説明

基板処理装置

【課題】基板がエアー洗浄部に接触することにより損傷を受けることを防止可能な基板処理装置を提供する。
【解決手段】上側エアー洗浄部5は、搬送路の途中に設けられた洗浄領域4の上方に配置され、基板2の上面にカーテン状にエアーを噴き付けつつ、噴き付けたエアーを吸入することにより基板2を洗浄する。下側エアー洗浄部は、搬送路の下方において上側エアー洗浄部5と対向する位置に配置され、基板2の下面にカーテン状にエアーを噴き付けつつ、噴き付けたエアーを吸入することにより基板2を洗浄する。上側エアー洗浄部5および下側エアー洗浄部は、端辺3が伸びる方向に対して基板2上において交差するようにカーテン状にエアーを噴き付ける。洗浄領域4には基板案内部13が配置され、下側エアー洗浄部によるエアーの吸入によって基板2が下側エアー洗浄部に接触することを、基板案内部13が基板2の下面を支持することによって防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置に関し、特に、基板をエアー洗浄する基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置に用いられる基板を処理する装置においては、基板の洗浄処理部が備えられている。洗浄処理部を含む基板処理装置を開示した先行文献として、特許文献1および2がある。特許文献1および2に開示された基板処理装置には、洗浄処理した基板を乾燥処理するために基板の上方および下方にエアーナイフが配置されている。基板は、搬送ローラなどの搬送手段で搬送されながら、洗浄液による洗浄処理およびエアーナイフによる乾燥処理を順次連続的に行なわれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−314827号公報
【特許文献2】特開2001−284310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1および2に記載された基板処理装置においては、基板を搬送手段により搬送しながらエアーナイフによる乾燥処理を行なっている。エアーナイフは、加圧空気を基板に噴き付けるため、基板は上下のエアーナイフの間を通過する際に搬送ローラ上においてバタつきながら搬送される。
【0005】
基板処理装置には、基板上の微細な埃などを取り除くために、基板にエアーを噴き付けつつ、その噴き付けたエアーを吸入するエアー洗浄部を備えたものがある。エアー洗浄部はエアーナイフと同様に、基板が搬送される搬送路の上方および下方に配置される。
【0006】
上下のエアー洗浄部の間においては、上方および下方からエアーの噴き付けとエアーの吸入とが行なわれるため、上記のエアーナイフ間より激しい乱流が発生する。そのため、エアー洗浄部の間を搬送される基板は、搬送ローラ上において激しいバタつきを生じる。また、エアー洗浄部のエアー噴き付け部は、基板表面に近接して配置されるため、基板搬送方向においてエアー洗浄部が配置されている位置には、搬送ローラを設けることができない。そのため、搬送方向における基板の先端が、エアー洗浄部を挟んで配置された搬送ローラ間において、基板の自重および基板の上記バタつきにより下方に沈み込み、基板の下方に配置されたエアー洗浄部に接触することがある。この場合、基板にキズまたは割れなどの損傷が発生する。
【0007】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、基板を搬送しつつエアー洗浄する基板処理装置において、基板がエアー洗浄部に接触することにより損傷を受けることを防止可能な基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る基板処理装置は、直線状の端辺を有する基板が搬送される搬送路より上方および下方から基板をエアー洗浄する装置である。基板処理装置は、上側エアー洗浄部と下側エアー洗浄部と第1搬送手段と第2搬送手段とを備えている。上側エアー洗浄部は、搬送路の途中に設けられた洗浄領域の上方に配置され、基板の上面にカーテン状にエアーを噴き付けつつ、噴き付けたエアーを吸入することにより基板を洗浄する。下側エアー洗浄部は、搬送路の下方において上側エアー洗浄部と対向する位置に配置され、基板の下面にカーテン状にエアーを噴き付けつつ、噴き付けたエアーを吸入することにより基板を洗浄する。第1搬送手段は、基板の下面を支持して、基板面内において上記端辺が伸びる方向と直交する方向に基板を搬送することにより、基板を端辺側から洗浄領域に搬入する。