説明

基板処理装置

【課題】基板収容器内の雰囲気の酸素濃度または湿度を十分に低下させておくことができる基板処理装置を提供すること。
【解決手段】隔壁7における通過口8の上方には、インデクサ空間ISのダウンフローが、基板収容器C内に進入することを抑制するための上カバー20が設けられている。通過口8の両側方には、インデクサ空間ISのダウンフローが、基板収容器C内に進入することを抑制するための横カバー21,22が設けられている。通過口8の周縁部には、開放状態における通過口8の上方領域23に向けてN2ガスを吹き付けるための上ノズル30と、通過口8の側方領域25,27に向けてN2ガスを吹き付けるための第1および第2横ノズル32,34とが備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板などの基板に対して処理を施す基板処理装置である。
【背景技術】
【0002】
半導体装置等の製造工程において用いられる枚葉型の基板処理装置は、インデクサ部と、インデクサ部に基板を搬出入するためのロードポートとを備えている。
ロードポートは、基板を複数枚積層状態で収容可能な基板収容器を保持する収容器保持部と、通過口を有し、インデクサ部の内部空間(インデクサ空間)と収容器保持部が配置される外部空間とを仕切る隔壁とを備える。基板収容器は、基板を出し入れするための開口を有している。この基板収容器に収容される基板に酸化膜が形成されることを抑制するために、基板収容器内の雰囲気の酸素濃度および湿度は低いことが望ましい。
【0003】
インデクサ空間には、基板の出し入れを行うためのインデクサロボットが収容されている。このインデクサ空間は、パーティクルの巻き上げを防止するためのダウンフローが形成されたダウンフロー空間となっている。収容器保持部に基板収容器が保持された後、インデクサロボットが、ハンドを開放状態の通過口および開口を通して基板収容器内にアクセスさせて、基板収容器に対して基板の出し入れを行う。
【0004】
ところが、このような装置では、基板の出し入れの際に、インデクサ空間の雰囲気が通過口を通して基板収容器内に入り込むおそれがある。インデクサ空間の雰囲気は、厳密に管理されてはいないため、基板収容器内に進入すると、基板収容器内の雰囲気の酸素濃度および湿度が上昇し、基板に悪影響を与えるおそれがある。
そこで、基板収容器内をパージガス(N2ガス)で置換することが提案されている。
【0005】
基板収容器内のパージに関する先行技術として、たとえば、特許文献1〜3で提案されている構成を挙げることができる。
特許文献1では、基板収容器の開口の左右斜め前方に配置されたパージガス導入管から、基板収容器内に向けてパージガスを吹き付けることにより、基板収容器内をパージガスで置換する構成が提案されている。
【0006】
特許文献2では、通過口の上方部の隔壁に庇状の上部壁面を設けるとともに、その上部壁面に配置した吐出口から基板収容器内に向けてパージガスを吐出させることにより、基板収容器内をパージガスで置換する構成が提案されている。
特許文献3では、隔壁の通過口の上部に供給ノズルを、通過口の下部に吸引ノズルを配置して、通過口を気体の膜で遮蔽し、ダウンフロー空間の雰囲気が、基板収容器内に進入することを防止する構成が提案されている。
【特許文献1】特開2004−235516号公報
【特許文献2】特開2003−45933号公報
【特許文献3】特開平11−145245号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1,3で提案されている構成では、ダウンフロー空間を流下するダウンフローが通過口に流入するのを直接阻止するための機構がないために、ダウンフローの基板収容器内への進入を完全に防止することはできない。
一方、特許文献2で提案されている構成では、ダウンフロー空間を流下するダウンフローが通過口に直接流入することを防止することができる。しかし、通過口の側方から通過口に流入する雰囲気を阻止することはできない。
【0008】
したがって、前記特許文献1〜3のいずれの構成であっても、基板収容器内の雰囲気の酸素濃度または湿度を十分に低下させることができなかった。
そこで、この発明の目的は、基板収容器内の雰囲気の酸素濃度または湿度を十分に低下させておくことができる基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、基板(W)を出し入れするための開口(10)を有する基板収容器(C)を保持するための収容器保持部(6)と、前記収容器保持部に保持された前記基板収容器の前記開口と対向する通過口(8)を有し、前記収容器保持部が配置された保持空間(OS)とダウンフローが形成されるダウンフロー空間(IS)とを仕切る隔壁(7)と、前記通過口の上方において前記隔壁から前記ダウンフロー空間側に向かって突出して設けられて、ダウンフローの前記基板収容器内への進入を抑制するための上カバー(20;20A;20B)と、前記通過口の上縁部に沿う領域(23)を通して、前記基板収容器内に向けてパージガスを吹き付けるための上パージガス吹き付け手段(24)と、前記通過口の側方において前記隔壁から前記ダウンフロー空間側に向かって突出して設けられて、ダウンフローの前記基板収容器内への進入を抑制するための横カバー(21,22;21A,22A)と、前記通過口の側縁部に沿う領域(25,27)を通して、前記基板収容器内に向けてパージガスを吹き付けるための横パージガス吹き付け手段(26,28)とを含む、基板処理装置である。
【0010】
なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
この構成によれば、上パージガス供給手段および横パージガス供給手段から、通過口の上縁部および側縁部に沿う領域に向けてパージガスが吹き付けられる。こうした基板収容器内へのパージガスの供給によって、基板収容器内の雰囲気が、パージガスが吹き付けられていない領域(開口の中央部CA)を通ってダウンフロー空間に押し出され、開口の当該領域に、基板収容器内からダウンフロー空間に向かう気流が形成される。
【0011】
また、通過口の上方に上カバーが設けられ、通過口の側方に横カバーが設けられている。この上カバーおよび横カバーによって、ダウンフローが通過口の上縁部および側縁部に沿う領域に流入することが抑制される。したがって、通過口のほぼ全域でダウンフローの基板収容器内への流入が抑制されるので、ダウンフロー空間の雰囲気を基板収容器内にほとんど進入させずに、基板収容器内にパージガスだけを供給することができる。これにより、基板収容器内の雰囲気の酸素濃度または湿度を十分に低下させておくことができる。
【0012】
請求項2記載の発明は、前記横カバーには、前記ダウンフロー空間内の雰囲気を吸い込むための横吸気口(44)が形成されている、請求項1記載の基板処理装置である。
この構成によれば、通過口の側方に横吸気口が形成される。このため、ダウンフロー空間から通過口に向けて流れる雰囲気は、横吸気口に吸い込まれて、通過口にはほとんど流入しない。これにより、ダウンフロー空間の雰囲気の基板収容器内への進入を、より確実に抑制することができる。
【0013】
請求項3記載の発明は、前記横パージガス吹き付け手段が、前記横吸気口よりも前記通過口寄りに設けられた吐出口(47)を有している、請求項2記載の基板処理装置である。
この構成によれば、横パージガス吹き付け手段の吐出口が横吸気口よりも通過口寄りに配置されているので、当該吐出口から通過口に向けて吹き出されたパージガスは、横吸気口にはほとんど吸い込まれない。これにより、基板収容器内にパージガスを効率よく供給することができる。
【0014】
請求項4記載の発明は、前記上カバーの前記ダウンフロー空間側縁部には、上方に向けて突出する上フランジ(42;42B)が形成されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、上カバーに受け止められたダウンフローが通過口に向けて移動することが、上フランジによって妨げられる。したがって、ダウンフロー空間内の雰囲気の基板収容器内への進入を、より確実に抑制することができる。
【0015】
請求項5記載の発明は、前記横カバーの前記ダウンフロー空間側縁部には、当該横カバーに対して前記通過口と反対側に向けて突出する横フランジ(60,61)が形成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、横カバーに受け止められたダウンフローが通過口に向けて移動することが、横フランジによって妨げられる。したがって、ダウンフロー空間内の雰囲気の基板収容器内への進入を、より確実に抑制することができる。
【0016】
請求項6記載の発明は、前記上カバーが、前記通過口の左右方向中間部が高く、左右方向両端部が低く形成された上向き凸状の上面(62)を有している、請求項1〜5のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、上カバーの上面によって受け止められたダウンフローが、通過口の左右の側方に向けて導かれる。これにより、ダウンフローを整流でき、ダウンフローの通過口への流入を、より確実に抑制することができる。
【0017】
請求項7記載の発明は、前記上カバーには、前記ダウンフロー空間内の雰囲気を吸い込むための上吸気口(41)が形成されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、通過口の上方に上吸気口が形成される。このため、ダウンフロー空間から通過口に向けて流れる雰囲気は、上吸気口に吸い込まれて、通過口にはほとんど流入しない。これにより、ダウンフロー空間の雰囲気の基板収容器内への進入を、より確実に抑制することができる。
【0018】
前記上パージガス吹き付け手段が、前記上吸気口よりも前記通過口寄りに設けられた吐出口(46)を有していてもよい。この場合、横パージガス吹き付け手段の吐出口が上吸気口よりも通過口寄りに配置されているので、当該吐出口から通過口に向けて吹き出されたパージガスは、上吸気口にはほとんど吸い込まれない。これにより、基板収容器内にパージガスを効率良く供給することができる。
【0019】
請求項8記載の発明は、前記収容器保持部に保持された基板収容器の下部から、当該基板収容器内にパージガスを供給する下パージガス供給手段(52)をさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、下パージガス供給手段によって基板収容器内にパージガスが供給される。上パージガス供給手段および横パージガス供給手段からのパージガスの供給に加え、かかる下パージガス供給手段からのパージガスの供給が行われるので、基板収容器内の雰囲気をほぼ完全にパージガスに置換させることができ、これにより、基板収容器内の雰囲気の酸素濃度または湿度を、より十分に低下させておくことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態(第1実施形態)に係る基板処理装置の構成を説明するための図解的な断面図である。この基板処理装置は、クリーンルーム内に設置され、半導体ウエハなどの基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式の装置である。
