基板処理装置
【課題】 基板面内や基板間の処理のバラツキを低減することができるとともに、製品性能や製造歩留を向上させる基板処理装置を提供する。
【解決手段】 処理基板1が収容される槽TKと、処理槽TK内に液体、気体、又は液体と気体との両方を送り出す送出機構TB、Aと、処理基板1に対して、液体、気体、又は気体と液体との両方が槽TK内へ送り出される位置と対向する位置から槽TK内の液体、気体、又は気体と液体との両方を排出する排出手段10、20、30、40と、を備えた基板処理装置。
【解決手段】 処理基板1が収容される槽TKと、処理槽TK内に液体、気体、又は液体と気体との両方を送り出す送出機構TB、Aと、処理基板1に対して、液体、気体、又は気体と液体との両方が槽TK内へ送り出される位置と対向する位置から槽TK内の液体、気体、又は気体と液体との両方を排出する排出手段10、20、30、40と、を備えた基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化および軽量化への要求が高まり、例えば液晶表示装置等の電子機器に実装される基板をより薄くすることが要求されている。
【0003】
一方、液晶表示装置や半導体、プリント基板など、略平面の基板を製造する工程において、処理の面内均一性を向上させることは、製品性能向上や歩留まり向上の為に常に必要とされている。面内均一性は、基板の大きさに比べて処理槽の大きさが十分大きければ一般的に均一性は向上する。
【0004】
例えば、液晶表示装置の製造に際しては、効率化のために、まず、一対の絶縁性基板として多面取り用の大板を用い、これら一対の絶縁性基板間に複数の表示素子を形成する。この後、軽量化等のために機械研磨もしくはケミカル研磨のいずれかによって絶縁性基板を所望の基板厚さまで研磨している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−52367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、液晶表示装置のガラス基板の大型化や半導体でのシリコンウェハの大型化等に伴い、処理槽を大きくしたり、処理槽内で基板を揺動したりすると処理装置が大掛かりになり、基板面内や基板間での処理バラツキを小さくすることが益々困難になってきている。
【0007】
また、液体や気体(以下液体等と記載)によってエッチングや成膜、洗浄を行う場合、液体等の流れが速い部分の基板の処理が多く進む一方で、液体等が滞留した部分の基板の処理が遅くなり、面内で処理の進行度合いが不均一になってしまうことがあった。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであって、基板面内や基板間の処理のバラツキを低減することができるとともに、製品性能や製造歩留を向上させる基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態による基板処理装置は、処理基板が収容される槽と、前記槽内に液体、気体、又は液体と気体との両方を送り出す送出機構と、前記処理基板に対して、前記液体、気体、又は気体と液体との両方が前記槽内へ送り出される位置と対向する位置から前記槽内の液体、気体、又は気体と液体との両方を排出する排出手段と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】基板処理装置で処理される基板の一構成例を説明するための図である。
【図2】第1実施形態に係る基板処理装置の一構成例を説明するための図である。
【図3】図2に示す基板処理装置の送入機構の一構成例および処理液の流れの一例を説明するための図である。
【図4】図2に示す基板処理装置の処理槽に設けられた溝の他の構成例について説明するための図である。
【図5】図2に示す基板処理装置の処理槽に設けられた溝の他の構成例について説明するための図である。
【図6】図2に示す基板処理装置の処理槽に設けられた溝の他の構成例について説明するための図である。
【図7】第2実施形態に係る基板処理装置の一構成例を説明するための図である。
【図8】図7に示す基板処理装置の送入機構の一構成例および処理液の流れの一例を説明するための図である。
【図9】第3実施形態に係る基板処理装置の一構成例を説明するための図である。
【図10】図9に示す基板処理装置の送入機構の一構成例および処理液の流れの一例を説明するための図である。
【図11】第4実施形態に係る基板処理装置の一構成例を説明するための図である。
【図12】図11に示す基板処理装置の排出管の一構成例を説明するための図である。
【図13】図11に示す基板処理装置の排出管の一構成例を説明するための図である。
【図14】基板処理装置の処理槽に溝を設けない場合の処理液の流れの一例について説明するための図である。
【図15】基板処理装置の処理槽に溝を設けない場合の処理液の流れの一例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態の基板処理装置について、図面を参照して説明する。
図1に、実施形態に係る基板処理装置で処理される基板の一構成例を概略的に示す。本実施形態に係る基板処理装置は、処理体としての液晶表示装置の透明絶縁性基板を、液体や気体での洗浄、成膜、エッチング(研磨)等する際に用いられる基板処理装置である。
【0012】
本実施形態に係る基板処理装置の処理基板1は、対向するように配置された一対の略矩形状の透明絶縁性基板を有している。一対の基板は第1基板101Mと、第1基板101Mに対向して配置された第2基板102Mとを有している。第1基板101Mおよび第2基板102Mは、透明ガラス基板を備える。
【0013】
第1基板101Mは、マトリクス状に配置された複数の画素電極(図示せず)と、画素電極の近傍に配置されたスイッチング素子とを含む第1表示領域110Aと、複数の画素電極を駆動するために第1表示領域110Aの周囲に延びて配置された駆動配線等の各種配線(図示せず)とを有している。第2基板102Mは、複数の画素電極に対向する対向電極を含む第2表示領域110Bを有している。
【0014】
