外周端部を保持する。
【0084】
このとき、アーム344の楕円の長軸と外周部とが交差する一方の端点(以下、長軸端点と呼ぶ)Bは、既に純水DIWの液面LSから引き上げられている。それにより、長軸端点Bは、基板Wの引き上げ動作が一時停止した状態で、上述のドライエアDFにより乾燥される。
【0085】
続いて、図3のモータMによりアーム344が駆動される。それにより、矢印R2で示すように、アーム344がその軸心CAを中心として反時計回りに約90度回転する。このようにアーム344が回転する際には、図4(b)に示すように、アーム341,342が時計回りに約90度回転し(矢印R1)、アーム343が反時計回りに約90度回転する(矢印R2)。
【0086】
これにより、図6(b)に示すように、基板Wの外周端部が、アーム344の乾燥した長軸端点Bにより保持される。また、アーム344と基板Wとの当接部WT1が純水DIWの液面LSから引き上げられる。その結果、アーム344と基板Wとの当接部WT1に純水DIWが付着することが防止される。
【0087】
一方で、アーム341の時計回りの回転に伴い、基板Wの外周端部が、アーム341の乾燥した長軸端点により保持される。また、アーム341と基板Wとの当接部WT1が純水DIWの液面LSから引き上げられる。その結果、アーム341と基板Wとの当接部WT1に純水DIWが付着することが防止される。
【0088】
その後、図4(c)に示すように、基板Wが各アーム341〜344の長軸端点により保持された状態で、基板Wの引き上げ動作が再開される。
【0089】
次に、図4(d)に示すように、外側の2本のアーム341,344の全体が純水DIWの液面LSから引き上げられると、アーム341,342が再び時計回りに約90度回転し(矢印R1)、アーム343,344が反時計回りに約90度回転する(矢印R2)。それにより、図5(e)に示すように、基板Wの外周端部が再びアーム341〜344の短軸端点により保持される。
【0090】
続いて、図5(f)に示すように、内側の2本のアーム342,343と基板Wとの当接部WT2が純水DIWの液面LSに到達すると、図1の基板移動機構30による基板Wの引き上げ動作が一時的に停止する。
【0091】
そして、アーム341,342が時計回りに約90度回転し(矢印R1)、アーム343,344が反時計回りに約90度回転する(矢印R2)。
【0092】
これにより、図6を用いて説明したように、基板Wの外周端部が、アーム342,343の乾燥した長軸端点により保持される。また、アーム342,343と基板Wとの当接部WT2が純水DIWの液面LSから引き上げられる。その結果、アーム342,343と基板Wとの当接部WT2に純水DIWが付着することが防止される。
【0093】
その後、図5(g)に示すように、基板Wが各アーム341〜344の長軸端点により保持された状態で、基板Wの引き上げ動作が再開される。それにより、図5(h)に示すように、基板Wおよび4本のアーム341〜344の全てが、純水DIWの液面LSから引き上げられる。
【0094】
上記のように、基板Wの乾燥処理時には、4本のアーム341〜344が回転することにより、各アーム341〜344と基板Wとの当接部WT1,WT2に純水DIWが付着することが防止される。その結果、純水DIWから引き上げられる基板Wの全面が短時間で効率的に乾燥する。
【0095】
(4)変形例
上記の例では、基板移動機構30は、アーム341〜344と基板Wとの当接部WT1,WT2が純水DIWの液面LSに到達すると基板Wの引き上げ動作を一時停止するが、基板Wの引き上げ動作は必ずしも一時停止する必要はない。
【0096】
一時停止しない場合であっても、基板Wの引き上げ速度が十分遅い場合には、当接部WT1,WT2が純水DIWの液面LSに到達するとともに、アーム341〜344を回転させることにより上記と同様の効果を得ることができる。
【0097】
また、引き上げ動作を一時停止する代わりに、当接部WT1,WT2が純水DIWの液面LSに到達する際に、基板Wの引き上げ速度を一時的に十分遅くしてもよい。
【0098】
また、本実施の形態では、基板Wが4本のアーム341〜344により保持されているが、基板Wを保持するアームの数は4本に限定されない。基板Wを保持するアームの数は、2本であってもよいし、3本であってもよい。また、アームの数は、5本であってもよいし、6本以上であってもよい。なお、アームは基板Wの最下部を保持しないように配置することが好ましい。
【0099】
本実施の形態において、乾燥処理は基板WにドライエアDFを供給することにより行われるが、基板Wに供給する気体はドライエアDFに限られない。ドライエアDFに代えて、例えばIPA(イソプロピルアルコール)蒸気を用いてもよいし、低温のN2(窒素)ガスを用いてもよい。
【0100】
[2]第2の実施の形態
第2の実施の形態に係る基板処理装置について、第1の実施の形態に係る基板処理装置100と異なる点を説明する。
【0101】
(1)基板保持具の構造
第2の実施の形態に係る基板処理装置に設けられる基板保持具は、第1の実施の形態に用いられる基板保持具330と構成が異なる。図7および図8は、第2の実施の形態に係る基板処理装置に設けられる基板保持具の構成を説明するための図である。図7に第2の実施の形態に係る基板保持具の正面図が示され、図8に図7の基板保持具の動作が示されている。
【0102】
図7に示すように、本実施の形態に用いられる基板保持具330Bには、背板333の背面の中央にモータMが取り付けられている。下方へ延びるモータMの回転軸MJ2の下端部には、ウォームギア350が取り付けられている。モータMが動作することにより回転軸MJ2が回転し、ウォームギア350が回転する。モータMの動作は、図1の制御部70により制御される。
【0103】
背板333の背面には、ウォームギア350を両側方から挟み込むように、2つのウォームホイール361,364が回転可能に取り付けられている。これにより、ウォームギア350とウォームホイール361,364とが噛み合う。
【0104】
また、背板333の背面には、2つのウォームホイール361,364の下方で、ウォームギア350を両側方から挟み込むように、2つのウォームホイール362,363が回転可能に取り付けられている。これにより、ウォームギア350とウォームホイール362,363とが噛み合う。
【0105】
なお、図7では、ウォームギア350およびウォームホイール361〜364の形状を明瞭とするために、背板333の背面に設けられるウォームギア350およびウォームホイール361〜364の外観を実線で示している。
【0106】
各ウォームホイール361〜364には、揺動支持柱371,372,373,374の一端が取り付けられている。これにより、ウォームホイール361〜364が回転すると、揺動支持柱371〜374の他端がウォームホイール361〜364を中心として揺動する。
【0107】
各揺動支持柱371〜374の他端には、アーム381,382,383,384の一端が回転自在に取り付けられている。各アーム381〜384は、第1の実施の形態において用いられた図2のアーム341〜344とほぼ同じ構造を有するが、各アーム381〜384の軸心と垂直な方向における断面が真円形状である点が図3のアーム341〜344と異なる。
【0108】
アーム381〜384においても、その軸心に沿って並ぶように等間隔で複数の径小部が形成されている。この径小部に基板Wの外周端部が挿入されることにより、複数の基板Wが4本のアーム381〜384により起立姿勢で平行に並ぶように保持される。図7では、一点鎖線で示される基板Wが、4本のアーム381〜384により保持されている。
【0109】
基板保持具330Bの動作を説明する。図8(a)に示すように、例えばモータMが動作することにより回転軸MJ2が回転し(矢印Q1)、ウォームギア350が回転する。
【0110】
それにより、ウォームギア350と噛み合う4つのウォームホイール361〜364が回転する。そして、各ウォームホイール361〜364に取り付けられた揺動支持柱371〜374が開くように揺動する(矢印Q3)。
【0111】
その結果、図8(b)に示すように、モータMの動作前から動作後にかけて、アーム381〜384による基板Wの保持位置が変化する。
【0112】
(2)乾燥処理の詳細
以下、第2の実施の形態に係る基板処理装置による乾燥処理の詳細を説明する。図9〜図11は、第2の実施の形態に係る基板処理装置による乾燥処理の詳細を説明するための図である。
【0113】
乾燥処理が開始されると、図9(a)の太い矢印Uで示すように、4本のアーム381〜384により保持された基板Wが、図1の処理槽4に貯留された純水DIWから徐々に引き上げられる。これにより、基板Wが、純水DIWの液面LSから徐々に外部に露出する。
【0114】
次に、図9(b)に示すように、外側の2本のアーム381,384と基板Wとの当接部WT1が純水DIWの液面LSに到達すると、図1の基板移動機構30による基板Wの引き上げ動作が一時的に停止する。
【0115】
図11(a)に、図9(b)のアーム384による基板Wの保持状態が拡大図で示されている。図11(a)に示すように、乾燥処理の開始から基板Wの引き上げ動作が一時停止するまでの間、外側のアーム384は、外周部の点Aにより基板Wの外周端部を保持する。他のアーム381〜383も、同様に外周部の一点により基板Wの外周端部を保持する。
【0116】
このとき、アーム384の外周部において、点Aから所定の長さ離れた位置にある点Bは、既に純水DIWの液面LSから引き上げられている。それにより、点Bは、基板Wの引き上げ動作が一時停止した状態で、ドライエアDFにより乾燥される。
【0117】