基板処理装置は、インデクサ部2と、このインデクサ部2に結合された処理部3と、インデクサ部2の内部に基板Wを搬出入するためのインターフェイスとしての複数(たとえば4つ)のロードポート4とを備えている。
【0021】
処理部3は、インデクサ部2の内部空間(インデクサ空間)ISに連通する搬送路(図示しない)と、搬送路に沿って並べられた複数の処理チャンバ(図示しない)と、搬送路内に配置されて、処理チャンバからの基板Wの搬出入を行う主搬送ロボット(図示しない)とを備えている。
各ロードポート4は、インデクサ部2に対して処理部3と反対側の外部空間OSに配置される収容器載置台6(収容器保持部)と、インデクサ空間ISと収容器載置台6が配置される外部空間(保持空間)OSとを仕切る隔壁7と、隔壁7に形成された通過口8を開閉するためのドア9(図2および図6(a)を併せて参照)とを備えている。収容器載置台6は、基板収容器Cを載置するためのものである。複数のロードポート4は所定の方向(紙面に直交する方向)に沿って配列されている。
【0022】
基板収容器Cは、その内部に複数枚の基板Wを所定間隔を空けて積層状態で収容することができるものである。基板収容器Cは、この実施形態では、基板Wを密閉した状態で収容するFOUP(Front Opening Unified Pod)である。すなわち、基板収容器Cは、一側面に基板Wの取り出しのための開口10を有するほぼ立方体形状の収容器本体11と、開口10を開閉するための蓋12(図1では、蓋12の開状態を示している)とを備えている。基板収容器Cには、未処理の基板Wまたは処理済みの基板Wが収容されることになる。
【0023】
開口10が通過口8に対向するように、基板収容器Cが収容器載置台6に載置される。ドア9の開放状態(図1に示す状態)では、通過口8内に、基板収容器Cの開口10が収まるようになる。
インデクサ部2の天面には、インデクサ空間ISにクリーンエアのダウンフローを供給するためのファンフィルタユニット13(FFU)が設けられている。このファンフィルタユニット13は、ファン(図示しない)およびフィルタ(図示しない)を上下に積層し、ファンによる送風をフィルタで浄化してインデクサ空間IS内に供給する構成になっている。
【0024】
また、インデクサ部2の底面には、インデクサ空間ISの雰囲気を排気するための排気口(図示しない)が形成されている。クリーンルームの床面は、グレーチングで構成されており、このグレーチング床面上に基板処理装置が設置されるようになっている。インデクサ空間2の底面からの排気は、グレーチングを通って、その下方の空間へと導かれる。グレーチングの下方の空間は、陰圧に保たれていて、基板処理装置内のダウンフローを吸収するようになっている。
【0025】
インデクサ部2は、収容器載置台6に載置された基板収容器Cに対して基板Wを搬入/搬出するためのインデクサロボットIRを備えている。また、インデクサロボットIRは、基板Wを保持するためのハンドを備えており、このハンドを通過口8を通して基板収容器C内にアクセスさせることにより、基板収容器Cに対し基板Wの搬入/搬出を行うことができる。また、インデクサロボットIRは、ハンドを主搬送ロボットにアクセスさせることにより、この主搬送ロボットとの間で基板Wを受け渡すことができる。
【0026】
ロードポート4は、ドア9をインデクサ空間IS側から支持するための正面視縦長長方形状の支持部材15を備えている。支持部材15は昇降可能に設けられており、支持部材15には当該支持部材15を昇降させるための昇降駆動機構16が結合されている。また、支持部材15には、隔壁7に直交する方向にドア9をスライド移動させるためのスライド駆動機構17が結合されている。
【0027】
ドア9の閉状態において、スライド駆動機構17が駆動されてドア9がインデクサ空間IS側に向けてスライド移動され、かつ、昇降駆動機構16が駆動されて支持部材15が開位置(図1に示す位置)まで下降されることにより、ドア9が開状態にされる。
また、ドア9が開状態において、昇降駆動機構16が駆動されて支持部材15が閉位置(後述する図6(a)に示す位置)まで上昇され、かつ、スライド駆動機構17が駆動されてドア9がインデクサ空間IS側と反対側に向けてスライド移動されることにより、ドア9が閉状態にされる。ドア9の開状態では、通過口8のほぼ全域が開放される。
【0028】
隔壁7の内面(インデクサ空間IS側の面)における通過口8の周縁部には、インデクサ空間ISのダウンフローが基板収容器C内に進入することを抑制するための庇状のカバー18が形成されている。
また、通過口8の周縁部には、インデクサ空間IS側から通過口8に向けてパージガスとしてのN2ガスを吹き付けるためのN2ガス吹き付け機構19が設けられている。
【0029】
図2は、通過口8をインデクサ空間ISの内側から見た正面図である。
通過口8は、正面視でほぼ正方形状に形成されている。通過口8の上辺および下辺は水平方向に沿って形成され、通過口8の両側辺(図2で示す左辺および右辺)は鉛直方向に沿って形成されている。通過口8を開閉するためのドア9も、正面視でほぼ正方形状に形成されている。
【0030】
カバー18は、正面視で倒立U字形状に形成されており、通過口8の上方に設けられた上カバー20と、通過口8の一方側の側方(図2で示す左側)に設けられた第1横カバー21と、通過口8の他方側の側方(図2で示す右側)に設けられた第2横カバー22とを備えている。
