説明

基板処理装置

【課題】処理液の再利用にともなって処理液に析出する不純物の発生を抑制し、基板の処理不良を防止できる。
【解決手段】第3配管33において第1分岐管41が接続されている部位45よりも下流側の位置の部位51に、第2分岐管47の上流側の一端が接続されており、第2分岐管47の下流側は第1回収タンク23に接続されている。制御部が、開閉弁43及び開閉弁49を開にし、開閉弁53を閉にした状態で、ヒータ35及び駆動ポンプ39をONにした後に、ヒータ35により加熱された処理液は、第3配管33から第2分岐管47に流れて、第1回収タンク23に供給され続ける。このため、加熱された処理液により第1回収タンク23に貯留された処理液が温められ、処理液の粘性が高くなることもなく、第1回収タンク23において処理液が滞留することもなく、処理液に不要物が析出するることが抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液、純水等の処理液により、洗浄、エッチング等の処理を基板に行うための基板処理装置に関する。処理対象となる基板には、例えば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用ガラス基板、FED(Field Emission
Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、太陽電池用ガラス基板等が含まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体装置や液晶表示装置の製造工程では、半導体ウエハや液晶表示パネル用ガラス基板等の基板に対して処理液や処理ガスなどの処理流体を用いた洗浄、エッチング等の処理が行われる。このような処理のために、基板を1枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置が用いられることがある。枚葉式の基板処理装置は、処理室内に、基板を保持する基板保持機構と、基板の表面に処理液を供給するためのノズルと、基板保持部材及びノズルを収容するカップとを備えている。
【0003】
この枚葉式の基板処理装置では、ノズルからの処理流体が基板の表面に供給されることにより、基板の表面に対しての処理が行われる。処理液を含む雰囲気がカップ外に漏れ出ることを防止するために、カップの底壁には、カップ内の雰囲気を排気するための排気孔が形成されている。また、基板の表面の処理に使用された処理液を再利用する構成が、各種提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載されているウエハ洗浄装置は、ウエハを処理する処理部と、この処理部においてウエハにアンモニア過水(APM)等の薬液を供給する供給ノズルと、処理部で使用された薬液を回収する回収回路と、回収回路を介して回収された薬液を一旦貯留する副貯留タンクと、副貯留タンクに貯留された薬液を副貯留タンクから排出する接続回路と、接続回路を介して副貯留タンクから排出された薬液を貯留する主貯留タンクと、主貯留タンクに貯留されている薬液を供給ノズルに供給する供給回路とを備えている。このウエハ洗浄装置では、供給ノズルと、回収回路と、副貯留タンクと、接続回路と、主貯留タンクと、供給回路とにより、薬液を再利用するための循環経路が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−218617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来のウエハ洗浄装置では、処理部で使用され、かつ再利用される薬液は副貯留タンクに一旦回収される。副貯留タンクに回収された薬液は何の処理も施されることもなく、接続回路を介して副貯留タンクから主貯留タンクへ薬液が供給される。このとき、副貯留タンクにおいて薬液の温度が下がってしまうと、薬液の種類によっては、薬液の粘性が高くなり副貯留タンクに薬液が滞留してしまうものがある。この薬液の温度低下及び副貯留タンクでの滞留により、薬液から不要物が析出されることがある。
【0007】
従来のウエハ洗浄装置では、接続回路にヒータを設けたり、主貯留タンクに付設された小さな循環回路にヒータを設けて、薬液を処理部で使用する温度に上昇させている。しかしながら、副貯留タンクにおいて一旦薬液に不要物が析出すると、その後の工程で薬液を加熱したとしても、薬液中に不要物が析出した状態のままであり、不要物を含む薬液が供
給ノズルからウエハへ供給されてしまう。このような不要物を含む薬液でウエハを処理すると、その不要物が原因で、意図する処理がウエハに行われなくなり処理不良が生じてしまう。
【0008】