第1基板101Mと第2基板102Mとは、第1表示領域110Aと、第2表示領域110Bとが対向するように位置合わせされ、第1基板101Mおよび第2基板102Mの間において第1表示領域110Aおよび第2表示領域110Bを囲むように配置されたシール材(図示せず)によって固定されている。シール材は、後に液晶材料を封入するための封入口(図示せず)を有している。
【0015】
図2に、第1実施形態に係る基板処理装置の一構成例を示す。本実施形態に係る基板処理装置は、処理基板1および液体、気体、又は液体と気体との両方が収容され、開口を囲む開口端TKAを備える処理槽TKと、処理槽TKの内部に液体や空気を送り出す送出機構と、を備える。処理槽TKは、例えば処理体を研磨するための研磨液LQで満たされている。本実施形態に係る基板処理装置では、研磨液LQとしてフッ酸を含む溶液を使用する。
【0016】
処理体として上記の処理基板1を研磨処理する際には、処理基板1は、カセット等(図示せず)に並べて配置され処理槽TK内の研磨液中に浸漬される。処理基板1は、その処理面(XY平面と略平行な面)が処理槽TKの底面(ZX平面と略平行な面)と略直交するとともに、互いにその処理面が触れないように間隔をおいて並べて配置される。
【0017】
処理槽TKの底には、処理槽TK内に液体、気体、もしくは液体と気体との両方を送り出すための送出機構が配置されている。本実施形態に係る基板処理装置では、送出機構は、処理基板1の処理面と略直交する方向(Z方向)に延びる複数の管TBと、処理槽TKの外部から管TBに液体、気体、又は液体と気体との両方を送入する送入機構A(図3に示す)とを有している。
【0018】
本実施形態の基板処理装置は、処理基板1に対して、送出機構から液体、気体、又は気体と液体との両方が処理槽TK内へ送り出される位置と対向する位置から、処理槽TK内の液体、気体、又は気体と液体との両方をそれらが前記槽の開口端からオーバーフローする以前に強制的に排出する排出手段を備えている。本実施形態では、排出手段として処理槽TKの開口にX方向に渡る溝10が設けられている。溝10は、処理槽TKの底と略平行な底面14と、底面14のX方向に延びる端縁から処理槽TKの開口端TKAの位置までY方向に延びる2つの側面12とを備え、処理槽TKの開口端TKA側から底側に向かって凹んでいる。
【0019】
図3に、本実施形態に係る基板処理装置の処理槽TK内の研磨液LQの送入機構Aの一構成例を示す。送入機構Aは、処理槽TKから流出した研磨液LQを蓄える排液槽A1と、排液槽A1から排出された研磨液LQのスラッジ(研磨液LQ中に溶けているガラス成分が析出したもの)をろ過するフィルタA2と、フィルタA2を通過した研磨液LQと気体とを管TBへ排出するポンプA3と、を備えている。
【0020】
管TBは、例えば管TBの軸方向(Z方向)において所定の間隔をおいて配置された複数の送出口を有している。管TBは上記のような送出口に限らず、例えば管TBの軸方向(Z方向)と略平行に延びる線状の送出口を有していてもよく、管TBの軸方向に対して蛇行するように配置された複数の送出口を有していてもよい。
【0021】
本実施形態に係る基板処理装置では、送入機構AのポンプA3から管TBへ送入された圧縮空気が、管TBの送出口から処理槽TK内に送出される。管TBに送り込まれた空気は、管TBの表面に開けられた送出口から噴出し、気泡となって研磨液LQの中を上昇して行く。このことによって、処理槽TK内の研磨液LQが撹拌される。
【0022】
研磨液LQは、処理槽TKの開口端TKAおよび溝10の側面12を越えてオーバーフローするように順次送入され、また送入機構Aにより循環するようになっている。溝10の側面12を越えてオーバーフローした研磨液LQは、溝10の底面14上を流れて排液槽A1へ供給される。
【0023】
図14および図15に、処理槽TK内の研磨液LQの流れの一例を説明するための図を示す。ここでは、処理槽TKに溝10が設けられていない場合について説明する。管TBから排出された空気により、処理槽TK内の研磨液LQは底側から開口端TKA側に向かって流れ、開口端TKAを越えてオーバーフローする。したがって、処理槽TKのY方向における開口側であって、X方向およびZ方向の中央部分で研磨液LQが滞留した滞留エリアLQAが生じる。
【0024】
研磨液LQの滞留エリアLQAでは、処理基板1の研磨速度が遅くなるため板厚が厚くなったり、スラッジが処理基板1に再付着したりすることにより、研磨ムラが生じて製品品質の低下を招き製造歩留まりの低下を招く場合があった。
【0025】
特に、集積回路が配置される部分の基板の厚さが不均一となった場合、基板上に配置された集積回路の実装不良が発生し、製造歩留まりが低下することがあった。また、液晶表示装置の製造工程において、一対の基板のそれぞれの厚さが不均一となった場合には、一対の基板から切り出した液晶表示装置を、フレーム等の筐体に納める際に他の部品との位置合わせが困難になることがあった。
【0026】
研磨液LQを循環させるために、処理槽TKの開口端TKAから研磨液LQをオーバーフローさせた場合、オーバーフローする液体は処理槽TKの開口端TKA近傍の液体に限られ、処理槽中央部付近の滞留エリアLQAでは液体が滞留しがちであった。このため、滞留エリアLQAでは研磨液LQが入れ替わらず、滞留エリアLQAが生じる中央部付近の基板の処理条件が周辺部と違ってしまい、均一な処理を行うことが困難となり、製品のバラツキが大きくなることがあった。
【0027】
これに対し処理槽TKに溝10を設けると、図3に示すように、処理槽TKのX方向およびZ方向の中央部分で、溝10に向かう研磨液LQの流れが生じる。このことによって、研磨液LQがX方向およびZ方向の中央部分でも流れるようになり、処理槽TK内に滞留エリアLQAが無くなる。その結果、処理基板1を均一に処理することが可能となる。
【0028】
図4乃至図6に、溝10の他の構成例を示す。図4乃至図6では、溝10の側面12の高さ(Y方向の幅)が、X方向における中央部において低くなっている。図4に示す場合では、側面12の高さが、X方向における端部から中央部へ階段状に低くなっている。図5に示す場合では、側面12の高さが、X方向における端部から中央部へ直線的に低くなっている。図6に示す場合では、側面12の高さが、X方向における端部から中央部へ曲線的に低くなっている。
【0029】