上カバー20は、通過口8の上辺の上方に配置され、隔壁7から内側(インデクサ空間IS側)に向けて水平に突出している。上カバー20は、通過口8の上辺に沿って、通過口8の一方側端部(図2で示す左側端部)から他端側端部(図2で示す右側端部)にわたって形成されている。このため、隔壁7の内面に沿ってインデクサ空間ISを流下するダウンフローが上カバー20によって受け止められる。
【0031】
上カバー20は、筒状(たとえば四角筒状)に形成されている。上カバー20の内部には、隔壁7に沿う水平方向(図2の左右方向)に延びる上排気空間40が形成されている。上カバー20の下面(通過口8側の内面)には、インデクサ空間IS内の雰囲気を吸い込むための上吸気口41が形成されている。上吸気口41は、通過口8の一端部(図2で示す左端部)から他端部(図2で示す右端部)にわたって、ほぼ長方形状の開口として形成されている。
【0032】
上カバー20のインデクサ空間IS側の縁部には、上方に向けて突出する上フランジ42が形成されている。この上フランジ42によって、上カバー20の上面に受け止められたダウンフローが通過口8に向けて移動することを阻止することができる。
第1横カバー21は、通過口8の一方側辺(図2で示す左辺)の側方(図2で示す左側)に配置され、隔壁7からインデクサ空間IS側に向けて水平に突出しており、当該一方側辺に沿って、通過口8の上端部からロードポート4の下端部にわたって形成されている。
【0033】
第2横カバー22は、通過口8の他方側辺(図2で示す右辺)の側方(図2で示す右側)に配置され、隔壁7からインデクサ空間IS側に向けて水平に突出しており、当該他方側辺に沿って、通過口8の上端部からロードポート4の下端部にわたって形成されている。
なお、この実施形態では、横カバー21,22は、通過口8の上端部からロードポート4の下端部まで延びているが、少なくとも通過口8の側辺を覆うことができるように、通過口8の上端部から下端部にわたって形成されていれば十分である。
【0034】
各横カバー21,22は、筒状(たとえば四角筒状)に形成されている。各横カバー21,22の内部には、上排気空間40に連通し、上下方向に延びる横排気空間43が形成されている。各横カバー21,22の内側の側面(通過口8側の内面)には、インデクサ空間IS内の雰囲気を吸い込むための横吸気口44が形成されている。各横排気空間43には、各横カバー21,22の底部に、上排気空間40および横排気空間43を排気するための排気ファン45が配置されている。排気ファン45によって横排気空間43から排気される空気は、グレーチング床面の下方の空間へと導かれるようになっている。
【0035】
2ガス吹き付け機構19は、通過口8の上辺に沿う上方領域23(通過口8内の領域)に向けてパージガス(N2ガス)を吹き付けるための上パージガス吹き付け手段としての上ノズルブロック24と、通過口8の一方側辺(図2で示す左辺)に沿う側方領域25(通過口8内の領域)に向けてN2ガスを吹き付けるための横パージガス吹き付け手段としての第1横ノズルブロック26と、通過口8の他方側辺(図2で示す右辺)に沿う側方領域27(通過口8内の領域)に向けてN2ガスを吹き付けるための横パージガス吹き付け手段としての第2横ノズルブロック28とを備えている。
【0036】
上ノズルブロック24は、通過口8の上辺に沿って配列され、N2ガスを吐出するための複数(図2ではたとえば6個)の上ノズル30と、これら複数の上ノズル30を保持するためのブロック体31とを備えている。この上ノズルブロック24は、上カバー20の下面(通過口8側の内面)に直接取り付けられていてもよいし、その他の部材を介して上カバー20に取り付けられていてもよい。
【0037】
第1横ノズルブロック26は、通過口8の一方側辺(図2で示す左辺)に沿って配列され、N2ガスを吐出するための複数(図2ではたとえば6個)の第1横ノズル32と、これら複数の第1横ノズル32を保持するためのブロック体33とを備えている。この第1横ノズルブロック26は、第1横カバー21の内側の側面(通過口8側の内面)に直接取り付けられていてもよいし、その他の部材を介して第1横カバー21に取り付けられていてもよい。
【0038】
第2横ノズルブロック28は、通過口8の他方側辺(図2で示す右辺)に沿って配列され、N2ガスを吐出するための複数(図2ではたとえば6個)の第2横ノズル34と、これら複数の第2横ノズル34を保持するためのブロック体35とを備えている。この第2横ノズルブロック28は、第2横カバー22の内側の側面(通過口8側の内面)に直接取り付けられていてもよいし、その他の部材を介して第2横カバー22に取り付けられていてもよい。
【0039】
通過口8の周縁部には、正面視で矩形状のN2ガス配管36が配設されている。このN2ガス配管36には上N2バルブ37を介して、N2ガス供給源からのN2ガスが供給されるようになっている。N2ガス配管36には、各上ノズル30、各第1横ノズル32および各第2横ノズル34が接続されており、N2ガス配管36を流通するN2ガスが、各ノズル30,32,34に付与されるようになっている。なお、パージガスとしてN2ガスを例示しているが、ArやHeなどの他の不活性ガス、あるいはCDA(Clean dry air)などの低湿度ガスをパージガスとして採用することもできる。
【0040】
図3は、ロードポート4の要部の縦断面図である。この図3では、基板収容器Cの蓋12の開状態を示し、蓋12およびドア9の図示を省略している。
