説明

基板処理装置

【課題】動作回数を重ねても、機構部の軸動作のズレが累積することを抑制できる基板処理技術を提供する。
【解決手段】基板処理レシピ記憶部と、当該基板処理装置を構成する機構部の原点出しを行うイニシャルレシピ記憶部と、イニシャル処理を行う基準回数を記憶するイニシャル基準記憶部と、実行済みの基板処理回数記憶部と、基板処理レシピを実行する基板処理実行部と、イニシャルレシピを実行するイニシャル処理実行部と、基板処理回数を更新する処理回数更新部と、基板処理回数記憶部に記憶した基板処理回数が、イニシャル基準記憶部に記憶した基準回数に達したか否かを判定する処理終了判定部と、イニシャル処理可能状態であるか否かを判定するイニシャル可否判定部とを備え、基板処理回数が前記基準回数に達すると当該基板処理装置における新たな基板処理開始を保留し、イニシャル処理可能状態になるとイニシャルレシピを実行するよう基板処理装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理レシピを用いて、半導体ウエハ等の基板を処理する基板処理装置に関し、特に、基板処理装置を構成する機構部が有する回転軸等の軸の原点出しを効果的に行うことのできる基板処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1に、基板処理装置としての、半導体装置の製造装置(半導体製造装置)の平面図を示す。図1に示す基板処理装置10は、基板としてのウエハを複数、例えば25枚のウエハを収容する基板収容器であるポッドPOD1(POD2)を、ロードポートLP1(LP2)上に載置し、ポッドPOD1(POD2)内のウエハを、大気中で動作する大気搬送ロボットLHにより、ロードロックチャンバLM1(LM2)内のボートBT1(BT2)へ搭載し、更に、ボートBT1(BT2)に搭載したウエハを、真空雰囲気中で動作する真空搬送ロボットTHにより、プロセスチャンバPM1(PM2)内へ搬送して、基板処理を行うものである。
【0003】
この大気搬送ロボットLHや真空搬送ロボットTHは、ウエハを支持するウエハ支持部を水平方向に回転させる回転軸や、上下方向に昇降させる昇降軸や、水平方向に伸縮させる伸縮軸を備えている。これらの回転軸や昇降軸や伸縮軸は、基板処理装置10電源投入時におけるイニシャル処理により、原点出しが行われる。
【0004】
ここで、原点出しとは、例えば、真空搬送ロボットTHが有する回転軸、昇降軸、伸縮軸の軸制御における原点位置を決めることである。軸制御においては、エンコーダを用いて原点位置からのオフセット指定で目標位置を指定する。各軸には、原点位置に原点センサが設けられており、原点センサが検出する位置まで低速で軸を動かし、原点センサが検出した位置を原点位置として、エンコーダのオフセット値を例えばゼロに設定する。原点出し後は、エンコーダのオフセット指定で目標位置を指定して軸動作させる。従来は、基板処理装置立ち上がり時のアイドル状態においてのみ、システムスタンバイ処理により原点出しのためのイニシャル処理を行い、その後、基板処理を実行可能なレディ状態へ遷移するようにしている。
【0005】
レディ状態においては、上位装置(ホストサーバ)や基板処理装置10の操作部からのプロセス実行要求を受け付けることができ、プロセス実行中に新たなプロセス実行要求を受けると、連続して処理を続行する。このプロセス実行要求は、ロット単位で発行され、基板処理装置10は、ウエハをロット単位で管理する。ここでは、ロット単位でウエハを処理することをロット処理と称する。ポッドには、最大25枚のウエハを収容できるので、1ロットのウエハ枚数は、最大25枚であるが、25枚以下の任意の数とすることもできる。例えば、1つのポッドに収容されている25枚のウエハを、5枚を1ロットとして、5ロットとすることもできる。また、1ロットをポッド単位で管理することもできる。
【0006】
したがって、一旦レディ状態に遷移して、上位装置(ホストサーバ)等からのプロセス実行要求を連続して受けると、真空搬送ロボットTH等の機構部は、エンコーダのオフセット指定で目標位置を指定して動作し続けるため、動作回数を重ねる毎に少しずつエンコーダの値がずれて、つまり、原点位置においてエンコーダのオフセット値がゼロからずれて、停止位置に対するズレが累積し、例えば、真空搬送ロボットTHのウエハ支持部がウエハと異常接触するウエハスクラッチ等の障害を発生するおそれが高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、動作回数を重ねても、機構部の軸動作のズレが累積することを抑制できる基板処理技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための、本発明の基板処理装置の代表的な構成は、次のとおりである。すなわち、
基板を処理する基板処理室と、記憶部と、基板処理を制御する制御部とを備えた基板処理装置であって、
前記記憶部は、
基板処理を行うための基板処理レシピを記憶する基板処理レシピ記憶部と、
当該基板処理装置を構成する機構部の原点出しを行うイニシャル処理を行うためのイニシャルレシピを記憶するイニシャルレシピ記憶部と、
所定の基板処理回数を、イニシャル処理を行う基準回数として記憶するイニシャル基準記憶部と、
実行済みの基板処理回数を記憶する処理回数記憶部とを備え、
前記制御部は、
前記基板処理レシピ記憶部に記憶した基板処理レシピを実行する基板処理実行部と、
前記イニシャルレシピ記憶部に記憶したイニシャルレシピを実行するイニシャル処理実行部と、