このように、X方向における中央部において、溝10の側面12の高さを低くすると、滞留エリアLQAが生じやすい処理槽TKのX方向における中央部分で端部よりも研磨液LQが排出されやすくなり、滞留エリアLQAの発生を回避することができる。
【0030】
上記のように、本実施形態に係る基板処理装置によれば、基板面内や基板間の処理のバラツキを低減することができるとともに、製品性能や製造歩留を向上させる基板処理装置を提供することができる。
【0031】
なお、上記実施形態では、処理槽TKに2つの溝10が設けられている例を説明したが、処理槽TKの大きさや深さ、研磨液LQの粘度、比重などの種類により、溝10の数を増やしたり減らしたりして、最適な本数や溝の幅、深さを決めることが望ましい。また、図2および図3に示す溝10は、YZ平面と略平行な断面の形状が略矩形状に凹んでいるが、溝10はYZ平面と略平行な断面が略台形状や略円状や略三角形状に凹んでいてもよい。
【0032】
次に第2実施形態に係る基板処理装置について図面を参照して説明する。なお以下の複数の実施形態の説明において、上述の第1実施形態に係る基板処理装置と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0033】
図7に本実施形態に係る基板処理装置の一構成例を示す。本実施形態に係る基板処理装置は、処理槽TKの排出手段としての溝10の構成が上述の第1実施形態に係る基板処理装置と異なっている。本実施形態では、溝10は、処理槽TKの底と略平行な底面14と、底面14のX方向に延びる端縁からY方向に延びる2つの側面12とを備え、処理槽TKの開口端TKA側から底側に向かって凹んでいる。側面12がY方向に延びた端縁は、処理槽TKの開口端TKAよりも低い位置である。
【0034】
図8に、本実施形態の基板処理装置の送入機構Aの一構成例および研磨液LQの流れの一例を示す。研磨液LQは、送入機構Aから管TBへ送入された圧縮空気が、管TBの送出口から処理槽TK内に送出される。管TBに送り込まれた空気は、管TBの表面に開けられた送出口から噴出し、気泡となって研磨液LQの中を上昇して行く。このことによって、処理槽TK内の研磨液LQが撹拌される。
【0035】
研磨液LQは、溝10の側面12を越えてオーバーフローするように送入機構Aにより順次送入されるとともに、送入機構Aにより循環するようになっている。溝10の側面12を越えてオーバーフローした研磨液LQは、溝10の底面14上を流れて排液槽A1へ供給される。本実施形態では、溝10の側面12の上端が、処理槽TKの開口端TKAよりも低くなっているため、開口端TKAを越えて研磨液LQがオーバーフローすることなく、溝10からのみ研磨液LQが排出される。
【0036】
したがって、処理槽TK内のX方向およびZ方向における端部では、対流によって壁面に沿って研磨液LQの下向きの流れが出来ている。処理槽TK内のX方向およびZ方向における中央部では、下から上がってきた研磨液LQが側面12を越えて溝10へオーバーフローするため滞留することなく、処理槽TK内のX方向およびZ方向における端部と同じような流れが生じる。このことによって、研磨液LQがX方向およびZ方向の中央部分でも端部と同じように流れるようになり、処理槽TK内に滞留エリアLQAが無くなる。その結果、処理基板1を均一に処理することが可能となる。
【0037】
上記のように、本実施形態に係る基板処理装置によれば、基板面内や基板間の処理のバラツキを低減することができるとともに、製品性能や製造歩留を向上させる基板処理装置を提供することができる。
【0038】
なお、上述の第1実施形態と同様に、本実施形態でも処理槽TKに2つの溝10が設けられている例を説明したが、処理槽TKの大きさや深さ、研磨液LQの粘度、比重などの種類により、溝10の数を増やしたり減らしたりして、最適な本数や溝の幅、深さを決めることが望ましい。
【0039】
次に、第3実施形態に係る基板処理装置について図面を参照して説明する。
図9に、本実施形態に係る基板処理装置の一構成例を示す。本実施形態に係る基板処理装置は排出手段の構成が上述の第1実施形態と異なっている。本実施形態に係る基板処理装置は、排出手段として処理槽TKのX方向およびZ方向における中央部分の研磨液LQを吸引する排出管20を備えている。排出管20は、一端が処理槽TK内の研磨液LQに浸され、他端が吸引手段に接続されている。
【0040】
すなわち、上述の第1実施形態および第2実施形態では、研磨液LQが溝10へオーバーフローすることを利用して処理槽TK内の研磨液LQの滞留をなくしていたが、本実施形態では、ポンプ22等の吸引手段を用いて排出管20により研磨液LQを強制的に吸い出して滞留をなくしている。
【0041】
図10に、本実施形態の基板処理装置の送入機構Aの一構成例および研磨液LQの流れの一例を示す。本実施形態の基板処理装置は、ポンプ22により排出管20から吸引された研磨液LQは、排液槽A1へ排出する。排液槽A1へ蓄えられた研磨液LQは、フィルタA2を通過してポンプA3により再び処理槽TKへ送入される。
【0042】
排出管20により研磨液LQを強制的に排出する事で、研磨液LQの排出量を制御する事ができ、処理槽TK内の研磨液LQの流れをよりきめ細かく管理することが出来る。すなわち、処理槽TK内で研磨液LQが滞留することを回避することにより、処理基板1を均一に処理することが可能となる。
【0043】
上記のように、本実施形態に係る基板処理装置によれば、基板面内や基板間の処理のバラツキを低減することができるとともに、製品性能や製造歩留を向上させる基板処理装置を提供することができる。なお、図9および図10では排出管20を1本だけ描いているが、処理槽TKの大きさや形状等に応じて複数の排出管20を用いてもよい。
【0044】
次に、第4実施形態に係る基板処理装置について図面を参照して説明する。
図11に、本実施形態に係る基板処理装置の一構成例を示す。本実施形態に係る基板処理装置は、排出手段として研磨液LQを吸引して排出する排出管30を備えている。排出管30は、中央部分が略U字状に屈曲している。排出管30の両端は処理槽TKの開口端TKAにより支持され、屈曲した部分が研磨液LQに浸されている。排出管30の研磨液LQに浸された部分には、穴(開口)32が設けられている。排出管30の両端はたとえばポンプ等の吸引手段(図示せず)に接続されている。