収容器載置台6は、基板収容器Cを載置することができ、隔壁7に対し直交する方向(図3の左右方向)にスライド移動可能な可動載置台50と、可動載置台50をスライド移動させるためのスライド駆動機構51と、基板収容器C内にパージガスとしてのN2ガスを供給するための下パージガス供給機構(下パージガス供給手段)52とを備えている。スライド駆動機構51が駆動されることにより、可動載置台50(収容器載置台6)に載置された基板収容器Cが、通過口8に対して近接/離反するようになる。
【0041】
下パージガス供給機構52は、たとえば先端に吐出口53を有する吐出管54を備えている。吐出管54は、可動載置台50の内部に埋設されて、その先端部分だけが可動載置台50の上面よりも上方に突出している。吐出管54には、N2ガス供給源からのN2ガスが供給されるN2ガス供給管55が接続されている。N2ガス供給管55の途中部には、吐出口53からのN2ガスの吐出/吐出停止を切り換えるための下N2バルブ56が介装されている。
【0042】
基板収容器Cを可動載置台50に載置された状態では、基板収容器Cの底面に形成された導入孔57に吐出管54が挿入されている。導入孔57内に挿入された吐出管54の吐出口53は、基板収容器Cの内部空間に臨むようになる。一方、基板収容器Cが収容器載置台6の所定位置から離脱されると、吐出管54が導入孔57から引き抜かれる。導入孔57には、開閉機構(図示せず)が配置されている。この開閉機構は、通常時は導入孔57を閉塞しており、吐出管54の挿入動作に連動して導入孔57を開放し、吐出管54の引き抜き動作によって導入孔57を閉塞する。
【0043】
各上ノズル30は、基板収容器Cの開口10の上辺よりもやや上方にずれた位置に、その吐出口46を開口10の上方領域(通過口8の上方領域23)に向けて(やや斜め下方に向けて)配置されている。この実施形態では、上ノズル30として、扇形ノズルが用いられている。扇形ノズルとは、吐出流体の輪郭(吐出プロファイル)が扇形形状をなすノズルである。吐出プロファイルの中心軸に直交する断面は、楕円形状の輪郭となる。この楕円形断面の長軸方向を、以下では、「ノズルの長軸方向」などという。扇形ノズルからなる上ノズル30は、その長軸方向が、通過口8(開口10)の上辺に対して微小角度(たとえば5〜10°)傾斜するように配置されている。上ノズル30が開口10の上辺よりもやや上方にずれた位置に、その吐出口46を開口10の上方領域に向けて配置されているので、上ノズル30からのN2ガスは、基板収容器Cの天面に沿って流れる。
【0044】
各上ノズル30は、通過口8を通過する基板Wの経路よりも上方に配置されている。したがって、基板収容器Cに対する基板Wの出し入れの際に、基板WやインデクサロボットIRのハンドと上ノズル30とが干渉することがない。
上吸気口41は、上ノズル30の吐出口46よりもインデクサ空間IS側(通過口8と反対側)に設けられている。このため、上ノズル30から吹き出されたパージガスが上吸気口41に吸い込まれることはほとんどない。
【0045】
横吸気口44は、第2横ノズル34の吐出口47よりもインデクサ空間IS側(通過口8と反対側)に設けられている。このため、第2横ノズル34から吹き出されたパージガスが横吸気口44に吸い込まれることはほとんどない。
この横吸気口44は、通過口8の上端部から下端部にわたって形成されている。上下方向に長い横吸気口44では、排気ファン45から離れた上部の方が、排気ファン45に近い下部よりも吸気力が小さい。そこで、横吸気口44の開口幅(基板搬送方向(図3の左右方向)の開口幅)は、この横吸気口44から吸気される雰囲気の流速が上下方向に関してほぼ均一になるように、下方に向かうに従って狭くなっている。より具体的には、横吸気口44は、下方に向かうに従って幅狭となる楔形に形成されている。
【0046】
図3の構成では、横排気空間43に排気ファン45が配置されているが、排気ファン45を設ける代わりに、排気空間40,43を工場に設けられた排気処理設備の排気用力によって排気する構成としてもよい。
また、図3では第1横カバー21の図示を省略しているが、第1横カバー21の横吸気口44は、第2横カバー22の横吸気口44と同様の構成である。
【0047】
図4は、図3の切断面線IV−IVから見た断面図である。
各第1横ノズル32は、通過口8の一方側の側辺(図4で示す右辺)よりもやや側方(図4で示す右側方)にずれた位置に、その吐出口47を通過口8の側方領域25に向けて(図4におけるやや斜め左に向けて)配置されている。この実施形態では、第1横ノズル32として、扇形ノズルが用いられている。扇形ノズルからなる第1横ノズル32は、その長軸方向が、通過口8(開口10)の一方側辺(図4で示す右辺)に対して微小角度(たとえば5〜10°)傾斜するように配置されている。そのため、第1横ノズル32からのN2ガスは、基板収容器C内を、その一方側の側面(図4で示す右面)に沿って流れる。
【0048】
各第1横ノズル32は、通過口8を通過する基板Wの経路外に配置されている。したがって、基板収容器Cに対する基板Wの出し入れの際に、基板WやインデクサロボットIRのハンドと第1横ノズル32とが干渉しない。
第2横ノズル34は、通過口8の他方側辺(図4で示す左辺)よりもやや側方(図4で示す左側方)にずれた位置に、その吐出口47を通過口8の側方領域27に向けて(図4におけるやや斜め右に向けて)配置されている。この実施形態では、第2横ノズル34として、扇形ノズルが用いられている。扇形ノズルからなる第2横ノズル34は、その長軸方向が、通過口8(開口10)の他方側辺(図4で示す左辺)に対して微小角度(たとえば5〜10°)傾斜するように配置されている。そのため、第2横ノズル34からのN2ガスは、基板収容器C内を、その一方側の側面(図4で示す左面)に沿って流れる。