第2搬送手段は、基板の下面を支持して基板を洗浄領域から搬出する。上側エアー洗浄部および下側エアー洗浄部は、上記端辺が伸びる方向に対して基板上において交差するようにカーテン状にエアーを噴き付ける。洗浄領域には基板案内部が配置され、下側エアー洗浄部によるエアーの吸入によって基板が下側エアー洗浄部に接触することを、基板案内部が基板の下面を支持することによって防止する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、洗浄領域に基板案内部を設けて基板の下面を支持することによって、洗浄領域を通過する基板の先端が下側エアー洗浄部に接触することを防止して、基板を損傷することなく洗浄することができる基板処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態1に係る基板処理装置の構成を模式的に示す平面図である。
【図2】図1の基板処理装置をII−II線矢印方向から見た断面図である。
【図3】同実施形態に係る上側エアー洗浄部の構造を模式的に示す斜視図である。
【図4】同実施形態に係る下側エアー洗浄部の構造を模式的に示す斜視図である。
【図5】図4の下側エアー洗浄部を矢印V方向から見た側面図である。
【図6】同実施形態に係る基板処理装置において、洗浄領域に搬入される基板を模式的に示す斜視図である。
【図7】図6の基板案内部を矢印VII方向から見た側面図である。
【図8】本発明の実施形態2に係る基板処理装置の構成を模式的に示す平面図である。
【図9】図8の基板処理装置をIX−IX線矢印方向から見た断面図である。
【図10】図8の搬送手段および基板案内部を矢印X方向側から見た状態を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態1に係る基板処理装置について図面を参照しながら説明する。
実施形態1
図1は、本発明の実施形態1に係る基板処理装置の構成を模式的に示す平面図である。図2は、図1の基板処理装置をII−II線矢印方向から見た断面図である。図1に示すように、本実施形態に係る基板処理装置1は、直線状の端辺3を有する基板2をエアー洗浄する基板処理装置である。直線状の端辺3とは、基板2の辺の内、直線状に伸びる辺のことをいう。本実施形態においては、基板2は矩形状であるが、少なくとも直線状の端辺3を有する基板であればよい。基板2は、たとえば、TFT(Thin Film Transistor)またはカラーフィルタなどが上面に形成されたガラス基板である。
【0012】
基板2は、基板2の下面を第1搬送ローラ7に支持されて、矢印6で示す方向に搬送される。第1搬送ローラ7は、第1搬送軸8に所定の間隔を置いて取付けられている。第1搬送軸8は、基板2の搬送方向に所定の間隔を置いて配置されている。すべての第1搬送軸8は、図示しない駆動源と接続されている。駆動源から供給される駆動力により第1搬送軸8が回転させられることにより、第1搬送ローラ7が回転して基板2を矢印6の方向に搬送している。第1搬送ローラ7としては、樹脂製の搬送ローラを用いた。第1搬送軸8としては、金属製の軸を用いた。第1搬送手段9は、第1搬送ローラ7および第1搬送軸8を含む。
【0013】
基板2の搬送方向において、第1搬送手段9の下流に洗浄領域4が設けられている。上記のように基板2は直線状の端辺3を有しており、第1搬送手段9は、基板2の面内において端辺3が伸びる方向と直交する方向に基板2を搬送することにより、基板2を端辺3側から洗浄領域4に搬入している。
【0014】
基板2の搬送方向において、洗浄領域4の下流に第2搬送手段12が設けられている。基板2は、基板2の下面を第2搬送ローラ10に支持されて、矢印6で示す方向に搬送される。第2搬送ローラ10は、第2搬送軸11に所定の間隔を置いて取付けられている。第2搬送軸11は、基板2の搬送方向に所定の間隔を置いて配置されている。第2搬送軸11は、図示しない駆動源と接続されている。駆動源から供給される駆動力により第2搬送軸11が回転させられることにより、第2搬送ローラ10が回転して基板2を矢印6の方向に搬送している。第2搬送ローラ10としては、樹脂製の搬送ローラを用いた。第2搬送軸11としては、金属製の軸を用いた。第2搬送手段12は、第2搬送ローラ10および第2搬送軸11を含む。第2搬送手段12は、基板2を洗浄領域4から搬出する。
【0015】