この状態で、図7のモータMが動作する。それにより、アーム384が矢印Q3で示すように基板Wの外周端部に沿って上方へ移動する。
【0118】
上述のように、アーム384は、各揺動支持柱371〜374の他端に回転自在に取り付けられている。これにより、アーム384は、基板Wの外周端部に沿って移動する際に、矢印Q4で示すように反時計回りに回転する。それにより、アーム384が回転すると、図11(b)に示すように、乾燥している基板Wの外周端部が、アーム384の乾燥した点Bにより保持される。その結果、アーム384と基板Wとの当接部WT1に純水DIWが付着することが防止される。アーム381においても、上記のアーム384と同様の動作が行われる。
【0119】
その後、図9(c)に示すように、基板Wの引き上げ動作が再開される。
【0120】
次に、図9(d)に示すように、外側の2本のアーム381,384の全体が純水DIWの液面LSから引き上げられると、図7のモータMが再び動作する。これにより、各アーム381〜384が、基板Wの外周端部に沿って下方へ移動する。
【0121】
それにより、図10(e)に示すように、基板Wの外周端部が、乾燥処理開始時と同じ状態で、アーム381〜384により保持される。
【0122】
続いて、図10(f)に示すように、内側の2本のアーム382,383と基板Wとの当接部WT2が純水DIWの液面LSに到達すると、基板Wの引き上げ動作が一時的に停止する。
【0123】
この状態で、図11を用いて説明したように、図7のモータMが動作する。これにより、アーム381〜384が基板Wの外周端部に沿って上方へ移動する。
【0124】
この場合にも、乾燥している基板Wの外周端部が、アーム382,383の乾燥した点により保持される。その結果、アーム382,383と基板Wとの当接部WT2に純水DIWが付着することが防止される。
【0125】
その後、図10(g)に示すように、基板Wの引き上げ動作が再開される。それにより、図10(h)に示すように、基板Wおよび4本のアーム381〜384の全てが、純水DIWの液面LSから引き上げられる。
【0126】
上記のように、基板Wの乾燥処理時には、4本のアーム381〜384が揺動するとともに回転することにより、各アーム381〜384と基板Wとの当接部WT1,WT2に純水DIWが付着することが防止される。その結果、純水DIWから引き上げられる基板Wの全面が短時間で効率的に乾燥する。
【0127】
(3)変形例
本実施の形態においても、基板Wの引き上げ動作は必ずしも一時停止する必要はない。一時停止しない場合であっても、基板Wの引き上げ速度が十分遅い場合には、当接部WT1,WT2が純水DIWの液面LSに到達するとともに、4本のアーム381〜384を揺動させるとともに回転させることにより上記と同様の効果を得ることができる。
【0128】
また、引き上げ動作を一時停止する代わりに、当接部WT1,WT2が純水DIWの液面LSに到達する際に、基板Wの引き上げ速度を一時的に十分遅くしてもよい。
【0129】
本実施の形態においても、基板Wを保持するアームの数は4本に限定されないが、アームは基板Wの最下部を保持しないように配置することが好ましい。
【0130】
[3]第3の実施の形態
第3の実施の形態に係る基板処理装置について、第1の実施の形態に係る基板処理装置100と異なる点を説明する。
【0131】
(1)基板保持具の構造
第3の実施の形態に係る基板処理装置に設けられる基板保持具は、第1の実施の形態に用いられる基板保持具330と構成が異なる。図12は、第3の実施の形態に係る基板処理装置に設けられる基板保持具の外観斜視図である。
【0132】
図12に示すように、本実施の形態では、保持部340が3本のアーム347,348,349を含む。アーム348は背板333の正面の中央に位置し、アーム347,349はそれぞれ背板333の正面の両側面近傍(外側)に位置する。
【0133】
アーム348は、第1の実施の形態で用いられるアーム341〜344と同じ構造を有する。これにより、背板333の背面には、アーム348を駆動するためのモータ(図示せず)が設けられている。
【0134】
一方、アーム347,349は、軸心と垂直な方向における断面が四角形状であり、その一端が背板333の正面に固定されている。したがって、アーム347,349は回転しない。
【0135】
アーム347,349の上面には、基板Wを保持するために等間隔で複数の基板保持溝345Bが形成されている。
【0136】
アーム348に形成された径小部345およびアーム347,349に形成された基板保持溝345Bに基板Wの外周端部が挿入される。これにより、複数の基板Wが起立姿勢でかつ平行に保持される。
【0137】
(2)乾燥処理の詳細
以下、第3の実施の形態に係る基板処理装置による乾燥処理の詳細を説明する。図13は、第3の実施の形態に係る基板処理装置による乾燥処理の詳細を説明するための図である。
【0138】
乾燥処理が開始されると、図13(a)の太い矢印Uで示すように、3本のアーム347〜349により保持された基板Wが、図1の処理槽4に貯留された純水DIWから徐々に引き上げられる。これにより、基板Wが、純水DIWの液面LSから徐々に外部に露出する。なお、中央のアーム348は、乾燥処理の開始時に、基板Wの下端部を長軸端点により保持している。
【0139】
次に、図13(b)に示すように、中央のアーム348と基板Wとの当接部WT3が純水DIWの液面LSの近傍に到達すると、図1の基板移動機構30による基板Wの引き上げ動作が一時的に停止する。
【0140】
この状態で、アーム348を駆動する図示しないモータが動作する。それにより、アーム348が矢印Sで示すように約90度回転する。すると、図13(c)に示すように、中央のアーム348と基板Wとが離間する。なお、アーム348を駆動するモータは図1の制御部70により制御される。
【0141】
その後、中央のアーム348と基板Wとが離間した状態で基板Wの引き上げ動作が再開される。そして、図13(d)に示すように、基板Wおよび3本のアーム347〜349の全てが、純水DIWの液面LSから引き上げられる。
【0142】
本実施の形態において、基板Wは3本のアーム347〜349により起立姿勢で保持されている。これにより、純水DIWから引き上げられた基板Wに付着する純水DIWは、基板Wの表面を伝って下方に流れる。
【0143】
それにより、基板Wの下端部を保持するアーム348と基板Wとの当接部WT3には、他のアーム347,349と基板Wとの当接部に比べて多量の純水DIWが付着する。
【0144】
そこで、本実施の形態では、アーム348と基板Wとの当接部WT3が純水DIWの液面LSに到達する前にアーム348が回転する。これにより、基板Wの下端部が液面LSから引き上げられる際には、アーム348と基板Wの下端部との当接部が存在しない。それにより、純水DIWから引き上げられる基板Wの下端部に純水DIWが多量に付着することが防止される。その結果、純水DIWから引き上げられる基板Wの全面が短時間で効率的に乾燥する。
【0145】
(3)変形例
本実施の形態においても、基板Wの引き上げ動作は必ずしも一時停止する必要はない。一時停止しない場合であっても、当接部WT3が純水DIWの液面LSに到達する前に、アーム348を回転させることにより上記と同様の効果を得ることができる。
【0146】
また、本実施の形態では、基板Wが3本のアーム347〜349により保持されているが、基板Wを保持するアームの数は3本に限定されず、4本であってもよいし、5本であってもよい。また、アームの数は、6本であってもよいし、7本以上であってもよい。なお、複数のアームのうちの1つは、処理液中で基板Wの最下部を保持するように配置する。
【0147】
処理液中で基板Wの最下部を保持するアームの軸心と垂直な方向における断面の形状は、楕円形状に限られない。回転軸からの距離が一定でない外周を有する円形状、四角形状または三角形状等であってもよい。
【0148】
[4]請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0149】
第1の実施の形態に係る基板処理装置100は請求項1〜3および7〜9の基板処理装置の例であり、第2の実施の形態に係る基板処理装置は請求項1、2、4および7〜9の基板処理装置の例であり、第3の実施の形態に係る基板処理装置は請求項5〜9の基板処理装置の例である。
【0150】
また、基板保持具330,330Bが基板保持部の例であり、基板移動機構30および制御部70が基板昇降装置の例であり、ドライエア供給ダクト10Aおよびドライエア発生装置60が気体供給部の例であり、アーム341〜344,347〜349,381〜384が棒状部材の例である。
【0151】
さらに、図6に示されるアーム344の短軸端点Aおよび図11に示されるアーム384の点Aが棒状部材の外周面の一部分の例であり、図6に示されるアーム344の長軸端点Bおよび図11に示されるアーム384の点Bが棒状部材の外周面の他部分の例である。
【0152】
また、アーム348が第1の棒状部材の例であり、アーム347,349が第2の棒状部材の例であり、ドライエアDFが乾燥空気の例であり、ドライエア排気ダクト10Bが気体排出部の例である。
【0153】
さらに、アーム348の径小部345において基板Wの下端部を保持する外周面の長軸端点が第1の棒状部材の外周面の一部分の例であり、アーム347,349の基板保持溝345Bにおいて基板Wの外周端部を支持する外周面の一部分が第2の棒状部材の外周面の一部分の例である。
【0154】