【0049】
各第2横ノズル34は、通過口8を通過する基板Wの経路外に配置されている。そのため、基板収容器Cに対する基板Wの出し入れの際に、基板WやインデクサロボットIRのハンドと第2横ノズル34とが干渉しない。
この図4では、ロードポート4の一方側の側方(図4で示す右側)に隣接して配置されるロードポート4Aが図示されている。ロードポート4の第1横カバー21は、この隣接するロードポート4Aの通過口8Aの他方側の側方(図4で示す左側)に設けられている。つまり、ロードポート4の第1横カバー21は、この隣接するロードポート4Aの第2横カバー22を兼用している。そして、第1横カバー21の外側の側面(通過口8に対向しない側の側面)には、ロードポート4A用の吸気口44Aが形成されており、吸気口44Aに吸い込まれた雰囲気は、第1横カバー21の横排気空間43を通って排気される。
【0050】
図5は、図4の矢印V方向から見たパージガスの吹き付け状態を示す正面図である。図5中に斜線で示す領域が、各ノズル30,32,34から吐出されたN2ガス噴流の断面形状である。
各ノズル30,32,34から吐出されたN2ガス流は、正面視で通過口8の周縁部に沿う倒立U字形状の領域23,25,27に形成される。扇形ノズルからなる上ノズル30の長軸方向が通過口8の上辺に対して微小角度(たとえば5〜10°)傾斜しており、また、同じく扇形ノズルからなる横ノズル32,34の長軸方向が、通過口8の両側辺に対して微小角度(たとえば5〜10°)傾斜するように配置されているので、各ノズル30,32,34から吐出されたN2ガス同士が互いに干渉することを抑制することができ、しかも、各ノズル30,32,34から吐出されたN2ガス流の幅を拡げることができる。
【0051】
上ノズル30からのN2ガスは、基板収容器C内を、その天面に沿って奥側に向けて流れる。横ノズル32,34からのN2ガスは、基板収容器C内を、その両側面に沿って奥側に向けて流れる。このため、基板収容器C内の雰囲気が、基板収容器Cの開口10の中央部CA(開口10のうち、上方領域23および側方領域25,27を除く領域)を通ってインデクサ空間IS側に押し出されるようになる。すなわち、基板収容器Cの開口10の中央部CAに、基板収容器C内からインデクサ空間ISに向かう気流が形成されており、インデクサ空間ISのダウンフローが開口10の中央部CA(通過口8の中央部)を通して基板収容器C内に進入することができない。
【0052】
図6は、ロードポート4に対する基板収容器Cの装脱を説明するための図である。
図示しない収容器搬送装置によって基板処理装置のロードポート4に搬入された基板収容器Cは、図6(a)に示すように、収容器載置台6の予め定める移載位置にある可動載置台50に載置される。そして、たとえば基板収容器Cの底部に形成された溝(図示しない)に、収容器載置台6に設けられた係合ピン(図示しない)が係合されることにより、可動載置台50に基板収容器Cが固定される。基板収容器Cが可動載置台50に載置された状態では、吐出管54が基板収容器Cの導入孔57(図3参照)に挿入されて、吐出口53(図3参照)が基板収容器Cの内部空間に臨むようになる。この際、下N2バルブ56は予め開かれており、前述の開閉機構(図示せず)によって吐出管54の挿入動作に連動して導入孔57が開放される。これにより、吐出管54の吐出口53からN2ガスが吐出されて、基板収容器C内にN2ガスが導入される。この吐出口53からのN2ガスの吐出は、基板収容器Cが可動載置台50上に載置されている期間、継続されることとなる。また、この吐出口53からのN2ガスの吐出は、基板収容器Cの蓋12が開いている期間も継続させてもよいし、当該期間だけ停止させてもよい。
【0053】
その後、スライド駆動機構51(図3参照)が駆動されて、基板収容器Cが通過口8に接近する方向に移動される。そして、図6(b)に示すように、基板収容器Cの蓋12とドア9とが当接し、次いで、蓋12がドア9と係合してそのドア9に保持される。また、ドア9側に設けられたロック操作機構(図示せず)によって、蓋12と収容器本体11とのロック係合が解除される。
【0054】
次に、スライド駆動機構17(図1参照)が駆動されてドア9がインデクサ空間IS側に移動され、かつ、昇降駆動機構16(図1参照)が駆動されて、支持部材15が下降されることにより、図6(c)に示すようにドア9が開状態にされる。このドア9に伴って蓋12も開状態になる。ドア9の開動作と同期して、上N2バルブ37が開かれて、ノズル30,32,34から、通過口8へのN2ガスの吹き付けが開始される。
【0055】
通過口8が開放されると、インデクサロボットIRは、開口10を通して基板収容器C内にハンドをアクセスさせて、基板収容器C内に積層された未処理の基板Wを取り出す。そして、インデクサロボットIRは、この取り出した基板Wを主搬送ロボットに受け渡す。主搬送ロボットに受け渡された未処理の基板Wは処理部3の処理チャンバで所定の処理が施され、処理済の基板Wが主搬送ロボットに受け渡される。処理済の基板Wは、主搬送ロボットからインデクサロボットIRに受け渡される。インデクサロボットIRは、開口10を通して基板収容器C内にハンドをアクセスさせて、処理済みの基板Wを基板収容器Cに収納する。予め定められた数の基板Wに処理が施され、その基板Wが基板収容器Cに収納されるまで、通過口8の開放状態は継続される。通過口8の開放状態の間、ノズル30,32,34からのN2ガスの吹き付けは継続されている。
