基板処理装置
【課題】基板の上方におけるミスト発生を抑制できる基板処理装置を提供すること。
【解決手段】基板を水平に保持し、基板とともに回転可能な基板保持部2と、基板保持部2を回転させる回転機構と、基板に処理液を供給する処理液供給機構と、基板保持部2の外側に、この基板保持部2に保持された基板を囲繞するように設けられ、基板保持部2とともに回転し、回転する基板から振り切られた処理液を受ける壁部32を有する回転カップ4と、回転カップ4の外側に、この回転カッ4プ及び基板保持部2を囲繞するように設けられ、回転する基板から振り切られた処理液を収容する環状の液収容部56と、この環状の液収容部56よりも内側に設けられた内側環状空間99bとを備えた排気及び排液カップ201と、排気及び排液カップ201の内側環状空間99bに接続された排気機構200と、を具備する。
【解決手段】基板を水平に保持し、基板とともに回転可能な基板保持部2と、基板保持部2を回転させる回転機構と、基板に処理液を供給する処理液供給機構と、基板保持部2の外側に、この基板保持部2に保持された基板を囲繞するように設けられ、基板保持部2とともに回転し、回転する基板から振り切られた処理液を受ける壁部32を有する回転カップ4と、回転カップ4の外側に、この回転カッ4プ及び基板保持部2を囲繞するように設けられ、回転する基板から振り切られた処理液を収容する環状の液収容部56と、この環状の液収容部56よりも内側に設けられた内側環状空間99bとを備えた排気及び排液カップ201と、排気及び排液カップ201の内側環状空間99bに接続された排気機構200と、を具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体ウエハ等の基板に対して洗浄処理のような所定の液処理を行う基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造プロセスやフラットパネルディスプレー(FPD)の製造プロセスにおいては、被処理基板である半導体ウエハやガラス基板に処理液を供給して液処理を行うプロセスが多用されている。このようなプロセスとしては、例えば、基板に付着したパーティクルやコンタミネーション等を除去する洗浄処理を挙げることができる。
【0003】
このような基板処理装置としては、半導体ウエハ等の基板をスピンチャックに保持し、基板を回転させた状態でウエハに薬液等の処理液を供給して洗浄処理を行うものが知られている。この種の装置では、通常、処理液はウエハの中心に供給され、基板を回転させることにより処理液を外側に広げて液膜を形成し、処理液を基板の外方へ離脱させる。そして、このような洗浄処理の後、同様に基板を回転させた状態で基板に純水等のリンス液を供給してリンス液の液膜を形成し、リンス液を基板の外方へ離脱させるリンス処理を行う。このため、基板の外方へ振り切られた処理液やリンス液を受けて排液するための排液カップをウエハの外側を囲繞するように設けている(例えば、特許文献1)。
【0004】
この種の基板処理装置においては、基板を回転させ、処理液やリンス液を遠心力で基板の外方へ振り切るとともに、基板の外周から排気することにより、処理液やリンス液を回収する。
【0005】
しかしながら、排気が充分でないと、基板の上方にミストが発生して基板にパーティクルが付着する。
【特許文献1】特開2002−368066号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、基板の上方におけるミスト発生を抑制できる基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明の第1の態様に係る基板処理装置は、基板を水平に保持し、基板とともに回転可能な基板保持部と、前記基板保持部を回転させる回転機構と、基板に処理液を供給する処理液供給機構と、前記基板保持部の外側に、この基板保持部に保持された基板を囲繞するように設けられ、前記基板保持部とともに回転し、回転する基板から振り切られた処理液を受ける壁部を有する回転カップと、前記回転カップの外側に、この回転カップ及び前記基板保持部を囲繞するように設けられ、前記回転する基板から振り切られた処理液を収容する環状の液収容部と、この環状の液収容部よりも内側に設けられた内側環状空間とを備えた排気及び排液カップと、前記排気及び排液カップの内側環状空間に接続された排気機構と、を具備する。
【0008】
また、この発明の第2の態様に係る基板処理装置は、基板を水平に保持し、基板とともに回転可能な基板保持部と、前記基板保持部を回転させる回転機構と、基板に処理液を供給する処理液供給機構と、前記基板保持部の外側に、この基板保持部に保持された基板を囲繞するように設けられ、前記基板保持部とともに回転し、回転する基板から振り切られた処理液を受ける壁部を有する回転カップと、前記回転カップの外側に、この回転カップ及び前記基板保持部を囲繞するように設けられ、底壁部と、この底壁部の外周に沿って形成された環状外壁部と、この環状外壁部よりも内側に形成された環状内壁部と、を備えた排気カップと、前記排気カップの内側に、前記回転カップ及び前記基板保持部を囲繞し、かつ、前記排気カップの底壁部との間に下部環状空間を形成し、前記排気カップの環状外壁部との間に外側環状空間を形成し、前記排気カップの環状内壁部との間に内側環状空間を形成するように設けられ、前記回転する基板から振り切られた処理液を収容する環状の液収容部を備えた排液カップと、前記下部環状空間に接続された排気機構と、前記下部環状空間と前記外側環状空間との間に配置された気流調整部材と、を備え、記下部環状空間の上部に対応した前記排液カップの部分に、前記基板保持部に対向する少なくとも1つの通気孔が形成されている。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、基板の上方におけるミスト発生を抑制できる基板処理装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。ここでは、本発明を半導体ウエハ(以下、単にウエハと記す)の表裏面洗浄を行う液処理装置に適用した場合について示す。
【0011】
図1は本発明の一実施形態に係る基板処理装置の概略構成を示す断面図、図2はその平面図、図3は図1の基板処理装置の処理液供給機構およびリンス液供給機構を示す概略図、図4は図1の基板処理装置の排気・排液部を拡大して示す断面図である。
【0012】
図1及び図2に示すように、基板処理装置100は、図示しない液処理システムに複数台組み込まれており、ベースプレート1と、被処理基板であるウエハWを回転可能に保持するウエハ保持部2と、このウエハ保持部2を回転させる回転モータ3と、ウエハ保持部2に保持されたウエハWを囲繞するように設けられ、ウエハ保持部2とともに回転する回転カップ4と、ウエハWの表面に処理液を供給する表面側液供給ノズル5と、ウエハWの裏面に処理液を供給する裏面側液供給ノズル6と、回転カップ4の周縁部に設けられた排気・排液部7とを有している。また、排気・排液部7の周囲およびウエハWの上方を覆うようにケーシング8が設けられている。ケーシング8の上部には液処理システムのファン・フィルター・ユニット(FFU)からの気流を側部に設けられた導入口9aを介して導入する気流導入部9が設けられており、ウエハ保持部2に保持されたウエハWに清浄空気のダウンフローが供給されるようになっている。
【0013】
ウエハ保持部2は、水平に設けられた円板状をなす回転プレート11と、その裏面の中心部に接続され、下方鉛直に延びる円筒状の回転軸12とを有している。回転プレート11の中心部には、回転軸12内の孔12aに連通する円形の孔11aが形成されている。そして、裏面側液供給ノズル6を備えた昇降部材13が孔12aおよび孔11a内を昇降可能に設けられている。回転プレート11には、ウエハWの外縁を保持する保持部材14が設けられており、図2に示すように、これらは3つ等間隔で配置されている。この保持部材14は、ウエハWが回転プレート11から少し浮いた状態で水平にウエハWを保持するようになっている。この保持部材14はウエハWの端面を保持可能な保持部14aと、保持部14aから回転プレート裏面側中心方向に延材する着脱部14bと、保持部14aを垂直面内で回動させる回転軸14cとを有し、着脱部14bの先端部を図示しないシリンダ機構により上方に押し上げることにより、保持部14aが外側に回動してウエハWの保持が解除される。保持部材14は、図示しないバネ部材により保持部14aがウエハWを保持する方向に付勢されており、シリンダ機構を作動させない場合には保持部材14によりウエハWが保持された状態となる。
【0014】
回転軸12は、2つのベアリング15aを有する軸受け部材15を介してベースプレート1に回転可能に支持されている。回転軸12の下端部にはプーリー16が嵌め込まれており、プーリー16にはベルト17が巻き掛けられている。ベルト17はモータ3の軸に取り付けられたプーリー18にも巻き掛けられている。そして、モータ3を回転させることによりプーリー18、ベルト17およびプーリー16を介して回転軸12を回転するようになっている。
【0015】
表面側液供給ノズル5は、ノズル保持部材22に保持された状態でノズルアーム22aの先端に取り付けられており、後述する液供給機構85からノズルアーム22a内に設けられた流路を通って処理液等が供給され、その内部に設けられたノズル孔5aを介して処理液を吐出するようになっている。吐出する処理液としては、ウエハ洗浄用の薬液、純水等のリンス液等を挙げることができる。また、ノズル保持部材22には、IPAに代表される乾燥溶媒を吐出する乾燥溶媒ノズル21も取り付けられており、その内部に設けられたノズル孔21aを介してIPA等の乾燥溶媒を吐出するようになっている。
【0016】
図2にも示すように、ノズルアーム22aは駆動機構81により軸23を中心として回動可能に設けられており、ノズルアーム22aを回動させることにより、表面側液供給ノズル5がウエハW中心上および外周上のウエハ洗浄位置と、ウエハWの外方の退避位置とを取り得るようになっている。また、ノズルアーム22aはシリンダ機構等の昇降機構82により上下動可能となっている。
【0017】
図3に示すように、ノズルアーム22a内には流路83aが設けられており、表面側液供給ノズル5のノズル孔5aは流路83aの一端に繋がっている。また、流路83aの他端には配管84aが接続されている。一方、ノズルアーム22a内には流路83bも設けられており、乾燥溶媒ノズル21のノズル孔21aは流路83bの一端に繋がっている。また、流路83bの他端には配管84bが接続されている。そして、配管84a、84bには、液供給機構85から所定の処理液が供給される。液供給機構85は、洗浄処理のための薬液として、例えば酸薬液である希フッ酸(DHF)を供給するDHF供給源86、アルカリ薬液であるアンモニア過水(SC1)を供給するSC1供給源87、リンス液として例えば純水(DIW)を供給するDIW供給源88、乾燥溶媒として例えばIPAを供給するIPA供給源95を有している。DHF供給源86、SC1供給源87、DIW供給源88からは配管89,90,91が延びており、これら配管89,90,91が配管84aに開閉バルブ92,93,94を介して接続されている。したがって、開閉バルブ92,93,94を操作することにより、アンモニア過水(SC1)、希フッ酸(DHF)、純水(DIW)を選択的に表面側液供給ノズル5に供給可能となっている。この場合に、DIW供給源88から延びる配管91が配管84aの最も上流側に接続されている。一方、IPA供給源95には流路83bから延びる配管84bが直接接続されており、配管84bには開閉バルブ96が設けられている。したがって、開閉バルブ96を開くことにより、IPAを乾燥溶媒ノズル21に供給可能となっている。