図2に示すように、第1搬送手段9および第2搬送手段12により基板2が搬送される搬送路14が形成される。洗浄領域4は、搬送路14の途中に設けられている。洗浄領域4の上方には、上側エアー洗浄部5が配置されている。上側エアー洗浄部5は、矢印16で示すように基板2の上面にカーテン状にエアーを噴き付けつつ、噴き付けたエアーを矢印17で示すように吸入することにより基板2を洗浄している。
【0016】
言い換えると、洗浄される基板2は、基板2の搬送方向の先端側から、基板2の上面を上側エアー洗浄部5によって吸入された後、上側エアー洗浄部5からエアーを噴き付けられ、さらにその後、上側エアー洗浄部5によって吸入される。このようにして、基板2の上面に付着していた微細な埃などが除去される。
【0017】
一方、洗浄領域4の下方には、下側エアー洗浄部15が配置されている。下側エアー洗浄部15は、上側エアー洗浄部5と対向する位置に配置されている。下側エアー洗浄部15は、矢印18で示すように基板2の下面にカーテン状にエアーを噴き付けつつ、噴き付けたエアーを矢印19で示すように吸入することにより基板2を洗浄している。
【0018】
言い換えると、洗浄される基板2は、基板2の搬送方向の先端側から、基板2の下面を下側エアー洗浄部15によって吸入された後、下側エアー洗浄部15からエアーを噴き付けられ、さらにその後、下側エアー洗浄部15によって吸入される。このようにして、基板2の下面に付着していた微細な埃などが除去される。
【0019】
上側エアー洗浄部5および下側エアー洗浄部15は、効率的に基板2を洗浄するために基板2の表面に近接して配置されている。そのため洗浄領域4には、第1搬送ローラ7および第2搬送ローラ10を配置することができない。なお、上側エアー洗浄部5に基板2が接触しないようにするために、上側エアー洗浄部5と基板2の上面との距離が、下側エアー洗浄部15と基板2の下面との距離より長くなるようにしている。
【0020】
図1においては、上側エアー洗浄部5および下側エアー洗浄部15が基板2上に噴き付けるエアーの位置を二点鎖線26で示している。また、基板2の端辺3が伸びる方向を二点鎖線27で示している。二点鎖線26と二点鎖線27とのなす角28をθとすると、本実施形態においてはθ=3°としたが、3°≦θ≦45°であることが好ましい。
【0021】
このように、上側エアー洗浄部5および下側エアー洗浄部15は、基板2の端辺3が伸びる方向に対して基板2上において交差するようにカーテン状にエアーを噴き付けている。
【0022】
図1に示すように、基板2の端辺3において、図の上端側をU側、下端側をD側とする。このU側とD側とは、逆になってもよい。角28であるθを3°とした場合、基板2は、端辺3のD側の周辺から洗浄領域4に搬入される。このようにすることにより、上側エアー洗浄部5および下側エアー洗浄部15の間の乱流が洗浄領域4に搬入された直後の基板2に作用する面積を小さくすることができるため、基板2が洗浄領域4内に搬入された際の基板2のバタつきを抑制することができる。
【0023】
角28であるθを0°とした場合、基板2は、端辺3のU側からD側までの端部全体が同時に洗浄領域4に搬入される。この場合、上側エアー洗浄部5および下側エアー洗浄部15の間の乱流が洗浄領域4に搬入された直後の基板2に作用する面積が大きいため、基板2が洗浄領域4内に搬入された際の基板2のバタつきが大きくなる。
【0024】
そのため、本実施形態においてはθ=3°としたが、3°<θ≦45°としても基板2のバタつきを抑制することができる。しかし、上記の範囲内においてθが大きくなると、上側エアー洗浄部5および下側エアー洗浄部15が長くなるため、基板処理装置1の装置コストが高くなる。装置コストの増加を抑制しつつ、基板2のバタつきを抑えるためには、θ=3°であることが特に好ましい。
【0025】
図1,2に示すように、洗浄領域4には、基板2を下面から支持する基板案内部13が設けられている。本実施形態においては、基板案内部13は複数のフリーローラから構成されている。このため、フリーローラが基板2の下面を支持した状態で基板2が搬送される際にはフリーローラが転がるため、基板2に付加される搬送抵抗を低く抑えることができる。フリーローラは、洗浄領域に均等に配置されていることが好ましく、たとえば、千鳥状に配置されていてもよい。
【0026】
基板2を支持する際に基板2と接触する基板案内部13の上端の高さは、第1搬送ローラ7の上端の高さより低く、下側エアー洗浄部15の上端の高さより高くなるように設定されている。フリーローラは、フリーローラの軸部が図示しない取付部と接続されることにより設置され、その取付け高さが調節可能にされている。
