説明

基板処理装置

【課題】処理室の数が多くなった場合においても、メンテナンス時の作業性のよい基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板処理装置を次のように構成する。すなわち、隣り合う複数の処理室を有する基板処理装置であって、前記複数の処理室は、それぞれ下処理室と、上処理室を有し、前記複数の上処理室は、上面から見た場合における前記複数の上処理室の中心同士を結ぶ直線と垂直な方向に向けて、水平方向に回転可能なように構成される基板処理装置。これにより、複数の上処理室を同時に水平方向に回転させ、複数の下処理室、または複数の上処理室、あるいは複数の上下処理室をまとめてメンテナンスすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、半導体集積回路装置(以下、ICという。)の製造装置である基板処理装置、特に、半導体集積回路が作り込まれる半導体基板(例えば、半導体ウェハ)を処理する複数の処理室を備えた基板処理装置において有効な装置メンテナンス技術に関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置の一例として、基板のロードポート、ロードロック室、1つの真空搬送室、該1つの真空搬送室に接続される2つの処理室を備え、1つの真空搬送室から2つの処理室へ基板が搬送され、2つの処理室において基板が処理される基板処理装置がある。特許文献1は、1つの真空搬送室から未処理基板を2つの処理室へ搬送し、2つの処理室それぞれにおいて処理を行う基板処理装置に関する技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−86180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示する基板処理装置は、生産効率(スループット)が十分でないという問題があり、これを解決するため、1つの真空搬送室に接続する処理室を増やすことが考えられる。しかしながら、1つの真空搬送室に接続する処理室を増やし、例えば、処理室を4つに増やす場合は、処理室内の点検や清掃等のメンテナンスのための保守作業を行う場合、場所的な制約から、複数の処理室を同時に開けて保守作業を行うことは容易ではない。
本発明の目的は、処理室の数が多くなった場合においても、メンテナンス時の作業性のよい基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するための、本発明の代表的な構成は、次のとおりである。すなわち、
隣り合う複数の処理室を有する基板処理装置であって、
前記複数の処理室は、それぞれ下処理室と、上処理室を有し、
前記複数の上処理室は、上面から見た場合における前記複数の上処理室の中心同士を結ぶ直線と垂直な方向に向けて、水平方向に回転可能なように構成される基板処理装置。
【発明の効果】
【0006】
上記の構成によれば、複数の上処理室を同時に水平方向に回転させ、複数の下処理室、または複数の上処理室、あるいは複数の上下処理室をまとめてメンテナンスすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施例に係る基板処理装置の全体構成図であり、上面からみた概念図である。
【図2】図1に示す基板処理装置の一部の斜視図である。
【図3】図1に示す基板処理装置の一部の垂直断面図である。
【図4】本発明の実施例に係る下処理室の垂直断面図である。
【図5】本発明の実施例に係る上処理室と下処理室の垂直断面図である。
【図6】本発明の実施例に係る下処理室の斜視図である。
【図7】図6に示す下処理室内を上面及び側面からみた図である。
【図8】本発明の実施例に係る上処理室と下処理室の斜視図である。
【図9】図8に示す上処理室を回転させた場合における、下処理室の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施の形態において、基板処理装置は、一例として、半導体装置(IC)の製造方法における処理工程を実施する半導体製造装置として構成されている。以下、本発明の1実施形態を、図面を用いて説明する。
【0009】
図1は、本発明の実施形態に係る基板処理装置10の全体構成図であり、基板処理装置10の上面からみた概念図である。11は基板処理装置10の筐体である。基板処理装置10においては、例えば基板を搬送する搬送室12を中心として、2つのロードロック室14a、14b及び第1の処理室群116、第2の処理室群117が配置されており、ロードロック室14a、14bの上流側にはフロントモジュールであるEFEM(Equipment Front End Module)18が配置されている。36a、36bは基板保持台、40は第2の基板搬送機、82、83は保守エリアであり、これらについては後述する。