【0018】
すなわち、液供給機構85は、洗浄のための処理液であるアンモニア過水(SC1)および希フッ酸(DHF)を供給するための処理液供給機構としての機能、リンス液としての純水(DIW)を供給するためのリンス液供給機構としての機能、および乾燥溶媒としてのIPAを供給する乾燥溶媒供給機構としての機能を果たすようになっている。
【0019】
裏面側液供給ノズル6は昇降部材13の中心に設けられており、その内部に長手方向に沿って延びるノズル孔6aが形成されている。そして、図示しない処理液供給機構によりノズル孔6aの下端から所定の処理液が供給され、その処理液がノズル孔6aを介してウエハWの裏面に吐出されるようになっている。吐出する液としては、上記表面側液供給ノズル5と同様、洗浄用の処理液、純水等のリンス液を挙げることができる。裏面側液供給ノズル6へ処理液を供給する液供給機構は、IPAの供給系を除いて上記液供給機構85と同様に構成することができる。昇降部材13の上端部にはウエハWを支持するウエハ支持台24を有している。ウエハ支持台24の上面には、ウエハWを支持するための3本のウエハ支持ピン25(2本のみ図示)を有している。そして、裏面側液供給ノズル6の下端には接続部材26を介してシリンダ機構27が接続されており、このシリンダ機構27によって昇降部材13を昇降させることによりウエハWを昇降させてウエハWのローディングおよびアンローディングが行われる。
【0020】
回転カップ4は、回転プレート11の端部上方から内側斜め上方に延びる円環状の庇部31と、庇部31の外端部から垂直下方へ延びる筒状の壁部32を有している。そして、図4の拡大図に示すように、壁部32と回転プレート11との間には円環状の隙間33が形成されており、この隙間33からウエハWが回転プレート11および回転カップ4とともに回転されて飛散した処理液やリンス液が下方に導かれる。
【0021】
庇部31と回転プレート11との間にはウエハWとほぼ同じ高さの位置に板状をなす回転ガイド35が介在されている。図5に示すように、庇部31と回転ガイド35との間、回転ガイド35と回転プレート11との間には、それぞれ処理液やリンス液を通過させる複数の開口36および37を形成するための複数のスペーサ部材38および39が周方向に沿って配置されている。庇部31と、回転ガイド35と、回転プレート11と、これらの間のスペーサ部材38,39とは、ねじ40によりねじ止めされている。
【0022】
回転ガイド35は、その表裏面がウエハWの表裏面と略連続するように設けられている。そして、モータ3によりウエハ保持部2および回転カップ4をウエハWとともに回転させて表面側液供給ノズル5からウエハW表面の中心に処理液を供給した際には、処理液は遠心力でウエハWの表面を広がり、ウエハWの周縁から振り切られる。このウエハW表面から振り切られた処理液は、回転ガイド35の表面に案内されて開口36から外方へ排出され、壁部32によって下方へ導かれる。また、同様にウエハ保持部2および回転カップ4をウエハWとともに回転させて裏面側液供給ノズル6からウエハWの裏面の中心に処理液を供給した際には、処理液は遠心力でウエハWの裏面を広がり、ウエハWの周縁から振り切られる。このウエハW裏面から振り切られた処理液は、略連続して設けられた回転ガイド35の裏面に案内されて開口37から外方へ排出され、壁部32によって下方へ導かれる。このときスペーサ部材38、39および壁部32に到達した処理液には遠心力が作用しているから、これらがミストとなって内側へ戻ることが阻止される。
【0023】
また、回転ガイド35はこのようにウエハW表面および裏面から振り切られた処理液を案内するので、ウエハWの周縁から脱離した処理液が乱流化し難く、処理液をミスト化させずに回転カップ4外へ導くことができる。なお、図2に示すように、回転ガイド35には、ウエハ保持部材14に対応する位置に、ウエハ保持部材14を避けるように切り欠き部41が設けられている。
【0024】
排気・排液部7は、主に回転プレート11と回転カップ4に囲繞された空間から排出される気体および液体を回収するためのものであり、図4の拡大図にも示すように、回転カップ4から排出された処理液やリンス液を受ける環状をなす排液カップ51と、排液カップ51を収容するように排液カップ51と同心状の環状をなす排気カップ52とを備えている。
【0025】
図1および図4に示すように、排液カップ51は、回転カップ4の外側に、壁部32に近接して垂直に設けられた筒状をなす外周壁53と、外周壁53の下端部から内側に向かって延びる内側壁54とを有している。内側壁54の内周には内周壁54aが垂直に形成されている。これら外周壁53および内側壁54によって規定される環状の空間が回転カップ4から排出された処理液やリンス液を収容する液収容部56となっている。また、外周壁53の上端には、排液カップ51からの処理液の飛び出しを防止するために回転カップ4の上方部分に張り出した張り出し部53aが設けられている。液収容部56の保持部材14の外側に対応する位置には、内側壁54から回転プレート11の下面近傍まで延び、排液カップ51の周方向に沿って環状に設けられた仕切り壁55を有している。仕切り壁55は、回転プレート11が回転した際に、保持部材14の回転プレート11の下方に突出した部分によって形成された気流がミストを随伴してウエハW側に到達することを阻止する役割を有している。
【0026】
排液カップ51の内側壁54の最外側部分には液収容部56から排液する1箇所の排液口60が設けられており、排液口60には排液管61が接続されている(図1参照)。排液管61には排液切替部111が接続されており、排液切替部111からは、酸排液を排出するための酸排出管112a、アルカリ排液を排出するためのアルカリ排出管112b、酸を回収するための酸回収管112c、アルカリを回収するためのアルカリ回収管112dが垂直下方に延びている。また、酸排出管112a、アルカリ排出管112b、酸回収管112c、アルカリ回収管112dには、それぞれバルブ113a,113b,113c,113dが設けられている。これにより、処理液の種類に応じて分別可能となっている。具体的には、希フッ酸(DHF)洗浄の際には排液切替部111を酸回収管112cに切り替えて希フッ酸(DHF)排液を回収し、希フッ酸(DHF)洗浄の後のリンス処理の際には排液切替部111を酸排出管112aに切り替えて希フッ酸(DHF)にリンス液が混合した排液を廃棄し、アンモニア過水(SC1)洗浄の際には排液切替部111をアルカリ回収管112dに切り替えてアンモニア過水(SC1)排液を回収し、アンモニア過水(SC1)洗浄後のリンス処理の際には排液切替部111をアルカリ排出管112bに切り替えてアンモニア過水(SC1)にリンス液が混合した排液を廃棄する。なお、排液口60は複数箇所設けられていてもよい。
【0027】
排液カップ51内では、ウエハW、回転プレート11および回転カップ4の回転等により、回転カップ4から排出されて貯留された処理液やリンス液の旋回流が形成され、排液口60および排液管61を介して排出される。この旋回流は、ウエハWの回転プレート11の回転のみによっても生じるが、回転カップ4が回転する際に排液カップ51内に挿入された壁部32の下端部分によって形成される旋回気流に排液カップ51内の処理液やリンス液が随伴することにより、ウエハWと回転プレート11のみで生じる旋回流よりも高速の旋回流を形成することができ、排液口60から液を排出する速度を高いものとすることができる。
【0028】
排気カップ52は、排液カップ51の外周壁53の外側部分に垂直に設けられた外側壁(環状外壁部)64と、保持部材14の内側部分に垂直にかつその上端が回転プレート11に近接するように設けられた内側壁(環状内壁部)65と、ベースプレート1上に設けられた底壁(底壁部)66と、外側壁64から上方へ湾曲するとともに、回転カップ4の上方を覆うように設けられた上側壁67とを有している。そして、排気カップ52は、その上側壁67と回転カップ4の庇部31との間の環状をなす導入口68から回転カップ4内およびその周囲の主にガス成分を取り込んで排気するようになっている。また、排気カップ52の下部には、図1および図4に示すように、排気口70が設けられており、排気口70には排気管71が接続されている。排気管71の下流側には図示しない吸引機構が設けられており、回転カップ4の周囲を排気することが可能となっている。
【0029】
排液カップ51の外側壁である外周壁53と排気カップ52の外側壁64との間には環状をなす外側環状空間99aが形成されており、また排液カップ51の底部と排気カップ52の底部との間の排気口70の外側部分には、周方向に沿って多数の通気孔98が形成された環状の気流調整部材97が設けられている。そして、外側環状空間99aと気流調整部材97は排気カップ52に取り入れられ、排気口70に至る気流を調整して均一に排気する機能を有している。すなわち、このように環状の空間である外側環状空間99aを通って気流を全周に亘って均一に下方へ導き、多数の通気孔98を形成した気流調整部材97を設けて圧力損失つまり気流の抵抗を与えるとともに気流を分散することにより、排気口70からの距離によらず比較的均一に排気を行うことができる。
【0030】
また、排液カップ51の内周壁54aと排気カップ52の内側壁65との間には環状をなす内側環状空間99bが形成されており、さらに、排液カップ51の内周側には排気カップ52との間の隙間77が形成されている。そして、導入口68から取り入れられた気体成分は、外側環状空間99aのみならず、排液カップ51の液収容部56にも多少流れ、その気流は液収容部56から内側環状空間99bを通って全周に亘って均一に下方に導かれ、隙間77を通って排気口70から比較的均一に排気を行うことができる。
【0031】
このように、排液カップ51からの排液と排気カップ52からの排気が独立して行われるようになっているので、排液と排気を分離した状態で導くことが可能となる。また、排液カップ51からミストが漏出しても排気カップ52がその周囲を囲繞しているので速やかに排気口70を介して排出され、ミストが外部に漏出することが確実に防止される。
【0032】
基板処理装置100はマイクロプロセッサ(コンピュータ)からなるプロセスコントローラ121を有しており、基板処理装置100の各構成部がこのプロセスコントローラ121に接続されて制御される構成となっている。また、プロセスコントローラ121には、工程管理者が基板処理装置100の各構成部を管理するためにコマンドの入力操作などを行うキーボードや、基板処理装置100の各構成部の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等からなるユーザーインターフェース122が接続されている。さらに、プロセスコントローラ121には、基板処理装置100で実行される各種処理をプロセスコントローラ121の制御にて実現するための制御プログラムや、処理条件に応じて液処理装置100の各構成部に所定の処理を実行させるための制御プログラムすなわちレシピが格納された記憶部123が接続されている。レシピは記憶部123の中の記憶媒体に記憶されている。記憶媒体は、ハードディスクや半導体メモリであってもよいし、CDROM、DVD、フラッシュメモリ等の可搬性のものであってもよい。また、他の装置から、例えば専用回線を介してレシピを適宜伝送させるようにしてもよい。