【0027】
基板案内部13が第1搬送手段9から洗浄領域4に搬入された基板2の下面を支持することにより、基板2の端辺3のD側が下側エアー洗浄部15に接触することを防止することができる。具体的には、上側エアー洗浄部5および下側エアー洗浄部15の間の乱流による基板2のバタつきと基板2の自重とによって、洗浄領域4に搬入された基板2は下側エアー洗浄部15に引き寄せられる。このとき、基板2の下面を基板案内部13が支持しているため、基板2は下側エアー洗浄部15に接触することなく、第2搬送手段12によって洗浄領域4から搬出される。
【0028】
図3は、本実施形態に係る上側エアー洗浄部の構造を模式的に示す斜視図である。図4は、本実施形態に係る下側エアー洗浄部の構造を模式的に示す斜視図である。図3に示すように、上側エアー洗浄部5の下面には、エアーをカーテン状に噴き付ける噴き付け部20が上側エアー洗浄部5の長手方向に延在するように設けられている。
【0029】
上側エアー洗浄部5の下面を平面的に見て、中央部に噴き付け部20が配置され、噴き付け部20を挟むように噴き付け部20の両側に、噴き付け部20から噴き付けたエアーを吸入する吸入部21aおよび吸入部21bが設けられている。
【0030】
図4に示すように、下側エアー洗浄部15の上面には、エアーをカーテン状に噴き付ける噴き付け部22が下側エアー洗浄部15の長手方向に延在するように設けられている。下側エアー洗浄部15の上面を平面的に見て、中央部に噴き付け部22が配置され、噴き付け部22を挟むように噴き付け部22の両側に、噴き付け部22から噴き付けられたエアーを吸入する吸入部23aおよび吸入部23bが設けられている。
【0031】
本実施形態にいては、吸入部23aが配置されている領域に、基板案内部25aが配置されている。また、吸入部23bが配置されている領域に、基板案内部25bが配置されている。基板案内部25a,25bは、基板案内部13と同様にフリーローラで構成されている。
【0032】
基板案内部25aは、下側エアー洗浄部15の上面に形成された開口部24aからフリーローラの一部が突出するように設けられている。基板案内部25bは、下側エアー洗浄部15の上面に形成された開口部24bからフリーローラの一部が突出するように設けられている。基板案内部25a,25bの基板支持高さは、基板案内部13の基板支持高さに対応して調節される。
【0033】
図5は、図4の下側エアー洗浄部を矢印V方向から見た側面図である。図5に示すように、下側エアー洗浄部15は、噴き付け部22から矢印18で示す方向にエアーが噴き付けられ、吸入部23aおよび吸入部23bから矢印19に示す方向にエアーを吸入している。
【0034】
基板2が下側エアー洗浄部15の上方を通過する際、基板2は、エアーが吸入されている吸入部23aの領域に配置された基板案内部25a、および、エアーが吸入されている吸入部23bの領域に配置された基板案内部25bによって下面を支持されている。この結果、基板2は下側エアー洗浄部15に接触することなく、洗浄領域4を安定して通過することができる。本実施形態においては、基板案内部25a,25bを設けたが、基板案内部13が設けられていればよく、基板案内部25a,25bは必ずしも設けなくてもよい。
【0035】
図6は、本実施形態に係る基板処理装置において、洗浄領域に搬入される基板を模式的に示す斜視図である。図6においては、簡単のため、基板2と下側エアー洗浄部15と一部の基板案内部についてのみ図示し、その他の構成については図示していない。図7は、図6の基板案内部を矢印VII方向から見た側面図である。
【0036】
図6に示すように、洗浄領域4の内、図示しない第1搬送手段9に隣接している領域を隣接領域29とする。図6においては、洗浄領域4に配置された基板案内部13の内、隣接領域29に配置された基板案内部13A〜13Eのみ表示している。また、説明の便宜上、隣接領域29に5つの基板案内部13A〜13Eを図示したが、隣接領域29に配置される基板案内部13の数はこれに限られない。
【0037】
第1搬送手段9により矢印6方向に搬送された基板2は、端辺3を先頭にして洗浄領域4に搬入される。このとき、基板2の端辺3側は、第1搬送手段9の搬送方向の最も下流側に配置された図示しない第1搬送ローラ7から隣接領域29に配置された基板案内部13A〜Eに乗り移ることになる。
【0038】
図6に示すように、隣接領域29の近傍には、下側エアー洗浄部15の吸入部23bがある。基板2の端辺3周辺が搬送方向下流側の第1搬送ローラ7から離れるほど、基板2の自重と吸入部23bのエアーの吸込みにより、基板2の端辺3側は矢印19に示すように下方に引き寄せられる。