【0056】
予め定められた数の基板Wが基板収容器Cに戻された後、昇降駆動機構16が駆動されて支持部材15が上昇されるとともに、スライド駆動機構17が駆動されてドア9がインデクサ空間IS側と反対側に向けて移動されてドア9が閉状態にされる(図6(d)参照)。また、ドア9に設けられた前述のロック操作機構によって、蓋12が収容器本体11にロックされる。そして、上N2バルブ37が閉じられて、ノズル30,32,34からのN2ガスの吹き付けが停止される。次に、スライド駆動機構51が制御されて、基板収容器Cが通過口8に離反する方向に移動されるとともに、基板収容器Cの可動載置台50への固定が解除される。その後、基板収容器Cは収容器搬送装置によって搬出される。
【0057】
以上のようにこの実施形態によれば、インデクサ空間ISに設けられたノズル30,32,34から、通過口8の上方領域23および側方領域25,27に向けてN2ガスが吹き付けられる。こうした基板収容器C内へのN2ガスの供給によって、基板収容器C内の雰囲気が、N2ガスが吹き付けられていない開口10の中央部CAを通ってインデクサ空間ISに押し出され、この開口10の中央部CAに、基板収容器C内からインデクサ空間ISに向かう気流が形成される。
【0058】
また、通過口8の上方部に上カバー20が設けられ、通過口8の側方に横カバー21,22が設けられている。この上カバー20および横カバー21,22によって、ダウンフローが通過口8の上方領域23および側方領域25,27に流入することが抑制される。
さらには、上カバー20および横カバー21,22には、ノズル30,32,34よりもインデクサ空間IS側に吸気口41,44が形成されている。そのため、ノズル30,32,34の近傍においてインデクサ空間IS内の雰囲気が通過口8に向かって流入しようとすると、このような雰囲気は吸気口41,44において捕捉されてしまう。
【0059】
したがって、通過口8のほぼ全域において、ダウンフローの基板収容器C内への流入が抑制されるので、インデクサ空間ISの雰囲気を基板収容器C内にほとんど進入させずに、基板収容器C内にN2ガスだけを供給することができる。これにより、基板収容器C内の雰囲気の酸素濃度または湿度を十分に低下させておくことができる。
図7は、本発明の他の実施形態(第2実施形態)に係る基板処理装置の構成を図解的に示す正面図である。
【0060】
この第2実施形態において、前述の第1実施形態(図1〜図6に示す実施形態)に示された各部に対応する部分には、図1〜図6と同一の参照符号を付して示し、説明を省略する。
この第2実施形態に係る基板処理装置が、前述の第1実施形態の基板処理装置と相違する点は、内部に排気空間40,43が形成された上カバー20および横カバー21,22に代えて、平板状の上カバー20Aおよび横カバー21A,22Aを設けた点である。
【0061】
また、第2実施形態では、上カバー20Aに上フランジ42が設けただけでなく、第1および第2横カバー21A,22Aにも、それぞれ、横フランジ60,61を設けている。具体的には、第1横カバー21Aのインデクサ空間IS側の縁部には、一側方(図2で示す左側)に向けて突出する第1横フランジ60が設けられている。また、第2横カバー22Aのインデクサ空間IS側の縁部には、他側方(図7で示す右側)に向けて突出する第2横フランジ61が設けられている。横フランジ60,61によって、第1および第2横カバー21A,22Aに受け止められたダウンフローが通過口8に向けて移動することを妨げることができる。
【0062】
図8は、本発明のさらに他の実施形態(第3実施形態)に係る基板処理装置の構成を図解的に示す正面図である。
この第3実施形態において、前述の第2実施形態(図7に示す実施形態)に示された各部に対応する部分には、図7と同一の参照符号を付して示し、説明を省略する。
この第3実施形態に係る基板処理装置が、前述の第2実施形態の基板処理装置と相違する点は、平板状の上カバー20Aに代えて、上面62が上向き凸状に形成された上カバー20Bを設けた点である。この上面62は、通過口8に沿う水平方向(図8の左右方向)の中間部が高く、当該方向の両端部が低く形成されている。この実施形態では、上カバー20Bの形状に合わせて、上フランジ42Bの正面形状も、上向き凸状に形成されている。
【0063】
この実施形態では、上カバー20Bの上面62によって受け止められたダウンフローが、通過口8の側方(図8の左右方向)に向けて導かれる。これにより、ダウンフローを整流することができるので、ダウンフローの通過口8への流入を、より効果的に抑制することができる。
以上、この発明の3つの実施形態について説明したが、この発明は、さらに他の形態で実施することもできる。
【0064】
前述の各実施形態では、上フランジ42,42Bや横フランジ60,61は、外向き、すなわち開口8から離れる方向に伸びるように形成されているが、これらのフランジに加えてさらに、内向き、すなわち開口8に近づく方向に伸びる内向きフランジをさらに設け、ノズルブロック24,26,28の背後(インデクサ空間IS側)をこの内向きフランジによって覆うようにしてもよい。これによれば、ノズル30,32,34からの吹き付け気流によるインデクサ空間IS内の雰囲気の巻き込みをさらに防止することができる。
【0065】