【0033】
そして、必要に応じて、ユーザーインターフェース122からの指示等にて任意のレシピを記憶部123から呼び出してプロセスコントローラ121に実行させることで、プロセスコントローラ121の制御下で、基板処理装置100での所望の処理が行われる。
【0034】
次に、以上のように構成される基板処理装置100の動作について図6〜8に基づいて説明する。本実施形態における以下の洗浄処理動作は、記憶部123に格納されたレシピに基づいてプロセスコントローラ121によって制御される。
【0035】
処理液(薬液)を用いた洗浄処理においては、まず、図6の(a)に示すように、昇降部材13を上昇させた状態で、図示しない搬送アームからウエハ支持台24の支持ピン25上にウエハWを受け渡す。次いで、図6の(b)に示すように、昇降部材13を、ウエハWを保持部材14により保持可能な位置まで下降させ、保持部材14によりウエハWをチャッキングする。そして、図6の(c)に示すように、表面側液供給ノズル5を退避位置からウエハ洗浄位置に移動させる。
【0036】
この状態で、図6の(d)に示すように、モータ3によりウエハWを保持部材2および回転カップ4とともに回転させながら、表面側液供給ノズル5および裏面側液供給ノズル6から所定の処理液を供給してウエハWの洗浄処理を行う。
【0037】
このウエハ洗浄処理においては、ウエハWが回転された状態で、表面側液供給ノズル5および裏面側液供給ノズル6からウエハWの表面および裏面の中央に処理液が供給される。これにより、処理液が遠心力によりウエハWの外側に広がり、その過程で洗浄処理がなされる。そして、このように洗浄処理に供された処理液は、ウエハWの周縁から振り切られる。この洗浄処理の際のウエハの回転数は、200〜700rpmの範囲であることが好ましい。また、処理液の供給量は、0.5〜1.5L/minであることが好ましい。
【0038】
このウエハ洗浄処理においては、ウエハWの外側を囲繞するように設けられているカップがウエハWとともに回転する回転カップ4であるから、ウエハWから振り切られた処理液が回転カップ4に当たった際に処理液に遠心力が作用し、固定カップの場合のような飛び散り(ミスト化)は発生し難い。そして回転カップ4に達した処理液は下方に導かれ、隙間33から排液カップ51における液収容部56の主カップ部56aに排出される。そして、このようにして排液カップ51に受け止められた処理液は、その中を旋回しながら排液口60から排液管61を通って排出されるが、回転カップ4の回転にともなって壁部32より排液カップ51内に形成される旋回気流が形成され、排液カップ51内の処理液がこの旋回気流に随伴することにより、より高速な旋回流となって排液口60から排液管61を通って排出される。このように高速な旋回流が形成されるため処理液を短時間で排液口60から排液管61を通って排出させることができる。
【0039】
また、排気カップ52には、その上側壁67と回転カップ4の庇部31との間の環状をなす導入口68から回転カップ4内およびその周囲の主にガス成分が取り込まれ排気口70から排気管71を通って排気される。
【0040】
このようにして処理液による処理が行われた後、引き続きリンス処理が行われる。このリンス処理においては、従前の処理液の供給を停止した後、表面側液供給ノズル5および裏面側液供給ノズル6からウエハWの表裏面にリンス液として純水を供給し、処理液による洗浄処理の場合と同様に、モータ3によりウエハWを保持部材2および回転カップ4とともに回転させながら、表面側液供給ノズル5および裏面側液供給ノズル6からウエハWの表面および裏面の中央にリンス液として純水が供給され、遠心力によりウエハWの外方に広がる過程でウエハWのリンス処理がなされる。そして、このようにリンス処理に供された純水は、ウエハWの周縁から振り切られる。
【0041】
このようにして振り切られたリンス液としての純水は、処理液の場合と同様、回転カップ4の隙間33および保持部14aを挿入する穴の部分から排液カップ51における液収容部56に排出され、その中を旋回しながら排液口60から排液管61を通って排出されるが、回転カップ4の壁部32によって排液カップ51内に形成される旋回気流が形成され、排液カップ51内のリンス液としての純水がこの旋回気流に随伴することにより、より高速な旋回流となって排液口60から排液管61を通って短時間で排出される。
【0042】
このように、環状の排液カップ51から短時間で処理液やリンス液を排出することができることから、複数種の処理液を使用する場合に、液置換速度を高めることができ、また、処理液を切り替える際に2種類の処理液が混ざった状態で排出されてしまうことを防止することができる。
【0043】
リンス液としての純水によりウエハWのリンス処理を行う際には、上記のようにウエハWから振り切られた純水が排液カップ51を旋回するので、排液カップ51内の洗浄の機能をもたせることができる。
【0044】
さて、実施形態に係る基板処理装置100は、上述のように、様々なミスト抑制対策が施されているが、本実施形態では、さらに、ウエハWの外周部の気流に着目した。
【0045】
図7は、排液カップ51及び排気カップ52の近傍を拡大して示した断面図である。
【0046】
図7に示すように、ウエハW(図7では図示せず)を水平に保持し、ウエハWとともに回転する基板保持部2の回転ステージ11があり、回転ステージ11の外側には、回転カップ4が、図示せぬウエハWを囲繞するように設けられている。回転カップ4は、回転ステージ11とともに回転し、ウエハWから振り切られた処理液を受ける壁部32を有する。回転カップ4の外側には、排気カップ52が、回転カップ4及び回転ステージ11を囲繞するように設けられている。排気カップ52は、底壁部66と、この底壁部66の外周に沿って形成された環状外壁部64と、この環状外壁部64よりも内側に形成された環状内壁部65と、を備えている。排気カップ52の内側には、排液カップ51が、回転カップ4及び回転ステージ11を囲繞し、かつ、排気カップ52の底壁部66との間に下部環状空間99cを形成し、排気カップ52の環状外壁部64との間に外側環状空間99aを形成し、排気カップ52の環状内壁部65との間に内側環状空間99bを形成するように設けられている。排液カップ51は、回転カップ4の壁部32の下に、回転するウエハWから振り切られた処理液を収容する環状の液収容部56を備えている。下部環状空間99cには排気口70が形成され、この排気口70には排気管71が接続されている。排気管71には、排気機構200が接続される。下部環状空間99cと外側環状空間99aとの間には、気流調整部材97が配置されている。気流調整部材97は、下部環状空間99cと外側環状空間99aとを連通させる複数の通気孔98を備えている。
【0047】
このような排液カップ51及び排気カップ52を備えた処理装置100は、排気機構200を用いて排気する際に、排気カップ52への流れと、排液カップ51への流れとの2つの流れが発生する。これらの流れを図8に示す。
【0048】
図8に示すように、ウエハWの上方には、排液カップへの流れAが形成され、この流れAの上に、排気カップへの流れBが形成される。
【0049】
これら2つの流れA、Bには強弱があり、排気カップへの流れBの方が、排液カップへの流れAよりも強い。排液カップ51は、回転カップ4や回転ステージ11の下方に、仕切り壁55や窪んだ形の液収容部56を有しており、ほぼ直線状の外側環状空間99aよりも複雑な形である。このため、排気経路中の空気抵抗が大きくなって、排液カップへの流れAは、排気カップへの流れBよりも弱まってしまう、と考えられる。図9aに、ウエハW上の気流の流れを示す。
【0050】
図9aに示すように、ウエハWの外周部の上面では気流A(排液カップへの流れ)が弱く、気流B(排気カップへの流れ)が強い。流速にたとえるなら、気流Aは遅く、気流Bは速い。気流Bが速くなると、図9bに示すように、層流を維持することができなくなり、気流Bが乱れだす。気流Bが乱れると、図9cに示すように、ミストを発生させてしまう。しかも、ウエハWに近いほうを流れる気流Aは弱いから、ミストを充分に排気することは困難である。気流Aを強くするために、排気機構の排気力を上げることも可能であるが、気流Bがますます強くなってしまって、気流Bはさらに乱れる。結果として、図9dに示すように、ウエハWの外周部の上面には、パーティクルが残ってしまう。ウエハW上に、パーティクルが残ることは、洗浄効果が弱まることを意味する。
【0051】
そこで、本実施形態では、排液カップ51及び排気カップ52に対して以下に説明するような工夫を施した。
【0052】
(第1例)
図10は、第1例に係る処理装置100aを示す断面図である。
【0053】
図10に示すように、第1例に係る処理装置100aが、図7に示した処理装置100と異なるところは、排液カップと排気カップとを一体化し、排気及び排液カップ201としたところである。これにより、図7に示した処理装置100から、外側環状空間99aを排除することができ、外側環状空間99aを介した排気経路が無くなる。これ以外のところは、図7に示した処理装置100と同じである。
【0054】
第1例に係る処理装置100aは、排液カップと排気カップとを一体化したので、排気機構200を用いて排気する際の流れは、排気及び排液カップ201への流れのみとなる。つまり、図8に示したような強弱がついた2種類の流れA、Bは発生しない。よって、例えば、図9a〜図9dに示したようなメカニズムでウエハWの上方に発生するミストを抑制することができる。
【0055】
このように第1例に係る処理装置100aによれば、ウエハWの上方に発生するミストを抑制できるので、例えば、ウエハWの洗浄後に、ウエハWの外周部の上面にパーティクル残りが生じ難くなり、洗浄効果を高めることができる。
【0056】
なお、第1例においては、排気口70を下部環状空間99cに形成するようしたが、例えば、下部環状空間99cも埋めてしまい、排気口70を内側環状空間99bに形成するようにしても良い。この場合には、内側環状空間99bが排気機構200により排気される。
【0057】
(第2例)
図11は、第2例に係る処理装置100bを示す断面図である。
【0058】
図11に示すように、第2例に係る処理装置100bが、図10に示した処理装置100aと異なるところは、下部環状空間99cの上部に、ウエハ保持部2の回転ステージ11に対向する少なくとも1つの通気孔202を形成したことである。これ以外のところは、図10に示した処理装置100bと同じである。
【0059】
第2例に係る処理装置100bは、処理装置100aと同様に、排液カップと排気カップとを一体化しているので、ウエハWの上方にミストが発生することを抑制できる。
【0060】