【0045】
処理槽TK内の研磨液LQは、穴32から排出管30内へ吸引され、排出管30の両端から吸引手段へ吸引される。吸引手段は、吸引した研磨液LQを送入機構Aの排液槽A1へ排出する。排液槽A1へ蓄えられた研磨液LQはフィルタA2を通過してポンプA3により再び処理槽TK内へ送入される。
【0046】
図12に、排出管30の穴32の配置位置の一例を示す。この例では、排出管30の屈曲した部分に同じ径の複数の穴32が設けられ、穴32は排出管30の軸方向AXにおける中央部分に多く配置されている。すなわち、単位面積当たりの穴32により開口した面積が、排出管30の軸方向AXにおける中央部分ほど大きくなる。穴32が多く配置された排出管30の部分は、研磨液LQの滞留が生じやすいエリアに浸される。
【0047】
上記排出管30により研磨液LQを排出する事で、研磨液LQの滞留が生じやすいエリアに研磨液LQの流れを生じさせることができる。また、排出管30により研磨液LQを強制的に排出する事で、研磨液LQの排出量を制御する事ができ、処理槽TK内の研磨液LQの流れをよりきめ細かく管理することが出来る。すなわち、処理槽TK内で研磨液LQが滞留することを回避することにより、処理基板1を均一に処理することが可能となる。
【0048】
図13に、排出管30の穴32の配置位置の他の例を示す。この例では、排出管30の屈曲した部分に略矩形状の複数の穴32が設けられている。穴32は、排出管30の軸方向AXにおける中央部分に配置されているものほど開口した面積が大きくなっている。すなわち、単位面積当たりの穴32により開口した面積が、排出管30の軸方向AXにおける中央部分ほど大きくなる。穴32の面積が大きい排出管30の部分は、研磨液LQの滞留が生じやすいエリアに浸される。
【0049】
上記排出管30により研磨液LQを排出する事で、研磨液LQの滞留が生じやすいエリアに研磨液LQの流れを生じさせることができる。また、排出管30により研磨液LQを強制的に排出する事で、研磨液LQの排出量を制御する事ができ、処理槽TK内の研磨液LQの流れをよりきめ細かく管理することが出来る。すなわち、処理槽TK内で研磨液LQが滞留することを回避することにより、処理基板1を均一に処理することが可能となる。
【0050】
すなわち、本実施形態に係る基板処理装置によれば、基板面内や基板間の処理のバラツキを低減することができるとともに、製品性能や製造歩留を向上させる基板処理装置を提供することができる。
【0051】
なお、穴32の形状は、図12および図13に示した以外の方法でも良く、穴32による開口密度(単位面積当たりの開口面積)が研磨液LQの滞留が生じやすいエリアである槽中央部で高く、槽周辺部に近づくほど低くなっていればよい。最適な開口密度は、処理槽TKの大きさや深さなどによって最適化することが望ましい。
【0052】
また、第1実施形態乃至第4実施形態では、研磨液LQ等の液体による処理を行う基板処理装置での例を示したが、処理に用いられるのは気体であってもよい。その場合、処理槽TKの代わりに密閉性のある箱を用いてもかまわない。
【0053】
また、管TBから噴出するものは気体および液体のいずれか一方であってもよく、液体と気体との混合でも良い。気体は空気である必要は無く、窒素ガスなどでも良い。液体は、洗剤の入った洗浄液や酸性またはアルカリ性のエッチング液などでも良い。
【0054】
また、第1実施形態乃至第4実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。例えば、第1実施形態に開示された排出溝10と、第3実施形態に開示された強制的に排出する排出管20とを備える基板処理装置であっても、上述の第1実施形態や第3実施形態に係る基板処理装置と同様の効果をえることができる。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
TK…処理槽、TKA…開口端、LQ…研磨液(処理液)、LQA…滞留エリア、TB…管、A…送入機構、A1…排液槽、A2…フィルタ、A3…ポンプ、1…処理基板(処理体)、10…排出溝、12…側面、14…底面、20、30…排出管、22…ポンプ、32…穴(開口)。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化および軽量化への要求が高まり、例えば液晶表示装置等の電子機器に実装される基板をより薄くすることが要求されている。
【0003】
一方、液晶表示装置や半導体、プリント基板など、略平面の基板を製造する工程において、処理の面内均一性を向上させることは、製品性能向上や歩留まり向上の為に常に必要とされている。面内均一性は、基板の大きさに比べて処理槽の大きさが十分大きければ一般的に均一性は向上する。
【0004】
例えば、液晶表示装置の製造に際しては、効率化のために、まず、一対の絶縁性基板として多面取り用の大板を用い、これら一対の絶縁性基板間に複数の表示素子を形成する。この後、軽量化等のために機械研磨もしくはケミカル研磨のいずれかによって絶縁性基板を所望の基板厚さまで研磨している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−52367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、液晶表示装置のガラス基板の大型化や半導体でのシリコンウェハの大型化等に伴い、処理槽を大きくしたり、処理槽内で基板を揺動したりすると処理装置が大掛かりになり、基板面内や基板間での処理バラツキを小さくすることが益々困難になってきている。
【0007】
また、液体や気体(以下液体等と記載)によってエッチングや成膜、洗浄を行う場合、液体等の流れが速い部分の基板の処理が多く進む一方で、液体等が滞留した部分の基板の処理が遅くなり、面内で処理の進行度合いが不均一になってしまうことがあった。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであって、基板面内や基板間の処理のバラツキを低減することができるとともに、製品性能や製造歩留を向上させる基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態による基板処理装置は、処理基板が収容される槽と、前記槽内に液体、気体、又は液体と気体との両方を送り出す送出機構と、前記処理基板に対して、前記液体、気体、又は気体と液体との両方が前記槽内へ送り出される位置と対向する位置から前記槽内の液体、気体、又は気体と液体との両方を排出する排出手段と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】基板処理装置で処理される基板の一構成例を説明するための図である。