【0010】
後述するように、第1の処理室群116は、下処理室16と、互いに隣接する2つの上処理室45a、45bとを有する(図2参照)。下処理室16は、互いに隣接する2つの下処理室16a、16bを有する。下処理室16aと下処理室16bの間には、後述する連接空間48が設けられている。また、第2の処理室群117は、下処理室17と、互いに隣接する2つの上処理室45c、45dとを有する。下処理室17は、互いに隣接する2つの下処理室17a、17bを有する。下処理室17aと下処理室17bの間にも、連接空間48が設けられている。下処理室16a、16b、17a、17bの上には、それぞれ、上処理室45a、45b、45c、45dが、重なるように載置される(図2参照)。
下処理室16a、16bは、搬送室12、下処理室16a、下処理室16bの順で直列に並ぶように配置されている。また、下処理室17a、17bも、搬送室12、下処理室17a、下処理17bの順で直列に並ぶように配置されている。上面から見て、下処理室16a、16bの中心を結ぶ直線と、下処理室17a、17bの中心を結ぶ直線は、略平行である。
【0011】
EFEM18には、例えば、ウエハ1を25枚ストックするフープ(FOUP:Front Open Unified Pod)を3台搭載することができる。EFEM18内には、大気中にて同時に複数枚(5枚)を移載することが可能な大気ロボット(図示せず)が載置されており、2つのロードロック室14a、14bとの間のウエハ移載を可能にしている。また、基板処理装置10は、基板処理装置10の各構成部を制御するコントローラ84を有する。
【0012】
図2は、図1に示す基板処理装置10の一部の斜視図である。下処理室16は、互いに隣接する2つの下処理室16a、16bを有し、下処理室16a、16bの上には、それぞれ、上処理室45a、45bが、重なるように載置されている。
【0013】
図3は、図1に示す基板処理装置10の一部の垂直断面図である。図3に示すように、ロードロック室14a、14bには、例えば25枚の基板を縦方向に一定間隔を隔てて収容する基板支持体(ボート)20が設けられている。基板支持体20は、例えば炭化珪素やアルミで構成しており、上部板22と下部板24とを接続する例えば3つの支柱26を有する。支柱26の長手方向内側には例えば25個の載置部28が平行に形成されている。また、基板支持体20は、ロードロック室14a、14b内において、鉛直方向(上下方向)に移動するように構成されているとともに、鉛直方向に延びる回転軸を軸として回転するように構成されている。
【0014】
搬送室12には、ロードロック室14a、14bと、第1の処理室群116及び第2の処理室群117との間でウエハ1を搬送する第1の基板搬送機30が設けられている。第1の基板搬送機30は、上フィンガー32a及び下フィンガー32bから構成されるフィンガー対32が設けられたアーム34を有する。上フィンガー32a及び下フィンガー32bは、例えば同一の形状をしており、上下方向に所定の間隔で離間され、アーム34からそれぞれ略水平に同じ方向に延びて、それぞれウエハ1を支持することができる。アーム34は、鉛直方向に延びる回転軸を軸として回転するとともに、水平方向に移動可能なように構成されている。
【0015】
搬送室12と下処理室16aは、ゲートバルブ35を介して連通している。したがって、ロードロック室14a、14bにストックされた未処理ウエハを、搬送室12に載置された第1の基板搬送機30により同時に2枚ずつゲートバルブ35を介して下処理室16a、16bへ移載し、処理済ウエハを下処理室16a、16bから第1の基板搬送機30により一度に2枚ずつロードロック室14a、14bに移載することができる。
搬送室12と下処理室17aも、同様に、ゲートバルブ35を介して連通しており、ロードロック室14a、14bにストックされた未処理ウエハを、搬送室12に載置された第1の基板搬送機30により同時に2枚ずつゲートバルブ35を介して下処理室17a、17bへ移載し、処理済ウエハを下処理室17a、17bから第1の基板搬送機30により一度に2枚ずつロードロック室14a、14bに移載することができる。
【0016】