さらに、第2例に係る処理装置100bは、下部環状空間99cの上部に、通気孔202を形成したので、第1例に係る処理装置100aに比較して、排気管から回転ステージ11の下方に至る排気経路を大きくすることができる。排気経路が大きくなることで、ウエハWの表面、又は表面及び裏面を、より強く排気できるので、洗浄効果をさらに向上させることができる。
【0061】
また、通気孔202を複数設けるときには、図12の平面図に示すように、複数の通気202を、下部環状空間99cの上部に環状に並べて形成すると、気流の流れを均一にし易いので良い。
【0062】
(第3例)
図13は、第3例に係る処理装置100cを示す断面図である。
【0063】
図13に示すように、第3例に係る処理装置100cが、図7に示した処理装置100と異なるところは、第2例に係る処理装置100bと同様に、少なくとも1つの通気孔202を、下部環状空間99cの上部に形成したことである。通気孔202を複数設けるときには、第2例と同様に、複数の通気202を、下部環状空間99cの上部に、環状に並べて形成すると良い。これ以外は、図7に示した処理装置100と同じである。
【0064】
第3例に係る処理装置100cは、排気カップ52を備え、かつ、外側環状空間99aが形成されているから、図7に示した処理装置100と同様に、図8に示したような排液カップ51への流れAと、排気カップ52への流れBとの2つの流れが生ずる。
【0065】
しかしながら、下部環状空間99cの上部に、通気孔202を形成するようにしたので、図7に示した処理装置100に比較して、排気管から回転ステージ11の下方に至る排気経路を大きくできる。この結果、排液カップ51への流れAを強くでき、かつ、排気カップ52への流れBを弱くすることができる。このため、流れAと流れBとの強弱差を、図7に示した処理装置100に比較して小さくすることができ、最終的には、流れAの強さと流れBの強さとを互いに等しくすることも可能である。
【0066】
よって、流れA、Bの双方が存在していても、例えば、図9a〜図9dに示したようなメカニズム発生するミストを減らすことができ、ウエハW上へのパーティクル残りを抑制することができる。
【0067】
このように第3例に係る処理装置100cにおいても、洗浄効果を高めることができる。
【0068】
さらに、第3例に係る処理装置100cは、以下のような使い方もできる。
【0069】
図14は、処理装置100cの使い方の一例を示す断面図である。本例は、気流調整部材97が交換可能であることに着目した例である。
【0070】
図14に示すように、下部環状空間99cと外側環状空間99aとの間には、気流調整部材97aが形成されている。図13に示した気流調整部材97は、下部環状空間99cと外側環状空間99bとを連通させる複数の通気孔98を備えていた。しかし、本例の気流調整部材97aは、通気孔98を備えていない。通気孔98を備えていない気流調整部材97aを使うことで、下部環状空間99cと外側環状空間99aとを遮断することができる。下部環状空間99cには排気機構200が接続されているから、下部環状空間99cと外側環状空間99aとが遮断されれば、図8に示した排気カップ52への流れBを無くすことができ、気流は、排液カップ51への流れAのみとなる。
【0071】
このように気流調整部材97aを用いて、下部環状空間99cと外側環状空間99aとを遮断することで、第1例に係る処理装置100bと同様に、気流を、排液カップ51への流れAのみとすることができ、ウエハWの上方へのミスト発生を抑制することができる。
【0072】
また、気流調整部材97、又は97aが交換可能であるときには、通気孔有り気流調整部材97から通気孔無し気流調整部材97aへ、反対に、97aから97へ交換することで、下部環状空間99cと外側環状空間99aとを連通させること、及び下部環状空間99cと外側環状空間99aとを遮断することのいずれかを選択するようにしても良い。
【0073】
図15は、処理装置100cの使い方の他例を示す断面図である。本例は、上側壁67が交換可能であることに着目した例である。
【0074】
図15に示すように、環状外壁部64上には、上側壁67が形成されている。この上側壁67は排液カップ51の上方を覆うように設けられており、かつ、本例では上側壁67が外側環状空間99aの上に被さり、外側環状空間99aを閉塞している。
【0075】
このように、上側壁67を利用して、外側環状空間99aを閉塞することでも、第1例に係る処理装置100aと同様に、気流を、排液カップ51への流れAのみとすることができ、ウエハWの上方へのミスト発生を抑制することができる。
【0076】
また、通気孔無し気流調整部材97aを用いたとき、外側環状空間99aが外界に曝されていると、外側環状空間99aが汚れてしまう可能性がある。このような汚れを避けたい場合には、本例のように、上側壁67を利用して外側環状空間99aを閉塞すると良い。
【0077】
以上、この発明を実施形態により説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、ウエハの表裏面洗浄を行う洗浄処理装置を例にとって示したが、本発明はこれに限らず、表面のみまたは裏面のみの洗浄処理を行う洗浄処理装置であってもよく、また、洗浄処理に限らず、他の液処理であっても構わない。さらに、上記実施形態では被処理基板として半導体ウエハを用いた場合について示したが、液晶表示装置(LCD)用のガラス基板に代表されるフラットパネルディスプレイ(FPD)用の基板等、他の基板に適用可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の一実施形態に係る基板処理装置の概略構成を示す断面図
【図2】本発明の一実施形態に係る基板処理装置を一部切り欠いて示す概略平面図
【図3】図1の基板処理装置の液供給機構を示す概略図
【図4】図1の基板処理装置の排気・排液部を拡大して示す断面図
【図5】図1の基板処理装置の回転カップおよび案内部材の取り付け状態を説明するための図
【図6】本発明の一実施形態に係る基板処理装置の洗浄処理の動作を説明するための図
【図7】排液カップ及び排気カップの近傍を拡大して示した断面図
【図8】気流の流れを示す図
【図9】図9a乃至図9dはミスト発生からパーティクル残りのメカニズムを示す図
【図10】第1例に係る処理装置100aを示す断面図
【図11】第2例に係る処理装置100bを示す断面図
【図12】排気および排液カップの平面図
【図13】第3例に係る処理装置100cを示す断面図
【図14】処理装置100cの使い方の一例を示す断面図
【図15】処理装置100cの使い方の他例を示す断面図
【符号の説明】
【0079】
1…ベースプレート、2…ウエハ保持部、3…回転モータ、4…回転カップ、5…表面側液供給ノズル、6…裏面側液供給ノズル、7…排気・排液部、8…ケーシング、9…気流導入部、11…回転プレート、12…回転軸、13…昇降部材、14…保持部材、22…ノズル保持部材、22a…ノズルアーム、31…庇部、32…外側壁部、33…隙間、35…案内部材、51…排液カップ、52…排気カップ、53…外周壁、54…内側壁、56…液収容部、85…液供給機構(処理液供給機構、リンス液供給機構)、64…外側壁(環状外壁部)、65…内側壁(環状内壁部)、66…底壁(底壁部)、67…上側壁、99a…外側環状空間、99b…内側環状空間、99c…下部環状空間、97、97a…気流調整部材、98…通気孔、100…基板処理装置、121…プロセスコントローラ、122…ユーザーインターフェース、123…記憶部、200…排気機構、201…排液及び排液カップ、202…通気孔、W…ウエハ。
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体ウエハ等の基板に対して洗浄処理のような所定の液処理を行う基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造プロセスやフラットパネルディスプレー(FPD)の製造プロセスにおいては、被処理基板である半導体ウエハやガラス基板に処理液を供給して液処理を行うプロセスが多用されている。このようなプロセスとしては、例えば、基板に付着したパーティクルやコンタミネーション等を除去する洗浄処理を挙げることができる。
【0003】
このような基板処理装置としては、半導体ウエハ等の基板をスピンチャックに保持し、基板を回転させた状態でウエハに薬液等の処理液を供給して洗浄処理を行うものが知られている。この種の装置では、通常、処理液はウエハの中心に供給され、基板を回転させることにより処理液を外側に広げて液膜を形成し、処理液を基板の外方へ離脱させる。そして、このような洗浄処理の後、同様に基板を回転させた状態で基板に純水等のリンス液を供給してリンス液の液膜を形成し、リンス液を基板の外方へ離脱させるリンス処理を行う。このため、基板の外方へ振り切られた処理液やリンス液を受けて排液するための排液カップをウエハの外側を囲繞するように設けている(例えば、特許文献1)。
【0004】
この種の基板処理装置においては、基板を回転させ、処理液やリンス液を遠心力で基板の外方へ振り切るとともに、基板の外周から排気することにより、処理液やリンス液を回収する。
【0005】
しかしながら、排気が充分でないと、基板の上方にミストが発生して基板にパーティクルが付着する。
【特許文献1】特開2002−368066号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、基板の上方におけるミスト発生を抑制できる基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明の第1の態様に係る基板処理装置は、基板を水平に保持し、基板とともに回転可能な基板保持部と、前記基板保持部を回転させる回転機構と、基板に処理液を供給する処理液供給機構と、前記基板保持部の外側に、この基板保持部に保持された基板を囲繞するように設けられ、前記基板保持部とともに回転し、回転する基板から振り切られた処理液を受ける壁部を有する回転カップと、前記回転カップの外側に、この回転カップ及び前記基板保持部を囲繞するように設けられ、前記回転する基板から振り切られた処理液を収容する環状の液収容部と、この環状の液収容部よりも内側に設けられた内側環状空間とを備えた排気及び排液カップと、前記排気及び排液カップの内側環状空間に接続された排気機構と、を具備する。
【0008】
また、この発明の第2の態様に係る基板処理装置は、基板を水平に保持し、基板とともに回転可能な基板保持部と、前記基板保持部を回転させる回転機構と、基板に処理液を供給する処理液供給機構と、前記基板保持部の外側に、この基板保持部に保持された基板を囲繞するように設けられ、前記基板保持部とともに回転し、回転する基板から振り切られた処理液を受ける壁部を有する回転カップと、前記回転カップの外側に、この回転カップ及び前記基板保持部を囲繞するように設けられ、底壁部と、この底壁部の外周に沿って形成された環状外壁部と、この環状外壁部よりも内側に形成された環状内壁部と、を備えた排気カップと、前記排気カップの内側に、前記回転カップ及び前記基板保持部を囲繞し、かつ、前記排気カップの底壁部との間に下部環状空間を形成し、前記排気カップの環状外壁部との間に外側環状空間を形成し、前記排気カップの環状内壁部との間に内側環状空間を形成するように設けられ、前記回転する基板から振り切られた処理液を収容する環状の液収容部を備えた排液カップと、前記下部環状空間に接続された排気機構と、前記下部環状空間と前記外側環状空間との間に配置された気流調整部材と、を備え、記下部環状空間の上部に対応した前記排液カップの部分に、前記基板保持部に対向する少なくとも1つの通気孔が形成されている。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、基板の上方におけるミスト発生を抑制できる基板処理装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。ここでは、本発明を半導体ウエハ(以下、単にウエハと記す)の表裏面洗浄を行う液処理装置に適用した場合について示す。