【0039】
特に、吸入部23bの最も近くに位置する基板2の端辺3のD側は、大きな引き寄せ力を受ける。そのため、基板2の端辺3において、基板2の高さがU側からD側に向けて低くなるように、基板2は傾いた状態で基板案内部13A〜13Eに乗り移る。このため、基板案内部13A〜13Eの基板2の支持高さを上記の基板2の傾きに対応させることが好ましい。
【0040】
図7に示すように、基板案内部13Aの上端の位置である基板支持高さhAより基板案内部13Bの上端の位置である基板支持高さhBが高くなるようにする。基板案内部13Bの基板支持高さhBより基板案内部13Cの上端の位置である基板支持高さhCが高くなるようにする。基板案内部13Cの基板支持高さhCより基板案内部13Dの上端の位置である基板支持高さhDが高くなるようにする。基板案内部13Dの基板支持高さhDより基板案内部13Eの上端の位置である基板支持高さhEが高くなるようにする。
【0041】
基板案内部13A〜13Eの基板2の支持高さを上記のようにすることにより、基板2の端辺3のD側が基板案内部13Aに衝突することによって基板2にキズまたは割れなどの損傷が発生することを防止することができる。また、基板2の端辺3のU側の下面と基板案内部13Eの上端との間に隙間が発生することを防止して、基板案内部13A〜13Eの全てによって基板2を支持することができる。
【0042】
このように、洗浄領域4における第1搬送手段9との隣接領域29に位置する部分の基板案内部13A〜13Eは、下側エアー洗浄部15の近くに位置する部分の方が遠くに位置する部分より基板の支持高さが低くなるように設定されている。
【0043】
本実施形態の基板処理装置1によれば、洗浄領域4に基板案内部13を設けて基板2の下面を支持することによって、洗浄領域4を通過する基板2が下側エアー洗浄部15に接触することを防止して、基板2に損傷を発生することなく基板2を洗浄することができる。
【0044】
以下、本発明の実施形態2に係る基板処理装置について図面を参照して説明する。
実施形態2
図8は、本発明の実施形態2に係る基板処理装置の構成を模式的に示す平面図である。図9は、図8の基板処理装置をIX−IX線矢印方向から見た断面図である。本発明の実施形態2に係る基板処理装置30は、基板2の搬送路14の途中に連続して2つの上側エアー洗浄部32,35および下側エアー洗浄部37,38が設けられている。
【0045】
図8,9に示すように、上側エアー洗浄部および下側エアー洗浄部を基板2の搬送路14の途中に2つずつ配置することにより、基板2の洗浄速度を落とすことなく高い除去率で基板2を洗浄することができる。本実施形態においては、上側エアー洗浄部および下側エアー洗浄部を2つずつ配置したが、複数であればよく、それぞれ3つ以上配置してもよい。上側エアー洗浄部および下側エアー洗浄部を複数配置している以外の構成については、実施形態1と同様であるため、その他の構成については説明を繰り返さない。
【0046】
基板2の搬送方向の上流側に位置する洗浄領域31には、基板案内部33が配置されている。基板2の搬送方向の下流側に位置する洗浄領域34には、基板案内部36が配置されている。基板2は、第1搬送手段9により矢印6方向に搬入されて、洗浄領域31から洗浄領域34を通過して第2搬送手段12よって搬出される。
【0047】
図10は、図8の搬送手段および基板案内部を矢印X方向側から見た状態を模式的に示す側面図である。図10に示すように、第1搬送ローラ7の上端の位置である第1搬送手段9の基板支持高さhIが基板案内部33の上端の位置である基板支持高さhSより高くなるようにする。基板案内部33の基板支持高さhSが基板案内部36の上端の位置である基板支持高さhTより高くなるようにする。基板案内部36の基板支持高さhTが第2搬送ローラ10の上端の位置である基板支持高さhOより高くなるようにする。
【0048】
上記のように基板支持高さを調節することにより、基板2が第1搬送ローラ7から基板案内部33に乗り移る際に、基板2の端辺3が基板案内部33に衝突することを防止することができる。同様に、基板2が基板案内部33から基板案内部36に乗り移る際に、基板2の端辺3が基板案内部36に衝突することを防止することができる。また、基板2が基板案内部36から第2搬送ローラ10に乗り移る際に、基板2の端辺3が第2搬送ローラ10に衝突することを防止することができる。この結果、基板2が搬送途中にキズまたは割れなどの損傷を受けることを防止することができる。