【図2】第1実施形態に係る基板処理装置の一構成例を説明するための図である。
【図3】図2に示す基板処理装置の送入機構の一構成例および処理液の流れの一例を説明するための図である。
【図4】図2に示す基板処理装置の処理槽に設けられた溝の他の構成例について説明するための図である。
【図5】図2に示す基板処理装置の処理槽に設けられた溝の他の構成例について説明するための図である。
【図6】図2に示す基板処理装置の処理槽に設けられた溝の他の構成例について説明するための図である。
【図7】第2実施形態に係る基板処理装置の一構成例を説明するための図である。
【図8】図7に示す基板処理装置の送入機構の一構成例および処理液の流れの一例を説明するための図である。
【図9】第3実施形態に係る基板処理装置の一構成例を説明するための図である。
【図10】図9に示す基板処理装置の送入機構の一構成例および処理液の流れの一例を説明するための図である。
【図11】第4実施形態に係る基板処理装置の一構成例を説明するための図である。
【図12】図11に示す基板処理装置の排出管の一構成例を説明するための図である。
【図13】図11に示す基板処理装置の排出管の一構成例を説明するための図である。
【図14】基板処理装置の処理槽に溝を設けない場合の処理液の流れの一例について説明するための図である。
【図15】基板処理装置の処理槽に溝を設けない場合の処理液の流れの一例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態の基板処理装置について、図面を参照して説明する。
図1に、実施形態に係る基板処理装置で処理される基板の一構成例を概略的に示す。本実施形態に係る基板処理装置は、処理体としての液晶表示装置の透明絶縁性基板を、液体や気体での洗浄、成膜、エッチング(研磨)等する際に用いられる基板処理装置である。
【0012】
本実施形態に係る基板処理装置の処理基板1は、対向するように配置された一対の略矩形状の透明絶縁性基板を有している。一対の基板は第1基板101Mと、第1基板101Mに対向して配置された第2基板102Mとを有している。第1基板101Mおよび第2基板102Mは、透明ガラス基板を備える。
【0013】
第1基板101Mは、マトリクス状に配置された複数の画素電極(図示せず)と、画素電極の近傍に配置されたスイッチング素子とを含む第1表示領域110Aと、複数の画素電極を駆動するために第1表示領域110Aの周囲に延びて配置された駆動配線等の各種配線(図示せず)とを有している。第2基板102Mは、複数の画素電極に対向する対向電極を含む第2表示領域110Bを有している。
【0014】
第1基板101Mと第2基板102Mとは、第1表示領域110Aと、第2表示領域110Bとが対向するように位置合わせされ、第1基板101Mおよび第2基板102Mの間において第1表示領域110Aおよび第2表示領域110Bを囲むように配置されたシール材(図示せず)によって固定されている。シール材は、後に液晶材料を封入するための封入口(図示せず)を有している。
【0015】
図2に、第1実施形態に係る基板処理装置の一構成例を示す。本実施形態に係る基板処理装置は、処理基板1および液体、気体、又は液体と気体との両方が収容され、開口を囲む開口端TKAを備える処理槽TKと、処理槽TKの内部に液体や空気を送り出す送出機構と、を備える。処理槽TKは、例えば処理体を研磨するための研磨液LQで満たされている。本実施形態に係る基板処理装置では、研磨液LQとしてフッ酸を含む溶液を使用する。
【0016】
処理体として上記の処理基板1を研磨処理する際には、処理基板1は、カセット等(図示せず)に並べて配置され処理槽TK内の研磨液中に浸漬される。処理基板1は、その処理面(XY平面と略平行な面)が処理槽TKの底面(ZX平面と略平行な面)と略直交するとともに、互いにその処理面が触れないように間隔をおいて並べて配置される。
【0017】
処理槽TKの底には、処理槽TK内に液体、気体、もしくは液体と気体との両方を送り出すための送出機構が配置されている。本実施形態に係る基板処理装置では、送出機構は、処理基板1の処理面と略直交する方向(Z方向)に延びる複数の管TBと、処理槽TKの外部から管TBに液体、気体、又は液体と気体との両方を送入する送入機構A(図3に示す)とを有している。
【0018】
本実施形態の基板処理装置は、処理基板1に対して、送出機構から液体、気体、又は気体と液体との両方が処理槽TK内へ送り出される位置と対向する位置から、処理槽TK内の液体、気体、又は気体と液体との両方をそれらが前記槽の開口端からオーバーフローする以前に強制的に排出する排出手段を備えている。本実施形態では、排出手段として処理槽TKの開口にX方向に渡る溝10が設けられている。溝10は、処理槽TKの底と略平行な底面14と、底面14のX方向に延びる端縁から処理槽TKの開口端TKAの位置までY方向に延びる2つの側面12とを備え、処理槽TKの開口端TKA側から底側に向かって凹んでいる。
【0019】
図3に、本実施形態に係る基板処理装置の処理槽TK内の研磨液LQの送入機構Aの一構成例を示す。送入機構Aは、処理槽TKから流出した研磨液LQを蓄える排液槽A1と、排液槽A1から排出された研磨液LQのスラッジ(研磨液LQ中に溶けているガラス成分が析出したもの)をろ過するフィルタA2と、フィルタA2を通過した研磨液LQと気体とを管TBへ排出するポンプA3と、を備えている。
【0020】
管TBは、例えば管TBの軸方向(Z方向)において所定の間隔をおいて配置された複数の送出口を有している。管TBは上記のような送出口に限らず、例えば管TBの軸方向(Z方向)と略平行に延びる線状の送出口を有していてもよく、管TBの軸方向に対して蛇行するように配置された複数の送出口を有していてもよい。
【0021】