【0011】
図1は本発明の一実施形態に係る基板処理装置の概略構成を示す断面図、図2はその平面図、図3は図1の基板処理装置の処理液供給機構およびリンス液供給機構を示す概略図、図4は図1の基板処理装置の排気・排液部を拡大して示す断面図である。
【0012】
図1及び図2に示すように、基板処理装置100は、図示しない液処理システムに複数台組み込まれており、ベースプレート1と、被処理基板であるウエハWを回転可能に保持するウエハ保持部2と、このウエハ保持部2を回転させる回転モータ3と、ウエハ保持部2に保持されたウエハWを囲繞するように設けられ、ウエハ保持部2とともに回転する回転カップ4と、ウエハWの表面に処理液を供給する表面側液供給ノズル5と、ウエハWの裏面に処理液を供給する裏面側液供給ノズル6と、回転カップ4の周縁部に設けられた排気・排液部7とを有している。また、排気・排液部7の周囲およびウエハWの上方を覆うようにケーシング8が設けられている。ケーシング8の上部には液処理システムのファン・フィルター・ユニット(FFU)からの気流を側部に設けられた導入口9aを介して導入する気流導入部9が設けられており、ウエハ保持部2に保持されたウエハWに清浄空気のダウンフローが供給されるようになっている。
【0013】
ウエハ保持部2は、水平に設けられた円板状をなす回転プレート11と、その裏面の中心部に接続され、下方鉛直に延びる円筒状の回転軸12とを有している。回転プレート11の中心部には、回転軸12内の孔12aに連通する円形の孔11aが形成されている。そして、裏面側液供給ノズル6を備えた昇降部材13が孔12aおよび孔11a内を昇降可能に設けられている。回転プレート11には、ウエハWの外縁を保持する保持部材14が設けられており、図2に示すように、これらは3つ等間隔で配置されている。この保持部材14は、ウエハWが回転プレート11から少し浮いた状態で水平にウエハWを保持するようになっている。この保持部材14はウエハWの端面を保持可能な保持部14aと、保持部14aから回転プレート裏面側中心方向に延材する着脱部14bと、保持部14aを垂直面内で回動させる回転軸14cとを有し、着脱部14bの先端部を図示しないシリンダ機構により上方に押し上げることにより、保持部14aが外側に回動してウエハWの保持が解除される。保持部材14は、図示しないバネ部材により保持部14aがウエハWを保持する方向に付勢されており、シリンダ機構を作動させない場合には保持部材14によりウエハWが保持された状態となる。
【0014】
回転軸12は、2つのベアリング15aを有する軸受け部材15を介してベースプレート1に回転可能に支持されている。回転軸12の下端部にはプーリー16が嵌め込まれており、プーリー16にはベルト17が巻き掛けられている。ベルト17はモータ3の軸に取り付けられたプーリー18にも巻き掛けられている。そして、モータ3を回転させることによりプーリー18、ベルト17およびプーリー16を介して回転軸12を回転するようになっている。
【0015】
表面側液供給ノズル5は、ノズル保持部材22に保持された状態でノズルアーム22aの先端に取り付けられており、後述する液供給機構85からノズルアーム22a内に設けられた流路を通って処理液等が供給され、その内部に設けられたノズル孔5aを介して処理液を吐出するようになっている。吐出する処理液としては、ウエハ洗浄用の薬液、純水等のリンス液等を挙げることができる。また、ノズル保持部材22には、IPAに代表される乾燥溶媒を吐出する乾燥溶媒ノズル21も取り付けられており、その内部に設けられたノズル孔21aを介してIPA等の乾燥溶媒を吐出するようになっている。
【0016】
図2にも示すように、ノズルアーム22aは駆動機構81により軸23を中心として回動可能に設けられており、ノズルアーム22aを回動させることにより、表面側液供給ノズル5がウエハW中心上および外周上のウエハ洗浄位置と、ウエハWの外方の退避位置とを取り得るようになっている。また、ノズルアーム22aはシリンダ機構等の昇降機構82により上下動可能となっている。
【0017】
図3に示すように、ノズルアーム22a内には流路83aが設けられており、表面側液供給ノズル5のノズル孔5aは流路83aの一端に繋がっている。また、流路83aの他端には配管84aが接続されている。一方、ノズルアーム22a内には流路83bも設けられており、乾燥溶媒ノズル21のノズル孔21aは流路83bの一端に繋がっている。また、流路83bの他端には配管84bが接続されている。そして、配管84a、84bには、液供給機構85から所定の処理液が供給される。液供給機構85は、洗浄処理のための薬液として、例えば酸薬液である希フッ酸(DHF)を供給するDHF供給源86、アルカリ薬液であるアンモニア過水(SC1)を供給するSC1供給源87、リンス液として例えば純水(DIW)を供給するDIW供給源88、乾燥溶媒として例えばIPAを供給するIPA供給源95を有している。DHF供給源86、SC1供給源87、DIW供給源88からは配管89,90,91が延びており、これら配管89,90,91が配管84aに開閉バルブ92,93,94を介して接続されている。したがって、開閉バルブ92,93,94を操作することにより、アンモニア過水(SC1)、希フッ酸(DHF)、純水(DIW)を選択的に表面側液供給ノズル5に供給可能となっている。この場合に、DIW供給源88から延びる配管91が配管84aの最も上流側に接続されている。一方、IPA供給源95には流路83bから延びる配管84bが直接接続されており、配管84bには開閉バルブ96が設けられている。したがって、開閉バルブ96を開くことにより、IPAを乾燥溶媒ノズル21に供給可能となっている。
【0018】
すなわち、液供給機構85は、洗浄のための処理液であるアンモニア過水(SC1)および希フッ酸(DHF)を供給するための処理液供給機構としての機能、リンス液としての純水(DIW)を供給するためのリンス液供給機構としての機能、および乾燥溶媒としてのIPAを供給する乾燥溶媒供給機構としての機能を果たすようになっている。
【0019】
裏面側液供給ノズル6は昇降部材13の中心に設けられており、その内部に長手方向に沿って延びるノズル孔6aが形成されている。そして、図示しない処理液供給機構によりノズル孔6aの下端から所定の処理液が供給され、その処理液がノズル孔6aを介してウエハWの裏面に吐出されるようになっている。吐出する液としては、上記表面側液供給ノズル5と同様、洗浄用の処理液、純水等のリンス液を挙げることができる。裏面側液供給ノズル6へ処理液を供給する液供給機構は、IPAの供給系を除いて上記液供給機構85と同様に構成することができる。昇降部材13の上端部にはウエハWを支持するウエハ支持台24を有している。ウエハ支持台24の上面には、ウエハWを支持するための3本のウエハ支持ピン25(2本のみ図示)を有している。そして、裏面側液供給ノズル6の下端には接続部材26を介してシリンダ機構27が接続されており、このシリンダ機構27によって昇降部材13を昇降させることによりウエハWを昇降させてウエハWのローディングおよびアンローディングが行われる。
【0020】
回転カップ4は、回転プレート11の端部上方から内側斜め上方に延びる円環状の庇部31と、庇部31の外端部から垂直下方へ延びる筒状の壁部32を有している。そして、図4の拡大図に示すように、壁部32と回転プレート11との間には円環状の隙間33が形成されており、この隙間33からウエハWが回転プレート11および回転カップ4とともに回転されて飛散した処理液やリンス液が下方に導かれる。
【0021】
庇部31と回転プレート11との間にはウエハWとほぼ同じ高さの位置に板状をなす回転ガイド35が介在されている。図5に示すように、庇部31と回転ガイド35との間、回転ガイド35と回転プレート11との間には、それぞれ処理液やリンス液を通過させる複数の開口36および37を形成するための複数のスペーサ部材38および39が周方向に沿って配置されている。庇部31と、回転ガイド35と、回転プレート11と、これらの間のスペーサ部材38,39とは、ねじ40によりねじ止めされている。
【0022】
回転ガイド35は、その表裏面がウエハWの表裏面と略連続するように設けられている。そして、モータ3によりウエハ保持部2および回転カップ4をウエハWとともに回転させて表面側液供給ノズル5からウエハW表面の中心に処理液を供給した際には、処理液は遠心力でウエハWの表面を広がり、ウエハWの周縁から振り切られる。このウエハW表面から振り切られた処理液は、回転ガイド35の表面に案内されて開口36から外方へ排出され、壁部32によって下方へ導かれる。また、同様にウエハ保持部2および回転カップ4をウエハWとともに回転させて裏面側液供給ノズル6からウエハWの裏面の中心に処理液を供給した際には、処理液は遠心力でウエハWの裏面を広がり、ウエハWの周縁から振り切られる。このウエハW裏面から振り切られた処理液は、略連続して設けられた回転ガイド35の裏面に案内されて開口37から外方へ排出され、壁部32によって下方へ導かれる。このときスペーサ部材38、39および壁部32に到達した処理液には遠心力が作用しているから、これらがミストとなって内側へ戻ることが阻止される。
【0023】
また、回転ガイド35はこのようにウエハW表面および裏面から振り切られた処理液を案内するので、ウエハWの周縁から脱離した処理液が乱流化し難く、処理液をミスト化させずに回転カップ4外へ導くことができる。なお、図2に示すように、回転ガイド35には、ウエハ保持部材14に対応する位置に、ウエハ保持部材14を避けるように切り欠き部41が設けられている。
【0024】
排気・排液部7は、主に回転プレート11と回転カップ4に囲繞された空間から排出される気体および液体を回収するためのものであり、図4の拡大図にも示すように、回転カップ4から排出された処理液やリンス液を受ける環状をなす排液カップ51と、排液カップ51を収容するように排液カップ51と同心状の環状をなす排気カップ52とを備えている。
【0025】
図1および図4に示すように、排液カップ51は、回転カップ4の外側に、壁部32に近接して垂直に設けられた筒状をなす外周壁53と、外周壁53の下端部から内側に向かって延びる内側壁54とを有している。内側壁54の内周には内周壁54aが垂直に形成されている。これら外周壁53および内側壁54によって規定される環状の空間が回転カップ4から排出された処理液やリンス液を収容する液収容部56となっている。また、外周壁53の上端には、排液カップ51からの処理液の飛び出しを防止するために回転カップ4の上方部分に張り出した張り出し部53aが設けられている。液収容部56の保持部材14の外側に対応する位置には、内側壁54から回転プレート11の下面近傍まで延び、排液カップ51の周方向に沿って環状に設けられた仕切り壁55を有している。仕切り壁55は、回転プレート11が回転した際に、保持部材14の回転プレート11の下方に突出した部分によって形成された気流がミストを随伴してウエハW側に到達することを阻止する役割を有している。