基板処理回数に応じて前記処理回数記憶部に記憶した基板処理回数を更新する処理回数更新部と、
前記処理回数記憶部に記憶した基板処理回数が、前記イニシャル基準記憶部に記憶した基準回数に達したか否かを判定する処理終了判定部と、
イニシャル処理が可能なイニシャル処理可能状態であるか否かを判定するイニシャル可否判定部とを備え、
前記処理終了判定部が前記基板処理回数が前記基準回数に達したと判定すると、前記基板処理実行部が当該基板処理装置における新たな基板処理開始を保留し、前記イニシャル可否判定部が前記イニシャル処理可能状態であると判定すると、前記イニシャル処理実行部がイニシャルレシピを実行するよう構成された基板処理装置。
【発明の効果】
【0009】
上記の構成によれば、基板を移動させる機構部の動作が停止するイニシャル処理可能状態において、機構部の原点出しを行うイニシャル処理を行うことができ、機構部の軸動作のズレが累積することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る基板処理装置の平面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る基板処理装置のプロセスチャンバの垂直断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る基板処理装置の機能ブロック図の構成例である。
【図4】本発明の実施形態に係る制御部の処理フローを示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る基板処理装置のステータス遷移図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態における基板処理装置を説明する。本実施形態において、基板処理装置は、一例として、半導体装置(IC:Integrated Circuit)の製造方法における処理工程を実施する半導体製造装置として構成されている。図1は、本発明の実施形態に係る基板処理装置10の平面図である。図2は、本発明の実施形態に係る基板処理装置10のプロセスチャンバの垂直断面図である。なお、以下の説明では、基板処理装置として基板上のレジストを除去するアッシング装置に適用した場合について述べる。
図1に示されるように、アッシング装置10は、ロードポートLP1、LP2と、EFEM(Equipment Front End Module)と、ロードロックチャンバLM1、LM2と、トランスファーモジュールTMと、アッシング処理がなされる処理室として用いられるプロセスチャンバPM1、PM2とを備えている。
【0012】
EFEMは、大気搬送ロボットLHを備える大気搬送室である。大気搬送ロボットLHは、FOUP(Front Opening Unified Pod、以下ポッド)であるPOD1、POD2からロードロックチャンバLM1、LM2へ基板であるウエハ20を搬送する。各ポッドには25枚のウエハ20が収容され、大気搬送ロボットLHのツイーザ(基板支持部)がポッドから5枚ずつウエハを抜き出す。本実施形態では、1つのポッドに収容された25枚のウエハを1ロットとして処理する。
【0013】
ロードロックチャンバLM1、LM2は、それぞれ、ポッドから搬送された25枚のウエハ20をロードロックチャンバLM1、LM2内でそれぞれ保持するボートBT1、BT2を備えている。ボートBT1、BT2は、それぞれ、ボートBT1、BT2を上下方向に昇降動作させ、また、水平方向に回転させるボート駆動部135(図示略)を備えている。ロードロックチャンバLM1とLM2の構成は同じである。ボートBT1とBT2の構成は同じである。
トランスファーモジュールTMには、真空搬送ロボットTHが設けられており、ゲートバルブを介して、ロードロックチャンバLM1、LM2と接続されている。
【0014】
プロセスチャンバPM1(PM2)は、後述するように、プロセスチャンバPM1(PM2)に導入されたアッシング処理用の反応ガスをプラズマ化し、そのプラズマを利用してプロセスチャンバPM1(PM2)内の1枚のウエハ20上のレジストをアッシングするアッシング処理(プラズマ処理)を行う処理室であり、ゲートバルブを介して、トランスファーモジュールTMと接続されている。
プロセスチャンバPM1(PM2)は、1枚のウエハ20を載置するサセプタ11を備えている。サセプタ11をそれぞれ貫通してリフターピン13が設けられている。リフターピン13は、上下方向に昇降可能である。プロセスチャンバPM1とPM2の構成は同じである。
【0015】
図2には、プロセスチャンバPM1の詳細が示されている。
プロセスチャンバPM1は、半導体基板や半導体素子に乾式処理でアッシングを施す高周波無電極放電型のプロセスチャンバである。プロセスチャンバPM1は、図2に示すように、プラズマを生成するためのプラズマ生成室30、半導体基板などのウエハ20を収容する処理室45、共振コイル32等のプラズマソースに高周波電力を供給する高周波電源44、及び高周波電源44の発振周波数を制御する周波数整合器46を備えている。
【0016】
反応容器31は、高純度の石英硝子やセラミックスにて円筒状に形成される。反応容器31の下方にある処理室45の底面には、複数(例えば4本)の支柱61によって支持されるサセプタ11が設けられ、サセプタ11には、サセプタ上のウエハを加熱するヒータ63が内蔵される。
【0017】