図4は、本発明の実施例に係る下処理室16の垂直断面図である。図4において、処理室116aは、上処理室45aと下処理室16aから構成され、処理室116bは、上処理室45bと下処理室16bから構成されている。処理室116aと処理室116bにより、第1の処理室群116が構成される。
図4に示すように、下処理室16は、互いに隣接する下処理室16aと下処理室16bから構成されている。下処理室16aには、基板保持台36aが載置されており、下処理室16bには、基板保持台36bが載置されている。基板保持台36aと基板保持台36bは、おのおの独立した構造となっており、装置全体からみるとウエハ処理流れ方向と同方向一列になっている。すなわち、基板保持台36bは、搬送室12から見て基板保持台36aを挟んで遠方に配置されている。
下処理室16aと下処理室16bとは連通しており、その境界には、下処理室16aと下処理室16bとを連接する連接空間48がある。
基板保持台36aと基板保持台36bに載置された基板は、基板保持台36aと基板保持台36bにそれぞれ内蔵したヒータ(不図示)により加熱され、例えば300℃までの昇温が可能である。基板保持台36aと基板保持台36bは、例えばアルミニウム(A5052、A5056等)で形成されている。
【0017】
図1に示すように、処理室16内の基板保持台36aと基板保持台36bの間の連接空間48の内、処理室17側寄りの位置には、第2の基板搬送機40が設けられている。第2の基板搬送機40は、第1の基板搬送機30によって搬送された2枚の未処理ウエハのうちの1枚を、第1の基板搬送機30のフィンガーから受け取って基板保持台36bに移載し、さらに基板保持台36bの処理済ウエハを第1の基板搬送機30のフィンガー上へ移載する。
【0018】
図5は、本発明の実施例に係る上処理室45bと下処理室16bの垂直断面図である。まず、上処理室45bについて説明する。なお、上処理室45a、45c、45dは、上処理室45bと同一構造であるので説明を省略する。
図5において、反応管52は円筒状の石英製反応管であり、該反応管52は金属製の気密容器である前記下処理室16b上に、Oリング92bを介して気密に立設されている。前記反応管52の上端は、反応管天井板55によって気密に閉塞され、該反応管天井板55には、中央にガス導入部44及びガス導入ロ56が設けられ、また、導入したガスを分散させる石英製のバッフル板57が設けられている。ガス導入ロ56は、図示しない処理ガス供給源に接続され、流量調整された処理ガスが供給されるようになっている。
前記反応管52の周囲には、プラズマ発生用の高周波コイル54が設けられ、該高周波コイル54はコイルカバー53によって覆われている。前記高周波コイル54には、高周波電源59が接続され、該高周波電源59により前記高周波コイル54にプラズマ発生用の高周波電流が印加される。
【0019】
次に、前記下処理室16bについて説明する。図5において、下処理室16bの底面には、前述した基板保持台36bが固定して設けられている。基板保持台36bの下方に、昇降基板64が昇降可能に設けられ、該昇降基板64には少なくとも3本の基板保持ピン39bが立設されている。該基板保持ピン39bは基板保持台36bを貫通し、昇降可能となっている。
下処理室16bの底部には、昇降シャフト65が気密に貫通され、該昇降シャフト65は昇降基板64に連結されている。コントローラ84の制御により昇降シャフト65を昇降させることで、昇降基板64、基板保持ピン39bを昇降させることができる。
基板保持ピン39bの上面にウェハ1が載置され、基板保持ピン39bの昇降によって、ウェハ1を基板保持台36bに載置し、或は該基板保持台36bから持上げることが可能になっている。
なお、上記の下処理室16bについて説明した構造は、下処理室16a、17a、17bについても同様である。
【0020】
前記反応管52はプラズマが発生されるプラズマ発生室51を形成し、プラズマ発生室51で生成されたプラズマにより、下処理室16b内のウェハ1が処理される。処理済のガスは、排気口66から下処理室16b外へ排気される。
【0021】
さらに、下処理室16について詳しく説明する。図6は、本発明の実施例に係る下処理室16の斜視図であり、下処理室16内の第2の基板搬送機40が基板保持台36b側に待機しているとき(基板処理時)の様子を示す。図7(a)は、図6に示す下処理室内を上面からみた図であり、図7(b)は、図6に示す下処理室内を側面からみた図である。
図6において、第2の基板搬送機40は、ウエハの外径より大きな円弧部43aと、円弧部43aから円弧部の中心にむかって略水平に設けられたウエハを載置する爪部43cと、円弧部43aを支えるフレーム部43dが設けられたアーム42を有する。円弧部43aとフレーム部43dは連続して形成され、アーム42から略水平に装着され、爪部43cを介してウエハ1を支持することができる。