【0026】
排液カップ51の内側壁54の最外側部分には液収容部56から排液する1箇所の排液口60が設けられており、排液口60には排液管61が接続されている(図1参照)。排液管61には排液切替部111が接続されており、排液切替部111からは、酸排液を排出するための酸排出管112a、アルカリ排液を排出するためのアルカリ排出管112b、酸を回収するための酸回収管112c、アルカリを回収するためのアルカリ回収管112dが垂直下方に延びている。また、酸排出管112a、アルカリ排出管112b、酸回収管112c、アルカリ回収管112dには、それぞれバルブ113a,113b,113c,113dが設けられている。これにより、処理液の種類に応じて分別可能となっている。具体的には、希フッ酸(DHF)洗浄の際には排液切替部111を酸回収管112cに切り替えて希フッ酸(DHF)排液を回収し、希フッ酸(DHF)洗浄の後のリンス処理の際には排液切替部111を酸排出管112aに切り替えて希フッ酸(DHF)にリンス液が混合した排液を廃棄し、アンモニア過水(SC1)洗浄の際には排液切替部111をアルカリ回収管112dに切り替えてアンモニア過水(SC1)排液を回収し、アンモニア過水(SC1)洗浄後のリンス処理の際には排液切替部111をアルカリ排出管112bに切り替えてアンモニア過水(SC1)にリンス液が混合した排液を廃棄する。なお、排液口60は複数箇所設けられていてもよい。
【0027】
排液カップ51内では、ウエハW、回転プレート11および回転カップ4の回転等により、回転カップ4から排出されて貯留された処理液やリンス液の旋回流が形成され、排液口60および排液管61を介して排出される。この旋回流は、ウエハWの回転プレート11の回転のみによっても生じるが、回転カップ4が回転する際に排液カップ51内に挿入された壁部32の下端部分によって形成される旋回気流に排液カップ51内の処理液やリンス液が随伴することにより、ウエハWと回転プレート11のみで生じる旋回流よりも高速の旋回流を形成することができ、排液口60から液を排出する速度を高いものとすることができる。
【0028】
排気カップ52は、排液カップ51の外周壁53の外側部分に垂直に設けられた外側壁(環状外壁部)64と、保持部材14の内側部分に垂直にかつその上端が回転プレート11に近接するように設けられた内側壁(環状内壁部)65と、ベースプレート1上に設けられた底壁(底壁部)66と、外側壁64から上方へ湾曲するとともに、回転カップ4の上方を覆うように設けられた上側壁67とを有している。そして、排気カップ52は、その上側壁67と回転カップ4の庇部31との間の環状をなす導入口68から回転カップ4内およびその周囲の主にガス成分を取り込んで排気するようになっている。また、排気カップ52の下部には、図1および図4に示すように、排気口70が設けられており、排気口70には排気管71が接続されている。排気管71の下流側には図示しない吸引機構が設けられており、回転カップ4の周囲を排気することが可能となっている。
【0029】
排液カップ51の外側壁である外周壁53と排気カップ52の外側壁64との間には環状をなす外側環状空間99aが形成されており、また排液カップ51の底部と排気カップ52の底部との間の排気口70の外側部分には、周方向に沿って多数の通気孔98が形成された環状の気流調整部材97が設けられている。そして、外側環状空間99aと気流調整部材97は排気カップ52に取り入れられ、排気口70に至る気流を調整して均一に排気する機能を有している。すなわち、このように環状の空間である外側環状空間99aを通って気流を全周に亘って均一に下方へ導き、多数の通気孔98を形成した気流調整部材97を設けて圧力損失つまり気流の抵抗を与えるとともに気流を分散することにより、排気口70からの距離によらず比較的均一に排気を行うことができる。
【0030】
また、排液カップ51の内周壁54aと排気カップ52の内側壁65との間には環状をなす内側環状空間99bが形成されており、さらに、排液カップ51の内周側には排気カップ52との間の隙間77が形成されている。そして、導入口68から取り入れられた気体成分は、外側環状空間99aのみならず、排液カップ51の液収容部56にも多少流れ、その気流は液収容部56から内側環状空間99bを通って全周に亘って均一に下方に導かれ、隙間77を通って排気口70から比較的均一に排気を行うことができる。
【0031】
このように、排液カップ51からの排液と排気カップ52からの排気が独立して行われるようになっているので、排液と排気を分離した状態で導くことが可能となる。また、排液カップ51からミストが漏出しても排気カップ52がその周囲を囲繞しているので速やかに排気口70を介して排出され、ミストが外部に漏出することが確実に防止される。
【0032】
基板処理装置100はマイクロプロセッサ(コンピュータ)からなるプロセスコントローラ121を有しており、基板処理装置100の各構成部がこのプロセスコントローラ121に接続されて制御される構成となっている。また、プロセスコントローラ121には、工程管理者が基板処理装置100の各構成部を管理するためにコマンドの入力操作などを行うキーボードや、基板処理装置100の各構成部の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等からなるユーザーインターフェース122が接続されている。さらに、プロセスコントローラ121には、基板処理装置100で実行される各種処理をプロセスコントローラ121の制御にて実現するための制御プログラムや、処理条件に応じて液処理装置100の各構成部に所定の処理を実行させるための制御プログラムすなわちレシピが格納された記憶部123が接続されている。レシピは記憶部123の中の記憶媒体に記憶されている。記憶媒体は、ハードディスクや半導体メモリであってもよいし、CDROM、DVD、フラッシュメモリ等の可搬性のものであってもよい。また、他の装置から、例えば専用回線を介してレシピを適宜伝送させるようにしてもよい。
【0033】
そして、必要に応じて、ユーザーインターフェース122からの指示等にて任意のレシピを記憶部123から呼び出してプロセスコントローラ121に実行させることで、プロセスコントローラ121の制御下で、基板処理装置100での所望の処理が行われる。
【0034】
次に、以上のように構成される基板処理装置100の動作について図6〜8に基づいて説明する。本実施形態における以下の洗浄処理動作は、記憶部123に格納されたレシピに基づいてプロセスコントローラ121によって制御される。
【0035】
処理液(薬液)を用いた洗浄処理においては、まず、図6の(a)に示すように、昇降部材13を上昇させた状態で、図示しない搬送アームからウエハ支持台24の支持ピン25上にウエハWを受け渡す。次いで、図6の(b)に示すように、昇降部材13を、ウエハWを保持部材14により保持可能な位置まで下降させ、保持部材14によりウエハWをチャッキングする。そして、図6の(c)に示すように、表面側液供給ノズル5を退避位置からウエハ洗浄位置に移動させる。
【0036】
この状態で、図6の(d)に示すように、モータ3によりウエハWを保持部材2および回転カップ4とともに回転させながら、表面側液供給ノズル5および裏面側液供給ノズル6から所定の処理液を供給してウエハWの洗浄処理を行う。
【0037】
このウエハ洗浄処理においては、ウエハWが回転された状態で、表面側液供給ノズル5および裏面側液供給ノズル6からウエハWの表面および裏面の中央に処理液が供給される。これにより、処理液が遠心力によりウエハWの外側に広がり、その過程で洗浄処理がなされる。そして、このように洗浄処理に供された処理液は、ウエハWの周縁から振り切られる。この洗浄処理の際のウエハの回転数は、200〜700rpmの範囲であることが好ましい。また、処理液の供給量は、0.5〜1.5L/minであることが好ましい。
【0038】
このウエハ洗浄処理においては、ウエハWの外側を囲繞するように設けられているカップがウエハWとともに回転する回転カップ4であるから、ウエハWから振り切られた処理液が回転カップ4に当たった際に処理液に遠心力が作用し、固定カップの場合のような飛び散り(ミスト化)は発生し難い。そして回転カップ4に達した処理液は下方に導かれ、隙間33から排液カップ51における液収容部56の主カップ部56aに排出される。そして、このようにして排液カップ51に受け止められた処理液は、その中を旋回しながら排液口60から排液管61を通って排出されるが、回転カップ4の回転にともなって壁部32より排液カップ51内に形成される旋回気流が形成され、排液カップ51内の処理液がこの旋回気流に随伴することにより、より高速な旋回流となって排液口60から排液管61を通って排出される。このように高速な旋回流が形成されるため処理液を短時間で排液口60から排液管61を通って排出させることができる。
【0039】
また、排気カップ52には、その上側壁67と回転カップ4の庇部31との間の環状をなす導入口68から回転カップ4内およびその周囲の主にガス成分が取り込まれ排気口70から排気管71を通って排気される。
【0040】
このようにして処理液による処理が行われた後、引き続きリンス処理が行われる。このリンス処理においては、従前の処理液の供給を停止した後、表面側液供給ノズル5および裏面側液供給ノズル6からウエハWの表裏面にリンス液として純水を供給し、処理液による洗浄処理の場合と同様に、モータ3によりウエハWを保持部材2および回転カップ4とともに回転させながら、表面側液供給ノズル5および裏面側液供給ノズル6からウエハWの表面および裏面の中央にリンス液として純水が供給され、遠心力によりウエハWの外方に広がる過程でウエハWのリンス処理がなされる。そして、このようにリンス処理に供された純水は、ウエハWの周縁から振り切られる。
【0041】
このようにして振り切られたリンス液としての純水は、処理液の場合と同様、回転カップ4の隙間33および保持部14aを挿入する穴の部分から排液カップ51における液収容部56に排出され、その中を旋回しながら排液口60から排液管61を通って排出されるが、回転カップ4の壁部32によって排液カップ51内に形成される旋回気流が形成され、排液カップ51内のリンス液としての純水がこの旋回気流に随伴することにより、より高速な旋回流となって排液口60から排液管61を通って短時間で排出される。
【0042】
このように、環状の排液カップ51から短時間で処理液やリンス液を排出することができることから、複数種の処理液を使用する場合に、液置換速度を高めることができ、また、処理液を切り替える際に2種類の処理液が混ざった状態で排出されてしまうことを防止することができる。
【0043】
リンス液としての純水によりウエハWのリンス処理を行う際には、上記のようにウエハWから振り切られた純水が排液カップ51を旋回するので、排液カップ51内の洗浄の機能をもたせることができる。
【0044】
さて、実施形態に係る基板処理装置100は、上述のように、様々なミスト抑制対策が施されているが、本実施形態では、さらに、ウエハWの外周部の気流に着目した。