サセプタ11の下方に、排気板65が配設される。排気板65は、ガイドシャフト67を介して底板69に支持される。排気板65の下方に、昇降基板71がガイドシャフト67をガイドとして昇降自在に動くように設けられる。昇降基板71は、少なくとも3本のリフターピン13を支持している。リフターピン13は、サセプタ11を貫通する。リフターピン13の頂には、ウエハ20を支持するウエハ支持部14が設けられている。リフターピン13の昇降によって、ウエハ20をサセプタ11に載置し、あるいはサセプタ11から持ち上げることができる。底板69を経由して、昇降駆動部136(図示略)の昇降シャフト73が昇降基板71に連結されている。昇降駆動部136が昇降シャフト73を昇降させることで、昇降基板71とリフターピン13を介して、ウエハ支持部14が昇降する。
【0018】
サセプタ11と排気板65の間に、バッフルリング58が設けられる。円筒状のバッフルリング58は、通気孔が多数均一に設けられており、通気孔によって、処理室45と第1排気室74が連通している。
排気板65に、排気連通孔75が設けられる。排気連通孔75によって、第1排気室74と第2排気室76が連通される。第2排気室76には、排気管80が連通されており、排気管80には、圧力制御バルブ81と真空ポンプ82が設けられている。
【0019】
反応容器31の上部のトッププレート54には、ガス供給ユニットから伸長され且つ所要のプラズマ用の反応ガスを供給するためのガス供給管55が、ガス導入口33に付設されている。ガス供給ユニットは、ガス供給源24と、流量制御部であるマスフローコントローラ(MFC)23と、開閉弁22とを有している。MFC77及び開閉弁78を制御することで、ガスの供給量を制御する。
また、反応容器31内には、反応ガスを反応容器31の内壁に沿って流れるようにするための略円板形で、石英からなるバッフル板60が設けられている。
なお、流量制御部23及び圧力制御バルブ81によって、ガスの供給量、排気量を調整することにより、処理室45の圧力が調整される。
【0020】
共振コイル32の両端は電気的に接地されており、共振コイル32の少なくとも一端は、可動タップ62を介して接地される。図2中の符号64は他方の固定グランドを示す。更に、共振コイル32のインピーダンスを微調整するため、共振コイル32の接地された両端の間には、可動タップ66によって給電部が構成される。
【0021】
外側シールド52は、共振コイル32の外側への電磁波の漏れを遮蔽するもので、アルミニウム合金、銅又は銅合金などの導電性材料を使用して円筒状に形成される。
高周波電源44の出力側にはRFセンサ68が設置され、進行波、反射波等をモニタしている。RFセンサ68によってモニタされた反射波電力は、周波数整合器46に入力される。周波数整合器46は、反射波が最小となるよう周波数を制御する。
【0022】
以上のように構成されたアッシング装置10において、ポッドPOD1(POD2)からロードロックチャンバLM1(LM2)へと25枚のウエハ20が搬送される。このとき、まず、大気搬送ロボットLHが、ロードポートLP1(LP2)のポッドPD1(PD2)内へ、大気搬送ロボットLHのツィーザを挿入し、5枚のウエハをツィーザ上へ載置する。このとき、取り出すウエハの高さ方向の位置に合わせて、大気搬送ロボットLHのツィーザを上下させる。
5枚のウエハをツィーザへ載置してポッドPD1(PD2)内から取り出した後、大気搬送ロボットLHは、ロードロックチャンバLM1(LM2)方向に水平回転し、ロードロックチャンバLM1(LM2)内のボートBT1(BT2)に5枚のウエハを搭載する。このとき、ボートBT1(BT2)の上下方向(Z軸方向)の動作により、ボートBT1(BT2)は、大気搬送ロボットLHから5枚のウエハ20を受け取る。以上の動作を繰り返してボートBT1(BT2)が25枚のウエハを受け取った後、ボートBT1(BT2)の最下層にあるウエハが、トランスファーモジュールTMの真空搬送ロボットTHのフィンガーの高さ位置に合うよう、ボートBT1(BT2)を上下方向に動作させる。
【0023】
次に、真空搬送ロボットTHのフィンガーを、ロードロックチャンバLM1(LM2)のボートBT1(BT2)内へ挿入し、ボートBT1(BT2)に保持されているウエハのうち1枚のウエハを、真空搬送ロボットTHのフィンガー(基板支持部)に搭載する。
1枚のウエハをフィンガーに搭載してロードロックチャンバLM1(LM2)内から取り出した後、真空搬送ロボットTHは、プロセスチャンバPM1(PM2)方向に水平回転し、さらに水平方向にフィンガーを延伸し、プロセスチャンバPM1(PM2)内のサセプタ11上にウエハを移載する。このとき、ウエハ20を搭載したフィンガーが、処理室45に進入するとリフターピン13が上昇し、フィンガーは、上昇されたリフターピン13にウエハ20を載置する。
【0024】
室温に保持されたウエハ20を載置した後、アッシングガスを、ガス供給管55からプラズマソースに供給する。アッシングガスには、酸素、水素、水、アンモニア、四フッ化炭素(CF)等が用いられる。ガス供給後、高周波電源44が、共振コイル32に電力を供給する。
共振コイル32内部に励起される誘導磁界によって自由電子を加速し、ガス分子と衝突させることでガス分子を励起してプラズマを生成する。このようにして、プラズマ化されたアッシングガスにより、アッシング処理を行う。
【0025】
その後、ウエハ20の処理が終了すると、逆の動作により、処理が終了したウエハ20をサセプタ11から、真空搬送ロボットTHによって、ロードロックチャンバLM1(LM2)内のボートBT1(BT2)に移載する。以上の動作を繰り返して、ボートBT1(BT2)に搭載された25枚のウエハ20を処理する。
【0026】