なお、副貯留タンクそのものに、あるいは副貯留タンクの周囲にヒータ等の加熱機構を別途設けて、副貯留タンクに貯留された薬液を常時加熱することも考えられるが、加熱機構の設置は、基板処理装置として高価になってしまう恐れがある。
【0009】
そこで、本発明の目的は、処理液の再利用にともなって処理液に析出する不純物の発生を抑制し、基板の処理不良を防止できる基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した目的を達成するための請求項1に記載の発明は、基板に処理液を供給して処理を行う基板処理装置において、基板に処理液を供給する供給機構を有し、前記供給機構から供給された処理液により基板を処理する基板処理部と、前記基板処理部で処理された処理液を回収する第1回収部と、前記基板処理部で処理された処理液を前記第1回収部へ供給するための第1配管と、一端側が前記第1回収部に接続され、前記第1回収部にある処理液を前記第1回収部から排出するための第2配管と、前記第2配管を介して排出された処理液を回収する第2回収部と、前記第2回収部から排出された処理液を前記基板処理部の前記供給機構へ供給するための第3配管と、前記第3配管に設けられ、前記第3配管を流れる処理液を加熱する加熱機構と、前記第3配管の前記加熱機構より下流側に接続され、前記第3配管を流れる処理液を前記第2回収部へ供給する第1分岐管と、前記第3配管の前記第1分岐管が接続されている位置より下流側に接続され、前記第3配管を流れる処理液を前記第1回収部へ供給する第2分岐管と、前記第3配管の前記第2分岐管が接続されている位置より下流側に設けられた第1開閉弁と、前記第1分岐管に設けられた第2開閉弁と、前記第1開閉弁及び前記第2開閉弁の開閉動作を制御する制御手段とを備えることを特徴とするものである。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の基板処理装置において、前記第2分岐管に設けられた第3開閉弁と、前記第1回収部の液面レベルを検出する検出手段とをさらに備え、前記検出手段が最大基準値以上を検出した場合、前記制御手段は、前記第3開閉弁を閉にすることを特徴とするものである。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の基板処理装置において、前記第2配管に設けられ、前記第2配管を通して前記第1回収部から前記第2回収部へ処理液を供給させる駆動ポンプをさらに備え、前記検出手段が最小基準値以上を検出した場合、前記制御手段は、前記駆動ポンプを作動させることを特徴とするものである。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項2または請求項3に記載の基板処理装置において、前記第1配管に設けられた第4開閉弁をさらに備え、前記第4開閉弁が開になり、かつ前記検出手段が最大基準値以上を検出していない場合、前記制御手段は、前記第3開閉弁を開にすることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る基板処理装置によれば、第3配管の前記第1分岐管が接続されている位置より下流側に接続され、第3配管を流れる処理液を第1回収部へ供給する第2分岐管を設けているので、加熱機構で加熱された処理液が第1回収部へ供給される。その結果、本発明に係る基板処理装置では、第1回収部において処理液が滞留して処理液から不要物が析出されることが抑制され、処理液を再利用する際において、基板処理部において基板の処理不良の発生を防止できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態に係る基板処理装置の構成を概念的に示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る基板処理装置の制御系を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る基板処理装置の一連の処理動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る基板処理装置の概略構成を示す図である。
【0017】
この基板処理装置は、基板の一種であるウエハWに洗浄、エッチング、乾燥等の所定の処理を行う基板処理部1を備えている。基板処理部1は、ウエハWを1枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置である。
【0018】