本実施形態に係る基板処理装置では、送入機構AのポンプA3から管TBへ送入された圧縮空気が、管TBの送出口から処理槽TK内に送出される。管TBに送り込まれた空気は、管TBの表面に開けられた送出口から噴出し、気泡となって研磨液LQの中を上昇して行く。このことによって、処理槽TK内の研磨液LQが撹拌される。
【0022】
研磨液LQは、処理槽TKの開口端TKAおよび溝10の側面12を越えてオーバーフローするように順次送入され、また送入機構Aにより循環するようになっている。溝10の側面12を越えてオーバーフローした研磨液LQは、溝10の底面14上を流れて排液槽A1へ供給される。
【0023】
図14および図15に、処理槽TK内の研磨液LQの流れの一例を説明するための図を示す。ここでは、処理槽TKに溝10が設けられていない場合について説明する。管TBから排出された空気により、処理槽TK内の研磨液LQは底側から開口端TKA側に向かって流れ、開口端TKAを越えてオーバーフローする。したがって、処理槽TKのY方向における開口側であって、X方向およびZ方向の中央部分で研磨液LQが滞留した滞留エリアLQAが生じる。
【0024】
研磨液LQの滞留エリアLQAでは、処理基板1の研磨速度が遅くなるため板厚が厚くなったり、スラッジが処理基板1に再付着したりすることにより、研磨ムラが生じて製品品質の低下を招き製造歩留まりの低下を招く場合があった。
【0025】
特に、集積回路が配置される部分の基板の厚さが不均一となった場合、基板上に配置された集積回路の実装不良が発生し、製造歩留まりが低下することがあった。また、液晶表示装置の製造工程において、一対の基板のそれぞれの厚さが不均一となった場合には、一対の基板から切り出した液晶表示装置を、フレーム等の筐体に納める際に他の部品との位置合わせが困難になることがあった。
【0026】
研磨液LQを循環させるために、処理槽TKの開口端TKAから研磨液LQをオーバーフローさせた場合、オーバーフローする液体は処理槽TKの開口端TKA近傍の液体に限られ、処理槽中央部付近の滞留エリアLQAでは液体が滞留しがちであった。このため、滞留エリアLQAでは研磨液LQが入れ替わらず、滞留エリアLQAが生じる中央部付近の基板の処理条件が周辺部と違ってしまい、均一な処理を行うことが困難となり、製品のバラツキが大きくなることがあった。
【0027】
これに対し処理槽TKに溝10を設けると、図3に示すように、処理槽TKのX方向およびZ方向の中央部分で、溝10に向かう研磨液LQの流れが生じる。このことによって、研磨液LQがX方向およびZ方向の中央部分でも流れるようになり、処理槽TK内に滞留エリアLQAが無くなる。その結果、処理基板1を均一に処理することが可能となる。
【0028】
図4乃至図6に、溝10の他の構成例を示す。図4乃至図6では、溝10の側面12の高さ(Y方向の幅)が、X方向における中央部において低くなっている。図4に示す場合では、側面12の高さが、X方向における端部から中央部へ階段状に低くなっている。図5に示す場合では、側面12の高さが、X方向における端部から中央部へ直線的に低くなっている。図6に示す場合では、側面12の高さが、X方向における端部から中央部へ曲線的に低くなっている。
【0029】
このように、X方向における中央部において、溝10の側面12の高さを低くすると、滞留エリアLQAが生じやすい処理槽TKのX方向における中央部分で端部よりも研磨液LQが排出されやすくなり、滞留エリアLQAの発生を回避することができる。
【0030】
上記のように、本実施形態に係る基板処理装置によれば、基板面内や基板間の処理のバラツキを低減することができるとともに、製品性能や製造歩留を向上させる基板処理装置を提供することができる。
【0031】
なお、上記実施形態では、処理槽TKに2つの溝10が設けられている例を説明したが、処理槽TKの大きさや深さ、研磨液LQの粘度、比重などの種類により、溝10の数を増やしたり減らしたりして、最適な本数や溝の幅、深さを決めることが望ましい。また、図2および図3に示す溝10は、YZ平面と略平行な断面の形状が略矩形状に凹んでいるが、溝10はYZ平面と略平行な断面が略台形状や略円状や略三角形状に凹んでいてもよい。
【0032】
次に第2実施形態に係る基板処理装置について図面を参照して説明する。なお以下の複数の実施形態の説明において、上述の第1実施形態に係る基板処理装置と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0033】
図7に本実施形態に係る基板処理装置の一構成例を示す。本実施形態に係る基板処理装置は、処理槽TKの排出手段としての溝10の構成が上述の第1実施形態に係る基板処理装置と異なっている。本実施形態では、溝10は、処理槽TKの底と略平行な底面14と、底面14のX方向に延びる端縁からY方向に延びる2つの側面12とを備え、処理槽TKの開口端TKA側から底側に向かって凹んでいる。側面12がY方向に延びた端縁は、処理槽TKの開口端TKAよりも低い位置である。
【0034】
図8に、本実施形態の基板処理装置の送入機構Aの一構成例および研磨液LQの流れの一例を示す。研磨液LQは、送入機構Aから管TBへ送入された圧縮空気が、管TBの送出口から処理槽TK内に送出される。管TBに送り込まれた空気は、管TBの表面に開けられた送出口から噴出し、気泡となって研磨液LQの中を上昇して行く。このことによって、処理槽TK内の研磨液LQが撹拌される。
【0035】
研磨液LQは、溝10の側面12を越えてオーバーフローするように送入機構Aにより順次送入されるとともに、送入機構Aにより循環するようになっている。溝10の側面12を越えてオーバーフローした研磨液LQは、溝10の底面14上を流れて排液槽A1へ供給される。本実施形態では、溝10の側面12の上端が、処理槽TKの開口端TKAよりも低くなっているため、開口端TKAを越えて研磨液LQがオーバーフローすることなく、溝10からのみ研磨液LQが排出される。
【0036】
したがって、処理槽TK内のX方向およびZ方向における端部では、対流によって壁面に沿って研磨液LQの下向きの流れが出来ている。処理槽TK内のX方向およびZ方向における中央部では、下から上がってきた研磨液LQが側面12を越えて溝10へオーバーフローするため滞留することなく、処理槽TK内のX方向およびZ方向における端部と同じような流れが生じる。このことによって、研磨液LQがX方向およびZ方向の中央部分でも端部と同じように流れるようになり、処理槽TK内に滞留エリアLQAが無くなる。その結果、処理基板1を均一に処理することが可能となる。