以上のように構成されたアッシング装置10では、ロードロックチャンバLM1(LM2)へ25枚のウエハ20が搬送され、ロードロックチャンバLM1(LM2)内が真空引き(真空置換)され、ロードロックチャンバLM1(LM2)から、トランスファーモジュールTMを経て1枚のウエハ20がプロセスチャンバPM1(PM2)へと搬送され、プロセスチャンバPM1(PM2)でウエハ20からレジストの除去がなされ(除去工程)、レジストの除去がなされたウエハ20が、トランスファーモジュールTMを経て再びロードロックチャンバLM1(LM2)へ搬送される。
このように、アッシング装置10は、1つのポッドに収容された最大25枚のウエハを、1ロットとして処理する。また、アッシング装置10は、上位装置等からの指令に基づき、複数ロットを連続して処理する。
【0027】
次に、図3を参照して、基板処理装置における制御部110を中心とした機能ブロック構成について説明する。図3に示されるように、制御部110には、操作部131、表示部132、大気搬送ロボットLH、真空搬送ロボットTH、ロードロックチャンバLM1(LM2)のボート駆動部135、リフターピン13の昇降駆動部136、サセプタ11のヒータ63(図示略)、真空ポンプや圧力バルブ(図示略)、MFC(マスフローコントローラ、図示略)、記憶部120等の各構成部が電気的に接続されており、制御部110は、これらの各構成部を制御する。
【0028】
操作部131は、操作員がアッシング装置10に対し行う各種操作を受け付ける。表示部132は、アッシング装置10を操作するための操作画面や、RFセンサ68による反射波のモニタ結果等、アッシング装置10に設けられた各種検出部で検出されたデータ等を表示する。
【0029】
記憶部120は、基板処理レシピ記憶部121と、イニシャルレシピ記憶部122と、イニシャル基準記憶部123と、処理回数記憶部124とを備える。記憶部120は、ハードディスクや半導体メモリ等から構成することができる。
基板処理レシピ記憶部121は、基板処理を行うための基板処理レシピ(基板処理のシーケンス)を記憶する。
イニシャルレシピ記憶部122は、基板処理装置を構成する機構部の原点出しを行うイニシャル処理を行うためのイニシャルレシピを記憶する。イニシャル処理については、詳しく後述する。
【0030】
イニシャル基準記憶部123は、所定の基板処理回数を、イニシャル処理を行う基準回数として記憶するものであり、この基準回数分の基板処理が行われる毎に、イニシャル処理が行われる。
ロット処理を行う本実施形態においては、イニシャル基準記憶部123は、所定のロット処理回数を、イニシャル処理を行う基準回数として記憶するものであり、この基準回数分のロット処理が行われる毎に、イニシャル処理が行われる。このイニシャル処理を行う基準回数は、例えば操作部131からの操作員の指示や、アッシング装置10の上位装置からの指令等に基づき設定される。
処理回数記憶部124は、実行済みの基板処理回数を記憶するものであり、処理回数記憶部124に記憶された処理回数は、イニシャル処理が実行されるとゼロクリアされる。ロット処理を行う本実施形態においては、処理回数記憶部124は、実行済みのロット処理回数を記憶する。
【0031】
制御部110は、大気搬送ロボットLH、真空搬送ロボットTH、ボートBT1(BT2)、リフターピン13等の移動可能な構成部の位置を制御する位置コントローラ(図示略)、サセプタ11を加熱するヒータ63の温度を制御する温度コントローラ(図示略)、プロセスチャンバPM1(PM2)内の雰囲気を排気するための減圧排気装置としての真空ポンプ・圧力バルブを開閉、調整する圧力コントローラ(図示略)、処理室に連通する原料ガス供給管等の開閉と、原料ガス供給管等に配置されたMFCの流量を制御する弁コントローラ(図示略)等を含む。
【0032】
また、制御部110は、基板処理実行部111と、イニシャル処理実行部112と、処理回数更新部113と、処理終了判定部114と、イニシャル可否判定部115とを備える。制御部110は、ハードウエア構成としては、CPU(Central Processing Unit)と制御部110の動作プログラム等を格納するメモリを備えており、CPUは、この動作プログラムに従って動作する。
基板処理実行部111は、例えば上位装置からの指令や操作部131からの操作員の指示等に基づき、前記基板処理レシピ記憶部121に記憶した基板処理レシピを読み出して、基板処理レシピに記述されたプロセスステップを、順次実行する。
【0033】
イニシャル処理実行部112は、当該基板処理装置を構成する機構部の原点出しを行うイニシャル処理を行う。機構部の原点出しとは、前述したように、例えば、真空搬送ロボットTHが有する回転軸、昇降軸、伸縮軸の軸制御における原点位置を決めることである。軸制御においては、エンコーダを用いて原点位置からのオフセット指定で目標位置を指定する。各軸には、原点位置に原点センサが設けられており、原点センサが検出する位置まで低速で軸を動かし、原点センサが検出した位置を原点位置として、エンコーダのオフセット値を例えばゼロに再設定する。
【0034】
ここで、本発明の実施形態に係る基板処理装置のステータス遷移について、図5を用いて概要を説明する。図5は、基板処理装置の制御部110のステータス遷移図である。図5に示すように、制御部110は、電源投入後、待機状態であるアイドル状態S51に遷移する。アイドル状態S51において、スタンバイコマンド(スタンバイ命令)C51を操作部131から受けると、スタンバイ状態S52に遷移し、後述の生産可能なレディ状態S53にするためのスタンバイ処理を実行する。スタンバイ処理には、イニシャル処理や、処理室を所定の温度や圧力にする処理等が含まれる。スタンバイ処理が正常終了すると、基板処理実行の指示(ジョブ開始命令)待ち状態であるレディ状態S53に遷移し、スタンバイ処理が異常終了すると、アイドル状態S51に戻る。