この基板処理部1は、水平姿勢のウエハWを保持する保持機構3を備えている。この保持機構3でのウエハWの保持は、ウエハWの端部の複数個所を保持するメカニカルチャックである。この保持機構3の下側には回転軸5の一端側が接続されている。回転軸5の他端側にはモータ7が接続されている。このモータ7を駆動させることにより、保持機構3に保持された水平姿勢のウエハWが所定の回転数で回転する。
【0019】
保持機構3に保持されたウエハWの上方には、ウエハWの表面に処理液を供給する供給ノズル9が設けられている。なお、この供給ノズル9は、本発明の供給機構に相当する。保持機構3に保持されたウエハWの周囲には、円筒状の回収カップ11が配置されている。供給ノズル9からウエハWの表面に供給された処理液は、ウエハWの回転にともなって周囲に飛散し、回収カップ11で回収される。基板処理部1の底部には排出口13が設けられており、回収カップ11で回収された処理液は、排出口13から基板処理部1外へ排出される。なお、この実施の形態で使用する処理液としては、処理液の温度が低下した際に、粘性が高くなるものが考えられ、例えば、ST250(ATMI社製)、リン酸(HPO)等がある。
【0020】
排出口13には、排出管15の上流側の一端が接続されている。この排出管15は下流側の部位16において、2つの配管すなわち、廃棄管17と第1配管19とが接続されている。廃液管17の途中には、開閉弁21が設けられている。
【0021】
第1配管19の上流側は、部位16において排出管15に接続されており、下流側は第1回収タンク23に接続されている。第1配管19の途中には、本発明の第4開閉弁に相当する開閉弁25が設けられている。開閉弁21と開閉弁25は、制御部55(図2参照)により、それぞれ開閉動作の切り替えが可能である。開閉弁21を開にし、開閉弁25を閉にすると、基板処理部1にある処理液は、排出口13、排出管15、部位16及び廃液管17を介して基板処理装置外に排出される。一方、開閉弁25を開にし、開閉弁21を閉にすると、基板処理部1にある処理液は、排出口13、排出管15及び第1配管19を介して第1回収タンク23に回収される。なお、第1回収タンク23は、本発明の第1回収部に相当する。
【0022】
第1回収タンク23の側面には、第1回収タンク23に回収された処理液の液面レベルを検出するレベルセンサ27が設けられている。このレベルセンサ27には、最小基準値Aと最大基準値Bとが表示されている。最小基準値Aは、制御部55が、駆動ポンプ32(後述)の駆動を制御する基準液面であり、最大基準値Bは、開閉弁49の開閉を制御す
る基準液面である。図1に示すように、最大基準値Bは、最小基準値Aより高く設定されている。なお、このレベルセンサ27は、本発明の検出手段に相当する。
【0023】
この第1回収タンク23の底部には、排出口(図示省略)が形成されている。第1回収タンク23に貯留された処理液を第1回収タンク23から廃棄する場合は、この排出口を開いて、第1回収タンク23から処理液を排出する。
【0024】
第1回収タンク23の側面下部には、第2配管29の上流側の一端が接続されている。第2配管29の下流側には第2回収タンク31が接続されている。この第2配管29の途中には、本発明の駆動ポンプに相当する駆動ポンプ32が設けられており、制御部55からの制御により駆動ポンプ32が駆動すると、第1回収タンク23に貯留された処理液は、第2配管29を介して第2回収タンク31に供給される。なお、第2回収タンク31は本発明の第2回収部に相当する。
【0025】
この第2回収タンク31の底部には、第1回収タンク23と同様、排出口(図示省略)が形成されている。第2回収タンク31に貯留された処理液を第2回収タンク31から廃棄する場合は、この排出口を開いて、第2回収タンク31から処理液を排出する。
【0026】
第2回収タンク31の側面下部には、第3配管33の上流側の一端が接続されている。第3配管33の下流側は、基板処理部1の供給ノズル9に接続されている。基板処理部1の排出口13、排出管15、第1配管19、第1回収タンク23、第2配管29、第2回収タンク31及び第3配管33は、処理液を再利用するために、基板処理部1から一旦排出された処理液を再び基板処理部1へ供給させる循環経路を構成している。
【0027】
第3配管33の途中には、上流側からヒータ35、温度センサ37、及び駆動ポンプ39が順に設けられている。ヒータ35は、第3配管33を流れる処理液を加熱するものである。温度センサ37は、ヒータ35で加熱させられた処理液の温度を測定するものである。制御部55からの制御により、駆動ポンプ39が駆動すると、第2回収タンク31に貯留された処理液は、第3配管33を介して供給ノズル9側へ供給される。なお、このヒータ35は、本発明の加熱機構に相当する。
【0028】