【0049】
なお、今回開示した上記実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0050】
1,30 基板処理装置、2 基板、3 端辺、4,31,34 洗浄領域、5,32,35 上側エアー洗浄部、7 第1搬送ローラ、8 第1搬送軸、9 第1搬送手段、10 第2搬送ローラ、11 第2搬送軸、12 第2搬送手段、13,13A,13B,13C,13D,13E,25a,25b,33,36 基板案内部、14 搬送路、15,37,38 下側エアー洗浄部、20,22 噴き付け部、21a,21b,23a,23b 吸入部、24a,24b 開口部、29 隣接領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線状の端辺を有する基板が搬送される搬送路より上方および下方から前記基板をエアー洗浄する基板処理装置であって、
前記搬送路の途中に設けられた洗浄領域の上方に配置され、前記基板の上面にカーテン状にエアーを噴き付けつつ、噴き付けたエアーを吸入することにより前記基板を洗浄する上側エアー洗浄部と、
前記搬送路の下方において前記上側エアー洗浄部と対向する位置に配置され、前記基板の下面にカーテン状にエアーを噴き付けつつ、噴き付けたエアーを吸入することにより前記基板を洗浄する下側エアー洗浄部と、
前記基板の下面を支持して、前記基板面内において前記端辺が伸びる方向と直交する方向に前記基板を搬送することにより、前記基板を前記端辺側から前記洗浄領域に搬入する第1搬送手段と、
前記基板の下面を支持して前記基板を前記洗浄領域から搬出する第2搬送手段と、
を備え、
前記上側エアー洗浄部および前記下側エアー洗浄部は、前記端辺が伸びる方向に対して前記基板上において交差するようにカーテン状にエアーを噴き付け、
前記洗浄領域には基板案内部が配置され、前記下側エアー洗浄部によるエアーの吸入によって前記基板が前記下側エアー洗浄部に接触することを、前記基板案内部が前記基板の下面を支持することによって防止する、基板処理装置。
【請求項2】
前記上側エアー洗浄部および前記下側エアー洗浄部は、前記端辺が伸びる方向に対して前記基板上において3°以上45°以下の角度で交差するようにカーテン状にエアーを噴き付ける、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記洗浄領域における前記第1搬送手段との隣接領域に位置する部分の前記基板案内部は、前記下側エアー洗浄部の近くに位置する部分の方が遠くに位置する部分より前記基板の支持高さが低い、請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記下側エアー洗浄部には、カーテン状にエアーを噴き付ける噴き付け部、および、噴き付けたエアーを吸入する吸入部が設けられ、
前記噴き付け部は、平面的に見て、前記下側エアー洗浄部の中央部に配置され、
前記吸入部は、平面的に見て、前記噴き付け部を挟むように前記噴き付け部の両側に配置され、
前記基板案内部の一部は、前記吸入部が配置されている領域に配置されている、請求項1から3のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記上側エアー洗浄部および前記下側エアー洗浄部が、前記基板の前記搬送路の途中に連続して複数配置されている、請求項1から4のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記基板の搬送方向の上流側に位置する前記洗浄領域に配置されている前記基板案内部の前記基板の支持高さは、前記搬送方向の下流側に位置する前記洗浄領域に配置されている前記基板案内部の前記基板の支持高さより高い、請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記基板案内部が複数のフリーローラから構成されている、請求項1から6のいずれかに記載の基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−78701(P2013−78701A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−29139(P2010−29139)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】