【0035】
レディ状態S53において、ジョブ開始コマンド(ジョブ開始命令)C52を操作部131や上位装置から受けると、基板処理レシピ実行中の状態であるラン状態S54に遷移し、基板処理を実行する。基板処理が正常終了すると、レディ状態S53に戻り、基板処理実行の指示(ジョブ開始命令)C52待ち状態になる。基板処理が異常終了すると、アイドル状態S51に遷移する。
従来は、基板処理装置の立ち上がり時のアイドル状態S51においてのみイニシャル処理を行い、その後、基板処理を実行可能なレディ状態S53へ遷移すると、異常終了しない限り、イニシャル処理を行わなかったが、本実施形態においては、レディ状態S53においても、後述するように、処理終了判定部114が基板処理回数が所定の基準回数に達しと判定し、かつイニシャル可否判定部115がイニシャル処理可能状態であると判定した場合に、前記イニシャル処理を実行するものである。
【0036】
ここで、イニシャル処理可能状態とは、基板処理装置の基板を移動可能な機構部に基板が存在しない状態である。例えば、ロードロックチャンバLM1(LM2)内のボートBT1(BT2)、大気搬送ロボットLH、プロセスチャンバPM1(PM2)内のサセプタ11等、基板を移動可能な機構部に製品基板が存在しない状態である。
本実施形態においては、基板処理を終えたウエハ25枚が、ロードロックチャンバLM1内のボートBT1から、ロードポートLP1上のポッドPD1へ戻り、ロードロックチャンバLM2内のボートBT2から、ロードポートLP2上のポッドPD2へ戻り、ロードポートLP1上、LP2以外の場所にウエハが存在しない状態が、イニシャル処理可能状態である。
【0037】
イニシャル処理可能状態においては、基板を移動可能な機構部に製品基板が存在しないので、製品基板の品質に影響を与えることなく、イニシャル処理により機構部の原点出しを行うことができる。かくして、イニシャル処理可能状態においては、ロードロックチャンバLM1(LM2)内のボートBT1(BT2)昇降機構、大気搬送ロボットLHの回転、昇降、伸縮機構、プロセスチャンバPM1(PM2)内のリフターピン13の昇降機構等の原点出しを行うことができる。
【0038】
本実施形態においては、上述の真空搬送ロボットTHの他にも、ロードロックチャンバLM1(LM2)内のボートBT1(BT2)昇降機構、大気搬送ロボットLHの回転、昇降、伸縮機構、プロセスチャンバPM1(PM2)内のリフターピン13の昇降機構等、各機構部が複数の制御軸を有しているが、前述したように、ロット処理を行う本実施形態においては、処理終了判定部114がロット処理回数が所定の基準回数に達したと判定すると、レディ状態を維持したまま、次のロット処理を行わずに保留する次ロット処理保留状態になり、該次ロット処理保留状態において、仕掛かり中の現行ロット処理を継続し、その後、基板処理装置の基板を移動可能な機構部に基板が存在しない状態になり、イニシャル可否判定部115がイニシャル処理可能状態であると判定した場合に、つまり、イニシャル処理可能状態になるまで待って、レディ状態において、機構部の軸をイニシャル処理するようにしている。
これにより、蓄積された軸位置の誤差を修正することができる。また、上記イニシャル処理可能状態において、複数の機構部における複数の軸を並行してイニシャル処理するようにしているので、短時間で効率よく、上記誤差を修正することができる。好ましくは、全ての機構部における全ての軸を、同時に並行してイニシャル処理するのがよい。
また、ロット処理とロット処理の間でイニシャル処理するようにしているので、同一ロット内の基板の搬送時や処理時の位置を略同等とすることができ、同一ロット内の基板の処理品質のバラツキを抑制することができる。
【0039】
処理回数更新部113は、基板処理回数に応じて、例えば、基板処理毎に前記処理回数記憶部に記憶した基板処理回数を更新する。ロット処理を行う本実施形態においては、処理回数更新部113は、1ロット処理毎に、処理回数記憶部124に記憶したロット処理回数を更新する。本実施形態においては、1つのポッドに収容された25枚の基板が、1ロットとして取り扱われる。つまり、1ロット処理とは、1つのポッドに収容された25枚の基板を処理することであり、ロードポートLP1(LP2)に載置された1つのポッドから25枚の基板が取り出されて処理され、再び元のポッドへ戻ることをいう。
【0040】
処理終了判定部114は、処理回数記憶部124に記憶した基板処理回数が、イニシャル基準記憶部123に記憶した基準回数に達したか否かを判定する。ロット処理を行う本実施形態においては、処理終了判定部114は、処理回数記憶部124に記憶したロット処理回数が、イニシャル基準記憶部123に記憶した基準ロット回数に達したか否かを判定する。
【0041】
イニシャル可否判定部115は、イニシャル処理が可能なイニシャル処理可能状態であるか否かを判定する。ロット処理を行う本実施形態においては、イニシャル可否判定部115は、ロット処理が終了し、基板処理装置の基板を移動可能な機構部に基板が存在しない状態、すなわち、ポッドPD1、PD2から取り出されて処理された基板の全てが、再びポッドPD1、PD2へ戻った状態であるか否かを判定する。
【0042】