アーム42は、鉛直方向に延びる軸部43eを回転軸として回転するとともに、鉛直方向に昇降する。したがって、第2の基板搬送機40は、回転し、昇降することができる。円弧部43aの切欠き部は、軸部43eが回転し、基板保持台36a側にあるときに、搬送室12と下処理室16との間に設けられたゲートバルブ35と向かい合う位置に配置される。このような動作を行うことで、第1の基板搬送機30によって下処理室16内に搬送された2枚のウエハのうち、1枚のウエハを基板保持台36a上方から搬送室12の遠方にある基板保持台36bに搬送し載置することができる。
第2の基板搬送機40は、基板保持台36a及び基板保持台36bに内蔵したヒータからの熱輻射により高温(約200℃)になり、また、プラズマに晒されることから、耐プラズマ性、耐高熱性である例えばアルミナセラミックス(純度99.6%以上)、石英、SiC(炭化珪素)、AlN(窒化アルミニウム)等から形成するのが好ましい。金属部品に比べ熱膨張係数の小さい例えばアルミナセラミックス(純度99.6%以上)で形成することで、熱変形によるたわみ等による搬送信頼性劣化を防止することができる。ただし、第2の基板搬送機40の基部には位置・レベル調整のため、金属部品を使用する。
【0022】
基板保持台36aの外周付近には、3つの基板保持ピン39aが鉛直方向に貫通しており、基板保持ピン39aが上下に昇降することで、基板を略水平に昇降させる。また、基板保持台36bの外周付近には、3つの基板保持ピン39bが鉛直方向に貫通しており、基板保持ピン39bが上下に昇降することで、基板を略水平に昇降させる。したがって、ゲートバルブ35を介して第1の基板搬送機30により搬送されたウエハが基板保持ピン39a、39bを介して基板保持台36a、36bに載置されるようになっている。つまり、コントローラ84の制御により、基板保持ピン39a、39bが上下方向に移動する。
【0023】
図8は、本発明の実施例に係る上処理室と下処理室の斜視図である。図8に示すように、本実施例においては、第1の処理室群116と第2の処理室群117を備える。第1の処理室群116は、処理室116aと処理室116bにより構成される。さらに、処理室116aは、上処理室45aと下処理室16aから構成され、処理室116bは、上処理室45bと下処理室16bから構成される。また、第2の処理室群117は、処理室117aと処理室117bにより構成される。処理室117aは、上処理室45cと下処理室16cから構成され、処理室117bは、上処理室45dと下処理室16dから構成される。
【0024】
図8において、46aは上処理室45aの回転機構であり、46bは上処理室45bの回転機構であり、46cは上処理室45cの回転機構であり、46dは上処理室45dの回転機構である。47aは、回転機構46aのハンドルであり、このハンドル47aを保守員が左回転させることにより、上処理室45aが上昇し、下処理室16aから離間する。上処理室45aが下処理室16aから離間した状態で、保守員が上処理室45aを、図8に示す矢印のように時計回りに回転させることにより、下処理室16a、上処理室45a、あるいは下処理室16aと上処理室45aをまとめてメンテナンスすることができる。回転機構46b、回転機構46c、回転機構46dにも、回転機構46aと同様に、それぞれハンドルが設けられており、ハンドル47aと同様の操作により、図8に示す矢印のように、上処理室45b、上処理室45c、上処理室45dを、回転させることことができる。
【0025】
図8において、81は、下処理室16内を観察するための覗き窓である。82は、第1の処理室群116側の保守用エリア(メンテナンスエリア)で、保守員が位置する等、保守作業に用いる場所である。93は、保守用蓋(メンテ蓋)であり、保守時には、上処理室45aと上処理室45bを、保守用エリア82に向けて観音開きした後、保守用蓋93を開けて、第2の基板搬送機40の調整や清掃、取付や取外し等の保守作業を行う。図8には示していないが、第2の処理室群117側の保守用エリア83側にも、保守作業を行うための保守用蓋(メンテ蓋)が存在する。
【0026】