なお、請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明に係る基板処理装置は、半導体ウェハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示装置用ガラス基板、プラズマディスプレイ用ガラス基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板等の基板の製造に有効に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】第1の実施の形態に係る基板処理装置の構成を示す模式的断面図である。
【図2】図1の基板保持具の外観斜視図である。
【図3】図1の基板保持具の上面図および基板保持具が備えるアームの拡大側面図である。
【図4】図1の基板処理装置による乾燥処理の詳細を説明するための図である。
【図5】図1の基板処理装置による乾燥処理の詳細を説明するための図である。
【図6】図1の基板処理装置による乾燥処理の詳細を説明するための図である。
【図7】第2の実施の形態に係る基板処理装置に設けられる基板保持具の構成を説明するための図である。
【図8】第2の実施の形態に係る基板処理装置に設けられる基板保持具の構成を説明するための図である。
【図9】第2の実施の形態に係る基板処理装置による乾燥処理の詳細を説明するための図である。
【図10】第2の実施の形態に係る基板処理装置による乾燥処理の詳細を説明するための図である。
【図11】第2の実施の形態に係る基板処理装置による乾燥処理の詳細を説明するための図である。
【図12】第3の実施の形態に係る基板処理装置に設けられる基板保持具の外観斜視図である。
【図13】第3の実施の形態に係る基板処理装置による乾燥処理の詳細を説明するための図である。
【符号の説明】
【0157】
4 処理槽
10A ドライエア供給ダクト
10B ドライエア排気ダクト
30 基板移動機構
70 制御部
100 基板処理装置
330,330B 基板保持具
341,342,343,344,347,348,349,381,382,383,384 アーム
DF ドライエア
W 基板
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に種々の処理を行う基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体ウェハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示装置用ガラス基板、プラズマディスプレイ用ガラス基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板等の基板に種々の処理を行うために、基板処理装置が用いられている。
【0003】
複数の基板を処理槽に貯留された処理液に浸漬し、洗浄処理を行う基板処理装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1の基板処理装置においては、処理槽内で基板の表面が薬液および純水により洗浄処理される。洗浄処理の施された基板は処理槽内から引き上げられる。
【0005】
洗浄処理後の基板に純水が付着していると、基板にパーティクルが付着し易くなる。また、基板に付着した純水が自然乾燥すると、基板にウォーターマークが形成される。したがって、特許文献1の基板処理装置においては、処理槽内から引き上げられた基板にドライエアが供給される。これにより、純水が付着した基板の表面が乾燥される(乾燥処理)。
【0006】
なお、特許文献1において、ドライエアとは極めて露点の低い気体をいい、基板に供給されるドライエアの露点は例えば約−70℃である。
【特許文献1】特開2006−310759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記のような基板処理装置においては、複数の基板を処理槽に貯留された純水に浸漬するために、一度に複数の基板を保持する基板保持具が用いられる。この基板保持具は、各基板の外周端部の一部を支持することにより、複数の基板を起立姿勢でかつ平行に保持する。
【0008】
したがって、複数の基板が基板保持具により保持される場合には、各基板の外周端部が基板保持具と当接する。これにより、基板保持具により保持される複数の基板が純水から引き上げられる際、各基板と基板保持具との当接部には純水が付着する。
【0009】
乾燥処理時において、基板保持具に当接しない基板の部分は、ドライエアを供給することにより比較的短時間で乾燥する。しかしながら、上記の当接部に付着する純水を乾燥させる場合、基板全体の乾燥処理が長時間化する。
【0010】
そこで、基板と基板保持具との当接部に付着する純水を短時間で乾燥させるために、基板に供給するドライエアの温度を上昇させる方法が考えられる。しかしながら、この方法では、基板に供給するドライエアの温度が上昇することにより、基板の表面が酸化するおそれがある。また、基板保持具に優れた耐熱性を有する材料を用いる必要が生じる。
【0011】
本発明の目的は、処理液から引き上げられる複数の基板の全面を短時間で効率的に乾燥させることができる基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)第1の発明に係る基板処理装置は、基板に所定の処理を行う基板処理装置であって、処理液を貯留する処理槽と、基板の外周端部を支持し、基板を起立姿勢で保持する基板保持部と、処理槽内の処理液中と処理槽の上方位置との間で基板保持部により保持された基板を昇降させる基板昇降装置と、基板昇降装置により処理槽から引き上げられる基板に気体を供給する気体供給部とを備え、基板保持部は、略水平方向に延びるとともにその軸心を中心として回転する複数の棒状部材を含み、各棒状部材の外周面の一部分には、基板の外周端部を支持する第1の支持部が形成され、各棒状部材の外周面の他部分には、基板の外周端部を支持する第2の支持部が形成され、第1の支持部は、基板昇降装置により処理槽から基板が引き上げられる際に、処理槽内の処理液中で基板の外周端部に当接し、処理槽内の処理液外で基板の外周端部から離間し、第2の支持部は、基板の外周端部に当接するものである。
【0013】
この発明に係る基板処理装置においては、処理槽に処理液が貯留され、基板昇降装置により処理槽内の処理液中と処理槽の上方位置との間で基板保持部により保持された基板が昇降される。基板保持部は、複数の棒状部材の第1および第2の支持部により基板の外周端部を支持する。これにより、基板が起立姿勢で保持される。
【0014】
基板昇降装置により処理槽から基板が引き上げられる際に、処理槽内の処理液中で基板の外周端部と第1の支持部とが当接し、処理液外で基板の外周端部から第1の支持部が離間する。
【0015】
これにより、処理液が付着した第1の支持部が、処理液外で基板の外周端部と当接しない。それにより、第1の支持部と基板の外周端部との当接部に処理液が付着することが防止される。その結果、処理槽から引き上げられる基板の全面が気体供給部から供給される気体により短時間で効率的に乾燥する。
【0016】
処理槽内の処理液外では、第2の支持部が基板の外周端部に当接する。これにより、処理槽内の処理液外で、基板が第2の支持部により確実に支持される。
【0017】
また、各棒状部材を回転させることにより基板の外周端部が各棒状部材の外周面の一部分に当接する状態から基板の外周端部が各棒状部材の外周面の他部分に当接する状態へと容易に切り替えることができる。すなわち、第1の支持部により基板の外周端部を支持する状態から第2の支持部により基板の外周端部を支持する状態へと容易に切り替えることができる。
【0018】
(2)第2の支持部は、第2の支持部が基板の外周端部に当接する前に、処理槽内の処理液外に位置してもよい。
【0019】
これにより、第2の支持部は、基板の外周端部に当接する前に気体供給部から基板に供給される気体により乾燥する。
【0020】
それにより、基板昇降装置により処理槽から基板が引き上げられる際に、処理槽内の処理液外では、処理液が付着しない乾燥した第2の支持部により基板の外周端部が支持される。それにより、第2の支持部と基板の外周端部との当接部に処理液が付着することが確実に防止される。
【0021】
(3)各棒状部材は、非真円の断面を有し、処理槽から基板が引き上げられる際に、各棒状部材が回転することにより基板の外周端部と各棒状部材の外周面の一部分とが当接する状態から基板の外周端部と各棒状部材の外周面の他部分とが当接する状態に移行し、各棒状部材の回転中心から一部分までの距離は、各棒状部材の回転中心から他部分までの距離よりも短くてもよい。
【0022】
この場合、各棒状部材が回転することにより基板の外周端部が各棒状部材の外周面の一部分に当接する状態から基板の外周端部が各棒状部材の外周面の他部分に当接する状態へ移行すると、各棒状部材の回転中心から他部分までの距離が各棒状部材の回転中心から一部分までの距離よりも長いので、基板が各棒状部材の回転中心から相対的に離間するように移動する。
【0023】
これにより、基板の支持状態の切替動作と同時に基板が処理液外へ移動する。それにより、基板の外周端部が、乾燥した各棒状部材の外周面の他部分により処理液外で確実に支持される。
【0024】
(4)各棒状部材は、略円形の断面を有し、処理槽から基板が引き上げられる際に、基板の外周端部に接触した状態で回転しつつ移動することにより基板の外周端部と各棒状部材の外周面の一部分とが当接する状態から、基板の外周端部と各棒状部材の外周面の他部分とが当接する状態に移行してもよい。
【0025】
この場合、各棒状部材が回転しつつ移動することにより基板の外周端部が各棒状部材の外周面の一部分に当接する状態から基板の外周端部が各棒状部材の外周面の他部分に当接する状態へ移行する。その際に、各棒状部材の外周面と基板の外周端部との間にこすれが生じないので、こすれによるパーティクルの発生が十分に抑制される。