次に、本発明の実施形態に係る制御部110の処理フローについて、図4を用いて説明する。図4は、本発明の実施形態に係る制御部110の処理フローを示す図である。図4において、制御部110は、操作部131や上位装置からのプロセス実行要求があるか否かを判断する(ステップS1)。プロセス実行要求がない場合(ステップS1でNo)は、プロセス実行要求があるまで待つ。プロセス実行要求があった場合(ステップS1でYes)は、処理終了判定部114が、処理回数記憶部124に記憶したロット処理回数が、イニシャル基準記憶部123に記憶した基準ロット回数に達したか否かを判定する(ステップS2)。ロット処理回数が基準ロット回数に達していない場合(ステップS2でNo)は、ステップS6へ遷移し、ステップS1のプロセス実行要求に基づき、次のロット処理へ移る。
【0043】
ロット処理回数が基準ロット回数に達していた場合(ステップS2でYes)は、ステップS1のプロセス実行要求を保留、つまり、次のロット処理を保留するとともに、イニシャル可否判定部115が、先行ロットの処理(先行ジョブ)が実行中でないか否か、すなわち、先行のロット処理が終了して、先行ロットのウエハが全て、ロードポートLP1(LP2)上のポッドPD1(PD2)に戻ったイニシャル処理可能状態であるか否かを判定する(ステップS3)。先行のロット処理が終了しておらず、イニシャル処理可能状態でない場合(ステップS3でYes)は、終了するまで待つ。すなわち、ロードポートLP1(LP2)に載置されたポッドPD1(PD2)に収容されていた25枚の基板が、プロセスチャンバPM1(PM2)で処理されて、ロードポートLP1(LP2)上のポッドPD1(PD2)に戻るまで待つ。したがって、ポッドPD1(PD2)に未処理基板が存在する場合は、該未処理基板がプロセスチャンバPM1(PM2)で処理されて、ポッドPD1(PD2)に戻るまで待つ。
【0044】
先行のロット処理が終了し、先行ロットの基板がポッドPD1(PD2)に戻ったイニシャル処理可能状態になると(ステップS3でNo)、イニシャル処理実行部112が、例えば、全ての機構部における全ての軸を同時に並行してイニシャル処理(全軸イニシャル処理)し、処理回数記憶部124に記憶したロット処理回数をゼロクリアする。その後、ステップS6へ遷移して、ステップS2のYesの場合に保留していたプロセス実行要求に基づき、次のロット処理へ移る。
【0045】
ステップS6において、処理回数更新部113が、処理回数記憶部124に記憶したロット処理回数をカウントアップして更新する。次に、ステップS7において、大気搬送ロボットLHを用いて、ロードポートLP1(LP2)上のポッドPD1(PD2)内の基板25枚を、ロードロックチャンバLM1(LM2)内のボートBT1(BT2)へ搬送し、ステップS8において、ロット単位での基板処理を実行する。
【0046】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変更が可能であることはいうまでもない。前記実施形態では、ロット処理を行う基板処理装置において、ロット処理とロット処理の間で、イニシャル処理を行う例を説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、ロット処理に関係なく、基板処理回数がイニシャル処理を行う基準回数に達したときに、原点出しを行う機構部に基板が存在しない状態になるまで待って、ロット処理とロット処理の間ではなく、1枚の基板処理と1枚の基板処理の間で、イニシャル処理を行うこともできる。例えば、イニシャル処理を行う基準回数を100枚とし、100枚の基板処理を実施した場合に、原点出しを行う機構部に基板が存在しない状態になるまで待って、イニシャル処理を行うこともできる。
また、本発明は、半導体製造装置だけでなく、LCD製造装置のようなガラス基板を処理する装置や、他の基板処理装置にも適用できる。基板処理の処理内容は、CVD、PVD、酸化膜、窒化膜、金属含有膜等を形成する成膜処理だけでなく、露光処理、リソグラフィ、塗布処理等であってもよい。
【0047】
なお、本明細書には、基板処理装置、又は半導体装置の製造方法に関する次の発明が含まれる。すなわち、第1の発明は、
基板を処理する基板処理室と、記憶部と、基板処理を制御する制御部とを備えた基板処理装置であって、
前記記憶部は、
基板処理を行うための基板処理レシピを記憶する基板処理レシピ記憶部と、
当該基板処理装置を構成する機構部の原点出しを行うイニシャル処理を行うためのイニシャルレシピを記憶するイニシャルレシピ記憶部と、
所定の基板処理回数を、イニシャル処理を行う基準回数として記憶するイニシャル基準記憶部と、
実行済みの基板処理回数を記憶する処理回数記憶部とを備え、
前記制御部は、
前記基板処理レシピ記憶部に記憶した基板処理レシピを実行する基板処理実行部と、
前記イニシャルレシピ記憶部に記憶したイニシャルレシピを実行するイニシャル処理実行部と、
基板処理回数に応じて前記処理回数記憶部に記憶した基板処理回数を更新する処理回数更新部と、
前記処理回数記憶部に記憶した基板処理回数が、前記イニシャル基準記憶部に記憶した基準回数に達したか否かを判定する処理終了判定部と、
イニシャル処理が可能なイニシャル処理可能状態であるか否かを判定するイニシャル可否判定部とを備え、
前記処理終了判定部が前記基板処理回数が前記基準回数に達したと判定すると、前記基板処理実行部が当該基板処理装置における新たな基板処理開始を保留し、前記イニシャル可否判定部が前記イニシャル処理可能状態であると判定すると、前記イニシャル処理実行部がイニシャルレシピを実行するよう構成された基板処理装置。