第3配管33において駆動ポンプ39の下流側の部位45に、第1分岐管41の上流側の一端が接続されている。一方、第1分岐管41の下流側は第2回収タンク31に接続されている。この第1分岐管41の途中には、開閉弁43が設けられている。制御部55からの制御により開閉弁43を開にすると、第2回収タンク31から第3配管33へ一旦排出された処理液が、ヒータ35で加熱され、第3配管33及び第1分岐管41を介して第2回収タンク31へ供給される。なお、開閉弁43は、本発明の第2開閉弁に相当する。
【0029】
第3配管33において第1分岐管41が接続されている部位45よりも下流側の位置の部位51に、第2分岐管47の上流側の一端が接続されている。第2分岐管47の下流側は第1回収タンク23に接続されている。この第2分岐管47の途中には、開閉弁49が設けられている。制御部55からの制御により、開閉弁49を開にすると、第3配管33を流れている処理液が、第2分岐管47を介して第1回収タンク23に回収される。なお、開閉弁49は、本発明の第3開閉弁に相当する。
【0030】
第3配管33において第2分岐管47が接続されている部位51よりも下流側に、開閉弁53が設けられている。制御部55からの制御により、開閉弁53を開にすると、第2回収タンク31に貯留している処理液が、第3配管33を介して供給ノズル9へ供給され、基板処理部1において、ウエハの洗浄等の処理が行われる。
【0031】
図2は、本発明の実施の形態に係る基板処理装置の制御系を示すブロック図である。制御部55は、モータ7、開閉弁21、開閉弁25、レベルセンサ27、駆動ポンプ32、ヒータ35、温度センサ37、駆動ポンプ39、開閉弁43、開閉弁49、及び開閉弁53と接続されており、各駆動系の動作を制御する。なお、制御部55は、本発明の制御手段に相当する。
【0032】
なお、制御部55は、開閉弁21を開くときには、開閉弁25を閉にし、開閉弁21を閉にするときには、開閉弁25を開とするように、開閉弁21と開閉弁25とに連動性を持たせて制御している。また、制御部55は、開閉弁25を開くときには、開閉弁49も開くように、開閉弁25と開閉弁49とに連動性を持たせて制御している。また、制御部55は、レベルセンサ27が最大基準値B以上を検出した場合、開閉弁49を閉にするというように、レベルセンサ27と開閉弁49とに連動性を持たせて制御している。また、制御部55は、レベルセンサ27が最小基準値A以上を検出した場合、駆動ポンプ32を駆動するというように、レベルセンサ27と駆動ポンプ32とに連動性を持たせて制御している。さらに、制御部55は、開閉弁43が開くときには、開閉弁53を閉にし、開閉弁43を閉じるときには、開閉弁53を開とするように、開閉弁43と開閉弁53とに連動性を持たせて制御している。
【0033】
次に、本発明の実施の形態に係る基板処理装置の処理動作について説明する。図3は、本発明の実施形態に係る基板処理装置の処理動作を示すフローチャートである。なお、この処理動作は、再利用される処理液の流れに基づいている。
【0034】
まず、基板処理部1において、ウエハWの洗浄、エッチング等の処理の終了後、この処理で使用された処理液が排出口13から排出される(ステップS1)。排出口13から排出された処理液は、排出口13から排出管15へ流れていく。次に、制御部55は、処理液を廃棄するか、再利用するかのいずれかを判断する(ステップS2)。ステップS2において、処理液を廃棄する(再利用しない)と判断された場合、制御部55は開閉弁21を開き、開閉弁25を閉に制御する(ステップS3)。開閉弁21が開かれると、基板処理部1にある処理液は、排出口13、排出管15及び廃液管17を介して基板処理装置外に排出されて、廃液処理が終了する。
【0035】
一方、ステップS2において、処理液を再利用すると判断された場合、制御部55は、開閉弁21を閉じ、開閉弁25を開にする(ステップS4)。制御部55により、開閉弁25が開かれると、基板処理部1にある処理液は、排出口13、排出管15及び第1配管19を介して、第1回収タンク23に一旦回収される。なお、制御部55は、開閉弁25を開にするのに連動させて、開閉弁49も開にする。
【0036】
次に、第1回収タンク23に貯留される処理液の液面が、レベルセンサ27の最小基準値Aに達しているか否かを判断する(ステップS5)。ステップS5において、第1回収タンク23における処理液の液面レベルが、レベルセンサ27の最小基準値Aに達していると判断された場合には、このレベルセンサ27による検出に連動させて、制御部55は、駆動ポンプ32を作動させる(ステップS6)。駆動ポンプ32が作動すると、第1回収タンク23に貯留された処理液は、第2配管29を介して第2回収タンク31に供給され、第2回収タンク31に処理液が貯留されていく。