【0026】
また、基板の外周端部が複数の棒状部材の外周面の一部分に当接する状態から基板の外周端部が各棒状部材の外周面の他部分に当接する状態へ移行することにより、基板の外周端部が、乾燥した各棒状部材の外周面の他部分により処理液外で確実に支持される。
【0027】
(5)第2の発明に係る基板処理装置は、基板に所定の処理を行う基板処理装置であって、処理液を貯留する処理槽と、基板の外周端部を支持し、基板を起立姿勢で保持する基板保持部と、処理槽内の処理液中と処理槽の上方位置との間で基板保持部により保持された基板を昇降させる基板昇降装置と、基板昇降装置により処理槽から引き上げられる基板に気体を供給する気体供給部とを備え、基板保持部は、略水平方向に延びるとともにその軸心を中心として回転する第1の棒状部材と、略水平方向に延びる第2の棒状部材とを含み、第1の棒状部材は、非真円の断面を有し、第1の棒状部材の外周面の一部分には、基板の外周端部を支持する第1の支持部が形成され、第2の棒状部材の外周面の一部分には、基板の外周端部を支持する第2の支持部が形成され、第1の棒状部材は、回転することにより基板の外周端部と第1の支持部とが当接する状態から基板の外周端部と第1の支持部とが離間する状態に移行し、第1の支持部は、基板昇降装置により処理槽から基板が引き上げられる際に、処理槽内の処理液中で基板の外周端部に当接し、処理槽内の処理液外で基板の外周端部から離間し、第2の支持部は、基板の外周端部に当接するものである。
【0028】
この発明に係る基板処理装置においては、処理槽に処理液が貯留され、基板昇降装置により処理槽内の処理液中と処理槽の上方位置との間で基板保持部により保持された基板が昇降される。基板保持部は、第1および第2の棒状部材にそれぞれ形成された第1および第2の支持部により基板の外周端部を支持する。これにより、基板が起立姿勢で保持される。
【0029】
基板昇降装置により処理槽から基板が引き上げられる際に、処理槽内の処理液中で基板の外周端部と第1の支持部とが当接し、処理液外で基板の外周端部から第1の支持部が離間する。
【0030】
これにより、処理液が付着した第1の支持部が、処理液外で基板の外周端部と当接しない。それにより、第1の支持部と基板の外周端部との当接部に処理液が付着することが防止される。その結果、処理槽から引き上げられる基板の全面が気体供給部から供給される気体により短時間で効率的に乾燥する。
【0031】
また、基板昇降装置により処理槽から基板が引き上げられる際に、基板の外周端部が第2の棒状部材の外周面の一部分である第2の支持部により確実に支持される。それにより、基板が基板保持部により安定して保持される。
【0032】
さらに、第1の棒状部材が非真円の断面を有するので、基板昇降装置により処理槽から基板が引き上げられる際に、第1の棒状部材が回転することにより基板の外周端部と第1の棒状部材の外周面の一部分とが当接する状態から基板の外周端部と第1の棒状部材の外周面の一部分とが離間する状態に容易に移行することができる。
【0033】
(6)第2の支持部は、処理槽内の処理液中および処理液外で基板の外周端部に当接してもよい。
【0034】
この場合、基板昇降装置により処理槽から基板が引き上げられる際に、処理槽内の処理液中および処理液外で、基板の外周端部が確実に支持される。それにより、基板が基板保持部により安定して保持される。
【0035】
(7)第1の支持部が基板の外周端部から離間するときに、基板昇降装置による基板の処理槽からの引き上げ動作が一時的に停止されてもよい。
【0036】
この場合、第1の支持部が基板の外周端部に当接した状態で、基板が処理槽から引き上げられることが確実に防止される。また、気体供給部から基板に確実に気体が供給されるので、基板の全面がより確実に乾燥する。
【0037】
(8)気体は乾燥空気であってもよい。この場合、基板に付着する処理液が乾燥空気により置換され、より効率的に除去される。
【0038】
(9)気体供給部は、処理槽の一方側に配置され、基板処理装置は、処理槽の他方側に配置され、処理槽上の雰囲気を排出するための気体排出部をさらに備えてもよい。
【0039】
この場合、処理槽の一方側に配置された気体供給部から処理槽の他方側に配置された気体排出部へ円滑に気体が流れ、処理槽上の空間における乱流の発生が防止される。これにより、基板の均一かつ効率的な乾燥処理が実現される。
【発明の効果】
【0040】
本発明に係る基板処理装置によれば、処理液から引き上げられる複数の基板の全面を短時間で効率的に乾燥させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
本発明の一実施の形態に係る基板処理装置について説明する。以下の説明において、基板とは、半導体ウェハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示装置用ガラス基板、プラズマディスプレイ用ガラス基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板等をいう。
【0042】
[1]第1の実施の形態
(1)基板処理装置の構成および動作
図1は、第1の実施の形態に係る基板処理装置の構成を示す模式的断面図である。図1に示すように、第1の実施の形態に係る基板処理装置100は、処理槽4、ダウンフローダクト20、基板移動機構30、処理液ミキシング装置50、ドライエア発生装置60、制御部70およびファンフィルタユニットFFUを備える。
【0043】
ダウンフローダクト20の上方にファンフィルタユニットFFUが配置されている。ファンフィルタユニットFFUは、ファンおよびフィルタを備える。ファンフィルタユニットFFUのファンが動作することにより、ダウンフローダクト20内に清浄な下降気流(ダウンフロー)が発生する。
【0044】
ダウンフローダクト20内の下部に処理槽4が設けられている。処理槽4は複数の基板Wを収納可能な内槽40および内槽40の上部外周を取囲むように設けられた外槽43により形成されている。内槽40は略直方体形状を有する。
【0045】
内槽40の底部には、内槽40内に処理液を供給するための処理液供給管41および内槽40内の処理液を排出するための処理液排出管42が接続されている。本実施の形態において、内槽40内では基板Wの洗浄処理が行われる。洗浄処理時に内槽40内に供給される処理液は、洗浄液またはリンス液である。
【0046】
すなわち、内槽40内に洗浄液を供給し、内槽40内に貯留された洗浄液に基板Wを浸漬することにより、基板Wの表面を洗浄する。その後、内槽40内の洗浄液をリンス液に置換する。
【0047】
洗浄液としては、BHF(バッファードフッ酸)、DHF(希フッ酸)、フッ酸、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、シュウ酸またはアンモニア等の薬液が用いられる。リンス液としては、純水、炭酸水、水素水、電解イオン水等が用いられる。
【0048】
処理液供給管41の上流端が処理液ミキシング装置50に接続されている。処理液ミキシング装置50には、例えば薬液および純水が供給されている。処理液ミキシング装置50は、供給される薬液および純水を所定の割合で混合することができる。したがって、処理液ミキシング装置50は、薬液、純水またはそれらの混合液を処理液またはリンス液として処理液供給管41を介して内槽40内に供給する。
【0049】
外槽43の底部には、内槽40の上部から溢れ出し(オーバーフロー)、外槽43内に流れ込む処理液を排出するための処理液排出管44が接続されている。
【0050】
内槽40の上方位置に基板移動機構30が設けられている。基板移動機構30は複数の基板Wを保持する基板保持具330を上下方向に移動させる。
【0051】
基板保持具330は基板Wの外周端部を支持することにより、複数の基板Wを起立姿勢でかつ平行に並ぶように保持する。本実施の形態において、複数の基板Wは、基板保持具330が備える複数(本例では4本)のアームにより保持される。詳細は後述する。
【0052】
ここで、基板処理装置100に対する複数の基板Wの搬入および搬出は、図示しない搬送機構が、複数の基板Wを基板保持具330に搬送することにより行われる。
【0053】
ダウンフローダクト20の上部には、搬送エリアTEが設けられている。搬送エリアTEは、図示しない搬送機構と基板保持具330との間で複数の基板Wの受け渡しを行う際に用いられる。
【0054】
搬送エリアTEを取囲むダウンフローダクト20の部分において、対向する2つの側面にはそれぞれ開口20hが形成されている。2つの開口20hの近傍には、それぞれ開口20hを開閉可能なシャッタSHおよびシャッタ駆動部SDが設けられている。シャッタ駆動部SDは、シャッタSHを駆動することによりダウンフローダクト20の開口20hの開閉を行う。
【0055】
例えば、基板処理装置100への複数の基板Wの搬入時には、シャッタSHが開くことにより、複数の基板Wを保持する図示しない搬送機構がダウンフローダクト20内に進入する。そして、基板保持具330が、図示しない搬送機構から複数の基板Wを受け取る。
【0056】
また、基板処理装置100からの複数の基板Wの搬出時には、洗浄処理後の複数の基板Wが、ダウンフローダクト20内の基板保持具330から図示しない搬送機構に渡される。そこで、シャッタSHが開くことにより、複数の基板Wを保持する図示しない搬送機構がダウンフローダクト20外に移動する。
【0057】
処理槽4の上端部近傍に位置するダウンフローダクト20の部分において、対向する2つの側面にはそれぞれドライエア供給ダクト10Aおよびドライエア排気ダクト10Bが取り付けられている。
【0058】