回転機構46aは、第1の処理室群116側の保守エリア82から見て、上処理室45aの前部かつ左部に設けられている。回転機構46bは、保守エリア82から見て、上処理室45bの前部かつ右部に設けられている。すなわち、上処理室45aと上処理室45bの回転機構の回転軸の位置は、上処理室45aと上処理室45bが隣り合う側と反対側の位置であって、上面から見た場合における上処理室45aと上処理室45bの中心同士を結ぶ直線、つまりガス導入部44aとガス導入部44bを結ぶ直線よりも、保守エリア82側に、つまり前記上処理室45aと上処理室45bの回転方向に近い位置に設けられている。回転機構46c、回転機構46dについても、同様に、回転機構46cは、第2の処理室群117側の保守エリア83から見て、上処理室45cの前部かつ右部に設けられ、回転機構46dは、上処理室45dの前部かつ左部に設けられている。
したがって、第1の処理室群116を構成する上処理室45aと上処理室45bは、図8に示す矢印のように、観音開き可能である。すなわち、上処理室45aと上処理室45bは、上面から見た場合における上処理室45aと上処理室45bの中心同士を結ぶ直線と垂直方向であって、かつ水平な第1の方向に回転可能である。同様に、第2の処理室群117を構成する上処理室45cと上処理室45dは、前記第1の方向と逆方向に回転可能である。
【0027】
図9は、図8に示す上処理室45aと上処理室45bを回転させた場合における、下処理室の斜視図である。図9において、91aは下処理室16aの上部開口であり、91bは下処理室16bの上部開口である。92aは、上処理室45aと下処理室16aとを気密にシールするためのOリングである。92bは、上処理室45bと下処理室16bとを気密にシールするためのOリングである。94は、保守用蓋であり、保守用蓋93と同様に、保守作業を行うためのものである。図9に示すように、上処理室45aと上処理室45bを観音開きし、さらに保守用蓋93、94を開けた状態で、上処理室45b内の石英バッフル板57や、Oリング92bや、基板保持ピン39bや、第2の基板搬送機40の清掃等の保守作業を行う。
本実施例においては、上処理室45aと上処理室45bを、保守エリア82方向に観音開きできるように構成しているので、上処理室45aと上処理室45bを同時に観音開きし、複数の下処理室16aと16bをまとめて、または複数の上処理室45aと45bをまとめて、あるいは複数の下処理室16aと16b及び複数の上処理室45aと45bをまとめてメンテナンスすることが容易となる。
【0028】
なお、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変更が可能であることはいうまでもない。
また、前記実施例においては、ウエハに処理が施される場合について説明したが、処理対象はホトマスクやプリント配線基板、液晶パネル、コンパクトディスクおよび磁気ディスク等であってもよい。
【0029】
本明細書には、次の発明が含まれる。すなわち、第1の発明は、
隣り合う複数の処理室を有する基板処理装置であって、
前記複数の処理室は、それぞれ下処理室と、上処理室を有し、
前記複数の上処理室は、上面から見た場合における前記複数の上処理室の中心同士を結ぶ直線と垂直な方向に向けて、水平方向に回転可能なように構成される基板処理装置。
このように基板処理装置を構成すると、複数の上処理室を同時に水平方向に回転させ、複数の下処理室、または複数の上処理室、あるいは複数の上下処理室をまとめてメンテナンスすることが容易となる。
【0030】
第2の発明は、前記第1の発明に記載された基板処理装置であって、
前記それぞれの下処理室の境界には各下処理室を連接する連接空間を有し、各下処理室は該連接空間を通じて連通しており、
該連接空間の上部には保守用蓋を有し、
前記各上処理室は、前記保守用蓋と重ならない位置まで回転可能なように構成される基板処理装置。
このように基板処理装置を構成すると、各下処理室の間に位置する連接空間のメンテナンスが容易となる。
【0031】
第3の発明は、前記第1の発明又は第2の発明に記載された基板処理装置であって、
前記上処理室は、前記下処理室の上部開口と重ならない位置まで回転可能なように構成される基板処理装置。
このように基板処理装置を構成すると、各処理室の上処理室、下処理室を同時にメンテナンスすることが容易となる。
【0032】
第4の発明は、隣り合う複数の処理室を有する基板処理装置であって、
前記複数の処理室は、それぞれ、処理室上部に位置する処理室蓋を有し、
前記複数の処理室蓋は、上面から見た場合における前記複数の処理室蓋の中心同士を結ぶ直線と垂直方向に向けて、水平方向に回転可能なように構成される基板処理装置。
このように基板処理装置を構成すると、複数の処理室蓋を同時に水平方向に回転させ、複数の処理室をまとめてメンテナンスすることが容易となる。
【0033】
第5の発明は、前記第1の発明又は第2の発明に記載された基板処理装置であって、