【0037】
上記のように、本実施形態に係る基板処理装置によれば、基板面内や基板間の処理のバラツキを低減することができるとともに、製品性能や製造歩留を向上させる基板処理装置を提供することができる。
【0038】
なお、上述の第1実施形態と同様に、本実施形態でも処理槽TKに2つの溝10が設けられている例を説明したが、処理槽TKの大きさや深さ、研磨液LQの粘度、比重などの種類により、溝10の数を増やしたり減らしたりして、最適な本数や溝の幅、深さを決めることが望ましい。
【0039】
次に、第3実施形態に係る基板処理装置について図面を参照して説明する。
図9に、本実施形態に係る基板処理装置の一構成例を示す。本実施形態に係る基板処理装置は排出手段の構成が上述の第1実施形態と異なっている。本実施形態に係る基板処理装置は、排出手段として処理槽TKのX方向およびZ方向における中央部分の研磨液LQを吸引する排出管20を備えている。排出管20は、一端が処理槽TK内の研磨液LQに浸され、他端が吸引手段に接続されている。
【0040】
すなわち、上述の第1実施形態および第2実施形態では、研磨液LQが溝10へオーバーフローすることを利用して処理槽TK内の研磨液LQの滞留をなくしていたが、本実施形態では、ポンプ22等の吸引手段を用いて排出管20により研磨液LQを強制的に吸い出して滞留をなくしている。
【0041】
図10に、本実施形態の基板処理装置の送入機構Aの一構成例および研磨液LQの流れの一例を示す。本実施形態の基板処理装置は、ポンプ22により排出管20から吸引された研磨液LQは、排液槽A1へ排出する。排液槽A1へ蓄えられた研磨液LQは、フィルタA2を通過してポンプA3により再び処理槽TKへ送入される。
【0042】
排出管20により研磨液LQを強制的に排出する事で、研磨液LQの排出量を制御する事ができ、処理槽TK内の研磨液LQの流れをよりきめ細かく管理することが出来る。すなわち、処理槽TK内で研磨液LQが滞留することを回避することにより、処理基板1を均一に処理することが可能となる。
【0043】
上記のように、本実施形態に係る基板処理装置によれば、基板面内や基板間の処理のバラツキを低減することができるとともに、製品性能や製造歩留を向上させる基板処理装置を提供することができる。なお、図9および図10では排出管20を1本だけ描いているが、処理槽TKの大きさや形状等に応じて複数の排出管20を用いてもよい。
【0044】
次に、第4実施形態に係る基板処理装置について図面を参照して説明する。
図11に、本実施形態に係る基板処理装置の一構成例を示す。本実施形態に係る基板処理装置は、排出手段として研磨液LQを吸引して排出する排出管30を備えている。排出管30は、中央部分が略U字状に屈曲している。排出管30の両端は処理槽TKの開口端TKAにより支持され、屈曲した部分が研磨液LQに浸されている。排出管30の研磨液LQに浸された部分には、穴(開口)32が設けられている。排出管30の両端はたとえばポンプ等の吸引手段(図示せず)に接続されている。
【0045】
処理槽TK内の研磨液LQは、穴32から排出管30内へ吸引され、排出管30の両端から吸引手段へ吸引される。吸引手段は、吸引した研磨液LQを送入機構Aの排液槽A1へ排出する。排液槽A1へ蓄えられた研磨液LQはフィルタA2を通過してポンプA3により再び処理槽TK内へ送入される。
【0046】
図12に、排出管30の穴32の配置位置の一例を示す。この例では、排出管30の屈曲した部分に同じ径の複数の穴32が設けられ、穴32は排出管30の軸方向AXにおける中央部分に多く配置されている。すなわち、単位面積当たりの穴32により開口した面積が、排出管30の軸方向AXにおける中央部分ほど大きくなる。穴32が多く配置された排出管30の部分は、研磨液LQの滞留が生じやすいエリアに浸される。
【0047】
上記排出管30により研磨液LQを排出する事で、研磨液LQの滞留が生じやすいエリアに研磨液LQの流れを生じさせることができる。また、排出管30により研磨液LQを強制的に排出する事で、研磨液LQの排出量を制御する事ができ、処理槽TK内の研磨液LQの流れをよりきめ細かく管理することが出来る。すなわち、処理槽TK内で研磨液LQが滞留することを回避することにより、処理基板1を均一に処理することが可能となる。
【0048】
図13に、排出管30の穴32の配置位置の他の例を示す。この例では、排出管30の屈曲した部分に略矩形状の複数の穴32が設けられている。穴32は、排出管30の軸方向AXにおける中央部分に配置されているものほど開口した面積が大きくなっている。すなわち、単位面積当たりの穴32により開口した面積が、排出管30の軸方向AXにおける中央部分ほど大きくなる。穴32の面積が大きい排出管30の部分は、研磨液LQの滞留が生じやすいエリアに浸される。
【0049】
上記排出管30により研磨液LQを排出する事で、研磨液LQの滞留が生じやすいエリアに研磨液LQの流れを生じさせることができる。また、排出管30により研磨液LQを強制的に排出する事で、研磨液LQの排出量を制御する事ができ、処理槽TK内の研磨液LQの流れをよりきめ細かく管理することが出来る。すなわち、処理槽TK内で研磨液LQが滞留することを回避することにより、処理基板1を均一に処理することが可能となる。
【0050】
すなわち、本実施形態に係る基板処理装置によれば、基板面内や基板間の処理のバラツキを低減することができるとともに、製品性能や製造歩留を向上させる基板処理装置を提供することができる。
【0051】
なお、穴32の形状は、図12および図13に示した以外の方法でも良く、穴32による開口密度(単位面積当たりの開口面積)が研磨液LQの滞留が生じやすいエリアである槽中央部で高く、槽周辺部に近づくほど低くなっていればよい。最適な開口密度は、処理槽TKの大きさや深さなどによって最適化することが望ましい。
【0052】
また、第1実施形態乃至第4実施形態では、研磨液LQ等の液体による処理を行う基板処理装置での例を示したが、処理に用いられるのは気体であってもよい。その場合、処理槽TKの代わりに密閉性のある箱を用いてもかまわない。