ドライエア供給ダクト10Aおよびドライエア排気ダクト10Bには複数の通気ガイド11が設けられている。ドライエア供給ダクト10Aは配管61を介してドライエア発生装置60と接続されている。
【0059】
ドライエア発生装置60により発生されたドライエアDFが、配管61を通じてドライエア供給ダクト10Aに送られる。それにより、内槽40から引き上げられる基板WにドライエアDFが水平方向に吹き付けられ、基板Wの乾燥処理が行われる。基板WにドライエアDFが吹き付けられることにより、基板W周辺の雰囲気がドライエア排気ダクト10Bから排気される。
【0060】
これにより、基板WにドライエアDFが吹き付けられる際に、処理槽4上の雰囲気における乱流の発生が防止され、処理槽4の一方側から他方側へドライエアDFの円滑な流れが形成される。それにより、基板Wの均一かつ効率的な乾燥処理が実現される。
【0061】
ここで、ドライエアDFとは、極めて露点の低い気体をいう。ドライエア供給ダクト10Aからダウンフローダクト20内に供給されるドライエアDFの露点は、例えば約−70℃である。
【0062】
制御部70は、基板移動機構30、処理液ミキシング装置50、ドライエア発生装置60、基板保持具330、シャッタ駆動部SDおよびファンフィルタユニットFFUと接続されている。制御部70がこれら構成部の動作を制御することにより、ダウンフローダクト20内のダウンフロー、基板処理装置100に対する基板Wの搬入搬出動作、基板Wの洗浄処理および基板Wの乾燥処理が制御される。
【0063】
ファンフィルタユニットFFUは、ダウンフローダクト20内にダウンフローを発生させる。基板移動機構30は、洗浄処理の開始時に複数の基板Wを保持する基板保持具330を内槽40内に移動させる。この状態で、処理液ミキシング装置50が、薬液または薬液と純水との混合液を洗浄液として内槽40内に供給する。これにより、基板Wが内槽40内で洗浄液に浸漬され、基板Wの表面が洗浄される。
【0064】
その後、処理液ミキシング装置50は、純水をリンス液として内槽40内に供給し、内槽40内の洗浄液を純水に置換する。これにより、基板Wが内槽40内で純水に浸漬される。このようにして、基板Wの洗浄処理が完了する。
【0065】
基板移動機構30は、洗浄処理が完了した基板Wを内槽40の上方へ引き上げる。そこで、ドライエア発生装置60が、引き上げられた基板WにドライエアDFを供給する。これにより、基板Wに付着した純水がドライエアDFにより置換され、基板Wの表面が乾燥される(乾燥処理)。
【0066】
なお、乾燥処理時以外において、ドライエア発生装置60は、ダウンフローダクト20内へのドライエアDFの供給量を低減している(スローリーク)。
【0067】
基板Wの引き上げ時において、基板保持具330は、基板Wを保持する4本のアームを動作させる。これにより、4本のアームによる基板Wの保持位置が変化する。すなわち、基板Wの外周端部と4本のアームとの当接部の位置が変化する。詳細は後述する。
【0068】
また、基板Wの内槽40からの引き上げ時において、処理液ミキシング装置50は、少量の純水を継続して内槽40内に供給している。したがって、基板Wの内槽40からの引き上げ時には、内槽40の上部開口から純水が溢れ出している。内槽40から溢れ出した純水は外槽43へ流れ込み、外槽43に接続された処理液排出管44から排出される。
【0069】
処理液供給管41および処理液排出管42,44には、それぞれ図示しないバルブが設けられている。制御部70はこれらのバルブの開閉動作も制御する。これにより、処理槽4内の処理液の供給系および排出系の開閉動作が制御される。
【0070】
(2)基板保持具の構造
図2は図1の基板保持具330の外観斜視図であり、図3は図1の基板保持具330の上面図および基板保持具330が備えるアームの拡大側面図である。以下の説明では、基板保持具330の基板Wが保持される側を正面と呼び、反対側を背面と呼ぶ。
【0071】
図2および図3(a)に示すように、基板保持具330は、昇降軸331、支持板332、背板333、保持部340および4個のモータMを備える。保持部340は、4本のアーム341,342,343,344およびアーム固定片346を含む。
【0072】
この基板保持具330において、昇降軸331は、図1の基板移動機構30により昇降可能に保持される。昇降軸331の上端に支持板332が水平に取り付けられている。支持板332の一端面には、下方へ垂直に延びるように背板333が取り付けられている。
【0073】
背板333の正面の下端近傍には、一側面近傍から他側面近傍にかけて並ぶように保持部340の4本のアーム341〜344が取り付けられている。なお、背板333の中央(内側)に位置するアーム342,343は、背板333の両側面近傍(外側)に位置するアーム341,344よりも少し低い高さに配置されている。各アーム341〜344は、背板333に対して直交する方向に延びている。アーム341〜344の先端には、アーム固定片346が取り付けられている。
【0074】
背板333の背面には、正面に取り付けられる4本のアーム341〜344に対応して4個のモータMが取り付けられている。モータMの回転軸MJは、背板333に形成された図示しない貫通孔を通してアーム341〜344を支持する。これにより、モータMは、アーム341〜344をそれぞれの軸心を中心として回転させる。
【0075】
なお、図3(a)の矢印R1で示すように、4個のモータMのうち背板333の一側面側に位置する2個のモータMは、アーム341,342を正面側から見て時計回りに回転させる。また、図3(a)の矢印R2で示すように、4個のモータMのうち背板333の他側面側に位置する2個のモータMは、アーム343,344を正面側から見て反時計回りに回転させる。4個のモータMの動作は、図1の制御部70により制御される。
【0076】
各アーム341〜344の軸心と垂直な方向における断面は、楕円形状となっている。各アーム341〜344には、その軸心に沿って並ぶように等間隔で複数の径小部345が形成されている。
【0077】
アーム341〜344の径小部345に基板Wの外周端部が挿入される。これにより、複数の基板Wが4本のアーム341〜344により起立姿勢で平行に並ぶように保持される。
【0078】
図3(b)に示すように、各アーム341〜344の径小部345は、その軸心に沿う断面が軸心に対して二次曲線を描くように滑らかに形成されている。これにより、アーム341〜344が基板Wの外周端部を保持する際に、基板Wの外周端部が破損することが防止されている。
【0079】
(3)乾燥処理の詳細
以下、第1の実施の形態に係る基板処理装置100による乾燥処理の詳細を説明する。図4〜図6は、図1の基板処理装置100による乾燥処理の詳細を説明するための図である。
【0080】
乾燥処理が開始されると、図4(a)の太い矢印Uで示すように、4本のアーム341〜344により保持された基板Wが、図1の処理槽4に貯留された純水DIWから徐々に引き上げられる。これにより、基板Wが、純水DIWの液面LSから徐々に外部に露出する。
【0081】
このとき、純水DIWの液面LS上の空間には、破線矢印で示すように、図1のドライエア供給ダクト10AからドライエアDFが流れる。これにより、純水DIWの液面LSから引き上げられた部分の基板Wの表面が広い範囲に渡ってドライエアDFにより乾燥される。
【0082】
次に、図4(b)に示すように、外側の2本のアーム341,344と基板Wとの当接部WT1が純水DIWの液面LSに到達すると、図1の基板移動機構30による基板Wの引き上げ動作が一時的に停止する。
【0083】
図6(a)に、図4(b)のアーム344による基板Wの保持状態が拡大図で示されている。乾燥処理の開始から基板Wの引き上げ動作が一時停止するまでの間、外側のアーム344は、楕円の短軸と外周部とが交差する一方の端点(以下、短軸端点と呼ぶ)Aにより基板Wの外周端部を保持する。他のアーム341〜343も、一方の短軸端点により基板Wの外周端部を保持する。
【0084】
このとき、アーム344の楕円の長軸と外周部とが交差する一方の端点(以下、長軸端点と呼ぶ)Bは、既に純水DIWの液面LSから引き上げられている。それにより、長軸端点Bは、基板Wの引き上げ動作が一時停止した状態で、上述のドライエアDFにより乾燥される。
【0085】
続いて、図3のモータMによりアーム344が駆動される。それにより、矢印R2で示すように、アーム344がその軸心CAを中心として反時計回りに約90度回転する。このようにアーム344が回転する際には、図4(b)に示すように、アーム341,342が時計回りに約90度回転し(矢印R1)、アーム343が反時計回りに約90度回転する(矢印R2)。
【0086】
これにより、図6(b)に示すように、基板Wの外周端部が、アーム344の乾燥した長軸端点Bにより保持される。また、アーム344と基板Wとの当接部WT1が純水DIWの液面LSから引き上げられる。その結果、アーム344と基板Wとの当接部WT1に純水DIWが付着することが防止される。
【0087】
一方で、アーム341の時計回りの回転に伴い、基板Wの外周端部が、アーム341の乾燥した長軸端点により保持される。また、アーム341と基板Wとの当接部WT1が純水DIWの液面LSから引き上げられる。その結果、アーム341と基板Wとの当接部WT1に純水DIWが付着することが防止される。
【0088】
その後、図4(c)に示すように、基板Wが各アーム341〜344の長軸端点により保持された状態で、基板Wの引き上げ動作が再開される。
【0089】
次に、図4(d)に示すように、外側の2本のアーム341,344の全体が純水DIWの液面LSから引き上げられると、アーム341,342が再び時計回りに約90度回転し(矢印R1)、アーム343,344が反時計回りに約90度回転する(矢印R2)。それにより、図5(e)に示すように、基板Wの外周端部が再びアーム341〜344の短軸端点により保持される。