それぞれ隣り合う2つの処理室を有する第1の処理室群と第2の処理室群を有し、
上面から見た場合における第1の処理室群を構成する2つの上処理室の中心を結ぶ直線と、上面から見た場合における第2の処理室群を構成する2つの上処理室の中心を結ぶ直線が略平行であり、
前記第1の処理室群を構成する2つの上処理室は、上面から見た場合における前記2つの上処理室の中心同士を結ぶ直線と垂直方向であって、かつ水平な第1の方向に回転可能であり、
前記第2の処理室群を構成する2つの上処理室は、前記第1の方向と逆方向に回転可能なように構成される基板処理装置。
このように基板処理装置を構成すると、それぞれ隣り合う2つの処理室を有する第1の処理室群と第2の処理室群を有し、上面から見た場合における第1の処理室群を構成する2つの上処理室の中心を結ぶ直線と、上面から見た場合における第2の処理室群を構成する2つの上処理室の中心を結ぶ直線が略平行である基板処理装置において、2つの上処理室を同時に水平方向に回転させ、2つの下処理室、または2つの上処理室、あるいは複数の上下処理室をまとめてメンテナンスすることが容易となる。
【0034】
第6の発明は、隣り合う2つの処理室を有する基板処理装置であって、
前記2つの処理室は、それぞれ下処理室と、上処理室を有し、
前記2つの上処理室は、上面から見た場合における前記2つの上処理室の中心同士を結ぶ直線と垂直な方向に向けて、水平方向に回転可能であり、
前記回転可能な隣り合う2つの上処理室は、それぞれの回転軸を、前記隣り合う側と反対側に設けるように構成される基板処理装置。
このように基板処理装置を構成すると、隣り合う2つの処理室の上処理室を、それぞれ逆側に向けて開く、つまり観音開きすることができ、隣り合う2つの処理室を同時にメンテナンスすることが容易となる。
【0035】
第7の発明は、前記第6の発明に記載された基板処理装置であって、
前記2つの上処理室の回転軸の位置を、上面から見た場合における前記2つの上処理室の中心同士を結ぶ直線よりも、前記回転方向に近づけて設けるように構成される基板処理装置。
このように基板処理装置を構成すると、上処理室の回転軸の位置を、基板処理装置の筐体を構成する下処理室の側壁に近づけて設けることができ、基板処理装置及び下処理室の内部スペースを有効に活用することが容易となる。
【符号の説明】
【0036】
1…ウエハ、10…基板処理装置、12…搬送室、14…ロードロック室、16…下処理室、16a…下処理室、16b…下処理室、17…下処理室、17a…下処理室、17b…下処理室、30…第1の基板搬送機、35…ゲートバルブ、36a…基板保持台、36b…基板保持台、39a…基板保持ピン、39b…基板保持ピン、40…第2の基板搬送機、44a…ガス導入部、44b…ガス導入部、44c…ガス導入部、44d…ガス導入部、45a…上処理室、45b…上処理室、45c…上処理室、45d…上処理室、46a…回転機構、46b…回転機構、44c…回転機構、44d…回転機構、48…連接空間、59…高周波電源、82…保守エリア、83…保守エリア、84…コントローラ、91a…下処理室上部開口、91b…下処理室上部開口、92a…Oリング、92b…Oリング、93…保守用蓋、94…保守用蓋、116…第1の処理室群、117…第2の処理室群、116a…処理室、117b…処理室。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣り合う複数の処理室を有する基板処理装置であって、
前記複数の処理室は、それぞれ下処理室と、上処理室を有し、
前記複数の上処理室は、上面から見た場合における前記複数の上処理室の中心同士を結ぶ直線と垂直な方向に向けて、水平方向に回転可能なように構成される基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載された基板処理装置であって、
前記それぞれの下処理室の境界には各下処理室を連接する連接空間を有し、各下処理室は該連接空間を通じて連通しており、
該連接空間の上部には保守用蓋を有し、
前記各上処理室は、前記保守用蓋と重ならない位置まで回転可能なように構成される基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−181744(P2011−181744A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−45451(P2010−45451)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)