【0037】
次に、制御部55は、開閉弁43及び開閉弁49を開にし、開閉弁53を閉にした状態で、ヒータ35及び駆動ポンプ39をONにする(ステップS7)。駆動ポンプ39の駆動により、第2回収タンク31に貯留された処理液は、第3配管33及び第1分岐管41を介して再び第2回収タンク31へ供給されるように循環され、ヒータ35の加熱により、第3配管33を流れる処理液は加熱される。このとき、開閉弁49は開で、開閉弁53
は閉であるので、ヒータ35により加熱された処理液は、第3配管33から第2分岐管47に流れて、第1回収タンク23にも供給される。
【0038】
第2回収タンク31、第3配管33及び第1分岐管41で形成される循環経路において処理液が循環されている間に、温度センサ37は処理液が所定の温度になったか否かを判断する(ステップS8)。ステップS8において、処理液が所定の温度に到達したと判断されると、制御部55は、基板処理部1においてウエハWを処理液により処理すべきか否かを判断する(ステップS9)。ステップS9において、ウエハWを処理液により処理すべきと判断された場合、制御部55は、開閉弁53を開にし、開閉弁43を閉にする(ステップS10)。開閉弁53が開の状態になると、供給ノズル9は、第2回収タンク31に貯留されていた処理液を保持機構3に保持されたウエハWの表面に供給する。これにより、所定の時間処理液によりウエハWに対する洗浄等の処理が行われる(ステップS11)。
【0039】
ステップS10において、制御部55は、開閉弁43を閉にしているので、第2回収タンク31に貯留された処理液は、第3配管33及び第1分岐管41を介して再び第2回収タンク31へ供給されるような処理液の循環は停止される。また、開閉弁49は開の状態であるので、ステップS7以降において、ヒータ35により加熱された処理液は、第3配管33から第2分岐管47に流れて、第1回収タンク23に供給され続けている。なお、第1回収タンク23に貯留される処理液の液面が、レベルセンサ27の最大基準値Bに達した場合、制御部55は、開閉弁49を閉にする。
【0040】
ウエハWの処理が終了すると、制御部55は、開閉弁53を閉にし、開閉弁43を開にする(ステップS12)。続いて、これまでの上述した工程において稼動していた各機構が停止する。具体的には、制御部55により、駆動ポンプ32、ヒータ35及び駆動ポンプ39のそれぞれをOFFにする(ステップS13)。続いて、上述したステップS3へ移行する。開閉弁21が開かれると、基板処理部1にある処理液は、排出管15及び廃液管17を介して基板処理装置外に排出されて、廃液処理は終了する。ウエハWに対する処理液による処理が終了した後に、純水によりウエハWの処理が行われるが、再利用される処理液の流れに関する一連の処理動作は終了する。
【0041】
この発明の実施の形態においては、第3配管33において第1分岐管41が接続されている部位45よりも下流側の位置の部位51に、第2分岐管47の上流側の一端が接続されており、第2分岐管47の下流側は第1回収タンク23に接続されている。そして、制御部55が、開閉弁43及び開閉弁49を開にし、開閉弁53を閉にした状態で、ヒータ35及び駆動ポンプ39をONにするというステップS7以降において、ヒータ35により加熱された処理液は、第3配管33から第2分岐管47に流れて、第1回収タンク23に供給され続ける。これにより、加熱された処理液により第1回収タンク23に貯留された処理液が温められるので、処理液の粘性が高くなることもなく、第1回収タンク23において処理液が滞留することもなく、処理液に不要物が析出することが抑制される。その結果、循環経路を用いて処理液を再利用する際において、基板処理部1において不要物が原因で発生する基板の処理不良の防止できる。
【0042】
第3配管33において第2分岐管47の上流側の一端が接続されており、第2分岐管47の下流側は第1回収タンク23に接続させているだけなので、簡易な構成で、基板の処理不良の防止を実現できる。
【0043】
また、この発明の実施の形態においては、第1回収タンク23に貯留される処理液の液面レベルが、レベルセンサ27の最大基準値Bに達した場合、制御部55は、開閉弁49を閉にするように制御しているので、第1回収タンク23に処理液が溢れるようなことは
なく、第1回収タンク23に貯留される処理液の液量を適正に調整できる。
【0044】
また、この発明の実施の形態においては、第1回収タンク23における処理液の液面レベルが、レベルセンサ27の最小基準値Aに達すると、このレベルセンサ27による検出に連動させて、制御部55は、駆動ポンプ32を作動させているので、第1回収タンク23から第2回収タンク31への処理液の供給をスムーズに行うことができる。さらに、制御部55によるレベルセンサ27の最小基準値Aと駆動ポンプ32との連動性を持たせた制御により、第1回収タンク23に貯留される処理液の液量を適正に調整できる。