前述の各実施形態では、ノズル30,32,34からのN2ガスの吹き付けを、ドア9が開状態にある間継続して行うとして説明したが、ドア9の開状態における予め定める時間だけN2ガスの吹き付けが行われていてもよい。また、ドア9が開状態であるか閉状態であるかに拘わらず、N2ガスの吹き付けが常時行われていてもよい。
また、前述の各実施形態では、基板収容器Cから未処理基板Wを取り出すとともに、その取り出した基板Wの処理の後に、その処理済みの基板を元の基板収容器Cに収納する(戻す)場合を例にとって示したが、他の基板収容器Cに処理済み基板Wを収納する構成であってもよい。
【0066】
また、前述の各実施形態では、基板収容器Cとして、基板Wを密閉した状態で収容するFOUP(Front Opening Unified Pod)を例示しているが、これ以外にも、SMIF(Standard Mechanical Interface)ポッド、OC(Open Cassette)等の他の形態の基板収容器を用いることもできる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の一実施形態に係る基板処理装置の構成を説明するための図解的な断面図である。
【図2】通過口をインデクサ空間から見た正面図である。
【図3】ロードポートの要部の縦断面図である。
【図4】図3の切断面線IV−IVから見た断面図である。
【図5】図4の矢印V方向から見たパージガスの吹き付け状態を示す正面図である。
【図6】ロードポートに対する基板収容器の装脱を説明するための図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る基板処理装置の構成を図解的に示す正面図である。
【図8】本発明のさらに他の実施形態に係る基板処理装置の構成を図解的に示す正面図である。
【符号の説明】
【0068】
6 収容器載置台(収容器保持部)
7 隔壁
8 通過口
10 開口
20,20A,20B 上カバー
21,21A 第1横カバー
22,22A 第2横カバー
23 上方領域(通過口の上辺部に沿う領域)
24 上ノズルブロック(上パージガス吹き付け手段)
25 側方領域(通過口の側辺部に沿う領域)
26 第1横ノズルブロック(横パージガス吹き付け手段)
28 第2横ノズルブロック(横パージガス吹き付け手段)
30 上ノズル
32 第1横ノズル
34 第2横ノズル
41 上吸気口
44 横吸気口
46 吐出口
47 吐出口
IS インデクサ空間(ダウンフロー空間)
OS 外部空間(保持空間)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を出し入れするための開口を有する基板収容器を保持するための収容器保持部と、
前記収容器保持部に保持された前記基板収容器の前記開口と対向する通過口を有し、前記収容器保持部が配置された保持空間とダウンフローが形成されるダウンフロー空間とを仕切る隔壁と、
前記通過口の上方において前記隔壁から前記ダウンフロー空間側に向かって突出して設けられて、ダウンフローの前記基板収容器内への進入を抑制するための上カバーと、
前記通過口の上縁部に沿う領域を通して、前記基板収容器内に向けてパージガスを吹き付けるための上パージガス吹き付け手段と、
前記通過口の側方において前記隔壁から前記ダウンフロー空間側に向かって突出して設けられて、ダウンフローの前記基板収容器内への進入を抑制するための横カバーと、
前記通過口の側縁部に沿う領域を通して、前記基板収容器内に向けてパージガスを吹き付けるための横パージガス吹き付け手段とを含む、基板処理装置。
【請求項2】
前記横カバーには、前記ダウンフロー空間内の雰囲気を吸い込むための横吸気口が形成されている、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記横パージガス吹き付け手段が、前記横吸気口よりも前記通過口寄りに設けられた吐出口を有している、請求項2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記上カバーの前記ダウンフロー空間側縁部には、上方に向けて突出する上フランジが形成されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記横カバーの前記ダウンフロー空間側縁部には、当該横カバーに対して前記通過口と反対側に向けて突出する横フランジが形成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記上カバーが、前記通過口の左右方向中間部が高く、左右方向両端部が低く形成された上向き凸状の上面を有している、請求項1〜5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記上カバーには、前記ダウンフロー空間内の雰囲気を吸い込むための上吸気口が形成されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記収容器保持部に保持された基板収容器の下部から、当該基板収容器内にパージガスを供給する下パージガス供給手段をさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−290102(P2009−290102A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−143106(P2008−143106)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】