【0090】
続いて、図5(f)に示すように、内側の2本のアーム342,343と基板Wとの当接部WT2が純水DIWの液面LSに到達すると、図1の基板移動機構30による基板Wの引き上げ動作が一時的に停止する。
【0091】
そして、アーム341,342が時計回りに約90度回転し(矢印R1)、アーム343,344が反時計回りに約90度回転する(矢印R2)。
【0092】
これにより、図6を用いて説明したように、基板Wの外周端部が、アーム342,343の乾燥した長軸端点により保持される。また、アーム342,343と基板Wとの当接部WT2が純水DIWの液面LSから引き上げられる。その結果、アーム342,343と基板Wとの当接部WT2に純水DIWが付着することが防止される。
【0093】
その後、図5(g)に示すように、基板Wが各アーム341〜344の長軸端点により保持された状態で、基板Wの引き上げ動作が再開される。それにより、図5(h)に示すように、基板Wおよび4本のアーム341〜344の全てが、純水DIWの液面LSから引き上げられる。
【0094】
上記のように、基板Wの乾燥処理時には、4本のアーム341〜344が回転することにより、各アーム341〜344と基板Wとの当接部WT1,WT2に純水DIWが付着することが防止される。その結果、純水DIWから引き上げられる基板Wの全面が短時間で効率的に乾燥する。
【0095】
(4)変形例
上記の例では、基板移動機構30は、アーム341〜344と基板Wとの当接部WT1,WT2が純水DIWの液面LSに到達すると基板Wの引き上げ動作を一時停止するが、基板Wの引き上げ動作は必ずしも一時停止する必要はない。
【0096】
一時停止しない場合であっても、基板Wの引き上げ速度が十分遅い場合には、当接部WT1,WT2が純水DIWの液面LSに到達するとともに、アーム341〜344を回転させることにより上記と同様の効果を得ることができる。
【0097】
また、引き上げ動作を一時停止する代わりに、当接部WT1,WT2が純水DIWの液面LSに到達する際に、基板Wの引き上げ速度を一時的に十分遅くしてもよい。
【0098】
また、本実施の形態では、基板Wが4本のアーム341〜344により保持されているが、基板Wを保持するアームの数は4本に限定されない。基板Wを保持するアームの数は、2本であってもよいし、3本であってもよい。また、アームの数は、5本であってもよいし、6本以上であってもよい。なお、アームは基板Wの最下部を保持しないように配置することが好ましい。
【0099】
本実施の形態において、乾燥処理は基板WにドライエアDFを供給することにより行われるが、基板Wに供給する気体はドライエアDFに限られない。ドライエアDFに代えて、例えばIPA(イソプロピルアルコール)蒸気を用いてもよいし、低温のN2(窒素)ガスを用いてもよい。
【0100】
[2]第2の実施の形態
第2の実施の形態に係る基板処理装置について、第1の実施の形態に係る基板処理装置100と異なる点を説明する。
【0101】
(1)基板保持具の構造
第2の実施の形態に係る基板処理装置に設けられる基板保持具は、第1の実施の形態に用いられる基板保持具330と構成が異なる。図7および図8は、第2の実施の形態に係る基板処理装置に設けられる基板保持具の構成を説明するための図である。図7に第2の実施の形態に係る基板保持具の正面図が示され、図8に図7の基板保持具の動作が示されている。
【0102】
図7に示すように、本実施の形態に用いられる基板保持具330Bには、背板333の背面の中央にモータMが取り付けられている。下方へ延びるモータMの回転軸MJ2の下端部には、ウォームギア350が取り付けられている。モータMが動作することにより回転軸MJ2が回転し、ウォームギア350が回転する。モータMの動作は、図1の制御部70により制御される。
【0103】
背板333の背面には、ウォームギア350を両側方から挟み込むように、2つのウォームホイール361,364が回転可能に取り付けられている。これにより、ウォームギア350とウォームホイール361,364とが噛み合う。
【0104】
また、背板333の背面には、2つのウォームホイール361,364の下方で、ウォームギア350を両側方から挟み込むように、2つのウォームホイール362,363が回転可能に取り付けられている。これにより、ウォームギア350とウォームホイール362,363とが噛み合う。
【0105】
なお、図7では、ウォームギア350およびウォームホイール361〜364の形状を明瞭とするために、背板333の背面に設けられるウォームギア350およびウォームホイール361〜364の外観を実線で示している。
【0106】
各ウォームホイール361〜364には、揺動支持柱371,372,373,374の一端が取り付けられている。これにより、ウォームホイール361〜364が回転すると、揺動支持柱371〜374の他端がウォームホイール361〜364を中心として揺動する。
【0107】
各揺動支持柱371〜374の他端には、アーム381,382,383,384の一端が回転自在に取り付けられている。各アーム381〜384は、第1の実施の形態において用いられた図2のアーム341〜344とほぼ同じ構造を有するが、各アーム381〜384の軸心と垂直な方向における断面が真円形状である点が図3のアーム341〜344と異なる。
【0108】
アーム381〜384においても、その軸心に沿って並ぶように等間隔で複数の径小部が形成されている。この径小部に基板Wの外周端部が挿入されることにより、複数の基板Wが4本のアーム381〜384により起立姿勢で平行に並ぶように保持される。図7では、一点鎖線で示される基板Wが、4本のアーム381〜384により保持されている。
【0109】
基板保持具330Bの動作を説明する。図8(a)に示すように、例えばモータMが動作することにより回転軸MJ2が回転し(矢印Q1)、ウォームギア350が回転する。
【0110】
それにより、ウォームギア350と噛み合う4つのウォームホイール361〜364が回転する。そして、各ウォームホイール361〜364に取り付けられた揺動支持柱371〜374が開くように揺動する(矢印Q3)。
【0111】
その結果、図8(b)に示すように、モータMの動作前から動作後にかけて、アーム381〜384による基板Wの保持位置が変化する。
【0112】
(2)乾燥処理の詳細
以下、第2の実施の形態に係る基板処理装置による乾燥処理の詳細を説明する。図9〜図11は、第2の実施の形態に係る基板処理装置による乾燥処理の詳細を説明するための図である。
【0113】
乾燥処理が開始されると、図9(a)の太い矢印Uで示すように、4本のアーム381〜384により保持された基板Wが、図1の処理槽4に貯留された純水DIWから徐々に引き上げられる。これにより、基板Wが、純水DIWの液面LSから徐々に外部に露出する。
【0114】
次に、図9(b)に示すように、外側の2本のアーム381,384と基板Wとの当接部WT1が純水DIWの液面LSに到達すると、図1の基板移動機構30による基板Wの引き上げ動作が一時的に停止する。
【0115】
図11(a)に、図9(b)のアーム384による基板Wの保持状態が拡大図で示されている。図11(a)に示すように、乾燥処理の開始から基板Wの引き上げ動作が一時停止するまでの間、外側のアーム384は、外周部の点Aにより基板Wの外周端部を保持する。他のアーム381〜383も、同様に外周部の一点により基板Wの外周端部を保持する。
【0116】
このとき、アーム384の外周部において、点Aから所定の長さ離れた位置にある点Bは、既に純水DIWの液面LSから引き上げられている。それにより、点Bは、基板Wの引き上げ動作が一時停止した状態で、ドライエアDFにより乾燥される。
【0117】
この状態で、図7のモータMが動作する。それにより、アーム384が矢印Q3で示すように基板Wの外周端部に沿って上方へ移動する。
【0118】
上述のように、アーム384は、各揺動支持柱371〜374の他端に回転自在に取り付けられている。これにより、アーム384は、基板Wの外周端部に沿って移動する際に、矢印Q4で示すように反時計回りに回転する。それにより、アーム384が回転すると、図11(b)に示すように、乾燥している基板Wの外周端部が、アーム384の乾燥した点Bにより保持される。その結果、アーム384と基板Wとの当接部WT1に純水DIWが付着することが防止される。アーム381においても、上記のアーム384と同様の動作が行われる。
【0119】
その後、図9(c)に示すように、基板Wの引き上げ動作が再開される。
【0120】
次に、図9(d)に示すように、外側の2本のアーム381,384の全体が純水DIWの液面LSから引き上げられると、図7のモータMが再び動作する。これにより、各アーム381〜384が、基板Wの外周端部に沿って下方へ移動する。
【0121】
それにより、図10(e)に示すように、基板Wの外周端部が、乾燥処理開始時と同じ状態で、アーム381〜384により保持される。
【0122】
続いて、図10(f)に示すように、内側の2本のアーム382,383と基板Wとの当接部WT2が純水DIWの液面LSに到達すると、基板Wの引き上げ動作が一時的に停止する。
【0123】
この状態で、図11を用いて説明したように、図7のモータMが動作する。これにより、アーム381〜384が基板Wの外周端部に沿って上方へ移動する。
【0124】
この場合にも、乾燥している基板Wの外周端部が、アーム382,383の乾燥した点により保持される。その結果、アーム382,383と基板Wとの当接部WT2に純水DIWが付着することが防止される。
【0125】