上記の構成によれば、基板を移動させる機構部の動作が停止するイニシャル処理可能状態において、機構部の原点出しを行うイニシャル処理を行うことができ、機構部の軸動作のズレが累積することを抑制できる。
【0048】
第2の発明は、前記第1の発明の基板処理装置であって、
前記イニシャル処理実行部がイニシャルレシピを実行した後、前記基板処理実行部が自動的に次の基板処理のための基板処理レシピを実行する基板処理装置。
上記の構成によれば、基板を移動させる機構部の動作が停止するイニシャル処理可能状態において、機構部の原点出しを行うイニシャル処理を行うことができ、機構部の軸動作のズレが累積することを抑制できる。更にその後、基板処理を引き続き実行できるので、基板処理装置の稼働率が向上し、結果としてスループットを向上することができる。
【0049】
第3の発明は、前記第1の発明又は前記第2の発明の基板処理装置であって、
前記処理終了判定部が前記基板処理回数が前記基準回数に達したと判定した場合においても、前記イニシャル可否判定部が前記イニシャル処理可能状態でないと判定した場合は、前記イニシャル処理実行部がイニシャルレシピを実行せず、前記イニシャル処理可能状態になるまで前記基板処理実行部が基板処理レシピを実行する基板処理装置。
上記の構成によれば、基板を移動させる機構部の動作が停止するイニシャル処理可能状態において、機構部の原点出しを行うイニシャル処理を行うことができる。
【0050】
第4の発明は、前記第1の発明ないし前記第3の発明の基板処理装置であって、
前記イニシャル処理実行部が、当該基板処理装置を構成する複数の機構部のイニシャル処理を行う基板処理装置。
上記の構成によれば、基板を移動させる機構部の動作が停止するイニシャル処理可能状態において、複数の機構部の原点出しを行うイニシャル処理を効率的に行うことができる。
【0051】
第5の発明は、前記第4の発明の基板処理装置であって、
前記イニシャル処理実行部が、当該基板処理装置を構成する複数の機構部のイニシャル処理を並行して行う基板処理装置。
上記の構成によれば、基板を移動させる機構部の動作が停止するイニシャル処理可能状態において、複数の機構部の原点出しを行うイニシャル処理をより効率的に行うことができる。
【0052】
第6の発明は、前記第5の発明の基板処理装置であって、
前記イニシャル処理実行部が、当該基板処理装置を構成する複数の機構部の全ての駆動軸に対するイニシャル処理を並行して行う基板処理装置。
上記の構成によれば、基板を移動させる機構部の動作が停止するイニシャル処理可能状態において、複数の機構部の原点出しを行うイニシャル処理を更に効率的に行うことができる。
【0053】
第7の発明は、前記第1の発明の基板処理装置であって、
前記基板処理装置は、装置立ち上がり時のアイドル状態と、前記基板処理を実行可能なレディ状態と、前記基板処理を実行中のラン状態を有し、
前記イニシャル処理実行部は、前記レディ状態において、前記処理終了判定部が前記基板処理回数が前記基準回数に達しと判定し、かつ前記イニシャル可否判定部が前記イニシャル処理可能状態であると判定した場合に、前記イニシャルレシピを実行するとともに、前記アイドル状態から前記レディ状態へ遷移する際にも前記イニシャルレシピを実行するものである基板処理装置。
上記の構成によれば、基板を移動させる機構部の動作が停止するイニシャル処理可能状態において、機構部の原点出しを行うイニシャル処理を行うことができ、機構部の軸動作のズレが累積することを抑制できる。
【0054】
第8の発明は、
所定の基板処理回数を、機構部の原点出しを行うイニシャル処理を行う基準回数としてイニシャル基準記憶部に記憶するイニシャル基準記憶工程と、
処理回数記憶部に記憶した基板処理回数を更新する処理回数更新工程と、
基板処理レシピを実行する基板処理工程と、
前記処理回数記憶部に記憶した基板処理回数が、前記イニシャル基準記憶部に記憶した基準回数に達したか否かを判定する処理終了判定工程と、
イニシャル処理が可能なイニシャル処理可能状態であるか否かを判定するイニシャル可否判定工程と、
前記処理終了判定工程において前記基板処理回数が前記基準回数に達したと判定され、かつ前記イニシャル可否判定工程において前記イニシャル処理可能状態であると判定された場合に、イニシャル処理を行うイニシャル処理工程と、
を備えた基板処理方法。
上記の構成によれば、基板を移動させる機構部の動作が停止するイニシャル処理可能状態において、機構部の原点出しを行うイニシャル処理を行うことができ、機構部の軸動作のズレが累積することを抑制できる。
【0055】
第9の発明は、
基板を処理する基板処理室と、記憶部と、基板処理を制御する制御部とを備え、複数の基板を1ロットとして処理する基板処理装置であって、
前記記憶部は、
基板処理を行うための基板処理レシピを記憶する基板処理レシピ記憶部と、
当該基板処理装置を構成する機構部の原点出しを行うイニシャル処理を行うためのイニシャルレシピを記憶するイニシャルレシピ記憶部と、
所定のロット処理回数を、イニシャル処理を行う基準回数として記憶するイニシャル基準記憶部と、
実行済みのロット処理回数を記憶する処理回数記憶部とを備え、
前記制御部は、
前記基板処理レシピ記憶部に記憶した基板処理レシピを実行する基板処理実行部と、
ロット処理回数に応じて前記処理回数記憶部に記憶したロット処理回数を更新する処理回数更新部と、
前記処理回数記憶部に記憶したロット処理回数が、前記イニシャル基準記憶部に記憶した基準回数に達したか否かを判定する処理終了判定部と、
イニシャル処理が可能なイニシャル処理可能状態であるか否かを判定するイニシャル可否判定部と、