【0053】
また、管TBから噴出するものは気体および液体のいずれか一方であってもよく、液体と気体との混合でも良い。気体は空気である必要は無く、窒素ガスなどでも良い。液体は、洗剤の入った洗浄液や酸性またはアルカリ性のエッチング液などでも良い。
【0054】
また、第1実施形態乃至第4実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。例えば、第1実施形態に開示された排出溝10と、第3実施形態に開示された強制的に排出する排出管20とを備える基板処理装置であっても、上述の第1実施形態や第3実施形態に係る基板処理装置と同様の効果をえることができる。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
TK…処理槽、TKA…開口端、LQ…研磨液(処理液)、LQA…滞留エリア、TB…管、A…送入機構、A1…排液槽、A2…フィルタ、A3…ポンプ、1…処理基板(処理体)、10…排出溝、12…側面、14…底面、20、30…排出管、22…ポンプ、32…穴(開口)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理基板が収容され、開口を囲む開口端を備える槽と、
液体、気体、又は液体と気体との両方を前記槽内に送り出す送出機構と、
前記処理基板に対して、前記液体、気体、又は気体と液体との両方が前記槽内へ送り出される位置と対向する位置から前記槽内の液体、気体、又は気体と液体との両方をそれらが前記槽の開口端からオーバーフローする以前に強制的に排出する排出手段と、を備えた基板処理装置。
【請求項2】
前記排出手段は、前記槽の開口に渡って配置された溝を備える請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記溝は、前記槽の底と平行な底面と、前記底面の端縁から前記槽の開口端の位置まで延びる側面と、を備える請求項2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記溝は、前記槽の底と平行な底面と、前記底面の端縁から前記槽の開口端よりも低い位置まで延びる側面と、を備える請求項2記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記排出手段は、一端が前記槽内の液体又は気体内に浸され他端が前記液体又は気体を吸引する吸引手段に接続された排出管を備える請求項1記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記排出手段は、U字状に屈曲し前記槽内の液体又は気体内に浸された屈曲部を備え、両端が前記液体又は気体を吸引する吸引手段に接続された排出管を備え、
前記排出管は、前記屈曲部に設けられた開口を備える請求項1記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記送入機構は、前記排出手段により排出された液体又は気体が通過するフィルタと、前記フィルタ通過後の液体又は気体を再び前記槽内に送りだす手段を備える請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の基板処理装置。
【請求項1】
処理基板が収容され、開口を囲む開口端を備える槽と、
液体、気体、又は液体と気体との両方を前記槽内に送り出す送出機構と、
前記処理基板に対して、前記液体、気体、又は気体と液体との両方が前記槽内へ送り出される位置と対向する位置から前記槽内の液体、気体、又は気体と液体との両方をそれらが前記槽の開口端からオーバーフローする以前に強制的に排出する排出手段と、を備えた基板処理装置。
【請求項2】
前記排出手段は、前記槽の開口に渡って配置された溝を備える請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記溝は、前記槽の底と平行な底面と、前記底面の端縁から前記槽の開口端の位置まで延びる側面と、を備える請求項2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記溝は、前記槽の底と平行な底面と、前記底面の端縁から前記槽の開口端よりも低い位置まで延びる側面と、を備える請求項2記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記排出手段は、一端が前記槽内の液体又は気体内に浸され他端が前記液体又は気体を吸引する吸引手段に接続された排出管を備える請求項1記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記排出手段は、U字状に屈曲し前記槽内の液体又は気体内に浸された屈曲部を備え、両端が前記液体又は気体を吸引する吸引手段に接続された排出管を備え、
前記排出管は、前記屈曲部に設けられた開口を備える請求項1記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記送入機構は、前記排出手段により排出された液体又は気体が通過するフィルタと、前記フィルタ通過後の液体又は気体を再び前記槽内に送りだす手段を備える請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の基板処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−119603(P2012−119603A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270132(P2010−270132)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(302020207)株式会社ジャパンディスプレイセントラル (2,170)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(302020207)株式会社ジャパンディスプレイセントラル (2,170)
【Fターム(参考)】
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