その後、図10(g)に示すように、基板Wの引き上げ動作が再開される。それにより、図10(h)に示すように、基板Wおよび4本のアーム381〜384の全てが、純水DIWの液面LSから引き上げられる。
【0126】
上記のように、基板Wの乾燥処理時には、4本のアーム381〜384が揺動するとともに回転することにより、各アーム381〜384と基板Wとの当接部WT1,WT2に純水DIWが付着することが防止される。その結果、純水DIWから引き上げられる基板Wの全面が短時間で効率的に乾燥する。
【0127】
(3)変形例
本実施の形態においても、基板Wの引き上げ動作は必ずしも一時停止する必要はない。一時停止しない場合であっても、基板Wの引き上げ速度が十分遅い場合には、当接部WT1,WT2が純水DIWの液面LSに到達するとともに、4本のアーム381〜384を揺動させるとともに回転させることにより上記と同様の効果を得ることができる。
【0128】
また、引き上げ動作を一時停止する代わりに、当接部WT1,WT2が純水DIWの液面LSに到達する際に、基板Wの引き上げ速度を一時的に十分遅くしてもよい。
【0129】
本実施の形態においても、基板Wを保持するアームの数は4本に限定されないが、アームは基板Wの最下部を保持しないように配置することが好ましい。
【0130】
[3]第3の実施の形態
第3の実施の形態に係る基板処理装置について、第1の実施の形態に係る基板処理装置100と異なる点を説明する。
【0131】
(1)基板保持具の構造
第3の実施の形態に係る基板処理装置に設けられる基板保持具は、第1の実施の形態に用いられる基板保持具330と構成が異なる。図12は、第3の実施の形態に係る基板処理装置に設けられる基板保持具の外観斜視図である。
【0132】
図12に示すように、本実施の形態では、保持部340が3本のアーム347,348,349を含む。アーム348は背板333の正面の中央に位置し、アーム347,349はそれぞれ背板333の正面の両側面近傍(外側)に位置する。
【0133】
アーム348は、第1の実施の形態で用いられるアーム341〜344と同じ構造を有する。これにより、背板333の背面には、アーム348を駆動するためのモータ(図示せず)が設けられている。
【0134】
一方、アーム347,349は、軸心と垂直な方向における断面が四角形状であり、その一端が背板333の正面に固定されている。したがって、アーム347,349は回転しない。
【0135】
アーム347,349の上面には、基板Wを保持するために等間隔で複数の基板保持溝345Bが形成されている。
【0136】
アーム348に形成された径小部345およびアーム347,349に形成された基板保持溝345Bに基板Wの外周端部が挿入される。これにより、複数の基板Wが起立姿勢でかつ平行に保持される。
【0137】
(2)乾燥処理の詳細
以下、第3の実施の形態に係る基板処理装置による乾燥処理の詳細を説明する。図13は、第3の実施の形態に係る基板処理装置による乾燥処理の詳細を説明するための図である。
【0138】
乾燥処理が開始されると、図13(a)の太い矢印Uで示すように、3本のアーム347〜349により保持された基板Wが、図1の処理槽4に貯留された純水DIWから徐々に引き上げられる。これにより、基板Wが、純水DIWの液面LSから徐々に外部に露出する。なお、中央のアーム348は、乾燥処理の開始時に、基板Wの下端部を長軸端点により保持している。
【0139】
次に、図13(b)に示すように、中央のアーム348と基板Wとの当接部WT3が純水DIWの液面LSの近傍に到達すると、図1の基板移動機構30による基板Wの引き上げ動作が一時的に停止する。
【0140】
この状態で、アーム348を駆動する図示しないモータが動作する。それにより、アーム348が矢印Sで示すように約90度回転する。すると、図13(c)に示すように、中央のアーム348と基板Wとが離間する。なお、アーム348を駆動するモータは図1の制御部70により制御される。
【0141】
その後、中央のアーム348と基板Wとが離間した状態で基板Wの引き上げ動作が再開される。そして、図13(d)に示すように、基板Wおよび3本のアーム347〜349の全てが、純水DIWの液面LSから引き上げられる。
【0142】
本実施の形態において、基板Wは3本のアーム347〜349により起立姿勢で保持されている。これにより、純水DIWから引き上げられた基板Wに付着する純水DIWは、基板Wの表面を伝って下方に流れる。
【0143】
それにより、基板Wの下端部を保持するアーム348と基板Wとの当接部WT3には、他のアーム347,349と基板Wとの当接部に比べて多量の純水DIWが付着する。
【0144】
そこで、本実施の形態では、アーム348と基板Wとの当接部WT3が純水DIWの液面LSに到達する前にアーム348が回転する。これにより、基板Wの下端部が液面LSから引き上げられる際には、アーム348と基板Wの下端部との当接部が存在しない。それにより、純水DIWから引き上げられる基板Wの下端部に純水DIWが多量に付着することが防止される。その結果、純水DIWから引き上げられる基板Wの全面が短時間で効率的に乾燥する。
【0145】
(3)変形例
本実施の形態においても、基板Wの引き上げ動作は必ずしも一時停止する必要はない。一時停止しない場合であっても、当接部WT3が純水DIWの液面LSに到達する前に、アーム348を回転させることにより上記と同様の効果を得ることができる。
【0146】
また、本実施の形態では、基板Wが3本のアーム347〜349により保持されているが、基板Wを保持するアームの数は3本に限定されず、4本であってもよいし、5本であってもよい。また、アームの数は、6本であってもよいし、7本以上であってもよい。なお、複数のアームのうちの1つは、処理液中で基板Wの最下部を保持するように配置する。
【0147】
処理液中で基板Wの最下部を保持するアームの軸心と垂直な方向における断面の形状は、楕円形状に限られない。回転軸からの距離が一定でない外周を有する円形状、四角形状または三角形状等であってもよい。
【0148】
[4]請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0149】
第1の実施の形態に係る基板処理装置100は請求項1〜3および7〜9の基板処理装置の例であり、第2の実施の形態に係る基板処理装置は請求項1、2、4および7〜9の基板処理装置の例であり、第3の実施の形態に係る基板処理装置は請求項5〜9の基板処理装置の例である。
【0150】
また、基板保持具330,330Bが基板保持部の例であり、基板移動機構30および制御部70が基板昇降装置の例であり、ドライエア供給ダクト10Aおよびドライエア発生装置60が気体供給部の例であり、アーム341〜344,347〜349,381〜384が棒状部材の例である。
【0151】
さらに、図6に示されるアーム344の短軸端点Aおよび図11に示されるアーム384の点Aが棒状部材の外周面の一部分の例であり、図6に示されるアーム344の長軸端点Bおよび図11に示されるアーム384の点Bが棒状部材の外周面の他部分の例である。
【0152】
また、アーム348が第1の棒状部材の例であり、アーム347,349が第2の棒状部材の例であり、ドライエアDFが乾燥空気の例であり、ドライエア排気ダクト10Bが気体排出部の例である。
【0153】
さらに、アーム348の径小部345において基板Wの下端部を保持する外周面の長軸端点が第1の棒状部材の外周面の一部分の例であり、アーム347,349の基板保持溝345Bにおいて基板Wの外周端部を支持する外周面の一部分が第2の棒状部材の外周面の一部分の例である。
【0154】
なお、請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明に係る基板処理装置は、半導体ウェハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示装置用ガラス基板、プラズマディスプレイ用ガラス基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板等の基板の製造に有効に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】第1の実施の形態に係る基板処理装置の構成を示す模式的断面図である。
【図2】図1の基板保持具の外観斜視図である。
【図3】図1の基板保持具の上面図および基板保持具が備えるアームの拡大側面図である。
【図4】図1の基板処理装置による乾燥処理の詳細を説明するための図である。
【図5】図1の基板処理装置による乾燥処理の詳細を説明するための図である。
【図6】図1の基板処理装置による乾燥処理の詳細を説明するための図である。
【図7】第2の実施の形態に係る基板処理装置に設けられる基板保持具の構成を説明するための図である。
【図8】第2の実施の形態に係る基板処理装置に設けられる基板保持具の構成を説明するための図である。
【図9】第2の実施の形態に係る基板処理装置による乾燥処理の詳細を説明するための図である。
【図10】第2の実施の形態に係る基板処理装置による乾燥処理の詳細を説明するための図である。
【図11】第2の実施の形態に係る基板処理装置による乾燥処理の詳細を説明するための図である。
【図12】第3の実施の形態に係る基板処理装置に設けられる基板保持具の外観斜視図である。
【図13】第3の実施の形態に係る基板処理装置による乾燥処理の詳細を説明するための図である。
【符号の説明】
【0157】
4 処理槽
10A ドライエア供給ダクト
10B ドライエア排気ダクト
30 基板移動機構
70 制御部
100 基板処理装置
330,330B 基板保持具