前記処理終了判定部が前記ロット処理回数が前記基準回数に達しと判定し、かつ前記イニシャル可否判定部が前記イニシャル処理可能状態であると判定した場合に、前記イニシャルレシピ記憶部に記憶したイニシャルレシピを実行するイニシャル処理実行部と、
を備えた基板処理装置。
上記の構成によれば、基板を移動させる機構部の動作が停止するロットの区切り(ロットとロットの間)において、機構部の原点出しを行うイニシャル処理を行うことができ、機構部の軸動作のズレが累積することを抑制できる。
【0056】
第10の発明は、
複数の基板を1ロットとして処理する基板処理装置における基板処理方法であって、
所定のロット処理回数を、機構部の原点出しを行うイニシャル処理を行う基準回数としてイニシャル基準記憶部に記憶するイニシャル基準記憶工程と、
実行済みのロット処理回数を処理回数記憶部に記憶する処理回数記憶工程と、
基板処理レシピを実行する基板処理工程と、
前記処理回数記憶部に記憶したロット処理回数が、前記イニシャル基準記憶部に記憶した基準回数に達したか否かを判定する処理終了判定工程と、
イニシャル処理が可能なイニシャル処理可能状態であるか否かを判定するイニシャル可否判定工程と、
前記処理終了判定工程において前記ロット処理回数が前記基準回数に達したと判定され、かつ前記イニシャル可否判定工程において前記イニシャル処理可能状態であると判定された場合に、イニシャル処理を行うイニシャル処理工程と、
を備えた基板処理方法。
上記の構成によれば、基板を移動させる機構部の動作が停止するロットの区切り(ロットとロットの間)において、機構部の原点出しを行うイニシャル処理を行うことができ、機構部の軸動作のズレが累積することを抑制できる。
【0057】
第11の発明は、
基板を処理する基板処理室と、記憶部と、基板処理を制御する制御部とを備えた基板処理装置であって、
前記記憶部は、
基板処理を行うための基板処理レシピを記憶する基板処理レシピ記憶部と、
当該基板処理装置を構成する機構部の原点出しを行うイニシャル処理を行うためのイニシャルレシピを記憶するイニシャルレシピ記憶部とを備え、
前記制御部は、
前記基板処理レシピ記憶部に記憶した基板処理レシピを実行する基板処理実行部と、
前記イニシャルレシピ記憶部に記憶したイニシャルレシピを実行するイニシャル処理実行部とを備え、
前記基板処理実行部が基板処理を所定の回数行うと、当該基板処理装置における新たな基板処理開始を保留してイニシャル処理が可能なイニシャル処理可能状態になるまで待ち、イニシャル処理可能状態になると前記イニシャル処理実行部がイニシャルレシピを実行するよう構成された基板処理装置。
上記の構成によれば、基板を移動させる機構部の動作が停止するイニシャル処理可能状態において、機構部の原点出しを行うイニシャル処理を行うことができ、機構部の軸動作のズレが累積することを抑制できる。
【符号の説明】
【0058】
BT1…ボート、BT2…ボート、LH…大気搬送ロボット、LM1…ロードロックチャンバ、LM2…ロードロックチャンバ、LP1…ロードポート、LP2…ロードポート、PM1…プロセスチャンバ、PM2…プロセスチャンバ、TH…真空搬送ロボット、TM…トランスファーモジュール、11…サセプタ、13…リフターピン、30…プラズマ生成室、31…反応容器、32…高周波コイル、33…ガス導入口、45…処理室、46…周波数整合器、110…制御部、111…基板処理実行部、112…イニシャル処理実行部、113…処理回数更新部、114…処理終了判定部、115…イニシャル可否判定部、120…記憶部、121…基板処理レシピ記憶部、122…イニシャルレシピ記憶部、123…イニシャル基準記憶部、124…処理回数記憶部、131…操作部、132…表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する基板処理室と、記憶部と、基板処理を制御する制御部とを備えた基板処理装置であって、
前記記憶部は、
基板処理を行うための基板処理レシピを記憶する基板処理レシピ記憶部と、
当該基板処理装置を構成する機構部の原点出しを行うイニシャル処理を行うためのイニシャルレシピを記憶するイニシャルレシピ記憶部と、
所定の基板処理回数を、イニシャル処理を行う基準回数として記憶するイニシャル基準記憶部と、
実行済みの基板処理回数を記憶する処理回数記憶部とを備え、
前記制御部は、
前記基板処理レシピ記憶部に記憶した基板処理レシピを実行する基板処理実行部と、
前記イニシャルレシピ記憶部に記憶したイニシャルレシピを実行するイニシャル処理実行部と、
基板処理回数に応じて前記処理回数記憶部に記憶した基板処理回数を更新する処理回数更新部と、
前記処理回数記憶部に記憶した基板処理回数が、前記イニシャル基準記憶部に記憶した基準回数に達したか否かを判定する処理終了判定部と、
イニシャル処理が可能なイニシャル処理可能状態であるか否かを判定するイニシャル可否判定部とを備え、
前記処理終了判定部が前記基板処理回数が前記基準回数に達したと判定すると、前記基板処理実行部が当該基板処理装置における新たな基板処理開始を保留し、前記イニシャル可否判定部が前記イニシャル処理可能状態であると判定すると、前記イニシャル処理実行部がイニシャルレシピを実行するよう構成された基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−94599(P2012−94599A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238794(P2010−238794)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】