【0045】
図7は、排液カップ51及び排気カップ52の近傍を拡大して示した断面図である。
【0046】
図7に示すように、ウエハW(図7では図示せず)を水平に保持し、ウエハWとともに回転する基板保持部2の回転ステージ11があり、回転ステージ11の外側には、回転カップ4が、図示せぬウエハWを囲繞するように設けられている。回転カップ4は、回転ステージ11とともに回転し、ウエハWから振り切られた処理液を受ける壁部32を有する。回転カップ4の外側には、排気カップ52が、回転カップ4及び回転ステージ11を囲繞するように設けられている。排気カップ52は、底壁部66と、この底壁部66の外周に沿って形成された環状外壁部64と、この環状外壁部64よりも内側に形成された環状内壁部65と、を備えている。排気カップ52の内側には、排液カップ51が、回転カップ4及び回転ステージ11を囲繞し、かつ、排気カップ52の底壁部66との間に下部環状空間99cを形成し、排気カップ52の環状外壁部64との間に外側環状空間99aを形成し、排気カップ52の環状内壁部65との間に内側環状空間99bを形成するように設けられている。排液カップ51は、回転カップ4の壁部32の下に、回転するウエハWから振り切られた処理液を収容する環状の液収容部56を備えている。下部環状空間99cには排気口70が形成され、この排気口70には排気管71が接続されている。排気管71には、排気機構200が接続される。下部環状空間99cと外側環状空間99aとの間には、気流調整部材97が配置されている。気流調整部材97は、下部環状空間99cと外側環状空間99aとを連通させる複数の通気孔98を備えている。
【0047】
このような排液カップ51及び排気カップ52を備えた処理装置100は、排気機構200を用いて排気する際に、排気カップ52への流れと、排液カップ51への流れとの2つの流れが発生する。これらの流れを図8に示す。
【0048】
図8に示すように、ウエハWの上方には、排液カップへの流れAが形成され、この流れAの上に、排気カップへの流れBが形成される。
【0049】
これら2つの流れA、Bには強弱があり、排気カップへの流れBの方が、排液カップへの流れAよりも強い。排液カップ51は、回転カップ4や回転ステージ11の下方に、仕切り壁55や窪んだ形の液収容部56を有しており、ほぼ直線状の外側環状空間99aよりも複雑な形である。このため、排気経路中の空気抵抗が大きくなって、排液カップへの流れAは、排気カップへの流れBよりも弱まってしまう、と考えられる。図9aに、ウエハW上の気流の流れを示す。
【0050】
図9aに示すように、ウエハWの外周部の上面では気流A(排液カップへの流れ)が弱く、気流B(排気カップへの流れ)が強い。流速にたとえるなら、気流Aは遅く、気流Bは速い。気流Bが速くなると、図9bに示すように、層流を維持することができなくなり、気流Bが乱れだす。気流Bが乱れると、図9cに示すように、ミストを発生させてしまう。しかも、ウエハWに近いほうを流れる気流Aは弱いから、ミストを充分に排気することは困難である。気流Aを強くするために、排気機構の排気力を上げることも可能であるが、気流Bがますます強くなってしまって、気流Bはさらに乱れる。結果として、図9dに示すように、ウエハWの外周部の上面には、パーティクルが残ってしまう。ウエハW上に、パーティクルが残ることは、洗浄効果が弱まることを意味する。
【0051】
そこで、本実施形態では、排液カップ51及び排気カップ52に対して以下に説明するような工夫を施した。
【0052】
(第1例)
図10は、第1例に係る処理装置100aを示す断面図である。
【0053】
図10に示すように、第1例に係る処理装置100aが、図7に示した処理装置100と異なるところは、排液カップと排気カップとを一体化し、排気及び排液カップ201としたところである。これにより、図7に示した処理装置100から、外側環状空間99aを排除することができ、外側環状空間99aを介した排気経路が無くなる。これ以外のところは、図7に示した処理装置100と同じである。
【0054】
第1例に係る処理装置100aは、排液カップと排気カップとを一体化したので、排気機構200を用いて排気する際の流れは、排気及び排液カップ201への流れのみとなる。つまり、図8に示したような強弱がついた2種類の流れA、Bは発生しない。よって、例えば、図9a〜図9dに示したようなメカニズムでウエハWの上方に発生するミストを抑制することができる。
【0055】
このように第1例に係る処理装置100aによれば、ウエハWの上方に発生するミストを抑制できるので、例えば、ウエハWの洗浄後に、ウエハWの外周部の上面にパーティクル残りが生じ難くなり、洗浄効果を高めることができる。
【0056】
なお、第1例においては、排気口70を下部環状空間99cに形成するようしたが、例えば、下部環状空間99cも埋めてしまい、排気口70を内側環状空間99bに形成するようにしても良い。この場合には、内側環状空間99bが排気機構200により排気される。
【0057】
(第2例)
図11は、第2例に係る処理装置100bを示す断面図である。
【0058】
図11に示すように、第2例に係る処理装置100bが、図10に示した処理装置100aと異なるところは、下部環状空間99cの上部に、ウエハ保持部2の回転ステージ11に対向する少なくとも1つの通気孔202を形成したことである。これ以外のところは、図10に示した処理装置100bと同じである。
【0059】
第2例に係る処理装置100bは、処理装置100aと同様に、排液カップと排気カップとを一体化しているので、ウエハWの上方にミストが発生することを抑制できる。
【0060】
さらに、第2例に係る処理装置100bは、下部環状空間99cの上部に、通気孔202を形成したので、第1例に係る処理装置100aに比較して、排気管から回転ステージ11の下方に至る排気経路を大きくすることができる。排気経路が大きくなることで、ウエハWの表面、又は表面及び裏面を、より強く排気できるので、洗浄効果をさらに向上させることができる。
【0061】
また、通気孔202を複数設けるときには、図12の平面図に示すように、複数の通気202を、下部環状空間99cの上部に環状に並べて形成すると、気流の流れを均一にし易いので良い。
【0062】
(第3例)
図13は、第3例に係る処理装置100cを示す断面図である。
【0063】
図13に示すように、第3例に係る処理装置100cが、図7に示した処理装置100と異なるところは、第2例に係る処理装置100bと同様に、少なくとも1つの通気孔202を、下部環状空間99cの上部に形成したことである。通気孔202を複数設けるときには、第2例と同様に、複数の通気202を、下部環状空間99cの上部に、環状に並べて形成すると良い。これ以外は、図7に示した処理装置100と同じである。
【0064】
第3例に係る処理装置100cは、排気カップ52を備え、かつ、外側環状空間99aが形成されているから、図7に示した処理装置100と同様に、図8に示したような排液カップ51への流れAと、排気カップ52への流れBとの2つの流れが生ずる。
【0065】
しかしながら、下部環状空間99cの上部に、通気孔202を形成するようにしたので、図7に示した処理装置100に比較して、排気管から回転ステージ11の下方に至る排気経路を大きくできる。この結果、排液カップ51への流れAを強くでき、かつ、排気カップ52への流れBを弱くすることができる。このため、流れAと流れBとの強弱差を、図7に示した処理装置100に比較して小さくすることができ、最終的には、流れAの強さと流れBの強さとを互いに等しくすることも可能である。
【0066】
よって、流れA、Bの双方が存在していても、例えば、図9a〜図9dに示したようなメカニズム発生するミストを減らすことができ、ウエハW上へのパーティクル残りを抑制することができる。
【0067】
このように第3例に係る処理装置100cにおいても、洗浄効果を高めることができる。
【0068】
さらに、第3例に係る処理装置100cは、以下のような使い方もできる。
【0069】
図14は、処理装置100cの使い方の一例を示す断面図である。本例は、気流調整部材97が交換可能であることに着目した例である。
【0070】
図14に示すように、下部環状空間99cと外側環状空間99aとの間には、気流調整部材97aが形成されている。図13に示した気流調整部材97は、下部環状空間99cと外側環状空間99bとを連通させる複数の通気孔98を備えていた。しかし、本例の気流調整部材97aは、通気孔98を備えていない。通気孔98を備えていない気流調整部材97aを使うことで、下部環状空間99cと外側環状空間99aとを遮断することができる。下部環状空間99cには排気機構200が接続されているから、下部環状空間99cと外側環状空間99aとが遮断されれば、図8に示した排気カップ52への流れBを無くすことができ、気流は、排液カップ51への流れAのみとなる。
【0071】
このように気流調整部材97aを用いて、下部環状空間99cと外側環状空間99aとを遮断することで、第1例に係る処理装置100bと同様に、気流を、排液カップ51への流れAのみとすることができ、ウエハWの上方へのミスト発生を抑制することができる。
【0072】
また、気流調整部材97、又は97aが交換可能であるときには、通気孔有り気流調整部材97から通気孔無し気流調整部材97aへ、反対に、97aから97へ交換することで、下部環状空間99cと外側環状空間99aとを連通させること、及び下部環状空間99cと外側環状空間99aとを遮断することのいずれかを選択するようにしても良い。
【0073】
図15は、処理装置100cの使い方の他例を示す断面図である。本例は、上側壁67が交換可能であることに着目した例である。
【0074】
図15に示すように、環状外壁部64上には、上側壁67が形成されている。この上側壁67は排液カップ51の上方を覆うように設けられており、かつ、本例では上側壁67が外側環状空間99aの上に被さり、外側環状空間99aを閉塞している。
【0075】
このように、上側壁67を利用して、外側環状空間99aを閉塞することでも、第1例に係る処理装置100aと同様に、気流を、排液カップ51への流れAのみとすることができ、ウエハWの上方へのミスト発生を抑制することができる。
【0076】
また、通気孔無し気流調整部材97aを用いたとき、外側環状空間99aが外界に曝されていると、外側環状空間99aが汚れてしまう可能性がある。このような汚れを避けたい場合には、本例のように、上側壁67を利用して外側環状空間99aを閉塞すると良い。
【0077】
以上、この発明を実施形態により説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、ウエハの表裏面洗浄を行う洗浄処理装置を例にとって示したが、本発明はこれに限らず、表面のみまたは裏面のみの洗浄処理を行う洗浄処理装置であってもよく、また、洗浄処理に限らず、他の液処理であっても構わない。さらに、上記実施形態では被処理基板として半導体ウエハを用いた場合について示したが、液晶表示装置(LCD)用のガラス基板に代表されるフラットパネルディスプレイ(FPD)用の基板等、他の基板に適用可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の一実施形態に係る基板処理装置の概略構成を示す断面図