341,342,343,344,347,348,349,381,382,383,384 アーム
DF ドライエア
W 基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に所定の処理を行う基板処理装置であって、
処理液を貯留する処理槽と、
基板の外周端部を支持し、基板を起立姿勢で保持する基板保持部と、
前記処理槽内の処理液中と前記処理槽の上方位置との間で前記基板保持部により保持された基板を昇降させる基板昇降装置と、
前記基板昇降装置により前記処理槽から引き上げられる基板に気体を供給する気体供給部とを備え、
前記基板保持部は、略水平方向に延びるとともにその軸心を中心として回転する複数の棒状部材を含み、
各棒状部材の外周面の一部分には、基板の外周端部を支持する第1の支持部が形成され、
各棒状部材の外周面の他部分には、基板の外周端部を支持する第2の支持部が形成され、
前記第1の支持部は、前記基板昇降装置により前記処理槽から基板が引き上げられる際に、前記処理槽内の処理液中で基板の外周端部に当接し、前記処理槽内の処理液外で基板の外周端部から離間し、
前記第2の支持部は、基板の外周端部に当接することを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記第2の支持部は、前記第2の支持部が基板の外周端部に当接する前に、前記処理槽内の処理液外に位置することを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
各棒状部材は、非真円の断面を有し、前記処理槽から基板が引き上げられる際に、各棒状部材が回転することにより基板の外周端部と各棒状部材の外周面の一部分とが当接する状態から前記基板の外周端部と各棒状部材の外周面の他部分とが当接する状態に移行し、各棒状部材の回転中心から前記一部分までの距離は、各棒状部材の回転中心から前記他部分までの距離よりも短いことを特徴とする請求項1または2記載の基板処理装置。
【請求項4】
各棒状部材は、略円形の断面を有し、前記処理槽から基板が引き上げられる際に、基板の外周端部に接触した状態で回転しつつ移動することにより基板の外周端部と各棒状部材の外周面の一部分とが当接する状態から基板の外周端部と各棒状部材の外周面の他部分とが当接する状態に移行することを特徴とする請求項1または2記載の基板処理装置。
【請求項5】
基板に所定の処理を行う基板処理装置であって、
処理液を貯留する処理槽と、
基板の外周端部を支持し、基板を起立姿勢で保持する基板保持部と、
前記処理槽内の処理液中と前記処理槽の上方位置との間で前記基板保持部により保持された基板を昇降させる基板昇降装置と、
前記基板昇降装置により前記処理槽から引き上げられる基板に気体を供給する気体供給部とを備え、
前記基板保持部は、略水平方向に延びるとともにその軸心を中心として回転する第1の棒状部材と、略水平方向に延びる第2の棒状部材とを含み、
前記第1の棒状部材は、非真円の断面を有し、
前記第1の棒状部材の外周面の一部分には、基板の外周端部を支持する前記第1の支持部が形成され、
前記第2の棒状部材の外周面の一部分には、基板の外周端部を支持する前記第2の支持部が形成され、
前記第1の棒状部材は、回転することにより基板の外周端部と前記第1の支持部とが当接する状態から基板の外周端部と前記第1の支持部とが離間する状態に移行し、
前記第1の支持部は、前記基板昇降装置により前記処理槽から基板が引き上げられる際に、前記処理槽内の処理液中で基板の外周端部に当接し、前記処理槽内の処理液外で基板の外周端部から離間し、
前記第2の支持部は、基板の外周端部に当接することを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
前記第2の支持部は、前記処理槽内の処理液中および処理液外で基板の外周端部に当接することを特徴とする請求項5記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記第1の支持部が基板の外周端部から離間するときに、前記基板昇降装置による基板の前記処理槽からの引き上げ動作が一時的に停止されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記気体は乾燥空気であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の基板処理装置
【請求項9】
前記気体供給部は、前記処理槽の一方側に配置され、
前記処理槽の他方側に配置され、前記処理槽上の雰囲気を排出するための気体排出部をさらに備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項1】
基板に所定の処理を行う基板処理装置であって、
処理液を貯留する処理槽と、
基板の外周端部を支持し、基板を起立姿勢で保持する基板保持部と、
前記処理槽内の処理液中と前記処理槽の上方位置との間で前記基板保持部により保持された基板を昇降させる基板昇降装置と、
前記基板昇降装置により前記処理槽から引き上げられる基板に気体を供給する気体供給部とを備え、
前記基板保持部は、略水平方向に延びるとともにその軸心を中心として回転する複数の棒状部材を含み、
各棒状部材の外周面の一部分には、基板の外周端部を支持する第1の支持部が形成され、
各棒状部材の外周面の他部分には、基板の外周端部を支持する第2の支持部が形成され、
前記第1の支持部は、前記基板昇降装置により前記処理槽から基板が引き上げられる際に、前記処理槽内の処理液中で基板の外周端部に当接し、前記処理槽内の処理液外で基板の外周端部から離間し、
前記第2の支持部は、基板の外周端部に当接することを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記第2の支持部は、前記第2の支持部が基板の外周端部に当接する前に、前記処理槽内の処理液外に位置することを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
各棒状部材は、非真円の断面を有し、前記処理槽から基板が引き上げられる際に、各棒状部材が回転することにより基板の外周端部と各棒状部材の外周面の一部分とが当接する状態から前記基板の外周端部と各棒状部材の外周面の他部分とが当接する状態に移行し、各棒状部材の回転中心から前記一部分までの距離は、各棒状部材の回転中心から前記他部分までの距離よりも短いことを特徴とする請求項1または2記載の基板処理装置。
【請求項4】
各棒状部材は、略円形の断面を有し、前記処理槽から基板が引き上げられる際に、基板の外周端部に接触した状態で回転しつつ移動することにより基板の外周端部と各棒状部材の外周面の一部分とが当接する状態から基板の外周端部と各棒状部材の外周面の他部分とが当接する状態に移行することを特徴とする請求項1または2記載の基板処理装置。
【請求項5】
基板に所定の処理を行う基板処理装置であって、
処理液を貯留する処理槽と、
基板の外周端部を支持し、基板を起立姿勢で保持する基板保持部と、
前記処理槽内の処理液中と前記処理槽の上方位置との間で前記基板保持部により保持された基板を昇降させる基板昇降装置と、
前記基板昇降装置により前記処理槽から引き上げられる基板に気体を供給する気体供給部とを備え、
前記基板保持部は、略水平方向に延びるとともにその軸心を中心として回転する第1の棒状部材と、略水平方向に延びる第2の棒状部材とを含み、
前記第1の棒状部材は、非真円の断面を有し、
前記第1の棒状部材の外周面の一部分には、基板の外周端部を支持する前記第1の支持部が形成され、
前記第2の棒状部材の外周面の一部分には、基板の外周端部を支持する前記第2の支持部が形成され、
前記第1の棒状部材は、回転することにより基板の外周端部と前記第1の支持部とが当接する状態から基板の外周端部と前記第1の支持部とが離間する状態に移行し、
前記第1の支持部は、前記基板昇降装置により前記処理槽から基板が引き上げられる際に、前記処理槽内の処理液中で基板の外周端部に当接し、前記処理槽内の処理液外で基板の外周端部から離間し、
前記第2の支持部は、基板の外周端部に当接することを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
前記第2の支持部は、前記処理槽内の処理液中および処理液外で基板の外周端部に当接することを特徴とする請求項5記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記第1の支持部が基板の外周端部から離間するときに、前記基板昇降装置による基板の前記処理槽からの引き上げ動作が一時的に停止されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記気体は乾燥空気であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の基板処理装置
【請求項9】
前記気体供給部は、前記処理槽の一方側に配置され、
前記処理槽の他方側に配置され、前記処理槽上の雰囲気を排出するための気体排出部をさらに備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の基板処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−210910(P2008−210910A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−44964(P2007−44964)
【出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】
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