【0045】
また、この発明の実施の形態においては、制御部55は、開閉弁25を開にするのと連動させて、開閉弁49も開にしているので、循環経路を用いて処理液を再利用する際には、常時加熱された処理液を第3配管33から第2分岐管47に流して、第1回収タンク23に供給させることが可能となる。
【0046】
この発明の実施形態の説明は以上であるが、この発明は、上述の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。この実施形態では、基板処理部1においてウエハWを1枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置で説明したが、処理槽に貯留された処理液に複数の基板を浸漬させて処理するバッチ式の基板洗浄装置にも適用することができる。
【0047】
また、この実施形態では、検出手段としてのレベルセンサ27を1つのセンサで説明したが、複数のレベルセンサを設け、それぞれのレベルセンサに対応させる形式で、最大基準値、最小基準値を設定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 基板処理部
9 供給ノズル
16 部位
15 排出管
19 第1配管
23 第1回収タンク
25 開閉弁
27 レベルセンサ
29 第2配管
31 第2回収タンク
33 第3配管
35 ヒータ
37 温度センサ
41 第1分岐管
43 開閉弁
45 部位
47 第2分岐管
49 開閉弁
51 部位
53 開閉弁
W ウエハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に処理液を供給して処理を行う基板処理装置において、
基板に処理液を供給する供給機構を有し、前記供給機構から供給された処理液により基板を処理する基板処理部と、
前記基板処理部で処理された処理液を回収する第1回収部と
前記基板処理部で処理された処理液を前記第1回収部へ供給するための第1配管と
一端側が前記第1回収部に接続され、前記第1回収部にある処理液を前記第1回収部から排出するための第2配管と、
前記第2配管を介して排出された処理液を回収する第2回収部と
前記第2回収部から排出された処理液を前記基板処理部の前記供給機構へ供給するための第3配管と、
前記第3配管に設けられ、前記第3配管を流れる処理液を加熱する加熱機構と、
前記第3配管の前記加熱機構より下流側に接続され、前記第3配管を流れる処理液を前記第2回収部へ供給する第1分岐管と、
前記第3配管の前記第1分岐管が接続されている位置より下流側に接続され、前記第3配管を流れる処理液を前記第1回収部へ供給する第2分岐管と、
前記第3配管の前記第2分岐管が接続されている位置より下流側に設けられた第1開閉弁と、
前記第1分岐管に設けられた第2開閉弁と、
前記第1開閉弁及び前記第2開閉弁の開閉動作を制御する制御手段とを備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記第2分岐管に設けられた第3開閉弁と、
前記第1回収部の液面レベルを検出する検出手段とをさらに備え、
前記検出手段が最大基準値以上を検出した場合、前記制御手段は、前記第3開閉弁を閉にすることを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の基板処理装置において、
前記第2配管に設けられ、前記第2配管を通して前記第1回収部から前記第2回収部へ処理液を供給させる駆動ポンプをさらに備え、
前記検出手段が最小基準値以上を検出した場合、前記制御手段は、前記駆動ポンプを作動させることを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の基板処理装置において、
前記第1配管に設けられた第4開閉弁をさらに備え、
前記第4開閉弁が開になり、かつ前記検出手段が最大基準値以上を検出していない場合、前記制御手段は、前記第3開閉弁を開にすることを特徴とする基板処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−204746(P2012−204746A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69943(P2011−69943)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】