【図2】本発明の一実施形態に係る基板処理装置を一部切り欠いて示す概略平面図
【図3】図1の基板処理装置の液供給機構を示す概略図
【図4】図1の基板処理装置の排気・排液部を拡大して示す断面図
【図5】図1の基板処理装置の回転カップおよび案内部材の取り付け状態を説明するための図
【図6】本発明の一実施形態に係る基板処理装置の洗浄処理の動作を説明するための図
【図7】排液カップ及び排気カップの近傍を拡大して示した断面図
【図8】気流の流れを示す図
【図9】図9a乃至図9dはミスト発生からパーティクル残りのメカニズムを示す図
【図10】第1例に係る処理装置100aを示す断面図
【図11】第2例に係る処理装置100bを示す断面図
【図12】排気および排液カップの平面図
【図13】第3例に係る処理装置100cを示す断面図
【図14】処理装置100cの使い方の一例を示す断面図
【図15】処理装置100cの使い方の他例を示す断面図
【符号の説明】
【0079】
1…ベースプレート、2…ウエハ保持部、3…回転モータ、4…回転カップ、5…表面側液供給ノズル、6…裏面側液供給ノズル、7…排気・排液部、8…ケーシング、9…気流導入部、11…回転プレート、12…回転軸、13…昇降部材、14…保持部材、22…ノズル保持部材、22a…ノズルアーム、31…庇部、32…外側壁部、33…隙間、35…案内部材、51…排液カップ、52…排気カップ、53…外周壁、54…内側壁、56…液収容部、85…液供給機構(処理液供給機構、リンス液供給機構)、64…外側壁(環状外壁部)、65…内側壁(環状内壁部)、66…底壁(底壁部)、67…上側壁、99a…外側環状空間、99b…内側環状空間、99c…下部環状空間、97、97a…気流調整部材、98…通気孔、100…基板処理装置、121…プロセスコントローラ、122…ユーザーインターフェース、123…記憶部、200…排気機構、201…排液及び排液カップ、202…通気孔、W…ウエハ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を水平に保持し、基板とともに回転可能な基板保持部と、
前記基板保持部を回転させる回転機構と、
基板に処理液を供給する処理液供給機構と、
前記基板保持部の外側に、この基板保持部に保持された基板を囲繞するように設けられ、前記基板保持部とともに回転し、回転する基板から振り切られた処理液を受ける壁部を有する回転カップと、
前記回転カップの外側に、この回転カップ及び前記基板保持部を囲繞するように設けられ、前記回転する基板から振り切られた処理液を収容する環状の液収容部と、この環状の液収容部よりも内側に設けられた内側環状空間とを備えた排気及び排液カップと、
前記排気及び排液カップの内側環状空間に接続された排気機構と、
を具備することを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記排気及び排液カップが、前記液収容部の下方に設けられ、前記内側環状空間の全周に連通された下部環状空間を、さらに備え、
前記排気機構が、前記下部環状空間を介して前記内側環状空間に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記下部環状空間の上部に、前記基板保持部に対向する少なくとも1つの通気孔が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記通気孔が複数あり、これら複数の通気孔が、前記下部環状空間の上部に、環状に並んで形成されていることを特徴とする請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
基板を水平に保持し、基板とともに回転可能な基板保持部と、
前記基板保持部を回転させる回転機構と、
基板に処理液を供給する処理液供給機構と、
前記基板保持部の外側に、この基板保持部に保持された基板を囲繞するように設けられ、前記基板保持部とともに回転し、回転する基板から振り切られた処理液を受ける壁部を有する回転カップと、
前記回転カップの外側に、この回転カップ及び前記基板保持部を囲繞するように設けられ、底壁部と、この底壁部の外周に沿って形成された環状外壁部と、この環状外壁部よりも内側に形成された環状内壁部と、を備えた排気カップと、
前記排気カップの内側に、前記回転カップ及び前記基板保持部を囲繞し、かつ、前記排気カップの底壁部との間に下部環状空間を形成し、前記排気カップの環状外壁部との間に外側環状空間を形成し、前記排気カップの環状内壁部との間に内側環状空間を形成するように設けられ、前記回転する基板から振り切られた処理液を収容する環状の液収容部を備えた排液カップと、
前記下部環状空間に接続された排気機構と、
前記下部環状空間と前記外側環状空間との間に配置された気流調整部材と、を備え、
前記下部環状空間の上部に対応した前記排液カップの部分に、前記基板保持部に対向する少なくとも1つの通気孔が形成されていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
前記通気孔が複数あり、これら複数の通気孔が、前記下部環状空間の上部に対応した前記排液カップの部分に、環状に並んで形成されていることを特徴とする請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記気流調整部材が、前記下部環状空間と前記外側環状空間とを連通させる複数の通気孔を備えることを特徴とする請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記気流調整部材が、前記下部環状空間と前記外側環状空間とを遮断することを特徴とする請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記気流調整部材が交換可能であり、この気流調整部材を交換することで、前記下部環状空間と前記外側環状空間とを連通させること、及び前記下部環状空間と前記外側環状空間とを遮断することのいずれかを選択可能としたことを特徴とする請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記環状外壁部上に、前記排液カップの上方を覆うように設けられた上側壁を有し、
前記上側壁が、前記外側環状空間を閉塞することを特徴とする請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項1】
基板を水平に保持し、基板とともに回転可能な基板保持部と、
前記基板保持部を回転させる回転機構と、
基板に処理液を供給する処理液供給機構と、
前記基板保持部の外側に、この基板保持部に保持された基板を囲繞するように設けられ、前記基板保持部とともに回転し、回転する基板から振り切られた処理液を受ける壁部を有する回転カップと、
前記回転カップの外側に、この回転カップ及び前記基板保持部を囲繞するように設けられ、前記回転する基板から振り切られた処理液を収容する環状の液収容部と、この環状の液収容部よりも内側に設けられた内側環状空間とを備えた排気及び排液カップと、
前記排気及び排液カップの内側環状空間に接続された排気機構と、
を具備することを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記排気及び排液カップが、前記液収容部の下方に設けられ、前記内側環状空間の全周に連通された下部環状空間を、さらに備え、
前記排気機構が、前記下部環状空間を介して前記内側環状空間に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記下部環状空間の上部に、前記基板保持部に対向する少なくとも1つの通気孔が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記通気孔が複数あり、これら複数の通気孔が、前記下部環状空間の上部に、環状に並んで形成されていることを特徴とする請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
基板を水平に保持し、基板とともに回転可能な基板保持部と、
前記基板保持部を回転させる回転機構と、
基板に処理液を供給する処理液供給機構と、
前記基板保持部の外側に、この基板保持部に保持された基板を囲繞するように設けられ、前記基板保持部とともに回転し、回転する基板から振り切られた処理液を受ける壁部を有する回転カップと、
前記回転カップの外側に、この回転カップ及び前記基板保持部を囲繞するように設けられ、底壁部と、この底壁部の外周に沿って形成された環状外壁部と、この環状外壁部よりも内側に形成された環状内壁部と、を備えた排気カップと、
前記排気カップの内側に、前記回転カップ及び前記基板保持部を囲繞し、かつ、前記排気カップの底壁部との間に下部環状空間を形成し、前記排気カップの環状外壁部との間に外側環状空間を形成し、前記排気カップの環状内壁部との間に内側環状空間を形成するように設けられ、前記回転する基板から振り切られた処理液を収容する環状の液収容部を備えた排液カップと、
前記下部環状空間に接続された排気機構と、
前記下部環状空間と前記外側環状空間との間に配置された気流調整部材と、を備え、
前記下部環状空間の上部に対応した前記排液カップの部分に、前記基板保持部に対向する少なくとも1つの通気孔が形成されていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
前記通気孔が複数あり、これら複数の通気孔が、前記下部環状空間の上部に対応した前記排液カップの部分に、環状に並んで形成されていることを特徴とする請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記気流調整部材が、前記下部環状空間と前記外側環状空間とを連通させる複数の通気孔を備えることを特徴とする請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記気流調整部材が、前記下部環状空間と前記外側環状空間とを遮断することを特徴とする請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記気流調整部材が交換可能であり、この気流調整部材を交換することで、前記下部環状空間と前記外側環状空間とを連通させること、及び前記下部環状空間と前記外側環状空間とを遮断することのいずれかを選択可能としたことを特徴とする請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記環状外壁部上に、前記排液カップの上方を覆うように設けられた上側壁を有し、
前記上側壁が、前記外側環状空間を閉塞することを特徴とする請求項5に記載の基板処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−38083(P2009−38083A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−198826(P2007−198826)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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